○笠原潤一君 今、
大臣からいろいろと詳細にわたって
お話がありましたが、御承知のように、アメリカ憲法によれば十一月の最初の月曜日の後の火曜日、ザ・ファースト・チューズデー・アフター・ザ・ファースト・マンデー・イン・ノベンバー、これが投票日ですから、間もなくアメリカの中間選挙の結果がわかるわけです。
今、クリントン大統領は、ハイチの問題それからクウエート・イラク間の問題で、一応はああいう形でクリントン大統領の力量といいますかが発揮されまして、それがアメリカの
国内世論で大きく評価されてきて、ようやく五〇%台に人気が上昇してまいったということであります。しかし、クリントン政権のここ二年ほどの一連の
国内手法といいますか、
国内政治のとらえ方その他についても不信感がまだ目立っておりまして、果たしてこれがこの選挙に、
与党・民主党に上下両院とも有利に働くかどうかは予断を許さないところであります。
いずれにいたしましても、政権党というのは非常に弱いわけです。そういう点で、今後この中間選挙の結果が十一月八日に出てまいりますから、その後の動きが、議会は御承知のように非常に駆け引きの強いところですから、さらには
日本と違ってアメリカの場合はロビイストがすごい動きをいたしますので、この動きがどうなっていくのか。
さらに、アメリカは今、私も九月に行ってまいりまして、非常におもしろいのは、製造業を中心としてアメリカの経済が立ち直ってきたわけです。非常に雇用もよくなってきましたし、失業も減ってきたわけです。これは何もクリントン政権の政策がよかったというわけじゃなくて、私
ども想像いたしますに、まことに
日本と比較いたしてみるとおかしいんですけれ
ども、
日本は今
国内の産業の空洞化で大変な問題なんです。円高でどんどん中小企業まで海外にシフトしていく。
かつてはアメリカも一九五〇年代、黄金のアメリカがたまたまベトナムに突っ込んだ。それからいろんな問題があったんです。ケネディが殺される、キング牧師が殺される、もちろん白人と黒人の根幹の問題、いろんな問題がありまして、アメリカの
国内経済が非常に悪くなってきたものですから、アメリカは
技術移転の名のもとにいろんなものが海外へ行ったわけです。一番注目されたのは
日本であろうと思います。
日本ヘアメリカの企業がどんどんシフトしてきたものですから、そういう点で
日本は空前の、もちろんいろんな
努力もあったでしょうが、あの石油ショックをはるかにクリアして今日の繁栄を築いていったと思うんです。よく考えますと、アメリカの一九六〇年代の後半から七〇年代の様相にやや
日本も似てきたなと。
八〇年代に至ってアメリカの州
政府は、州知事が先頭になって
日本へどんどん来ました。そして
日本の企業の誘致をどんどんやったわけです。御承知のように、ノースカロライナのリサーチ・トライアングルもそうですけれ
ども、あるいは中西部の、ミシガンはちょっと問題がありますけれ
ども、オハイオ、ケンタッキー、ケンタッキーはトヨタが出ていったし、インディアナからイリノイから南部はアーカンソー、クリントンさんの足元まで
日本企業が行きましたし、テネシーもそうだし、もう全米至るところへ
日本の企業がどんどん進出していったわけです。そしてそれが非常に大きな原動力になってどんどん雇用がふえてきました。これでようやくアメリカで今、
日本企業ばかりとは言いませんけれ
ども、そういう結果、アメリカ経済の製造業が復活し、そしてよくなってきた。
さらに、私がアメリカへ行って気がついたことは、かつて
日本もそうですけれ
ども、アメリカが不況業種として切り捨ててきたような繊維であるとかセメントであるとか、その他もろもろのそういう企業が今復活の兆しにあるわけです。ですから、実は中間選挙前にアメリカでWTOの批准が行われる、こう私
どもは思っておったんですけれ
ども、もちろんメディカルケアのヘルスケア法案とかいろんな問題も抱えておったんですけれ
ども、中間選挙後に先送りされました。ホリングス上院商業
委員長なんかは繊維出身ですけれ
ども。
最近、ニューヨークと言わず南西部でも、私がいろんなデパートなんかへ行きますと、かつてはメイド・イン・台湾とかメイド・イン・インドネシアとかたくさんあった。あるいは最近はメイド・イン・インディアもあるんですが、最近アメリカ製品も随分多いです、メイド・イン・USAが。したがって、繊維はどんどん復活してきたなと思っています。セメントなんかもかつては
韓国とか
日本から輸出しておったんですけれ
ども、アメリカは自前でやらなきゃいかぬということで、最近小野田あたりがアリゾナへ行ったり、セメント業種も向こうへ行って
技術提携をやっておる。こんなことで非常に製造業はよくなってきました。そういう点からいうと、
反対に
日本は中小企業が出ていって、海外からの誘致を全然しないと。全然これはおかしな形になってきたわけです。
したがって、円高もいろんな説はありましょうけれ
ども、今のうちにアメリカは
国内製造業、
国内産業、経済をしっかりしておいて、御承知のように千五百億ドルも貿易のインバランスがあるんですが、その間に立て直そうなんという感じがなきにしもあらずじゃないかというような気もいたします。
そういう点で果たして上院下院の中で各州選出の今度新しい
議員さんが、もともとアメリカというのは貿易立国であると同時にモンロー主義の国ですから、もう私が今さら
河野大臣に申し上げるまでもなく、ウィルソン大統領がかつて国際連盟をつくるということで大変奔走して、一時はアメリカのマスコミも議会も賛同しながら結果的には批准をしなかった、こういうこともありまして、アメリカの議会の動きというのは非常に微妙なんです。
したがって、その辺につきまして、先ほど少し
お話がありましたが、果たして十一月二十九日あるいは十二月一日に上下両院でこれが批准されるかどうかというのは、いろんな法案もありますけれ
ども、そこら辺の見きわめをしっかりしないとこれはちょっといろいろになるんじゃなかろうかという懸念もあるわけです。そういう点につきまして、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。