○西村
委員 基本的にはやはり難しいと。
ここで文民統制、シビリアンコントロールのことについて御見解をいただきたいと思います。
話が飛ぶようでございますけれ
ども、これは決して飛ぶ問題ではございません。今までお答えになったように、政治、文民の世界には積み上げた歴史がございまして、緊急事態が起こらなければ一挙に新しい判断を示すということができにくい状態なのがこの政治の世界でございます。
そこで、シビリアンコントロールというのは何か。警察は行政組織の一部分そのものでございますから、
警察官を文民統制するということは自己矛盾でございます。軍隊にだけ文民統制という言葉がある。軍隊が行政
機関の一部そのものになりますれば、今政府がお答えになったような、現在における政府の見解で縛られた
範囲のシミュレーション、その
範囲の活動しかできない。
そこで、シビリアンコントロールの前提には、軍政、アドミニストレーションと軍令、オペレーションを分離いたしまして、軍令、オペレーションの部分は時の政府の見解、時の政府の意向とは少々独立した自律的な部分があるのだということを認めながら、軍政の面ではしっかりとコントロールする、これがシビリアンコントロールでございます。今の
自衛隊はいささか行政組織の一部に組み込まれ過ぎておりまして、オペレーションの部分の自律がない。
なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、現在の時点で予測し得ない侵害がもし起こるとしたら、今局長お答えになったような、敵さんがわざわざ陸に歩いて上陸していただけるような事態ではないであろう。
アメリカにおいては、シビリアンコントロールを私が今申し上げたように解釈して、オペレーション、軍令の部分では大幅な自律権、奇想天外なシミュレーションもなし得るような自由の領域を与えておると思うのです。日清戦争後に対日戦争のオペレーションを
アメリカはもう始めております。オレンジ作戦です。奇想天外なオペレーションもまた始めております。同時に、イギリスと大西洋で戦うオペレーションも
アメリカは始めておったのでございます。これが
アメリカの自由な発想、そして我々が戦って負けた
アメリカの軍隊の強さでありました。
それで、これは長期的な展望としてお聞きするのですけれ
ども、また具体的な今回の大震災におきましても、やはり先ほどお答えのありましたように、
自衛隊法八十三条二項
ただし書きにおいては、また八十三条
本文の
自衛隊の
出動においては、日ごろ兵庫県等々で共同
訓練をやっていなかったので非常にまずかった等の意見がありました。しかし、軍隊というのは、軍令、その部分で自由を与えておいて、与えられた条件の中で最大のオペレーションを平時において尽くしさえしておれば、社会党がつい最近まで
自衛隊は違憲と言いまして、地方に行けば
自衛隊を税金泥棒のように呼ばわる雰囲気がまだあるわけですが、その与えられた中においても、今回の大震災のような防災
出動のシミュレーションを尽くしておくことができた、このように思うのです。
質問に戻りますけれ
ども、今の、
ミサイルの発射
基地をたたくことはできないというのが現在の政府に課せられた政治的限界であるとするならば、文民統制の言葉の真義を私が今申し上げたように解釈されて、
自衛隊を把握する全体の
法制においてもう少し、例えば
アメリカが、イギリスに対するシミュレーションも
我が国に対するシミュレーションも、日清戦争後フィリピンを領有した時点から始めたように、
自衛隊にもう少し自律権を与える。つまり、三矢事件以来の
自衛隊に対する拘束は、文民統制の名をかりて、文民統制を誤解した、つまりがんじがらめにしただけだというふうな観点にお戻りになって御検討を始められたらいかがかなと思うのです。
今、私の文民統制に対する考え方を申し上げた意見に対して、いかが意見をお持ちでしょうか。ちょっとお聞かせいただきたい。