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1994-11-30 第131回国会 衆議院 規制緩和に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月三十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長  後藤  茂君    理事 池田 行彦君 理事 亀井 善之君    理事 橘 康太郎君 理事 村岡 兼造君    理事 栗本慎一郎君 理事 武山百合子君       小野 晋也君    七条  明君       武部  勤君    御法川英文君       村田 吉隆君    川端 達夫君       高木 陽介君    樽床 伸二君       弘友 和夫君    村井  仁君       吉田 公一君    輿石  東君       松前  仰君    宇佐美 登君       佐々木陸海君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   石和田 洋君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 和泉沢 衞君         経済企画庁国民         生活局国民生活         政策課長    平野 正宜君         法務省民事局参         事官      升田  純君         外務省北米局北         米第二課長   西宮 伸一君         外務省経済局国         際経済第一課長 鈴木 庸一君         大蔵省主税局税         制第一課長   福田  進君         大蔵省銀行局総         務課金融市場室         長       木下 信行君         文部省高等教育         局私学部私学助         成課長     樋口 修資君         文部省学術国際         局研究助成課長 霜鳥 秋則君         厚生省薬務局審         査課長     藤井 基之君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   寺坂 信昭君         運輸省自動車交         通局旅客課長  藤井 章治君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       丸山  博君         郵政大臣官房総         務課長     鍋倉 真一君         労働省職業安定         局民間需給調整         事業室長    森山  寛君         特別委員会第三         調査室長    佐藤  仁君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月三十日  辞任        補欠選任   貝沼 次郎君    弘友 和夫君   山田 正彦君    吉田 公一君 同日  辞任        補欠選任   弘友 和夫君    貝沼 次郎君   吉田 公一君    山田 正彦君     ――――――――――――― 十一月二十四日  規制緩和に関する請願(大畠章宏君紹介)(第  一六二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十四日  規制緩和早期推進に関する陳情書外二件  (第一九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  規制緩和に関する件      ――――◇―――――
  2. 後藤茂

    後藤委員長 これより会議を開きます。  規制緩和に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  3. 松前仰

    松前委員 質問の第一番手でございますが、総務庁長官におかれましては、内閣仕事それから国会の活動等について連日大変御苦労いただいておるし、また、御努力いただいておることに敬意を表したいと思います。  早速ですけれども、この規制緩和目標日本の硬直化した政治経済とか社会構造、それからその社会構造を変えて国民自由意思を生かして活力ある国づくりをする、こういうことが一つの大きな目標であるし、そのことによって今日の五五年体制以降の社会日本を大きく変えていこう、そういうような目標があるということは、もう十分どなたも御存じだと思うわけでございます。同時に、国際問題について見ますと、今WTOの審議が行われておりますけれども、あれは世界を完全な自由貿易体制にしていく、そのことによって交換を主として新たな活性化世界じゅうで図っていく、それで市場を大きく広げていく、こういうような大きな目的がある。  そういう中での規制日本規制緩和世界の中で活動できる規制緩和、こういうことも含めて大きな改革が今なされようとしている。そして同時に、その規制緩和によって行政改革というようなところまで含めて抜本的改造ということでありますから、総務庁長官の大きな力というものを今発揮をしていただくことが非常に重要であるし、また、その方向で進んでおられることを私どもとして大いに後押しをしていきたいと思っている次第でございます。  ただ、規制についていろいろと細かい点が今議論されておりますけれども、いろいろ問題がたくさんありますので、きょうはそういう点について一つ一つ大きな考えに基づいて御質問させていただきたい、そういうふうに思っております。  その典型的な、具体例ではありませんけれども、例えば規制というものは、原点では非常に意味があった規制であった、しかしその規制が、次々と時代が経るにつれて、官僚皆さんがそれを引き継いでいくということになると、その規制を利用して権力そのものを持つ、権力行使武器になっていくというようなところが非常にたくさん出てきている。そのことによって、民間皆さんやら現場皆さんが大変苦労しているというところも出てきているのではないかと思っております。  今度、そういうことで規制緩和というものは、考え方としては、今ここで大仕事をやっておりますけれども、これが一つ終わりますと、ほっと安心してしばらくもう一切手をつけない、こういうことであると、やはりまた権力行使武器というようなものになってくる可能性がある。ですから、この規制緩和というプログラムを今回始めましたけれども、これをずっと続けていく、だらだらじゃなくて、きちっと一年とか二年とかそういうような区切りをつけて、そして継続して見直しを続けていく。行き過ぎの規制緩和もありますから、それも戻すというようなことも含めてそういう仕組みをつくっていくということが必要ではないかというように思うわけでございますけれども、まずそういう点について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  松前委員が御指摘されましたように、規制というものが、例えば戦後のあの荒廃した状況の中では必要であったという時期はあったろうと思います。戦後の荒廃から立ち上がるためには、例えば金融の問題でしたら、貸出金利もあるいは預金についてもある程度規制を加えまして、そして金融機関全体が護送船団方式でまとまって融資に対応していく、あるいは預金者に対応していくということがあったろうと思いますし、また、そういったことが日本経済高度成長に資したということもあったことは否定することができないと思います。しかし、現在世界第二の経済大国にもなったという状況の中で、果たしてそういった規制が必要であるかということは、おのずから議論のあるところだろうと思う次第でございます。したがいまして、私どもとしては、経済的規制については原則自由という方針のもとに、今規制緩和を懸命に進めております。  また、計画だけいたしましても、それをフォローアップしなければさっぱりそれが進行しないということもありますので、私どもとしましては、年度内に今後五カ年間の規制緩和計画を策定いたしたいと思っておりますが、計画を立てるだけではだめだ、毎年毎年これをフォローアップしていくということが必要だと思いますし、また、白書も出したいと思っております。また、行政改革委員会も近く発足をするわけでございまして、この委員会規制に対しまして監視をしていただく、必要とあらば勧告もいただくということで、規制緩和を積極的に進めるような体制もつくることができたかと思っております。  したがいまして、今申し上げましたようなことを通じまして、委員指摘のように規制緩和は、経済的規制につきましては原則自由という立場を堅持して積極的に進め、それがまたお役所の怠慢等で進行しないということのないように、政府全体としてきっちり対処いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 松前仰

    松前委員 今お話ございましたように力強い御発言もございましたので、ぜひともこの規制緩和については、将来ともしっかりとやっていけるような仕組みをつくっていただきたい。それから、行政改革委員会についても、やはり民間一般人たち、そういう人たちから見た規制緩和というものについてのチェック、これもぜひとも取り入れていただけるようにお願いしたいと思います。  次に移ります。今、この規制緩和プログラムについては、四つの内閣にわたって規制緩和が行われてきたと思うのでありますけれども、最近は、細かくというか非常に短く内閣変化したということもありましたけれども、この問題は継続性がある項目だと私は思っております。しかも、各内閣共通課題である、そういうふうに思っておりますけれども、その考え方に何らかの取り組み変化があるのかどうか。  というのは、大変失礼なことかもしれませんけれども大臣が先日の御答弁の中で、平岩委員会内容は読んでいないというような御発言がございましたので、そういう点を考えますとちょっと心配になるものですから、その面も含めて何らかの変化というか、前の内閣との取り組み変化というものがあるとしたら教えていただきたいと思います。
  6. 山口鶴男

    山口国務大臣 過般の委員会であったと思いますが、お尋ねがありましたものですから……。  私、行革審の答申詳細拝読をいたしました。国として正規にお願いをいたしました機関の、長い間時間をかけて議論をいただきました答申でございますので、これは丁寧に拝読をしたわけでございますけれども平岩委員会の方は、これは私的諮問機関でもございますものですから、そのときまでには拝見しておりませんでしたので、正直にそのようにお答えいたしました。  その後拝見をいたしました。そうしましたら、単に経済的規制について自由にするばかりではない、社会的規制というものもある。それで、社会的規制自己責任原則最小限のものとするようにすべきである。そして規制緩和を進めるに当たっては、特に独禁法の厳正適用を行うべきであるとか、PL制度を十分活用すべきであるとか、あるいは総合的な消費者被害の防止に努めるとか、救済制度の確立をするとか、それから十月一日施行になりましたが行政手続法を存分に運用するとか、そういったことについても触れておられまして、私は、平岩委員会というのはやはり、単に経済的自由を進めろ進めろということだけではなくて、消費者立場も配慮した妥当なお考えであったなというふうに認識をいたした次第でございます。その点を、機会をお与えいただきましたものですから、この際申し上げておきたいと思う次第です。  そして、その上に立ちまして、村山内閣といたしましては、これはもう行政改革村山内閣の最大の政治課題である、そうしてこれは規制緩和であり、地方分権であり、そして特殊法人整理合理化であり、これらの問題を積極的に進めていこうというふうに考えておるわけでございますので、その重要な柱として規制緩和も取り上げまして、懸命に取り組む決意だということで御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  7. 松前仰

    松前委員 平岩委員会の件は、今の御答弁で、一生懸命その内容について御理解いただいて取り組んでいただいておるということで理解をいたしました。  今私が聞きましたのは、各内閣共通課題でありますけれども、この内閣一つだけ非常に大きな変化があったと私は見ておるのでございますが、七月五日の「今後における規制緩和推進等について」という閣議決定、その中で一つプラスされた事項がございます。これは、もう前からそういうような意味のことがあったわけでありますが、きちっと出てきたのは競争政策積極的展開ということでございます。これは大きな事柄でございまして、競争政策ということになりますと、平岩委員会の、今お話がありましたような内容を大きく、競争方向というか自由競争、そういう方向に持っていくような内容でございますから、相当なことであろうと私は思います、大きなことであろうと思っております。  ですから、この競争ということを促すというのは、私は悪いとは思っておりません。競争によって活力が生まれ、新しい創造ができて、そして新しい分野の開拓ができて、そのことによって規制緩和やら、競争によっての雇用の減少というものを補うという効果があるということで、我が国にとって今非常に厳しい社会状況であるけれども競争による社会の拡大、このことを目指しておりますから、非常にこれはいいことだと思うのでありますけれども、もし競争を促す規制緩和、これを、ただ項目だけ一生懸命検討して競争条件をどんどんつくっていくというようなことになりますといろいろな問題が出てくるということを、やはりしっかり頭に認識していただきながら進めていただく。当然もう総務庁長官は認識されていると思いますけれども官僚皆さんもいらっしゃいますから、ここで質問がてら説明してみたいと思うわけでございます。  例えば、格差が非常に大きいという場合の競争条件を促すための規制緩和ということになりますと、これは格差が大きい時点で緩和するということになれば、その有利な企業、例えば企業競争でありますと有利なところが圧倒的に強くなるというような、そういうようなことがあって、独占方向へ向かっていくというようなことがある。NTTとその他の今の電話会社NCCですか、その競争にも見られますように、この競争条件というもの、既成の独占状況という中から急に民営化されて競争条件を持っていくと、なかなかこれが本当の競争条件というものになっていかないということで、両方とも、NCCNTTも苦慮して今日やっている。そういう中で、政府のいろいろな指導があったりなんかして混乱しているという今日の現状がありますけれども、そういうようなことが一つある。  それから、中小企業もしっかりした力を持たなければ、競争というのは、お互いにみんなしっかりした力を持たなければこれは成り立たないものでありますから、競争によって公正にいくには。政治も同じですけれども、二大政党政治というのは、これは競争によって政権交代をしていくということですから、同じような力でなければいけない。こんなに差が離れたところで競争をやって、二大政党政治が成り立つわけはないのでありますから、そういうようなことも含めて考えますと、その基礎的力というもの、対等な力を持つための下地というものも、同時にきちっと整備をしていかなければならないのではないかと思うわけでございます。  そこで、教育の問題というのが出てくるわけですね。教育についてはまだ後ほどお話ししていきたいと思いますが、それからまた規制でないような規制というものが随分出てきている。要するに、今言ったような非常に差のあるところでもって規制緩和をやりますと、独占方向になっていく。独占方向になっていくと、それが今度は排除できないような条件ができてくる。例えばマスコミ関係放送関係、これは規制緩和をしていきますと、マスコミ集中排除というのがあったのですけれども、これを排除していきますと、これは、今まで集中化していたところを排除したらそのまま集中化で終わってしまうというようなことになって、マスコミ自体はもう一般に全部普及しておりますから、それをやめさせることはできない。もうそこによって社会的に地盤ができている。基盤ができているというところになると、これはもう何といいますか法律規制じゃなくて、そういうものについての大きな権力の存在としてなっていくというようなこともあるということがあります。ですから、本当に競争を促す規制緩和ということになれば、基盤をきちっとしっかりしていかなければいけない。  それから、新しい技術がどんどん出てきますと、そういう基盤をきっちりするということを言っても、やはり官僚皆さんではなかなか対応できない。新しい技術やら新しいいろいろな改良が出てきますと、それをフォローするということは、官僚皆さんに本当にはっきり判定する力があるだろうかと、私は申しわけないけれども申し上げたい。ということは、民間でもって努力を、苦労をされてきたかどうかわかりませんけれども、そういうような実地の経験というものを踏まえて官僚政治をやっているなら別ですけれども、そうでない方が多いということで、これずばり言ってしまいますけれども、そうなんであります。  ですから、そういうときには他人の力をかりる。他人の力って何かというと有識者有識者は例えば審議会です。何とか審議会というものがある。そういうものにお任せして、そこから出てきたものを全部採用する。ですけれども、そこから出てきたといっても、それも全部官僚皆さん審議会にこうやれということで前もって話をして、そしてそこから出させるということになれば、これだって規制ではないかと思うのですね。大きな規制であります。  今、電気通信審議会で、これは十月二十七日に料金問題の答申をするはずだった。ところが、十二月十五日まで何の理由かわからないけれども延ばされてしまった、こういうことがありますね。こんなことはまるで規制そのものではないでしょうか。だから、やはり規制緩和といったって、法律そのものじゃなくてそういうところまで全部あるということになれば、これはやはりそういうところも含めてきちっと物事を考えていただきたいと思うわけでございます。  技術社会は絶えず進歩しておりますから、それに対応できる規制緩和、その体制、そして競争を促す規制緩和というものをきちっと運用できるように、大きな仕事としてとらえていただきたいと思うので、大臣のその辺のお考えをお聞かせいただきたい。
  8. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  松前委員理工科出身のお立場から、専門的分野から経験も踏まえましての御意見、十分拝聴いたしました。  御案内のように、規制緩和審議を進めるに当たりましても、役人皆さんだけで論議をいたしたのでは、御指摘のような、おのずから限界というものがあろうと思います。したがいまして、今度の年度内に策定いたします規制緩和推進五カ年計画決定に当たりましては、それぞれの専門分野方々に委嘱をいたしまして検討委員会も設置をいたしまして、そういった民間方々専門的立場からの御意見も十分お聞かせをいただいた上で五カ年計画を策定するというふうにいたしたいと思っている次第でございますし、また先ほどお答えいたしました行政改革委員会につきましても、役人OB皆さんではなくて民間皆さん中心にして委員を御委嘱するために、今、総理官房長官中心にしていろいろ苦労されておるようでございますが、そういう立場民間皆さん方の御意見を十分反映して規制緩和が推進するように政府として考えていきたいと思っている次第でございます。  ただいま御指摘いただきました委員の御見解、十分踏まえまして規制緩和に取り組むことを申し上げまして、お答えとさせていただきたいと存じます。
  9. 松前仰

    松前委員 ぜひともそういうようなお考えで進んでいただくと同時に、民間の声というものが本当に自由に出せるような場、雰囲気、そういうものをつくっていただいて、十分そういうところからの声が取り入れられるようにしていただきたい。審議会とかいろいろな委員会とか、そういうものをつくるとかた苦しくなるものですから、ぜひともそこは工夫していただきたい、そういうふうに思っておる次第でございます。  そういう中で、山口総務庁長官に、非常に質問しにくいことかもしれませんけれども、そういうような規制緩和、そして基盤をつくるということになると、教育の問題、先ほどちょっと申し上げました教育そのものについて、やはりきちっと考えていかなければいけない。自由な発想そして創造的なものを出していく、そして活力ある社会ということになると、かなり自由な発想が表に出ていかなければならぬし、それが生かされる社会にならなければいかぬ。それには人が大事である。人でございます。人づくりというものが大事であろうと私は思うのでありますが、教育改革というもの、やはりこれはそこに伴って進んでいかなければいけないと思うのです。  今日の教育改革については、数年前は相当な議論がなされましたけれども、今それがほとんど消えているというような状況でございます。その中で考えてみますと、非常に日本教育画一教育になっていると私は思います。外国に比べますと、外国などはエスニシティーの教育とか、アメリカなどは大変な多文化教育というものに苦労している。そういう苦労をまだ全然味わっていない日本教育である。そして教育委員会などが上から押しつけるというような、こういう画一的教育が今、逆に規制みたいにして行われているということについて私は大変危惧を感じるわけでございますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  10. 山口鶴男

    山口国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、子供たちの才能を大きく花開かせることができるような教育が必要であるという委員の御指摘は、まさにそのとおりだろうと思います。ややもいたしますと日本教育が大変画一的ではないかという御指摘、私自身もそういう考えを率直に持っております。  そういう中で私は、私学を占める役割というものはやはり極めて大切ではないか。どうしても公立の学校あるいは国立の学校ということになりますと、おのずから制約というものがあるのだろうと思いますが、その制約もできるだけ最小限にとどめて、子供の眉山闊達な発達というものを促すような教育が必要ではないか。本来、教育委員会制度というのはそういうことを考えてできたのだろうと思いますし、また教育原則を定めました教育基本法も、そういった考え方でできておったのではないだろうかと私は思っております。  しかし、その後いろいろな経過がありまして、教育現場に対してさまざまな規制があるという点はやはり考えていく必要があると思いますが、これはどうも経済的規制社会的規制とはちょっと違いまして、総務庁の方が対応いたします規制緩和の問題とはやや違った分野であろうかと思います。しかし考え方としては、私は、委員が御指摘されたことは十分政府全体として考える必要があるというふうには思っております。
  11. 松前仰

    松前委員 文部省にちょっとお聞きいたします。簡単にお答えいただきたいと思います。  私学補助の問題ですね。今年度についていろいろと予算、今やっているところでありますけれども、どうも何か相当な削減というような話もあるようでありますが、そういうようなことについて、私学補助についてどう考えているのか。  それから研究の問題でありますが、研究機関に対する研究費補助というのは科研費というので非常に私は評価しているものがあるのでありますけれども、前も私は予算委員会森山文部大臣質問したことがございますけれども科研費をもらうにしても手続が大変。それは相当簡素化されているようでありますが、まだまだ研究者にとってみれば大変な話。そして、いざもらうとなると十月にお金がやっと出る。十月から二月ぐらいまでしか研究ができないのであります。その期間に研究をやって成果を出せ、こういう話。これはとてもそういう中で、短期間で研究成果を出せといったって、研究というものはそういうものじゃございませんから、非常に長い期間やる。  それから時期の問題もある。四月あたりじゃないと研究ができないというところにはお金が出ないということもある。そして年度にわたって予算が使えないとかいろいろな制約があって、これで自由競争というか競争を促す基盤づくりになるだろうか、創造的なものが生まれるだろうかというと、なかなかこれは生まれない。形式的なものばかりで、結局機械を買って終わりということになってしまうというようなことになります。  その辺について、私は科研費、非常に評価しているけれども、その辺はもっとフレキシブルに自由に使えるような、期間を余り拘束しないような、期間を外すために大変な手続が要るとかそんなことはやめるような方向に持っていけないか。それから、単年度予算というのはそこで物すごくひっかかってくる。予算年度を越えてしまいますとできないなんといって、それでもってすべて研究そのものまで制約を受けているのが今日の日本の現状ですから、その辺をちょっと文部省にお伺いしたいと思います。
  12. 樋口修資

    ○樋口説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、私立学校は高校生の約三割、幼稚園児の約八割と非常に大きな比重を占めております。また、それぞれの建学の精神に基づきまして特色ある教育を行いまして、我が国の学校教育の普及進展に大きな役割を果たしているものと私ども認識しているところでございます。  このような私立学校の役割の重要性ということにかんがみまして、従来から私学振興助成法の趣旨に沿いまして、教育研究条件の維持向上でありますとか修学上の経済的負担の軽減等に資するため、経常費補助を中心私学助成を推進してきたところでございます。しかしながら、今日におきましても、学納金の負担の面でございますとか教員一人当たり学生生徒数など、教育研究条件の面におきましても、いまだ公私間格差が大きい状況にあるわけでございます。  文部省といたしましては、このような公私間格差を是正いたしますとともに、私学におきます教育条件を維持向上させていきたい。このために、今後とも私学助成の充実に努めてまいりたいと思っているわけでございます。現下の極めて厳しい財政事情があるわけでございますが、私学振興助成法の趣旨に沿いまして私学助成予算が適切に確保されますように、私どもといたしましても最大限の努力を傾注してまいりたいと思っておる次第でございます。
  13. 霜鳥秋則

    ○霜鳥説明員 先生お話にございました科学研究費補助金の関係でございますが、これは研究者の皆様、国公私立大学等の研究者方々でございますが、これらの方々に対しまして、人文社会科学あるいは自然科学というあらゆる分野における独創的、すぐれた先駆的研究を格段に発展させるという目的で行っておる研究助成費でございます。この研究費、大変重要なものと考えておりまして、私ども当面一千億円という目標を目指しまして、例えば平成六年度の予算でありますと、八百二十四億円の予算を計上したわけでございます。  お尋ねの手続の点でございますが、いろいろ私ども改善に努力しておりまして、例えば補助金の申請に当たりまして、平成六年度から申請書等がA4判ということに変わりましたので、それに合わせて記入項目の整理統合等行って、申請しやすい様式に改正するといったような改善も行っております。  また、単年度予算ではなくて、幾つかの年度にわたってというお話もございましたが、その点に関しましては、御案内のように、研究種目に応じまして一年から五年という研究期間が設定されております。その場合、一般的には国の会計制度の中にございますので、単年度予算という制約は免れないわけでございますが、実際には、配分審査に当たりまして、一年あるいは数年にわたるものにつきましては、その全研究期間を通じました研究目的あるいは計画を審査いたしまして、採択されました研究課題につきましては、その年度の研究計画だけではなくて、期待される研究成果を上げるための適切な期間につきまして、内約という形で研究遂行に支障を来すことのないよう配慮もいたしております。  交付決定がおくれるというお話がございましたが、現在ではかなりその点も改善いたしまして、六月に交付決定、七月にはもう既に使えるという形になってございますので、逐年そういった形で改善も加えながら、当面の目標でございます、早期に一千億円に拡充するというところに向かって努力しているところでございます。
  14. 松前仰

    松前委員 ぜひ努力をもっと続けていただいて、非常に競争を促す規制緩和、これに合うような体制づくりをしていただきたい。  それから私学助成ですが、充実をするということでございましたが、充実をすると同時に口もどんどん出すようなことのないように、自由な教育ができるようにしていただきたい、このように思います。  時間がございませんので、あとたくさんあるのですけれども、私の方からずっと申し上げて、必要なところだけ御答弁いただくということにしたいと思いますが、今の研究について、官庁の委託研究、この委託研究は、民間に委託研究行きますけれども、その成果というものが民間の成果にならないということがございます。全部官庁が吸い上げて、官庁の偉い人の成果ということになっていくというようなことが命ずっと続いてきている。アメリカはそうじゃございません。こういうような体制は、やはり民間の活力というものを非常にそいでおりますから、ぜひともこの辺については見直しをしていただきたい、規制緩和していただきたいと思っている次第でございます。  それから、電気通信分野について、電気通信事業者の接続の促進とか、音声系公専接続の解禁とか、通信放送融合分野の対応とか、周波数割り当て見直し、周波数利用方法の見直しとか、情報化に対応した制度の見直し等がいろいろこれまで出ておりますが、やるということにはなっているけれども、具体的な時期が明示されておりませんので、こういう点について具体的な時期を明示して、情報化についてはどんどん、競争を促す規制緩和の基礎として整備をしていくようにお願いしたいと思います。  第一種の参入と退出の規制緩和とか、第一種業務委託条件の弾力的運用、その他道路使用の許可条件等もすべて規制緩和の対象になっておりますが、さらに一層の緩和をお願いするということでございます。これについては、郵政省等に御答弁をいただくように御出席をいただいたのでございますが、残念ながら時間がございませんので、私の要望を聞いていただいて対処をしていただきたいと思います。  それから、外務省に質問したかったのでありますが、いろいろな一般規制緩和が、生活者に直接問題を起こすような規制緩和がたくさん出ている。根本のところをやらないでそっちの方ばかりやって、国民が無用な対立をするようなところが多いということがございます。  例えば食品の安全表示、これについては賞味期間表示一本化というようなことにしてしまう。これは、EUの、ヨーロッパの圧力によってそうなったので、向こうの製品を入れるためにそうする。日本では、国内では製造年月日を表示するということは自由だということになっておりますけれども、それを、自由よりも、国内ではそういうふうにちゃんと製造年月日表示して、向こうから来るものは賞味期間表示一本化ということはなぜできなかったのだろうか。これは消費者皆さん意見をちゃんと聞いたのかどうか。私は、全然聞いてないのじゃないかと思うのですね。一方的に上の方で、これは向こうからの圧力で開放したということにすぎないのじゃないかということで、総務庁長官に先ほどお話ししたとおり、そういう民間の声がしっかり入るような対応をしていただきたいと思います。この辺もちょっと、一応私の意見だけ言いますので、外務省、後でこれについてはきちっと対応していただきたいと思います。  それから、最後に一つだけ、大臣か行政管理局長、どちらでも結構ですが御答弁いただきたいのですけれども規制緩和民間競争によって活力を生み出すというような、民間人同士の対立に発展しそうなものが非常に多い、今出てきているのは。そういうことは、非常にそこに比重がかかっているので、そういうことをやるならば、行政の方は一体どうなんだということをはっきり出していただけないかということなんです。行政がどれだけこれによってスリムになるのか、予算がどれだけ節減できるのか、人がどれだけ減るのかということを、国民の前に納得のいく説明をしていかないと、こういう民間のところの規制緩和というものは到底、到底ではありませんが、受け入れにくいのじゃないかというようなことを私は感じますので、その辺について、最後に見解をお願いいたします。
  15. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、いわば規制緩和と、その結果としての予算とか人員への影響ということが、定量的に必ずしもきちんと対応した形でなかなかに算出ができないという要素が多うございまして、直接に数字的に申し上げるのが難しいことを御理解いただきたいと存じますが、御趣旨の点を踏まえながら、私ども、その方法等につきまして、引き続き勉強させていただきたいと考えております。
  16. 松前仰

    松前委員 数字的にとかおっしゃいますけれども民間の方には数字的にきちっと規制緩和について出している部分が多いですから、それを行政がはっきりとした数字にあらわせないというのは、ちょっとこれは問題があります。ぜひともきちっとしていただきたいと思います。  それから、たくさんの省庁の皆さん呼びまして答えていただくつもりでおりましたけれども、大変私の質問のやり方が下手くそで、時間がとれなかったことをおわび申し上げて、終わりといたします。どうもありがとうございました。
  17. 後藤茂

    後藤委員長 以上で松前君の質疑は終了いたしました。  次に、宇佐美登君。
  18. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 連立与党の中の新党さきがけを代表しまして、質問させていただきたいと思います。  初めに、委員長の許可をちょうだいしまして、資料の配付をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  19. 後藤茂

    後藤委員長 はい。
  20. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 お願いいたします。  資料の配付をしていただく間に、まず、先ほど松前大先輩から行革委員会の問題等が挙げられているわけですけれども、今その人事が土壇場に来ていると伺っております。その点について、質問するというよりは、現在、総理大臣中心になって、官房長官または官房両副長官とともに人選をしているということを伺っております。  我々さきがけといたしましては、これまで常に訴えてきておりますのは、民間の方を登用して官僚OBの方を入れないということと、事務局に関しましても、それが役所主導になることなく、行政改革を監視するしっかりとした力を発揮していただきたいということでございます。その点につきまして、例えが悪いのかもしれませんけれども、警察と泥棒が根源をたどっていくと同じになる、つまり監視するべき行革委員会の事務局が、役所の方が出るということになれば、規制緩和を行っている役所側と、またそれを監視する側が同じ根源になるということでございます。  今事務局長としてうわさされている方を初めとして、行政の中、たくさんの行革に対して熱心な方がいることもよく存じております。また、これまでの実績としましても、霞が関の中で、いわば孤立を恐れずに行革をやってきた方々総務庁を初めとしてたくさんいることもよく存じてはいますけれども、根源をたどったときに泥棒と警察が一緒だと言われる批判を恐れることではなく、絶対にしてはいけないことだと思います。そして、村山政権が行革に対してどれだけ熱心がどうかということを発揮する、国民に対して示すいい機会だと思っております。  これまで行革審が、第三次行革審においても役所の方が事務局を務める中で、故鈴木永二会長も、骨抜きどころではない、頭まで抜かれてしまった、そんなことを我々連立与党の行革プロジェクトの中でもお話をされていました。  事務局長という立場がいかに重要であるかいうことにかんがみまして、我々新党さきがけとしましては、その大事において妥協することなく、もしこの大事に関して我々の考え方、これは連立与党でもある程度の一致が見られているかと思いますが、その点に関して、もしも間違ったというか誤解を生まれるようなそんな人事が、総理もしくは政府によって任命された場合には、我々さきがけは重大な決意を持って臨むことを、今この場をかりてお話をさせていただきたいと思います。  資料の配付が終わったかと思います。  これは、平成六年十一月十五日、今月の十五日の朝日新聞の社説として取り上げられた問題でございます。中に傍線を振っておりますように、公益法人制度の規制緩和ということが中心課題となって取り上げられた問題でございます。これに関しましては、先日、前回の規制緩和委員会のときにも質問をさせていただいた内容でございますので、引き続いた形での質問をさせていただきたいと思います。  先日は、総理府の阪本説明員の方から御説明いただいたわけですけれども、非営利団体の法人化ということについては、「公益法人等指導監督連絡会議が事務次官等会議で申し合わされているわけでございますけれども、その中におきまして、法務省の民事局の方において検討されている」とお答えいただいております。  その点について、まずもって法務省の民事局からお答えをちょうだいしたいと思います。
  21. 升田純

    ○升田説明員 委員御承知のように、法人制度といいますのは、公益を目的といたします公益法人制度と、営利を目的といたします会社制度がございまして、公益にも属さないあるいは営利をも目的としないものを通称中間法人、こういうぐあいに呼んでおるわけでございます。  公益に関しないそういう非営利の団体につきましても、中間法人として法人格を付与する制度を導入すべきである、こういった議論があることは承知しておるわけでございますけれども、ただ、この種の団体につきましては、先ほど申し上げましたように、公益でもない、営利でもないという意味でさまざまなものが含まれているわけでございまして、果たして一体統一的な法人制度を設けることが可能であるかどうか。さらに、民法が定めております法人制度との関係をどのように考えるのか、法人格を付与する団体の規模を制限するのかどうか、設立の手続を許可主義にするのかあるいは準則主義にするのか、あるいは主務官庁の監督をどうするのか、さらに財産関係についてどうするのか、あるいは乱用の防止をどうするのか、こういった難しい問題点があるわけでございます。  他方、そういう非営利の団体につきましては、例えば最近の例でございますと、いわゆる町内会につきまして、地方自治法の改正によりまして法人格を付与した例がございますけれども、そういった個別の立法によって法人格を付与する必要のある団体につきまして、それにふさわしい対応をするということも可能であるわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては、そういった必要性というものを具体的に聴取、検討しながら、個別法で対応するのがいいのか、あるいは御指摘のような一般法で対応するのがいいのかということも含めまして、今後とも引き続き検討していくべき問題である。こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  22. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 検討という言葉は何もしていないんだというようなことをある官僚の方が書かれた本で読んだことがあるのですけれども、実際に、では検討というのはどのような方向考えてやっているのか、いつぐらいまでにやるつもりなのか、その点をお答えください。
  23. 升田純

    ○升田説明員 先ほども申し上げましたように、中間法人、非営利の団体というものは、公益にも属さない、さらに営利をも目的としないという意味で非常に幅広いものでございまして、なかなかそこがつかみ切れていないということで、非常に難しい問題であるということで、直ちにいついつまでにその検討が終わるかということは、なかなかお答えしにくい問題であろうと思っております。
  24. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 伺ったところによると、総理府の方はこれは法務省民事局の方がやっていると言われていますけれども、実際には経済企画庁の国民生活局がやっているのかなと、当時の説明員の方のお答えが不十分であった点もあるかと思います。升田参事官にいつまで聞いていても、できないと言うしか言いようがないんだと思います。  ただ、先ほどから聞いていまして、公益ではない中間法人を非営利団体というような位置づけをしているのですが、例えば先日も聞いたルワンダのNGOで働いている人たち、彼らに公益ではないというような認識なのか。また、今配付したアムネスティ・インターナショナルの皆さん、これは日本で申請すれば公益法人が取れるのかもしれないです。しかしながら、管理監督されることによって自由な行動が、また現実的な迅速な活動が阻害されることもあるという点を踏まえて、このアムネスティを別にしても、申請していないNGOの方がたくさんいるわけです。  先ほど公益ではない中間団体のことを言われましたけれども、もちろんそういう方々もいるかと思います。その点については、前回のときも指摘しましたけれども政府イコール公益だ、それ以外のものは公益ではないという考え方はぜひともやめていただいて、非営利団体のあり方を考えていただきたいと思います。  その中で、私の手元に「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」、昭和四十七年三月二十三日のものがございます。新しいものもあるのかもしれませんが、その点があればそれを踏まえてお答えいただきたいのですけれども、この中には、設立を許可しないものとして、「目的」の中で「同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの。」というものも書かれているわけですけれども、私の知る限り、幾つかの大学の同窓会的なものが財団になっていたりしているわけですね。これが本当に公益なのかと考えたときに、疑問に思わざるを得ないわけです。  総理府の方、この許可審査基準に対しての見解というか、今どういう考え方をしているのかを教えてください。
  25. 石和田洋

    石和田政府委員 先生御案内のとおり、民法では公益、非営利の活動をする社団、財団に対して法人格を付与するということになっておりますので、設立の審査基準というのは、結局その公益性があるか、非営利活動を目的としているかということを中心に組み立てられているわけです。そのほかに、あとは民主的な運営がなされるかどうかというような手続的なものもございます。  今、先生御指摘の同窓会というようなものは、実はこの基準が昭和四十七年ですかにつくられた経緯も、そういった公益と言えるような組織に対して法人格を与えるという仕組みになっているかどうかということが問題にされた経緯がございまして、そうした経緯を踏まえて、公益というのははっきりと不特定多数が加われる活動というような基準を設けて審査することとしたわけです。したがいまして、四十七年以降は、同窓会的なもの、あるいは特定の個人に対して経済的、精神的な支援をするような後援会的なものといったようなものについては、設立の許可をしないという考え方でやってきております。  ただ、先生御承知のとおり、それ以前に同窓会的なものがかなり既に設立許可されているという実態がございました。これについては、既にそういう形で、それ以前の基準で設立されたものですので、主として非営利の活動であるかどうかというようなことを中心に、活動の実態を監視するということを続けているわけでございます。余りにも特定の利益だけに奉仕するような活動であれば指導監督が可能な仕組みになっておりますので、各省庁に対してはそういうお願いをするという考え方で対応しております。
  26. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 結局は、ですから昭和四十七年以前には、たくさんのそういう同窓会的なものが公益法人として民法三十四条の定めるところでできているということだと思います。これを見ましても、今のところ入り口は厳しいけれども、その運営の内容については厳しくできていない。つまり、これまでどおり継続している同好会的なもの、同窓会的なものがあるわけです。  そんな中で、公益法人が今行政改革の中でまた取りざたされているわけです。このときに一つしっかりと区別して考えなければならないのは、実際にNGOとして非営利団体の中で働いている皆さんが、今回の公益法人の見直しの中で、まるでその方々立場までも取り締まっていくような、そんな姿勢が見受けられることをおそれております。つまり、財団法人の中でもうがった表現があるわけです。官製公益法人、官僚の官でつくったという意味です、官製公益法人ではなくて、本当に民間のために、もしくは非営利でも公益のために働いている方々もいるわけですけれども、その方々に対してまで非常に厳しい運営審査というもの、管理監督というものがなされているために、その通常業務を壊されているという点もあるかと思います。そんな中で、これまでの民法三十四条の公益法人として考えていくのでは対応できないのが現在のNGOかと思います。  総理府の方に、例えばNGOを民法法人として認めるべきなのかどうか。また、ほかの方法も考えられるのではないかと思います。その質問にお答えいただきます。
  27. 石和田洋

    石和田政府委員 先ほど先生のお話の中にもございましたが、NGO、非政府活動をしている組織、その組織自体が民法法人として設立許可申請をするということはもちろん可能なわけです。恐らく先生が今頭の中で描いておられる団体の場合には、公益、非営利というような要件を満たしている団体でしょうから、許可を受けるということは恐らく実際は可能だと思います。  ただ、先ほどのお話にもございましたように、団体の方が政府の設立許可を得るということにかなりの抵抗を感じている。といいますのは、公益法人は、例えば事業計画ですとかあるいはその中の組織の運営について、民主的な運営がされるようにというような、いろいろな監督を受ける場合があり得ますので、その辺を恐らく必ずしも好ましいというふうに考えないために、設立許可申請をされないということだと思います。実際には、設立許可申請をされれば、社団法人なり財団法人として認められるのではないかというふうに考えます。  ただ、それとは全く、今の民法法人ではない形で、政府から指導監督を受けるようなものではない形で設立する、法人格を付与するような仕組みをつくったらどうかというお話でしたら、先ほど法務省の方からお話がございましたように、今の民法の制度ではない別途の法律の手当てをしないと難しいのではないかというふうに思います。
  28. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 結局、NGOの法人として、これまでの法人の概念の中で法人格を与えるのは非常に難しいんだと。実際に管理監督なんかされていますと、今回ルワンダに行っている方々、もしくはアムネスティの皆さんとかたくさんの世界資源研究所の皆さんとか、自由な活動ができないわけです。  そんな中で、経済企画庁の国民生活白書等でこのNGOというものが、問題にというか取りざたされているわけですけれども国民生活局として現実的に今NGOの問題をどのように考え、またこれから扱っていこうとしているのか、簡潔にお答えください。
  29. 平野正宜

    ○平野説明員 御説明させていただきます。  実は、昨日でございますが、私ども事務局がやっております国民生活審議会総合政策部会で報告をまとめていただきました。その中では、今委員が御指摘のように、NGOといったようなものが行っております市民の公益活動、それの活性化というのが今後の、例えば国際化の問題あるいは高齢化の進展といったような環境条件変化に適切に対応するために極めて重要なものであるという趣旨の御報告をいただいているということでございます。したがいまして、そのことを国民生活審議会という場で御報告をいただいたということでございますので、この報告を関係の各省庁にお配りをして、政策に御反映いただきたいということで今考えているところでございます。
  30. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 その程度の認識しかないと言ったら言い過ぎなのかもしれませんけれども、現実にもうNGOは動いております。それも長年にわたりまして動いているわけですから、政府が一歩も二歩もおくれた形でこれから対応をするわけですから、世界的にはもう欧米に追いつけ追い越せという時代は終わったとはいえ、この市民運動の分野に関しては国民意識もまだまだおくれているのかもしれませんが、少なくともシステム的にもおくれているかと思っております。  そんな中で、これは製造物責任法をつくるときにも各省庁にまたがって非常に時間がかかったわけですけれども、これは経済企画庁が今中心になってやられるというならば、一刻も早い形でNGOを推進する、その活動を支援する法律というものを考えていく必要があるかと思います。これは、政府に頼りっ放しなんということは我々も考えておりません。我々新党さきがけとしましても、これまでノンプロフィット・セクターの研究を積み重ねてまいりまして、その中でその支援推進の法律というものが間もなくできる予定になっております。政府がやらないならば、当たり前の話です。立法府の我々議員の中でつくっていこうかと考えておりますので、その点をこれからも協議しながらやっていきたいと思っております。  さて、先ほど申しました公益法人の行革をしていく中で、特定公益増進法人というものがございます。これこそ、まさに官製法人だと言われる方も多くあります。なぜなら、これは主務大臣と大蔵大臣との関係の中で、どの法人、公益法人を特定公益増進法人に認定するかという問題がある中で、その認定をいただくために官僚の天下りの方が比較的多いと聞いております。特定公益増進法人の役員、常勤の役員の方で結構です、その数と、実際に国家公務員または地方公務員の天下っている方の数が今もしお手元にあるならば、ちょうだいできればと思います。総理府の方です。
  31. 石和田洋

    石和田政府委員 まことに申しわけございません。私たち、公益法人全体で公務員歴のある常勤の役員がどれくらいいるかということは大体調べているのですが、特定公益増進法人だけということになりますと、今手元に数字が用意されておりませんので、資料を精査して後ほど改めて御報告をさせていただきたいと思います。
  32. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 特定公益増進法人は、私が知る限り八百三十三あるかと思います。ピックアップする仕事が大変かと思いますけれども、またこれは行革をやっていく上で間違いなく指摘されていくことかと思いますので、その数をちょうだいできるよう、よろしくお願い申し上げます。  さて、先ほど申しました認定に関しましては、主務大臣と大蔵大臣の協議があるわけです。実際のところは、聞くところによりますと、大蔵省側が非常に厳しい認定をしているんだ、そんなうわさも公益法人の皆さんから聞いております。大蔵省としましては、どんな基準をもってこの特定公益増進法人に認定しているのかについて、お答えいただきたいと思います。
  33. 福田進

    ○福田説明員 お答えいたします。  昨年の十月一日現在で取りまとめました数字、ちょっと古いので恐縮でございますが、特定公益増進法人の数は一万六千三百三十一ございます。そのうち大きなのは、いわゆる社会福祉法人でございますが一万四千百七十四、それから学校法人の関係が千百八十三でございます。こういったものは、主務大臣が特定公益増進法人のいわば認定と申しますか、それにかかわっておられるわけでございます。一部が大蔵省が関与しているというのが実態でございます。  特定公益増進法人につきましては、法人税法それから法人税法の施行令並びに所得税法、所得税法の施行令におきまして、まず第一のグループといたしまして、日本育英会、日本赤十字社など特別の法律によりまして設立されました法人等で、個別にいわば名前が掲げられているグループがございます。それから二つ目に、民法法人のうちで教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献、その他公益の増進に著しく寄与する業務を主たる目的とするもので主務大臣の認定を受けたもの、このグループがございます。それから三つ目のグループが、学校法人または準学校法人で、いわゆる一条学校といわれるもの、小中高大学校とお考えいただけばいいと思いますが、こういったものまたは一定の専修学校の設置を主たる目的とするもの、このグループがございます。そして最後に社会福祉法人、こういうふうに具体的に規定されております。今、私が申し上げました一万四千百七十四というのは、この社会福祉法人でございます。  先生御指摘の八百、九百という数字をおっしゃったのは民法法人についてのお話であろうかと思いますが、民法法人については、法人税法の施行令の七十七条、所得税法の施行令二百十七条におきまして、主務大臣が特定公益増進法人として認定する場合の認定基準が、法定要件が明定されております。具体的に申し上げますと、対象となる業務の具体的内容、それから当該法人の運営組織、経理が適正であること、相当と認められる業績が持続できること、受け入れた寄附金によりましてその役員または使用人が特別の利益を受けないこと等が認定基準とされているところでございます。なお、具体的な認定に当たりましては、当該法人の事業実績を念査いたしまして、法定されている今申し上げましたような認定基準に該当しているかどうかということを、個別に判定することになっております。
  34. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 時間もなくなってまいりました。前回から問題にしている公益法人制度のあり方の見直し、また公益法人ではないNGOそのもののあり方、どうやって推進していくかということだと思います。冒頭に配付させていただいたこの新聞記事にもありますように、これはいわば役所がこれまで牛耳ってきた公益法人制度の規制緩和という点もあるかと思います。国民の気持ちというものを政府だけが受けるのではなくて、それぞれの非営利団体に対しての気持ちまたは資金援助というような形で、人に役に立っていきたいという人々の気持ちというものを生かした非営利法人またNGO、NPOのあり方があるかと思います。  総務庁長官には、この二十四分間にわたりましてお聞きいただけたかと思いますけれども、これまでの行革におきましては特殊法人の問題等、法人の問題が行われているわけですけれども、NGO問題としてこれまでの公益法人制度の規制緩和というものをどのようにお考えなのか、その考え方というものがもしありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  35. 山口鶴男

    山口国務大臣 特殊法人整理合理化の問題を進めるに当たりまして、認可法人を無視するわけにもいかない。また同時に、御指摘のあります公益法人についても、率直に言いまして特定の団体に多額の資金、寄附金等を強要するような法人もなきにしもあらずでございまして、そういったものはやはり問題にしなきゃならないなという問題意識は持って対応をいたしてまいりましたが、今先生御指摘のNGOの問題については、これまでのところ、私どもの検討の範囲外でございました。御指摘の点は、確かに今後考えなきゃならぬ問題だなという問題意識は持ちましたので、今後の課題として検討させていただきたいと存じます。
  36. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 時間がなくなりましたので、この新聞の中でも書かれているように、これまでの規制緩和というものが、営利を目的とした法人に対しての役所の権限というものを取り除いていく形で規制緩和というものが検討されている中で、非営利法人、非営利団体に対しての規制緩和というものが議論されてなかったと思います。ぜひとも総務庁の中でも議論をしていただき、また総理府、大蔵省、法務省、経済企画庁、多岐にわたる議題になるかと思いますけれども、検討を進めていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  37. 後藤茂

    後藤委員長 以上で宇佐美君の質疑は終了いたしました。  次に、川端達夫君。
  38. 川端達夫

    ○川端委員 改革の川端でございます。長官、よろしくお願いいたします。  懸案の税制改革法案も成立をいたしまして、その中でも大きな議論となりました、そして国民の大変強い注文でもあるのが、やはり行政改革というものがこれからどういうふうに実行されるのかということであろうと思います。最終的な税率を決めるという部分にも行政改革の進展というのが大きなかかわりを持っているわけですし、村山総理の所信表明を含めて、真っ正面から行政改革をやるんだと、天下に宣言をされておるわけであります。国民の注視と期待、そして現政権の責任は非常に大きいというふうに思います。そういう部分では長年の御経験があり、そして社会党議員として活躍された山口長官が現お立場におられるということは、大変大きな期待がかかっているというふうに思います。頑張っていただきたいというふうに思います。  そういう中で、きょうは限られた時間でありますので、基本的なお考えも含めてお聞きをしたいと思うのですが、先般来、いわゆる規制緩和推進計画取りまとめということで、各省庁にいろいろな規制緩和項目等々、今検討されている。そういう中で、いろいろな団体、行革推進本部の規制緩和作業部会の専門員あるいは経団連、在日米国商工会議所、欧州ビジネス協会などからいろいろな規制緩和の要望、これはもう山盛り出ているわけでありますが、そういう部分に関して各省庁が取り組みの回答をされた。  そういう中で、困難であるとか難しいとかいうふうな部分で、対応困難という否定的な回答が出てきた部分を取りまとめて、いわゆるネガティブリストを、総務庁として、もう一度踏み込んで検討しろ、こういうふうな御指示をされたというふうに報道で聞いているわけですけれども、現実にはやっぱり、先ほど来の議論もあるように、各省庁というのはなかなか腰が重い。そういう部分で、実際に現実の延長線という視点で見ると、そう簡単な話ではない、当然痛みが伴う、そして意味もあるということだと思うのですが、これからの日本というのをどういう姿を描いていくのか、国民生活はどういうふうな形があるべきなのか、そしてそれを支える経済はどうあるべきなのかということが、まさに問われているということだと思うのですね。  そういう部分で、この報道を見て、総務庁としては相当不退転の決意で踏み込んでおられるなということは、率直に評価をさせていただきます。問題は、これでどういうふうに進むかということにかかっていると思うのですが、期待をしているところでありますが、逆に、相当時もきついなというのが率直な感じであります。  鈴木永二さんが、先ほども宇佐美さんからお話ありましたけれども、そういう勉強会のところでいろいろ、まあ遺言みたいなものですね、お亡くなりになったということでは。新聞報道で言うと、「行革“千日戦争” 敗軍の将「弊」を語る 死去二か月前の”遺言”」ということで、実際に行革審で、本当に日本のこれからのあるべき姿を描いて取り組んでこられたときに、実にまあ政治家そして役所を含めてが、目先の利益というものだと思うのですけれども、という中に何もできなかったということを切々とお訴えをされたようでありまして、そういう部分で、逆にこの問題の深刻さというのを感じまして、御功績のあった鈴木さんがお亡くなりになったということで、こういう言葉も相当重く受けとめて、本当の意味の不退転の気持ちでこれは取り組んでいただきたいという思いを強くいたしました。  今、景気がようやく底離れをしたというふうに言われます。しかし、長官もそうでしょうが、いろいろな地域あるいは働く人と接触いたしますと、実態はそんな生易しい話ではない。しかも、産業の空洞化というのは物すごい勢いで進んでいる。そういう意味では、今までの日本は、いわゆる戦後、経済復興し、先進国にキャッチアップしなければいけない、資源はない、市場も小さい、だからとにかくまじめに一生懸命働いて、安くていいものをつくって売ろうということで、そういう政策がとられ、そういう形で経済が大きくなった。しかし今、まじめに一生懸命働いて、いいものはできるけれども、決して安くはない。そして、どんなに工夫しても安くできない。当然ながら、経済原理でいうと、そういう部分では海外で生産をせざるを得ない。しかし、国民生活の中で、そういう部分でいうと、経済が疲弊したら国はもたない。そういう意味で、今経済が直面している問題というのは非常に深刻である。  当然ながら、産業構造自体は、第二次産業中心から第三次産業にシフトしていかざるを得ない。新たな雇用創出が望まれる、新たな就業機会をつくっていかなければならない。現実にいろいろ努力をしてやっていこうとすると、もう規制規制で新規参入というのがほとんど阻害をされる。あるいは、国際的に見て、国際的に許されていることが国内的には許されない。当然、国際競争力も持たない。  そういう意味で、今行革をしていかなければならない。二十一世紀の日本をどうしていくんだという中で、今特殊法人の問題が随分焦点になっている。私は、これは非常に大事なことであると同時に、メンタルな部分が多いと思うのですね。これだけ景気が悪いのに、みんな一生懸命頑張って、節約して、働いているのに、どうもお上はサボっているのじゃないか、むだ遣いしているのじゃないか。そういう部分できちっとやれということであって、金目で何兆円もどんどん、さきがけさんは数値目標というのをおっしゃっていますけれども、そうそう生易しい話ではない、経済効果として。財政上の問題として見るものではなくて、むしろこういう特殊法人も一連ですけれども規制緩和というものが、実はこれからの日本経済構造それから社会構造の変革に、どうしてもやらなければいけない一番大きな問題だろうというふうに思うのです。  そういう部分で、規制緩和といっても、何でも規制をすればいいということでももちろんない。必要な規制もある。そういう部分を含めて、長官のこの規制緩和というものの位置づけと理念、そして取り組む決意のほどをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  39. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  鈴木行革審前会長のお話をされましたが、私、鈴木前会長から直接、苦労いたしましたお話というのは伺う機会がなかったのでありますが、新聞や雑誌の記事等を通じまして、御苦心のほどは私も拝見をいたしました。  直接には、今、特殊法人等の整理合理化の問題をめぐりまして、有識者の方から御意見を伺おうということで、第一回に京セラの会長でございます稲盛さんからお話を伺いました。稲盛さんが行革審の、特殊法人の問題を担当する部会長だったそうでございまして、ヒアリングを行おうとした際に、国会議員やあるいは官僚からさまざまな抵抗があったというお話は、率直に生でお伺いもいたしました。したがいまして、今委員の御指摘の点は、私も、なるほどそうであったということを十分承知をいたした次第でございます。  このように、行政改革といいますとさまざまな抵抗があることは、それはもう率直に事実だと思います。しかし、委員が御指摘になりましたように、さまざまな規制が必要であった当時と、それから現在の我が国の状況とは大きく違っているわけでございますから、これは稲盛さんも強調されたのですが、戦後、やはり復興のために特殊法人が必要だったということは事実だろう、しかし現在の状況では、これは置かれた経済状況が大きく変わっているんだから、やはりそこで思い切った見直しが必要なんだということを強調されました。私は、規制緩和も同様だろうと思っている次第であります。  したがいまして、実はきょうも行革推進本部におきまして、経団連あるいは日本商工会議所、そして主婦連、さらには在日アメリカの経済人の代表という方から、規制緩和に対する率直な御意見を伺った次第です。また、総務庁も、役所の機構を通じまして、さまざまな意見を集約をいたしております。そうして今日まで、総務庁として、閣議決定等をして緩和してきた問題は、そのままということではなくて、フォローアップもきちっといたしております。そうして今日まで、要望を取りまとめて、これはこういう形で解決をいたしました、しかしこれはただいま検討中です、これはこういう理由でできないというのが各省庁の考えですというのも、きちっとした一覧表にいたしまして、公表もいたしている次第でございます。  ですから問題は、さまざまな御要望を受けまして、これに真剣に取り組むことがまず第一、そしてその内容をきちっと国民皆さん方に知っていただく、そうして何でできないかという理由もきちっと国民の皆様方に知っていただくということを通じて、規制緩和というものは前進していくのではないだろうか。したがって、そういう意味では、情報公開ということが何よりも重要だ。国民皆さん方状況をお知らせいたしまして、そうして世論を通じてさらにこれを動かしていくということが重要ではないかと考えておる次第でございます。
  40. 川端達夫

    ○川端委員 現実に規制緩和のいろいろなものを進めていくということに関しての流れは、長官おっしゃるとおりだと思うのです。ただ、当然役所の抵抗も大きい。これは、何のためにこういうことを痛みを伴いながらやるのかというやはり目的意識ですね、私先ほど申し上げましたけれども。やらなかったら日本は生きていけないのですよ。そういうものが明確に示されるかどうか。  それと同時に、抵抗があり、実態が難しくていろいろな問題があるというときに、できるものからやっていくというやり方もあるでしょう。しかし、これは厳しいけれども踏み込むのか、まあいろいろ実態があるからもう少し環境整備をするのかという部分の判断は、だれかがどこかでやらなければいけない。その基準は何なのかということなのですね。  端的に申し上げて、そうするときに、規制というものといわゆる保護というものの目的は、もう今さら私がお尋ねするのは失礼な話ですからそれはおいておきまして、例えば各省庁で、いろいろな団体からこういう規制はやめてほしいというのはいっぱい出てくる。それで、皆さんどうですかと言ったら、そうしましょう、そうしましょうというのと、これはもうちょっと検討させてください、これは難しいですという三種類の答えが出てくるわけですね。それで、ああそうですか、まあもう一声とうですかと、競りをやっているわけではないのですから。そういう部分でいくときに、いやこれは政府として、総務庁としてやはりやるべきだという部分と、これは実態がそういうことだったらもう少し検討しようというその判断は、非常に総論的に言って、どういうものは原則自由、どういうものは基本的に規制、保護というお考えなのか、そのことだけ確認させていただきたいと思います。
  41. 山口鶴男

    山口国務大臣 村山内閣は、人に優しい政治、こう言っておるわけでございまして、やはり今までややもすれば企業本位の仕組みだったと思いますが、これからはやはり国民生活を優先する社会システムというものに変えていかなければならぬということだろうと思います。  したがって、やはり一番の物差しは、この一億数千万の国民の大多数の方々の生活を守っていくのに、一体何が必要かということをやはり考える必要がある。その場合、やはり内外価格差ということがあるわけですから、こういった内外価格差を解消して国民生活を豊かにするということは、これは私たちが規制緩和を進めなければならぬまず一つの大きな柱であろうと思います。同時に、国民の命と健康を守っていくということも国民のために重要だと思いますので、そういった意味での規制につきましては、やはり必要最小限のものはきちっと守っていくという考え方が必要ではないだろうか。  したがいまして、あくまでも国民の暮らしを守る、国民の命と健康を守る、これを基本にして私ども規制緩和に対して対応すべきだというふうに思ってやっておる次第であります。
  42. 川端達夫

    ○川端委員 ちょっとまだ議論が合わないような気がするのですが、命と健康という部分、いわゆる生命財産を守りという部分で一定の規制が要るというのは当然だと思います。ただ、人に優しいという言葉は、私はよく理解できないのですが、みんなに優しいこと、今の状態で一番優しくするのは、できるだけ何もしないことではないですかね。だから、そういうことでおっしゃっているのではないと思いますが、国民生活が内外価格差問題でという、消費者立場、生活者の立場というのも大変大事な視点だと思います。  私は、それと同時に、先ほど申し上げましたけれども日本の産業構造、経済構造というものが本当に二十一世紀に生き残り、経済が活力ある中で国民が生活をし、その生活が安定的であるという姿があるべきものであって、そこの部分のときに、どうしても規制緩和の壁は乗り越えていかなければいけないということだと思うのですね。  そこで、ちょっと各論をお尋ねしたいのですが、例えばそういう、総務庁も非常に御努力の中で、方向をお持ちの中で、先般行政手続法がやっとスタートした。まだスタートしてわずかでございますが、実施して今どういうふうに動き出したというふうに状況を認識されているのか、お尋ねしたいと思います。
  43. 陶山晧

    ○陶山政府委員 先生御指摘のとおり、十月一日付で行政手続法、長年の懸案でございますが、施行になっております。現在、各行政機関におきまして、法律の趣旨にのっとった運用に取り組んでいただいているというふうに考えておりますが、新聞報道にもございましたように、一部の機関において法の趣旨等が十分に周知徹底されていないのではないかというふうに思われるような事例も生じているということは、私どもも承知しておるところでございます。
  44. 川端達夫

    ○川端委員 今までの行政が、一種の規制といいますか、不透明な規制というのがよくやられている。そういうことをきちっとオープンにしようという、先ほど言われたように、まさに情報公開という部分でスタートした。私、先ほど来、規制緩和等々を含めたこういう行政改革は産業にとって大変大事なことなのだとしつこく申し上げました。  通産省はその先頭に立って旗を振らなければいかぬところなのですけれども、実態として報道では、「「手続法」適用第一号」ということで、通産省九州通産局の行政指導で、九州のガス会社がガス供給区域拡大の許可申請をしたところ、なかなか受理してもらえず、しかも「申請区域のプロパンガス業者と事前協議して、その報告書を添付しないと申請を受理しない」との法的根拠のない行政指導を受けた。不服とした「ガス会社は指導を文書にするよう要求したが、これも拒否された」、そして、あといろいろ、実はもう受理していましたみたいな話が報道されておりましたけれども、通産省、これはどういうふうなことか、簡単に。
  45. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明いたします。  先週初め、ガス事業法に基づきますガスの供給区域拡張の申請につきまして、担当通産局の窓口において、法律上定めのない書類を要求され申請書が受理されないなど、行政手続法上疑義のある行為がなされている、そういった旨の一般ガス事業者からの苦情がある、そういう連絡を受けましたので、通産省といたしましても直ちに調査を行ったわけでございます。その結果、事業者からの苦情とは必ずしも適合しない部分もあり、それから事実関係の確定が難しい点はございますけれども指摘されました事例と思われます案件が確認されたわけでございます。  したがいまして、担当窓口におきまして、行政手続法との関係で、申請者に対しまして誤解を与えるような対応がなされたことは遺憾であるということで、その旨当省から表明をいたしますとともに、担当局に対しましても厳しく注意を行ったところでございます。
  46. 川端達夫

    ○川端委員 これから日本経済が、特に第二次産業から第三次産業、そして今までと違う新たな事業分野に展開をし、再生、再構築をしなければいけない、そういう非常に大きな役割と責任を担っておられるのが、私は通産省だと思うのです。そういうことをしていこうというときに、一番やらなければいけないのが大胆な規制緩和であると思うのです。  そういう部分で、その第一歩である手続の透明性、長官もおっしゃったように情報公開、そういう部分でたまたま第一号に、やや疑惑をこれは持たれてもしょうがないのだろうと思うのですが、通産省がということは、非常に残念な思いをしております。ただ、これはやはりスタートした部分で、今までの延長線上の部分ではこういうことがいろいろあった、だからこういうことでは違うのですよという部分で、スタート直後のまだ情報の徹底というのがされていなかったのかな、これは通産省だけではないと思うのですね。  それと同時に、やはり私は、情報が徹底されていないということと同時に、今政府においても各省庁においても、この規制緩和行政改革というのが日本にとってどれほど大事なことかという認識に欠けているということだと思うのです。知らなかったという話じゃないです。そんなことは、いいことなのか悪いことなのかもわかっていないのかということでは、非常に残念な思いをしております。情報の周知徹底、こういう法的な部分の徹底と同時に、そういう意識の徹底というものも私は大変大事なことであろうというふうに思うのですが、総務庁としては、これは所管として、先ほどもややそういう問題があったやに聞いておるみたいなお話だったのですけれども、それを受けての対応というのはどういうふうにお考えでしょうか。
  47. 陶山晧

    ○陶山政府委員 行政手続法につきましては、本来この法律の趣旨、目的に沿った運用が行われるかどうかということが大変重要な問題であると考えております。いわば、この運用の積み重ねによって法の趣旨、目的に沿った行政機関における対応が定着すること、これは極めて重要であるというふうに考えておりまして、私どもとしては、この行政手続法の施行状況について調査を実施することを考えております。ただいまその所要の準備を行っているところでございますが、できるならば毎年調査を実施して、手続法の定着に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、周知徹底の問題に関しまして、この法律の施行十月一日前に、私どもとしては全国各地におきまして、行政機関の職員のみならず経済団体を初め民間団体の方々にも多数お集まりいただいて、相当の回数説明会等を開催をさせていただいたところでございますが、今後ともこの法律の趣旨徹底については、できる限りの努力を続けてまいりたいと考えております。
  48. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思いますし、こういうことが逆に、民間にとっては大変この手続法というのに期待を持っているという事象なんですよね、これ。法律できて一カ月たってこんなことでやったら、あれ、あの法律があるのにこれはおかしいのじゃないかと普通思わないですよ。だから、民間にとってはこれはぜひともやってほしい、今まで困っていた問題なんですよ。だから、出たといったのに今までどおりで変な行政指導があったから、おかしいなという訴えが出たわけでしょう。だから、逆に私は、問題としては、そういう部分では皆さんせっぱ詰まっておられるからよく御存じなんです。だから、なぜこういうものが要るのか、やったのかという意識が役所に非常に欠落しているという部分の周知徹底、こういうことになりましたよということじゃなくて、技術論じゃなくて、その背景を僕はよく周知してほしいというふうに思います。  それで、時間がどんどんたって、先ほど来私は、新たな雇用構造それから産業構造へのシフトというのは非常に大事なことだと申し上げました。長官、日本のリーディング産業、自動車産業の市場規模、国内販売額は約十九兆円と言われておるのですね。外食産業という産業があるでしょう、日本で。これは、駅前のおすし屋さんやラーメン屋さんから道路沿いのチェーン店も含めて、どれくらいの売上規模だと思われますか。三十一兆円です。これはこの業界の数字ですから、私はちょっと時間がなかったのでいろいろ統計上きちっと調べていないのですけれども、自動車産業十九兆円、外食産業の市場規模は三十一兆円、だから一・五倍ですね。一九七五年と九四年、約二十年間で三・三倍、五年間の平均伸び率は四%。大体毎年GNPプラス二%の成長率を持っているんですよ。まさに、これは日本経済を象徴的に示しているんですね。製造業からいわゆる第三次産業にシフトしている。  そして、恐らく長官も、要するに若いころからの育てられた、私なんかでも実はそうなんですけれども、外で飯食うなんというのは何かやや罪悪的な時代から、今は非常に手軽に家族で食事をする。それと同時に、女性の職場進出がふえた。だから、きょうはお母さんもう仕事で遅くなったから家族そろって外で御飯を食べようというふうな部分も、実は支えているわけですね。そういう部分で、今主婦で大体五一・六%が職を持つというふうな時代で、いわゆる男女共生型社会という部分で、この外食産業というのはある部分では社会的にも非常に大事な産業、そして経済的にも当然大事な産業である。  雇用でいうと、常用雇用者で三百八十七万人、パート労働者は多分この倍ぐらいいるだろうという。職を持ち、そして社会を支えるという大きな市場、この五年間で雇用自体も一三・八%伸びている。ですから、そういう部分で、いわゆる新しい日本は役所が云々じゃなくても、自助的にやはり社会構造自体はどんどん新しい時代に転換していっている。そこで、行政というものは、そういう産業構造の転換あるいは日本経済社会の構造の転換に対応しているんだろうか。規制をしろという意味じゃないですよ。  例えば、長官の御出身の部分で、養蚕農家というのがありますね。大変厳しい状況にある。私も、繊維にかかわる議員として大変な実態を承知をしています。昭和四十五年に三十九万九千戸あった農家が、平成五年で二万七千戸になっているという実態ですね。これは大変御苦労されているという部分で、農水省には蚕業課と繭糸課という二つの課があるんです。二十年、二十五年前に約四十万戸が今や二万七千戸になる。ある時期の日本を支えた産業の今大変な苦しいときということで、二つの課を持って、何とかならないかという御苦労をされている。あるいは通産省には、鉱山課とか石炭課、製鉄課、自動車課、アルコール課という、いわゆる産業別に、その産業が健全に発展していくようにという課がある。  外食課というのはないんですよね。外食産業というのはどこが面倒見ているのか、どこも見ていないんです。お店を出そうとすると、食品衛生法等々で営業許可は厚生省というかかわりはある。それから、最近はもうごく一部の地域にしかありませんが、分野調整で営業時間何時にするんだ、いすの数何個にするんか。委員長はそのこと非常によく御存じだと思うんですが、いわゆる大店法絡みのそういう部分で、地元の商工会議所の判こ持ってこいみたいな部分はかかわりがあるという部分で、この食材、これ三十兆円というと、大体三分の一ぐらいはこういう業界というのは原料の仕入れなんですね。十兆円の農産物を仕入れているということなんですよ。輸入品もありますけれども日本の農漁業生産物の売り上げと同じぐらい実は仕入れているんですね。巨大な産業なんです。  そういう部分で、いわゆる行政改革と同時にいろいろな、産業を保護したり、規制緩和したりする意味での役所のあり方というのが問われていることは事実でありますが、これからの社会構造がどんどん変わっていくときに、行政の仕組み自体が、行政機構というものが、特殊法人、今象徴的に議論されていますが、実は行政の本体の仕組み自体も、今までどおりの部分に固定化されて新しいものに対応されていないということではないのかな。この業界自体が、国民社会的ニーズを含めて、だれにも面倒見てもらわないけれども自助努力をしてここまで来た。しかし、やはりいろいろな部分でもっと展開をしていくときに、役所の適切な指導もあるいは助言も必要なんですね。そういう部分で、結局行政機構自体がうまく対応できていない。これはいっぱいあると思うのですよね、こういうことは。  例えば、特殊法人でもおのおの今見直しをされている。各省庁にあるわけですね。その省庁が、実は、例えば中小企業を対象にした法人、小売業者を対象にした法人あるいは農業を対象にした法人、それから例えば環境衛生ということで、美容師さんとか理容師さん、クリーニング屋さん、おすし屋さん等々の業界に対応した法人、おのおのあるのですね。これが今要らないのかと言われたら要るんですよね、ある部分では。だから、なくせませんかと言われたら、なくせませんという話なんです。  私は二つ問題があって、一つは、同じように汗水流して働いてその職を守り産業を守っているという立場の人に、頑張る人にはきちっとバックアップしましょうという仕組みは必要だ。これは要らないとは言わない。しかし、それは省庁ごとにきめ細かくということでなくて、規模も大小いろいろあるから、大ぐくりの中に私はやるべきではないか。ところが、これをやるのが実は一番難しいのですよ、長官。この省庁の壁というのが実は一番難しい。  そうすると、ある時代には非常にたくさんの規模でそういうことをやらなければいけなかったのが、時代の趨勢で残っているけれども少しになった。これはもう一つ問題が出てきて、その少しでやらなければいけないと新たな仕事をつくってくるのですよ。そして、これが実は民業を圧迫するというふうなことまでやっている法人も私はあると思います。よく御承知だと思うのです。  ですから、役所行政の機構というものの省庁の壁、これをどう乗り越えられるのか。これこそ人に優しい、日本に優しい立場で、役所にちょっときついかもしれないけれども、本当に国民が、なるほど行政というものは私たちを真正面に考えて一生懸命やってくれているんだなということへの転換だと思うのですね。言うだけで生易しい話でないのも承知をしているのです。しかし、それこそが私は行政改革の原点、日本政治仕組みが各省庁ごとにあるのは本当はどうあるべきなのかというところまで踏み込まざるを得ない問題であるし、そういうことはやらねばならないなと言っているだけで済まされない時期に今来ているというふうに思うのですが、いろいろ申し上げましたけれども、その辺含めて、御感想と御決意をひとつ。
  49. 山口鶴男

    山口国務大臣 私は、我が国の官僚皆さん方はやはり世界に冠たるシンクタンクであることはもう間違いないと思っております。ただ問題は、よく言葉で、局あって省なしとか、省あって国なしとか、そういった批判があることは、やはり官僚皆さん方も謙虚に耳を傾けていただかなければならぬだろうと思っております。今、川端委員が御指摘になったのもそういう点だろうと私は思います。  したがって、行政改革というのは、私は単に特殊法人整理合理化だけということではない。これと一緒に、この規制緩和も必要である。同時にまた、我が国ぐらい中央集権的な国家機構というのは珍しいわけでございまして、これはドイツやアメリカと比較して明確でございますので、やはり思い切った地方分権というものも必要であることは言うまでもない。  また、行政の透明性を委員は御指摘になりましたが、そういう意味では、行政手続法はその第一歩であると同時にへ情報公開を実現するということもこれまた重大な行政改革の柱であるというふうに私は認識をいたしております。したがいまして、こういった問題を総合的に私は進めていくということが行政改革であり、また国民皆さん方の期待に沿うものではないだろうかというふうに思います。  したがって、これから年内に地方分権につきましては大綱方針を策定をいたしまして、来るべき次の国会には地方分権に対する基本的な法律を国会にも提案をいたしまして、思い切った地方分権推進に第一歩をしるしていきたいと思っておりますけれども、これも私は委員の御指摘の点にかかわるのではないかと思います。  また、よく省庁間の人事異動のことが問題になるのでございますが、この問題も、経済企画庁とか総務庁とかあるいは環境庁というような総合調整官庁と他の省との間の人事交流というのは随分あるのですけれども、省と省との間の人事交流というのはほとんどない。そこに大きな壁があるということもこれは事実であります。したがって、そういう意味で、この人事交流につきましては、今与党の皆さんの間から、少なくとも課長になる方は今のところ一回は他人の飯を食うということになっているが、これでは不十分だ、二回にこれを引き上げろというような御提起もありますが、そういった問題も私は真剣に取り組む必要があろうかと思っております。しかも、それは総合官庁と省との間ではなくて、省と省との間の交流を含めて二回をクリアするということも必要ではないかと思います。  いずれにいたしましても、これらの問題を大変困難はありますけれども総合的に進める中で、私は、今世界に置かれた日本立場というもの、経済活性化ということが重要だということは先ほどちょっと言い忘れまして失礼したと思いますが、人に優しいと同時にやはり経済活性化世界の潮流におくれてはならぬということも十分考えた上で行政改革を進めてまいるという決意だということを申し上げまして、お答えにかえさせていただきたいと思います。
  50. 川端達夫

    ○川端委員 行政の機構のあり方というものもぜひともフレキシブルに、中身の人的なこともそうなんですが、省庁間の壁ということと同時に、時代に対応した行政機構というものは随時検討していただきたい。  皮肉でよく言われるのは、余り担当のお役所がない業界は大きくなるという、日陰者にし踏みつけられてきたパチンコ産業が一番大きいということがありますから、今までどおり何か規制して指導してがんじがらめにするというのではいけないのですが、やはり私が先ほど例にとりました外食産業なんかは、社会的ニーズも含めて健全に地域の中で役割を果たす。いわゆる男女共生型社会であり、雇用の新たな創出であり、経済の活力という部分では、どこかきちっと、そこのところはうちがちゃんと面倒を見るわというところがあってしかるべきではないかなというふうに思います。  時間が来てしまいましたので、いろいろ用意をしたのですが、あと一点、最近非常に国民の関心も高く注目された問題、しかも今日のまさに規制とはどういうことか、行政と経済の自由とのかかわり方というもので話題になっているのが懸賞金つき定期預金ですね。城南信用金庫ですか、一日で百億円集まった。早速にこの新商品について、要するに業界団体から自粛要請、公正取引委員会からは独占禁止法に抵触するおそれあり、大蔵省はこの新商品について検討する懇談会の設置を模索、こんな報道がされております。  これは非常に象徴的な問題ではないのかなと思いますので、まず、自粛云々という動きがあることは事実でございますが、その自粛等々を含めて、公正取引委員会としてはどのような部分を今考えておられるのか。それから引き続いて、大蔵省はどう考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 和泉沢衞

    和泉沢説明員 まず城南信用金庫の懸賞金つき定期預金につきましては、景品表示法の観点から申しますとその限度内におさまっている、こういうものになっております。  一般に、法令の範囲内でどのような販売促進活動を行うかということにつきましては、そもそも個々の事業者の自主的な判断によるものでございまして、事業者団体がそれを抑えるように働きかけるということは、独禁法の観点から見て基本的に好ましいことではない、こういうふうになるわけでございます。  公正取引委員会といたしましては、現在、全国信用金庫協会から自粛要請や自主ルールの内容等について実態把握のためのヒアリングを行っているところであります。本件につきましては、現在その実情についてヒアリングを進めている段階でございますけれども、実態を十分に把握した上で適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  52. 木下信行

    ○木下説明員 御説明申し上げます。  お尋ねの城南信用金庫の懸賞金つき定期預金についてでございますが、全国信用金庫協会が会長名で、懸賞金つき定期預金に関して遺憾の意を表するとともに、その後の理事会において懸賞金つき定期預金について引き続き慎重に検討していくとしたことは承知いたしております。しかしながら、これはいずれにせよ業界において自主的に判断されたところでございまして、私どもとしましてこのことについてコメントすることは差し控えさせていただきます。  なお、私ども大蔵省といたしまして、城南信用金庫の懸賞金つき定期預金について自粛を求めた、そういうような事実はないということはお断りさせていただきたいと思います。  私どもとしましては、預金金利の自由化、先月十月十七日の流動性預金金利等の自由化によって完了したところでございますので、各金融機関において金利自由化を積極的に受けとめ、創意工夫をこれまで以上に発揮して多様な金融商品の提供を行い、金融自由化の成果を広く預金者に還元していただきたいというふうに期待されているところであります。  以上であります。
  53. 川端達夫

    ○川端委員 という御見解なのですが、いわゆる行政手続法、先ほど取り上げましたけれども、そのことも含めて、私はこれまでくどくど申し上げましたけれども日本経済がどういう形で活力を持って生きていくのか、国際競争力も持つのか、そしてそれが結果として生活者、消費者に対して優しいことであるのかという部分が大もとにあると思うのですよ。  そういう中で、この問題が、公取としては、当然一定のルールの中でどういう活動をするかはそれはまさに個々の企業の独自性の問題である。実はここに活力があるのですよ。なるほどいい知恵を出したな、そうしたらまた負けずにもっといいことないかという中に、これは結果的に消費者にとってメリットがある。  例えばスーパーでも八百屋さんでも、あのお店は安い、しかしこちらの店は少し高いけれどもいいものも置いてある、やはり御家庭の奥さんはちゃんと選んでいるのですね。だから、子供が多いから、とにかく量を食べさせなければならないときは、肉が安いからあそこの店で買うけれども、お客が来たときはこちらの店でちょっとはいいものにするのだとか、珍しいものはここで買うというふうに、やはりおのおののお店がその適正な競争の中で努力をする、そしてその努力は報われるという社会が一番大事な社会であって、みんな同じだったら、それは努力してもしなくても一緒という、私、そこの原点にかかわる部分としてこの問題は出てきているのではないか、そういうふうに思います。  今回の部分、いかに行政手続をきちっと守る中でという部分で、私は、大蔵省も随分衝撃とお悩みをお持ちなのではないかと思いますが、総務庁として、今そういう全体の規制緩和等々の中で、たまたま出た懸賞金つき定期預金という部分を含めて、どのような御認識なのかをお聞かせいただきたいと思います。
  54. 山口鶴男

    山口国務大臣 城南信用金庫の問題を新聞で拝見いたしまして、行政手続法では、行政指導する場合は相手側の納得が必要である、これが原則になっております。そしてまた、行政指導に従わないことをもって不利益な扱いをやってはならないということも、行政手続法は明確にいたしているわけでございます。  したがって、この問題で大蔵省はどういう態度をおとりになるのかなということを、私は関心を持って見ておりました。さすがに大蔵省、行政手続法を十分御存じでありまして、そういった意味での行政指導がなかったことは、十月一日以降行政手続法が施行になりまして、そして官と民の間が、官が高くて民が下だというのではなくて、官も民も同じようなレベルなんだ、そうして行政というものは透明であるべきだということが進んだという意味で、私は大変よいことであったというふうに認識をいたしました。
  55. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいまして、あと生協等々も含めて御質問させていただくのでお招きして、恐縮でございました。お許しください。  今、長官、本当に行政手続法というのは大変な御努力で動き出したというのが、両面ありましたけれども、これだけ非常に大きな意味を持っているということがまさに実証されていると思うのですね、わずかの期間で。そういう部分では大きな一歩を踏み出していただいたわけですが、しかしまだまだ道のりは長くて険しいという部分ですが、ひとつ不退転の決意で頑張っていただくことをお願いして、終わりにします。ありがとうございました。
  56. 後藤茂

    後藤委員長 以上で川端君の質疑は終了しました。  次に、吉田公一君。
  57. 吉田公一

    吉田(公)委員 行財政改革そして規制緩和、補助金行政、そういうものについては、実はもうたびたび必要性については言われてきたことでございまして、なぜ必要がなとか、なぜやらなければならないかとかということよりも、もう具体的に一つ一つ問題解決に当たっていく、そういう時期に来た、私はそう思っているわけであります。  しかし、そうはいっても規制だけで一万一千件、いわばどこから手をつけていいのか、どういう規制があるのか、その任に当たってみないと、こういう規制があったなということはなかなかわからない。特殊法人にしても九十二ございまして、どの法人が今の時代に整理をすべき法人なのか。しかし各省庁の考え方を例えば、必要があるから置いてあるのだというような論理でなかなか進まない。政治改革なんかも、これは恐らくできないだろうと言われておった政治改革ができたわけでありますが、これは一つは、国会議員の皆さん方政治改革の必要性というものを考えてできたわけであります。したがって、行財政改革規制緩和も、国会議員の皆さん方一人一人が認識をして取り組めばできないことはない、まず私はそう思っているわけであります。  それから、規制緩和といいますとすぐ、何か大企業優先のための規制緩和みたいなことになりがちでありまして、例えば酒屋さんの免許を大型店舗におろしたらどうだとか、そういう論議にすぐなる可能性がありますけれども、御承知のとおり、弱い者いじめするために規制緩和するのではありませんで、つまり社会全体、産業全体の効率化を図るために実は規制緩和というのが行われるわけだ、私はそう思っているわけであります。  政府は、九月の十六日に緊急経済対策で九十四項目規制緩和政策を盛り込んだわけでありますが、しかしこれに対して各省庁とも、先ほど申し上げましたように、大きな権益を持つ分野につきましてはほとんど手をつけない、つけられない。そして、実はどうでもいいような規制緩和というものについてはかなり各省庁とも出してきておりまして、例えば、私は細川連立与党時代に規制緩和の担当をいたしておりましたが、そのときに、狂犬病予防法だとか寄生虫予防法なんというのはもう要らないじゃないか、そういう話をしたら、幸いにしてこれらについては対策がとられている。しかしこれは、どこでもだれも、各省庁とも実害のない話ですから、そういう問題はすぐ出てくるのだけれども、大きな権益のあるものについてはなかなか出てこない。  ある意味では、税金なんというのも規制一つだと私は思っております。例えば不動産の譲渡益課税等については、今国税が三〇%、地方税が九%で三九%。前は二六%だったのですけれども、土地の高騰を抑えるという一種の税制上の規制で三九%にしたということを考えれば、税金も規制一つだ、そう思っているわけでありますが、一つは、村山内閣の責任として消費税率を五%にアップした。本来なら行財政改革をやってから、つまり規制緩和をやってから消費税率をアップするというのが、論理上はその方を優先すべきでありますけれども、その条件として、今後五年にわたりあるいはまた今年度中に、山口長官の責任の中でこれから五カ月の間に行財政改革を手がけていくということでございまして、まず最初に、私も税特で長官の意見を伺いましたけれども、再度、どういう行財政改革、どういう規制緩和をしていくのかという大まかな、基本的な長官の姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 山口鶴男

    山口国務大臣 私は、就任した直後にも申したのですが、かつて鈴木内閣のときに、土光臨調が答申をいたしまして、行財政改革関係の法律を国会に出しました。そのとき、私は社会党の筆頭理事としてできる限りこれを引き延ばし、できれば成立させないように全力を尽くした。そのときの行政改革内容は、補助金のカットだったわけですね。まさにこれは、行政改革というよりは税制改正、税制改革の問題だったと思います。弱者にしわ寄せが来るのではないかというようなことで反対をいたしました。  ただ、問題は、ああいった補助金カットのような財政改革でありますと、幾ら財政上のメリットが出るかということは、これは端的に計算ができるわけです。ところが、この特殊法人整理合理化の問題あるいは地方分権の問題、そして規制緩和の問題という問題になりますと、これは確かに、これを通じて国の補助金が将来減少するとか、あるいは政府の定員がこれによって減少するとか、ある程度中期的立場に立ちますならばこの財政上のメリットというものが計算できますけれども、直ちに端的に計算できるという問題とは若干違っているということは、委員も御理解をいただけるだろうと思うのです。  だからといって、これを進めないということはないわけでございまして、これはもう、今民間皆さん方も懸命にリストラをやっておられる。そういうときに、また、お話のように税制上国民皆さん方に大きな負担を将来お願いしなくてはならぬというときには、政府みずからがやはり血の出るようなリストラを行うということは、これは当然であって、そういう立場から私たちは、地方分権もやらなければいかぬし、それから特殊法人整理合理化もやらなければならぬ。そしてまた、経済活性化のために、また内外価格差解消のために規制緩和もこれはきちっとやらなければいかぬし、行政の透明化のためには情報公開も大いに進めなければならぬ。それが、我が国がこれからの世界に伍して対抗していける、そしてまた国民の暮らしを守るゆえんであるという決意で進めるつもりでございます。
  59. 吉田公一

    吉田(公)委員 例えば、よく財政の硬直化ということが言われておりまして、時代は進んで、国民のニーズにこたえていくためにはできるだけ財政は動脈硬化を起こしていない方がいいわけで、柔軟にその都度その都度、その時代に合った国民のニーズにその財源を投入していくためには、つまり今までの既存のものをそのまま置いておいたのでは、その時代のニーズにこたえていくことができない。  つまり、日本の財政は今まさに硬直化しておりまして、借金は二百兆円、そしてその赤字の国債を消化するのにはどういう方法でやっていくかという解決論がいまだに出ていない。しかし、国民の要望はだんだん高まってくる、お金が必要になってくる。では、そのニーズにこたえていくためにはどうすればいいか。もしやってあげるとすれば赤字をふやさざるを得ない。こういう赤字財政を直すと言いながら、なかなか赤字を解消することができない。  そこで、健全財政をやるのにはやはり行財政改革がまずどうしても必要になってくるわけでありますが、例えばその二百兆円の赤字をどうやれば解消して弾力性のある財政運営ができるのか、その辺は長官のお考えはいかかでございますかね。
  60. 山口鶴男

    山口国務大臣 確かに我が国の財政は、私は大蔵大臣ではございませんけれども、極めて重大な局面にあるということは認識いたしております。  御案内のように、公債の発行残高は二百兆円、また地方財政も同じように約百兆円の公債残高を抱えている。そしてまた、国家財政で言えば、平成六年度予算七十三兆円でございますけれども、この公債の元金と利子の支払いに、いわば公債費に十四兆円、国の会計全体の二〇%近い額を振り向けなければならぬ。ですから、実際七十三兆円の予算を組んでも使えるのは八〇%でしかない、こういうやはり極めて大変な状態にあるということは認識をいたしております。  したがいまして、これに対しては、大蔵省が予算査定に当たりまして不急不要の資金を思い切って削減をするという努力は必要でしょうし、また総務庁は、政府の機構と定員については査定をする権限を持っておりますので、そういう立場から、定員の抑制にはやはり全力を挙げて努力しなければならぬ。過去十年ほどの間に約四万人の国家公務員の縮減を達成したという実績もございますが、しかし、さらにそういった面では私たちは厳しく対応しなきゃならぬということだろうと思います。  したがいまして、総務庁といたしましては、総務庁のなし得る権限、範囲におきまして行政改革に努める、定員の縮減にもこれまた真剣に対応するということでなければならないと思っている次第であります。
  61. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこで、行財政改革一つの重大なことは、今長官からお答えがございましたように、要するに人件費であり職員数であります。  私は、実はつい去年まで都会議員をいたしておりましたが、鈴木都知事は、美濃部都政に引き続いて、まず人員削減をやろうという行財政改革の基本に手をつけたわけでありますが、東京都は二十二万人の職員がおりますが、二万人削減をいたしました。それは、要するに民間企業と違って、公務員の場合は生首を別に切っちゃうわけじゃないんですよ。つまり、定年退職者が千人いる、そうすると五百人しか採用しない、それを何年間かにわたって人員削減につなかったと、こういうことでございまして、ぜひそういう御努力も実はいただきたいなと思っております。  それから、特殊法人の整理につきましては、いろいろ議論になっておりますけれども、じゃこれ全部を、きょう特殊法人一つ一つ存在意義等について聞いているわけにまいりませんので、とりあえず私は、きょうは二つの特殊法人について御質問をしたいと思います。  一つは、農用地整備公団というのがありますが、この農用地整備公団というのは、要するに田畑の耕地整理ということだろうと思います。しかし、もともと田畑の耕地整理というのは各都道府県でもできることでございまして、何も国が一年間に三百億円の予算を使って——東京にどうも事務所があって、やっているところはどうも北海道のどこだかわかりませんがやっているらしい。そういうことが一体なぜ北海道に委託することができないのか。それで、三百億なんて金使って、じゃ一体その三百億円の投資した分だけ収入があるのか。つまり、普通の産業ならば、三百億円の投資をすれば、当然その投資した分だけ利益が上がってこなきゃおかしい。この農用地整備公団については一体実態はどうなっているのか、そのことについてまずお尋ねをしたい、こう思います。
  62. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいまの先生のお尋ねでございますが、個別の法人の業務の実態について詳細に私どもは承知しているわけではございません。必要があれば、所管の農林省からお答えすべき問題だろうと思いますが、大変申しわけございませんが、ただいまの御質問に直接お答えできる材料をただいま持ち合わせておりません。
  63. 吉田公一

    吉田(公)委員 じゃ、その次に聞こうと思った畜産振興事業団についても、答弁をされる人はいないんですか、今。——いない。特殊法人について伺うと言っておいたんだけどな。  じゃ、まあこれはまた後で……。
  64. 山口鶴男

    山口国務大臣 十一月二十五日、各省庁から、九十二の特殊法人に対して整理、見直しをすることを私どもの方から求めまして、その中間報告を提出をすることを求めました。二十五日に九十二の特殊法人に関して各省庁から中間的な報告が参りましたので、先日の閣議後の懇談で、私の方からその結果について御報告を申し上げました。  御指摘の農用地整備公団それから畜産事業団等に対しましても、農林省の方から検討の中間報告が参りましたけれども、ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて農業振興の必要があるのでこの必要性はあるとか、ただ効率的な運用については努力をしたいとか、そういう趣旨の回答はございました。  しかし、私どもとしましては、この九十二ございます特殊法人の回答について、極めて私どもとしては納得するというような状況にはございません。もともと十一月二十五日は中間報告であって、二月の十日までに各省庁としての最終的な考え方を報告してもらうように求めておりますので、この二月十日の報告の際には、より踏み込んだ各省庁としての考え方を提示をしていただきたい。  また、総務庁といたしましては、総理官邸とも連絡をいたしまして、よりこの特殊法人整理合理化については各閣僚がリーダーシップを発揮して対応していただくように、強く要請を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  65. 吉田公一

    吉田(公)委員 今、長官からお話がございましたから、このことについては、答弁をする人がいないのでは幾ら言ったってだめでありますから、畜産振興事業団や蚕糸糖価事業団、それから特殊法人を見ますと、まずまず統合するようなところがたくさんありますね。同じような名前で、北海道東北開発公庫なんというのがあったり、中小企業金融公庫があって中小企業信用保険公庫があったり、住宅金融公庫があったり、商工組合中央金庫があったり、これらはどういうふうな分野で別々にやらざるを得ないのかどうもよくわかりませんが、まあとにかく、いずれきちっと私の方も調査をして質問をさしていただきたいと思います。  例えば畜産振興事業団なんというのは、本来牛肉が自由化でないときに、つまり価格の安定を図ろうと、上限価格と下限価格を要するに決めておいて、上がったら放出する、下がったら買い戻す、こういうような、要するに価格のバランスを実はとっていた事業団でありますが、しかし今牛肉が自由化になってしまって、何も価格安定調整をする必要はないわけであります。そういう意味で、かえってこの畜産振興事業団があるから牛肉が安くならないんじゃねえかなんて言われているぐらいで、ぜひこういう問題もきちっと整理をしていただきたい、そう思います。それから、蚕糸糖価事業団といったって、それはお蚕の話でしょうけれども、これだって、一体そこまで、お蚕の話まで関与しなければならないのかというようなこともございまして、ぜひひとつ長官の方できちっと整理をしていただきたいな、そう思っております。  個々の問題についてこれから質問をさしていただきますが、まず私は、個人タクシーのことについて伺います。  これは、どこへ参りましても、市民の足、都民の足として活用されているわけでありますが、個人タクシーに限って試験問題がありますね。地理試験と法令試験というのがあるんですよ。それに受からなきゃ個人タクシーは免許を取ることができない。また、その条件として、車庫がどこにあるのか、それから、おまえ定期預金で金持ってんのかなんという、そういうことまでどうも出さしているらしい。しかしタクシーというのは、御承知のとおり、お客さんを乗せてから目的地まで安全にそのお客さんを運べばいいわけであって、この個人タクシーの試験というのは何でやってんのか、それをまず伺いたいと、こう思うんですよね。
  66. 藤井章治

    藤井(章)説明員 委員御承知のとおり、個人タクシーにつきましては一人一車制の制度をとっておりまして、これを設けた趣旨としましては、タクシー運転者のいわば模範となるべき知識、技能を有する優秀適格者から選んでいこうということで、それがタクシー業界の活性化にもつながるということで制度を設けてきたわけでございまして、御指摘のとおり、過去の運転経歴を見ていくほか、地域の地理に詳しい者を、やはり旅客サービスを的確にやるにはこういった詳しい方を選定する必要があるわけでございます。  また、個人タクシー事業者と申しましても、これは運転者の立場のみならず、個人といえども事業者の立場でございますので、やはり業務遂行上の道路運送法等の法令について十分な御認識をいただかないと、事業の的確な遂行が期し得ないということがございます。  こういうこともございますので、こういった点について客観、公平性を確保するという観点から、委員指摘のような法令試験あるいは地理試験ということを実施をいたしまして、これを免許の審査の中で取り込んで、優秀適格者を選定しているわけでございます。このような理由で現在、試験制度を設けられているということでございます。
  67. 吉田公一

    吉田(公)委員 優秀な個人タクシーの運転手を供給するために試験をやる。それじゃ、民間企業の運転手さんというのは優秀じゃないのか。
  68. 藤井章治

    藤井(章)説明員 法人の事業者に雇用された運転者の方々でございますが、これにつきましても、サービスの観点からは、地理に詳しいというような運転者としての知識というのは、場合によっては必要であろうと思っております。特に問題のある地域、東京地域、大阪地域につきましては指定地域にいたしまして、そういった地域における運転者となろうとする者につきましては、法人の雇用者である運転者につきましても一定の地理試験というのは行っておるところでございますが、先ほど申し上げましたように、個人タクシーにつきましては、やはりそういった法人の運転者の方々よりもよりすぐれた方々を選びたいということで、いわば加重な意味で免許制度の中に試験制度を取り入れているわけでございます。
  69. 吉田公一

    吉田(公)委員 大体、個人タクシーをやろうという人は、道路を一歩も走ったことのない人がやるわけないんだよ。必ず一種免許を持って、そして人を乗っけていいという二種免許を取ってからやっているのだから。だってそうでしょう。うちの玄関のところから車庫入れしかやったことがない人がタクシーの運転手なんかやるわけないんだ。だから、大体が営業タクシーをやって、二種免許を持っていて、無事故、無違反の人が個人タクシーを受けているのだから。そうでしょう。  そこで、それはどっちも、個人タクシーだって民間営業タクシーだって、やはりその台数というのは確保してあげなきゃいけないわけだよ。個人タクシーがふえ過ぎちゃって民間タクシーが減ってもいけないし、個人タクシーもまた余り少なくなってもいけないし。だから、二種免許を持っていればお客さんを乗っけて営業することができるわけだ、民間営業タクシーなら。そうでしょう。ところが、個人タクシーをやろうと思ったら、定期預金が幾らなんてまだやっているのでしょう。  ちょっと教えてください、それ。定期預金が百五十万なきゃいけないとかなんとか言っているんじゃないの。
  70. 藤井章治

    藤井(章)説明員 個人タクシーの免許の際に、これはいわゆる旅客運送事業の免許を的確に実施をして、お客様にサービスを確実に実施していただけるというチェックをいたすわけでございますが、御指摘のように、事業開始後の所要資金の面、こういった点につきましては、やはりそれが、事業を開始して自動車を買い、あるいは車庫を手に入れ、また所要の運転資金も必要となってくるわけでございまして、そういう面での所要資金の確認の意味において、挙証資料として、預金高といいますか、そういう面でのチェックもさせていただいておるわけでございます。  こういった点につきましては、いろいろ事業者の団体等の御意見も聞きながら、こういった所要の挙証資料につきまして、今後とも見直しといいますか改善というのが図られるように、私どもも検討してまいりたいと思っております。
  71. 吉田公一

    吉田(公)委員 だから、幾ら持っていなければ個人タクシーが営業できないんだ。金額を言ってくださいよ。
  72. 藤井章治

    藤井(章)説明員 所要資金の資金計画というのを事業免許のときに提出していただくわけでございますが、新規免許の場合の例で申し上げますと、設備資金、運転資金、自動車車庫に要する資金、それから当然、お客様を乗せて事故が起こった場合の保険料の額、こういったものでございまして、額が定められておりますのは、設備資金につきましては八十万円以上、運転資金につきましても同じく八十万円以上ということでございます。  あと、車庫を手に入れるための資金とか保険料につきましては、それぞれの事情もございますので特定の額は決められておりませんが、そのような額の自己資金を確保する、そういう意味でのチェックとして、挙証資料として、先ほどの委員の御指摘のような、預金証明といいますか預金証書のチェックをさせていただいているということでございます。
  73. 吉田公一

    吉田(公)委員 設備資金というのは、車の本体を買うお金を言っているのですか。本体を買った後に設備資金を必要としているんじゃないの。  それから、運転資金というのは、何か事業をやっておるわけじゃないのだから、タイヤがパンクしたとか、そんなもの別に運転資金を用意しなくても簡単にできるんじゃないの。オイル交換なんかだって、こんな八十万円なんか要らない。だから、根拠がわからないんだよ。タクシー運転手の人に百六十万円も用意させて、どうしようというんですか。車を買って、ほかに八十万用意させるの。運転資金というのは何のために使うのですか。
  74. 藤井章治

    藤井(章)説明員 設備資金につきましては、車を購入するための資金というふうに認識をいたしておるところでございます。  それから、運転資金につきましては、これは事業の運営に伴うようないろいろな諸費用を払っていくわけでございまして、こういったものを想定しておるわけでございます。
  75. 吉田公一

    吉田(公)委員 しつこいようで申しわけないのだけれども、全然その意味がよくわからないんだ。八十万円で要するに軍を買う。八十万円じゃ軽自動車も買えないよ。軽自動車でタクシーなんか営業できっこないんだから。それから、運転資金といったって、十日に一遍四輪車がパンクしてしまうわけじゃないんだから、そんな年じゅう年じゅうかえることないんだ。だから、何で八十万円だか、意味がわからないんだ。だって、タクシーを申請するときには、セドリックですとかクラウンですとか、車種をちゃんと申請して、ナンバーまで申請してやるんじゃないの。全然違うの。この八十万と百六十万が定期預金があれば、それで全部免許がおりてしまうの。どういうシステムになっているのですか。  それで、最終的に、需給調整のために試験をやらせているんだよ、本当のことを言うと。最初からそれを言ってしまうと、もう話がなくなってしまうから言わなかったけれども。そうでしょう。だって、個人タクシーの運転手さんだけに道路運送法、同法施行令、同法施行規則、旅客自動車運送事業等運輸規則、一般旅客自動車運送事業会計規則、これは長官だってわからぬでしょう、こんなこと言ったって。長官、個人タクシーの運転手さんが試験を受けるときに、道路運送法、同法施行令、同法施行規則、一般旅客自動車運送事業会計規則、旅客自動車運送事業等報告規則、道路運送車両法関係、道路運送車両法、同法施行令、同法施行規則、こんなこと言ったって、長官だってわからないね。おれだってよくわからない。  何で個人タクシ一の方々にこういう試験を受けさせて、それで地理試験がだめだ、こう言うんだよな。東京駅から国会議事堂まで、ちょっと遠回りしただけで失格なんていうんじゃ、地理試験というのは大体そういうことだから、あのホテルヘ行くのにはどうしたらいいかとか、そういうのじゃないの、これ。  地理試験と法令というのは、需給調整のためにやっているんじゃないですか。これ以上個人タクシーをふやしちゃうと民間企業の方に影響してしまう。だから、こんな難しい試験をやって調整しちゃって、落としちゃえ、そうとしか思えないんだ、これは。どうですか。
  76. 藤井章治

    藤井(章)説明員 最後のところでございますけれども、私どもの個人タクシーを免許をする際に当たっての試験制度、これは需給調整の観点から行っているのではないかということでございますが、私どもとしては、先ほど冒頭に申し上げましたように、いかに優秀な方々を個人タクシーとして登用していくかという観点からの、いわば資格的な要件からのチェックを行っているつもりでございまして、需給調整という観点をこれに加えているつもりはございません。
  77. 吉田公一

    吉田(公)委員 例えば、二種免許はもちろん取って、もう十五年にも二十年にもなる。東京の場合は二十年間無事故無違反で、大阪の場合は府の交通部長だとか、東京の場合は警視庁交通部長賞とか、いろいろ金賞、銀賞もらってドライバーとしては優秀な人が、個人タクシーを受けると落っこっちゃうんだ。そういうことはおかしいじゃないかと私は言っているわけです。こんな、地理試験がちょっとできない、それから今言ったわけのわからない、こういうものを受けさせて、そういうちゃんとした人が落ちるということ自体がおかしいじゃないか、こう言っているのですよ。そんなもの、試験をやるからそういうことになっちゃうわけでしょう。  だから私が言っているように、二十年間も無事故無違反で、二種免許を取って、そして個人タクシーの前の、どこの企業にいたかわからないけれども、その勤務成績も大変優秀だ、そういう人が受からないというのはどういうわけですかね。おかしいでしょう、それは。二種免許を持って、無事故無違反が運転手さんの一番大事な条件なんだよ。ほかにはないんだよ、別に。そうでしょう。その人が少ししゃべり過ぎるとか、どうもしゃべらないとか、そういうことじゃないでしょう。だって、ほかには条件ないんだもの。ネクタイが赤いのをしているからだめだとか、背広が茶色だからだめだとか、そういうことじゃないはずだから。  もう一回ちゃんと、需給調整じゃない、こう言いましたね。本当にそうですね、それは。間違いありませんね。
  78. 藤井章治

    藤井(章)説明員 何度もお答えするようでございますが、個人タクシーというのを導入した経過も先ほど申し上げたところでございますが、いかにそういった優秀な方々がタクシー業界全体としてのレベルアップに資するかということが、この個人タクシー制度の導入の経過だろうと思っておりまして、そういう意味で試験制度をとっておるわけでございます。  ただ、確かに試験のあり方につきましては、事業者団体の方々からも、今までのような非常に煩雑なといいますか、非常に細かい試験のあり方でいいのかというような御指摘を受けているのも、これまた事実でございます。そういう観点から、場合によりましては、先生おっしゃるように、例えばタクシー事業を十年なら十年しっかりやってきて優秀な運転者であるというような方々については、例えば地理試験を免除するといったような具体的な改善策、こういったものにつきましては、私どももこれから、個人タクシー事業全体の改善方策を九月の八日に方向づけをいたしましたので、こういった中で慎重に、また前向きに検討してまいりたい、このように考えております。
  79. 吉田公一

    吉田(公)委員 とにかく推薦制というものを導入してもらって、ただ単にぺーパーテストだけでその人を落としたり、そういうことのないように、ぜひひとつ強く要望しておきます。それから次に、輸入化粧品のことについて、これは前々から話題となっておりますが、一つは、フランスとアメリカからほとんど輸入化粧品が入っているわけでありますが、どうもその内外価格差があり過ぎる。これは一つは、輸入許可業者というものをつくって許可制にしている、そういうところにまず問題があるのじゃないかと思っておりますが、そのことについて、厚生省の方で御答弁いただきます。
  80. 藤井基之

    藤井(基)説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の、内外価格差の問題の原因が化粧品の輸入業者の許可制によるのではないかという御質問でございますが、私どもとしましては、化粧品といいますのは、多種多様の化学物質から構成されておりまして、日常生活におきまして大勢の方々が繰り返し長期間にわたりまして使用するものでございます。したがいまして、薬事法によりまして、その安全性を確保するために必要な規制を行っております。これは経済的な規制ではなくて、いわゆる社会的な規制だと理解をしております。  一方、化粧品の価格の問題というものは、これは当然、製造業者あるいは輸入販売業者の方々の価格の戦略でありますとか、あるいは需要と供給の関係等々で決まるものであると考えておりますので、私どもとしましては、こういう社会的規制がその価格問題に強い影響を与えているというふうには理解をしておりません。
  81. 吉田公一

    吉田(公)委員 社会的な面からという、つまり一つは安全性ということですね。だけど、この安全性というのは一体どこまでが安全性の限界か。例えば、一〇〇%安全でなければ絶対使用してはならない。だけど、注射液だって薬だって、厚生省があれだけ安全だといって認可したものだって、副作用があって亡くなったりなんかして問題になっているじゃないか。こんなのおかしいじゃないか。もしそうだとしたら、厚生省は責任とらなきゃおかしいじゃないか。そうでしょう。そのときはちっとも責任とっていない、薬の会社のせいにしちゃったりなんかしてさ。  そこで、安全性と言うならば、それじゃ東京にヘリコプターだの飛行機なんか飛ばすなと言うんだよ。危なくてしょうがないよ。だから、何でもそうなんだけれども、安全性と言えば何でも事が済んでしまうと思っているけれども、安全性と言ったって、何%の外国化粧品で、十人のうち二人も被害者が出たんじゃ、これは問題だよ。だけど、女性の大半は使っているわけだけれども、苦情というのは余りないんじゃないの。今テストをしているじゃないの、こうやって、御婦人が。そして安全を確認してから使っているんでしょう。  それで、アメリカやフランスの女の人が使っていて別にそれほど問題ないんだし、我々がアメリカやフランスに行って、口紅なんて買ってくるんだよ、こんなざるの中へ一本千円で入っているんだから。東京のデパートヘ行くと、それが四千円とか四千五百円。それで、婦人が大体一カ月一万円から一万五千円以上使うんだそうだよ、化粧品代というのは。うんと塗る人は、厚く塗る人はどうも二万円くらいかかるらしいけれども、平均は一万五千円ぐらいかかるというのだな。  だから、内外価格差のある、最もみんなが利用している化粧品、許可制なんかにしなくて届け出制でいいじゃないか。しかも、製造物責任法というのができて、輸入業者がちゃんと責任をとらなければだめなようになっているのだから、許可なんかする必要ないじゃないか、届け出制にすればいいじゃないか。どうなんですか、それは。
  82. 藤井基之

    藤井(基)説明員 今、先生が御指摘されました点につきましてお答えをいたします。  まず、製造物責任法が成立をいたしましたので、それによって規制の目的は達成できるのではないかということでございます。御案内のように、製造物責任法は、民事ルールに基づきまして、製造物により被害を受けた消費者の事後的な救済を図ることを目的とするものでございます。一方薬事法は、化粧品に対する規制といいますのは、広く国民一般に対する健康上の被害を事前に防止する観点から行うものでございます。したがいまして、薬事法と製造物責任法の趣旨、目的というのは異なるものでございまして、もちろん製造物責任法の導入によりまして、その効果として業者による一層の健康被害への未然防止効果、これが期待されることは当然でございますけれども、化粧品の衛生上の被害というものは、これは一たび発生しますと広く国民一般の健康に影響することでございますので、薬事法における化粧品の規制というものは必要ではないかと考えております。  それから、先ほど価格の問題につきまして先生の御指摘で、私どもも、これにつきましては、通商産業省さんの調査によりまして、内外の価格の問題としまして、例えばアメリカ製の口紅、乳液あるいは欧州製の口紅、乳液、香水につきまして国際比較をしたところ、いずれも東京の価格が高いという情報については承知をしておりますが、先生御案内のように、このとき同時に行っております調査によりますと、日本製の例えは乳液を見ますと、これは東京の価格の方が安いという調査結果も出ているわけでございまして、私は、日本における規制のために日本はすべて高いというのでは必ずしもないのではないかというふうに考えております。
  83. 吉田公一

    吉田(公)委員 時間がないようでありますが、つまり安全性のために許可をしている。  例えば城南電機でこの前売って、東京都の薬事監視員が行って、これは薬事法違反です、こうやって、あなた売っちゃだめだ、こうやったんだ。それで、その根拠は何かというと、同じ化粧品なんだけれども、レッテルが張ってなかった。レッテルが張ってないから薬事法違反だというんだ。じゃその薬事法違反のレッテルはだれが張るんだ。厚生省じゃないじゃないか。輸入許可業者が自分のもののところへレッテルを張って販売すれば薬事法違反でなくて、同じ品物が、輸入許可業者がレッテルを印刷して張らなければ薬事法違反なんて、そんなばかな話ないじゃないか。
  84. 藤井基之

    藤井(基)説明員 今のレッテルといいますか、いわゆる表示の規制の関係でございますが、これは、消費者の安全確保ということに関係しまして、化粧品を製造あるいは輸入をした場合、それに係る責任の所在を明らかにするためにその製造所の名前を書かなければいけないというような規定がございます。また指定成分、これは、アレルギー等を惹起する危険性のある成分につきましては、その成分表示を求めております。このような必要な情報というものは、これを消費者に伝えることによりまして法の目的が的確に実行される、こういう性格のものだと考えております。  また、化粧品の規制の問題で申し上げますと、これは我が国だけではございません。欧米でも、化粧品については消費者保護の観点から同様な表示規制を行っているところでございます。  また、もう一言申し上げますれば、確かに個人で輸入をされた場合には、それはレッテルを張る必要はありません。私ども法律は、製造業者とか輸入販売業者というものが業として多数の消費者に対して、不特定多数の消費者に対して販売する際の責任明示というようなことから表示をかけておるわけでございまして、消費者の方がみずからの責任で購入なさって、輸入をされて、個人でお使いになる、これは業としてということではございませんので表示の規定がかからない、かような仕組みになっております。
  85. 吉田公一

    吉田(公)委員 いや、そんなことはわかっているのですよ。自分が持ってきて自分が塗った場合には、それは自分に責任があるのは当たり前の話だ。  そんなことを聞いているのではなくて、それでは、そういうような安全性を確保するために輸入許可業者というのは、じゃ試験室も持っている、分析する能力のある人も配置している。しかし、その分析者の資格だって、輸入許可業者が絶対安全を確保するための分析能力があるかどうかもわからないじゃないか。輸入許可業者に任せてあるんでしょう、化粧品の分析は。それでその輸入許可業者が、日本では使用してはならない、化粧品の中に使ってはならない鉛だとかそういうものが入っているかいないか、そういう成分表を張って外へ出す、そうすると薬事法違反じゃない。  厚生省がレッテルをつくっているならいいですよ、それは。輸入許可業者が、民間が、大した分析能力もないようなところでやっておいて、それがレッテルを張って分析表を張ったら薬事法違反ではないなんという話は、おかしいんじゃないの。厚生省が張るんならいいですよ、ちゃんと、責任持って。六百ある輸入許可業者が、大した試験室もないのに、分析能力を持っているか持っていないかわからない人が、ちょっとした設備でもってこの化粧品は分析しました、問題ありませんといってレッテルを張るのです。  もともと輸入化粧品そのものに、日本で使用してはならないものなんか入れてないんじゃないんですか。その点、最後、どうですか。
  86. 藤井基之

    藤井(基)説明員 薬事法における化粧品の輸入販売業の許可の要件としましては、今先生が御案内ございましたように、物的な要件、人的な要件を規定しております。  ただ、今の例えは試験設備の問題について申し上げますと、物的要件の中の試験検査設備につきましては、これは自分のところで持たなければならないということではございませんでして、例えばほかの信頼に足る試験検査機関を利用してその内容を把握する、こういったことでもよろしいというふうになっておりまして、その辺の運用については、実態も加味した運用がなされていると考えております。
  87. 吉田公一

    吉田(公)委員 それじゃ輸入許可業者なんていうのは要らないじゃないの。届け出制にして、それが輸入したものを第三機関の試験機関へ持っていって、ちゃんと成分分析をしてもらって、そして日本では使ってはいけない薬物は入っていないということでレッテルを張って販売すれば、問題ないじゃないですか。そうでしょう。何も六百社の輸入許可にする必要ないじゃないですか。そこが行財政改革の、規制緩和のところなんだ、幾ら言ったって。  手を挙げて何を言うんだ、もう一つどうしても言いたい答弁があるんですか。じゃ聞きますよ。
  88. 藤井基之

    藤井(基)説明員 今、先生からいろいろと御指摘をちょうだいしまして、一言追加させていただきたいと思います。  この化粧品の規制に関しましては、各国ともいろいろな歴史的経緯がございまして、いろいろな形での規制を行っております。これにつきましては、本年七月の閣議決定におきましても、今後における規制緩和の推進ということに関係しまして、現行の成分規制方式については国際的な整合化を図ることを含めて、製造、輸入に係る許可制、表示規制のあり方を見直すということで方向を定めておりまして、それに従って検討しているところだけ追加させていただきたいと思います。
  89. 吉田公一

    吉田(公)委員 これは、多くの女性の方々が化粧品が下がらないかと思っているんだから、だから、ただ安全ですとかなんとか言ったってだめなんです、それは。この委員会があればもう一回やるから、またよく勉強しておいてください。  どうもありがとうございました。
  90. 後藤茂

    後藤委員長 以上で吉田君の質疑は終了しました。  次に、佐々木陸海君。
  91. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海でございます。  今国会から当委員会に所属することになりまして、きょう初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、それにしても、規制緩和特別委員会に所属をいたしまして、規制緩和とは何かということをいろいろ考えてみました。政治改革、税制改革などと並んで一種のはやり言葉に今なっている感があります。しかし、政治改革や税制改革については既に一定の結論が出ました。  政治改革についていいますと、私たちの立場からいいますと、一票の格差の是正もまともにできない小選挙区制、そして提案した、あるいは推進した人々から、小選挙区制になったら腐敗がはびこるということで腐敗防止法を提案しなきゃならぬような腐敗選挙の危険、そして無理やり二大政党制に持っていこうというような中での今の政党の離合集散の動き、さらに憲法違反の政党助成、三百九億円の山分け等々、およそ国民がまともに期待するような政治改革ではなかったと私たちは考えていますし、税制改革についても公約違反、そして減税と抱き合わせですけれども消費税の増税で圧倒的多数の国民に差し引き増税、しかも見直し規定があってもっと上がるかもしらぬというような形で、政治改革とか税制改革に多くの国民、期待したと思いますけれども、言葉のマジックで妙なところに持っていかれているという感が実際にはあるし、次の選挙をやればその感は一層深まるだろうというふうに私たちは考えています。  規制緩和という問題も、この言葉のマジックが大変含まれていると思うんです。我々を取り巻く規制が緩められれば自由が広がって結構だ、一般的に言えばそういうことになりますけれども、しかし政治改革や税制改革を経てきた国民はそう単純にはいかないだろうというふうに思っていますし、この規制緩和では内容方向が極めて重要だというふうに考えています。  規制といいましてもいろいろあります。だれによる、だれに対する規制を緩和するのか。国民を欺くような、期待をさせておいて結局は期待どおりにならなかったというようなことにならないように、この規制緩和原則方向性というものが非常に大事だと痛感せざるを得ないんですが、その点について長官の考え方をまずお聞きしておきたいと思います。
  92. 山口鶴男

    山口国務大臣 しばしばお答えをいたしておりますが、規制緩和につきましては、我が国の経済社会の透明性を高める、そして国際的に調和のとれたものとする、そうして消費者の多様なニーズというものにこたえる、そして経済構造の改革を進めていく、こういった観点から、ぜひとも取り組まなければならない重大な課題であるというふうに認識をいたしております。  そうして、政府といたしましては、経済的規制については原則自由、そうして社会的規制につきましては本来の政策目的に沿った最小限規制をすべきものというふうに認識をいたしまして、今日まで規制緩和について対処いたしてまいったところでございます。
  93. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういうお言葉だけ聞くと、規制緩和というのは大変結構なものだと思うんですけれども、現実の事態は、国民のためになるものよりも、国民多数の利益に反する事態が進んでいるという懸念も実際にはあるわけであります。  きのうのある新聞に、雇用制度の自由化が進んでいる、雇用制度の規制緩和を先取りする動きが広がっているという大きな記事が出ました。その中で一つの例として、いわゆる契約スチュワーデス問題が取り上げられております。日本の航空会社が契約スチュワーデス、アルバイトスチュワーデス、これを採用するという問題であります。乗客の安全に重大な責任を負う立場にある旅客機の客室乗務員は、これまで経験も訓練も積んだ正規の職員がずっと勤めてきていたわけですけれども、これをアルバイトでもいいというふうにしてしまうというのがこの問題であって、まさに規制の緩和そのものであろうかとも思います。  この夏、こういう航空会社の計画について、亀井運輸大臣が、アルバイトスチュワーデスは正規職員と同じ仕事をするのに待遇が余りにも違い過ぎる、正規職員とこのアルバイトが同じキャビンに乗り合わせて仕事をするのでは、一体性に欠けて乗客の安全面でも心配だという問題を提起をいたしました。提起の仕方などすべてを私たち容認するものではありませんけれども、少なくともここで提起した二点の問題には合理性があったと私たちは考えています。これに対し、当時、財界団体、永野日経連会長などが猛烈に反発し、また多くのマスコミも、規制緩和ということをにしきの御旗にして企業側を擁護するような論陣を張ったというふうに記憶しておりますが、運輸省に確認しておきたいんですが、この問題はどのように決着をしたのでしょうか。
  94. 丸山博

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  亀井運輸大臣指摘につきましては、ただいま御指摘ありましたとおり、雇用形態あるいは勤務、給与条件の異なる客室乗務員が同じキャビンの中で混乗いたしますと、一体性に欠け、緊急時の安全確保について問題があるのではないかという指摘でございました。  これに対しまして、航空三社から、一体感を醸成するために次のような措置をとるという報告がございました。一つは、契約制の客室乗務員につきまして、三年後に本人の希望ですとか適性、勤務成績を踏まえまして正規職員へ切りかえる。それから、賃金水準につきましても改善を図る。それから、事故時の補償につきましても、正規の客室乗務員と同様の基準のものとする。四番目に、正規客室乗務員と同様の訓練を行うなどの、業務上の一体性の確保がとれるような措置をとるというような報告がございました。  私ども、この報告を私どもの行政指導にこたえて緊急時の安全確保に配慮したものとなっておるということで、三社の対応を評価したという経緯でございます。
  95. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 じゃ、その各社の中身についてちょっとお聞きしたいと思うんですが、例えば日本航空、JALの場合には、賃金水準はどの程度上がることになったんでしょうか。募集要項によりますと、時給制で基本給千円、時間給ですね。高校生のアルバイト程度のお金だと思いますけれども、これがどの程度上がったんでしょうか。
  96. 丸山博

    ○丸山説明員 賃金水準につきましては、具体的にどの額がということにつきましては、賃金の問題でございますので、基本的に労使の問題でございますので、私どもから具体的な水準についてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、賃金水準につきましては、当初の時間給に加えまして、精勤手当を支給することによりまして改善を図るというふうに聞いております。
  97. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それじゃ、募集要項で一年ごとの契約社員になるんだという条件がありましたが、この点は何か変わったでしょうか。
  98. 丸山博

    ○丸山説明員 先ほど申し上げましたように、一年ごとの契約で、当初は三年間に限って契約するということでございましたけれども、航空業者が出してまいりました改善案につきましては、三年後に本人の適性、希望、勤務成績を踏まえて正規社員に切りかえるというふうになっております。
  99. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、余り条件変わってないということだと思うんですけれども、JALの場合には、JALがこれらの契約スチュワーデスを直接採用するのではなくて、子会社のジャパン・エア・チャーター、JAZというのですか、JAZという会社が採用したスチュワーデスを使うという形をとることになっているというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  100. 丸山博

    ○丸山説明員 御指摘のとおりでございます。
  101. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この場合のアルバイトスチュワーデスの立場について、労働省にお聞きしますけれども、JAZに雇用されてJALに派遣されるわけですが、派遣労働者という公的な立場になるのか、それともJAZからJALに出向する労働者ということになるんですか、確認したいと思います。
  102. 森山寛

    森山説明員 御説明させていただきます。  先ほどの先生の御質問でございますけれども、今回のスチュワーデスにつきましては、いわゆるJAZ、ジャパン・エア・チャーターに採用されまして、そしてJAZと雇用関係を結んだ上で、その雇用関係を維持しながらいわゆるJAL、日本航空に出向し、JALとも雇用関係を成立させるというふうに私ども理解しておりまして、この関係でございますと、在籍出向に該当するものというふうに理解をしております。
  103. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今答弁にありましたように、アルバイトスチュワーデスで雇われる彼女らは、JAZとともにJALとも雇用関係を結ぶことになる。JALとしては、正規職員と異なる条件で新しく客室乗務員を使うことになるわけですから、これまでの就業規則に何らかの改定を行うか、新たな就業規則をつくらなければならぬと思いますけれども、その点労働省、いかがでしょうか。
  104. 森山寛

    森山説明員 ただいま申し上げましたように、JALとも雇用関係を結ぶということでございますので、当然ながら、例えば雇用関係を結ぶ際の労働者名簿の作成とか、あるいはいろいろなそれ以外の労災保険の加入等々、そういうものにつきましては、当然JALの方に義務が課されるわけでございます。
  105. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 就業規則を改正するとか新しくつくるという場合には、当然のことながら職場の過半数を代表する労働者の代表と日航、LALとが協議して決めることになるわけですが、日航の場合には労働組合の状況もいろいろ複雑でありまして、この当該職場、客室乗務員の圧倒的多数が反対をしたとしても、日航の全体の労働者の中ではそれが少数という場合には、当該職場の意向を無視して就業規則が結ばれるという危険性も現実には日航の場合にはあるというふうに聞いております。  そして現実に、これは乗員組合の方ですが、昨年七月二十二日、JALは乗員組合と結んでいた勤務協定の破棄を通知して、昨年の十一月一日からは就業規則の付随規程である運航乗務員就業規程等を一方的に不利益に変更して、会社案での勤務指示を強行する。乗員組合の方は、この不利益を回復するために裁判に訴えざるを得ないというような事態まで出ていて、その乗員組合の執行委員長が裁判所に提出した意見陳述の中では、こういう改悪の「強行によって、サンフランシスコから成田の便においては、日本時間の午前三時半から始まる十三時間もの長時間連続勤務を強いられて」いる、「従来の乗員編成であれば、交替乗員がいたため三時間程度の仮眠を取ることができていましたが、十一月以降仮眠どころか一分の休憩もない勤務となって」いる、「そして、勤務開始後十二時間、離陸後十時間以上を経過し、疲労が最もたまった状態で着陸を行って」いる、「現場からは、この勤務は体に悪影響を与えているが、もっと問題なのは、成田空港の天候」がどうであれ、もう疲れ切っているから早く着陸をしたいということになるという報告が上がっているというようなことが出ております。  こういう状況があるわけですから、今回の就業規則の改正という場合にも、当該職場である客室乗務員の意見を無視するのではないかという懸念が広がるというような状況が、JALの中にはあるわけですね。ですから、これでは労働者の労働条件を守る就業規則が逆に労働者に不利益をもたらしかねないというような事態もある。そういう懸念があるわけですが、この際、こういうことが望ましいか、長官に一言お聞きしておきたいと思います。
  106. 山口鶴男

    山口国務大臣 亀井運輸大臣委員指摘の問題を提起されましたときに、私は、運輸大臣として安全性の問題そして労働条件の問題について発言することは、これは運輸大臣としての立場で当然であろう、また適切であろうとは思いました。  ただ、あの際の発言の後段に、この行政指導に従わない場合は増便等についてはこれは認めないよというような発言がございましたので、私は、行政手続法の施行以前の問題ではありますが、この部分は好ましい発言ではないというふうに思い、またその趣旨は運輸当局の方にも伝えた次第であります。
  107. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ちょっと質問を取り違えていらっしゃると思うのですが、JALの中で就業規則の改正なんかが行われると、実際には当該職場の勤務員の利益に反するようなことがやられる危険性があるということを懸念している、これは好ましいことかどうかということをちょっとお聞きしたわけです。
  108. 山口鶴男

    山口国務大臣 私は、この問題については、総務庁が所管する行政手続法の範囲で論評をすることはいたしたいと思いますが、今委員指摘の点は、これは私の守備範囲を超える問題ですから、そういった問題についての論評は控えたいと存じます。
  109. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 JALがわざわざJAZという子会社をつくって、言ってみればJALに出向させるためにのみそこでスチュワーデスの採用をしてやるというこのシステムですね。こういうことをJALがわざわざやらなきゃならぬ、JAL側のメリットはどこにあるか、これを運輸省にお聞きしておきたいと思います。
  110. 丸山博

    ○丸山説明員 基本的に、労働者をどういう形で雇用して、それをどういうふうに働いてもらうかということにつきましては、企業の判断であるというふうに私ども考えております。
  111. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それはそうでしょうけれども、賃金を引き下げられるというメリットがあるという以外には、メリットは特別考えられないと思います。  それから、もう一つ労働省に聞いておきたいと思いますが、さっき引いたきのうの新聞の中では、今度のこういう動きについて客室乗務員組合の執行副委員長が、このような「経営側の動きは、いずれスチュワーデスの人材派遣を認めさせようとの思惑がある」のだという懸念を述べているわけですが、こういう懸念には根拠があると私は思うのですが、労働省、いかがでしょうか。
  112. 森山寛

    森山説明員 労働者派遣法の適用対象業務につきましては、先生御案内のように、現在十六業務が認められているわけでございます。この適用対象業務のあり方につきましては、いわゆる派遣労働者の保護と福祉の増進といった点にも十分に留意をする必要があるわけでございまして、この制度の運用の実情等を見きわめながら、関係審議会におきまして多角的な観点から御検討をお願いすることにしているところでございます。  なお、先生おっしゃいましたスチュワーデスに係る適用対象業務の問題でございますが、現時点におきましては、私ども航空業界の方からそのような要望等は聞いておりません。  以上でございます。
  113. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 現時点では聞いていないということですけれども、そういう要望が出れば検討に値する問題だと思っているのですか。
  114. 森山寛

    森山説明員 先ほど申し上げましたように、これらの適用対象業務の問題等も含めまして派遣の見直しということが現在行われていこうという段階でございまして、そういう問題も含めまして多角的な観点から検討というふうになろうかというふうに思っております。
  115. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 懸念があるわけですね。  それで、私の聞くところでは、JALは現在の国内線の正規スチュワーデスは国際線にだんだん移していって、国内線のあいた部分にアルバイトを入れるという方向だというふうに聞いております。その際、国内線のジャンボ機の場合には、乗務するスチュワーデス十二人中新人は三人までという内規がこれまであったのだそうですが、これからは四人の正規乗務員に九人のアルバイト乗務員という方向で進めるのだという話を聞いております。このアルバイトというのは一年契約で、そうすると大多数が三年未満のアルバイトスチュワーデスが乗り合わせるということにもなりかねないわけであります。  航空機の場合には、詳しく申し上げるまでもありませんけれども、ちょっとした異常が大事故につながるわけでありまして、スチュワーデスというのはそういう異常も察知して保安を担当する重要な任務を負っているわけですが、異常を察知するためには正常な状態を長く経験していなければ、当然異常というようなことがわからないという問題もあるわけであります。  それで、実際こういう方向が進んでいるのでしょう。最近の新聞でも、日航ではスチュワーデスの国内線限定乗務が廃止されるというような方向になって、今まで国内線限定乗務をしていた人たちが、もうこれでは、国際線に回されるのでは子供のことなどもあってやっていけないということで、スチュワーデスがどっと退職、あるスチュワーデスの言葉として、「四十歳になったらこういうサービスがしたい、という夢があった。『国内線はJALの顔』と言っていた会社が『国内線にベテランはいらない』と言い出した時は、本当にがっくりきた」というふうに言っていますが、「国内線にベテランはいらない」と、そしてその国内線にもジャンボ機の場合には四人しかベテランは要らないというのですから、ベテランじゃないかもしれませんが乗り合わせて、あと九人はアルバイトでやる、大変危険な状況にならざるを得ないのじゃないかということを言わざるを得ないと思うのです。これで本当に安全性が保たれるのだろうか。  だから、さっき長官言われましたように、もちろん亀井運輸大臣が提起したその問題の提起の仕方にはいろいろ問題があったかもしれませんが、しかし、あそこで正当に提起された安全性の問題とかあるいは労働条件の問題とかというのは、何一つ解決されないままに事態が進もうとしているのじゃないか。それが新聞紙上では、規制緩和の雇用面での先取りだというふうに言われているという点について、長官の御感想を伺いたいと思います。
  116. 山口鶴男

    山口国務大臣 この問題に関して、運輸省からあるいは他の民間皆さんから、これは規制緩和に該当すべき事案であるということが提起されましたならば、先ほど申し上げたように、この規制緩和検討委員会等、民間皆さん方の御意見も承る中で、どのようにするか、これは総務庁としてあるいは行政推進本部として判断する課題であるというふうに思います。
  117. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 既に財界団体などは、規制緩和の問題について政府にいろいろ申し入れをしております。そして、そういう中では、これはきのうの新聞に出ているのですが、労働時間規制の大幅緩和を日経連が労働省に申し入れた。それから、厳しい規制がある人材派遣や有料職業紹介でも、自由化を求めて業界団体などが動き始めた。あるいは経済団体が、各地域の最低賃金制を取って払えというようなことも規制緩和の問題として打ち出してきているという問題があるわけで、そういう問題について、じゃ長官、どう対応されるんでしょう。
  118. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  そういった要望を経団連が出しているということは新聞でも拝見いたしましたが、規制緩和検討委員会には労働組合の代表の皆さん方にも御参加をいただいております。また、連合としてこのような問題に関して見解も出しておられる状況も新聞等で拝見をいたしております。したがいまして、これらの問題は、先ほど申し上げたように、規制緩和検討委員会でさまざまな階層を代表する専門家の皆さん方の御意見議論を通じ、また私ども総務庁立場で検討いたしまして、そういう中で結論を出していく課題であるというふうに認識をいたしている次第であります。
  119. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 さっき申し上げましたJALその他航空各社の問題についていいますと、この航空各社が業績がよくないのは事実なんですよね。しかし、その業績がよくない問題のしわ寄せを、乗客の安全性や労働者側に、規制緩和に名をかりてというのか、先取りしてこんな形でやってくるというのは許されないことだというふうに思うのです。業績の悪化の問題の根本にあるのは、異常な円高の問題、あるいはこの航空の問題でいいますと、全く不平等な日米間の航空取り決めの問題が厳然としてあるわけですね。  きのういただいた資料によりますと、日本側の以還権は使用地点一カ所しかないのに、アメリカ側は九カ所も持っているとか、それから週間便数は、往復で日本側は旅客便で百四十二便、アメリカ側の方は三百六便持っているというような、こういう問題が根本にあるわけですね。だから、政治が本当に取り組まなきゃならぬ課題というのは、この航空の問題に関していえば、こんなアルバイトスチュワーデスというようなこそくな手段で賃金を引き下げて、それで乗客の安全性を脅かすというような問題を進めることじゃなくて、やはりこういう問題に根本的に取り組んでいくということでなきゃならぬというふうに思うわけです。  まあ規制緩和の問題、先ほども申し上げましたように、何かはやり言葉のようになりまして、きのうこういう問題を取り上げたその同じ新聞が、きょうの社説では「経済活性化し、国民生活を豊かにするためには、規制緩和は絶対に必要である。そのことがわかない政治家や官僚はもういないだろう。」というところまで、何か規制緩和というのは、本当にこの旗が立ったらその前にみんなひれ伏さなきゃいけないようなことになっているのですけれども、しかしそんな単純なものじゃない。規制緩和というのは、本当に内容を厳しく吟味してやっていかなきゃならぬということだと思うのですね。  まだまだ長官の言われていることも、その厳しい内容の吟味というのが極めて抽象的で、何かよくわからない。そのことだけ聞けば大変結構なように聞こえるけれども、やはり最初に申し上げましたように、だれによるだれへの規制を撤廃するのかということでございまして、率直に言いますと、大企業の横暴なやり方に対する規制というようなものは、もっと強めていかなきゃならぬというような分野さえあるというふうに私たちは考えているわけでありまして、そういう点について長官の見解をお伺いしたいと思います。
  120. 山口鶴男

    山口国務大臣 何回もお答えいたしておりますが、経済的自由につきましてはこれは原則自由、しかし人の命と健康にかかわる問題などにつきましての社会的規制というものについては、これは必要な規制というものは守っていくべき課題であるということは、たびたび申し上げているとおりでございます。  委員指摘の問題が一体どうかということにつきましては、これは今後、先ほど申し上げたようなさまざまな機関において議論すべき課題であると思いますので、この際、私がそれに対する見解を申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。
  121. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 このJALの問題などについては、もう既にアルバイトスチュワーデスの問題などは進みつつあるわけですけれども、こういうものに対して政府がストップをかけるなどということは、また規制緩和に反するというようなことでできないのかもしれませんけれども、長官、その問題についてじゃ何か手だてがあるというふうにお考えでしょうか、その点についてひとつお聞きしたいと思います。
  122. 山口鶴男

    山口国務大臣 これは先ほど、亀井運輸大臣発言に対して私の感想を申し上げました。私は、安全性の問題とかそれから雇用の問題とか、航空行政の責任者として運輸大臣発言することについては、適切なことだし、当然あってしかるべき問題だと思いました。  ただし、総務庁にかかわる行政手続法に関する問題についてはいかがであるかなということを思ったことは申し上げましたが、私はそういう意味で、人の命と健康にかかわる社会的規制の問題については、これから議論する専門家の皆さん方も十分配慮して議論されることであろうという感想だけは申し上げておきたいと存じます。
  123. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 規制緩和ということが、何か少しでも疑念を挟む者は保守反動であるかのような風潮があるのは大変残念ですけれども、私も当委員会で、この規制緩和というものの真実をしっかりと見きわめて、本当に必要な緩和も撤廃しなければならぬものもあるのはそれはもう事実ですから、そういう点をよく区分けしてやっていくように、私もこの委員会でこれから頑張っていきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 後藤茂

    後藤委員長 以上で佐々木君の質疑は終了しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十八分散会