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1994-10-20 第131回国会 衆議院 安全保障委員会 第1号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    国会召集日平成六年九月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 近藤  豊君    理事 大野 功統君 理事 中谷  元君    理事 町村 信孝君 理事 山崎  拓君    理事 赤松 正雄君 理事 神田  厚君    理事 樽床 伸二君 理事 岩垂寿喜男君       麻生 太郎君    伊藤宗一郎君       大島 理森君    瓦   力君       熊代 昭彦君    桜井  新君       鈴木 宗男君    谷垣 禎一君       中山 利生君    中山 正暉君       西銘 順治君    浜田 靖一君       宮里 松正君    愛知 和男君       石井  一君    上田  勇君       北川 正恭君    高市 早苗君       東  順治君    船田  元君       松田 岩夫君    山口那津男君       渡辺浩一郎君    金田 誠一君       左近 正男君    土肥 隆一君       横光 克彦君    小沢 鋭仁君       東中 光雄君    海江田万里君       中村  力君 ————————————————————— 平成六年十月二十日(木曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 近藤  豊君    理事 大野 功統君 理事 中谷  元君    理事 町村 信孝君 理事 山崎  拓君    理事 赤松 正雄君 理事 神田  厚君    理事 樽床 伸二君 理事 堀込 征雄君       麻生 太郎君    伊藤宗一郎君       大島 理森君    金田 英行君       瓦   力君    熊代 昭彦君       栗原 博久君    斉藤斗志二君       中山 正暉君    西銘 順治君       浜田 靖一君    愛知 和男君       伊藤 英成君    石井  一君       北川 正恭君    高市 早苗君       東  順治君    船田  元君       松田 岩夫君    山口那津男君       山田 正彦君    五島 正規君       土肥 隆一君    小沢 鋭仁君       東中 光雄君    海江田万里君       中村  力君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   坪井 龍文君         国際平和協力本         部事務局長   藤島 正之君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁参事官  熊谷冨士雄君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛庁人事局長 萩  次郎君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務         部長      粟  威之君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省中近東ア         フリカ局長   須藤 隆也君         外務省条約局長 折田 正樹君  委員外出席者         国際平和協力本         部事務局参事官 貞岡 義幸君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君     ————————————— 委員の異動 九月三十日  辞任         補欠選任   宮里 松正君     野田  実君   岩垂寿喜男君     石橋 大吉君   金田 誠一君     五島 正規君   左近 正男君     早川  勝君   横光 克彦君     堀込 征雄君 十月五日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     斉藤斗志二君 同月十一日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     不破 哲三君 同月十三日  辞任         補欠選任   熊代 昭彦君     後藤田正晴君   不破 哲三君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     熊代 昭彦君 同月二十日  辞任         補欠選任   桜井  新君     中川 秀直君   中山 利生君     栗原 博久君   野田  実君     金田 英行君   上田  勇君     伊藤 英成君   松田 岩夫君     山田 正彦君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     野田  実君   栗原 博久君     中山 利生君   伊藤 英成君     上田  勇君   山田 正彦君     松田 岩夫君 同日  理事岩垂寿喜男君九月三十日委員辞任につき、  その補欠として堀込征雄君が理事に当選した。     ————————————— 九月三十日  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  第百二十八回国会閣法第一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国の安全保障に関する件      ————◇—————
  2. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事岩垂寿喜男君が去る九月三十日委員辞任されたのに伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事堀込征雄君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中、国の安全保障に関する事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 この際、玉沢防衛庁長官及び河野外務大臣より、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。玉沢防衛庁長官
  7. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 私より、ルワンダ難民のための人道的な国際救援活動への自衛隊部隊等の参加につきまして御報告いたします。  アフリカのルワンダ共和国において本年四月に内戦が再発して以来、御承知のとおり、大量の難民が発生しており、隣接国ザイール共和国には、今なお百二十万人以上の難民が滞留いたしております。現地難民状況につきましては、難民発生当初の最悪状況は脱したものの、依然として極めて悲惨な状況にあり、国際連合難民高等弁務官事務所すなわちUNHCR中心とし、各種の人道的な国際救援活動が懸命に行われているところであります。  我が国といたしましても、ルワンダ難民救援のため、これまで資金面での協力及び物資協力を行ってまいりましたが、これに加えて、人的な面でも協力を行うことは、大きな意義を有するものと認識しております。  このようなことから、我が国におきましては、このたび、UNHCRからの要請にこたえ、人道支援の観点から人的協力を行うこととし、国際平和協力法に基づき、ザイール共和国等におきまして、医療防疫給水空輸等難民救援分野における国際平和協力業務を実施するため、自衛隊部隊等派遣を行ったところであります。  我が国自衛隊部隊等派遣を行ったことに伴い、私自身も九月下旬にザイール等関係諸国を訪問し、各国首脳等会談するとともに、現地自衛隊部隊隊員の激励を行いました。その中で、ケニア大統領コネス国防担当大臣ザイールモブツ大統領ルワンダビジムング大統領等との会談では、自衛隊の行う人道的な救援活動について十分理解していただき、高い評価を得るとともに、貴重な情報を得ました。このほか、ケニアではナイロビ中心とした空輸業務に対する基地提供等協力について、またルワンダでは難民帰還問題等について話し合うことができ、大変有意義でありました。特に、ザイールモブツ大統領との会談では、先方より自衛隊ゴマでの活動支障のないよう全面的に支援する旨の発言があり、大変心強く感じた次第であります。  また、現地におきましては、自衛隊が行う医療給水防疫空輸等人道的救援活動に対する期待が高く、本格的な活動を開始する必要性を痛感をいたしました。また、ルワンダ周辺国ではUNHCR及びNGOが献身的な活動を行っており、これと緊密な連携をとっていくことが重要であると感じました。  このような状況下、今月末に展開を完了する予定であります陸上自衛隊救援隊は、各所において既に活動を開始しております。医療につきましては、国立ゴマ病院におきまして、難民キャンプから送られてきた患者に対する手術を含む措置及び州立の衛生検査場における細菌検査を実施しているところであります。防疫につきましては、難民キャンプにおける活動を行っているところであります。給水につきましては、ルワンダ難民のための浄水といった業務を行っているところであります。また、先月末に展開を完了した航空自衛隊空輸派遣隊は、今月初めから、ケニアナイロビを拠点として、陸上自衛隊救援隊人員装備等のほか、UNHCRNGO等人員空輸を実施いたしているところであります。  他方現地治安の面につきましては、大量の難民が一時期に流入したことにより、大きなあつれきと混乱が生じ、その中には武装強盗化した者もいると言われておりまして、厳しい状況にあると考えられます。しかしこの状況は、現状におきましては、自衛隊活動を行うのに支障を来すほどには至っていないものと認識しておりますが、いずれにせよ、今後の治安情勢ににつきましては、引き続き注意深く見きわめる必要があると考えております。  政府におきましては、現在、官房長官のもとで関係省庁による定例の情報連絡会議を行うなど、政府としての対応に遺漏なきよう期するように努めております。  現地での活動は、これまでのところ、特段の問題なく整々と行われているとの報告を受けておりますが、いずれにせよ、自衛隊部隊等が行う難民救援活動に関しましては、今後とも隊員安全確保も含め、関係省庁連携をとりながら全力を傾けてまいる所存でありますので、今回の部隊等派遣につきまして、よろしく御理解と御支援をお願いをする次第であります。(拍手
  8. 近藤委員長(近藤豊)

  9. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 冷戦後の新しい国際情勢のもとで、国連に対する国際社会期待はかってないほどに高まっております。  国連がこのような世界期待に的確にこたえるためには、国連改革が必要であります。国連機能強化に向けた改革を進める上で特に重要なのは、安全保障理事会改組です。安保理活動は、今や世界の平和と安定のための幅広い分野にわたっております。国連加盟国の数は、創設時の五十一カ国から百八十四カ国にまで増大しましたが、安保理の構成は、国連創設当時の世界を前提に構想されたものからほとんど変化をしておりません。他方で、国際的により大きな責任を担い得る国が出てきております。  こうした状況を踏まえ、一昨年、国連総会において、安全保障理事会議席衡平配分拡大に関する決議が採択をされました。この決議を受けて、我が国を含む多くの国々安保理改組問題に関する意見書を提出いたしました。また、昨年十二月には、安保理の議席の拡大に関するあらゆる側面及びその他の関連する事項を検討するための作業部会を設立することが決定されました。  本作業部会は、本年一月より九月まで会合を行いました。作業部会議論におきまして、安保理理事国数を増加すべきであるとの点について意見の一致がありましたが、同時に、その増加の範囲と性格についてはさらなる議論が必要であるとの点についても合意がありました。このような議論を経て、安保理改組問題については、国連総会の今会期中も議論が継続されております。  私は、先般の国連総会における演説の中で、我が国考え方につき次の趣旨を述べたところであります。  まず、国際貢献に関する我が国の基本的な考え方として、憲法が禁ずる武力の行使は行わず、憲法範囲内で国連平和維持活動に積極的に協力するとともに、軍縮・不拡散に積極的に取り組み、開発、環境などの地球規模の問題について、これまで以上の貢献を行っていくことを述べました。  安保理改組については、その機能効率性確保しつつ、世界現状を反映した形で改組し、独化することが必要であることを訴えるとともに、さきに述べた国際貢献に関する基本的な考え方のもとで、我が国は、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たしていく用意があることを表明いたしました。  また、国連改革の一環として、総会活性化経済社会理事会機能強化信託統治理事会の廃止、旧敵国条項の削除の諸点についてもあわせて主張したところであります。  安保理改組に関するこれまでの議論を見ますと、多くの国々がこの問題に関する我が国の立場を理解し、支持する旨述べてはおりますが、あわせて地域の代表性の改善を求める意見や、先進国途上国との間のバランスへの配慮を求める意見も出されております。  国連総会における演説で多数の国々安保理改組重要性に言及していることに示されているように、この問題は既に国際社会の大きな関心事項となっています。この問題については、国連の場において引き続き議論が行われます。我が国としては、国連創設五十周年を来年に控え、各国とも協力しつつ、具体的な改組案合意に向け、積極的に討議に参加してまいります。  もとより決して易しい課題ではありませんが、今後とも国民各位の一層の御理解を得て、安保理改組を初め、総会活性化経済社会理事会機能強化など、幅広い国連改革の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  議員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  10. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。
  11. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 新生党の山田正彦です。  きょうは政府危機管理について種々質問させていただきたい、そう思っております。  あすはジュネーブにおいて北朝鮮の問題で米朝合意がなされるということでございますが、その北朝鮮のことに関しまして、七月の九日、いわゆる平壌放送が正午から金主席の死亡を報じたわけですが、私どもにとりまして実は当時大変緊迫した状況の中でございました。私は、当時旧与党の安全保障議員連盟事務局長をいたしておりまして、もしや北朝鮮主戦派の方が軍事クーデターを起こして暗殺する可能性はなかったのか、大変心配いたしたわけですが、当時の新聞を見てみますと、米国、韓国情報筋からはかなり暗殺説が流されたと聞いております。  実は、防衛庁長官にお聞きいたしますが、その金日成主席の第一報をお聞きしたのは、どこでどのようなときにお聞きしたのでありましょうか。
  12. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 七月九日の正午のニュースを聞きました。これは、私の九段の衆議院宿舎の私の部屋で聞いた次第です。  以上です。
  13. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 当時の、調べてみますと十時には、平壌放送特別放送を正午から流すと予告いたしております。それで、外務省北東アジア課等では既にそのための待機をいたしておったようですが、いわゆる長官に対して、もしかしたら国の防衛に関する重大な発表があるかもしらない、そういう予告はなされていましたか。
  14. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 当日、私は九時過ぎの新幹線に乗りまして、九時前ですね、十一時四十四分に東京駅に着きまして、というのは盛岡からですからね、それで宿舎に着いたばかりでございましたので、その前に連絡の方法があれば御連絡いただいたのかと思うわけでございますが、宿舎に着いたと同時にニュースが流れた、こういう経過でございます。
  15. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 当時韓国においては、正午、十二時二分、金泳三大統領は、既に国防省に対して電話で全車への特別警戒特別非常警戒令指示いたしております。  防衛庁長官としては、その第一報ニュースで見られて、どのように考え、どのような行動をとられましたか。
  16. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 まずもって防衛庁体制を若干御報告申し上げたいと思います。  防衛庁は、ふだんから中央指揮所におきまして二十四時間警戒態勢をとっておりまして、我が国の領土、領海、領空の状況の把握に努めながら、平和と安全の確保に万遺漏なきよう対応しているところであります。  そこで、私はニュースを聞きまして、これは非常に異常、異常といいますか大変な事態である、こう考えました。したがいまして、やはり最高指導者がお亡くなりになりまして、すぐこれが戦争につながるとか、大きな事態の急変につながるというふうにはなかなか考えられませんけれども、しかしながら、警戒といいますか、そういう態勢は万全を期す必要があるのではないか、こう考えまして、総理官邸におきましては内閣総理大臣サミット出席中でございまして、内閣総理大臣代理五十嵐官房長官でございますので、官房長官電話をいたしまして、直ちに万全を期すよう防衛庁内に指示をするということで理解をいただきました。  そこで、直ちに防衛庁官房長連絡をいたしまして、今後の事態について冷静かつ注意深く見守りながら、防衛庁におきましては情報収集など適切な態勢をとるよう指示をいたしたところであります。そして同時に、迅速的確な連絡を行うため関係職員勤務体制強化するとともに、万全の態勢をとった、こういうことでございます。  詳しくは、これは防衛局長から御報告をさせます。
  17. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 大臣から御報告を申し上げましたように、防衛庁としては、情報収集等のための万全の態勢をとるように指示を受け、早速それを実施したわけでございますが、詳しく申し上げますと、内部部局統合幕僚会議事務局、それから陸上幕僚監部海上幕僚監部航空幕僚監部等中央組織等におきましては、情報収集連絡調整を行うための所要の職員出勤をして、平常時から二十四時間体制でやっておりますが、さらに情報担当責任者等出勤をしてその態勢をとったということでございます。  さらに、部隊等におきましては、例えば飛行機等を飛ばしまして情報収集に当たっております。  当面、九日の日におきましては海上自衛隊におきましてはP3Cを一機、常時日本海にオンステーションさせております。それから電子偵察機でありますEP3一機、あるいはヘリコプターを五機、二時間待機態勢につけておる。艦艇についても十一隻が二時間待機態勢についております。それから、航空自衛隊部隊でございますけれども、やはり情報収集体制強化のため、YS11EL、これは電子偵察機でございますけれども、入間から美保基地展開をしておる、あるいはE2C一機によって日本海海域哨戒飛行をしておる。これは三沢から美保に飛んできておるわけでございます。このような部隊展開しあるいは飛ばして、情報収集強化している。  その後、引き続きまして、事態推移を見ながら、態勢をややダウンしましたが、海上自衛隊ではP3を飛ばしあるいはEP3を飛ばす、あるいは艦艇八隻を待機させる、それから航空自衛隊でも引き続きYS11を一機増強しまして二機にして美保に配備する、あるいはE2Cで監視支援をするというような態勢をとりまして、情報収集全力を挙げておったというところでございます。
  18. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 防衛庁長官にもう一度お聞きいたしますが、防衛庁長官は何時何分に防衛庁に、官房長にそういう指示をなされたものか。そして、その具体的内容は、先ほどはいわば情報収集を十分にするようにという内容を話されまして、その他と言いましたが、その他の具体的な内容はあったのかどうか。  そして同時に、防衛庁長官としては、例えばこのような国家大事のときと私は思っておりますが、そういうときに、当然防衛庁に出かけて、そして皆さんから直接情報を聞きながら、あるいは内閣、当時官房長官しかいませんでしたが、緊密な連絡を図るとか、あるいはそういった形で防衛庁内の士気を高めておく防衛庁長官としての責任があったと思われますが、聞くところによりますと、そのまま防衛庁にも行かなかったということであります。その点に関してどう思われるか、長官にお聞きしたいと思います。
  19. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 当時の態勢の中におきましては、まず朝鮮半島の情勢を把握するということが第一、それからその他のことについての、部隊がどのような配置をしたか、動きをしたか、これは余りつまびらかにしない方がよろしいかと思います。  それから同時に、私自身行動につきましては、私は防衛庁出勤せずに宿舎にいて事態推移を見守ったということはどういうことかと申しますと、私の考えでは、北朝鮮においては最高指導者がお亡くなりになった、普通ならば亡くなってすぐ戦争に訴えるとか戦争が始まるとか、こういうようなことは想定されない。むしろこれを機に何か我が方が過剰防衛をしているかというような印象を与える方がマイナスではないか。したがいまして、防衛庁出席をしようが宿舎事態推移を見守ろうが、これは私は、効果とかそういうことについては別状関係はない、こういうように判断したものでありますので、事態推移宿舎で見守って、その報告を聞いておった、こういうことであります。
  20. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 重ねてお聞きいたしますが、金日成主席が亡くなったのは恐らく七日の深夜。そうしますと、一日半は優にたっている、平壌放送があったのは。考えてみれば、一日半もたった後ですから、もしこれが軍事クーデターによるものであったとする、国の防衛庁長官としては最悪事態を考えてその責任を全うしなければいけないと思いますが、そうあった場合には、当然のことながら、当時総理はナポリ・サミットで病気になられて寝込んで何か点滴中だとお聞きいたしておりますが、当然国の守りの責任者としては、宿舎推移を見守るとかそういう事態ではなかったと思いますが、防衛庁長官としての責任はそれで十分であった、今でもそう考えておられますか。
  21. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 結果からいたしまして、戦争がそれによって始まり、私が宿舎にいることによって我が国防衛に大きな悪影響を及ぼした、こういうことがあればまた責任云々はお受けしますけれども、やはりもし事態が大きく変化した、戦争が始まった、そして日本も攻撃の対象になった、こういうようなことでありますならばこれは大変なことでございますけれども、私の判断としましては、最高指導者がお亡くなりになったとしましても、一義的に我が国に対する攻撃というものはあり得ない、むしろそれよりは注意をして万全を期す方がよりベターではないか、こういうふうに判断したわけでございますので、そのような判断に基づいて行ったことが別に責任を問われることではないと思います。
  22. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 その日の二時に、韓国においては金泳三大統領は緊急安全保障会議を開催いたしたわけです。日本においては、それにかわるような安全保障会議は開かれませんでした。実は、その件について聞いてまいりますが、その前に外務大臣にお聞きいたしたいと思います。  外務大臣は、この一報、いわゆる金日成主席が亡くなったと、それをお聞きしたのは、どこで、どのような状況の中でお聞きし、そしてどう思い、どういう行動をとられたか、お聞きいたしたいと思います。
  23. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 当時私は、イタリーのナポリで先進国の首脳会議がございまして、それに出席をいたしておりまして、ナポリのホテルで一報を聞きました。当時は、御承知のとおり先進国の首脳がナポリに皆集まっておりまして、そこには、例えばアメリカは大統領ももちろんお見えですが、クリストファー国務長官も見えておりました。  そんなことで、第一報を聞き、もちろん東京では五十嵐官房長官が、実はその少し前に村山総理の体調がよくないという報告をいたしておりましたから、官房長官初め、官邸におられました。そこで、官邸とも連絡を十分とることができました。  今、委員いろいろお尋ねでございますけれども、もし北朝鮮の中で何か大きな変化が起こっているとするならば、それは十分アメリカを初めとして他国がその情報を得るだけの能力を持っていたに違いないと思います。そうしたことも私ども、当日各国の首脳及び各国の外相とも払お目にかかっておりまして、この問題についての意見の交換はいたしましたけれども、今議員が仮定の問題としてお話しになった、軍事クーデターを初めとする国内における大きな変化、変動がその原因ではなかったかという仮定のお話をなさいましたが、そういうことについては、私どもも関心がないわけではございませんでしたから、各国の外相などとも話し合いましたが、各国の外相ともそうしたニュースは、そうした情報は持っておりませんでした。
  24. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 外務大臣は、同時に副総理であられますが、確かに各国の外交官との話し合い等については具体的な話はなかったにしろ、お隣の韓国においてはそれだけの厳戒態勢をとっておった。いわゆる新聞、テレビ等においてもそういう情報は流れたということであれば、それ相応の対応をとる責任、これは私はある、そう思っております。  それで、時間もありませんで、実はそのときに村山総理、村山総理はどのようにしておられ、副総理である、外務大臣であるあなたに、この件に関していわゆるどのような指示か相談をなさったか、それをお聞きしたいと思います。
  25. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 私、ちょっと時間を正確に覚えておりませんが、総理は当時、今申し上げたように体調を崩しておられまして、病院におられたわけでございますが、病院から関係者を通しての指示で、万全を期すようにという御指示がございました。  私は、韓国の外務大臣、韓昇洲外相にも電話連絡をいたしまして、日韓の外相の電話会談をいたした次第でございます。その当時、韓国の外相からは、韓国としても十分な情報はないといったしかお話だったように覚えております。つまりそれは、大きな変化が今起こっているというふうには自分たちは考えていないという趣旨のお話があったと記憶いたしております。
  26. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 村山総理そのものはその件に関してあなたと何か話し合いしたか、何らかの指示があったか、それを私はお聞きしているわけです。
  27. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今お答えをいたしましたように、当時総理は体調を崩して病院におられて、その病院に詰めておりました関係者を通して、私に、万全を期すようにという御指示がございました。ぞうお答えいたしました。
  28. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 直接はなかったわけですか。
  29. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 直接はございません。
  30. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 次に安全保障会議韓国の場合には緊急安全保障会議がもう二時には開かれているのですが、日本においては安全保障会議も開かれず、閣僚会議も開かれなかった。そのことに関してお聞きしたいと思いますが、委員長内閣のどなたにお聞きしたら——そうですか、はい。  安全保障会議設置法という法律によりますと、これはいわゆる重大緊急事態、これが発生した場合においては、必要があると認めるときに会議に語る、そうなっております。その中に、いわばメンバーとしては、外務大臣、大蔵大臣内閣官房長官、国家公安委員会委員長防衛庁長官、経済企画庁長官、それぞれ入っておられますが、当時、内閣として各大臣に対して、そういう安全保障会議を開かないにしても、例えばそのようなことについての話し合いがなされたものか、なされもしなかったのか、今言った各メンバーの先生方にそれなりの連絡、方法、相談、そういったものをとっておられたのか。  私は当然のことながら安全保障会議を当時開くべきだった、少なくとも関係閣僚の会議は開くべきであった、そう考えるものですが、なぜそれを開かなかったのか、開けなかったのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  31. 坪井政府委員(坪井龍文)

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  今先生の御指摘のように、安全保障会議設置法におきまして、緊急事態あるいは国防事態についての対応の仕組みというものが法律的にございます。  そこで当日、先ほどの七月九日の件でございますが、安全保障会議関係省庁におかれましては、今の防衛庁、外務省を初めとしまして、皆さんそれぞれ態勢をとって、いつでも対応できる状況にあったということでございます。  それで、安全保障会議をなぜ開かなかったかという点に関しましては、私ども、その当時の情勢から判断して、まず情勢を見きわめることが重要であるということで、官房長官のもとで、関連の各省庁の情報交換をやったり、そういうことをやっておりますし、関係省庁の方と私どもとの間も事務的にはいつでも対応できる、いろいろな変わった情報があればそれもまた官邸に上げられるというような態勢にあったということでございまして、またさらに、安全保障会議がいつでも開かれるように、各関係議員の、大臣方についてのその所在とか連絡だとか、そういう態勢というものは事務的にはとっていたということでございます。
  32. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 当時、いわば官邸において五十嵐官房長官中心におられたわけですけれども、五十嵐官房長官は、その日正午の平壌放送を聞いて、例えば谷野作太郎、これは内閣外政審議室長ですか、緊急協議したようでありますが、いわば具体的に、例えばどういう方とどういう形での話し合いをどのようになさっていたか、それをお聞かせ願えませんか。
  33. 坪井政府委員(坪井龍文)

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  私ども、官邸のスタッフの一員としまして官房長官、副長官の指揮を受けるわけでございますが、まず、緊急事態が生じますれば、御案内のとおり当然安全保障会議が開かれて、その事態につきましての対応措置、対処措置というのが決められることになるわけでございますが、その事前の状況におきましては、通常の情報あるいは対外関係の調整といったようなことで、同じ内閣のスタッフでございます外政審議室長なりがまず対応することになるのだろうと思います。したがいまして、私が中心となって何かそのいろいろな連絡等をやるということは、必ずしも今回のこの場合では行われておりません。  したがいまして、今先生のお尋ねの、どういうやりとりをやり、どうしてというような話につきましてお答えできないことをお許しいただきたいと思います。
  34. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 五十嵐官房長官に直接お聞きしたかったのですが、当時として、官房長官としては当然のことながら防衛庁からも情報等を聞くべきであったと考えておりますが、私の聞いている限りでは、当日は外務省から話を聞いただけだ、その次の日に防衛庁その他からも情報を聞いたようなお話が載っているようでした。いわゆる韓国とかアメリカ、米国等々に比べて、日本は大変こういう危機管理体制がなってなかった。  さらにもう一つ、この安全保障会議を開くについて、緊急事態ということにあってなかったか、あってあったかということは、さらにこれから議論しなければならない、これからの国の防衛に関して大変重要なことだ、私はそう思っておりますが、もし、韓国ですら警戒特別態勢をとっている中で、いざ最悪事態に陥った場合には当然、韓国のこととはいえ、日米安保条約の五条、六条に従って日本も巻き込まれる。その中で、日本が本当にそうなった場合のことを考えたら、私は、安全保障会議設置法に基づく緊急事態であった、そう考えております。   次に質問をさせていただきますが、内閣安全保障室、これについてお聞きいたします。 湾岸戦争のときに、実は海部内閣は、情報が足りない、人手が足りない、そういうことで外交上大変後手後手に回った、そう言われております。内閣安全保障室は当時二十一名のスタッフしかいなかった。予算にしても一億四千万、一億三千万ですかね、の予算しかなかった。そのうち、一億一千万は人件費で、二千万が活動費にすぎなかった。いわゆる、現在もこの内閣の、政府危機管理というものにおいて、当然その司令塔である、情報収集の一番大事なところである内閣安全保障室というものは、いわゆる北朝鮮金日成主席のときに、あの湾岸戦争のときに比べでどのように強化され、どのような機能を果たしていたか、内閣安全保障室長にお聞きしたいと思います。
  35. 坪井政府委員(坪井龍文)

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  今先生が御指摘のございましたような予算でございまして、現在人員が室長以下二十四名、予算としまして平成六年で二億三千五百万というようなことで、基本的に申しますと、組織や予算等につきまして特別増加しているというようなことはございません。  これは、内閣の調整機能を果たすところでございまして、一方、安全保障会議の事務局の役割もしておりますが、湾岸のときもそうでございますが、事態が起こったときに関係省庁からの応援、関係者が官邸の方に詰めてもいただきます。その場合に、私どもの組織が核となって、平時からそれぞれの省庁との連絡体制や、いざ緊急事態が生じたときにどういう対応をするかというようなことを常時検討、調整しておりますので、平時から有事のときに必要な非常に大勢の人間やお金をかけるということが必ずしも合理的ではないという観点から、そういう仕組みになっているということでございます。  私どもは湾岸の経験、安全保障会議設置法で安全保障会議ができてから、重大緊急事態としては湾岸の事態が最初の事態でございました。そこで、その当時のいろいろな対応ぶりを教訓にしまして、その後、どちらかというと運用体制といいますか、既にある組織をいかに有事の際に効率的に機能できるかという方面で、部内におきましてもいろいろなケーススタディーからマニュアルづくり等々に励み、かつまた関係省庁との有事のときの訓練みたいなこととか、そういうようなことで運用体制に力を入れていくということでございます。  それでもう一点、一点だけつけ加えさせていただきますと、物的な容量としまして、御案内のとおり、官邸がそういう有事のときにいろいろな対応、指揮、通信を含めた十分な物理的なスペース等があったり、あるいはそういう施設があるかというと、これはございませんで、今後、官邸建てかえということも進んでいるようでございますので、そういうところではそういう施設も整備していきたいというふうに考えているところでございます。
  36. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 ちょっと私から補足をさせていただきたいと思いますが、委員は、どうも日本の危機管理体制があの当時十分でなかったではないかという御指摘でございました。 ただ、私申し上げておきたいと思いますことは、当時官邸に官房長官がいたと先ほど私御答弁を申し上げましたが、当時の官房長官総理大臣の臨時代理でもあるし、外務大臣の臨時代理でもあったわけでございます。そのことがどうかという問題はありますけれども、当時外務大臣もいなかったじゃないか、あるいは総理も外国にあって、危機管理がどうだったんだという御心配がもしあるとするならば、それはそれぞれ臨時代理がちゃんと権限は全部受けて、そして官邸におられたということだと思います。もしあのときに総理が日本におられ、外務大臣が日本におれば、そうした連絡はさらに格段になされておられたというふうに私は思います。  それから、韓国でさえやったのにとおっしゃいますけれども、御承知のとおり、韓国は国境線で接して至近距離にあるわけでございまして、それは日本とは若干状況は違うと思いますし、もう一つは、韓国であっても日本であっても、それぞれ国内の体制をどういうふうにするかということについてはそれぞれの国にそれぞれの考え方がある。例えば、国民に安心感を植えつけ、落ちつけ、大丈夫だという構えをとるというやり方もあれば、いや、それはもう全く心配ないのだという構えをとる国もあって、それはそれぞれの国にそれぞれのやり方があるということもぜひ御理解をいただきたい。
  37. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 今の外務大臣に反論したいんですが、私の持ち時間がなくなってしまいました。最後に一言だけ。  実は、七月十日の産経新聞に元内閣安全保障室長の佐々さんの談話が載っておりますが、ぜひこれを玉沢長官も、そして外務大臣もお聞き願えればと思います。「金日成主席の急死は、日本の安全保障上の大問題だ。日本政府はただちに安全保障会議や総合安全保障関係閣僚会議などの関係閣僚会議を開くべきだ。それなのに政府は九日、安全保障上の問題と外交問題を取り違えたように、官邸に外務省関係者ばかりを呼んだ。」こうなっております。これをひとつ……。  これだけで、私の質問時間は終わりまして終わらせていただきます。
  38. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 これは極めて重要な問題でありますので、私からも正確を期すために申し上げますが、私が五十嵐官房長官電話いたしまして指示を仰いだ、その際に安保会議はいつでも開かれるように手続をしております、こういうことでございました。情報収集に万全を期すということがまず第一。  また、私が宿舎でただ推移を見守っているということを言いましたが、これはその都度報告を受けておるわけでありまして、朝鮮半島におきましては、北朝鮮におきましても軍においては特異な動きはない、このことを官房長官にもその日のうちに連絡をいたしておるわけでありますから、事態推移がもし急変した場合にはいつでも安保会議は開かれる態勢にあったということだけは、よく御認識をいただきたいと思います。  以上。
  39. 山田(正)委員(山田正彦)

    山田(正)委員 またの機会に。  終わります、私の質問。
  40. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 赤松正雄君。
  41. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 院内統一会派改革の公明党に所属しております赤松正雄でございます。  本日は、きょうのこの安全保障委員会というのは、私は非常に重要な、極めて大きな転換期における大事な委員会だと思っております。といいますのは、日本社会党の皆さんが長らく反安保、反自衛隊、反基地というふうなことで、どちらかといえば、非常に比喩的な言い方になりますけれども、日本の安全保障という分野で同じ土俵に上らない、こういうふうなことが言われ続けてきた状況が続いたわけですけれども、ついにその状況が変わった。いわば同じ土俵の上で議論ができるという、まさに歴史的な変化を受けての最初の安全保障委員会でございます。社会党の皆さんの出席がどうこうと言いませんけれども、そういう非常に大事な委員会であるので基本的な御質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、その前に一つだけ外務大臣にお聞きしたいと思います。  といいますのは、北朝鮮の核をめぐっての米朝の協議、米朝の包括的合意が行われたということで大きな変化があったということが報道されておりますが、これについての外務大臣の受けとめ方、そして従来この日朝関係が、いわば核をめぐっての問題が障害になっていて日朝会談というものが中断されている状況にありますけれども、日本と北朝鮮との会談、見通し、どういう考えでいらっしゃるのか、そのあたりを冒頭にお聞きしたいと思います。
  42. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 米朝会談は、アメリカの粘り強い真摯な態度での話し合いによる協議が続けられて、私どもへの連絡では、先ごろ暫定合意に達したという御報告をいただいておりますが、このことは、我々としても基本的に大変歓迎をすべきことだと思います。朝鮮半島における核問題というものは、近隣諸国、もちろん我が国を含めた近隣諸国にとって極めて重大な懸念を有すべき問題でありますと同時に、国際社会全体にとっても、不拡散という方向と全く違う状況でございますだけに、この問題が解決をするということは望ましいというふうに申し上げてよろしいかと思います。  さて、もう一点お尋ねは、日朝交渉についてのお尋ねでございますが、日朝交渉、日朝会談というものは、議員御承知のとおり、何回か開かれておったわけでございますが、あるとき先方から、私の記憶が正しければ、李恩恵の事件、李恩恵の問題に関しての議論が机上に上ったときに、この問題を議論することは余り愉快なことではないというような、たしかそんなような意向で一方的にこの交渉が中断をされたままになっているわけでございます。もちろん私どもとしては、この日朝会談というものは何の前提もなしに話し合いをすることがいいというふうに思っているわけでございます。日朝間にはさまざまな問題が現在あるわけでございますから、そうした問題が多ければ多いほど話し合いをする窓口を持つ、チャンネルを持つ、あるいはそういうルールを持つということは大事なことでございますから、私は、そうした話し合いはすべきものだ。ただ、米朝会談がございまして、つまり、核問題というものが顕在化して米朝会談が持たれているというこの時期には、なかなか先方としても話し合いはしにくいのではないかという、これはこちら側が一方的にそう思っておりました。しかし、この問題が合意をするということになれば、この話し合いを進める上での障害が少なくなっているということは言えると思います。もちろん、この米朝会談の詳細についてはまだまだ我々としては十分検討をすべきものも残っておりますが、一般論として申し上げれば、今申し上げたように障害は減ってきているというふうに思いますので、先方が話し合う意思があれば、意向があれば、我々はいつでも話し合っていいのではないかというふうに思っております。
  43. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 次に、先ほど申し上げました基本的な質問に入らせていただきます。 私は、冒頭に少しエピソード的なお話をしたいと思います。  実はことしの前半でしたでしょうか、防衛研究所にお招きをいただきまして、自衛隊の中堅幹部の皆さんに公明党の安全保障政策について若干お話をさせていただく機会がありました。そのときに、小一時間ほどお話をした最後に、場内の皆さんから、自衛隊の中堅幹部の皆さん、四十代前半の皆さんですけれども、お話をした後、質疑を受けたんですが、一番最後に、私がいろいろなお話をしゃべった最後に、ある方が、いろいろあなたは今おっしゃったけれども、要するに自衛隊を合憲の存在にふさわしいそういう位置づけをしてほしい、こういうことを最後に言われました。私はそのとき非常にむっといたしました。それは社会党の皆さんに言ってほしいのであって、こっちに言われる筋合いではないと思いましたけれども、当時同じ政権を組んでおりました。言葉をのみ込みまして、そのお話をしっかりと受けとめた次第でございます。自衛隊の皆さん、憲法違反というふうに位置づけられて、ずっと長い間、今日まで生活せざるを得なかった皆さんの痛い思いが非常に印象的に私は受けとめられました。  それから約半年後、今回の社会党の歴史的な政策転換に至ったわけでありますけれども、予算委員会あるいは本会議、村山総理に対して私どもの仲間たちがいろいろな質問をいたしました。これは本来総理にすべきことなんでありましょうが、自民党の総裁であられる外務大臣、副総理でもあられます、また防衛庁長官も、ともにそのそばでそうしたやりとりを聞いておられての感想をお聞きしたいんですが、私は正直、村山総理の肉声が伝わってこないな、先ほど冒頭に申し上げましたようなそういう非常にささいな例でありますけれども、いろいろなところで、防衛庁自衛隊の方だけじゃなくて私どもも含めて、今日まで日本の安全保障がそういう基本の部分でなかなかかみ合わないということについてさまざまな思いがあるわけですけれども、その辺の思いに対して、総理は何もぐっと入ってくるような答え方をされていない、そんなふうなことが感じられてならないわけであります。  冒頭、外務大臣にというよりも副総理に、できれば本音の話を聞かせていただきたい、そんなふうに思います。どうぞ。
  44. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 連立のパートナーとはいえ他党の内部の問題でございますから、私がそこまで申し上げることはどうかと思います。  しかし、村山総理の御答弁を横で聞いておりますと、社会党の中にはやはり相当に議論をし、苦悩と言ったら言い過ぎかと思いますが、さまざまな角度で議論をされたのではないかというふうには思えます。これはしかも突然のことではなくて、かなり長期にわたって議論があったのではないか、例えば社会党もある時期には自衛隊に対する違憲合法論などという議論が出てきたりして、それはいろいろなプロセスを経ておられるのではないかというふうに私は思うわけです。しかし、これは他党のことでございますから、私がとやかく申し上げることはいかがかと思います。  それは、私が社会党の気持ちをおもんぱかって申し上げるよりは、公明党だってかつては自衛隊違憲論を言っておられて、それがある時期から合憲に変わられた、あのプロセスだってきっといろいろ議論があって、状況を考え党の政策を転換される御苦心があったに違いない、恐らく公明党の方なら社会党のあの転換については理解ができる、悩みについて理解されるのではないか、むしろ私はそんなふうに思っているくらいでございます。どうも私どもが公明党のことを、それは申しわけないことでございますが、他党のそうしたことについて申し上げるのは限度があるということしか申し上げられません。
  45. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 私ども公明党は、昭和五十三年から五十六年までのまず三年かけまして、問題提起から最終的ないわゆる憲法についての自衛隊の位置づけ等についての議論をさまざま繰り返しまして、疑いありという段階から合憲に至るまでの過程は随分時間を費やしました。今外務大臣がおっしゃったとおりであります。ただ、そうしたことから変換に至る過程の中で、私どもは、憲法のどの条項に沿って今までの違憲の疑いありから合憲だという明確なる解釈をオープンな場でやりましたし、結果的に法律に従って、法律の解釈というものを明確に深めた上で明らかにしたわけであります。その辺が全く、他党のことを云々ということがありますけれども、余りにも意味するところが大きいために私はあえてこういうことを申し上げているわけですけれども、そういう感じがいたします。  それで、その問題につきましてさらに突っ込みますけれども、例えば我が党の日笠勝之代議士が、先般、予算委員会で村山総理大臣に対しまして、今私が申し上げましたことと同じなんですけれども、憲法のどの条項に従って今まで日本社会党は違憲と思っておられたんですかという質問をしました。同時に、その後合憲に変わられた、じゃ憲法のどの条項に照らして今度は合憲になられたんでしょうかという質問をしたわけですけれども、総理はその質問に対しまして、前文にその意思があらわれている、違憲であるということについては憲法全体のものをとらえて違憲であると判断をしたというふうな言い方をされ、また合憲ということにつきましては、内外の情勢が変わったから政策転換をしたのだ、こういうふうな言い方をされたわけであります。  この辺のことにつきまして、私は先ほど申し上げましたように、公明党の例を出されて副総理はおっしゃったので、あえて大分違うのですということを言うためにこう申し上げているわけですけれども、合憲か違憲かの変更には少なくとも法理論の解釈、こういうものがきちっとなされなければならない、こんなふうに私どもは考えておるわけでございます。  外務大臣また防衛庁長官に、手短にそのことにつきましてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  46. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、他党の議論でございますから、わきまえて申し上げなければならないと思います。  ただ、今の委員のお尋ねの中に、憲法全体を指してと総理がおっしゃったというふうに言われましたが、私は横に座って聞いておりましたが、私も正確でないかもしれませんが、ゼンブンをとおっしゃって、それを途中で、自分の言っているゼンブンというのは全体の全ではなくて前文の前だというふうに言われたので、恐らくあそこで言われるゼンブンというのは前文のことをおっしゃっておられたんだろうというふうに思いました。  これまでの議論の経過についてどうであったかということは、これはどうも私が解説をするのはいささか役回りが違うように思いますので、お許しをいただきたいと思います。
  47. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 戦後五十年の中におきましては、東西二大陣営の対立というのが一つのパターンとなってずっと進んできたわけですが、そういう中におきましていかに日本の平和を守るか、いろいろな議論がありました。そういう議論の中での対立もあったわけでありますが、やはり東西二大陣営の冷戦構造が崩壊したということの中におきまして日本の平和をいかに守るかという点で、他党のことでありますけれども、社会党さんの議論がずっと進んでまいりまして、あのような判断を示されたもの、こういうように考えております。
  48. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 違憲と改憲をめぐっての法理論上の解釈は必要ないのか、こういう私の質問に対して、お二人とも真っ正面から答えていただかなかったわけですが、答えづらいんだろうというふうに勝手にこちらは解釈することにいたします。  ただ、今河野総理は非常に紳士的な丁寧な社会党をおもんぱかっての言い方をされましたけれども、私ここで一つ指摘しておきたいのは、当の相手の村山委員長は必ずしもそのような、河野総理のように紳士的なことをおっしゃっていないということを一つ例を挙げたいと思います。  九月三日ですから、政権ができてからもう随分たっております。社会党の第六十一回臨時全国大会、中央執行委員長あいさつの中でこんなふうにおっしゃっています。   冷戦構造を背景とする時代には、自民党政権  は、防衛費の増大をはじめ、絶えず軍拡路線を  採り、できれば憲法を改めようと企図し、改憲  できなければ拡大解釈して既成事実化してきま  した。これに対して社会党は、自衛隊は違憲で  あるとし、非武装中立・非同盟の立場で頑張っ  てきました。 少しおいて   しかし、いま冷戦構造が崩壊したなかで、思  想やイデオロギーによる対立が世界を支配する  時代は終わり、政策を競い合い、合意を求めて  いく時代であり、軍縮の流れが求められている  のであります。こんなふうな言い方をされております。この辺の村山委員長発言についての御感想をさらに……。
  49. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 党大会におきます委員長の御発言でございますから、それを他党の人間がとやかく批評することは御勘弁をいただきたいと思います。  しかし、私どもは、村山総理が、今議員のお話の後段の部分でおっしゃった、国際情勢が冷戦が終わって新しい状況に変わってきている、そういう一つの認識はこれはもうだれしもが認める認識であって、そのことについては、党が違っているとはいえ、その認識は十分理解できるというふうに思います。
  50. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 今河野総理は冷戦が終わって新しい状況に変わったということはだれしも認める、こうおっしゃいましたけれども、実は私はその部分に少し異議を感じます。私どもは、こういうことを言うと何となく繰り言に聞こえるかもしれませんが、冷戦が終わったというのは、社会党が政権に参画するよりももっと以前に冷戦は終わっているわけであります。一九八九年に東西ベルリンの壁が崩壊をした、そしてソ連が崩壊をしてロシアとなった、こういうふうな、いわゆる一九九〇年代の劈頭に冷戦が終わったと見るべきであります。  そして、今までもう四年たっているわけです。その四年の間に、社会党の皆さんは、村山総理自身も全く今日のような政策転換をされようとはしなかったわけであります。もちろん議論は続けてきた、こうおっしゃるでありましょうけれども、その辺が、私ども何を言いたいかといいますと、やはり政権についた、政権を維持したいためのその一つの手段であるというふうに思わざるを得ない。  そうじゃないんだと言うなら、もっと肉声を聞かせてほしい。さっき冒頭に申し上げたような、そういう多くの人たちが感じている心のひだに入るような言い方をしてほしい。そうでないと、私たちはおっしゃることに対してまともに受けられない、政治不信はますます募る、こんなふうに思うからこう申し上げたわけでございます。  さらに、防衛庁長官にお聞きしたいのですが、例えばPKOです。  これも私どもの参議院の白浜一良議員が質問をしましたけれども、あの国会で国連平和維持活動協力法が審議された際、私は国会議員ではありませんでしたけれども、テレビ等で見ておりまして甚だ慨嘆をしたものでありますけれども、牛歩戦術を展開し、議員バッジを返上されてまで法案阻止をされた社会党。それ以後、あの行為をされた後に国際環境は変化をしていないんです。その前に変化して、その以後には大きな変化がないにもかかわらず、それが、急に自衛隊派遣を認めるというふうにがらっと変わるということについて、国民に対する明確な説明がないというふうに私は思います。  そのあたり、玉沢防衛庁長官に、言いづらいでしょうけれども、お話を聞かせていただきたいと思います。
  51. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 これはあくまでも私が総理の国会における答弁等をお聞きいたしまして感じたことでございますけれども、例えばPKOの問題が論議をされておりましたときには、湾岸戦争我が国自衛隊派遣するかどうかというような重大な問題等も討議されておった。そういう観点から考えますならば、PKOといいますものが憲法上の拡大解釈がどんどん進んでいって外国における武力行使までつながるんじゃないかというような懸念を抱いた、こういうような答弁をしておられました。私もそういうこともあったのかなというような感じを抱いたわけでございます。  以上です。
  52. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 先ほど来、河野総理や、また玉沢防衛庁長官のお話を聞いておりますと、私は一つのこんな話を思い出します。イソップ物語の例えでございます。イソップ物語では、旅人をいかにして服を脱がせるかということで太陽と風が競争したという話でございます。  御承知のように、風が厳しい北風を吹きつけても旅人は服を脱がなかったけれども、太陽の暖かい光に、さんさんと降り注ぐ熱に旅人は服を脱いだというイソップ物語。これで、口さがない人が、この場合太陽は河野総理であり、またさきがけの武村代表であり、また自民党の多くの皆さんで、風の方は、だれかれとは申しませんけれども、前政権のリーダーたちであるというふうな見方が一部ではなされております。  私は、このイソップ物語は後日談がある、これだけでは終わらない、恐らく太陽の熱に旅人は熱射病を起こすか髄膜炎を起こしてやがて死に至るだろう、そういう後日談がこのイソップ物語にはつけられなければならない、こんなふうなことを何となく感ずる次第でございます。  そこで、具体的なお話に入りたいと思いますけれども、今申し上げたような、社会党の皆さんが政権に参画をされて今までの私どもの二つの内閣と違う状況が生まれてきたわけでありますけれども、具体的なテーマについての取り扱いをお聞きしたいと思います。本来的には次の委員会等での話題になると思いますけれども、自衛隊法一部改正法案についての取り扱いを若干お聞きしたいと思います。  もうこの経緯についてはここで改めて申すまでもありませんけれども、要するに社会党の皆さんが政権に参画されたり離脱されたりまたまた参画されたりするたびに、この法案はまさに宙ぶらりんの状態がずっと続いてきております。いまだに日の目を見ない。邦人救出について重要な役割を果たすこの法案が、結局日の目を見ない無責任な状態に立ち至っております。こういう状況を踏まえまして、この法案の取り扱いにつきまして現時点における政府のお考え方を聞かせていただきたい、そう思います。
  53. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 今回当委員会におきまして御審議いただくことになっております自衛隊法一部改正法案は、前回提出の法案が国会の解散により廃案になったことに伴い、これと同様の趣旨のものを再提出したものでありまして、生命等への危険が差し迫っております在外邦人をより一層適時適切に輸送するためかかる輸送の権限を防衛庁に付与するという基本的な考え方につきましては、前回提出の法案における考え方と相違するものではございません。  したがいまして、今回におきましては、何と申しましても、外国におられる在外邦人の方々が大変な危機に陥った場合これを救出するというための権限を与えていただくということでございますので、いついかなる事態世界において招来するかわかりませんので、でき得ますならば、できるだけ早く当委員会において審議をしていただきまして御承認を賜れば、このように考えております。
  54. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 続きまして、防衛計画の大綱のことにつきましてお聞きしたいと思います。  大綱の見直しの作業が今進められているというふうに聞いておりますけれども、私はこの大綱が制定以来果たした一定の役割というものを認めるものでありますけれども、冷戦後という新しい事態を前にしまして、見直しの方向性が至って重要だと思います。これまでの独立国としての必要最小限の基盤的防衛力を整備するという路線を変えるのか、あるいはまた、今までと変えるのか、それとも変えないのか、この基本的な大綱見直しの方向性につきまして、防衛庁長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  55. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 防衛大綱の基本路線と申しますか、我が国憲法のもとにおいて専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない、この基本理念、また同時に、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を自主的に整備する、こういう点におきましては、この基本精神は今後とも変わることはない。  しかしながら、国際情勢推移も見ながら、さらにはまた、現在、東西冷戦後におきまして、国際社会におきましては軍備管理・軍縮に向けての努力も行われておるわけであります。また、我が国におきましては、将来、人的な資源の制約もあるわけであります。それからまた、科学技術の進歩も見てまいらなければなりません。また、厳しい財政事情等も勘案をしながら、今後そういう点に視点を置きまして大綱の見直し等について検討してまいりたい、このように考えております。
  56. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 長官、その大綱見直しと、防衛問題懇談会、先般の細川内閣以来の防衛懇の答申の中身というものとのかかわりというのはどういう感じになりますでしょうか。
  57. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 非常にいろいろな、日本の今後の防衛体制等におきましても示唆に富んだ内容である、こう考えておりまして、今後参考の一つにしまして検討をさせていただきたいと思っております。
  58. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 せんだっての参議院の委員会で私どもの仲間が村山総理に質問をしたときに、私は院内テレビを見ておりまして、この防衛問題懇談会の答申をどう生かされますかということに対して総理は、私の受けとめ方が悪かったのかもしれませんが、おざなりな、余り真剣に受けとめようとされてない印象を強く受けたのですが、その辺、総理考え方と副総理防衛庁長官考え方が違ってもしっかりと押していくおつもりがあるかどうか、改めてお聞きしたいと思います。
  59. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 私は生来声が大きいものでございますので、声の大きさからいえば私の方が情熱があるというようにお受けとめいただけるかと思いますが、総理の御発言内容も私どもと全く同じである、こういうふうに考えております。
  60. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 防衛庁長官の声の大きいことは、私かつて新聞記者時代に、議場係をされたときのすさまじい声の大きさにはよく感じ入っておりますけれども……。  ところで、先ほども例を挙げましたけれども、村山総理は盛んに軍縮を強調されているわけです。先ほどの党大会の中でも「当面する政局に臨むわが党の基本姿勢」、また社会党の文献で恐縮ですけれども、その中でこういうくだりがあります。「自・社両党は軍縮推進を基本に九五年度予算編成に取り組むことが重要であります。」こういうふうに基本姿勢の中で書かれてあります。最近の政府防衛予算をめぐる論議の方向を見ていますと、軍縮イコール防衛予算の削減という、極めて短絡化したそういうイメージでとらえられている傾向が強いというふうに私は考えて、非常に危惧を抱いている次第でございます。詳しいことについては後刻私どもの仲間が質問いたしますので、総論だけにとどめておきますけれども、この軍縮イコール防衛予算削減、こういうふうなことでいいのかどうか、防衛庁長官のお考え方を聞かせていただきたいと思います。
  61. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 連立政権を組みました三党の合意事項によりますと、軍縮の点におきましては、あくまでも近隣諸国との信頼醸成活動に努めながら軍縮を進める、こうあります。つまり、近隣諸国との相互信頼というものをまず構築しながら話し合いをし、そしてお互いに隔意のないところを理解し合いながら、そして国際情勢推移等を見ながら軍縮を進めていくという趣旨である、このように理解をいたしております。
  62. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 私どもは核軍縮は断じて進めるべきであると思います。もちろん今防衛庁長官がおっしゃったようなことも踏まえて、近隣諸国との関係性、そういったことを踏まえながら、日本の安全保障がいかにあるべきかということをしっかり踏まえた上で、スリムで効率的なそういう防衛体制にしていかなければいけない。必要なものはふやす、不必要なものは削る、こういうめり張りのついた防衛予算にするべきである、こういうふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  63. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 浜田靖一君。
  64. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一でございます。  冒頭に、就任直後より、外務大臣そして防衛庁長官、大変御苦労いただいていることに心から感謝と敬意を表する次第でございます。  そして、衆議院議員に当選後、私はみずから希望して安全保障委員会に所属をさせていただいて、直近に開催されました臨時国会で初当選議員のトップを切って同委員会で質問に立たせていただいたわけでございまして、このたびも質問の機会をいただきましたことを大変に光栄に存ずる次第でございます。  そして、初質問の際に私は、我が国世界平和に積極的に貢献し、国際政治の場で積極的役割を果たしていくためには、みずからの国はみずからの手で守るという気概と愛国心の涵養が何にも増して必要であると考えておることを冒頭に訴えたものであります。そして私も、当委員会を構成する一人として発言に恥じぬように今後も積極的に汗をかいてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをする次第であります。  ただいま防衛庁長官より、ルワンダ難民救援国際平和協力隊員展開しているザイール東部国境ゴマ宿営地の状況等の説明をいただいたわけでありますけれども、私も派遣要員の安全を心からお祈り申し上げているものであり、そしてまた、我が党は先般、この我が国初の人道援助に対して、隊員諸兄に議員一人一人の感謝と激励の意を込めて支援金を託したものであります。  そしてまた、ここで防衛庁長官にお聞きしたいことでありますけれども、日々現地情勢がマスコミによって報道されておりますし、十六日には宿営地付近で小銃の撃ち合いも発生したという報告を受けておるわけでありますけれども、このような突発的な事故が発生している中で、現地情勢をどのように評価しておられるか。現地の安全面が懸念されておる折でございますので、明確に御答弁願いたいと思います。
  65. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 まずもって現地状況でございますが、ゴマには依然として八十万人の難民の方がおられます。ゴマそのものは二十万人の都市でございます。市長さんも言っておるようでございますが、二十万人の都市では難民を受け入れる態勢としても最大限二十万人ぐらいではないか。それが八十万人も来ておりますので、非常にあつれきと混乱がある。  そういう中におきまして、一応病気等の最悪事態は脱したと言われておりますけれども、ただ、夜になりますと、物を盗む者が出てくる、あるいは武装強盗化する者がある、こういうような事案がございまして、そして銃撃事件等がある。十六日の夜の事件でございますが、これは、ルワンダ難民ルワンダの国境付近のバナナを盗もうとしたことによりまして、ルワンダ側から銃撃が行われた。このゴマ空港は国境に一番近いところは千フィート、こう言っていますから三百三十メーターぐらいのところだったのですが、そういうようなことで非常に警戒をした、こういうことになるわけでございます。  しかしながら、そういう事件は起きてはおりますけれども、自衛隊が襲われるとかNGOの方々が襲われる、やはりこれは難民救済でございますから、救済している方々が襲われるあるいは攻撃される、こういう事案はないと私は考えております。したがいまして、治安の問題、個々の問題ありますが、業務を遂行していく上におきまして支障はない、このように見ておるところであります。
  66. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 そうすると、ザイールの方に自衛隊がおるわけでございますけれども、そのザイールに対して、治安面の協力についてはどのような形で要員の安全確保対策を要請しておるのか、長官並びに外務大臣にお聞きしたいと思います。
  67. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 我が国政府といたしましては、要員の安全確保の観点から、派遣先国たるザイール共和国政府に対する安全確保の要請、現地における治安情勢の十分な把握、護身用の武器などの装備品の携行などの措置をとっているところでございます。  特に、お尋ねのザイール共和国政府に対しましては、現地治安確保と国際平和協力隊の安全な活動確保するためぜひ協力をお願いしたいと御要請を申し上げているわけで、この要請は、玉沢防衛庁長官自身現地でなさったところでございます。外務省といたしましても、本日十四日、柳沢外務政務次官を現地派遣をいたしまして、モブツ大統領など関係者にこの旨お願いをしているところでございます。  私自身のことを申し上げれば、過日の国連総会の折にザイールのブルル外務大臣とお目にかかりまして、ゴマ治安維持につき一層の努力をお願いをした次第でございます。当日ブルル大臣からは、安全確保を含め、我が国の要員の活動には全一面的に協力するという旨のお答えがございました。
  68. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 安全確保が一番大事なことでございますので、私も先遣隊の皆さんと参りました際に、モブツ大統領とお会いをする機会を得まして、我が方の四つの目的をるる説明をいたしまして、今後の協力方についてお願いをいたしたところでございます。  自衛隊ゴマ空港のそばに宿営地を持っておるわけでございますが、ゴマ空港そのものは、ザイール軍の空挺隊が約三百人おりまして、警備に万全を期しておるようでございます。  そのほか、安全につきましては、各機関、あるいは各国の外交機関とか、そういうところの情報を十分把握をするということに努めると同時に、やはり夜間等におきましては単独行動を慎むとか、そうした十分の配慮を行ってやっていくことが大事ではないか、このように思います。
  69. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  今回のルワンダ難民の救援のための要員派遣、これは期間の問題でありますけれども、九月十六日から十二月の三十一日までと実施計画で定めておるわけであります。国連難民高等弁務官事務所やNGOの関係者の中には延長を望む声もあるわけでございますけれども、現地を訪問された柳沢政務次官の発言も踏まえて、延長があるのかないのか、政府としての答弁をいただきたいなと思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  70. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 政府といたしましては、今浜田議員御指摘のように、十二月末日までという決定をいたしております。現地でのさまざまな御要請もあることは承知をいたしておりますが、現時点では、定めた任期を全うしてほしいという気持ちを今持っております。
  71. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  またちょっと質問が変わりますけれども、治安面での心配とともに、ゴマ近郊にはニイラゴンゴ火山というのがありまして、その活動状況もやはり注意深く見守っていかなければならないと思うのですが、東北大学の地震噴火予知観測センターの浜口博之教授の調査結果も出ておりますけれども、現在の同火山活動現状派遣部隊の監視体制、それからその備えについて、どのような備えをされておるのか、ちょっとお聞きしたいなと思います。
  72. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この派遣部隊が宿営しておる近くにニイラゴンゴという火山がございます。十月の十三日から十六日にかけまして、東北大学の浜口教授から調査結果がありまして、地下のマグマ活動は依然活発であるが、溶岩の流出口となる割れ目は生起していない模様である、したがってしばらくは現在と同じような活動状況が続くと判断される、こういう説明を受けております。  しかしながら、火山に対しましては常に監視をしていくということが大事だと思いますので、毎日四回、隊員二名により双眼鏡を用いてこのニイラゴンゴ山の状況を観測している、それから同時に、毎日ケニアナイロビから輸送機が飛んでおりますので、その上空等から模様をよく見て観測に万全を期している、何か異変があった場合は直ちに対応する、こういうような形をとっておるわけでございます。
  73. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  火山もそうでありますし、治安の面でも大変不安な部分もあるわけであります。特に、派遣されている隊員の留守家族の皆さん方はこれまたいろいろな情報が入ってきて大変不安に思っておると思うのですけれども、この留守家族の皆さん方に対して、この不安を払拭するためにどのような対策を講じられておるのかどうかということであります。  一昨日、我が党の内閣、国防部会の合同会議の中で、関係者の不安解消のための一策として、刻々と変化する現地情勢に対してリアルタイムで対応するテレホン・アンサー・システム等の構築を大野国防部会長を通じて要請しておりますけれども、防衛庁としてはこれに対してどのように対応されるおつもりなのか、防衛庁からお話を伺いたいなと思います。
  74. 萩政府委員(萩次郎)

    ○萩政府委員 お答え申し上げます。  隊員の留守家族に対しまして親密かつ積極的な支援を実施するということは、大変重要なことと考えております。  ただいま御質問がありましたようないろいろな現地情報、こういったことを留守家族の方々にお伝えするということも重要な仕事と考えておりまして、防衛庁本庁の各幕僚監部に留守業務センターというものを開設しております。それから、各部隊にもそれぞれのセンター、それから担当の人員を配しております。現地の近況、状況ということで、月に一回は、その留守業務担当の者が直接留守家族を訪問いたしましていろいろな現地情勢をお伝えする、それから週に一回は電話連絡をするという体制をとるようにしております。  先生お尋ねがありました大野国防部会長からの御提案、テレホン・アンサー・システム、こういうことも大変有効な方法であろうということで前向きに検討させていただいておりますが、現在でもそれぞれ留守家族の方々に「しおり」というものを配付しておりまして、どこにどう電話をすれば情報がすぐ入るかということを周知しております。それに対して自動的にテレホン・アンサー・システムで答えるのがいいのか、あるいは担当の者が直接肉声で質問にお答えするのがいいのか、いろいろありますけれども、大変有効な御提案でありますので、前向きに取り組まさせていただいているところでございます。
  75. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  これからもこういうことは国際貢献の場で日本がやっていかなければいけないことであろうと思いますので、ぜひともそういう自衛隊の御家族の方々の不安を取り除けるようなシステムの構築をここでお願いをしておきたいと思います。  さて、私に与えられた時間は三十分しかございませんので、ここでひとまずルワンダ難民救援関係の質問は終わらせていただいて、自衛隊法上の国際協力の位置づけについて質問をさせていただきたいと思います。  我が国は、戦後、日米関係を基軸として、西側陣営の一員として、我が国周辺において自由や平和を脅かす勢力と対峙をしてまいりました。我が国我が国周辺における防衛力を着実に整備していることそれ自体が西側における大きな貢献になってきたと考えておりますが、しかし、近年、冷戦構造の崩壊は、そのような勢力の存在を消失させるとともに、我が国のこれまでの西側陣営の一員としての貢献のあり方そのものを変えさせるものとなったと思うわけであります。これまでのような国内における努力だけでは、西側あるいは世界我が国を評価しあるいは認めてくれないものとなりつつあろうかと思います。タイムリーにアピールできる国際貢献のあり方が今問われておると思いますし、その結果が国際平和協力法につながっておるものと考えております。  そこで、PKO活動も、アンゴラ、カンボジア、モザンビーク、エルサルバドル、ルワンダへと経験を積んで実績を上げておりますし、内外より高い評価を得ていることは、これは周知の事実であります。国際平和協力法も、来年の夏には同法で規定された施行三年後の見直し時期を迎えるわけでありますけれども、PKF参加の凍結解除など業務範囲について、これを、防衛庁長官、また外務大臣、どのような所見をお持ちなのか、それをお聞かせ願えればと思うわけであります。
  76. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 いわゆる平和維持隊、PKF本体業務につきましては、国際平和協力法におきまして「自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務」の一部として規定されておりまして、同法に従って自衛隊がこれに参加することは憲法上問題ない、しかし別途、「法律で定める日までの間は、これを実施しない。」こととされております。  今後行われる法律の三年後見直しの中では、これまでの派遣の貴重な経験も踏まえ、PKF本体業務の凍結解除も含めて、今後さまざまな議論、また検討を行ってまいりたい、このように思っております。
  77. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 防衛庁長官御答弁のとおりと心得ておりますが、来年が見直しの時期でございます。カンボジア、モザンビーク、今回のザイールと、それぞれ違ったケースでの派遣でございまして、それぞれの経験が貴重なものと思っております。こうした経験をもととして判断をすべきと思っておりまして、まだまだ、モザンビークも今最終段階でございます。ザイールについてはこれから、先ほど申し上げたように、まず最初に、政府としての指示をいたしました給水でございますとか医療でございますとか運輸活動でございますとかそういった任務について、これはまたこれまでのカンボジア、モザンビークと違ったタイプの、いわゆる人道援助という違ったタイプの活動をしているわけで、こうした活動の実績、経験、そういったものに基づいた判断を来年するということになろうかと思いまして、今この時点でどうするということをまだ決めておらないところでございます。
  78. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 さらに、カンボジアPKOの際に指摘されました、撤収等をめぐる政府の指揮権と国連の指図、コマンドの関係についても考え方をお聞かせ願いたいと思いますけれども、それにつけ加えて、武器使用については現在隊員個人の判断にゆだねられておりますけれども、現状に即していかなるものなのか、防衛庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  79. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この武器使用に関しましては、やはりあくまでも急迫不正の事態、正当防衛あるいはそれに類する緊急避難、こういう場合にみずからの身を守る、こういうことで隊員個々の判断によって使用できる、こういうふうに考えております。  それでよろしいですか。
  80. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  そしてもう一つ、PKO業務を私は自衛隊の主任務とすべきと考えておるわけでありますが、今は附則ということになっておるわけでありますけれども、防衛庁、外務省のお考えをお聞きしたいわけです。ただ、この指摘は、今後の我が国防衛力のあり方について検討を行った総理大臣の私的諮問機関であります防衛問題懇談会においても、同様の報告をなされておるわけであります。これらを踏まえてお考えをお聞かせ願えればと思います。
  81. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 PKO活動自衛隊の主たる任務に位置づけるという御指摘でございますが、これにはさまざまな議論が実はございます。憲法九条にかかわる議論もございますし、自衛隊法の中での議論もあろうかと思います。慎重に検討しなければならないというふうに私は心得ております。
  82. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この国連平和維持活動への参加を自衛隊の本来任務とすることにつきましては、防衛問題懇談会の報告におきましても提言をされております。したがいまして、今後、防衛力のあり方の検討の中で、国際平和協力業務の実績等を踏まえつつ、懇談会の御意見も一つの参考として引き続き検討してまいりたいと思っております。
  83. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 大変デリケートな問題でありますので、できるだけ前向きに御検討願いたいなと思うわけであります。  そして、このたびのPKOの人道的国際救援活動への協力について、派遣五原則の適用について、これをある程度緩和、そしてまたは見直しか急務のように私は思えるわけでありますけれども、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
  84. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今回のザイールへの派遣は、国際平和協力法の中でも、先ほど申し上げたように人道支援ということでございます。しかしいずれにしても、PKO五原則をどう考えるか、少し緩和してはどうか、こういうお尋ねだろうと思いますが、国連の中で、もっと具体的に言えば事務総長などはもう少し積極的にという、いわゆる執行部隊のように、ソマリアでございますとかそういったところへ出ていくときには五原則を超えて行くといったことがございましたが、しかし私どもはあの作業は、これは私どもというより私の見解でございますが、成功しなかったというふうに思います。  我々がとっておりますPKO五原則というものは、PKO活動のいわばスタートの時点からこういう考え方というものが、これは何も日本だけがとっているわけではなくて、国際的にそういう考え方をとっているわけで、このいわばスタンダードなといいますかあるいは古典的な、古典的というのは少し表現が悪いかもしれませんが、こういう考え方国連内部の議論はまた戻りつつあるというふうにも私どもは見ているわけでございまして、現時点では、この五原則を緩和をするとかあるいは削るとか、そういうことについて私は、今早急にそういうことをする意味があるとは思いません。私はそう思っておりません。
  85. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この五原則は、私はこれをしっかり守るということが、紛争当事国、あるいは人道支援で行きましても当事国の合意を得るという点について極めて信頼される、そしてまた、誤解のされない活動を行っていくという上において極めて貴重な五原則だと思います。したがいまして、これらは私はむしろしっかりと守って派遣をしていくということが、むしろ隊員活動する上におきましても安全を確保できる、相手側にも必要以上の誤解を与えない、こういう点で私は緩和する必要はない、このように考えております。
  86. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  そして、このたびの我が国派遣までのプロセスを見ておりますと、即応性が求められているなというのを本当に痛切に感じたわけでありますけれども、当該国、地域等への調査団の派遣や、それに基づく政府の判断は可及的速やかに行うべきと考えずにはいられないわけでありますけれども、この点については、総理府、国際平和協力本部としてはどのようにお考えなのか、御意見を伺わせていただきたいと思います。
  87. 貞岡説明員(貞岡義幸)

    貞岡説明員 御説明申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、現地難民の悲惨な状況にかんがみれば、最大限早く派遣をするということが重要ではございました。しかしながら、我々としましては、現地状況に関します情報が不十分であったものでございますので、調査団を派遣し、慎重には慎重を期してやったということでございますので、その点につきましては十分な御理解を賜りたいと思います。
  88. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  ゴマ難民キャンプにおいては伝染性の疫病等が大変流行して、その実態は惨状をきわめたものでありまして現在に至っておるわけでありますけれども、我が国においても、熱帯医学分野の研究の強化というものをまたここで考えなければいけないのではないか、そしてまた、その体制の整備が防衛医大等において必要なのじゃないかなと私は思うわけでありますけれども、各国研究機関との交流等による要員養成も含めてこれをどのようにお考えになっているのか、長官からお話しいただけますか。
  89. 熊谷政府委員(熊谷冨士雄)

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  自衛隊における熱帯医学の研究の強化やその体制の整備は、PKO活動等を円滑に行うに当たって必要不可欠なものと認識しております。また、自衛隊医官等の熱帯医学の教育研修において、経験豊富な各国研究機関との交流は重視しなければならないと考えております。  このため、自衛隊の施設、これは陸上自衛隊衛生学校あるいは自衛隊中央病院、防衛医科大学校、こういった施設におきまして情報の集積並びに研究を行っており、さらに平成五年度から、海外、国内の熱帯医学を専門にしている施設、これは米軍のウォルターリード陸軍病院熱帯医学研修課程とか、ハワイにございますトリプラー陸軍病院感染症内科、こういった専門施設、また国内におきましては長崎大学の熱帯医学研究所、こういった専門施設に定期的に医官等を派遣いたしまして研修をさせているところでございます。
  90. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 これは本当に、特にそういう内紛が起きておるところというのはこういう問題が多々あるわけでありますので、できるだけ早急に体制を整えていただいて、これを実行していただきたいなと思うわけであります。  私の質問時間も大分なくなってまいりました。最後の質問になろうかと思いますけれども、平成七年度予算編成を間近に控えている中で、在日米駐留軍経費、いわゆるHNSの経費負担問題の解決が待たれておるわけであります。防衛庁長官も、さきの訪米時に約束の履行を明言しておられるわけでありますが、シーリングにおける低い伸び率の中の負担増に対して防衛庁としての対応を再度確認したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  91. 宝珠山政府委員(宝珠山昇)

    ○宝珠山政府委員 防衛関係費の七年度概算要求は、御指摘のように、伸び率〇・九%ということでございました。このために、自衛隊関係経費全般にわたりまして削減、圧縮などを図りました。この結果、特別協定の負担分についても、その例外とできなかったわけでございます。  先ほど御指摘ございましたように、防衛庁長官の訪米におきましても論議されておりますが、私どもとしては、現在概算要求中の段階でございます。関係省庁と、特別協定につきまして我が国が経費負担を行いますに際して政府が公にいたしました方針でありますとか、厳しい財政事情、それから国土防衛上必要最小限の実力組織としての自衛隊の水準を維持する必要があること、日米安全保障体制を円滑に運用する必要性があるというようなこと、これらのことを踏まえて、本件を円満に解決すべく年末の予算編成までに適切な結論を得たいということで現在努力中のところでございます。
  92. 浜田(靖)委員(浜田靖一)

    浜田(靖)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、大変厳しい予算の状況でありますけれども、効率のいい防衛体制、そして安全保障は、確かに予算が重要ではありますけれども、それをカバーする意味でも、防衛庁一丸となって、自衛隊の皆さん方の生活のことも考えながら、しっかりとした予算編成を心から希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  93. 近藤委員長(近藤豊)

  94. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 私は自由民主党の栗原博久でございます。先輩各位の御配慮によりまして、このたび実は十四回目の質問をさせていただきまして、さきにも内閣委員会でも大分愛知防衛庁長官にも質問させていただいたわけでありますが、私は、戦後の冷戦の崩壊、要するに我が国がかつてない大きな犠牲を強いらさせられてからもう五十年の月日がたとうとしております。それによって国民に多大な犠牲を強いらさせたさきの大戦を深く国民も国家も反省しながら戦後の再復興に当たったと思うのでありますが、外においては国際連合の憲章を守りながら、内においてはやはりすばらしい日本国憲法を守りながら今日までに至っておると思うのであります。  一九五二年四月のサンフランシスコ条約を受諾してから国際社会に復帰いたしまして、しかしながら、その後東西の冷戦が続いて今日に至っておりますが、私は、我が国のこの繁栄というものは日米安保条約というものがやはり大きな礎であった、そしてまた、NATO条約等も大きく評価せねばならぬと思うのでありますが、その中におきまして、この冷戦崩壊におきます我が国の今後の防衛に対する基本的な考え方を、ひとつ大臣からお伺いしたいと思うのであります。
  95. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 我が国はこれまで、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、日米安保体制を堅持することにより、我が国に対する侵略を未然防止することを防衛の基本としてきたところであります。冷戦終結後におきましても、アジア・太平洋地域におきましては、いまだに不安定、不確実な状況が続いております。こういう状況の中におきまして、国際社会をより平和で安定的なものとしていくためには、国際社会におきましては、国連平和維持活動への積極的な取り組みや軍備管理・軍縮、諸外国との信頼関係の構築といった努力がなされているところであります。  こうした中で、我が国としましても、周辺諸国との信頼関係の構築を進めつつ、今後の防衛力のあり方について検討を行っておりますが、この検討につきましては、冷戦後の国際情勢の変化等を踏まえて今後とも慎重に取り進めてまいりたいと考えております。
  96. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 今大臣の御説明の中にありましても、やはり地域的な紛争は各国にくまなく起きているわけであります。  その中で、我が国はPKO等の派遣もしていると思うのでありますが、では日本の国を取り巻く情勢はどうかと申しますと、やはりロシア、旧ソ連があのような中で崩壊をしましたけれども、そのロシアが果たして膨大な軍事施設をどのように守っていけるかということ。あるいはまた北朝鮮については、労働何号ですか、ああいうふうな大変なものが日本の方に向けられているやに伺うときもありますが、また金日成が亡くなって大変不安定、安定がわかりませんが、私ども国民にとっては極めて関心の高い状況であります。あるいはまた、中国もどんどん軍拡はしていないと思うのでありますが、南沙諸島をめぐる問題についても、私ども日本の国にとっては一つの脅威として見なければならないと思います。また、大量の破壊兵器とかミサイルの拡散の危険性も、このロシア、旧ソ連の崩壊によってひしひしと感じてくるわけであります。  こういう中で、大臣は、我が国のこういう状況において、ロシア問題とか北朝鮮等についてどのようなお考えを持っているかをお聞きしたいと思います。
  97. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 御指摘のとおりに、我が国の周辺地域におきましては、地理的、歴史的に非常に多様性に富み、また各国安全保障政策等もそれぞれに異なるものでありますから、極めて複雑な軍事情勢となっております。冷戦終結後におきましても、この地域におきましては、例えば朝鮮半島、南沙群島あるいは我が国の北方領土などの諸問題が未解決のままに存在していることは、そのとおりであります。  極東ロシア単につきましては、流動的な国際情勢を反映した軍建設の先行きの不透明さも相まって、この地域の安全に対する不安定要因と認識いたしております。  北朝鮮の核兵器開発疑惑やノドン一号に見られる弾道ミサイルの長射程化のための研究開発の動きは、我が国周辺のみならず、国際社会全体に不安定をもたらす要因となっております。しかし、最近、北朝鮮の核開発問題に関しましては米朝協議において暫定合意に達した模様でありますけれども、今後の北朝鮮の具体的な対応を注意深く見守っていく必要があると考えております。
  98. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 我が国は、防衛大綱を昭和五十一年十月二十九日、三木内閣のもとで策定しまして、今日になっております。中期防も、平成三年から七年までということでその進捗を見ておるわけでありますが、当初に比べまして、中期防の予算額が五千八百億ほど落ちているようでございます。そういう中で、私は、世界は平和に向かっている、大変これはすばらしいことであると思うのでありますが、しかしながら、日本の現在の国防の力を見ますると、果たしてこのままでいいのだろうかという一抹の不安を私は感じるわけでございます。  ちなみに我が国は、日米安保条約に基づきますアメリカとの関係を堅持しながら、我が国に四万五千から四万八千人の駐留米軍、アメリカ軍がおるわけでありますが、専守防衛ということで、向こう側が攻撃してこなければ手を出せない、それはやはりアメリカ軍というものの後ろ盾があるからでありますが、しかし、こうやって我が国国連安全保障理事会の常任理事国入りとかいろいろな問題を迎えている今日、もう一度やはり自衛隊のあり方というものも見直さなければならない事態に来ているのではなかろうかと私は実は思うのでございます。  ちなみに、これは比較してはならぬことかもしれませんが、防衛費の四兆七千億円、これが国民の間にも高いと言われている。確かに、今平和を迎えている段階において防衛費を上げることはいかがなものかと思いますが、しかし、実態的に日本は千人に二人の自衛隊員である。英国は五人、ドイツ六人、イタリー六人、フランス七人、あるいはアメリカ七人とか、ロシアには十八人、北朝鮮には実は四十八人というようなことでございます。 これが私は正しいとは思いません。しかしながら、その中におきまして、では我が国の予算はどのようなことかといいますと、前にも中谷委員さんも御質問しておりますが、年々国家予算におきます防衛費の伸びは低下しておるわけであります。昨年度は〇・九%に伺っておりますが、こういう中で果たして私どもの日本の国を守れるという、自衛隊員の資質の向上、そしてまた装備の問題、こういうものが果たして円滑に進んでいるのだろうかということを、私は大変色倶の念を持っております。国家防衛予算の中の八〇%が人件費である、そして正面装備は何と全体の中で二・八%しかとれないというような指摘もあるわけであります。  そういう中で、今回、この八月十二日に防衛問題懇談会の報告書が出されております。それをかいつまんで拝見をさせていただきますと、この懇談会の資料の中で、現在の自衛隊員を三万人ほど削減するというような提案があるようでありまして、全体的に見まして、確かにPKO協力法とか新しい国際常識を踏まえての問題も出ておりますが、自衛隊のこの今の現状で果たして危機管理というものがなされているのだろうかということを、率直に私はやはり危惧の念を持っているわけであります。そこに、この今回の報告書の中では、我が国の百五十九あります駐屯地、分屯地等の整理統廃合、あるいはまた師団の旅団への変更とか、あるいは方面隊を数を減らすとかというような問題が出ておるようでございます。  そういうものについて、まず私は、防衛問題の報告書を受けて、また今後の、来年度の防衛大綱見直しを踏まえながら、防衛庁はどのようなお考えを持っているかということをお聞きしたいと思うのでございます。
  99. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 防衛問題懇談会の報告は、まず、現在の大綱にかわる新たな考え方の骨格について大変示唆に富んだ御意見であると考えております。防衛庁としましては、これも一つの参考にしながら、今後の防衛力のあり方について引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。  それで、まず何と申しましても、今後のあり方の中におきましては、やはり東西冷戦後の国際情勢の変化、そしてそれに対しましていかに即時即応の態勢というものをつくっていくか。予算がたくさんあればそれにこしたことはないわけでございますけれども、ある程度の財政上の背景もある、厳しい情勢もある、あるいはまた、人的な資源が減少していくという点もございます。しかしながら、科学技術の進展等もあるわけでございますから、できるだけ、限られた中ではありますけれども、極めて効率的、また即応的な態勢というものを目指して今後防衛力のあり方について慎重に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  100. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 私は、今回のこの駐屯地等の統廃合の問題につきまして、あるいはまた防衛大綱の見直し等を見ますと、自衛隊員になりたい人が少ない、あるいはまた、少子社会でございますから、十八歳から二十七歳の二士に充当する人が少ないということで、そういうことがあって二十七万四千人の現行定員が守り切れない、だから現実的には今二十四万幾らかで、それにあわせて総定員を決めるのだということであると、なかなかこれはおかしいのではないかと実は私思うのでございます。  そういうものを絡めながら、この十六日に村山総理が、横須賀の観艦式ですばらしい、新しい自衛隊のあり方についてもお話をされました。その中でまた、PKOの派遣隊員に対しての思いやりあるいはまた留守家族に対するいたわりの言葉も聞きまして、実は私の文もかつて横須賀海兵団に若いころおりまして、その観艦式に参加させていただいたのです。帰ってきて、涙を流しながら、日本の国は変わったというふうに父も感銘しておりました。そういうことはすばらしいことであります。社会党が自衛隊を合憲と認めてくれたということは本当にありがたい。しかしながら、合憲イコール軍縮であるというふうな、そういう片よがりの解釈は私はやはりしてはならないと思うのでございます。  あるいは、去年の十月三十一日、実は自衛隊の観閲式で細川元総理は、従来防衛庁長官とか政務次官、事務次官はモーニング姿とか、あるいは制服の皆さんは第一種の礼装に身を固めているわけでありますが、自衛隊最高の指揮官が平服を着ていたということで、これに対していろいろ御評価もございました。しかし、その中で、軍縮について世界に率先してイニシアチブをとれよというようなことを実は訓示しておりまして、その中で防衛大綱の見直しも実は元総理はお話しされているわけであります。  そういうものを受けながらこの駐屯地等の統廃合が進められるとしたら、私は納得しがたいというふうな感じを持っているのであります。あくまでもこのような自衛隊そして国防というものは、厳粛、荘厳な中でとり行われなければならない。ただ一つの格好よさというと大変恐縮でございますが、そういうことを言ってはならないけれども、私は、そういう中で我が国の将来の国防を簡単に変更していただきたくないという考えがございます。 その中で、この駐屯地についてまた少しお聞きしたいのでありますが、現在十二師団と二混成同ですかがあるということでございますが、十二個師団の中で、甲師団と乙師団がある。かつて甲師川が七個、乙師団が五個、今現在それが四個と八個になっているようでございますが、この中で、今後この陸自の、自衛隊の配置をどのようにお考えになっているかということをひとつお聞きしたいと思います。
  101. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 防衛力のあり方の検討でございますけれども、八月に懇談会における御報告をいただきまして、それに基づきましてそのあり方の検討の促進を現在図っておるところでございます。そして、先生が先ほどおっしゃられましたように、全体として見ますと若年人口層がこれから将来にわたって約六割から七割に減ってくるというような現状を踏まえまして、その中でいかに効率的な自衛隊、実力のある自衛隊をつくるかということに着意をしながら、現在検討をしておる状況でございます。  ただ、それが、先生今御指摘のように、現在ある師団を旅団にするということとか、そういうような検討については、現時点ではまだ内部でいろいろと検討しておる段階でございまして、ここでまた発表できる状況にはございません。  しかし、いずれにしましても、若年層が減ってくるという状況を踏まえて、いかに今後効率的な防衛力、自衛隊というものを維持していくかということについて、現在鋭意検討しているところであります。
  102. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 お話はわかりますが、若年者が減ってくるから云々ということは、私はやはり承服できないと思うのです。  三、四年前から新聞にどんどん駐屯地の統廃合の問題が出ておりますが、その中で最近の、五月十四日の新聞にも載っておりますが、ソ連の崩壊による中での北方重視の体制から首都圏の防衛、そしてまた韓国あるいは北朝鮮、中国等を見ながら西日本に総済的な面、政治の重点を置くということであるようでございます。  その中で、地元のことで大変恐縮でございますが、実は私の選挙区に新発川駐屯地という歴史のある駐屯地がございます。これは慶長三年、新発田城として溝口藩が居城といたしまして、自来ずっと、約四百年近い歴史を持っておるわけでありまして、明治七年には東京鎮台第九大隊の移住をこの地にされ、そしてまた、かってはガダルカナルにおける玉砕をしながらというように、この旧歩兵十六連隊は伝統のある連隊であります。  と同時に、この連隊によって地域というものが大変深い愛着心をこの駐屯地に持っておりますし、また、やはり新潟県は豪雪の地帯でありますし、そしてまた、かって新潟地震もございました。そういう中におきまして、過去二十年間に延べ七千百九十人の災害の発動、十六回の出動でございます。あるいはまた、二十年以上さかのぼりますと、昭和三十九年には新潟地震で約五千九百人、昭和四十二年の羽越水害では一万五千三百六十人、五十一年の豪雪では一千六百九十人、あるいはまた、あの日本航空の墜落における中で、六十年には群馬まで四千九百四十人が実はその援軍に行っておるわけでありますが、こういう中で、地元の災害等の面においても極めて大きな貢献をこの新発田駐屯地はしているわけであります。  ちなみに、この駐屯地における年間予算は約五十七億三千九百万やに伺っておりまして、定員が千二百人でございますが、現在、連隊そして諸隊を入れると約九百人の方がおられるようでございます。この方々は、家族を含めると約三千人近い方がこの新発田市に居住しておるわけであります。新発田の人口は七万八千人でございます。そして、そこの一般会計予算は二百十億円でございますので、その二百十億円プラス約六十億円近い金が実はこの地で費やされているわけでありまして、いかにこの地域の経済的な効果が大きいかということは否めない事実でございます。  その中で、実は新発田の駐屯地が統廃合の憂き目に遭うというようなうわさが去年ごろから飛びまして、そのころは駐屯地の三分の一を統廃合するというようなことであったらしいのですが、最近は若干、新聞等の資料しかございませんが、四分の一を廃止、統廃合というような話になっておりますが、この新発田の問題を含めて、駐屯地統廃合を現在どのようにお進めになっているか。あるいはまた、この中期防に入りましてから、やはり普通科連隊の廃止があったと思うのでございますが、この中期防に入りましてから終わるまで、連隊の廃止は実際もう決定しているのは何カ所あるか、それをお伺いしたいと思います。
  103. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 まず先に事実関係の方からお答えしますと、中期防に入って普通科連隊を幾つ削減することにしたか、こういうことでございますが、ちょっと今手元に資料がございませんが、まず、大久保駐屯地の関係で中部方面から一つ、それから第二師団の管内で一つ、さらに現在北海道の十一師団の管内でございますけれども一つということで、三つの普通科連隊についての削減を、もちろん検討しておるわけでございます。  そして、この削減は、当然新しく出てまいりますSSMの部隊でありますとかMLRSの多連装ロケットの部隊でありますとかという、ハイテク化された近代化の部隊の所要等に充足するという関係で再編をしておるものでございます。  それから、駐屯地の統廃合については、懇談会でもそういう報告が出ておりますけれども、私どもとして、今後のあり方検討の中で現在検討を行っているところでございます。具体的内容について、まだ部隊全体の話というものはまとまっておりませんので、申し上げる段階にはございません。  いずれにしましても、その際にどういう点に留意しながら行うかといえば、防衛上の必要性はいかがなものか、あるいは先生御指摘のように、地元への与える影響はどんなものであるか、あるいは隊員の勤務地との関係というような処遇面といったような、いろいろな観点から幅広く総合的に検討した上で進めていく必要があるというふうに考えております。
  104. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 いろいろこの統廃合について新聞紙上あるいはまた各雑誌等に出ておりますが、それしか私は実は知識の取得はないわけでありますが、承りますと、やはり首都圏を重点的にやるということで、日本海側そしてまた内陸部の駐屯地を統廃合するというような意向も新聞にちらちら実は見えております。  新潟県はもう海岸線が長いわけでありますし、新発田の駐屯地から高田の駐屯地まで約百五十キロ、新発田から秋田の駐屯地までもやはり百七、八十キロあるわけであります。そして、私ども新潟県は、御承知のとおり、かつて戦後新潟から北朝鮮に多くの同胞を送っております。こういうときの席で深いことは実は申されませんが、万が一の場合はやはり新潟県というものが、幾万の同胞が新潟港を後にしておるわけでありますから、そういう場合、果たして海岸線を守れるかどうか。まあ、専守防衛でありますから、洋上撃破するとか、あるいは陸上自衛隊の機動の展開を円滑にやる、あるいはまた適切な、あるいはまた機敏な正確な情報収集によってそれに当たるということもわかりますけれども、やはり地政学的に見ても、私はやはりこの新発田の駐屯地というものはどうしても残してもらわなければならない。そして、過去の栄光ある、さきの大戦における戦功を見ましてもぜひひとつお残し願いたいと思うのです。  そういう中でお聞きしておきたいんでございますが、現在時点において、新発田の駐屯地を廃止、統廃合するというような検討は実質的になされているかどうか、それだけ一つお聞きしたいと思います。
  105. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 お答えいたします。  先ほど来お答えしておりますように、現在、在り方検討会議という中で、部隊の再編というようなことも含めまして検討していることは事実でございますが、そのうちのどういう部分、具体的な基地についてあるいは駐屯地について対象として検討しているということではなくて、全体としての我が国部隊配備のあり方というような観点から今検討している段階でございます。
  106. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 今のお話ですね、私は、国防の面において防衛庁というのは極めて秘密を厳守する省庁と思っておりますが、ところが、その都度新聞にはどこのところを廃止するとかあるいはどの方面隊を縮小するというように、どんどん出て流れておるわけですよ。私はやはり防衛庁というものは機密保持というものは——そこから名前出ておるわけですから。だから、私はもう一度確認しますが、現在、じゃ新発田の駐屯地を廃止するというのは、具体的というよりもそういうものは全然のってないというふうに解釈してよろしいですか。そのようにひとつ私は新発田へ行って報告申したいと思うんであります。
  107. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 現在全くございません。
  108. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 ありがとうございました。ぜひひとつ新発田を廃止しないように、長官、一言ひとつお言葉をお願いします。
  109. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この基地の統廃合とか防衛のあり方といいますのは、やはり我が国の平和と安全を守るためには最大限いかなることをすべきか、こういう観点から十分防衛力のあり方を検討いたしまして、そして進めていくわけでございますから、委員の御指摘の点も十分含めまして今後検討してまいりたいと考えております。
  110. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 まことにありがとうございました。ちゃんと肝に銘じまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  111. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  112. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五島正規君。
  113. 五島委員(五島正規)

    五島委員 社会党の五島でございます。  まず、現在、ザイールゴマ周辺において自衛隊が多数の難民の方々に対する人道的な救援活動に従事しておられるわけでございますが、現在のその主たる自衛隊活動状況について、御報告をお願いしたいと思います。
  114. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 お答えいたします。  現在ルワンダ難民救援活動派遣されております自衛隊部隊活動状況でございますが、陸上自衛隊ルワンダ難民救援隊が約二百六十名でございますが、今月末に出発予定の約四十名を除きまして、現在のところ二百二十名が現地展開を完了しているところでございます。  同救援隊は、現在、次のような業務を実施しているところでございます。  一つは、これは当然のことながら、UNHCRからの要請に基づくものでございますが、医療でございまして、国立ゴマ病院における難民キャンプから送られてまいりました患者に対する手術を含む措置及び州立の衛生検査場における細菌検査等、これはフランスの軍がやっておったものを引き継いておりますが、細菌検査等を実施しております。また、難民キャンプに開設しているNGOの簡易診療所、野外病院等の支援を、要請があった場合には可能な範囲で実施しているところでございます。  なお、二番目に防疫でございますけれども、難民キャンプにおける消毒剤の散布活動等を実施しております。  それから、三番目の業務としまして給水業務でございまして、これは現在スウェーデンのものを引き継ぐような形で共同で実施しておりますが、二十日ごろからは自衛隊が独自に行うということになろうかと思いますが、ルワンダ難民のための浄水を実施しておるところでございます。  航空自衛隊につきましては、空輸派遣隊派遣しておりまして、今月の初めからでございますけれども、ナイロビゴマ間において、C130H理輸送機によるシャトル便の運航を開始しまして、救援隊のための補給物資の空輸等を行っております。  なお、その余力の範囲内でございますけれども、UNHCRNGO等の要請に基づきまして、人員空輸も行っているところでございます。  以上でございます。
  115. 五島委員(五島正規)

    五島委員 今回の自衛隊派遣に関しまして、国内で、治安の問題、派遣されました隊員の安全問題というのが非常にかしましく指摘されているわけでございます。  ただ、この治安の問題を考えた場合に、既に御案内のように、ゴマ市の周辺だけでも約八十五万人の難民が存在しているという非常に異常な状態の中において、食糧あるいは伝染病の問題等々の緊迫感が当然あるわけでございますから、そういうことから必然的に起こってくる一種の治安の乱れあるいは窃盗事件その他の粗暴な事件というものがあることについては、当然といえば当然ではなかろうか。もう一方の治安の問題あるいは安全の問題ということになってまいりますと、いわゆる旧ルワンダ軍、市民軍による軍事的な要素、それによって日本の救援活動が脅かされるということとが、理屈の上では二つあるわけでございます。  一般には、この二つの問題が分けられずに、ただそれが、安全性が欠けているという形で混同された議論がされているように思われます。こういう異常な、多数の難民の存在というところの中における必然的な治安の悪化ということは、これは避けられない問題であって、それで、その治安の悪さがあるから国際的なこういう支援をやるなということであれば、難民救援活動は基本的にできないということになってくると思います。  したがいまして、問題は、旧ルワンダ軍あるいは旧市民軍による軍事的な、ミリタリーな形でのそういう安全性の不安というものが現実にあるのかどうか、それに類する事件が起こっているのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  116. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 先生も与党調査団の一員として現地を視察した、こういうふうに伺っておるわけでありますが、私も参りまして、まず一番最初に見なければならないと思いましたのは、旧ルワンダ軍のムグンガのキャンプでございました。そこに、二十三万人の難民の中に、旧ルワンダ軍が一万五千から二万存在している、こういうことがありましたものですから、どういう状況になっているのか、武器を持って立てこもっているのか、そうであるならば非常に大きな問題になるな、こう思って行ったわけでございます。ザイールの国防大臣の御案内でございまして、よく説明をお聞きいたしまして現地を見たわけでありますが、旧ルワンダ政府軍は全く武装解除されている。兵士とおぼしき制服を着た人もすべてこれは武器を持っておらない。それから、キャンプ内をパトロールするとか組織的な訓練を行っているとか、こういう兆候は全く見られない。その後の新聞報道の状況におきましても、これはかなり裏づけられて報道されておると思うわけでございます。  そこで治安の問題でございますが、委員も御指摘のとおりに、二十万人のゴマの市民、そこに八十万人を超える難民の方々が押し寄せてきた、それによる大きなあつれきと混乱が現在でもなお続いておる、こういうように判断をいたしておるわけであります。したがいまして、夜になりますと、この前、十六日の夜発生した、例えばルワンダ難民による、ルワンダ国内でバナナを盗もうとしたり、あるいはキャンプ内におきましても、そのような物取りであるとかあるいは武装強盗化した者、小銃を隠し持ったり手りゅう弾を隠し持っておって、おどかしたり、銃撃をしたりする者がある、こういうような治安状況があるわけでございますが、それが非常に広範囲に組織的な形で一つの意図を持って行われているかというと、私はそうではないと思います。個々の面での偶発的な治安の問題が起きておるわけでありまして、そういう点におきましては、NGO活動におきましても、昼間の水を供給したり食糧を供給したりする、そういう点におきましては今まで一度も被害がない、こういうふうに考えておるわけであります。  したがいまして、自衛隊現地難民救済の活動を行うという点につきましては何らの支障がない、こういうように見ておるわけでありますが、しかし、今後現地治安情勢については十分注意深く見きわめていく必要がある、このように判断をいたしております。
  117. 五島委員(五島正規)

    五島委員 大臣御指摘の状況ということがやはり国民に広く知られる必要があるだろうと思います。  ただ、大臣御視察になられましたムグンガのキャンプ等々の、ミリタリーの参っているキャンプの中で、また今は自衛隊が直接活動しているわけでもないということについても、きちっと国民に知られる必要があるだろうと思うわけですが、その問題はさておきまして、今大臣も御指摘のように、これだけの難民がふえてまいりますと、必然的に何らかの形で治安の悪化というものは避けられないというふうに思うわけでございます。  そうした治安の悪化の中において、UNHCRあるいは日本の自衛隊やあるいは場合によってはNGO救援活動をする場合に、これは言うまでもないわけですが、食糧を供給するあるいは医療を供給する、そういうふうなものが絶対的に不足をしているときには、一定のその中における治安確保しながらそれらの措置が行われないと、かえって危険なことが起こり得る。例えば、食糧の絶対不足しているところにおいて食糧供給をするとした場合、当然多数の難民の方々が押し寄せてくる、その中における事故というものが発生しやすいということは、これは当然あるわけでございます。  そうしますと、この難民キャンプに対する支援活動の中においてもそれなりに、直接的に全体の治安を日本が引き受けるということにはならないと思いますが、そういう限られた救援活動の場においての治安確保というものもこれまた必要になってくるかと思うわけですが、これはザイールの国内でございますから、ザイールの主権問題がございます。そのあたりについてザイール政府と日本国政府との間にどのような話ができ上がっているのか、お話を承りたいと思います。
  118. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 今回のザイール自衛隊難民救援支援でございますけれども、何と申しましてもやはり当事国の同意と了承、そしてまた理解協力がなければこの業務達成はなかなか難しい、こういうように私も判断しておりましたので、先遣隊の皆さんと参りました際に、国防大臣の出迎えをいただきましたが、そこで、モブツ大統領からもぜひお会いをしたい、こういうお申し出がございましたので、飛行機で一時間四十分ぐらいのところでございましたが、私は大統領にごあいさつに参りました。  その際に、やはり向こうの方からもるる聞かれましたことは、自分の国、主権国であるザイール共和国に実力部隊が次から次へと来るわけでございますが、難民救援支援のためであっても、やはり心配な面があるわけでございます。そういう点について、よく目的をお示しをして御理解をいただく。こういう面で、我が自衛隊難民救援支援の目的は、まず第一に医療である、それから防疫、そして給水空輸である、それ以外はございません、こう申し上げまして、そして御理解をいただき、また今後三カ月にわたりまして、フランス軍の後に、空港のそばの宿営地をお借りしまして、そこに滞在をさせていただきまして、活動をさせていただく、こういうことで御了解をいただき、なおかつまた御支援もいただく、こういう約束を取りつけたわけでございます。  空港におきましては、ルワンダ軍の空挺隊三百人の方々が警備を担当いたしておるようでございますので、そうした観点から、安全等につきましても万全を期しながら、相互に連絡をし合いながらやっている、こういう状況でございます。
  119. 五島委員(五島正規)

    五島委員 それでは、現在具体的に自衛隊がやっておられる活動の中で、医療活動給水活動についてお伺いしたいと思うのです。  医療活動につきましては、たまたまゴマ市に国立病院があって、その中に自衛隊が参加して医療活動をやっておられるということでございます。この中では、例えば手術の必要な患者さんに対する手術等々をやられているということがマスコミで報じられておりますが、現在もなおあの地域においては、赤痢、髄膜炎、肺炎といった伝染病の患者が多数存在するわけでございます。そして、NGO医療キャンプは昼間しかやれないということで、重症患者さんについては二十四時間診ていくことができないという問題を持っているというふうに承知しております。この国立病院において、そうした急性の伝染病患者の重症患者というものもやはり扱っておられるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  120. 熊谷政府委員(熊谷冨士雄)

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  自衛隊が担当する医療内容につきましては、これまでの調査団、先遣隊等の先発の医療担当班との間で十分調整がなされておりまして、その結果として、キャンプ内で発生したそのような患者がもしあった場合、これがゴマ国立病院の方に送ってこられた場合はこれを引き受ける、こういうことになろうかと思います。  なお、十月十日から国立ゴマ病院医療支援を開始しておるわけでございますけれども、十月十七日現在までの報告が参っておりますけれども、この中では、外来で百三十一名、そして入院で二名、こういうふうな状況になってございます。
  121. 五島委員(五島正規)

    五島委員 あそこの実態からいいますと非常に少ない数で、それではどうかなというふうに思うわけです。  その理由を考えますと、実は我々が現地に赴きましたとき、各NGO医療キャンプを見せていただいたわけでございますが、一日に三百名ぐらいの伝染病患者がいまだに亡くなっている、非常に悲惨な状態があったわけでございます。NGOの診療キャンプにつきましては、当時まだ赤十字連盟のキャンプを含めまして昼間しか治安上の問題で機能できない。そうなりますと、髄膜炎でけいれんを起こしているような患者でも、その患者さんをどこか二十四時間医療できる病院に紹介しないことには、もしできないとすれば、お気の毒だけれどもそのまま地面に寝ていただいて、次の日また診療に来たときにたまたま生き長らえておられれば次の医療が与えられるという状況があって、そういう非常に悲惨な状態が続いていたと思うのですね。  したがって、それの緩和として、当時はフランス軍の病院ベッドが機能していた。もちろん手術等々もあったでしょうが、多くの場合は重症の——現在あそこで一番問題になっているのは何かといいますと、そうした伝染病でございます。しかも伝染病で、テントの中で療養しながら治療を受けるだけではだめだという重症の、そういう患者さんが存在して、その患者さんを病院テントが引き受けることによって外来診療、すなわちNGOのキャンプとのトータルな役割というものがそれなりに不十分ながらも果たせていた。ところが、フランス軍が撤収したということで、日本の自衛隊に対する期待が非常に高まったということはあったと思います。  ただ、残念ながら、彼ほどお伺いいたしますが、自衛隊の場合は病院テントを運営していくということができないということで、たまたまございました国立ゴマ病院に入っての医療活動ということになっているわけです。  これはやはり現在病院テントがない以上、日本で言う高度医療といいますとすぐに脳外科の手術とかがんの手術とか心筋梗塞に対する治療というものが高度医療だという頭があって、自衛隊の皆さん方も日本が行く以上は高度の医療をやらないと格好悪いと思っておられるかもしれないけれども、高度医療というのはそういうことじゃなくて、その地域、その集団の中において最も必要な医療を行うことがその地域における高度医療である、その観点からいうならば、せっかく自衛隊がこれだけ行かれているんであり、また、せっかく国立ゴマ病院の利用というものができるという状況になった以上、やはり各地のNGOキャンプと提携して、そうした伝染病によってむざむざ死ななくても今日の我々の持っている医学において十分助けることのできる患者さんの命を助けるという、そういう医療活動をぜひ展開していただきたい。  それで、日本の考えている高度医療にこだわるということについては、これは現地においては私は余り意味のないことではないかというふうに思うわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  122. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 先生は調査団で行かれまして、最初に御報告を私ども受けたときに、当時、自衛隊としてもできるだけ二次医療ということをやってはいかがかという御提言がございました。  その当時私どもとしては、二次医療という意味に二通りありまして、二十四時間医療、いわゆる先生が言われるように、ほうっておけないで入院させて看病するというような医療と、それから高度医療と、それについて、どちらかというと当時私どもとしては、二十四時間連続して医療をするというようなことは自衛隊の現体制ではできないというように当時はお答えしたと思いますが、今、現時点では、ゴマ病院というものを使うことによりまして、私どもとしては現地との調整の結果、内科、外科部門を担当しまして、九時から十六時まで診療を行うほかに、NGOの要請等により、緊急を要する場合には二十一時までの診療を実施するということで、入院患者を診るということで、一万の二十四時間に近い、いわゆる病院による診療体制というものを実施するようになった。  これは、先生最初から御助言いただいていたとおりに、非常に現地からの、NGOあるいは現地の住民、難民の方々からも評価を高めているということで、私どももさらに引き続きこれを実施していきたいと考えておるところでございます。
  123. 五島委員(五島正規)

    五島委員 同じような問題が給水活動でも心配があるわけでございまして、この二十日からは独自で給水活動をされるということでございます。  現在スウェーデンのやっております給水につきましては、アメリカから引き継いで、短期にスウェーデンがやっているものだと思いますが、日本の自衛隊の持っております給水機というのは、極めて高品質の水をつくるということについては、これは膜交換方式ですから大変すぐれているけれども、八十五万の人々に対してともかく安全な水を提供するという意味においては、これはそういうふうな考えでつくられているものではないと思うわけですね。したがって、現在スウェーデンが使っている、消防庁等が大規模災害時に利用する、こういう給水施設というものをそのまま継続してお使いになって、日本独自でやっていかれるのかどうか、お伺いしたいと思います。  あわせて、今のお話にも関連するわけでございますが、私は、今回のルワンダ難民救援という活動を通じて、自衛隊がこの種人道的援助をする場合に、今のままでは非常に大きな制約を持つなというふうに思わざるを得ません。自衛隊は、当然のことでありますが、専守防衛という形での設備の整備あるいは部隊の訓練をしてこられた。言いかえれば、日本の国内のインフラを背景としたそういう設備や部隊の運用をしてこられたということだろうと思います。  そうなりますと、今の防衛局長のお話でもございますが、現実に大量の難民が発生する、そして診療所機能では到底できない二十四時間医療をやらないとだめだというふうになった場合に、当然病院キャンプが必要なわけですが、日本の場合は、二百五十床、五百床といった病院キャンプというものを自衛隊はたしかお持ちではないと思いますし、そのような形でのトレーニングというのはされていない。  給水につきましても、現在我々が日本の水道の蛇口で飲めるのと同じような極めて高品質の水をつくるということについてはすぐれた給水機をお持ちですが、しかし、急激に二十万、三十万の人に十分な水を供給できるというふうな簡便なそういう給水装置をお持ちかというと、そうではないのではないか。  そのあたりがこれからも、このルワンダ難民のようなことが例外であってほしいと思いますが、冷戦構造が崩壊した中においては、まだまだあらゆる契機においてこうした難民救援活動というのは残念ながら続く可能性もあるということを考えた場合、それに対して日本がどのように人道的救援活動に参加していくかと考えますと、自衛隊としてその辺についての装備あるいはトレーニングというものも必要なのではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  124. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 御指摘のとおり、自衛隊といいますのはやはり日本の国内で活動することを前提としておる、そういう観点から、医療につきましても給水につきましても、日本の国内で活動するという観点からの装備である。ところが、今回ルワンダ難民支援に参りまして、医療の面におきましてもあるいは給水の面におきましても、従来の装備で万全であるかというふうに問われれば、なかなかそれは全部に対応はできない。  しからばどうするか、やはりこれは今後の人道支援、PKO活動、こうしたものを見据えて今までの経験を生かしながら、必要なものはやはり装備をする、必要なものは訓練をする、こういうような観点に立って対応していくということが必要ではないか、このように考えます。
  125. 五島委員(五島正規)

    五島委員 具体的に自衛隊がこれらの問題を今後もずっとやっていかれるのか、あるいはPKOの本部で何らかの別の形でやられるのか等々は議論も必要かと思いますが、いずれにしても、そういうトレーニングのある、組織立った行動のできる部分によってしかこのような人道的救援活動も困難であるということにかんがみて、ぜひ今大臣おっしゃったことにつきましても、国会の中において検討を進めていただきたいと思います。  それから、あわせましてもう一点御指摘申し上げたいと思うわけですが、実は我々が参りましたときに、これはルワンダのキガリでございますが、米軍の責任者とお会いいたしました。そのときに米軍の責任者は、こうした難民活動については、軍と政府すなわち大使館、NGOが一体となった救援活動が必要なのだということを非常に強調しておられました。私も、まさにこういうのはそのとおりである。  今回、当初自衛隊は独自の診療キャンプをおつくりになるというふうな発想もあったと思います。私は、現実問題として自衛隊が今外来における診療キャンプを持つ能力はお持ちになっていない、多くの方々がルワンダ語をしゃべる、その中で外来患者として一日に三百人も五百人もおいでになる、その方々の症状、自覚症状、病状経過、それを聞き取って素早く判断していく、そのようなことが果たして自衛隊でできるのだろうか等々考えますと、やはり現地の人たちと一緒になって組んでやっているNGOの機動性のよさに対しては、やはりその自衛隊医療ということは二次医療という形にならざるを得ないだろうというふうに考えております。そういう意味では、今後NGOとの協力関係というのは極めて重要だというふうに思っております。ぜひその辺についても御配慮いただきたいと思います。  そして、あわせて二点だけお願いをしたいと思いますが、日本の場合は、自衛隊のこの救援活動の参加の前に、具体的には医療救援活動としてはAMDAの皆さん方が医療救援に入っておられました。そして、今ゴマだけでなくてブカブの周辺にも入っています。そして、シェアーというNGOがブカブの、これはミリタリーキャンプなのですが、ミリタリーキャンプといってもあそこの場合は家族を連れていっておりまして、ミリタリーキャンプの中に、子供の伝染病が非常に多いということで、その中に入ってNGOとしての医療救援活動をやっているわけでございます。  こういうふうな状況の中では、NGOそのものに対して、例えばブカブのミリタリーキャンプに自衛隊が行ってというわけにはいかないと思います。しかしながら、非常に通信の悪いところでございますし、できる限りの支援活動あるいは情報支援というふうなことをぜひお願いしたい、そういうことも含めてNGOとの協力関係ということについてお願いをしたいというふうに思いますが、それについて一言お願いいたします。
  126. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 お説のとおり、やはり難民救援支援人道支援でございますから、その目的を持った方々、NGOの方々、それぞれの団体の方々、あるいは外交機関も含めまして、またそれぞれの各国の軍隊、お互いが協力して最も最適の支援体制を組むということが一番大事なことだと思います。  そういう意味におきまして、我が自衛隊の方におきましても、私も参りましたけれども、各国部隊との情報交換あるいは外国からの大使館の情報、そういうようなものもいただきまして、そして同時にまた、このNGOの方々にも必要な情報、そういうこともお互いに知らせ合いながら、一番いい支援体制というものをつくって進めていくということは最も大切なことだと思います。
  127. 五島委員(五島正規)

    五島委員 どうもありがとうございます。  もう一点、別の問題でございますが、国連常任理事国入りの問題につきまして、外務大臣にお伺いしたいと思います。  日本の常任理事国入りの問題につきましては、世界国連加盟国全体の総意によって決まってくる問題だと考えておりますが、いずれにいたしましても、我が国が常任理事国に入るということになりますと、国連憲章を含む一定の国連改革というのはやはり必然であるだろうというように思います。  私自身は、いわゆる東西の冷戦構造が終わり、そして国際世界においてもイデオロギー対立が消失していくという中においては、安全保障理事会というのは実はこれからが本当に機能できる時代に入るのかなという感じは持っておりますし、そういう意味において、世界すべての国々の支持のもとにおいて安全保障理事会に入ることは非常にいいことだというふうに思っているわけでございますが、やはりその前提として、敵国条項の問題もございますし、そうした問題の国連改革の問題は極めて重要かと思いますが、その点はセットとしてお考えなのかどうか、ちょっとお伺いします。
  128. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 議員お尋ねのように、国連改革は極めて重要な課題だと思います。  一九四五年当時、国連創設時に国連加盟国の数は五十一カ国、現在では既に百八十四カ国になっております。そして、なかなか一国では解決できない問題、あるいは二国、三国集まっても解決できないような環境問題でありますとか人口問題でありますとか、今御議論いただきました難民問題でございますとか、こういったいわゆる地球規模でなければ解決できないような問題が新たに出てきております。国連創設当初、国連に対する期待は、国際の平和と安全というものが一番大きな期待でございましたけれども、今日では、それと同時に、環境でございますとか開発でございますとか、人口、難民あるいはエイズ、そういった地球規模の問題が国連に対する期待として大きく取り上げられているということを考えますと、国連全体がやはり改革改組されるべき時期に来た。来年は国連創設以来五十周年目を迎えるわけでございますから、この五十周年目に当たって国連改組というものは極めて多くの国の期待されるところであると思います。  そこで、その国連改革あるいは安保理改組という問題に取り組んでいる中で、我が国もまた安保理常任理事国として多数の国の賛同があれば責任を果たす用意があるということを、先般国連総会で述べてきたところでございます。  まだまだ国連の中では、安保理をもっと多数の国が参加する安保理に直した方がいい、つまり先ほど申しましたように、常任理事国五つ、非常任理事国がそれを取り巻くというこの構成は、スタート時では全体が五十カ国であったわけですけれども、それがもう三倍以上にふえれば、これらについてももう少し拡大されてしかるべきではないか。さらに、P5と言われる常任理事国五カ国、アメリカ、イギリス、フランス、中国、今でいえばロシアでございますが、この五カ国もあの一九四五年、つまり昭和二十年当時、第二次大戦が終わったころの国際社会の中で、いわゆる戦勝国といいますか、国際社会全体の中で一番重きを置いていた国々でございますけれども、その後五十年近い年月を経て、グローバルにさまざまな問題に対して対応できる国がそれ以外にも出てきたということを考えれば、そうしたことまで踏まえて国連改革安保理改組というものが必要だ。さらに、繰り返しになりますが、本来経済社会理事会などで議論されるべき開発とか環境とか、そういった問題についても期待が大きいのですから、これらについても思い切って機能強化その他について論ずるべきではないかという議論我が国としてもしているところでございます。
  129. 五島委員(五島正規)

    五島委員 今、河野大臣が経社理の問題まで踏み込んでの御発言でございました。私も全く同感である。  今日において安全保障の問題というのは、安全保障というのが軍事用語ではもうなくなったのではないか、まさに今日の不安全の要素というのは、環境の問題であったり貧困の問題であったり人権の問題であったり、そうした問題が非常にあるわけでございまして、対立の底辺にあるこういう非軍事的な原因というものをいかに除去していくか、そうした意味での国連としての予防外交のようなものが非常に安全保障全体の中で求められるだろうというふうに考えるわけでございます。  そうしますと、今日マスコミでも、国連改革といいますと安全保障理事会の問題だけが出てくるわけでございます。確かに安全保障理事会は五カ国の常任理事国制という、今日の国連の規模からいうと当然問題が出てきてしかるべき状態にあるのも事実でございますが、もう一方において、そうした機能を本来果たすべき経済社会理事会が機動的に機能を果たせないという問題も持っているわけでございます。我が国としては、むしろ安保理か経社理がどちらかという問題ではないと思っておりますが、経社理の機能をやはりより強化することによって、またより機動性を持たすことによって、安保理と両輪として世界安全保障を確立していくというこのスタンスを明確にすべきであるというふうに考えております。  先ほどの外務大臣のお話でも余り意見の違いはないのではないかと思いますが、一言。
  130. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 議員の御指摘、そのとおりだと思います。  多少私から申し上げることがあるとすれば、実は安保理改組の中で論ぜられておりますのは、安保理をもう少し大きくしよう、もっと、例えば地域別に代表者を送り込んではどうか、あるいは先進国、開発途上国それぞれのバランスのとれた国が参加してはどうか、さまざまな議論がございます。  その中で気をつけなければならないのは、多くの代表者を送り込むことは非常に民主的であるわけですけれども、その一方で、今議員御指摘のように、数がふえたために機動性がなくなってしまうという問題があって、まさに経社理はそういう意味で機動性が非常に難しい状況にあるわけです。そうしたことを考えて、安保理改組についても経社理の問題点についてもそうしたことを考える必要があるだろうというふうに思っております。  それからもう一方、安保理の方は安保理決議が拘束力を持ちますけれども、経社理の方は勧告しか力がないということにも多少問題があるかと思います。それから、経社理の方はどちらかというと、御専門ですが、慢性的な疾患でじわじわ来る、安保理の方は急性でどんと来るというようなことから対応が多少違ってきたわけですが、しかし、その慢性的な問題ももうかなり限度に近くなってきているわけでございますから、これは相当効果的な対応が必要ではないかという意見が出てくるのは当然だと思います。
  131. 五島委員(五島正規)

    五島委員 ぜひ国連改革、その議論の中において、我が国が率先して、経社理も含めて世界の安全のために機動的に対応できるような形での提案をお願いしたいと思います。  時間もございませんので、一つ別の問題についてお尋ねしたいと思います。  実は先日、高知県の早明浦ダムに米軍の艦載機が墜落をいたしました。これは四国における超低空飛行ということで、住民や地元自治体が従来非常に問題にしていたことでございまして、いずれはこのような事故が起こるだろうというのが、高知県や徳島県の多くのそういう山間の住民や自治体の感想でございます。二人の人命が失われるという極めて残念な事件が起こりながら、あるいはこれでやんでくれるのではないか、事故が起こったことからの後の処理を期待するという非常に残念な風潮も出てきております。  いずれにいたしましても、米軍のこの飛行というものは、地位協定に基づいて法的に日本政府が米軍に認めているということは私も重々承知いたしております。しかしながら、冷戦構造も崩壊し、そして日米安全保障条約も必ずしも従来どおりの意味だけでなくて、より極東地域全体の共存の中においての役割が大きくなってきているという点を考えた場合に、やはりこの種の超低空演習というものが、国民からいうと冷戦構造が終わったのになぜだという感じを持たれていることは間違いございません。  そういう意味で、今回の事故ということ、そして幸いにして搭乗員以外地元の人力に対する被害はなかったわけでございますが、これは一つ間違えますと近くの大川村の役場に墜落した可能性もあるわけでございまして、その点から考えましても、この超低空飛行については中止、あるいはそういう何らかの変更というものを政府として強く申し入れていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  132. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 このたびの米軍機の事故は、まことに遺憾なことだと思います。確かに議員御指摘のとおり、今回の事故で亡くなられたのは米軍パイロットの方でございまして、それはその米軍にとっても大変ショッキングな出来事であった、パイロットの御自身あるいは御遺族の方々にも大変お気の毒なことと思います。しかし他方、地域の住民の方々が受けたショックも極めて大きいと思います。  かねてからこの問題についてはいろいろ御注意もあったところでございますだけに、私どもとしても、地元の方々に大変大きなショックを与えたこの事故について重大な関心を持つところでございます。今議員お尋ねのとおり、在日米軍のこうした訓練が地位協定によって認められているという状況でございますだけに、私どもとしてもこの対応については十分注意をしながら対応しなければならぬところでございます。  と申しますのは、米軍がなぜ日本にこうした空軍を配備しているかということでございますが、それにはそれなりの理由があって、ゆえなくこうした軍を配備しているわけではないわけでございますから、配備された軍は軍として、常に一朝有事の際にはその最高の技術、最高の力を発揮できるように訓練をすることもまた必要なことだということも理解しなければならないと思います。  しかし、善良な村人が住んでいる地域においてこういうことが起こるということになれば、これについて我々もまた、ほかの方法はないかということについて、それを含めて考えなければならないという御指摘は御指摘として承らなければならないと思います。  問題は、繰り返しになりますが、米軍が持っております目的を遂行するために連日、何といいますか、腕を磨くといいますか技を磨くといいますか、そういう訓練をしていることについて、このことを責めるわけにはいかない、このことがいけないと言うわけにはいかないわけで、安全の確保のためにさらなる注意をしてほしいということを我々としては言うというのが立場のようでございますが、しかし地元の方々の強い要望なども私ども承っておりますので、さらに地元の方々の御意見なども十分伺いまして、私どもとしてよく考えたいと思っております。
  133. 五島委員(五島正規)

    五島委員 おっしゃいましたように、私の方も、地位協定に基づいて米軍が演習をする権利を持っているし、そのこと自身に対して、日本がそれはけしからぬとかそれは認められないとか言う立場にないということは承知した上で申し上げているわけで、この点について、米軍に対して何らかの——これはたまたま事故が起こったというだけでなくて、確かに演習地になっている方々からいいますと大変な恐怖心を伴う飛行であることは事実でございます。  そういう意味では高知におきまして、高知県知事の橋本大二郎氏が、国際情勢も変わった中でこういうふうなことがなぜ停止できないのか、これが停止できないようであれば村山政権の存在の意味はないというところまで、極めて強い意見を出しておられるわけでございますが、そのことがまた多数の県民から喝采を受けて受け取られているというのも、これは当然地元としては事実でございます。  そういうことも配慮をいただきまして、ぜひこの問題について、アメリカ大使館並びに米軍との間において、こうしたこれまでの超低空飛行について何らかの米軍としての考慮をいただけるようなそういう交渉というものは、これは地位協定とは別に当然できるわけでございますので、ぜひお願いしたいと思います。  以上をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  134. 近藤委員長(近藤豊)

  135. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 院内会派改革及び日本新党所属の樽床伸二でございます。まだまだ若輩者でございます。何とぞ御指導賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。  まず、午前中の私ども改革所属の赤松委員の質問を受けまして御質問をさせていただきたいと存じます。  御存じのように、ソ連が崩壊をいたしましてから世界情勢はまさに激変の渦中にございます。我が国防衛政策におきましても非常に大きな転機がやってきている、そのような認識を持っております。そういった中で、赤松議員及び栗原委員の方からも話題となりました防衛問題懇談会の答申も出る、このような中にございます。  その答申に対しまして、先ほど防衛庁長官の方から、示唆に富んだ内容である、このような御答弁があったわけでございます。その中で特に私は、答申の中におきまして、これからやらなければいけないことはたくさんある、しかし予算も限られている、そういった中では、単年度の形で防衛費の増減について実施するということは大変困難であるので、中長期的な視点に立って管理するのが適当である、このような文言があるわけでございますが、私もまさに同感でございますが、その点につきまして長官の御見解を賜りたいと存じます。
  136. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 防衛懇談会の答申内容に対する見解、こういうふうに承りましたが、懇談会の報告は、装備のハイテク化、近代化等により防衛力の機能と質を充実させるといった点にも触れておりますけれども、他方、自衛官定数の縮小、陸上自衛隊部隊の数や規模の削減、海上自衛隊の対潜戦闘のための艦艇の削減、航空機の数の削減、航空自衛隊の戦闘機部隊または戦闘機の数の削減など、防衛庁にとって厳しい内容の提言を含むものとなっております。また、PKOへの積極的参加、弾道ミサイル対処能力の保有などについては、防衛庁にとって大きな課題が提言されているものと認識いたしております。  いずれにせよ、防衛庁としましては、かかる報告内容も一つの参考といたしまして、今後の防衛力のあり方について検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
  137. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 ありがとうございます。  ちょっと私の質問が悪かったかと思いますが、もう一度改めまして御質問申し上げます。  特にその答申の中で、先ほど申しましたように、単年度ではなかなか予算的な問題等々あって防衛費の増減を論じるのは難しい、だから中長期的な視点に立って取り組んでいかなければいけない、このような趣旨がはっきりと明記をされておるわけでありますが、この点につきまして長官の御見解を賜りたいと存じます。
  138. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 防衛力のあり方につきましてはこれから検討するわけでございます。したがいまして、その検討に基づきまして、中長期的な視点から我が国防衛をどういうように整備していくかという点につきましては、お説のとおり、これは予算の問題もあるでしょう、整備に関してどれだけの時間がかかるか、こういう点はそれらも含めて検討していく、こういう趣旨でございます。
  139. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 ありがとうございます。  なぜそのようなことを、わかり切ったことであろうかと思いますが、お聞きしたかと申し上げますと、来年度の防衛庁の概算要求が〇・九%、このようなことになったわけでございますが、その○・九%の根拠というものが非常に希薄ではなかろうか、このような認識を私は持っております。先ほど申しましたような中長期的な視点に立っての数字であるのかという点が大変疑問でございます。  大変言い過ぎかもわかりませんが、軍縮過程にある自衛隊が合憲というような総理の答弁に合わせての数字合わせというような傾向も強くあるのではなかろうか、このような認識を持っておりますが、そういうことを含めまして、〇・九%の根拠ということにつきまして、長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  140. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 七年度防衛関係費の概算要求の伸び率は、財政当局との間でぎりぎりの折衝を行ったところでありますが、厳しい財政事情等諸般の情勢も踏まえまして、極力防衛関係費全体を抑制するとの見地から、〇・九%増ということになったものでございます。  なおまた、中期防との関係からいいますならば、修正された中期防が今実施をされておるわけでございますけれども、すべて全部を達成するというところまではいかないにしても、かなりのものを達成できる、こういうように判断をいたしておるところであります。
  141. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 私がまだまだ未熟なせいであろうかと思いますが、いまいち〇・九%の根拠ということが私にはよくわからないわけでございますが、このことにつきましては、一応そういう形で概算要求も行われたことでございます。この点につきまして、特に外務大臣にお聞きしたいわけでございますが、この〇・九という数字が、我が国の大変重要な二国間関係であります日米関係にどのような影響を与えるのか、その御見解を賜りたいと存じます。
  142. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 日米関係の中にあって重要なものの一つにホスト・ネーション・サポートがございます。ホスト・ネーション・サポートは、平成二年に我が国の方から、段階的に米軍の経費について日本側がこれを支援するということを官房長官が明確にしておられまして、このことについてアメリカはいろいろと関心を持っておられることは事実でございます。これらにつきまして、何人かの方々から、日本の関係者との話し合いの中で話題が出たということでございます。  私自身もそうした話題に接したことがございます。私はその都度、村山総理は日米安保条約を堅持するということを明言しておられる、我が政権はそういう考え方でおると。日米安保条約を堅持をするという村山総理の態度であるならば、日米安保条約の中で極めて重要な在日米軍に対するホスト・ネーション・サポートは、約束どおりなされるべく最善の努力があるはずだということを私は申し上げているわけでございます。これは概算要求をいたしました防衛庁、そしてこれを受ける大蔵省、双方で最後の予算編成の時点でこの問題はなお議論なされるものと考えております。
  143. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 ただいま外務大臣の方から在日米軍の経費負担の問題につきましてお話があったわけでございますが、私がいろいろ報道等々で知っております範囲におきましては、八月の十一日にアメリカの上院で、合意どおりの実施をしてください、このような要請の決議案が採決をされた、このように聞いております。また九月の十五日の日米防衛首脳会議、玉沢長官とペリー国防長官との会談、また今御答弁いただきましたように、九月の二十二日、河野外務大臣とクリントン大統領との会談の中でもその話が出て、ともに、全面復活を努力をする、こういうようなお話があった、このような報道がなされております。  先ほど浜田委員の方からの御質問にも、施設庁長官からそのような趣旨のお話があったというふうに私は認識をいたしておりますが、特にこの問題につきましては、国内問題ではないわけでありまして、対外的な約束、このような要素が大変強いといいますか、まさにそのものずばりでございまして、そのような問題におきまして、しかも国防という大変重要な問題において概算要求が出た、それについてアメリカからいろいろ意見がある、それについて会うたびにいろんな意見が交わされる、そのようなことは、どうも我々から見ておりますと、我が国の方針がごろごろ変わるような印象を与えてしまうのではないか、このようなことを大変懸念をいたしております。  そういうことの前提で考えますと、やはりもっと事前にしっかりと日米間で合意がなされて、一度は平成七年度に一〇〇%というような約束をしたわけでありますから、この約束を果たすことができない、施設庁長官の参議院での御答弁によりますと八七・五%というような数字も出てきたかと存じますが、約束どおりできないということをアメリカ側がしっかりと認識をして話し合いに入っていくというような姿勢が大変重要ではなかろうか、私はこのように感じておるところでございます。  そのことにつきまして、今外務大臣からは御答弁がございましたが、長官の方からも、九月十五日のペリー国防長官との会談の中でどのような要求がアメリカ側からこの問題についてなされ、それにどのような御返答をされたのか、報道ではなく長官の口からお聞きしたいと存じます。
  144. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 予算編成過程におきまして概算要求といいますのは、御承知のとおり最終決定ではございません。それで、〇・九%という決定を見たわけでございますけれども、こういう厳しい中におきましては、我々としましては、まず国土防衛上必要最小限の経費も考慮に入れながら、在日米軍駐留経費の負担増も含めまして、あらゆる経費を対象に削減をせざるを得なかった。こういう事情につきまして、九月十五日の、今お話がありましたように、ペリー長官との日米防衛首脳会談において我々の立場を説明をいたしたわけでございます。  これに対しましてアメリカ側からは、日本国内の予算編成過程についてコメントすることは適当ではないが、米国としては日本側が在日米軍駐留経費に関するコミットメントを守ることを期待している旨の発言がございました。  これを受けまして私の方からは、予算編成までには日米関係の重要性にも配慮した総合的な形で調整が行われること、また、関係各省庁との協議等を経て努力したい、こういうことを申し上げまして、御了解をいただいたところでございます。
  145. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 この問題につきましては、日米安保体制という大変重要な問題に絡む問題でございますので、もう少しお聞きしたいわけでございますが、今、最大限の努力をされる、このようなことで日米の間で話がなされたということでございます。そして今長官の方から、関係機関ともいろいろ調整をしてと、このような話がございましたが、具体的に概算要求で決まった、それをさらに上積みをする、このようなことでございますので、そうすると、どこかが減るということに当然なるわけでございまして、それが防衛予算の中から減るのか、またほかの省庁、関係機関というのはどこかよくわかりませんが、そういったことも含めまして、具体的に全面復活する方法というものを今お考えであれば教えていただきたいと存じます。
  146. 秋山(昌)政府委員(秋山昌廣)

    ○秋山(昌)政府委員 現在、先ほど長官の方から説明がありましたように、概算要求を提出いたしまして、それをベースにして政府部内で予算編成作業の中で議論をしている最中でございます。そういう予算編成作業中でございまして、今委員の御質問の点は、まさにこれから具体的にいろいろと検討していかなければならない一つの事項であるというふうに認識しているところでございますけれども、現時点で具体的にここで答弁する、そういう状況になっておりません。  いずれにいたしましても、本件につきまして、予算編成最終場面に向けまして関係省庁と、特別協定につきましてこれまで政府が公にした方針ですとか、あるいは財政事情の厳しさですとか、あるいは防衛庁の立場からいたしますと必要最小限度の実力組織としての自衛隊の水準維持とか、あるいは先ほど大臣からも答弁がございましたように、日米安保協定の円滑な運用、その必要性といったようないろいろな要素を勘案いたしまして、何とか適切な対応策を考え出していきたい。まさに現在政府部内で検討中ということでございます。
  147. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 大変しつこいようでございますが、とにかく今全力で努力をしておる、このようなことであろうと受けとめておるわけでございますが、しかしながら、これも将来のことでございますので万々が一——これは対米公約になったも等しいというように考えております。防衛庁長官、そしてさらには外務大臣が全面の復活を努力する、このようなことをおっしゃったわけでございますので、アメリカ側は当然それを期待をする、このようなことになろうかと思います。当然それに向けて努力をされるということは大前提でございますが、万が一実行できないときの日米関係への影響というものはどんなものがあるのか、防衛庁長官及び外務大臣にお聞きをしたいと存じます。
  148. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 今努力を傾注しているところでございまして、それ以上のことはございません。
  149. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 日米関係には十分な信頼関係がございます。この問題も、平成二年十二月、我が方から、こういうことをしていくよということを談話の形で申し上げて、そのとおりここまで実行してきているわけでございまして、この問題は十分な信頼関係の上で進んでこれまでまいりましたし、この信頼関係は我が方としても大事にしていかなければならぬことでございます。  私どもとしては、防衛庁、大蔵省、それぞれこの信頼をさらに伸ばしていく努力をなさると思いますし、これができなかったらどうなるかというような仮定の問題を今考えてはいないわけでございます。
  150. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 ありがとうございます。大変出過ぎたことを申し上げましたことをまずお許しをいただきたいと存じます。  続きまして、同じく防衛問題懇談会の答申の中に、TMDという言葉は明記をしておらないかと存じますが、非常に積極的な見解が述べられているというふうに私は認識をいたしております。さらに、報道によりますと、TMDの調査費が予算計上された、また、先ほどから申しております長官とペリー国防長官との会談の中で、TMDの計画、調査研究の開始に合意をしたというような報道が、あくまで報道でございますが、報道がなされております。  私自身の個人的な見解でございますが、四方を海に囲まれた我が国といたしましては、外国からの侵略というものは海を渡るか空を飛んでくるか、当然この二つしか方法がないわけでございますので、防空能力の向上というものは非常に大きな重要な課題であるという認識を持っております。しかしながら、予算的な制約もあるということもございまして、であるならば、なおさら中長期的な視点の中でこのTMDを位置づける必要があろう、私見でございますが、このように感じておるところでございます。  しかし、この問題につきまして、まだまだ国内で議論が深まっていないという認識を私は持っております。これからもっともっとこの問題につきましての議論を深めていく必要があろう、こういった前提でお聞きをしたいわけでございますが、防衛庁長官とペリー国防長官の間でこのような合意があったのかどうか、そしてそのことにつきまして、アメリカ側は予算的な問題も、これまでいろいろ向こうから話があるように聞いておりますが、具体的にどのような日本に対する要求があったのかお聞きしたいと存じます。
  151. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 専守防衛という観点から考えた場合におきましても、弾道ミサイルの脅威に対応することは重要なことであると考えております。しかし、ミサイル防衛の問題はこれからのことでございますから、我が国防衛政策を考えていく上での課題である、こういうふうに認識をいたしております。  このため、昨年九月の日米防衛首脳会談におきまして、日米安全保障事務レベル協議のもとに検討の場を設けることで合意し、それ以後、TMDの具体的内容について米側から説明を受けてきているところであります。また、先般の日米防衛首脳会談におきましては、今後我が国として、あくまでも政策判断に資するため、日米共同でTMDに関する研究を行っていくことに同意したところであります。  TMDをめぐる日米間におけるやりとりは以上のような状況にあり、米側から具体的な協力要請といったものがあるわけではございません。
  152. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 あくまでも、報道でありますように、研究、研究の開始の合意ということで、参加を前提としたものではないという報道もなされておりますが、今の御答弁をお聞かせいただきまして、まさにそのような内容であっただろうというふうに私は今認識をしたわけでございます。  しかしながら、昨年来より何度もアメリカ側からTMDにつきまして我が国に対していろいろ要求があったというのは、私はそのように認識をいたしておりますが、そのことにつきましてのまず一番最初の返答であると。ともに研究をやっていこう、こういう返事を我が国がした、このようなことでありますと、アメリカ側は日本は前向きに検討をしているのではないか、研究に参加をするということはその延長線上で参加をしてくれるのではなかろうか、当然このようなことを思っているのではなかろうかというふうにごく一般には感じるわけでありますが、その点につきまして、長官の個人的見解でも結構でございます、お聞かせいただきたいと存じます。
  153. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 TMDに関しましては、御承知のとおり、昨年の九月以来米側からのお話もあり、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、政策判断の資とするためということに基づいて相互の話し合いを進めてきておるところでございます。  そして、さきのペリー・玉沢会談におきましても、向こうから、要するに政策判断の資とするためのスタディー、これは向こうの言葉でスタディーと言いましたけれども、スタディーを日米間で開始しようではないかということの話がありました。それについて私どもの方から、先ほど大臣から御答弁したとおり、政策判断の資とするためにということで研究を進めよう、それについてはどういう手続でどういうようなメンバーでやろうかということについてこれから詰めていこうということで、現在そのようなやり方について詰めておる段階でございます。  いずれにしましても、これにつきまして米側から何らかの要請があって、我々がそれについて何らかの約束をするというような段階ではまだございませんで、防衛庁なり日本国として、そのTMDというようなものについての勉強をするための、米国は大変な知見を持っておりますので、その知見を利用して我々がこれからTMDについての政策判断をするための資を得るということに尽きるわけでございまして、それ以上のものでは現在はございません。
  154. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 先ほど申しましたように、私はこの問題につきましてはもっともっと我が国の国内で議論をしていく必要がある、このように感じておるところでございます。  その点につきまして、今の御答弁を聞いておりますと、アメリカから言ってこなければ余り考える必要もない、そのようなニュアンスが聞き取れた、これは私の偏見かもわかりませんが、そのようなニュアンスも若干感じたわけでございます。我が国といたしましては、アメリカに言われたからということではなくて、TMDという具体的なものはそうでございますが、こういった防空能力の向上につきまして、もっともっと国内で真剣な議論が行われるというようなことを大いに期待をし、またお願いを申し上げる次第でございます。  実は私、質問を用意さしていただきましたのは以上でございまして、しかし、まだ若干時間がございますので、大変失礼ではございますが、外務大臣に一点だけお聞きしたいと存じます。それは、先ほど来より何度も話が出ております国連安保理入りについての問題でございます。  多くの先生方からいろいろ御意見、御議論がございましたので、かなり議論は出尽くしているという認識は持っておりますが、特に拒否権のことにつきましていろいろ報道もなされております。拒否権についてどのような考えを我が国政府が持っているのかということは、報道が入り乱れておりまして、私自身はどうもはっきりとした政府の見解がわからない、こういうことでございますので、もしよろしければ、この場で外務大臣から御意見をちょうだいいたしたいと存じます。
  155. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 このたびの国連改革に当たりまして、とりわけ安保理改組の中で、常任理事国が拒否権を持つべきか持つべきでないか、あるいは新たに常任理事国となる国があるとすれば、その国が、従来の常任理事国が持っているような拒否権を新規参加者も持つべきか持つべきでないか、こういったことについてのお尋ねだろうと思います。  拒否権については、国連加盟国全体でさまざまな議論があります。つまり、特定の、特に五つの国、全体百八十もある加盟国の中でわずか五つの国だけが拒否権を持っている、つまり、この五つの国のどれか一つでもノーと言ったら全体がだめになる、そういう拒否権というものは民主的ではないのではないか、民主主義の原理原則に合わないのではないか、したがってこういう拒否権などというものはもうやめてしまったらどうかという意見がございます。  一方で、拒否権というものは、これだけ大きな国連の中にあって緊急かつ重要な意思決定をするためには、やはり主要国、P5と言われる常任理事国は拒否権を持って、そこで緊急に何か物事を決める、そういう力を持っていた方がいい、それがなければそういうことができないのだからあった方がいい、こういう意見が一方にあって、拒否権は引き続き持つべきである、あるいは持つべきでないという意見がございます。  昨年我が国は、国連改革について意見書を出しましたが、我が国が出した意見書の中には、特段、この問題についてはかくあるべきだという意見を付しておりません。考えてみますと、現在P5、常任理事国五カ国が持っている拒否権はやめるべきだという提案を仮にすれば、恐らくその五カ国の拒否権が発動されて、そんなことはそうはいかないということになるということは十分予想されるわけでございます。  一方、新たに加わる、もしこれで常任理事国を五つからさらにふやすとすれば、新しくふえた常任理事国は、拒否権を持たない常任理事国でもいいのではないか、こういう意見が一部にございます。それについては我が国は、常任理事国となる以上は、常任理事国の中に拒否権を持つ常任理事国と持たない常任理事国があるというのは理論的にはおかしいのではないかということも、また我が方としてはそういうことをたびたびあちこちで言っていることもございます。これらの点についてはまだまだ議論が盛んでございまして、収れんを見るような状況になっておりません。
  156. 樽床委員(樽床伸二)

    樽床委員 ありがとうございました。突然の質問でまことに恐縮でございます。  私は、個人的見解でございますが、我が国国連中心とした外交ということを大きな柱にしているという現状であるならば、なおさら国連そのものが大切である。しかし、国連ができましてからもう既に半世紀近くが経過をする、当然この過程の中で、国連もいろいろ機能的にちょっと時代に合わなくなったところもある、これは当然のことでございまして、であるならば、なおさら国連改革我が国が大きく旗を上げて国連の常任理事国に入っていく、そして国連改革するんだという意思を世界に強く訴えていくという行為が必要ではなかろうか、これは全く私の私見でございますが、申し上げたいと存じます。  本日は、大変貴重なお時間をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。とにもかくにも、防衛という問題は大変重要な問題でございます。冒頭に申し上げましたように、軍縮過程にある自衛隊は合憲である、ちょっとよくわからない表現でございますが、そういった言葉を中心とする防衛政策ということではなく、先ほど私どもの赤松委員の方からも最後にお願いをさせていただきましたように、コンパクトでスリムでしかも効率のいい、そのためには伸ばすところは伸ばす、削るところは削る、そういったきちっとした形の防衛政策をぜひともつくり上げていただきたい、心よりお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  157. 近藤委員長(近藤豊)

  158. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 私は、いわゆる北朝鮮問題についてお伺いをいたします。  八月十二日の米朝高官協議で成立いたしました原則合意に基づいて、先般十月十七日にジュネーブで行われておりました米朝協議で合意が成立をしたわけでありますけれども、まず、外務大臣はこれをどのように評価をされているか伺います。
  159. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 北朝鮮におきます核問題についての米朝協議は、アメリカの非常に粘り強いそして注意深い協議、もちろんこれは協議ですから双方でございますけれども、双方の誠実な協議が実って暫定合意に達したということは、我々は基本的に歓迎をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、北朝鮮におきます核問題がこの話し合いによって解消してほしいという気持ちをかねてから持っておりましたので、こうした暫定合意、まだ詳細アメリカから正式な報告は受けておりませんけれども、この報告をこれから十分検討いたしたいと思いますが、まず基本的に暫定合意を歓迎したいと思います。
  160. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 先週の衆議院の予算委員会で、私は総理にこの問題についてお伺いをいたしました。総理、それから外務大臣にも質問をしたわけでありますが、そのときに、この北朝鮮への軽水炉建設支援の前提として外務大臣はこのように私に答えております。「核疑惑が完全に払拭される必要があるこということ、それから、「IAEAの特別査察を含むすべての核疑惑を払拭する、完全に払拭するための作業、そしてそれは過去にさかのぼって行われなければならない、こういったことが保証をされるということが何より前提」であるという話をされ、さらに、「完全な疑惑の払拭が必要であるということについては繰り返し述べておりますと同時に、この線は譲れない線であるということが私どもの主張でございます。」このように外務大臣は答えておられます。  今回の合意で、この点について米朝両国が、外務大臣が言われたように合意をした、このように理解してよろしいんでしょうか。
  161. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、詳細はまだ私どもつまびらかにアメリカから正式な報告を聞いておりませんが、大枠において今回の暫定合意が我々が主張いたしましたものである、あるいは我々の主張の線であるというふうに私どもは理解をいたしております。
  162. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 そうすると、今回の合意内容について、今、大枠を聞いているということなんですが、詳細は聞いていないということなんでしょうか。そういう趣旨のことを言われたと思うのですが、合意内容韓国の場合には、韓国外務大臣は、一昨日だったでしょうか、朝もう会見をして、アメリカから聞いてということで説明をされておりました。日本の場合はどのように聞かれているわけですか。いっ、どのように聞かれておりますか。
  163. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 前回伊藤議員にもたしかお答えをしたかと思いますが、交渉の経過においてアメリカを中心に、米日韓といいますか、この三国は緊密な連絡をとっております。我々は我々の考え方をそれぞれアメリカに述べているわけでございまして、アメリカはそうしたことにも十分耳を傾けてさらに米朝会談に臨んでおられるという経過がございます。しかしながら、最終合意に達した、これでサインをしますという最後の案についての詳細は、私どもはまだアメリカから正式に聞いておらないところでございます。  先ほども申し上げましたように、暫定合意ができたという一報はもらっておりまして、その暫定合意に近づいていくプロセスでいろいろと私ども聞いておりますから、大枠はこういうコンセプトで、こういう考え方で、こういう問題点を処理しながらゴールに近づいているなということは承知をしておりますが、ゴールインした結果については、まだ詳細の報告を正式に聞いているという状況ではございません。
  164. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 私は、過去も含めた核疑惑の解明ということは日本にとっては最も重大な事項だと思いますよ。しかも、あすはもう二十一日、署名をされる日ですね。したがって、そういうふうに考えれば、日本にとって最も重大なことでありますので、当然、過去も含めた核疑惑の解明の問題について、これは聞いていなければおかしいと私は思うのですが、いかがですか。
  165. 川島政府委員(川島裕)

    ○川島政府委員 大枠について御説明申し上げます。  これは過去、現在、未来と三つ言っておりまして、それぞれについての疑惑を、ないし将来の核開発の可能性を封ずるという全体のパッケージになっているというふうに承知しております。  過去につきましては、まさに特別査察ということで従来から問題になっていたわけですけれども、北朝鮮がこれまでにみずから申告した以上の量のプルトニウムを過去において抽出した可能性があるのではないか、これについて究明する必要があるということでございまして、これは絶対に譲れない線であるということはこれまで申してきたとおりでございます。  それから、現在というのがこれまた非常に重視されているところでございまして、これは、ことしの五、六月に五メガワットの原子炉から燃料棒を抜き出して、これが今冷却プールの中で冷えているわけでございます。これも再処理をいたしますと、核爆弾に相当しますれば数個分に当たるようなプルトニウムが抽出されることになってしまう。そういう抽出をどうやって差し控えるように持っていくか。それから、今、燃料棒を抜いた結果として五メガワットは動いていないわけでございますけれども、これの燃料をもう一遍入れてしまうとまたさらにプルトニウムができてしまうので、これをどう封ずるか。この辺の話が現在の問題でございます。  それからもう一つ、将来の話というのがございまして、これはプルトニウム抽出を行う再処理施設というのが既にあるのですが、さらにこれのキャパシティーの拡大作業が続いているということでございまして、これをどうやって封じるかというのが一つ。それから、今は実験炉、五メガワットでございますけれども、それに加えて五十メガワット、二百メガワットという大変大きな本格的な黒鉛型の原子炉の建設が着々と続いておる。これが将来完成いたしますと、その場合の使用済みの燃料からプルトニウムを抽出いたしますと、これは年間数百キロのプルトニウムができてしまうことになる。これをどう封ずるか、これは将来の話でございます。  したがいまして、過去にどれくらい抽出したか、それから現在あるのをどう抽出をとどめるか、それから将来はるかに大きな生産が可能になるのをどう封ずるかのその三点を封じるということが、この枠組み合意の一つの眼目でございまして、それを全部北が応じる、つまりこれ以上のプルトニウムをつくらない方向できちんと対応するという前提のもとに軽水炉供与を検討する、こういう一つのパッケージになっているわけでございます。ですから、過去ももちろん重要でございますし、現在、将来、これは既に建設工事やなんかは全部凍結していると承知しておりますけれども、今から北朝鮮としていろいろこれ以上のことはやらないというのが重要な部分になっておるわけでございます。  それで、過去につきましては、アメリカ側が、ガルーチ大使が記者会見できのう説明しておりますけれども、過去にどれくらい抽出したかという話を調べるのは数年後でも十分目的は足りるはずである、そこで、その時点で調べればいい、一方、今からとにかく凍結しなければならないのが、プールで冷えている燃料棒の再処理とかそういう話はこれは今からスタートする話でありますということを言っております。  いずれにいたしましても、全体は、この枠組み合意案に沿いまして物事が進む中で、過去、現在、未来にわたっての核開発の可能性は全部封じられるという姿になっておりまして、それは意味があることだろう、こういうふうに判断しております。
  166. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 冒頭外務大臣からも言われましたように、いわゆる過去も含めた核疑惑の解明ということが日本にとっては最も重要なことであるわけですよね。そういうふうに考えたときに、今は一括あるいは包括的な形で、ワンパッケージでいろいろなことをされたりするわけでありますが、いろいろと伝えられております北朝鮮の軽水炉への転換支援ということについて、あくまで建設に着工する前に過去における核疑惑が払拭されなければならないということが前提である、こういうふうに考えるかどうか、いかがですか。
  167. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 一番大事なことは、過去、現在、未来にわたって朝鮮半島から核開発についての不規則な状況、不透明な状況が完全に払拭されるということが重要だという点について、私も伊藤議員と全く同意見でございます。今回のこの合意が、そうした私どもの期待といいますか願いといいますか、そういう我々の考え方に沿ったものだというふうに私は考えているわけでございます。
  168. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 私は、政府のこの問題に対するスタンスというのはどんどん後退しているのじゃないか、こういうふうに思っているのですね。  それで、アメリカのガルーチ代表の言によりますと、北朝鮮の特別査察を実際に履行するのが大体五年後になるだろうという話をしているわけですね。この発言からいたしますと、この特別査察の以前に我が国としても支援を迫られるということになるのではないか、こんなふうに思うのですね。そういう意味では、その点は無条件に支援をするということになるのでしょうか、あるいは何らかの条件というものがあるのでしょうか。
  169. 川島政府委員(川島裕)

    ○川島政府委員 先に事実関係だけ申し上げます。  過去の検証につきましては、北朝鮮側は保障措置協定の完全履行及び過去の問題、まさに過去に何をしたかということですけれども、それの解決のためにIAEAが必要とする措置に合意をするということが第一点。そして、具体的にそれをいつやるかといえば、軽水炉の主要な関連部品を贈る前に北朝鮮はこれを履行しますということでございまして、確かにそれまでに若干の時間が流れるということは事実でございますけれども、暫定合意の枠組みで、過去、現在、未来にわたる核開発計画の凍結を確保するという全体のパッケージの姿の中でこういう形での解決を図るということは意味があることだと判断している次第でございます。
  170. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今政府委員が御答弁申し上げましたけれども、この過去の問題については米朝協議の中で大変長時間議論のあったところだったと聞いております。これについて、先ほど来申し上げておりますように、アメリカ側も極めて粘り強く協議を続けて、そして結果として今政府委員の御答弁のとおり、過去の問題についても透明性を維持するという結論を導き出すことができたわけでございます。そうして、全体として、軽水炉への転換の作業が終了する以前に特別査察も完了するという約束になったわけでございますから、このことは十分意味のあることだというふうに思います。
  171. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 実際にはそれが五年くらいかかるだろうと言われているわけですね。本日のニュースでは、IAEAの事務局長も五年という長期にわたることについて懸念を表しているように伺っておりますが、そのIAEAの事務局長のコメントについてどう思いますか。
  172. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 IAEAの事務局長のコメントは新聞で私も読みましたが、その内容が何を指すものであるかということについてはちょっと定かではございません。恐縮ですが、政府委員からその点について答弁をさせたいと思います。
  173. 林(暘)政府委員(林暘)

    ○林(暘)政府委員 お答えを申し上げます。  ニュースで、IAEAの事務局長がこの点についてコメントをしているということは私も承知しておりますが、具体的にどこを問題にしているかということを、詳細はちょっと承知しておりませんので、詳細を確かめた上で、もし必要があれば御答弁することといたしますが、特別査察の時期がおくれるということ自体については、それが一〇〇%いいことであるかということについてはいろいろ御議論があると思いますけれども、先ほど御答弁がありましたように、基本的に今度の合意というのは、IAEAが要求する保障措置の履行、さらにはそれが要求していないことも含めて、核開発の凍結ということを含めた全体の大きなパッケージができたわけでございますので、その枠内で特別査察の時期が若干おくれるということがあっても、これは総合的に判断すべきものというふうに我々は考えている次第でございます。
  174. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 じゃ伺いますけれども、五年ほども長いわけですね。今日まで北朝鮮はいろいろな約束をして、それについて履行しなかった例というのはたくさんあるわけですね。五年の長きにわたるということについて心配じゃありませんか。
  175. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今回の場合には、エネルギー源として軽水炉をつくるという作業を一方でするわけです。これが行われなければ軽水炉は完成しないわけでございますから、つまり、お互いにそういう約束をし合っているわけで、一方的な約束ではないわけでございますから、一方的な約束に比べれば信頼度ははるかに高い、十分信頼できるというふうに思います。
  176. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 そうすると、今回、軽水炉転換への支援と、それから代替エネルギーを提供するための費用の支援もすることになるのでしょうか。この辺はどうなりますか。
  177. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 これから、まさにこれから、この米朝協議についてのサインが行われて、アメリカ、日本、韓国中心に、あるいはG7まで加わるかもわかりませんが、どういう組み合わせでこれらを支援していくかという話はこれからまさに始まるというふうに考えております。     〔委員長退席、神田委員長代理着席〕
  178. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 じゃ、例えばさっき申し上げた、代替エネルギーを提供するための支援について要請があった場合は、どうされるのですか。
  179. 川島政府委員(川島裕)

    ○川島政府委員 これも、まさに国際的な枠組みの中で、軽水炉自体をどうするか、及び代替エネルギーと申しますのは、向こうの黒鉛原子炉がそうでなければ完成してエネルギーをつくり出す、それの得べかりし利益と申しますか、それができない間のそれに相応するものを提供するという考え方でございますけれども、それがどれくらいになるのかとか、その辺は全く具体的なのはこれからそういう国際的な枠組みの中で……(伊藤(英)委員「要請があったらどうしますかと言っているの」と呼ぶ)  それは日本といたしましては、こういう核開発問題の解決に資するのであれば日本としても応分の負担をすべきものだろうと考えておりますけれども、具体的にどうこうするかということはまだこれからの話でございます。
  180. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 五年くらいの間、本当に核疑惑が解明されるかどうかわからない状況のときに、国民からの税金をそこに、その支援のために充てるということは、国民感情からするとちょっと許されないんじゃないかと思うんです。いかがですか。
  181. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今度の米朝協議の合意は、朝鮮半島における北朝鮮の核問題がこれによって解決をされるということを目的にして、米朝の最終的な合意が正式に行われるわけでございます。  それで、こういうことになれば、アメリカはもちろん、韓国にしても日本にしても、北朝鮮がこれからどういう行動をとっていくかということは十分注視をしていくことになると思いますし、私は、五年間、向こうが履行するかわからないのにどうだというふうにおっしゃいますが、この五年間に北側がやらなければならない仕事も義務も他にあるわけでございまして、そうした義務が履行されていくということは、核問題についての不安を除去していく上で大きなプラスになるというふうに私は思います。
  182. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 今回の双方の合意内容が実際に実行されるためにどのような担保措置をとるのでしょうか、どのような、それを実行させるための手段をとるんでしょうか。
  183. 川島政府委員(川島裕)

    ○川島政府委員 これがまさにこの枠組み合意の一番主要点でございまして、お互いに、率直に言って余り相互信頼関係がない中でどうやってお互いに担保するかということで、こちらから見れば、まあ米側から見ればといいますか、軽水炉は供与したのに結局のところ核兵器開発の可能性が残っちゃったというようなことであっては、これは絶対にあり得ないということでございます。一方、北の立場に立ってみれば、先に例えば再処理施設を壊したり黒鉛原子炉を壊したりした後で軽水炉は結局やらないと言われたらどうなんだという、向こうも向こうで不信感がある中で、どこまでやったらどこまでやるかというその組み合わせを十年間にわたって組み上げていくというのが枠組みの一つのポイントだったようでございます。  それで、北朝鮮の方はこの五年間もいろいろやることがあると大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、まさに五メガワットの燃料棒の再処理を行わないとか、それから五メガワットを再び動かさない、あるいは再処理施設を封印してしまって、それまでずっと再処理施設の拡大工事が進んでいたのですけれども、それを一切やめるとか、今建設中の大きな黒鉛原子炉、五十メガワットと二百メガワットでございますけれども、この建設を中断してしまう、こういう義務をこの間負うわけでございます。逆に申しますと、この枠組み合意がないと、北朝鮮といたしましては、その辺のキャパシティーの拡大と申しますか、そういうのをやるのは全く国際的にはお構いなしと申しますか、それをやめる義務はないわけでございますから、それをとめたというのはそれなりに意味があろうかと考えております。
  184. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 今回の米朝合意を機会に日朝交渉の再開をされる見通しについて、どのようになるか伺います。  そしてその際、この核兵器疑惑の払拭の問題、李恩恵問題や日本人妻里帰りなどの人権問題、こういうものをあいまいにすべきではない、このように思いますが、いかがですか。
  185. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 議員御承知のとおり、日朝の話し合いというものは、私の記憶が正しければ、李恩恵の問題がテーブルにのったときに、先方は非常な不快感を示して、たしかその後もう交渉は行わなくなってしまったということが過去にあったと記憶をいたしております。私は、今議員が御指摘になったような問題は極めて我が国にとっては重要な問題だと思いますから、こうした問題は話し合わなければならぬというふうに思っております。  しかしながら、日朝会談の再開といいますか、日朝会談を行うに当たっては、私は、むしろ前提条件はつけなくていいのではないか。むしろ、何の前提も持たずに話し合いのテーブルについて、その上で我々にとって解明しなければならない問題があれば、その話し合いの中で解明をしていくということが重要なのではないか。解明できない問題が解明されなければ話し合いに入らないというのでは、これはますます問題は解明されないように私は思っているわけです。  確かに、この核問題というものは、日朝間で話し合うためには大きな障害の一つであったことは間違いがありません。この合意によって、我々の前に幾つかある障害の一つが少し動いた、あるいは取り除かれたということは言っていいことだと思います。  いずれにしても、体制が違う、あるいはいろいろな問題が間にあるとしても話し合うということは、私は、話し合うという作業を最初から否定していい状況ではないのではないかというふうに思っているわけです。
  186. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 私は、その問題についてはもうちょっと毅然として日本の今申し上げたような諸問題に取り組むべきだ、こういうふうに思っておりますが、日朝交渉の再開の見通しはどうですか。
  187. 川島政府委員(川島裕)

    ○川島政府委員 ちょっとこれまでの雰囲気を、簡単に事実関係を申し上げますと、今の時点では、私どもの方はいつでも再開に応ずる用意があるという立場でございますけれども、いろいろな接触等で得ている感触では、今のところ北はそんなには急いでいないという感触が今までのところは伝わっております。  ただ、それは米朝会談が妥結する前でございましたので、あるいはまずは米朝会談の解決に全力を注いでいたからかもしれないと思っております。この辺、ここから先、しばらく北の出方を見てみないと確たることは申せないと思います。
  188. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 時間がほとんどありませんが、ルワンダの問題について、質問通告もしてありましたので一点だけお伺いをいたしますけれども、機関銃一丁持っていっておりますね。あれの問題について、PKO協力法の枠内で扱うことになるのか。これは要するに、いわゆる個人の判断の枠で取り扱うのは難しい武器ではないか、こういうふうに思うのですが、その問題についてどのように考えるか、お伺いをいたします。
  189. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 お答えいたします。  現在ルワンダには、先生御承知のとおり、機関銃を一丁、七・六二ミリの機関銃を一丁持っていっているわけでございます。これ自体は、通常のケースにおいては二人で操作する、給弾と射撃ということで二人で操作するのが通常でございますが、指揮通信軍というような固定のベースの上に乗せる場合には一人でも操作が可能であるというのが実情でございます。  そこで、そういうような操作員が複数にわたるような場合に、国際平和協力法の二十四条の三項との関係でどうなのかという御質問だと思いますけれども、操作に複数の自衛官を必要とする武器につきまして、当該複数の自衛官が、生命、身体を防衛するというための武器を使用することが必要であるとそれぞれ各個に判断した上で共同して武器を操作し、使用することは理論上考えられるところであって、同条、二十四条三項でございますけれども、このようなことを排除しているものではないというふうなことで従来からお答えしているところでございます。
  190. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 最後に、今の機関銃の取り扱い、それからその責任の問題について大臣に、防衛庁長官に御意見をお伺いして終わります。
  191. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 急迫不正の場合に、正当防衛、緊急避難、そういうような場合に武器を使うということにおいては、私は違法性は阻却される、このように考えております。
  192. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    伊藤(英)委員 終わります。
  193. 神田委員長代理(神田厚)

    神田委員長代理 次に、小沢鋭仁君。
  194. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。  本日は、河野外務大臣並びに玉沢防衛庁長官に御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。私にとって初めての安全保障委員会での質問でございます。大変恐縮でありますが、そういったことからいたしまして、基本的なところをまず御確認をさせていただきたいと思います。  先ほど委員長さんに御了解をいただきまして、図表を配らしていただくことをお許しいただきました。時間が余りないものですから、図表を見ながら時間を節約して本題に入ってまいりたいと思います。「安全保障概念の整理」というタイトルをつけておりまして、私のつまらない本の中の一部でございますが、それに沿いまして、安全保障概念と我が国憲法の関係を確認をさせていただきたいと思うわけでございます。  お手元にお配りしていただいておりますから、中を説明することは省略をさせていただきます。そこにカテゴリーとしてありますように、「個別的自衛権」「集団的自衛権」「集団的安全保障」、さらには「地球的安全保障」、この四つのカテゴリーを出させていただきました。ちなみに、最後の「地球的安全保障」というのは、我が政治における師匠であります前衆議院議員の浜田卓二郎議員の概念でございますので、一言申し添えておきたいと思います。  そうした四つのカテゴリーを考えたときに、内容はそれぞれ私なりの理解で書かせていただきましたが、その三段目に「政府見解」というところがございます。当然ながら「個別的自衛権」は「具体例」としては自衛隊が該当し、マル、憲法解釈上もマル。「集団的自衛権」は、これは日米安保が該当し、「政府見解」としてはバツである。さらに「集団的安全保障」においては、いわゆる現行国連憲章四十三条による国連軍が該当し、ここは「政府見解」がクエスチョンである。さらに「地球的安全保障」というのは「具体例」として、後ほどまた御質問をさせていただきますが、常設国連軍、国連常設軍が該当し、これについての「政府見解」はクエスチョンである。そういう書き方になっておるわけでございますが、こうした点につきまして、河野外務大臣、この政府の御認識を確認させていただきたいと思うのでございます。
  195. 折田政府委員(折田正樹)

    ○折田政府委員 政府のこれまでの見解をまとめさせていただきますと、まず個別的自衛権でございますが、我が国が個別的自衛権、それから次の集団的自衛権でございますけれども、これを有していることは主権国家である以上当然であるということ、国際法上そうなんですが、我が国憲法は、独立国家に固有の自衛権は否定しておらず、自衛のための必要最小限の武力を行使すること、すなわち個別的自衛権は認められているということです。ただし、憲法第九条のもとにおいて許容される自衛権の行使は、我が国防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものと解されているので、集団的自衛権を行使することは、ここにバツとなっておりますが、その範囲を超えるものであって憲法上許されないということになっております。  それから、その次の国連軍、これはいわゆる国連憲章七章の国連軍だろうと思いますけれども、この国連憲章七章に基づく国連軍への我が国の関与の仕方、参加の態様については、現在研究中であってまだ明確に申し上げる段階にはないというのが政府の立場でございます。  従来から我が国憲法の解釈として、集団的自衛権を行使することは、憲法九条のもとで許容されている我が国防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないこと等を述べてきております。そして、その任務が我が国防衛するものとは言えない国連憲章第七章に基づく国連軍に自衛隊を参加させることについては、憲法上問題が残るところであるけれども、この国連軍はまだ設けられたことはありませんし、国連憲章第四十三条の特別協定についてもどんな内容になるかまだ不明である。さらに、四十三条に挙げている兵力、援助、便益の供与についても、それをどのように組み合わせて行うか、それを全部行う義務は必ずしもないのではないかと解されております。また、国際情勢も急速に変化しつつあるということでありますので、したがって、将来国連憲章の第七章に基づく国連軍の編成が現実の問題となる場合に、その時点で以上のことを総合して具体的な判断をすべきものだというのが政府の立場でございます。
  196. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 ありがとうございました。  またさらにこの議論は深めさせていただきたいと思っておりますが、今こうした御質問をしたきっかけでありますが、今の御答弁の中にもありましたように、国連軍、四十三条国連軍はいまだ存在していない、そういう御答弁がございました。しかしながら、私はたまたま話を聞き、調べましたところ、一九五四年だと思います、「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」というものが結ばれておるわけでございます。一般に地位協定と呼ばせていただきますが、この地位協定は現在も有効に機能をしているというふうに私は思っておるわけでございますが、この地位協定は有効に機能しているのか、機能しているということになれば、いわゆるそれが四十三条に該当する国連軍がどうかはともかくとしまして、我が国の中に国連軍が存在する、そういうことになるわけであります。国連軍の一部としても、我が国の中に現実に存在するという話になるわけでありまして、私はこれは、知っている人は意外と知っているのかもしれませんが、なかなか国民各位はそこまで知識を持ち合わせていない、それもあって質問をさせていただきたいと思います。  具体的には、地位協定は有効に機能しているのかどうか、もしそうであるならば、その国連軍は日本のどこにどのような規模でどのような機能を持って存在をしているのか、外務大臣、お願い申し上げます。
  197. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 事実関係にわたることでございますので、まず私から御答弁をさせていただきたいと思いますが、仰せのとおり、我が国は一九五一年九月八日の吉田・アチソン交換公文、これによりまして、サンフランシスコ平和条約の効力発生後、すなわち当時は朝鮮動乱が継続していたわけですが、平和条約の効力発生後も、朝鮮における国際連合の行動に従事します軍隊が日本国に滞留することを許し、かつこれに援助を与える義務を受諾したということが一つございまして、これとともに、一九五四年、これは今先生が御指摘の協定でございますが、一九五四年には、これらの軍隊が我が国に滞在する間の権利義務その他の地位及び待遇を規定する国連軍地位協定を締結した、こういうことでございます。それでその後、一九五七年七月には、東京の国連軍司令部、これがソウルへ移駐をいたしました。それに伴いまして、我が国には国連軍後方司令部というものが設立をされて現在に至っている、こういうことでございます。  したがいまして、先生おっしゃいますように、この国連軍後方司令部という形での在日国連軍というのは現在存在しておりまして、御指摘の国連軍地位協定は現在も引き続き効力を有して機能しておる、こういうことでございます。  続きまして、それでは日本国内のどこに存在していて何をしているのか、こういうお尋ねでございましたけれども、現在は国連軍後方司令部には司令部要員として四名が勤務をしておりまして、それから、国連軍地位協定締約国のうちの七カ国から派遣された軍人等から成ります連絡グループといいますか、リエゾングループに所属する三十四名の人がいる。そういう人たちがおりまして、それで国連軍後方司令部のもとに、我が国において、国連派遣国たる本国あるいは韓国にありますところの国連軍司令部とそれから在日国連軍後方司令部との間の連絡、こういうことに従事をしているということでございます。  具体的にどこにいるか、こういうことでございますが、国連軍地位協定第五条二項に基づきまして、現在、在日国連軍というものは次の七つの在日米軍の施設、区域を使用することができるということになっておりまして、七つを具体的に申し上げますと、キャンプ座間、ここに司令部がございます、後方司令部というものがございます。それからあとの残りの六つでございますが、横須賀の海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイト・ビーチ地区、最後の三つは沖縄にあるわけですが、この七つの施設、区域を利用することができる、利用をしているというのが現状でございます。
  198. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 そうしますと、その運営はどういう形でなされるのか。意思決定、運営のための、先ほども答弁の中でちょっと話が出ましたが、連絡グループというのでしょうか、私は八カ国合同委員会というふうに聞いておるのでございますが、そうしたものが存在しているのか、そしてそこが意思決定を行うのかどうか、そこについてはいかがでございましょうか。
  199. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 意思決定とおっしゃいます意味が、必ずしも私つまびらかにいたしませんが、先ほど申し上げましたように、後方司令部というものが置かれておりまして、これは本当にごく少数の司令部要員四人がいるだけ、こういうことでございまして、それでもちまして、この後方支援にかかわるところの連絡調整等の業務をやっている。つまり、端的に申し上げまして、実動戦闘部隊がいるというわけでは全くないわけでございます。  それから、今おっしゃいました合同会議でございますが、これは私、何を意味するのか必ずしも承知いたしませんが、先ほど申し上げましたリエゾングループというものがございまして、この代表たちが通常三、四カ月に一回程度の頻度で全く非公式に集まりまして、一般的な情報交換をしているということは耳にはいたしておりますが、そういう形で意思決定が行われているということではないんじゃないかというふうに思います。
  200. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 実動部隊ではないということでございますが、しかしながら、これから御質問をさせていただきたいと思いますが、有事が発生した場合、先ほど来いろいろな質疑の中で、北朝鮮の核問題については一区切りがつきそうでありますけれども、かえってそうした時期に冷静に有事における対応というのを考えておくことは極めて重要だろうと思います。その際、御案内のように、韓国には依然として国連軍があるわけでありまして、その後方司令部としての在日国連軍が日本にあるということでありますから、そうした観点で御質問をさせていただきたいと思います。  私は、これを質問をするに当たって一言申し上げたいのは、日本にそういった国連軍が存在しているということが決して悪いという意味で申し上げているわけではない。いわゆるそうした問題を遠い国の、あるいは遠い世界の話として考えるのではなくて、まさに身近な問題として、現に日本にそういう国連軍の司令部があるということでありますから、それを身近な問題として真剣に考えてみよう、そういう趣旨であることを踏まえた上で申し上げたいと思います。  有事が発生した場合、国連軍が例えば出動ということになった、その場合に、在日米軍はどういう関係を持つことになりましょうか。
  201. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 全く仮定の事態を想定した御質問だと思いますものですから、先ほど来御議論がございますように米朝間で暫定の合意に達した、こういうことなものでございますから、そういう状況のもとにおいて御質問のような、御趣旨はよくわかりますけれども、仮定の事態を想定して政府が公の場でいろいろ申し上げることはいかがなものかなというふうに実は思うのでございます。  ですが、全くの一般論として申し上げれば、もし本当にそういうことがあった場合は、それはやはり、そういう有事だというようなことであれば国連中心とする国際社会が検討の上適切な対応措置をとる、こういうことだろうと思いますものですから、それ以上にちょっと今の段階で具体的にお答えするのはいかがかなというふうに思います。
  202. 折田政府委員(折田正樹)

    ○折田政府委員 ちょっと法律的なことを一点だけ補足させていただきますと、国際連合の軍隊の地位に関する協定の公式の議事録というのがございまして、そこに、第五条に関して、「日本国政府が日本国において国際連合の軍隊の使用に供する施設は、朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵たん上の援助を与えるため必要な最少限度に限るもの」ということになっておりまして、この協定上は、国連軍が我が国の施設、区域を言ってみれば発進の基地として戦闘作戦行動に従事する、そういうようなことは全く想定されてないということだけ、ちょっと一点つけ加えさせていただきます。
  203. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 仮定の話をするなということでありますけれども、しかしそこをしっかりと詰めておかないと、いわゆる安全保障危機管理というものはできないのじゃないかと思うものですから、もう一点確認をさせていただきたいと思います。  先ほどはっきりしたお答えがなかったと思うのですが、国連軍が出動する場合に在日米軍はどう行動するのか。先ほどの話にもう一つ加えまして、その場合に日米安保条約というのがあります。しかしながら、日米安保条約七条だったと思いますが、国連憲章の優越という規定がございます。そうすると、国連でそうしたことが決議された場合は、日米安保条約、事前協議の話等を超えて在日米軍が出動するということは一切考えられないのか、そこのところをお答えいただきたいと思うのでございます。
  204. 折田政府委員(折田正樹)

    ○折田政府委員 全く一般論の条約解釈で申し上げますと、昭和三十五年六月二十三日発効の岸総理、ハーター国務長官の交換書簡というのがございまして、その三項に規定するとおり、国際連合統一司令部のもとにある合衆国軍隊による施設、区域の使用並びに同軍隊の地位は日米安保条約に従って行われる取り決めにより規律されるということになっておりまして、事前協議を定めている安保条約第六条の実施に関する交換公文その他安保関連取り決めは、国連軍の傘をかぶったとしましても、その米軍は、この交換公文に定める事前協議事項については当然日本との事前協議が行われることとなる、そのほか関連の取り決めが適用になる、そういうことでございます。
  205. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 わかりました。  それでは、さらにもう一点でございますが、そうした形で国連軍の一部があるということに対して、逆に、国内にそれがあるということで外部からの危険性ということが増すのではないか。ないより少なくてもある方がやや増すのではないかということが考えられるわけでありまして、当然ながら、そういったところに、国連軍の司令部に攻撃が加えられたときに自衛隊はどう対応するのか。防衛庁長官、お願いいたします。
  206. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 先ほど来のお答えでも申しているように、現在のような状況の中で、仮定の質問といえ攻撃を受けるというようなことはなかなか考えにくいということではございますが、これについて一般論として申し上げれば、我が国国連軍後方司令部があるということによって我が国に対する攻撃が何らかの理由下で行われたとすれば、それは当然に我が国に対する攻撃でございますので、自衛隊として我が国の自衛権の発動ということになることには間違いないということでございます。
  207. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 これまで質問をさせていただきましたが、一言ここで私の考えを述べさせていただきたいと思います。  今こうした質問をいたしました趣旨は、現に先ほど申し上げましたように国連軍の一部が日本に存在しているということによって、この問題を遠い世界の話ではなくて我々国民が身近な課題として真剣に考えなければいけないのではないか、そうした問題意識からでございます。  こうしたことを考えていきますときに、私は、冒頭分類で申し上げましたこれからの冷戦後の新世界平和秩序ということを考えた場合、そのあり方については、抽象論だけではだめなのであって、具体論に踏み込んでそれを議論をしていく必要がある。その新世界平和秩序の創設、よく言われる言葉でありますけれども、こうしたものの具体論を突き詰めていきますと、安全保障の話というのは極めて重要、そして私は、これから世界の向かっていく先が国連中心とした安全保障体制を整備していくということになれば、おのずからしてその理想は国連の常設的な部隊の設置であるというふうに思うわけであります。  そうした国連常設軍の議論でありますが、まだまだ日本の中では生煮えだと思います。しかし、こうした理想形を語らなければ政治は前に向かっていかないと思うものですから、そうした問題提起をさせていただきたいと思うのでございますし、そしてまた、こうした話をしますと、いわゆる専門家の人たちからはそんな簡単にできないんだというおしかりを受けることがややあるのですが、しかし同時に、私は、アメリカの安全保障関係の専門家と話をしたときに、私はこういう考え方を持っているんだという話をしたら、それはまさに日本が大いに言ったらいい、決してそれは素人考えではないんだ、そういう力強い励ましもいただいたわけであります。そういった点におきまして、私は、これから政府がこうした国連中心とした安全保障のあり方、さらに具体的に言えば常設軍といったものをしっかりつくっていこう、そして世界の新平和秩序を守っていこう、そういうことを大いに日本が発言をしていく必要があるのだろうと思うのであります。青臭い議論でありますが、そうした私の考え方に関しまして、河野外務大臣のお考えをお願い申し上げます。
  208. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 小沢議員がいろいろとこれまでの研究の成果を交えて御指摘、御発言をいただいたことに敬意を表したいと思います。  二、三感想を申し上げれば、在日国連軍についての御指摘は、随分大勢の人がそれについてはほとんど意識がない、小沢議員からの御指摘で、ああそういうものがあったかと初めて知ったという方が随分多いだろうと思います。そういう意味で、現実の問題を非常に細かく研究をされた御指摘には敬意を表したいと思いますが、その一方で、しかし、それが御承知のとおり一九五一年当時、つまり一九五〇年の朝鮮戦争以来の問題であって、それ以来の、関係者は朝鮮国連軍なんということを言ったりするわけで、今日言われている国連軍とは全く性格を異にしたものであるということもまたきちんとしないと、混同されて、かえって議論を混乱させることにもなるだろうと思います。  その点は非常に十分説明をされての御発言でございますから、この場の議論を聞かれた方はよくおわかりだと思いますが、これが非常に一部だけを取り上げられて、日本に国連軍がいる、しかもそれはあたかも実行部隊がいるというように喧伝をされるということは非常に議論を混乱させるというふうに思いまして、私どもも十分気をつけてこれらの問題について説明をし、発言をしなければならないというふうに思います。  いわゆる四十二条、四十三条、特別協定に基づいて編成をされるであろういわゆる、正規のといいますか、国連単とは少し性格を異にしたもの。つまり、昭和二十五年当時でございますか、朝鮮戦争下で編成をされた国連軍というものは、その後の世界情勢、特にスーパーパワーと言われた国々考え方がその後もこう変わってきておりますから、そうした状況になるかどうかということは私は極めて疑問だと思います。しかし、御指摘には敬意を表したいと思います。  それからもう一点、労作に掲げてございます地球的防衛体制と申しますか、今もお話しの防衛体制というものは、まさに一つの理想だろうと思います。そのためには、主権国家が軍事力をどういうふうにしていくかということがやはり前提としてなければならないと思います。しかし、多くの国々が軍事力を保持するために経済が疲弊して、つまり軍事力に多くの資金を使わなかった日本という新しい大変な経済力を持つ国の存在というものを見たときに、これまでのやり方は変えていかなければいけないという気持ちを強く持つようになるとすれば、あるとき、つまり軍事的な主権というものがだんだんだんだん軽んぜられるということはあるかもしれません。もちろん、軽んぜられるという表現は余りよくありませんが、それをむしろ国連とかそういうものに託すという状況が出てくるかもしれません。そういう時代を先取りされた御議論だというふうに私は思います。  最後に、もう一つ感想を申し上げれば、この手の議論、妙な言い方ですが、こうした議論はまさに日本がやれる議論、つまり非常な軍事力を持った軍事的大国にはなかなかできない議論でございますだけに、まさに我々が、軍縮でございますとか不拡散でございますとか、こういった地球的な規模、地球的な視野に立つ防衛構想といったようなものは、まさに我々が深く研究をし、時に提案をすべきテーマではないかという御提言は、私は全くそのお考えによく理解することができるということを申し上げたいと思います。
  209. 小沢(鋭)委員(小沢鋭仁)

    小沢(鋭)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  210. 神田委員長代理(神田厚)

    神田委員長代理 東中光雄君。
  211. 東中委員(東中光雄)

    東中委員 十月の十四日に高知県の早明浦ダム上流付近で米海軍のA6Eイントルーダー攻撃機が低空訓練をやって墜落をした。非常に大きな衝撃を与えております。この地域は、一九八〇年代の中ごろから非常にこういう超低空訓練が始められてきて、付近のいわゆる嶺北の五つの町村、本山町それから大豊町、それから土佐町、大川村、本川村ですか、これが被害の大きいのに非常に憤慨をして、本山町では九〇年の五月から超低空で入ってくる飛行機の記録をとり出しました。九〇年の五月二十五日から九〇年の間に五十三回、五十九機が超低空訓練をやる。九一年には九十一回、百十三機、九二年には百九十七回、二百四十七機、そして九三年には三百十八回、三百六十四機と、これだけ超低空でやるということで耐えられなくなって、九一年の十二月に、本山町、それから土佐町、大川村、本川村の首長が連名で要望書を外務省に出しております。  外務省はお受け取りになったと思うのですが、その要望書の中には、「早明浦ダムをはじめ、発電所、送電線等の公共施設と集材用架線が数多く存在し極めて危険な状態」にある。「家の軒、ガラスが揺らぎ、小・中学校、高等学校の授業や会議等が中断する、赤ん坊、入院患者が驚いて目を覚ましおびえてしかみつく、食事中には食物がのどにつまる、乳牛の出が悪くなる」。こういう状態ではどうにもならぬということで、中止方の要望を外務省を通じて、あるいは県を通じて出しておる。これは九一年の十二月ですが、九二年には、先ほど述べた五カ町村の村長が外務省までわざわざ出てきて、そして米軍の飛行中止要請をやっておる。こういう動きに対して外務省はどういう処置をとってこられたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  212. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 ただいまの先生御指摘のいわゆる米軍によりますところの低空飛行訓練、これにつきまして、かねていろいろな地域から問題が大きいということで私どもに要請なり御意見なりをいただいているということでございまして、ただいま先生が御指摘のものも、そのうちの一つでございます。私どもは、かねてからそういう御要望、御意見を踏まえまして米側とこの問題について話し合ってきておる、こういうことでございます。 一方におきまして、私どもは日米安保体制というものに依拠して日本の安全を確保する、こういうことを政策としているわけでございまして、これに伴いまして米軍のパイロットにとっての必要な訓練ということは、これは認めていかなければならない。  他方におきまして、今の先生御指摘のような、地元の住民の方々にいろいろな形での御迷惑がかかる、安全確保は大丈夫か、こういうことについては、これまたきちんと米側にも配慮してもらう必要がある、こういうことでかねてより話し合ってきているわけでございます。米側も安全確保、それから公共の安全に配慮すること、このことが極めて重要であるということは十分認識をしているということは申し上げられると思います。  先生ただいまおっしゃいましたが、地域によって、いろいろな障害物がありますとかそういう事情があるわけですが、こういう点は米軍も意識をしておりまして、そういう点は定期的に調査をして安全を確保する、人口の稠密地帯はなるべく避けてそういう訓練の実施に当たる、そういうことで意を用いてきているということは申し上げられると思います。  今回の事故につきましては、私どもも極めて遺憾に思っておりまして、したがいまして、米側に対しましては事故原因の究明、再発防止、こういうことに万全を期すように申し入れておりますし、そういう面での改善を図るために何ができるかということは、引き続き米側と話し合っていきたいというふうに存じております。
  213. 東中委員(東中光雄)

    東中委員 住民の要求は、米軍の超低空飛行について、いろいろ被害が出ているから中止要望をしているわけです。ところが、今外務省の言われているのでは、とにかく安全確保するというふうに、それを要請しただけだ。米軍側へ中止を要望するということも、したとも言われない、していない。  特に、先ほど言いましたように、九二年に外務省へ五カ町村の町長、村長が申し入れに来た。ところが、九三年には、先ほど言いましたように、一年間で三百十八回とうんとふえるのです。そして、三百六十四機、だから、もう連日のように来ているということになるわけですね。たまったものじゃないというので、今度は九三年の十一月に橋本知事が、わざわざ外務省を訪ねて、やっぱり中止を要望しているのですね。知事まで来た。そうしたらその後、九四年、ことしは前半はずっと減ったのだそうです。ところが、もう七月からずっとふえ出して、九月二十一。日現在で八十三回、百一機、二カ月の間にぐんとふえてきて、そして今度の事故なんですよ。  全く外務省は、こういう超低空の異常な訓練、現に被害が起こっているわけでしょう、北海道でおっこちたとき、あるいは奈良の十津川村で超低空でおっこちたとき、賠償もせにゃいかぬという問題があるわけでしょう、ところが、こういう異常な状態をただ安全要望と言うだけか。そしてこれは、今たまたま地上の人たちに被害がなかったけれども、もう百メーターで役場なんかのあるところまで飛散物が落ちているのですからね。こういう状態で一体外務省は、ただ安全をやってください、アメリカ側が安全を確保すると言っている、それだけで済ますつもりなのですか。ちょっと外務大臣、はっきりした姿勢を示してほしい。
  214. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 このたびの事故は、まことに遺憾なことでございました。亡くなられたのは米軍のパイロット二名と伺っております。この方々には弔意を表したいと思いますが、地元の村の方々が受けたショックは極めて大きかったというふうに伺っておりまして、我々としても強い衝撃を受けているところでございます。  ただ、議員にはよく御理解をいただかなければなりませんことは、我が国の安全というものをどうやって保障するかということについてもまた考えなければならない側面がございます。そもそも我が国の安全は、我が国自衛隊とそして日米安保条約と、これを車の両輪として我が国安全保障をいたしているわけでございます。共産党には共産党のお立場があって、これを御理解を願いたいというのはなかなか無理がと思いますけれども、しかし、我が国安全保障はそういう陣形になっているわけでございます。  そこで、在日米軍は在日米軍で、日本の安全のために日本に駐留をして、在日米軍として一朝有事の際にはその能力を十分発揮するための訓練というものも必要だ、こういう立場をとっているわけです。我が方といたしましても、日本に米軍がいて、いるにはいるんだけれども、何かあったときには訓練してないから役に立たないというのでは、これはどうにもならないわけですから、日本に米軍がいる以上は、何か事があれば一〇〇%その能力を発揮してもらうということは、我が方としても考えなければなりません。また、米側としてもそういうことは考えていることだろうと思います。したがって、訓練を一生懸命やるという向こうの立場は立場としてあると思います。  しかしながら、しかしながら、それは何をやってもいいというわけではないと思います。日本の国の法令に従って、善良な住民が法令に従って住んでいる以上、この法令に従って安全を確保してもらいたいというのは当然のことであろうと思うわけでございます。  先ほど来外務省、事務当局がお答えをいたしておりますことは、安全を確保することは村の方々にとってそれはもう何よりも大事なことでございますけれども、それは訓練をする側にとっても当然のことだと思います。そこで、安全確保の上には十二分に配慮をしてもらいたい、こういう申し入れをする、向こう側もそれはそのとおりだ、こう受けとめられる、こういう状況が一つあると思います。  ただ、議員がおっしゃるように、異常な低空飛行をやることはやめろ、こういう御指摘でございまして、これをどういうことを指してそう言うかというのはなかなか難しいわけでございますが、米軍側の説明によれば、低空で飛ぶという訓練は極めて訓練の上で重要な訓練なんだという説明はあるわけです。これは米軍側からすれば極めて戦略的といいますか戦術的といいますか、重要な訓練の一つである、こういうことを言うわけです。我が方としては、住民の安全というものは我が方にとって一番大事なことであるから、住民の安全というものは配慮してもらわなければ困るというやりとりをしているわけでございまして、この話し合いがここ数年来続けられておるというのが状況でございます。  私といたしましては、住民の皆様方の御意思、御意向というものを十分よく受けとめて、米側と引き続き話し合いたい、こう考えております。
  215. 東中委員(東中光雄)

    東中委員 在日米軍に訓練するなどか、訓練の必要性があるかどうかというようなことは、この場合問題にならないのです。在日米軍は、日本におる限り、それは安保条約と地位協定に基づいて来ているはずであります。地位協定では、米軍が日本の空、日本の主権を米軍として自由に使えるという場合、三つ地位協定では規定がありますね。第一は、区域、施設区域の使用、だから空域を排他的に使用するという訓練空域、これは告示をし、日本国内、領空内及び近隣の地域もやっています。そのほかは、今度は基地への出入りについての空の使用であります。あるいは、その航空の管理です。管制です。それも二条、三条で規定があるとおりであります。もう一つは、五条で、基地間のあるいは飛行場間のその移動と書いています。そういうふうに書いてあるわけです。この三つ以外は、領空については日本は主権を持っているんですよ。  ところが、この低空訓練というのは、先日、七月の米軍側の十津川のあの事故以来、四つのルートがあるというようなことが出ました。政府側は、四つのルートというのは固定しているものじゃない、変わるんだ、あるいは変化していく、そのほかにもあるという趣旨のことも言われました。ところが、こういういわゆる超低空訓練をやっておる区域というのは、今、四区域だけじゃない、至るところに起こってくる。  それが今度の場合もそうであります。これは、地位協定上の根拠がないんですよ。訓練をやるなら訓練空域でやればいいんです。訓練空域は、爆撃する、爆弾を落とすところだけじゃないんです。そういう答弁も外務省はしていますけれども、そうじゃありませんね。空戦空域あるいは飛行機による地上攻撃空域、三沢空域なんかそうですよ。  そういう訓練空域内での訓練じゃなくて、ほしいままに山間地の超低空で、そしてダムに向かって急降下する、こういうことを十津川でもやった。二回も材木用のワイヤを切った。今度もまた同じことなんです。吉野川に沿ってやっているわけです。こういう地位協定を逸脱した、異常な超低空、日本全土どこへでも、最近では、ルートで今まで出ていなかった中国地方の山間部、島根県で被害が起こっていますね。そういうところまで広がっていっている。北海道もルートの中に入っていないけれども、何回か被害が起こったりして大問題になりました。これは、日本全域でほしいままにやっている。こういうことをそのまま認めるというようなことは、私はあってはならぬことだと思うんです。  しかも、それは日本の航空法上の安全性確保の点からいうならば、非常に超低空だという状態になっています。こんなものを一般的に容認するということだったら、これはもうゆゆしい問題になる。  超低空の訓練について、米軍の空軍及び海軍の共用マニュアルでは、超低空の訓練というのは、その任務が「奇襲攻撃要素を獲得し、探知および妨害を避け、敵の防御効果を最小限にすること」、そのための超低空飛行操縦訓練をやるんだ、だから超低空任務での通常高度は地上から二百から五百フィート、要するに約六十メートルから百五十二メートルの間で飛ぶんだと。六十メートルといったら、それはもう本当に低いですからね。だから軒が揺れたり、窓ガラスが割れたりということが起こってくるんですよ。食事中の人が食事ができなくなると怒っているんです。こういうマニュアルでやっているんですよ。それを一般的に、河野さんともあろう人が、安全のために訓練が要るんだ、それを認めにゃいかぬと、こんなことを言っておったら、日本の空の主権は一体どうなるんだ、安保条約、地位協定さえ無視しているじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょう。
  216. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 先生から地位協定についてのお話がございましたので、私どもの考えを申させていただきたいと思いますが、安保条約が我が国の安全並びに極東の国際の平和及び安全の維持に寄与するために米軍の我が国への駐留を認めている、こういうことでございますので、米軍がこの目的の達成のために、飛行訓練を含めまして、軍隊としての機能に属しますところのもろもろの活動を一般的に行うということは当然の前提となっているというふうに私どもは考えております。  米軍によりますところの実弾射撃などを伴わない通常の飛行訓練は、地位協定上、必ずしも施設、区域の上空に限定して行うことが予想されている活動ではないということを、私ども従来申し上げてきているわけでございまして、施設、区域の上空外におきましてこういう通常の飛行訓練を行うということは地位協定上も認められているところであるというのが、私ども従来から申し上げてきているところでございます。  ですが、先ほど外務大臣の御答弁にありましたけれども、そうであるからといって、米軍が、おっしゃるように勝手気ままに何でもできる、こういうことを私どもは申し上げているつもりでは全くございません。そういう訓練をを行うに当たっては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動する、このととは当然のことであるということもまた、私ども従来申し上げてきているところでございます。     〔神田委員長代理退席、委員長着席〕
  217. 東中委員(東中光雄)

    東中委員 全然答えになりませんよ。地位協定では、基地内における訓練で日本の法律を否定するようなことはやってはいかぬというのは、地位協定の条文の中にありますよ。それは施設、区域の中でのことですよ。そんな、日本国じゅうどこへ行っても自由にやれる——大体、米軍だって米本国で、訓練空域以外のところで勝手にやるというようなことはないですよ。全部訓練空域を決めてやっていますよ。それは日本の自衛隊だってそうでしょう。こういう特別の訓練を訓練空域もなしに自由にやる、こんなことを認めるというんだったら、これはもう外務省、本当にしっかりしてもらわないと困る。日本の領空主権を何と思っているんだというふうに私は言わざるを得ないわけです。  時間がなくなってしまいましたので、ルワンダの関係で一言だけお伺いしておきます。  今度は機関銃を装備した指揮通信車が配備をされました。それで、PKO本部というんですか、国際平和協力本部事務局長鈴木さんが、「日本の任務は人道的なものだが、自衛のためには発砲する。自分の身を守ることはだれにとっても当然の権利だ」と、これはフランスのフランス通信、AFPに対するインタビューで言っているんですが、その質問の中で、「外国の救援関係者が暴力にさらされた場合、自衛隊はこれを傍観するか」という質問があったのに対して、「兵士であれ、市民であれ、すぐ隣にいる人が攻撃されそうになれば、その人を守るため立ち上がるだろう。そうした意味で、日本の派遣部隊の一員が攻撃に立ち向かう可能性を排除しない」というふうに述べだということがAFP電で伝えられております。  そこでお伺いするんですが、この間、十六日の日に、八二式指揮通信車がゴマ市内に衝突があるようだというので出ていったということがありますね。だから、ルワンダへ行って、機関銃を持っていって、そこで、その近くにいる外国の人たちあるいは市民であろうとだれであろうと、攻撃を受けているのがあればそれを守るんだと。どこかでやっておるから、そこへ駆けつけていくということはしないけれども、自分の出動するそこでそういう事態が起これは、それを守るために発砲するんだと。あそこの元政府軍が今難民の中にいる、相当の武装をしている、そういう連中が攻撃をしてきたら、それを守るために機関銃を撃つということになれば、それはPKO法の二十四条で言っている、自衛官が個人で守るために正当防衛的な行動をとるということとは全く違った、指揮車の中の機関銃、部隊としての発砲、向こうの発砲に対して発砲ということになれば、これは武力行使になりますね。  だから、この事務局長の見解はそこへ道を開く、あのPKO法二十四条の規定に反する拡大だというふうに思うのですが、その点をただしておきたいと思います、時間がなくなりましたので。
  218. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 武器の使用に関しましては、国際平和協力法の第二十四条によりまして、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、武器を使用することができる、こういう規定がございます。(東中委員隊員だ、隊員だ」と呼ぶ)はい。  同条は、国際平和協力業務に従事する要員の法令行為と申しますか、あるいは業務上の正当行為として武器の使用について規定しているものでございまして、その場合には、業務上の正当行為としての防護の対象としているのは、御指摘のように我が国の要員だけでございます。他方、この法律は、日本人でございますと外国人でございますとを問わず、他人の生命を守るために武器を使用したことが正当防衛または緊急避難に該当する場合には違法性が阻却される、このことまでも否定したものではないわけでございます。  九月十九日に確かに鈴木事務局長がインタビューにおいて答えでございます。先ほど先生大体御指摘があったような応答の要領だったようでございますが、この発言も、このような、今私が申し上げましたような考え方を踏まえまして、正当防衛または緊急避難に該当する場合には外国の援助関係者の生命を守るために武器を使用することは許される、この範囲の中でというふうに解釈しておりまして、このことにつきましては、玉沢防衛庁長官の方からも同趣旨の御発言があったというふうに承知しておりまして、その同じパターンの中の発言というふうに理解しておるわけでございます。
  219. 東中委員(東中光雄)

    東中委員 時間ですからやめますが、今のお話は緊急避難、正当防衛の問題じゃないんです。機関銃というのは個人じゃないんですからね、個人では撃てないのですから、特に指揮車に載っている機関銃、指揮通信車に載っている機関銃というのは。これはもう部隊としての行動になるんですよ。でしょう。だから、だれかを、攻撃を受けたのに対して機関銃でこたえると、これは応戦になるんですよ。そういう関係になると市民刑法的な、個人の正当防衛とか緊急避難とかの概念とまるっきり違うんだ。だからあなたも言うように、二十四条は隊員あるいは自衛隊員のそばにおる者を守るということで、外国はやらないというふうになっておるのですよ。職務行為以外に個人的な正当防衛で機関銃を撃つなどというようなことを考えること自体が、もうまるっきり現実離れしているのです。  これは、そういう形で部隊として派遣されて、部隊として戦闘行為にいってしまう、武力行使にならざるを得ないという点で、断じて許されぬことだということだけ指摘して、時間ですから終わります。
  220. 近藤委員長(近藤豊)

  221. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 まず、ルワンダ難民支援についてお尋ねをしますが、テレビなどで自衛隊現地ルワンダで大変御苦労されている様子を見ますと、頭が下がる思いがします。  この自衛隊ルワンダ派遣に先立ちまして、外務省は八月の二日から八月の十日までいわゆる第一次調査団を派遣していますが、今回のこの質問に先立ちまして、私は、昨晩でございますが、この第一次の調査団の報告書、読み返しをしてみまして、改めてびっくりした記述がございます。  紹介をさせていただきますと、「調査結果の概要」というところでルワンダ難民支援活動の全般状況がまず書かれております。その中で、  各国軍による難民支援活動に関しては、米軍が  UNHCRと調整を行いつつ、七百五十名の軍  人を派遣し一年後四千名に増強予定)、エンテ  ベにタスク・フォースを設置している他、ゴマ  では約三百名が空港整備及び水の供給、また、  キガリで空港運営、ハラーレ、ナイロビ、モン  バサで空輸及びロジ支援活動を行っている。更  に仏は、ルワンダ展開した部隊のうち五百名  がザイール国内でロジ支援及び医療支援を行っ  ており、ルワンダから撤退後も残留する予定で  ある。 こういう第一次の報告がございますが、これが出ましたのが八月の十一日でございまして、五年先、十年先のことならば、これはいろいろな事態の変化もあるでしょうが、わずか一カ月ぐらいの間に事態が随分大きく変わっておりますが、外務省として、どうしてこういう報告書が出てきたのか、経緯をお聞かせいただきたいと思います。
  222. 柳井政府委員(柳井俊二)

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の第一次の調査団の調査報告でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、確かにこの「調査結果の概要」というところの一の(三)というところで、ただいまおっしゃいましたような記述がございます。  これは八月の十一日付の報告書でございまして、この時点におきましてのいろいろな情報をもとにこのようなことを報告をしたということでございますが、その後、仏軍の撤退計画でございますとかあるいは米軍の撤退ということが決まって状況が変化していったということでございまして、この八月の第一次の調査団が行った時点で判明していた事実を書いたということでございます。状況は、その後変化したということでございます。
  223. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 状況がその後変化したというのはよくわかるわけでございますけれども、余りにも短期の間にかなり、ここで書かれておることと百八十度違う状況が起こっておるのではないだろうか。あるいは、防衛庁がいわゆる第二次調査団、八月の二十三日から二十七日でございますが、この報告書は、これは、やはり防衛庁は自分たちが行くわけでございますから、もう少しシビアな表現になっておりますね。例えば、「ゴマ市内において調査団一行も近くで銃撃が行われるのを見たことも考慮すればこというような表現もございます。  ただ、仄聞するところによれば、「ゴマ市内において調査団一行も近くで銃撃戦」という文字があった。ところが、「戦」という文字が入りますとこれはいかにも物騒ではないだろうかということで、できたら、これは空砲じゃないだろうか、いや、しかし空砲にしては土煙が上がったから、空砲で土煙が上がるはずもありませんから、これは「銃撃」という表現にとどめざるを得ないのではないだろうか、こういうようなやりとりがあったというようなことも聞いております。  私はこういう報告書の流れを見ておりますと、どうも外務省の方に一つの考え方がありまして、その考え方というのは、これは河野外務大臣国連総会でも演説をなさいましたけれども、やはり国連安全保障理事会の常任理事国入りということが念頭にありまして、そのために、カンボジアでもPKOをやったよ、それからザイールでもPKOをやったよ、それから現在ルワンダでもこうして難民救援活動をやっておるよ、こういう筋道がございまして、シナリオがあって、その中でどうしてもこういう報告書が出てきたのではないだろうかという気が私はするわけでございます。そう考えないと、外務省の情報収集能力というのは余りにもお粗末である、こういうふうな結論を出さざるを得ないわけでございますが、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  224. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 そういう説がございます。しかし、その説は正しくない説だと私は常に否定をしているところでございます。  ただ、前段の議員の御指摘、つまり第一次調査団の調査報告が違っていた、結果として間違いであった、あるいは間違いというか、状況の変化を読めなかったという点は事実でございまして、この点はまことに遺憾なことであったと思います。  ただ、どうも外務省が、常任理事国になりたいばかりに実績稼ぎをしているのではないか、こういう御指摘が時々ございますけれども、それは、正直そんなつもりが外務省にあるわけではございません。  ルワンダ難民につきましては、七月ごろから、もう国際的に見て恐らく今地球上で最も悲惨な状況というふうに伝えてきておりました。現に、UNHCRの緒方さんは再三にわたって私どもに連絡をされまして、ぜひこの惨状というものに正しい評価をしてほしい、これを看過できないではないかということを繰り返し伝えてこられました。  実は私も、夏のASEANの外相会議に参りましたときに、各国の外相が一堂に集まった総会の席上で、このルワンダ難民問題というものは我々人道的な側面から見て絶対看過できない、こうした点について我々が黙ってこれを見過ごすわけにはいかないだろうということを発言をしたことがございますが、だれが見てもあの惨状というものには手をかす必要がある。ただ、それはもちろんいろいろ条件があって、前提もありますけれども、まずは人道的な面から考えれば何とかしてやりたいと思うのが私はむしろ正しいのであって、目をつぶって知らぬ顔をして、危うきに近寄らずで横を向いて通り過ぎる姿勢は、私は褒められる姿勢ではない。  しかし、さはさりながら、やはり我が同胞がそこへ支援活動に行く以上は、安全であるかどうか、あるいは近隣諸国からそれが正しい正当な活動であるかどうか、何か内戦の一方だけを応援しているというふうになるのではないかといったようなこともございますから、これはやはり調査をして、それが内戦の一方を支持するあるいは騒ぎをそれによってかえって大きくするようなことはないかというようなこともしっかり調査をしてこなければなりません。  あるいはまた、今度の場合にはザイールに出かけていくわけですから、ルワンダ難民が行っているところ、ザイールに出かけるわけですから、ザイールという主権国家がそれを認めてくれるかどうかということも含めて調査をしなければならないわけでございます。その幾つかの調査の一つ、アメリカやフランスが一体どういう体制でこの支援に臨んでいるかということを見るということも大事なことでございますから、情報収集をした結果、第一次調査団の報告はああいうことになったと思います。  いずれにせよ、御答弁を申し上げるべきは、そうした実績を稼ぎたくて行っているのではなくて、むしろ人道的支援というものをやはり我が国としてもやるべきだという純粋な発想でこの作業が行われているということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  225. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 今さら私が言うまでもありませんが、やはり情報は外交において命でございますから、あるいは当初からそういう状況が入っておれば、機関銃一丁、二丁だという不毛な議論がなかったかもしれません。これはとにかく政府派遣をしました第一次の調査団、スタートのところでございますから、その報告の意味合いの重要性というもの、これは大いに認識をしていただきたい。外務省については、今後も情報の精度を高めることに一層の努力を払われるようにお願いを申し上げます。  続きまして、PKO部隊の訓練、トレーニングについてお尋ねを申し上げます。  先ほど五島正規委員からの質問にもございましたけれども、PKO部隊のトレーニングですね。特にこれは、ちょうど河野外務大臣もいらっしゃいますけれども、河野外務大臣が、九月二十七日の第四十九回国連総会における一般討論演説、なかなか格調の高かった演説でございますが、この同じ日、ドイツのキンケル外務大臣演説をしております。  このキンケル外務大臣演説の中で、私は耳を傾けるに値する一つの提案があったと思います。私の翻訳でございます。つたない訳でございますけれども、「多くの国では軍の訓練は伝統的な軍の任務に基づいている。平和維持任務のうち、あるものはそれとは全く違った種類の訓練を必要とする。ブルーヘルメットのために各国が行う準備に関しては、国連がかなりの部分を調整する必要がある。このために必要なのは共通の訓練指導、ガイドラインである。国連はまた独自に訓練施設をつくる必要がある。共同訓練や共同演習は信頼醸成のためにも重要なステップである。」  私の訳でございますけれども、こういう提案があったということでございますが、防衛庁長官、先ほどの五島委員の質問も受けまして、この提案、自衛隊もそういう必要を感じておるかどうかということ、御答弁をいただきたいと思います。
  226. 佐藤(謙)政府委員(佐藤謙)

    ○佐藤(謙)政府委員 お答え申し上げます。  国際平和協力業務の実施につきましては、先生御案内のように、基本的には自衛隊がこれまで長年にわたって培ってまいりました技能であるとか経験であるとかあるいは組織的な機能を活用して行うわけでございますが、今お話ございましたように、その中には、我が国防衛には見られない専門的な部分があることも事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、この国際平和協力業務を今後とも適切に実施していくために、より充実した教育訓練の体制の整備ということに取り組んでまいりたいと思っているところでございます。  そこで、今御指摘のございましたPKOに対する訓練ということで、このキンケル外相の演説の中に、共同訓練及び演習は信頼の醸成において重要なステップとなるものであると今お話がございましたが、こういう問題につきましても、今申し上げましたような考え方の一環といたしまして、関係省庁とも十分調整をし、また派遣実績等も踏まえながら、必要に応じ検討していくべき今後の課題であると私どもも考えているところでございます。
  227. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 時間がありませんので最後になりますが、今防衛庁から私は前向きな御答弁をいただいたと理解しておりますが、河野外務大臣、キンケル外相はEC議長国としての発言だと思いますので、日本がこれに向いて協力の姿勢を示すことによって事態が動き始めると思いますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  228. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 今防衛庁から御答弁ございましたように、一つのアイデアであろうと思います。  これは防衛庁に伺った方が正確だと思いますが、防衛庁も日本の自衛隊も、PKOに出ていく前に、たしかスウェーデンかどこかへ行ってトレーニングの仕方を見てきたというような実績があったと思います。これらはどういうふうに具体化していくかということはちょっと別として、キンケル外相の述べられたお考えというものはよく検討してみる価値のあるものだというふうに思います。
  229. 海江田委員(海江田万里)

    ○海江田委員 これで終わります。ありがとうございました。
  230. 近藤委員長(近藤豊)

  231. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 岡山一区選出の新人の衆議院議員の熊代昭彦でございますが、我が国安全保障国連の役割の関係を中心に質問をさせていただきたいと思います。  我が国安全保障にとりまして、あるいは我が国ばかりではなくて世界各国安全保障にとりまして、国連の役割が非常に大きくなってきたというのは御承知のとおりでございます。国連安保理決議がなければ、例えばある国が他国を救済するというような名目のもとに介入をしたとしても、それは正当性が肯定されない、そのような状況になってまいりました。国連安保理決議というものが非常に大きな意味を持ってきたというふうに感ずるところでございます。  一つの理想的なビジョンといたしまして、例えば世界連邦ができまして、独自の軍備を持つ、各国は武装解除をするというようなことになりますと、我が国の平和憲法のようなことになるわけでございますが、そういうことも全く夢物語ではない、ほの見えてくるようなことになります。  御承知のように、国際連合と訳しておりますけれども、これはユナイテッドネーションズでございまして、世界連邦と訳してもおかしくはない。ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカがアメリカ合衆国ですから、同じようなことですね、ステーツとネーションというのはほぼ同じ意味でございますので。そういうことでございまして、国際連合と訳せば国の間というような感じに何となくなりますけれども、客観的な機能が変わってくれば非常に事態が変わってくるのではないかということでございます。  こういう中で、我が国の専守防衛我が国の軍備は我が国防衛のため以外に使わない、しかも実際問題としまして、我が国防衛という名目にいたしましても海外に自衛隊派遣することはない、こういう原則は、現実的な意味におきましては世界最高の平和主義であるというふうに思います。これ以上の平和主義はないわけでございまして、もし各国がすべてこういう原則をとれば、少なくとも国境間の争いは起こらないということでございます。我が国国連安保理常任理事国入りが問題になっておりますけれども、こういう我が国の現実的な最高の平和原則を世界の指導原則にする、そういうリーダーシップをとれる一つの原則であると思います。  ただし、ただ一点を修正しなければならないかなという感じがいたします。私自身国連の小さな機関でございましたけれども、ニューヨークに三年間行っておりました。働かせていただいておりまして、ある雰囲気を経験して帰りました。その修正を施さなければならない点というのは、国連決議をいたしまして、平和秩序回復のための武力行使をする、そういうことを各国に促したというときに、武力行使は我が国はできませんということは、論理的にはやはりおかしいのではないだろうかということでございます。  しかし、我が国がそういう国是をとっているというのは、かつて我が国が非常に大きな侵略行為、すべてが侵略戦争だとは言えないと思いますが、侵略行為をいたしたということがございました。その深刻な反省の上に立っているわけでございまして、いわば歴史的な反省と、そして現時点では国民感情ということでございます。この国民感情が理論的な帰結をしっかり受け入れるように変わっていけば、我が国の平和原則、現実的な平和主義というのは世界の指導原理になり得るというふうに思うところでございます。このような考え方を背景に、少し具体的なことを御質問させていただきたいというふうに思います。  初めに、安保理常任理事国入りの問題についてでございますが、国連で外相が常任理事国入りについての意思を表明された、強い希望を表明されたわけでございますけれども、具体的には今後どういうスケジュールで、あるいはどういう手順でこの常任理事国入りは実現するものであるか。すべてが確定的ではないでございましょうけれども、未確定の部分はおよそこういうものだということで結構でございますので、御説明をお願い申し上げたいと思います。
  232. 柳井政府委員(柳井俊二)

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  今後の手順、日程等でございますが、御承知のとおり、この安保理改組の問題につきましては、昨年の総会でいわゆる作業部会というのが設けられたわけでございます。この作業部会は今後とも引き続き存在し、そこでの議論を続けていくということになっております。また、恐らく今後は作業部会以外にもいろいろな非公式な意見交換が行われることになろうかと思います。  これまでの作業部会議論あるいは今次の総会での議論を見ますと、日本とドイツが常任理事国になるべきであるというような意見を表明した国が相当数に上っております。公式な発言で約五十カ国以上になりますが、ただ、御案内のとおり、大臣からもいろいろな機会に御答弁ございましたけれども、この安保理改組の方式につきましてはいろいろな意見がまだございまして、例えば先進国と開発途上国との間のバランスをとるべきであるとか、あるいは各地域の代表を入れるべきであるとか、さまざまな意見が出ているわけでございます。したがいまして、今後ともまだいろいろ議論には紆余曲折があると存じます。  我が国といたしましては、こういう問題は、一つの契機が出てまいりましたときにそれを失うことなく結論を出すべきであろう。一つのきっかけといたしましては、明年の国連創設五十周年というものを念頭に、明年には何らかの合意の方向を見出すように努力をすべきだということを、せんだっての大臣演説でもおっしゃっているわけでございます。また、そういうことを主張している国も相当数ございますが、ただ、必ずしも来年中に首尾よくその合意が得られるかどうかという点については、まだ不透明でございます。  それから、手続の点でございますが、御承知のとおり、常任理事国を増加するという場合には当然国連憲章の改正が必要になるわけでございまして、憲章の改正は、総会の構成国の三分の二の多数で採択をいたしまして、その後、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む加盟国の三分の二によって各自の憲法上の手続に従って批准されたときにその改正が効力を生ずるということになっております。  過去、余り多くはございませんが、何度か憲章が改正された例がございますが、一九六五年の憲章改正のときには、改正案が採択されてから実際に発効するまでに約一年八カ月かかっております。それから一九七三年の憲章改正のときには、やはり決議の採択から発効まで一年十カ月ほどを要しております。六五年の改正は安保理理事国数の増加等をした改正でございまして、また、七三年の改正につきましては経社理の理事国数を増加したものでございます。  したがいまして、今後の改正の批准に改正が合意された場合にもどれぐらいかかるかという点は、推測の域を出ませんけれども、過去の改正の例を御参考までに申し上げた次第でございます。
  233. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 ありがとうございました。  次に、安保理の常任理事国は、それ以外の国と比べまして、国連の中においてどのような権限や義務があるか、どう違うかということでございますが、具体的に教えていただきたいと思います。  また、情報へのアクセスとか、国連内で国連の方針を決める、そういう中でのリーダーシップをとる上でいかなる重要性があるのか、そういう点についてお教え願いたいと思います。
  234. 柳井政府委員(柳井俊二)

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘の諸点でございますけれども、現行の国連憲章を見ますと、安保理の常任理事国、それから安保理の非常任理事国、さらにはその他の一般の国連加盟国との間で、その法的義務という観点から見ますと基本的に差異はないというふうに言えると存じます。  ただ、安保理常任理事国機能と申しますか、それにつきましては若干の特別な地位があることは事実でございまして、そういうものといたしましては、例えば拒否権を持っている、あるいは軍事参謀委員会を構成するというような地位があるということは言えると存じます。  それから、これは憲章上のことではございませんけれども、慣行といたしまして、安保理常任理事国は、PKOの分担金につきましては通常の分担金の分担率を超えた追加的な負担を行っております。例えば米国の場合でございますが、現在通常の分担金は二五%でございますけれども、PKOの分担金につきましては約三一・七%を負担しております。この分担金につきましては、時々改定が行われますので今後変わってくるかもしれませんが、慣行としてはそういうことはございます。  それから、常任理事国になった場合どのような利点があるかという点でございます。  一つは、御承知のとおり、安全保障理事会は、国連で他の加盟国を拘束するような拘束力のある決定を行うことができる唯一の機関でございます。そういう、特に国際の平和と安全に関しましてそのような重要な決議を採択するところでございますが、実際の運用を見ておりますと、やはり重要な問題が起こりましたときには、まず常任理事国間で相談をいたしまして、大体そこで方向を決める、しかる後にほかの非常任理事国に相談をするということでございまして、常任理事国であれば、そこで自国の主張というものが反映できる、安保理の決定に反映できるという立場に立つものと思います。  また、情報という面で申しますと、そういう形で当然に重要問題についての協議にあずかりますので、非常に早い、また的確な情報が得られるということも事実であろうと思います。
  235. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 常任理事国は、いち早く会議をして、情報を共有しながら国連のリーダーシップをとれるというお話でございました。そういう意味でも、ぜひ積極的に常任理事国入りについては御努力をお願い申し上げたいと思います。  義務としては他の国と変わりはないわけでございますけれども、平和秩序回復のための武力行使に国連決議した場合にも参加できないということについては、どういうマイナスが考えられるか。現実には、中国もソ連も今まで参加してないように思いますが、そのあたりの実態とともに、御説明をお願い申し上げます。
  236. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 ただいま政府委員から申し上げましたように、常任理事国であろうとなかろうと、憲章上の義務については差異はないというのがまず基本、ベースだとお考えをいただきたいと思います。  今御指摘の平和維持活動、あるいは湾岸戦争当時の多国籍軍とか、そういったものへの参加について義務があるかどうかというお尋ねでございますが、これらは私ども、注意深く調査もいたしておりますし、問い合わせもいたしておりますが、これらを義務づけられることはないということでございます。また、他の加盟国に比して特別の要請を受けるということもない。これは、先般日本にも参りました国連のブトロス・ガリ事務総長も、常任理事国は国連平和維持活動の設置の決定に参画をするけれども、設置されたPKOに参加するかしないかは別の問題だということを明確に述べておられます。
  237. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 どうもありがとうございました。  かつてソ連も、今ソ連が存在しないわけですが、かつてのソ連、それから中国、いずれも多国籍軍の参加が要請されたときに参加しなかったというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  238. 柳井政府委員(柳井俊二)

    ○柳井政府委員 いわゆる湾岸戦争のときに編成されました多国籍軍には、中国もロシアも参加しなかったというふうに承知しております。たしかあのとき、いわゆる国連が多国籍軍に武力行使を容認する決議をしたわけでございますが、そのときに、中国は棄権をいたしましてロシアは賛成をいたしましたが、いずれの国も部隊を送るということはしなかったという事実がございます。
  239. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 どうもありがとうございました。  ただ、冒頭に申し上げましたように、他の国の平和秩序回復のための武力行使は正しいと是認するけれども、自国がそれを使うことは正しくないというふうには言えないと思いますね、論理的には。論理的には言えませんで、それを現在できないということは、やはり国民感情の問題でありまして、歴史的な反省の上に立っているということでございまして、私は、現在はそのままで結構だというふうに思います。それが国民の大多数のコンセンサスであろうというふうに思うわけでございます。  しかし、論理的に一貫しないという政策を世界の指導原理として推進していくということもまた難しいことでございまして、国民のコンセンサス、感情がどのように動くかということを今後注意深く見守りながら、やはり世界の一員としましてやっていくというために必要な論理的な帰結というものを尊重すべきではないかというふうに私自身は考えるところでございます。  我が国憲法の前文、御承知のとおりでございますけれども、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」ということでございます。自国の防衛を当然やる、自国のことは自国で守るというのは当然でございますけれども、それとともに「諸国民の公正と信義に信頼」するということでございますので、自国の力に余るときには諸国民の公正な武力行使に期待するということでございます。  こういう前文がございまして、憲法九条の解釈でございますが、細かい点でいろいろ解釈がございますけれども、趣旨をやはりしっかりと認識しなければいけないんじゃないか。  我が国我が国の利害のために、利益のために、たとえ防衛の目的であっても海外に一兵たりとも送らないということは、最高の平和原則でございます。我が国我が国の利益のために、あるいは我が国の主権の発動としては送らない。しかし、国連国連として、平和秩序回復のために武力を行使する、これも十二分にチェックしなければならないと思います。過剰介入があってはならないし、正義の名のもとに民族の自決を阻害するようなことがあってはならないと思いますけれども、そういうことについては日本は極めて平和的なリーダーシップをとれると思います。そういう極めて厳密に解した上で、今後私どもは、現在の憲法の前文及び九条の趣旨、解釈に照らしても、近い将来か遠い将来か知りませんけれども、いっか論理的に正しい結論にたどり着くべきではないだろうかというような感想を持っております。  外務大臣防衛庁長官、この問題についての現在の政府の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  240. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 熊代議員の御見識を拝聴いたしました。  私は、現実の問題を少し申し上げたいと思いますが、国連に参りましていろいろな各国の代表の演説なども伺いました。それから、常任理事国と言われる五カ国のさまざまな政策についても伺いましたけれども、私は、やはり今、何といっても一つは究極的な核廃絶、これに向かってやはり世界は進まなければいけない、そのために日本は相当な役割、イニシアチブをとる必要があるのではないか、と同時に、通常兵器についても、これについてもっと高い関心を持つ必要があるのではないかという感じがいたします。  このザイールに行っております自衛隊の基地の近くで銃撃があった。それは何が原因だといったら、バナナを盗んだからだというのですけれども、これは笑い事では済まされないので、バナナ泥棒があったからといって銃撃がなされるということは、いかに安易に重大器というものが移転しているか、もうどこにでも自動小銃のたぐいを持っている人聞がたくさんいるということがこうした問題につながるわけでございます。アメリカは今ピストルを何とか禁止しよう、銃砲の売買の制限をしようといって大変な議論をして、一歩前進、二歩前進、こうしているわけですが、国際的にもこうした問題が十分議論される必要があるのではないか。  もっと今度は身近に言えば、我が国国内も、ややもするとピストルのたぐいがよく事件の中に出てくるようになった。これらについても、我々は安易な取り組み方をしてはならぬというふうに思うのです。小さいところから国の主権に関する部分、さらには国際的に見てこうした点にもっともっと我々はセンシティブになる必要があるし、そういう考え方で進んでいく必要があるのではないかというふうに私は考えているところです。
  241. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 委員の御見識を承りましたが、多国籍軍について自衛隊が参加するかどうかということについては、やはりその目的・任務が武力行使を伴うものであれば、我が国がこれに参加することは憲法上許されないものと解します。  また、国連憲章第七章に基づく国連軍への自衛隊の参加という問題につきましては、その国連軍が国際連合が創設をされましてからいまだに設けられたことはない、こういうこともありまして、憲法上の問題も含めましてこれは今後の検討にまつべきものである、このように思います。
  242. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 ありがとうございました。  核兵器のみならず通常兵器のコントロールにも目配りをしていくべきであるという御回答もいただきました。通常兵器の中での重大器のみならず、小火器の方がもっと人を殺しているという話もございます。それで、現在の常任理事国は御承知のように最も武器を輸出している国々でございますので、我が国が常任理事国入りをしまして、平和の理念のもとにリーダーシップを発揮するということが世界の平和のために非常に重要なことであるというふうに思いますので、ぜひよろしくその面で御努力をお願い申し上げたいと思います。  時間も限られてまいりましたが、次に、ルワンダとモザンビークに派遣されております自衛隊の現在の活動状況につきまして御説明を願いたいと思います。どういう機能を果たしておられるとか、あるいはいろいろこういう問題があるとか、全般的な状況を御説明いただければ幸いでございます。
  243. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 自衛隊が現在PKO活動派遣している部隊、あるいは人道的な救援活動派遣している部隊でございますが、一つは、先生御指摘のとおり、モザンビークの派遣輸送調整中隊でございます。現在、第一次及び第二次モザンビーク派遣輸送調整中隊と同様、四十八名から成る第三次のモザンビーク派遣輸送調整中隊が、国連平和維持活動としまして国連モザンビーク活動、ONUMOZへ派遣され、本年六月中旬に第二次中隊から業務を引き継ぎまして、現在業務に従事している。第三次中隊は、一次、二次の中隊と同じように、人員、物資等の送り出しや受け入れ等に係るいわゆる輸送調整業務を、モザンビークの空港、港湾等で実施をしているところでございます。  それから二番目が、現在話題になっておりますルワンダ難民救援隊及び空輸派遣隊でございます。人道的な国際救援活動としての初めての派遣でございまして、ルワンダ難民救援隊及び空輸派遣隊として、ルワンダ難民救援隊につきましては約二百六十名から成る陸上自衛隊ルワンダ難民救援隊、現在まだ今月末に出発を予定しております約四十名がおりますので、それを除きまして、現在のところ二百二十名が現地展開を完了しているところでございます。  そして、先ほど申し上げましたが、一つには医療業務を実施しております。これは、国立ゴマ病院において、難民キャンプから送られてきた患者に対する手術を含む措置及び州立の衛生検査場における細菌検査等を実施しております。また、難民キャンプに開設しておりますが、NGOの簡易診療所でありますとか野外病院等の支援も、UNHCR等から要請があった場合に可能な範囲で実施しているところでございます。なお、防疫業務につきましては、難民キャンプにおける消毒剤の散布活動等を実施しておるところでございます。  それから、給水業務でございますが、これは、ルワンダ難民のための浄水の実施ということで二十日よりスウェーデンのチームから引き継ぐということのほかに、逆浸透装置等をもちまして自隊のための浄水等を実施しているところでございます。  なお、空輸派遣隊航空自衛隊でございますけれども、今月の初めからナイロビゴマ間においてC130H型輸送機で運航を開始しまして、救援隊のための補給物資の空輸等を行っておるということのほかに、その余力の範囲内でUNHCR等の要請に基づく人員空輸も行っているところでございます。
  244. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 ありがとうございました。  最後に一つだけお伺いいたしますが、ルワンダ難民救援のための自衛隊派遣につきまして、携行武器は先ほどからもいろいろ議論されておりまして、機関銃二丁が一丁になったとか、一丁でも機関銃を発射するのは云々とかいうことがございましたけれども、やはりこれも趣旨で理解すべきだと思います。我が国我が国のために軍隊を海外に派遣するというのが一番いけないことでございまして、大きな枠組みで見れば、これは国連の意志のもとに派遣されていることは明白でございますから、そういう観点に立ちまして、やはり武器の数が非常に少ない、ぎりぎりであるということは、調査した相手が、これはそんなに手ごわい相手ではないということで攻撃される可能性があると思います。ですから、もう少し専門的に、今回の決定は今回の決定で結構でございますけれども、今後の問題といたしまして、もう少し専門的な観点から、余裕のある体制の武器を持って、しかもそれを使わないで済むようなそういう体制をしっかり組んでいただきたいということをお願い申し上げて、一言御答弁いただければ大変幸いだと思いますが、質問を終わらせていただきたいと思います。
  245. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 人道支援活動でございますから、安全を確保しながらその目的を達成するということが最も大事である、こう思うわけでございます。  そこで、今回の場合におきましては、例えば私が心配をいたしましたのは、ザイールゴマにおいて旧政府軍がどのような体制でいるか、これが武器を持って割拠しているか、こういうことが関心の的であったわけでありますが、実際に行ってみますと、ザイール当局によりまして武装解除がほぼ完全に実施をされておる。小銃、手りゅう弾を隠し持っているということもあるかもしれませんが、まあ、これが自衛隊業務を阻害する、安全面において大きな障害になる、こういうようなことはないというふうにも判断をいたしたわけでございます。  それからまた、治安面におきまして、いろいろな個々の問題点がありますけれども、空港警備を行っておりますところのザイール当局からは、自衛隊業務達成については十分なる支援体制を組む、こういうことをザイール大統領からもお約束をいただきまして、これが実行に移されておるわけでございます。  したがいまして、人道支援ということでございますから、あくまでも助ける側の方、難民の方々に襲われるとか攻撃されるとかということ青前提にして行くものではないということを明確にしまして、それでもなおかつしかし、個々の治安の問題等もございまして、安全には万全を期さなければいかぬ、万が一のことを考えまして小銃、けん銃のほかに機関銃を一丁、こういう判断で派遣をいたしたわけでございます。
  246. 熊代委員(熊代昭彦)

    熊代委員 ありがとうございました。これで終わります。
  247. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 中谷元君。
  248. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 日米安保関係について質問させていただきます。  先週の十月十四日ですけれども、午後二時三十六分に高知県土佐郡大川村の早明浦ダムにおいて米海軍のA6攻撃機が墜落いたしまして、米国乗員二名が死亡するという事故がありました。それから一週間たつわけでありますけれども、アメリカ側から地元や住民、マスコミ、自治体に対して事故の模様等の説明がなされておりません。この墜落現場は、大川村役場からわずか一キロ近くの学校とか民家の近くにあるところで、地元にもかかわらず、捜索については米国が中心になって、地元の警察とか消防団とかマスコミは遠くを取り巻いて、ほぼ情報からシャットアウトされた状態になっておりますが、全くこの情報とかアメリカ側のコメントが入ってきていないのが現状ですけれども、外務省として今回の事故をどのようにとらえ、そしてどのように認識をされているのでしょうか。
  249. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 私から先に事実関係を申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもは、この事故を非常に重く受けとめております。  十四日にこの事故は起こりましたけれども、十五日に私からは、在京米大使館のデミング公使に対しまして遺憾の意を表明しますとともに、事故原因の究明、それから再発防止、これに万全を期してもらうように申し入れをしたところでございます。  ただいま先生おっしゃいました調査でございますが、これは私どもの理解では、現在進行中であるということでございます。いつまでに調査が完了するかというようなことは、目下私ども申し上げられませんけれども、アメリカ側として鋭意この事故原因の調査に当たるというふうに私どもは理解をいたしておりまして、それでその結果につきましては、アメリカ側はこれを当然公表するというふうに私どもは理解しております。もちろん、軍にかかわることでございますから、先生十分御承知のとおり、運用にかかわる部分とかそういうことで公表できないということあるいは部分はあるかもしれませんが、いずれにしましてもきちんとその結果を公表してもらいたいというふうに私どもは思っておりまして、米側もそのつもりとは思いますけれども、今後もアメリカ側とそういうことで調整をしていきたいというふうに思います。  それから、現場でのお話がございましたけれども、これは私どもの理解では、事故現場におきまして、米軍と、それから警察あるいは消防との間で協力して事故処理に当たっているというふうに理解をいたしておりまして、地元警察などが排除されているというようなことはないのではないかなというふうに理解をいたしております。
  250. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 湾岸戦争のときなどは、アメリカの将校が出てきて、中間報告で刻一刻その状況世界に対してPRしていたわけでありますが、日本で起こった事故でございますので、当然外務省としても、安保条約を結んだ所管の官庁であるということで外務省にも責任があるというふうに思います。  しかし、アメリカのコメントがとれない、謝罪すらないというのは、地元市町村、県としても、抗議をしているのに抗議のしかいかないということでありますけれども、アメリカ側の反応及びコメントはいつごろ、どのような形で求められるのか。それはもう外務省に要求するしかないのですけれども、その点についていかがでしょうか。
  251. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 調査の件は先ほど申し上げたとおりでございますが、今先生がおっしゃいました、とりあえず、米側としてどういうふうに本件を考えているかということが地元の皆さんを初めほかの人にわからないではないかという先生の御指摘につきましては、米側に伝えたいと思いますす。
  252. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 しかし、問題はその後の対応なのです。  きのうなんですけれども、この同じ事故のあった上空を米軍の戦闘機がまた低空飛行をしている、こういう事実がございます。昨日の午前十一時三十分、F18ホーネットらしい米軍機が現場を山よりも低い位置で低空飛行をしたということが、現場の住民から目撃されて報道をされたわけでありますけれども、全く今回の件について反省の色が見られていないわけでございます。地元としても強硬に抗議をしておりますけれども、この点について外務省はどのように状況を把握され、お考えを持っているのでしょうか。
  253. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 先ほどから政府委員が御答弁申し上げておりますことに尽きるのですが、中谷議員、地元の皆様方との密接な話し合いの上に立ってのお尋ねでございますが、米側に反省の色がないのではないかというお尋ねですが、我々としては米側に対して、地元の受けたショックといいますか、これまで受けているもろもろの影響というものについては説明をいたしております。さらに、米側としては貴重な人員を二名も失っているわけで、米側に反省がないはずはないと私どもは思っております。  我々は、米側に対して、地元住民の皆さん方の影響をいかに少なくするかということを考えてもらわなければいかぬということを言うと同時に、みずからの安全についても、それは十分配慮をしてほしいということは繰り返し伝えているところでございます。
  254. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 その調査でございますけれども、当然所管官庁は外務省でございますが、今回現地調査等を行っているのか、また、今回の事故によって民間に被害も発生する可能性がありますけれども、政府としてはこれらに対してどのように対応していただけるのか、この点についてお願いします。
  255. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 ただいまのところ、私どもから現場に人を出すということはいたしておりませんが、今後、私どもとしては、安全の確保、あるいは地元への迷惑を最小限に抑えるために何ができるのかということで、アメリカ側と意見交換、話をしていきたいというふうに思っております。現場ではどういう状況であるのかということは、そのアメリカ側との協議の過程で考えていきたいというふうに存じております。
  256. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 今回たまたま事故が発生しましたけれども、この可能性はもう平成二年、四年前から指摘をされておりまして、その飛行回数にしても、平成二年は五十三回、平成三年は九十一回、平成四年は百九十八回、平成五年は三百八回と回数が大変ふえております。  そして、その飛行の状況も、現地住民の証言によりますと、急降下して爆撃の発射ボタンを押すような訓練、また、橋の下をくぐって抜けるかのごとく、ある人に言わせれば橋の下をくぐったという証言もありますけれども、そういうふうなアクロバットにも似たような訓練、空中の燃料補給とか編隊飛行だとか、そういう非常に危険な訓練が繰り返されていまして、住民の精神的な苦痛は非常にもう限界の域を超えて、県も地元も再三外務省に当たって飛行中止を要望しておりました。しかし、それにもかかわらず飛行回数がふえていったというのは、全く住民の主張、意向を無視したことでございますので、今後は、この事件、この事故を重々に受けとめて最大限の努力をしていただきたいというふうに思います。  そこで、日本における米軍の訓練飛行がどのように制限ができるかという問題でありますけれども、日米安保条約があるということは私たちも十分わかっておりますが、日本はコロラド州のグランドキャニオンのような、人の住んでいないような地域がないわけです。先ほど外務省も、人の住んでいないところを飛行させると言われましたけれども、現にここ吉野川、四万十川流域で、市町村がありまして、人が住んでおるわけであります。こういう点で、安保条約の第四条に、条約の実施に関する随時協議という項目がありますけれども、日米間のこういう訓練の協議の場としてSCG、安保運用協議会並びに地位協定に基づく合同委員会がありますが、これらの日本における訓練のあり方の制約とか飛行回数について、こういう場で検討される可能性があるのかどうなのか、お答えしてください。
  257. 時野谷政府委員(時野谷敦)

    ○時野谷政府委員 先ほど、事態の改善のために何ができるかということを米側と話し合っていきたいということを申し上げましたが、そういう過程で、ただいま先生御指摘になりました日米地位協定に基づきますところの合同委員会、こういうものを初めとする場を通じまして、米側と話をしていきたいというふうに存じております。  なお、米側が行っておりますところのいわゆる低空飛行の非常な詳細を私ども、これは米軍の運用にかかわる問題という面がありますものですから、一々詳細は承知しているわけではございませんけれども、橋の下をくぐり抜ける飛行でありますとか、あるいは低空飛行、訓練中に空中給油をするとか、そういったことを米軍が行っているというふうには私ども承知しておりません。
  258. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 外務省の出先が高知県の山間部にあるわけではないわけですから、こういう点は素直に地元の住民の意見をもう一度よく聞いていただいて、詳細に調査をお願いしたいというふうに思います。  そういうことで、現在、県と地元の市町村においては、住民の生命、財産を守り、平和で安心して暮らせる自治体を守るという立場から、早期に事故の原因解明を発表をしてもらうと同時に、今後の超低空飛行訓練を直ちに中止するよう要請をしておりますので、この点を十二分に踏まえていただきたいというふうに思います。外務大臣の見解をお聞かせください。
  259. 河野国務大臣(河野洋平)

    河野国務大臣 本日もこの委員会におきまして、中谷委員ほか、この件について各党からそれぞれの御注意、御意見をちょうだいいたしました。この御意見は、私どもにとりましても重い御意見だと受けとめております。  一方、私の方から繰り返しで大変恐縮でございますが、日米安保条約、そして日本自身の安全をどうやって保障するかという問題についても、当然これは極めて重要な問題であるということはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。  安全保障というのは、口で言うのは簡単でございますけれども、一朝事あるときにだれが日本の安全を守るか、日本の自衛隊、そして日米安保条約によって米軍がどれだけの能力を発揮するかということであって、これは有事でないときにはいつも、うるさい、邪魔だ、むだだと言われながらも、しかし、一朝事あるときにはこうしたことがいかに重要かというのは、中谷議員は一番よく御理解をいただけるところだろうと思います。  私どもは、もちろん外務省は外務省といたしまして、日本の安全あるいは平和を維持するためには、外交政策によって、外交努力によってこれを維持するということが何より重要と考えておりますけれども、我が国にとっても自衛隊の存在が必要であり、日米安保条約というものが必要であるという現実もまた目をつぶるわけにいかないという点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、地元の皆様方におかけをいたしております御迷惑というものは、きょうのお話で我々の認識をさらに上回るものであるというふうにも承知をいたしました。事故に関係して、高知県あるいは関係自治体の皆さんに大変御迷惑をおかけいたしておりますことを極めて残念、遺憾に存じます。と同時に、にもかかわりませず、いろいろと御協力をいただいておりますことには感謝をいたします。きょうの御意見を踏まえて、米側とさらに話し合いを続けさせていただきたいと思います。
  260. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 今後ともその方向でよろしくお願いいたしたいと思います。  続きまして、ルワンダの問題ですけれども、私も政府・与党の調査団で行かせていただきまして、現地を見ました。しかし、その現地においては、余りにも不確定要素が多いということで、機関銃を一丁持っていこうが、十丁持っていこうが、絶対安全ということがないわけでありますけれども、しかし、その機関銃を持っていく問題について、武器をどの程度持っていくかについては、これは政府決定で、閣議でも決定されるということで、政府責任の名において計画をするわけでございます。  しかし、十六日の夜に発生しましたゴマ状況を見ますと、やはり治安については不安がある。そこで、持っていく武器については、現地活動する司令官なり指揮官が判断して、行っている隊員の生命を守るという行動に徹しなければいけないわけですが、これを踏まえて現地の司令官はそれなりに今ある武器で頑張っていると思いますけれども、政府として、派遣隊員の現在の装備で十分であるのか、状況によって機関銃の数等を増加する等の考えはお持ちかどうか、防衛庁長官にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  261. 玉沢国務大臣(玉沢徳一郎)

    玉沢国務大臣 この十六日に発生いたしました事件でございますが、これは今伝えられるところによりますと、ルワンダ難民ルワンダの国境付近でバナナを盗もうとした、それに対してルワンダ軍が発砲した、こういうような事件でございます。ゴマ空港は国境から千フィート、三百メーター、三百五十メーターぐらいでしょうか、離れているものでありますから、非常に緊迫した状況に置かれた、こういうことでございます。  治安の問題を考えてまいりますと、組織的な銃撃戦であるとか組織的な部隊が起こしておるというような事件よりは、こういう物をとる、それから、夜になってから武装強盗化した者が供回するといいますか、こういうような個々の治安事件が起きておる。これは、八十万人もの難民ゴマという二十万の都市に流入をしてまいりますと大きなあつれきとか混乱が生ずるということからくることである、こう思うわけでございます。  そういう観点から、やはり安全ということ、それから万が一のことを考えまして、小銃、けん銃に加えまして機関銃を一丁装備する、こういうことで派遣をいたしたわけでございますが、現在の事態を見てまいっておりますと、当初心配しましたルワンダの旧政府軍も、一万五千から二万いると書っておるわけでありますが、武装解除もほぼなされているようでありますから、安全については現在の状況におきましても十分確保できるのではないか、このように考えます。
  262. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 それからもう一つ、今の武器の使用は、個人の身体の防護ということで個人の判断に任されていますけれども、何をもって個人の身体の防護というかということですけれども、例えばテントだとか車両、こういう装備が襲われたとき、日本では武器の使用が認められておりますけれども、海外においてこういうケースはどうなのか。例えば、抑止力は防衛に入ります。同じ考えでいくと、抑止行為は防御であって自己防衛であるからいいという論でいくと、当然自分たちの所有しているテントだとか車だとか資材が盗まれそうになったとき、強盗に襲われたときは武器を使用してもいいということになりますけれども、こういうケースの場合、自分たちの装備が強盗に襲われたとき、武器の使用についてはいかがでしょうか。
  263. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 国連平和協力法に基づきまして隊員に対して許されておる二十四条三項による武器の使用は、隊員または自己と現場にいる隊員ということでございまして、隊員が自分の生命、身体の危険を感じて武器を使用するというケースに限られているわけでございます。したがいまして、装備品等が盗難に遭うというような場合に、それを防衛するといいますか防ぐために武器を使用するということは許されていないわけでございます。  ただ、従来からお答えしているように、例えばのケースとして挙げておりますのは、砂漠においてジープで行動しているときにそのジープが奪われるというようなケースの場合には、たとえ装備品のジープでありましても、自分たちがジープからほうり出されるわけでございますから、その際に、事後のことを考えれば生命、身体の危険に及ぶということもありまして、そういう限られたケースにおいて武器の使用が許されることもあるというふうな御答弁をしているところでございます。
  264. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 しかし、常識的に考えると、強盗が来て倉庫から武器をとったり食糧を盗むケースは多々あるわけですけれども、これに対して武器が使えないというのは、格闘して押さえるぐらいしかすべがないということで、武器を持っている盗賊に対して、こういう点については非常にまだ未整備の面があるというふうに思います。  もう一つ未整備な面としては、今のPKO法でPKFについては一応認められて、凍結解除を待っている段階ですけれども、そもそもPKFの任務は、その地域を割り当てられてそこの地域を警備をするという任務もあれば、武装解除等を手伝ったり現地の住民の治安を守ったりする、今言われる普通のPKFというのはそうなのですけれども、今の武器の使用の場合は、自己の防衛だけしか使えない。そういう縛りがありながらPKFだけ解除するということは任務が達成できないということになりますけれども、こういう点について、武器の使用とPKFの関係、今のままでよろしいかどうか、お考えを聞かせてください。
  265. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 まず最初の御指摘の、法の未整備であるという点、いわゆる物がとられるときにそれを防止できないということで法が未整備ではないかという点については、いろいろ議論があるところでございますけれども、その場合におきましても、その警備を担当しておる要員が生命の危険あるいは身体の危険というものを感じて、それを防衛するために必要であるという判断のもとにおいて武器を使用するということはあり得るわけでございまして、今、物との関連で先生おっしゃいますけれども、いわゆる警備している本人との関係で二十四条三項が判断されるものと考えております。  それから、PKFの凍結の解除の問題でございますけれども、これにつきましては、いわゆる現在時点以降、凍結時点以降いつでも必要があれば解除できるわけでございますけれども、それにつきましては、もう三年後の見直しか来年に迫っておるということで、三年後の見直しの中で検討することになろうかと思います。  その場合に、PKF、いわゆる平和維持隊の活動につきまして、現行の二十四条三項で十分であるかどうかということにつきましては、これまでのカンボジアでの活動でありますとか、モザンビークは治安的には非常に落ちついておりますけれどもモザンビークの活動、それから今行われておりますルワンダにおける人道的な救援活動というようないろいろな活動の実績等を踏まえた上で、改めて十分検討した上で、二十四条三項についてもその検討を踏まえてまいりたいと考えております。
  266. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 今の段階は若葉マークということで、武器の使用については可能な地域しか派遣をされておりませんが、PKFの凍結解除となれば、今の武器の使用では限界を超えるような非常に危険なところや危険な任務が付与されるということですから、これは私は、武器の使用についてはPKF解除と一心同体の問題だと思いますので、そのときの議論のテーマとして今から私なりに勉強していきたいと思いますので、所管の皆さんもよろしくお願いしたいというふうに思います。  それでは最後に、防衛費の問題ですけれども、ことしは〇・九%増ということで、非常に制約された訓練が続けられるわけですけれども、一つは、PKOの実施において、PKO予算は防衛費に含まれておりまして、その年度にどんなPKO活動に行かされるかということは防衛庁は全く予想ができていない、そういう中で防衛庁の中からPKO予算を払わなければいけないうまく経理的に処理できればいいのですけれども、しかし本体の、もともと訓練をやる計画であった部門だとか、教育をする費用だとか、艦船とか航空機の燃料等、自衛隊本来の隊務運営に不可欠な経費があるわけでありますので、こういう費用がPKOによって制約を受ける状況になるのかどうか、そして、そのPKO費用は防衛庁の予算以外で面倒を見るべきではないかというふうに思いますけれども、この二点につきまして、お願いしたいと思います。
  267. 秋山(昌)政府委員(秋山昌廣)

    ○秋山(昌)政府委員 PKOの経費につきまして、まず最初に、当初予算で計上する場合は、予算編成の過程で既に派遣が決定されているとか実施計画が決まっているとか、そういう場合には当初予算に計上しております。多くの場合が年度途中に発生するということで、PKOの予算は、実は、既に成立している予算の中から工面をして対処するというのが現状でございます。  実は、PKOの活動自体が法律の規定によりまして自衛隊業務になっているわけでございますから、このPKO活動そのものが自衛隊業務ということで、当初の予算で賄えるのであれば、自衛隊の予算の中から何とか工面をするという対応はある意味でやむを得ないというふうに我々は考えているところでございます。  もちろん、既定経費で対応ができないということになりますれば、これは、例えば予備費ですとかあるいは補正予算ですとか、そういうような財政法の規定に基づく対応になろうかと思いますけれども、現状を申し上げますると、予算の執行面で、これは防衛庁自衛隊だけではございませんけれども、各省庁ともかなり当初から節約ぎみの予算執行をしておりますので、そういった中で対処できると判断できる場合には、既定経費で対処をしているというのが現状でございます。
  268. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 それから最後に、防衛力整備の計画なんですけれども、いよいよ七年度は中期防の最終年度ということです。計画において未達成の部分があるわけですけれども、最終年度を終わるに当たってこの未達成部分をどのように処置をされるのか。  そして、次期防につきましては、予算編成を迎えて、特に防衛産業等においては長期計画でやっていますけれども、全く先が見えないとその段取りとか計画のしようもないわけですけれども、次期防の手順はどうされるのか。  そして、問題になっています防衛計画の大綱についても、いまだに冷戦時代の記述、東西の冷戦の構造とかソ連という文言が前文の文章に書かれたままになっていますけれども、この防衛計画の大綱の見直しにつきまして、お考えをお聞かせください。
  269. 村田(直)政府委員(村田直昭)

    村田(直)政府委員 まず第一点の、七年度の概算要求においていわゆる中期計画の未達成分が出ているんじゃないか、それについてどういう取り扱いをするかということでございますけれども、平成七年度の概算要求における中期防の進捗状況につきましては、現段階では、経費の平成二年度価格への換算が困難であるため、その達成率というような意味であれば確たることを申し上げる段階にはないわけです。  ただ、物の面で、一部の正面装備品について計画数量を概算要求の段階で一〇〇%達成していないということにつきましては、厳しい予算の中で、防衛費を中期防の見直しで抑制した上にもさらに必要性を吟味して今回ぎりぎりのものを入れたということで、これだけのものを達成すれば、現在の環境条件のもとではある程度の成果は得られるものと考えておりますので、今要求しているものを年末にかけて要求を貫徹すべく努力をしているところでございます。  それから、七年度で現在の中期防が終わるわけでございますが、その後の計画についてのお尋ねでございます。  これにつきましては、今後の防衛力のあり方について、政府部内における検討につきましては、新しい中期的な計画を策定するか否かも含めまして、関係省庁とも十分相談しながら検討してまいりたいと考えておりまして、現段階で新しい中期計画というようなことについて申し上げられる状況にはございません。しかし、私どもとしては、防衛力は、懇談会で言っておりますように、中期的な計画に基づいて整備すべきであるというような御指摘もございますので、仮に策定をするとすれば、現在の中期防の計画期間が平成七年度までであることを考えますと、基本的には平成八年度の予算に間に合うように中期防をつくるよう作業を進めていく必要があると考えています。  なお、三番目の、現在の大綱は、先生御指摘のとおり、昭和五十一年につくられたものでございますから、そういう意味で、冷戦時代の考え方、冷戦思考というようなものが残っていることは事実でございまして、したがいまして、それにかわるべき大綱の骨格というものがこの間懇談会からも示されましたので、そういうものを踏まえまして、これから防衛庁で検討をし、また、あるいは政府部内で検討を進めていくということになろうかと思います。
  270. 中谷委員(中谷元)

    中谷委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  271. 近藤委員長(近藤豊)

    近藤委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会