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牛嶋正君 きょうは質問の時間を百分いただいておりますので、この前本会議で質問させていただきましたことをベースにしながら少し突っ込んだ
議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
午前中も、
大臣と
寺崎さんの御
議論の中で、今回の
税制改革が
改革か
改正かという御
議論がありましたけれ
ども、私はその問題というのは戦後の租税史の中で今回の
税制改革をどう位置づけるかということである
程度決まるのではな
いかというふうに思っております。
その位置づけでございますけれ
ども、やはりもう間もなく二十一世紀を迎えるわけでございます。
経済体制の
基本を市場
経済に置くといたしましても、高齢化が進んでまいりますと、どうしてもお互い支え合ったりあるいは
負担を分かち合う、こういった側面を強めてまいらなければなりません。そうなりますと、今の社会の仕組み、制度というのはかなり
改革をして
いかなければならないと思っておりますが、その中でも私は
税制の
改革が非常に重要な
意味を持っている、こういうふうに思っております。
こういうふうに位置づけてまいりますと、私は今回の
税制改革は昭和二十五年に行われましたシャウプ
税制改革と同じような位置づけになるのではな
いか、こんなふうに思っております。そういう
意味では今回の
税制改革は
抜本改革でなければならない、こんなふうに思っているわけでございます。
振り返ってみますと、シャウプ
税制改革は、その後半世紀にわたって我が国の
税制の骨格をそのときつくったというふうに見ることができます。ですから私は、今回の
税制改革も二十一世紀の初頭、高齢化がピークに達するぐらいまでの我が国の
税制の
基本がつくられて
いかなければならないのではな
いか、こんなふうに思っているわけでございます。
先ほど私は
改革か
改正かということについてその位置づけを申し上げましたけれ
ども、それは言うならば
税制改革を進める場合の姿勢の問題であろうというふうにも
考えられるわけであります。私は、やはりこれだけの
改革をするためにはきちっとした手順を踏まなければならない。それは
税制改革の目的を非常に明確にし、そして
改革の
基本理念を明らかにし、それに基づいて具体的な
改革案というものが提示されて
いかなければならないというふうに思います。こういう手順がきちっと踏まれているならば、その
改革はまさに
抜本的な
改革であると言っていいのではな
いかと思います。
このうち、私きょうは理念のところを少し取り上げて御
議論させていただくわけでございますけれ
ども、その
議論の出発点といたしまして、少し時間をとらせていただきまして、もう一度シャウプ
税制改革のときの目標それから理念、そして具体案、具体的な
改革案はどうであったのか、それを今回の
税制改革と対比させてちょっと整理をさせていただきたい、こんなふうに思います。
シャウプ勧告のときには、まだまだ我が国の
経済というのは、社会もそうでしたけれ
ども混乱期であったわけで、したがって
経済の復興ということが第一番目の
課題であったというふうに思います。そして、国際社会への復帰、さらには
国民生活の安定と雇用機会を拡大していく、これがそのときの
税制改革の大きな目標であったのではな
いかと思います。さらに、社会のいろいろな側面で民主化を推進していく、これもそのときの
税制改革に課せられた
課題であったように思います。その
課題あるいは目標を受けて、私は四つの理念がシャウプ
税制改革のときには立てられたのではな
いかと思います。
その一つは、公平を重んずる
税制を構築していくということでありました。それから二番目は、
所得税を基幹とする
税制をつくっていく。三番目は地方自治を支える
税制をつくる。そして四番目には
経済安定を促す
税制をつくっていく。
そして、そのもとで行われた
税制改革の具体案というのは、一つは
所得税の総合課税化ということがあったと思います。そしてまた、地方税では事業税の創設、固定資産税の創設、こういった具体的な
税制改革がそのときの
改革の目標と非常につながりがあるわけですけれ
ども、そのつながりは結局は理念がきちっと示されていたからではな
いか、こういうふうに思うわけであります。
それに対しまして、今回の
税制改革をそれと同じように整理させていただきますと、
改革の目標は、高齢化に対応して安心と活力ある豊かな
福祉社会を支え得る新たな税体系の確立てあったのではな
いかというふうに思います。
そして、これまでの皆さんの御
議論を聞いておりますと、理念といたしましては私は三つにまとめることができるかと思います。一つは、社会の構成員が広く
負担を分かち合うような
税制をつくるということ、それから二番目は中堅
所得者の
税負担の
累増感の
緩和、そして三番目は所得、資産、消費に対する課税のアンバランスを是正してバランスのとれた税体系をつくっていくということでありました。
そして、具体的な
改革案は、
所得税の
税率構造の
累進緩和等による
負担軽減、それから二番目には、
消費税に関しては中小企業者に対する
特例措置等を
改革しながら
税率を上げていくということ、そして三番目は地方
消費税の創設であったというふうに思います。
ただ、こういうふうにシャウプ
税制改革のときと比較いたしますと、どうも私は今回の
税制改革の理念のところが非常にあいまいになっているのではな
いかというふうに思われるわけであります。なぜあいまいになったのか、これは幾つかの
前提があったからです。
その一つは、
税制改革でありながら
景気対策を盛り込んで
いかなければならなかったということです。そしていま一つは、今回もまた増
減税一体処理というふうな枠組みがはめられたということですね。このためにかなり理念があいまいになってしまって、したがって、せっかく
改革案を打ち出しながら、それが
改革の目的とつながって
いかない部分があったのではな
いかと思います。
まず最初にお聞きいたしたいことは、
先ほどの
改革か
改正かの御
議論を引き継ぐわけではありませんけれ
ども、むしろ量的なものではなくて、私が今申しましたような
税制改革の位置づけあるいはそれに対する取り組み方、こんなことで
改革とか
改正とかいうふうなものが決まるのではな
いかと思いますが、それについての
大蔵大臣の御意見をまずお聞きしたいと思います。