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吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、
内閣提出の
公職選挙法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案及び
衆議院提出の
政党交付金の
交付を受ける
政党等に対する
法人格の
付与に関する
法律案に反対、
衆議院提出の
公職選挙法の一部を
改正する
法律案に賛成の討論を行います。
まず冒頭に、私は
質疑の打ち切りに強く抗議いたします。本
委員会で大臣が出席しての
質疑時間はわずか十時間程度、加えて
衆議院で行った参考人質問さえも行わず、
審議が尽くされたとは到底言える
状況にはありません。また、小
選挙区制導入について、本
委員会の
審議において与党内からも強い疑問や批判が出ており、理事会でも
問題点は
審議をやればやるほど際限なく出ること等を認めながら、会期末だからという理由で
審議終局を決めるとはとんでもないことです。
さらに、定例日、
委員会室、質問時間や順位など当
委員会のスタートに当たって理事会で決めたことを与党の都合で一方的に変更させられました。
法案の
成立を急ぐ余り、議席の多数を背景にこのようなことがまかり通るならば、議会制
民主主義は危機に陥ってしまうと言わなくてはなりません。
このような
状況のもと
成立させられようとしている
法案の内答はさらに重大なものです。
まず
区割り法案ですが、反対する第一の理由は、小
選挙区三百の区割りを画定するとともに、
憲法違反の小
選挙区制、
政党助成などいわゆる
政治改革関連法案を完成させるためのものだからであります。
この
選挙制度は、多様な民意を切り捨て、比較第一党が虚構の多数議席を得て、
国民が反対する悪政も十分
審議を尽くさぬままでも強引に推し進める強権
政治を可能にするものです。しかも、小
選挙区制推進論者が導入の根拠としてきた金のかからない
選挙、
政党本位・
政策本位の
選挙が可能になるという口実は、今回
提出された
法案の
衆議院本
会議の
趣旨説明において、提案者みずから、中
選挙区制では想像もできないほど熾烈な
選挙になることが予想されると述べているように、完全に破綻していることは明らかです。
第二に、小
選挙区間の一票の最大格差が国勢調査で二・一三七倍、住民基本台帳で二・二二六倍となり、また格差二倍を超える
選挙区が国勢調査によれば二十八、住民基本台帳では実に四十一全
選挙区の約一三・七%に上っており、
憲法の保障する投票価値の平等の原則に反し、著しい不均衡が生じている点であります。東京高裁の今後速やかに実現すべき
選挙制度の抜本
改正における定数配分については、この基準を違憲判断とすることが相当であるという指摘にさえこたえられない
内容となっています。
自治大臣は、この点について私の質問に対し、違憲訴訟が出てくる
可能性はあると
答弁しました。まさに重大な
答弁です。提案者である大臣が違憲訴訟の
可能性があると考えているいわば欠陥
法案を
国会に押しつけようとすることは前代未聞であり、みずからこれを撤回すべきであります。さらにそれを良識の府と
期待されている
参議院が唯々諾々と可決するなどということは
国会の権威にかかわることであり、これに賛成する
議員の
責任が厳しく問われて当然であります。もし実際に違憲判断が下されたとき、
国会は何と申し開きするのでしょうか。
次に、
政党等に対する
法人格付与法案について反対理由を述べます。
本来、有力な社会的存在である
政党への
法人格付与、そのこと自体は当然と考えます。ところが本
法案は、単なる
法人格付与法案ではなく、
憲法違反の
政党助成を受け取るための条件整備が目的です。
政党助成制度とは、金権
政治の根源である企業・
団体献金を温存した上、
憲法の思想・良心の自由を侵害して、
政党を支持するしないにかかわらず、
国民の税金を
政党に
交付する違憲の
法律と言わなくてはなりません。
法人格の
付与をそのような違憲の
政党助成の受け皿をつくることとリンクさせることは反対です。
次に、いわゆる
腐敗防止法案についてですが、不十分ではありますが、
連座制の
強化は必要であり、これは賛成であります。
さて、最後に強く訴えたいと思いますが、日本の
選挙制度の歴史の中でも、
国民に入れられず戦前二度にわたり廃棄されてきた小
選挙区制が今また導入されようとしています。しかし、今なお小
選挙区制には反対ないし疑問の多くの世論があり、小
選挙区制に賛成した
政党の
国会議員の中にさえこの
制度に対する疑問が少なくありません。
参議院ではこの一月、否決までした
法案であります。これを具体的に動かすために、以上のような重大な
問題点がありながら、今、短時間で
質疑を打ち切り、採決に付することの
責任は重大です。
我が国は、かつて侵略戦争やファシズムによって諸
国民にも多くの被害と犠牲を与えたにもかかわらず、
政府に侵略戦争の反省がなく、今なお日本は厳しい批判にさらされています。日本と世界のため、再びこの歴史を繰り返してはならないということは、多くの
国民の一致した思いであると考えます。小
選挙区制を導入し、日本の
民主主義の発展に大きな障害をつくり出すことは絶対に許されません。私たち日本共産党は、
憲法と
民主主義を守るため、
国民とともに闘い続ける決意を表明し、討論を終わります。(拍手)