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岩崎昭弥君 今度は大蔵省に税の公正化に向けた挑戦を続けてもらいたい、そういう立場で
質問をしたいと思うんです。時間がないので全部まとめて申し上げますから、答えていただきたいと思います。
例えて言えば、税制はレールで、その上を走る列車が税務
行政機関、運転士や車掌が
国税局と税務署の役人、こういうふうに考えられるわけであります。納税者はその場合乗客です。レールである税制がきちんと
整備され、税務
行政がしっかりしておりまして、納税者がまじめに適切な納税をする、この三点がそろって初めて税務
行政は円滑に運営されると思うのであります。
所得税は、負担能力に応じて公正に課税することで過度の所得格差を是正し、活力ある民主主義の
社会構築によい作用をするがゆえに最良の税金だと言われる説もあるわけであります。しかし、我が国では理念と現実の間に余りにも大きなギャップが存在をいたします。だから
国民の間に税制に対する批判と不平が多いのであります。これを総合累進課税方式への政策の変更を通じて改善し、今後とも所得税をできるだけ我が
国税制の中核に据えてよりよいものとしていくためには、税制の刷新と納税
環境の
整備が必要であると思うのであります。
それには次に
指摘する方策が真剣に探究されなければならないと私は思うのでありますが、まずは四点にわたってお尋ねします。
その一。課税所得の適正な捕捉のためには、所得の支払い側と受け取り側の情報を番号で管理するシステムである納税者番号制を、プライバシー侵害と
行政の過剰介入に対する徹底した歯どめを前提に、導入することについて
国民的合意を求めたらどうかと思うんです。これを利子、配当に限定せず、賃金の支払い、不動産売買などに広く活用し、税務
行政全般に使用できるように番号制とし、支払い者、受取人双方の納税申告書や情報申告書に番号記入を義務づけましてマッチングする体制にすべきだと思うのでありますが、どうかということであります。
二番目に、我が党の
山口委員からも
指摘がありましたが、大企業を初め個人
事業者に対する税務調査の著しい低下は、これらの申告納税者の納税協力度に好ましからざる結果を招来しているのは事実であります。税の公正化を実現するためには、真に
国民の信頼にこたえる公正にして尊敬される税務
行政の執行体制の確立が急務であると思うのであります。そのため、早急になすべきことは税務
行政機関の機能の飛躍的な向上と
強化であります。すなわち、業務量の増大に対応し、発想の転換による職員の大幅増員と思い切った処遇改善、そして職場
環境の
整備をすることであります。税務
行政は極めて専門的で難しく、かつつらい仕事でありますから、正義感が強く使命感旺盛な有能な人材
確保が緊急
課題であると思うのでありますが、大蔵省の
認識をお聞きしたいのであります。
三番目に、税務調査の効率化と威力発揮については、課税情報を集め、活用することが有効であります。取引に関する支払い調書の提出義務と告知義務を拡大
強化し、法定資料を初めとする情報申告制度の
整備拡充を図るべきであると思うんです。なぜこのことを
提言するかといえば、例えばサラリーマンと自営業者との所得の捕捉率に差があり過ぎるんですね。これは九一年度の調査ですが、サラリーマンを一〇〇とすると、自営業者は六一、農業は三〇です。
次に四番目は、個人所得税の不公正是正を徹底すれば六兆円近くの増収になるとの試算もあります。これは中央大学の富岡研究室の試算ですが、不公正の視点をどこに置くかで数値は変わると思いますし、特
定数値を出すのは議論のあるところだろうと思うんです。しかし、利子課税、配当課税、有価証券キャピタル課税、土地キャピタル課税、また医師の優遇税制など、税の公正の立場からするとなお一層の改革が必要であると思うのであります。私が強調したいのは、一律七%の
国民福祉税といった悪平等拡大の選択というようなことではなく、不公正な税の是正という選択を重視して、税の公正化に向けた挑戦を大蔵省が一生懸命やってもらいたいと思うからであります。一方で少子・
高齢化社会の到来がありますので、安定的な
財源ということでの
消費税のアップについても否定の立場をとるものではないことを表明しまして、以上四点をお聞きしたいと思うんです。
これは主として中央大学商学部教授の富岡幸雄氏の説を引用しての
質問でありますが、お答えを願いたいと思います。