○
国務大臣(
村山富市君) 粟森
議員の
質問にお答え申し上げます。
まず最初の
質問は、
衆議院での審議経過及び参議院での
税制特別委員会設置の問題等に関連をして私の所見を聞きたいと、こういう御
質問でございました。
これは、私は行
政府の責任者ですから、立法府の運営についてとやかく言うことは差し控えた方がいいと、こう
考えておりますから、私から申し上げることは、円滑な審議を通じてぜひ成立のために御協力をいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
次に、現在の連立与党・
政府に対し、政党政治と
国民の
信頼についての厳しさが欠けているのではないかという、こういう御指摘がございました。
考えてみますと、昨年七月の総
選挙以後、連立政権が誕生しているわけでありますが、我々にとっては、この連立政権というのは初めての経験であります。したがいまして、この連立政権というのはどうあるべきかということについていろんな角度から
議論があることは当然だと思いますね。
もともと
理念や政策の違う政党が、政策的な合意を求めて、そして
国民のよりコンセンサスを得た合意点に達するべく
努力をして、そして政権を担当していこうと、こういうものが私は連立政権だと思うんですね。したがいまして、これまで細川連立政権、羽田連立政権という経験をしてまいりましたけれども、その経験の反省に立って、より
透明度の高い民主的な
国民的な合意の得られるような、そういう運営をする必要があるという心がけで私どもはやっているつもりでございます。
したがいまして、私は、そうした各党の協力によって運営される連立政権という
あり方については、
国民の
皆さんの御
理解と御協力はいただけるのではないかと、そのために我々は一生懸命
努力する必要があると、こう
考えてやっているところでありまして、御
理解をいただきたいというふうに思います。
それから、
税制改革は世論の背景を考慮しているのかと、こういうお尋ねでございます。
消費税というのは、もう全体として見れば
国民の中に定着してきているということを前提に私どもは
考えています。
いずれにせよ、
税制は
国民の
皆さんから
負担をしてもらうものでありますから、何よりも
国民の
皆さんが
理解としてある程度納得していただけるという手順を講じることは大事だということも踏まえまして、三党の中では慎重の上にも慎重な
議論を重ね、単なる党内の
議論だけではなくて、各団体の
意見も聞きながら、できるだけ
国民の
皆さんに御
理解がいただけるような手順を踏んで出してきた
結論でございまして、こうした
国会の審議を通じて
国民の
皆さんにもその
内容をよく御
理解いただけるならば御同意をいただけるんではないか、こう
考えているところでございます。
また、
社会党の
消費税についての対応をどう
説明するつもりか、
消費税率引き上げは「人にやさしい政治」なのか、こういうお尋ねでございました。
振り返ってみますと、この
消費税が
創設された当時、私ども
社会党、当時野党でありました
社会党、公明党、民社党等々と一緒になって
消費税の粘り強い反対運動を続けてまいりました。しかし、その反対にもかかわらず、多数でもって
消費税は成立をしたわけです。現に
法律として制定をされて、
国民の暮らしの中に、経済行為の中に定着してきている」この事実はだれも否定できないわけであります。
したがって、定着しておる今の
消費税の持つ
逆進性をできるだけ緩和して
国民の
皆さんから
理解と納得の得られるようなものにしていこう、こういう
努力を私どもは続けてきておるのでございます。
しかし、今回はそうした
議論の上に合意を得たものでございまして、私は、
国民の
皆さん哲」うした
国会における
議論を通じてよく御
理解をいただけるならば、ある程度また
国民の世論の調査の結果も変わってくるんではなかろうかと、こう期待をしておるところでございますから、
皆さんの御
理解をいただきたいと存じます。
次に、ゴールドプラン、エンゼルプランの
実施等について、今後、
政府はどのように
検討を進めていくつもりなのか、こういう御
質問でございました。
将来の
社会保障等につきましては、今後、
政府・与党における
検討を
中心に
国民的
議論を尽くす必要があり、その関連で
消費税率の
見直し規定を設けております。この
規定のもとにおける
検討過程において、新ゴールドプラン等の
内容について詰めを行うなど将来の
社会保障の具体的な姿を明らかにしながら、
財源確保について
議論を行ってまいりたいと
考えているところでございます。
行政改革につきましては、
税制改革について
国民の
理解と協力を得るためにもその
推進が極めて重要であるという認識を持っておりまして、与党の「
行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら、積極的に取り組んでいくよう、各大臣に対して具体的方策の
検討に着手するよう指示を行ったところでございます。
また、歳出の節減合理化対策等につきましても、予算編成過程を通じて
検討、
具体化を図ってまいる所存でございます。
次に、二階建て
減税は抜本的でないとの御指摘でございますが、抜本的な
制度減税と言えるためには、その
規模が大きいか小さいかということではなく、活力ある
福祉社会の
実現を目指す
観点から、
税体系の中であるべき
所得課税を構築するために必要な
改正を行っているかどうかということが重要な基準であると私は
考えています。
今回の
個人所得課税の
負担軽減では、
中堅所得者層の
負担累増感を緩和するために
所得税率二〇%を
中心とした
税率の幅を十分に拡大し、その結果、収入が追加的に増加するにつれて税引き後手取り
金額が滑らかにふえていくような累進構造が
実現しており、抜本的な
制度減税に十分値するものであると
考えているところでございます。
次に、今後の
消費税率に関するお尋ねでありますが、
消費税率について
見直し条項を設けていることは御審議をいただいている
法案の中に盛られているとおりでありますが、現時点におきまして、何らの予断を持つことなく、今後この条項に挙げられた諸点を勘案した上で慎重に対応してまいりたいと
考えているところでございます。
次に、
消費税率の
見直し期限についてのお尋ねがございました。
当面の
経済状況への
配慮から
消費税に係る
改正は
平成九年四月一日から
実施することとしておりますが、
消費税率の
見直しにつきましては、
社会保障等に要する費用の
財源を
確保する
観点、
行財政改革の
推進状況等、さまざまな点を勘案して
検討することといたしておるために十分な
検討期間を
確保することが必要であると
考えておりますから、
平成八年九月三十日を期限としたものでございます。したがって、一年前倒しにして拙速をするよりも、むしろ慎重な結果、本当に納得できるような
結論を出すための
努力をした方がいいのではないか、こう
考えていることについて御
理解を賜りたいと思います。
次に、
税制改革のフレームの一部に建設国債
発行による
財源調達が入っておることに関するお尋ねがございましたが、今回の
措置により、
政府における
消費税負担の増加分のうちいわゆる
公債発行対象経費に係る部分につきましては、構造的に厳しい国、地方の
財政状況のもとで、そのかなりの部分が実際には建設国債で賄われることにならざるを得ないと
考えられるため、これをフレームの中で考慮することとしたものでございます。
この結果、
税制改革フレームの一部に
公債発行による
財源調達が入ることになりますが、これにつきましては、それが
税制改革の一環としての
消費税率引き上げの結果いわば反射的に生じ得るものであるため、これに伴う建設国債の増発も
税制改革に伴う財政収支に含めて
考えることとした次第でございますから、御
理解を賜りたいと存じます。
次に、
所得課税についてさらに抜本的に見直すべきであるとの御主張でございますが、今回の恒久的な
制度減税は活力ある
福祉社会の
実現を目指す
視点に立ち累進構造を大幅に緩和することとしたものでございまして、こうした
負担軽減の
措置により
個人所得課税のあるべき基本的な姿が
実現されるものと
考えておりまして、御指摘には
賛成しかねますということを申し上げておきたいと思います。
次に、新ゴールドプラン及びエンゼルプランの
財源措置についてのお尋ねがございましたが、これらのプラン自体については今後その
内容を詰めていくものでございまして、現時点で
財源を云々する段階ではないということについて申し上げておきたいと思います。
なお、来
年度予算におきましては、
介護対策、
少子対策のうち緊急を要するものについて一千億円の手当てを講じることとしているところでございます。
次に、
福祉ビジョン、エンゼルプランを早急に策定すべきとのお尋ねでありますが、今次
税制改革に関して行われる
消費税の
税率につきましては、この
検討過程において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の
内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の
社会保障の具体的施策とその必要経費について明らかにしてまいりたいと
考えているところでございます。
この
社会保障の具体的施策や必要経費の
検討につきましては、できる限り十分な
検討期間の
確保が必要であり、その
検討期限を前倒しする必要はないものと
考えているところでございます。
さらに、特殊法人についてのお尋ねでございますが、本年二月の行革大綱及び去る九月二十二日の臨時閣議での私の指示に基づさまして、各省庁において、先般の与党の基本方針を踏まえ
見直しに取り組んでいるところでございます。去る十月十八日の閣僚懇談会におきまして、総務庁長官から特殊法人の
見直しの具体的な作業、手順等について発言がございましたが、その際に私から重ねて各省庁において鋭意取り組むよう指示したところでございます。
このように政治家たる閣僚がそれぞれ率先をして取り組んでおるところでございますから、これは
信頼をして期待をしていただきたい。私どもはその決意で取り組んでまいる決意でございます。次に、
行政改革の
内容、スケジュール、経費節減目標等について早急に策定すべきとのお尋ねでございました。
行政改革につきましては、規制緩和、
地方分権、特殊法人など各般の
課題につきまして既定の方針に沿って着実に実行してまいる所存でありますが、御指摘の件につきましては、
行政改革はそのときどきの行政をめぐる
状況や
国会の御
議論、
国民の御
意見を踏まえながら
議論をしていく必要があること、
行政改革はその効果を具体的な
金額で表現し得ないものが多くあるので歳出の削減についてあらかじめ定量的に示しがたいことなど、困難であると
考えているところでございます。
いずれにいたしましても、
行政改革の
推進に積極的に
取り組み、
国民の目に見える形で成果を上げみべく
努力を払ってまいる決意であることだけは申し上げておきたいと存じます。
残余の
質問につきましては、各閣僚から答弁をさせます。(
拍手)
〔
国務大臣武村正義君
登壇、
拍手〕