○井上吉夫君 私は、
自由民主党を
代表して、
さきの
村山総理大臣の
所信表明演説について
総理並びに関係大臣に
質問をいたします。
本題に入る前に、去る四日夜発生した北海道東方沖地震によって被災、負傷された方々に心からお見舞い申し上げますとともに、災害復旧に万全な対策を講じられるよう強く要望をいたします。
村山
政権がスタートしてからはや三カ月が経過しました。この
内閣の誕生ほど内外の大きな反響、さまざまな
論議を呼んだ例は今まで
余りなかったわけでありますが、今、冷静に
時代の流れ、内外の政情を反すうしますと、これは歴史がもたらした必然であるとの感をますます強くするのであります。
すなわち、ベルリンの壁の崩壊から五年、ソ連邦の壊滅から三年、この間
日本の
政治も変動の大波に洗われております。五五年体制も一年以上前に終止符が打たれ、自社両党は、おのおの
野党、
与党と所を変え、逆の経験をする中で、いわゆる学習、自己
改革に努めてまいりました。
〔議長退席、副議長着席〕
他方、非自民を旗印にした旧連立
政権は、強権的な
政治運営や疑惑問題により行き詰まり、我々はその混迷、難局を乗り切るために、議院
内閣制の正道に立ち戻り、今までの反省を生かし、政局の安定により国益を守るべく村山
政権に参加いたしました。
しかも、
村山総理は、就任間もなく、
社会党の長年の党是でありました
自衛隊を初めとする
基本政策問題をみずから敢然と
政策転換されたわけであります。これは、東西冷戦、イデオロギー論争の終結の流れを的確にとらえ、一国を預かる
総理の
責任を十分自覚された歴史に残る英断として敬意を表するとともに、共通の土俵の中で新しい
日本を築く取り組みができますこと、まことに喜ばしいことであります。
また、
最大の懸案として注目されました
税制改革において、世論の動向、
与党三党の
政策調整を十分踏まえ、福祉の面にもできるだけ配慮しつっ、
増減税一体処理を行われましたことは、村山連立
政権の
責任ある
政治の大きな第一歩になると確信しております。
七月以来、ナポリ・サミット出席、
アジア諸国歴訪と精力的な外交を展開され、内政では
税制改革問題などに取り組まれ、内外政の経験に乏しかった村山さんにとっては大変な心労の連続であったと推察しておりますが、
総理自身は
政権担当のこの三カ月間をどのように受けとめ、その経験を目指すべき
政治理念、
政策推進にどう生かされようとしているか、まず
伺いたいと存じます。
村山内閣の支持率調査では、当初、支持しない方が多かったのでありますが、最近は逆転し、支持がかなり上回っております。
村山内閣の信義を守る
政治姿勢、現実に即した
基本政策、透明度の高い
政治運営等が徐々に
国民の
皆さんに
理解されつつあるものと受けとめております。
問題は、これから
世界平和への貢献、
経済の活性化、行政の大
改革にどう対処するかで真価が問われていくことは言うまでもありません。
村山さんは、
社会党の委員長になって以来、人の話をよく聞きつつも、重大な局面において大局的に決断し、指導力を発揮されてきましたが、昨今の政情をおもんぱかりますと、油断はまことに禁物であります。
「至誠天に通ず」、「思う一念岩をも通す」という
言葉があります。今日の政局に当てはめますと、「天」は言うまでもなく民意であり、「岩」は
政治的混乱を好機と策動する強権的な一部
政治勢力、さらには
改革の前に立ちはだかる硬直的な官僚等ではなかろうかと思われます。
新党づくりが大変活発でありますが、政党の
政策的な相違が小さくなった今日一番大切なことは、わかりやすく
国民の心情に響く
政治運営をいかに行うかということであります。
総理のお人柄を生かした誠実な
政治姿勢によって、民意の集約、機運醸成に努め、大局的にリーダーシップを発揮して、行財政の
改革を
政治主導により断行すべきだと
考えますが、
総理の
方針を承りたいと存じます。
次に、
政治改革について
伺います。
これまで、衆議院議員の
選挙制度に小
選挙区比例
代表制の導入、
政治資金の
規制強化、
政治腐敗の防止及び政党への公費助成などが制定されましたが、これら
政治改革の実行には何よりも小
選挙区制の具体的な
区割り法案の
成立を急がねばなりません。
総理は、
所信表明演説において、審議会勧告の区割り案を全面的に尊重し、去る四日、法案を提出されました。どうか内政
改革の最優先課題として取り組まれるよう改めて御決意のほどを披瀝願いたい。
新制度の告知期間は一カ月間とされましたが、その周知徹底とあわせて、有権者の
政治に対する意識の変革についても同時に十分
理解をいただくことが必須の要件と思います。
もとより、これらの
改革は
政治改革の第一歩であります。新しい
選挙制度が政党を
中心に明るく公明正大に行われるには、政党による
選挙犯罪をも未然に防止し、その
責任の所在を明白にしておく必要があると思います。
すなわち、これまで連座制により候補者に失格などの制裁が及ぶ者は、総括主宰者、出納
責任者及び一定の親族などに限定されております。これをさらに広げて、政党役員などを含む
選挙運動の立案、調整、指揮監督する管理権限者をも対象とすべきものと思います。また、ボランティアによる
選挙運動の支出規定は現在極めてあいまいでありますので、これの明確化を図る必要があります。いかがでありましょうか。
関連して、政党法の制定について、私は、政党への公費助成の導入に伴い、政党に法人格を付与し権利義務関係を明確にすべきと
考えるものでありますが、一方、これについては、
憲法における結社の自由との関係や公権力の介入を招く疑念から否定的な
見解もあることを承知いたしております。
我々は、
政治改革のさらなる徹底した推進のためには、この際、
選挙における腐敗防止に関する制裁措置の強化や政党の法的位置づけは必須の課題であると受けとめております。
総理の御
所見はいかがでございましょうか、お
伺いをいたします。
次に、外交問題について
伺います。
最近の
ルワンダ難民やハイチ進攻問題などに見られるように国際
社会は依然不安定な
状況にあり、
世界経済も明るい面が出てはいますが、なお厳しさが続き、特に開発途上国における貧困、賢境、人口、エイズ、
難民などの地球
規模の問題はむしろ深刻になっているようであります。
こうした中、国際
社会が
我が国に寄せる期待はますます高まっております。
総理は、
我が国としてPKOを初め国際
社会にどう貢献し、その役割を果たしていくのか、まず御決意を承りたいのであります。
さて、焦眉の課題は、
我が国の安保理
常任理事国入りの問題であります。
五十年ぶりにその
改革問題が提起されるに当たっては、この機会に、国際情勢の推移に応じ一層の機能強化を図るべきと存じます。私は、
世界の中の
日本として
世界の平和と安定のためには、
日本は進んでその持てる能力、経験を積極的に
世界のために尽くすべきと
考えます。もちろん、その際、平和
憲法を持つ
我が国としては、あくまでも、
憲法の範囲内においての行動であり貢献でなければなりません。いやしくも武力を伴う戦闘的役割、
責任は一切負うべきではありません。
河野
外務大臣は、三党合意を踏まえ、こうした趣旨を去る九月二十七日の
国連総会で
演説されました。全く同感いたすものであります。しかし、
国民の間には、何が軍事に当たり何が非軍事であるのか、そこらおたりがグレーゾーンとなって、いまひとつ明白でありません。
そこで、
憲法の範囲内の
国際貢献とは具体的に何を指すのか、また海外における
武力行使とは
一体何か、その基準をはっきりお示しいただきたいのであります。
なお、
日本が
軍事貢献しない、いわゆる条件つき立候補について、一方に一国平和主義を克服できず弱腰で無
責任ではないかという意見があります。
政府としてこういう
姿勢で国際
社会における
理解と協力が得られるのか、認識をお
伺いいたします。
冷戦の終結により、ようやく安保理本来の機能が発揮できるようになり、
日本も昨年の一月以来非
常任理事国として積極的な役割を果たしてきているところであります。今回の安保理改組に当たって、
我が国として望ましい安保理の
あり方に、ついてどう
考えているのか、
外務大臣にお
伺いいたします。
今回の
外務大臣の国連における
演説により、
常任理事国入りについて
政府の
方針が決定されたからには、今後、国際
政治の修羅場で現実に
日本の
対応が迫られ、
責任を問われることになります。就任当初慎重な
姿勢をとっていた
総理として、どう
国民合意を形成し、
常任理事国として
責任を果たしていく決意であるか、この際御
所見を承りたいのであります。
我が国は、
世界一の援助大国として、これまで
経済的に
社会的に恵まれない途上国の人々に対し支援を行ってまいり、それなりに国際
責任を果たし、高い評価を受けているところであります。
しかしながら、これまで量的な面の拡充にとかく目を奪われ、
我が国の
経済協力が真に
現地の国や人々に役立ち評価されているかということになりますと、その後のフォローが十分でなかった面があると
考えます。
経済協力に当たっては、十分な
事前調査はもちろんのこと、事後の評価、会計検査をしっかり行い、
国民の血税としての
経済協力にいささかも疑念が生じないよう厳正な運用を求めるものであります。
政府の御
見解を
伺いたい。
日米包括協議につきましては、ナポリにおける日米首脳会談以後、
政府調達、自動車及び同部品、保険の三分野に加えて、板ガラスも含めて、ワシントンで協議が継続されていたところであります。
特に、九月三十日の米通商法の制裁期限を控えて、河野
外務大臣及び橋本通産大臣には、昼夜を徹しての粘り強い協議、国益を踏まえての一歩も引かぬ堂々の交渉には深く敬意を表します。
結果として、自動車・同補修部品については合意されず、補修部品は米通商法三〇一条の対象となり、極めて遺憾ではありますが、大筋合意は今後の日米関係にとってもやむを得ぬ措置と存じます。
我が国としては、今後とも内需主導型
経済による
景気回復の着実な進展を図るため、さらなる市場開放、
規制緩和及び公共投資の
増額などを積極的に行うべきと
考えます。
そこで、
総理より今回の交渉の経緯と
我が国経済への影響を承りたいのであります。
また、
政府は数値目標拒否の
姿勢を貫かれたと聞いておりますが、米国と受けとめ方のずれが見受けられますので、
外務大臣より
お答えをいただきます。
さらに、自動車補修部品が三〇一条の対象となりました原因と今後の打開の方策について、通産大臣より
答弁をお願いいたします。
次に、安全保障について
伺います。
我々はこれまで、日米安保体制を堅持し、適切な
規模の防衛力で専守防衛に徹し、侵略を未然に防止することを防衛
政策の
基本としてまいりました。四十七年ぶりに誕生した
社会党党首の
村山総理は、これまで
社会党が掲げてきた
自衛隊違憲・非武装中立論を大胆にも修正、
自衛のための
必要最小限の
実力組織である
自衛隊は
憲法の認めるものと認識する、また、日米安保体制の堅持は従来の
政府の外交
政策の継続を標榜する
政権として当然であると
答弁されたことは、現実に
政権を担う
責任において思い切った意識
改革に改めて敬意を表するものであります。
こうした安全保障
政策を初めとする従来の
基本政策の転換については、当然のことながら、九月三日の
社会党大会において激論が飛び交わされ、採決により態度決定が行われたようでありますが、改めて安全保障に対する
基本姿勢について
村山総理の決意をお
伺いいたしたいのであります。
去る八月十二日、防衛問題懇談会はその検討結果を
総理へ
報告されました。
総理は、この
報告で取り上げられている防衛計画
大綱の
見直しなど、これをどう受けとめ、
自衛隊の再編など今後の新しい防衛
政策に反映させるのでありましょうか、お
伺いいたします。
次に、ウルグアイ・ラウンド協定と関連農業対策の問題について
伺います。
我が国の
経済、特に農業に大きな影響を及ぼすウルグアイ・ラウンド協定は、WTOの設立予定を来年一月一日に控え、今
国会で協定の審議が
最大の課題となっております。
今後の食糧の需給動向を見ますと、先般カイロで開催された国際人口・開発
会議において、
世界の人口急増や環境の問題が大きく取り上げられ、今後の
世界の食糧の需給の逼迫が心配されるところであります。
日本の食糧自給率は四六%と先進諸国の中で際立って低く、食糧の安全保障、農業の健全な発展が国益上ますます重要な課題となってまいりますしかるに、
日本の農業、農村は、昨年の未曾有の冷害に加え、
細川内閣によるウルグアイ・ラウンドの農業合意受け入れにより大きな衝撃を受けております。
稲作は、二千年来営々と築き上げた
日本の伝統文化の源泉、さらには国土保全のかなめであり、いわば国の基となる民族共有の財産として大切に後世に引き継がなければなりません。それにもかかわらず、直前まで米の自給
方針を言明し続けてきた
政府が三回にわたる米の自由化阻止の
国会決議を無視して突如として部分自由化受け入れを発表したとき、農家は
余りのことに驚きと怒りで言うべき
言葉を失いました。農政に対する不信は極限に達したと言っても過言ではありません。
そのとき
細川総理は、記者会見において、
日本がガットの自由貿易体制の枠組みから享受した利益と恩恵ははかり知れないものがあり、将来にわたる国益を
考えての苦渋の選択であると述べ、部分的とは言いながら米の輸入に道を開くことは断腸の思いの決断だったと
説明するとともに、この選択がもたらす悪影響を最小限に食いとめ、意欲を持って農業に取り組めるよう
日本農業の将来展望を切り開いてまいりたい、そのために必要な国内対策に
責任を持って取り組むことを約束されたのであります。
この約束の誠実な履行なくしては失われた
政治への不信は
回復できませんし、条約の批准など到底
考えられないことを銘記しなければなりません。
隣の韓国は、米のミニマムアクセスで
我が国よりはるかに有利な交渉結果を獲得しましたが、農業、農村の発展のため、今までの農業
予算の半額近くに当たる特別
予算を十年間毎年上積みすると聞いております。
政府は、十月四日、緊急農業農村対策本部を開き、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策
大綱骨子を決定いたしましたが、問題は、これを特別な財政的な裏づけのもとでいかに具体化できるかどうかにかかっております。
対策本部長でもある
総理に、必要な
予算の措置を確約いただきたい。あわせて、農林水産大臣の決意を承ります。
米の過剰が懸念され、農産物の輸入が拡大するなど厳しさが増す中、安心して営農にいそしめるよう、画期的な農業・農村振興ビジョンの早急な策定、
時代に合った新たな米管理システムの整備などが強く要請されていますが、これに関し農林水産大臣の
答弁をお願いをいたします。
特に協定の受け入れにより最も大きな影響を受ける中山間地域の活性化は、従来の農政の手法では到底達成できません。この際、思い切った発想の転換を図り、農山村の
生活環境や
生活基盤の整備推進のための法体制や制度の
見直しか絶対必要であります。国際
社会に生き残る
日本農業のため、
実力農林水産大臣として大河原さんへの期待は特に大きなものがあります。
さて、農業
基本法が制定された一九六一年とでは
社会経済情勢も農業環境も大きく変わりました。今こそ新たな
状況のもとで、農業・農村の
あり方、食糧自給の安全保障と
日本農業の持続的発展を図らなければなりません。農政の目標の
見直しと諸
政策を総合的に展開するため、食料・農業・農村に関する新たな
基本法を制定する必要があります。このことについての農林水産大臣の
所見を
伺います。
次に、
経済の問題に移ります。
戦後最長
最大と言われてきた今次不況もようやく先月
政府の事実上の
景気回復宣言により収束に何かいっっあることは、ともども愁眉を開くものでありますが、必ずしも手放しで喜べる
状況にはないようであります。
雇用はいまだ悪化が懸念されつつある中で、
個人消費の好調がこの秋口から停滞するおそれもあり、円相場がまた高騰するようなことになると
景気は一進一退を繰り返すことも心配されますが、
政府として今後の
景気動向をどう見ているのか、
伺いたいと存じます。
企業の輸出採算ベースは円相場百十円前後と言われ、
企業は生き残りをかけて懸命に
リストラに取り組んでおります。その中で、海外拠点での生産シェアが過半にも及ぶ
産業、
企業も目立つなど、
産業の
空洞化が進展し雇用面への悪影響も心配されております。
このように依然として厳しい
状況に対処するため、新規分野の開拓、技術の開発が叫ばれておりますが、長い不況に疲弊した
産業、特に中小
企業は、過大な負債を抱え、前向きな経営
対応が困難で、
人員整理等を余儀なくされている
企業が数多く見られます。苦境に立つ中小
企業を救済し、創造的な経営活動、投資ができるように抜本的な振興対策を講ずべきと思いますが、いかがでありましょうか。
このような重大な事態に対処するため、
参議院において中小
企業対策特別委員会が我が党の主導により設置されることになり、我々も懸命に対策に取り組んでいく決意であります。雇用については、完全失業率が七年ぶりに三%に達し、有効求人倍率も○・六三倍と停滞し続け、来春の採用見通しも深刻で、就職浪人は今春の十五万人を大幅に上回ると言われておりますしわ寄せを食うのは高齢者や女性労働者であります。「人にやさしい
政治」を進めるために、当面のきめ細かな就業促進、中長期的な雇用システムの改善を総合的に進めることがぜひとも必要であり、どのような取り組みをされているのか、具体的に
答弁願いたいと思います。今まで数次にわたり
景気対策が
実施されてまいりましたが、それにしても本年度の
経済成長目標二・四%は当初から過大との見方が多く、最近、民間調査機関は上向き修正しているものの、一%則後にとどまっております。その原因は、かつてのような民間設備投資主導の
景気回復パターンが期待できないことにあります。今後、
景気をさらに上昇軌道に乗せていくためには、円相場への機動的な
対応とともに、公共投資
基本計画の量質両面にわたる拡充
見直し、土地流動化・有効利用促進対策の早期策定が望まれます。特に、公共投資
基本計画については
総理の国際公約とも言えるものであり、このような内需拡大策の具体的な推進方策をお聞かせ願いたいのであります。次に、
規制緩和、
行政改革について
質問いたします。
「追いつけ、追い越せ」を国是として、保護や
規制を背景に形成されてきた
日本型システムは
経済発展に大きな役割を果たしてきましたが、それにもかかわらず、
国民は豊かさを十分実感することなく、貿易面で膨大な黒字、円相場の高騰をもたらしているのが現状であります。八〇年代から
世界的な
規制緩和が始まり、冷戦の終結により今や国際的大競争
時代が幕をあけようとしているとき、
我が国は海外との競争的共存により一層発展していくため、各種
規制を大幅に
緩和し、
円高メリットの
国民への還元、競争条件の整備、新規事業の創出を急ぐべきであります。
経済的
規制は、
原則自由とする
方針で検討されておるようでありますが、既得権益を守るため、安全性の確保であるとか環境保全と関連しているという理屈をつけて例外扱いを主張、抵抗する者が多く出てくることが懸念をされます。
社会的
規制も
必要最小限の
方針を堅持し、全体を厳正に
見直し、五カ年計画を策定、実効性を確保すべきと
考えますが、
総理の
方針を
伺います。
行政改革は、
税制改革、公共投資など重要
政策推進の前提とも言うべき位置づけにあり、まさに
村山内閣の強力な指導力が問われる正念場であります。
先月、
税制改革と並行して「
行政改革を進めるに当たっての
基本方針」が閣議了解され、
所信表明においても行革の断行を強調されています。
国民への
負担を強いるからには、
政府みずからも、民間の
リストラの実態を十分踏まえ、効率的な小さな
政府を目指して行政組織の縮小合理化、公務員の人員削減など、行革により経費を節減することが強く求められております。これなくして
増税となる
税制改革に
国民の
理解が得られるはずもありません。
行革の中でも当面の最重要テーマとなっている
特殊法人の問題については、
平成六年度内に前倒し
見直しするとの積極
方針が打ち出されておりますが、思い切った統廃合や民営化などの目標を設定し、
国民の目に見える形でいかに具体的に実行できるかであります。改めて
総理の決意のほどを承りたいのであります。
地方分権の積極的推進は本院で、昨年、
国会決議され、権限委譲の断行、地方の受け皿体制整備が急がれ、
政府はその第一歩として地方
消費税の創設に着手されましたが、
具体策はこれからであり、年内の
大綱づくりにどのように取り組んでいかれるか、お聞かせを願いたいのであります。
次に、
税制改革の問題に移りたいと存じます。
二十一世紀を目前に控えて今後の高齢化
社会を展望するとき、
社会保障関係の歳出
規模が急速にふえ、現行のシステムがこのまま推移すれば租税と
社会保障
負担が大幅に上昇すること必至と思われます。
問題は、受益と
負担のバランスをどうするか。高福祉低
負担で後世代に大きなツケを先送りすることは許されません。
減税論議に入る前に財政運営における健全性、節度について
総理の
基本的認識を伺っておきたいと存じます。
税制改革については、自・社・
さきがけ三党による
与党税制改革プロジェクトチームによる
論議を踏まえ、
減税の
規模はことしの五・五兆円を継続することとし、来年度以降は
恒久減税と
定率減税との組み合わせによるいわゆる二階
建て方式とすること、また
消費税の
税率を
平成九年四月より五%とする
増減税一体処理となっております。
今日の
税制改革の課題は、
税負担感の強い中堅所得層の
所得税負担を軽減し、これにあわせて、高齢化に向かって揺るぎない福祉を構築するため、課税ベースの広い
消費税にその
負担を求め、直間比率の
見直しを図ることにあると思います。あるべき姿としては、
減税財源は行革と自然増収によって賄い、
消費税の増収分はあくまでも将来の福祉に回すべきものと思います。
政府は、今回の
税制改革の意義、必要性をどう認識しておられるのか、
総理及び
大蔵大臣より
説明を求めるものであります。
少子・高齢
社会へ向かって
国民が不安を持つことは、今後
我が国の福祉
政策の内容がどうなるか、またそれを支える財政需要にどう対処していくかということであります。二十一世紀の高齢化に
対応して、現在、新ゴールドプランやエンゼルプランが策定中でありますが、
政府が描く
社会保障像をこの際示されたいのであります。
なお、今回の
改革で触れられなかった
納税者番号制の導入、利子配当収入の総合課税の問題、税務執行の適正化などの問題は、不公平
税制の
是正の見地から避けられないものと受けとめておりますが、
政府として今後どう対処するのか、
伺いたいのであります。
税制改革で
国民に
負担を強いることはなるべくならやりたくありません。しかしながら、超スピードでやってくる
日本の少子・高齢
社会を思うとき、我々
政治家の使命は、単に
選挙におもねることなく、現状の問題点を正しく
国民に伝え、未来の展望を開くために、つらくとも、
政治が今決断しなければならないことを
国民へ率直に誠意を持って語りかけ、御協力いただく努力が必要かと存じます。
さきに合意した連立三党の
改革案もこうした視点に立ってのものであることを
理解願いたいのであります。
以上の点について、
総理及び
大蔵大臣の御
答弁を求めるものであります。
最後に、一言、政局の展望について触れたいと存じます。
我が国の政局の動向が、
経済や
国民生活を直接左右するだけでなく、国際的にも大きな影響を与え、
政治の安定が内外から強く望まれておりますこと、御案内のとおりであります。一年間に三回も
政権が交代するような不安定な政局では、先を見通した
政治どころか、当面の
政策の実行性さえも確保できず、国際的に
日本の信頼が失われ、
我が国の
政治、
経済も混迷に陥ったことは当然であり、二度と繰り返してはならぬことであります。
第一党の我が党と第二党の
社会党が、
さきがけとともに、民主的な手続を大切にし現実に即した知恵を出し合い協調していくこと自体が
政治政童の確固たる歩みであります。
小
選挙区の
区割り法の周知期間が終わったら直ちに解散すべきであるとの意見もありますが、このような選択を行った場合、幾多の
政治課題に取り組んでいるさなかにまた
政治的に混乱をもたらすことになり、国益を大きく損なうこと必定であります。それよりも、重要
政策の
実施について一応めどのついた段階で
国民の信を問うのが
責任ある
政治のとるべき道であると確信いたしております。
総理、総
選挙の時期についてどのように
考えておられるのか、しかと御
見解を承りたいと思います。
今後の政局を展望しますと、
日本の将来を左右する諸
改革を自・社・
さきがけの三党が、先般の
税制改革の
政策調整の経験を生かしつつ不退転の決意で一層切磋琢磨し、協調、打開することによって、信義を重んじ透明度の高い
政治を担う中核的な
政治勢力が広がりを見せ、望ましい
政治情勢が展開していくでありましょう。
そのためには、長期・本格的な連立
政権を目指して
我が国発展の新しい
路線づくりに懸命に取り組むべきだと
考えますが、
総理の決意のほどをお聞かせいただき、
質問を終わりたいと存じます。〔拍手)
〔
国務大臣村山富市君登壇、拍手〕