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亀井国務大臣 今
委員から詳細なこの問題についての経過を御説明いただきました。ただ、その中で何点か事実
関係についてちょっと私違うという点がございますので、そのあたりも含めてちょっと申し上げたいと思います。
航空三社が契約制スチュワーデスを採用をするということを私知りまして、御
承知のように、
航空法に基づきまして運航規程、各社決めるわけでございますけれ
ども、スチュワーデスというのは、緊急事態において一体となってこれに対処するという責務が負わされておる重要な安全要員である、このように思いますが、そういうあれに立った場合、同じキャビンの中でそうした緊急事態になった場合、同じ仕事をしておりながら待遇が全然天と地ほ
ども違い、そうして将来、三年たったらもう使い捨てになる、また事故等に遭った場合も、補償等について何ら補償がない。
そうした
状況の中で同じキャビンの中で勤務をするということは、人間はやはり感情の動物でありますから、私は一体性について問題が生ずるという判断をしたわけでありまして、一部新聞その他では訓練をすればいいじゃないかという論調が目立ったわけでございますが、これは訓練によっては克服をできない、やはり一体感を欠如させるという、私は非常に大きな問題だというようにとらえたわけであります。
私は警察にかつておったこともありますけれ
ども、例えば警備実施等をするにいたしましても、いかにガードマンが優秀であっても、ガードマンがいかに訓練いたしましても、正規の機動隊員と混成をしてそうした部隊活動をやるということは、これは無理でございまして、やはり同じ仕事をする場合はできるだけ同じ身分、できるだけ同じ待遇で
確保することが緊急事態においては私は不可欠だ、こういう判断もしたわけでございます。
それで、
運輸省の
事務当局に現在進行している
実態について事情を聴取いたしまして、その結果、このまま推移してはいかぬということで、スチュワーデスの
確保についてはそうした安全性を重視をした形でひとつ採用をやるようにという強い行政
指導をしたわけでございまして、現在計画しておられるような、月給にして十四、五万程度にしかならない、先ほど言いましたように、三年たったらもう使い捨て、事故時における補償も何もない、そうした条件のもとで進められていることについては問題があるということで、行政
指導したわけであります。
なお、今
委員の御
指摘の中で一つ間違いかございますのは、これを聞かなかった場合には増便等について差をつけるという、そうしたことを言ったということでございますが、ここではっきりしておきたいのは、
運輸省が
航空三社に対してなした行政
指導の中にはそういうことは入っておるわけではございません。そういうことは行政
指導の中には入っておりません。ただ、新聞記者から私がこの行政
指導に関して
質問を受けまして、聞かなくて勝手にやった場合どうするんですかという
質問がございましたから、私は、運輸行政というのは安全性をやはり第一に考えてやっておるわけであるから、したがって、安全性に顧慮しないで
利益追求
中心にやっていく会社と、そうじゃなくて安全運航に十分配慮したそうした会社については、お客さんを安全に運んでもらうというのが
運輸省の立場であるから、結果として増便その他について差がつくことが、それはあり得るだろうという一般論を私は
質問に答えてやったわけでございまして、
航空三社に対して行政
指導の中身としてやったわけではございません。
ただ、これについては、やはり誤解を生ずる、間接的な、何というんですかな、プレッシャーにもなるということもございますので、無用な誤解を生じてはならぬということで、私は記者会見でのその発言を撤回をさせていただいたという経緯であることを御
承知をいただきたいと思うわけでございます。
なお、そうした
運輸省の行政
指導に対しまして、
航空三社がスチュワーデスの
確保についての再
検討をしてくれまして、その結果、
運輸省に対してこういうことでやりたいという報告があったわけでございます。
私は、このスチュワーデスについては、従来のとおりの最初から本採用ということでやるのが望ましいというように思っておったわけでありますけれ
ども、
航空三社は、三カ年搭乗をして仕事をしていただいて、スチュワーデスとしての適性がある者については無試験でスチュワーデスに切りかえる、そういうことが第一点でございます。それと、このことは、三カ年がいわばよく民間
企業にもありますような試用期間のようなことでありますので、この点も私は大きく改善をされたというように判断もいたした一つの材料でございます。
それから、当初の案では、女の子が東京に出てきてアパートを借りて生活できるのかと思いたくなるような、せいぜい月々十四、五万程度の給与しか期待できなかったわけでございますが、これはもう
航空各社がそれぞれ決めることではございますけれ
ども、改善の案についての説明でございますと、最低二十四、五万程度には給料もするということでもございました。
また、事故が発生をした場合は、三年間においても正規のスチュワーデスと同様な補償をするということでございますので、そういたしますと、そうした形で採用されたスチュワーデスも、将来三年間一生懸命頑張って働けば他のスチュワーデスと同じような正規のスチュワーデスになれるという、将来の大きな希望もあるわけでございますから、民間にある試用期間と同じような形にもなるわけであります。また、給与等についても、その程度の給料であれば、今民間におけるいろんな給与と比較をいたしましても、モラールが給与面で極端に低下することもないだろう。
そういたしますと、キャビンの中で他の正規のスチュワーアスとの一体感については、私は、一〇〇%ではございませんけれ
ども、一応これで
確保できるんじゃないかという判断に立ちまして、これは一〇〇%ではないけれ
ども、これでやられることについては私
どもは強制権がございませんで、あくまで行政
指導でございますから、我々の行政
指導の趣旨に従った、そうした改善をしてくれたということで評価をいたしたということでございます。
以上でございます。