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1994-11-30 第131回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月三十日(水曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  十一月二十九日     辞任         補欠選任      久保田真苗君     川橋 幸子君     —————————————   出席者は左のとおり。     会 長         三重野栄子君     理 事                 野村 五男君                 増岡 康治君                 一井 淳治君                 長谷川 清君                 広中和歌子君                 立木  洋君     委 員                 合馬  敬君                 岡  利定君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 楢崎 泰昌君                 南野知惠子君                 大脇 雅子君                 川橋 幸子君                 藁科 滿治君                 乾  晴美君                 河本 英典君                 萩野 浩基君                 星野 朋市君                 牛嶋  正君    事務局側        第三特別調査室        長        堀籠 秀昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (二十一世紀に向けての産業資源エネルギー  政策課題に関する件)     —————————————
  2. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、久保田真苗君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。     —————————————
  3. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、二十一世紀に向けての産業資源エネルギー政策課題に関する件につきまして、本日は自由討議を行いたいと存じます。  議事の進め方でございますが、本日の調査会の前半を産業問題に、後半を資源エネルギー問題にそれぞれ当てまして、産業問題、資源エネルギー問題ともに各会派からそれぞれ十分以内で意見を開陳していただきました後、委員間相互で自由に意見を交換してまいりたいと思います。  発言につきましては、いずれの場合も着席のままお願いをいたします。  それでは、これより二十一世紀に向けての産業資源エネルギー政策課題に関する件のうち、産業問題について意見開陳をお願いしたいと存じます。  発言者の方、どうぞお願いいたします。
  4. 増岡康治

    増岡康治君 自民党の増岡でございます。  きょうはフリートーキングでございますので、一番最初でございますから、コメント型で若干やらせていただきます。  私は初めての調査会ですけれども、第一年目の労働力中心とした御勉強、二年目の企業行動あり方、非常に敬意を表して読ませていただきました。今年度はまとめと同時に、新しいものがあればやらなければいけないなというときに、一年目、二年目の背景になりました経済関係環境について、もうそういうことを予測されながらお書きになっていることに敬意を表するんですが、その経済変革というのが非常にはっぎりしてきたということでございます。  先般の政府側の御意見、あるいはまた参考人の御意見をずっと聞きますと非常によく似ているなど。従来は政府側といろんな諸先生意見が違うんですけれども、今回はほぼ一致している。それはなぜかといいますと、余りにも産業構造改革が大きかったということ、長期計画で考えていたものを今もう政策に打ち出さなければいけないなということでございます。  この背景は何だろうかといろいろ考えてみますと、ことしの六月に通産省が、御承知のとおり例の産業構造関係審議会に立派な方々を集めて、官民一体になった大討論会が行われてそれがまとまったんです。これが基調になって、政府側もすべての各省が物を言い、あるいは参考人皆さん方もやはりそれの中で議論なさっているように感じました。  そういう意味で、若干行政的な立場になるかもしれませんけれども、先般の、例えば通産省産業政策局長が述べておったこと、それから参考人皆さん方がおいでになった中で、非常に的確に今の問題がクローズアップされてきたように私は思います。これからはそれを背景にしながら、それはすなわち二十一世紀の諸問題でもう皆つながるなということで、いろんな提言までもその六月の報告書に出ているんですね。あれを超える提言をしろと言われても、実際問題大変だなという気が私はしております。我々のできることは、とにかくあの中で我々政治がバックアップしなければいけないというものははっきり意思表示した方がいいんじゃないかと思っています。  この内容については後の自由討議で出ると思いますけれども、もう提言も行っておる、規制緩和等においては政府ももう総理みずからが中心になっておやりになっている、情報産業についてもいろんな手を打っておられる、労働省もいろんな手を打っている。  この中で私が一つ申し上げたいのは、こういうことがどんどん打ち出されておりますが、どう言いますか、最後に落ちこぼれ問題があるんじゃないかという気がするんです。いろんないい政策があってやっておりますが、最後落ちこぼれグループの問題がまだはっきりしていないという問題、言葉は悪いんですけれども。いいものはどんどん伸ばそうという政策は随分あるんです。新しいものに対していろんな援助の仕方はありますが、最後にどうしようもないグループが残るんじゃないか。この辺に政治としてどう対応するのかということが今ちょっと頭にありますが、これは皆さん方の議論の中でそういうものが中心になれば非常にありがたいなと思っております。  細かいことは後の討論皆さんの御意見を聞かなければいけませんが、そういう新しいもの、急ぐもの、長期と思っておったものを非常に短期的に始末しなければいけないなということを今考えております。あと細かいことはまた後ほど述べさせていただきますが、そういうことを感想として述べさせていただきます。
  5. 一井淳治

    一井淳治君 まず、前置きとして申し上げますが、この百三十一臨時国会では、参議院あり方が本会議とか他の委員会で論じられております。参議院は国民の多様な要求にこたえて、しかも時代に即した適切、強力な国会活動をしていかなくちゃならない、参議院衆議院カーボンコピーであってはならないという意識がだんだん強まっていると思います。調査会参議院独自性一つの目玉でありまして、調査会調査充実はもちろんでありますけれども、議案の提出とか他の委員会への勧告など、独自の活動を進めていくことが必要であろうかと思います。  調査会は、この制度ができましてちょうど三回目、三年ごとの調査ですから三回目で、年数でいきますと九年目になりますが、調査会あり方がこのあたりで問われるんじゃなかろうか。今までの調査会あり方は、当初の理想からすれば一〇〇%、完全無欠ではなかったんじゃないか、やはりこのあたりで反省をしながら前進努力をしなくちゃならないという感想を持っております。  背伸びかもしれませんけれども、今後、来年の六月までにまとめ上げるわけでございます。過渡的な努力というふうになるかもしれませんが、かなり思いつき的な提言ではありますけれども、会派意見をそれぞれ報告書の中に掲げるとか、あるいは委員意見を、かなり研究していただいたものを報告書に掲げる等の、何といいますか、会派とかあるいは議員の努力政策に反映されるというふうな活性化一つの要素を加えるとか。私自身は単なる提言ではなくてもう少し具体的に、例えば法案とかあるいは法案の要綱とかいった形にある程度、ある部分でもまとめられたら非常にいいんじゃないかという一つ理想を掲げながら、これはできないかもしれませんが、あるいはドン・キホーテに終わるかもしれませんが、そういう努力をしてみたいと思っております。  以上が前置きです。  まとめに向けての第一点ですが、日本経済が急速に変わりまして、そしてその点についてどうするかが大きな課題になっていると思います。  第二年度の九ページ以下に「二十一世紀への産業経済変化企業対応」、それから二十ページ以下で「空洞化問題」を取り扱っているんですけれども、やはりその点を今後もっと深めていかなくちゃならないと思います。  そういった中におきましては、大幅な規制緩和推進内外価格差をなくして円高メリットをもっと享受できるようにしていくこと、競争阻害要因をなくして自由競争を促進していくこと、円高貿易黒字対策空洞化対策、それから産業の新しい成長分野を伸ばしていく、またリストラを進めるというふうなことを議論する必要があると思います。  特に私が考えて強調いたしたいのは、国内の社会資本充実整備によって内需振興をやっていこうとよく言われるんですが、果たしてこれが景気刺激景気回復にどのようなメカニズムで働いていくのかという点が十分に論議されていないんじゃなかろうか。  それから国の予算配分も、今までのような前年度に掛ける何%というふうなことではやはり前進が図れないので、例えば衆議院の小選挙区区割り委員会が一任を受けてやってしまったような、何か思い切ったことをしないと予算配分の今までのしがらみから脱却できないんじゃなかろうか。また、官僚主導政治政治主導政治に直していくという点もこういったことに関係があるんじゃなかろうかと思います。  以上が第一点でございます。  それから第二点は、企業の新しいあり方ということが研究されておりまして、第二年度においては十二ページ以下で書かれておるところでございます。私は、その関係で二点加えていただきたいと思います。  一つは、日本の業界は非常に横並び方式といいましょうか、企業もたれ合い意識が強うございまして、自己責任ということじゃなくて、どうも自由競争阻害している。企業がよい商品を安くつくっても、それがうまく売れて発展していくような状況にない、慣行やしきたり重視経済社会ではなかろうかと思います。  アメリカを見ますと、ベンチャー企業でもお金が集まってきて、特に年金資金ベンチャー企業に集まってきて発展しているようでございますけれども、日本にはそういう風土がございません。日本では株を買って損をしたからそれを証券会社に払えというふうな、自分でやったことについて自分でしりぬぐいができないような、そんな自己責任のないようなところがありますけれども、そういった点の改善が必要ではなかろうか。  それからもう一つは、ディスクロージャーといいましょうか、会社内部状況についてはっきりと開示するということが必要だと思います。第二年度の八ページ以下にもそのような提案がなされておるんです。  最近、日本航空が監査役の警告を無視して、高級役員の言いなりになって二千数百億円の為替差損を出したということが報告されております。監査役とかあるいは株主代表訴訟のような商法改正が行われていろんな権限が強化されておるんですけれども、どうも投資家に対するディスクロージャーが行われませんし、会社内部がすっきりしないように思います。  最近、表か裏かわかりませんが、ゼネコンが多額の献金をして、使途不明金が巨大な額になっているということで問題になり、特に指名停止となって大損害をこうむったゼネコンもあるんです。そういった問題について社内監査で問題になるとか、株主代表訴訟で是正されたとか、株主総会でそういった点が是正されていったということは聞かないわけでありまして、やはり株式会社企業内部活性化といいますか明瞭化ということが必要ではなかろうかと思います。  それから第三点は、物流問題について第二年度においてフォローアップされましたけれども、やはりさらにこれを追求していくことが必要ではなかろうかと思います。先日の調査会でもいろいろと論議されましたけれども、物流問題の効率化合理化が行われないと日本経済前進がない、それを怠ると大変日本経済の発展に阻害をするということが明らかになったわけでございます。第二年度でフォローアップしておりますモーダルシフトの推進、あるいは都市内物流効率化、各省庁間の連携強化という問題についてもさらに深く検討をしていく必要があるんじゃなかろうかと思います。  それから第四点でございますけれども、第一年度におきまして労働力問題について扱いました。非常に状況が変わってまいりましたので、空洞化雇用の問題、成長産業労働力を移動させていく際の職業訓練の問題、あるいは激動する経済の中で、先ほどお話がありましたけれども、ついていけない人たちがおるわけですから、この労働者雇用等の保護の問題等々をもう少しテーマとして検討する必要があるんじゃなかろうかと思っております。  以上でございます。
  6. 長谷川清

    長谷川清君 産業分野というのを考える場合、やはり私は確実に産業構造変化しているという認識に立たざるを得ません。  そこで、きょうは絞って、ならばこの産業の新分野というようなものについて早く政策を出し、そこにあらゆる対応の第一歩を踏まなければいかぬのではないか、  先ほどからお話がありますように、変化する場合というのはどうしても痛みが伴います。雇用の問題やいろんな問題にマイナスを生じがちでございます。したがいまして、この新しい分野というものを早く明確にしながら、現行の範囲から逐次犠牲を少なくして移行していく、そのテンポが非常に政治の場においても大事になる。こういう認識の上で、しからば具体的に新しい分野はどういったものでいくのか、こういう点だろうと思います。  一つ日本版情報ハイウエー、この関連を含めた産業がかなりこれからは進んでいかなければならない、しかし現在はまだその軌道を走っていない、こういう分野だと思います。光ファイバーは今のケーブルより何百倍、何千倍、それこそ想像つかないほどの大変な能力を持っております。  テレビ一つとりましても、これはケーブルテレビ的な、テレビで関西や東京家庭同士が話ができる、会社会議においても東京の本社と四十七都道府県のそれぞれの支店がテレビ会議ができるといったような方向など、大小さまざまな問題がそこには出てきます。そういうソフトウエアの供給基盤というものが進みますと、その枝葉の産業関連がどんどんふえてくるというふうに考えられると思います。  また二点目には、新しい流通の体系、形態というものがこれからは進んでくるし、それに関連いたしまして、中小、卸売といった一連の商売のあり方構造、仕組みというものも変わらざるを得なくなっていくと思います。百貨店、それからスーパー、チェーンストア、ロードサイドショップ、パワーセンターといったようないろんなふうに多様化していく中にあって、新しい需要というものも出てくるという関係流通形態の中にも十分考えられてくるのではないか。  第三点としましては、高齢化社会というものに対応していく新たな産業という分野が当然これは考えられると思います。高齢者に付随する福祉という問題、そこには例えば、介護器具の問題あるいは看護婦の質、量という問題、あらゆる面において新たなる雇用というものが創造されていかなければならぬ。病院代行業務といったようなものもこれからは新たに出てくるでありましょうし、いろんな面における新分野が開けてくるのではないか。  第四点目には、ビジネスを支援していくという体制。今までの既存の企業活動の中の過剰な人員あるいはいろんなコストアップ要因、そういったものをどうリストラするかというリストラ部門における代行業務というものもこれからは発生するでありましょう。先ほどのように情報ネットワークが大小の動脈、静脈において張りめぐらされるようになりますというと、情報ネットワークを整理する、管理する、あるいは運用していく業務が出てまいります。また、PL法ができましたから、PL法対応するためのデータベースやなんかの業務といったようなものも新しい分野としては考えられていくの。ではないか。  また、高齢化に伴いまして住宅も従来型の住宅ではない、医療とそれからお年寄りというものをドッキングしていく住宅といったようなこと。今現在はそういうものは頭にない実情で進んでおりますから、これがドッキングするという前提に立ったビルあるいは住宅、そういうものを考えていく。  東京のようなところでは面で土地が高いので、平屋でそれをつなぐというわけにはいきませんから、立体的に、一階は病院にし、地下一階、二階は病院機器等の施設を置き、二階、三階が事務所になって、四階以上にはいわゆるスウェーデン型のような質のいいマンションを。となりますと、そのビルをつくるときからもうエレベーターはベッドがさっと入るような病院型のエレベーターをそこには設置しなきゃならぬわけですから、いわゆる住宅の新築という問題の設計段階で既に変わってくる。  あるいは、地下室が拡大していくとか、中二階、一般の家庭の中における住宅の概念、こういうものも変わってくるでしょうし、高齢者専用住宅とか、太陽光の開発によりましてソーラーハウスとか、その実用化に伴いまして住宅というものにも変化が起こる、そういう新たなる分野というものが創造されるのではないか。  あるいはまた、先端技術というものには今まだ基礎技術が大分手おくれになっておりますけれども、この基礎技術開発というものを促進することによりまして、先端技術というものが各製造業の中にだんだん活用されていくということがこれから考えられてくると思います。知的産業のシステムなんかも全部その中に組み込まれていくというふうに考えられます。新しい素材もどんどんできてまいります。そういう素材を用いた高機能の商品化というものが創造されると思います。  時間がありませんから、一応ずっとオーソライズしていきますと、新しい分野というものを少しでも早く具現化し、政策化し、そこに政治の風を送っていくということで準備しながら、例えば新聞にも、規制を緩和するだけで二〇〇五年では雇用は百七十万人ふえる、こう経済同友会が試算したデータを発表しております。GNPでは百七兆円上乗せがきく、こう言っております。  いずれにいたしましても、来年は戦後五十年を迎えるわけでありますから、これまでの五十年間によかった点と改める点、そしてまた、新たなる時代変化によって次の時代に備えなければならないという状況の中で、やはり今産業構造は大きくなだらかに変化しており、その向かう方向を示すべきである、このように私は思うわけでございます。  以上です。
  7. 牛嶋正

    牛嶋正君 私、この三年間の調査期間ですけれども、我が国経済構造あるいは我が国経済を取り巻く環境変化というのは、恐らく十年あるいは十五年ぐらいに一度起こるような変化が起こったんではないかというふうに思います。  第一年度の調査のときの前提としては、生活大国五カ年計画前提になっていたと思います。そこでは実質成長率が三・五%、そして名目成長率が五%というふうな前提だったと思います。今、いろいろな検討をいたしましても、この間星野先生お話もありましたけれども、私は二十一世紀まで平均いたしますとせいぜい二%ぐらいの実質成長率しか維持できないのではないかというふうな、やや悲観的ととられるような見方をしております。  と申しますのは、戦後の我が国成長率を少し長期的にその推移を見てみますと、第一次オイルショックが起こりました昭和四十八年までのGNP実質成長率平均をとりますと、九・二%でございます。そのオイルショックでがたっと転換点を迎えるわけですけれども、それがバブルが崩壊する平成三年までの平均をとりますと四%です。ちょうど半分になっているわけです。さらに、最近の成長率推移を見ますと二%を割っておりますが、これが回復してまいりましても二〇〇〇年までの平均をとりますと、恐らくまた半分の二%ぐらいだろうというふうな見方をしております。そうだといたしますと、これまでの調査前提に、実質成長率三・五%、名目五%があるとするならば、もう一度そのあたりも見直していかなければならないんじゃないかというふうな気がしております。  それからもう一つ実質成長率が二%というふうになってきますと、これまでと違ったいろんな経済現象が見られます。  その一つは、実質成長率名目成長率の乖離が非常に狭くなっていくということであります。これは財政問題で非常に大きな問題なんですね。というのは、御承知のように、税金というのは名目成長率伸びが決まるわけです。ですから、今まで実質成長率を例えば五、六%上回るような名目成長率で税の自然増収がかなり伸びてきたわけです。だけれども、名目成長率実質成長率と非常に近くなってきますとそんなに税の伸びが期待できない。ですから、非常に財政運営が難しくなるということが一つ言えようかと思います。  それからもう一つは、これまでの景気循環というのは各側面が非常にはっきりしていました、今は後退期だとか、今は回復して好況期に向かっているとか。この間経済企画庁が、実は昨年の十月に今回の景気後退回復期を迎えているなんて言っているわけです。しかし、我々としては何のそういった実感を持てないわけですね。恐らくこれからは二%という成長率のもとではそういうサイクルがはっきり出てこないと思うんです。このまままたいきまして、いつの間にかまた景気が悪くなっているぞというふうな感じだろうと思うんです。  そういう状況で、投資がなかなか伸びない企業家はやはり将来を見通して投資を行うわけですけれども、なかなか決心がつかない。利潤率といいますか、収益率は確かに回復しておりますけれども、今私が申しましたように、はっきりとその景気回復の足取りが見えてこないために、それで投資に対してちゅうちょが見られるということなんですね。そうだとしますと、やっぱりこれからの二十一世紀までの経済運営に対しましては、三・五%の体制から二%の経済体制に私は切りかえていかなければならないんではないか、こんなふうに思います。  それで、経済成長させる要因というのは二つあるわけで、一つは、労働力伸びであります。これは人口が減少しようかなということですから、もう期待できない、恐らくこれはゼロだと思います。そうしますと、もう一つ成長要因といたしましては労働生産性向上であります。この労働生産性向上というのは、投資を行って、そして新しい技術生産の工程の中に入れてくるということが要求されます。しかし、今申しましたように、投資がなかなか伸びてこないということになりますと、この労働生産性もこれまでのようには伸びていかないのではないかということであります。  それからもう一つ心配されますのは、この二%の成長を維持するためには需要を伸ばしていかなければなりません。その場合に、最も大きな需要項目個人消費でありますが、今仮に、これは二%ぐらいの成長率と同じようなスピードで伸びていくというふうにいたしますと、あと問題になりますのは、やっぱり設備投資とそれから公共投資なんです。  ところが、この設備投資公共投資は全体のGNPの中のウエートが非常に小さいわけであります。もっと小さいのは住宅投資であります。住宅投資は一〇%とか一一、三%伸びていると言いますけれども、これがGNP成長に寄与する割合というのは、もともとGNPの中での割合が五%ぐらいですから非常にわずかしか寄与しないわけです。設備投資の場合は大体GNPの中の一八%ほどシェアを占めております。しかし、ここのところが今空洞化ということでマイナス一というふうな、仮に今の伸び悩みがそのまま続いていくということになりますと、公共投資はどれだけ伸びなければいけないかといいますと、私の計算では八・八%伸びなければいけないんです。これは大変なことです。そうでないと完全雇用を維持できないわけです。  そうしますと、八・八%ということになりますと、先ほど申しましたように名目成長率は二%をわずか上回るぐらいですから、税収は何ぼ多目に見積もっても二・五%ぐらいしか伸びないんです。それを八・八も公共投資を伸ばして、もちろん借り入れでやるといいましてもこれはもう公債はどんどん累積していきます。それで考えますと、少なくとも設備投資はプラスの伸び率、すなわち一%なり二%。今仮に二%の伸び率を維持するにしましても、公共投資はやはり三%なり四%伸ばしていかなければなりません。そうしますと、やはり先ほどの税収との関係でかなり財政運営は苦しくなるということであります。  ですから、こういうふうに考えますと、私は二%成長率体制をつくっていくということが我々に課せられ夫まず課題ではないかなというふうに思っております。  その一つといたしまして、例えば空洞化を防いでいかなければなりませんけれども、今の経常収支の黒字幅はGNP比の二・七%でございます。アメリカが言うように二%以下に抑えていくということは要求されますが、私は全体の伸び率が二%になった場合は一・五%以下にこれは抑えていかなければ円高傾向はとまらないと思います。これはいわば数値目標みたいなことになりますけれども、それはアメリカに言われてじゃなくて、今申しましたように日本経済を二%の成長率体制で維持していくために必要なことではないかというふうに思っております。そのためには、私は産業構造をそれらしく変えていかなければならないのではないかと思います。  もう一つ空洞化をもたらしている要因といたしまして内外の価格差がございます。この価格差を縮めていく場合にも流通構造中心にした産業構造の転換が迫られてまいります。これらにつきましても、これから分析を進めていきたいと私は思っているわけであります。  それから一番困るのは、二%の実質成長率の場合は新規学卒者を完全に吸収できないという問題があるわけです。ですから、これにつきましても労働時間を全体的に短縮しながらワークシェアリングを計画的に進めていかなければならないのではないか、こういうふうに思っております。  そして最後に、いずれにしましても財政運営は非常に難しくなります。予算が国会に提出されるときに、大蔵省は中期財政展望という試算を同時に国会に提出しておりますけれども、これは何の拘束力もないんです。ですから、私はある程度拘束力を持たせるような中期財政計画をつくらなければ、いつも何か場当たり的な予算編成に終わってしまうのではないかというふうなことを考えております。  これは私の専門領域でございますので、この点はちょっと産業から離れるかもしれませんけれども、経済全体をやはり二%体制にしていくための一つの条件ではないか、こんなふうに思っております。私はこんなところにひとつ問題点を整理させていただいて、これからまた議論させていただきたいと思います。
  8. 立木洋

    ○立木洋君 私は、これまでの調査を通じて特に強調したい一つの点としては、産業空洞化の問題はやっぱりどうしても取り上げざるを得ないだろうと思います。  御承知のように円高が進んで、それを口実として事実上海外への進出が進んでいるわけですが、円高がありそしてリストラが進む、競争力がつくとさらにまた円高と、こういう状況がある程度続く。ですから、九一年以降は若干この海外進出、直接投資の状態というのは停滞したかに見えましたけれども、九三年度にはまた九一年度の状況に戻っています。  それからもう一つは、多国籍企業化の問題があると思うんです。これもやっぱり海外進出を促進する要因になっている。ですから、先ほどいろいろと出されております国内における投資が少なくなったという問題についても、工場の立地動向なんかを見ると、ことしの上期では結局前年比一〇・九%の減です。八九年度の下期に比べると三分の一に立地動向というのは減っています。ですから、この空洞化の問題というのは非常に深刻な問題だろうと思うんです。  労働省の調査を見てみますと、海外への進出によって従業員が減少したという企業が二八%。特に問題になっているのは、親企業の海外進出によって従業員が減少した下請企業というのは五四%です。大変な状態だろうと思うんです。九四年度の経済白書でも空洞化の懸念というのが出されておりますけれども、生産の海外移転は長期的には新たな発展の原動力になるというふうなどうもしっくりこない表現等もあって、私としてはやっぱりもう少し責任のある分析が必要ではないかというふうなことも感じております。  産業空洞化すれば、企業が海外に進出することで国内雇用が減少して、それによって国内での設備投資というのは弱まるわけですから、全体的に言えば国際的な競争力というのは弱まっていくということになるだろうと思うんです。  通産省はこれからの産業構造をどうしていくかということについて、グローバルな最適化を追求すべきだというふうなことを出しておりますけれども、これによると一番賃金の安いところへ生産性の高い設備を持ち込んで、そこでの製品を安く世界に輸出するというふうなことに結局ならざるを得なくなる。こうなると、日経連の永野会長が言われているように、日本製造業は急速に空洞化し、雇用は大幅に削減されなければならなくなるだろうと、こういうことをやっぱり裏づけることになると思うんです。  対策の一つとしては、やはりこの産業空洞化が生み出しておる国内の失業者の増大という問題に目を向けないと、これは今問題になっているのはただ単なる高齢者雇用問題だけにとどまらないで、先ほど御指摘があったように、今年度の学卒者の新規採用が大変規制されているというようなことを見ても問題がありますし、それから正規社員に比してパートが比重を高め、雇用の質の内容にも変化が生じてきているんです。こういう問題もやっぱり空洞化の問題と無関係ではないと思われるし、そういう点からいうならば、国内雇用の確保の問題については、つまり海外進出を前提とした国内事業所の閉鎖だとか人員の整理等については何らかの規制的な措置が必要になるのではないかというふうなことが第一点です。  第二点は、国内の設備投資の動きが鈍くなっているという状態も海外への投資関係がないわけではないわけですから、この点も環境問題だとか海外における雇用問題の視点から、好ましくない海外投資についてはやっぱり措置を考える必要があるんではないか。  それから第三点は、地域の経済に及ぼす影響です。企業が大幅に進出しているところにおいては、その企業が海外に進出したために地方経済が大変な打撃を受けるというような現象も現に起こっているわけですし、ある地域では、そこにおける法人地方税が三年間に三分の一に激減したというふうなことも聞いております用地域へ企業が出ていく場合にはいろいろ地方自治体の協力を得るわけですから、そういう問題についても地方自治体との話し合い等々によって何らかの措置が講じられるようなことも考える必要があるんじゃないかという問題等があります。  それから、その問題とあわせてもう一つ述べたいのは、いろいろ地方を視察し、いろいろこの調査会でずっと検討してきた重要な問題の一つとして中小企業の問題があると思うんです。日本の事業所の中で九十数%も占めている中小企業の存続は、日本経済に与える影響というのが非常に大きいんですけれども、この問題に関してこの間参考人の御意見を聞いたら、中小企業だからといって何ら保護する必要はございませんというふうな御意見等もあって、私も唖然としたわけです。  結局、日本経済を支えている中小企業に対して、もちろん私は自由な競争のあり方ということを否定するわけではありませんけれども、必要な保護措置というのはやっぱりあるべきだろう、それは中小企業庁があって、通産省等でもそういう配慮がなされてきているわけですから。だけれども、問題を見てみますと、結局、親企業リストラによるコストの削減だとか内製化なんかの問題で深刻な状態が起こってきております。  中小企業庁から出されておる親企業に対するいろいろな勧告だとか申し入れだとか長年ずっと見ていますけれども、ほとんど変わらないんです。それで、中小企業の方々に聞くと、親企業にあなたそんなことを申せますかというふうなことがもう歴然として通っているわけですね。ですから、もう頭を下げてお願いする。価格なんかの問題については親企業に決めてもらうのが当たり前だと思っている企業さえある。結局、そういう言いっ放しを受け入れなければならない。  つい先日行われた親企業の違反行為に対する問題を見てみますと、親企業合理化リストラによるしわ寄せで影響が出ているということで、この一年間の違反事例が出ていたんですが、注文書の不交付、支払い条件の記載不備、製品の受領拒否、支払い遅延、下請代金の減額、返品、買いただき、購入の強制。まあこれは具体的に言ったらもう大変な問題なんですが、そういうことが依然としてやっぱり残っている。私は日本経済を支えているこの中小企業が、本当の意味で活性化することなしに日本経済の未来はないと言っても過言ではないぐらい大きな比重を占める問題で、この問題についてはさらに検討すべき必要があるんではないかと思います。  もう時間が来ましたから、あとまた討論の中でやります。
  9. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) どうもありがとうございました。  以上で産業問題についての意見開陳は終わりました。  それでは、これから委員間相互で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。会派順とかそういうのはございませんので、自由に挙手をいただきまして御発言をお願いします。
  10. 増岡康治

    増岡康治君 たまたま今、一井先生それから牛嶋先生も触れられたんですけれども、牛嶋先生は税制の方から日本成長率はこの程度と、これもよくわかります。両方言っておられた中で、社会資本整備というのを今の政府社会資本の基本計画で既に打ち出しましたよね、規制緩和とともに。それで、我々はこの問題は裏づけが相当要るなと。私は、建設省出身なもんだから、自分が言うとすぐ我田引水と見られてしまう。  この間は、通商産業省が日米協議でいじめられておる実態と、ことしの審議会報告書をバックにして堂々と世界で折衝しておるグループが——今のシェア論は知っていますよ。住宅GNPの何%、どの程度のウエートかということは知っていますよ。こういうなにはわかっておりながら、やっぱり政府として、国としてやるのは、みずからやれるというのはそういうことかなと思います。民間設備というと民間の自由度がありますから、余りやると規制になっちゃうし、民間の活動というのはある程度彼らの切磋琢磨もまたなければ。国として何ができるかといった場合は、やっぱりこの問題は重要な問題だなと思う。  これは一井先生がおっしゃるように、堂々と胸を張ってやるものはやってもらわないと、何か公共投資といったら要らぬものをやっている、環境破壊だ、建設業の何とか、こうつながる今の世の中は非常にゆがんでおる。私どもは、こういうものこそ本当の福祉政策だと思っているんです。  これを本当に裏づけるものが、あとは財政の成長率ですかね。税制の問題と絡むものですから、ここらがどこかいなというのが自信を持って言いたいなというんで、経済企画庁がこれを発表されて、大蔵の主計局でこれはどの程度の性格のものかと、ほぼオーケーだというんですね。これは、行政のグループです。果たしてこれが政治の場としていいものかどうか。やはりこの問題は自信を持って言えるようにしておきたいな、いろんな御意見も伺いたいな。また、さらに必要であればこれは詰めてみる。  今、牛嶋先生の話、非常に私はよく理解する。私は三%時代に育った男です。大蔵政務次官を昔しておったんですよ。三%にならされた男だ。それが今や、さらに落とせということでございますので、そうした場合の構造はどうなるのかな。これは非常に今議論しておかなければいけないだろう。  あと皆さん方からもあった新しいフロンティアの問題、これは大賛成。やることは全部今出しておかないといけない、新しい分野のことは。これはたくさんあります。これにはいろんな支援を考えなければいけないし、もう既に提案されたものがたくさんありますよ。エネルギー問題が後からあるでしょうが、こういうものはどんどんとやらないと。  それこそ立木先生御心配の問題が私は気になっているんですよ。最後ね、伸び会社伸びますよ、私は専門的中小企業伸びるものは絶対伸びると思っています。だけれども、ついていけないのが必ず残る。ここらが大変なことだなという気があって、これも詰めておかなければいけない問題と思っております。  それだけちょっと触れさせていただきました。
  11. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 この前の通産省に対する質問のときに申し上げたんですけれども、産業空洞化というものから目を背けるわけにいかない、それは特に雇用問題に直結するからだと思います。産業空洞化というのはある程度経済原則に従って行われていくものですから、その経済原則を曲げて、海外に進出しちゃいかぬと、先ほど立木先生がちょっと制限したらどうだというお話をなさいましたけれども、私はそういうものじゃないんじゃないかと。経済原則は貫徹するものなら貫徹させなければいかぬというぐあいに考えているんです。  まあ、そのときいろいろ議論をしましたが、結局は二百万人ぐらいの雇用空洞化ができるというお話でございました。なかなか容易ならざることである。  私どもこの調査会で議論した一番当初は、むしろ雇用がタイトになるということを基調にしていろいろな議論を一年目はしていったと思うんです。しかし、牛嶋先生がおっしゃるように、経済成長率は現在の生活大国五カ年計画の五%、実質三・五%の世界でなくて、どこまで下がるのかよくわかりませんが、去年、ことしあたりを見ているとほとんどゼロに近いというような経済成長率しかないわけです。税収の方を見ているとかえって下がっているという状態ですから、大変なところにかかっていることは間違いない。その上に産業空洞化が来ている。こういう状態の中で、それじゃどういうぐあいにすればいいんだろうか。  通産省は、この前その処方せんとして三つを挙げました。すなわち、一つは公共事業である、一つ規制緩和である、一つは新産業の振興である、こういうぐあいに分類して通産省は述べられた。カテゴリー化ですから細かいところは別として、方向としてはその三つなのかなと思いますが、それぞれに非常に問題点が多過ぎるんです。  公共事業については、違う会派でありながら私は牛嶋説の方でございましてね。現在の公債発行残高、少なくとも税収のところから見てみると、六百三十兆円というような大きな公共投資は非常にできがたいんです。その財源については別途考慮しなければいかぬという注書きが単についていて、全部公債で発行するなんというのはとんでもないよということが書いてあるわけです。しかし、税制改正が今行われている状況を見てみますと、とてもじゃないけれどもこの近辺に増収が行われるという可能性はない状況である。そういうことになると公共事業というのは大変だと、もしこれをそのままやるとすれば全部公債でひっかぶらなければいかぬということになるんです。  この前の大蔵委員会で私申し上げましたけれども、今の国債利払いというのは年間に十三兆円になっているんですね。それで、公債の元本が三兆円ぐらいですから、公債費というものが年間大体十六兆円になっているわけです。そうすると、今五十三兆の税収の中で二割を占めているんです。営々と働いて二割借金を払っている、こんなばかなことがさらに拡大するということになるんです。景気が非常に大事だということももちろん理解できるわけですけれども、同時に牛嶋先生がおっしゃったように、日本のこれからの経済、財政というものがどういうぐあいになるかという絵をもう少しきちんと描いて、その上で公共投資を公債でやろうか、税収でやろうか、その可能性があるのかねえと。大蔵省が承認したというぐあいに言いますけれども、大蔵省は強姦されたんでね、何も喜んでこんなものやろうとしているわけじゃない。だから、そういう意味からいうと公共事業も非常に難しいと。  それから、規制緩和についてはしばしば議論されていますけれども、これは立木先生の方と意見が同じなんで、摩擦をどういうぐあいに考えるかという問題がどうしても常に存在するんで、規制緩和をすれば経済がすぐ復活するというものでは恐らくないでしょう。もちろん、必要な規制緩和は随分あると思います。あると思いますが、その規制緩和をやることによって、例えばガソリンスタンドを自動化すれば一万数千人の職業が失われてしまうとか、規制緩和には常に雇用減を伴っている側面があるわけです。価格はもちろん減っていきます。だけどそれはなかなか難しい問題で、やらなきゃいかぬことはやらなきゃいかぬかもしれぬけど、これもなかなか難しい。  そうすると、最後のところの新しい産業を起こしていくというのは、一つの我々の夢であるわけです。  実は、先々月ベトナムに行ってまいりました。ベトナムは今や建国の意気あふれて、我々が昭和三十年代に経験したような、追いつき追い越せ、やるぞやれるぞというような気概に燃えてあの社会は合成立をしている。ところが、日本国では暗いイメージ、規制を緩和して何とかとか、アメリカに何とか怒られないようにとか、実に意気上がらない感じがするんですね。その上、高齢化社会が来るんで、お前たち負担が大変だぞと言われて脅かされていると。  こういうような形で意気上がらないんですけれども、その中でやっぱりベンチャービジネスというものが育っていかなければいかぬ、そうでなければ我々の未来がないということであるように思うんです。  通産省の例ばっかり引いて恐縮ですけれども、通産省はベンチャービジネスを何とかして育てていきたいと考えているんだと思いますけれども、一つはその育て方なんですね。要するに企業心というんでしょうか、さっきのマインドの話です。これからいけるぞという我々の夢ですね、そういうものが一つなければいかぬ。通産省は十数項目挙げていますけれども、それはないことはないんです。ただ、そこに規制が邪魔したりなんかいろんなことがあるでしょうけれども、それを育てていかなければいかぬということ。  それから第二は、技術開発がベンチャービジネスにはなければいかぬわけです。ところが、今までの数字を見てみますと、民間企業における研究開発に対する投資が〇%なんですね。国の技術開発の予算も実はそんなに伸びていないという状態です。だから、これをやっぱり伸ばしていかなければいかぬという視点がどうしても必要であろう。  それから、三番目に必要なのが資本なんです。これは先般の委員会で資本の話を若干申し上げましたけれども、現在の日本の中では金は余っているにもかかわらず、国内の企業に振り向けられていないという事実があるわけです。これは恐らくバブルに懲りてしまった金融機関が、ほとんど民間に対する融資を拡大していないという問題だと思います。これも経済原則なんで、危ない企業には貸さないぞと言われればそれっきりなんです。  アメリカの場合を見てみると、ベンチャー企業に対してあれは何というんだったか、何とか市場というのが別にありまして、(「NASDAQ」と呼ぶ者あり)そうNASDAQ、それがございまして、そこで投資保護と関係なく資本調達をしているんです。そういう市場をやるべきであるというのが産構審の中でも提案をされていますけれども、そのような資本市場の調達というものがぜひとも必要だというぐあいに思っているんです。  現在の株式市場は、大変恐縮な話ですけれども、どんどん市場が小さくなっていっているんで、大きくなっているという傾向はございませんね。店頭売買をしている株式市場だけが少しずつ膨らんでいるという状態で、株式市場から多くの資金を現在の状態では期待し得ないという感じがしているわけです。ですから、ベンチャービジネスに対して資金提供する方法、それを産構審の言うような方法をとるのか、どういう方法をとるのか知りませんけれども。これは大企業は分社ですね、あるいはこの間ちょっと申し上げましたけれども、株式のホールディングカンパニー、こういうものをもう一遍独禁法を見直してやるとか、相当自由にしないとこの分野伸びていく可能性がないんじゃないかという感じがするんです。  ちょっと恐縮ですけれども、今委員長に御了解をいただきまして資料をお配りしたいと思いますけれども、(資料配付)この資料は、国内の生産コストがいかに諸外国に対して劣っているかということを示す通産省でつくられた資料だと思いますが、土地、建築コスト、人件費、それから陸上運賃、乙仲、賃借倉庫、電力料金等々のどれを見ても、国内の産業資源で諸外国に接近するような資料というものはないんです。きょうは軽くしか触れませんが、人件費コストというのは非常にやっぱり問題だと思います。この前、牛嶋先生は私より大胆なんで、タイムシェアリングというお話をいみじくもなさいましたけれども、そのようなことをしないとなかなか対抗できないということを示しているんです。これならば産業空洞化するのは当たり前、海外に投資を向けない方がおかしいということになっちゃう数字なんです。  そういうことを考えますと、やっぱりこういうものに抵抗するんではなくて、むしろ新しい分野を一体いかに開拓していくかということを考え、それからさらに言えば、労働力をどういうぐあいにこれから考えていくんだと。  実は私は、一年目は当選したばかりでもございましたので大変つつましく皆さんの言うことばかり聞いていましたけれども、だんだん考えできますと、労働問題は、あのときに議論していた緊迫して不足するという論点もさることでありますけれども、それからさらにいろんな労働者の立場ということを議論することもさることでございますけれども、やっぱり労働力が、雇用が減っていくんだという観点を議論しておかなければならない。いや、減っていくことはいいことだということは決して申し上げるつもりはありません。いかにして雇用を確保すみかということ。この二十一世紀を展望した産業構造ということを考える上では、やっぱり一言か二言ぐらいは議論していないと何ともならぬのじゃないかというぐあいに考えております。  それからもう一つフィランソロピー、これは星野さんが一生懸命議論をされておりまして大変敬服をいたしておるんですけれども、これは阻害要因は所得税法であることは間違いないわけです。  私は大蔵省の出身ですからあえて申し上げますけれども、実は公共法人というのが非常にいいかげんであるということなんです、基本は。だから公共法人、財団法人でも何でもそういう法人が、現在では一族に占拠されたり、いろんな売買をされていたりおかしなことになっているわけです。そういうことについての監視というんでしょうか、規制がいいかどうか知りませんが、何かしらないとやっぱり税法上の問題が解決されていかないという問題がございます。ぜひそこのところも御議論を願いまして、この税金の控除ということも可能になるように私も努力したいというように考えております。  意見を終わります。
  12. 広中和歌子

    広中和歌子君 まとまったお話ができるかわからないのでございますけれども、今、皆様方御指摘になりましたように、現在日本経済構造転換の時期にあるわけでございまして、新しい分野をぜひ開拓していかなくちゃならないという時期です。しかしながら、現実には経済は低成長であり、空洞化の心配もある。そういう中で、雇用はどういうふうに変わっていくんだろうかということが非常に大きな関心事になっていると思います。  申し上げるまでもなく日本雇用は終身雇用前提としているわけでございますけれども、これが崩れるかもしれない、しかし守らなければならない。守るためには、先ほど牛嶋先生などもおっしゃいましたように時間短縮をする、あるいはジョブシェアリングをするといったようなさまざまな工夫も必要でございましょうけれども、それだけで十分なんだろうかということでございます。  新たなベンチャー、そういうもので経済活性化していかなければ、これからの二十一世紀日本産業はどうなっていくかというようなことを考えましたときに、やはり人材そのものを変えていかなければならないんじゃないか。つまり、一たん就職したら一生その会社で終わるというメンタリティーであれば、これから起こるであろうさまざまな社会の変化雇用情勢の変化対応できない非常に不幸な人間をつくる、非常にこそくな人間をつくる、そういうことだろうと思います。  同じような構造転換というものは先進国でも起こっているわけで、例えばアメリカを例にとりましても、空洞化の結果として、あるいは低成長の結果として、あるいは構造転換の結果として多くの企業が縮小し、つぶれていった中で、しかし、新しい産業がどんどんできているわけです。だから、人々は仕事を失う、失業するけれども再雇用するという形。もちろんだれでも、どこの国の国民でも失業というのは非常につらいわけでございますけれども、日本のように会社に入れば一生勤められるといった非常に甘えた構造の中では、この失業問題というのは個人的に非常にすごい精神的なプレッシャーになるだろうと思います。  そういう中で、やはり教育が大切なんだと。教育をどういうふうに変えるかということだろうと思います。いい学校さえ出ればいい職業がエスカレーター式に待っていて、その職業で一生終わるといったような前提に立った教育というのはだめだろうと思います。そしてまた、日本は将来、二十一世紀に向けてさまざまな新しい分野を開拓する、そういうベンチャー精神に富んだ人材を育てるためにも教育そのものが変わっていかなければならない。  そうした人材をどうやってつくっていくかということ、これは今私が具体的にどうのこうのというサジェスチョンはいたしません、もし皆様方にアイデアがあればいただきたいと思います。ともかく教育改革ということをまずしなければならないし、しかも同時に、教育を雇用とそれから人生設計そのものに結びつけて再構築する必要があるんじゃないか。  教育というのは二十二歳の大学を出るときまでではなくて、例えばせっかく就職した会社がうまくいかなかった、失業に迫られているといったようなときに、一種の休息所としての大学、そこで新たな技術を学ぶ。失業という形で次の職場を待っているというのは非常に精神的な苦痛でございますけれども、学校に通って、つまり社会人学生として再び新しい技術を学ぶんだといったようなことであれば精神的にすごく楽だろうと思うんです。  こういうことも既にアメリカなんかでは実際にやられておりまして、それも例えば、子育てを終わった主婦にも利用されておりますし、それから、中年からの人生の再出発というようなときにも使われているというようなことで、やはり大学というものをもうちょっと幅広い人生の中でちりばめるような形で組み入れていくことが必要だと思います。  それから、楢崎先生あるいは星野先生が御発言になりましたボランティアなどというものも、やはりある種のボランティアプロフェッショナリズムみたいなもので、今までの職業を生かし、あるいはそのボランティアで体験したことが次の職業で生かされるといったような、柔軟性のある人生設計の中に教育、ボランティア、そして雇用が入るような新たな教育・雇用システムを構築していくということが必要なんじゃないかなと思います。
  13. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 我々日本の高度経済成長の中でさまざまな光と影が語られてきたと思います。その影の部分の最も大きな問題は大企業と中小企業の格差の問題、とりわけ企業系列化されている中小零細企業のいわば体質の問題、それからさらに従業員でいえば、大企業あるいは官公庁に勤める従業員と中小零細企業に勤める従業員の賃金格差の問題、これは各企業が持っております福利厚生のいわば恩恵といいますか、そういうものを含めますと実質的な賃金格差というのは非常に大きいと思うんです。さらに、その影の最も大きな部分というのは非正規雇用の従業員、パートタイム労働者とか女性とか高齢者とか派遣労働者、あるいは外国人労働者の問題であると思います。  高度経済成長成長率が落ちることによって、いわば高付加価値の産業あるいはベンチャービジネスの活性化という形で構造変化というものが必要であることは当然でございます。そういった中で、一番やっぱり大切なのは社会の中の公正感というか、公平感というものをどうやって日本社会が維持していけるか、そういう視点がない限りは社会というものは荒廃していく、あるいは国民全体としての活力が落ちていくんではないか。そういう公正感、公平感というものを維持していく労使のあり方、あるいは労働のあり方、生活の価値観というものの組みかえの原則を我々としてはしっかり産業構造変化とともに打ち立てていかないといけないのではないか。  第三世界に持続可能な発展というようなことが言われておりますけれども、こういった課題というのは、言ってみれば高度経済成長を達成した日本が、これからさらに大きな形で次の世紀に向けて生き延びていくというための我々自身の課題ではないかというふうに考えます。そういう中では、経済社会システム全体あるいは人間の活動全体の丸ごとの見直しということが私は必要であろうというふうに考えます。  企業と従業員の問題に対しても、ぜひそういった新しい視点での提言というものを組み込んでいただきたいと思います。
  14. 立木洋

    ○立木洋君 先ほどの同僚議員の発言関連して二点だけちょっと補足的に申し述べたいと思います。  一つの点は情報産業の問題です。情報ハイウエーの問題で、藁科先生と一緒だったんですけれども、マルチメディアの調査にアメリカヘ行ってきたんです。大分大きく騒がれているし日本でも大きな問題になっているんですが、向こうに行って一番最初にAFL・CIOの労働組合に行きまして、このマルチメディア、つまり情報ハイウエー雇用がふえると言われているけれども実際どうなんですかと言ったら、とんでもない、次々に首切りで雇用は減っているんだと、将来ふえるかもしれぬけれども、今はもう我々は首切りに遭っているんだ、大変だというふうなことを言っていました。  それからまた、日本なんかでもいろいろと出されているんだけれども、僕は各省庁がやっぱりばらばらじゃないかと思うんです、考えられていることが。それでマルチメディアとかなんとかといって大変立派なことになるんだみたいなことを言われながらも、実際にこんなばらばらなやり方で、どこがまとめているのかよくわからないような状況で本当に日本情報産業の将来どうなるんだろうかということを感じます。  日本でも、雇用はふえると言い、百二十三兆円の経済効果が出るだとかというようなことも言われています。高齢化社会にしても一極集中にしても豊かになる社会をつくるにしても、このマルチメディアがうまくいけば何か全部うまくいくようなことが郵政省がどこかの文章に書いてありましたよね。この問題は将来の産業あり方として重要に考えなければならない問題であることは明白なんです。  何か光ファイバーを四十万キロ引くということを建設省が提起してきた、これは莫大な金だと。そうしたら各省庁の縄張り争いだとか、建設省がまた中心になって何か土建の方々に金もうけさせるだなんて新聞に書いてあったんです。私が言うんじゃないんです、新聞が書いた。そんなようなことになるとこれは本当によくするために考えるんではないということで、この問題については調査会調査してきた報告も出されると思いますので、やっぱり一回検討する必要があるんじゃないかということが一つ。  それから、先ほど一井先生が言われた物流の問題、これも私は非常に重要な問題だと思うんです。成長期の中でトラック輸送というのが非常に成長したわけです。本当にトラック輸送というのが成長して物流の中で大きな役割を担っているんだけれども、あのトラック運輸の方々というのは九九%が中小企業なんですよ。つまり二十台以下のトラックしか持っていない企業が九九%を占めている。ところが、結局荷主の方からするならば、在庫を削減したいし、それから無在庫生産をやっていきたい、つまりジャスト・イン・タイムの輸送というのが要求されてくる。そういうことから、結局物流費用を生産のあれも含めてトータルで見て、できるだけ最小費用にしたいという要求がどうも強いわけです。そうすると中小企業のトラック輸送の方は、仕事をもらうためにはということである程度聞かなければならないという状態で、やっぱり中小企業としてのトラック輸送に大変なしわ寄せが来ている。  それで、今トラック事故なんというのも次々起こっていますし、それから過重労働のために労働者が大変な状態に置かれている、しかも、最も長時間労働のこの輸送部門で。さらに、今日のように過重積載が禁止されましたから、それによってその倍とまではいかなくても三分の一余分に働かないと前と同じ賃金がもらえないからということで、今度は過労輸送なんかの状態になると大変なことになるので、この物流の問題もこの間フォローしたわけですが、もっと研究する必要があるんじゃないか。この間も一井先生が言われた点に私は全く同感で、重視してやっていきたい。
  15. 岡利定

    ○岡利定君 諸先生方の御意見、大変勉強になりますが、特に牛嶋先生お話で、実質成長率が非常に低い中でこれから考えていかなければいかぬ、私もそのように思うわけですけれども、何か国の政策を打ち出したりするときに何となくその辺が甘くとらえられておって、まあ避けている。例えば予算を組むために、ここまではちょっと無理だと言いながらも、経済企画庁で高いパーセントが出たりするようなことが、技術的な意味であるのかもわかりませんけれども、そのこと自体が本当の施策を打つことをおくれさせる要素にもなっているんじゃないんだろうか。  そういう意味で、先ほど御指摘がありましたような点について、これからこの調査会でも暗い面があってもそれを正直に素直に認めて、一応の見通しというのをきちんと立てて、その中で何をやっていくべきか、やっぱり先生がおっしゃるように取り上げていくべきじゃないのかなということを強く感じております。  その中で、一つ大きな宿題みたいなものは新しい産業の導入ということです。結局、日本がみずから新しい産業をやっていくといったときには技術先導的な部門が中心でないといかぬのじゃないだろうか。単に人力依存だけではもっと人件費の安いところもあるわけですから、そうなったときに、ここの調査会でも問題になりましたし、ほかのところでもよく聞くわけですけれども、日本技術開発というのが非常におくれているということが指摘されるわけです。  最近でも、企業における研究開発費が減少傾向にある。一つはやっぱり不況でそういうところへ回す余裕がなくなっているということもあるんですけれども、新しい技術開発の意欲も減少しておるんじゃないかということも聞いたものですから、これは大変だなというようなことを感じております。  その中で、特に意欲を喪失する原因の一つにやっぱり基礎研究とかという点について日本のおくれというのがあって、その上に立って企業技術開発あるいは研究開発費的なものでの行動というのが出てくるんだけれども、そこのところがどうも日本の場合には特におくれておるので、もっと基礎研究について本当に力を入れてやるべきだということがここでも指摘があったわけです。どうも必要だ必要だとばかり言っておりまして、先ほど広中先生お話にもありましたけれども、特に大学でのそういうようなあり方なんかもはっきり提言して実行に移していく形ということがぜひとも必要じゃないかと思ったものですから申し上げたいと思います。
  16. 藁科滿治

    藁科滿治君 この調査会での産業というのは、私が言うまでもなく、産業プロパーの問題じゃなくて国民とのかかわり合いとか、それから市民、地域とのかかわり合いとか、そういうところに比重を置きながら問題をとらえてきたと思うんです。  そういう観点でひとつあえて御意見を申し上げれば、やはり先ほどの楢崎先生の資料ではないんですが、これほど低利にもかかわらず日本の国民というのは貯蓄が相当強いわけです。この貯蓄の動機が何かというと、結局老後の保障が極めて貧困で未整備であると。ではそれを整備するにはというと、社会的な資本の整備がおくれているということがある。これに最近通産の方が着目して、そういう預金の基金をもう少しうまく利用して高齢者のためのインフラ整備の資金に使えないかと、そういうことを通じて新しい産業を創出していく、こういうことを言われているんで、私は大変強い関心を持っておるんです。  だから、これからの産業問題というのは、そういう日本の生活と産業構造の問題点からとらえて問い直すというようなことが必要じゃないかなというふうに思うんです。  それから、この資料は私も大変おもしろくて勉強させてもらいたいと思うんですが、いつの時期の資料なんでしょうか。
  17. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 これは前々回配られたやつです。ごめ数字は半年ぐらい前から出回っておりますけれども。
  18. 藁科滿治

    藁科滿治君 そうですか。今為替が余りにも激動の時期なんで、その点をどういうふうに見るかということが私ちょっと気になるものですから、また後で勉強させていただきます。
  19. 星野朋市

    星野朋市君 この調査会産業分野の問題というのは、これの発足時に労働問題を中心にやろうということで始まったわけですから、産業一般について、もちろんそれは労働に関係する問題ですからそれを避けては通れませんけれども、これは特に労働問題についてということで発足したということをもう一回思い起こしていただきたいのであります。同時にこれは労働基準法改正の問題が絡んでいましたから、こういうことで始まったわけです。  先ほど楢崎先生もおっしゃっておられ、それから牛嶋先生も私と全く同じ意見で、私は日本経済成長率の問題を常に話題にしてきたわけです。この間の参考人への質問もほとんど成長率に絡んで申し上げましたし、先日の連合審査会でも私は財政の問題に絡んでこの問題を取り上げた。武村大蔵大臣はここは逃げました、一番問題になるところなんですけれども。  要するに、今までの労働政策というのは、三・五%実質成長に対してかなり労働生産性を上げないと、日本産業労働人口はそれに対応できないという形でずっと施策を進めてきたわけです。私は昨年の予算委員会を通じても、実はそうじゃなくてこれからの問題は失業の問題だ、これにどう対応するかということでずっと議論をしてきました。いわゆる円高差益の還元という問題も、行き着くところは労働問題だと。私はあのとき数字を挙げて、円高によって日本産業の中で限界輸出産業は約四十万人と。  それから、先ほどから流通の問題が出ていますけれども、円高をいかに価格還元させるかという問題も、規制緩和だとかそういう問題が表面的には語られていますけれども、実際は流通問題なんです。日本流通の多段階のところが整理されないと、円高になって輸入価格は安くなっても実際には消費者段階までその影響が及ばない。やっぱりこれも約四十万人の失業の問題が発生するだろうということを私は申し上げたわけです。  そうすると、日本の社会が今失業率三%、それからこの前も申し上げましたけれども、いわゆるホワイトカラーを含めた日本産業労働生産性というのは欧米に比較して八〇ぐらいであるという調査が出ているわけです。そうすると、企業が国際化ということを進めれば、ここでも同じ形でホワイトカラーのリストラを進めなくちゃならない。そういう問題を含めて、日本の実質失業率というのが今の倍になった欧米並みの六%という社会を許容するかどうか、こういう問題に行き着くと思うんです。これは日本の今までの社会通念と違いますから、恐らくそれは許されないとするならば、要するに行き着くところは、私は牛嶋先生がまさしく最後に触れられたワークシェアリングの問題をそろそろ考えなくてはいけないんじゃないか。  この前労働省に、どうだ、こういう研究をしているのかと言ったら、表向きはまだやっていませんと言いますわね。それで、この間聞いたときも労働省の課長は、私に言わせればとんちんかんな返事をしているわけです。だけれども、日本の労働市場というものを将来欧米並みの失業率を我慢するのか、そういうコンセンサスができないならば、やがてこれはワークシェアリングの問題に真剣に取りかからなくちゃならないんじゃないか、こういう考えを持っているわけです。  それから、産業空洞化だけでなくて金融の空洞化の問題も今盛んに論議されていまして、これはやはり最終的に言うと、この楢崎先生の表にいろいろ項目はありますけれども、結局、日本の土地代と人件費の問題なんですね。いろいろ項目がありますけれども、全部これを絡めて見ますと土地代それから人件費の問題、行き着くところはここにあると思うんです。この二つがどう解決されるか、どう解決するかという問題にこれからの日本経済の運命がかかっていると思うんです。  それで、実は空港の問題も、関西空港のハブ空港化という問題で日本の空港の利用料が非常に高いということを問題にしていますけれども、もう一つ懸念されるべきことは乙仲の費用です。これがここにもありますけれども、今のままですとやがて日本は恐らくローカル港湾になってしまう。シンガポール、香港、それから今韓国の釜山、それから中国がやがて出てくるでしょう。こうなると、日本の港湾は全くローカルになります。  日本のこれからの行く末を見詰めると、今ここでどう対策をとらなくちやならないか。それは、労働の問題で言えばワークシェアリングを考えなくちゃならない、土地代は要するに実勢に任せてもっと低下させなくちゃならない、この二つがポイントだと私は思っております。
  20. 一井淳治

    一井淳治君 時間が短くなりましたので発言はすまいかと思っておったんですが、今の御発言につい啓発されまして、空洞化の問題についてちょっと私の見解を申し上げさせていただきたいと思います。  空洞化につきましては、これはもう外国でつくった方が安いとなれば企業が出ていくのは当然ですから、その場合に、経済侵略になったりしないように現地との融和とか現地への貢献を基本にしてどんどん日本企業も海外に出て行ったらいいん。じゃないかと私は考えております。その場合に、やはり日本と外国との経済交流が進んでいくわけですから、日本と東南アジアといいますかあるいは環太平洋といいますか、一つ経済圏といいますか、日本はそういった周りの外国との経済協力の中で調和的に発展していくというふうに考えていかなくちゃならないと思います。  そういう中で、今お話に出ました日本の空港それから港湾、これが非常に問題になってきまして、私も物流の問題は実はそういった問題も含めて言っているわけでございまして、立派な空港や港湾も消費地との間の物流の近代化というようなことがないと本当にローカル空港になってしまって、日本がどこかの方に貢ぎ物を持って行ったという過去の歴史を繰り返すようになるんじゃないか。やはりそういった点で日本努力が必要であるというふうに思います。  そして、法人税が上がると外国へ出て行くんじゃないかということが言われますけれども、日本はかなり安くてしかもいい品物をつくるということが世界的に宣伝されておりますから、日本企業であるということはかなり宣伝価値があると思うわけです。そういった意味で、今後とも日本のイメージを上げるということで、先ほども申し上げましたように、ややこれは理想的かもしれませんが、会社の体質改善をやって世界の人から日本企業は透明で立派だ、いいことをやっているというふうに見てもらえるようにしていくことが必要ではないかと思います。  そして、中小企業の問題ですけれども、中小企業も海外と提携して、あるいは海外に出ていって、そこで安い労働力を使って、そして日本の中小企業が繁栄していくということもやはり積極的に考えていくべきではないか。ただし、国の方では中小企業の世話までできませんから、私は都道府県が中小企業の海外進出についてお世話をしたりして、身近な都道府県と中小企業との力で、中小企業の海外での経済発展ということも相当程度可能性があるんじゃないかということを考えております。
  21. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) どうもありがとうございました。  産業問題についての意見交換はこの程度にどとめます。  次に、二十一世紀に向けての産業資源エネルギー政策課題に関する件のうち、資源・エネルギー問題についての意見開陳をお願いしたいと存じます。  御意見のある方は順次御発言をお願いします。
  22. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 エネルギー問題は一年目、二年目を通じて相当深く突っ込んだ議論が行われてきたと私は思っております。  その中で、大きく分ければ、一つ我が国のエネルギー需要に対してエネルギーをいかにして確保していくかという問題。それからさらに、エネルギーを確保する上において注意しなければならない一番重要な点として地球環境保護の問題がある。特にCO2についてどう考えていくかという問題がある。それにはエネルギーの転換ということを考えていかなければならない。同時に別の観点として、中東にエネルギー資源を偏在させていくということについては問題点があるので、それを多角化しなければならないという問題点、それがエネルギー源の転換の問題として指摘をされたように思います。その中には新エネルギーがもちろん入っています。それから、三番目の問題として省エネルギーの問題が随分議論をされました。いずれも非常に重要な問題点であると思っております。  そこで、私はこのエネルギー問題について第一に考えなければならない問題は、やはり地球温暖化の問題だと思っております。もちろん、百年先の話でございますから私どもが今すぐどうこうという話ではないと思いますけれども、やはり地球を温暖化から守るために、非常に細かい配慮を至るところに行ってこの問題を解決しなければならぬと思っているんです。  その中で、私は原子力発電をどういうぐあいに考えるかということがこの問題を考える上で一番重要だと思っているんです。大変恐縮な話なんですけれども、これまた先ほど申し上げましたように一年目、二年目は大変遠慮をして物を言っておりました。また、会派間の意見もこれについては相当程度違うということも考慮いたしまして、余り話題にいたしてまいりませんでした。しかし、政治情勢も変わり、いろいろ会派の考え方も変化してまいりました。そういう意味では、原子力発電をどのように考えるのか、原子力立地はどういうぐあいに考えるのかという問題をこの調査会の大きなテーマとして考えるべきときが来たと考えているんです。  そこで、原子力発電について申し上げますと、二〇一〇年までに原子力発電を三千五百五十八万キロワット増加をさせなければならない、つい六月の通産省審議会において発表をされております。それには三十数基の原子力発電所の建設をなさねばなりません。しかし、現在のところ原子力発電の立地がある程度めどがついているところが十六基しかないと伺っているんです。そうするとあと十四基を追加してやらなければならない。  温暖化防止計画については、皆様方御承知のように一九九〇年の時点をベースにしまして、それよりふやさないということを基本にして全世界的に取り組んでいるところでございます。しかし、全世界的には残念ながら相当ルーズな国があって、特にアメリカなどはうまいぐあいにやってくれるのかねというと、どうもなかなかうまいぐあいにやってくれない。発展途上国はそれに沿ってやってくれるのかねというとやってくれない、開発の方が大事だとおっしゃっている。しかし我が国は、一つの国になったとしても、我が国の世界に対する信義、世界に対する貢献ということのために一九九〇年を守る必要があるんではないかと思っているんです。  そうなってきますと、少しずつ立地を進めているところがあるように思いますけれども、あと十四基の原子力発電についてどういうぐあいにしたら今後立地が進められるのか、こういう問題が極めて重要であると考えております。若干の議論はなされましたが、どうも詳細な議論は今までなされていないような気がします。  そこで、現在通産省においてなされている原子力ないしは電源立地の助成策というのが何項目かございますが、地元に公民館を建てたりあるいは交付金を出したり、いろんなことをやって何とかして地元の御機嫌をとってお許しを願いたいというような施策がとられています。それに対して原子力に反対する側の人たちは、原子力発電の危険性というものを指摘し、安全性というものを指摘していっかな進展が見られない、こういう状態であるように私は思うんです。  その中で、安全性の問題については情報公開並びに地元に対する御説明を十分重ねられるようにということで、これは数限りなく言われ続け、そしてやっていると思います。その点もぜひ続けてもらわなければならないと同時に、先般福島県選出の我が佐藤議員からいろいろ御議論がございましたけれども、地元に、原子力発電を招致しておいてよかったなという気持ちが一つも出てこないというところに問題点があるように私は思っているんです。  本年度から、原子力発電を行った地区に対しては電力料金の半額を交付金として交付するという制度ができているようですが、この間通産省をお招きしてお伺いしたところでは、いまだ一件も適用例がない、こういうお話でございました。私はそれは原子力立地が進んでいないからだと思いますけれども、やっぱりこれ相当ずさんで、私は大蔵省に奉職した者でございますけれども、大蔵省が随分けちで五年間の時限立法になっているんですね、これ。それで原子力発電の工事が起こってから五年間だけは電力料金の半分を交付金でやるということになっていますけれども、例えばこんなものは、原子力発電を招致した地域については電力料金をただとは言いませんけれども、半分にするとかあるいは三分の一にするとか、未来永劫で構わないですよ、思い切った施策をやらないと、大変恐縮ですけれども、せっかく社会党の村山総理大臣が誕生したことに伴って原子力発電の建設を容認するとおっしゃったことの反映としてでも、原子力立地についての政策の転換が今なされなければいけない時期に来ているのではないかと思っているんです。  具体的にどのようなことをするかということはよく議論しなければいけませんけれども、私はあえて例えば電力料金は半分にすると。もちろんインフラの整備等もその地域について行わなければいけませんけれども、産業を招致するとか、その住民に対して喜びを与えるというような点からはそのようなことがやはり考えられるべきではないかと思います。  それからもう一つは天然ガスでございます。  天然ガスについても幾つか問題点がございますが、天然ガスは例えば北樺太で今資源開発が行われております。ところが、あの北樺太の天然ガスがもし出てきたらどうやって使うんだというのはまるきりないんですね。要するに、これを大量に使っていただく方は、都市ガスもさることでありますが、都市ガスは非常に少ないんです。そうじゃなくて、発電に使っていただかなければならぬわけです。ところが、それについての十分な取り組みが私はできていないと思っています。石炭の方がもちろん安いんですよ。安いんですけれども、石炭を使うよりはLNGを使うというようなことが国の施策であるとするならば、ただし、電力料金は世界に比べてちょっと高過ぎるような感じもしますけれども、余り高くなっちゃいけないのかもしれませんが、そのような観点から天然ガスを使うというようなことを考えなければならぬ。  それからもう一つ、これは皆さん方からえっと思われるかもしれませんけれども、私は新エネ、それから太陽エネルギー、これはまだ現在の段階では非常にコストがかかり過ぎちゃってとても大量のエネルギー源としてはたえられない。非常にクリーンエネルギーでございますから、それを促進することについてはもちろんのことながら賛同でございますけれども、それに大きな期待をかけて、私はこの調査会では太陽エネルギーに時間をかけ過ぎていると思います。それよりも原子力発電の電源立地をいかにするかという議論を闘わせるべきだというぐあいに思っております。  ちょっと過激なところもありますけれども、お許しを願いたいと思います。
  23. 一井淳治

    一井淳治君 私は、こういう論点を今後のまとめに加えてほしいということで六点ばかり申し上げたいと存じます。  いずれもこれまで論議をされたことでございますが、第一点は、省エネとエネルギー利用効率の向上をさらに推進するということでございます。  第一年度の四十七ページ以下にも記述があるわけでございますけれども、石油ショック後大変省エネが進められました。その後生活の豊かさの追求とか、あるいは少量の商品のジャストインタイムを厳重にやるとかということで、民生部門や運送部門において大変そういった省エネの理想が緩んでまいりまして、最近では年平均四・一%というエネルギー需要の高い伸びがあると聞いております。  また、エネルギーの利用効率が三五%ということで、開発途上国に比べればいいのかもしれませんが、まだまだコージェネやあるいは熱の多段階利用、ごみ焼却熱の発電等々をもっともっと推進していくと同時に、省エネ型都市計画など社会システム全体のことも考えながら、こういった省エネ、エネルギー利用効率の向上ということを推進していかねばならないと思います。  ただ、その際、既存の方法を多少変えるというのではなくて、思い切ってインフラ整備を図ったり、私はよく言うんですけれども、トラックが全国を走り回っているわけですが、これをモーダルシフトに切りかえると大変環境上も有効なわけでございます。そういった根本的なことも考えながら、この問題のさらなる研究が必要であると思います。  それから、第二点は地球温暖化対策でございます。最近不況となり、あるいは経済競争が激化しているけれども、やはり環境保護ということは非常に大事でありますから、こういったことについては一層追求していかなくちゃならないと思います。  第三点は、我が国のエネルギーの対価が非常に高いわけです。  きょう朝日新聞が最近通産省で行った内外価格差について発表しておりましたけれども、大口の電力料金が六〇だったですね。これは、個人の生活の水準の向上のためにも非常に大きな影響がありますけれども、あわせて国際競争力が激しい中で日本産業が生き残っていくためにもエネルギー源の価格が安いことが非常に大切ではなかろうかと思うわけであります。  今まで電気料金は業界から申請があって、それでお役所の方が決めるということで、政府と業界とで料金を決定するということだったわけですけれども、本当からいえば、物の価格というものは市場価格で決められるものです。ですから、今後、電気事業者以外の者の発電を相当程度許容していくなど、市場原理の拡大とか規制緩和、そして公共料金の合理化ということがさらに進められると思いますけれども、そういった中で料金の適正化といいますか、率直に言いますと安いエネルギー料金ということを追求していかねばならないと思います。  それから第四番目に、石油資源の開発についてもっと積極的に国として取り組まねばならないんじゃないかと思います。  この石油資源の開発は、最近では簡単に掘れるところは掘り尽くしていまして、開発は容易ではないと思います。また、開発に大変な費用がかかるのが実情でありますけれども、日本は膨大な石油を使っているわけですから、他の国々が生産をした石油を買い取るというのではなくて、やはり困難な石油の開発ということも自力でやりまして、自分の国で開発した石油を消費するように持っていかねばならない。そのために、大変これは危険負担の高い作業ですから、国としても力を入れていかなくちゃならないと思います。  五番目は、原子力発電にかわる新エネルギーの開発とそれへの支援の問題でございます。  太陽光発電については、ただいま御意見があったわけでございますけれども、これも一つの新しい、せっかく今伸びつつある方向でありますから、これを大切にさらに強力に伸ばしていくことも肝要ではなかろうかと思います。  コスト低下のためには大量使用が必要でありますから、政府や自治体が太陽光発電を積極的に取り入れると同時に、さまざまな助成や税制上の優遇を拡大いたしまして、大量使用によるコスト低下に向けて努力していくべきであると思います。  それから第六は、発展途上地域、特にこのあたりは人口急増地域でエネルギー消費が急速に拡大しているわけでございますけれども、日本の高い省エネ技術等を上手にこういった地域に移行していくということも積極的に考えていかねばならないと思います。  以上でございます。
  24. 長谷川清

    長谷川清君 先ほど自民党の楢崎先生からお話がありました。私は、全体として基調としては同感でございます。  原子力の問題について触れておりましたが、確かに今十四基はめどが立っておりますが、十六基はめどが立たない。二〇一〇年になりますと、この十六基すべてが完成したといたしましても、依然需要と供給の関係は供給不足七%と試算が出ております。それに加えて、今まだめどが立っていないという部分をどうするか、ここに危機感があると思います。これが一つ。  それからもう一つは、LNGをもっと使えと楢崎先生はおっしゃっております。LNGは現在も使っておりますけれども、ガスにおいてはLNG以外の燃料はあり得ないわけです。ガスの場合にはLNG、天然ガスだけが使われる、選択肢はほかにないわけです。しかももう一つは、四十数年で地球上から枯渇するという資源でもあります。  そういうことを考えますと、やはりバランスシートから見ますると、そのLNGにのみ偏っていくということはなかなか限度がある。したがって、全体の中で、三番目には太陽光の問題で、太陽光に少し今時間をかけ過ぎていて偏り過ぎちゃいないか、こういう御指摘が楢崎さんからもございましたが、私は太陽光の問題は実用化に向かいまして最大限、目いっぱいこれからも研究開発を進めるべきだと思います。  しかし、そのキャパシティーが全体の供給量の今は一%、全体を一〇〇としますと現在一%ですから、それを最大限に活用した場合、日本のこの風土、土地、それからいわゆる光のぐあい、濃度、日射量、こういう点からいたしまして、どうしてもそこに限界が出てくるということも考えておかなければいけない。したがいまして、私は全体としてまず需要伸びると、家庭においても産業においても。  この日本状況は、やはり参考人で今まで勉強したように、先生方が言っておりましたように、やはり人間の欲望が今よりももう少しいい生活を望んでいる限りにおいては需要はどうしても伸びざるを得ない、こういう関係にあると思います。それを証拠づける意味において、この長い間経済が低迷して不況と言われる中にありましても、産業用、そして特に家庭用の方が産業用よりもさらにふえている事実が、どうしてもやっぱりそれを裏づけているように思えてなりません。  そうなってまいりますと、多種多様なエネルギーの電源、みんなには人気がないけれども今言われております原子力、そして水力も火力も、そしてLNGも、それから新しいと言われる太陽光や風力や波力やそういった多種多様なエネルギーの短所と長所がありますから、短所を閉じ込めて長所だけを生かして、そしてベストミックスヘということのいわゆる全体、やはり木を見て森を見ない議論というのはどっかにひずみが出る、こういうふうに概括を考えながら、個々についてベストを尽くすという態度が非常に私は大事だろうというふうに思います。  それをさらに展開していったときに、国内だけのベストミックスというところからさらに世界全体のベストミックスへと、石油のようないわゆる悪さをする、CO2が出る燃料については。しかし、原子力やそういう高度の科学技術が進んでいない国々の方が多いわけでありますから、そういう国々にはそういう大事な資源は回してやらざるを得ない。そうなりますと、どうしても世界におけるベストミックスという考え方が、これまた参考人先生方からも複数指摘されたところだと思います。そういう点においては、私はそういう見解を支持したいと思っているわけです。  そしてまた、次なるということを考えていった場合にプルトニウムという問題、これが出てくると思います。今限界に来ておりますから、どうしてもそういう状況需要と供給をいつも考えた場合、次なる世代に、世紀においてプルトニウムという問題は我が国においてどうしても欠くことができない存在ではないか。それはやはり今から研究開発実用化の道を探っていかなければ、原子力がそうでありましたように、四十年かかりまして今は平和利用、産業家庭に寄与していると思いますが、それと同じように、原子力の開発過程とその延長線上にプルトニウムがあるという見解に立つのか、あるいはプルトニウムは新たなるテーマとして路線を引いて研究開発に進むのか、そういうふうな分かれ方があると思います。  今原子力は世界の中にあってIAEAという機関が機能しておりますけれども、このIAEAがプルトニウムという燃料について国際的な合意、認識、そういうものを一にしていくということの役割、機能として足り得るかどうか。そして、そういう問題も兼ね合わせて新たなる国際機関が必要であるとするならば、そういうものについても日本は進んでこれらについて研究をしていく必要があるのではないか、そういう点が次なる世代へのエネルギーという点において一点、まだ定かでないところに大いなる不安が第二の不安としてあると。  第三の不安としましては、それらの設備が開発されていきましても、それを運用するのは最後は人であります。今高校の理工系の卒業生は、もう過去十年からこれからの十年の間に四十万ぐらい輩出量が減ってくる。実際にそういう人々が実社会においてはそれらを運転、保守している部門の人々であります。大卒の関係における理工系の質、量においても心配が出ております。あらゆる意味における学校のシステム、実験台にしても非常に古いものが使われておるというようなこと。  それから全体的に、この間の東大総長のお話を聞いておりましても、やはり大学それ自身が改革をするといってもなかなか難しいと、そこには政治がひとつ目を向けてそういう環境づくりをしていかなければ、リードしなければならない分野が残されているというふうに考えますので、技術の継承、そしてエネルギーの継承、すなわちそれは生活を豊かな方へ持っていくための一つの絶対条件ということに因果関係がなっております以上は、そういう点について準備していくべきではないのか。それらのもののめどが立っていないのが現状ではないかという認識、そういうことを問題意識として持っているという点を申し上げておきたいと思います。  以上です。
  25. 広中和歌子

    広中和歌子君 新エネルギー、なかんずく太陽光発電についてこの調査会で非常に多くのウエートが与えられたということでございますけれども、あえて太陽光発電について発言させていただきます。  私がここで申し上げたいのは、太陽光発電システムの立法化及び新エネルギー関連予算の充実ということを申し上げたいと思います。  申し上げるまでもなく、地球環境の保護のために二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出削減を図る必要がある中で、非化石エネルギーの利用を推進していくことは必要でございますが、しかし非化石エネルギーのかなめであるところの原子力は、その立地がますます難しくなり、高レベル放射性廃棄物等の問題もあり、非常に厳しい状況であるということは皆様お認めになることだろうと思います。このような中で、実用化段階に近づきつつある太陽光発電、風力発電、燃料電池等の新エネルギーの開発、普及は最も優先順位の高い課題であると思います。  しかしながら、六年度における新エネルギー関連予算は四百億円にすぎず、エネルギー関連予算のわずか三・四%程度でございます。原子力に比較してそのウエートが非常に低い。技術はあっても、それを推進していくための予算というのが非常に少ないんではないかという気がいたします。新エネルギーの開発、普及予算は今後抜本的に拡大、充実させていく必要がございます。特に、太陽光発電システムの普及のための措置として立法化を含め早期に検討する必要があると存じます。というわけで、ぜひ立法化を提言したいと思います。  それから、新エネルギー開発の促進でございますが、前回の調査会で、京セラ株式会社の山本専務から太陽光発電についてお話を伺ったわけです。この話は、地球温暖化防止に最もふさわしいクリーンで無尽蔵なエネルギーであるということ。これはまた別の方に伺ったお話でございますけれども、六十分間地表に太陽が与えているエネルギーで人類一年分のエネルギーを賄える。つまり、太陽のエネルギーをいかに我々がとらえて、それをエネルギーとして利用するかということにかかっているわけでございます。しかしながら、普及が進んでいないというのは事実で、まことに残念でございます。  なぜなんだろうか。その原因は、太陽光発電が非常にコスト高だということが言われているわけですけれども、どのような製品にいたしましても、コンピューターが普及したときもそうでございますけれども、初期段階では非常に高いわけです。しかしながら、次第に普及していくことによって、マスプロダクションによって値段が下がっていくわけですけれども、新しい非常に便利な品物が市場に入っていくときには、ほかに類似のものがない場合には高くてもいや応なしにみんな買っていくと。そういう形で、次第に使う人がふえればそれだけ値段が下がる、そういう市場原理が働いていくわけです。  電気に関しましては、現在既に存在する電気料金が非常に安い、一キロワット二十円ぐらいですね。それに比べまして、太陽光発電コストというのは一キロワット百六十四円である。つまり普通の家庭用電気の六倍も割高でありまして、この高いことがネックになって導入が阻まれている。仮に太陽光発電を平均的な三LDKの家庭につけますと、三キロワットの発電システムをつくろうとすると六百万円。一昨年スタートした政府の補助金制度全体で十三億、六百万円の三分の二が補助で賄われるという新しいパイロットプログラムがスタートしたわけでございますけれども、まだまだそれでは十分ではないというような気がいたします。  クリーンエネルギーである太陽光発電を急速に導入、普及させることが我が国にとって非常に必要であるということ。これは我が国が利益を得るだけではなくて、これから発展していくであろう国々、お隣の中国を初めさまざまな発展途上国にとってこの太陽光発電というのは非常に便利であり、かつ安全であるということでございます。我が国の原子力発電の安全性については私はとやかく申し上げることはありませんけれども、これから発展途上国を含めまして世界じゅうに原子力発電所が仮に林立するようなことになりましたときに、その安全性についてはかなり不安を覚える者の一人でございます。  それから、タイムスケジュールを決めるという視点から、二〇〇〇年までに助成計画を示すことが太陽光発電関連企業設備投資を促進することになり、コスト低減の早期達成を可能にすると思います。やはり政府が前向きにこのような計画で導入していくんだ、原子力発電を導入してきたあの勢い、あれくらいの気持ちでその気になればできるんじゃないかというふうな気がいたしますけれども、これもやはり政府政策にかかっているわけで、私どもこの調査会でもそうしたことを応援していければいいと私は思います。  公共投資基本計画、これは十年間で総額六百三十兆円でございますけれども、この計画をそれに織り込んでいただくことが必要で、こうした措置によって財源の裏づけができるんではないかと思います。ぜひこれを十カ年計画の中に具体策として入れていただきたい。  それから、先ほどこれからの産業ということでいろいろお話し合いをしたわけでございますけれども、二十一世紀のリーディングインダストリーとして環境、それから情報通信、そして高齢化社会におけるさまざまなインフラ整備、そういうようなものがあると思うのでございますけれども、そういう中で環境面における新エネルギーというのはやはり新しい産業分野での大きな柱になると思いますので、ぜひこの分野推進させていきたい、これは同時に国際貢献にもつながることだと思います。
  26. 立木洋

    ○立木洋君 私は原発問題に常に関心を持っていて、二年度の調査会の中で大体毎回参考人並びに政府に対してはお尋ねをしてきました。賛同してもらえなかった点もあるかもしれませんけれども。  ただ、結局、一つの問題は安全性の問題で、チェルノブイリでああいうふうな大変な事故が起こって、一九八八年の三月に国際的なシンポジウムが開かれたんです。これは国際原子力機関が設置している国際原子力安全諮問委員会が、こういうシビアアクシデントに対して今まで十分ではなかった、だからこれに対して対策を立てることが国際的に必要なんだという勧告を出されたんです。  その勧告が出されたことについて、アメリカなんかでもその問題についていろいろ検討されて、この間アメリカに行ったときに聞いた話ては、結局、今問題になっているのは原子炉でつくられる廃棄物、この廃棄物の処理が完全にできるという保証がない限り原子炉をつくってはならないというのがカリフォルニア州では決められているという話を聞いたんですけれども、そういういろいろな相当厳しい規制等が問題にされてきているという話もあるんです。  この問題で、そういう国際的なシビアアクシデントに対する対策が重要だということがシンポジウムで勧告されたんだけれども、日本としては一体どうされるんですかということを、私はその後、この産業資源エネルギー調査会ではなかったんですけれども、外務委員会で聞いたんです。  当時、政府が答えたのは、現実にシビアアクシデントが起こるとは工学的には考えられない程度にまで安全性が日本の場合は高められています。したがって、その対策の見地から安全規制を改める必要性は現時点では見出せません、こういう答弁だったわけです。それで、アメリカの例を出したりいろいろやりまして、二十三年間に日本で、つまり法律対象として報告されている事故というか、トラブルというか、故障というか、いろいろその使い方にも御意見があるそうでありますが、この法律対象とされている報告事故が三百七十八件現にあるわけです。それをどう評価するかということは別なんですが、そういう議論が続いてきて、日本で福島第二・三号機と、それから美浜の二号機の事故が起こったんです。それで事故が起こってから、さらに私は重ねてシビアアクシデントに対する安全策の必要はないのかという問題を聞いたんです。  結局、平成四年になって安全策を検討することが必要ではないだろうかということが問題になってきて、そして平成四年の五月に原子力安全委員会から関係省庁と電力関係者にこの問題に対する検討が勧告された。そして、平成六年の二月になって原子炉のシビアアクシデントについて電力業界がそれに対する対策をまとめたということが発表された。これは国際的な勧告から六年たったとはいえ、そういうふうに対策が検討されて、安全性にさらに万全の対策をとるというふうになったことは、これは前進だと私も思うんです。  さて、ところが、それが決められてから後、またその安全策というものが一体どういう内容なのか私は繰り返し参考人やら政府関係者にも聞いたんです。今までは放射能を外部に出したら危険だからといって閉じ込めるという策をとられたのに、シビアアクシデントの場合には放射能を外部に出すというわけですよ。それがどの程度の影響を与えるのか、これもその地域に対してどういう問題が生じるのか、どなたもまともに答えてくださらないんです。それで、シビアアクシデントに対する安全策として本当にそれがいいものなのかどうなのかという点はいまだに私は正確な回答を得ていないので、この問題に対しては何としてもはっきりさせていただきたいということが一つあるんです。  それからもう一つの問題は、プルトニウムの使用の問題です。これについては、高速増殖炉でプルトニウムを燃やした以上に出すからこれは非常にいいんだといって、フランスなんかではフェニックスだとか、日本では「もんじゅ」なんという名前をつけるぐらいに非常に美称化されているわけですけれども、この問題については、先ほど言った原発の問題よりもより問題が複雑であり、問題があるんではないか。  アメリカなんかの場合では、プルトニウムの分離や民生利用なんかの中止を決めておりますし、フランスにしてもドイツにしても撤退の方向だと。フランスのフェニックスの場合では出力異常事故が四回も起こったし、試験運転時のタービンが故障したら自動停止になるシステムになっていたのに、それが作動しなかった。それで、結局手動でそれを停止して事なきを得たというふうなことまであったというんです。  先般も、日本での「もんじゅ」の問題については、本年四月五日に臨界に達して五月二十日からその性能を調べる試験が開始された。反応度を確かめてみたら、設計より少ない結果が出ている。つまり、これはこの間の政府お話では、計画よりも初臨界が一年半おくれたためにプルトニウムが変質したので問題はございませんと言うけれども、それは科学的な内容からすると変質には四年間もかかるわけです。プルトニウム241がアメリシウム241に変わるというのはわずか七%なんですね。そういうのを根拠にするならば、変質したから問題がないというふうなことは私は説明にならないということもこの間述べたわけです。  結局、「もんじゅ」は建設設計が終わったときに配管上の設計ミスが発見されたんです。ところが、これは事故はあり得ないといって厳しい審査にかけなかったという問題があった。それからまた、今回の反応度に見られる設計数値との大きな差などは、設計上の問題も含めて十分な調査研究が必要ではないかということも私は指摘したんだけれども、なかなかそういう方向に動いていないということも現実にある。  今度、十一月の二十五日に閣議で原子力白書が了承されました。その中を見てみますと、これも核燃料リサイクルをまた強調しているわけです。白書では「もんじゅ」について、「一九八五年十月の本格工事着手以来、建設工事は順調に進捗しており」、「一九九四年四月五日の初臨界達成も含め、順次段階的に着実かつ慎重に実施されている」と、全く何事もなかったように書かれているんです。  いわゆる設計ミスがないのかどうか、設計ミスがありながら、十分な厳重な検査もしなかったではないかという問題がありながら、いかにも問題がなかったように書かれるということは、厳しいことを言うようになってはあれですけれども、国民に対して本当のことをやっぱり知らせないといけない。これは公開の原則があるわけですから、情報を明確に提供して、こういう事故がありましたよ、これはこういうふうな問題ですからこうなんですよと事実を明確に説明されて、その上で今はこう進んでおりますと言うならばいいけれども、そういうふうな事実が明確に出されないということになって、このプルトニウムの利用というのが非常に万歳万歳ですよということだけやられたんでは、やっぱり正確なエネルギーの利用に私はならないと思う。  私は、原発を一切拒否すべきだと考えているんではなくて、人間が出した英知ですから、これが戦争に利用されるというのは論外ですけれども、しかし完全に安全が確保され、いわゆる民主、自主、公開という原則がやられていくならば、アメリカなどでもああいう軽水炉で事故が起こっているわけですから、そういう問題の完全な対策を立てることなしに進めるというのはいかがなものかという点で、今の問題についてもやっぱり厳しいチェックが必要だということを強調しているわけなんです。核燃料リサイクルの問題については、プルトニウムの利用は国際的にもさまざまな問題がありますから、これはやっぱり真剣な検討が私は必要ではないだろうかと思います。  それから太陽光発電の問題については、確かに楢崎さんが言われたように三回現場を見に行っていますが、原発はまだ一回も見に行っていないんで、私は原発もやっぱり見に行った方がいいと思うんです。そして、実際がどうなっているのか、「もんじゅ」なんかも見てどうだったのか、それは国民的に実際を知らせていく上でも私は必要だと思う。しかし、だからといって太陽光発電に重きを置き過ぎたという言い方はちょっと私は賛成ができませんけれども、エネルギーの点では、同僚議員も言われたように太陽光発電というのはやっぱり重要な一つだろうと考えなければならないと私も思います。  アメリカにも行っていろいろ見てきました。サクラメントでも同施設なんかを見てきたわけです。結局、インバーターの問題にしろあるいは電池の問題にしろ、今まで日本で見ただけでも短期間の間に改良されているんですね、素人の目でもわかるように改良されている。あれは三回行かなかったらわからなかったですよ、行ったからよかったんだと思うんですけれども。そういうことがだんだんわかってきた。  私はその点で主張したいのは、この間も言ったように、結局何かというと、家庭用発電の現在の売電価格からいうと六倍かかっているというふうな参考人お話があったけれども、普及したらコストが下がる、コストが高いから普及できない、これは堂々めぐりなんです。だから、これをどうするかという問題があるので、一つ技術的な研究によってさらにエストを削減していくという追求が私は必要ではないだろうか。そのためには新エネルギー開発のための政府予算上の配慮が当然なされるべきだろう。  それから二つ目は、今言っているソーラー発電システム導入のために公的な補助制度がやられて、第一回目で七百戸やられているということがありますけれども、これをさらに充実させていく措置が必要だろう。  それからもう一つの問題は、公共施設におけるソーラーシステムの利用、これはこの間も山本さんがおっしゃっていましたね。これは私はやっぱり大切なことだろうと思うし、そうすると、地方自治体に対する補助等も協力し合ってやっていくということが必要ではないだろうかと思うので、いつまでもコストが高いから普及できない、普及しないからコストが高いという議論をこの調査会でやるのではなくて、それを突破する提言をきちっと出すということが私も必要ではないかと思います。  以上です。
  27. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。  以上で意見開陳は終わりました。  それでは、これより委員間相互に自由に意見交換を行っていただきたいと思います。
  28. 佐藤静雄

    ○佐藤静雄君 太陽光の利用でという議論については私は全面的に賛成でございます。しかしながら、専門家の長谷川先生が後からお話しになると思いますが、ロットが全然違います。したがって、家庭用の電灯とかあるいは民生用に少しずつ使えるかどうか、もう本当に今の状態でも百分の一ぐらいでございましょうか。ですから、これは大切にやっぱり育てていかなければいかぬと私は思います。  しかし、二十一世紀の世界を考えた場合に、どうしてもエネルギーと食糧の問題、これは大変最重要な問題だと私は考えます。もう一つ環境問題があります。それから南北問題がございます。今まで北の方は使いほうたい使ってきたわけですから、これからエネルギーをおまえらは使っちゃいかぬと南の方に言うわけにはいきません。できれば南の方に使っていただいて、北の方はクリーンなエネルギーを使う、これが本当のあり方だと私は思います。  ですから、有限な資源です。石油なんかもう五十年掘れるかどうかわかりません。原子力も七十年か八十年しか使えません。石炭が二百年以上でございましょうか。したがって、それらの問題を考えた場合に、やはり先進国は先進国なりにクリーンなエネルギーを使うのが責任だ、義務だというふうに私は考えております。そういうことで、先進国は原子力あるいはLNG、そして今お話があったニューエネルギー、それをやはり中心に据えていかなければならぬのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  それで、一つは原子力の問題でございますが、私の県は人がいいのかどうか、これから四基受け持ちます。ですから百万キロ以上、百二十五万になると思いますが、それを四基引き受けます。  そこで提案したいのは、原子力発電を一地帯にそういうふうにやっていただく、我々はやってもらうわけでございますけれども、私は一電力会社だけに責任を持たせるというのは酷だと思う。これはナショナルプロジェクトだ。したがって、政府、国家がやはりある程度責任を持っていただきたい、こういうふうに私は思います。安全面でも地域振興の面でも国家の責任でひとつ立地を考えてほしいというふうに思うわけでございます。原子力発電所ができたから固定資産税がふえるだろう、電源三法交付金が入るだろう、そんなことじゃもう済まないわけでございます。ですから、責任はもう国家が持つ、それから地域振興の責任も国家が持ってほしいというのが私どもの立場でございます。  さらに二十一世紀の人口爆発、あるいは今言いましたように発展途上国の人たちの生活レベル、福祉の向上ということを考えていきますと、やはり食糧あるいはエネルギー、環境、そういう問題は何にも増して重要な問題でございますから、この調査会でひとつ提案をしていただきたい。  一つは、食糧、エネルギー、環境、この問題はもう二十一世紀の最大課題でございますから、これを国民に義務教育の段階からきちっと教え込む、できれば正規の科目に織り込んでほしいというのが私の一つの提案でございます。  もう一つは、せっかく毎年毎年サミットで世界の首脳が集まるわけでございますから、食糧、エネルギー、環境、もうこれは何にも増して最重要な問題でございますから、これにひいては必ずサミットあるいは首脳が集まるそういう重要な会議では必ずやることを私はこの調査会が提案することを希望します。  以上でございます。
  29. 長谷川清

    長谷川清君 ただいまの自民党の佐藤先生と、それから先ほどの楢崎先生お話に、私は事原子力に関しては同感でございます。  私はエネルギーを考える場合には、先ほどから言うようにエネルギーのもとになっているものは全部自然環境の資源ばかりですね、水にしてもLNGにしても、石炭、石油にしても、原子力にしてもプルトニウムにしましても。したがって、まず大前提は省エネルギー、この理念はもうずっとこれから永遠とベースにして、それが自然環境、自然に優しい、そういう態度につながる理念だと思います。  さはさりながら、現実にはというと、このエネルギーというものはいわゆる一分一秒を争い、供給即消費という性質を持っておりますのに、今のお話でも、さあここで原子力を一基つくろうと計画を立てて十五年かかるわけです。一方においてはそういう現実があります。  実際にこうやって電気をつけるとなると、これは供給しているからぼっと押せば電気がつくようになっているわけですから、民法でもいわゆる物扱いにはなっていないというのはそこだと思います。そういう点が他の産業企業と違う概念になっている。すべての法律はそういう仕組みで法が定められておる、これが大前提になっていると思います。  そういう意味で、先ほど共産党の立木さんのお話を聞いておりまして、私は一回やはり現地を見てもらいたいなと。チェルノブイリの問題も、私はチェルノブイリの事故の後に即刻現地調査をしております。それからフィンランド、スウェーデン、そしてフランスからイギリス、ドイツ、イタリアに至るまで、北欧から何から全部測定のデータが出ております。いわゆる原子力というものをただ十把一からげで、ああいうふうになったから世界で使われている原子力が全部皆同じと、これではもうみそもくそも一緒にする議論になってしまう。  でございますから、ソビエトの場合に決定的に違いますのは、あの建設を、いわゆる原子力を利用していこうというスタートの段階から、社会の仕組みが軍需用も民需用も混然一体となってコストを下げて、そして黒鉛型、ソビエトの中には黒鉛が非常に資源としてたくさんあります。それを利用した原子炉の開発がはなから進んでいった、それがチェルノブイリ。  ですから、あれは見てもらいますとわかりますように、日本はそれらのものを見た上で水冷型にしているわけです。その設備を見ますると、日本の場合にはすべてがもう設計段階から、もし仮にこの機械が故障を起こした場合には一次リレーが作動するようになっている。そのリレーも機械ですから、これがもし作動しなければ二次リレーを働かせよう、三次、四次、五次と。それをいわゆる十重二十重にと言っておるわけであります。そこまでは、技術上における不安という点を解消する策だと思うんです。  それに加えて、飛行機なら飛行機がぼんとここで墜落したりなんかした場合にはというので、あの一メートル以上のカプセル、コンクリートであれば包んだ状態になっているわけです。チェルノブイリの場合にはぼおっと噴き上げる煙突みたいになっておりまして、そういう安全装備というものは全くないわけであります。  しかし、そういうものを十把一からげで、あれがあるから怖いとここで言われますと、やっぱりそういう点は明らかにしながら、原子力というものは怖いわけですから、これは事実というのは、もうこれでもかこれでもかと人知を絞ってやってきたというのが四十年であったと思うんです。そういう意味においては、それを計算しますると何十億分の一の確率だと。この何十億分の一の確率ということがきょう、今起こらないとも限らないじゃないかという議論があります。  それは確かにそういう議論もあると思いますが、ここら辺になりますと、やはり我々はいわゆる人類というもの、生活というもの、そういうものとの兼ね合いにおいて選択をしていくということになる世界ではないのか。我々が原始に生活を変えていくか、それとも今のこの状況というものをより豊かにしていこうとするのか、そういう生活の態様と哲学というものとエネルギー、原子力はどうしても不可分である、かかわっている、こう言わざるを得ないのではないかと思うんです。  それからプルトニウムという問題で、日本以外、アメリカを初め全部手を引いだではないか、こういう立木さんの議論でありました。それは事実であります。しかし、これとても同様に見るんじゃなくて、プルトニウム問題を研究開発するには膨大なまた条件整備が必要です。まずは技術というものが伴わなきゃなりませんし、そこに資源という問題、日本はほかに資源がまるでないわけであります。アメリカは資源がふんだんにあるんです。あらゆる意味において膨大な経済力、そしてまたいろんな諸条件というものが備わっていかないとここからは手を引かなきゃならない。それ以外に使える資源があるのにそれを利用しないでプルトニウムにいきなり手をつけるということはむだなコスト、それはそういう判断で国は撤収する場合もあるでしょう。  したがって、地球上の五十五億、やがて百億になろうとするそのエネルギーをどう賄うかという視点に立って、その条件を備えた国が、またやろうと思ったらやれるだけの余地を持った国はそこに向かってその可能性を探る、こういうことは私ども国際社会の中における務めではないのか。国内的な需要量を満たすというだけではなくして、そういうようなことをいわゆる国際ベストミックスという中で考えていくべきではないのか、こういうふうに思うわけです。そこら辺は、だからチェルノブイリやいろんなところも一回見てもらうと一目瞭然、比較ができると思います。
  30. 増岡康治

    増岡康治君 新エネルギー問題は、もともとが石油代替エネルギーをどうしようかというところから出たんですね。とにかく石油をどうにかできないものだろうかというところで出てきたわけです。だから、新エネ問題というのは寄与率が少ないだとか大きいだとか言わないで、石油を減らさなければいけないですよ、エネルギー悪化の問題が起こってきたんですから。だから、国とすればやはりそういうものにスポットを当てていくということをやらなければいけない。  じゃ、国が何ができるかといった場合には、やはり皆さんがいろいろな本で書いていらっしゃるように、新エネルギーというのは非常に地域性がありますから、この地域はこういう新エネをやりたいというようなことになると、先ほどおっしゃったように、何か公的なものが付与されるようなことでもしないと、国全般に新エネでやるといったら今のパーセントどおりで、これは寄与率はありませんよ。  だから、いろんな新エネの材料はたくさんありますけれども、その中を絞ってどういう地域に適合するか、太陽光ももちろんその一つでしょうし、地域がやろうと言った場合はそういう発想を積極的に国が支援する措置が要るんではなかろうか。こういう問題が将来は都市のつくり方、住み方の問題までいきます。  結局、消費の問題というのは、産業界が二分の一で民生が四分の一です。それから運輸関係が四分の一でしょう。産業関係はコストの生存競争ですから、省エネをやらない産業はつぶれるんですから、ほっておいても産業界の省エネは進む。民生はどうしても国なり地方の指導が若干要るなという感じがするんです。運輸関係の問題は、先ほど一井先生が盛んにおっしゃる問題にも関連しますけれども、これも相当難しい問題があります。これはまた別の物流問題にも関連します。  やはり国が何かスポットを当てようと思えば、民生部門に当てざるを得ないということで国の姿勢を示す。それが広くいけば、先ほど先生がおっしゃるように、いわゆる発展途上国のためにもなるという大きなバックグラウンドもこれあり、そういうような感じがするということです。  原子力は今おっしゃったとおりで、私は立地のところへ行ってぶん殴られた男です。ここ数年の電力需要を見て、一番安定しておるのが原子力発電です。足らないところは石炭火力だの水力なんかでピークをうまく補充している。ベースになっているのは、原子力から出たやつが一番安定しています。一遍火をつけたらずっとあれはとめちゃいけないんですから、ほかのやつはとめてもやめてもどうでもいいんです。それで、使っている状況を見ますと原子力発電というのはもうしょうがないんですよ。立木先生らの御批判もあって、それは反省しながら、やはり毎年毎年の積み重ねで安全装置をふやしていくという以外に方法はないのかな、こういうことで立木先生の御協力をいただきたいと思います。
  31. 立木洋

    ○立木洋君 長谷川さんがああいうふうに言われて、私が黙っておるというのはちょっとあれなんで、一言だけ言わせていただきたいと思います。  誤解していただいては困るんだけれども、私はさっきも言ったように、いわゆるシビアアクシデントの問題についてもその対策を検討したということは前進だと、そういう努力はやっぱり必要だ。だから、みそもくそも一緒にして全部どうこうだというふうな論陣を張っているわけでは全くないわけで、私は考えることは考えて言っているわけです。  しかし問題は、国民の中で少なくない人が不安を持っているというのは事実なんですよ。だからこそ原発の誘致に抵抗する。なぜかというと、やっぱり不安を持っているし危険があるんじゃないかというふうに思っているからなんです。それをただ一方的に、安全なんです安全なんですということを百万遍言っても、この問題はやっぱり解決できないんです。  だから、事故が起こったならばその事故も明らかにし、問題はこうでしたという事実を明らかにしながら、そしてみんなのコンセンサス、共通の認識が得られるようにしていくということは非常に大切なことであって、一方が、危険が起こったら事故が起こったらということをどんどん隠してしまう、言おうとしないというふうなことになるとますます疑惑が深まって、結局危険だから隠しているんじゃないかというふうなことにまでなっていく危険性がある。  アメリカの原発の大統領事故調査委員会で明確に言っているのは何かというと、原子炉は危険なのだということを口に出して言うようでなければ原子炉を扱うべきではないと言っているんですよ。私はけだし名言だと思うんです。これは危険なんだ、だけれどもこうやりますよ、だからこういう点では安全のためにこうやっているんですと、それを口に出して危険だということを言うことができないなら原子炉を扱うなとまでアメリカの大統領の事故調査委員会では指摘をしているんです。  そういうふうなことを考えるならば、我々は、人類がつくり出した英知なんだから、これに対しては完全に民主、自主、公開ということでやっていかなければならない。だから今の問題についても、急激にさらにふやすというふうな問題だとか、あるいはリサイクルの問題でプルトニウムをどうこうするというような問題についても国際的に今さまざまな問題があるわけですから、やっぱりもっと慎重な態度を政府自身がとるべきではないかということを強調したんであって、全部を私は否定したわけでは全くないわけですから、そこらあたりは誤解のないように。
  32. 長谷川清

    長谷川清君 今の立木さんの話については私は同感です。原子力はとにかく不安であり危険であり、そこから出発している、この点はもう全く同感です。  だから、私が言いたかったのは、今が何十億分の一の確率です、それはたゆまぬ努力で何千億分の一、絶対と。この世に絶対はないかもしれないが、そういう追求と探求はしていかなければならぬ。だから、一生懸命危ないぞ危ないその警鐘には大いにこれは耳を傾けてやっていかなければいけない。  そのことと、私が今一番言いたいのは、原子力に問題ありと言う人々には二色ありまして、原子力反対ということで飯を食っている人もいるんです。それが戦略、戦術に使われるというのは間違った方向へ行くと思います。いわゆるごく一般の人が原子力、原子と聞いただけで、原爆を受けた日本の国民としてという意味から、なろうことなら怖いものよりはクリーンな方がいいという次元でとらえられている一般の多くの国民の皆さんに向かっては、もともと危険なところからスタートを切って、今ここまで科学技術とみんなの英知で来ておりますという説明がいろんな意味で必要だと思います。そういう点はよく色分けをした前提の上に立って私は申し上げているつもりで、最後のところの話は真に危険なものに立ち向かう、この基本姿勢は全く同感なんです。  そうなると、立木さんと僕は日ごろからいろんな話をしているが、もうこの問題については党派を超えて一致しているんですよ、基本的には。だから、前半の方が二色あって、何が何でも反対みたいな立場に立っているのかなと、そうでないと言うんだから、それじゃもう全くのお友達と、こういうふうに言えると思います。
  33. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 原子力発電所の事故の危険性ということに関しましては、とりわけ今問題になっておりますのは、要するに事故が起きた後の後世代における影響ということをもう少し慎重に考えなければいけないのではないか。  チェルノブイリの事故に関しましては、その子供たちに及ぼす影響、そして遺伝子あるいは生殖機能に対する侵害といった問題も世代を超えて考えなければいけないということをみんな女性たちは言っているわけです。とりわけ、核の放射性廃棄物というものは、結局のところ後世代にツケを残すということにもなるわけですから、そのところもしっかりとコストの中に入れて考えるという考え方が必要ではないか。  太陽光発電に関しては、私は今まで先生の言われたように立法化、そして補助金その他コストの低減に向けての努力というのは不可欠であろうと思いますが、やはり原子力発電所におけるコストの問題を考えた場合に、必ずしも原子力というのはそんなに安いものではないのではないか。立地に十五年以上かけて、そして地域に対するいわゆる買収工作費とかあるいは地域振興費、固定資産税における減免制度、その他のすべてのコスト、そして核廃棄物処理のコストも含めて一遍コスト計算をしっかりした場合に、それは他のエネルギーよりも決して安くないという結果が出ているわけです。諸外国のプルトニウム政策のいわば撤退はなぜかという点について、コストの計算というのが非常に大きく物を言っているということを我々としても再検討する必要があるのではないかというふうに考えるわけです。  そういう意味では、次の新しいエネルギーとして太陽光発電というものは、地球規模において私どもが開発していかなければならない。さらに、第三世界に対して太陽光エネルギーの開発技術というものをドイツなどは先進的に出しているわけですから、我が国においてそれにおくれをとる、ただ単にひたすら原子力ということでは将来的に問題ではないか。とりわけ、国際競争力と需要の面でそれを推進する場合に、いわば地球に及ぼす問題ということをもう少し大きい視野で考えなければいけないのではないか。  第二に省エネルギーに対して、我が国産業構造、民生、運輸に関しましての徹底的な見直しが必要ではないか。  私は、ことしの七月にEUの環境政策のシンポジウムに出かけてまいりましたときに、新しく開眼をいたしました。それは、今まで税金というものは収入の高い人に累進的に課していくというのが一つの財源でありましたが、環境負荷に対して環境税なり炭素税なり、そういったエネルギー消費に関する税金というものを課していくということはイコールライツだ、そういうコンセンサスがEUでできているということを知ったときであります。  そういう意味で、税金を納める場合のもうけていくものと環境に負荷を与えていくものといわばイコールライツということは、積極的な富の生産と消極的な環境に対する負荷というものに対する責任という意味で税金の仕組みもやはり考えていかなければいけない。そういう中で、省エネルギー政策というものを国の政策として打ち出していくということがあわせ必要ではないかというふうに考えます。
  34. 星野朋市

    星野朋市君 ちょっと具体的な問題に入りたいと思うんですけれども、この間改定された新しいエネルギー需給計画、これについても基本は省エネというところにポイントを置いているわけです。だから、年率一%の増加額、こういう積み上げ方式なんです。  省エネは幾ら言葉で言ったって難しいんですよ。そういうことではないと学者の一部は言いますけれども、結局省エネというのは価格かタックスかあとは罰金しかないんです。この三つのうちどれかということならば、省エネというのはその三つのうち一つでも解決されなければなかなか現実論としては難しい、こういう実態があるわけです。  確かに、省エネというのは教育から始めなくちゃいけませんけれども、そういう実態がある以上は、今度はいかにエネルギーの効率を上げるかというところに重点を置かなくちゃいけない。私がこの調査会の理事をやっていたときに、皆様方を御案内してコージェネレーションの現場を見てもらいましたけれども、今考えられている熱効率の向上ではやっぱりコージェネレーションというのが一番実用的だと思います。  それで、この調査会あり方として、いつもこういう議論をして提言という形で残念ながら終わっているんですね。せっかくこの調査会がありながら、そこから出た結論を何とか議員立法まで持っていけないかというのがこの調査会の本来の趣旨であると私は思っておりますので、一定地域の開発に関してはコージェネレーションを義務づけるとか、それからある面積を持った建物、これは東京ガスなり東京電力へ行けば、コージェネレーションというのはある平米数を持ったところでは何年間で償却できるという基礎的な計算がちゃんとできているわけですから、そういうものを義務づけるというような形に持っていけないかというのが一つ提言です。  もう一つは、この間エネルギー庁長官にも私は質問しましたけれども、現実に日本のエネルギーは原子力、石油それからLNG、この三つの基本に頼らざるを得ないんじゃないかという中では、要するに石油の輸入の安全確保、それから原子力は今いろいろ議論がありますけれども、これは実現の目標はかなり難しいと思います。確実なのはLNGなんです。  今は御承知のように、これは液化天然ガスで入っていますけれども、この前、芝浦工大の平田さんを招いてお話を聞きましたけれども、要するにパイプライン構想というのはどうなのか。ヨーロッパはあの東西冷戦の時代でも縦横にパイプラインを引いている。このことを日本列島及び中国大陸まで広げて、まあ中国大陸は外国のことですから別として、日本のパイプライン構想というのを何とか実現できるような形に持っていけないか。  このパイプライン構想については、浜本元会長と何とか議員立法に持っていけないかという相談はしたことがあります。通産省に多少これに消極的な意見があるんですけれども、これは一回通産省を呼んで聞いてみたいと思いますけれども、このパイプライン構想というのを何とか実現できないか、そういう形に持っていけないか。二つ私は具体的な提案をしたいと思います。
  35. 牛嶋正

    牛嶋正君 実は、私と広中さんは分担をしておりまして、私は産業それから広中さんが資源エネルギー。真ん中に丸がありますけれども、資源エネルギーとくっついているわけで、その両方のテーマをつなぐものは何かということを先ほどからいろいろと考えていたんですが、私はその一つ公共投資かなという気がいたします。  と申しますのは、今までの公共投資というのは、まず経済基盤を整備していくということが第一の課題でありました。それがやがて生活基盤の整備に移ってまいりました。言うならば、この経済基盤の整備とかそれから生活基盤の整備というのは、国づくりで申しますと、比喩的に言えば私たちの体の手足とか胴の部分をつくってきたというふうに言っていいのではないかと思います。ですから、できるだけ長もちして安全で、そしてバランスがとれているというふうなことが求められ、投資の基準になってきたと思うんです。そういう意味では、シーリング方式もそれなりの役割を私は果たしてきたと思っております。いよいよ胴の部分それから手足の部分が大体できたわけですから、私はこれからの国づくりは顔と頭の部分だろうと思うんです。  ところが、ここのところは国民の選択が非常に分かれるところです。例えば、顔について言いますと、面長がいいという人もあるでしょうし、丸顔がいいというふうな人もあるでしょう。そうしますと、今までのように安全で長もちするというふうな基準だけではなかなかうまく公共投資が進んでいかないというふうに思います。今は公共投資の基本計画は数量だけ言っておりますけれども、私はむしろ、その顔の部分はどういうふうにつくっていくのかということから考えると、非常に投資基準が難しくなってくるだろうと思います。ですから、今までのようなシーリング方式でいっていたらこれはとんでもないことになってしまうというふうに思います。  できるだけ国民の皆さんの選好を集約した形で顔と頭の部分をつくっていかなければいけないんですけれども、第一番に肝心なことはやっぱり日本らしさというふうなことが非常に必要ではないか。日本らしさというのは何なのかということを考えますと、やっぱり天然資源が非常に乏しいということです。だとすると、日本の国土をつくっていく場合、その乏しい資源、これはどうしても海外に依存しなければなりませんけれども、これを先ほどから出ておりますように効率的に利用する、そういうような国をつくっていくということが非常に大きなテーマになってくるのではないか。そういたしますと、ここで資源エネルギーの議論がそこに入ってまいります。  こういうふうなことで、新しい国づくりと。ですから、もう少し地域的に言いますと、私は新しい町づくりでもいいと思いますけれども、六百三十兆円の公共投資の量だけを決めるんじゃなくて、その中でこれをどういうふうに使っていくか。その中に環境保全も含まれるでしょうけれども、私は第一番目に、できるだけエネルギーの効率的なシステムを持った国土づくりをしていく。その中には、先ほどから出ております太陽エネルギーの利用、そういったものも含まれる。それを促すような公共投資というものをやっぱり考えていかなければならないんではないか、こんなことを考えておりました。
  36. 三重野栄子

    ○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか——それでは、資源エネルギー問題についての意見交換はこの程度にとどめます。  以上で、二十一世紀に向けての産業資源エネルギー政策課題に関する件についての本日の自由討議は終わりました。  委員の皆様には、貴重な御意見、御提言をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。  今後は、本日の御意見等を踏まえまして、さらに最終報告に向けて意見の表明、自由討議等を行いながら、課題提言の絞り込みを行ってまいりたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会