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1994-10-28 第131回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十月二十八日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 持永 和見君    理事 斉藤斗志二君 理事 福永 信彦君    理事 松岡 利勝君 理事 山口 俊一君    理事 大野由利子君 理事 小泉 晨一君    理事 笹山 登生君 理事 竹内  猛君       奥田 幹生君    七条  明君       石田 美栄君    金子徳之介君       坂本 剛二君    白沢 三郎君       西川太一郎君    山本  拓君       若松 謙維君    田中 昭一君       三野 優美君    佐藤謙一郎君       高見 裕一君    岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (環境庁長官)  宮下 創平君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      石坂 匡身君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君         農林水産大臣官         房総務審議官  山本  徹君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部長 澤村  宏君         国土庁地方振興         局総務課長   滝沢 忠徳君         農林水産省構造         改善局農政部就         業改善課中山間         地域活性化推進         室長      笹谷 秀光君         林野庁指導部治         山課長     前田 直登君         通商産業大臣官         房審議官    大宮  正君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     増田  優君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       広田 博士君         運輸省自動車交         通局技術安全部         保安・環境課長 中山 寛治君         気象庁観測部高         層課長     八木 正允君         建設省河川局治         水課都市河川室         長       石川 忠男君         建設省河川局開         発課長     青山 俊樹君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ————————————— 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   石田 美栄君     北橋 健治君 同日  辞任         補欠選任   北橋 健治君     石田 美栄君 同月二十七日  辞任         補欠選任   前田 武志君     石井  一君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     前田 武志君 同月二十八日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     七条  明君   赤羽 一嘉君     若松 謙維君   前田 武志君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   七条  明君     野田 聖子君   白沢 三郎君     西川太一郎君   若松 謙維君     赤羽 一嘉君 同日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     前田 武志君     ————————————— 十月二十八日  水俣病問題徹底完全解決のための国による患  者との和解協議即時開始国会による促進に関  する請願(岩垂寿喜男紹介)(第一三六号)  同(金田誠一紹介)(第一三七号)  同(松前仰君紹介)(第一三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 持永和見

    持永委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  3. 山口俊一

    山口(俊)委員 おはようございます。それでは、今国会委員会の先陣を切って、環境問題について若干の質問をさせていただきたいと思います。  実は私、県議会議員のときから環境には相当興味がございました。特に公害問題でありますけれども、何度か県議会で論陣を張らせていただいたことがありますが、当時は地域環境であり公害問題が中心であったわけでありますが、今やその地域日本に広がり、さらに世界に広がり、まさに地球環境というふうな視点が大事になってきておるわけであります。特に、二年前にブラジルにおいて地球環境サミット、これが開催をされました。あのころを思い出すわけでありますが、もう何につけても環境環境と、地球環境を語らずば人にあらずというふうな風潮もあったわけでありまして、いわく環境庁環境省にしたらどうか、あるいは世界に冠たる日本公害防止技術をもってして世界に貢献するとか、炭素税とか、いろいろな、それこそ勇ましいお話があったわけであります。  ところが今、二年余りたって考えてみますと、余り地球環境をおっしゃる方が少ない。実は私も今回質問をするに当たりまして、数カ月間さかのぼって新聞報道等も調べておりました。非常に報道の数も少なくなってきておる。これはどういうことなんだろうかと感じたわけでありますが、では果たしてその間環境というのはよくなったか。決してそうではないわけですね。先般の新聞報道でも、例のオゾンホールというものが過去最大規模に達した、しかももう南極大陸を覆ってしまうほどの規模になってしまったというふうなことがあったわけでありまして、やはりいま一たび注意を喚起するというか、議論をもっともっとしていくというふうな気持ちから質問をさせていただきたいと思った次第でございます。  今申し上げましたように、サミットを受けて一時的に我が国も華々しい取り組みを見せたというふうなことは御承知のとおりであります。環境基本法を成立させて、アジェンダ21、これの国別計画にしても他の主要国に先駆けて策定をした。その基本法が成立をして約一年が過ぎようとしております。現下の状況を考えてみますと、まず何よりもこの環境基本計画、これの策定によって、またその策定を契機として我が国環境が着実によりよい方向改善をされていく、この必要があろうかと思いますが、計画ではどのような基本的な考え方に立って策定作業をなさっておられるのか、既に大臣所信表明の中で四本柱というもののお示しかございましたが、いま少し中身に立ち至ってお話しをいただきたいと思います。
  4. 宮下創平

    宮下国務大臣 山口先生の今おっしゃられましたように、一昨年のリオのUNCED、それからまた昨年十一月に成立いたしました環境基本法制定、これは我が国、また地球環境問題にとっても大変画期的な転換期に来ているように私は思っております。  そんなことで、今お尋ね環境基本法によりまして環境基本計画を立てろということに法律上なっておりまして、今、政府全体の環境保全に関する施策の基本的な方向を示すものとして策定に取り組まさせていただいております。  望ましい環境のあり方について、またその達成に向けた国の施策の全体像とか、あるいはその担い手である地方公共団体事業者国民といった各主体について期待される役割等も記述されております。  現在、専門的見地から、中央環境審議会企画政策部会というのがございまして、ここで検討中でございまして、先般、これは八月ごろでございましたか、環境基本計画検討中間とりまとめを発表させていただきました。で、これは異例のことでございますけれども、九ブロックに全国を分けまして意見聴取をするというようなことをやりまして、意見集約を今図っておるところでございます。  その内容についてでありますが、まず第一は、二十一世紀を展望いたしまして、この環境基本法に盛られた理念を受けまして、環境政策基本方針をこの基本計画の中で明らかにして、さらに具体的にしていきたいということでございます。今お話しのように、基本方針としては四つ視点を申し上げておるわけで、循環基調とする経済社会システム実現循環ということですね。それから自然と人間との共生ということ、これは共生と言っております。それから環境保全に関する行動への参加の問題、四番目が国際的取り組み推進、これを長期的な目標といたしまして、これらの四つキーワードを特に強調しておりますが、環境への負荷の少ない持続的な発展可能な社会を構築するように考えておるところでございます。  この四つの長期的な目標に沿いまして、問題の性質に応じまして、いろいろ多様な政策手法を組み合わせたり、施策相互の有機的な関連をも図りつつ、総合的かつ計画的な施策の展開が図れるようにいたしたいということで、こういったことが中間とりまとめに明記されております。  したがいまして、今後この四つキーワード中心にして施策具体的中身を詰めていくわけでございますが、これは国民各界各層意見を十分反映したものにしたいということで、今鋭意取り組まさせていただいております。これは今申しましたように、中央環境審議会企画政策部会取りまとめを行っておりますが、この十二月くらいまでには取りまとめを完了していただきまして、政府の案として閣議決定をしていきたい、このように考えているところでございます。
  5. 山口俊一

    山口(俊)委員 いろいろお話しをいただきまして、「中間とりまとめの構成」というのも資料としていただいておりますが、やはり本当に実行できるのかというふうな心配があるわけであります。  資料にもございますが、もちろん財政、これも大事ですけれども、実施体制と各主体連携、今の環境庁のお立場を考えてみますと、非常に頑張っていただかなければならぬのではないかな。この基本計画を絵にかいたもちに終わらせないためにも、ぜひともこれを実現していく必要がある。ただいまお話がございました基本計画に盛り込まれた多くの課題を実施していくためには、環境庁がともかくリーダーシップを発揮して引っ張っていく必要があるわけですけれども、どのような仕組みを考えておられるのか、そこら辺もお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 石坂匡身

    石坂政府委員 環境基本計画、さまざまな課題が盛り込まれておりますけれども、そうした課題についてこれから環境庁がどうリーダーシップをとっていくのかというお尋ねでございます。  この環境基本計画自体の中にも、実はいろいろなそういう仕組みといいましょうか、工夫というものが提案をされてございます。また、私どももそうしたものもにらみながら、また来年度の予算要求の中でいろいろなことを要求をさせていただいているというのが今の状況でございますが、この中間とりまとめの中に、以下申し上げるような点が盛り込まれておるわけでございます。  一つは、その基本計画の着実な実行、これを確保してまいらなければいけませんので、この環境審議会が答申を出しました後もその点検を行っていく、そして政府にその後の政策方向について報告をするということがこの中間とりまとめの中にも盛られております。  それから、環境庁は、現在におきましても、この政府全体の環境保全への取り組み、これを効果的に進めますために、関係行政機関公害防止、あるいは自然環境保護、整備に関する経費、いわゆる環境保全経費と呼んでおるわけでございますけれども、この見積もり方針調整を行っておるところでございますけれども、中間とりまとめにおきましては、この環境基本計画に掲げられた各種施策を実施するため、「環境保全経費見積り方針等を踏まえ、各種事業が総合的に推進されるよう」というふうな提言もいただいておるところでございます。  それからさらに、国自体がみずからの経済活動を行うに際しまして、この環境保全に関する行動実行するということは、これは国自体経済主体として極めて大きい位置を占めておるわけでございますので、環境への負荷を低減する効果は大きいというふうに考えられます。そうした記述がございます。そうした見地から、国においても政府全体の行動計画、国としての行動計画、国の経済活動についての行動計画策定するというふうなことの提言もいただいております。  こうしたものがこれから年末までの審議の中で最終的な形をとってまいるわけであろうと思いますけれども、そうしたものを受けてどうするかという点、それから環境庁におきましても、新たな予算措置といたしまして、この環境基本計画に掲げますところの重要な政策課題、これを政府一体となって政策立案をしていかなければならないという立場から、七年度の予算要求におきまして新たに環境基本計画推進調査費というかなり横断的な調査費要求をしておるところでございます。  そうしたさまざまな工夫を凝らしながら、今委員から御指摘いただきました点につきまして、十分心がけてまいりたいと考えております。
  7. 山口俊一

    山口(俊)委員 そうしたことが着実に実行に移されればいいんですけれども、これは私が言っておるのではなくて、勉強しているときに、もうマスコミに、あらゆるところに出てくるのですね。環境庁にイニシアチブはあるのかという文言が必ず出てくる。そうした背景もありますので、それこそ環境省を目指すんだとか、あるいは、例えば環境アセスメント法でいろいろな事業に縛りを入れる、環境庁ががっちり押さえていくというふうなこともまた将来的に考えられるのではないか、そのような思いもいたしますので、そこら辺も含めて、ぜひとも、せっかく策定をしております基本計画でありますので、その実現方に向けて体制をきちんとしておいていただきたいと要望いたしておく次第であります。  環境問題というのは、日本全国、それぞれいろいろな風土があって特色があるわけでありまして、恐らく全国一律あるいは十把一からげというのは相当無理があるのじゃないかというふうな思いがいたします。地方の個性的な環境の中で、それぞれの地域創意工夫を生かして環境をよくするための取り組みをしていくといったことが重要であろうと考えるわけでありますが、現在、それぞれの地方公共団体が、環境基本法を受けて、条例とか計画あるいは要綱、そのような取り組みを恐らくしてきておるのではないかと思うわけでありますが、どのような取り組みをし、また今からしようとしておるのか、今現在、環境庁が把握しておる範囲内で結構でありますので、その動向をお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  8. 石坂匡身

    石坂政府委員 地方公共団体におきますこの基本法を踏まえました条例あるいは計画といったものの現時点における動向でございますけれども、ことしの七月に、都道府県それから政令指定都市、全部で五十九団体になりますけれども、これにつきまして調査を行ったところでございます。  これによりますと、平成五年十一月の環境基本法が成立いたしました後、条例につきましては、大阪府が六年の三月、東京都が六年の七月に条例制定してございます。また、計画につきましては、川崎市が六年の二月、佐賀県が六年の三月に総合的な地域環境計画といったものを策定しているという回答を得ておるところでございます。  さらに、これから先のことにつきましてもその際調査をしてございまして、環境基本条例がまだ未制定であるという団体、このうちの約八割以上から、今制定検討中あるいは検討着手予定をしているという回答をいただいております。それから総合的な地域環境計画、この未策定団体につきましても、七割が策定検討中である、あるいは検討着手予定であるという回答をいただいておるという状況でございまして、環境基本法に対応いたしました新たな地方動きというものにはかなり熱意が高いものがあるという状況であるというふうに認識をしております。
  9. 山口俊一

    山口(俊)委員 大変地方の方の熱意も高まりつつあるというふうなことで、非常に心強い思いがいたすわけでありますが、御承知のとおり、かつて、六〇年代でしたか、公害問題、それこそ公害列島という言い方がございましたけれども、あの当時にやはり先導的、主導的役割を果たした、あるいはそれを解消していく立て役者になったのは地方公共団体だったというふうなことがあるわけでありまして、それぞれ国の環境基準に上乗せをしてみたり、いろいろいな厳しい公害防止条例を結んでいった等々の実績があるわけでありますが、やはりそうしたことも踏まえて、国がフレームワークをつくって、そして地方主体となってこうした問題に取り組んでいくという体制が必要であろうかと思うわけであります。  ただ、では、法制的にどのような条例が適切なのか、科学的にあるいはまた世界動向から見てどのような取り組みが適切なのかなとについては、地方公共団体、特に市町村などではまだまだ対応が難しい面があるのではないかと思うわけであります。かつてはいわゆる公害防止協定的なものが多かったものですから、ある意味では地方公共団体もやりやすかったのではないかというふうな気がいたしますけれども、今後、それがいわゆる自然環境保護というふうなところに重心が移った場合に、恣意的になりやすいのではないか、あるいは、今あるいろいろな法律国土法とかいろいろあるわけですけれども、そこら辺との絡みも出てくるのではないかというふうな気持ちもするわけであります。  そうしたことを踏まえて、環境庁としては、地方公共団体をどのように指導なさっていくおつもりなのか、お聞かせをいただきます。
  10. 石坂匡身

    石坂政府委員 今地方公共団体がいわゆるいろいろな環境問題についての先兵といいましょうか、先端を担っていらっしゃるという御指摘、そのとおりだろうと思います。地方公共団体が積極的にそうした環境問題に取り組んでいただくということは、大変大切なことであるというふうに認識しておりますし、そうした考え方というのは、今策定をしております環境基本計画の中にも盛られておるわけでございます。  それで、いろいろな市町村がこの問題についての悩みを抱えていらっしゃると思うわけでございますが、先般、県や政令都市については従来からもいろいろな会議等をやっておるわけでございますけれども、環境庁といたしまして初めて、十月の中旬でございましたけれども、市町村環境担当者を対象といたしまして、今後の地域における基本計画策定、あるいは環境行政を総合的、計画的に進めていくに当たっての課題や障害といったことについての意見交換を行ったところでございます。  従来も地域環境管理計画策定手引でありますとか、あるいは幾つかの補助金都道府県政令指定都市ばかりではなくて市町村にも流す、あるいはローカル・アジェンダ21をつくるといったさまざまな工夫はさせていただいておるところでございますけれども、こうした会議を通じまして実情の把握に努め、意見交換を行いながら、御指摘の点を踏まえまして適切な連携協力を図ってまいりたいと考えております。
  11. 山口俊一

    山口(俊)委員 手引補助金等々、いろいろ話がございましたが、今から、地域によってはそれこそ当該市町村の全域の開発について、その許可を庁からもらわなくてはいけないというふうなことが出てくる可能性も私は否定できないのではないかというふうに思うわけでありますので、そうした点、やはり積極的に相談に乗ってあげる。いざ条例をつくってみたけれどもこれは法律違反ですよというふうになれば、これは非常におかしなことになるわけでありますので、ぜひともそこら辺のことも注意をして取り組んでいただきたい、お願いをいたす次第でございます。  そして、先ほど来申し上げておりますように、行政改革とか地方分権重要性、こればかりという感じもなきにしもあらずでありますけれども、叫ばれております中で、地方自主性創意を生かしながら各地の環境問題への積極的な取り組みが行われていくように、政府としてもそうした動きに十分な支援をしていく必要があるのではないか。その支援についてお伺いいたしたいと思います。
  12. 石坂匡身

    石坂政府委員 お答えいたします。  それは大変重要な問題であろうと考えております。環境基本法は御案内のとおりでございますけれども、ちなみに環境基本法におきましても、その三十六条におきまして、地方公共団体は区域の自然的社会的条件に応じた環境保全施策を総合的かつ計画的に推進するという規定がございまして、それに並びまして四十条におきまして「国及び地方公共団体は、環境保全に関する施策を講ずるにつき、相協力する」という規定を置いておるところでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、現在策定作業中の環境基本計画におきましても、この法の趣旨を踏まえまして、地方公共団体役割というものを書き込む、そして国との関連性というふうなものを書き込むというふうな形で審議が進んでいると承知しておるわけでございますけれども、先ほど大臣が御答弁になりました中間とりまとめの柱、つまり、循環基調とする経済社会システム実現、自然と人間との共生環境保全に関する行動への参加国際的取り組み推進、この四点それぞれに地域の特性に応じた取り組みを期待しておるところでございます。  そうした地域における新たな取り組みというものを定着させていくために、これは国と地方が相協力をしていくというのは先ほど法文を申し上げたとおりでございますけれども、このためにはいろいろな面で、まず地域環境計画マニュアルというふうなものを環境庁としては作成をいたしまして、これを地方公共団体に流したいというふうに考えておりまして、その作業に取り組んでおるところでございます。  また、地方公共団体によります環境基本計画具体化に向けた事業と言ってよろしいかと思いますけれども、そういう事業推進させてまいりますために、そうした事業として先駆的なものに補助をしていくという必要もあろうかと思います。そうした意味で、来年度、これもまた予算要求中の項目でございますけれども、環境基本計画推進事業費補助というものを地方公共団体に対する補助金として要求をしておるところでございます。  こうしたさまざまな工夫を凝らしながら、この法の趣旨地方の現場で生かされるように環境庁といたしましても工夫を凝らしながら、地方公共団体支援に努めてまいりたいと考えております。
  13. 山口俊一

    山口(俊)委員 マニュアルを配付をしたり、いわゆる基本計画推進事業費補助等々いろいろとあるようでありますが、やはりせっかく先駆的な取り組みをしておる地方もあるわけであります。それがほとんどの場合が規模が小さい、あるいは財政力がないといったことでとんざをしかかっておる例もあるわけでありますので、そこら辺も十二分な支援をしていただきたい、期待をいたしておきます。  続きまして、地球環境問題ということについてお伺いをいたしたいと思います。  冒頭申し上げましたように、地球サミット環境サミット以後、どうも地球環境というものに対する意識あるいは宇宙船地球号ですか、といった意識が残念ながら薄れてきてしまっておるような感がするわけであります。まあ、熱しやすく冷めやすい国民性というか、不景気あるいは政局というものに若干埋没をしておった我々側の責任もあろうかというふうな思いもいたしました。内心じくじたる気がいたすわけでありますが、ただ政府としては、それなりに黙々と取り組んでこられておると思うわけであります。  先ほども申し上げましたけれども、地球サミットで採択をされたアジェンダ21、これもいち早く日本としては計画策定をいたしましたが、日本としてどのように取り組んできておられるのか、また、これを実現をするための政府としての決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
  14. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生の問題意識というのは大変重要な視点でございまして、やはり地球サミットのとき、あるいはそれに続く環境基本法制定、先ほど申し上げたように非常に熱が上がっていたことも事実だと思うのですね。しかし、地球環境の汚染はそれで終息したわけではなくて、全く同じようなベースで、努力にもかかわらず、例えばCO2の問題にしても、これが蓄積されていくという現状がございますから、我々としては、やはり環境庁の責任としても、先ほど来お話しになるように、リーダーシップをよく発揮してやってまいりたいと思うのです。この点はもう先生の御指摘のとおりだと思います。  それで、地球サミットで採択されたアジェンダ21、これもまあ膨大なもので、五百ページに及ぶというもので、私もまだ十分読んでおりません。しかし、非常に意欲的な、これからの地球環境問題のさまざまな対象領域とかそれを克服するための手法等についても記述されておりまして、各国がそれに基づいて各国のアジェンダ21を実施するための行動計画というものの策定が義務づけられておりますから、我が国としてもこれを策定をして、そして持続可能な開発委員会、CSDに提出しているところであります。  したがって、そういうものをつくって、つくりっ放しというわけではいけませんので、関係省庁一体となって、この地球環境サミット熱意それから提案をフォローアップしていかなければならない。環境庁の責任は極めて重大だと思っておりますから、精力的にひとつ取り組まさせていただきたいと思っております。
  15. 山口俊一

    山口(俊)委員 こうした地球環境に関する問題というのは、一国日本のみで解決あるいは守っていけるものではないというふうなことでありまして、そうした意味で、いわゆる途上国の援助というのも大きな柱になってこようかと思います。  当時宮澤総理は、いわゆる環境ODAの大幅な増額をお約束をしておられたわけでありますが、その後、途上国への支援というのはどのような状況にあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 澤村宏

    ○澤村説明員 我が国地球サミットにおきまして、ただいま御指摘ありましたように、宮澤総理が環境ODAの大幅な増額を約束したわけでございますが、平成四年度からの五年間で環境ODAを九千億円から一兆円を目途として大幅に拡充強化する、そういう旨の表明であったわけでございます。これを受けまして、我が国環境ODAを積極的に推進してきておりまして、これまで平成四年度及び五年度の二年間で既に目標額の半分以上を達成している状況にございます。
  17. 山口俊一

    山口(俊)委員 二年間で目標の半分以上というふうなことで、大変頼もしい御答弁をいただいたわけでありますが、ただ我々が気をつけなくてはいけないのが、一時期、逆に日本のODAで環境が破壊された、美しい自然が失われたというふうな話を頻繁に聞いておりました。そうしたこともありますので、やはりよりきめ細かなというか、より周到な準備とか調査をした上でやっていくべきであろうと考えておるわけであります。  しかも最近、不景気の中でODA自体に対する国民の皆様方の御理解が得られにくい。アンケート調査というか世論調査を見てもそのような数字が出ておりますし、事実私も地元に帰っていろいろ話をしておりますと、外国へ出すお金があるんであれば、例えば渇水対策を何とかしろとか被災者を助けろというふうな話も結構出てくるようになってしまったということであります。  ですから、その中でも環境ODAというのは結局みずからを守るためでもあるんだという考え方も必要かと思います。事実、中国を中心にする東アジア地域がこのままの経済発展、成長を続けていきますと、恐らく日本は、これはまだ科学的に十分立証されておらないようでありますけれども、情況証拠は幾らでもある。いわゆる酸性雨等でそれこそ見るも無残な姿になってしまう可能性もあることはあるわけであります。  結局、環境ODAというのはもう日本を初め世界を救うんだという意識を持っていただく、そのためにやはりPR等いろいろな努力をしていく、あるいは環境ODAというものの中で実績を上げていくといったことが必要であろうかと思いますので、そこら辺も配慮しながらお進めをいただきたいと思う次第であります。  また、支援のあり方でありますけれども、途上国の支援というのは単に金額だけの問題ではなくて、本当に相手の国に役立つかどうか、これが重要であります。例えばお金と人と物をセットにして出すというふうな工夫も必要ではないかと考えておりますので、御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 澤村宏

    ○澤村説明員 ただいま先生から、途上国の支援は本当に相手国の役に立つかどうか、そういうことが重要であるという御指摘があったわけでございますが、環境分野におきます途上国の支援に当たりましては、途上国みずからが環境問題に取り組むことができる、そうした能力の向上を図っていく、そういったことが重要ではないかと考えておるわけでございます。  このような観点から、環境庁といたしましても外務省等と協力いたしまして、タイ、中国、インドネシアにおいて我が国からの資金援助により建設されました環境研修センターに対しまして専門家を派遣するとともに、これらの国々からの研修員を受け入れるなど人づくりの支援を行っている、そのような協力を行っているというのもただいま先生の御指摘の一つの例ではないかと思います。そうした努力を通じまして、環境ODAという分野におきましても御指摘のような実績を上げていきたい、そのように考えております。
  19. 山口俊一

    山口(俊)委員 私も、これは報道関係、新聞関係の資料だけでありますけれども、それを見てみますと環境ODAというふうな見出しかついておるんですけれども、中身を見ると、恐らく関連は当然あると思うのですよね。ただ、下水関係だとかいわゆる生活基盤的なものも相当入っておるような気もするわけでありますけれども、今私が人あるいは物とかをセットでというふうに申し上げたのは、極端なことを言いますと、お金はもう何に変わるかわからないというふうな、これは大蔵省の口癖であります、町村に補助金を出すときよく言うわけでありますが、そういうふうな実態もあります。ですから、人と物をセットで、例えば排煙脱硝装置だとか脱硫装置を人をつけて持っていく、無理やりつけるんだというふうなこともひとつ頭の片隅に置いておいていただきたい、そんなような気がいたしますので、ともかく、やはりよりきめ細かなODA、最近草の根ODAという言い方もしておるようでありますが、そうした発想もあわせてぜひとも十分な効果を発揮するようなODAであってほしい、是が非とも環境庁としても声を大にしていただきたいと要望いたしておく次第であります。  続きまして、いろいろ地球環境問題あるわけでありますが、その中でも温暖化の問題、私はこれは極めて重要であろうと考えております。人類が生き残るかどうかという大変深刻な課題であるわけでありますが、この主たる原因となっておりますCO2、これの排出状況について、先般提出をしたはずであろうと思いますけれども、我が国及び欧米諸国の国別報告書、これの概要についてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 澤村宏

    ○澤村説明員 気候変動枠組み条約に基づきます。ただいま御指摘のありました国別の報告書につきましては、九月二十日に条約暫定事務局に提出いたしました。我が国を含めまして現在まで十四カ国が提出したものと承知しております。  二〇〇〇年度におきます排出量の予測といたしましては、我が国は、省エネルギー等の各般の施策が十分に実施されることを前提とした場合、一人当たりの二酸化炭素排出量は一九九〇年度実績と比べほぼ横ばいと予測をしておりますが、二酸化炭素排出総量につきましては一九九〇年度実績と比べて約三%程度増加と予測しております。したがいまして、総量の安定化を図るという観点から今後とも一層の努力が必要、そのような内容となっているわけでございます。  それから、欧米諸国の報告ということでございますが、今我々が知っている状況で申し上げますと、一九九〇年に比べまして二〇〇〇年の二酸化炭素排出総量につきまして、アメリカにおきましては約三%の増加、カナダは約一〇%の増加、イギリスは安定化、オランダは約四%の減少、デンマークは約・八%の減少、ドイツは二〇〇五年において約五%減少する見込みなどとなっている状況にございます。
  21. 山口俊一

    山口(俊)委員 ただいまのお話、報告の内容ではこれは不安が残る思いがするわけですけれども、確かに、例えばカナダあたりは約一〇%増というふうなお話があります。アメリカも、今のようなお話もありますけれども、アメリカは実は勝手な解釈をしておるわけでありまして、CO2のみならずその他の温室効果ガスをひっくるめてみたいな考え方でありますので、私がいただいた資料ではすべてを含めた場合には安定化というふうな報告をしておるわけでありまして、やはり、わざわざ賢人会議まで開いて、あるいは環境サミットの中で、あそこまでやりますと胸を張った日本立場としては、ここでやはりちゃんとクリアできますよ、あるいはむしろそれより以上にきちんとやりますよというふうな姿勢が必要なんではないか。  事実、聞きますと、もう既に各国からもいわゆる九〇年レベルよりもさらにもっと厳しくすべきだというふうな意見も出てきておるようであります。しかも、これもお伺いをいたしますと、この報告書のもとになったのは六月に策定をされた長期エネルギー需給見通し、これをもとに策定をしたというふうな報道も実はございました。これはもう何を隠そう通産省の見通しであって、かつ通産省の希望でもあろうと思うわけであります。そこら辺のこともありますので、私はもっと努力する余地があるんではないかと思っておる次第であります。  ですから、そういった意味合いから、例えば今からどんどん景気が回復していくであろうというふうに言われておりますけれども、そうした中で自動車の普及とか、あるいはこれはもう通産省の調査にはカウントされておるかもわかりませんけれども、今から石炭火力発電所等のいわゆる化石燃料を使う発電所の建設も進んでこよう、例えば実は我が地元の徳島県でも二十一世紀に入って稼働予定の石炭火力があるわけでありまして、そうした状況からCO2の排出はなかなか減っていかないんじゃないか、このままでは。どのように今から対策を進めていくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 澤村宏

    ○澤村説明員 環境庁といたしましては、地球温暖化防止行動計画の達成、それに向けまして、地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして毎年度行っております二酸化炭素排出量の取りまとめ等を通じまして計画の達成の状況を的確に把握いたしまして、関係省庁との十分な連携によって対策の着実な実施を図っているところでございます。  ただいま幾つが御指摘がございましたが、例えば自動車につきましては、昨年三月、省エネ法に基づきエネルギーの消費効率向上に係る基準を強化いたしまして、二〇〇〇年度までに平均八・五%の燃費向上を求めることとしているほか、電気自動車等の低公害車の技術開発を進め、その導入のために国庫補助等の支援策を進めておるところでございます。  また、火力発電所についてでございますが、廃熱利用等によります発電効率の向上や、二酸化炭素排出の少ないエネルギー源としてのLNGの導入促進など、そういった施策を進めているところでございます。
  23. 山口俊一

    山口(俊)委員 電気自動車というお話もありましたけれども、私も実は自民党本部前で試乗をさせていただいたこともありますけれども、これもなかなか商業ベースに乗りにくいというふうなこともありますし、エネルギー転換ももう叫ばれて久しいわけでありますが、なかなかこれも進まない。非常に難しい点もあろうかと思いますけれども、やはりインセンティブを高める方法とか、いろいろあろうかと思います。いろいろな方法を駆使して是が非とも御努力をしていただきたい。  あるいは発電所等々の問題にしても、やはり気をつけなくてはいけないのは、今不景気だ、会社の実績は非常に悪いんだ、だからここら辺にお金をかけるのはちょっと控えたいというふうな気持ちもあろうかと思います。そこら辺を決して許さないように是が非とも厳しく監視をしていただきたい、そんなふうにも思います。  先ほどもオゾンホールがついに観測史上最大規模というふうなお話を申し上げましたけれども、これについても、東京都を初め先進的な地方公共団体取り組みを始めておりますフロンの回収について、政府としてももっともっと支援をしてあげるべきじゃないか、それこそ東京都も音を上げかけておるようでありますので、そこら辺についてお伺いいたします。
  24. 大澤進

    ○大澤政府委員 オゾン層の保護のための回収は大変重要な対策であり、私ども積極的に推進する必要があると考えているところでございますが、この回収に当たりましては、フロンを含む製品を製造する企業、使用する消費者、廃棄物処理を担う地方公共団体等の関係者が相互に協調して取り組む必要がありまして、その中で地方公共団体の果たす役割は非常に大きなものと考えておるところでございます。  このため、環境庁では、平成五年度から、地方公共団体協力しまして、フロン回収の社会システムづくりに資するためにオゾン層保護対策地域実践モデル事業、こういう事業を実施しておりまして、本年度も北海道、大阪府など十一都道府県、政令市に委託費を出しまして、これら地方公共団体支援協力しながら事業推進を図っているところでございます。  また、国におきましても関係省庁で構成するオゾン層保護対策推進会議を設置しまして、フロン回収促進のため、地方公共団体も含めた関係者の役割分担や円滑なフロン回収の社会システムのあり方等を検討しているところでございまして、この結果を踏まえて、適切かつ円滑な回収が促進されるよう努めていきたいと考えております。
  25. 山口俊一

    山口(俊)委員 先ほど申し上げました、自治体がこうした取り組みに乗り出しておりますけれども、ことしじゅうに百を超える見通し、見込みというふうなお話もございます。ぜひともきちんとした支援策を講じていただきたい。  これは見てみますと、例えば東京都でも頑張っておるんですけれども、東京都で年間に捨てられる冷蔵庫は約三十四万台、このうち都が粗大ごみとして集めるのは約二割の七万台にすぎない、しかもこのうちの約五万台は途中でプレス処理される。ということは、もうそこで拡散してしまうわけですね。これは果たしてどこまで実効があるのかなと思うわけでありますが、現状でできる範囲の緊急対策というふうなお話もございます。大変苦労しながら何とかということで頑張っておるわけでありますので、是が非ともそこら辺、きちんとした支援策を図っていただきたい。  同時に、これはもう直接関係はないかと思いますが、先般、国会でもPL法が成立をいたしました、製造主に責任がある、その精神も生かして、製造元に対してもやはり回収をしなさいよ、後のことを考えなさいよ、もっともっと御指導もお願いいたしたいと思う次第であります。  ほかにも大気汚染、いろいろ考えておりましたけれども、じわじわと時間が来ておりますので、大気についてでありますけれども、今、国は環境基準というのを定めておられます。ただ、私どもは、例えば先ほど申し上げましたように県議会のときにもいろいろ、徳島県の大気汚染、大気について議論をいたしました。じゃ、果たして今ある国の環境基準で十分なのか。確かにいわゆる健康被害というものを、直接的には出てこないかもわからないけれども、果たしてそれがきれいな大気、例えばおいしい大気と言えるのかというふうな議論も実はさせていただいたような経緯がございます。果たしてこの基準で十分なのか、上乗せをしておる地方公共団体も結構あるわけであります。特に総量規制といった格好で、結構地方でも努力目標を持っておるところもあるわけでありまして、やはりよりよき大気、よりよき生活空間を求めていく中で、またこれは地球規模環境も考えまして、将来的にさらに基準値を厳しくしていく必要もあろうかと思うわけであります。  それはそれとして、例えば水に関しては結構、いわゆる基準とは関係なく、おいしい水とか、どこそこの渓流の水だとか、いろいろあるわけでありますね。いわゆるレベル以上の議論がなされておりますし、国民意識も相当そうしたよりよき水、よりおいしい水ということに対する意識が高まってきておるわけであります。そうしたことから、いわゆる健康保護に係る現行の環境基準のみならず、生活環境に係る基準の設定とか、あるいは市民参加による大気のにおい等の測定、快適な大気や香りを創造するというふうな観点からの施策もお進めになったらいかがかと思うわけでありまして、御所見をお伺いします。
  26. 大澤進

    ○大澤政府委員 大変有意義な御提言を賜ったわけでございますが、現在の大気汚染にかかわる環境基準は、御承知のように人の健康の保護に着目して設定されているものでございまして、私どもとしてはそれらの達成を図るべく諸施策を進めているところでございますが、今お話がありましたように、国民がより快適な生活を送るための基盤として、生活環境保全視点も含めた良好な大気環境の確保を図っていく、これも重要と考えておりまして、本年七月、私どもそれらの組織体制の整備を図ったところでございます。  これらの観点から、具体的な事業の展開といたしましては、例えば大気中の浮遊粒子状物質と肉眼で見える距離の関係、あるいは大気汚染の状況と植物への影響、人間でなくて植物、生態への影響、これらに着目した大気の質に関する指針づくりの検討とか、また市民の参加事業といたしましては、従来から、大気の清浄に関連の深い全国の星空継続観察、いわゆるスターウォッチング、こういう事業もやっております。  さらに、一般市民がふだんに酸性雨の状況を簡単にはかれる酸性雨の簡易測定とか、大気の汚染状況がどういう実態にあるかというのを自分らの周囲の家屋の汚染で簡単にはかる家屋汚染状況測定事業、これらの事業。  あるいはさらに、お話もありましたように、快適な香りの創造を目指す、例えば自分の周辺あるいは日常生活している地域内で悪いにおいでなくてよい香り、つまり花や木がよく植わっている、そういう周囲の状況を、地点を探して地図に落としていわゆる香りのマップをつくる、こういうことによって地域住民のにおいに対する関心を高める。私どもはクリーンアロマ推進計画と申し上げておりますが、こういう事業も、来年度予算の中でございますが、今要求しているところでございますので、御趣旨に沿って努力してまいりたいと考えております。
  27. 山口俊一

    山口(俊)委員 なかなかしゃれた、クリーンアロマ推進事業ですか、お名前をつけておられるようでありますが、美しい自然マップとかいろいろあるわけですね。そうした中で、やはりおいしい空気のマップ、香りでも結構でありますが、ぜひともそうしたこともやっていただきたい。せっかく一生懸命取り組んできてよりよき大気を追求しておる自治体もあるわけでありますので、そこら辺、やはり彼らにも相当やる気を与えるであろうというふうに思われるわけであります。ぜひともお進めいただきたい事業と考えております。  それと、大気汚染と関係の深い地球環境問題としては、実は酸性雨の問題があるわけでありまして、もう既に御承知のとおり、北欧を中心に欧米では被害が顕在化をして、それこそ深刻な問題になってきております。森林の立ち枯れから始まって湖の酸性化等々いろいろあるわけでありますが、果たして日本の現況はどうなんだろうか。ちょいちょい民間の方とか自治体でも酸性雨の調査をしておられるようでありますけれども、欧米と日本の酸性雨の状況はどうなっておるのか。  一部にはといいますか、これは大方だろうと思いますが、松くい虫だと言われておるあの松枯れとも関係があるというふうな指摘もあるわけでありまして、これは明確な被害が出てから対応するのではもう時既に遅しということになるわけでありまして、将来を見通して対策を講じるべきではないかと思っておりますので、そこら辺、お答えをいただきたいと思います。
  28. 大澤進

    ○大澤政府委員 まず、日本並びに欧米の状況でございますが、環境庁では昭和五十八年度から酸性雨総合対策調査というものを実施しておりますが、その結果を見ますと、我が国の降水の酸性度、いわゆるPHでございますが、これは四・五から五・八の間にあります。一方、アメリカでは四・二から六・一、さらに欧州では四・三から六・一と、ほぼ我が国と同様のレベルにあると考えられております。  そこで、今後の、将来を見通した対策を立てるべきではないかという御指摘でございますが、私どもとしては、まず全国をカバーする酸性雨の実態、実情というものをきちんとはかっていくということがスタートでございますので、酸性雨のモニタリング体制の整備を図っております。また、この酸性雨のメカニズムといいますか、発生の予測といいますか、そういうものについても調査研究するための酸性雨発生予測モデルの開発事業、こういうものにも取り組んでおります。いずれにしましても、今後ともこれらの酸性雨に関する発生のメカニズムあるいは実態等を十分調査研究一し、酸性雨対策、つまり未然の防止に努めなければならないと思います。  また、御承知のように酸性雨は、国内といいますか一国のみならず周辺諸国、特に東アジアといいますかそれらの国とも大いに関係が、お互いに影響があるわけでございますので、私どもといたしましては、これらのアジア諸国とも、技術的にあるいはいろいろな点での支援協力も含めながら、国際的な協力といいますか参加を進めてまいりたいと考えております。
  29. 山口俊一

    山口(俊)委員 おっしゃるとおりでありまして、これはもう日本一国が努力してもなかなか追いつかない部分もあろうかと思います。  あちこちでお伺いをしますと、外交的配慮もあるということで、なかなか中国にも原因があるというふうなことは言いにくいようでありますが、これは大方の常識になっておるわけでありますし、しかも松枯れにしても、これも科学的にははっきり証明はできないというふうなことでありますが、やはり複合的に影響が出てきておるのではないか、そんな感じもします。既にPH値からすれば、欧米並みというか、地域によってはそれ以上の酸性雨、酸性度の高い雨が降っておるわけでありまして、是が非とも、もちろんこれはなかなか一筋縄ではいかない問題でありますが、早急に調査、メカニズム等を御研究いただいて、しかるべく手を打っていただきたい。実際、もう枯れてしまった、もう酸っぱい湖になってしまったでは遅いわけであります。たしか今の濃度がオレンジの果汁の濃度とほとんど同じというふうな話も聞きまして、大変怖い話でありますので、是が非とも御努力をお願いを申し上げたいと思う次第であります。  そろそろ時間でありますので、最後に大臣にお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、実は我々は、バブルの崩壊に先立つ平成景気にそれこそ浮かれ騒ぎましたけれども、その間に大切なものを失ってしまったのではないかと思うわけであります。かつて二度にわたる石油危機を乗り切る過程で日本経済の中に定着をした、そして我々のライフスタイルにまで及んでおった省エネ、省資源、この考え方がバブルに浮かれる中で崩れてしまったのではないか、その結果、環境への負荷が大いに高まったのではないかと思うわけであります。  事実、石油危機以来低下をしてきておったエネルギーの消費量が、近年増加をしてきております。大気中のNO2、二酸化窒素も、八五年を底に上昇しております。ごみも産業廃棄物にしても急上昇。特にバブルの過程で省エネ技術というのは大変ペースダウンをして、今の世の中はそれこそ省エネならぬ増エネルギーの色彩を濃くしておるようにも思うわけであります。しかも、不況脱出のかけ声は、さらにそうした動きに拍車をかけるのではないか。そして、環境は知らぬ間にますます悪化をしていき、気がついたときは既に手おくれだったということにもなりかねないのではないか、そんな気がいたすわけであります。  かつて、ローマ・クラブとか国連が警鐘を打ち鳴らした時期があります。ところが、石油ショックで、約十年間地球環境問題がいわゆる日の当たる場所でほとんど議論をされることがなかったというふうな経緯もあるわけでありまして、今回が決してそのようなことにならないように、それこそ環境庁の責務というのは重かつ大であろう、その中のトップである大臣の責任も非常に重いものがあろうと思うわけでありますので、御所見と決意をお伺いをいたしたいと思います。
  30. 宮下創平

    宮下国務大臣 山口委員の質疑を通じまして、都市・生活型公害から産業公害、また特に地球環境問題に多くの論点を費やされて質問をいただきました。大変我々の参考にさせていただきました。  確かに、大量生産、大量消費、大量廃棄というような生活に我々がなれてきていることも事実でございますけれども、やはり今日的な課題としては、国境のない地球環境問題、温暖化の問題、酸性雨の問題の御指摘もございましたが、こうした視点を踏まえるときには、やはり我々のライフスタイルというか生活スタイルというか、そういうものを省エネ的につくり上げていく。生活水準の向上というものは、大量消費とか大量生産だけに依存しなくても我々の生活水準は十分維持できるというスタイル、そういうものにしていかなければならないと思っておりますし、そういう意味では、ひとつ国民の皆さんの、生活者一人一人の問題でもございますので、そういう意識を高めていきたい。  そしてまた同時に、環境教育とか社会教育の場を通じて今広く環境問題に広範な層が関心を持ってきておることは、私は大変好ましいことだと存じます。こうした国民環境問題に対するエネルギーをよくキャッチして、そしてそれを行政にも反映させるということで、今まで委員が述べられたような環境保全のための努力をさらに一層努めていかなければならないと思っております。  環境庁という役所は予算も少のうございます。したがって、事業官庁ではございませんけれども、各省が事業を実施しておりますから、企画調整機能を持っておるのが環境庁の特色でございますから、その機能をフルに発揮して、各省庁にも指導的な役割を果たしていきたいし、それから、先ほど来局長さん方が答弁されましたように、各種地方公共団体等に対する御指導なり御相談は十分やって、そして、決して行政が、景気が悪くなってきたから劣後する、問題意識として劣後するということのないように、さらに一層気を引き締めて頑張ってまいりたい、このように思っております。ありがとうございました。
  31. 山口俊一

    山口(俊)委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 持永和見

    持永委員長 松岡利勝君。
  33. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 松岡利勝でございます。  私は、政治家になりましてから宮下大臣にはいろいろと御指導を賜ってまいりました。また、大変お世話になっております。そのような意味からも、また大変尊敬も申し上げておるところでございますが、その大臣環境庁長官に御就任になられましてから初めての国会であります今国会で、私もまた環境委員会に所属をさせていただくことになりました。理事を仰せつかりました。たまたま党におきましても環境部会長を命ぜられまして、大変大臣との御縁の深さにありがたさと感激でいっぱいでもございますが、政府と与党の立場ということでもございます。いろいろと御指導も賜りながら研さんを積みまして、いささかなりとも環境行政のお役に立ってまいりたい、こう思っておるところでもございます。  きょうは私見を述べさせていただきまして、そして幾つか御質問をさせていただきたいと思います。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、何はさておきましても、実は私熊本の出身でもございます。そのような意味から、大変重大な問題でございます水俣病、このことにつきまして、まず最初にお尋ねをさせていただきたいと思います。  もういろいろ多くを言うこともございませんが、大変な年月、長い時間がたっております。そういう中で患者の皆様も平均年齢はもう七十歳をはるかに超える、このような状況でもございますし、また十日に一人ずつ死ぬ、こういった状況もまた私も聞いておるところでもございます。  今この解決の舞台は、司法の場といいますか、そこが中心になって進んでおるようなわけでございますけれども、しかし地裁の場も過ぎまして、だんだんと高裁の場に移ってきておる。しかしながら、これまた進み方から考えるならば、なお相当長い期間がかかるであろう、こういうことかと思います。  そこで、司法の場の解決は解決といたしまして、やはり政治的、道義的立場からの解決、こういったことが強く強く念願をされておるわけでございます。一言で申し上げますならば、患者本人はもとよりでございますけれども、家族も関係者も一日も早い解決をと切なる願いでおる、これが今の実感でございます。  そのような意味で、どうかこの問題に対する大臣の基本的御認識がどういうものであるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  34. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員指摘のように、水俣病の解決の問題は大変長い年月を要しておりまして、現在なお未決の状況でございます。  しかし、お断りするまでもございませんけれども、認定患者等につきましてはきちっとした対応ができる。これは、公健法に基づきまして一定の基準で認定された患者、これに対しては、原因者であるチッソが、いやしくも国が認定した患者に対して支払いが遅延するようなことがあってはならないということで、私責任早々でございましたが、ことしの九月の半ばにも金融支援策をまとめまして、認定された患者への給付については万全を期しておるということでございます。  今委員指摘の問題は、それ以外の、認定されない、却下された方々が、五十年の初めごろ訴訟の提起をされておりまして、この数はかなりの数に上っております。各種団体もございます。そして、地裁における判決も今御指摘のように幾つかなされておりますが、問題は、国の行政責任を問うという形が一つ、それから病像論としての問題、この二つが大きなポイントだと存じますけれども、国の行政責任については、これもまた裁判所の判断が、六つの判断がなされておって、フィフティー・フィフティーというような感じでありますし、病像論についてもそのような見解がございます。したがって、なかなか裁判上の問題としても帰一する状況になっておりません。  私どもとしては、この問題は、今申しましたように、既定の認定患者にきちっとやるということと、それからそれに準じたような形の総合対策というのは実施しておるのですね、四千人くらいに対して。これは、療養の給付費をやったり、医療費の負担分を負担したりすることをやっておりますが、今問題になっているのは、それ以外の方々を含めての今申したような問題でございますから、行政上かなりゆるがせにできないといいますか、行政上の不作為の責任を問うような問題になっておりますし、なかなかこれ、今委員のおっしゃられたように、政治的にあるいは道義的にというだけで処理できない基本的な課題もベースにございます。そして、病像論の問題についてもさようでございますから、我々としては、この長い長い裁判を通じての、また水俣という問題が、二十年代の終わり、三十年の初めからそういう病状が出てきているという、こういう長い経過を見まして、何としても早く解決をしたいなという思いはいっぱいでございます。  これは、村山総理も、「人にやさしい政治」ということを標榜して、予算委員会あるいは決算委員会等においてもその真情を吐露されておられます。私どもとしても、真情としてはまことにそのとおりだと存じます。ただ問題が、今言った行政上の非常にゆるがせにできない基本的な問題を抱えておる、病像論の問題もあるという問題でございますから、なお引き続きこの問題の解決に努力を鋭意させていただきたい、このように決意をしておるところでございます。
  35. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 大臣の基本的な御見解は承ったわけでございますけれども、何と申しましても問題が問題でございます。いずれにいたしましても、患者の救済、また関係者の安心、こういったことが最大の政治課題だと思っております。  そういうような観点に立ちまして、早急なる解決を目指しての努力を、これは政府側はもちろんでありますが、やはり必要に応じては風会側も、またいろいろな関係者が知恵を出し合って努力をし、そして解決していかなきゃいけない問題だと私は思いますし、また私もそのような立場で精いっぱい努力をして取り組ませていただきたい、このようにも決意をいたしておるところでもございます。  そこで、ぜひとも大臣、御認識は御認識といたしまして、さらなる御努力をお願いをいたす次第でございますが、特に、今後に向けた基本的な取り組みを具体的に何かお考えでしたら、これは進め方等につきましてもお伺いをいたしておきたいと思うのであります。  それと同時に大事な問題は、今日の補償といいますかいろいろな対策というものにつきまして、熊本県は県債を発行してそれに対処いたしておる、こういうことでございます。また、チッソは大変経営状況、いろいろ困難な事態にまた直面もいたしておる、こういうことでもございます。間違っても、チッソの経営状況等によりまして、この補償問題や、また熊本県が大変な損害、被害をこうむるというようなことがあってはならないと思っております。  この点についてもひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思うものですから、よろしくお願いいたします。
  36. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員は自民党の環境部会長として責任のある立場で臨んでおられるわけでありますし、また、熊本県の御出身ということで、私も委員の活躍ぶりについては敬意を表しておりますが、この問題は、問題が問題だけに非常に複雑な困難性を持っていることも御認識をいただきながら、これからも政府・与党一体となって、また野党の皆さん方の御意見もちょうだいしながら努力していきたいと思っております。  さて、県債の問題でありますが、これはPPPの原則によりましてチッソが基本的に補償の支払いをするということでございますけれども、この困難なチッソの状況にかんがみまして、金融支援という形で患者の救済金の支払いに遺漏なきを期する方策をとっておるわけでございまして、県債の都度、これは五十三年ごろから県債の方式がとられてきておりますけれども、やはり熊本県に迷惑がかかってはならないということでございますから、これはこの間も金融支援策について決定したことは先ほど申し上げましたが、その金融支援策それぞれについて、県には御迷惑はかけない、国が全面的に責任を負うということの閣議決定もいたしておりますから、その点は熊本県にいささかの迷惑もかけないということであります。
  37. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 その点は、大臣のそのお言葉をいただきまして、大変安心をいたした次第でございます。何とぞよろしくその点お願い申し上げたいと思います。また、水俣病の解決に向かいましては、私どもも与党三党の立場もございます。そういった立場、また政府との協議、そういったいろいろな場を通じて私どもも解決に向けて努力をしていきたいと思いますので、政府の方も、特にまた大臣の御努力もお願いして、とりあえずこの問題、きょうはこれで終わりたいと思います。  続きまして、次の質問に入りたいと思います。  まず、きょうお伺いしたい点は、環境行政と農林業とのかかわりといいますか、この点について大臣の御認識を承っておきたいと思うわけでございます。  まず、私、先般エジプトのカイロで開かれました国際人口会議に行ってまいったわけであります。これは九月五日の朝日新聞なのでございますが、ちょうど政府会議に先立ちまして、国会議員が集まって議員の会議が行われたわけでございます。ちょうどその議員会議の事務総長が桜井前長官でもございまして、大変御熱心にこの人口問題に取り組まれておられるわけでございますけれども、私もそこに参りまして、この朝日新聞に書かれておるところを読みますと、「また、「人口と持続可能な開発」の項目では、「環境との調和」を強調。地球的規模からの視点を盛り込んだのも、日本からの意見を反映したものだ。」こうなっておるわけでありますが、これはまさに私が参りまして、そして強く主張いたしました。  何を主張したかと言いますと、世界の人口は今五十六億でありますけれども、一億ずつふえておる。これは説として言われておるということでありますが、世界の人口が八十億になるともう世界は満杯だ、地球はそれが大体キャパシティーだ、こういうことが、確かな証明という形で言われているのではないけれども、そういう説がある、こういうことでございます。もうあと二十四年で八十億になるわけでございます。そういうふうに人口がふえてきますと、これはエイズの問題とか医療の問題、教育の問題、いろいろ大事なのですが、やはり基本は食糧の確保だろう、そしてまた生活環境としての水と緑だろう、こういうふうなことを思いますときに、これはどうしてもその水と緑、食糧を生み出す農業、林業、これなくしては人口も成り立たないわけであります。人類の生存も成り立たないわけであります。そういう観点から私は今回のウルグアイ・ラウンドもずっと取り組んでまいりましたけれども、まさに工業製品と同じような、言ってみればコストだけで取引のルールを決めていく、こういうことでは地球の将来、人類の将来は、危ういどころかなくなってしまう、そういうことでずっと主張もいたしてきたわけでございます。  そういう観点からの意見として人口問題を考えるならば、まさしくそこには地球環境、これはやはりコスト主義ではなくて、水と緑、食糧を守るために世界のあらゆる地域のあらゆる農林業が成り立っていく、存続をしていく、こういう観点が必要なのだ、したがって今回の人口会議カイロ宣言にはその視点を盛り込むべきだ、このことを強く強く主張をいたしたわけであります。その結果、この朝日新聞に出ているようなこういう形に反映をされた、こうなっておるわけであります。  実は私は今申し上げましたところを基本に思っておりまして、従来といいますか、環境庁ができたころ、私も農林省、林野庁に、役所におったわけでありますが、そのころは農業、林業というのは環境側からすれば環境をむしばむもので、こういう対立的な、すべてがそうとは言いませんが、やはりそういう面もあったのだろう、こう思うわけでございます。  しかし、だんだん時代は進んでまいりまして、今申し上げましたように、この環境、特にことしの水不足、こういったことも考えますときに、あの四国第一の大都会の高松も、あの山奥の、まさに山間僻地の早明浦ダムに頼らなければ生活ができない、水が来ない、こういう状況なわけでございます。そして、それはダムだけではなくて、周辺の森林、そしてまた水田、こういったものの働きによって、その作用によって水が全体として賄われてくる、こういうことでございます。それは林業であり農業、まさに水田が守られていく、こういうことによってこれは成り立つわけでございます。  したがいまして、そういうような観点から、私は、この農林業と環境行政とのかかわり、こういうものについてひとつ大臣の御認識、御見解、これはぜひとも承っておきたい、そういうことでございます。よろしくお願いいたします。
  38. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘のように、カイロの人口会議、これは人口と開発の問題を取り上げた大々的な会合でございました。そして、委員もプレ会議みたいなところで御発言なすって、そして取りまとめに大きく貢献されたこと、これは敬意を表します。  私は、やはりこれからの二十一世紀の課題というのは、人口問題と環境問題、そしてそれと成長との関係だと存じておりますから、こうした国際会議が、さきにサミットが行われ、今度は人口と開発の関係が持たれているということは、やはり世界のこれからの趨勢を示すものとして非常に高く意義づけしていかなければならぬ。それに非常にかかわりを持たれた議員に対して敬意を表します。  ところで、やはり水と緑と食糧の関係、これは委員が今非常に多くの人たちに呼びかけて議員連盟をつくられまして、当委員会委員である竹内先生もその最高幹部としてやっておられるという話は聞いております。この視点は間違っていないし、基本的にこれを進めなければならぬ、私はそう思っておるところでございます。  農業分野でも、今委員の御指摘のように、例えば今までの農業と環境のあり方は、農業の汚染の問題でありますとか、あるいは畜産公害と汚水の問題でありますとか、そういう観点が非常に強うございました。  それから、森林につきましても、今委員のおっしゃったように、日本の森林資源というものは、やはり資材、木材的な価値としてこれをどうするかというような視点が非常に強かったと存じますが、最近は、農業分野においてはやはり農村の、あるいは特に中山間地帯の持つ環境保全的な機能というものは非常に見直されてまいりまして、私も、中山間地帯の持つ機能というものは、単に食糧を供給したりするばかりでなくて、環境保全的な大きな意義を持っておる地域だという価値観を国民の皆さんが持っていただかなければいかぬ、こう思っておりますから、これからも、農林省もようやく、環境保全型農業というようなことで、単に農業とかそういう狭い範疇にとらわれない広い概念で農業の中山間地帯を見るようになってきたことは、大変私はすばらしい方向だと思います。  そして、森林につきましても、確かに木材が輸入自由化しましたから、日本の国産材の利用が非常に滞ってきている、これは確かにございますけれども、一方我が国の森林資源というのは、戦後植林されたものはうっそうとしてそれが層の厚みを増していることは、これはさっきCO2の話がございましたけれども、地球温暖化防止のためには大変有効な自然資源だと私は最近特に感じるようになりました。  そういう意味で、農業や森林の持つ働きというものが地球環境視点から非常に見直されてきている。そして、それが国民の間にだんだん定着してきているということは非常に重要なことでございまして、農林業の果たす役割は、先ほど渇水の話もございましたが、治水的な機能とか国土保全的な機能のほかに、環境保全、我々人間の生命に関するようなそういう機能も持っているという認識を我々は改めて強く持たなければならないと思いまして、委員意見には全く同感でございます。
  39. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 大臣の御認識を承りまして、私どもの思っておりますことと方向は一致をいたしておると思って、そういうような意味で心強く思うわけでもございます。  そこで、もう少しちょっと突っ込んでお伺いをしたいと思うのでありますが、ことしは大変な水不足で、いまだに続いておる、こういうような状況でございます。そこで私が思いますのは、日本の農業、林業、こういったものの条件が相当よそに比べ、特にアメリカあたりに比べれば悪い。向こうはこれはもう飛行機やヘリコプターで種をまくようなそんな生産性のところに、こっちは幾ら機械化されたとはいいましても、まだまだ三十アール区画とかそういったところを基準にやっておるわけでございますから、それは生産性で比べるならばとても太刀打ちできない。しかし、その農業、林業が衰退しだめになってくれば、日本の水はだれが守ってくれるのか、日本の緑はだれがどうやって確保してくれるのか、そういうことで、これは大変な危機感を持つわけであります。  もうちょっと具体的に申し上げますと、私は熊本県の阿蘇なんですが、これは何度も農林水産委員会でも環境庁にもお尋ねしたのですが、世界の阿蘇と言われるのですよ。世界の阿蘇と言われるくらい、カルデラ地形で大変な外輪山として景観がすばらしい、こう言われております。この景観は何によって守られてきたか。これは阿蘇の畜産なんですよ。阿蘇は赤牛でありまして、赤牛を放牧いたします。これは黒牛ならだめなんです。赤牛はもう値段が下がってだめだから黒牛にかえたらいいじゃないか、そういうことを言う人もおります、畜産経営の観点からは。しかしこれは、黒牛だと放牧しないのです、もう虫にやられてだめですから、死んじゃいますから。だから、赤牛だから放牧をする。  やはり神様はちゃんとそこの場所にふさわしいものを与えてくれておりまして、そして、赤牛ですから放牧をする、そのために農家は野焼きをするのです。私も野焼きに二回ほど親の手伝いで出たことがございます。今はイベントでやっているという人もおりますが、イベントじゃない。もう今はノルマですから、牛がいなくてもみんなその集落は出なきゃいけないんですね。そんなわけで、毎年毎年その放牧前に野焼きをする。したがって、人間の頭でいうなら月に一回床屋に行くのと同じですよ。毎年そうやってきちんと野焼きで手入れをいたしますから、女性が行ってもハイヒールでワラビとりに入れる、こういう形に本当に整備されているんですね。  今、だんだん野焼きができなくなってきました、人手が足りなくて。そうしますと、草ぼうぼう、やぶぼうぼうなんですね。そういったことが十年、二十年、三十年続いていったら、恐らく阿蘇の景観はなくなってくると私は思います。これは、いかに畜産がそういう形で景観を守り、自然を守っておるという、これはもう行って見ていただければ一目瞭然、その因果関係というものがよくわかっていただけるわけであります。  また、熊本市というのは地下水で有名なところです。本当にこれは水の豊かな、恵まれたところです。ところが最近、地下水が減ってきた。それは何だ。やはり阿蘇の伏流水で熊本市の地下水はあるわけですが、これは私はよく言うのですが、登っていただくとよくわかる。よく見てくれ。最近水田が田植えをしていない。減反というのですが、そこが三分の一ぐらいずっとこの二十五、六年やってない。だから、そこには水がたまってないのです、田植えをしていませんから。そういたしますと、これはずっと水を上流で三分の一ぐらいためないわけですから、当然下で三分の一減って、地下水が減ってくるのは当たり前の理屈なんですね。そんなわけで、水田にしても畜産にしましても、まあ例えて言うと私のところの身近な例ですが、これはまたいろいろな研究的にも明らかにされているのです、その地下水と上流との関係は。  したがいまして、もう多くをほかにもいろいろ申しませんが、農林業と環境というものはこういう関係にある。そういうことを考えますときに、私は、日本の農林業が滅んだならば、これは日本の特に都会の人にとっての水、また災害を防ぐという水田の働き、そういうことを含めた全体の環境、これはどういうことになるのか。こういうことを考えますときに、まあちょっと雑な言い方で失礼ですが、まだまだその辺に対して考えましたときに、それに対する認識は非常に薄いといいますか、弱いといいますか、ないんではないか。  特に、日本の代表的な日経連の永野さんなんていう会長さんですね、目立ちたがりのようでありますが、この人なんかの認識を聞いていますと、もう農業はだめになっても構わないみたいな、自分の目先の経済の利益だけは一生懸命追求しながら、長い目で見た、まさに民族の生活のもとである、基盤であるこの農業、水田とか森林とかそういうものはなくなってもいいみたいな、こういう人が日本の代表的な経営団体の一人ですから、本当にそら恐ろしく、薄ら寒くなるわけでありますが、そういうような人に代表されるようなそういう意見がまかり通っておる。  マスコミも木を見て森を見ずでありまして、本当に何というか、農業の対策といいますと、これはまた過保護だとか族議員の復活だとか、こういうおよそ角度の違った、全然ピント外れの視点でそういう批判をする。こういうことでは、これは本当に一億二千万、いずれは一億三千万、四千万までいくんでしょう。特にその人たちはその六割、七割というのが都会で生活をするわけでありますから、その都会の水問題の将来、また災害問題の将来、こういうことを考えますときに、私は、今言いましたように農業なり林業が果たしているその生活に対する役割、働き、これは何としても守り抜いていかなければいけない問題だ、こう思っております。  そういう観点から、特に今回のウルグアイ・ラウンド、これは大変な自由化という形にされまして、言ってみれば、向こうが小錦みたいな、曙みたいな大きな人に、こっちは中学を卒業したようなのが一緒に今度は対等で相撲をとらなければいけないみたいなそんな理屈でありますから、もう多くは申しませんが、一言で言うとそのような形で競争しなきゃいけない。言ってみれば吹雪の中に赤子が裸でほうり出されたようなものであります。したがって、今言ったような国内の大事な農林業を守るために、これが存続していくために必要なものとして国内農業対策、先般、それは私どもも精いっぱい頑張りましてああいう結果をいただいたわけでございますが、そのような意味で、私は環境庁立場からも、この国内の農林業、言ってみれば環境のもとであるこういうものの振興、発展、これは大変な御認識を持っていただきたい、こう思うわけであります。  そのような観点から、大臣は、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の大綱を決定されたわけでありますが、これにつきまして、ひとつ御認識はどのようなものであるか、ぜひこれはお伺いさせていただきたい。よろしくお願いいたします。
  40. 宮下創平

    宮下国務大臣 今のお話を承っておりまして、私ども今度の環境基本計画の中で、四つキーワードは先ほど申し上げたとおりですが、やはり循環型の問題ですね、水田と地下水の関係、これは正当な循環系統が行われなきゃならぬなという一つの具体例みたいに感じました。また、赤牛の放牧、これと景観の保持、これも共生というような感じがいたして聞いたわけでございます。参考になりました。  農業の持つ意味は、やはり国民に食糧を安定的に供給するという、これが第一でなければなりません。しかし、今申されているように、私も感じておりますように、それ以上の役割を大きく担っておりますから、そういう視点をこれからの政策の中へ織り込んでいく、そして施策を展開していくことがぜひ必要だと思っております。  大変御努力をいただいたウルグアイ・ラウンド関連の大綱も、本当に裏づけのあるものとして、六年間に総事業費で六兆百億円、それに地方財政措置で一兆二千億というものが一応総枠としては決まったわけでございます。その大綱の中身にも環境保全型農業について触れられたり、それから中山間地帯の環境保全的な機能に触れられた部分等も多々ございます。  私どもそういう意味で、農業の持つ役割というものは、単に食糧生産、これが一番重要でございますが、食糧の供給にとどまらず、あらゆる面で非常に重要な機能を果たしておりますから、大綱にもそのことは十分うたわれておりまして、時代はやはり変わってきているなという感じがひしひしとするわけですが、今後もこの大綱の方針をきちっとやはり貫いて、より環境保全型の農業あるいは農地、林地の見直し、国土保全的な、環境保全的な役割というものを重視した施策環境庁としても進めていかなければならぬと決意をいたしているところでございます。
  41. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 ぜひとも、環境庁長官の今の御認識に沿っていただきまして、環境庁サイドからも、環境行政の基本としてこの問題へのお取り組みをお願いする次第でございます。  そこで、事務当局の方に一、二お伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、まず何といいましても中山間地、これはやはり国民生活にとって、特に生活環境の面で私は極めて重要だと思っているのですね。というのは、ウルグアイ・ラウンドで自由化ということになったときに私ども何が一番心配がといいますと、生産性の劣る中山間地、これはやはり傾斜が急なわけでありますから、どうしても耕地を広くすることができない、生産性はおのずと低い。こういう中で一番打撃を受けるだろう。ところが、生活環境という面で見ますと、この傾斜地、急なところで降った雨をしっかり受けとめて、そして一遍にどっと流さずにダムみたいな働きで、水田がしっかりとその働きをしていく。  こういうことのためにも中山間地は下流の都市にとって特に大事なんだけれども、逆にウルグアイ・ラウンドのそういう関係では一番打撃を受ける。そしてまたいろいろな、今水の問題を言いましたが、そのほかの問題でも特に重要でございます。こういう点について、ひとつ事務当局としても今回のこの農業対策の大綱との関連で、中山間地について私はぜひとも特段の御認識をやはり持ってもらって、意を払っていただきたい。  こういう点で、企画調整局長、どう受けとめておられるかということと、あわせて自然保護局長にも、特に水田というもの、例えて数字を一つ言いますと、これはある数字ですけれども、今、日本のダムが持っておる洪水調節能力三十一億トンと私は聞いております。しかし、水田は三十六億トンあるのだと聞いております。それほど水田の働きというのは、機能というのは大事であります。ひとつそういった点で、水田がやはりちゃんとその機能を発揮していく、維持していく、なくならないようにしていく、そういう意味で、自然保護局においても水田の対策といったことをしっかりやっていただきたいと思うのです。  以上二点、それぞれ局長から御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 石坂匡身

    石坂政府委員 今御指名がございましたので、企画調整局長と自然保護局長でお答えをさせていただきたいと存じますが、中山間地と水田の問題、具体的な問題につきましては自然保護局長から御答弁をさせていただきたいと思います。  それを通じまして、今先生が御指摘になりましたこの問題、環境基本計画の中でいろいろな形で位置づけをされております。今大臣が御答弁申し上げましたように、自然と人間との共生の確保というふうな観点から、今の中間とりまとめにおきましては、この環境保全能力の維持を図ることを基本的な方向として、環境保全型農業の促進、担い手の確保のための総合的な対策、集落共同活動の促進を図るといった書きぶりがございます。  それから農林水産業自体につき産しては、これは他の産業活動とは異なり、その適切な活動を通じて環境保全能力が維持されることから、農林水産業者に対しては、環境保全型農業や農地周辺の生態系保全等の取り組み推進を期待するといった記述がございます。  これはまだこれから各界各層の御意見を踏まえながらもんでまいるところでございますけれども、こうした記述があるということを私からは御報告をさせていただきます。
  43. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、中山間地域というのは大変私どもにとっても重要な地域でございまして、自然公園とかあるいは自然環境保全地域などの重要な地域としてその位置を占めているものでございます。したがいまして、その保全には私どもとしてもさらに一層努力をしていかなければいけないと考えておるところでございます。  また御指摘のありました水田につきましても、農林業等の生産の場でありますと同時に、美しい田園景観の形成といったような点、またトンボや水生生物など水田を中心とする豊かな生態系という点でも大変重要な自然環境というふうに考えておるところでございまして、こうした中山間地域の森林や水田の保全のために、いろいろな制度を活用しながら努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  44. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 そこで、もう時間もなくなってまいりましたので、個別の中身はお聞きすることをやめまして、これは大変大事な点で、お願いであると同時に、ちょっと御答弁もお願いしたいのであります。  今局長お話を聞いておりましても、水田をどう機能維持するかというのは、直接的にはそれは農林省でしょう。しかし、農林省の立場と同時に、水問題なりいろいろその他の環境維持という観点からの水田、これはまさに環境視点といいますか、これは重大な問題だ、重なり合った問題だと私は思うのですね。そういう意味で、農林業という立場環境行政という立場、これがやはりしっかり連携をとって、そして一体となっていただかないことには所期の目的は達成できない、このように痛感をいたすわけでございます。  例えば、先ほど私が申し上げました阿蘇にいたしましても、これは牧野維持ということで畜産局がやっておりますが、ただ牧野という生産的観点だけではどうしてもやはり限界がある。そこにまさに世界遺産等、阿蘇山がなるかどうかはわかりませんが、実はきのうも富士山のことで世界遺産にお願いしたいということで静岡の方がお見えになりまして、私はそれはいいことだなと思っておりますから、ぜひ御努力も大臣にお願いしたいと思うのですけれども、それはそれといたしまして、世界の阿蘇と言われるああいう景観を守っていく観点からするならば、国民の皆様も、そういうコストとして見ていただければ、これはまた違った取り組みができるのではないか、こう思うわけであります。単に畜産の生産的なコストという、それはやはり限界がある。しかし、それを通じての、まさに世界遺産にも匹敵するようなそういうコストとしての立場、こう考えたら、それが一体となって私は対策ができるのではないか。  だから、ここできょうあしたこのことを具体的にどうだと言うつもりはございませんが、ぜひそういう方向取り組みができるような、まさに政府部内においても、農林行政と環境行政、この一体化といいますか、接点といいますか、これはやはり大臣、特にお願いをしたい点でございます。そうしないと、まさに個別具体的な地域地域において、水田の機能も、そしてまたそういう畜産が果たして、結果として生まれておる景観も守れなくなってしまう、こういうことがあるものですから、時間が来ましたので終わりますが、この点を強く、具体的な大臣の御指導もお願いいたしまして、御答弁がありますれば決意も含めてお願いをしたいと思います。
  45. 宮下創平

    宮下国務大臣 松岡委員のおっしゃられるとおりでございまして、農林業の持つ意味、これを十分わきまえ、我々が、すばらしい亜熱帯にある日本としては、森林もあるわけですし、森林面積も七割近くあるわけですから、これを優良な形で保全していくというのは、これは私どもの生活上の問題であると同時に、また環境保全上、さっき温暖化の話が出ましたけれども、そういう地球環境とも非常に密接な関係がございます。委員指摘のようないろいろな視点を踏まえて、環境行政というのはもっともっと、産業だけでなくて農林業その他にも力強い目を向けてリードしていかなくてはならぬ、こう思っております。
  46. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 企画調整局長の方、答弁、もし具体的に何かありましたらひとつ。
  47. 石坂匡身

    石坂政府委員 今大臣からおっしゃられたことに尽きると思いますけれども、委員の御指摘を踏まえまして、農林省とも重々連絡をとりながら進めてまいりたいと思っております。
  48. 松岡利勝

    ○松岡(利)委員 それでは、時間も参りました。大変ありがとうございました。終わります。
  49. 持永和見

    持永委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議
  50. 持永和見

    持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子さん。
  51. 大野由利子

    ○大野(由)委員 昨年の十一月に環境基本法が成立をいたしまして、我が国環境行政も大きな新しい段階を迎えたわけでございます。  総合的な、計画的な環境行政を展開するために、基本法に基づいて環境基本計画をつくろうということで今中央環境審議会の皆様方が一生懸命御努力をいただいているわけでございますが、ことし十二月に閣議決定をされる、そのように伺っております。大変な期待を集めている状況でございます。  ところで、広く国民の皆様の御意見伺いたいということで、広く全国九カ所からブロック別のヒアリングをなされたり、またファクスとか郵便等を通しまして国民の皆様からの意見を聴取されております。前回もアジェンダ21の国別行動計画を作成するために環境庁は大変御努力いただきましたけれども、今回の環境基本計画、私はこんなに大がかりに国民の皆さん全体からの御意見を求められたのは初めてなのではないかな、大変すばらしいことだな、国民の皆さんの環境に対する熱意というものと一体になって日本環境行政を進める上に当たって、今回いろいろ御努力していただいたことを本当にすばらしいことではないか、私はそのように思っております。  今回、一般民間団体、また全国地方公共団体の皆様から寄せられた御意見の中で、どういう御意見が多かったのかということについて伺いたいと思います。随分多岐にわたると思いますので、最初の基本方針にわたるところに限定をいたしまして主な意見を、数多く寄せられた御意見について、教えていただきたいと思います。
  52. 石坂匡身

    石坂政府委員 全国各地で、今御質問いただきましたようにヒアリングを行いました。それと同時に、郵送、ファクスによる意見も受けつけたところでございます。寄せられた意見は全部で六百十通に及んでおりまして、これを項目別に整理をいたしますと、三千三百三十五件という大変多岐にわたるものになっております。  今基本方針の部分に限ってでもいいから紹介をせよというお言葉でございました。この基本方針に係る部分だけにつきましても、この三千三百三十五件の約一割に相当いたします三百十一件がこの項目について意見を寄せてきておられます。これは非常に多岐にわたりましていろんな意見がございます。  とても全部を御紹介する時間的ゆとりはないと存じますが、計画のあり方全般にかかわる意見、例えばこの計画というものをわかりやすくつくるべきではないかというふうな意見。それから環境問題の基本的認識についての意見、例えば既に環境への負荷環境の復元能力を超えているという認識に立って考えるべきではないかというふうな意見。あるいはあるべき社会の姿に関する意見、例えば社会経済を大量消費型から循環リサイクル型に変えていくべきであるというふうな意見。それから数量的目標の設定についての意見、この意見につきましては、計画に盛り込むべきであるという意見、慎重に検討すべきだという意見等々、さまざまな意見が寄せておられるところでございます。
  53. 大野由利子

    ○大野(由)委員 長官に伺いたいのですが、大変国民の皆さんから一生懸命寄せていただいたこうした意見が、これからまとめられます最終答申の中にどのように盛り込まれるか、反映をされるかということで伺いたいと思います。
  54. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生が冒頭に言われましたように、今回の環境基本計画、これは政府計画でございますが、ほかのいろいろの政府計画がございますけれども、全国九カ所で、今企画調整局長の言われたように三千三百三十五も意見が出されているということ、こういう手法は環境行政の特色でもございますが、大変すばらしいことだと、私も先生と全く同意見です。  そしてこの意見は、今局長が申されたようないろいろな意見がございますけれども、今市環審におきまして企画政策部会というところで取りまとめが行われておりまして、過日私も最初の企画政策部会に二時間ほど出席させていただきましたが、その取りまとめの報告をされ、なお議論が非常に熱心に行われておるということで大変心強く思った次第でございまして、今の御意見、できる限り集約をしてこの基本計画の中に、中原審においてこれはまず答申の形で出されますから、そちらで織り込まれるものと大いに期待をいたしておりますが、また答申を得たならばそういった趣旨できちっとしたものにして閣議決定をしたい、このように思っております。
  55. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回の国民の皆様の、また地方自治体からの御意見の中に、やはり数値目標とか達成年次、また達成のための施策、こうしたものが明示されなければ絵にかいたもちになってしまう、どんなにすばらしいものであっても単なる理念で終わってしまう、総論賛成、各論反対になってしまうじゃないか、そういう御意見が随分多うございました。これについて、もちろん中央環境審議会の皆様で御検討されるのでしょうが、環境庁としてはこれに対してどういう見解を持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  56. 石坂匡身

    石坂政府委員 実はこの数量的な目標の扱いといいますものは、今まさに委員が御指摘になりましたように、この中央環境審議会で議論のさなかでございます。したがいまして、私どもの意見というのは今の時点で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、重要な論点の一つであることは委員の御指摘のとおりでございます。  この中間とりまとめに際しまして、企画政策部会長の談話がございました。その中ではこうおっしゃっておられます。   環境保全に係る数量的な目標は、その期間、意思決定の手続やレベルなどが多種多様であるため、中間とりまとめの段階では、二十一世紀半ばを展望し二十一世紀初頭までの施策方向を明らかにする環境基本計画においてこれらをいかに位置づけるべきかについては、必ずしも成案を得ていない。今後、この点については、環境基本計画の最終的な答申までに、さらに検計を深めていく必要がある。こうおっしゃっておられます。  先ほどちょっと御紹介をいたしました国民各界各層から寄せられました意見、その中には、今委員がおっしゃいましたように、国民にわかりやすいものとする、施策取り組みの評価、推捗管理を容易にする、そういう観点からも数値的目標を入れるべきであるという意見、それから、その数値目標というものは事業者国民への過度の負担につながるおそれがあるから、あるいは既に必要な分野においては目標が設定されているから慎重に行うべきだという意見、さまざまな意見が寄せられております。今御紹介申し上げました二つの意見のほかにも、その中間にさまざまな意見がございます。  そうした意見を先般、今大臣がおっしゃいましたように、審議会にすべて御報告申し上げたわけでございますが、そうしたものを踏まえましてこれから御検討を賜りました、最終的な結論に到達するというふうに考えております。
  57. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この環境基本計画のようなものが策定されるのは、基本法に基づく基本計画は今回初めてでございますが、過去環境行政の中に、昭和五十二年に環境庁で決定されました環境保全長期計画がございます。それから昭和六十一年に環境保全長期構想がございます。  五十二年につくられた環境保全長期計画公害国会の後の計画でございまして、日本公害をいかに是正するかということで、それなりの大きな役割を果たしてきたんじゃないかと思っておりますが、この環境保全長期構想はその後どうなったのか、今達成されているのかどうかについて伺いたいと思います。
  58. 石坂匡身

    石坂政府委員 昭和六十一年に今御指摘になりましたように環境保全長期構想というものが策定をされたわけでございます。これは各省にまたがるというよりは、環境庁独自で策定をしたというものでございます。  この構想では、それまでの公害防止と自然環境保全という要素に加えまして、経済、社会の変化を踏まえまして、新たな汚染可能性の管理、あるいはやすらぎとふれあいのある環境の形成、環境資源の適切な管理、国際的視野に立った環境政策推進、そういった新たな環境政策方向が示されたわけでございます。  そうした方向に沿いまして環境庁のさまざまな施策を講じてまいりました。直近で申しますれば、地球サミットに至る過程でさまざまな努力をしてまいっております。そういったこともこうした長期構想の展開の中で出てきたというふうに考えておるわけでございます。  今度は、政府全体としての長期的な方向ということで、総合的な計画でありますところの環境基本計画策定をしていく。それは何といいましょうか、従来の環境庁限りのものということから、政府全体というふうなものに大きく広がっているというふうに考えております。
  59. 大野由利子

    ○大野(由)委員 環境庁だけで策定されたものから政府全体で策定される、そういった意味で、今回の基本計画、大変重みのあるものだと思っているわけですが、私の質問は、この当時のこの構想が達成されたかどうか、そのことについて伺いたいのです。
  60. 石坂匡身

    石坂政府委員 この六十一年の構想は、委員も十分御承知のとおりだろうと思いますけれども、新しい視点に立った環境政策ということで三つの点を挙げて、いわば一つの指針を示しているわけでございます。それは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、環境への配慮の徹底、環境とのふれあいのための基盤整備、環境の恵みの保持・増進という新しい視点を加えまして、そして基本的な政策の展開について触れております。この政策の展開は、いわば一つ一つ個別に政策を示しているというよりは、むしろ総合的な方針というふうなものを示しながら書かれておりまして、そうした方向に沿った政策の展開ということはこれまでやってこられたというふうに考えております。
  61. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この六十一年に制定されました環境保全長期構想は、今御答弁がございましたように、環境庁単独で、政府全体のものでなかったということもございますが、ここでは要するに数値目標というものが書かれてないわけですね。どういう方向を目指すのかというそういう理念的なものでしかなかったということで、もちろんこれが構想されて日本環境行政がその方向に向かって御努力されたのはよくわかるわけですけれども、その数値目標が出てない場合には、一生懸命努力して、果たして達成したのかどうなのか、努力が足りたのかまだ足りてないのかというそういう判断の基準というものが全くできないということなんです。  そういう意味で、私は先ほどの、数値目標がない基本計画をつくったのであっては、たとえ政府でつくったものであっても、この昭和六十一年につくった環境保全長期構想と同じような単なる理念にすぎなくなってしまうではないか、ここまでできたけれどももうちょっと足りないとか、そういう目標が何にもない、そういう基本計画を幾らつくっても意味がないのではないか、そういう意味で御質問をさせていただいているわけでございます。  話は変わりますが、先ほど午前中の山口委員の御質問にもございましたが、地球温暖化防止条約の中で、主要国は二〇〇〇年度のCO2排出総量を一九九〇年レベルに戻す、こういうことを約束しているわけでございますが、このことについて環境庁は既に、九〇年度に比べて三・一%ふえる、そういう国連への報告書素案をまとめていらっしゃいますが、これは最終的にはどういうふうに取り組んでいかれるのかということについて伺いたいと思います。
  62. 澤村宏

    ○澤村説明員 ただいま先生御指摘のとおり、省エネルギー等にかかわる各般の施策が十分に実施されることを前提といたしましても、二〇〇〇年度の二酸化炭素排出総量につきましては、一九九〇年度実績に比べまして約三%程度増加するものと予測されております用地球温暖化防止行動計画目標の達成に向けまして、今後とも一層の努力が必要であるというふうに考えております。  環境庁といたしましては、地球温暖化防止行動計画の達成に向けまして、地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして毎年度行っております二酸化炭素排出量の取りまとめ等、そういったことを通じまして、計画の達成の状況を的確に把握して、関係省庁との十分な連携を図りながら対策を着実に進めていきたいと考えております。  特に、近年の二酸化炭素排出総量の状況はどういうものか、その推移を見てみますと、産業部門では横ばいまたは減少しているという状況でございますが、民生部門、運輸部門、これらにつきましては排出量の伸びが見られるわけでございます。したがいまして、国民の地球温暖化問題に対する意識を高めるための普及啓発に努めるとともに、より住民に近い立場にあります地方公共団体での温暖化対策への支援をする、あるいは経済的手法の検討を引き続き進めるというようなことを考えております。
  63. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これも二年前の地球サミット主要国の間でこのような数値目標が出されたゆえに、この目標が達成できるかどうか、日本政策がこれでいいのかどうかということの論議が進められるわけでございますし、来年三月にベルリンで開かれますこの条約の第一回締約国会議で二〇〇〇年以降の目標がまた討議をされる予定だというふうにも伺っております。そういった意味で、日本もぜひ国際公約を破ることのないように一生懸命努力しなければいけないのではないか、環境税、炭素税の導入についても真剣な検討を始めなければいけないのではないか、このように思うわけでございます。やはり数値目標があるのとないのとでは天地、雲泥の差でございまして、CO2もただ削減に努力するというだけであれば、せっぱ詰まったものは何もないわけでございますが、こういった意味基本計画の中に数値目標をぜひお願いをしたい、そのように思っております。  ところで、既に既存の法律によって、例えば自動車NOx法とか水質汚濁防止法とかまた都市公園等整備緊急措置法とかでいろいろ目標が出ております。この目標数値というのは、基本計画における数値目標とはどういう位置づけになるのかどうかということを伺いたいと思います。
  64. 石坂匡身

    石坂政府委員 これはいろいろな数値目標というものが今もございます。環境基準を初めといたしまして、あるいは公共事業についての事業量初めたくさんのいろいろなものがございます。ただそれは、それぞれの事業に応じた期間というものを定めてございます。いわば、言ってみますれば、そういうものを全部集大成をいたしましたものが環境基本計画という関係になるわけでございまして、その中のパーツパーツがそういうふうなものの位置づけであるということになると思います。したがいまして、いわばその時期が来れば、当然そういうものを見直していくということになるわけでございましょうけれども、そうしたものを含めて、そうしたものの数字を一体どういうふうに今のこの計画の中で位置づけていくのか、中間とりまとめの段階では参考として示した、表で整理をしてお示しをしておりますけれども、そうしたままでいいのかどうかということも含めましてこれから十分に議論をするというふうなことでございます。
  65. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今までにも数値目標等が部分的に出されているわけですが、基本計画として総合的な形でより環境行政が進む、そのように国民の皆さんは多く期待をしておりますので、ぜひこの数値目標も、ただ、じゃ数値目標、どんな目標でもいい、余り無理のない数字を上げておけばいいということであれば、たとえ数値目標が掲げられても、これは余り意味がないわけでございまして、過去のいろいろな目標をもう一度見直していただいて、それを上回る環境行政が総合的になされますように、ぜひこの点は要望をさせていただきたい、そのように思っております。  それから、環境基本計画策定されましたら、中央環境審議会が進捗状況を点検する、そのように出ておりますが、一体何をもって進捗状況を判断するのか、全くこれは判断がわからないので、その辺を教えていただきたい。必要に応じてその後の政策方向についても政府に報告し、必要に応じ基本計画を見直す、そういうふうに出ているわけですが、何を基準にしてこういう判断をされるのか、伺いたいと思います。
  66. 石坂匡身

    石坂政府委員 今委員が御指摘になられましたような表現が中間とりまとめの最終の部分にございます。これはどういうふうな形でやるかというのはこれから議論をして中身を詰めていくというふうなことでございますが、いろいろな政策につきまして、中間とりまとめをごらんいただきましても、個別にそれぞれの方向性というものが出ております。  そういうものの中でどういうふうにステップを踏んでいくかというふうなことは恐らく、この計画ができましてそれが実行される段階になりますとそれぞれ出てまいるわけでございまして、そうしたものをフォローしていくというふうな趣旨であろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、これはこれからのまだ議論の中で明らかになっていくことであるというふうに考えております。
  67. 大野由利子

    ○大野(由)委員 続きまして、ちょっとフロンについて伺わせていただきたい、そのように思っております。  フロン、午前中の御質問にもございました。南極大陸の上空のオゾンホール、この五年間、六年間どんどん拡大をし続けてきて最大になった、南極大陸の一・五倍になったというような報道がなされておりますし、札幌ぐらいの北緯四十三度前後の北半球におきましても世界的に二〇%のオゾンの減少が見られる、北半球でもこのオゾンの減少は大変今深刻な状況になっている、そういう状況のようでございます。  フロンでございますが、どの程度回収されているのかということをちょっと伺いたいのですが、これもいろいろあるようでございますので、時間を短縮するために、洗浄用のフロンは相当回収されているようでございますので、冷媒用のフロンはどれくらい回収されているのか、伺いたいと思います。
  68. 大澤進

    ○大澤政府委員 フロン全体の回収の状況の把握はなかなか難しいわけでございますが、今お話のありました冷媒、特に冷蔵庫からのフロンの回収の状況、特に自治体におけるその状況を申し上げたいと思いますが、環境庁が本年の当初に実施しました調査結果によりますと、既に回収に取り組んでいる市町村の数というのは二十四あります。さらに、本年度に取り組むこととしている、予定としている市町村の数が百六十二となっております。  なお、御参考までに、この廃棄冷蔵庫のうち、自治体により、フロンが回収されるものの割合というのはそれぞれ異なるわけでございますが、例えば東京都の場合を例にとってみますと、本年度における年間の冷蔵庫の廃棄の数は約三十四万台あるわけでございますが、そのうち約七万台が一般廃棄物の対象となってそのルートに乗っております。その中で、フロンの回収対策としてが約二万一千台、こんな状況になっております。
  69. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今お話ございました、全国三千三百地方自治体がある中で、フロンの回収をまだ、それでも一生懸命やり始めてくださったところがまだ百に満たない。また、その中でもやはり実際に回収できているのはその中の一割とか二割にすぎないということで、実際には、フロンが大変な、皮膚ガンだとか白内障をもたらすと言われながら、どんどんいまだに放出され続けている、そういう実態がございます。  日本世界で第二位、世界のフロンの生産量の一五%を生産しているわけですから、このオゾンホールの問題、そうした問題に対して日本は相当な責任を持っているんじゃないか。もっと真剣にこのフロンの回収、破壊ということに取り組まなければいけないんじゃないかと思っておりますが、この破壊の技術、いろいろ今やっていただいていますが、いつごろまでにめどがつきそうなのか、どういう状況なのか、破壊の方法とその問題、簡単にちょっと教えていただきたいと思います。
  70. 大澤進

    ○大澤政府委員 フロンの破壊の技術の点でございますが、開発段階のものまで含めますと幾つかの種類がございますが、実用化の見通しがほぼついているものとして、モントリオール議定書締約国会合においても承認されたものとしては二つありまして、ロータリーキルン法、それからセメントキルン法でございます。これはそれぞれ熱をもって焼却する、高温で焼却するという方法でございますが、そのほかにまた、最近プラズマ分解法という有力な技術も開発されているという状況にあります。  これらの破壊技術については、適用可能性の高いものから技術評価が各方面で行われつつある現状でございますが、具体的には、最初申しましたロータリーキルンのものについては、環境庁において実際の施設を用いまして技術的検討に今年度から取り組むという手だてを整えておりますし、また通産省においては、先ほども申しましたプラズマ分解法の実証プラントを建設し、本年度内にも実証試験を開始するというぐあいに聞いております。さらに東京都においては、業界との協力をもとに、既に既存の燃焼施設を用いまして、先ほど申しましたセメントキルン法、セメント焼成炉を活用する方法ですが、それの破壊実験に現在取り組んでいるところでございます。  いずれにしましても、私どもとしては早急にこれらの研究あるいは実験を取りまとめて実用化に向けたい、かように考えております。
  71. 大野由利子

    ○大野(由)委員 リサイクル社会推進するということは、もうそういう理念はよくわかっているわけでして、結局二年後、三年後までに何をするのかという、どう具体的なことをやるのかという、環境行政はそれが大事なんじゃないか、そのように思うわけです。  今御答弁にもございましたように、フロンの破壊技術、いろいろ研究も進んでまいりまして、いよいよこのプラズマ方式もことし十一月には動き出すことが可能だというふうにも伺っておりますし、いよいよ実用化がもう目前、この一、二年の間に実用化も可能だというような状況になってきているわけです。  そして、厚生省は来年の三月から、廃棄される冷蔵庫を適正処理困難物と指定して回収する、そういうことも義務づける。そういうような状況が整ってきているわけですけれども、じゃフロンを回収して廃棄するにはどうなのか、環境庁がいろいろ今検討されているのはわかるんですが、一向に見えてこない。いつまでにどうなさるかというのが全く見えてこなくて、私ちょっと、余りにものんびりし過ぎているんじゃないかなと思うんですね。  今言いましたように、フロンの廃棄ももう実用化するということが目前にまで来ているわけですから、じゃもうそろそろ、フロンを回収してストックをしたとしたってほんの短期間のストックで済むわけですから、フロンの回収をどう義務づけるかということをもう早急にやらなきゃいけない、そう思うわけですけれども、これについてどう思っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  72. 大澤進

    ○大澤政府委員 今先生御指摘のように、私ども、もう一日も早くその回収システムを確立しなきゃいかぬということでいろいろ検討を進めているところでございますが、現在フロンの回収システムをつくるについては、廃棄の実態とかあるいは関係者の役割分担、費用の負担のあり方等についていろいろ問題があるわけでございまして、環境庁では平成五年度から、自治体に協力をお願いしまして、オゾン層保護対策地域実践モデル事業、こういうものを実施しまして、フロン廃棄の現状の把握とか回収に当たっての問題点の整理もやっておりますし、また本年四月には、関係省庁に呼びかけましてオゾン層保護対策推進会議、こういうものを発足させまして、今おっしゃられたようないろいろな点について鋭意検討を進めているところでございまして、私どもといたしましても、一日も早く具体的な方針なり成果を上げてこれらの対策に当たってまいりたい、かように考えております。
  73. 大野由利子

    ○大野(由)委員 既にヨーロッパでも、イギリス、スウェーデン、ドイツ、オランダ、スイスでは冷媒用のフロンを回収することを義務づけておりますし、冷媒だけでなくて断熱材に含まれるフロンまで回収する、そういう状況でございます。アメリカは大気浄化法、イギリスでは環境保護法等で、フロンを回収する、それを意図的に漏らしたり放出した人は罰則すら設けられている状況でございます。こういった状況から見ますと、日本は大変おくれているんじゃないか。一刻も早くこれを、フロンをどう回収するのか。  また、だれが負担するのか。今地方公共団体がやってくださっている冷蔵庫を回収したりするのを地方公共団体にゆだねているというのじゃなくて、私はやはりPPPの原則で、フロンをつくったメーカーそれからフロンを利用しているメーカー、そういうところがきちっとこれは責任を持ってやらなきゃいけないんじゃないか。これを、環境庁がリーダ、シップを発揮して、フロンの回収のための立法化も含めて早急に検討が必要じゃないかと思いますが、長官の御決意を伺いたい、そのように思います。
  74. 宮下創平

    宮下国務大臣 お話しのように、フロンガスのオゾン層の破壊は既定の事実でございますし、今御答弁申し上げておるような手法も確立されておりますから、やはり実効のある施策が、先生御指摘のとおり必要であろうかと思っております。  立法化するかどうか、この点はPPPの原則の御指摘もありましたが、理論上ちょっと問題もあるかなという感じを率直に受けましたけれども、実効性の上がる方法でなければなりません。したがって、今までの環境行政というのは、一般論として言えば非常に指導的な立場が強かったのでございますけれども、こういう製造者責任の問題その他が、今PL法案でも出てきておりますが、これは問題が違いますけれども、もっともっと製造者あるいは流通、利用者、これらがすべてやはり責任を持って、そういうことがはっきり害があるということは明確でございますから、そういう体制をつくるべく環境庁としても前向きにやはり検討していかなくちゃいけないなという率直な感想を申し上げておきます。
  75. 大野由利子

    ○大野(由)委員 済みません、だんだん時間がなくなってきたんですが、もう一つ、最後にベンゼンについてちょっと伺いたいと思っております。  昨年三月に、環境庁の有機塩素化合物対策検討会の「有機塩素化合物による大気の汚染について」という報告の中で、今後ベンゼン、それからジクロロメタンなど、未規制の有害大気汚染物質について対策を実施する上で、優先度の高いと考えられる物質から健康影響評価をちゃんとしていく必要があるということが、きちっと記述がなされているわけですね。昨年の三月から既にもう二年近くたっているわけですけれども、発がん物質ベンゼンについてどのような対応をしてこられたのか、伺いたいと思います。
  76. 大澤進

    ○大澤政府委員 ベンゼンにつきましては、未規制の有害大気汚染物質の中のできるだけ早急に対策を検討すべき物質と私どもも考えておりまして、このため、専門家から成る有害大気汚染物質対策検討会、これを既に設置しておるわけでございますが、そこでベンゼンを初めとする有害大気汚染物質の健康影響、排出実態、大気中の濃度等について調査を進め、さらに今後の対策のあり方等についても検討を始めているところでございまして、これらの検討結果を踏まえて必要な措置を講じたいと考えております。
  77. 大野由利子

    ○大野(由)委員 既にWHOにおきましても、またアメリカの環境保護庁におきましても、また米国産業衛生専門家会議におきましても、ほかにもいろいろドイツ、アメリカ、いろいろなところでベンゼンの発がん性というのは指摘をされているわけでございます。  そういった意味で、もうこのベンゼンが発がん物質であるということは、もう既定、定性的には間違いない事実としていろいろなところでこれは指摘をされているわけでございますが、環境庁は昨年の十二月に水質環境基準を改正して、ベンゼンなど十五項目を追加はされました。しかし、水の方は、今年の水質保全二法とかで大分改善をされてきたわけですが、大気の方は非常におくれているんじゃないか、そのように思っております。  また水は、ちょっとこれは危険物質だと思えば飲まないで買ってくるということもできますけれども、空気だけは飲まないというわけにはいかないわけでございまして、そういった意味で、自動車から排出される有害物質、未規制の有害物質の約半分を占めているようでございますが、NOx対策はそれなりに日本では行われてきましたけれども、NOx以外の大気汚染の中の未規制の有害物質が非常に対策がおくれてきたんじゃないかと思いますが、この辺、長官の御見解を伺いたいと思います。
  78. 宮下創平

    宮下国務大臣 今局長の方からもお答えしましたように、未規制の百七十五品目くらいの品目が今検討対象になっておりまして、ベンゼンも今先生御指摘のとおり、有力なその項目、規制対象にすべき項目に当たるかと存じておりますから、よく検討の上しかるべき対応をしていきたい、こう思っております。
  79. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アメリカでは、既に大都市圏に限ってですが、一九九〇年に大気浄化法を改正して、そしてこのベンゼンの含有量の少ない改良ガソリンの販売というものをいろいろ実施することを決定をしている、そういうところもございますし、ほかにもいろいろなところでこうした動きが今大変活発になってきております。日本は今のところ、そういった目に見えた動きがないわけでございまして、またポスト特石法で、いよいよ石油の輸入自由化に伴っていろいろな石油が入ってくる、そういう状況でございますので、ぜひこのべンゼンの含有量を少なくする、それは規制を強化する。経済的な規制はどんどん緩めなければいけませんが、社会的な規制、そして健康に関する規制は、やはり厳密にやっていかなければいけない、そのように思っております。  これは大体いつごろまでに検討されて結論が出る見通してございましょうか。今大臣検討するというふうには言ってくださいましたけれども、見通しについて伺いたいと思います。
  80. 大澤進

    ○大澤政府委員 未規制の有害大気汚染物質の対策そのものは、先ほど申し上げましたようにこれから検討着手して、いろいろな課題というか、健康への影響の状況とか排出の実態とか、大気中の濃度等、それから品目が多うございますので、かなり年次計画的に進めていかなければいかぬ、こういう状況にあるのを御理解いただけるかと思いますが、ベンゼンの特にガソリン、石油中のものについても、これはできるだけ早くに私どもも方向を出していきたい、かように考えております。
  81. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ヨーロッパでも三%以下にするとか、またドイツでは一%以下を検討中とか、さまざまな動きが出ておりますので、ぜひこのベンゼンも早急に検討をしていただいて、そして大気の浄化、安心して過ごしていける環境というものをぜひお願いをしたい、そのように要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  82. 持永和見

    持永委員長 小泉晨一君。
  83. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 持ち時間をいただきまして、今回の百三十一回国会大臣所信表明を受けまして、私は三つの質問をいたしたいというふうに考えています。  一つは、気候変動枠組み条約と特石法廃止のその後についてお伺いをし、二つ目はNOx法施行に向けての実態についてお伺いをしてみたいというふうに思います。  なお、最後に、本年予算にも盛り込まれました総合的環境研究教育推進体制に関する調査研究費の使い道についての質問をさせていただきたい、そういうふうに思います。  それでは、まず最初に、特石法が九六年の三月末をもって廃止される、それに伴って一体何がどう変わっていくのか、そしてまた、今までとはまた違う新たな問題が生ずるとしたらどういうことなのか、そんなところを通産省にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、福永委員長代理着席〕
  84. 広田博士

    ○広田説明員 本年の六月に、石油審議会の石油政策基本問題小委員会におきまして、今後の石油製品の供給のあり方について中間の取りまとめをいただいたところでございます。この中では、国内の石油製品市場に輸入品との競争による市場原理を一層導入をするという観点から、これまで実質的に石油会社に限っておりました石油製品の輸入を、これをできるだけ自由にした方がいいというような御指摘をいただいたわけでございます。  一方で、その際には、安定供給の観点から備蓄をどうするのかという問題と、それから石油製品の品質をどういうふうに維持をするのかという問題、この二つが検討課題としてあるという御指摘をいただいておりまして、現在、私どもは石油審議会の中に石油の品質の制度を検討する作業部会を設置いたしまして、御審議をいただいたところでございます。  御承知のように、日本の石油製品の品質につきましてはかなり高水準の品質を維持しておるということでございます。今後、特石法が廃止されて石油製品の輸入主体が石油会社からその他の方々に拡大をいたしましても、こうした品質については十分に維持管理されるべきだという御指摘をいただいておりますので、こうした視点をもとにこの作業部会で御審議、御検討をいただいておるところでございます。
  85. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 今のお答えで大きく二つの問題が生まれるというか、取り残されるということのようでありますけれども、基本にはやはり安定した供給というものが一番大事だと思いますので、そういう観点とあわせて、今の特石法が廃止されると、場合によってはいろいろな方が売り出されるわけでありますから、利用という面からすると、ある意味では便利になり、またある意味では価格が下がるということも予想される一つでありますけれども、環境庁としては、この廃止後の影響見通し等みたいなことについて御検討を加えられる、あるいは加えている、そういうことがあるでしょうか。
  86. 大澤進

    ○大澤政府委員 現在の大気保全対策は、ガソリン、揮発油等の石油製品が一定の品質であることを前提としているわけでございますが、この特石法が平成八年三月に予定されている廃止が行われるとすれば、品質の劣る石油製品が海外から輸入され国内で使用される場合には大気環境上悪い影響が生ずる、こういうぐあいに私ども考えておりまして、来る十一月八日に開催されます中央環境審議会大気部会において、特石法の廃止後において大気保全上必要と考えられる石油製品の品質確保のために必要な措置について御議論をいただく、こういう予定で対処してまいりたいと思っております。
  87. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 それぞれの省庁で、起こる問題また予想される問題について従前から検討をしている、これは大変な姿勢だと思いますけれども、内外価格差や今回の規制緩和で、先ほどちょっと触れましたけれども、私はガソリン等の価格が下がるのではないかという予想を立てている一人でありますけれども、価格が下がるという前提で考えますと、どうしても需要がふえる傾向が余儀なくされるのではないか、あるいは見解によっては、いやいや量はふえないよという見解もあるかもしれませんけれども、一般的に言えば、安い、ふえるということになります。  だとしますと、先ほど答弁がありましたけれども、民生用や運輸用の燃料等については増加傾向にあるということ等にかんがみますと、この気候変動枠組み条約、いわゆる二〇〇〇年の目標達成についてもう一つ工夫が必要ではないかとも考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  88. 大澤進

    ○大澤政府委員 今御指摘のように、特石法の廃止により石油製品が自由に輸入される、こういう場合に、自動車に多く多種類のものが使われる、さらに自動車もふえるのじゃないかというようなことから、NOx等の排出に影響があるのじゃないかということですが、私どもとしても、現時点でそれがどの程度、どのぐらいふえるかというのはいろいろな不確定要素というのがございましてはっきりわかりませんが、私どもとしては、大気保全上の観点から十分関心を持って注意していかなければいかぬ、かように考えておりますし、さらに、先ほど申し上げましたように、そういう観点からも専門の審議会で十分御議論いただいて、今後に問題ないように対応していこう、こういうように考えております。
  89. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 さきの長官の所信表明の中で、環境保全に対して、日本としての「経験と技術」という一行がございました。ここで言う「経験」とは何で、「技術」とほおおむね何を指していらっしゃるのか、お答えいただけたらありがたいと思います。
  90. 宮下創平

    宮下国務大臣 私が「経験と技術」と申し上げたのは、我が国公害の歴史がまず産業公害からスタートしてきておりまして、公害垂れ流しと言われるときの技術開発ですね、これはおおむね個別企業についての対応としては私はほぼ、もうそういう現象が今生じておりませんから、その技術は蓄積されてきちっとして、それがまた現実に稼働しておればこそ、個別の企業のそういう問題はない、個別公害はないというように思っております。  また、そういう経験を踏まえまして、技術的にいろいろの面で開発が進んできておりますが、都市・生活型公害についても、いろいろ本委員会でも議論がございますように、いろいろな手法について検討がなされておりますし、地方公共団体におきましてもいろいろの方法を考えておられると思います。  それからまた、我が国の場合には、今先生ガソリンが安くなるから消費量がふえるから何かの方法はないのかという御質問でもございますが、経済的な手法として、例えばカーボンタックスみたいなものとか、あるいは課徴金の問題等々、これは検討に値するかと存じます。  そういう意味で、これからそういう問題の手法を含めて今検討をしておるところでございまして、我が国が工業生産国としては先進国であるだけに、その歩んできた中における知識とか経験、こういうものがありますので、これはちょっと問題は大きくなりますけれども、南北問題その他、世界的な貢献の場合にもそういうものは活用さるべきものだ、こう考えております。
  91. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 この技術という問題についてはまだ後ほどちょっと触れたいと思うのですけれども、今長官申されましたように、課徴金とか炭素税とかという言葉が経済的手法の一つの方法論として語られたわけでありますけれども、環境庁では環境税研究会という名のつく研究会をスタートされている、この辺の生まれてきた背景と、今までどのような審議経過があるのか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  92. 石坂匡身

    石坂政府委員 経済的手法の活用の問題でございます。  これは実は長い歴史のある問題だと思いますけれども、直近のところで申し上げますと、環境基本法に、こうした経済的手法というふうなものについていろいろな角度から検討すべきであるというふうな条文も入っておるわけでございます、その有効性が期待され、国際的にも推奨されている、適切に調査を研究すべきである。  ただ、これは、いずれにしてもどういう効果があるかというふうなことを見きわめなければならない問題でございますし、それから、いずれにしても負担の問題でございますから、国民の理解と協力というふうなものも必要でございましょう。国際的な配慮というふうな問題も必要だと思います。そういういろいろな要素を抱えながらも、しかしそういう経済的手法というものが有効な手段として存在をするということでございます。  そういうことから、この夏、八月でございますけれども、環境庁に、環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会というものを発足をさせたわけでございます。現在既に三回開催をしておりまして、いろいろな角度から検討を進めておるところでございます。  なお、これは環境庁以外でも、例えば平成五年十一月の政府税制調査会の答申がございまして、「今後の税制のあり方についての答申」の中で、「環境問題に係る税制については、国内外での議論の進展を注視しつつ、更に調査及び研究を進めていく必要がある。」というふうな指摘がなされておりまして、大蔵省といいましょうか、あるいは経済企画庁といいましょうか、そういったところでも検討調査が行われているというふうに承知をしております。
  93. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 税の問題ですから、どこだけ突出してかけるということも基本的ルールには外れるのだろうというふうに思うわけでありますけれども、今お話しいただきました方法で考えれば、この環境税なるものが、財源的な角度から先に検討するのでなくて、むしろ、先ほど来多くの委員が御指摘していますように、環境保全という観点から一体どうなんだろうか、そういう視点をなくしてのこの税の議論は、私は間違いではないだろうかというふうに考えるのですが、長官いかがでしょうか。
  94. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、そういった視点こそやはり原点であろうかと思っております。  今導入するかどうかは、これからの検討問題でございまして、決して財源を確保するための方策として考えているものではございません。これからの検討問題でございます。
  95. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 その言葉を聞いて、あえて一言つけ加えさせていただければ、できれば地球環境担当大臣として、広く他の省庁にも、この問題を逃げることなく正面からやはり議論の対象として、今ある、できたその研究会ですか、それをもう少し幅広くひとつ御審議の対象にしていただいて、願わくば、政府税制調査会にもその報告、検討を求めるというぐらいにしていただける、そんなことを考えているわけでありますけれども、その辺まではどうでしょうか。
  96. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほど来御説明のございますように、政府税制調査会でも初めてこの答申に環境税の問題について触れられております。結論は出ておりませんが、調査研究する、やる場合はいろいろの角度から検討せよという抽象的なことでございます。環境庁検討会も、今企画調整局長の言われたとおり、それから経済企画庁におきましても検討しておりますし、また大蔵省の財政金融研究所ですか、ここでもある程度、非常に注目される論文等も発表していることは先生御指摘のとおりでございますから、これらは関心がみんな高まっておると思いますので、それらを環境庁中心になって、環境保全立場の税であるという視点を踏まえて、ひとつイニシアチブをとってその当否を検討していかなきゃいかぬ。  もちろん環境行政、申すまでもございませんが、今規制緩和が言われておりますが、規制措置というのは既存の方法でかなり有効な、それはベースにならなくてはならない問題でございますし、環境税の場合には、そういう環境保全という目的であっても国民に負担を求めるものでございますから、広く国民的なやはりコンセンサスを得る努力も、導入するとした場合には非常に重要なことであろう、こう考えております。
  97. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 ぜひそういう方向でお願いをいたしたいと思います。  それでは次に、NOx法等について質問をいたしたいと思うのですけれども、NOx法がいよいよ施行されまして、それまでの議論の過程もいろいろあったと思うのでありますけれども、もう一度整理をする意味で、この法のもともとの目的とは一体何だったのだろうか、その辺二言お触れいただけたらありがたいと思います。
  98. 大澤進

    ○大澤政府委員 御承知のように、大気の汚染状況、特にNO2等の窒素酸化物あるいは自動車から排出される粒子状物質、こういうものについては、最近を振り返ってみても改善がはかばかしくない。他のSO2とか、そういったものについては近年非常に改善されている、このような状況があります。  その要因としては、やはり従来、固定排出源、工場、事業場、こういうものが主たる原因だったわけでございますが、自動車の普及とともにいわゆる移動排出源からの汚染というものが非常に多くなってきた。それは特に都会、都市部において、人口の多いところ、産業活動の盛んなところにおいて多い。こういうことから、従来の規制だけでは十分な効果が上がらないというようなことから、特にそういう移動排出源である車を中心としたこれらの規制に改めて取り組む必要がある、さらに強化する必要があるという観点から、新しい法律制定して新たな規制の強化を図ったところでございます。
  99. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 それに伴って、買いかえるという具体的な方法が普通予想されるわけであります。したがって、ある省庁の考え方によれば、この法律は新しい車を買いかえさせるための、というようなことがなきにしもあらずだと思うのでありますけれども、中には、知恵ある人がいろいろいるわけでございまして、登録地の変更、通称車庫飛ばしと言うんだそうでありますけれども、そのようなことを具体的にやっているやに聞いているわけでありますけれども、その辺の実態については、一体どこの所管でどんな方法で実態を把握すべきなのか、あるいは把握していらっしゃるのか、その辺のルールについてちょっと御説明いただきたいと思います。
  100. 大澤進

    ○大澤政府委員 特定地域、つまり自動車NOx法によって規定される地域外から入ってくる車、流入している車についての規制とかあるいは登録、いわゆる車庫飛ばしですか、そういう違法的な行為についてのコントロールでございますが、私ども、これらの地域において計画的に規制をしていく、あるいはコントロールしていくという観点から、総量削減計画というものを具体的に都道府県において立てて、今実施に移しているところでございまして、その中でこの進行、管理を私どもも含めて一緒にきちんとやっていこう、こういう中で問題のあるような、今御指摘のような点についてもできるだけ排除していこう、こういうぐあいに考えております。
  101. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 その車庫飛ばしというのは数ある例ではないんでしょうけれども、ただ、また一方で、数は少ないかもしれませんけれども、低減装置等をつけてテストを受ける試験場というのが全国あるわけでありますけれども、その数が、東京、関西を含めて非常に数が少ない。また、大型については、今のところ筑波の日本自動車研究所一カであるというように私は情報をいただいているわけでありますけれども、その辺、ニーズと場所、能力との関係について、いかがでしょうか。
  102. 中山寛治

    ○中山説明員 ただいま先生から御指摘のございましたNOx低減装置でございますけれども、これにつきましては、現在非常に多種多様なものがございます。これらにつきまして、現在のところ、排出ガス試験におきまして不合格になるという事例が非常に多く見受けられます。  先生御指摘の排出ガス試験施設の件でございますけれども、この拡充につきましては、運輸省としまして、ユーザーの利便向上の観点から、本年九月に新たに一コース増設したところでございます。また、本年六月に試験施設を新たに借り上げるというような措置を講じておりまして、鋭意努力をいたしております。  したがいまして、今後、これらの新たに稼働を開始いたしました試験施設を含めまして、施設の利用状況を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  103. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私のところに寄せられた手紙によれば、非常に待ち時間が多くて困るんだ、一体どのくらい待つのだと聞いたら、まあおおよそ一カ月くらい待つようだというような報告がございましたけれども、その辺は大分現状は違うということになりますでしょうか。
  104. 中山寛治

    ○中山説明員 現在試験しております試験施設としましては、三カ所ほどございます。公的機関が三カ所ございますけれども、その公的機関によりまして待ち時間が異なっておりますけれども、短いところでは一週間程度、長いところでは、先生御指摘のように一月程度ということでございます。
  105. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 はい、わかりました。  もう一方で、認定の方法として、同一型式、同一構造のものは、一台パスすると残りの九台は免除するというようなルールがあるようでありますけれども、この九台合格というルールについては、これは何か根拠になるものがあったんでしょうか。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 中山寛治

    ○中山説明員 十台に一台の試験をするという件につきましては、現在通達で決めております。  なぜそのように決めておりますかといいますと、同一の型式で同一の構造の自動車の排出ガス試験につきましては、排出ガス量も大きく変動しないということでございまして、ユーザー負担の軽減の観点から、十台に一台の試験を実施しております。  使用中の自動車に取りつけます低減装置でございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、非常の多くの種類がございます。また、試験におきましても不合格となるということがございまして、その十台に一台の緩和ということでございますけれども、これについては、現状のところは非常に困難であるというふうに考えております。
  107. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 もう一点、そういう測定に伴う、検査、試験に伴う費用ということが発生するわけでありますけれども、ディーゼル車で十一万円、大型車にあっては一回四十万円程度かかるというのは、ユーザーにとってかなり金額的には高額になるのではないかというふうに思うのですけれども、この辺の価格というのは、私の情報とそう違いないでしょうか。
  108. 中山寛治

    ○中山説明員 先生御指摘のとおり、小さい車につきましては十一万円程度、大きな車につきましては一台四十万円ということでございます。
  109. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 さて、価格はかかる、十台に一台というような形、しかし、この排ガス低減装置メーカーやまたそれらのユーザーにとっては、コストとしてはかなりかかるものだと思うのですけれども、そういうところに、環境に優しい産業づくりという観点から、法的助成の対象にすべきかどうかという、この辺、私も今質問をしながら整理をしているところですけれども、一体その辺はどう考えたらいいのか、ひとつお答えいただけないでしょうか。
  110. 大澤進

    ○大澤政府委員 御承知のように、この自動車NOx法に基づく車種規制というのは、道路運送車両法の保安基準によって担保される、こういうことになっておりまして、したがって、基準に適合しない車種であっても、今御議論のある排気ガス浄化装置、これを装着することによってその保安基準を満たせば車検に合格するわけでございます。  こういう状況になっているわけでございますが、この技術が、いろいろな技術が多数あるように私も聞いておりますが、この車そのものの検査は所管している運輸省の判断にゆだねられているわけでございますが、私ども大気保全というか環境保全立場からも、これらの技術開発の状況を十分把握して、関係機関とも協力の上、必要に応じて、私どもとしてもできることが、可能なことがあれば検討してまいりたい、かように考えております。
  111. 宮下創平

    宮下国務大臣 今の問題は、お伺いして、十台に一台検査して、その方が十一万円を負担する、ほかの方は類型的にいいというようなことでもあるようでございますが、この環境負荷のコストの問題は、やはり全体としてメーカーも技術開発をやっていただかなくちゃいけないし、それからユーザーもそれなりの環境負荷のコストを担っていただくという、これはやはりそういう基本原則でないと、そのことだけに着目して助成というようなことは、考え方としてはいかがかなと。先生もそういう御主張でなくて、そういう物の考え方のあり方について問われたと存じますので、あえてちょっと申し上げておきます。
  112. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私としては、それらのものに法的助成をするというよりも、そういった技術開発をすることによって、他のアジア諸国の車両に対して新しいプレゼンテーションができるのではないだろうか、そういう技術がアジアという全体から見て、環境、大気汚染対策上あってもいいのではないかという意味を込めてお伺いをしたというふうに御理解をいただきたいと思います。  さて、三番でありますけれども、この総合的環境研究の調査研究費についてでありますけれども、今年度ですか、千七百万という金額がつきましたし、また来年度も同額のことを環境庁として希望されるようでありますけれども、その使い道は今年度においてどういう状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。
  113. 石坂匡身

    石坂政府委員 この予算は、昨年、いろいろお煩わせいたしましてついた予算でございます。このつけていただきました趣旨は、国あるいは地方公共団体、それと民間、そうしたさまざまな連携のもとに、いわば広範な環境問題というもの、極めて学際的な研究が必要でございますので、そういった学際的な研究をして、難しい言葉で言えば知見ということでございますけれども、それを発展させる、そしてその知見をまた教育を通じて社会に還元をしていくということが必要じゃないかというのが問題意識であったわけでございます。  それで、今御指摘のように、六年度に千七百万円、また七年度も千七百万を要求をさせていただいております。このお金によりまして、この総合的な環境研究教育のあり方というものの調査研究を行うことといたしておりまして、学識経験者から成る懇談会、これをまず設置をして、幅広い意見を伺って検討していくというふうなことを考えておるところでございます。     〔委員長退席、福永委員長代理着席〕
  114. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 今お言葉で懇談会ということが出ましたけれども、これは環境庁直轄の懇談会、あるいは局長の下に置かれる懇談会というふうに理解してよろしいんでしょうか。
  115. 石坂匡身

    石坂政府委員 これは形といたしましては、予算が委託費なものでございますから、直轄という形には相ならないかと存じます。
  116. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 すると、当然、委託先がもう今年度決まっているというふうに理解してよろしゅうございますね。そして、決まっているとしたら、それはどういう組織なのか、また、その組織はどんなことを目的として位置づけられているのか、その辺までお伺いできますか。
  117. 石坂匡身

    石坂政府委員 組織といたしましては、財団法人水と緑の惑星保全機構というところを予定をさせていただいております。これは加藤一郎先生を代表とするところでございます。
  118. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 さてそこで、委託ですから、恐らく想像するに全額委託され、年度を区切って答申なりお答えを出していただくという方法をとられるのではないかと思うんですけれども、今年度についてはわかりましたけれども、これは来年度についても継続事業的要素と考えていいでしょうか。
  119. 石坂匡身

    石坂政府委員 実はこれは非常に広範な検討を要する問題だと思います。我が国の中にもいろんな研究機関あるいは教育機関がございます。そうしたものとの関係をどう考えるのか、あるいは海外におきましてこうした問題意識のもとにできている機関があるのか、それがどういうふうな動きをしているのか、そういったことを把握しました上で、その上に立って、どういうふうに考えていったらいいかというふうな立論をしていこうということを考えておりまして、したがいまして、およそ二カ年間という意味で六年度と七年度というふうなことを考えておる次第でございます。
  120. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 だとしたら多分、そういう組織でありますから、いろいろな市民の英知を結集されるいろいろな委員会なり何かをつくられるのではないかと想像されるわけでありますけれども、そういった中に、教育家的観点から現場で実際に環境教育を指導される小学校や中学校や高校の先生や、あるいはNGOのグループのメンバーもそういうものに参加のできる仕組みをつくられるのか、そういう方向なのか。私としてはそういう方向へ行ってほしい、こういうことですけれども、いかがですか。
  121. 石坂匡身

    石坂政府委員 これは、実は予算が通りましてから早急にその検討にかかりまして、十一月の早々にはもう第一回の会合を開こうというふうなことで、およそそうした人選あるいは組織等も、内々のあれではございますけれども、決めてございます。これは懇談会の委員といたしましては、研究者、教育関係者といった方々を中心に、学識経験者という立場で幅広い方々に参加していただく。そうした中には、実際に環境保全のための活動を行っていらっしゃる方にも、学識経験者という立場で御参加をいただくというふうなことを考えております。
  122. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 その人選についての権限は財団にあるのでしょうか、環境庁にあるのでしょうか。
  123. 石坂匡身

    石坂政府委員 権限と申しますと非常に法律的な権限になるものでございますからあれでございますけれども、もちろんこれは委託いたしました以上、委託側において選んでいただくということになりますが、それは委託元であります私どもももちろんそれに全く関与しないというふうなことはございません。  そうしたことでいろいろ御相談申し上げまして、こういうことかなということで十一月の早々に発足をするというふうなことに相なっておるわけでございます。
  124. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 少ないといえば少ない予算でありましょうけれども、ぜひそういう研究調査を継続していただけたらというふうに思います。  さて、総観といたしまして、先ほど午前中山口議員、松岡議員からもお話がありました。とりわけ松岡議員からは農林の問題が取り上げられたと思うのでありますけれども、私は、農林省なら農林と言ってもやむを得ないけれども、今環境庁の置かれている立場はそういう状況じゃないだろう、こういうふうに思うのですね。  あえて持論を展開させていただきますと、農業と言わずに里業とあのゾーンを呼んだときに環境庁はどういうプランを立てるか、私はいろいろ出てくると思っておるのですね。林業と言わずに山業と呼んだら一体環境庁はあのロケーションにどういう考えを持つか。こういう観点から実は環境行政は行っていかなければいけないのじゃないだろうか。少なくとも環境庁長官には、今後農業とか林業とかという言葉を使わない表現でそういうゾーンを語ったら、どういう環境行政が見えてくるかという観点でひとつ御研究をいただけたら非常にありがたいというふうに思います。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つ申し上げたいのは、私もずっとこの日本で生きてきたわけでありますけれども、日本の過去の政治は動脈産業をいかに大きく育てるかということに力点がありました。それの反省として、そこから出てきた廃棄物を何とか集めたり整理することができないだろうか、またそれを監督できないだろうかということで静脈産業的理論が展開したと思うのでありますけれども、実は私はさらに進めて、この動脈と静脈との間には肝臓や腎臓の働きを持った新しい産業が必要だと思っています。  そこで先ほどに返るわけでありますけれども、先ほど低減装置開発に助成をしたらどうか。この低減装置というのは東南アジアの国々にとって、またアジアという海域圏にとってむしろ大切なプレゼントになる。言いかえると、その肝臓や腎臓の働きを持った産業にシフトさせることを調整、応援するのが環境庁の大きなテーマになってくるのではないだろうか。そういう観点でひとつ先ほどのような質問をさせていただいたわけであります。  私ごとで大変恐縮でございますけれども、きょう二十八日、書店にこの本が並びました。ぜひ環境庁の皆さんにお読みいただいて、深く深く日本を改めて掘り起こしていただけたらありがたいと思います。要望と宣伝をしまして質問にかえます。どうもありがとうございました。
  125. 持永和見

    持永委員長 笹山登生君。
  126. 笹山登生

    ○笹山委員 与えられた時間が二十三分ということでございますので、能弁、雄弁の環境庁長官でございますけれども、ひとつコンパクトにお答えのみいただきたいというふうに思っております。  水俣問題でございますけれども、チッソ企業支援策が一段落しまして、新たな段階に入ってきているのではないかというふうに私は解釈しております。新たな段階といいますのは、国、県の責任について高裁レベルでの初の判決が下る、福岡高裁の判決の言い渡し期日がいつになるのかというようなことでもありますし、また我々政治家も、そして行政も、これを機にいかなる対応をとるかという一つの新たな段階というふうに私は解釈しておるわけでございます。  そこで、各党それぞれ、福岡高裁判決前の和解の是非につきまして、大体のスタンスがそろってきたのではないかなというふうに思っております。私ども旧連立与党、今の改革でございますね。これは、七月二十一日にこれまでの検討結果をまとめまして、この判決前和解の是非につきましては次のような表現をしております。「国・県の国家賠償法上の責任の有無が、地裁レベルにおける司法判断で二分された現在、国が和解のテーブルにつくことの困難性を認めざるをえない」ということでございますけれども、これにつきまして長官、大体同じような認識かと思いますが、いかがでございましょう。
  127. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員指摘のように、地方裁判所の判断が半々という見解でございますから、私どもとしてはなお裁判の行方を見守りたい、こう思っています。
  128. 笹山登生

    ○笹山委員 さきがけさんは、特にぺーパーとしましては和解についての問題点の指摘にとどめまして、和解の是非につきましては言及していないわけでございますけれども、自民党さんは、これはよそ様の党のことでございますので私ども詳細に資料を把握しているわけでも何でもございませんし、新聞紙上等の聞き及ぶ範囲におきましては次のような御結論ではないかなというようなことで、九月末ごろの御判断では、「司法判断を待つべきである」というようなこととか、あるいは「国の法的責任が曖昧な現状においては、国は和解に応じることはできない」というようなこととか、あるいは「国の責任を棚上げして、原因企業と原告との間で和解しようという議論については第三者が和解を強制することはできない」、概略そういうような御判断かと思います。その判断につきまして、私どもの改革とほぼ認識は同じと解釈しております。  長官は自民党員でもございますので、御判断をお願いしたいと思います。
  129. 宮下創平

    宮下国務大臣 自民党としては、これは正式な機関でいいますと環境部会とか、委員も御案内のとおりでございますが、そういうところで見解を正式に取りまとめたものではございませんけれども、おおよそ委員の御指摘のような見解だろうと私も仄聞はいたしております。
  130. 笹山登生

    ○笹山委員 社会党さんは私どもとかつてプロジェクトチームを一緒に組んだ経験もございますけれども、こういうようなお考えかと私どもは解釈しております。「国・県は和解の当事者としては参加せず、三つの点についての政治的態度を表明し、その表明をうけ、原告は国・県に対する国賠法上の請求を取り下げ、原告らとチッソとは、福岡高裁和解案に基づいて和解する」というような御見解かと承っておりますが、その御見解につきましての長官の御所見はいかがでございましょう。
  131. 宮下創平

    宮下国務大臣 大体おおむね委員の御指摘のとおりの内容だと伺っております。
  132. 笹山登生

    ○笹山委員 いや、その内容はそういうことで、それにつきましての御所見はいかがでございましょうか。
  133. 宮下創平

    宮下国務大臣 この和解についての基本的な認識でございますけれども、私ども環境庁としては、結局この問題を突き詰めて勉強してまいりますと、行政としてゆるがせにできない重要な問題を含んでおります。それから、今申しましたように裁判所の判断も分かれておるということでございまして、今和解ということは考えてはおりません。しかし、社会党の案も、福岡高等裁判所の判決前の和解についても、現段階においては国が応じることは困難であろうという認識は持っておられると思いますが、何よりも村山総理がやはり「人にやさしい政治」ということを進める立場から、関係者の方々の置かれている状況に深く思いをいたし、何とか水俣病問題を解決したいということをしばしば申し上げておられます。私も閣僚の一人として、これから、党それぞれのニュアンスの相違はあっても、努力をとにかくしていかなくてはいけないなということでございます。
  134. 笹山登生

    ○笹山委員 コンパクトにとお願いしたのでございますけれども、社会党さんの「原告らとチッソとは、福岡高裁和解案に基づいて和解する」ということにつきましてはどうお考えなんでしょうか。イエスかノーかでお答えしていただきたいと思います。
  135. 宮下創平

    宮下国務大臣 現在直ちに和解に応ずるということは非常に困難な状況にあるということでございます。
  136. 笹山登生

    ○笹山委員 村山総理は、総理になる前の二月二十八日、社会委員長としまして当時の細川総理と会談されまして、和解に関する政治的決断というものを細川総理に求めたとされております。これは私、現場におりませんので、新聞報道等による確認しかできないわけでございますけれども、そのようなスタンスでもって総理になられた後の御答弁というものをトレースしますと、七月二十二日の参院本会議では、久保亘議員の質問に答えまして、「水俣病訴訟における和解の問題につきましては、行政としてゆるがせにできない重要な問題を含んでおり、裁判所の判断も分かれておりますから、現時点において和解によって解決するのは難しい状況にあると思います。」また、九月十六日の参院決算委の会田長栄議員の質問に対しましては、「今回の水俣病訴訟というものは、行政としてゆるがせにできないような重要な問題を含んでおる点もございますからこ中略しまして「今直ちに、そういうことがあいまいになっている時点で和解をするということについてはいささか問題が残っているのではないかというふうに考えています。」また中略しまして「訴訟における和解の問題については、先ほど申し上げましたように、和解による解決は現状では難しいんではないかというふうに私は思っております。」というような、かなり明確な御見解に総理としては変わられている。社会委員長としてはどうなのか、これは私どもは確認のしようがありませんけれども、ここらで内閣として、ひとつこの和解の是非についての統一見解をお出しになったらどうなのでございましょうか。  と申しますのは、この問題がネックになってあらゆるものが後手後手になってしまっているというような面があると私は考えるわけでございますので、その辺の高裁判決前和解の是非に関する村山内閣としての統一見解、これをひとつお出しいただけませんでしょうか。
  137. 宮下創平

    宮下国務大臣 和解の問題は各地方裁判所でも提起されましたが、テーブルに着くこともいたしませんでしたし、福岡高等裁判所の昨年の春の和解提案についても、これはアンサーをしなければなりませんから、国としては和解に応ぜられないということで、テーブルに着かないことを決定しております。  しかし、今問題になっているのは、私は形式論だけを言うつもりはございませんけれども、政治的な判断とかあるいは道義的な判断ということはよくわかりますが、やはりその根底にある行政上のゆるがせにできない諸問題、これはいろいろございます、不作為についての国家責任を問う問題とか、あるいは病像論で、一定の専門家が判定基準によって判定した方々はきちっとやっておりますが、それ以外の人たちについてはやはり認定できないというような病像論上の問題等もございまして、大変困難な問題を抱えておりますから、そういう立場というものを十分わきまえた上での解決策でありませんと、これは本当に、国がただ政治的にあるいは道義的にというだけで済まされない重要な問題を含んでおるということもございますので、そういう点をひとつ御理解いただきたい。
  138. 笹山登生

    ○笹山委員 政権与党、内閣一体というふうに考えておりますが、連立時代はそれはいろいろな意見があってよろしいかと思いますが、しかしもうそろそろ、これほど議論が煮詰まっておるのでありますから、政権与党、内閣一致した見解でもって、しっかりしたスタンスでもってこの問題には対応していっていただかなければいけない、私はそう思っております。  それで、私は、かねてからの持論でございますけれども、どうも司法も政治も和解という手法に対して過度の期待感を持ち続けていたのではないかなという感じが率直にいたします。ですから、早期解決のための和解という手法が、結果的には早期解決が難しい、解決遅延の要因になってしまっているという非常に皮肉な結果になってきているのじゃないかなというふうに私は思っております。  これは専門家の間でもいろいろ議論があるようでございまして、例えば加藤一郎先生の御見解とか、それに対しまして松野信夫さんが反論を申し上げました。またさらに野村好弘さんが、その加藤一郎さんの、和解の手法に対する疑義と言ってはなんでございますけれども、見解に対します同意を示された、そのような論争があるわけでございます。  私は、今感じますのは、この和解協議の中身を先取りした行政的な救済措置というものをまず私どもが政治決断としてやる必要があるのではないかなという見解を持っておるわけでございます。  先ほど申し上げました七月二十一日の旧連立与党の検討結果の中には、ボーダーライン層、グレーゾーン層と私どもは言っておるわけでございますけれども、一定の暴露歴とメチル水銀中毒のハンター・ラッセル症候群の一定以上の症状を有する者につきまして、和解協議の場での内容を実質的に行政的に救済措置の中に先取りして実施していく必要があるのではないか。いわば、もう司法的にも医学的にも二値的判断、白か黒かという二値的判断がしにくいような状況というものを真っ正面に見据えて、それでもってグレーゾーン対象の恒久的な救済システムというものを今確立することが必要なのではないかなという認識でもって、二つの選択肢を私どもは提示しているわけでございます。これは二つの選択肢でございますから、いわばオルタナティブでございますね。ですから、いずれかという選択肢でございます。  一つは、これまでの公健法上の認定基準とは別に、水俣病とは認定されないが四肢末端の感覚障害等を有する者について、新たな類型の基準のもとにおける相当の措置を補償協定とは直結しない格好で追加する、これが一点でございます。第二点は、現在の水俣病総合対策事業を、補償的なものに及ばない範囲内で充実拡充できる新たな内容を追加検討することである。  いわばオルタナティブな選択肢としてこの二点を、これから和解協議の内容を先取りした一つの行政的救済措置として、政治的決断として我々が行政と一体となって取り組むべきではないかというような提言をしているわけでございますが、これにつきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  139. 宮下創平

    宮下国務大臣 御提案の趣旨は一応よく理解できますが、これは御提言として承らさせていただいておきます。
  140. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたことで私ども基本的には考えてまいりたいと思っておりますが、少し各論的なお話になりますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  まず第一点でございますけれども、グレーゾーンに位置する司法上の救済者は行政救済の対象者にならないのかという御趣旨でお受けをいたしたわけでございます。  先ほど来大臣から申し上げておりますけれども、国といたしましては和解に応ずることは困難であると考えておりまして、したがいまして、その立場から申し上げますと、司法上損害賠償を認められた者を、行政上これを救済対象者と位置づけて原因者の費用負担によってそれを救済するということについては困難と言わざるを得ないわけでございます。  なお、私どもが行っております水俣病総合対策医療事業というものにつきましては、水俣病ではないけれども水俣病ではないかと不安を抱いておられる方々を対象にいたしまして、国及び県の負担によりまして実施しておるものでございまして、司法の判断とは次元の異なる考えに立ったものでございますので、御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。  それから二点目でございますけれども、総合対策の中身につきまして、補償的なものに及ばない範囲で充実拡充できないかという御趣旨の御質問だったかと思いますが、これも御存じのように、総合対策につきましては、平成四年度に開始をいたしまして本年度で三年目に当たっておりますが、これまで約四千名の方々を医療事業の対象者として、療養費及び療養手当の給付を行ってきたところでございます。また、健康管理事業につきましても、本年度で当初の計画いたしました地域全体でようやく事業を開始いたすこととなっております。  現時点におきましては、現在の、今申し上げた総合対策の円滑な実施に努めていくことが肝要であると考えておりまして、先生御指摘になりましたが、新たな内容を含む事業の拡大ということについては現在のところ考えておりませんので、御理解を賜りたいと存じております。
  141. 笹山登生

    ○笹山委員 これは、グレーゾーン層、ボーダーライン層対策ということをまともにしますと、いろいろな問題が出てくることは私はわかっているのですよ。例えば、審査会資料と原告の診断書との食い違い、随分違っているケースがございますね。そういうものをどうして組み合わせるのかどうなのかというような問題とか、あるいは、グレーゾーンであるから、いわばPPPもグレーゾーンであるということでありますれば、今のようなこういうチッソのみにその辺の負担を負わせるわけにはいかない。いわばPPPもグレーゾーンであるというような問題とか、いろいろな問題があることは承知しているわけでございますけれども、やはり今日的な観点でもって早急な対応というものをしていただきたいし、また、平成三年十一月二十六日に総合対策がまとめられました中央公害対策審議会の場におきまして、ただいま私が申し上げましたようなグレーゾーン層、ボーダーライン層を真正面にとらえた検討というものを開始していただきたいとお願いしておきます。  最後になりますが、日本のPPPの不幸というのは、非常に狭義な概念から出発したように私は思っております。  PPPのもともとのあれは、一九七二年五月二十六日のOECDにおける環境政策の国際経済面に関する指導原理で提唱されまして、七四年の十一月十四日に汚染者負担の原則の実施に関する理事会勧告というものでこの概念が世界に流れたということでございます。私は、これは課徴金政策へ移行する出発点としての概念規定であるというふうに感じるわけでございます。ですから、広い意味で、広義のPPPというのは今の経済的手法ともいわばトレードオフの関係にもありますし、また、そういうような観点からPPPの原則というものをもう一回認識しなければいけないのじゃないかと思っております。  ちなみに、チッソだけでなくて、世界環境汚染事件というのはほかにもいろいろあるわけですね。例えばエクソン社の一九八九年三月のバルディーズ号事件、アラスカ沖のタンカー油濁事故ですね。これはやはりこれを教訓にして、それなりの新しいシステムというものを確立しているわけですよね。バルディーズ原則というのは、これは十項目にわたる、いわば企業の環境倫理を投資行動から問うという一つの原則でございます。日本にもバルディーズ研究会というのがございまして、地球環境基金から、百十万でしたか、幾らか御支援いただいているようでございますので、そういう一つのシステムをつくり上げる。  また、今のスーパーファンド法ができるきっかけとなったのはラブカナル事件ですね。これは非常にひどい話でございまして、フッカー化学というものがひどい土壌汚染をして、それを転売、転売して住宅になって、その住宅地で奇形児が発生したというようなことをきっかけにしまして今のスーパーファンド法というのができたということでございます。  ですから、水俣問題というものを非常に狭義に解釈すれば、それは熊本等の問題であるわけでございます。私自身熊本とは、何のゆかりといいますか、子供のころいたわけでございますけれども、何の関係もないのに、水俣問題に没頭してから、今の経済的手法とかあるいはPPP原則の見直しとか、いろいろな問題がこのケースをもとにして学び直せるという効果が私自身にはありました。ですから、この水俣病を教訓にしまして、新しい一つの恒久的な環境保全システムというものを今環境庁が目覚めてつくるということは、今までのこの問題というものが決してむだにならないというふうに私は思うわけでございます。  そのような観点からの長官御自身のお考えと、そしてこれからの御決意をお伺いしたいと思います。
  142. 宮下創平

    宮下国務大臣 高度成長期におけるいわゆる公害垂れ流し事件と言われるのは、個別企業の原因それからその結果の因果関係が明確になっておりますね。やはり製造者責任というものをきちっと問うことが非常に必要でございまして、これがPPPの原則でございます。したがって、今後ともそういうことが起こり得ないような状況をつくり出すためにも、PPPの原則というものは基本的に堅持していかなければいけない。ただし、非常に複合的な場合とか、そういう場合の対応の仕方はまたそれぞれ検討に値すると存じますけれども、チッソの水俣病については、これはもうメチル水銀の放出というものが原因であるということもはっきりしているわけですから、これはもうPPPの原則で対応すべきものだと私は思っています。  今度金融支援策をやりましたのも、これはあくまで国の認定した患者の給付が滞りなく行われるために、県債という形を通して融資をしてでもこのチッソが立ち直ってもらう、そしてきちっと責任を果たしてもらうというためのものであることも申し上げるまでもないところでございます。
  143. 笹山登生

    ○笹山委員 終わります。
  144. 持永和見

  145. 若松謙維

    若松委員 改革に所属します若松謙維でございます。  まず、環境庁長官、大変お疲れでしょうけれども、環境国家日本という使命を、リーダーを、今先頭を切って頑張られているけれども、シンガポールという最近非常に急成長した国家があるわけですが、大変失礼な言い方ですけれども、二百万程度の、いわゆる国というよりも都市で、非常に完成されたものが今できつつあります。この地球というものを、サステーナブルディベロプメントという言葉がありますけれども、いわゆるサステーナブルアースとでもいうのでしょうか、こういう持続可能な地球というものをこれからも築くためには、先ほどのシンガポール、これは都市ですけれども、これを今度は国として完成したサステーナブルネーションというのでしょうか、そういったものをどこかがつくらないと、しょせんサステーナブルアースはない、このように思うのですけれども、ぜひ環境庁長官の御決意をお伺いしたいと思います。
  146. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘のとおり、持続可能な開発というのは、リオにおける地球サミットの最大の結論、テーマであります。  したがって、私どもも、従来は経済成長と環境というものを対立概念、観念のように見てまいりましたけれども、やはり経済システムの中にも環境保全的な機能が組み込まれていくような、そういう統合の姿勢がぜひ必要だと思っています。  そういう角度から前向きにこの問題には取り組んでいくことが必要でございまして、委員のおっしゃるように、我々の生存の基盤である地球、これを、かけがえのないものでございますから、幅広くみんながその恵みを享受できるように、また我々の子孫まで享受できるようにという深い、また広い見地に立って臨まなければいかぬと私も決意をしているところでございます。
  147. 若松謙維

    若松委員 ありがとうございます。  つきましては、先ほどのサステーナブルネーション、この第一歩が一つの企業の活動としての、サステーナブルカンパニーとでもいうのでしょうか、こういったところを具体的に志向する、具現化する環境監査、こういう一つの手法が最近出てきております。そして、まさに地球環境問題ですけれども、当然人類がいる、さらに社会活動がある、こういうところから発生する問題であるわけでして、この解決には、結局は社会経済構造そのもののいわゆるサステーナブルなシステム、また個々人におきましてもそういったサステーナブルなライフスタイル、こういった観点からの見直しが必要になるのではないか。  そういうふうに考えますと、先ほど環境庁がおっしゃった総合的な調和型の配慮というものが本当に必要ではないかと考えるわけです。そして、これを国際的に取り組んでいるのがいわゆるISO、国際標準化機構、これが設立されておりますけれども、この環境監査、環境管理、これについて早速入らせていただきます。  まず、このISOでいわゆるEMS、環境管理システム国際規格、これの委員会原案が固まりまして、そしていよいよ我が国におきましても環境監査制度の仕組みつくり、これが本格化されるのではないかと思っております。例えば経団連や通産省におきましては、通称JABと呼ばれております日本品質システム審査登録認定協会、これを核とした認証スキーム、そしてまた産業環境管理協会、こういったところを配した仕組みつくり、そして電機業界におきましてはかなり御熱心なのですけれども、JACOと言われる日本環境認証機構、これが設立される予定となっております。こういった取り組みが活発になっていることは非常に喜ばしいことですけれども、それぞればらばらにやっているというのは否めない、私はそう認識しているのですけれども、こういった環境監査システムヘの環境庁としての取り組みのお考えをお聞きしたいと思います。
  148. 石坂匡身

    石坂政府委員 国際的にISOが今そういう動きをしておるというのは、委員が御指摘のとおりでございます。この環境監査システムにつきましては、環境庁もかねて非常に大きな関心を抱いていろいろ研究をしておるところでございまして、環境庁といたしましてとった行動といたしましてまず一つ挙げられますのは、平成五年の二月に環境にやさしい企業行動指針というものを作成、公表しております。これは今委員がおっしゃいましたような事業者の自主的な環境管理・監査、これを促進するための一つのモデルみたいなものをお示ししたということでございまして、これを発表しまして以降、平成三年度以降毎年環境にやさしい企業行動調査ということで、どういうふうな割合で企業がこれをやっているかというふうなこともフォローアップをしております。  いずれにいたしましても、この事業者の自主的な環境保全のための取り組みといいますものは、これは環境上非常に大切なことであると思っておりますし、その普及促進を図っていく必要があると存じます。環境改善していくという手段であるという見地、それから企業だけではなくてあらゆる組織が参加していくというふうなことがこの事柄に即した基本的なスタンスであろうというふうに考えておるところでございます。
  149. 若松謙維

    若松委員 今局長の方から環境庁取り組みを御説明いただきました。さらに突っ込みまして、この環境監査システム、もうちょっと具体的に今後の取り組みのスケジュール等も含めて、さらに先ほど御説明させていただきましたようなJABとかJACOとかこういったところとの、民間との調整、それに対する取り組みも含めて御説明いただきたいと思います。
  150. 石坂匡身

    石坂政府委員 ISOの検討のスケジュールを見てまいりますと、環境管理につきましてのいわばワーキンググループの案というものがちょうど最近の九月にまとまったというふうに承知をしております。そして、環境監査の方が来年にかけて検討を重ねて、来年の六月に国際規格案をオスロのTC2O7の全体会合でまとめる、そして再来年の四月に国際規格としてワークするようにしたいというふうな予定でISOの作業スケジュールは進んでいるというふうに承知をしております。そして、そうした作業と並行して今委員が御指摘になりまし光ような動きが、JABでございますとかJACOでございますとか、そういうふうな動きが出ているということはおっしゃるとおりでございます。  私どもといたしましては、これからまとまってくるわけで、並行的なことになるわけでございますけれども、あらゆる組織にこうした管理・監査のスキームというものが普及していくということが大切だろうというふうに考えております。したがいまして、関係省庁とのさまざまな形での連携をとった検討を進めてまいりたいと思っておりますし、あわせて、こうしたISOの動きを踏まえながら、我が国にとって望ましい環境管理・監査のあり方といったものも今後十分検討していきたいというふうに考えております。
  151. 若松謙維

    若松委員 その御説明にまた関連しまして、先ほどのJABですけれども、これは現在ISO9000シリーズ、いわゆる品質管理、これが実際できたのが九三年十一月。ところが、欧州におきましてはもう七年も前からできている。これはどうして日本のJABの設立がおくれたのか、その背景、理由を御説明いただきたいと思います。
  152. 石坂匡身

    石坂政府委員 JABそのものは環境庁の所掌ではないものでございますから、ちょっと正確な御答弁はできかねるわけでございますが、いずれにいたしましても品質の問題でございまして、確かにヨーロッパの方が先に行っていた。それからISOの問題につきましても、その基盤となりますヨーロッパの動きというのはややISOの動きよりはスピードが速いというふうなこともございます。そうした全体の動きを見ながら、我々も早急に対応していかなければならないと考えておるところでございます。
  153. 若松謙維

    若松委員 やはり七年間というのは、今の時代におきましては一昔前の二十年くらいに相当する。その間の手当てがおくれているということは非常に、ではどういったところに影響があるのか、ここら辺をしっかりと受けとめていただく必要があると思うのです。  このISO9000シリーズ、それにさらにこれから環境監査、環境管理システムにかかわるISO14000シリーズができてまいるわけです。特にISO9000にしろISO14000にしろ、相互認証という言葉があります。日本の企業が例えばヨーロッパに物を輸出する、そうすると、ヨーロッパの消費者または企業としてこのISOシリーズを満たしていなければいけないという、また反対にヨーロッパの企業が日本に行く場合にそれぞれの共通のISOシリーズを認定しなくてはいけない、相互認証という言葉があるわけですけれども、まだ残念ながらこの相互認証自体も非常におくれている、これが状況ではないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  154. 石坂匡身

    石坂政府委員 確かに、相互認証の問題はヨーロッパの方が先に行っているというのは御指摘のとおりだろうと思います。こうした問題もこれから我が国が対応していかなければならない重要な問題でございますので、各省と連携をとりながらそうした問題にも対応していかなければならないと考えております。
  155. 若松謙維

    若松委員 確かにおくれているという事実を率直に容認されました。  それで、この相互認証というのが現在二国間でやられているわけです。従来の、例えば日米包括経済協議、それに対してもう一方はWTOみたいな、これは貿易の世界ですけれども、環境世界でもこれからは二国間でいろいろやるよりは多国間でこういった相互認証を進めていくべきではないか。ここはまだどの国も余り手をつけていない。ここで日本が今、先ほどの七年おくれを挽回する、環境というところで日本リーダーシップをとる一つのチャンスではないかということで、環境庁の一つの取り組み姿勢というものをお聞きしたいと思います。
  156. 石坂匡身

    石坂政府委員 大変委員の御見識が深くて私どもが追いつけないところもございますけれども、確かに二国間というものではなくて多国間という御提案は非常に大切なところだろうと思います。そうしたことも問題意識として十分持ちながら検討させていただきたいと思います。
  157. 若松謙維

    若松委員 さらにこの相互認証に関してですけれども、今企業におきまして、特に各地方自治体の条例または環境法令も含めまして、非常にばらばらにいろいろな環境規制の条例ができているというのが現状ではないかと思います。これをやりますと、例えば全国ベースの大手企業、これが、私の地元の埼玉県では埼玉県の条例がある、それに合わせた品質管理なり環境管理というものをしっかりやっていかなくちゃいけない。また、大阪なら大阪で地方条例環境管理なり規格をやっていかなくちゃいけない。これをやりますと、企業にとって非常に負担がかかります。いわゆる企業のこれからの国際競争力、これだけ円高ですから、そういった環境悪化に対してやはり今の環境法令、条例等を今のまま進めていくと企業の競争力というのは必ずなくなると思っております。それに対してやはり環境庁なりがその条例の、国内の少なくとも地方都道府県も含めた一元化の管理、これはだれかがやらないと結局企業に負担がかかってしまう。こういった問題点に対して環境庁、どのようにお考えでしょうか。
  158. 石坂匡身

    石坂政府委員 この環境問題に対しましての自治体の取り組みというのは、非常に先進的な自治体もたくさんございます。また、積極的にいろいろな形で環境問題に取り組んでいかれて、それが全国的に普及をしてスタンダードになっていくというふうなこともございます。したがいまして、それを全部、これは環境問題一般ということに相なるわけでございますけれども、横並びというわけにはなかなかまいらないというふうな要素がございます。  ただ今回、午前中来の御議論の中でも申し上げておりますけれども、環境基本計画というものを策定しております。その中で、地方自治体の役割というものも積極的に位置づけております。そして、その環境基本計画というものを地方自治体ベースでもいろいろつくっていただきたい、そしてそれがかなりのパーセンテージでそういうふうになりそうな状況にあるというふうなこともお話し申し上げました。そうしたことについてのマニュアルというふうなものは環境庁からも流してまいりたいとうふうなことも考えております。  いずれにいたしましても、環境基本法を踏まえましたいわば環境というふうなものが我が国内に行き渡るように我々は努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  159. 若松謙維

    若松委員 ちょっと御答弁が、声が若干小さいのと御説明が余り具体的でなかったのでよく聞き取れなかったのですけれども、やはり今この環境監査、環境管理システムを御質問させていただく中で、結局今このISO、特にTC207というこの環境管理のための一つのシステム、こういったところで、これが九三年ですかつくられたわけですけれども、結局このそれぞれの分科会があるわけです、世界でつくった分科会が幾つかあります。その分科会一つとっても、日本はいわゆる責任者という立場をとっておりません。企業として技術力はかなりあるにもかかわらず、政府がある意味世界環境動向に対してかなりビハインドしていた、ゆえにこのISOまたはTC2O7、そしてこれから来るISO14000シリーズ、こういった受け入れというのがかなりおくれている。  であるがゆえに、これはどういうことかというと、日本は輸出型というか貿易型企業であって、日本でつくる製品の品質管理なり環境対応なりは、やはりその国の認証を受けなくてはいけない、登録も受けなくちゃいけない。  ヨーロッパは既にこのISOシリーズでは先手をとっております。これは何かというと、まさにヨーロッパのこういった、これからは物の移動はWTO、こういったところで自由になります。ところが、じゃ何をもって規制できるのか。そうすると、環境というところで日本動きを封じ込めよう、これが恐らくヨーロッパの戦略ではないかと思いますのであるがゆえに、こういったISOシリーズでいろいろな形で規格をつくって、相互認証を求めている。ところが、相互認証する日本の認定団体等がおくれている、または政府のバックアップも大分ビハインドしている、率直に申し上げまして。そのように理解しておりますけれども、環境庁の御理解をお伺いします。
  160. 石坂匡身

    石坂政府委員 先ほどから何度がお話を申し上げているわけでございますけれども、環境庁といたしましても、この企業の管理、監査というものの重要性というのは十分に認識をしております。そして、そうした幾つかの行動もとっておるわけでございます。ISOの動きというものは確かに一つ国際的な動きとしてあるわけでございまして、そうしたものに即応して、これから各省とも十分連絡をとりながらこの検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  161. 若松謙維

    若松委員 今の局長の御答弁で、要は前向きに一生懸命やられる、そういう理解でよろしいわけですね。  そうしますと、じゃ少なくともこのISOなりの具体的な推進を図る上で、国内の環境管理または環境管理・監査制度の導入の促進策として、少なくとも政府が行う公共事業、この公共事業の受注先に対して環境管理規格取得、これを要請するということは可能なわけです。そういった手法というのを前向きに考えられるのか。お考えはいかがでしょうか。
  162. 石坂匡身

    石坂政府委員 先ほど申し上げましたように、環境にやさしい企業行動調査というふうなものを私どもやっておりますけれども、かなりの企業が既に環境管理・監査システムというふうなものは採用しておるわけでございます。そうした中には当然建設業に携わるものもあろうかと思います。そうしたいわば環境管理・監査というシステムは、言ってみますれば、企業の自主的な対応というふうなものを基本として進めていくべきであるというふうに私どもは考えております。そういう意味で、なおかつそれに環境負荷を生じさせるようなあらゆる組織が参加できるように、そういったことを基本に置きながらこれから十分に検討を進めてまいりたいと考えております。
  163. 若松謙維

    若松委員 今企業の自主的な対応ということをおっしゃられました。確かにその一つの例として、先ほどのJACO、日本環境認証機構、これが設立されるわけですけれども、あるいはその前提となるJABですね、日本品質システム審査登録認定協会、これはISOによって、その国で原則一つ設ける。これは、当然民間と、例えば経団連等と一緒にやりながらも、結局は通産省なり環境庁なりの省庁の後入れがないと本当にできるものではないと思います。  先ほど、ISO14000なりという、これからできるということですけれども、実際ヨーロッパでは、EMASというんですか、EC環境管理・監査規則というのがこれは実際先行しておりまして、ISO14000は今つくっている最中なんですけれども、具体的にすばらしいものがこのEMASという形でヨーロッパにある。この規格を少なくとも相互認証するぐらいの日本の対応というのがなければ、当然日本のこれからの製品はヨーロッパでは売れなくなる、これは明確ですので、ぜひこういった制度、通産省としっかり連絡をとり合って、これは本当に環境庁がエージェンシーでいいのか、環境省としてデパートメントでいいのか。いずれにしても、これからリーダーシップをとらないと、環境面で、次の新たなWTO、ガット・ウルグアイ・ラウンドのソフト面での世界の戦略の一つの武器として使われる大事なものですので、ぜひその点を御認識いただきたいと思います。  それをお願いいたしまして、では具体的に、先ほど、環境管理システムなりを導入している、非常に導入率は日本の企業は高まっている、そういうことで、環境庁みずからも調査をされております。これをさらに促進するために、もし私の理解が間違っていれば許していただきたいのですけれども、例えば環境企業ということで、一つには例えばこれはGEMIというのがあります。要は、これはまさに民間の自主的な団体が、いわゆる企業の活動、環境とともに活動、維持できるかという、これを四段階に評価する手法を開発いたしました。これも実は私が言い出しっぺで、つくったらどうかと、しっかりと後継の人がつくってくれました、一つの大変な歴史的な人類の資産だと思っておりますけれども。  この四段階、大枠を説明いたしますと、一番悪いのが何にも環境対応をしていない、ちょっとしている、大分しているけれどもまだ環境とはサステーナブルではない、そして第四段階としてサステーナブルカンパニー、サステーナブルコーポレーション、こういう四段階の一つの評価基準というのがありまして、こういった評価基準を使って、年に一回、例えば地球環境企業大賞とかそういう賞をつくって、そして企業のさらなる環境と共存できる経営体質というものをつくるための手当てなりをされるお考えが環境庁におありでしょうか。
  164. 石坂匡身

    石坂政府委員 今のお話は、これはISO等でも検討されている一つの規格制度とも絡む話だろうと存じます。いずれにいたしましても、そういうふうな発想、構想というものがあるというふうなことは国際的にも承知をしております。これは、いずれにいたしましても、ある程度国際的に広まったものとして議論をされていくというふうなことも必要だろうと存じます。そうした中で、私どもも、そうした事柄につきましてのフィージビリティー等を検討してまいりたいというふうに考えております。
  165. 若松謙維

    若松委員 企業も、円高等大変な環境、逆風で頑張っております。ぜひこういった点からも激励をしていただきたいと個人的にお願いを申し上げます。  そして、残り五分になりましたので、私、ちょっといろいろ欲張り過ぎて、質問が多過ぎました。せっかくですから、きょうはもう環境監査で締めくくりたいな、そう思っておりますけれども、最後に、これも通告しております環境監査員資格。  ISOなりが指定しているのは、三つの枠組みがあるわけでございます。いわゆる登録、認証そして教育。具体的に、監査員の教育訓練、これは各国に任せるというのがISOの規定となっております。この環境監査員資格、これについて我が国としてどのような取り組みを今されているのか、また課題があればどのように取り組まれようとしているのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  166. 石坂匡身

    石坂政府委員 この問題につきましても、今委員が御指摘になりましたように、ISOでいろいろ検討中であるというふうに承っております。学歴基準があって、そこに経歴基準、勤務経験基準というのがあって、そして教育訓練というふうなある程度の年限を経て、そしてその上で実質的な経験を積んだ上で監査員の資格を取得をするというふうな内容の検討がISOでなされているというふうに聞いております。  これがISOで最終的な案になるのかどうかというふうな問題もございますし、また、この監査員というものが国際的に一体どういうふうに認知されていくのだろうかというふうな問題もあろうかと思います。そうした全体の流れを見ながら、今後検討をしてまいりたいと思います。
  167. 若松謙維

    若松委員 きょうは通産省の方はおいででしょうか。  このISOというのは、非常に業界、産業界と関係しているところでして、当然、環境庁所管であると同時に、また通産省との協力関係が必要でございます。今までの議論を聞かれまして、通産省としてどのように感じられ、どのように今後こういった新しい動きに対応されるか、ちょっとそこら辺をお聞きしたいと思います。
  168. 大宮正

    ○大宮説明員 ただいま委員から御指摘がございましたように、通産省といたしましても、この環境管理・監査問題については、従来から私どもとしては国際的なISOのルールづくりに積極的に参加をしておるつもりでございます。  御指摘ありましたように、ことしの九月にここのコミッティードラフトという全体の案もできましたので、これを受けて通産省としても、環境庁からもお話がありましたように、各省と連携をとりながら積極的にこれを進めていきたいと思っております。
  169. 若松謙維

    若松委員 こういった問題、環境庁が実際リーダーシップをとられるのか、通産省がリーダーシップをとられるのか、非常に業界が困っているようなんですけれども、ぜひ両省庁から、どっちがリーダーシップをとられるものなのか、また一緒にやられるべきものなのか、ちょっと各省庁から一言お答えいただきたいと思います。
  170. 石坂匡身

    石坂政府委員 今通産からも御答弁ございました。通産も私どもも、相携えましてこのISOの会議参加をしているわけでございます。  御案内のように、環境庁が業界を所管をしているというわけではございません。業界はそれぞれの省庁が所管をしております。しかし、通産省が所管をしているのは通産省の所管をする業界だけでございますので、そうしたあらゆる業界を通じてこうした問題を浸透させていくというのは、これは私どもの役割であるというふうに考えております。
  171. 若松謙維

    若松委員 通産省からも。
  172. 大宮正

    ○大宮説明員 ただいま企画調整局長からお話しいたしましたように、私ども、それぞれ省ごとに団体を所管しておりますので、そういうところについては私たちが窓口になって調整を進めて積極的にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  173. 若松謙維

    若松委員 最後ですけれども、ぜひこれは両方本当に一体となって日本の企業の生き残りのために頑張っていただきたい、ぞうお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  174. 持永和見

    持永委員長 竹内猛君。
  175. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、先に宮下環境庁長官の所信に対して幾つかの質問と提案をいたします。  まずその前に、私は長官と同じ郷里でありまして、同じ空気と水を飲んで大きくなったわけですから、これはいろいろなことでよく知っているわけですね。それだから、話にごまかしかあってはならない。十分に交流をしたいと思っておりますが、今度環境庁長官になられたことは非常に喜ばしいことでありまして、おめでとうございます。  かつて私は、農林水産委員会に、まだ大蔵省の主計官のころの長官に来ていただいて、農政についていろいろ話をしたことがある。いや、私も長野県なんだ、ああそうですか、それじゃ同じ郷里ですねということで、それ以来ずっと今日まで来ておりますが、きょうはそういうことを前にして非常に大事なことを質問します。  まず、ガット・ウルグアイ・ラウンドが、ほぼ今も順調に進んでいるわけですけれども、やがてWTOに加盟をするという方向にあります。ところが現在、世界の情勢を見ると、ガットの場合には、十一条二項というところでいろいろと農業の問題についても考慮をする余地があったけれども、WTOになると、がんじがらめになってどうにもこうにもならなくなってしまう。そこで、農業団体や消費者団体や学者や我々もそうですが、この段階では、むしろ、人口、食糧、環境という角度から農業というものを考えるべきじゃないのか。したがって、もう一つのグリーンラウンドというようなものを考えて、これを日本は提唱すべきではないのかという考え方を持っているのですね。長官、これは環境庁としてはいかがに考えますか。
  176. 宮下創平

    宮下国務大臣 これからの環境問題というのは、狭い意味環境問題だけではございませんで、地球環境時代と言われるように、全地球的な問題で取り扱っていかなければならないと思いますが、その中でもやはり人口問題と環境問題、そしてまた人口と食糧の関係ですね。これは、これから人口が年々一億人くらいふえていくと言われておる中で非常に大切な問題でございます。食糧問題と環境問題、人口問題、極めて密接な関係がございますから、そういう総合的な視点でこれから地球環境問題を見詰めていかなきゃいかぬ、こう思っております。
  177. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在の世界の人口は五十三億と言われておりますが、二〇〇〇年には六十三億になり、二〇一五年には八十五億になり、二〇五〇年には百億になる。こういうように人口はふえ、世界では一日二十五万人ずつ人口がふえています。  そういうときに、一方において、耕地が六百万ヘクタール、日本の一・何倍かの耕地が毎年つぶれていく。それから原野においても、千六百から千七百万ヘクタールが荒廃をする。そうしますと、人口がふえる、耕地、農地は荒れる、環境が侵される。こうなってくると、どうしても工業の、自動車をつくるやら機械をつくる原則では農業というものは貿易上成り立たない。  この間の国際会議でも、これからは貿易と農業というものを課題にしようという国際的な話もありますけれども、そういう場合に、一どうしても我々はこれからの方向としては食糧、人口、環境という一つの国際的なルール、その一つは、まず飢えている人があってはならない。これはヒューマニズムの立場ですね。それからもう一つは、環境が侵されてはいけない。これは地球を守るという環境庁のこれからの大きな仕事だ。三つ目は、やはり国際貢献という、日本は軍事的貢献は無理だけれども、食糧問題を、やたら買い込まないで、減反なんかしないでできるだけ物をつくって、日本からも、タイやあの辺の余りおいしくない米を買うなんということはばかな話だ、ひとつできるだけああいうことはやめて、欲しいところに送ってやった方がいい、こういう感じがしますが、これはいかがでしょうかね。
  178. 宮下創平

    宮下国務大臣 もう先生は農業問題の専門家でいらっしゃいますから、私が長々申し上げるまでもございませんけれども、我が国の農業が穀物自給率でどんどん下がってきて、もう二〇%半ばくらいになってしまっておるという現状は、大変私は憂うべき現状だと思っています。  そういう意味で、これから希望の持てる農業、それから穀物自給率等も高めていかなければいけない、こう思っておりまして、今回、ガット・ウルグアイ・ラウンドによりまして、自由化をあらゆる農産物について、米はミニマムアクセスでございますが、余儀なくされておりますが、この間の大綱で示されたような方向は、予算措置も六年間で六兆円強というようなことで中身の充実した施策をやって、そして希望の持てる、また国際的に太刀打ちするといっても、土地条件のスケールメリットというのは日本のような国土の場合おのずから限度がございますが、日本の英知と技術、努力をもってすれば、私は、ある程度可能な分野は今ありますし、これからもそういう努力をしていかなければいかぬ、これはもう先生のおっしゃるとおりだと思っています。
  179. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 全国農業会議の桧垣徳太郎会長は農林水産大臣の諮問に対して、本答申の中で、二十一世紀の農業・農村確立に向かって新たなる国民的理解を、合意を得るという立場から、大河原農林水産大臣に対して、地域の住民や消費者や、あるいはいろいろな方々の顔の見える、そういう立場から、草の根型あるいは実践型の食と環境を考える国民運動の展開を提唱している。つまり、食糧環境国民会議というものを提唱しているんですね、提唱しようとしている。これに対して長官、いかがですか。
  180. 宮下創平

    宮下国務大臣 大変アトラクティブな提案だと存じます。やはりそういう意味で農業も、もっと広い国土保全環境保全という立場を踏まえてやらなくてはいけませんから、先生の提案として拝聴をさせていただいておきます。
  181. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、これは画期的な提案だと思うのです。今まで、霞が関から通達と補助金と規制を出して、上からいろいろなものをおろしていた。全部がそうじゃありませんが、文章というのは比較的血の通わないものであるから、だから政策地域で吸い上げて、お互いに顔を見合って、この地域をどうしよう、それは、官民一体でこの仕事を草の根からやっていくということは、まさに二十一世紀に向けての、ガット・ウルグアイ・ラウンドを受けての新たな方向であると私は思いますので、環境庁の長官としても閣議でこのことはひとつ課題にしていただきたいし、農林水産省はもちろん、各省庁にまたがることでありますからね、特に自治省も関係する、一緒になってやっていただきたいと思います。  したがって、市町村都道府県全国の各段階に、食糧環境会議というものを設置をし、あるいは食の日をつくったり、環境保全の基金を集めたり、いろいろなことをし、そしてまた、グリーンのボランティア等々のいろいろな形の協力者をつくりながら、食と緑、あるいは地域との提携というものを一緒にやっていくということが一番いいことではないのか、こう思いますから、この点については重ねて長官に確認をしたいと思いますが。
  182. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生の御趣意は方向として私も同意できることでございます。やはりこれからの農政、その他万般がグラスルーツの点から積み上げられていきませんと、官製版の押しつけであってはならない思いますから、そういった手法はいわゆる官製版でなくて、実質的な国民的な盛り上がりの問題として組織化され、そしてそれが根をおろした活動ができるように今後も努力していきたいと思っております。
  183. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一つ私は長官に、もう御存じかと思われますけれども、私の郷里、茅野市の米沢御出身の小平権一という人がおりましたね。農林省の事務次官で、農務局長で、農学博士で学者でもある。これは米沢村の鋳物師屋の出身だ。息子は今世界一の数学者だ。この人がちょうど昭和三年の金融恐慌、それから昭和五年に農業恐慌、そのときに農林省の農務局長、当時次官が石黒忠篤さん。何をやったかというと、当時、農村恐慌ですからね、負債整理法をつくりました。それから土地改良につきましては、耕地整理に関する法律をつくった。団体については農業団体法。当時の米については、これは食糧に関する穀物の法律ですね。それから養蚕については蚕糸業法、こういうものをつくってそれぞれ整理をしまして、そのほかに農山漁村経済更生運動というのをやったのですね。これは農林省がやったのですよ。そして、農林省の外郭に協会をつくって、それで国、市町村、それからもちろん県段階へおろして、当時五千市町村を選択をして、当時の金で百円の調査費を出して、そして市町村の経済建設計画というものをつくらせた。私は、そのころ小学校からちょうど高等小学校に通っているころですからよく知っているのですが、宮下さんは僕より後だから知らないかもしれない。  時代が違うのですよ。あの当時は六十五万人次三男が余っていたのですから。今、跡取りがないのですから。違うけれども、あの当時は農業恐慌、今はガット・ウルグアイ・ラウンドで農業破壊ですから。これを守るために、どうしても小平権一さんがやったことをもう一遍今の時代に置きかえてやるというのが私の主張なのですね。だから、このことを村山総理に、私は意見書を出しました。大河原農林大臣にも出しました。だから、ぜひ環境庁長官として、環境、農業、生態系を守るということと持続可能な農業を続けるという意味において、何としてもこの問題については実を結ぶようにひとつ頑張っていただきたい。もう一度確認します。
  184. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生と郷土を同じくするものでございまして、先生も農業問題にずっと携わられて著書等もおありでございまして、その見識の高さには敬意を表しております。  同じ茅野市の小平大先輩の話もございました。私ども、やはり先人の歩んだ道は、その時代時代で先導的な役割を果たしたものと思いますから、今、困難なこういう状況の中にあって、私もまた先生の御指導もいただきながら、そうした決意で臨んでまいりたい、こう思っております。
  185. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一つ新しい提案をさせていただきます。  それは、この総理府の調査を見てもいろいろな形が出ているし、それから昨日、富士山の問題で静岡新聞と放送からいろいろな資料をいただきました。しかし、富士山の中でも、非常に汚して、臭いにおいから紙から殻から、大変山は困っている。どうも都会の人たちは、悪い意味かどうかわかりませんが、木があれば自然にこれは大きくなるものだ、川というのがあれば水は流れるのだ。それで、山へ行って好きなことをやって帰ってくるのは楽しい話だ。こういうことで、今、環境庁でもかなり監視員を置いていろいろ努力していますよ。それぐらいではとても間に合わない。何としてもこれは——総理府の調査によっても、都市の人たちが山のことについてかなり理解をしているのですから。  かつていろいろありましたように、さっきも熊本の松岡委員と、それから小泉委員はまた別な角度から税金の話がありましたが、これはやはり新しい税金を少しつくるように、例えば環境税というような税金の話が前にありましたよ。あるいはまた最近、十月の初めごろに山形県の温海温泉に全国の百二十ぐらいの町村長及び議員が集まって、山に交付金を出せ、こういう要求を、これは和歌山県のある町長が働きかけたもので、いい意見だと思いますね。  今までに山村振興法とか過疎法とかというものがあって、三十年、四十年という歴史があるけれども、それだけでは現在の過疎状態は救えない。どうしても新たな、金が入って、山を守る、森林を守る、そういう思想を都市の方々にも協力してもらう。現在は都市の住民が六七%、それで農村が三四%ですか、そういうふうになって、何か三分の一しか農山村にいない。しかし地域は物すごく広いですからね。小選挙区をやれば、どうも都市型になってしまって農村の声が国会に響かないではないか、これはだめだなんという声がありますね。これは正しい意見だと思うのです。  そういうふうに、これからいよいよ農山村が政治の面からも消されるような段階のときに、これだけの水をつくり、緑をつくり、環境保全する、その役割について、汚すことだけはやるけれども後始末はしないということではちょっとぐあいが悪いですから、そのために新たな負担を、全体の理解を得れば国民の税金の中から何%かを出してもらう。それでなかったら、入場税、あるいは直接のそういう始末をするための目的税あるいは基金をつくって支えていく、こういうことについて、大蔵省御出身の専門家だから、ひとついい知恵を出してもらいたい。いかがですか。
  186. 宮下創平

    宮下国務大臣 経済的な手法の話だと存じますけれども、これはちょっと木で鼻をくくったような答弁になって恐縮なのですが、私の方としては、検討会を今設けましてあらゆる角度からいろいろ検討しております。そして、税という形かあるいは課徴金という形か、いろいろな経済的手法のやり方はあると存じますけれども、そういう問題については慎重に、これは国民負担にもまた関係することでもございますから、一面そういう面がございますから、慎重な検討をやっていきたいと思っております。  先生も御指摘のように、森林の持つ、例えば環境保全的な機能、これは非常に大きなものがございます。それからまた水源涵養林としての機能も非常に大きいわけですから、かつて水源税という問題で大問題を起こしたことがございますが、発想としては、私は基本的に間違ってはいないと思うのです。  ただ、利害調整がなかなかうまくいかなかった点があの案の不成功の原因だったと存じますが、税という関係になりますといろいろな問題が出てまいりますから、よく検討させていただいて、そして日本の国土の大半を占める森林あるいは中山間地帯、これを守るための努力をやはり環境保全的な意味からもしていきたい、こう思っております。
  187. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひひとつこれも閣議の方で、これから執拗にこの問題については訴えたり叫んだりします。  私はついこの間まで農林水産委員長をやっておりましたが、今はちょっと返上しまして、美しい緑、きれいな水、安全な食糧を守る議員連盟の座長ですから、今度は。百九十一名という、もっといますかね、二百名になりましたか、これを一つの叫びとして、昼は各団体で集まって話をし、夜は演説会をやって盛り上げていく。そして地域を、水と緑と安全な食糧をつくるために頑張るようにする。そのために、ひとつ応分の負担をいただきたい。こういうことについて、その負担の形はいろいろありますよ、そしてもっと農業というものを大事にする人をつくらなければ、最近の新聞の論調みたいに、何か取れば、あれはやり過ぎだ、ばらまきだ。悪いところもあるかもしれませんよ、あるかもしれませんけれども、あの論調というのはどうもいただけないな。ああいうのはいただけない。あれは返上しなければいけない。  ということで、次の話をします。  私は、農業に二つの側面があると思うのです。第一の側面は、本来の産業としての農業だ。消費者に向かって新鮮で良質で安全な食糧を一定の価格で確実に供給する、これは基本的な産業としての、農林水産業の仕事だと思います。そのことについてはきょうは触れない。  第二番目が大事なのだ。国土の保全環境保全、水、緑、それから土砂の防止、それから長い文化と伝統、こういうもの、特に水田の保水というものが大変なことですね。これは農林水産省が三菱総研に計算をしてもらったら、保水の方がそれだけで四兆七千億という数字が出ております。米自体は三兆円ちょっとでしょう。水の方が四兆七千億。それをただで今都市の方々に供給しているわけでしょう。また今度は、農業会議とかその他が研究すると、これは計算の仕方によってありますが、その他の社会的、公益的役割は三十九兆くらいになるというのです。だから、農産物の粗収入というのは十一兆くらいだけれども、そういう公益的、社会的な役割というのは三十兆から四十兆近いものがあって、これはほとんど無償で多くの方々に供用されているのですね。だから、その中の一部を返していただくということが必要なんでしょう。それがさっきから言う税金とか基金とかそういうものになっていいのではないか、それは決して無謀じゃないのじゃないか、そういうふうに私は考えますけれども、長官、いかがですか。
  188. 宮下創平

    宮下国務大臣 農業とか林地等の果たす公益的な役割は先生御指摘のとおりで、私も、林野庁の試算した公益的機能の中で三十九兆円というような数字も聞いたこともございます。しかも、その中で五〇%弱が環境保全機能があるということも明記されているのですね。そういう意味で、非常に大きな役割を果たしていることをやはり国民全体が認識する必要があろうかと思います。  そういった国民的なコンセンサスの上に立って、そして歳出面で、そういう価値を持続するためにどのような支出をするか、あるいはその財源をどうするかというようなことが検討されるべきでございまして、基本はあくまでも中山間地帯を含めた農林ですね、またこれは水産の問題もございますけれども。そういった価値観を共通に認識するような努力をまずやって、そしてそういう認識を深めていくことがまず先決だ、こう思っております。
  189. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私はなぜこんなにこの環境問題を強調するかといいますと、これから新農政というのをやる、そうすると、特に農政審が、市場原理を導入しなさい、内外価格差を解消しなさい、規制緩和をやれ、こういうようなことを言っているのですね。丸裸で世界の農業と勝負をしろ、こういう話だ。  八月に、私が委員長のときに、六人の国会議員と農水省の事務局の皆さんと一緒にフランス、カナダ、アメリカのサンフランシスコ、サクラメントに行ってきました。フランスでも日本の農地の二十倍ですかね、二十八ヘクタールですよ。日本は一・四だ。カナダなんていうのは四百五十ヘクタールですからね。アメリカのサクラメント、サンフランシスコ、これも百五十ヘクタールですね。それと比べたら、これは初めから価格の勝負はできないですね。横綱と十両以下なんです。こんなのは勝負は初めから決まっているのです。それを、学者先生やマスコミの皆さんは、足腰の強い農業をやるために、規模を拡大をしてああだこうだ言うけれども、それだけじゃ無理なんですね。  だから、そういうような農業を守っていくために、やはり農業が持っているもう一つの側面というものを大事にして、さっき申し上げたように、どうしても環境保全型、地域資源活用、生態系を持続していく日本型農業、これがどうも大事な方向に行くのですね。だから、日本にそれがなかったら健康がだめになるし、日本の国土がおかしくなってしまう。長官そう思いませんか。
  190. 宮下創平

    宮下国務大臣 竹内先生のそういう危機的な御認識は、基本的には私も同様に感じます。  ただ単にコマーシャルベースだけのことによって食糧が、貿易が行われて、それでよしとするわけにはまいりませんから、これは農政上の問題でございますけれども、やはり今度の大綱で決められたようなことを着実にやりながら、希望の持てる農業をつくり出す、そして技術開発もやっていく。今おっしゃったように、スケールメリットでもう太刀打ちできないことは明らかなんですが、しかし、日本人の英知と努力をもってすれば、バイオその他の問題もいろいろこれからありましょうから、いろいろな点で努力をしながら、世界に太刀打ちできるような食糧の生産も考えていかなくちゃいけない。  そして、同時に今おっしゃられたような環境的な観点、これは、何度も申し上げておりますが、そういった点も十分踏まえて考えていきたい、こう思っておりまして、基本的に同感でございます。
  191. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 長官と意見が余り違わないですね。ほぼ一致をしているから、これは非常にいい。今までは野党と与党という間柄だったが、今度は与党で推進する側だから。私は言い過ぎもありますよ、言い過ぎもあるけれども、言い過ぎはちょっと消してもらって、いいところだけ、マグロを殺したらトロの分だけはひとつ取り上げて、ぜひ前の方へ向いていかなくちゃいけない。  もう一つ申し上げますが、都会の方々にどうしても知ってもらいたいことは、木というものは、あれはただ自然に伸びるものではないのですね。枝を切り、下草を刈り、間伐をして木というものは伸びるわけです。川があるから水が自然に流れるということは、これはそうはならない。ことしは大渇水でしょう。ダムをつくったけれども、ダムのあるところで一番困っているじゃないですか。ダムは何のためにつくったのだ、今こういう議論がある。毎日新聞はそういうことをちゃんと書いているしね。日本には三万の川があるけれども、その川の方がダムよりもむしろ助かっている。これは、水田がなかったら保水なんかできませんね。だから、そういう意味では、ダムの功罪というのが今問われているのですよ。  そういう中で、人手をかけなければ河川の改修もできないし、木も正常に育たないということになると、それではだれがやるかということになる。今だんだんと山から人手がなくなってしまった。だから、中山間地帯のあるいは山岳地帯の町村長なり議員の皆さんが集まって、この際何とかひとつ財政的バックアップをしてくれ、こういうことを言っているわけですね。本当に、今度の渇水のときに一番問題になっているのは、その問題です。これは国土庁か建設省、そこにいますか、ちょっと一言。
  192. 青山俊樹

    ○青山説明員 ダム問題と渇水との関係について、簡単に御説明させていただきたいと思います。  まず、ダム操作に当だっての基本的な考え方といたしましては、水道用水、工業用水、農業用水、それぞれの取水が支障なく取れるように、また、河川の生態系や水質などの機能の維持のための流量は確保するという観点から操作をやっております。  今回の渇水におきましても、ダム操作では、河川の流況状況、気象状況、必要取水量を把握した上で、下流に対してきめ細かい放流量を決定いたしまして、ダムからの放流が無効放流とならないように、適切な運用に努めてきたところでございまして、この結果、今回の渇水におきまして、例えば利根川上流八ダムからの補給量は約四億立方メートルに達しております。同様に、全国の渇水地域における直轄公団ダムからの補給量は約十二億立方メートルでございまして、全国各地におきまして非常に長期間にわたる日照りが続いたわけでございますが、かなりの渇水被害が軽減されたものと私どもは認識いたしております。
  193. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 二十二府県とそれから二百四、五十の市町村が渇水で苦労をしましたね。本当に大変苦労した。それで、ダムと渇水の関係というのが、今大変問題になっているところでありまして、今言うように、ダムが治水、治山、それから利水という方向でやってきた。あちこちにダムはあるけれども、これは農林水産省にも関係があるけれども、福島県あたりにいっぱいダムをつくったけれども、二十年たってもまだダムはでき上がらない。負担金だけはどんどん増して、米一俵でいいから、判を押してくれなんて言って、ダムはちっともできてないのですよ。それで、今度は砂がたまって、砂を掘り起こすのにまた金がかかってしまう。こういうことで、ダムというものの功罪が今問われているのじゃないですか。河川の方が、今法律を改正して、国有林、公有林、民有林という所有権別じゃなくて、流域別、百五十八の流域に河川をあれしてあるのです。大小三万の川がありますけれども、それを百五十八で整理をしているから、所有権の問題はない。非常に管理がしやすくなっているわけですから、これは非常にいい方法だ。だから、そういう方向に向かって一体的にしていくということが必要だ、これは林野庁にも関係あるかな。
  194. 前田直登

    前田説明員 先生御指摘のように、森林は渇水あるいは洪水、こういったものを緩和する機能を有しているわけでございます。これらの機能を高度に発揮していくというためには、やはりきめ細かな森林整備、こういったものを通じまして、活力ある健全な森林を育成していくことが重要であるというように考えている次第でございます。このため、私どもといたしましても、水源地域の森林整備、こういったものに積極的に取り組んできているところでございます。そういったことで、今後とも森林の整備に向けましては積極的に取り組んでいきたいというように考えているわけでございますけれども、ただいま先生御指摘がございましたように、私ども、森林法を改正いたしまして、百五十八の流域、こういったものを設定いたしまして、こういった流域を単位にいろいろな森林の整備あるいは林業生産を図っていく、こういったことを総合的に推進していくというようなことで現在進めておるところでございます。
  195. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 川をせきとめてダムをつくるという方針をまだ建設省はやりますか。川をとめてダムをつくるというのをまだ継続しますか。
  196. 青山俊樹

    ○青山説明員 今、ダムの効用等も含めての御質問がと思いますが、ダム事業は、人々の生命、財産を洪水から守り、また生活に必要な水道用水等を確保するなど、地域の発展に必要不可欠な事業だと私ども認識いたしております。ダム事業につきましては、このような治水上、利水上の必要性、緊急性によりまして、各県や地元自治体及び利水者等からの強い要望も多々ございます。このような要望も受けまして、事業着手しているところでございます。
  197. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ相変わらずやろうということだから、やるならちゃんと地元との間のけんかがないように……。徳島県なんかでは、二十二年かかったってダムはできてないんだよ。町村長も議会もみんな反対しているんだ。ああいうようなところは徳島だけじゃありませんよ。あちこちにいっぱいあるのですよ。岡山だってありますよ。だから、余りここではそういうことは言わない。  そこで、農林水産省の山本さん、見えていますか、先ほど長官が、農業会議が提起した食糧環境国民会議というものの構想について、農林水産省としても受けとめておかなければ困る。それで、私は、この間、村山首相に一つの意見書を出している。小平権一先生が提起した、縦割りではなしに役所を横に連ねて、自治体とそれから農水省と、役所が二つ、それに今度は関係する団体、農協、森林組合、漁業組合、それからその地域のそれぞれの団体が一つになって、そこで地域づくり、人づくり、それから物づくり、金をつくって人間が定住する。この五つのポイントをどうしてもそこで実現をしていけばよろしいじゃないか。そうすると、今縦割りでやると、家を建てたり何か建物ばかり建てるけれども、ハード面はやるけれども、ソフトの、人間をそこに住めるようにしない、ここが一番問題なのだ。これを実現するために知恵を絞って運動としてやっていかなければいけないということで、農水省、これはひとつしっかりやってもらわなくちゃ困る。
  198. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生のただいまの御指摘、私ども全く同感でございます。先ほど来の先生のお話、かねてからの御持論として私ども承っておりまして、そういった方向での農林行政の推進に努力しているわけでございます。  先ほど来の国民的な合意と理解のもとに農政を草の根で推進するという中で、これにつきましては、総理の諮問機関でございます農政審議会、このたびガット・ウルグアイ・ラウンドの対策の検討をさせていただいたわけでございますけれども、この審議会でも、農業関係者のみならず、最近の農業を取り巻く大変難しい、また多面的な状況に応じまして、消費者あるいは婦人、経済界あるいは地方自治体の方々も幅広く参加していただいて御議論し、報告書を取りまとめていただいたところでございます。さらに、全国七カ所でも、これは東京、霞が関だけではなくて、地方でも現地の生の意見を聞かしていただくということで、地方の農政審議会も設けさせていただいたりしたところでございます。  また、これとあわせて、都市の住民の方も含めた幅広いシンポジウムあるいはパネルディスカッション、さらに都市と農山村との交流事業とか、あるいは具体的には田植えのツアーとか稲刈りツアーというような形で都市住民あるいは都市の学生さん、生徒さんなども含めての交流事業、イベントなどで幅広く全国民的に農業、農村への理解を深めていただくような企画も行わせていただいているところでございます。これからもますますそういった面に努力してまいりたいと思っております。  それから、後段で、漁業あるいは林業、あるいは他の産業も含めて全体としての地域の活性化、農村の活性化を図る、これも大変大事なことであると思っておりまして、今回の、十月二十五日に村山総理のもとで御決定いただきましたガットの対策の大綱でも、各省挙げて御協力していただいて、農山村あるいは地域の活性化に取り組んでいただくということで、各省庁、各大臣の御支援もいただくことにいたしております。また、具体的には各自治体のレベルでも国費を、国の事業としても六兆百億円組ましていただいたところでございますけれども、地方財政の方でも、農山漁村の総合的な振興を図るという観点から一兆二千億円の村づくりの計画策定していただいたところでございまして、各省挙げて、また地方自治体とも一緒になって、農業、農村の活性化、振興に取り組んでまいりたいと思っております。
  199. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大変細かい、緻密な方針が出されまして、大変いいことだと思います。ぜひこれを実行するように、我々もこれは鋭意進めていきたいと思います。  そこで、この中山間問題ということにつきまして、私はこの間フランスに行ってきたときに、私の理解が間違いなければ、フランスは農業政策としては四つの柱ですよ、フランスとしては。それから、山岳とか中山間というのは、国土政策地域政策あるいは社会政策という立場とその農業との結合をやる、これは放牧地帯ですよね。それで、あるところではスキー場施設をする、あるところではグリーン・ツーリズムで民宿をやる、こういう形。長官は僕の家も知っているはずだ。僕の家は海抜千二百メートルだからまさに、筑波山、八百七十六ですから、それよりははるかに上ですよね。長官のところも大体九百メートルぐらいかな。だから一これみんな中山間地、もう山岳地なんだ。だけれども、僕が出てくるときも二十七戸、今でも二十七戸だ、僕のところは。ちっとも減りもふえもしない現状ですよ。というのは、そこはそれなりに仕事をしていますから、そういうところですが。フランス方式というのはかなり、一九一七年ぐらいからこの研究が始まって、それをやって、そうして今所得政策として、グリーン地帯に対してはデカップリング方式として家畜を補償してきている。とても日本には、今のこの研究体制ではこれをまねをするのは甚だ難しいから、地域を、集落を一つの軸にしてさっきの運動を、その中には何も農業だけじゃないですよ、いわゆる混住社会ですからね、月給取りもいるかもしれない。それらに協力をしてもらって、一つの集落なり地域というものを活性化するような中山間対策というものを考えていかなくちゃいけない。その辺に中山間対策の責任者がいるはずだな。
  200. 笹谷秀光

    ○笹谷説明員 中山間地域対策について御説明申し上げます。  ウルグアイ・ラウンド農業合意によります新たな国際環境に対応し得る農業、農村を構築することは極めて重要な課題であると考えております。特に中山間地域におきましては、その条件を生かしました農業生産が行われているようなところ、それから地域対策が行われているところが多数ございまして、こういうような例に学びながら、今後とも特色ある地域条件を生かした高収益農業の展開ということを初めとしまして、多様な就業機会の確保、それからアクセス条件の改善、生活環境基盤の整備等、各般の施策を講じていきたいと思っております。  そのような考え方のもとに、去る二十五日の緊急農業農村対策本部におきまして了承されました大綱の中におきましても、その重要な柱の一つとして、中山間対策につきましては「総合的視点に立った農山村地域の活性化」などの項目が盛り込まれたところでございます。今後、農林水産省といたしましても、先生御指摘のように関係省庁との緊密な連携のもとに早急な具体的な実施に向けて所要の調整を図ってまいりたいと考えております。  なお、その際、中山間地域の活性化につきましては、先生御指摘のような地域内での自主性というのが極めて重要な観点でございまして、これまでも特定農山村法という法律の運用や、それからソフト活動を支援する中山間地域活性化推進事業の実施を通じまして、地域自主性を生かした農林業の振興を基本として活性化を図ってきているところでございまして、今後ともこれらの制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  201. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで国土庁、リゾート問題について質問をします。  平成二年にリゾートの法律をつくるときに、私ども賛成をしました。あの当時は非常に景気がよくて、あれもこれもみんな、山へ山へという形で、広い広い土地を、マリーナもやろう、ゴルフもやろう、テニスもやろう、いろいろなことをやろうということで賛成した。どうもそれからちょっと日にちがたってみると、僻地になっていますからね。入り口の道路や電気や水や、そういうインフラがなかなかうまくいかない。約束は、そういうのは市町村がつくるから奥の方だけやってくれという。まあ委員長の宮崎県はうまくいっているかもしれませんが、あれはリゾートがあろうとなかろうとうまくいっていたんだろう、もともとが。なかなかうまくいかないでしょう。三十五ぐらいのところで恐らく五つ六つじゃないですか、まともなのは。これは一体どういう原因で、現状どうなっていて、将来どうしますか。
  202. 滝沢忠徳

    ○滝沢説明員 お答えをいたします。  昭和六十二年に総合保養地域整備法が制定されたわけでございますが、それ以来今日まで、四十一の道府県におきましてリゾート基本構想が策定され、国において承認をいたしまして、それに基づいて現在整備が進められておるところでございます。中には既に供用の開始されたもの、現在整備中のものもございまして、地域経済の活性化であるとか地域の振興に役立っている施設もかなり出てきておるわけでございます。  ただ、一方におきまして、近年経済社会情勢が大きく変わったということ、さらにはまた、リゾート関係者の中にリゾート整備につきまして短期的な事業の成果を重視した面があること、そういったいろいろな事情がございまして計画事業のおくれが見られるところもございますし、また、一部ではございますが、当初予定した事業者事業からの撤退を表明いたしまして、地域におきまして今後の事業の継続について検討なされているところもございます。そういったことに加えまして、リゾート整備につきましては、自然環境保全との調和の問題とか、そういった点につきまして各方面からいろいろな御指摘があったところでございます。  そういったことを踏まえまして、私ども国土庁といたしましては、有識者から成ります総合保養地域整備研究会を開催いたしまして、多岐にわたりまして御審議をしていただきまして、今後のリゾート整備のあり方につきまして報告をまとめていただいたところでございます。  この報告におきましては、今後のリゾート整備につきまして、一つには家族そろって手軽に楽しめるような国民のためのリゾート整備、それからまた地域の振興につながるような地域のためのリゾート、そして自然環境保全との調和が図られたリゾートの整備が必要である、そういった政策理念に立って、国民の多様なニーズにこたえる多様なリゾート整備を長期的な視点のもとに着実に推進していく必要がある、そういった御報告をいただいたところでございます。  それからまた、御案内のとおり、今後、将来にわたりまして、労働時間の短縮、それから余暇活動の拡大が進むものと予想されるわけでございまして、国民のリゾートに対する潜在的な需要というものほかなりのものがある、このように考えておるわけでございます。  そういったことから、私どもといたしましては、ただいま申し上げました研究会の御指摘を踏まえまして、多様なリゾート整備の推進に努めてまいりまして、特にその中で地域の自然とか文、化、そういったものを生かした、農山漁村地域の自然とか文化を生かした多様なリゾート整備について推進をしてまいかたい、このように考えておるところでございます。
  203. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今の解説は大変いい解説、そのとおりにひとつ進めてもらいたいと思います。  ここで注意をしておくことが一つあります。これは過ぎた話でありますけれども、越後湯沢というところがありますね。あそこは温泉地でスキーの地、あそこで駅をおりてみると、銀座が一つ移ったぐらいのアパートの町になってしまってどうにもならない。その奥の方に林野庁がやっている苗場という、これもスキー場がある。そこにはふれあいの郷という非常に立派な、これはまさに憩いの家に等しいものがある。私は、これは二つの対照的なものだと思うのですよ。  あるいは山梨県の清里、ちょっと汚れたこともあったけれども、まあまあそれは勘弁してきれいな方だけを、ああいうことを、これから国有林や公有林というものを利用して、今国土庁から話があったようなそういうリゾートづくりというものに、お金とそれから人間、そういうものをあれをしなければうまくいかないということで、やはりすぐ財界が手を出すけれども、そこのところをちょっと警戒をして、本当に第三セクターがやるならば、しっかりしたいいものをみんなでつくって、地域の人たちが参加をしなければいけない。そういう意味においては、今度のまた環境食糧会議というようなものも、そこに一枚加わるということは必要なことだと思いますから、ぜひ国土庁も一緒にやってください。  もう時間もなくなったから、渡良瀬遊水池の問題で質問をします。これは環境庁だな。  渡良瀬遊水池の問題は、足尾銅山の中で有名な田中正造翁が非常に頑張ってきて、谷中村という村を一つあそこから陸に上げて、そしてそこに三千三百ヘクタールの遊水地をつくった。ここに建設省が一期工事、二期工事、三期工事という工事を区画をしておりますが、一期工事ができ上がって二期、三期は今準備中ですね。ところが、あの辺にゴルフ場をつくったり、いろいろなものをつくってこれをほかのものに、多目的に変えようとしている。そこへもってきて、第三次に空港をつくろうなんという話が、州知事、それから竹内知事もそれにOKをして、群馬の知事もOKをしたけれども、栃木県の渡辺知事はこれに反対をした、所有権は大体栃木県の方にありますからね。ところが、ある議員が第三次に空港をやろうと言ったときに、私はそれに反対をして、今は地元はピリオドを打っているのですけれども、まだ県会議員がうろちょろして、また銭もうけをしようなんという話が後ろの方であるということでよろしくない、これは。だから、ラムサール条約に登録をしろということを言っている。環境庁は、なかなかこれを渋っているのだね。渋って、こうやって手を、こっちの方におろさないで横の方に振られながら、これはくあいが悪いのだよ。三千三百ヘクタールが、ほっておいたら本当におかしくさせてしまうからね。あれは首都圏の唯一の憩いの場ですよ。本当に立派なものです。ここに建設省の、地建のパンフレットがあるけれども、やはり関東地建でも地元の有力者の意見を聞いてやると言っているのだね、これは。どうだね、これは環境庁、一つぐらいいいことしなさいよ。
  204. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  今現在、ラムサール条約に基づきます登録湿地は、全国に釧路湿原など九カ所が登録をされておりますけれども、私ども登録を国際機関に申し出をする場合には、国際的な重要な湿地であるというその要件、それから長期永続的に地域保全をされるという仕組み、これが大切であろうと考えておりまして、具体的には国設鳥獣保護区の特別保護地区などの指定がされておる、そういうことによって将来的に保全が図られるということ。それから、地元自治体等が登録する意向を明確にお示しをいただいていること、そういったことで登録の手続に入っていくというような対応をいたしておるところでございます。  先生御指摘の、渡良瀬遊水池については、現在いろいろな事業動き等がありますが、そうした、先ほど申しましたような、将来にわたって保全されるというようなことなどにつきまして、地元とも十分協議しながら検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  205. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 後のことは、声が小さくて、ささやかな声で、これはやはり消極的だという形に受け取れますね。  そこで、もう一つ、同じラムサール条約の問題を提起します。霞ケ浦。霞ケ浦は、来年世界湖沼会議をやる。既にこの準備会を開いておりますが、琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖、それから印旛沼、手賀沼、これが五つの汚染湖沼でしょう、日本では。その第二番目が霞ケ浦だ。周辺には、たくさんの市民団体があります。そして、会議をしては、汚すものはだれだと、犯人捜しを一生懸命する。その犯人を捜している者も、また場合によっては犯人かもしれない。だから、私は、一カ所にお互いが集まって、そして二日でも三日でも会議をして、犯人も何もかも一緒になってやって、それで総合的に答えを出さなければ霞ケ浦はだめだというふうな提案をしているのだけれども、県も消極的ですね。みんな逃げている。だれも責任を持たない、これは。本来一級河川だから、これは建設省が責任を持つべきものだ。建設省の方も、どうもすかっといかない。まず建設省。
  206. 石川忠男

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、関係者集まってよく協議なり相談すべきであるという御提案でございます。  過去にも、先生からそういう御指摘、御提案があったというふうに承っておりまして、県の方でいろいろそのような段取りをいたした経緯はございます。その後、先ほど御指摘のような、世界湖沼会議とか、あるいはシンポジウムとか、そういう機会が順次設けられ、意見の交流と申しますか、そういうことが行われているというふうに聞いております。
  207. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう経過を経て、それで今建設省は、ヘドロの五年間のくみ上げをやっている、千五百万トンくらいやるのかな。いろいろ努力はしていますよ、努力はしていますが、なかなか汚す方が激しいものですから。学者や何かは、ここはゴルフ場が日本で三番目に多いところですが、芝生から農業が流れ出してくるし、網主けすもあるし、それから豚も日本で二番目ぐらいですから、ふん尿が入ってくる、あるいはレンコンの肥料もある、家庭雑排水というように、汚す方のことはたくさんあるのですが、きれいにすることについては、ヘドロを取るとか、中国の非常に吸収力の強い草を植えるとか、あるいは荒っぽい魚を中に放してかきまぜるとかしているが、実際は周辺に木を植えろ、水をきれいにするために、五十幾つかの川が流れ込んできますが、それにきれいな水を入れて自然浄化をしなければならないし、それから、流れ込んでくるところにはアシ、ヨシが生えて、そこで自然浄化をするアシ・ヨシ条例をつくれ、これは県の仕事。もう琵琶湖はそれをやっていますからね。そういうふうにして、お互いきれいにする方も頑張らなければいけない、こういうふうに言っているのだ。そこで、世界湖沼会議を前にして、これまたラムサール条約に立候補するという形で今地元の方は言っている。これは、建設省の方の話はわかった。環境庁、いかがですか。
  208. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の霞ケ浦について、本年の十月七日に地元の民間団体の方からラムサール条約の登録指定を求める要望書が茨城県の方に提出されておるというふうに承知をしております。  私どもといたしましても、先ほど申し上げましたような要件を勘案しながら、茨城県とも十分相談をして、また地元市町村等の意向も聞きながら可能性検討してまいりたいと思っております。
  209. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きょうは大変盛りだくさんな話をして、大所高所から話をして、最後には地元の霞ケ浦で終わってしまったのですが、霞ケ浦の方を少しちゃんとして、声を大きくしなくちゃだめだ。だんだん声が小さくなってきた。局長の声が小さくなるということは、非常に消極的だということなのです、あれは。そういうふうに理解をするから、声を大きくして、よし、こういうふうに、心配をするなというようなことにしてもらいたいと思います。  これで終わります。
  210. 持永和見

    持永委員長 高見裕一君。
  211. 高見裕一

    ○高見委員 地球環境問題の中でも、私の認識の中で特に緊急を要するというふうに感じておりますオゾン層の問題に関して少々御質問申し上げたく存じます。  まず、気象庁の方にでございますが、ことしは南極上空のオゾンホールが過去最大となり、オゾンの全量も平年値を大幅に下回っているという事実があるようですが、ことしの日本の紫外線量と、日本上空のオゾン全量の様子がどうなっているのか、簡潔にお答えをいただきたく思います。
  212. 八木正允

    ○八木説明員 お答え申し上げます。  過去十年間のオゾン層の状況を見ますと、札幌の上空のオゾン層が七・八%の減少を示しています。これは統計的に有意なものでございます。そのほか、つくば、鹿児島、那覇の観測結果からは有意な減少傾向は見られません。  有害紫外線についてでございますが、オゾン量の増減に応じて一時的に減少、増加することは気象庁の観測データからもあらわれております。ただ、長期的な増加傾向はあらわれておりません。  以上でございます。
  213. 高見裕一

    ○高見委員 平成六年十月二十日のオゾン層の観測速報というものによれば、昭和基地では九月としては観測開始以来の最小値を記録したとなっております。さらに、昭和基地では、ことし二月以降のオゾンの全量というものは、観測史上最低で推移をしております。  確かに、WMOのオゾン減少の科学的評価の一九九四年版によれば成層圏のオゾン層の破壊は数年後に頂点に達するとのことでありますが、そもそもこの問題に関して科学的な予想を上回るペースでオゾン層の破壊は進んでいる、これは事実であると私は認識をしております。しかも、単に破壊がピークに達するだけであって、破壊がなくなるのではないのであります。  オゾン層の破壊は今後も予断を許さない状況にあるというふうに私は思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  214. 八木正允

    ○八木説明員 確かに本年の南極のオゾンホールは過去最大のものでございました。  先ほども御質問にお答え申し上げましたように、オゾン量の減少は今後も十年以上にわたって続くものと予想しております。
  215. 高見裕一

    ○高見委員 気象庁の解析によると、オゾン以外の条件が変わらなければ、オゾン層の減少に伴いUVlB、ウルトラバイオレットBの地上照射量が増加することが確認されているとのことでございますね。さらに、異常気象レポートによれば、日本付近において夏至、夏場にオゾン全量が一%減少したときには有害紫外線量が一・六五から一・九%増加をすることが明らかになったとの記述もございます。  しかも、気象庁の解析によれば札幌における八四年から九三年、今もお話がございましたように、七・八余りとされております。環境庁の解析でも、札幌において八〇年代以降のオゾン全量が十年でマイナス五・八%という減少値を示していることが確認をされている。当然札幌にUV−Bの地上照射量が増加していなければならないはずでございます。  しかし、前回私の質問の際には、紫外線量増加の傾向は見られないという答弁をいただいておる。理論的な帰結、当然の帰結は紫外線量の増加ということになりながら、なぜ実際には増加の傾向が見られないということになるのか、そこをひとつ御説明をいただきたい。     〔委員長退席、福永委員長代理着席〕
  216. 八木正允

    ○八木説明員 オゾン量の減少と有害紫外線の増加の関係は、先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、オゾン量の減少に対応して、晴れた日には有害紫外線量が増加することは気象庁の観測結果でも出ております。しかし、地上に到達する有害紫外線の量は、雲の種類や量などの要因によって大きく変動いたします。このため、現在のところ長期的なオゾン量の減少に伴う有害紫外線量の増加は確認されておりません。
  217. 高見裕一

    ○高見委員 天候で左右される、こういうふうに聞き取れました。しかし、もう一つやはり観測期間というものがまだ大変短いというふうなこともあるのではないかと思うが、その辺はいかがでしょうか。
  218. 八木正允

    ○八木説明員 有害紫外線量の観測を開始いたしましたのは一九九〇年からでございますので、四年ということで、おっしゃるとおりでございます。
  219. 高見裕一

    ○高見委員 そうすると、最初にお答えいただいた紫外線量の増加傾向というものが見られないという断言は大変おかしなことになる。増加していないということではなく、まだよくわからないと言う方が正解なのではないかな、素朴にそう思いますがいかがでしょうか。
  220. 八木正允

    ○八木説明員 ただいま申しましたように、四年足らずのデータでございますが、毎月のデータを日本四カ所でとっていまして、それについては十分な解析をやっております。それで、先ほども申しましたように、晴れた日に有害紫外線と対応するということはわかっていますけれども、全体としては先ほど申しましたように長期的な有害紫外線量の増加は確認されていません。
  221. 高見裕一

    ○高見委員 晴れた日、いわゆる天候に左右されるということでございますが、もう一度尋ねますが、それだったらば、増加していないと言い切るのはどうもおかしいような気がしてならないのですが。  と申しますのは、オゾン層の破壊というものがもたらす人間の生活への影響、あるいは今、健康への影響というもの、これは非常に重大かつ甚大なものがございます。それを、気象庁の方が増加をしていないと言い切ってしまうことで妙な安心感を国民が持ってしまう。日本は大丈夫なんだな、諸外国は何かバーンタイムできょうは十五分しか外に出てはいけないというふうなことをよく言われているようだけれども、日本は全然ふえていないんだ、何かそこに大きな誤解を国民の皆さんがしてしまうような気がしてならないのですが、ここははっきりと、まだ観測期間が短い、毎月やっているけれども、まだ四年なんだ、そこでは確実に一〇〇%増加していないということは言い切れないんだということを素直におっしゃるべきではないでしょうか。
  222. 八木正允

    ○八木説明員 有害紫外線量の増加ということに関しましては、これは地上で我々がどの程度浴びるかということでございまして、それは天気によって非常に左右されるわけでございまして、そういうことで、例えば月平均としてどれぐらい増加しているか、あるいは減少しているかということは、四年間にわたって見ております。そういう意味では、長期的な傾向では増加の傾向はございません。
  223. 高見裕一

    ○高見委員 ということは、科学的データとしてはオゾン層の減少が確認をされており、当然その帰結として紫外線量が増加するとなるのだけれども、現実にはそうなっていないんだ、UV−Bの照射量というのは平均をすると全くふえていないんだ、そういうことですか。
  224. 八木正允

    ○八木説明員 先ほども申し上げましたように、晴れた日は確かに有害紫外線が増加しております。ただ、我々地上で生活している者として、やはり晴れた日だけではなくてトータルとしてふえているかどうかというのが大事なことだと思いますので、トータルとしては、先ほども申し上げましたように、ふえておりません。
  225. 高見裕一

    ○高見委員 有害紫外線に対する情報提供について、もう少しお聞きをいたします。  アメリカやカナダでは、毎日の有害紫外線量の予想や日焼け指数、いわゆるバーンタイムとか言われておるようですが、それを示したり、国民への啓蒙活動が盛んに行われておるようでありますが、日本でもこのようなことはお考えではないか。そして、紫外線の蓄積というものは皮膚がんや白内障を発生させるということは、これは医学的にも公知の事実でございます。今から対策をとっておかなければ手おくれになる危険性がある。今後少しでも被害を食いとめていくために、有害紫外線の情報を国民に広く知らせるべきではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。そして、具体的な広報体制をお考えならば、それも含めてお答えをいただきたいと思います。
  226. 八木正允

    ○八木説明員 お答えします。  我が国の観測点において有害紫外線の量を測定しておりますけれども、有害紫外線の長期的な増加傾向、これは先ほども申しましたように確認されていない状況でございますので、現時点ではでございますが、御指摘のような予想を行う必要はないと考えています。  ただ、気象庁では、オゾン層及び有害紫外線量の月々の観測結果を毎月発表しております。また、観測解析の結果を総合的に取りまとめたオゾン層観測報告というものを年一回発表しております。今後の動向を見ながら、さらに広報、啓蒙活動には努めてまいりたいと思います。
  227. 高見裕一

    ○高見委員 今後の動向を見ながらということは少し前向きなのかなと思いつつ、もう一遍聞きたいのですが、長期的な増加傾向は見られないというふうに今断言をしておられましたね。しかし、四年で、長期的な増加傾向が見られないと断言していいんでしょうか。
  228. 八木正允

    ○八木説明員 お答えします。  長期的な増加傾向が見られないということは、四年間の統計的な結果でそうであるということでございます。
  229. 高見裕一

    ○高見委員 四年は科学の世界では長期とは言わないと思いますよ。ですから、まだ増加傾向が見られないということを四年で断言すると、国民がそれに惑わされてしまう。そういう意味では、まだよくわからないんだといっただし書きはぜひつけられるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  230. 八木正允

    ○八木説明員 お答えします。  私どもも、こういう結果を発表するに当たっては、いつからのデータを使ったかということを明示して発表しております。そういう意味では、誤解のないように努めたいと思います。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 高見裕一

    ○高見委員 これからますます紫外線量が増加してくると、単に人間の体への影響だけではなく、例えば建物に対する影響あるいは生態系総体、植物の発育への悪影響であるとか、海洋のプランクトンヘの影響であるとかということがますます不安、心配になってくるわけであります。そういうときに観測者である気象庁の方々が問題ないと言い続けることは、ひょっとしたら大変な国民に対する背信行為になる可能性があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  232. 八木正允

    ○八木説明員 お答え申し上げます。  ただいままで申し上げたことは観測結果に基づいて申し上げたことでございまして、そのことに関しては間違いないと思っております。  ただし、今後のことはもちろん未確定なことでございますから、いろいろな動向を、しっかり観測の結果等を見ながら、やはりおっしゃるように広報、啓蒙活動にしっかり努めなくてはならないと思っています。
  233. 高見裕一

    ○高見委員 広報、啓蒙活動にしっかり努めていくという言葉、しっかりお聞きいたしましたので、よろしくお願いをしたいと思います。  これはまた改めて、もう少しデータをそろえてやりたいと思いますが、続きまして、フロンの回収状況についてお尋ねをしたいと思います。  現在のフロンの回収状況については、特に、冷蔵庫、冷凍空調機器の冷媒用フロン、断熱材に含まれているフロン、自動車用冷媒のフロンの回収状況や回収率というものを教えていただきたいと思います。
  234. 増田優

    ○増田説明員 特定フロンの回収状況でございますが、洗浄分野におきましては、ほぼ回収、再利用というものの取り組みができ上がった、そういう状態になっております。  それから、冷媒の分野のフロンにつきましては、製品分野ごとに回収、再利用の取り組みが行われておりまして、例えばビルの空調の分野でございますと、この分野ですと、従来から各社の単位で回収、再利用が実施をされているということでございます。  それから、業務用の冷蔵庫等につきましては、社団法人の日本冷凍空調工業会と、それから社団法人の日本冷凍空調設備連合会等が協力をいたしまして、昨年の十月に冷媒フロン再生センターというものをつくりまして、再生事業を開始したという状況にございます。  それから、カーエアコンの分野につきましては、車の整備工場、こういったところに約二万台の回収機というものを配備をいたしまして、修理の段階あるいは車を廃車にする段階で回収、再利用を進めていくという体制づくりが今進みつつあるという状況でございます。  それから、電気冷蔵庫の特定フロンでございますが、この分野につきましては、長期的に使用されておることもございましてフロンが劣化をしているということで、再生利用が非常に難しい、あるいはそういったフロンの破壊技術についてもまだ確立されていないというような状況もございまして、回収が余り進んでいないという状況ではございますけれども、最近家電メーカー等が一緒になりまして、電気冷蔵庫の修理のときにフロンが放出されるということがないように回収に取り組むというような動きも出てきておりますし、それから、地方自治体では、東京、神奈川等で、廃棄された冷蔵庫についてのフロンの回収というようなことを進めつつあるという状況になってきているというところでございます。  以上でございます。
  235. 高見裕一

    ○高見委員 しっかり頑張っているんだぞというふうに聞こえましたが、通産省は日ごろから、フロンの回収というものは市場原理を使って行うという発言をしていらっしゃると聞き及んでおります。市場原理というものはうまく機能しておられるのかどうか、これをまずお尋ねをしたい。  そのように市場原理で回収を行うという方針を示しておきながら、一方で特定フロンの用途剔出荷状況に目を転ずると、冷媒用のフロン、主にCFC12の生産は、平成四年が一・八万トンで平成五年が二・三一万トンと、実に二八・三%も生産量が増加しているという事実がございます。これはモントリオール議定書の精神に反するというだけではなくて、非常に大増産と言うべき数値なわけですが、冷媒用のフロンの価格が暴落して、回収、再利用を行っても経済的に折り合わなくなっておる、その結果、フロンの回収は行われずに放出をされている、そのような事実があるようであります。そのことをどう認識をしておられるかをあわせてお尋ねをしたい。  そして、本当に市場原理が働くような環境づくりを考えておられるのかどうか、もし考えていないとすれば、市場原理で回収を進めるという御省の方針は少々疑わしいものになるな、そういうふうに感じざるを得ないわけであります。冷媒用フロンの増産を許す姿勢というものが、何か内々あるんじゃないですかね、そんな気配が感じられるのですが、いかがなものでしょうか。
  236. 増田優

    ○増田説明員 先生御承知のとおり、日本において従来から特定フロンの需要削減というものを促進するためにいろいろな助成措置等も講じておりますけれども、モントリオール議定書に基づきまして、このモントリオール議定書で認められた基準値の範囲内で国内の需要というようなものも勘案いたしまして、円滑な特定フロンの削減を図るために、真に必要な需要量に対して製造数量の許可というものを行ってきているわけです。  モントリオール議定書におきましては、オゾン層の保護のために特定フロンを全体として生産量の削減ということを規定しているわけでございまして、特定フロン全体の上限値をそういう意味でモントリオール議定書では決めているということでございます。  これに対応しまして、この製造数量を決めていくときには、特定フロン全体としての許可製造数量を決めているわけでございまして、例えば平成四年度の数字というものは基準年に対しまして六〇%弱、それに対して平成五年度の数字というのは四〇%程度ということで、基準量を大幅に下回った製造数量の許可という数字になっているわけでございます。  平成五年度において生産された冷媒用のフロンというものにつきましては、こうした全体の生産量の枠内で生産されたものでありますけれども、今先生が御指摘ございましたことに関連して、冷媒用のフロンの生産が増加したということに関しましては、平成五年度の春ごろにこのカーエアコン用の冷媒用のフロンというものが不足をいたしまして、市場が混乱をしたというようなこともございまして、この全体の枠内の範囲内でその冷媒用のフロンの増産が行われたということでございます。  そういうことでございまして、いずれにしても当省としては九五年末のフロンの全廃ということに向けて特定フロンの回収を促進していくということの重要性というのは痛感しているところでございまして、そういうことを踏まえながら、フロンの回収の取り組みをさらに強化し支援をしていくと同時に、今後の製造数量の許可に際しましては、そういった回収量、こういうものを念頭に置きながら、真に必要な量の許可というものをしていくということにしたいと思っております。
  237. 高見裕一

    ○高見委員 市場の混乱という言葉がございましたので、ちょっとこれだけは言っておきたいことがございますが、今のお話は、需給が逼迫をして市場の混乱が起こったという御趣旨がと思います。ゆえに増産を許可をした。しかし、需給の逼迫というものはあくまでもストックが増加して流通が阻害されたという点にあるのじゃないかな。増産をさせなくても問題解決は十分可能であったのではないだろうか。フロンの供給は十分になされているのだということを使い手側に、消費側に認識させる力、その努力が足りなかったのじゃないかと思えてなりません。具体的にどのような努力をなさったのか。  実際に末端のサービス缶の価格が四百円から四千円、十倍にまで高騰したということは事実であろうかと思います。しかし、一番上部の流通というものは二百円が四百円になっただけだということも、これも事実でございます。このことからも明らかなように、パニックを、市場の混乱を鎮静化させる手段として増産が絶対に必要であったかといえば、必ずしもそうは言い切れない、そのように思いますが、いいがでしょうか。
  238. 増田優

    ○増田説明員 まず第一点でございますが、カーエアコンの関係のフロンの増産ということでございますが、先ほども申し上げましたように、この議定書に規定されているこの特定フロンの上限値、その全体のフロンの量の枠内で増産をされたということでございます。  それから先生御指摘の、情報をきちっと提供するということが市場の混乱を防ぐという意味で非常に重要だという御指摘につきましては、我々も全く同感でございまして、その意味で、その後、我々も教訓を歩といたしまして、情報提供についてはさらに努めているところでございます。  いろいろなセミナーを開催したりあるいは中小企業事業団というふうなところの機能も活用をいたしまして、この需給関係の情報のみならず、中小企業の方々がいろいろな形で転換していきやすくするために、代替技術あるいは代替品等についての情報、あるいはさらにきめ細かい指導をしていくという趣旨から、具体的な指導員制度というふうなものも設けまして、いろいろな角度からの情報提供をさらにしていくということについては、我々も一層努力をしていきたいと思っております。
  239. 高見裕一

    ○高見委員 その努力は歩といたしますが、現段階でほぼ十分であると認識をしておられますか。
  240. 増田優

    ○増田説明員 円滑にフロンの削減を実現し、非常に前倒しになりました九五年末全廃というふうなことを達成していくためには大変な努力が必要でございますので、情報提供につきましても、これで十分ということはないかと思います。したがいまして、我々としては、いろいろな機会を通じて、いろいろな場面、いろいろな方々に情報提供をし、お話をしていくということは必要であるというふうに思っております。
  241. 高見裕一

    ○高見委員 総枠規制をより一層前倒しを早めて強化していくという姿勢は十分におありというふうに受け取れましたが、いかがでしょうか。
  242. 増田優

    ○増田説明員 モントリオール議定書に定められております上限値、この枠内の範囲内で実際にどれだけの需要があるのか、この辺を厳密に見ながら、真に必要なものだけをこの製造数量として認めていくということで今後ともやっていきたいと思っております。
  243. 高見裕一

    ○高見委員 真に必要なもの、要するにエッセンシャルユースですね。真に必要なものの認定をより厳しくしていくという方向に関する努力をなさるおつもりはございますか。
  244. 増田優

    ○増田説明員 先ほどから御指摘ございました点も踏まえて、この回収、再生で出てくる量というものを踏まえまして、本当に需給関係で必要なものはどれだけか、これをきちっと押さえながら製造数量の許可というものをやっていきたいと思っております。
  245. 高見裕一

    ○高見委員 現状では排出は野放しに近いものでございます。このままの仕組みで回収が進むとはなかなか考えにくうございます。回収を義務化し、オゾン層を保護する、そういう施策推進することが世界第二のフロン生産国としての責務、重要な責任であるというふうに私は考えます。日本地球環境問題に関して積極的な役割を担うべきでありまして、フロンの問題もそのような視点でとらえなければならないというふうに思います。  特定フロンの生産量というものを、モントリオール議定書の枠だけではなく、もっと分野別、用途別にきっちり細かく規制をする必要がますます出てきたのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  246. 大澤進

    ○大澤政府委員 フロンの回収というのは私ども大変重要な課題と考えておるところでございますが、さらにそれを積極的、強制的といいますか、義務化をして進めるというのも一つの方策としてあり得ることとは存じますけれども、今の時点で義務化あるいは強制化するという場合に、だれにどのような程度その責任を持ってもらうのか必ずしも明らかになっていないというようなことで、現段階においては、特定の者にその義務を負わすということが最善の方策であるかどうかというのはさらに検討を要する課題であろうかと存じます。  そこで、私どもとしては、フロン回収について、まず関係者間の役割分担や費用負担等を明確にしまして、コンセンサスを得た上で、それぞれの役割に応じた取り組みを進めることが適切であろうかと考えておりまして、現在関係省庁十八省庁が入っておりますが、そこで推進会議というものを構成しておりまして、そこで今申し上げたような点を鋭意検討しているところでございます。
  247. 高見裕一

    ○高見委員 時間がなくなったようでございますから、これで終わりますが、フロンの問題、要するにUV−Bの増加問題というのはなまなかなことで解決ができる問題ではない、多分長官もそう認識をしていただいているのではないかと思います。これはある意味では国家の価値観の問題かと思います。今価値観を切りかえておかないと次の世代に本当に大きなツケを回すことになってしまいます。関係者一丸となって一層の努力をなさることを心より期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  248. 持永和見

    持永委員長 岩佐恵美さん。
  249. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣は所信で国立・国定公園の核心地域における、すぐれた自然の保全、復元をと述べられました。また、生物多様性の保全について、世界遺産地域保護管理の推進、こういう点も言われました。こうした課題の大もとである今後の自然保護行政の基本的な姿勢についてまず伺いたいと思います。  自然保護行政のあり方というのは、従来のすぐれた景観、風致の保護という枠内にとどまらず、生態系、野生生物、生物多様性を重視したものになっていくべきだというふうに私は思いますけれども、その点も含めてどうお考えでしょうか。
  250. 宮下創平

    宮下国務大臣 自然環境保全の問題は、我々が健康で文化的な生活という意味で、生存していくことに欠くことのできないものでございまして、広く国民がその恩恵を享受することができるようにしていかなくちゃいけない。そして、ただ眺めてきれいだなという、そういう視点だけでは確かにだめでございます。やはり生態系それ自体を保全して、そしてこうした我々のとうとい環境を子孫にまでずっと及ぼして、これが享受できるような形で自然保護行政をやっていかなければならない、こう思っております。
  251. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在策定が進められている環境基本計画中間とりまとめでも、生物の多様性の確保及び野生動植物の管理、保護、その総合的かつ計画的な推進、これが明記されています。  そこで、自然公園法による国立公園や国定公園の公園計画や管理計画、または管理計画に準ずる指針、要綱などについてですけれども、今後計画を見直す場合、すぐれた景観、風致にとどまらず、生態系、野生生物、生物多様性を重視した内容にしていく必要があると思いますけれども、その視点から積極的な見直しあるいは運用が必要だと思いますが、環境庁、いかがでしょうか。
  252. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 先生御指摘のとおり、景観という点だけではなく、あるいはすぐれた自然というものだけではなくて、野生生物の問題でありますとか、それから里山のようなものを守っていくとか、広い意味での自然保護行政というものを展開していく必要があろうという点では私ども全く同感でございます。  したがいまして、例えば具体的な国立公園の公園計画を考えます場合にも、見直しをする場合にはそうした点についても考えていくべきことについては、私どももそのように考えておるところでございます。
  253. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今二十八の国立公園、五十五の国定公園の中で管理計画を作成している地域は何カ所あるのでしょうか。
  254. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  管理計画策定を終わっているところは国立公園で十六でございますが、その一部について策定を終わっているところが七カ所ございますが、策定中のものと合わせて八カ所でございます。それからまだ策定が終わっていないところが四カ所ございます。これが国立公園でございますが、国定公園につきましては、これは都道府県知事が具体的な管理計画策定することになっておりまして、現在策定が行われているところは、一部で行われたところを含めまして四カ所というのが現状でございます。
  255. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今の、国立公園の作成中が八カ所ですか。それから手つかずのところですね、まだ何もやってない、これが四カ所ですね。これはどこの地域なのかというのをちょっとお示しをいただきたいと思います。  それから、都道府県が行っている管理計画、これが今四カ所と言われましたけれども、それもお示しをいただきたいと思います。
  256. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  現在管理計画策定されていない国立公園は釧路湿原、それから秩父多摩国立公園、小笠原国立公園、それから南アルプス国立公園の四カ所でございます。  国定公園についてはちょっと手元に資料がございませんので、後ほど御報告申し上げさせていただきたいと存じます。
  257. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国定公園については、何か三カ所は伺っているのですけれども、北海道と青森と石川というのは伺ったのですけれども、四カ所というのはもう一つがどこなのかなというふうに思いました。  例えば、秩父多摩国立公園ですけれども、一九五〇年に公園に指定をされました。その際に公園計画策定されて以来、いわゆる公園計画の再検討が全然進んでいない。管理計画もないわけですね。秩父多摩国立公園は水成岩の山地を主体とした数少ない国立公園である。動植物の種類も多く、豊かな自然に大変恵まれています。また、都市部の水源地あるいは酸素供給地としての役割も非常に大きいものがあります。  自然は破壊されればもとに戻らないことは自明のことです。秩父多摩国立公園は普通地域が全体の五八%を占めているのに対して、特別保護地区は全くありません。今普通地域の中ですぐれた自然が残る場所を特別地域に変更するための調査を進めているというふうに伺っていますけれども、進捗状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。
  258. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 国立公園の公園計画を見直しをする場合には、関係地方公共団体関係行政機関との調整が必要でございまして、その調整にかなりな時間を要するというのが実情でございます。これは具体的な規制を強化するという場合が多いわけでありまして、そうした場合には当然そうした手続を踏むというのは法制上の要請になっておりますので、そうした実情にあるということについては御理解をいただきたいと思います。私どもとしてもできるだけ早期にこうした見直しを進めてまいりたいと思っております。  なお、先生御指摘の秩父多摩国立公園につきましては、現在、私どもの管理事務所におきまして具体案を策定をいたしておりまして、これを関係地方公共団体等と調整をしているというのが現状でございます。
  259. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 秩父多摩国立公園は、一都三県にまたがっています。都心から近いため、非常に利用者も多いし、私もちょいちょい行っているのですけれども、開発も大変進んでいます。ぜひ早く調査を進めて、貴重な自然が残っているところを特別地域として保護していくというような施策を早くやっていただきたいと思います。それに基づいて公園計画を再検討して、早く管理計画策定できるようにしていただきたいというふうに思います。  長官、ぜひこの点で御助力をいただきたいと思いますが、一都三県にまたがるということで、なかなか調整が大変なようなんですね。そういう点で、ぜひプッシュをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  260. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指示に従って、努力させていただきます。
  261. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、昨年十二月に、世界遺産条約による登録地域に屋久島と白神山地が指定されました。そして、国際自然保護連合事務局は、登録推薦に当たって、屋久島、白神山地、それぞれの管理計画をつくるよう勧告をしています。管理計画作成の作業がどうなっているのか伺いたいと思います。
  262. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  白神山地、屋久島につきましては、先生御指摘のように、指定に際して管理計画をつくるようにという勧告を受けているところでございます。これは、こうした地域の管理が、国立公園という形あるいは保全地域という形では環境庁が管理をいたしておりますが、林野庁が森林生態系保護地域、文化庁が特別天然記念物ということで、それぞれの各省庁がそれぞれの制度で管理をするという、複数の制度による管理という形になっておりますので、そうしたことから今お話のありました管理計画考え方が出てきているということでございます。  この管理計画は、私どもとしては、登録後二年間を目途に策定をいたしたいというふうに考えておりまして、現在実態把握なども含めまして詰めているところでございますが、今後関係省庁や関係の自治体とも協議をして、策定作業をできるだけ早く進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  263. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 例えば、国際自然保護連合は、屋久島の自然について「屋久島の価値は観光利用の面での魅力というよりは生物学や自然科学、自然美学等の分野における重要性にある。」と評価をしています。「区域の改善地域の管理の強化に対する助言が、観光による地域への影響を憂慮する留意とともに日本政府に送られるべき」、翻訳文章だからちょっとわかりにくいのですけれども、勧告をしております。  そして、改善すべき三つの問題点を挙げているわけです。  一つは、境界ですね。例えば屋久島の場合、「当該地は複雑で屈曲した境界線によって分けられ、境界線の幅は一キロメートルに満たない部分さえある。その面積に対する境界延長の比率は非常に大きく、また保護地域は歴史的かつ行政上の様々な要素によって輪郭を決定付けされてきたことから、その比率は時代の流れに対応して大きくなってきた。これらの地域中心部を取り巻く一連の緩衝地帯によって補完されているが、いくつかの明らかな世界遺産の価値、たとえば老齢大木を中心とした原生林、優れた景観を有する地形や滝は推薦地域の近隣のものでさえ除外されている。」というような指摘とか、あるいは遺産管理についての指摘としては、「関係省庁の一部は地域毎に別々の計画を打ち立てているが推薦候補地全体にわたる計画は存在していない。」という指摘だとか、維持管理について、「全体を統一するために適当な正式な管理組織がない。」ということ、また「観光事業自然環境に及ぼす影響は一般的には増大すると予想され、管理計画にはこれらを削減するための方策を明記すべきである。」こういうような指摘が屋久島についてはされています。  また白神山地についても、ゾーンを広げるということだとか、あるいは当該地域の法的地位の格上げを検討しなさいとか、あるいは管理計画について、これは協力仕組みが位置づけられるということが必要だ、そしてちゃんと実効あるものになるようにというような指摘がされているわけです。  このように、屋久島、白神山地とも、それぞれ特徴ある豊かな自然が評価をされ、登録されてきたものですけれども、同時に、今言ったような指定区域の不十分さ、見直し、これが指摘をされ、また観光利用による影響、これを非常に心配されているわけです。このような指摘あるいは勧告を本当にきちんと受けとめるべきだというふうに思いますけれども、その点についての環境庁のお考えを伺っておきたいと思います。
  264. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、登録に当たりましてはいろいろな指摘があったわけでございますが、例えば白神山地について、ゾーンを拡大するという点については、登録に当たってバッファーゾーンを拡大するというような対応をいたしているところでございますし、そのほか、いろいろな諸点についても、今後管理計画策定していく段階で適切な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  265. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 例えば屋久島でいえば、大王杉や千尋の滝など、国際自然保護連合の推薦書によれば「老齢大木を中心とした原生林」、先ほど申し上げたそういうところも指定になってないというような指摘があるわけですね。それから白神山地についても、コアゾーン、バッファーゾーンをそれぞれもつと広げていくべきだ、今でさえまだ狭いんじゃないか。この間、私も白神山地も秋田側から入りましたし、それから屋久島も行ってまいりましたけれども、やはりコアゾーンが普通地域と接触をしているというか、バッファーゾーンがないような地域もあるわけですね。こういう点では、やはり豊かな自然をきちんと守っていくにはおぼつかないのではないかという気がいたしました。そういう点で、ぜひ大臣もそのことを念頭に置いていただいて、環境庁としてしっかり取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  次に、管理計画は、自然環境保全という目的のために各省庁にまたがる仕事を一つにまとめて立てていくべきものだと思います。例えば白神山地について、自然保護団体は、現状では行政の枠を超えて統一的な管理計画を出せるかどうか疑問だ、そういう意見が出ているのですね。  それからもう一つは、登録区域を所管するのが環境庁、林野庁、文化庁、これは屋久島へ行って本当につくづく思ったのですけれども、皆さん一生懸命頑張っておられるわけですね。それはそれとしていいのですけれども、各省庁にまたがる、道路でいえば建設省、ごみでいえば厚生省、離島だから今度国土庁とか、そういうふうにすごく分かれるのです。そういう関連する政府機関をまとめていかなければいけない。地元自治体もあります。それから自然保護団体もあります。こういうみんなをまとめていけるような保護管理委員会というのですか、そういうものが設置されるべきじゃないか、そういう勧告もあるわけですし、そういう点で、保護管理委員会の設置、それから先ほどから出されている管理計画策定、これを本当に政府が一体となってやっていかれるということがとても大事だというふうに思います。  各省庁に分かれているだけに、今とても政治力といいますか指導力が求められているのではないかと思いますけれども、その点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  266. 宮下創平

    宮下国務大臣 先般、東京地球環境会議にIUCNの事務局長さんもお見えになりまして、この世界遺産の指定について大変御助力をいただいたり、御助言をいただいていることをお聞きいたしました。先生のおっしゃるとおりです。  それぞれの役所でそれぞれの機能に基づいて目的があると存じますけれども、やはり世界遺産というようなことになりますれば、これは我が国だけの持ち物といいますか、そういうことじゃなくて、人類の遺産、世界の遺産ということでございますから、縦割り行政の利点もありますけれども、それは統合する機能は確かに必要ですから、これは恐らく環境庁が主導的な役割を果たしていいのかなと思いますが、調整的な役割を果たしながら、今後検討させていただきたい。せっかくの世界遺産の指定でございますから、そんなことで検討させていただきます。
  267. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 せっかく世界遺産に指定されても、余りうまくいかないと登録が取り消されるということもあるわけですので、ゆめゆめそういうことがないように、せっかくの遺産をしっかりと守っていくべきだというふうに思います。  次に、自然公園の保護管理と公園事業のあり方の問題で具体的に伺いたいと思います。  私は、ことし八月に鳥海山の外輪山二千メートルまで登ってまいりました。雪渓を三つ越えるのですかね。かなりきついコースでしたけれども、登ってまいりました。古代ブナという全国的にも貴重な植生がありましたし、種の保存法で国内希少野生動植物に指定されているイヌワシが飛翔している、こういう地域でもございます。  それで、私が非常に鳥海山に興味を持ったのは、私自身裁判で二十年間ぐらい山形に月に一遍ぐらいずつ通っておりまして、月山と鳥海山が非常によく見えて、本当にすばらしい山だなというふうに思っていたことと、それからもう一つ、「山と高原地図」という、鳥海山についての地図と紹介があるのですね、パンフレットがあります。このパンフレットをずっと読んでおりまして、「あとがき」に私は非常に注目したのです。池田昭二さんという方がこの「あとがき」を書かれているのですけれども、とても貴重な文章だと思いますので、ちょっと長いのですけれども、読ませていただきますので、お聞きいただきたいと思います。   深田久弥さんが日本百名山を選ぶにあたって、山の品格、歴史、個性という三つの基準を設けたことはよく知られている。ところで百名山の一つである鳥海山の個性とは一体何だろう。   鳥海山の初版を出して十五年が過ぎたが、その十年近くを私は鳥海山の万年雪の調査に費やし、興味深い事実を確かめることができた。融雪期に入る前の五月下旬、積雪量が三十メータ一を越える所が数十ヘクタールもあり、深い所ではなんと五十メーターを上まわっていたのである。しかも万年雪の幾つかは水化しており、年間四十数メーターの速さで流動している。つまり規模こそ小さいが、氷河が存在していた訳である。私は氷河だと言われるところで水を飲んでまいりましたけれども、そういうところなんですね。それで、   北緯三十九度という温暖地帯に氷河をもたらしたものは、日本海からじかに吹きつける猛烈な冬の季節風であった。鳥海山に落ちる雪の大部分は北西風に吹き飛ばされ、風下側の南東斜面に山のように堆積していく。これが夏になっても解けきれず、万年雪となって残るのである。   鳥海山の個性とは、日本中どこにも例を見ない厳しい冬の季節風と、それがつくり出した万年雪、そして豊富な残雪に育まれた美しい雪田植物に外ならない。この豊かな雪を食いものにし、今大規模スキ一場の計画が進められ、その測量でブナ林がなぎ倒されている。何とかこの無謀な自然破壊を思い留まらせ、素晴しい鳥海山を後世に残す術はないものかと思う。鳥海山の雪と、ブナと、花を愛する全国の皆さんの英知と力をお借りしたいと切に願うこの頃である。私はたまたま池田さんという方を全く存じ上げないでこれを読ませていただいて、私が非常に好感を持っている鳥海山にそういう計画が持ち上がっているということを初めて知ったわけでございます。  そこでお伺いしたいのですが、鳥海山は国定公園であります。本来だったら、しっかりした管理計画都道府県段階で立てられるべきだというふうに思いますし、この豊かな自然環境というのは守られてしかるべきだと思います。私は、鳥海山が国定公園だと思わなかったのですね。もともと国立公園じゃないのかというふうに思っていたぐらい、本当に国立公園であってもおかしくない、そういう地域だというふうに思っております。今この鳥海山のことについて、池田さんの訴えを聞かれて、長官が率直なところどうお感じになられたか、御所見をお伺いしたいと思います。
  268. 宮下創平

    宮下国務大臣 池田さんの今の御意見を拝聴いたしまして、私はまだ鳥海山は登ったことはございませんけれども、よくほうふつとしてわかるような感じがいたします。そういう観点で見る人がやはり多くおられるな、そしてまたそれとの調和をやはり図っていかなければいかぬなという感想を持ちました。
  269. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この鳥海国定公園内の八幡町では、現在、総面積六百二十ヘクタールの鳥海南麓森林空間総合利用整備事業計画が進められております。その中核をなす事業が、今池田さんが言っておられた大手ディベロッパー・コクドが行う面積二百九十三ヘクタールに及ぶ大規模スキー場計画なわけです。このスキー場計画は、標高六百二十メートルから千百七十メートルの範囲で、第二、第三種の特別地域となっています。この地域は、十二月から四月までの百五十一日間に、毎秒風速十メートルを超す暴風日数が百三日間にも及びます。標高千二百メーターもの高所にスキー場をつくった場合、スキー客の安全が保証できないのではないか、こういう不安があります。  私も庄内に月一遍ぐらいずつ行きまして、冬の時期もありました。物すごい地吹雪が吹くのですね。それで、そのときはタクシーも怖がって走れないようなありさまでした。最近は随分そういう地吹雪を防護する壁がつくられるようになりましたけれども、この二十年ぐらい前は余りそういうものもなくて、タクシーはそういう道は走れないという状態にあったわけですね。そういう意味では、庄内地方は暴風日は大変な状態になるわけですけれども、念のためにちょっと環境庁伺いたいのですが、庄内の地方で標高千二百メーター地点にあるスキー場があるでしょうか。
  270. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 大変申しわけございませんが、手元に資料を用意しておりません。申しわけございません。
  271. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 庄内全体のスキー場が十一カ所あるのですけれども、一番標高が高いところで湯殿山スキー場、朝日村です。ここが七百三十五メーターで、一番高い。例えば松山スキー場なんというのは二百八十五だとか、三百、百七十なんというところもありますね。みんなどこも標高が非常に低い状態になっております。ですから、こういう地域に千二百メーター級のスキー場をつくるということが非常に無謀であるということはうなずけることじゃないかというふうに思います。  一九七三年十月に秋田、山形の両県の自然保護課長が取り交わした「鳥海国定公園の保護管理方針について」、そういう文章があります。この中に、鳥海国定公園の保護及び利用に関する基本方針があって、この三項で、各種産業行為及び開発行為については、標高おおむね六百メートル以下の地域で必要性の認められるものに限り許容する、この場合、原則として公園事業に合致するものとし、自然公園法第十七条によるものは極力制限するものとするとなっているわけです。確かに、この了解事項をよく読んでいきますと、スキー場は、原則として標高おおむね千二百メートル以下の地点にとどめて許容する、こういうところもあるわけですけれども、これは、公園事業としてのスキー場計画ということであって、いわゆる民間ディベロッパーの開発事業であれば当然これは許可できない、そういうものだというふうに思いますけれども、その辺のお考えを伺いたいと思います。
  272. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 先生御指摘の鳥海山におけるスキー場計画でございますが、現在山形県におきまして、野生生物の問題、御指摘のありました問題、あるいはこれも御指摘のありました矮性ブナ林の保全の観点から、いろいろ慎重に対応されているというふうに承知をしております。  それで、先ほどお話ありました、民間は認められないのではないかというお尋ねでございますが、一般論として申し上げますと、公園事業につきましては、国なり自治体が行うものと民間が行うものと両方ございまして、民間の場合には認可という手続をとります。その際に十分その適性をチェックをするということになろうかと存じます。いずれにしましても、県の方で適切な判断がなされるものと考えております。
  273. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 開発許可なら認められない特別地域で、しかもスキー客の安全性も保証できない、そういう地域でコクドが公園事業として堂々開発ができることになっている、ここに非常に大きな問題があるというふうに思います。  さっき言われた古代ブナ、これは私も見ましたけれども、葉脈の先が、きょう本当はサンプルがあればよかったのですけれども、とがっているんですね。だんだんブナが進化をする過程で丸くなるんですね。人間も年をとると丸くなるということですけれども、葉っぱも何か丸くなるんですね。やはり古代のものというのはとがっている。そういうものがそこに残ったというのは非常に貴重だというふうに思っていますし、そこの地域では固まって残っている、ちょうどそのスキー場計画の近所になるわけですけれども。そういうことだとか、あるいはイヌワシが飛翔している、非常に自然環境の豊かな地域なわけです。  環境庁は今、種の保存法に基づいて国内希少野生動植物種の生息地保護区に対する指定の区域の保護に関する指針、これを今年度じゅうに策定をして、野生動植物種の保護管理対策を進められるというふうに伺っております。指針では、対象希少種の生息環境に応じて保護区の範囲の設定あるいは開発行為の規制、こういう内容が当然盛り込まれるというふうに思いますけれども、いつごろできるのか、その点どうなのか、環境庁伺いたいと思います。
  274. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 種の保存法に基づきまして、野生動植物のうち絶滅のおそれのあるものについて、まず種を指定いたしまして、そして生息地保護区の指定の対応をいたします。それから具体的な保護増殖事業実行してまいる、こういう段階になるわけでございますが、先生、今お話がありましたのは、保護区の指定をどのようにやっていくか、あるいは具体的な、そうした地域における規制の、地域を指定した場合の規制のあり方の指針ということだろうと思いますが、今鋭意進めている段階でございます。  時期は、年度内にはというふうに考えております。
  275. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そこで、長官にお伺いしたいんですけれども、最初に申し上げたように、今や景観だけじゃなくて、自然環境を守るという場合には、そこの生態系だとか、あるいは希少野生動植物が住んでいるとか、あるいは本当にさまざまな貴重な自然が残っているとか、そういうこともよく考えていかなければいけないというふうに思うんですね。  ぜひこの鳥海山の問題については環境庁としても、県がやっているからいいやととうんじゃなくて、しっかりと県を指導していただきたい、そのことを私は切にお願いを申し上げたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  276. 宮下創平

    宮下国務大臣 またよく県の方と連絡をとらさしていただきたいと思っております。
  277. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 昔、私この環境委員会質問しまして、多摩川上流の秋川という地域に産業廃棄物をどんと捨てるという問題があって、東京都がそれを認めるというところまでいってたんですけれども、環境庁長官、ちょうど当時梶木又三大臣でしたけれども、指導しますと言っていただいて、この計画はいまだに凍結ということで、非常に地域では喜んでいるわけです。環境庁はそれだけの力がありますので、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。  最後に、ちょっと時間がなくなりましたけれども、もう一問伺っておきたいと思います。  国立公園八甲田山系のブナ林の無許可伐採についてです。八甲田スキー場を経営する八甲田山リフト株式会社が田茂萢岳のスキーコースに隣接する約三千平米を、スキー場を拡張するため、ことし八月の末ごろ無許可で伐採をしました。ブルドーザーなどで皆伐した現場は見るも無残な状態だというふうに言われています。新聞で見ましたけれども、本当にひどいと思います。  この地域は第三種特別地域に指定をされているわけです。伐採をするには環境庁長官の許可が必要なわけです。現地がめちゃめちゃになっちゃって、原状回復に百年かかる、そう言われているわけですけれども、私は、その国立公園の中で、しかも第三種特別地域に指定されているような、こんなところで何か無許可の開発行為がまかり通るというのは絶対に許されないと思うんですね。  そういう点で、今どう対応しておられるのか、今後こういうことが絶対にあってはならないということで、環境庁としてどういうふうな決意でおられるのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  278. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の違法行為、違反行為でございますが、これは既につくられておるスキー場のいわば安全確保を目的として、カーブを改良するために樹木を伐採したというふうに聞いております。  とはいえ、安全性の確保とはいいましても、先生御指摘のように自然公園法の手続を経ずに行った行為でありまして、私どもとしても大変遺憾な行為であるというふうに考えておるところでございます。今後こうしたことがないように事業者を厳重に注意いたしますとともに、自然を早期に回復させるために違反者に対して適切な措置をとらせたいということで現在私ども検討している段階でございます。
  279. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その安全性確保の問題なんですけれども、安全性を確保するために一体どういう計画が必要なのか。もしかしたら、そういう広げる必要ないかもしれないのですね。安全性を確保してうんと広げて、どんどん人が入ればそれで自然はめちゃめちゃになるじゃないか、現地ではそういう話もあるのですね。私は、この問題について環境庁は一歩も引かずにきちんとやっていただきたい。大臣の御決意を最後にお伺いしたいと思います。
  280. 宮下創平

    宮下国務大臣 具体的な事案でございまして、私が今ここで結論を申し上げるわけにはまいりませんが、今自然保護局長の言われたとおりでございまして、今後よく実情を見させていただくということが必要かと存じますので、そのことを申し上げさせていただきます。
  281. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  282. 持永和見

    持永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会