○辻
委員 先ほど言いましたように、大阪に、万博に電気を送ってから二十四、五年たっておりますが、現在十五の発電所があり、千百八十万キロワット、約千二百万キロワット、これはどこにもない集中地だと思います。
この二十四、五年間、県民や住民もまたなかなか大変だったと私は思います。それは第一は、五十年代に
日本原電の海水への放射能漏れがあって、これは非常に大きな問題になりました。それから三年前には、
平成三年二月には、御承知のように関電の蒸気発生器のいわゆる破断
事故が起きて、
我が国で初めて緊急冷却装置、ECCSが作動したという大きな
事故があったわけですね。これらは
予算委員会等で随分と論議をしてまいりましたが、なかなか住民や県民の皆さんも大変な二十五年であったと思います。
そういう中で、若狭湾は、長官も新潟ですから御承知のとおりですが、西
日本有数の観光地といいますか海水浴場ですね。夏にはあの若狭湾一帯には七百万ぐらいの海水浴のお客さんがあふれる。したがって道か大変で、地域
振興では高速道という随分強い熱望がありますが、それは別として、そういうところであるということ。その中で今言った大きな二つの
事故がある。
そんな中で、SG、蒸気発生器の
事故からもう三年半ですね。ようやく蒸気発生器を入れかえて、そして試運転をやって、八月から動き出したのですね。県民の皆さん、住民の皆さんとしては、あれだけの
日本で初めてECCSが動いたというそういう
事故の後、取りかえられた蒸気発生器が心配なしにちゃんと動くのかどうか、こういうことをいましばらくは当分見守りたいという、こういう時期なんですね、
ところが、そのときに、その八月に、試運転が始まって間もなしに
日本原電から事前
調査の申し入れが福井県になされた。だから、こういう
状況から考えますと、県民感情をある意味では逆なでしたようなことじゃないかと思うのですよ、このときは。
皆さんからいうと、十五基、千二百万キロワット、
日本の国のエネルギー政策には今まで十分協力をしてきた。そしていろいろな
事故もあった。今は高経年炉、いわゆる二十年以上経た炉がもうできてきているわけです。古くなれば新しいのよりも大体いろいろな問題、トラブル、故障、
事故が出ますから、高経年炉に対して、二十年を過ぎたそういうのを相当抱えていくわけですから、これらに対する安全に力を入れるのが今の時代だ。
このときにまた二つもさらにつくろうという申し入れをするというようなことは、とんでもないことではないかというのが私は福井県の大体八割以上、いや九割の住民感情ではないか、こういうように思うわけであります。それが私は県民の大体の世論だと思っております。
だから、ちょっと実態を申し上げると、自治体はそれぞれの手続を経ておるわけですから、これはこれでまたちゃんとしたやり方をしておりますが、周辺の町村は、八力町村が一斉に協議会をつくって反対を表明している。それから、そういう県民の感情を反映して、この数日月に、わずかの間に十五万の署名が集まっている。恐らくこれは年末までやれば二十万にはなるのではないか。福井県の有権者、六十五万弱ですか、これに比べると相当な数である、こう言わなくてはいかない。こういうことが大体福井県の命の実態だと思っております。
こういう
状況の中で、先ほど
お話がありました福井県の知事も、慎重に考えざるを得ない、そして一年ないし二年先に増設するかどうかを判断をする、そのときにはノーと言うかもしれませんよということを発言しておるわけですね、記者会見で。こういう中で
日本原電は
調査をやります、こう言っておるわけですか、私は、こういう
状況の中で
調査を無理に進めていこうとすれば、全く県民感情からかけ離れたことになるのではないか。
長官は、
所信表明において
国民の
理解を得てという
言葉、これは長官の表明にもありますし、また原子力白書あるいは新長期計画の中にもうたわれておりますが、
国民の
理解を得るには、一番
世界一集中しているこの地域の
理解なしに
国民の
理解はあり得ないと思うのです。こういう
状況の中で、一体
国民の
理解を得るという立場から立ってどういうように考えていらっしゃるか、これは
日本の原予力行政の最高責任者であります長官、原子力
委員長としての見解をまず承りたいと思います。