○高橋(伸)
政府委員 道路運送法九十条についてのお尋ねでございます。
この九十条の制定の趣旨でございますが、
昭和二十六年当時、地方公共団体のうち、東京都の区部、大阪市、京都市、名
古屋市、横浜市、神戸市、福岡市、仙台市、この八都市におきますバスの交通量というものが非常に膨大でございました。戦後の復興期ということもございまして、バス路線の新設の免許申請が山積している、こういう状況にあったわけでございます。
それで、この九十条によりますと、いわゆる路線バスの事業免許を処分しようとする場合には、その路線が特別区の
区域内、または今申し上げた政令で定める市の
区域内にあるときには、運輸
大臣は当該部知事または政令で定める市の長の意見を徴しなければならない、こういう規定になっているわけでございます。
今申し上げましたように、
昭和二十六年当時、法の制定当時でございますけれ
ども、このような大量な免許の処分に当たりまして、運輸行政サイドの
体制も十分整っていなかった、また、その都市の地域の開発あるいは輸送需要の見込み、こういったものについて、地区の事情に通じております知事あるいは市長から意見を聞くということが必要であった、こういう事情があったわけでございます。その後、運輸行政の
体制も整ってまいりまして、このような知事の意見を徴することなく免許の処分が適切にできる、こういう状況に現在なってきておるところでございます。
むしろ、近年、高速バスが進展するに従いまして、単に高速バスがその当該市を通過するということだけでも意見を聞かなければいけない、その都度大変な手間もかかるということでございま
す。行政の簡素化あるいは事業者の事業の効率化、こういった面からの御
要請もいただいておりまして、今回、廃止しても差し支えないという判断に立って
法律改正をお願いしているところでございます。
今先生御
指摘いただきましたように、バス行政を進めるに当たりまして、地元の意向、地域の実情、こういったものを把握した上で行うということは私
ども何よりも重要なことだと思っております。特に、地方自治体の御意見というものも十分お
伺いしながら進めていく必要があるわけでございます。
こういった
観点から、私
ども、地方の運輸局単位に次のような組織と申しますか、協議会というものを置いて、地方自治体の意見というものをお
伺いする仕組みをつくっておるところでございます。
一つは、地方交通審議会というものがございます。これは、各県ごとに部会を設けておりまして、ここで陸海にわたります地域交通計画を策定をする。この地方交通審議会の会長さんは通常都道府県の知事さんにお願いしておるわけでございます。これが全体の交通計画をまず県単位で策定するということでございます。
それから、バスにつきましては二つございまして、
一つは、過疎バスを
中心としました対策、これについては地域バス対策協議会というものを設けております。これも都道府県単位でございます。それから、都市バスを
中心としたバスの活性化対策につきましては、これも都道府県単位にバス活性化
委員会というものを設けております。主として、ここにおきましてはバスの走行環境の改善あるいはバスの
利用者の利便の増進、こういった点について御審議を賜っておるというところでございます。
このほか、私
ども個々の免許の申請に当たりまして、十分地方自治体の意見もお
伺いしながら総合的なバス行政を進めておるところでございまして、今回この九十条を廃止した後におきましても、十分地方自治体の意見というものをお
伺いしながら進めてまいる所存でございます。