○小島慶三君 新緑風会の小島でございます。本日は両
大臣、御
出席をいただきまして本当に御苦労さまでございます。時間が余りありませんので、要領よく問題点を四つ、五つに絞りましてお尋ねをしたいと思います。
まず、先般の両
大臣の所信表明、ここでうかがわれます現在の
経済の
状況、景気観といいますか、これは先ほど来いろんな方から御
質問がありましたように、緩やかな回復、しかしまだ調整過程だということに尽きるかと思っております。それで、
事務方の
お話を伺いますと、これから下期にかけての
経済、景気の回復というものはこれは期待されるというか、そういう形で
政府の公約、公約ではありませんが、二・四%という
政府見通し、これが達成できそうだ、あるいは達成しなきゃいけないと、こういう話もあったんですけれ
ども、私の
経済予測といいますか、そういう点から見ると、どうもこれは少し無理ではないか、希望的な観測が強いんではないかというふうに思われます。恐らく二%台まではなかなかいかないんじゃないかと思うんですけれ
ども、この点は論争になりますから省略をいたします。
それで、例えばOECDのレポート、それからモルガン・スタンレーのレポート、こんなものを見てみますと、
日本のことしの見通しは一・六ぐらいになっております。これに対してヨーロッパ、あのフランスでさえ三%ということで、かなり
日本はそういう
意味では蚊帳の外といいますか、そういう
状況になっているかと思いますので、これは
大臣の所信にもございますが、今後の適切な
経済運営をお願いしたい。これはお願いでとどめておきます。
ただ、私もう
一つもっと心配なのは、中長期の
日本の成長力という点についてでございます。
まず第一に、成長力の
最初の要因というのは人口の成長率、成長力であります。しかし
日本の人口は、御承知のように最近少子化ということに伴いまして、これは厚生省の人口問題研究所のデータで見ますと、九三年が一・四六、ここまで下がってきております。それで、これがこの辺で反転をして上昇していく、二〇一〇年ぐらいまでには一・八〇まで戻って、その後横ばいになるという見通しが示されておりますけれ
ども、私はこれも大変疑問に思っております。よほどの人口
政策といいますか、そういったものをあれしませんと
日本の人口は成長要因にならない。殊に若年労働力のウエートが下がっていきますので、そういった
意味で
日本経済全体のバイタリティーというものは高くならないというふうに思っているわけでございます。
それから、第二点としては、それでは人口の成長力をカバーする程度の
技術進歩率というものは果たしてどうなるのか、資本の生産性と言ってもいいんですけれ
ども、その伸びがどうなるかということでございます。これも最近は
アメリカから逆に差をつけられてきているというふうな状態でありまして、これは今まで基盤的な研究開発をやってこなかったとがといいますか、そういうものがあると思うんですけれ
ども、これが急にまたイノベーションを起こして
アメリカを追い抜くというふうな形に、果たしてそこまでの成長力があるのかということになりますと、私これも若干疑問に思っております。
それから、三番目の要素というのは、これは今まで随分
日本も海外
投資をやってまいりましたが、その海外
投資が実を結んでまいりまして、
日本からの資本、
日本からの
技術というものがだんだん実を結んでまいりまして、それで逆に、
日本と並ぶところか、物によりましては、産業によりましては
日本にどんどん輸入が入ってくる、こういう状態になってきております。これに加えて、最近の
円高の圧力というものがございまして、この圧力によってどんどん
日本の企業が海外の賃金の安いところに進出せざるを得ない、こういう状態。きょうもいろいろ
お話が出ましたけれ
ども、そういう状態でありまして、言うところの空洞化というものはどんどん広がってきている。これが産業的にも
地域的にもかなり問題があるということであろうと思うんですね。
それで、さらに
円高になりますので、
日本から今度は
部品あるいは機械、いろんなものを輸出しまして、そうしてその
現地化を図っていくということで、これがさらに
日本の輸出の黒字ということにカウントされますから黒字がふえて、そしてそういう点から
円高がさらに進むという
円高の悪循環というものが出てきておるのではないかと思っております。
今後もこれが
緩和される見通しというのはちょっとないのではないかというふうな感じを持ちますと、さっきの人口、
技術、それからこう。いったブーメラン効果といいますか、こういった三つの要素から
日本の
経済というのはこれからそう高い成長率は期待できない。私は、恐らく一%台といいますか、本年もそうだろうと思うんですが、一%台の成長をするということもなかなか容易ではないというふうに思うのでございます。
かつてあのケインズが、イギリスが成熟期に入りましたときに、イギリスの
経済というのは一%台の成長にたえないということを言ったことがあると記憶しております。そういう点で考えますと、これからの
経済運営というものは一体どういうふうなことになるのか。ここのところを両
大臣にお伺いしたいと思うんです。
要するに、一%台が実力であるならば、それに沿って身の丈を考えるという、そういう考え方に立つのか。それとも、
日本経済に覆いかぶさってきているいろんなニーズ、例えば国際貢献、高齢者
対策、もう全部そういったいろんなニーズがかぶさってまいりますから、それを満たすだけの期待成長率といいますか、そういったところまで
経済を引き上げていく、こういう考え方に立つのか。いわゆるこれは小さな
政府と大きな
政府という
議論になるかもしれませんけれ
ども、その辺のかじ取りが非常に私は問題だろうと思っております。
そういう点につきまして、両
大臣からひとつこれからの
日本経済についてのかじ取りの見通し、こういうことについて
お話しいただきたい。よろしくどうぞ。