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1994-11-01 第131回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月一日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 宮里 松正君    理事 甘利  明君 理事 臼井日出男君    理事 原田昇左右君 理事 上田 晃弘君    理事 岡田 克也君 理事 笹木 竜三君    理事 今村  修君       塚原 俊平君    林  義郎君       近江巳記夫君    川島  實君       古賀 一成君    斉藤 鉄夫君       鮫島 宗明君    辻  一彦君       渡海紀三朗君    鳩山由紀夫君       牧野 聖修君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     新  欣樹君         科学技術庁科学         技術政策局長  石井 敏弘君         科学技術庁科学         技術振興局長  工藤 尚武君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      杉内 直敏君         外務省アジア局         北東アジア課長 中村  滋君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 宮里松正

    宮里委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  3. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、自由民主党を代表しまして、この前の大臣所信表明関係して、科学技術基本政策について御質問申し上げたいと思います。  私、この本を読んだのですが、「日本経済の将来像」というのです。これは野村総研理事長、鈴木さんのお書きになった本ですが、これにも出ているのですが、ジェトロで最近募集した川柳で、「働いて円高にして首をしめ」という川柳があるのですよ。これが入選した。  我々日本人は、一生懸命働いて、汗水垂らして働いて、そして将来の不安に備えて貯蓄をする。そうすると貯蓄が過剰になって、そして経常収支黒字が拡大していく。それによって円高になる。そうすると、また産業競争力を回復せにゃいかぬというので、リストラをやったり首切りをやったり、やれ移転したり空洞化したりしてくる。そうすると、やっぱり不安だから、これは大いに将来に備えて国民貯蓄に励まなきゃならない、こういうことになって悪循環になっていく。一生懸命働くけれども、円高になって、結局みずからの首を絞めるにすぎない、こういう話でございますが、これでは全くやりきれないわけでありまして、我々としてこんなことを見過ごすわけにはいかぬわけであります。  一番基本的にどういうように考えていくかということ、私は、円高になって空洞化する産業については、新しい産業ニューフロンティアを開拓していく、そして新しい分野でどんどん産業が興るということにしなきゃならぬ。それは規制緩和もあるでしょうけれども、一番大事なのは、やっぱり科学技術振興だと思うんですね。基礎的な科学技術が本当に独創的な力を発揮して、新しい産業ニューフロンティアを開拓していくことが必要です。現状をブレークスルーするのは科学技術の力であります。それには基礎研究に、また国のやるべき分野において、大いに科学技術研究開発投資をやっていく、また民間投資を誘導していく、こういうことが非常に大事だと思うのですが、このような観点から幾つか大臣に御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、我が国科学技術水準欧米諸国と比べでどのような水準にあるか、お伺いしておきたいと思います。
  4. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  今ほどは原田委員から大変示唆に富んだいいお話を伺ったと思っております。  もう御案内のとおりでございますけれども、確かに予算関係もございまして、基礎研究分野はなかなか不十分であるというふうに思っております。ただ、応用開発の面は、民間が中心になってやってきているということもあると思いますけれども、ライフサイエンスでありますとか生産とか機械とか海洋とか、まあほどほどに進んできているかなということを思いますけれども、今本当に御指摘があったように、基礎的な科学技術の進歩というものが新しい産業ニューフロンティアになり得るという御視点は大変貴重でございますので、また先輩の御指導も仰ぎながら、予算獲得ももちろんしなきゃいけませんけれども、新しい観点から研究してまいりたいと思います。
  5. 原田昇左右

    原田(昇)委員 大臣、私は、応用分野とか実際にプロダクションに移す分野、そういうところでは非常に日本能力は高いと思うのですけれども、基礎研究分野、例えばノーベル賞をとるような分野、これは欧米諸国と比べるとかなりハンディがあるような気がするのですね。主要諸国と比べても、基礎研究について本当に独創的な新技術の創出というのをもたらしていかなきゃならぬと思うのですが、それがこれからの一番大事なことではないかと思うのです。  基礎研究振興について、これはやはり民間にゆだねるわけにはいきませんから、どうしても国みずからがイニシアチブをとってやっていく必要があるのではないか。これについて大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  6. 田中眞紀子

    田中国務大臣 本当に今、原田先生がおっしゃるとおりだと思いますので、時代認識を新たにいたしまして、今おっしゃったような方向に行くように努力をしていくべきだと思います。  基礎研究の推進というためには、予算獲得もそうですし、私どもみんなでもって知恵を結集していかなければいけないと思います。ただ、政府研究開発投資については、対GNP比でもって我が国全体の研究開発投資に占める負担割合というものは、いずれも先進諸国に比べて格段に低いというのが今までの実情でございますから、これからは科学技術振興調整費ですとか政府研究開発投資等を拡充いたしまして、今後さらに充実を図っていきたい。特に新しい視点を加えていくべきだろうというふうに思っておりますので、御指導いただきたいと思います。
  7. 原田昇左右

    原田(昇)委員 どなたか局長さん、研究開発投資現状というもの、各国との比較、簡単に教えていただきたいのです。私の手元にあるのでは日本の対GNP研究費比率というのはかなり高いけれども、基礎研究については大臣の言われたようにもう本当に低いということですが、どのくらいですか。
  8. 石井敏弘

    石井(敏)政府委員 お答えいたします。  我が国全体の科学技術関係経費、国全体で申しますと、平成四年度ベースで十三兆九千億円でございいまして、これはGNP比で二・九六%でございます。この国全体の研究投資額は諸外国に比べまして遜色がないというような水準にあるわけでございますが、基礎研究等公的部門が負担すべき研究費政府負担研究費というものにつきましては、我が国の場合二兆七千億ということでございまして、対GNP比で申しますと〇・五七%というような水準にございます。  ちなみに外国の場合を見ますと、この政府負担研究費GNP比を見ますと、アメリカの場合は一・一三%、フランスが一・二%、ドイツは〇・九七%といったような水準にございまして、そのような意味から申しまして、基礎研究等公的な部門が負担すべき研究負担割合か低いということが現状でございます。
  9. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今おっしゃったとおりだと思います。  そこで、まず基礎研究政府の負担すべき分野において研究費を大幅にアップすることは大事だと思うのですけれども、そのほかに、かねてから私は、科学技術振興のため最も重要なのは、何といっても優秀な人材が必要だと思うのですね。創造力豊かな研究者技術者を養成確保することは何よりも大事ではないか。  そこで大臣にお伺いしますが、優秀な科学技術系人材確保するためにどういう方策を考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  10. 田中眞紀子

    田中国務大臣 現段階では、若手研究者に対していろいろな研究機会を提供するとか、もう少し研究施設等環境整備するというふうなことは当然急務だろうと思います。  ですが、私は今回つくづく科技庁長官にしていただいてから感じておりますことは、理系離れ理系離れといっても、その設備環境整備は当然ですけれども、それ以前の人づくりという問題を基本から考えていかないと、この先五十年、百年後はやはり先細りになるのではないかということを思います。  それは、私自身三人子供を育てていながら、結構理科系のことに興味があるのに、受験という問題があるためにだんだんとそういう興味がそがれていってしまう。人それぞれ違うでしょうけれども、基本的な理科的なことに対する関心とか好奇心というのが人間にはあるわけでして、そういうものをはぐくんで大切にしていくことによって、まず基本的な科学技術興味人間関心というものが科学技術の進展にやはり役立つ原点だと思います。  ですから、与謝野文部大臣ともこういうことについてお話をしておりまして、役所間の枠組みを越えて、近々具体的に視察等文部大臣と一緒に行こうと思っておりますけれども、科技庁だけでは片づかない問題もございますので、文部省とも連携をとりながらこういう人材育成について検討させていただきたい。また具体的に行動する予定にいたしておりますことを御報告いたします。
  11. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今、大臣大変示唆に富むお話をしていただきました。確かに、研究環境整備して、研究者処遇もよくするということも大変大事でございますけれども、私それについては、この間、海洋科学技術センターを見に行ったら、「しんかい」で一番日本が深くまで潜れるものを持っている、これは世界一だと。それで、底の試料を採取して持ってきて、数百気圧の容器に入れて、その生物をそこで飼っておくことができる、これも世界一だというような話を聞きまして、そういう世界一、日本でなければそういうものがないということになれば、世界科学者が集まってくるのですね。やっている人も一番プライドを持ってやれる。  それから、つくばのサイクロトロンとか、通産、省の電子技術総合研究所ですか、ああいうのも世界にないものがあるということになると、日本からももちろんですが、外国からかなり人も来る。そういう環境づくりというのは非常に大事ですね。  ところが今、大学等へ行きますと、これは本当に東南アジアの大学よりよほど設備が悪いですよ。よくもこんなにひどいところでやっているな、まあよく頑張ってやっているなという気かいたしますけれども、やはりそこの基本的な研究環境をよくするということは非常に大事だと思うのですね。  それからもう一つ、若者の理科離れというか、受験勉強に追われて、おっしゃるとおり、とても新しい探求心を発揮していろいろ調べてみようというような余裕も何もない。詰め込み一本やりでやるという教育が、確かにこれはもう理科離れを起こしていると思うのですね。  この辺をやらなければいかぬと思うのですが、何か科学技術庁審議会ですか、そこでこの問題も取り上げておられるというふうに伺っておりますが、どんなふうに取り上げているのですか。どういう取り組みをしておられるのか。
  12. 石井敏弘

    石井(敏)政府委員 科学技術系人材確保につきましては、内閣総理大臣諮問機関でございます科学技術会議におきまして、総理からの諮問を受けて現在審議を行っているという状況でございまして、ことしの六月に中間段階の部会における中間報告が出されたというようなことでございまして、本年中には最終答申を行うというようなことになっております。  特にこの中間報告におきましては、ポイントといたしましては、優秀な人材確保していくためには、先ほどの大臣の答弁にもございましたように、若手研究者に対する多様な研究機会を与えるとか、あるいは研究者技術者がその能力を最大限発揮できるような研究環境整備をしていく、あるいは研究者技術者処遇の改善に努める、あるいは女性あるいは外国人等の幅広い人材確保を図っていくといったようなことをポイントといたした中間報告が出ておりまして、本年中には最終答申にこぎつけるという努力目標のもとに、なお現在審議が進められておる状況でございます。
  13. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のお話、承りました。この分野は大変大事なことだと思うので、日本科学技術教育の根本から、教育そのものの問題から議論しなければならない問題でもあろうかと思いますが、ぜひ頑張ってしっかりした方向を打ち出していただきたいと思います。  さて、国際的な問題でございますが、私は、かって科学技術委員長をやっておりましたとき、ちょうど海外視察アメリカに行きまして、ナショナル・インスティチュート・オブ・ヘルスというのですか、アメリカのワシントンにあります国立衛生研究所というのですか、そこを訪ねました。そうしたら、大勢日本人がいるのですよ。日本人の方が研究に従事しておられます。非常に役に立っている、日本人は優秀だといって所長さんが非常にお世辞を言ってくれましたが、と同時に、一つアメリカはたくさんの日本人を抱えて給料を払っているのですが、日本の方にアメリカ人はほとんど行っていませんわ、もうちょっとこれの収支バランスをとるようにしてもらったらどうでしょうかということを皮肉で言われまして、これには参ったわけです。  今や科学技術をめぐる国際環境というのは、非常に先端的な分野でも国境を越えた研究活動が行われており、国際的な交流が不可欠なのですね。そして、日本外国研究者にとって魅力のある研究場所だ、研究の場としては非常に魅力がある、ここへ来て勉強して、研究してノーベル賞獲得できる――今、日本の学者で科学部門ノーベル賞をもらった人は、ほとんどアメリカ研究でもらっておるのじゃないですか。  何か日本研究所に、もちろん言葉ハンディの問題もあると思うのですが、外国の人か余り来ない。いろいろ努力はされておるようですが、もっともっと外国頭脳日本に流出して困るというくらいのことにならないかな。なぜアメリカがあんなに優秀な頭脳世界じゅうから集めることができるのか、その辺を考えてもらいたいと思うのですね。どういうことでしょうかね、これは。
  14. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今、原田先生がNIH、これはたしかメリーランド・ベセスダにある施設でございますね。私もそこのアコーデルという教授をよく知っていまして、視察はしたことございませんけれども、ここがすばらしいところだということは聞いたことがございます。  確かにアメリカに、私も自分の留学経験からしましても、世界各国から来ているなということはもう随分前から見ておりました。今回科技庁長官にしていただいてから、理研ですとか、あとは放医研は視察させていただきましたけれども、先ほど先生がおっしゃった海洋センターもまだ行ったことはございませんし、東海村もこれから早目視察をさせていただきたいというふうに思っております。  今までの経緯の中では、当然重要なことでありましたし、理解はできますが、いわゆる科技庁というところが原子力とそれから宇宙開発に非常に熱心にやってこられた。もちろんどの方も、基礎的な研究面人材育成とか国際交流ということが重要なことはわかっていらっしゃったわけですけれども、なかなかそこまで手が回らずにいた。それにまた、いろいろな役所間の枠組みというふうなこともあったと思いますので、皆様が認識なさっていたんだけれども、そこの方になかなか手が回らなかったということが実情ではないかということは、私もこの短い経験の中で感じていることでございます。まさしく先生がおっしゃるとおりなんですね。  それで、昨日もたまたま福島県の双葉郡の原発地域で会合があって参りましたけれども、そこで一般の方から出たことで、今先生がおっしゃったことに関連がございます。  それは、東京電力が、原発でいろいろ視察をしてもらって交流を深めるために、具体的には中国それからソ連から留学生を数十人年間に呼んでいる。しかし、その宿泊施設がなくて、全部企業におんぶにだっこしてしまっている。そういうことについて、地方自治体も限界があるんですけれども、そこにもちろん町長さんもいたんですが、国がこういうことをどういうふうにやろうとしているのか。まさしく今先生がおっしゃったように、こういうふうに国際交流をしようと思っていても、なかなか国で今まで配慮がなかったんだということについて、ぜひ今後検討していただきたいというふうな御意見が一般の方から出まして、ああ現場にいる方はよくわかっておられるんだなということを感じました。  ですから、今までも研究者交流が不均衡であることを是正するために、科学技術庁フェローシップ制度というものを昭和六十三年度に創設して、外国人研究者の受け入れを促進しているそうでございますし、また、米国大学院生を夏休みに二カ月程度日本研究所に招いて、研究活動及び文化研修を行うサマーインスティチュートというものを平成二年度より実施している。細かい数字がもし必要でございましたらば局長の方から御答弁申し上げますけれども、そういう実態は平成二年ぐらいから始まっているということは私も理解をいたしましたが、まだまだ根本的に足りませんので、ぜひこれは私の在任中に努力をさせていただきたいことの一つであるというふうに思っております。
  15. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ひとつ大臣、この点は文部省も含めて、研究者交流促進について、ぜひイニシアチブをとって積極的に御推進いただきたいと思います。  私も平成五年の入管の統計年報というのを取り寄せて調べてみまして、びっくりしたんですが、研究者交流で、日本研究者外国へ出るのと外国研究者日本に入るのとの比率で、出る方が圧倒的に多」いんですよ。平均して十二対一ですか。アメリカについては、日本から出るのが十四人で向こうから来るのが一人。十四倍ですよ。もう話になりませんね。ドイツに対しては五倍、フランスが九倍、イギリスが十二倍、そんなようなことでございます。これは大変なことでありまして、国際収支黒字のことも議論になりますが、これはもう本当に超黒字というか超出超ですな。十分これは考えていただいて、また世界科学技術者知恵日本に集めるというくらいの心構えでひとつやっていただきたいと思います。  次に、きく六号の実験についてでございますが、大臣のおっしゃるように、女性宇宙土向井千秋さんのスペースシャトルにおける実験は、国民に大きな夢と希望を与える画期的な出来事であったと思います。我々もこれから考えていかなきゃならないのは、女性科学技術分野においての活躍を大いに期待したらどうかと思うのですね。今まで、どうも科学技術というと男でなければできないような錯覚がありますね。そんなことはないので、これから優秀な女性頭脳に大いに期待をしたいと思いますが、大臣いかがですか、その点は。
  16. 田中眞紀子

    田中国務大臣 確かにおっしゃるとおり、優秀な女性も、頭脳もたくさん地球上におられると思います。向井さんの例をお引きになりましたけれども、私は一般の家庭の主婦も、もう少し科学が易しく、わかりやすくなければ、一般人たちももっと関心を持つようになると思います。  やはり女性子供を育てていく期間というのは大変長うございますから、そういう中において、子育てをしながら基本的なことに興味を持っていく。お母さんが関心がなくて、子供に塾だけで、学校だけで理解しろといっても無理ですから、母親の演じる役割といいますか、大変重要だと思いますので、一般母親、女の人の認識というものも高めていく。そしてまた専門分野でも、今おっしゃったように、当然優秀な人たち頭脳を集めていくということは急務だろうと思います。
  17. 原田昇左右

    原田(昇)委員 そこで、きく六号でございますが、当初予定した実験がどの程度できるのか。HⅡロケットの成功は非常に心強い限りでありますけれども、アポジモーターの故障でどうも当初予定した実験がほとんどできないということでございますが、どうですか。一言でいいです。
  18. 田中眞紀子

    田中国務大臣 研究開発局長から細かいことをお答え申し上げますけれども、私も種子島でもってロケットの打ち上げは拝見いたしました。その後静止軌道に入らずにいて、その後何とか有効活用するためにいろいろと御努力をなさっておられますので、その経過について局長から御報告申し上げます。
  19. 原田昇左右

    原田(昇)委員 時間がありませんので、大体書類で見ておりますから細かいことはいいんです。問題は、当初の実験予定が大幅にカットされざるを得ないということでございますが、できるだけ努力をしていただいて、現状においてベストを尽くしていただくということで御努力いただいておると思いますが、ぜひ続けていただきたいと思います。  そして、なぜ保険を掛けなかったのかな。あんな膨大な投資をふいにしたのは、なぜ保険がなかったのかなということもよく耳にするわけですが、これはどういうことか、ちょっと国民に向かって御説明いただきたいと思います。
  20. 田中眞紀子

    田中国務大臣 このきく六号の今回のことが起こりましてから私もまさしく最初に役所に伺ったことは、保険掛けてありますかとまず聞いたんですね。掛けてないとおっしゃったので、なぜ掛けないかということを申し上げて、これは本当に多くの国民が疑問に思っている点だろうというふうに思います。  役所は、今までの経緯をあれでしたら御説明申し上げますけれども、要するに、国の出資によって宇宙開発事業団が行う衛星開発、打ち上げに関しては、国の施設等には一般的に保険を掛けないというこれまでの慣行に準じて、特別な場合を除き保険を付していない、きく六号についても特別の事情がなかったために保険を付していないというふうなことでございます。  あと、ほかには、衛星の打ち上げを米国ロケットで行うため、米国政府機関意向を受けて保険を付した事例が「ひまわり」「さくら」「ゆり」などである。あらかじめ打ち上げを予定していて、かつ、そのための経費を速やかに確保する必要があったため保険を付した事例があるんだ、それは「あやめ」とか、きく二号、ひまわり三号であるというふうなことでございます。また、民間と協力して衛星開発し、打ち上げを行う場合には、相手方の意向を踏まえて付保の判断を行うということにしているんだ、こういう例としては、さくら二号、ゆり二号があるということでございます。  私も個人的には、ぜひあらゆるときにそれぞれに応じて保険を掛けるということを、義務づけるという言葉が適切かどうかはわかりませんが、もう少し具体的に事務当局とも、研究者とも御相談はするべきことでございますけれども、ぜひ保険を掛けていただきたいというふうに思っております。  なお、事務当局のあれが必要でしたら、お答え申し上げます。
  21. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いいえ、結構です。  大臣、今おっしゃるとおり、今の事故原因というのは、これはよくアメリカでも大変な事故経験しているんですね。そして、そこを乗り越えて今日の成果を得るようになるのが、これは先端科学技術分野ではどうしてもつきまとうわけですから、それを恐れておって何もしないというわけにはいきません。ですから、徹底的に原因を究明していただいて今後の教訓とするとともに、現在の軌道においてできる限りの実験を実施して、最大限の成果を上げていただきたいと思います。保険についても十分これからの御検討をいただきたいと思います。  最後に大臣、もう時間でございますが、科学技術庁長官は未来担当大臣だという抱負を述べられて、私は大変力強いと思っておるわけでございます。どうかひとつこれからもその意気込みで、研究投資の倍増ということも含めて科学技術振興に向けての大臣の所信を伺いまして、質問を終わりたい。
  22. 田中眞紀子

    田中国務大臣 基本的な所信は先日申し上げたとおりでございます。村山総理科学技術は未来への先行投資であるということをおっしゃっていらっしゃいまして、大変認識を強く持っていらっしゃいますので、その方向努力したいと思いますので、御指導を仰ぎたいと思います。ありがとうございます。
  23. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ありがとうございました。  質問を終わります。
  24. 宮里松正

    宮里委員長 笹木竜三君。
  25. 笹木竜三

    ○笹木委員 改革の笹木竜三でございます。質問を始めさせていただきます。  まず、具体的な質問を行わせていただく前に、大臣に直接お伺いしたいことがございます。  きょう米朝合意について新聞でいろいろ報道がされているわけですけれども、先般合意された米朝合意に対して、これはIAEAですとかあるいは核不拡散という問題で非常に科学技術委員会とも密接な関係がある問題だと思うわけですけれども、この米朝合意に対して余り科学技術庁長官のコメントが聞かれていないわけです。ぜひここで長官御自身のコメントをお聞かせ願いたいと思います。
  26. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  確かに私どもは、基本的にはNPTというものを大事にしていかなければならないと思います。一方では、長い間時間をかけて米朝会議が行われてきたという経緯は、もう先生御案内のとおりでございまして、その結果、決してこれがベストであるとは思っておりませんし、またIAEAのブリクス事務局長も、やや不満なこともちょっとおっしゃっておられるやに聞いております。  ただ、かなりアメリカも御苦労なさった結果こういうことになったと思いますので、もう少しこの先の動きというものを見守らせていただきたいというふうに思っております。
  27. 笹木竜三

    ○笹木委員 今、不十分という言葉があったわけです。  具体的には、一番肝心な査察が五年ぐらい行うことができない可能性もあるとか、こういった問題があるわけですけれども、さらに重要なのは、今回の場合、査察を北朝鮮に受け入れてもらう、そのかわり技術的な協力、資金的な協力を行う。言ってみればNPTの体制の強化、さらに核開発状況に対して透明度を増すために、そのかわり日本とか先進国が金とか技術の協力をするよ、そういったギブ・アンド・テークの関係をこれからかなりふやしていくことになるのではないかと思うわけですけれども、そういった基本路線については長官はよしとされているのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 田中眞紀子

    田中国務大臣 資金的な協力ということの前に、今笹木先生おっしゃいましたように、まず安全性という問題、透明度を高めてほしいということは、もうこれは国際世論であろうと思います。日本だけではございません。  ただ、先ほど申し上げましたように、米朝会議というものが長いこと繰り返されて、お互いに、特にアメリカ側は、私どもの側は不十分であるということはわかりながらも、やはりこれからはもう少しまた踏み込んでいくわけでございますから、しっかりと事の推移を見守っていくべき時期だろうというふうに思っております。
  29. 笹木竜三

    ○笹木委員 これぐらいにさせていただきますけれども、非常に重要な問題で、科学技術委員会にとっても非常に重要な問題だと考えております。推移を見守るだけでなくて、今回の合意形成に対しても日本の対応が非常におくれているのではないかと心配するわけですけれども、ぜひ積極的な御発言を今後お願いしたいと思います。  次に、原子力発電所施設の立地対策についてお伺いをしたいと思います。  まず、原子力発電所についてですけれども、長期エネルギー需給の見通し、一九九四年によりますと、供給目標で、現在は、一九九二年で原子力が一〇%の割合を占めるわけですけれども、二〇〇〇年には一二・三%、二〇一〇年には一六・九%を目指している。あるいは総発電電力量の、一九九二年で二八・二%、これを二〇〇〇年には三三%、二〇一〇年には四二%にしていく、こういった計画がございます。簡単に言ってしまえば、全体のエネルギーの中で原子力の比重をどんどん高めていくということだと思います。このことについて長官は基本的にどういうふうに考えておられるか。
  30. 田中眞紀子

    田中国務大臣 将来にわたりまして今後電力需要が伸びていくということは多言をまたないわけでございまして、そういう中で果たしてどういうふうにしてやっていくかということになって、もちろん核融合、ITERの問題ですとか、あるいは未来型の新エネルギーの開発ということも同時並行で努力してまいりますけれども、やはり原子力というもの、今現在はもう三〇%がこの力に頼っている実情でございますので、原子力というものは安全性というもの、それから透明性ですね、情報を公開していく。  そして、新規なものの施設の立地に当たりましては、地域の皆様、国民全体の合意とか理解とか、そういうことが十二分に尽くされないとならないと思いますので、地域との信頼関係を構築して、そしてわからないことはいつもお聞きいただくし、こちらは正直ベースで情報を公開していくということによって、今後の需要に対応していくべきであろうというふうに考えます。
  31. 笹木竜三

    ○笹木委員 基本的にはこういった方向を推進するということになるかと思いますけれども、現在十七サイトで四十六基、十三の県で立地をしているわけですけれども、これをどんどんふやしていく必要があるわけです。要対策重要電源で、新規七サイトを含む十二サイトが今、それ以外でも、今後新規サイトを求めていく必要があるわけです。こういった原子力発電所の新設について、立地の状況、例えばいろいろな誤解があったり、なかなか立地までに時間がかかったり、それが長期化しているとか、いろいろな問題があるわけですけれども、こういった計画を推進するための新親立地の見通しについてどういったお考えを持っておられるか、お聞かせ願いたい。
  32. 田中眞紀子

    田中国務大臣 具体的なことは局長から御説明を申し上げます。
  33. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先ほど先生御指摘になりました、二〇〇〇年あるいは二〇一〇年に原子力がそのような役割を果たそうとするときには、今後、原子力発電所の新設、増設ということについて努力をしていかなければなりません。  具体的な数字を申し上げますと、現在の設備容量、運転中は三千九百六十四万キロワット、建設中は五百八十九万キロワットでございますので、二〇〇〇年の目標であります四千五百六十万キロワット程度についてはおおよその見通しがついていると申し上げてよろしいかと思います。問題は、二〇一〇年の七千五十万キロワットを達成するためには、それらに加えて二千五百万キロワット相当、すなわち、二十基程度の原子力発電所をつくらなければならないということでございます。この問題につきましては、一義的には各電気事業者がそれぞれの立地確保について今最善を尽くしている、このように考えております。  私どもも、この七千五十カキロワットの規模というものは決して達成が容易ではないとは思っておりますけれども、関係者が一体となって、地元を初め国民理解を求め、最善の努力を尽くしていくことによってこういったものも可能となってくるのではないか、このように考えております。
  34. 笹木竜三

    ○笹木委員 今担当の方からお話を聞いたわけですけれども、私自身福井県の選出でして、十五基の原発が非常にたくさん立地している場所でございます。長官も新潟で、幾つかの原子力発電所が立地しておられます。  こういった御自身の実感も踏まえてもう一度お答え願いたいのは、こういった新規立地、たくさんつくっていくことが必要なわけですけれども、現状の立地の状況等をごらんになってどういうところに困難性があるか、それについて直接お答え願いたいと思います。
  35. 田中眞紀子

    田中国務大臣 笹木委員も福井県でいらっしゃいますし、私も新潟県で、昨日、それから数日前と新潟、それから福島県も原発地域でございますが、見ていまして私なりにいろいろ思いがあります。  やはり立地に当たりましては、岩盤であるとかいうようないろいろな物理的条件も満たさなければいけませんし、同時に、地元の理解というものがもう最低の必須条件になりますので、集中しないで済めばそれはいいことかもしれませんけれども、現実をよく見ますと、将来のエネルギー需要も見込まれるわけでございますし、地元の皆様にもう少しよく御理解いただけるように、そして安全性ということを何度も繰り返しますけれども、よくよく私どもが御説明して、電事連の皆様にもそういうことを何度も私もお話は申し上げておりますけれども、最善の努力をするべきだというふうに思っております。
  36. 笹木竜三

    ○笹木委員 今お答えを聞いたわけですけれども、私自身の福井県の状況ですとかあるいは新潟の状況を考えましても、今後新規立地とか、これは日本全国的にも非常に難しい状況があるかと思います。  そういった状況に対して、地元の理解を得る、あるいは安全性についてよく理解を得てというそういった今のお答えでは、とても現状を突破することはできないと考えます。よほど今までの立地地域に対する対策ですとか、そういったものを見直していかないといけない。私自身は原子力発電所は今なくすことはできないと思っていますし、今後も増設を避けることはできないと思っておりますけれども、そのためにも画期的な立地対策の充実が必要だと思っているわけです。  もう一度お聞きしたいわけですけれども、長官御自身も就任されてから、原子力に対しては、情報公開ですとかを一層図りたい、そういったことを発言されております。具体的に新しい政策としてどういったことを考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
  37. 田中眞紀子

    田中国務大臣 具体的には、やはり地域振興という問題は十二分に配慮して、優先的にやっていくべきだろうというふうに思います。そういう要望ももちろんございます。アクセス道路等の問題ですね。避難道というまでもなくそういうアクセス道路の問題とか、そのほか地域のニーズというものを聞いて、共存共栄していけるように最大の配慮を政治家は特にしていくべきではないかと思います。  福井県、先生のところには、私も何度か福井県知事さんやら、それから敦賀の市長さんとお話をさせていただいておりますので、できるだけ早い機会にぜひ視察に伺わせていただきたいというふうに思っております。
  38. 笹木竜三

    ○笹木委員 今もお聞きしたわけですけれども、何度かコメントで今後さらなる情報公開ということをおっしゃっているわけですけれども、具体的にはどういった種類の情報をさらに公開していこうとされているのか、お答えいただけますでしょうか。
  39. 田中眞紀子

    田中国務大臣 福島県のケースでございますけれども、リークの問題があったりとか、それからあと関西電力関係で美浜なんかでもあったでしょうか。それからあとは、今後は廃炉の問題というものも将来出てくると思いますので、そういうことについて具体的に包み隠さず報道して、地元の方にも、日本じゅうの方にもわかっていただくということで、絶対包み隠さず、あるがままのことをお知らせして、そして万全な安全対策を構築していくんたということだと思います。
  40. 笹木竜三

    ○笹木委員 私自身が福井県の現状なんかを振り返ってみますと、確かに電源交付金関係等たくさんのお金がおりている。それによってのいろいろな施設、公共の施設、福祉施設、図書館ですとか清掃センター、給食センター、集会施設、そういったもの、あるいはCATVの普及ですとか、あるいは道路、港湾、漁港、こういったものの充実、確かにあるわけですけれども、振り返ってみまして一番問題なのは、一つは、たくさんの原子力発電所が立地していても、ほとんどの地域住民とは余り接触する可能性がない。そのサイトの中で電力をおこしているだけ。  例えば、原子力発電所のいろいろな技術ですとか研究成果ですとか、そういったものに地元の住民が触れるような機会が非常に少ないということが現状では問題としてあるのじゃないか。あるいは、その技術ですとか研究成果に対して、例えば地元に対してどの程度の波及効果が出ているだろうか。これも原子力発電所を誘致しようという初期に地元が考えたものに比べると、現実的には非常に難しいものがある。余り波及効果が起きていないと感じるわけです。  そういった問題があるわけですけれども、一つは、ちょっと最近勉強させていただいたわけですけれども、重粒子線のがん治療という技術について知ることができました。先ほど長官が理解の促進ということ、PRということもお話しされておりましたけれども、原子力発電所の立地に当たって非常に難しいのは、放射線とか放射能に対する誤解、不安が非常に大きいということですね。そういったことから考えれば、こういった放射線の治療でも、特に重粒子線の治療によって今までに比べて非常に効果的に治療ができる、さらに正常細胞の破損も非常に少ない、そういったことも聞きました。  例えば原子力発電所の立地している地域にこういった施設研究センターとかをつくる。それによって、これは放射線による治療ですから、放射線ですとか放射能に対する誤解、不安というようなものをある程度ぬぐうこともできる。何よりも一般の方々がこういった恩恵を受けることができる。先ほど理解の促進ですとか情報公開ということをお話として聞いたわけですけれども、具体的にその研究とか科学成果一般の住民の方々が実感を持って体験する、これが一番のPRであるし、情報の公開であるのじゃないかと感じるわけです。  別にこの重粒子線がん治療には限りません。先ほどお話しになりましたいろいろなエネルギーの研究、未来型のエネルギーの研究、あるかと思います。そういった研究施設も、例えば原子力発電所のその地域に対して誘致を図る。そういったことを、単に交付金の使い方については地元の申請で地元に任すという姿勢だけじゃなくて、もっと科技庁の方からいろいろなメニューを積極的に出すということをぜひやる必要があるのじゃないか、そういうふうに考えるわけですけれども、御意見を伺いたいと思います。
  41. 田中眞紀子

    田中国務大臣 細かいことは役所の方で御答弁申し上げます。  今、私、本当に笹木先生がいいことをおっしゃってくださったと思っています。放医研にいらっしゃったのですね。私も実は見学いたしました。それで、私も原子力に対するそういう側面を新たに認識して、ああすばらしいものだな、こういうことを本当にあのとき感じたのです。今先生がおっしゃるまで、ちょっとまたころっとあれして、失念しておったわけじゃないのですけれども、今おっしゃられてまたリマインドしたという感じでございます。  確かにそういうことを電源立地の皆様にお知らせするべきですね。きのう、ちょっと私的なことですが、福島県でこういうふうな講演会がありましたときにそういうお話をしましたら、一般のおばちゃんたちが大きくうなずいて、へえとおっしゃっていまして、ああそうだったと私自身も本当に記憶を喚起したのでございます。もちろん地元の方の見学の機会とかいうこともありますけれども、それ以上に、今本当にいいことを言っていただいたので、また先生のお力を拝借したいと思います。  具体的には、たしか、医学の面でがん治療ということもありますけれども、そのほかに農業ですね。この間IAEAでもってブリクス局長にお目にかかりましたときに、タンザニアでツェツェバエがたくさんいる。その雄に放射線を当てることによって退治ができる。これによって相当農業の面で貢献しますよね。そういうふうなことの利用もあるんだという話を聞いて、私、へえとびっくりいたしました。  それからまた石炭火力ですけれども、そういうときに亜硫酸ガスが発生しても、それに放射線を当てることによって、亜硫酸ガスは酸性雨の原因になるわけですけれども、大気を、空気を浄化するとか、その産物として、またさらに肥料ができるという話もこの問新しく伺いまして、ああこれはすばらしいことだなというふうに思いました。  それから、アメリカやなんかでは、食料品にも一部は放射線照射をしているんだという話を聞きました。これはちょっと日本ではまだなかなかそこまで理解を得られないし、私もちょっと納得いかない面がありましたけれども、医学と農業と環境という問題のほかにも、工業の面で、例えば飛行機なんかの機体の傷なんかを発見するにも原子力の力をかりられるんだと。これは大変画期的なことだと思いますよね。  そういうふうにいろいろな面で役立つんだということを、わかりやすく、一般の我々にもわからせなければいけないことですが、同時に立地の方々におわかりいただくためには、そういう施設を、あるいは理化学研究所のようなグローバルな研究をなさっているところを電源立地地域に持っていくということは大変いいお考えだと思いますので、ぜひまた一緒にそういうことも御努力いただいて、御指導いただきたいと思います。
  42. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 大臣の御答弁に加えまして、具体的に立地地域の地域振興策につきまして、電源三法でこれまで進められてきました地域振興策に加えまして、研究開発拠点の整備であるとか、あるいは今先生が御指摘いただきました放射線を身近に感じ取っていただくという施策が大変重要であろうということで、科学技術庁といたしまして、具体的には科学技術振興事業補助金という制度や、あるいは放射線利用に関する試験研究を地元が行われる際に支援するための交付金制度というものを最近創設いたしました。  したがって、こういう制度を使いまして地元の多様なニーズにおこたえをしていきたい、このように考えておりますし、さらに具体的には、最近福井県が中心になって設立されました若狭湾エネルギー研究センターというものを通じて、今先生の御指摘のような点も十分実現されるように我々としても努力をしていきたい、このように思っております。
  43. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう一つは、例えば立地地域の現状なんかを見ますと、たくさん施設は建っている、しかしその周辺の道路の事情が非常によくない。しかし、道路は建設省で、なかなかそういった方について意見を言っても、省は関係ないからという答えが返ってくる、そういった問題がございます。  電源立地部会、これは平成五年の三月から四回ほど会合を開いているというふうに聞いております。科学技術庁ですとか資源エネルギー庁は、特に今立地の難しさということから考えまして、この電源立地部会でもっとイニシアチブをとっていただいて、縦割りをなくして総合的に総理大臣の直轄で、直属でこの委員会をつくっていると聞いておりますから、縦割りの弊害をなくして総合的に取り組むような、そういったことについてぜひ音頭をとっていただきたいと思うわけですけれども、この電源立地部会についての現状、それはどういったような活動、発言をなさっておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
  44. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先生御指摘の電源立地部会、電源開発調整審議会の中に平成五年の三月に設けられたわけでございます。  まさにこの設立の目的は、関係省庁が枠を超えて一体となってこの電源立地問題に取り組む、こういうために設けられたものでございます。既に先生御指摘のとおり四回開催されております。  現在は、主として電源立地促進を行うべき重要な地点の開発状況というものについて、状況把握に努めていただいておるわけでございますが、今後逐次具体的に各地点の地域の振興計画というものをぜひ聞き取って、今後電源開発促進の観点から関係省庁が何をなすべきかということについての具体的な知恵を出していきたい、このように考えておりますし、先ほど先生が御指摘をされました点を踏まえて、ぜひ科学技術庁としても地元の御要望を踏まえ、必要に応じてこの電源立地部会で活動を行ってまいりたい、このように思っております。
  45. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひリーダーシップをとられまして、この縦割りの弊害をなくしていただきたい、そう思います。  それと次には、この立地についての適正な集中の程度についてということについてお聞きをしたいわけです。  先ほどお話をいたしましたけれども、福井県では日本全国四十六基のうち、今十五基が立地をしております。さらに今、敦賀原電の三、四号機の増設問題というのが出ておりまして、これについて知事は、環境調査の結果が出る後でコメントを出したいということで、今判断を保留しておられます。これの増設を認めるのか認めないのかということが次の知事選挙の争点になるとも言われております。  知事は、この三、四号機の議論は別にして、個人的にはこれで終わりにしたい。恐らく原子力発電所の立地について、これで終わりにしたいということを言われているんだと思いますけれども、長官の御自身のお考えをお聞きしたいわけです。  今、福井県では、発電電力量でいいますと全国の原子力発電所で発電しているうちの約三〇%、基数でいえば四十六基のうちの十五基という集中度になっております。こういった集中をさらに今後もとめどなく続けていくというのは、例えば安全保障上も、非常に可能性は少ないにしても、何かあったときに非常に問題があるのではないかと考えるわけです。どの程度で置いておくべきかということを考えていくべきで、ある程度の分散を図っていくかと思うわけですけれども、長官御自身のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  46. 田中眞紀子

    田中国務大臣 確かに私も、福井県はたしか千百か千二百万キロワットぐらいでしょうか、総電力量ですね、受け持ってくださっていて、その次が福島県、その次が新潟県というふうに理解しておりますけれども、そういう中で、本当に集中立地という問題は、もう新潟でも福島でも聞いておりますし、それから福井県知事さんとお話ししましたときも、今後も電力需要の増大が見込まれている中でどうするのかということは非常に率直におっしゃっておられました。  知事選挙が近いということもありますけれども、こういうことは知事さんの個人的なお立場とか、そういう政治的な状況に揺さぶられること、影響されることなく、やはり国が、そして私たち議員一人一人が党派を超えて、役所も縦割りを排除して、そういう次元の問題ではないと思いますので、どうしていくかということを考えなければいけないのですが、現在は、時間がかかるかもしれませんけれども、同じようなお答えになって申しわけございませんけれども、立地条件というものはある程度地理的に限られていることもありますし、それから過去の経緯もあります。  将来については、やはり安全性とそれから逆に言うと必要性ということ、それから先生が先ほどお答えをおっしゃったようなものだと思いますけれども、原子力の別の面でのファクター、発電以外のものですね、そういうことについてよく理解をしていただくだけではなくて、実際にそういう形でもって地域へ持っていくことによって職場も提供できますし、それからアクセス道路等、これは国での問題ではありますけれども、あらゆる面で、そのように理解を原子力に対して示してくださっているところに対しては、貢献に対してこちらが御恩返しといいますか、そういうことを当然するべきでございますので、そういう配慮をまず最優先にしていくべきだと思います。  その先について、集中立地についても私も今後課題だと自分で思っておりますので、ぜひ個人的に笹木先生からも一度お話を伺わせていただきたいというふうに思っております。
  47. 笹木竜三

    ○笹木委員 ちょっとよくわからないのですけれども、お聞きしたかったのは、私自身は別にこの現状がおかしいということで、これをなくすべきだと言っているわけではないわけです。  これ以上の、例えば原子力全体の三〇%の発電量、これをどんどんふやしていくことは安全保障上の問題もあるのではないかということで、いや、そんなことは関係ないんだ、別に日本全国の中でどこに集中しようが構わないんだというお考えなのか、やはりある程度以上の集中は避けて分散も図っていくべきなのか、どちらをお考えになるのかと、それをお聞きしたかったわけです。ぜひお答えを願いたいと思います。
  48. 田中眞紀子

    田中国務大臣 これは大変デリケートな問題でございまして、現段階では原子力というものは、もろもろ付随的なことがございますけれども、電力需要の伸びというふうなことと、もうどうしてもこれは必要であるということと、その立地の問題というものの兼ね合いをどのように進めていくかということになりますけれども、まずはとにかく安全であるということ、そのことをしっかりと私どもも安全第一で御理解をいただくようにして、それが証明されれば、そのほかの場所の立地ということもまた同時並行で当然考えていかなければいけないのであって、現在決まっているものだけでもってどんどん増設できればいいという問題では、もちろんなかろうというふうに思っております。
  49. 笹木竜三

    ○笹木委員 余りはっきりしたお答えはもらうことができなかったわけですけれども、ぜひこの問題については今後も引き続いて議論をしてまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。
  50. 宮里松正

    宮里委員長 川島實君。
  51. 川島實

    ○川島委員 私は、既に通告をいたしております科技庁基本政策のいろいろな諸点について、余り時間もございませんが、今までの議論を踏まえて御質問をしていきたいと思います。  特に、さきの予算委員会で村山首相が初めて、今後社会党は原発の新設を認めると政策変更を非常にはっきりされたわけでございますが、今お聞きをいたしておりますと、これから二〇一〇年までに最低二十基の新設をしなければいけない。しかし、九月に行われた社会党の原発政策を見てみますると、稼働中の原発は代替エネルギーの確立までの過渡的エネルギーとして認める、建設中や更新を必要とする原発には慎重に対処して行っていく、こういうふうに若干温度差があるように受けとめておるわけでございますけれども、こうした事柄が、総理が言うような形で、反対運動等が今後社会党としてないという見方を科技庁がしておるのかどうか、科技庁の見解をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  この原子力の基本的な問題といいますのは、日本だけではなくて世界じゅうで、やはりグリーンピースの動きなんかもございますけれども、常に問われている原子力に関する基本的な問題だろうというふうに思います。  今先生は社会党のことをおっしゃいましたですけれども、現実にきっといろいろ、内閣にもお入りになって、そして総理や閣内の大臣方も情報量が大変ふえられまして、認識を新たになさって、いかに現在の日本の原子力が安全に運行されているか、そしてまた今後こうした発電、原子力というものが重要であるかということの認識を新たになさった結果ではなかろうかというふうに推察いたしております。
  53. 川島實

    ○川島委員 原子力局長にお伺いをいたしますけれども、今回の社会党の原発容認によってどういうところの政策が今後変わっていくのか、あるのかないのか、この辺はどう見ておるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  54. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 私の立場から、社会党の政策によって具体的に今後どうなっていくかということについて、私ども深く吟味したことはございません。あくまでも原子力委員会がこの六月に新しい長期計画をつくりました線に沿い、あるいはこの九月に閣議で決定されました石油代替エネルギーの供給目標、こういった施策に沿って着実に進めていきたい、このように考えております。
  55. 川島實

    ○川島委員 五十嵐官房長官の発言もあるように、北海道の幌延町に動力炉・核燃料開発事業団が計画をいたしております高レベル放射性廃棄物貯蔵研究施設、この建設について再検討、見直すことが必要だ、私は政府の立場だがそう思う、立地計画を含めて非科学的だった、政府として反省すべきだ、こうコメントを出しておるわけです。  これに対して村工事務次官は、地元や北海道との真剣な対話の必要性を訴えた発言だと受けとめておる、計画を変更するつもりはなく、誠実に進めたい、こう発言をしているわけですが、ここで実は官房長官の発言で問題になります箇所は、立地計画を含めて科技庁が行っている行為が非科学的だと、こう言ってコメントしている。この点が一つ。二つ目は、政府として反省すべきだというコメント。これはおろそかにしておくわけにはいかないと思うのですね、官房長官ですから。これについてどのようにお考えになっておりますか。長官と原子力局長、御発言をお願いします。
  56. 田中眞紀子

    田中国務大臣 五十嵐官房長官の御発言は、私もマスコミ等を通じて伺っております。  非科学的である等の御発言でございますが、これは地元にいらっしゃって、あの先生は長いことずっとこの問題で御努力をなさっていらっしゃったわけでございますし、原子力という問題は、これはもう高レベル廃棄物の施設等でございますけれども、そのほか、あの先生は御自分で安全ということを非常に大事に、地元の皆様の感情を大事にしてずっと議員生活をしていらっしゃったという経緯もおありになると思います。  官房長官になられてから、またこの御発言があった後に私も個人的にお話をさせていただいたことがございますけれども、基本的に、自分が今までやってきた経緯の中で、やはり常にチェック・アンド一バランスというものが必要なんだということを自分は考えているので、内閣の方針、今までの自民党の方針、自民党といいますか、科技庁が推進してきました方策に基本的に異を唱えたものではないと御理解くださいというお言葉を五十嵐官房長官からいただいております。
  57. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 今の大臣の御答弁のとおりでございます。  一点だけつけ加えさせていただくとするならば、官房長官も、この幌延の貯蔵工学センターの立地問題の解決に向けて努力をしなさい、そのときには地元を含めてきるだけ幅広くいろいろな意見を聞きながら進めていくべきだ、こういう御指摘をいただいているものと理解しております。したがって、今後とも幅広く皆さんの御意見、いろいろな意見に耳を傾けながら、ぜひ理解と協力を得られるように努力をしていきたい、このように思っております。
  58. 川島實

    ○川島委員 先ほど申し上げましたように、非常に科学技術庁として問題意識を提起されているのですが、それに答弁が実はないというのは非常に残念に思います。  さらに、原子力局長にお伺いしますけれども、社会党は従来、フランスの高速増殖炉スーパーフェニックスは安全性の問題があって稼働が中止されている、こう来たわけですね。ところが、今回フランスが新しく容認をして建設を始めておるわけでございますけれども、こうしたことを受けて社会党がプルトニウム政策についてどういう変化をしておるのか、フラン又が認めたから我が国の社会党もオーケーという形になっているのかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。
  59. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 まず、フランスのスーパーフェニックスがこの夏に運転が再開されました。先生御指摘のとおり、一九九〇年から幾つかの技術的なトラブルに見舞われて運転を停止しておったわけでございますけれども、その後、例えばナトリウムの火災対策工事というものが行われ、あるいはもう一度安全審査をきちっとやった上で、今回の運転再開につなかったと聞いております。  今後、このスーパーフェニックスを使いまして、高速増殖炉の性能実証であるとか、あるいはプルトニウムの燃焼のための研究であるとか、さらに将来的には長寿命の放射性廃棄物の燃焼の研究を進めていく、こういう計画だと理解をしております。  他方、社会党のプルトニウム政策について、特にこのスーパーフェニックスとの関係において何か問題になるというようなことにはならないのではないかと思っております。
  60. 川島實

    ○川島委員 後ほど恐らく社会党からもいろいろ質問があろうかと思いますが、特に今回科技庁が原子力開発利用長期計画において、「もんじゅ」に続く実証炉一号を従来の計画より五年おくらせましたですね。これは、せっかく国民の皆さんが新しくこうした計画について理解を示し、前向きのときに五年もおくらすというのは、反対者が言われている増殖炉の計画に問題がある、こういう受けとめ方をしかねないわけでございますけれども、これらについてどういうお考えなのですか。これは長官、どうでしょう。
  61. 田中眞紀子

    田中国務大臣 これは私が科技庁長官になる前といいますか、議員になる前のことでもございますので、原子力局長からお答えをさせていただきたいと思います。
  62. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 今、先生御指摘の点につきましては、先ほどもちょっと私が触れました、七年ぶりに改定いたしました原子力開発利用長期計画の審議の中で、大変慎重にこの問題について審議がなされました。  その結果といたしまして、我が国の原子力政策として、核燃料リサイクル政策という基本はもちろん変えない。その中で、高速増殖炉の開発というのも極めて重要なプロジェクトである、この位置づけももちろん変わらない。ただし、今後の全体の進め方につきましては、「もんじゅ」の研究開発状況であるとかあるいは実証炉の現在の準備状況、こういった諸般の計画の進捗状況を十分勘案されて、今回の長期計画の中で着工時期というものを二〇〇〇年代初頭ということで位置づけられた、このような経緯でございます。
  63. 川島實

    ○川島委員 次に、外務省にお伺いをしますが、今後のプルトニウムの国際管理の枠組み我が国は進めておるところでございます。特に九カ国は、アメリカ、ロシアを含めて、民生用だけでなくて原発の使用済み燃料も含めて国際管理を行っていきたい、こう述べておるわけでございますけれども、これらに対して核保有国すべてがその国際管理を進めていく、こういう形になっていくのかどうか。それでIAEAはどういう役割をここで行おうとしているのか。実は我々には先がちょっと見えてこないわけなのですが、それはどのように受けとめておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  64. 杉内直敏

    ○杉内説明員 お答え申し上げます。  プルトニウムに関しましては、アメリカ、ロシア等核兵器保有国五カ国を含む九カ国が、この中には我が国も入っておりますけれども、平和利用の透明性を向上させ、かつ、適切に管理されていることを国際的に確認することを主眼に置いた国際的枠組みの策定につき協議しておりまして、最近では九月に第三回の会合をウィーンで開催したところでございます。  この枠組みの検討におきましては、核兵器解体によりもはや軍事目的に供されないこととなったプルトニウム、それから、核兵器国、非核兵器国にかかわらず、もともと平和目的のプルトニウムを対象としまして関係国の間で協議をしているところでございますけれども、使用済み燃料中のプルトニウムも枠組みの対象とすることにつきましては、これは今後引き続き検討することになっているところでございます。  IAEAにつきましては、現在、本件枠組みづくりにオブザーバーとして参加しておりますけれども、この枠組みの中でのIAEAの役割につきましては、関係国間で結論が得られておりません。今後引き続き検討することになっております。
  65. 川島實

    ○川島委員 科技庁にもう一度お伺いしますけれども、アメリカもこのプルトニウムの処分に手をやいているというふうに国際的には見られているわけですね。これは管理や処分に完璧な解決策はない、こういうふうに見ておるわけですが、このことに対して科技庁はどう受けとめておるのか。それから、なぜアメリカはプルトニウムの民間利用を奨励をしていないのか、どう受けとめておるか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  66. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 まず、各国のエネルギー政策というのは、もちろんそれぞれの国情に応じてとられておるものでございます。そういう中でアメリカは、昨年の九月に不拡散政策というものをクリントン政策として発表をいたしました。この中に、米国はプルトニウムの民生利用を奨励しない、したがって、みずから発電用としても、また核爆発目的のためにも、プルトニウムの分離を行わない旨表明しております。  こういったのがアメリカ基本的な政策と理解しておりますが、アメリカのこのような政策に至りました背景につきましては、冷戦構造の終結といった国際情勢であるとか、あるいは国家の安全保障であるとか、あるいは政治情勢、もちろん具体的にはアメリカのエネルギー政策といういろいろな側面から検討がなされた結果、このような政策に至っておると理解しております。  具体的に、アメリカの発電所から出てくる使用済み燃料につきましては、これは再処理しないということでございますので、最終的にはそのまま最終処分をする、このような政策でございますし、他方、核兵器解体に伴いますプルトニウムにつきましては、今後例えば軽水炉等で燃料として使用することとか、あるいは廃棄物として捨ててしまうとか、こういった問題について、例えばアメリカ科学アカデミーからのレポート等を踏まえて現在検討が行われている、このような状況にあると理解しております。
  67. 川島實

    ○川島委員 こういう状況の中で日本が五年おくれるということについて、非常に国際的にも不信感が実はあるのじゃなかろうかと思っております。  それから、長官は、先ほどからずっと答弁を聞いていますと、村山総理と同じように安全性の問題を非常に言っているわけですね。ところが、実は世界の原子力防災計画を国立国会図書館の考査局が発行しているわけで、これを全部比較しようと思ってデータを求めたわけですけれども、日本は防災計画はこういう形で外国とは少し違っているのですよ。表はいただきましたけれども、きちっとしたものをちょうだいと言っても、先ほど言ったように情報公開がまだしっかりなされていない。  だからお伺いしますけれども、米国のスリーマイル島の原子力発電所の事故だとか旧ソビエトのチェルノブイリの原子力発電所の事故、これらを受けて日本の防災計画というのはきちっと見直しかなされておるのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  68. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 我が国の防災対策の現状につきまして、先生のところに十分な資料がお届けされていないようでございますので、まずおわびいたします。対策の内容についてはただいま御説明いたしますが、十分な対策が先進国並みにとられていると私ども思っております。  チェルノブイリあるいはTMIの事故にかんがみまして、原子力防災というものに対しての重要性というものは、私ども一層認識を深めているところでございます。  先生御指摘ありましたように、我が国の原子力防災、これは災害対策基本法というものを原則といたしまして、国それから地方公共団体がそれぞれ役割を分担いたしまして、計画的に遂行しているわけでございます。  国の役割でございますが、地方公共団体が災害対策基本法によりまして行う防災対策をより実効性のあるものとするため、すなわち、これは原子力防災でございますので、通常の水害とかあるいは地震の防災とはちょっと特殊性がございますので、この防災活動がより実効性を持つという観点から、TMIの事故の発生後、直ちに中央防災会議におきましては防災対策上当面とるべき措置というものを決定してございます。  その後、原子力安全委員会においてより詳細に検討いたしまして、地方公共団体が行う防災対策の具体的なものについての指針づくりを行い、その指針に基づいて現在地方公共団体は防災計画を策定いたしまして、緊急時連絡網あるいは防災活動資機材の整備、防災業務関係者への教育・訓練の実施あるいは緊急時の医療資機材の整備とか、あるいは防災関係調査の実施等の原子力防災対策を統一的に行っております。  以上でございます。
  69. 川島實

    ○川島委員 独自な判断でいろいろおやりになっていただいていることは理解をしますけれども、国際的に比較ができないということは、やはり少し情報公開上問題点があるのではないかと思いますので、これは要望を出させていただきたいと思います。比較ができるような施策をひとつお願いをしておきたいと思います。  次に、先ほどからも北朝鮮の核疑惑の問題についていろいろ議論がなされました。アメリカとの合意がなされて、いろいろ対策が講じられておるようでございますけれども、我が国として、この合意で核の疑惑が払拭をされたのかどうか、それから今後、韓国と軽水炉の問題で、これはアメリカ産だと言われておりますけれども、軽水炉の問題で日本が協力をしなければならない状況になるわけですが、どういう立場で外務省として協力をなしていくのか、このことについてお伺いをしていきたいと思います。
  70. 中村滋

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  先般達成されました米朝間の合意につきましては、北朝鮮の核兵器開発問題の解決に向けて重要な一歩であると私どもは考えております。ただ、本問題の最終的解決のためには、北朝鮮が今回の合意に沿いまして、例えばIAEAの査察を遵守するなど誠実に行動して、核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭することが重要であると考えております。  また、今御質問にございました今後我が国としての立場、対応という点につきましては、北朝鮮が有しております黒鉛原子炉を軽水炉に転換する支援につきましては、我が国としても、北朝鮮の核兵器開発問題の解決のために、今回の合意のもとに原子炉等の安全性なども確認しつつ、米国、韓国、それからG7、関係諸国とともにこの軽水炉転換のための国際的な支援の枠組みに参加して、応分の協力を行っていきたいと考えております。  ただ、今後の国際的な支援の具体的な取り進め方につきましては、関係国と協議を行って、それを通じまして検討されていくということで、まだ中身は固まっておりません。
  71. 川島實

    ○川島委員 次に、長官の所信の中で若干コメントをお願いしたいと思います。  まず一つは、「天然資源に乏しい我が国、唯一の資源とでもいうべき知的創造力」、これは先ほどから議論があっております大学理科系離れの対策。ところが、この理科系離れの対策の中で、世界各国ずっと比較をいたしますと、大学院へ通っている研究者に対しては、全部給料を払ったり、研究費を全部払って、公務員として採用している国もあって、我が国だけなのですよ、アルバイトして大学院に通っているというのは。この辺のところに研究者の養成の基本的な差があると思うのです。これは私どもも比較をさせていただきましたけれども。  それから二つ目は、「未来担当大臣として、夢を実現」、これは非常にありがたいのですけれども、今私どもに必要なのは、もっと身近なところで研究をお願いしたいということですね。先ほど一般庶民も、主婦ももっと科学技術関心をというような話がありましたけれども、後ほどこのことについては申し上げたいと思います。  それから、「就任して以来、常に一国民、一主婦、生活者としての立場を忘れず」、こうおっしゃっていました。  次に質問しますけれども、渇水対策で、具体的に、山間部では雨が降っていませんけれども都心部ではいっぱい雨が降る。ビルや一般の屋根の水は、全部といに集合して流されているのです。簡単な浄水装置ができれば、全部これは水が利用できて、ダムに何億もお金をかけなくても済むのです。洪水があるからといって、名古屋市なんかは洪水調整なんといって何十億もかけて公園の下に貯水場をつくって、しかし渇水対策には何の役にも立たない。洪水のためにつくっているわけです。こうした身近な問題について、もっとやはり積極的に研究を行っていただきたいと思います。  それから、太陽エネルギー、燃料電池などの未来のエネルギーに政府が一体となって努力するとおっしゃいます。私も建築家で、何十年も前から研究をしておるのですけれども、いまだに屋根の上に太陽光発電のパネルが並んでいるというのは本当に少ない。これはやる気がないからだと私は思っております。  それから五つ目に、「科学技術力を有する我が国が、その力を駆使して国際的に貢献すべき場面」がますます拡大しているという文章があるわけですけれども、じゃ具体的にどういうことが行われるのか。例えばオゾン層破壊の問題で、オゾンホールかできるということで、フロンの開発が言われてはや三年か四年になるのですけれども、いまだに中小の業者がフロンガスの代替品が十倍もするような値段でしか手に入らない。  国際条約で、これはもう禁止とできているわけなのです。開発途上国も、日本から最初フロンを利用した冷蔵庫だとかいろいろなものがいっぱい、冷房も含めて来ておるわけですけれども、代替品を全然日本から送ってこない。環境問題を含めて、こうした国際的な協力度というのがいまだに日本科学技術はおくれている。  数年前までは、アメリカ研究者日本へ来ると、ます秋葉原へ行って、四十万も五十万も日本の電気製品やいろいろな開発した製品を買って帰ったけれども、今は来たらもう何もない。もう開発途上国が一、二年で日本技術を全部習得して、日本よりも三倍も四倍も安い製品をつくり上げる、そういう技術ができ上がってきた。日本はこのままでは一体どうなるんだと、海外の人たち日本科学技術水準に対して評価をしているわけですが、これに対してひとつまずコメントをいただきたいと思います。
  72. 田中眞紀子

    田中国務大臣 川島委員から大変いい観点から、御示唆に富んだ御意見をいただいたと思います。私も科学技術庁長官を拝命したときに一番思ったのは、今先生がまさしくおっしゃったようなことでございます。  先ほどの少し繰り返しになるかと思いますけれども、原子力の開発の問題ですとか宇宙の問題とか、海洋もございますが、そういうふうなことをやっていてレクチャーを聞いていて、新エネルギーはどうだろうか。それはまさしく生活者、私どもが生活していながら、今まさしく本当に先生がおっしゃったとおりだと思って、屋根の上のソーラーなんというのは少ないですよね。最近になって固が二分の一補助を出して、負担をするというふうなことにやっとなってきましたけれども、新エネルギーの専門の茅陽一先生ですとか、それから通産省の方とかNEDOの関係の方とか、私ども何人がお話をじかに伺って、もっとこういうことに力を入れられないものだろうか。知恵を出すことによって、生活者ももっと身近に科学技術の恩恵をこうむることができるし、それが国際貢献できることで一番わかりやすい。  同時に、環境にも優しいもの、こういうことの開発はぜひ私はこの科技庁でやっていただきたいということを就任のときにお願いをしてありますし、そういうふうな研究も一生懸命できる専門の方から御意見を伺っておりまして、何がネックなのかなということが少しは見えてまいりました。  それは、やはり縦割り行政という問題が結構あるのではないかということを率直に感じております。でも、原子力の重要性、それから発電以外での原子力の必要性につきましては、先ほどるる申し上げましたので、繰り返しをいたしません。医学の問題、農業の問題、環境の問題等、いろいろ役立っているわけです。  そういうこともありますが、今先生がまさしくおっしゃったような生活者に実際に目に見えてわかる、環境にも優しくて、国際貢献にも役立つということにもう少し政治家も意識を変えていかなきゃいけませんし、行政官の方も専門の方々も研究して、ここでストップなんですよと言って前に出ないのではなくて、総合力を結集するべきであろうというふうに思っておりますので、御指導をいただきたいと思います。  ありがとうございます。
  73. 川島實

    ○川島委員 最後に、時間ですのでもう一点お願いをしておきたいのですが、我が国は島国。開発途上国でも海水を利用して簡単にろ過装置で真水にしてしまう装置だってできている。この間もテレビでちょっと報道されていましたけれども、プラスチック板にふたをしておくと、もう簡単に水が一カ所へ集中できるような装置が開発された、こういう報道もなされている。  それから紙のリサイクルでも、一生懸命紙を集めてリサイクルするんだというのがいまだに野積みになって、紙の値段が全然下がってリサイクルができないような状況。これも再生紙が真っ白に、普通の紙と変わらない技術ができ上がれば、そんなものは全部飛ぶようにしてリサイクルに回される。  八丈島で地熱発電所だとか、それから風力発電で新しく電気をとろうとすると、重油でつくっている電気の方の需要がなくなって成り立たないから、そうしたクリーンな発電装置はちょっと待った、こういうような待ったがかかる。  こういうような具体的な状況について、生活者の目から見てわかりやすいような科学技術を行うことによって理科系科学技術離れがなくなっていく、こういうふうに理解をするわけでございますけれども、ひとつ主婦の立場から見て生活にプラスになるような科学技術開発に全力を挙げていただきたいとお願いいたします。
  74. 田中眞紀子

    田中国務大臣 いいお話、ありがとうございます。  先ほどのお尋ねの中でもって私は漏れがあると思いますけれども、今の八丈島の話の地熱やら風力発電ということも私も大変興味があって、いろいろな角度から伺ってみたことがございます。  その前に、先ほど渇水対策として水の利用をおっしゃいましたが、これは閣議でも随分話題になりました、懇談会のときでございますか。そして、やはりダムというものの建設費用は非常にかかる。ダムばかりつくっても雨が降らなければどうにもならない。今の科学技術で雨が降らせられないのかということをおっしゃった大臣もおられまして、私もまさしくそう思ったのですが、それが不可能であればどうするかといったとき、あのときはたまたま建設大臣が、じゃ、もうとにかく少し建設省が別枠を出しても、今の泥を、夏はダムの水位がどんどん下がっておりますね、ですから、泥をどんどんとり出すというふうなこともしていかなければいけない。そういうことしかできないのかな、知恵がないなど。  そのときに私は海水の利用ということを考えまして、科学技術庁がこういうことをできないのだろうか。でも、アラブや何かでそういうことを利用しているのは御存じでいらっしゃると思います。日本だってそういうことを積極的にやればいいんですけれども、困ったときばかりそれはそうだと閣議で言って、その後になって雨が降ったら、また足りたわいというようなことになってはいけないと思っていまして、これは通産省もそうですし、ほかの建設省もそうですし、いろんな人と一緒に、議員がもう党派を超えてそれこそいいエネルギー、人的エネルギー、知的なものを少し意欲を出して検討していくべきものだろうと思います。御指導いただきたいと思います。
  75. 川島實

    ○川島委員 ありがとうございます。終わります。
  76. 宮里松正

    宮里委員長 川島實若の質疑は終了いたしました。  斉藤鉄夫君。
  77. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 改革の斉藤鉄夫でございます。  きょうは宇宙開発、特にきく六号の静止軌道投入失敗についてお伺いしたいと思いますが、その前に、ちょっと先ほど笹木委員の質問にお答えになって、大臣が食品への放射線照射、これは外国では行われているようだけれども私はどうも納得できない、こういう御答弁がありましたが、日本では食品への放射線照射、行われておりませんか。
  78. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 日本でも既にジャガイモ等につきまして食品照射が実際には行われております。さらに、いろいろな食品についての安全性を中心とした研究開発も今鋭意進めております。もちろん安全確保は第一でございますけれども、広く食品の衛生とかそういった観点で貢献ができるようにぜひ我々も努力をしていきたい、このように思っております。
  79. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大臣、御感想を一言。食品に対して放射線照射が今日本でも行われているということについて、御感想はいかがでございましょうか。
  80. 田中眞紀子

    田中国務大臣 食品に対して照射がされているという事実を私が知ったのは、ほんの一週間か十日ほど前でございまして、海外から帰っていらした方から、そういうことがされているので、そういう利用方法もあるということを聞きましたし、今またジャガイモ等の話も聞いております。  食品というのは体内に入るものでございますし、もちろん安全であるからこそそういうふうな形でもって証明をしているという面もございますが、私自身の素人感覚、主婦と言うと最近マスコミにしかられますので、素人感覚でいきますと、ちょっとまだ心配かなという感じもいたしますけれども、むしろ安全であるから、私が素人で物を知らないからゆえに不安を持っているものを払拭するためにも、そういうふうな照射か行われているんだと、しかも公開されているわけですね、そういうことは皆さんも御存じなわけですから。そのように理解して、私も認識をもっともっと改めなければいけないのかなと思った次第でございます。
  81. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。  それでは、本題の方に入りまして、きく六号の問題で質問さしていただきます。  今回のきく六号、かかった費用は、衛星本体それから打ち上げ費用含めて六百億とも七百億とも言われているわけでございますが、これか静止軌道にうまく乗れなかった。静止軌道に乗れなかったために、本来の目的である実験ができなくなったわけでございます。静止軌道に乗らなくても、大型衛星のバス技術については実験ができるとか、主目的である通信実験についてもかなりできるというふうな議論はございますけれども、やはり主目的の実験ができなくなった。  それから、楕円軌道で一番地球に近づいたところで、非常に放射線が強いバンアレン帯を通る。そういうことで太陽パネルの損傷が激しくて、一年くらいしか寿命がないんじゃないか、こういうことが言われておりまして、やはり私は、いろいろな議論はありますけれども、失敗だったと言わざるを得ないんじゃないかと思います。  この七百億円、マスコミでは宇宙のごみになったというような書き方もしてございますが、ほかの費用と比べてみますと、例えば平成六年度のゴールドプランにおける老人福祉施設整備が約七百八十億の予算なんです、これは特別養護老人ホームが一万カ所、ケアハウス七千人、高齢者生活福祉センター四十カ所、これだけの手当てができるお金だ。大臣は選挙戦で寝たきり老人の対策の充実を訴えられたそうですが、そういう一主婦の立場として、この七百億円の失敗に対してどういうふうに認識していらっしゃるか、御所見を伺いたいと思います。
  82. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  主婦だからといって台所の発想だけで生きているわけじゃございませんで、そうであったら主婦にとどまっていればいいんであって、その発想だけていくのは大変危険だなという感覚も私の頭にはございまして、やはり国家を預かって、そして世界との協調、そしてお互いの国際貢献ということを考えました場合には、マターが違うと思います。  その七百億円、私はむしろ今回のことを有効に生かしていかなければいけないと思っておりますし、科学技術というのは福祉の予算と話がちょっと違っておりまして、科学技術の進歩のためにはこうした経験というものも必要であって、これを踏まえてさらに大きな飛躍ができるだろうというふうなことをむしろ期待するべきではないかと思います。  ただし、今先生おっしゃいましたように、確かに国産で初めての大型衛星でございますし、この打ち上げ自体、私もロケットの打ち上げを種子島で拝見して感動いたしました。その後また静止衛星軌道に乗らずに、今おっしゃったようにバンアレン帯を通ったたとかいろいろな問題があった。アポジエンジン自体が作動しなくて静止軌道がうまくいかずに、軌道を一生懸命変えているうちに今度はバンアレン帯を通ってしまった。  これらも一回一回特別委員会で調査していただいておりますので、どうしてそういうこと、なぜバンアレン帯を通るんだろうかとかいうふうなこと、事前に予知できなかったんですかというふうなことも私は伺ってみましたが、それも一回一回やってみないとわからないというのが実情だという率直な説明も受けておりますので、こうしたことを奇貨としてという言葉は正しいかどうかわかりませんけれども、やはり将来の科学技術の進歩のためにこの七百億円をぜひ生かしていきたいというふうに思っております。
  83. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大臣からは失敗だったという御発言はなかったのですが、私はかなり失敗に近かったのじゃないか。  それから、もう一つ非常に憂慮すべきこととして、今回、開発に失敗はつきものだという意見もございます。また、大臣も九月一日の閣議後の記者会見で、むだのない科学の進歩はあり得ない、科学は信ずるに足るという考えは現在も変わらない、このようにコメントされております。しかし、私ちょっと違うのじゃないかな、こう思います。  私も研究者でございました。研究というのは確かにやってみないとわからない、そういう部分がございます。しかし、今回の失敗は、やってみなければわからない研究の対象の部分で起きた失敗ではないわけですね。本来の研究にまで行くその途中の段階で起きた失敗だ、こういうふうに考えます。したがって、だれもそこの部分で失敗をするとは考えていなかったわけなんですけれども、こういう失敗してはいけないところての失敗だったのではないか。つまり、研究だから失敗してもいいんだというその発言は、今回の失敗を過小評価して、ひどい言い方をすれば自己保身をする、そういう態度が見え隠れする発言ではないかな、このように思うのですけれども、その点について大臣の御感想はいかがでしょうか。
  84. 田中眞紀子

    田中国務大臣 斉藤委員技術者をしていらっしゃって、科技庁のことはもう大変よく裏も表も精通していらっしゃるというふうなことを理解いたしておりますが、今のは、私は失敗はつきものだとか、そういうふうに失敗を過小評価したなんということはありませんで、基本的にはまことに残念だと思っております。  ただ、打ち上げに携わった皆様、研究なさっていた皆様、それからボルトやナットを締めた方々も、皆さんがやはりよかれと思ってベストを尽くされたと思います。このことに本当に夢もあらゆる希望も、将来の研究もすべてを託したと思うのですね。その善意の結果が一〇〇%成功にはいかなかったというふうに理解して、ですから、それをもっといい将来に結びつけるというふうに考えていきたいし、私は事実そう思っております。
  85. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大臣のその御感想、非常に私もよくわかるのです。だれしも力いっぱいそれぞれ個人が頑張って成功させようとやっている、それはもう間違いないことだと思います。だれも失敗させようと思ってやっている人はいないわけですから。しかし、そう言ってしまうと、今回きく六号が我々に提示した問題の本質が隠れてしまうのではないか、私はこのように思います。  先ほど言いましたように、失敗してはならないところで失敗した。ここがうまくいくかどうか、その研究の対象のところで失敗したわけではない。そこに行く途中での失敗、こういう意味で、失敗してはならないところで失敗した。そういう意味で私は、技術の失敗ではない、これは技術の問題ではない、こういうふうにも思うわけです。  ちょっと私も言い方が下手であれなんですけれども、今回は、端的に言いますと、だれもがうまくいくと思っていたところがうまくいかなかったわけですから、それは技術の失敗ではなくて、その技術を管理する管理の失敗、もしくは膨大な量の技術情報、その技術情報を統括的に、一元的に管理する情報管理の失敗、もしくは品質管理、信頼性管理、いわば管理の失敗が最も基本的なところにあるのではないか、そのように思うわけです。  もう一度言いますけれども、うまくいくかどうか、その研究する部分で失敗したのではない。そこに行く途中、当然うまくいくと思っていたところで失敗した。そういう意味で管理の失敗なのではないか、こう思うのです。私、一書い方が下手で、わかっていただけたかどうかわかりませんが、その管理の頂点にいらっしゃる大臣として、今回の問題は技術の問題ではなくて管理の問題だ、こういうふうに私は考えるのですが、その点についていかがでございましょうか。
  86. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今回のふぐあいか生じました後、私もかなりしつこいぐらいその結果、原因究明はもちろんでございますけれども、その後どのような利用があるのかとかいうことについては何度も役所の方にお伺いをしております。そして、これはもう先生御存じでいらっしゃると思いますけれども、宇宙開発委員会に特別調査委員会をつくっていただきまして、精査をしていただいております。その中の現在私が受けている中では、今先生がおっしゃった管理、情報やら品質ということでしょうか、品質とおっしゃいましたですか、そういうふうな管理の失敗というふうな報告は受けておりません。  これ以上必要でございましたら局長さんに答弁をしてもらいますが、いかがでしょうか。
  87. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 若干補足させていただきたいと思います。  先生今、研究目的の前に失敗されたという御質問の趣旨でございましたが、今回失敗いたしましたのは、そういう面もありますが、一つは、アポジモーターが直接ふぐあいになったわけでございます。アポジモーターも実は新しい技術にトライしておりまして、これ自体も研究目的だったわけでございます。  それから、今御質問になられました管理体制につきまして若干大臣を補足させていただきますと、今回、大臣委員長をされております宇宙開発委員会の特別調査委員会では、メーカー等から技術的なこともきちんと調査しておりますけれども、と同時に、先生が今御指摘になりましたような技術情報体制、そういうことも含めまして検討していただいておりますので、調査結果がまとまりましたところで御報告をさせていただきたいというふうに思っております。
  88. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今回アポジモーターも研究の対象だったとおっしゃいますが、そうしますと、そのアポジモーターがうまくいってできる実験、これは何百億にも相当する実験になるのですが、それは失敗するかもしれない、アポジモーターが成功したらその通信実験ができる、こういうことでしょうか。もしそうだとしたら、その実験の戦略の立て方が非常にまずい、私はこのように考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  89. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 新しいアポジモーターをこの衛星に採用するにつきまして、今先生がおっしゃったような御意見も含めまして、宇宙開発委員会の中できく六号につきましてどういう技術要素を盛り込んだらいいかということにつきまして、これもまた委員会におきましていろいろな議論がなされておりまして、この技術につきましては、新しい技術でありますけれども非常に信頼性があるということで、当時、学識経験者が採用に踏み切ったわけでございます。  ただ、これにつきましても、まだ先生のおっしゃるような御意見もあるかと思いますが、それにつきましても今回の特別調査委員会で議論がされている一部でございます。
  90. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 わかりました。その特別調査委員会でぜひいろいろ徹底的な原因解明をやっていただきたいのですが、その特別調査委員会、なぜアポジモーターが動かなかったのかという非常に局所的な、また技術的な問題と同時に、先ほど私が申し上げましたような情報管理、また技術管理、そこについても徹底的なメスを入れていただきたい、このように思います。  私は、今回のこのきく六号、ある意味では日本科学技術にとってこれから非常な教訓とすることができると思います。  私、常々考えておりますのは、例えば日本の場合は技術の一九的な情報管理ができていない。先ほど大臣も、これからの科学は総合力でというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、その総合力が発揮できるような科学技術体制になっていない、こう思うのですね。  例えばボーイング747、ジャンボ、この部品一つ一つは、もう日本とかアジアがほとんどつくっている。しかし、その何万点という、また何十万点という部品をシステムインテグレートしてまとめ上げていく力というのはアメリカにしかない。アメリカは要素技術はないのだけれども、それらの情報を全部集めて、どこに問題があって、どういう手を打って、どうすればこういうジャンボ、747のようなものができる、そういうシステムインテグレーションの力はアメリカにある。  個々の研究者、個々の技術日本は決して負けていないのだけれども、総合力で負けてしまう、その問題点を私は今回このきく六号が端的に浮き彫りにしたのではないかというふうな気がしております。そういう意味で、そういう情報・技術管理の面についてもぜひメスを入れた報告書をつくっていただきたい。  その報告書、調査委員会の結果の情報公開についてですが、そういう面で日本のこれからの科学技術に非常に重要なインパクトがありますので、企業秘密に属する部分があって出せないところはあるかと思いますが、できれば一〇〇%情報公開して、これからの科学技術に資していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  91. 田中眞紀子

    田中国務大臣 斉藤委員のおっしゃることに全く同感でございます。そのような方向づけをできるように最善の努力をいたします。
  92. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 これはNASDAの山野理事長が日経ビジネスに書かれたというか、インタビューに答えられた記事ですが、「今回の衛星開発・製造では、プライム契約一主契約一企業を一社指定し、その企業が参加メーカー各社に各コンポーネントを発注するという従来の方式をとりませんでした。NASDAがシステムインテグレーターとして各メーカーに発注し、全体を取りまとめる方式をとりました。」ということで、NASDAとしては全く新しい方式で今回のきく六号に臨まれた。しかし、こういう失敗があった。これはNASDAがシステムインテグレーターとしてまだ未熟だ、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  93. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 今先生いろいろNASDAのことにつきましておっしゃっていただきました。  先生のおっしゃったとおりの方向でNASDAもやってきてまいっておりまして、NASDAは外国から見ますと後発でございますので、当初は技術を入れる、発注をするという方向でやってきたのでございますけれども、その後、とにかくシステムインテグレーターとして能力をつけたいということで、メーカー、学界、いろいろなところから技術情報を収集してまいりましたし、いろいろな自主技術開発に当たりましては、そういう技術水準技術能力をつけるということで最善の努力をしてきたつもりでございます。しかし、今回アポジモーターにつきましてこういうふぐあいを起こしておりまして、これにつきましてどういうことが原因であったのかということにつきまして、特別調査委員会におきましてきちんと御説明し、原因を究明していただきたいというふうに考えております。
  94. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 これまでは民間企業が主契約者ということで、最終的な全責任は発注者であるNASDAがとるのでしょうが、一応民間企業がきちんと責任を持って納めていた。今回はNASDAがシステムインテグレーターをやった、その差があるわけです。  私、大きな差は、民間企業が主契約でやっていた場合は、失敗するわけにいきませんから、万全の管理体制をとって対処していた。民間企業の場合、私も民間企業の技術におりましたが、一番気を使うのは、やはり技術情報の全般的な把握、どこに問題があるのか、それを把握すること、一番そこが重要なポイントになります。  衛星の場合は部品が百万にも及ぶ。一人で百万もの情報を管理できるわけがありませんから、それぞれコンピューターを使って、その百万点の情報はしかしすべてインプットして、四つか五つの人間が判断できる数にまで情報を集約して、最後に責任者が判断をする、こういう技術一情報管理の体制が民間の場合は非常にしっかりしている。  外から見ますと、百万点に及ぶ情報がすべてインプットされて、かつ、それをすべて含んだ形で最後に人間が判断をする、こういうシステムができ上がっているのですが、NASDAの場合、一般に寄り合い所帯だとか、本当の意味の技術管理がされていないとか、管理者がお役人の天下りばかりでそこら辺そういう意識が全くないとか、こういう批判も私と同僚の技術者レベルからは聞こえてくるわけです。  このNASDAが本当にシステムインテグレーターとして成長するために、もっと大規模情報管理――NASAはそこに今一番力を、そこにといいましょうか、今といいましょうか、ずっとそこに一番力を入れてやってきた。要素技術については優秀なところを持ってくればいいわけですけれども、それをすべて統合するシステムにこそ一番力を注いでNASAがやってきたからこそ、あれだけの大規模システムをつくり上げた。NASDAにはその点が足らない、こう思うわけです。  大臣その点を、なかなかここの部分は御理解いただけないところなんですけれども、もう少し管理者として、すべての情報を集め、きちんとした意思決定ができるようなコンピューターを使ったシステムをつくり上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 田中眞紀子

    田中国務大臣 御指摘のようなコンピューターを使ったような管理システム等ができれば一番よろしいのですが、民間企業と、国のやることは限界があると思います。  ただ、ちょっと視点を変えて見ますと、今回の宇宙開発委員会だけではありませんけれども、また科技庁だけではありません、あらゆるこういう委員会、政府関係は確かに天下りが多くて、名誉職のような方があちこちから来ていらっしゃる。  私もそれは不満でございまして、人選がどういう形で来ているのか。それなりに経緯があって、意外と人脈が少なくて、民間にいろいろ優秀な方がおられたり、官界にも関心のある方がおられるのかもしれませんけれども、なかなかそういうことが役所にも、科技庁のこのことだけではなくて、広くほかの通産でも運輸でも建設でもそうだと思いますけれども、そのために結構同じような方、それから役所から天下りで入っている方が大変便利であるというようなことかもしれません。  そういうことに対して役所からちょっと私が伺っているのは、やはり日本の社会ではなかなかまだ権威性が大事なんだというふうな話も聞いたことがありますが、それは配分の問題でして、権威性のある人は一人ぐらいいればいいのであって、あとは、先ほど御指摘なさったように、全体をオーガナイズして、情報も公開するし、もっと一般にわかりやすく、歩み寄ってくるような委員会というものを、もっとファンクションするような委員会づくりというものを目指すべきですから、そういうことを我々若い世代の議員なんかがフレッシュな感覚のあるときに頑張って、もちろん長老の先生方のお知恵やら人脈も利用させていただきながら、やっていくべきところだろうというふうに感じております。
  96. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 よろしくお願いいたします。  日本宇宙開発予算は非常に少ないとは言われておりますが、しかし、国民の血税を使っての宇宙開発でございますので、その税金が効率的に使われるように宇宙開発体制そのものも見直していかなければいけない。本当に情報管理がきちんとしたシステムにしていかなければいけないと思いますので、その点に対する今後の大臣のリーダーシップをぜひよろしくお願いします。  最後に、今回のきく六号の失敗が今後の宇宙開発に与える影響についてですが、まず、来年度予算につきまして今回の失敗の影響があるのか、それから、この間長期ビジョンが出されましたけれども、それに対して何らかの影響があるのか、その点についてお伺いします。
  97. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 御説明申し上げます。  直接的な予算としましては、このきく六号に係ります来年度のいろいろな運用の経費がございます。これは宇宙開発事業団、それから郵政省、両方合わせまして七億ほどございますが、この予算につきまして、当初予定しておりました静止軌道じゃない軌道を回って、また運用計画が若干変わってまいりますので、これがどういうふうに変更があるかということにつきましては、この委員会の調査結果を待って検討をいたしたいというふうに考えております。  また、長期的な点につきましては、今回いろいろな試験研究要素を盛り込んでおりまして、先ほど大臣御説明いただきましたように、かなりできた部分もありますし、当初予定したものができなかった部分もございますが、それ全体を評価いたしまして、今後検討させていただきたいというふうに考えております。
  98. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわかりませんでしたけれども、今、日本宇宙開発は、HⅡを例にとりますと、高いけれども信頼性がある、信頼性があるから少々高いんだ、こういうことをずっとおっしゃってきたわけですけれども、今回の失敗で、どうも信頼性もちょっとおかしいんじゃないかというふうなことになってまいりました。  そうしますと、HⅡの打ち上げというのは、アリアンとかヨーロッパやアメリカロケットに比べると、コストが倍とまではいきませんけれども非常に高い。それをカバーする信頼性がちょっと揺らいできた。今後HⅡロケットをどのように長期ビジョンで考えていったらいいか、一つの大きな分岐点に今あるんだと思うのですけれども、やはりこれまでどおり最終的には商業ベースに乗せる、そういう目的でこれからもいかれるのか、それとも当面は研究開発ということで少々高くてもいいんだ、こういうことでいかれるのか、その点についてお伺いします。
  99. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 御説明申し上げます。  今回のふぐあいは、ロケットの部分につきましては試験機二号機としまして完全に成功いたしまして、その後のアポジのところでふぐあいがあったのでございます。ということで、私ども、日本技術全体ということはあるかもわかりませんけれども、HⅡロケットそのものにつきましては、信頼性が揺らいだというふうには考えておりません。  今先生御指摘のありましたコストの面でございますけれども、これにつきましては、実は現在一回打ち上げますと百九十億円でございますが、これを平成十一年度を目指しまして百四十億円までコストダウンをするということで、現在計画を立てております。これは政府の打ち上げるロケットに使うコストでございますが、こういうコストダウンされましたロケットが、私どもとしましては、いろいろな世界の市場に使われるということはもちろん期待しております。ということで、コストダウンに今後とも大いに努めてまいりたいというふうに考えております。
  100. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 きく六号のこの問題の質問の最後に、NASDAの最高責任者の方は、今回の失敗が日本宇宙開発の評価を下げることにはならない、こういうふうに言われているわけですが、大臣はどのようにお考えか、また、今後の宇宙開発に関しての大臣の御所信を一言お伺いして、質問を終わりたいと思います。
  101. 田中眞紀子

    田中国務大臣 宇宙開発の評価を下げることにならないかどうかは、それは人様が決めることでございますから、私の立場で一番最善を尽くすべきことは、原因の究明、そしてこれを災い転じて福となせるように、非科学的な了見で申しわけありませんけれども、そういう方向原因は精査して、そして、よい方向づけをするということに尽きると思います。  また、宇宙開発をすることによって生活にどういうふうな、平和な、生活の利便に供するような利用方法があるかということについても、やはりもう少し私どもの方でもって知らしむるというか、そういうふうなバブリケーションのようなこともしていくべきだろうというふうなことも考えております。御指導いただきたいと思います。
  102. 宮里松正

    宮里委員長 斉藤鉄夫君の質疑はこれにて終了いたしました。  辻一彦君。
  103. 辻一彦

    ○辻委員 私は、さっき長官のお話にもありましたが、原発日本一、世界で一番集中している福井県若狭湾の出身であります。  ちょうど二十余年前なんですが、大阪の万博に原子力の火を初めて送った福井県、四十五年であったと思います。その後、私は参議院に出て、ちょうどそのときには、初めは平和利用ということでこの原子力の推進を支持しておったのですが、その若狭湾に敦賀、それから美浜、それから高浜、大飯というように原子力の基地がそれぞれつくられて、初めは二つずつ建設をされる。それがどうも状況を見ると、どんどんふえていきそうな状況にあって、夏、七百万も人が来る海水浴場に原発がこれ以上集中しては困る、こういう点でなかなかそれを支持しかたくなったという経緯があります。そのときの昭和四十七年四月の通産大臣は長官のおやじさんの田中通産大臣、それから四十九年三月、予算委員会で集中問題を随分論議をしました総理は、田中総理であったわけであります。  あれから満二十年以上の日がたっておりますが、今、私の若狭湾、福井県は第二の集中化への道を歩むかどうかという岐路に立っております。それは、先ほどお話がありましたが、日本原電が敦賀一二、四号の増設の調査を知事に要請している。ここで道を開けば第二次の過度集中が福井県に起こりかねない、そういうことを大変心配しております。  そういう二十年たって同じ問題、集中化という問題をここで論議するということも、これは何かの因縁というか、めぐり合わせか、こういう感じがいたしますが、父子二代、この原子力、エネルギー政策を担当された二世長官の感想をちょっと伺いたいと思います。
  104. 田中眞紀子

    田中国務大臣 親子二代でお世話になりました。本当にありがとうございます、「ニセ長官」じゃなく二世とおっしゃったんですよね。片仮名のニセかと思ってびっくりいたしました。  先日も、個人的ですが、いろいろ資料をちょうだいいたしまして、辻先生、本当にどうもありがとうございました。あの四十七年代の父との議論ぶりの写真やら資料もいただきまして、へえと思っておりましたけれども、父は本当にエネルギー政策には関心が高くて、資源エネルギー問題には随分通産大臣のときには頑張っていたことは私も家の中で見ておりましたし、再三そういうふうな発言に接しておりました。  過度集中のお話でございますけれども、その前にちょっと一つだけ違うことを申し上げさせていただきます。  この間ちょうだいしました資料もつまびらかに拝見した結果、原子力という問題は世界じゅうでやはりもろ刃の剣であって、一つ間違うとチェルノブイリのようなことが起こる。しかし、上手にうまく平和利用すれば、すばらしい天の恵みになり得るんですね。そういうふうなことがある中でもって、人間が英知を働かせてきているわけですけれども、それは政府や電事連等が強力に推進するということだけではなくて、辻先生方が住民のサイド、それから素朴な疑問とか、それからもっと高度な科学技術の知識に根差して、両方の角度から常にチェックを入れていらっしゃった、そういう長い歴史であるというふうにちょうだいした書類から私は読み取りまして、なるほど、そういう過去の経緯があってこそ今日の原子力の基盤が築かれているというように理解をいたしました次第です。  過度集中は、先ほど別の委員さんからも御質問があったので繰り返しになるかと思いますけれども、確かに福井県は集中しておりますし、それから先ほど申し上げましたように、福島県、新潟県も大きなところで、そういうところにどんどん、また新規に福島でも二基、新潟でも二基増設というふうなことがありまして、福井県も知事さんが、今回は新たな増設については、白紙とまではおっしゃっておられませんけれども、環境等についても考えたいとおっしゃっている。それは私もよく理解ができます。  でありますからこそ、安全性ばかり言うとしかられますけれども、やはりこれはどうしても安全性に尽きるんですよ。もうそれは絶対必須条件でございますので、そういうことについて地元の方に御理解をいただく。しかし、では、ほかのところが絶対に受け入れないかというと、そういうことはまたはっきりわかりませんので、それも同時並行して、ほかにもそういうふうな立地を受け入れてくださるところがあるかどうか、それは科学技術庁としても責任を持って、今後一生懸命早目に対応していくべきことだろうというふうに思っております。
  105. 辻一彦

    ○辻委員 先ほど言いましたように、大阪に、万博に電気を送ってから二十四、五年たっておりますが、現在十五の発電所があり、千百八十万キロワット、約千二百万キロワット、これはどこにもない集中地だと思います。  この二十四、五年間、県民や住民もまたなかなか大変だったと私は思います。それは第一は、五十年代に日本原電の海水への放射能漏れがあって、これは非常に大きな問題になりました。それから三年前には、平成三年二月には、御承知のように関電の蒸気発生器のいわゆる破断事故が起きて、我が国で初めて緊急冷却装置、ECCSが作動したという大きな事故があったわけですね。これらは予算委員会等で随分と論議をしてまいりましたが、なかなか住民や県民の皆さんも大変な二十五年であったと思います。  そういう中で、若狭湾は、長官も新潟ですから御承知のとおりですが、西日本有数の観光地といいますか海水浴場ですね。夏にはあの若狭湾一帯には七百万ぐらいの海水浴のお客さんがあふれる。したがって道か大変で、地域振興では高速道という随分強い熱望がありますが、それは別として、そういうところであるということ。その中で今言った大きな二つの事故がある。  そんな中で、SG、蒸気発生器の事故からもう三年半ですね。ようやく蒸気発生器を入れかえて、そして試運転をやって、八月から動き出したのですね。県民の皆さん、住民の皆さんとしては、あれだけの日本で初めてECCSが動いたというそういう事故の後、取りかえられた蒸気発生器が心配なしにちゃんと動くのかどうか、こういうことをいましばらくは当分見守りたいという、こういう時期なんですね、  ところが、そのときに、その八月に、試運転が始まって間もなしに日本原電から事前調査の申し入れが福井県になされた。だから、こういう状況から考えますと、県民感情をある意味では逆なでしたようなことじゃないかと思うのですよ、このときは。  皆さんからいうと、十五基、千二百万キロワット、日本の国のエネルギー政策には今まで十分協力をしてきた。そしていろいろな事故もあった。今は高経年炉、いわゆる二十年以上経た炉がもうできてきているわけです。古くなれば新しいのよりも大体いろいろな問題、トラブル、故障、事故が出ますから、高経年炉に対して、二十年を過ぎたそういうのを相当抱えていくわけですから、これらに対する安全に力を入れるのが今の時代だ。  このときにまた二つもさらにつくろうという申し入れをするというようなことは、とんでもないことではないかというのが私は福井県の大体八割以上、いや九割の住民感情ではないか、こういうように思うわけであります。それが私は県民の大体の世論だと思っております。  だから、ちょっと実態を申し上げると、自治体はそれぞれの手続を経ておるわけですから、これはこれでまたちゃんとしたやり方をしておりますが、周辺の町村は、八力町村が一斉に協議会をつくって反対を表明している。それから、そういう県民の感情を反映して、この数日月に、わずかの間に十五万の署名が集まっている。恐らくこれは年末までやれば二十万にはなるのではないか。福井県の有権者、六十五万弱ですか、これに比べると相当な数である、こう言わなくてはいかない。こういうことが大体福井県の命の実態だと思っております。  こういう状況の中で、先ほどお話がありました福井県の知事も、慎重に考えざるを得ない、そして一年ないし二年先に増設するかどうかを判断をする、そのときにはノーと言うかもしれませんよということを発言しておるわけですね、記者会見で。こういう中で日本原電は調査をやります、こう言っておるわけですか、私は、こういう状況の中で調査を無理に進めていこうとすれば、全く県民感情からかけ離れたことになるのではないか。  長官は、所信表明において国民理解を得てという言葉、これは長官の表明にもありますし、また原子力白書あるいは新長期計画の中にもうたわれておりますが、国民理解を得るには、一番世界一集中しているこの地域の理解なしに国民理解はあり得ないと思うのです。こういう状況の中で、一体国民理解を得るという立場から立ってどういうように考えていらっしゃるか、これは日本の原予力行政の最高責任者であります長官、原子力委員長としての見解をまず承りたいと思います。
  106. 田中眞紀子

    田中国務大臣 先ほど来繰り返しほかの委員先生方の御質問でもお答え申し上げていることでございますが、これは本当に原子力の増設に当たって基本の問題でございますし、ターニングポイントに来ているんだなということを痛感いたしております。  今の高経年炉の問題にいたしましても、確かにこういうものの廃炉をどうしていくかという問題もあるのに、またさらに新規に増設、どんなものかということはあると思いますが、政策面からまず申しますと、繰り返しになりますけれども、もちろん地元で安全性ということの情報公開をし、地元の方に見ていただく、住んでいる方にこそ見ていただくということが基本ですし、そういうふうなことが関西電力等でなされているということも、関電の社長さんからも直に先日電事連の社長様たちとの食事の会で伺いました。  ですが、それでもまだ十二分ではなくて、先々を考えますれば、当然のこととして、私も知事さんから道路の建設の要望がありますから、これはということで建設大臣には直に申し上げましたし、官邸でことしの七月だったと思いますが、全国知事会議がありましたときに、各知事さんから国の財政が魁迫している中でいろいろの要望が出たわけです。その中で、私は手を挙げましてこういう発言をいたしました。  それは、物事には優先順位というのがあるので、理想やらそれぞれの熱望というもの、理想に基づいたものも現実に基づいたものもあろうと思いまT。例えば福井県では道路でございますね、それから青森県では新幹線ということが長いこと言われていますけれども、そういう原子力発電とか国の基幹的な政策に対して御協力くだすっているところに対しては、最優先でなけなしのお金でも予算をつけるべきではないか、むしろほかの知事さん方にはそういうことについて御理解をいただきたいという発言をいたしまして、福井県知事、青森県の北村知事からも喜んでいただきました。これを現実にしなければならないわけですが、そういうふうなことは当然あるべきことです。  それから三つ目の点につきましては、先ほど委員先生がおっしゃいましたように、当然原子力発電以外の面で、医療でございますとか、あるいは農業でございますとか環境とかいう面での、個々の具体的なことは二度になりますから繰り返しをいたしませんが、そういうふうな施設を持っていくとかいうふうなこともやはり考えなければいけません。  ただし、同時並行で、繰り返しになりますけれども、ほかの地域、立地にふさわしい地域というものの交渉といいますか、そういうことも、本来でしたら、私なんかが就任させていただく以前にもっとされているべきことであったなというふうに感じておりますけれども、今からでも私はそういうことをさせていただくべき立場だろうというふうに理解しております。
  107. 辻一彦

    ○辻委員 今長官のお話の中に、地域の振興というお話がありました。それはまあ結構です。今後の新増設は別として、十五の発電所を世界一で抱えている。世界一の原発確保している。県内には一基あればもう電力は足りるのです。全部関西経済圏へ送っているのですから、少なくともその地域に対して何らかの地域振興でこたえていくことは、これは当然だと思います。  問題は、もう少し私が伺いたいのは、こういう集中化を何らかの形で歯どめをかけるべきではないかということです。十五万の署名をした中に女の方、女性が随分多いわけです。これは率直なことで、十五もあるのにまだつくるのですか、もうこれで福井県は結構です、十分協力しているのじゃないですか、安全をしっかりやってくださいと、これは生活者である主婦の声だと私は思うのです。そういう声を何回も聞いておりますから。  長官は生活者、主婦の立場から科学行政に取り組む、そういう決意で臨んでいらっしゃるのですが、あえて生活者、主婦の立場から私はこの問題は何としても考えてもらわなくてはならないと思うのですが、これについてその立場からいかがでしょう。
  108. 田中眞紀子

    田中国務大臣 先ほども若狭湾が大変きれいなところで、海水浴のときには大勢の方が行かれるというお話を伺いましたし、私の原発のあります刈羽は、近くに美しい柏崎の海を控えております。本当に同じような状況だなということを思っておりますけれども、環境問題、それから発電の電力の確保、それから原子力のほかの面での平和利用、生活利用ということを総合的に考えまして、専門家やまた先生方、いろいろな方々のお知恵、お声を伺わせていただくということが私の務めだろうと思っております。  同時に、先ほども申し上げましたが、近々福井県に伺わせていただくことにしております。これは大変マイナーなことでしかないかもしれませんし、素人の、まだ代議士になって一年ちょっとしかたっていない私が見せていただいても、そんな科学的な、技術的な難しいことすべては理解できるとは思いませんけれども、足を運ぶことによって現場の方々が世間の注目を集めることができれば、これは本当にもっと真摯になって、細かいところも漏れなんかがないように、将来どうやってこの原子力をやっていくのかということを考えていただけるきっかけになるかもしれないと思って、私はひそかにそういう期待も自分ではしておりますので、福井県行きを楽しみにしております。
  109. 辻一彦

    ○辻委員 ちょっと答弁が私の質問していることとすれ違いの感じがしますが。  時間がもう全くわずかなのですが、もう一つ申し上げると、私は六十二年にチェルノブイリの現地も行って、西側の政治家としては、社会党三名ほどで現地に行ったのは初めてだと思いますし、それより前も現地へ行ってみんな見てきましたし、フランスドイツ、イギリス等の主要な原子力基地は、この二十年ほどの間にほとんど見て回ったのですね。  しかし、福井県の若狭湾ほど、これくらいの地帯にこれだけ集中している地域は、今のところ世界のどこにもない。それを考えると最大の集中地であると思うのですが、そこも人も住んでいないというようなところじゃなしに、さっき申し上げた大きな観光地ですね。そこの住民、県民の理解の得られないやり方をやって、果たして国民理解が得られるのかどうか。もしこのままこの日本原電等の調査を無理にやって進めていくとするならば、まさに県民、住民の不信を買い、国の原子力行政に対して大きな不信を加速することになるであろう、こういうことを私は強く警告をしたい。  そして、こういうことのないように、住民の理解が得られるようにするために、納得できるようにするには、私は、これだけの集中地帯にはしかるべき歯どめをかけて対応する、こういうことが必要と思います。この歯どめについて今後検討すべきであると思いますが、長官の考え方はどうですか。
  110. 田中眞紀子

    田中国務大臣 諸先輩の御意見も伺いながら、検討をさせていただきます。
  111. 辻一彦

    ○辻委員 これは十分ひとつ御検討をいただきたいと思います。  まだ数分ありますが、もう一つは、私は二つほど、廃炉を一体これからどうするかという問題と、その膨大な出る廃棄物。これはもう詳しい論議はできませんが、東海村で五千キロワットの試験炉を解体した。これは日本の唯一の経験ですが、コンクリートを含めて二千二百トンの廃棄物が出て、そしてそれは地面の中に三十年間立入禁止で埋めている。一万キロワットで言えば四千四百トン、百万キロワットにすれば四十四万トン。大体百万トン、五十万トンというのが普通ですから、膨大な廃棄物が出る。こういう廃棄物に対してどうするのか、どこが引き受けていくのか、この問題も明らかになっていない。  また、今のプルトニウム政策を見ますと、だんだんと修正せざるを得ない状況にありますが、そういう中で青森の第二工場もまず先送り、これは結構だと私は思います。そうなれば、現実にこのままの状況で原子炉を燃やしていけば、使用済み燃料が蓄積する。どこかの水に漬けて、プールに長期に保管あるいは貯蔵を考えなくてはならない。こういう問題は皆いずれも大きな不安材料でありますから、これらについてきちっとした対応をしてもらうということが非常に大事だ。そういう点で論議をしたいと思いますが、もうこれは時間が切れましたから割愛します。  最後に一つだけ申し上げたいのは、「もんじゅ」が今試験運転をやっておりますが、どうも「もんじゅ」の試験運転の状況は情報が公開をされていない。何かマスコミを通して幾らかリークされたのがいろいろ載っております用地元の県も余り知らない状況の中で情報が流れたりしておりますが、私はこれは長官も言われる情報公開の原則に従って、今「もんじゅ」が増殖比が一・二になるのかどうなのか、どういう試験をやってどういう状況になっているか、こういうことを公開していただきたい、このことだけをお伺いして、終わりたいと思います。
  112. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今おっしゃいました「もんじゅ」の件につきましては、私にも投書が来ております。これは役所の方で精査をして、正確な情報を私も入手してお答えできるように、また公開できるようにいたしたいと思います。
  113. 辻一彦

    ○辻委員 では、終わります。
  114. 宮里松正

    宮里委員長 辻一彦君の質疑は終了いたしました、  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  115. 宮里松正

    宮里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。臼井日出男君。
  116. 臼井日出男

    ○臼井委員 私、委員会に所属して初めての質問でございますが、田中大臣科学技術庁長官に御就任をされた。閣内唯一の女性大臣、マスコミにも大変うるさいくらいにつきまとわれて、大臣としては御迷惑な部分もあるかと思うのですが、田中大臣科学技術庁長官に御就任いただいて大変私はよかった、こう思っております。それは、長官をされて、科学技術というものが国民の皆さん方に大変近い位置でもって受け取られるようになった、このことは私は大変いいことであると思っております。  また、私も議員になりましてから十年過ぎて初めて科学技術委員会に所属をさせていただいて、従来は文教関係が長かったものですから、同じ科学技術関係するといっても、どちらかというと文教の立場から科学技術というものを見ておった。委員会に所属をして全く違った新しい目を開かせていただいた、このように私自身も大変うれしく思っているわけです。  大臣、御就任をされまして三カ月たったわけですが、その新鮮なところでもって率直な御感慨を最初にお伺いしておきたいと思います。
  117. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  少しお褒めにあずかったかなと思っておりますが、私自身は、まだ日にちがたっておりませんので、基本的なことをマスターして、また、現場第一主義と言って立候補をし、当選させていただいておりますので、いろいろな施設を拝見し、そして、いろいろな方々の幅広い忌憚のない御意見を伺ってから勉強していくべきであろうというふうに考えております。  今考えておりますことは、科学技術庁というとやはり理科で、ハイテクノロジーで難しいことというふうな考え方を一般の方も持っておられると思いますし、私なんかその最たる人間だったわけでございます。政治家を志したときの私の直接のきっかけは、厚生問題であり農林問題であり、また文教問題等でございましたけれども、科学技術がそうしたことにすべてリンクしている問題である。何度も言われておりますように、生活密着関連の事柄でございまして、そういうことを今まで知りませんでした。  ですから、原子力の利用、宇宙開発海洋開発等専門的なことは十二分にまだ理解できずにおりますけれども、それが派生的にほかの分野にも影響しているんだということは大変すばらしいことだということを認識して、今感動いたしております。
  118. 臼井日出男

    ○臼井委員 私は、今大臣のおっしゃるとおり、科学技術予算、もちろん科学技術委員会所轄あるいは文部省所轄が多いわけですが、その他の省庁にもまんべんなくそれぞれ研究していらっしゃる部門があって、まさに細かく見てみますと、科学技術というのは日本の国をしっかりと支えているということがわかるわけでございます。  この所信を拝見させていただきまして幾つか気がついたところがあるわけですが、その中で少しきく六号の部分が長いのじゃないか、私はこう率直に思いました。もちろん私どもにとりましても、きく六号のいわば失敗といいますか、そういうものは大変ショックでもございましたし、それを今後大きな糧として、さらにしっかり国産のそういったロケットあるいは衛星等を開発していく大きな参考になると思うわけでございますが、ちょっと長過ぎるのじゃないかな、分量が制限されておりますから。  反面、私が一つ気がつきましたのは、近江長官のときと比べますと国際貢献、いわば科学技術を通しての国際貢献という部分では、最後のまとめの部分でちゃんと書いていただいておりますが、いま一つはっきりしないところが私自身ありますので、この際その御決意等についてお伺いしておきたいと思います。
  119. 田中眞紀子

    田中国務大臣 国際貢献は本当に重要なことでございまして、近江前大臣が大変御尽力をなさったところでございます。  やはり基礎的な研究というふうなことで、ヒューマンリレーションズ、そのほかいろいろなことでお互いに相互に力を出せる部分がたくさんございますから、それがまさしく原子力の発電以外の面での利用ということになると思います。先ほど来、午前中もるる申し上げましたけれども、環境問題にいたしましても、農業関係の食糧の問題に関連いたしましても、あるいは医療とか、そういう面でお互いに基礎的な研究、人的な交流を図っていくというふうなことに努めたいと思っております。
  120. 臼井日出男

    ○臼井委員 私、先般ヨーロッパ方に視察をさせていただいて、先ほど大臣お話ございましたいろいろな日本の先進技術というものが、国際的にも私どもの知らないところでもって大変評価を受けているということも知ることができました。  また、かねてから私どもがアメリカ等と協力をしております宇宙ステーション計画とか、あるいは国際熱核融合実験炉、ああいった問題、ITERの施設もガルヒンク・センターを視察させていただきまして、国際貢献という面で大変日本は重要な役目を担っているということがわかったわけでございますが、ぜひともそういう点については、これからも日本科学技術力というものを大いに世界のために使うための努力をしていただきたいというふうに望んでおります。  この所信表明にも書かれてございました未来担当大臣、大変すばらしい発想だし、なかなか響きも快い響きでございました。そしてその中に、知的創造力を生かす、こういうふうなお話もございました。私ども、科学技術を知るにつけて、やはり未来への夢づくり、創造であるということがあると思うのです。そういう意味で、先ほど申し上げましたとおり、日本科学というのは大変世界的な各分野で先端を走っているということも事実でございます。  そこで、大臣には科学技術、未来担当大臣というふうな発想、あるいは未来の夢づくり、こういった意味で、将来に向けての何かこういうふうなことであったらいいなという夢といいますか、願望といいますか、そういうものがもしおありになりましたら、この際お聞かせいただきたいと思います。
  121. 田中眞紀子

    田中国務大臣 未来とか夢とか、本当にそれは響きはいいことですし、それを理想として掲げておりますのですが、地に足のついた夢であり、実現性のある未来でなければいけないと思います。それに結びつけるために、科学技術庁の皆様、それから専門の皆様、委員の皆様からお知恵を拝借して、お力添えをいただいて、予算獲得もしなければいけないというふうに思っております。  具体的には、午前中も何度か申し上げましたけれども、やはり医学の面でございますとか、それから日ごろ感じておりますのは地震の問題ですね、予知なんかができればいいですし、それからことしのような渇水の問題がありますときには海水を淡水化するとか、そういうことができるはずでございます。  それから、障害者の問題もございますけれども、こういう介助器具のようなものは本当に工夫されれば、これは科学技術というのではなくてむしろ技術開発でしょうか、そういうふうなことがすべて私どもの身近な生活に役立っていくわけでして、そういう器具の開発があればまた海外に輸出をするとか、あるいは技術提供するとかいうこともできるわけですから、そういう意味での知的創造力、それが未来とか皆さんの平和、幸福に役立つという、面での側面を強調していくということに私は力を入れたいというふうに思っております。よろしく御指導ください。
  122. 臼井日出男

    ○臼井委員 午前中いろいろな御質問の中に、大臣から、将来に向けての夢ということも、現在私どもの実生活に密着した科学というものを大切にしていきたいというお話がございました。そういうものを基礎として、ひとつ未来に向けて国民が大きな夢を描けるような国づくりといいますか、そういうものにお力添えをいただきたい、こう思う次第でございます。  午前中のお話にもございましたけれども、今子供たちの科学離れというのが進んでいる、こういうふうなことがしきりと最近新聞等にも出ております。科学技術庁でおつくりをいただきました資料の中にもそういったものがございまして、二十歳代の皆さん方の科学に対する関心が薄れている、特にここ十年間ぐらいで関心があるという方々が非常に低下をしている、こういうことが出ておりまして、私も未来を担う子供たちでございますから、そういう意味で何とかしなきゃいかぬなということを考えているわけです。  たまたま、先ほど申し上げましたとおり、ことしヨーロッパの方に行かせていただいて、いろいろなところを見させていただきましたが、フランスのパリの近郊のラ・ビレットという科学技術博物館のようなものを拝見させていただきました。この博物館は、入られた方が自分でいろいろな器具を操作したり、参加することによっていろいろな体験をすることができる。面積が三万平方メートルの展示場に、七百種類の展示物を備えているエクスポラという常設展示場もございます。  私どもは、時間がございませんでしたので、その中で「子供の国」というのを特に選んで拝見をさせていただきました。三歳から十二歳の子供たちがそこで遊びながら、またゲームをしながら科学技術のおもしろさ、楽しさというものを味わう、こういったものでございまして、私はそれを見て、はて日本にそういうものがあったかな、こう振り返ってみて、何かそういうラ・ビレット的な、私も学校の勉強ではもうさんざん科学とかそういうものには苦しめられたので、科学というとつらい思い出しかございませんが、そういったものとは別に、子供たちが何か夢膨らますようなそういったものが必要なんじゃないだろうか。  今、私ども日本は、世界でも最高水準の恵まれた環境というものを受け継いておりますが、我々国民は、それを自分が金で買っているんだ、テレビや冷蔵庫や、金さえ出せばいいじゃないかというふうな、長い間科学に尽くされた方の経験とか御努力とか、そういう失敗が数々あったと思うのですが、そういうものは実は知らないで、できた現物を見て、金を出せばそれを対価として買っているんだという浅い意識しかないんじゃないだろうか。こういうことを考えますと、何かそういうものがあってもいいな、こう思っているわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  123. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今、臼井先生フランスのラ・ビレットのことをおっしゃったと思います。たしか先生と同行させていただきましたうちの主人も、帰国いたしまして開口一番、ラ・ビレットがすばらしかったということを申しておりましたが、私は行ったことがございません。  私も、科学技術関係というと上野の国立科学博物館、何度か子供を連れて行きましたし、あと今調べていただきましたら、全国で三百二のそうした科学技術関係の展示場があるというふうに伺いましたけれども、数の問題ではなくて質の面でもっと身近に、ラ・ビレットは自分自身が実際に体験できる、身近に科学を感じることができるというすばらしい施設と聞いておりますけれども、そういうふうなもの、それから、今常設してあるものももう万年同じものではなくて、もっと時代の変化に合わせたものに変えていくような努力も当然するべきだと思います。  それから、やはり人づくりは、まさしく先生がおっしゃったように、これはもう科技庁だけでできることではなくて、文部省も厚生省も、特に文部省がかなり体質が古いといいますか、指導要領を消化するのに一生懸命になっておられますが、小学校から特に中学生のころにいろいろなことの関心がぱあっと芽吹く時期ですね。そのときに偏差値教育受験というふうなことに日本じゅうが来ております。  ですから、そうではなくて、子供は発明あるいは遊びの天才と、言われておりますけれども、子供が持っているそういう好奇心、これは知的好奇心だと思いますし、また情操的な好奇心もあると思いますが、そういうものを総合的に伸ばしてあげるというのが大人の知恵でありますし、大人の愛情だと思うのですね。そういうようなシステムづくりをしていくべきだと思います。  この夏、御存じでいらっしゃいましょうけれども、東大に前いらっしゃった有馬朗人先生が、理化学研究所先生ですけれども、代々木でもって中学生を対象として、わかりやすい、親しみやすい理科ということを御本人が先に立ってなさいましたし、全国でまたいろいろとそういう体験塾のようなものを張っています。そういう本当にハイレベルの専門家の方が非常に平明に子供とか素人にわかるように科学の説明をなさり、また実際に体を使って、目や耳や五官を使って体験をさせるということは底辺を広げることなんですね。  そういうことを、国会議員はただ論戦だけやっていればいい、足の引っ張り合い、役所は間違いなく答えればいいとか、研究者研究室だけにこもっていればいいということではなくて、そういうふうなことこそ将来に向けて関心事を広げて具体的に努力をしたいと思いますし、午前中も申し上げましたが、私は早速与謝野大臣にこの申し入れをしてございますので、一緒に科学技術関係のところでありますとか福祉の教育の場面とか、生活者という意味ですべて全部リンクしておりますので、視察をしたり意見交換をさせていただく予定でおります。
  124. 臼井日出男

    ○臼井委員 大臣お話から、親しみやすい理科というふうな、有馬さんですか、いろいろ専門家の方々も御努力しておられるということも伺いました。  この前、ある雑誌を見ておりましたら、子供科学する心を育てる横浜科学館という大変立派なものがあるということを伺いました。恐らくこういったものは、私は実はレクを受けておりませんが、先ほど三百二というお話がございましたが、日本の各地にあろうかと思うのですね、しかし、とかく科学館というとおかたいものになってしまって、どうも学校の先生に引率されなきゃ行きたくないというふうな、どうしても日本人的な感覚だとそういうふうになりがちなので、ぜひとも本当に親子そろって楽しめるそういったものが欲しいな、こう私は感じた次第でございます。  昭和六十年につくば万博が開かれましたけれども、そのつくば万博も、そもそも当初のヒントというのは、日本にそうしたすばらしい科学技術博物館をつくろうということが一つの発想のポイントになって、万博が開催されるようになったというふうなことも伺っております。  私は、フラン又のビレソトのように、例えば東京に大きなものをしっかりつくってしまうというのも一つの方法ですが、ちょうど文部省国民文化祭というのを数年前からやっているわけです。これは各地持ち回り的な感じでもってやっておるわけですが、東京まで出てこなければ見られないということではなくて、むしろ民間の各企業にお願いしていろいろ知恵を絞っていただいて、建物等については国で補助する、そういった形で各ブロックといいますか、そういうものを持ち回りでもってやっていただく。そうするとたくさんの人たちが見られるのじゃないだろうか、そんな形もいいなというふうなことを私は考えているわけでございます。  また、しんかい六五〇〇とか、いろいろな私ども日本のすぐれた先進的な科学の結晶があるわけです。そういったものも、もちろんそれは見せるためにあるのではなくて、研究をするためにあるわけですから、日程もありましょうが、できる限りそういう子供たちにでも見ていただけるような機会を積極的につくっていただく、こういうようなこともぜひともお願いをいたしておきたい、こういうふうに思っている次第でございます。  大臣はもちろん科学技術庁の長官でございますから、科学技術庁を統括する責任者でもあるわけでございますが、我々と同じ政治家でいらっしゃるわけですから、政治家としての科技術庁長官として、村山総理を初めとする各閣僚に科学技術の重要性とか、かくあるべきというものをPRしていただいて、それぞれ所轄がありますから、我が分野はとみんな張り切っているわけですが、その中でもやはり科学技術の重要性というものをほかの閣僚の皆さん方にも理解をしていただいて協力をしていただく、こういうことは私は大切だと思うわけです。もう既にやっておられると思いますが、どういう点を強調しておられるのでしょうか。
  125. 田中眞紀子

    田中国務大臣 具体的には、就任直後に厚生大臣と一緒にいろいろと施設を回らせていただきまして、そのときは厚生、福祉の問題だけではなくて、当然こちらは科技庁でございますから科学技術関係、先ほども申し上げましたように、いろいろな器具の開発等にも役立てていただくようにお話もいたしましたし、またこの次は文部大臣というふうに、私もいろいろパートナーを考えております。  それで、やはり縦割り行政の弊害というものをどの先生も感じておられますし、それは縦割り行政だけではなくて、また逆に今までの社会党、今度は社会党、自民党、さきがけの連立てございまして、社会党の先生方が原子力の問題につきましても随分政策綱領を見直しをしてくださったということもございますか、それは本当に将来の日本の原子力はどうあるべきであろうかとか、宇宙開発はどうかとか、その他の問題、人材育成につきましても大変よく認識をしてくださって、現実的にいろいろと対応なさってくださっている結果だろうと思います。  そうして、閣議後の懇談会でも、いろいろな問題について自分の所管のことを超えてお互いに議論をいたしますし、大変私も感謝して、恵まれているなと思いますけれども、ほかの大臣方が、田中さん、これを科学技術でやってごらんなさいというふうなことをおっしゃってくださることもたびたびございますので、そういう意味では期待していただいてよろしいというふうに思っております。
  126. 臼井日出男

    ○臼井委員 どうぞそういった調子でもって大いに頑張っていただきたいと思います。  ただ、これは科学技術委員会でもってお願いすべきことであるかどうかわかりませんが、ぜひとも大臣にもお願いをしておきたいのは、現在私どもの国は、国の財政も財政単年度主義をとっておるわけです。私は、現在政府や、もちろん私ども自由民主党も大蔵省のおっしゃるいわゆる財政単年度主義というものをとっているわけですが、時代の変化とともにどうもそれもひずみがきているし、少し発想の転換をしなくちゃいかぬ時期ではないかなと思っております。私自身はもうずっと昔から財政は中期均衡主義でよろしい、こう思っております。  すなわち、例えば現在のようにバブルがはじけて景気か低迷している、税収が減る、しかし増税はできない、むしろ減税をしてやらなくちゃいかぬ、財源はない、一体どうすべきかといったときに、これは借金してよろしいというふうに私は考えているわけです。その足りないところは景気がよくなったときに戻せばいいじゃないか、過去にも結構戻してきている、こういうふうに実は思っております、  それで、むしろ財政というのは中期均衡でよろしいといった考え方を取り入れたり、あるいは現在のように建設国債は必要悪である、余りやるべきではないけれども必要な部分でもある、しかし赤字国債は絶対悪といいますか、これはやってはならない、こういうふうな考え方が、私ども自民党もそうですが、政治の中心にあるわけです。私はこれも実はおかしいと思っております。  現在二百兆の国債残額が問題になっておりますが、私が調べたところによると、二百兆、二百兆といっても赤字国債の部分は六十兆弱、あとは建設国債の残額ですね。ですから、そういうことからすると、建設国債は限度いっぱいまでどんどん出していいけれども赤字国債はだめなんだ、むしろこのアンバランスこそ私はおかしいのではないだろうか。赤字国債の範疇の中にも、教育でありますとかあるいは科学技術でありますとか、あるいはここのところずっと額的にも減っている、分野は違いますが中小企業対策費とか、そういった本当に必要なものが実は大変虐げられて、声の小さいところがどうも副食っているんじゃないかというふうなこともあるわけです。  私は、ぜひとも大臣には、橋や道路やそういう形に見えるものほかり大切にするのではなくて、科学技術のようにすぐには答えは出ない、しかし日本の将来には大変重要なものはぜひとも大切にするような、少し財政のあり方というものをこれから変えていくべきだというふうなことを大臣の間でもってお話をするような機会をつくっていただいて、内閣でもそういった考え方が少し芽生えてくるようなことをお願いしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  127. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私も全く臼井先生に同感でございます。結論から申し上げましたら、武村大蔵大臣に直訴をさせていただきます。財政のあり方についての先生のおっしゃりようも、そのとおりにお伝え申し上げます。  確かに個人的にも、私も、もう戦後のハード、箱物ですか、そういうものは地域によって格差はあるものの、インフラストラクチャーも随分整備されてきております。これから今求められているものはソフトでありますし、人づくりであると思います。  ですから、科技庁予算が六千億というのも、私は随分少ないものだなというふうに思いましたし、国の赤字が地方と中央でもって大体三百兆円というようなことを言われておりますけれども、それもすべてバランスの中で、大蔵省は大蔵省なりの考え方があると思いますけれども、予算のっけ方というのはやはり内閣の方針、基本、そして長期的な展望で、どういうふうにこの国を持っていきたいのかということを視点に据えて決定されるべきだと思いますので、今の臼井先生の御意見は、間違いなく武村大蔵大臣にも、ほかの閣僚にもお伝え申し上げます。
  128. 臼井日出男

    ○臼井委員 どうもありがとうございました。  私も自民党でずっと出ておって随分長いのですが、なかなか財政面では、もちろん財政当局は野方図に予算が広がるということは絶対に避けなげればいけませんから、どうしても緊縮主義であるということはしょうがないわけですが、しかし、それはそれとして、臨機応変に政策というのはやっていくべきである。それを正していくのは我々政治家じゃないだろうか、こう思うわけで、ぜひとも政治家としての大臣の働きにも大いに期待を申し上げたい、こう思う次第でございます。  最後に、原子力長計のことについてお聞きをしたいと思うわけですが、特に核燃リサイクル計画について、プルトニウム利用計画のスローダウンというものが云々されているわけですが、この点はいかがでございましょうか。
  129. 田中眞紀子

    田中国務大臣 電力需要が今後ますます高まっていくだろうということは見通しがついているわけでございまして、二十一世紀を見据えてグローバルな意味での原子力平和利用の役割への認識を踏まえて、エネルギーの安定確保国民生活の質の向上、人類社会の福祉の向上への寄与を目標にしてこれは策定されてきたものでございますけれども、原子力政策の展開と将来を展望した核燃料リサイクルの着実な展開と原子力科学技術の多様な展開と基礎的な研究、先ほど来たびたび申し上げておりますけれども、その強化を基本方針と据えてこの原子力長期計画はなされております。  安全という問題も午前中何度も申し上げましたけれども、そういうことに配慮をして、そして透明性というもの、そして皆様のコンセンサスということを踏まえて、今後慎重に推進してまいりたいと思っております。
  130. 臼井日出男

    ○臼井委員 午前中もお答えをいただいておったようでございますが、決して核燃リサイクル計画が長期間におくれるということではないんだというふうな感じで受け取らせていただいているわけですが、私もぜひともそういうふうにお願いをしたい、こう思っております。  特に、かつてフランスの原子力の技官が私ども自民党にお出かけをいただきまして、こういう話をしておりました。要するに、我々フランスのような先進国がなぜ原子力開発を一生懸命やるのかといえば、現在我々が主として使っている化石燃料、石炭とか石油はいずれの時期かは枯渇してしまうのだ、なくなってしまう。そういうことを考えるならば、フランスのように化石燃料を使わなくてもエネルギーが生み出せる先進国というのは、すべからく化石燃料はこれから産業を興す開発途上国に残しておいてあげて、我々はそういうほかのエネルギーを使うべきだというのがフランスのエネルギー政策の一つは中心である、こういうふうに言っておりました。  まさにその言葉のとおり、今でもフランスは原子力政策の世界の最先端を走っている。やはり私ども日本フランスと同じように、我々ができることというのは、将来に向けての核燃料のリサイクルというものをしっかり打ち立てて、いつでも万が一のときにはどういう態勢でもとれる、こういうことをしっかりと理念として持ってやっていく必要があるのではないか。  時間が参りましたので以上でやめさせていただきますが、ぜひともこういう点に心をいたして、大いに頑張っていただきたいと思います。最後に御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  131. 田中眞紀子

    田中国務大臣 すべては今もう臼井先生が言い尽くされたと思いますので、あとは御指導をいただきながら一生懸命頑張りますので、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
  132. 臼井日出男

    ○臼井委員 どうもありがとうございました。
  133. 宮里松正

    宮里委員長 これにて臼井日出男君の質疑は終了いたしました。  今村修君。
  134. 今村修

    ○今村委員 社会党の今村であります。原子力行政の基本的な問題について論議をしたいと思うわけでありますが、時間の関係で、当面する課題について長官の御見解をお伺いをしたいと思います。  原子力発電所がトイレなきマンションと言われて久しいわけであります。しかし、いまだこの問題は国際社会の中で解決をしていない、こんな状況が続いているわけであります。原子力行政のアキレス腱、こうも言われるゆえんでもあろうと思います。  そういう状況の中で青森県六ケ所村に核燃料サイクル施設がつくられ、その中に高レベル廃棄物の貯蔵施設がつくられる、こういう結果になったわけであります。日本の原子力発電所から取り出された使用済み核燃料は、フランス、イギリスに送られて再処理をされる、こんな状況になっています。再処理の結果取り出された廃棄物が日本に返還になる、こういう状況を今迎えています。特に再処理した高レベル廃棄物、これが来年フランスから日本に返還をされる、こういうことになっています。日本の青森県六ケ所村に運び込まれる。  今、青森県ではこの問題をめぐって大変な議論が起きています。青森県の知事は、一時的に持ち込まれたこの高レベル廃棄物、これによって青森県が最終処分場にならない保証を国はちゃんとしてくれ、青森県議会も満場一致でその態度を示しています。地元六ケ所村長あるいは六ケ所村議会もその態度を明らかにしています。  先般、六ケ所村で住民団体がアンケートを行いました。回答率は低かったのですが、郵便による回答の中で、最終処分場になる可能性が強い、こう思っている村民が八六%。ですから高レベル廃棄物は六ケ所に搬入をしないでくれ、こういったのが九二%であります。こういう状況の中で持ち込まれる、こういうことになっては大変であります。今、青森県や地元六ケ所村で心配をしている、最終処分場に六ケ所村をしないという確約を国は青森県や六ケ所村にすべきだと思いますけれども、長官の考えを明らかにしていただきたいと思います。
  135. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今、今村先生がお尋ねになりましたことは大変重要なことだと思いました。その認識に立ちまして、私も長官に就任させていただいて真っ先に六ケ所村に視察に参りました。建設中の施設も拝見をいたしましたし、また関係者の声もじかに聞かせていただきました。  その中で、現在の状況でありますと、とにかくもフランスから来年、シェルブールを出航して、高レベル廃棄物、ガラス固化体になったものが返却されるわけでございますけれども、これはあくまでも冷却のための一時貯蔵を行う施設であり、そして、その施設においてそこが最終処分地になるということは、別に決まったわけでも決してないわけでございます。  ただ、先生もよく御存じのとおり、そうはいっても今九二%とおっしゃいましたか、搬入自体に反対であるということもよく認識をいたしましたし、また北村知事さんからも、そういうふうなことを念書として、しっかりしたためていただきたいというような御要望を、数名の青森県選出の先生方を通じましてもいただいております。  そして鋭意今、もうすぐだと思いますけれども、私どもの役所とそれから県とよく御相談をさせていただいておりますので、これは信頼関係を構築していく以外になかなか方法はないかと思っておりますが、最善を尽くさせていただきます。
  136. 今村修

    ○今村委員 最善を尽くしていただくのは結構なのですけれども、地元県議会、村議会、それぞれの自治体では、国が最終処分場にしないという確約書を出さない限り受け入れるための安全協定は締結できません、こう言っているわけです。国として答えを出さなければならぬ状況になっているわけですね。国として、地元のこういう要請にやはりこたえるという立場で対応すべきと思いますけれども、再度御答弁をお願いします。
  137. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  何度も何度も申し上げて、午前中も申し上げておりますけれども、貯蔵期間中もやはり安全ということが保障されなければなりませんし、地元の皆様の御理解がなくして最終処分地にするなんということは、搬入だけでもそれだけ反対があるわけですから、できるわけがございませんので、そこは誠実に対応させていただきたいと思います。
  138. 今村修

    ○今村委員 原子力長計の中で最終処分場をつくっていく手続に若干触れていますね。その中で、最終処分をする実施主体は、地元、これは自治体ということでしょうけれども、地元の了解を得ない限り最終処分場はつくらない、こう言っているわけですわ。科学技術庁も何遍もそのことを答弁されます。  仮に今全国の地方自治体の中で、この高レベル廃棄物の最終処分場をつくってもオーケーという地方自治体、出てきますか。一般的にはどこも出てこない。ですから、一時的に持ち込まれた場所が最終処分場になってしまうという危惧を持っているのですよ。ですから、一時的のものはあくまでも一時的です、最終処分場にはいたしません、この確約をしない限り、あとどこの地方自治体が搬入してもオーケーですという答えを出すという状況がありますか。ないはずですよ。ですから青森県民は心配をしている、こういう状況なのです。そのことを理解の上、大変くどいようですけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  139. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私が語彙不足で、多分同じような言葉しか繰り返せないと思いますので、これは過去の経緯もよく踏まえている原子力局長から答弁させていただいてよろしゅうございましょうか。
  140. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先生御指摘のとおり、原子力政策上、高レベル廃棄物の最終処分の問題につきましては、大変重要な政策課題だという位置づけであることは間違いございません。  このたび原子力委員会が定めました長期計画におきましても、この処分に向けましては、先生も若干御指摘をいただきましたとおり、動燃事業団を中心に研究開発を鋭意進める、それが一つ。  もう一点は、二〇〇〇年を目安に処分事業の実施主体を設立する。この実施主体が将来処分予定地の選定を行っていく。その際、当然のことながら地元の了承を得ておくものとする、こういった最終処分に向けての手順や考え方というものをできる限り明らかにしたつもりでございますが、このような状況の中で、青森県民の方々の中には、先生も御指摘のとおり、最終処分場になるのではないかということに対する不安とか懸念が大変高いわけでございますので、こういった中において、今先生が御指摘の県民の方々か持っておられる不安であるとか懸念を解消するためには、国としてどういう手だてがいいか、国としてどういうお答えをするのがいいのかということについて、大臣もお答え申し上げましたとおり、今現在鋭意検討中でございますので、ぜひ御理解を賜りますようにお願い申し上げたいと思います。
  141. 今村修

    ○今村委員 検討の結果、答えはいつごろ出るのですか。
  142. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 この問題は、来年にもこの返還が、輸送が始まるということでございます。そういった点も踏まえまして、私どももかねてから青森県の方々から御指摘をいただいておりますので、できるだけ早くということで、今懸命にその作業を進めております。大変恐縮でございますが、いついつまでにということをお答えする用意はございませんし、むしろそれよりもできるだけ早くお答えをすべきだ、このように認識をいたしております。
  143. 今村修

    ○今村委員 ことしの八月、委員会の視察でヨーロッパヘ行ってまいりました。その際、フランスの原子力庁、コジェマとも話し合いをしました。今フランスドイツでこの廃棄物の返還をめぐっていろいろな話し合いが進められている。この進められていることについては否定をしませんでした。ただ、コジェマ社がお話をしたのは、その課題は政府政府とが、いわば最終的に話し合いをして結論を出す問題です、こんなお話をしているわけです。  日本の国として、最終処分場がつくられるまでこの返還をさせない、フランスと交渉してフランスに保管をしていただく、こういう取り扱いはできませんですか。
  144. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 この点につきましては、電気事業者がイギリスとフランスに再処理を委託したその時点からこの問題を抱えております。その契約に基づきまして、いよいよ返還を受け入れるような時期が差し迫ったわけでございますが、他方、青森県の六ケ所村におきまして、おかげさまでそのための施設の建設が今進められております。そのほかの準備も着々と進められておりますので、そのような方針に従って、青森県の御理解をいただきながら着実に進めていくべきものが私どもの原子力をこれから進めていこうとする政策ではないかと考えております。
  145. 今村修

    ○今村委員 地元のいろいろ出す問いに率直に答えていただけない。あるいはドイツフランスの間で、多分それが実現するだろうと言われていますよ。ドイツに返すものをフランスの方で一時保管することは、その話し合いはつくのじゃないか、こう言われているようですわ。日本の場合もやってもいいじゃないですか。最終処分場ができるまでフランスの方で保管していただけませんですかと、なぜ言えないのですか。この点だけ。
  146. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 大変恐縮でございますが、フランスドイツの今の話し合いの状況については、私もつまびらかではございません。できる限りそういった状況も踏まえながら、ただし、先ほど申し上げましたとおり、やはり廃棄物の問題を含めて、計画的に着実に原子力開発利用を進めていくことが私どもの基本的な政策ではないかな、こう考えております。
  147. 今村修

    ○今村委員 それから、透明度を高める、公開性を高めるという話になりますけれども、これはただ単に高レベル廃棄物だけではないわけですね。低レベル廃棄物は一体どうなるのですか。回収ウランは一体どうなるのですか。MOX燃料は一体どうなるのですか。この返還の問題は一切明らかになっていませんね。そして、最初に高レベルの返還だけ、こういう話になるわけですね。これらの低レベルを含む、回収ウランを含む、MOX燃料を含む、こういう返還の問題というのは一体どうなっているのですか。
  148. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 イギリスとフランスにおきまして再処理を委託しました結果発生いたします廃棄物につきましては、高レベル放射性廃棄物も含め、低レベル放射性廃棄物につきましても、基本的には六ケ所村の再処理事業所内に一時貯蔵のための施設整備され、そこに搬入される計画だと承知しております。ただし、具体的にその時期であるとか数量等につきましては、まだ当事者問でのお話し合いが済んでおらないと承知しております。  他方、MOX燃料の加工につきましても、電気事業者を中心に、その体制あるいは海外での委託の一状況とか、そういうことについて目下鋭意検討中と承知をいたしております。
  149. 今村修

    ○今村委員 返還低レベル廃棄物についてお伺いします。  ヨーロッパヘ行ったときにコジェマ社の方にお聞きしました。三年後に返還するという話です。六ケ所に一時貯蔵はする。最終処分はどこにするのですか。お答え願います。
  150. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 低レベルの、特にTRUという寿命の比較的長いものの廃棄物の最終的な処分のあり方については、先般の長期計画の中にも、高レベル放射性廃棄物の処分と並んで、今後その処分方策を確定し、もちろん安全にそれが実施できるように諸般の検討を進めるべき、こういう指摘がございます。  他方、通常の発電所で発生しますような低レベルの放射性廃棄物につきましては、先生も最初に御指摘いただきましたとおり、青森県の六ケ所村の中において、その際埋設処分がなされる、このように進められておるところでございます。
  151. 今村修

    ○今村委員 海外からの廃棄物は六ケ所で処分することになっていませんね。高であれ低であれ、最終処分場は別につくるという話ですわ。三年後、コジェマ社は返すと言っているわけです。もう具体的に工事が始まって、やらないと間に合わないことになるわけでしょう。これはどこへ持っていくのですか。
  152. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 返還されます低レベル廃棄物につきましても、六ケ所村で貯蔵していただくのはあくまでも一時貯蔵でございます。したがって、六ケ所村で最終処分が行われるというような計画にはなっておらないわけでございます。したがって、今後、具体的に一時貯蔵のための施設につきましては、電気事業者がコジエマ社等と十分調整をしながら、十分な時間的余裕を持って施設を建設し、受け入れ態勢が十分整った上で海外からの返還を受け入れる、このような状況になろうかと思います。  他方、最終的な処分に向けましては、高レベル放射性廃棄物の最終処分に至りますと同様に、半減期の長い低レベルの放射性廃棄物の最終処分に向けましても鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  153. 今村修

    ○今村委員 今のお答えでもはっきりしないわけですね。こういうふうにはっきりしないことによって、県民の不安、疑問というのはまた高まるわけです。やはり計画があったら、きちっと出すべきですよ。全体を明らかにしない。そして具体的な個別のものだけちょろちょろ出す、こういう取り扱いですね。ですから、透明度や公開性を口では言っても、何もそうなっていないじゃないですか、こう指摘をされるわけです。  特に高レベル廃棄物、一時貯蔵と言われておりますけれども、三十年から五十年だと言われております。これはこの施設をつくるときに申請書に載っていませんでした。この三十年、五十年というのはだれがどこで決めたのですか。
  154. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 高レベルのガラス固化体は、管理施設への搬入後も、時間とともに熱もあるいは放射能についても減衰をしてまいります。最終的な最終処分に適する、すなわち、熱的に見まして一般的な普通の地質環境条件の中でおおむね合理的な処分が可能となるような期間という観点から、三十年から五十年程度貯蔵し、その問冷却を行うことによって最終処分に適する、こういうことが今までの原子力委員会の専門家によります審議の過程で得られた結論でございまして、この旨、長期計画の中にも三十年から五十年間貯蔵を行うということがはっきり打ち出されておりますので、この方針に沿って、青森県で今回行われます一時貯蔵につきましても、その貯蔵期間は三十年から五十年、このように決まっておるわけでございます。
  155. 今村修

    ○今村委員 三十年から五十年についても、何が根拠なのか、このことは具体的に出てこないのです。  運び込まれる一つ一つのガラス固化体、どのぐらいどんな状況になっているのかという一つ一つの点検も出てこない、こういう内容になっています。施設そのものがそんなものを入れても大丈夫だから、一つ一つ点検をする必要はない、こんなお答えがどちらかといえば返ってくる。三十年から五十年についても、これはそのぐらい置けば他のところへ移してもいいだろう、こんな内容なのですよ。そういう点では、話を聞けば聞くほど疑問だけが出てくる。ですから、透明性、公開性についてはきっちりしていただきたい。この点、長官どうですか。
  156. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私もこの高レベル及び低レベルの廃棄物の処理につきましては、今、今村先生が感じていらっしゃると同じような思いを、どうもわからないなということは思いながら、今日までこの四カ月間近く来ております。  とにかくこれは一時貯蔵のための施設というもので、フランスがすぐ、では、はいわかりました、預かりましょうという状態でないことは御案内のとおりでございますし、送り返されてもまいりますし、一時貯蔵はその原理、科学的な根拠は今原子力局長が申し上げたとおりでございますので、その一時貯蔵をしていただく間に、できるだけ速やかに本当に最終処分地はどうするのか、どのようにするべきなのかということについて、やはり皆様の御意見、全国それから外国も含めて検討していかなければならない。それも三十年、四十年と言っていましても、早くに手を打たなければいけないと思いますので、その努力だけは最善の努力をさせていただくことをお約束いたします。
  157. 今村修

    ○今村委員 この種の問題については地元の大変な要請があるわけですから、ぜひともその地元の要請にこたえる、こういう立場で対応していただきますことを要望して、終わります。ありがとうございました。
  158. 宮里松正

    宮里委員長 今村修君の質疑はこれにて終了いたしました。  鳩山由紀夫君。
  159. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 さきがけの鳩山由紀夫と申します。田中科学技術庁長官に御質問させていただくことを楽しみにここに参った次第であります。ぜひ長官には個性ある科学技術行政のリード役をはっきりしていただきたいと心から願うばかりでございます。  その長官の所信表明、この間二十七日でしたか、拝聴させていただきました。やはりいろいろと田中長官の個性が発揮されておると感心をした次第であります。そのことに関しまして、先ほど臼井委員の方からお話がありましたが、私も二点ほどとらえさせていただいて、御質問させていただきたいと思っております。  まず、田中長官は未来担当大臣であるというふうにおっしゃいました。科学技術というものが人間の夢を切り開く、そして、それを実現をさせるために大変に役に立つ学問であるというふうに私どもは当然理解をさせていただいておりますが、一方で田中長官は、国民の生活密着型の科学技術も推し進めていかなければならないというふうにおっしゃっております。  私の望洋とした頭の中では、この二つが時折整合性が十分に見出せないところがあるのでありますが、夢を与える、この夢を与えるための未来担当というふうにおっしゃったわけでありますが、その夢というのは、例えば宇宙開発とか、あるいは数十年先の夢のエネルギーである核融合の研究開発とか、あるいは播磨にありますSPring―8とかこういったものの、すなわち、四十年、五十年先を見越した中での子供たちにも夢を与える科学、それを推進させていきたいというふうにおっしゃっています。  一方で、しかしそうはいいながら、生活に密着してもいなければなりませんという話をされておられるわけであります。国民生活に密着するという科学は私も大事だと思っておりまして、がんとか地震とかいう例を出しておられましたが、このどちらが重要だと、いや、これは両方とも重要だとおっしゃると思われますが、ある程度切り離した二つの分野だと考えさせていただく中で、すなわち、かなり長いスパンを見た将来への夢を切り開く科学と、それから、いやいや現実を直視して生活密着型の科学と、どちらの方により重点を置いていかれようと大臣はされておられるか、お伺いしたいと思います。
  160. 田中眞紀子

    田中国務大臣 まず、鳩山先生から激励をいただきまして、大変光栄に思っております。御礼を申し上げます。  大変いい、基本的な御質問、お尋ねをいただきましたが、確かに鳩山先生の大変整理された頭脳の中でもってごっちゃになるとおっしゃられてみると、全くそうだなと私もますますごっちゃになるわけでございますけれども、本当はごっちゃではございませんで、夢というのも詩の世界の夢ではありませんで、例えば宇宙ステーションでロケットを打ち上げる、あるいは宇宙ステーションができ上がるとしますね。それから、ITERの問題ももちろんそうでございますけれども、そうしたことはどうもやはりちょっとすぐには目には見えないといいますか、日常生活からはちょっと遠くて、想像力をかなり働かせてもわからない部分があるわけですね。それは科学者にはよくわかっていらっしゃることと思います。  では、宇宙ステーションをつくって、それがどういうふうな機能をしていくのかということを具体的に専門家から説明をしていただきますと、それから核融合の問題もそうでございますけれども、ITERは今現在ある原子力に比べてこういうアドバンテージがあります、ほかの新エネルギー等と比べてこういう違いがありますという話を聞かせていただくと、いわゆる詩とは申しませんけれども、夢に近いというふうに私がとらえていたものが身近に感じられる。  通信衛星システム等などが非常にわかりやすいことだと思いますけれども、そういうふうな形でもって、夢というものはただ夢で浮かんでいるのではなくて、想像ではなくて現実に返ってくるということが、距離感があるんですよね、時間もかかりましょうし。そういうものが確実に自分の生活にフィードバックされてくるという意味で、夢とか未来という言葉を使わせていただきました。  それから、あとは介護の問題にしろそれから福祉の器具の開発にいたしましても、それはもうすぐに役立つものでございまして、それは本当に工夫というふうなことで、科学技術なんて難しい言葉は言いませんでも、身近な工夫とか開発ということでできる言葉なのかもしれませんけれども、基本には技術、熱意、それから人に優しくとか生活に役立つ、利便に供するということの観点であればもっと身近な目に見えるものと思いますので、どちらが先ということではなくて、やはりイーブンにできるだけとらえていきたいというふうに思っております。
  161. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 私なりに理解をさせていただくならば、特に夢といっても本当に届かない夢ではなくて現実性のある夢であり、その夢に到達するための技術というものをできるだけ速やかに開発していかなければならぬ。一方で、生活者の立場というものも当然配慮をしながら科学技術を進めていく、両方とも大事である。  私も両方とも大事であり、すなわち、夢の部分も決して科学技術庁予算というものは一方から他方に推移させていくというのではなくて、両方とも大事で、特に田中大臣は、今まで生活に密着をした科学技術振興ということは余り科学技術庁の議論の中になかったように思われていますので、その面を取り込んでこれからは進めていかれるということは、大変に私も大事だというふうに認識をさせていただきたいと思います。  その中で、特に生活者としての立場を忘れてはならない、科学技術の進歩といっても、人間との調和というものを常に念頭に置かなければならないというふうに所信で述べられたわけでございます、私もそのようには思うのでありますが、あえて挑戦させていただくと、人間との調和のみならず、人間は自然界の中で生かされているわけでありますから、むしろ人間と自然との共生というものを第一義的に重要だと理解をしながら科学技術振興を図っていくということが、ある意味でなお重要ではないかというふうに思っております。  すなわち、大臣は生活者に密着をしている科学技術振興というふうにおっしゃいましたか、生活者中心ということだけでなくて、環境に配慮した中で、自然との共生の中での生活者の立場というものを理解をしながら科学技術振興するべきではないかというふうに私は考えておりますが、大臣の御所見をいただければと思います。
  162. 田中眞紀子

    田中国務大臣 その意味で全く同感でございます。
  163. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 そこでお尋ねをさせていただきたいと思いますが、私は、これから特に自然との共生という意味における環境に配慮をした科学技術の側面をできるだけ重視してほしいという意味で、持論を述べさせていただきたいと思います。  恐縮なお尋ねでございますが、十月の二十五日から三日間、つくばでエコバランス国際会議というものが開かれたのであります。きっと御存じないかと思いますが、御存じでしたでしょうか。
  164. 田中眞紀子

    田中国務大臣 済みません、存じませんでした。教えてくださってありがとうございました。
  165. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 申しわけありません。勝手なことを尋ねましたが、これは科学技術庁の金属材料技術研究所で開催をされた国際会議でございます、私も実はこの会議にあいさつだけでも出させていただこうとは思っておったのですが、国会日程がままならなくて、こちらに伺うことはできませんでした。  このエコバランスということは、すなわち、先ほど申しましたような人間だけの科学ということではなくて、人間と自然が共生じている中で環境に特に配慮をしていかないと大変だ。先ほどもいろいろなお話がありましたが、特に資源というものは日を追って枯渇ぎみになっておりますので、できるだけ資源というものを大事にしていかなければならない。自然との共生の中で、バランスを図りながら生きていくための人類として必要な科学技術とは何かという、そのような議論を国際会議で催したものだというふうに私は理解をしております。  その中の中心的な議論がエゴマテリアルという、これは偶然私の大学時代の同期生であります山本良一さんという東大の生産技研の教授を今やっておる方ですが、その方がつくられたいわゆる和製英語、エゴマテリアルというのは和製英語でありまして、エンバイロンメント・コンシャス・マテリアルズというのであるそうでありますが、先ほどから申しておるような環境というものによく調和している素材、材料というものを求めていこう、その材料のことをエゴマテリアルというわけであります。  科学技術庁も相当これからエゴマテリアルに対しても興味を感じていただけるものだというふうに理解をしてよろしいでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  166. 田中眞紀子

    田中国務大臣 当然でございます。そしてまた、つくばでございましたかの会議、私も事前にわかっていましたらぜひ伺ってみたかったのに、残念だと思いました。  そして、今役所からの資料でございますけれども、科技庁も率先してこうしたエゴマテリアルというものについては取り組もうとしておりまして、三種類ございますけれども、申し上げてよろしゆうございますか。  リサイクルすることを前提とした材料の研究関発、これは自動車に使われる素材等かございます。それから二つ目は、環境親和性にすぐれた材料の研究開発、腐らない発泡スチロールとか、加工していない木材を長寿命化した木材にするとか、水で分解する、発泡スチロールにかえるとか、いろいろなことがございます。それから三つ目は、環境コストを考慮した材料評価技術研究開発、これは材料のライフサイクルを評価したもので、環境コストの小さい材料、製品を開発するための指針としているというふうなことは取り組んでいるように聞いております。
  167. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 ありがとうございました。ぜひエコマテリアルに対してこれからなお一層御指導いただきたいと思います。  私がなぜあえてこの話題に執着をしているかといいますと、先ほどもいろいろなお話があったわけでありますが、このまま私どもの、日本だけではないのですが、世界じゅうでいわゆる消費文明のようなものが進んでしまいますと、特に一方的に物が消費されてしまうということになると、例えば石油だとあと四十五年、天然ガスは六十四年、ウランに至っても七十四年で枯渇をしてしまうという計算もなされております。この正確性に対してはいろいろと御議論があろうかと思いますが、いずれにしても、石炭はあと二百年以上もつようでございますが、ほとんどのエネルギー、我々が大事に思っているエネルギーにしても、二十一世紀中には枯渇をしてしまいかねないという大変な事態だということであります。  同時に、大半の金属、これは鉄とかアルミニウムとかあるいはニッケルなどは別かもしれませんが、それ以外の例えはゲルマニウムとかあるいは銅、亜鉛、鉛、カドミウム、すずといったような大半の金属も、大体五十年か五十年もたないというふうに言われてしまいます。このような状況で、本当に危険な状況にまで資源は枯渇ぎみになっているということ、これはどうやら事実であります。  この恐るべき資源エネルギーの浪費というもの、すなわち自動車は一年間に、日本だけてありますが五百万台廃棄されておりますし、一般の主要五品目である家電製品も、千五百万台一年間に捨てられてしまっている。建設廃材なども七千四百万トンと言われていますし、都市ごみも四千三百万トン一年間に日本しゅうで廃棄をされてしまっている。こういう状況か資源の枯渇を導いている仁  したがって、できるだけ物は大事にしなければならないという思いでエゴマテリアルの開発ということが出てきたわけでありますが、現在、私が今申し上げたような現実をどのようにごらんになりますでしょうか。
  168. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今の鳩山先生の御意見は、私が日ごろから敬愛しております由紀夫先生と邦夫先生のお母様の御教育を受けられた御子息様ならではの発想だなと思って、感動して伺っておりました。  私も、例えばごみの処分の問題につきましても、生ごみを本当でしたら都市部なんかで、地方では土に埋めることによってそのまままた肥料にできるとか、いろいろなことができますけれども、都市部のマンション等にいる人たちのために生ごみをどういうふうにするか、いろいろな企業が開発などもしております。今ちょっと具体的な名前は失念いたしましたか、何か特殊な、あれは沖縄の大学先生が発明なさったんですが、生ごみにかけて小さなものにして、においもしなくして捨てられるようにするとか、そういうふうな工夫もされております。  そのほか、今の車の問題、それからいろいろな石油やらガスとか、ウランはもちろんですけれども、エネルギー源が枯渇していくんだということは、私ももう大昔に父からも聞いたことがあって、ですから物も大事にしなきゃいけないし、同時に、あのころ私が父から聞いた話は、物をつくり出す知恵というのは人間にしかないのだから、そういうことを同時並行でやっていかなきゃいけない。物も大事にするのはもう当然であるけれども、同時に、また違うものを人間の英知によってつくり出すことも努力もしなければいけないということを聞いた記憶がございます。  この間、たまたま向井千秋さんが宇宙から帰ってこられて、チタンアルミ合金ですか、このたびの向井さんの飛行でメダカとかいろいろ動物のことが言われておりましたけれども、私が一番関心がありましたのは実はこのチタンアルミ合金のことでございました。もろさだけが欠点であるものが宇宙に行って違うものができるだろうか、そうすれば、例えば今言われている高レベル廃棄物なんかを入れるコンテナに使うとか、そのほかいろいろな建材にも使えるかもしれませんし、もうすばらしい素材ができ上がる。  そういうふうな工夫も、こういうのは一番初めの夢の話にもつながりますけれども、現実に使えるものが宇宙に行って実験をしてこられると、新しくグリエーティブなものもつくれるんだということにも結びっくわけでございますから、本当に資源を大切に大切にするということは、これまた特に家庭婦人は大事にしていかなければいけないと思いますし、子供にそういうことを教えていく立場に一番身近にいる存在ですが、同時にまた、新しく今申し上げたような工夫といいますか、発明もやっていくべきであろうというふうに思います。
  169. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 私の母のことまで持ち出していただいて恐縮に思っておりますが、母が常に子供のころの私どもをつかまえて、もったいないという言葉を持ち出していたことを思い出した次第であります。覚えていていただいてありがたく思っておりますし、御尊父の今のお話も大変にありがたく受け取らせていただきました。  現在大臣にあられるということで、御家庭の主婦のお話も今ございましたが、ぜひともこの大量生産、大量消費、大量廃棄といったような、どうも経済一辺倒過ぎてしまった日本の生きざまというもののパラダイムの転換というものに率先して田中大臣が挑戦をしていただきたいと思いますし、いただけるものというふうに確信をさせていただいた次第であります。  改めて申しますが、エゴマテリアルの研究というものが、そういった意味で大変に重要になってまいると思います。  一つは、環境に対してどのように素材が影響を与えるかということの評価も余りまた十分にできていないものですから、その評価をするシステムをつくるということも大事だと思いますし、その評価するシステムができた場合に、そのシステムに乗って、いいもの悪いもの、例えば単一台つくるにも、環境によいという観点を評価をさしていただいてつくるというようなこと、いわゆる製品の製造、設計というところにまで議論を進めていただきたいと思いますし、また例えばフロンの代替技術のようなもの、すなわち、代替技術開発といったものもエゴマテリアルに入ると思います。  また、例えば手とかあるいはトウモロコシといったものを材料にする、いわゆる生分解性プラスチックというプラスチックを使いますと、例えばペンでもそういうトウモロコシでできておりますと、投げ捨ててしまっても、一年ぐらいすればバクテリアに食べていただいてなくなってしまうというような、環境によいボールペンなどというものも世の中にはできております。  そういったエゴマテリアル自身の開発といったものとか、あるいは環境をクリーンにするための技術とか、そういったトータルな立場から総合してエゴマテリアルと呼ばせていただきましたが、ぜひともこういった技術研究に対して、大臣、それこそ先ほどからお話を伺いますと、大変新しい目を持って科学技術を推進をしていただけるということを私は確信をさせていただきましたので、その方向で御努力をいただきたいと思います。  続いて、その問題とも絡むのでありますが、実際に環境への影響あるいは資源といったものから、単なる経済性というものと別にして、環境への影響あるいは資源の有限性といった観点から、現在までの日本の発電システムというものをもっと総合的に評価をする必要があるのではないかというふうに私は思っております。  その意味で見詰め直すと、原子力もまた違った角度も出てくると思いますし、いわゆる石油、石炭、天然ガスといったような、火力とかあるいは水力、風力、地熱、バイオ、いろいろあろうかと思いますが、太陽にも先と熱があるようでありますから、そういったすべてのエネルギーといったものを、いま一度環境に対する影響というもの、それの評価という観点から議論を進めていく必要があろうかと思っておりますが、いかがでしょうか。大臣の御所見、あるいはどなたでも結構ですが、御所見をいただければと思います。
  170. 石井敏弘

    石井(敏)政府委員 先生御指摘のように、環境を常に配慮したエネルギーあるいは資源といったような消費形態を我々常に志向していくべきだということは、まことに御指摘のとおりでございまして、科学技術政策大綱にも、地球と調和した人類の共生といったような思想も、既に政府としても大きな方針として掲げておるわけでございます。  原子力、その他各種のエネルギーと電源構成といったような御指摘の点につきましても、大変示唆に富む御意見だと考えております。もちろん私ども、こういったものは、経済性というものも、現実の活動をやっていく場合に無視し得ない要素である。同時に、環境というものとの絡みというものは十分に配慮しなければならない。そういったようなことからも、これまで自然エネルギーの開発といったようなことにつきましても研究開発基本計画において大きい位置づけを与え、通産省等におきましてサンシャイン計画等でこれを推進しておるというような状況でございまして、現実の電源構成といったようなことにつきましては、私ども、ベストミックスといったような形態で、十分にそういったものも配慮しながら対応していくべきだ、このような基本的な考え方で対応していくべきものと考えておる次第でございます。
  171. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 ありがとうございます。  今申された中で、特に通産省のサンシャイン計画とも連動してというお話がございました。このようなエネルギー政策においては、ここまでは科技庁でここまでは通産省だというような縄張り争い的な話ではなくて、より協力をされながら、総合的な評価というものがまさに求められているということを御理解をされた上で、ぜひ計画を推進をしていただければと思います。  私は先ほどから環境とエネルギーの話をさせていただいておりますが、環境とエネルギーというのは表裏一体であり、同じ問題の裏表を議論しているようなものだというふうに理解をしております。すなわち、この二十一世紀においては、多分一番重要な問題であろう環境、エネルギー問題を一気に解決する手法というもの、これが核融合ではないかというふうに私は理解をしているものでございます。現在までの核融合のいわゆるITER計画に対して御説明をいただければと思います。
  172. 田中眞紀子

    田中国務大臣 現在は、茨城県の那珂町にITERの共同中央チームの一つが設置をされ、工学設計活動が進捗中でございます。平成三年の五月に衆議院科学技術委員会において、本計画の工学設計段階の遂行に当たっては、真の国際貢献が達成できるように我が国が十分な役割を担う努力をすべきである旨、決議もされておりまして、かかる趣旨を踏まえて、今後とも本計画に積極的に参加していこうとしております。  それから、先ほどの環境問題にちょっと戻りますけれども、今の局長お話の中でも生産性とか経済性ということがまだまだ優先されていて、そして環境にもという言葉になるのが私はいつも個人的に気になっておりました。  まさしく鳩山先生がおっしゃっているのは、むしろ逆に環境に優しいという視点を最優先に据えて、開発研究もしていくべきだという御指摘であったというふうに私は聞きました。正しいでしょうか。私はまさしくそちらの方向を目指しておりますので、また御指導いただきたいと思います。
  173. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 大臣から御訂正をいただいて、ありがたいと思います。  今、ITER計画に対する御説明でございますが、どうも日本人というのは核アレルギーというものを持っておるものですから、核融合という核分裂とは逆の現象でありながら、核という言葉がまくらに出てくると、それだけでしり込みをしてしまいがちであるという体質を日本人はどうしても持ってしまっております。核融合のITER計画、あるいは将来的に四、五十年先になるかもしれませんが、実施の段階になったときに、安全性ということに関して御所見をいただければと思います。
  174. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 核融合につきましては、基本的にはすぐれた安全性、すなわち、燃料が過剰に供給されたときにはすぐその反応が低下をするという、基本的にすぐれた安全性を持っていると思います。  ただし、これからまだまだ実験炉の段階を経、実用化までにはまだ相当技術的な開発をなさねばなりません。しかも、でき上がりました装置そのものは大変大きな装置になろうかと思います。したがって、今後とも安全性については十分な注意が当然のことながら必要だろうと思います。加えて一点、放射性物質をどうしても取り扱うということでございますので、この点についての配慮も当然のことながら必要だと思っております。  しかしながら、基本的にはすぐれた安全性を持っておるし、特にすぐれた燃料がみずから得られるという、まさに資源的に二十一世紀半ば以降の世界のエネルギー問題を解決してくれるのではないか、そういうすぐれた装置でありますので、日本も含め、全世界知恵を結集しながらこの開発に取り組むべきではないかな、こういうふうに思っております。
  175. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 そうであるならばなおのこと、特に資源がほとんどない状況日本においては、ぜひこのITER計画の日本への誘致ということに国を挙げて協力をして、強いリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 田中眞紀子

    田中国務大臣 また専門の皆様の御意見も伺いながら、そのように推進できればと思っております。
  177. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 核融合の方式には、私はこれは詳しくはないのでありますが、二つの方式があるというふうに伺っておりまして、一つがいわゆる磁気で閉じ込めるやり方、いま一つが慣性で、いわゆるこれはレーザーということのようでありますが、レーザーで閉じ込める方式がある。このITER計画は磁気の方で閉じ込める方式の実験計画ですね。  アメリカの計画を拝見させていただくと、この両方に対して力を入れている。あるいはどちらかというと慣性、いわゆるレーザーの方は、アメリカで自分たちでやるんだぞというふうに決めてしまっているような気がしておるのです。  日本においては、先ほど言ったような資源小国の日本がITER計画、すなわち、磁気での閉じ込めの方で何としても誘致に勝利を得なければならないと私は思っておるわけでありますが、慣性閉じ込めの方式、いわゆるレーザー方式は今どのくらいの計画をされておられるのか、もしおわかりならば教えていただきたいと思います。
  178. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 核融合の実用化につきましては、先生がおっしゃいますとおり、二つの基本的な大きな方式があろうかと思います。一つは磁気閉じ込めの方式と、今先生御指摘のレーザーによります核融合反応装置をつくるという、この二つの方式があろうかと思います。  ただし、いずれにしましても、核融合の実用化には恐らくまだ数十年を要するということで、いろいろな基礎的なプラズマの現象であるとか、あるいは核融合反応に伴いますいろいろな問題について、まだまだこれから物理的にも工学的にも解明していかなければならない、このような認識基本的にはあろうかと思います。ただし、アメリカも含めまして、一番実用化に近いと思われておりますのが磁気閉じ込め、特にトカマク方式であろう、これは恐らく世界的な科学者一つのコンセンサスとしてあろうかと思います。  他方、すべて磁気閉じ込めだけを研究していればいいということでは全くないわけでありまして、アメリカもさることながら、日本におきましても、実はかねてから大阪大学におきまして、このレーザー核融合反応に古くから取り組んで、大変すぐれた成果を出しておられる先生がいらっしゃいます。予算的にも平成六年度におきまして十二億円ほどの予算を投じて、このレーザー核融合にも取り組んでおられます。  したがいまして、原子力委員会としても、大学先生方、それから原子力研究所あるいは産業界も含めて、日本全体としての核融合の研究のあり方について核融合会議という特別な場を設けて、この進め方についてお知恵をかりながら、決してある一つの装置に偏らずに、広く世界の動向をも見ながらこの研究を進めておるという現状であろうかと思います。
  179. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 時間が参りましたのでこれで終了させていただきますが、私の友人で、那珂で現在核融合の第一人者をやっておる男が、私にかつてこう言ったことがあります。  核融合も、いわゆる物理的な、科学的な意味においてはもう峠を越した、これから一番大事なのはいかに資金力をつけるかということだというふうに、それこそ第一人者が申しておりましたから、私はその言葉を信じて、であるならばなおのこと、資金力においては力を持ち得る日本として、そして資源には自信のない日本として、ITER計画の日本誘致には最善の御努力をいただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  180. 宮里松正

    宮里委員長 これにて鳩山由紀夫君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十八分散会