○久世
公堯君 政治改革法案がいよいよ大詰めの
段階を迎えたわけでございますが、まさに六年越しの大作業でございました。この一番最初のきっかけとなりましたのは、自由民主党がつくりました
政治改革大綱でございましたが、あのときに後藤田
委員長のもとに私も七人の起草
委員の一人としてこの大綱そのものを執筆をいたしましただけに、今、大詰めを迎えるに当たりまして感激ひとしお新たなものがあると思うわけでございます。しかも、このような大きな
選挙制度の
改革は、まさに七十年ぶりでございます。
さて、この
政治改革法案については、それこそ新聞社説等を初め、
衆議院においてもかなりの議論をされたわけでございますが、そのときに、先ほど来御議論のございました一票の
格差と申しますか、その問題についてかなり今まで議論が行われ、また新聞等で取り上げられているわけでございます。
そして、
審議会の
設置法の
規定によりまして、二倍以上にならないようにすることを
基本として、さらに
行政区画あるいは地勢、交通等の事情というものを総合的に考慮して合理的に行わなければならない、このように
規定してあり、また第二項には、
都道府県に一議席ずつ配分した上でこれを行っているわけでございまして、非常に大所高所からの配慮が行われているわけでございます。しかも、
勧告は十年が
原則でございますけれども、その間にいろいろと不均衡やその他特別の事情がある場合におきましては、その中間においても
勧告することができると。先ほどまた
自治大臣がおっしゃいましたように、この
審議会におきましてはいろいろと総合的な検討をされた上でぎりぎりの御判断をされた結論だと思うわけでございます。
私も今までの御
説明を承っておりまして、これはやはり文字どおりぎりぎりの決断であって、憲法問題も何ら生ずる余地がない、このように確信をしているわけでございます。
ただ、私は一言、私
個人の
考えでございますけれども、我が国の場合におきましては府県間の
格差という意識が
国民にはかなり強いと思うわけでございます。先ほど、猪熊先生でございましたか、島根三区と北海道八区を比べるとと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、
一般の
国民にとっては、島根三区がどこであり北海道八区がどこであるというような
認識は余り持っておりません。
選挙区間
格差よりも
国民にとりましては府県間
格差というものの方がはるかに意識が強いのではなかろうか。
実は、
政治改革大綱をつくりますときも、特に後藤田先生は、やはり日本の
国民感情あるいは日本のそういう意識から見たら府県間
格差だという議論が強かったわけでございまして、今度の
審議会設置法におきましても、したがって
一つずつの配意はしたと。しかし、将来またこれを
考える場合において、この府県間
格差というものを
一つの基準にするということもひとつ念頭に置いていただきたいと思うわけでございます。
さて、いよいよこの
法律が
成立をいたしますと、これからは
国民に対して周知徹底が必要だと思います。小
選挙区
比例代表並立制の
制度そのものは今まで何度も何度も新聞によって書かれており、いろんな機会に報道されておりますので、かなり
国民にはわかっているとは思いますが、まだまだの点もあろうかと思います。今回のこの
改正は、我々
政治家個々人の意識
改革でありますとともに、やはり有権者の意識
改革という点が強いのではなかろうか。そういう
意味におきまして、ひとつ
自治省におかれましてはこのより周知徹底というものをぜひとも図っていただきたいと思うわけでございます。
その場合に、後ほと申し上げますが、目の前に統一地方
選挙もあり、来年は参議院
選挙もある、あるいは総
選挙もそれほど遠くない機会に行われるわけでございますので、今度この
提案をされておりますところの
腐敗防止法につきましては、これは大変な
法律でございますので、どうかひとつ周知徹底を図っていただきたい。
また、投票方式につきましても、今度は記号式というのが小
選挙区の場合で行われるわけでございますが、既に我が国の場合におきましては、知事、
市町村長、それから地方の議会の場合において記号式でやることが条例で選択できるわけでございまして、
都道府県でいいますとたしか五つの知事、あるいは
市町村の場合におきましては五百ぐらいの
市町村において既にこの記号式方式が採用されている。しかし、
国民はまだ余り知らない。こういうような実態でございますので、そういうことを含めてひとつこの普及徹底をぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
さらに参議院
選挙制度の
改革につきましては、一昨日、森山先生がかなり詳しく、また特に八次審が出ました後に私ども自民党におきましても小
委員会を設けてこれを検討いたしましたし、参議院の場合は各党がなりこれは詰めているわけでございます。私は、あの八次審の
答申というものを読みまして、あれは普通の
答申とは若干違う、学者の論文にすぎない、こんな感じを非常に強く受けるわけでございます。したがいまして、もちろんこういう参議院
制度というものは院の問題でもありますし、また各党間の
合意の問題でもございますけれども、ひとつ政府におかれましても、八次審の
答申があのような少し変わった風変わりなものであるだけに、引き続きこれは政府の方でもやっていただきたい、こういうことをまず冒頭に希望申し上げたいと思うわけでございます。
そこで、
腐敗防止法を中心といたしまして本論に入りたいと思うわけでございますが、
提案者の皆さんがおられるわけでございますが、私は
衆議院の速記録を読ませていただきまして、また
衆議院というのはちょっと参議院と違うなという感じを受けたんです。
冬柴先生、何か
冬柴先生は
提案者になっておられますが、同時に質問者になっておられる。一人二役をやっておられるわけでございます。歌舞伎の俳優や映画の俳優でございますと一人二役というものもやるわけでございますが、実に器用なことをやっておられると速記録を読みながら感心をしたわけでございます。これは参議院の公明党には人材あまたでございますけれども、
衆議院ではあるいは論客がおられないせいかなと、こんなことも思った次第でございます。
また、
保岡先生、これは本当にたくさん
答弁をしておられます。ただ、
衆議院における論議というものをずっと読ませていただきますと、
一般論というのは非常に明確に述べておられますけれども、具体的な問題がいろんな事例になるとだんだん若干あやふやになってくる。そして、何と申しますか、問題は、「
組織」と、それから「
意思を通じて」ということと、それから「相当の注意」と、この三つの組み合わせなんだろうと思いますが、
組織のところでは
意思を通ずるところに幅がある、また今度は
最後のところでは免責事項もある、だんだん議論を推し進めていくうちにそれがどんどん厳格になって、さっきのお話じゃありませんけれども、二人でも
組織と言い得る場合があり得ると、こういうようなところまで達するわけでございます。
保岡先生は調子に乗られるとどんどん少し深みに入っていかれるような感じがするわけでございますが、この参議院の審議、これが
最後になるわけでございますので、ひとつよろしく御配慮をいただきたいと思います。
大島先生、大島先生の御
答弁も拝聴したわけでございますけれども、
保岡先生がるる述べてだんだん深みに入っていく、大島先生はどうですかというのに対して、大島先生は、そのとおりでございますと、こうすべて同意をしておられますけれども、これはやはり恐らく
意見の違いというのはあるんだろうと思いますので、そのあたりは謙譲の美徳を発揮されるだけではなくて、ひとつよろしく
答弁をお願いしたいと思います。
いずれにいたしましても、これから何点がお尋ねをいたしますが、簡潔、明瞭、疑義が残らないように模範的な
答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。
そこで、一番最初に問題になりますのはやはり「
組織」だろうと思うわけでございます。
保岡先生、
保岡先生の
衆議院における議論の中でこういうことを言っておられます。これはいろんな
組織がありますが、これから問題になる場合に、企業とか会社が従業員の票を集めてくれと伝達をされた、そういうときの一体
組織は何だろうかという議論が非常にこれから多く起こると思います。
保岡先生はこういうふうに言っておられます。企業内の社員への運動など、企業内の
選挙運動をやれば企業も
組織になると、こう言っておられます。また、系列の会社や取引の相手も
一つの
選挙運動をやる人の結合体と評価できるものはそれを含めて
組織に該当する、こう述べられておるわけでございます。
企業内の
選挙運動も
組織によって行われる
選挙運動に該当するという
考え方を示しておられるわけでございますけれども、そもそも
選挙運動というのはあくまでも他人に対しての働きかけをいうのであって、
組織が他に対して働きかけるのが
組織によって行われる
選挙運動、こういうふうに理解できるわけでございます。
といいますのは、会社というもの自体が働きかけるのは外部であったりあるいはほかの主体であったりであって、現実に
選挙をするのはその会社の中の小さいグループであるとかある単位であるとか、それが
組織であって、会社の本体というものは、会社全体がということもあり得るかもしれませんけれども、
原則は
保岡先生がおっしゃっているのではなくてその小さいグループなりそういうものが
組織だと、こう私は
考えますが、いかがでございますか。