○
武田邦太郎君 これまでの御努力、もうずっと続いてきたわけですが、そういう御努力に加えてもう一つ考えることができないのかと思いますのは、歴史がだんだん発展して文明が進む、そうすると、情報通信のパワーが非常に広がっていくとか、あるいは交通輸送の手段が非常に広がっていくとか、あるいは
経済的には特に国際的な金融のパワーが広がるとか、こういうことで現在の国家単位の
経済がいわばヨーロッパ共同体に見られるように国を越えて国家連合とも言うべき大きい単位に広がる。だから、政治の単位と
経済あるいは文化の単位に非常に乖離ができて、時たつにつれてどちらが力を持つかと言えば、むしろ歴史の流れとしては国家連合的な力の方が優越する方向ではないか。
その流儀で言えば、現在東アジアのコミュニティーができるのかできないのか、アメリカはかなりこれに反対しているようでありますけれ
ども、アメリカがいかに反対しても東アジアの共同体的なものはできざるを得ない。一国の権力じゃどうもできない方向に歴史は動く。アメリカはアメリカなりに北米自由
経済圏的なものの方がよりアメリカが当面やるべきことでありましょうから。
そういうふうに考えますと、現に、中国とハバロフスク以外の
ロシアの間には、食糧とかあるいは生活
物資については行商的な活動で中国の活動が非常に広く
ロシアに入っている。そういうことが背景になって黒竜江の中の珍宝島その他の島の領有権は中国に有利な方向に
解決をしているという事実もございます。
そういうことで、これまでの御努力はいよいよ強くやっていかなきゃならぬことはもちろんでありますけれ
ども、それと並行して、
ロシアにとってハバロフスク以東というと、国家権力的には相当の抵抗もありましょうけれ
ども、もう現に中国の
経済活動は広がっているわけで、中ロ両
政府にどの程度の
了解があるのか全くわかりませんけれ
ども、現実はそういう方向に動いて、中国の
経済活動が
ロシアに非常に恩恵を与えている。双方の意思疎通に非常な力を持ちつつあるということはどうも確実ではないか。
そういうことをもっとスケール広く考えれば、
日本、
ロシア、中国、朝鮮半島の二つの友邦、それから東南アジア、そういうところをあわせてアメリカのNAFTAと将来を期して十分に
交流し和親を強めながら、もう一歩早くそちらの方に努力するということの中で、
日本の
経済力なり科学技術力は
ロシアに、あるいは言いかえてみれば
ロシアの民衆に、あるいは地方政権に切実に
日本と和親を結ぶことが大事だと。
そういうことが濃厚に出た背景において四島の問題はむしろ、先ほどどなたでしたか
大臣でしたか、
向こうの方が進んで
日本ともっと接近したいとかもっと
経済的には一体化をしたいとか、さらに進めば、もともと歴史的に言えば
日本の
領土であったじゃないかというようなことが有力に浮かび上がる外的条件を形成できるんじゃないか、こういうふうな気がするんですが、いかがでしょうか。