○三石久江君 ありがとうございます。
それでは次に、議題を変えまして六十四歳までの
雇用確保についての
質問をさせていただきます。
年金
改正法が可決、成立いたしまして、国民年金の
支給開始年齢が二〇一四年から六十五歳に繰り下げられることになりました。繰り下げは段階的に行われるので、六十歳になっても年金をもらえない人が出てくるのは二〇〇一年でありますし、わずか七年後のことになります。年金の
支給開始年齢が繰り下げられるために生ずる問題は、部分年金のみの
支給で不足する生計費を補うために
労働市場に参入するであろう
労働者の
雇用の
確保であると思います。
そこで、六十歳以上になっても満額の年金をもらえない人が不足部分を補うために
労働市場に就業者として参入してくると仮定して、男子の六十ないし六十四歳の
労働市場をどの程度拡大する必要があるのかをシミュレーションしてみますと、お手元の表のようになります。この表は、
平成二
年度の国勢
調査による各年齢ごとの人口と
平成五
年度の
労働力
調査による就業者比率を用いて推計したものです。
例えば、
平成六年四月に五十二歳であった男子
労働者から年金
支給開始年齢の段階的引き上げ対象年齢になっておりますので、この
労働者が属する
平成二年時点の国勢
調査人口を見ますと九十四万四千人になっております。
ここで、
平成五年の
労働力
調査では五十五ないし五十九歳層の就業者率は九二・一%であり、同様に六十歳ないし六十四歳層の就業者率は七一%でありますので、
平成六年に五十二歳の人が五十五ないし五十九歳になった時点と、六十から六十四歳になった時点の就業者率としてそれぞれ推計しますとこの差は二一・二%、実数は十九万九千人、約二十万人となります。
このように、
平成六年の各年齢ごとに、それぞれ五十五ないし五十九歳と六十ないし六十四歳の時点の就業希望者数を求めて、二〇〇一年以降の年金の満額
支給開始年齢の段階的引き上げの対象年齢の欄に積み上げていきますと表の右半分下の欄のようになりまして、二〇一三年には就業希望者は約百万人と見込まれます。この表は
平成二年以降各年齢層とも年金満額
支給年齢までの生存率を一〇〇%として推計しておりますのでかなり乱暴かもしれませんが、概略を推量する上で有効であると考えましたのであえて提示いたしました。
また、
平成四年の
労働省の高
年齢者就業実態
調査の結果からは、男子の六十ないし六十四歳層の就業
理由の七八%が
経済的
理由を挙げておりますので、年金が満額もらえないとなりますと現在の
労働力率が上昇することが考えられます。さらに、
雇用者から自営業、例えば農業への転出とか勤務延長
制度、再
雇用制度の活用、退職金の運用などで推計どおりの就業希望者がふえるというわけではありませんが、新たな
高齢者雇用政策が必要になることは避けられないでしょう。
前
国会で高年齢
雇用継続給付制度ができまして、来年四月一日から
施行をくれますが、この
制度は幸いに
就職できた人の賃金をカバーするものにすぎません。現在、
企業の定年はおおよそ六十歳が定着してきておりますが、その後も勤務を認める勤務延長あるいは再
雇用の
制度がある
企業は、
平成六年
労働省雇用管理
調査報告によりますと七〇・五%でありますが、そのうち全員を
制度の対象としている
企業は両
制度とも三〇%前後にすぎないのです。また、六十歳層の求人倍率は
平成元年以降〇・一〇ないし〇・二五倍という低さであるので、これから考えますと、一たん離職した者の再
就職は相当に厳しい現状から、新たな高
年齢者の
雇用を開発するために積極的な
対策が不可欠であると考えます。
労働大臣は
所信表明で、「二十一
世紀初頭までに少なくとも六十五歳まで現役として働けるような
社会の実現を目指していくことが重要」であると述べられています。それには、同じく前
国会で成立した高
年齢者等の
雇用の
安定等に関する
法律によって
対策を講ずることになろうと存じますが、改めてお尋ねしたいと思います。
ただいま資料の表で
説明いたしましたように、高
年齢者の就業希望者、言いかえますと失業者が多数発生するおそれが十分ありますので、年金をもらえない年齢層の
労働力率あるいは
雇用者率をどのように見込んでおられるのか。
平成五年の
労働力
調査では四七・七%ですが、どれほど上昇させ得るとお考えでしょうか。その結果、高
年齢者の
雇用をどの
くらい開発することが必要となるか。そして、この
人たちの
雇用を
確保するために
企業側にどのような対応を求めていくのでしょうか。また、
労働者側にはどのような
準備が必要と考えておられますか、お伺いいたしたい。
もう
一つ、年金の満額
支給開始年齢の段階的引き上げに伴って、法定の定年年齢を引き上げていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。高
年齢者の
雇用確保についての
労働大臣としての御所見とともにお伺いしたいと思います。