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星野委員 そこで、時間もありませんから進ませていただきますが、先ほど申し上げましたように、
我が国の
農業、
農村の
状況は容易ならない
状況にあります。今回
政府がお決めいただいた六兆百億円の
ウルグアイ・ラウンド関連の
農業、
農村対策に敬意を表しながらも、しかし、これで
農業、
農村の立て直しかできるとは私はどうしても思われないところであります。
御案内のとおり、社会経済情勢の変化の中で、
農村の過疎化あるいは高齢化の進行は言うまでもありません。
それから、農地の関係でも、平場では都市化の進行によって農地が
道路敷地になったり、あるいは工場用地になったり、住宅用地になったり、公共施設の用地になったり、年間約二万ヘクタールの農地がつぶれていっているのですよ。都市化の進行等でそういう平場での優良農地が宅地化される。それから、中
山間地の農地の担い手のいなくなった耕作放棄地がふえているということは申し上げたとおり。
それから、後継者がいない。さっき申し上げた学卒の
農業就業者が全国で千七百人。三千三百の市町村で割れば〇・五人、一人いないわけだ。全く後継者がいないと申し上げても過言でない。嫁さんがいない。嫁さんの話を聞くと、水道ができてなくて朝シャンができないから農家の家に嫁に行くのは嫌だという話も聞いたことがありますが、いずれにしてもそういう
状況で、まさに今
日本の
農業、
農村というものは衰弱し切っている、こう言わざるを得ません。
これを立て直すということは大変なことでありますが、しかし、愛する
我が国の
国土、そしてまた
環境、あるいは子供や孫、国民を飢えさせないために、すなわち国家百年の大計のためにどうしてもこの
農業、
農村の立て直しはやらなければならない、それは今政治の衝にある我々の責任である、そういうふうに申し上げ、私も確信をいたしているわけでありますが、そのために私は率直にどういうことをやったらいいかということを五つ御提案申し上げます。
一つは、既存の土地改良負担金。これは、全国合計いたしますと、元金だけで約二兆円、償還期間の利子を計算すると約四兆円の借金が全国農家の借金を合計するとあるんですね。これを、私は結論だけ先に申し上げます。安い金利に借りかえるというようなことでは、とても今のこの国際化、
自由化の荒波の中で、この衰弱し切った体で私は無理だと思うのです。やはり元本を五〇%カットして、荷を軽くしてやるべきだというのが私の第一の提案。
第二の提案は、
農業基盤
整備。これは平場も中
山間地もそうでありますが、農水省の皆さんの御努力で補助率が随分高くなった、引き上げられた。あるいはまた市町村の一〇%負担というものも土地改良法の改正で入りまして、農家負担は既往に比べると大幅に
改善された。
改善されたけれ
ども、私は、農地というものは、平場あるいは中
山間地も含めて、まさに
国土保全、
環境保全でありますから、そういう面を
考えて、ぜひ原則国あるいは都道府県、市町村、公費でやるべきであると
考えます。
なぜそういうことを申し上げるかといいますと、
一つは、この間ある町の町長が来て言っていましたけれ
ども、もう七十代の人でありますが、今まで一生懸命
農業をやってきたけれ
ども、もうできなくなって土地を売ったというのですね。そうすると、既往の県営圃場
整備は、二七・五%、御案内の農家負担があるでしょう、その借入金。だから、その土地を売った代金で土地改良の借入金を払ったらそれでパアになったというんですよ。戦後の食糧不足から
本当に難儀な仕事を一生懸命国民の食糧を守るために頑張ってきて、それで一生涯を終える、全財産を処分して借金が終わる、これじゃ余りにも悲惨じゃありませんか。
それからもう
一つ。やはり今までのような米価が右肩上がりのときは、負担しても基盤
整備をやろうという農家は多かったですよ。ところが、今の
農業情勢の中で、先行き不安定、米価が上がる要素はまずない、そういう
状況の中で、農家の
皆さん方が借金してまでこの基盤
整備をやろうという意欲が少ないのです、正直言って。そうすると、結局なかなか
地域内の農家の
方々の同意がとれない、なかなか
農業基盤
整備が進まない、そういうところは現に間違いなくありますよ。
御案内の
平成五年に第四次の土地改良十カ年、四十一兆円、こういうことを決めていただきました。あるいはまた、今回の
ウルグアイ・ラウンドで三兆五千五百億の
農業農村基盤
整備を決めていただいておりますけれ
ども、私は、そこのところを
改善しないとなかなか基盤
整備はうまく進まない。しかも、この六年間の
ウルグアイ・ラウンドの期間内にしっかりとやはり基盤
整備の大宗はやってしまわなければならない、そう思うのでありますが、私は、今申し上げたように、そのためにはやはり原則公費で基盤
整備はやるという大方針をしっかりと決めるべきだ、そう思うのです。
第三番目。平場地帯でありますが、基盤
整備さえしっかりやれば、中核的担い手に、利用の集積で、受委託あるいは貸し借り等でやはり進んでいきますよ。昔は大きな地主があって小さな小作がいっぱいいた。これからは小さな地主で大きな小作、そういう形で二十町歩、三十町歩の新農政に言うところの大規模農家が平場では間違いなくできていきます。また、中核的な担い手支援、そういう面では必要だと思いますが、まあそういうこと。
それから第四番目は、問題は中
山間地であります。中
山間地になぜ若者は定着しないかといいますと、それは二つある。
一つは、やはり都市の
環境と
山間地の
環境を比べてその
生活環境に大きな格差があるということ。もう
一つは、所得に格差があること。この
生活環境と所得の格差がやはり中
山間地の過疎化を食いとめ得ない。今まで大変努力してこられた、我々も努力してきた。けれ
ども、さっき申し上げたように、過去五年間で中
山間地の集落の灯の消えた数が千を超えるというのですよ。これから先どうなるのですか。そういうことを
考えると、やはり中
山間地については
日本型の所得補償政策、ヨーロッパ型のデカップリングは適当でないと思いますけれ
ども、やはり
日本型の所得補償政策を速やかに確立をしていかなければ悔いを千載に残す、そのように私は思います。これが、今申し上げたのが第四番目。方法はいろいろとあります。
第五番目は、やはり
農村というものを、今混住化あるいは共住化ということで農家だけが暮らしているわけじゃありません、しかしこれを豊かな自然の中で都市部と格差のない
生活環境を
整備をすることによって、一極集中是正にもなる、同時に中
山間地の若者定着にも貢献をしていく、こういうことであります。
私は、今申し上げた第一番目に、土地改良の負担金、元金を半分減らしてやりなさい。これからの厳しいあらしの中、国際化、
自由化の中で農家に頑張れと言うには、荷を軽くしてやらなければ衰弱した体には無理ですよ。そのことをぜひ私は強調しておきたい。
第二番目は、
農業基盤
整備を原則公費でやるべし。
第三番目は、やはり平場地帯は規模拡大、利用の集積という形を支援をする中で規模拡大を育成していく。
日本の
農業の一番のウイークポイントはやはり零細性にあるわけだ。しかも、二次産業、三次産業で雇用機会がふえていけば、あるいは所得の機会がふえていけば、少なくとも土地を放さないで利用の集積という形で規模拡大が進んでいくことは、私は流れとしては間違いないと思う。
それから第四番目が、中
山間地対策。これは一番私は重要なことだと思うのでありますが、この間、十一月十八日に宮崎県の松形知事が主宰をして
国土保全奨励制度のシンポジウムがございました。研究会もできているわけでありますが、いろいろなやり方がありますけれ
ども、
日本型の所得補償政策をぜひとも、我々もまた時間を見て提案したいと思いますが、大河原大臣、今までのことは全部わかっていらっしゃるわけでありますから、大河原大臣の時代にぜひともこれを確立をしていただきたい、そのことをお願いを申し上げておきたいと思います。
時間になりましたので私の提案だけで終わりますけれ
ども、何かコメントがあったら、今申し上げたうちの幾つかでも、大河原大臣、コメントを願います。