○下村泰君 ここで先ほど
大臣に申し上げたようなもう食い違いが生まれてきているんですね。
確かに障害者用のエスカレーターは取りつけたとおっしゃるんです。でも実際にこれを動かすとなるとえらいことになるんですよ、これは。一回上ったりするのに四分以上かかる。しかも、逆に動いているときに障害者が来たら、障害者の方は駅員さんに通知しなくちゃいけないんですよ、ちょっと来てくださいと。
そうすると、これは逆
方向に行くときはこのエスカレーターをとめなくちゃいけない。そうしますと、このエスカレーターを利用している一般の乗客はどうなるんだということになる。これは大きなトラブルになるんですよ、
利用者と。例えば極端も言い方をすれば、障害者の車いす一つのために何百人かの客が動けなくなるという
状況も出てくるわけでしょう。そうなりますと、怨嗟の声は当然障害者の方に集まるわけですよ。何だ一人のためにということになるわけです。ところが、障害者用のエレベーターがあるならばそんな問題はもちろん起きないんです。
しかも、
大臣だっておわかりのごとく、これから高齢者の
時代が来るわけでしょう。高齢者というのは動けなくなれば即障害者と同じなんです。そうなりますと、この障害者は全部、老人は全部、まあ全部が全部とは言わないでしょうけれ
ども、車いすの老人がふえるわけでしょう。そういう方々が多くなってきたら、じゃこの障害者用のエスカレーターはのべつ幕なしに障害者を運んでいなくちゃならない、その車いすの方々を。そうすると一般の方はどうなるんですということになりますね、話の先々として。
それと、これは
大臣にも聞いていただきたいんですけれ
ども、つい十五、六年前ですよ。私は余り外国というのは好きじゃないんです、よくハワイへ行ってどうのこうのなんて言いますけれ
ども、私はもう兵隊当時に東南
アジアをくんざん回ってきていますから。
日本ぐらいいい国はない、こんなすばらしい水とこんなすばらしい食べ物のある国は
世界じゅうないんですよ、どこへ行ったって。よくヨーロッパの方へ行くと、このシャトーがどうのこうのと能書きを述べますけれ
ども、地震もない土地であれだけの城が残っているのは当たり前だ、あんなものは。そこへいくと、
日本はのべつ幕なしにがたがた揺すられているんですから、そこにあれだけの城が残っているんですから、
日本は大したものなんです、
日本という国はね。そういう自分で固定観念を持っていますから、私は余り外へ出てみょうなんて思ってないんです。
ところが、ハワイのホノルルに行ったときにびっくりしたのは、あのすばらしい海岸に車いすがずっと置いてあるんですよ。
日本の江の島にありますか、鎌倉にも。由比ケ浜にありますか、車いす。
日本の場合には、こんなもの置くな、ばかやろうと。景観が悪いとか見てくれが悪い、こんな人に泳ぎに来てもらうわけじゃないやと、こうなんですよ、
日本人は。取っ払いますよ、みんな、みっともないからといって。ところが向こうは置いてあるんです。ハワイのホノルルには
世界じゅうからいろんな方がいらっしゃる。中にはおみ足の悪い方もいらっしゃる。となれば車いすは当然使う。そのために置いてあるわけでしょう。
日本の
空港がそうでしょう。羽田だってつい最近だと思いますよ、車いすを置くようになったのは。私が出入りしているときはなかったですよ、車いすは。最近やっとそんなものがふえてきた。これが
日本の現状なんです、実際のことを申し上げて。
ですから、
大臣、そういうふうに考えていただきますれば、私が今言ったこの天王寺駅のエレベーターぐらい、本来だったら
運輸省の力でごおんとやるべきが当たり前です。しかも、一九九七年に
大阪の長居というところで今度身体障害者の
国際大会があります、いわゆるパラリンピックみたいなものがね。そうしますと恐らく
大阪の方では、障害者用のエレベーターがないから天王寺駅は使わせないで、別のバスに乗せてできるだけそういうところは見せないようにとか使わせないようにといって運ぶんじゃないかと思いますよ、私は、その出場選手を。
それから、先ほどから関西
空港の
お話も出ていますけれ
ども、関西
空港でも、確かに
設備はよくなっています、
設備はよくなっているんですけれ
ども、きて障害者が使うとなるといろんな不便があるんですね。電動いすで行けばそのままぶっかってしまって、これよりおまえ中へ入るなと変なものが置いてあったりなんかして、本当に使えないというような
状況がたくさんあるわけなんです。
しゃべると私はあとは何十分でもしゃべりますけれ
ども、余りしゃべってもいられませんからこのぐらいでやめくせていただきますけれ
ども、そういうふうに細かいことが山積しているわけですよ。だから、
局長が先ほどからおっしゃって、さっきも私は言ったでしょう、
運輸省という建物の中で、私らが
お話をさせていただいて、こうしていますよ、こういう指示は出していますよと言っても、今私が申し上げたように出先機関とは全然違うんです。こういうとこ保ろを
認識していただいて、
大臣にひとつ答弁をいただいて私の
質問は終わりにします。