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1994-09-06 第130回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年九月六日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  九月五日     辞任         補欠選任      大久保直彦君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 板垣  正君                 峰崎 直樹君                 寺澤 芳男君     委 員                 井上  孝君                 木宮 和彦君                 真島 一男君                 守住 有信君                 瀬谷 英行君                 三重野栄子君                 安永 英雄君                 田村 秀昭君                 中村 鋭一君                 木庭健太郎君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 五十嵐広三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山口 鶴男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君    説明員        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        給与局長     丹羽清之助君        人事院事務総局        職員局長     小堀紀久生君        国際平和協力本        部事務局長    鈴木 勝也君        宮内庁次長    鎌倉  節君        総務庁人事局長  杉浦  力君        防衛庁教育訓練        局長       佐藤  謙君        外務省総合外交        政策局審議官   山崎隆一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (一般職職員給与についての報告及び勧告  に関する件)  (戦後処理問題に関する件)  (平成年度予算における防衛費の在り方に関  する件)  (ルワンダ難民支援のための国際平和協力隊派  遣問題に関する件)     ─────────────
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨五日、大久保直彦君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与についての報告及び勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。弥富人事院総裁
  4. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 人事院は、去る八月二日、国会と内閣に対し、公務員給与に関する報告及び勧告を提出いたしました。本日、その内容について御説明申し上げる機会を与えていただきまして厚く御礼を申し上げます。  以下、その概要について御説明いたします。  初めに、職員給与に関する報告及び勧告内容について御説明いたします。  公務員給与改定に当たりましては、人事院は、従来から社会経済情勢全般動向を踏まえつつ、公務員給与民間給与に均衡させることを基本として臨んでまいりました。本年も公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握するとともに、厳しい経済情勢のもとでの企業対応策についても調査を行い、また広く各界から御意見を拝聴するなど、さまざまな角度から検討をいたしました。  本年の調査結果によりますと、民間企業においては、厳しい経営環境の中で雇用中心としてさまざまな措置がとられているものの、賃金改定については大部分事業所において、低率ではあっても引き上げが行われており、官民給与の間には放置できない較差が生じていることが認められました。人事院は、このような諸事情を総合的に勘案した結果、本年も職員給与について所要改定を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。  本年四月時点における官民給与較差は、公務員一人当たり平均三千九百七十五円、率で一・一八%となっております。この三千九百七十五円を給与改善原資として、俸給改善に三千四百九十円、諸手当改善に四百八十五円配分をいたしました。  改定内容について順次御説明申し上げますと、まず俸給表につきましては、中堅層職員改善中心として全俸給表改定を行うこととしております。なお、改定に当たりましては、昨年に引き続いて看護職員処遇改善に意を用いるとともに、これまで同様、刑務官少年院教官若手研究員等配慮をしております。  次に、手当につきましては、まず扶養手当について、民間支給状況や高校生、大学生等の子を扶養する職員家計負担実情等を考慮し、満十六歳の年度初めから満二十二歳の年度末までの子がいる場合に加算する額を引き上げることとしております。通勤手当については、交通手段が限定された島などに所在する官署に通勤するためやむを得ず有料の橋などを利用する職員に対する特例措置を設けることとしております。また、初任給調整手当及び宿日直手当について所要改善を行うこととしております。  期末・勤勉手当については、本年四月までの一年間における民間賞与等特別給支給割合との均衡を図るため、支給月数を引き下げることとしております。  このほか、義務教育学校等教頭等俸給月額については、昇格時の俸給月額決定方法の改正が平成七年四月一日から本格的に実施されること等にかんがみ、所要加算措置を講ずることとしております。  なお、俸給調整額について、俸給表構造変化等を踏まえた見直しを進めていくこととしております。  実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、通勤手当については勧告実施するための法律の施行の時期から、宿日直手当については平成七年一月一日から、教頭等に関する加算措置については平成七年四月一日からとしております。  次に、公務運営改善に関し言及しております部分について御説明を申し上げます。  行政整合性一体性を確保する上で、人事管理の面では省庁の垣根を越えた政府職員としての  一体感を高めることが重要であります。このため、人事院は、全省庁職員を対象とする合同研修について、研修内容見直し計画的受講の推進、採用後早い時期の長期研修コース研究など、一層の充実を図っていく所存である旨表明をいたしております。また、省庁間の人事交流を一段と進めるために、出向、受け入れの両面にわたって計画的に推進するなど政府全体として取り組みを強める必要があることを述べております。  次に、職員勤務時間等に関する部分について御説明を申し上げます。  本年九月から施行されます新しい勤務時間法のもとにおきましても、人事院は、総実勤務時間の短縮職員の健康及び福祉、個人生活職業生活との調和などの視点から、民間動向等を踏まえながら引き続き必要な検討を進めることを表明しております。  総実勤務時間の短縮については、政府国家公務員労働時間短縮対策に基づいた超過勤務の縮減の努力年次休暇を利用しやすい環境整備が重要であり、その一環として、年次休暇の翌年への繰越日数の制限を緩和することとしております。  次に、公務における高齢対策について御説明を申し上げます。  二十一世紀の本格的な高齢社会への対応として、公務においても、働く意欲と能力を有する六十歳代前半層職員を広く雇用していくことが必要であります。  本年の報告では、広く高齢者雇用を実現していくため、関係各方面と連携をとりつつ、一両年程度を目途に新たな再任用や短時間勤務仕組み等の骨格を示すべく検討を進めることを表明しております。同時に、高齢社会対応し得る中長期的な人事管理システムについて研究を進めることにも言及をしております。  人事院は、本年も勧告に向けて、公務員勤務条件に関し、中央地方を通じて、広く各界から意見を聴取いたしました。表明されたところによりますと、公務員給与民間給与に準拠して決定する方式は既に定着したものであって、人材確保のためにもこの方式のもとで給与を初めとする勤務条件改善を進める必要があるとする意見が大勢を占めております。同時に、民間企業においては厳しい経済情勢対応するため種々の経営努力が行われており、公務においても業務効率の向上に一層努めるべきであるとの意見も多数見られました。  人事院といたしましても、これらの意見を重く受けとめ、公務運営の一層の改善に努める必要がある旨指摘をしております。  以上、給与に関する報告及び勧告概要を御説明申し上げました。  公務員給与に関する人事院勧告は、申し上げるまでもなく、公務員労働基本権の制約を受け、みずからの給与決定に直接参加できる立場にないことの代償措置として行われるものであり、公務員にとってほとんど唯一の給与改善機会となっております。  人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気の高揚を図り、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、将来にわたって国の行政運営の安定を図るための基盤であると考えております。  内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割、職員が真摯に職務に精励している実情、さらには、給与勧告情勢適応の原則に従い一般職国家公務員給与民間給与の水準に追いつかせる趣旨のものであることに深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただきますよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
  5. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 板垣正

    板垣正君 ただいま人事院総裁から人事院勧告についての御説明がございました。過去最低の勧告率、これは民間の非常に厳しいものを反映しながら、ただいま御説明のとおり、いろいろきめの細かい御配慮をいただき、措置をとられ、かつ今後のあり方等についても適切な勧告をしていただいていると思うわけでございます。  ほかの問題もございますので細部に入ることはできませんが、基本的にこの勧告はやはり早期完全実施をしてもらいたい、そうあるべきではなかろうか。こういうことにつきまして、総務庁長官官房長官基本的な御見解を承ります。
  7. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 御指摘のとおり、人事院勧告公務員労働基本権を制約されております代償措置基本でございますので、速やかに完全実施すべきものと総務庁としては考えている次第でございます。  政府といたしましては、現在、給与関係閣僚会議を開きまして検討中ということになっておりますが、私といたしましては速やかに完全実施決定いただきたい、このことを強くお願いいたしているところでございます。
  8. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 去る八月二日の日に人事院勧告を受けまして、その日のうちに実は関係閣僚会議を開いて検討いたしたような次第であります。しかし、その日は結論を得るに至りませんでした。実は、きょうの閣議後の閣僚懇談会でも、山口総務庁長官初め各閣僚から、委員御質問、御意見趣旨と同じようなそれぞれ意見もかなり出ておったところであります。  私どもといたしましては、昨年までの実績というようなものも踏まえながら、できるだけひとつ御趣旨に沿って努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。
  9. 板垣正

    板垣正君 ただいまは、早期関係閣僚会議等も開かれ、完全実施の方向でお進めいただくということで受けとめさせていただきます。  これと関連をしまして、総務庁長官恩給の問題でございますけれども、御承知のとおりに現在の恩給公務扶助料等改定につきましては、人事院勧告に基づく公務員給与改定、これを一つの要素とし、いわゆる総合勘案方式という形でございますが、毎年措置されているわけでございます。  したがいまして、多くの受給者もそうした今までとられてきた手法、つまりその根底には国家補償としての理念を貫いていく、こういう措置でやっていただいていると思っております。いずれ年末に向かいますこれの予算の問題につきましても、総務庁長官、そうした御方針のもとでぜひ取り組んでいただきたいと要望申し上げる次第でありますが、その御見解を承ります。
  10. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 今、板垣委員から御指摘がございましたように、恩給は国が公務員との特別な関係に基づきまして使用者として公務員または御遺族に給するものでございまして、特に受給者のほとんどが戦没者の御遺族戦傷病者を初めとする旧軍人関係方々が多いということを考えまするならば、まさに御指摘のとおり国家補償的な性格を持っているというふうに認識をいたしております。したがいまして、今申し上げた性格を踏まえまして、公務員給与改善、物価の動向、諸般の状況を総合的に勘案いたしまして、恩給年額の実質的な維持に努めてまいりたいと思っております。  御指摘のありましたような、来年度恩給改善につきましても、今申し上げたような基本的態度で対処することにいたしたいと存じます。
  11. 板垣正

    板垣正君 ぜひそういうことでお願いをいたします。  それでは本論に入りたいと思いますが、その前に官房長官にちょっと伺いたいんですが、広島で開かれますアジアオリンピックですか、これにつきまして、台湾李総統の招請問題、これはオリンピック評議会の方からの招請等をめぐっていろいろ報ぜられているところもございますし、また、いろんな動きもあるようでございます。  私は、やはり台湾とのいろいろな関係中国との関係もございますけれども、事はスポーツの問題であります。言うなれば日本は、たまたま広島で開かれる、そこにオリンピック責任者の方で招請される、こういうことである以上、我が方の儀礼としても日本に来ていただくということで踏み切っていただきたい、こういう気持ちを持っておりますが、政府としてはどういう御見解でございますか。
  12. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 広島で開催される第十二回アジア競技大会への台湾李登輝総統の招待問題に関しましては、広島アジア競技大会組織委員会からの連絡で承知をいたしている次第であります。  この問題につきましては、アジアオリンピック評議会事務局台湾オリンピック委員会及び中国オリンピック委員会の三者間で現在調整中であると承知をしている次第であります。  政府といたしましては、広島アジア競技大会参加国地域メンバー全員に祝福される中で円滑に運営されることを希望しておりまして、関係当事者間の協議を見守っているところであります。
  13. 板垣正

    板垣正君 ぜひその協議を踏まえながら、やはり我が国一つの自主的な姿勢といいますか、これを示していただきたいとお願いをする次第であります。  次に、戦後処理の問題について伺うわけでございますが、まず官房長官、これは八月十七日に旭川で国政報告会をやられた。報道によりますと、日本ドイツに比べれば何もしなかったに等しい、こういうふうな御発言があったというふうに報道されておりますが、その真意を聞かせていただきたいと思います。
  14. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 戦後の賠償並びに補償等につきましては、ドイツ日本の場合それぞれかなり性格が違う対応をしているのではないかというふうに思うのであります。  我が国の場合は、賠償につきましては御承知のようにサンフランシスコ条約あるいは二国間のそれぞれの協定というようなものに基づいて、大変厳しいものでありましたが、それぞれ賠償の責を果たさせていただいたということになっているわけであります。しかし、いわゆる戦後補償と言われるようなさまざまな問題、今大変議論になっている諸問題につきましては、やや半世紀を経て大きく問題が未解決で残っている部分があるということはやっぱり否定できない点があろうと思うのであります。  ドイツの場合には、いわゆる賠償という点では、御承知のようにドイツが東西に分かれていたというような経緯もあって、その面では結局賠償はしないままに、一部している部分もあるんでありますが、そういう点を残したまま今日に至った。しかし、一方でナチスのさまざまな残虐な行為等もあって、いわゆる補償に関しては相当熱心にこれに取り組んでこられた経緯がある。  それで、いわゆる戦後補償という面で見ると、我が国の場合ドイツと比べてかなり問題がまだあるように思われる、こういう趣旨の、意味の発言でございます。
  15. 板垣正

    板垣正君 大変誤解を与える御発言だと思うんですね。やはりドイツの場合と日本の場合、これはもう性格が非常に違う。今お話のあったとおり、ドイツはまだ賠償というのはやっていないわけですね、講和条約もやっていないわけです、平和条約といいますか。そういう中で日本が十何カ国と講和条約平和条約、二国間協定、これによって数千億の賠償なり協力費を額に汗して誠意を持って解決してきているわけです。  したがって、そうしたものが解決できた、そして原則的に個人補償は行わない、こういう枠の中でその後いろいろな問題が論議されていることは承知しておりまするけれどもドイツの場合はとにかくナチスドイツというのが、言うなればドイツというドイツ民族の国を乗っ取っちゃったような格好ですね。これがもう特殊任務部隊秘密警察強制収容所、この三本柱で徹底的な人種思想アーリア人種が優秀であると、劣等民族を絶滅するという理念。つまり、ドイツ国家立場ではナチスドイツは完全に、全面的に否定する以外にない。同時に、何百万というこれはユダヤ人の絶滅だけではないわけですね、いろんな形で行われた問題。  だから、これはいわゆる戦争犯罪ではないんです。人道に対する罪なんです。いわゆる戦争犯罪というのは戦争法規違反です。これは戦争に参画した国はいずれも犯す可能性があるし、犯す戦争法規違反、捕虜の虐待であるとか、住民虐殺とか、そういうことについては戦争犯罪を問われる。  これは、日本も一千名を超えるBC級方々が随分ひどい訴訟状態の中で処刑を受けている。こういう実態もあるわけですけれども、そういうものとドイツの場合は全く性格が違います。したがって、この戦後処理についても人道に対する償いをしなければならない。人道補償立場で今まで害を与えてきた方に年金を出すとか、連邦補償法によって行うとか、さらにジプシーとか、あるいは身体障害者、そういうような者も安楽死させるというふうな政策もとられた。まことに恐るべき政策がとられたわけですから、そういうものに現在までに総額約五兆七千億円の人道的補償を行ってきている。二〇三〇年までにまだ三百億マルクぐらいというようなことが言われております。  細かい実態等についてはあえて触れませんけれども、いずれにしましても日本の場合はこれは軍部のいろいろな問題があったかもしれませんけれども、あくまで日本国家として、国家の名において戦いが始まり、国家の名において敗戦処理終戦処理もとられる。こういう流れでございますから、その中で行われてきた日本の若干個々の問題が今論議されているからといって、全く性格の違うドイツの場合を取り上げて、ドイツに比べりゃ日本はやっていないと同じだというような御発言がもしそのままであるならば、これは官房長官、大変不適切な御発言ではないでしょうか。そういう点について重ねてお伺いします。
  16. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 先ほど申し上げたとおり、やはり戦後補償、今人道的というようなお話もございましたが、やっぱりとるべき措置であったと思うようなことに関して我が国でとっていないさまざまな諸問題というのが事実あるわけで、これは殊に今度、いわゆる総理談話というので先日お話しを申し上げました中での幾つかの固有の問題を初めとして、さまざまな問題があることは申すまでもないのではないかというふうに思います。  これらに関して、いわゆるそういう戦後処理の問題として個々被害者に対する措置等に関して一体ドイツはどうであったかということになりますと、それはやっぱり国を越えて各国にわたって、国籍のいかんを問わずそれらに対しての相当な手厚い配慮というものがあった、こういう点については我々はやっぱり学ぶべきものはまた学んでいくべきではないかという感じもするのであります。  しかし、先ほど申しましたように賠償等については異なった両国の立場があったということは申すまでもありません。
  17. 板垣正

    板垣正君 まだちょっと納得できませんけれども、先を急ぎますから。  それで、今お話がありました総理談話でいわゆる戦後処理問題を表明されたわけでございます。この中で、かねがね長官にもいろいろ御配慮お願いしてまいりました台湾の確定債務問題、これがはっきり、残された、しかももう来年にはぜひ解決しなければならない項目としてきちっと政府立場で挙げていただいていることは私どもも評価するところでございます。同時に、これは私ども超党派議員懇立場で汗を流しております。なかなか難航はしておりまするけれども、そうした日本政府の誠意ある姿勢と相まって必ず決着できる、こういうことで引き続いて私ども努力してまいりたい。政府もその姿勢をぜひ貫いていただきたい。これは強くお願い申し上げる次第であります。  それと、私は戦後処理問題に係る談話というものは、終戦五十年を迎えるに当たっての姿勢というものにつきましては余りにも暗いんじゃないか。やはり戦後五十年を顧みる、あるいは歴史を顧みるということであるならば、あの廃墟の中から日本国民総力を挙げ、英知を結集して、その間戦後処理政府立場国民立場においてできるものは片づけてきた、あるいはこの繁栄を築き上げてきた。またその背後には、多くの戦没者、多くの遺族、そういう人たちがいるわけですね。そういう方々に対する思いやりといいますか敬意を表する気持ちというか、こうしたものが全く欠けているんではないのか、この辺非常に私どもは物足りないといいますか、欠けているという問題。  それからもう一つは、戦後処理最大の懸案は北方四島です。村山総理就任以来、どうも北方四島問題に対する姿勢というものを示されたことは余り聞いたことがありませんね。こういう問題というのはやっぱり国家的な問題であり、国際的にも国際的な正義がじゅうりんされておる姿、こういう中で、あくまで対話でこれを解決していこう、そして本当の日ロ間の平和条約を築き上げていこうということこそ最大処理問題でなければならない。  そしてさらに申し上げるならば、交流とかという事業もいいことだと思いますけれども歴史検討歴史の真実を見きわめていくという場合も、例えば八月十五日の追悼式における村山総理追悼の式辞なり、あるいは過般東南アジアを回られた際の政治姿勢外交姿勢、言うなればこれはいわゆる謝罪外交、こう言われるような姿勢のつながりの中で、つまりは基本的には日本歴史を断罪する。直視しなさい、断罪をする。それを国の名においてやるんだということになってまいりますと、これは私どもは納得するわけにはまいらない。  歴史にはいろいろな曲折がございます。光の部分もあります。影の部分もあります。そしてしかし、我々はやはり歴史を誇りとし、かつ謙虚に次の時代を開いていこう、こうでなければならないと思う。余りにも過去というものに対するこだわりというか、反省は結構ですけれども、これを否定し、これを断罪し、日本国民にひたすらに罪の意識を持たせる、そういうやり方が健全な行き方とは思えない。こういう点について官房長官見解があれば承ります。
  18. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 先日の内閣総理大臣の談話というのは、ここでも申し上げているのでありますが、戦後五十年を来年に控えて、総理は韓国を訪問して、また東南アジア諸国を歴訪した。これを機に重要な節目の年を意義のあるものとしようということで、現在、政府がどのような対外的な取り組みを進めているかについて基本的考え方を述べたいと思いますということでこの談話というのは出ているわけです。  しかし、それにいたしましても、最初のところで、「我が国が過去の一時期に行った行為は、国民に多くの犠牲をもたらしたばかりでなく、」、こういうふうにまず我が国における多くの犠牲について触れながら、先ほど申しましたように、この談話で言おうとするアジア諸国との関係について申し述べたという趣旨のものであることを御理解いただきたいと思う次第であります。  全体として、談話は暗いんじゃないかという御意見もございましたけれども、しかしこの談話の中で特に我々が大きな柱として立てているものとしてはいわゆる平和友好交流事業であって、これは未来に向けて、一つには青少年を初めとする諸階層の平和友好交流を積極的に進めていこう、あるいは歴史をしっかりお互いに理解し合う、こういうような意味での交流というものを深めていこうというようなことに大体年間百億ぐらい、十年間で約一千億をかけてそうしてアジア諸国との友好を深めていこう、理解を深めていこう、こういうものをも特に中心として、柱として掲げているわけであって、そこのところは暗いイメージばかりではないかというのは、私は必ずしもそうではないのではないかというふうに思うんです。  それから、東南アジアに歴訪なされた折、あるいは八月十五日の追悼の辞等における村山総理の言及している言葉につきましては、私は非常に適切な内容であるというふうに思うんです。それは、謝罪のための歴訪だとかなんだとかというものではなくて、我々は戦後五十年を迎えて、かつての歴史というものについて反省すべき点は率直に反省しよう、こういう気持ちというものをみずから課すことが大事だ。人に言われてどうこうというよりは、みずからやはりそういう反省をしっかりしながら、そういう過ちは二度と繰り返さない、そうして本当に明るい、アジアの諸国と喜びを共有できるような我が国の仕事というものをこれから進めていこうじゃないか、こういうようなことを念頭に置きながら、あそこで述べたりあるいは歴訪の折の言葉になっている、こういうぐあいに思うわけであります。  御指摘のように、非常に我が国歴史で誇りとすべきものも多いのでありますが、しかし反省すべきものもあるわけでありまして、そういう点はしっかりみずから言い聞かせていくべきであろうと思うのであります。
  19. 板垣正

    板垣正君 長官のお立場ではそういう御説明になろうかとは思いますけれども、これは後は続けません。  東京裁判のパール判事というのがおられましたね。この方がやはり見直したい東洋の誇りというか、あの東京裁判は西欧列強が日本を一方的に断罪した裁判、その裁判の影響があの反省とかいろいろな名において日本歴史認識というものを非常にゆがめているのではないかということを心配してこういうことを言っているんです。日本の子弟がゆがめられた罪悪感を背負って卑屈、退廃に流れていくのを私は平然と見過ごすことはできない。これを味わっていただきたいと思うのでございます。  次に、防衛の問題で承ります。  長官、私は、今度の予算編成というのは大変問題があると思うんです。与党の一員からそういうことを言うのはどうかと思いますが、率直にこれは与野党を問わず政策論争で大いに論議を闘わしていくというのがそれこそが議会制でございましょう。頭から〇・九%というのは余りにも問題が多いんじゃないか。  つまり、防衛計画というのは長期計画でございますから、まさに中期防衛計画がございます。これは下方修正されたりはしましたけれども、来年がこれの完結の年である。こういう流れの中に位置づけられて、我が国防衛体制なり防衛政策が進められてきているわけです。そういう五年なり十年なりの中期的な計画の中で防衛政策というものは取り上げられるのが当然でございましょう。それが単年度で、そういうことを十分検討した上で結論されたというんじゃなくて、前の年も〇・九だから今度も何でもかんでも〇・九にしなければもう一歩も引かないというふうな論議の中で〇・九%。  こういうものがいろんなところにしわ寄せになっておりますけれども、こういう予算のあり方、これは防衛懇談会の答申が出たり、冷戦後の我が国防衛のあり方、抜本的にいろいろ検討していくことは必要でありましょう、編成問題等も含めて。それはそれだけに国家存立の基本の問題でありますから、ただ目先の予算を削れば軍縮になるというふうなものでもないし、冷戦が終わったから軍縮だ軍縮だなどというそんな安易なものではないはずであります。  そういう意味合いにおいて、防衛予算のあり方、中期防がこういう格好で打ち切りみたいな格好になってしまってあいまいもことした中で、ぎりぎりの予算でいろんなところにしわ寄せが行ってしまっている。こういうあり方というものは、長官、大変問題ではありませんか。
  20. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 防衛の目的といいますのは、日本の平和を守る、そこに最大の目的があるわけであります。  東西冷戦構造の終結、これに伴いまして今後想定される情勢でありますが、世界大戦というような形のものは考えられないのではないか。しかしながら、地域紛争、その他の要因といいますのは当然現在も世界各地で行われておるわけでありますから、そうしたものに対処しながら防衛費の問題につきましても考え、これを策定していく、こういうことが大切ではないか、このような考えであります。
  21. 板垣正

    板垣正君 今のはちょっとピントが外れていますが、もっと具体的に伺いましょう。  今度の〇・九%の概算要求、こういう方向で今までも既に正面装備等は九〇年代から随分緊縮されてきた。緊縮緊縮が続いてきて、今度は〇・九%。こういう中でそのしわ寄せが例えば演習費であるとか訓練費、演習、訓練、そういうふうな自衛隊の存立にかかわる面で、例えば長距離砲の演習はやめるとか、戦車部隊の演習はやめるとか、飛行機も飛ばす時間を制約するとか、海上自衛隊の演習回数も減らすとか、結局そういうところ、自衛隊の予算というのは御承知のとおりに減らすところはないわけです。そういうところでも削るしかない。こういう形で自衛隊の士気が保たれますか、あるいは訓練が支障なしで行われますか。この点についてまず伺います。
  22. 佐藤謙

    説明員(佐藤謙君) 平成年度の概算要求におきましては、対前年度の伸び率が〇・九%増というかつてないほど低いものになりましたために、戦車部隊の連隊規模での訓練を中止するとかあるいは護衛隊群の群訓練回数を削減せざるを得ないとか、こういう措置をとらざるを得なかったところでございます。  このような措置によりまして部隊の練度の維持に影響が生ずるおそれがございますが、私どもとしましては各種のきめ細かい工夫を講ずることによりまして部隊の練度にできるだけ支障が生じないように最大限の努力をしていかなければならない、かように存じている次第でございます。
  23. 板垣正

    板垣正君 これも一つの例で、新聞にもちょっと出ていました。例え話か現実にあったことか、自衛隊のトラックの部品がなくてトラックが動かない。それを預かっている隊員が、この部品なら自分が身銭を切っても部品を買ってきて動かしましょう。そうしたら現場の指揮官が、そんなことはいい、動かなきゃそれだけ防衛費が削減されて村山内閣に協力することになるんだ。  これは一つの極端な例かもしれませんけれども、しかし今のあれだとトラックやなんかでも年間で五百台減っちゃうそうですね。そういう報道も出ております。そういうふうに、装備あるいは隊員の生活環境あるいは基地対策の費用等もそういうところにしわ寄せするほかない。軍縮とか防衛のあり方とか言いながら現実の現場に全部しわ寄せがいくようなこの予算のあり方というものをさっき冒頭申し上げて問題視したわけでございます。  大きな問題は米軍の駐留経費です。これも半分しか組んでいない。これは、防衛庁として私は当然だと思うんです。あれだけ満額組んで、あとみんな訓練費とか正面装備を全部削ってしまうような、ほとんど削るようなことになったら、それこそ日本の自衛隊としての存在なり士気に大きくかかわってくるわけでありますから。ぎりぎり配慮してもあの枠の中で予算が半分、百十八億。しかし、これは日米間のある意味の公約でございましょう、これは我が方が財政が厳しいからできない、こういうことにはまいらない。あとそれと等しいくらいの額は、年末の本格予算編成の段階でこれは政府の責任において決着がつけられる、つけられなければならない、こう思いますけれども、その責任のつけ方について大変憂慮するわけです。あと百五十億なら百五十億程度のものを防衛費の現在の〇・九%のあの枠の中でさらに出せとこうなってきた場合には、これはまさに防衛庁にとっては非常に深刻な事態になるんじゃないか。  それじゃ、それにかわってどういう方法があるんだろうか。その辺まで含めてもう既にいろいろ御論議も検討もされていると思いますが、まず当事者として防衛庁長官はどういう御見解をお持ちですか。
  24. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 厳しい財政事情、国土防衛上必要最小限の実力組織としての自衛隊の水準維持、日米安全保障体制の円滑な運用確保の必要性等を勘案しまして、関係省庁とも調整の上、適切に対応してまいりたいと考えております。
  25. 板垣正

    板垣正君 その程度の答えですか。  とにかくこれが自衛隊の予算にさらにしわ寄せになる。言うならば、アメリカに対する駐留軍の経費というものを純然たる防衛費の中から全額これは出さなきゃならないということの問題、そこまで含めて検討されるべきではないのかということも含めてぜひ御配慮願いたい。  あと、先を急ぎますし、時間もありませんから、今度は外務省に常任理事国入りの問題を。  これもいろいろ論議は盛んになり煮詰まりつつありますけれども、何か方向としては憲法の枠、そして軍事的な協力はやらないんだというふうな条件つきで、というふうな論議が行われているということですけれども、果たしてそうした条件つきというのは、国内的には一つの条件になるかもしれませんが、国際社会で常任理事国として日本は責任を持ってやっていきましょうと既に何回も言っている日本立場において、そういう条件を持ち出すということについては外交当局としてはどういうふうな率直な見解をお持ちですか。
  26. 山崎隆一郎

    説明員山崎隆一郎君) 御答弁申し上げます。  常任理事国改組問題につきましては、国連の場におきまして、昨年の十二月以来安保理改組のための作業部会というところで加盟国が鋭意議論しております。そこにおきましては、我が大使を初め代表からは歴代総理の施政方針演説の範囲内を踏まえて、憲法の枠内でできる限りの責任を果たしたいということで本件問題に取り組んでおります。
  27. 板垣正

    板垣正君 もう少し今私の質問したことを、時間もありませんからこれ以上できないわけですけれども、もう少し率直な答弁というものをやってもらわないと、外交当局も。そんな通り一遍の返事で国会の論議が済むと思っているのか。もう少し問題の焦点というものを明確にして、これは賛否があっていいんですから、大いに論議をするという方向で、外務省も外交を預かっている立場で信念のあるところをやはり述べるようにしてもらいたい。  最後になりますが、市ケ谷台一号館の問題であります。  これは、この委員会でも何回か論議をされ、またいろんな経緯も経てきているわけでございます。そういう中で、私もその一員でありますけれども、これは歴史的意味合いからいってもぜひ保存されるべきかけがえのないものである。もう既にいろんな計画、防衛庁ではもう手が届かないくらいまで具体的な、あれを壊す、講堂は一部残す、そういう計画が進んでいることも承知しておりますけれども、やはり来年終戦五十年を迎えるに当たって、日本くらい歴史的なそうした遺産というものの扱いの粗末な国はないと思う。原爆ドームは何とか残そうという、こういう声もございますけれども、それ以上の歴史の刻まれた重荷を持った施設、これを歴史的な施設にして残してほしい、あの周辺を歴史的公園として残してほしい。これを各界各層有力な方々が名を連ね、あるいは七十幾つかの大きな団体の方々が名を連ねてひたすら要請しているわけであります。  官房長官もつい最近、この代表にお会いいただいて話を聞いていただいたと承っておりますが、私もぜひもう一度そういう広い立場歴史をまさに顧みて反省する、そういうよすがとしてもなるべく今の時期にあの施設は完璧な姿で残していく、こういう広い大きい立場からの改めての検討をぜひお願いいたしたいと思いますが、長官の御見解
  28. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今、板垣委員から御発言がございましたが、そういうさまざまな一号館の保存を求める方々の御意見もございまして、昨年の十二月、その保存について防衛庁としてもぎりぎりの再検討を行って結論を出したわけであります。  全体を残したままでは防衛庁本庁庁舎等の移転計画を進めることは不可能であるが、しかし一号館の核心とも言うべき大講堂、それから以前の陸軍大臣室、それから便殿の間などを可能な限り、しかも現部材を利用しつつ同じ市ケ谷地区内に移設、復元を図ろう、こういうことで対処しているわけであります。先日も御要請を受けまして私なりにいろいろ改めて関係者の意見等も聞いて検討したのでありますが、今申し上げましたような計画というのはやはりぎりぎりの再検討を行った結果であろう、こういうぐあいに思います。  御要望の趣旨からいうと申しわけないのでありますが、第一号館の解体とそれの先ほど申しましたような移転、再建ということにせざるを得ないのではないか、このように思っておりますので御理解をいただきたい、このように思う次第であります。
  29. 板垣正

    板垣正君 大変残念なお答えでございますが、私どもはやはりもう一度いろんな角度から御検討をいただきたい。このことを切にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  30. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 社会党の峰崎でございます。  きょうは、主として人事院勧告並びに報告の問題についてお伺いをしたいわけでありますが、その前にまず冒頭、防衛庁長官にお聞きしたいんですが、八月十二日、防衛問題懇談会の答申が出されたわけです。私ども日本社会党は三日の日に大変大きな議論をいたしまして、この防衛問題についての新しい方針、新しい考え方、理念の上に立って今後の防衛問題のあり方について真剣に、これまでも真剣に検討してきたわけでありますけれども、これからも進めていきたい。そのためにも、村山総理あてに出されたこの懇談会の答申について防衛庁長官としてどのように評価をされているのか、まずお聞きしたいというふうに思います。
  31. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 懇談会の報告は、自衛官定数の縮小あるいは陸上自衛隊の部隊の数や規模の削減、海上自衛隊の対潜戦等のための艦艇や航空機の数の削減、航空自衛隊の戦闘機部隊または戦闘機の数の削減など、防衛庁にとっては厳しい内容の提言を含むものとなっております。また、PKOへの積極的参加、弾道ミサイル対処能力の保有などにつきましては、防衛庁にとって大きな課題が提言されているものと認識しております。  いずれにしましても、防衛庁としましてはかかる報告内容一つの参考として、今後の防衛力のあり方についてさらに検討を進めてまいりたいと考えておるところであります。
  32. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今後の防衛政策の具体化に当たって、来年度については恐らく間に合わないだろうと思うんですが、これを受けられて一番早く国の防衛政策に反映されるとすれば、再来年度予算あたりからこの問題についてはその具体化をできるような対応をとられるということについてはいかがでございますか。
  33. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 次の予算ということはまだ考えてはおりませんが、今後防衛のあり方ということにつきましては、庁内におきまして私、長官を長といたしまして防衛政策あり方等について検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  34. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今後とも我が党も前向きにしっかり受けとめて、そして冷戦後の日本の安全保障のあり方についてお互いに与党の一員として頑張っていきたいというふうに思います。  さて、本題の給与勧告の問題に移らせていただきたいというふうに思います。  ことしの給与勧告について先ほど人事院の総裁からございました、ベアの勧告が平均三千九百七十五円、一・一八%、これは本当に勧告史上恐らく最低の賃上げ率じゃないかというふうに思うわけでありますが、さらにそれに輪をかけていわゆる一時金が〇・一カ月削減をされる。公務員の実質生活を維持改善するという観点からすると本当に期待外れだ。今年度の要求は二万円、六%という数字でございました。そういう大前提、我々としてはそういう評価をした上で幾つかの勧告の問題点について少し確認をしておきたいというふうに思うわけであります。  その一つは、ベア勧告が低くなる、これはもちろん民間相場がそれほど高くないということから当然予想されることなんですが、しかしそれにしても過年度の物価上昇率が約一・二%、こういうふうに聞いておりますが、この程度に終わった大きな原因というのはどうも官民較差の比較方法の改善がやや不十分じゃないか、こう実は私どもは考えているわけであります。  人事院は九一年から四年間、官民対応関係見直しを進めてきたわけです。しかし、これはどうもやはり限界があるのじゃないのか。ことしの見直し内容などを見ても、その三年前から進めておられることを幾らいじってもやはり部分見直しじゃないかな。本当に社会的に公正な公務員賃金と民間賃金の比較に届いていないんじゃないのかというふうに私たちは考えるわけであります。そこで、その抜本見直し検討ということを真剣に開始すべきじゃないかというふうに我々として提言をしておきたいと思うわけであります。  聞くところによると、中労委では見直し検討委員会が十月から再開をされると聞いているわけでありますが、人事院として調査対象企業規模の拡大にはどんな問題があるかを含めて本格的な検討に入るべき時期と考えるんですが、その点いかがお考えでしょうか。
  35. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 人事院といたしまして官民比較の問題の場合に対象企業規模をどこにするかということは、これは御承知のとおりに大分長い議論を経ておるわけでございまして、ある意見としましては、もう少し大きな規模の企業と比較したらどうだ。現在は、御承知のとおりに百人以上の企業規模ということでございますけれども、それを五百人とか千人とかというような規模と比較したらどうかという御意見が確かにございます。また、一方ではちょっとそれでは多過ぎるのでやはり三十人ぐらいに、もう少しその百人を三十人ぐらいの規模の企業と比較したらどうかという御意見もあったわけでございます。  現在の事業所規模で五十人、企業規模で百人というような企業をとりましたのは、これは今現在日本にあります、約四万数千と思いますけれども、その企業の中から、やはりその中で常雇いの勤労者の約六割をカバーしているというふうに我々としては見ておるものでございまして、今の企業規模百人以上、今現在の企業規模をとるという意見は、我々といたしましては毎年毎年各地方で、人勧を行う場合にその前にいろいろ御意見を承っておりますけれども、これについてはまあ妥当なところではないかという御意見をいただいておるわけでございます。  ただ、例えば千人規模、五百人規模といいますと、公務員の官署といいますか、これは日本各地に散らばっておるわけでございまして、約三千以上あるのではないかと思いますが、それが各地方地方にありまして、そこに五百人以上あるいは千人以上の規模の企業が果たしてすべてあるかどうかということを考えますと、そこにおいて公務員だけが民間と比べて相当高い賃金をもらう、そういうのが果たして国民感情としてどうかなということを我々としては常に考えていかなければならない。  しかしながら、ただいまの企業の比較方法が万全であるかどうか、これはまたいろいろ議論が先ほど来申し上げましたようにあるわけでございまして、人事院といたしましても常にそれは見直し検討をしていっておるところでございます。  また、御承知のとおりに、近ごろ部分的な改定をしているというお話がございました。東京地方の例えば五百人以上の規模の企業と比較したラスパイレス方式におきまして、例えば課長補佐とか係長とかそういうところでは常に見直しを行っておるところでございます。
  36. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その点を要望事項として、今後とも優秀な公務員を確保するためには、やはりある程度きちんとした労働条件の確保、そのことを強くお願いしておきたいというふうに思うわけであります。  この点、ちょっと事前に通告をしておりませんでしたので調査が行き届いているかどうかわかりませんが、行政職(一)表関係でよろしいのですが、二十五歳あるいは三十五歳、四十五歳、五十五歳、こういった十歳刻みで見て年間総収入がどのようになるのかといった点について、わかっていれば教えていただきたいと思うのですが。
  37. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) お答え申し上げます。  行政職(一)の場合でございますけれども俸給表改定率は二十歳代の職員につきましては一・二%、三十歳代の職員が在職する層で一・四%、四十歳代前半の職員が在職する層で一・三%または一・二%、それから五十歳代の職員が在職する層で一・一%または一・〇%となっておるところでございます。これから期末手当の引き下げ相当分〇・六%分を差し引きましても、いずれの層におきましても年収ベースでは前年よりマイナスになることはないわけでございます。  なお、行政職(一)以外の俸給表につきましても、同様にマイナスになることはないように配慮してございます。
  38. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の数字をお聞きしておりまして、マイナスにならなくてよかったなという感じのところと、もう一つは、四十代あるいは五十代の前半層がライフステージの生活費のカーブが最も高くなっていく、このような負担が非常に苦しくなる中堅層にはどのような配慮をされたのかどうなのか、この点をお聞きしたいと思うんです。
  39. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) 本年は、民間の初任給が抑制傾向にあるということもございまして、若年層につきましても上昇傾向にはないと民間におきまして考えられることから、これまで初任給の上昇期を通じまして相対的に低い改善を余儀なくされてきておりました中堅層に重点を置きました改善をいたしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、俸給表につきましては、行政職(一)の場合でございますが、平均引き上げ率が一・二%のところ、年齢的に見まして生計費の負担が増加する三十歳代から四十歳代前半層につきましては平均引き上げ率以上の改定を行うことといたしておりますし、行政職(一)以外の俸給表につきましてもほぼ同様に改定しております。  手当につきましても、扶養手当につきまして民間支給状況や高校生、大学生等の子を扶養している職員家計負担実情等を考慮いたしまして、これらの子がいる場合に加算する額を改善しているというようなことでございます。
  40. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 賃上げ全体がかさ上げが少ないわけですから、その中をどのように厚くする厚くしないと言っても本当に程度の問題で、ぜひとも今後ともそういう中堅層に手厚い対応をしていただきたいと思います。  以上、人事院の方からお聞きしても、我々公務員労働者の、私は公務員労働組合の出身でもございますが、公務員の生活改善という点から見たら非常に不十分だと思うんです。ただ、年間トータルでやはり収入はプラスになるということですから、ぜひともこれは早期勧告をする必要があるんじゃないか。  ことしの六月に、例のいわゆる特別減税、二〇%の戻し税減税というのがありました。減税をすると景気にいいとかあるいはそれは貯金に回るんじゃないかとかいろいろの理屈がありましたけれども、これだけがすべてだったとは思いませんが、景気の上昇効果を持ったのではないのか。  その意味でも、消費を引き上げていくということは、今の景気の動向は、これから九日に何か月例の報告があるやに聞いていますが、非常に重要なポイントではないかというふうに患うわけでありまして、先ほど自民党の板垣委員の方からもぜひこれは早期にやってほしいと。後で野党の方がどういうふうに言われるか知りませんが、ほぼ大体この点ではもう全党一致、こういう方向になってきているというふうに思うのでありますが、ひとつこの点について政府見解を伺いたいと思うのであります。  まず、昨年旧連立政権の時代は、例年より一カ月早く、たしか十月八日に閣議が完全実施決定ということになり、十月二十六日に給与法を提出、十一月十二日に改正給与法公布ということで、十一月にはこれが実施されたわけであります。  ぜひともこれをより一歩早めて、十月にはもう新賃金の支給が行われるように政府部内の諸手続を進めるべきだと考えるのでありますが、ぜひともこの点について政府側のお考えを、官房長官総務庁長官、どのようにお考えになっているのかお聞かせ願いたいというふうに思うわけであります。
  41. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) お答えいたします。  本日閣議がございました。先ほど五十嵐官房長官からもお話があったんですが、閣議後の懇談会におきまして私は、ことしの人事院勧告は一・一八%という極めて低い勧告であり、しかもボーナスを〇・一カ月分カットする。したがいまして、実質的には〇・六%程度の改善にしかならない。一方予算措置につきましては、一・五%の予算措置が現にある。確かに、今景気の動向が大変厳しい状況であって、財政当局が歳入の確保に苦労しているという現状は私もわかるけれども、しかし人事院勧告労働基本権代償措置としての基本的な補償措置であるということは明らかなんだから、そういう意味では官房長官お願いするけれども早期給与関係閣僚会議を開催して、昨年よりも速やかに閣議決定に持ち込むことができるようにぜひお願いをしたいという趣旨発言をいたしました。  官房長官も、先ほどお答えがございましたようにそれを引き取りまして、そういった趣旨を踏まえて対応していきたいというふうに言われたわけでございますので、峰崎委員お話もございましたが、その点を踏まえて私としても最善の努力を尽くしたい、かように考えておる次第であります。
  42. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今、山口総務庁長官説明したとおりなのでありますが、給与関係閣僚会議を主宰する私といたしましても、きょうの各閣僚意見あるいはきょうの本委員会の委員各位の御意見等を踏まえまして、鋭意御趣旨に沿うような方向で、一方もちろん財政当局とも協議しつつでありますが、しかし最善を尽くしたい、このように思う次第であります。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今お二人の答弁を聞いていて、もう少し歯切れよくできないか。というのは、もう財源的には問題ない。各党も、恐らくこの問題について御異論はないんじゃないかなというふうに思うわけです。  その意味で、ひとつ政府の方針としてどうでしょうか、九月上旬あたりに、上旬といったらもうほとんど上旬でございますが、閣議決定をして、そして法案を準備してもう十月の臨時国会早々にこれを通す、国会で可決をするというような、そういう手順というものについて、どちらの大臣でもよろしゅうございますが、答弁を具体的に一歩前へ踏み込んでいただけないでしょうか。
  44. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 総務庁といたしましては、先ほどお答えいたしましたように人事院勧告早期完全実施、このことを強く要請いたしている次第であります。幸いきょうの閣議後の懇談におきましても、各閣僚の皆さん方は皆私の主張に賛同いただきましたし、また大蔵大臣も、財政が大変厳しいということは強調されましたけれども、しかしこの人事院勧告を尊重しなきゃならぬということについては十分理解をしているという趣旨発言もございました。  したがいまして、あとは官房長官中心にして給与関係閣僚会議をいつ開くか調整をいただきまして、速やかに給与関係閣僚会議、そして閣議決定に持ち込むことを私としては期待いたしているということでございます。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 とにかく去年よりはやはり少しでも早くという、この点は後でぜひとも、先ほど私は去年の日程を申し上げましたけれども、できる限り早くということを確認していただければと思うんです。  と申しますのは、私がなぜこの問題にこだわっているかというと、私はまだその当時国会議員ではございませんが、労働運動の現場にいたときも、絶えずこの人事院勧告の扱いというのが政争の具に実はされてきたように私は思うんです。  その意味で、ベルリンの壁以降、日本の政治の中の大きな壁も実はだんだんとれてきているという大変時代の大きな転換点にあって、とにかく勧告が出されたらそれは尊重して、もうそれは次のしかるべき国会に早く提起をして、そして可決をして公務員労働者に給与の引き上げを図るという、そのルール化を、どうでしょうか、官房長官総務庁長官、ぜひこの機会にそのルール化をする必要があるんじゃないかということで、私はもう本当にこの内閣委員会で確認をするべきじゃないかなと思っているんですが、その点ひとつ御答弁願いたいと思うのであります。
  46. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 私もかつて社会党の国会対策委員長をいたしましたし、書記長もいたしまして、国対委員長時代は、御指摘のような政争の具に供されておったことは事実だと認識をいたしております。やっと、私の国会対策委員長の末期でございましたが、昭和六十一年以降、完全実施ということが実現をいたしまして、それ以来、人事院勧告どおり実施するということが定着をいたしましたことは私は結構なことだと思っております。  問題は、国会と政府に対して勧告があるというのは、人事院勧告制度であろうと思います。それだけに、極めて重い勧告であるということだと思います。したがって、私はそういった重い勧告であるだけに、昭和六十一年以来、完全実施という形で定着をしたということで、この定着したことを積み上げていけばそれが即ルール化ではないかというふうにも思います。  したがいまして、きょうも人事院勧告早期完全実施、少なくとも昨年よりは相当早い時期で決定をいただきたいということをお願いいたしておきました。そのような形で私としては努力をするし、また官房長官給与関係閣僚会議の開催につきましても十分配慮をいただけるものと期待しているということで御理解いただきたいと思います。
  47. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 官房長官はよろしいですか。今の政府の答弁でよろしいですか。
  48. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 先ほどは歯切れが悪いというお話でございましたけれども、かなり思い切って歯切れよく申し上げているようなつもりでございまして、それぞれの御意見をよく尊重いたしまして最善の努力をしたい、こういうぐあいに思う次第でございます。
  49. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 去年よりは早まっていくということで決意を承ったと私は解釈いたします。  さて、そんな甘い情勢ではないということは私どもよくわかっているわけでありますが、実は八月二十四日の産経新聞の夕刊だったと思うんですが、今、完全実施をずっと続ければルール化されたと同じだと、私はちょっと違うんじゃないかなと思うのでありますが、やはり制度化をするというのは、きちんとそういったことのルール、これをある意味では規則化するということは重要だと思うんです。この産経新聞の夕刊を見ますと、「人勧完全実施見送り 民間配慮、指定職は凍結」。これは、人事院勧告の取り扱いについて「政府筋が明らかにした。長引く不況で民間企業がリストラなどに努力していることを配慮し、公務員も「痛みを共有する」姿勢を示すことが必要と判断、一部凍結策で調整に入ったもの」と、こういうふうに書いてあるわけなんです。  この報道について、政府筋と書いてありますが、この点について、このような事実が本当にあるのかどうか。今、総務庁長官お話を聞いていると、もう積み上げてルール化すればいいんだから、まさかこんなことはないというふうに私は判断をしているのでありますが、その点いかがでしょうか、長官
  50. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 一部の新聞にそのような報道がございましたことは、私も承知をいたし  ております。各方面に確かめましたところ、そのような指定職凍結云々とか、いわば人事院勧告完全実施ではなくて不完全実施をするというような趣旨の意向を漏らしたというところはどこも確認することはできませんでした。したがいまして、そのようなことはないと思っております。  また、政府筋といいますと、通例新聞の場合はだれを指すかというようなことがあるわけでございますが、その政府筋の方にもそのようなことがあるのかと言いましたら、その方は当時休暇をとっておりまして東京にはおりませんでしたという返事でもありますので、そのようなことは全く誤りの報道であるというふうに認識をいたしております。
  51. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私も、ぜひそのことを信じたいと思うのでありますが、確かに新聞に記載されているように民間も厳しいんだと。恐らく、民間も厳しいということがあの期末手当の〇・一カ月削減や一・一八%というところの数字に私はあらわれていると思いますので、その点はぜひ完全実施をするということの確約というふうに受けとめたいというふうに思います。  さて、今度は報告の中身で少しまた人事院にちょっとお聞きをしてみたいと思うわけであります。  俸給調整額の問題でありますが、報告では、俸給調整額について見直す、こういうふうに報告をされているわけでありますが、現行の何が問題で具体的にどのような見直しをされようとしているのか。現時点ではどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  52. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) お答えを申し上げます。  俸給調整額は、御案内のように職務内容等の特殊性に応じまして俸給月額調整するものでございます。俸給として位置づけられているものでございますから、その調整内容俸給表の構造とかあるいは特別俸給表の有利性、具体的に申し上げますと、水準差等と整合性のとれたものでなければならないわけでございます。  これまでの調整方式につきましての改定経緯を若干申し上げますと、昭和三十二年には号俸調整方式というものでございましたが、これを三十二年に号俸調整方式から定率四%の調整方式改定いたしました。その後の俸給表の構造及び特別俸給表の有利性の変化等を踏まえまして、昭和五十五年には定率プラス定額という調整方式を導入したところでございます。  ところで、ただいま申し上げました昭和五十五年に適正化の方策といたしまして、一部定額制を導入したわけでございますけれども、この措置は必ずしも十分なものではございません。その後、十四年が経過いたしました現在におきまして、現行の調整方式による調整は次のような問題点が生じていると考えております。  一つには昇給率、これが平均二%程度である。それに対しまして、調整は三%プラス定額ということでございまして、昇給率を比較いたしましてかなり高目の調整になっているということ。二番目に、それぞれの俸給表について見ますと、同一級内の初号と最高号俸の間で昇給率に相当の差がございますが、現行の調整額調整方式による調整は初号と最高号俸までほぼ定率に近い調整となっておるという問題がございます。それから三番目に、特別俸給表の有利性よりもかなり有利な調整となっている。以上のような諸点の問題がございます。  俸給表の構造や特別俸給表の有利性との整合性が本来とれるべきところがとれていないというようなことから、前回の見直しの昭和五十五年当時に比べましても、さらに今はその問題が拡大しているという状況にございます。したがいまして、一つには昇給率、二つには同一職務の級内における昇給率の差、三つ目といたしまして特別俸給表の有利性等の変化をも踏まえるとともに、昭和五十五年の定率プラス定額調整方式の導入による適正化措置が必ずしも十分な措置ではなかったことを踏まえまして見直しを行う所存でございます。  なお、その内容につきましては現在検討中でございますが、いずれにいたしましても、俸給表の構造や特別俸給表の有利性等と整合性のとれた調整方式早期に実現するために、今後各省庁職員団体の意見をも聞きながら検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  53. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 次に、報告の問題で労働時間、勤務時間の問題について少し触れてみたいと思うんですが、今回の報告では、新たな施策としては年休取得促進策の一環として繰越日数を十日から二十日に延ばしたという程度で終わっちゃっているんですね。  我が日本労働時間、これはもちろん官公庁だけじゃなくて民間も国際的に見て非常にまだ長い。そういう意味で、私は公務員労働職場の労働時間の短縮というのは日本労働時間短縮には大変大きな役割を果たしたというふうに思っているわけです。先導的役割を持っていたと思うわけでありますが、あれは何年だったでしょうか、政府が千八百時間に向けて一つ目標を定めたわけでありますから、それに向けたこれからの施策の検討ということについてどのようにお考えになっているのか、この点お聞きしたいというふうに思います。
  54. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 今お話がございましたように、政府の方針といたしまして完全週休二日制の普及促進とか、あるいは所定外労働時間の削減、それから年次有給休暇の取得促進等によりまして年間総労働時間を短縮していくという方針が示されておりますのは承知しておりまして、私どももその枠内で努力をしてきたわけでございます。  国家公務員の場合は、御承知のとおり完全週休二日制の方は、一昨年の五月からいわば民間に若干先駆けて達成されたということがございますが、それだけでは総労働時間の短縮に向けての努力というのが不足をするであろうということがございまして、今後とも引き続き総労働時間の短縮という面に取り組んでいくことが必要だという観点から、本年の勧告におきましては超過勤務の縮減、それから年次休暇の使用促進への取り組みが肝要である、そういうことを報告した次第でございます。
  55. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この辺は先ほど私も指摘したとおりでございますけれども、要するに今の時代、若い人に聞いてみると、賃金よりもむしろ休暇がどうなんだということの方に非常に選択の志向が移っているんですね。あるいは勤務労働時間の問題、そういう意味で、俗に言う三K職場、きつい職場というのは今まではプレミアムをつけて賃金を高くするという傾向があった。  今度は、きつい仕事というようなところには労働時間を短縮するといったような取り組みだとかリフレッシュ休暇とか、あるいはもう一遍勉強してみたい、そういうスクーリング休暇とか、そういうさまざまなシステムを、もちろんこれは民間動向ども定めなきゃいけませんけれども、ぜひとも検討していただきたいということを申し添えておきたいというふうに思います。  さて、時間ももうそろそろなくなってまいりましたけれども、もう一つは、私は公務員労働者と民間とを比較するとき、実は勤務条件全般という観点から見たときに福利厚生の問題についてぜひとも調査をするべきではないのか。フリンジベネフィットという問題で、別途税制の問題でも実はこの問題は大きな問題になったことがあるのでありますけれども、この点について官民調査をするということについて考えておられるのかどうなのか。この点について人事院総務庁にも少しお聞きしておきたいと思います。
  56. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 職員の関心が勤務時間、休暇等からそういう福利厚生面へも関心が移っていったということは私どもも考えておりまして、そういう意味で、従来からその中心であります健康管理問題等につきましては非常に力を入れてやってきたつもりでございます。  ただ、民間で言われておりますいわゆる福利厚生というのは非常に範囲が広うございまして、その点全般的につかまえるというのは非常に困難な状況でございます。そういう意味で、公務の場合に必要な福利厚生というのは何なのかということをいろいろ勉強しながら、それについて個別に民間実情を把握していくという努力はやっていきたいというふうに思っております。
  57. 杉浦力

    説明員(杉浦力君) 基本的には、今人事院の方から御答弁があった中身でございますが、政府サイドといたしましても健康管理、カウンセラーを置くとかあるいは健康診断をするとかいうような問題のほかに、いわゆる財形貯蓄を推進するとか、こういった点での具体的な施策を広げながら現在進めておるところでございます。  ただ、先ほどもお話がございましたように民間での、例えば日経連等の調査と私どものやっておるものが直接フィットしない項目がございますので直接の比較はできませんが、健康維持管理、こういった点を考えますと経費的にはそれほど大きな差がなかろうと思っております。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも私は不満なんです。  というのは、このフリンジベネフィット、福利厚生というのは日本企業の横並び志向というのがあって賃金を非常に低く抑える。そのかわり、もうかっている企業ももうからない企業も同じようにするために、従業員に賃上げとは別の形で福利厚生という名目で実はかなり利益分配をされているんじゃないか。そういう日本企業のいわゆる利益分配構造といいますか、それが非常に大きな特徴として最近浮かび上がってきている。その意味で、官民労働者の賃金比較ということだけで見ると、だんだんとそれがフィットしなくなってきているんじゃないかということを言いたいわけです。  その意味で、今の賃上げ、労働時間あるいは賃金というオーソドックスなものについても当然これは官民比較をきちっとやる必要がある。これはシステムを変えなきゃいけない。しかし、今申し上げたような観点から、私はぜひともこの点をきちっとやっていただきたいなと思うんです。考え方をまず整理しますというんじゃなくて、ぜひそうやっていただきたいと思うんです。  とりわけ強い政府規制が加えられている産業、これは金融でもそうです。それから電気、ガスだとかそういう産業、非常に政府から運賃なりさまざまな規制が加えられている産業ほど実はフリンジベネフィット、福利厚生の分野が手厚くなっているという傾向にあるわけです。その点で、ぜひともそういう観点からこの点は実現をしていただきたいなというふうに思います。  もう時間が最後になりましたけれども、まだたくさんあるんですが、最後に高齢対策の問題についてお聞きしておきたいというふうに思います。高齢雇用問題です。  高齢化社会を迎えて、公務における高齢雇用問題も非常に重要になっている。本年三月に大枠について閣議決定をし、これからその具体化を図る、こういうことになるわけでありますけれども、各省庁においてそれぞれ人事管理の方法も異なり、また高齢者の受け皿としての職場や職種も十分な検討と工夫が必要だというふうに思います。二〇〇一年、二十一世紀からと、こうなっておりますので非常に時間があるように見えるんですが、ひとつ速やかに具体策を示して十分実効があるものにしなきゃいかぬ。こういう観点から、これからの高齢雇用対策についての決意とタイムスケジュールについて、総務庁人事院から答弁をお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  59. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) お答えいたします。  峰崎委員の御指摘のとおり、三月二十五日に基本方針について閣議決定をいたしまして、さらに六月二日、公務部門における高齢者雇用問題検討委員会を設置いたしまして具体的な検討を開始いたしました。  共済年金の給付の弾力化スケジュールにおくれないように、人事院からの考え方も伺いつつ高齢者雇用問題に真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  60. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) ただいま総務庁長官の方からお答えがございました。  人事院といたしましては、高齢雇用対策の具体的方策といたしましては新たな再任用あるいは短時間勤務の仕組みなどの具体化、それからそれに対応した適正な勤務条件あり方等について検討をするというふうにいたしておりますけれども、まず高齢者を含む人材の有効活用と公務の能率的運営を図るということのために、退職管理のみならず給与のあり方、あるいは採用、昇進、勤務時間、休暇、研修等々を含めました高齢社会対応し得る中長期的な人事管理システムについてもあわせて検討を進めていきたいと考えております。  定年制の導入の際の経験を踏まえて考えてみますと、新しい制度の導入については相応の準備期間を設けて段階的に実施することが必要でございます。そこで、今後、関係各方面の意見を踏まえながら、一両年程度を目途に新たな再任用や短時間勤務仕組み等の骨格をお示しできればいいなというふうにただいま検討を進めているところでございます。
  61. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  62. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 新緑風会を代表して、主として防衛問題についてお伺いいたしますが、その前に、六月末に村山政権が誕生いたしました。ここで私は、いろいろ意見の違う人が集まって連合政権を組むということもひとつあり得ると思うんですが、一つだけ官房長官に代表してお答え願いたいのは、当時、昨年の七月十八日の投票の衆議院選挙のときに何と言って社会党の皆さんは戦ってこられたかといいますと、ここに全部持っていますけれども、自民党の金権政治にさようならとか、ともかく一党支配を一掃するという、自民党との対決の姿勢で臨まれて選挙に当選してこられた方々が今政権におられるわけですね。  そうすると、金権政治というのは政治不信を招きますけれども、そういう議会制民主主義の根幹であるようなことを、きのう言ったことときよう言ったことが全く違うような、国民は何を信じて投票していいかわからない。だから、今は政治に対して物すごく白けの状況にあると思うんですね。また、これを外国から見ると、昨年言ったこととことし言っていることが全然違う。政権についたら、総理大臣になると言うことが変わってくる。そういうことでは、村山総理は「人にやさしい政治」というのをキャッチフレーズにしておられますけれども、今の国際社会では、我が国は通商国家ですから信用が一番大切なんです。そういうものもなくなってしまう。  そういうことで、私は今、現政権に対してそのことだけが非常に問題であるというふうに思っています。これは政治不信を通り越した政治の白けだ、もう何が何だかよくわからぬという状況にあるんじゃないかと思います。その点について官房長官にお答え願いたいのと、党の手続を経ないで要職におつきになってから政策が変わるわけですから、非常に珍しいなと私も思っておりますが、この前の三日の党大会に社会党の基本姿勢として、「冷戦時代にはイデオロギー対立が防衛論議に持ち込まれ、国民の合意を妨げてきました。国家基本にかかわる防衛問題で国民合意が存在しないことは国民にとって不幸なことです」、こう言っているんです。これはだれが言っているのか。これは第三者みたいな言い方をしていますけれども、これは社会党さんがおっしゃっていたことですよ。  そういうことで、過去の社会党の行状を隠してしまって新しい社会党があるのかどうか。この二点について、防衛問題の前にお聞きしたいと思います。官房長官
  63. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 一年前から連立の時代に入って、それは、やはり長い三十八年に及ぶ一党政権の大きな反省の中で我が国もまさに連立の時代に入ったと思うわけであります。その後、細川内閣、羽田内閣、村山内閣、こういうふうに組み合わせば変わりましたけれども、しかし連立の中でそれぞれが党改革とみずからの努力をしながら、新しいそれぞれの組み合わせの中でそれぞれの長所を生かして補いながら新しい政策というものを国民に提示してきているというふうに思うわけであります。  そういう意味からいうと、これはそれぞれの党でやはり多くのやはり誇るべきものがあるが反省すべき諸点もあるわけで、こういう点についての真摯な改革について今日私は、特にこの一年間、連合の時代に入ってそういうような努力が尽くされつつある、こういうぐあいに思うわけであります。  しかも、一方でこの政治改革四法も、国会の積極的な御協議によりまして年内には区画割りの問題を含めて完結をしていくということと、さらにまた、政治腐敗の防止等については継続してそれぞれ積極的な御努力も尽くされつつあるというような中で、私は、それぞれが新しい政党として生まれ変わりながら国民の期待に沿うものだというふうに思っている次第であります。そういう点では、先ほど御指摘がございましたような点もそれぞれのみずからの努力の中でまた解消されていくものであろう、こういうふうに思う次第であります。  また、先日の党大会で提示されました資料についての、あれは運動方針の一部であったと思いますね。きっとそうだと思います。
  64. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そうですね。基本姿勢について提案された社会党大会の議案ですね。
  65. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 私は、御承知のようにこの連立内閣の中の官房長官という立場でございまして、余りそれぞれの党に関する問題についてはこの際言及は避けさせていただきたい、こういうぐあいに思います。
  66. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それだと、今官房長官のおっしゃったことを簡単に言いますと、公約で国民に対して選挙のときに言っていることと違ったことをしても一生懸命努力すれば理解される、こういうふうに受け取ってよろしいですか。言ったことと違うことをしても、それは一生懸命やっていればいいんだと、そういうふうに今お答えになったような気がするんですけれども、それでよろしいですか。
  67. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) それは、少なくともやっぱりそういう努力は必要だというふうに思います。
  68. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、そういう考え方にくみすることはできませんけれども官房長官がそうおっしゃるならばそういうふうなものなんだなというふうに受け取っておきます。  我が国は、この繁栄を維持するために資源を諸外国から年間約七億トン輸入して、国内で高品質の製品をつくって海外にそれを買っていただいているという、通商国家というか貿易立国で今日の繁栄を来してきておるということは事実だと思います。それで、七億トンといいますと、マラッカ海峡で毎日二百隻の日本船または日本向けの船が日本に向かって運航しているわけです。それをゲリラとかテロとかそういうものから守っているのは海上自衛隊ではないのです。米海軍がこれを守っている。そのことは官房長官承知ですか、ちょっとお伺いさせていただきます。  いやいや、官房長官は御承知かどうか、別にこれは知っておられるかどうかだけですから。
  69. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) アメリカはもとよりそうでありますが、それぞれの国々の努力によるものであろうというふうに思います。
  70. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それぞれの国の努力によるというのはどういうことですか。ちょっと具体的に教えてください。
  71. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) それは、関係する諸国が常にそういう平和や安全についての努力をそれぞれの立場研究するということは、これは一般的に申し上げて当然のことであろうと思います。
  72. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 その辺の認識も私と大分違います。大分甘い認識だというふうに私は考えております。  まず、御承知だと思いますが、我が国防衛力というのは、短期間に準備された三ないし五師団が北海道に侵攻したときに米軍が来援をするまで持ちこたえる防衛力ということであります。それは質問いたしません。そういたしますと、我が国防衛は米国と共同で守っているわけです。日本の国で自分の力で守っているわけじゃないんです。そうしますと、我が国防衛費をふやしたり減らしたりすることは、主権国家でありますけれども、米国政府と十分な調整を行わないと筋道がおかしいと私は思っております。  したがいまして、村山総理が自衛隊は合憲だと言われた。それじゃ軍縮だ軍縮だと言っておられるんだから少し軍縮しようよと。それで、まずシーリング〇・九というのがある。内容検討以外に去年と同じ〇・九という理論というのは一体どういう理論なのか。国内向けの理論なのか、国際社会の中できちっと自分の国の役割を果たしていくという、そういう態度であるのかどうか。その辺について官房長官の御意見をお伺いします。
  73. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) それは、もとより日米安保条約に基づいて、これはもう村山総理も日米安保を堅持するということを明らかにしているわけでありますが、そういう大方針のもとに我が国の安全保障というものも成り立っているということは言うまでもないことであろう、こういうぐあいに思うところであります。  防衛予算に関しては、これはあればあるほどいいというものではないわけでして、限られた我が国の財政の中で、しかも我が国はもとより一つの国としての憲法のもとでの方針というものもあるというようなことを踏まえながら、いわば専守防衛に徹しながら必要最小限のものとして考えているわけでありまして、そういう点ではいろいろな願望というものはもちろんあろうというふうに思いますが、しかし許された範囲でさまざまの条件のもとに、しかも国際的な軍縮の一つの流れの中で我が国としても最善の努力をしていく、こういうものであろうと思う次第であります。
  74. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、日本防衛というのは、日本は世界的に見ると四百七十兆円の富を一年間で取得しているわけですから、世界から見ると宝庫、宝ですね。そうすると、宝というのは野ざらしにしておけば夜盗の食い荒らしに遭ってしまうわけです。ですから、金庫防衛論というのを私自身持っているんですが、その金庫はどんな火災に遭っても焼け落ちない、そして簡単にはあけられない、そういう金庫防衛論というのが私の持論なんです。  官房長官が、TMDについては費用対効果が不明であって採用しかねるというようなことを言っておられるというんですが、このTMDというのは北朝鮮のノドン一号の射程内に日本が入っているから、それの防衛のために我が国自身が準備しなきゃならないミサイル防衛システムなんです。ところが、本来だったら自分の国でこれを整備しなきゃいけないんだけれども、米軍もいるし、米国は自分の部隊を守るためにこのTMDというのを今開発を開始した。したがって、日本もぜひ日米安保の信頼性を高める意味からもTMDに参画してほしいということを言っているわけです。  それがどうして費用対効果が不明であり採用しにくいというようなことを官房長官がおっしゃるのか。その理由を、自分の国に脅威のあるミサイルの防衛をしなくていいとおっしゃるんですか。ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
  75. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) TMDについて、官房長官として費用対効果が不明であるから不採用とすべきというようなことを主張したということはないんでございますが。
  76. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そうですが。それは新聞報道ですので間違いかもしれません。  じゃ、ぜひTMDについては積極的にお取り組みになられるように希望いたします。  その国の国民が、いわゆる普通の国で言うと軍人になりたくない、日本で言うと自衛官になりたくない、農民が農業から離れたい、船乗りが海離れをするという国は、歴史的に見て大体その国が滅びる方向にあるときにそういう傾向が出てくるわけです。それで、今自衛官になりたいという人は、国会議員の坊ちゃんの中で自衛官にさせている方というのはほとんどおられないと思うんです。農業をやらせている人もいないんじゃないか。  この前、天皇陛下がアメリカに行かれた。それでアーリントン墓地で無名戦士の墓に献花をされる、これはミリタリーのセレモニーなんです。普通の国際慣行では、陛下の直後に専任の防衛駐在官が位置するというのが普通にどこの国でもやっていることであります。しかも、各国そういう栄誉を担えることがその職にあって最高の栄誉なんですね。  それが今回はどういうわけか知りませんが、これは宮内庁の方にお聞きしたいと思うんですが、自衛官は制服でそういうところにいてもらっては困る。それで、最後尾で一般の観覧席みたいなところに位置された。  そういうことではいかがなものかと私は思うんですが、これは宮内庁からどういうことでそういうことになったのかちょっと説明をしていただいて、自衛官の最高責任者である防衛庁長官に、自分の部下がそういう扱いを受けてもいいのかどうかをお聞きしたいと思います。
  77. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) 天皇陛下は本年の米国御訪問の際に、現地時間の六月十三日にアーリントン墓地内の無名戦士の墓に献花されておられますが、防衛駐在官は最後列ということではございませんで、公式随員の直後に続く形で式典に参加されたと聞いております。  その際の防衛駐在官の位置につきましては、昭和五十年の昭和天皇の御訪米、それから平成になってからの天皇陛下の外国御訪問の折に戦没者の慰霊碑等に献花されました先例によって行っておるものでございます。
  78. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) ただいま御説明がありましたように、私も、本年六月の天皇陛下のアーリントン墓地での献花式の際、防衛駐在官は公式随員の直後に続く形で式典に参加したと聞いております。  なお、従来、両陛下が外国を訪問され戦没者慰霊碑等に献花された際、防衛駐在官が天皇陛下の直近に位置した例はなく、今回もこの先例に従ったと承知いたしております。  以上です。
  79. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 その先例ということなんですけれども、冷戦構造が終結するまではそういうことでもよかったのではないかと私は思うんですが、今そういうことの先例をずっと続けていっていいのかどうかということを私は聞いているんです。国際慣行でないことをやっておられて我が国はいいのかどうかということの質問をしているので、先例だからやっているという話を聞いているのではありません。  だから、その点を先例どおりずっと今後もやっていくのかどうなのか、どうして国際慣行に沿ったことをやらないのか。向こうのアーリントンの地区司令官のゴードン少将と同じ位置にどうしていないのかということを私は聞いているので、今までは慣例でやってきたんだからしようがないけれども、これからもそういうことをお続けになるのかどうかということをお聞きしているんです。どうして日本だけが国際慣行と違うことをおやりになるのかなということを聞いているんです。  宮内庁からと防衛庁長官、もう一度返事をしていただきたいと思います。
  80. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) この先例につきましては各国におきましてそれぞれ違いがございますが、米国におきましてはそういう慣習があるようでございますので、米国における慣習を含めまして、委員指摘の点につきましては外務省とも相談をしてみたい、このように考えております。
  81. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 長官お願いします。
  82. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 各国ともそれぞれの参拝といいますか、そのような形式を持ってやっておると思いますが、我が国我が国でこのような形を先例としてやってきた、こういうことだと思いますので、私は今後もこれを続けるということが至当である、こう思います。
  83. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ぜひ自衛官になって命をかけて国を守りたいという人の立場に立って、そういうことが国にとってどんなに大切なことかということをもっとよくお考えになっていただきたいというふうに私は思います。そういうことでは、本当に命がけでやっている人たちに対する最高の栄誉というものが国家として与えられないのではないかというふうに私は信ずるものであります。  時間がなくなりましたので最後になりますが、ルワンダの難民支援について。  海上自衛隊は湾岸戦争が終わってからペルシャ湾に掃海艇で落合司令が行きました。それで、彼はこの湾岸戦争で向こうの海軍士官と話をして、日本国民は一人百五十ドルずつ出しているんだ、日本は何にもしていないわけじゃないんだ、こういうふうに海軍の向こうのパートナーに話したそうです。そうしたら、その米海軍の大佐は何と答えたかといいますと、ああそうか、それでは僕が君に百五十ドルやるから僕の任務を遂行してくれ、こういうふうに言ったと。  非常に含蓄のある言葉だなと私は思っておるんですが、そこにおられる閣僚方々はモザンビークには行っておられないと私は思うんです。防衛庁長官、ぜひモザンビークに行って、隊員がどういう苦労をしているか、よく行っている人の立場に立っていろんな施策を遂行していただきたいと思います。  それで、今度はルワンダに行かれるということなのでありますが、何か新聞紙上では、隊員の安全のために機関銃を持っていくということが防衛庁から提案されたけれども、機関銃はどうなのか、どういうものかとかなんとかという慎重論が出ていると思うんです。専門家が必要だと言っていることを、そういうものは要らないんだというようなことを言われる。どういうつもりでそういうことを言われているのか私はわかりませんが、ともかく派遣される隊員の健康管理、安全確保、処遇については現地の実情を踏まえて万全を期していただきたいと思っておりますので、ルワンダの難民支援について防衛庁長官から御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  84. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 隊員の安全確保に万全を期しながら人道支援のために全力を尽くす、こういう決意であります。
  85. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 どうもありがとうございました。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 人事院総裁に、今回の人勧をめぐりまして二つほどお聞きしておきたいと思います。  先ほど峰崎委員の方からも、例えば勤務時間短縮の問題、また民間との福利厚生というのをどういうふうにして今後見ていくのかという問題の指摘があっております。私の方から具体的に勤務時間短縮の問題で一つお聞きしたいと思います。  それは、やはり先ほどから論議があっておりますように、千八百労働時間へ向けて国がリードする形でやらなくちゃいけない、そう思うんです。その中で先ほどおっしゃったように、超過勤務の削減の問題、年次有給休暇の消化の問題、そういうのを検討されるのは当然のことだと思っております。  その中で一つ御提案でございますけれども、今民間がやっている中で、こういう労働時間短縮へ向かって使っている方法として夏季休暇の問題があります。夏季休暇につきましては国では今三日間、これも連続取得という原則がありまして、このために柔軟な対応ができていないと私は思っております。今、民間では夏季休暇というのは一週間単位、平均で言うと七・三日だそうでございますけれども、そういう体制になっている。そういう意味では、三日間連続取得というあり方について再検討をぜひなさっていただいて、勤務時間短縮、いわゆる千八百時間へ向けて国がリードする形でやっていただけないかというのが一つの御提案なんです。これについての見解を求めたい。  もう一つは住居手当の問題でございます。  今回、住居手当については据え置かれてございます。ただ、全国勤労者世帯平均では実質八・五%値上がりをしている。なぜこういうものが酌み取れないかということなんですけれども、これは例えば民間の場合は住居については借り上げというシステムをとっている。このために住居手当というものを上げなくても済む形で民間が推移しているという問題がある。こういう問題にまで目を向けていかないと住居手当の問題というのは解決しないのではないかというのが一つ。  もう一つは、調整手当で地域間の格差の問題については今いろんな形で手当てをなされておると思っておりますけれども、特に住居の問題というのは都市圏が地方に比べて高いという現状がある。そうすると、調整手当で間に合うのかという問題がある。この住居手当という問題は、一つ民間のそういう借り上げというものをどう見るかという視点と、もう一つはやはり地域格差をどう見るかという視点を持たなければ解決できない。ぜひそういう地域で住居手当というのを見直していく、これをやる必要があるのではないかと思っております。この二点について御答弁をいただきたい。
  87. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 御指摘の夏季休暇を含めまして各種休暇の内容等につきましては、基本的には私どもといたしましては情勢適応の原則のもとで民間事業所実情を踏まえつつ考えてまいったつもりでございます。  夏季休暇につきましては、昨今の厳しい経営環境の中にございまして民間企業における夏季休暇の日数は、新聞等は確かに一週間等と書いてございますが、それは週休日、それから年次休暇等も含めて言っておる数字でございまして、純粋に夏季休暇というのはかなり少なくなっております。そういう意味で、公務に夏季休暇を導入いたしましたのが平成二年の勧告のときでございますけれども、そのときと夏季休暇の日数は全く同じでございまして、そういう意味で夏季休暇をめぐる状況が変化がないということから、直ちに付与日数の増加を検討する状況ではないというふうに判断  いたしたわけでございます。  また、夏季休暇は、夏季における連続した長期間の休暇を実現するために導入したものでございまして、その分割使用というのは基本的には適切ではないのではないかと思っております。現状におきましても、夏季休暇はほとんどの職員年次休暇と合わせた形で一体で利用しておりまして、例えば交代制等勤務職員のような特殊な勤務形態による職員で代替要員の確保が非常に難しいというような、そういう職員につきましては分割付与を認めているという事情もございますので、運用上の問題は特段現在生じていないというふうに考えております。  夏季休暇の問題につきましては、今後も民間動向を注視してまいりたいと思っておりますが、当面は、先ほど申し上げましたように夏季休暇と年次休暇を合わせて長期の連続休暇をとっていただくということで努力してまいりたいと思っております。
  88. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) お答え申し上げます。  借家、借間に係る手当額につきましては現在どのようにして改定しておるかと申しますと、民間における住居手当支給状況あるいは家賃の動向、それから公務員宿舎入居者との均衡等を考慮いたしまして、必要に応じて改善してきているところでございます。  ことしの場合、民間の住宅手当の支給額には若干上昇が認められることは事実でございますけれども、住居手当改正の際の参考としております民間の住宅手当の最高支給額、これの分布の中位階層の額を見ますと、公務の住居手当の現行最高支給額とおおむね均衡しているということ、それから、ことしのように非常に少ない、極めて少ない改善原資のもとでは本俸や扶養手当改善をより優先すべきであるというようなことから、住居手当の方には手が回らなかったわけでございます。  また、職種別民間給与実態調査によりますと、住居手当の支給がある民間事業所は全体の六割でございますけれども公務の住居手当の支給額の改定はこれらの民間事業所における支給額の状況を参考にして行ってきておるところでございます。  御指摘のように、民間において会社が契約して住宅を借り上げ、その家賃を会社が直接払っているいわゆる借り上げ社宅につきましては、むしろこれは公務員宿舎そのものに相当するものでなかろうかと考えております。このような借り上げ社宅に係る状況を、公務員宿舎以外の借家、借間に居住する職員に支給する住居手当に反映させるということは、ちょっと無理ではないかと考えているわけでございます。  それから、調整手当との関係でございますけれども、現在でも都市部の方に厚く行くような仕組みになっております。と申しますのは、借家、借間に係る住居手当一万二千円を超える家賃を支払っている職員に対しまして、その家賃額に応じて算出した額を支給する手当でございます。もう少し具体的に申し上げますと、一万二千円を超える家賃額をそのまま支給する全額支給限度額、これは現在は一万一千円が限度で、ちょうど家賃額に対応させますと二万三千円の家賃に対応するわけでございますけれども、それに加えましてさらに二分の一に相当する額を支給する。現在はこれが一万六千円が限度で、全額支給分を含めました最高支給額は二万七千円でございまして、これは総額家賃に対応させますと五万五千円に対応することになっておるわけでございます。  したがいまして、高額家賃を負担する職員の方に配慮した仕組みになっておるということでございまして、現実に、より高額の家賃を負担しております都市部の職員が地方の職員よりも高い手当額を受給しているところでございます。  その例を申し上げますと、ことしの国家公務員給与実態調査によりますと、例えば調整手当支給地域区分の甲地のうち一二%または一〇%の支給地域における住居手当受給者の平均手当額が二万四千百五十九円に対しまして……
  89. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大体わかりますよ、そんなの調べているんだから。
  90. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) 調整手当非支給地におけるそれは二万八百十六円、このようになっておるわけでございます。
  91. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 勤務時間の問題、要するに民間動向を見ながらというのはあったけれども民間を先取る形でどうやって千八百時間にするかということが問題なのであって、その点をきちんと考えていただきたいということを私は申し上げておるのです。例えば家賃の問題、五万五千円、知っていますよ。実際に家賃が五万五千円を超えているのがあるわけでしょう。そのときは五万五千円で打ち切りでしょう、そういうことを考えろと言っているんです。長々と説明していただきましたけれども、十分間も。  ところで、官房長官、被爆者援護法の問題です。官房長官は会見されておりますけれども、次の臨時国会で政府として提案するお考えがあるのかどうか、まずお聞かせ願います。
  92. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 大変難しい問題であることは改めて申すまでもないのでありますが、しかしながら、現在与党内に戦後五十年問題プロジェクトが設けられまして、そこでも鋭意検討を始めたところでございますので、そういう検討状況を見ながら政府としてもいろいろな努力をさせていただいて、できれば結論を得て国会に御提案できるような状況にしたい、こういうぐあいに思っているわけですが、なかなか困難な状況であることは重ねて申し上げておきたいと思います。
  93. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 一応の考え方は、政府提案と議員立法という考え方がやり方としてあると思うんです。方向としてはどっちを目指すような格好になるんでしょうか。
  94. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) それはもとより、もう少し与党間の議論を見てからでなければ結論は得られないというふうに思います。
  95. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう段階で、官房長官が現行二法を一本化していわば国家補償は見送りととれるような発言をしたことは、これは極めて遺憾である。さっき官房長官はおっしゃっていましたけれども政策の変更もある、いいものはいいものとして残していくんだ、お互い努力しながら詰めていくんだ、社会党の立場じゃ言えないというお話がさっきありました。  少なくとも官房長官としては、この国家補償という問題は、被爆者にとっても、また我々と一緒に積み上げてきた経過、私は社会党の皆さんと被爆者援護法を一緒にやりました。参議院で二回通しました。そういう経過を踏まえるならば、官房長官として、国家補償ができないということになるならば国家補償の精神をどう生かすかとか、そういうぎりぎりの努力をなさらなくちゃいけないのに極めて遺憾な発言をされている。これじゃ社会党が政権に入った意味がないじゃないですか。自民党が今まで言ってきたことをそのままのむような話をされている。これじゃ何のための社会党が入った政権か、まさに今言われている後退、すべて後ろ向きになってしまうじゃないかと思う。この点について見解を聞いておきたい。
  96. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) もとより、我々としてはこういう困難な問題であるからこそ真正面から取り組んでいこう、こういうようにも思っているわけであります。  戦後補償の問題もそうでありますし、この被爆者援護の問題もそういうことであって、木庭委員が今日まで大変この問題について熱心にお取り組みいただいていることも我々もよく承知している、ところであります。今までの与野党の御議論をいただいてきた経過、そういうものもよく我々としては勉強をさせていただいているところであります。加えて、非常に困難な問題ではあるが、そういう条件ぎりぎりのところでどんなことが一体可能なのかということを真摯に今検討しておりまして、そういう意味では決して後退というものではなくてむしろどうにかしたいと、本当にそういう気持ちで今取り組ませていただいておりますので、またいろいろ今後とも与野党のお知恵をぜひいただきたい、こういうふうに思う次第であります。
  97. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 現時点では、国家補償という問題も含めて、与党、政府あわせて検討をなさっているという考え方でよろしいわけですね。
  98. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 少なくとも、私ども政府側の検討の中では、これは国家補償という立場からは非常に難しいというふうに思っております。与党の方は必ずしもそういう前提条件のもとに御議論をしているというものではないと思いますが、我々の検討の経過からいくと極めて難しい。そういう難しいという状況を踏まえながら、可能な方途を全力を挙げて探っているということであります。
  99. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 政府が難しいのは本当は原爆の基本懇があるからなんですよ。本来、政府そのものの考え方を変えようと思えば、基本懇をもう一回起こすなりやり方があるのですよ。そういうことも、官房長官、考えてくださいよ。今までのこの基本懇を受けた経過の中でも、これだから政府としては変えられないと、こう言って考えるのではなくて、この基本懇のあり方を変えていけば全体を見直すことができるわけです。そういう視点もぜひ持っていただきたいことを要望しておきます。  ところで、防衛庁長官、先ほど決意を伺いました。ルワンダ人道支援の問題、その決意で私が確認しておきたいことは、現場はいろいろ状況が変化しておりますし対応が大変だと思います。それで、決意の中で防衛庁長官としてぜひやっていただきたいことは、いろんな柔軟な対応をしなくちゃいけないけれども、一番大事なことはPKO法の五原則というのは必ず守っていくんだということで臨むのかどうか、この一点を確認したいんです。お願いします。
  100. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 当然、派遣を決定する場合におきましては五原則に基づいて決定する、それからまた事態が変化した場合におきまして、五原則のもとに判断をして自後の対策については速やかに行う、こういう考えです。
  101. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それこそルワンダの中の国情が変わっていって、ルワンダ国内の支援という話も当然出てくると思うんです、やっている最中に。そういう場合もルワンダの政情を分析して、いわゆる同意の問題、中立性の問題、それをぜひ確認していただいて、もし入るにしても、そういう状況を迎えたときもその点を確認していただきたいと思うのですけれども、その辺はよろしいですか。
  102. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 仰せのとおり、国会で決定をいただきました派遣五原則でございますし、委員が今言われましたように、国会の論議も十分踏まえまして今後行動をとっていくようにやってまいりたいと思います。
  103. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、先ほども出ておりましたけれども、隊員の安全の問題です。これはもちろん最善を尽くしていただきたいし、十分な配慮をしていただきたいと思っております。  先ほど、銃器、携帯する武器の問題がございました。私は最終的に政府部内でどう調整されるかわかりませんけれども防衛庁の考えとしては必要とあればある意味では短銃の問題、小銃の問題そして機関銃の問題も出てくると思うのですけれども、その面まで含めて隊員の安全性の面から携行する武器にしても防衛庁としてはやっていく立場ではなかろうかと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
  104. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 今後、最終決定までの間に現地の情勢の推移も見極めつつ判断をしてまいりたい。以上です。
  105. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それぞれ各大臣に聞くことになっておりましたので、最後に総務庁長官にも一問だけ聞いておきます。  情報公開の問題でございます。私は情報公開の問題も、これは参議院の方でも一回法制化へ向けてやったこともありますし、社会党さんとしても一生懸命やってこられたし、総務庁としても取り組んできた課題だと。総理がこの前、なられた途端に諮問機関の問題をされて、私はそれはそれでいいことだと思いました。ただ、形としてそれは取りやめになって、これも後退に見えるのではないかと私は思うのです。先取りして恐縮でございますけれども、多分これから総理府にできる行政改革委員会というものがその検討機関になると思うのですけれども、これも本当にそこでやってくれるのかどうかというのがまだはっきり見えない部分がございます。  ですから、総務庁長官ももちろんこの情報公開について法制化へ向けて取り組むという決意だろうと思います。それを御確認した上で、その手続としてこの行政改革委員会という中できちんとこの情報公開法の問題については法制定、制度化へ向けて取り組むという決意なのか、スケジュールとしては大体このぐらいをめどに自分としてはやっていきたいというお考えがあれば最後に伺って、質問を終わります。
  106. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 木庭委員にお答えいたしたいと思います。  総理のあの問題に関して御発言がございましたが、総理の発言は情報公開が大事である、これを積極的に進めたい、そういう熱意を示されたものと我々は受け取っている次第でございます。手続的には行政改革委員会設置法、これを速やかに成立をお願いいたしまして、三年間という期間でございます、五名の専門家の方々に御委嘱を申し上げる。そこで、三年と言わずできれば二年ぐらいのうちにこの問題について専門的立場で御検討をいただきまして、その上に立って法制化を進めたい、こういう決意でおりますことを御理解いただきたいと存じます。
  107. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  108. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 まず最初に、人事院勧告の問題について総務庁長官にお尋ねいたします。  武村大蔵大臣は、今度の人事院勧告について二日の記者会見で、完全実施できるのかどうかとかなり渋い発言をされております。今度の勧告は、史上最低の勧告でそれ自体大変な問題だと思いますが、その実施も渋るというのではもっと大きな問題だと私は思います。給与改善については速やかに完全実施すべきだというふうに考えますが、総務庁長官として、大蔵大臣がそういう発言をしておられるので、やっぱり完全実施すべきだということを率直に総務庁長官は進言すべきだと私は思いますが、長官の御意見を伺いたいと思います。
  109. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 峰崎委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、本日の閣議後の懇談会におきまして特に発言を求めまして、人事院勧告早期完全実施、これが必要ではないかということを強調いたしまして、このための給与関係閣僚会議を速やかに開くように求めた次第でございます。  この問題に関しても、各閣僚から賛成の御意見がございましたが、武村大蔵大臣もこの勧告趣旨は十分尊重するという趣旨発言もいたしておりまして、結局官房長官のもとで給与関係閣僚会議早期開会に向けて取りまとめをお願いすることにいたしましたので、政府として早期完全実施、それに向かって全力を尽くすということについては御理解を賜りたいと思います。
  110. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 次に、私はルワンダ問題について質問したいと思います。  ルワンダ難民救済のために自衛隊をザイールに派遣するということが今問題になっておりますけれども、まず最初に、この自衛隊派遣の要請というのは、いつ、どこから、どのような形で来たのか、このことについて質問をしたいと思います。  新聞を追っていますと、七月十九日に国連難民高等弁務官が各国に支援の緊急アピールを発表した。私は外務省から取り寄せまして読みました。これが緊急アピールです。これは英文ですが、そこに別に自衛隊を派遣してくれということが書いてあるわけじゃない。さらに新聞を追っていますと、七月の下旬に河野外務大臣が記者会見をしまして、先週緒方高等弁務官から電話で支援要請があったと、こう述べているんです。これが正式派遣要請だったのか、これによって自衛隊派遣の検討政府は入ったと、こういうふうに理解していいんですか。
  111. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) お答え申し上げます。  国連の難民高等弁務官、UNHCRでございますが、これが今回のルワンダの事態につきましては周辺国を含めて全体を統括すると申しますか、取り仕切っている国際機関でございますが、この国際機関の方から我が国に対しましては重層的な形で要請が参っております。重層的と申しますのは、二国間、要するにUNHCRから日本だけに対しての呼びかけと、それから日本を含む国際社会の各国に対する全体的な呼びかけと、こういう両方がございますので、それを時間的に追って若干詳しく申し上げますと、七月の二十日にまずジュネーブの遠藤大使に対して緒方高等弁務官から資金的、物的それから人的な支援を日本からお願いしたいという二国間の要請がまずあったわけでございます。  それから、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、多国間、要するに国際社会の各国に対するUNHCRからの呼びかけというのが七月の二十日、同日に行われておりますし、さらに七月の二十六日にもUNHCRの方で、サービスパッケージという、要するにセクター別に能力のある国で担当してくださいという提案をつくりまして呼びかけをしております。  それからさらに、今度は二国間のコンテクスト、二国間の文脈では、また八月に入りまして八月十八日に──失礼いたしました、先ほどの河野外務大臣に対する電話、これは七月の二十二日でございます。それからさらに八月に入りまして、緒方高等弁務官が訪日をしている間に、これは総理、それから官房長官、河野外務大臣に個別にそれぞれお会いになって、我が国からの人的な貢献、これは自衛隊の可能性も含めて検討してほしいという具体的なお話がございましたと、こういうことでございます。
  112. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 七月のことにつきましては、七月の段階で各新聞がいろいろ報道しているのは、先ほどの電話があったとか、そういうことで報道があった時期ですね。日本の新聞が報道しているのは、これについて日本政府はまだ消極的だという報道が圧倒的に多いんです。  ところが、八月の中旬以降になって急に動きが本格的になってくる。八月の二十四日の共同通信の配信によりますと、八月中旬にクリントン大統領が村山総理あてに書簡を送った。そしてその中で、日本が自衛隊派遣を検討しているということについて歓迎する、日米が協調して対処していく必要性があるという指摘をした書簡をクリントン大統領が村山総理に送ったと共同通信は配信しております。それ以後急速に高まったことだけはもうこれは事実として明確で、現に総理自身が八月十六日、箱根の静養先でわざわざ記者会見して、自衛隊派遣も検討するということを初めて総理としては言っておられる。  本当にこういう書簡があったのかどうか、官房長官にお伺いしたいと思います。
  113. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) これは、本来外務省の方からお答えすべきことなんだろうと思いますが、私が関係省庁の一員として承知しているところでは、クリントン大統領は我が国を含め各国に対してルワンダの今回の事態についてできるだけ各国とも努力をして助けようじゃないかという呼びかけをしているということはあると承知しております。  ただ、今先生御指摘の点でございますが、クリントン大統領の書簡が契機となって急に日本政府が前向きになったというような御指摘がございましたが、いわゆる第一次調査団なるものは八月二日に日本を立って現地入りをしているわけでございまして、そこから政府の本格的な検討というものがもう既に始まっておったということでございます。
  114. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 書簡があったということは事実ですか、官房長官
  115. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 事務局長が今申し上げたとおりであります。
  116. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 一般的な呼びかけを各国にクリントン大統領がやったということなんですか。
  117. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 私はそういうふうに承知をしております。これは外務省の方から聞いた話でございます。
  118. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 これは、一国の大統領が日本の首相に対して書簡を送っているのか送ってないのかという大問題なんですよ。ですから、ちゃんと調べて報告をしていただきたい。官房長官お願いしたいと思います。
  119. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 事務局長が今報告したとおりであろうと思います。もし報告が異なるような点がありましたら御報告いたしたいと、こういうぐあいに考えます。
  120. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 今の官房長官のお答えでは私は納得できません。  というのは、一般的なそういうものが各国に寄せられたということを述べられただけで、ちゃんとした村山首相への書簡があったのかなかったのかということを私は聞いているわけですから、官房長官は常に総理と、いわば女房役なんですから、それをきちっと調べて国会に報告していただきたい。我が国の自衛隊が行くのか行かないのか、こういう大問題の書簡でありますから、ぜひ報告をしていただきたい。  時間がありませんので、次の問題について質問をいたします。  今度の派遣というのはPKO法に照らして非常に無理があると私は思うんです。先ほど、PKO五原則は守るかという質問が防衛庁長官に対してありました。それはルワンダの問題でお答えになった。ところが、派遣するのは今ルワンダじゃなくてザイールなんです。ザイールの問題を見ても、これはPKO法に照らして本当に無理があると私は思うんです。  PKO法は、先ほども指摘があったようにPKO五原則というのがあります。停戦の合意、それから関係国の同意、中立性、もしそれが破られれば撤退する、だから武器を使用するということは基本的にあり得ない、万々一の場合、要員の護身のために小火器を携帯することがあり得る、これが五原則だったと思うんです。ところが、今度は初めから安全が第一だ、そのためには機関銃が必要だ、こういうことになっているわけですね。  ザイールというのは実際上、第二次調査団の報告書を読んでも治安が今極めて不安定だということが報告書には書かれておりますし、だから現に米軍は引き揚げる、フランス軍も引き揚げる、こう言っているわけです。それから日本大使館、私はきのう調べたんですけれども、ザイールの日本大使館はもう閉鎖しているんです。何でかと言ったら治安が不安定、暴動が起こった。だから、ザイールの大使館というのは閉鎖して今はないんです。日本のザイール大使館は別個のところへ行ってしまっている。こういう状態です。  そうであれば、本来こういうところに自衛隊を送るわけにはいかないというのがPKO五原則だったんじゃないかと思うんです。だから、ザイールに派遣するのも五原則に反しているというふうに言わざるを得ないんです。もし五原則に反していないというのであれば、今度は人道的援助、人道的な国際援助というPKO法にあるその項目で派遣するんだと言っておられますけれども、そうすると人道的援助というのはPKO五原則とは無関係のものだということになってくるんです。そうすると、人道的援助という名目さえ立てば、人道的援助ということであればもうどこへでも自衛隊を派遣できる。それで、危険度に合わせてどんどんグレードアップしてどんな武器でも持っていける。こういうことにならざるを得ない。PKO法というのはそんな法律だったんですか。  このことについて私は防衛庁長官の御意見もお聞きしたいし、官房長官の御意見もお聞きしたいと思います。
  121. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) まず、国際平和協力法の枠組みに関することでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  ただいま先生御指摘のとおり、国際平和協力法の中にございます二本の大きな柱のうちの二番目のもの、すなわち人道的な国際救援活動、これは国連PKOではございません。この人道的な国際救援活動の一環として、今回ルワンダの周辺国たるザイールに我が国の要員を派遣するということを現在政府として検討しております。  こういうことでございますが、人道的国際救援活動はそれではいわゆる五原則と関係ないのかという点でございますが、これはもちろん関係ございます。もちろんございますけれども、今回我が国の要員が活動することを考えておりますザイール、これは周辺国でございますが、ザイール自体は紛争当事者ではないという認識を有しております。  そうなりますと、この法律の第三条二号の人道的な国際救援活動の定義のところにございますが、「当該活動が行われる地域の属する国が紛争当事者である場合においては」停戦の合意が必要であると書いてございますので、紛争当事者でない場合には五原則全体は適用があるのでございますが、この停戦合意の要件というのは妥当しないということになるわけでございますから、当該活動が行われる国、すなわちザイールとかあるいは後方の支援のために要員を駐在させると言っておりますケニアとかそういう関係国の受け入れ同意というものが必要になりますが、停戦合意そのものは妥当しないという認識でございます。
  122. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 ザイール自身が紛争当事国でないことは、これはわかってます。しかし、そのザイールが大変政情不安であって、日本大使館も引き揚げざるを得ないという状況にある。だから、そこへ自衛隊が行けば非常にいろんな危険性がある。現にあそこには部族間の紛争もありますし、それに巻き込まれる危険性があるからこそ機関銃が必要だ、抑止力が必要だと自衛隊は言っているわけですよ、機関銃を持っていかなけりゃならぬということについて。  そうしますと、ザイールが紛争当事国でないから送れるんだと言ったら、その紛争当事国でないところが大変な問題を抱えていて、いつでも発砲しなきゃならぬような事態にある。それでも送ると言うんだったら、これは平和五原則と無関係じゃないとあなたおっしゃったけれども、まさに平和五原則に抵触してくるんじゃないですか。これは、政治に非常に重要なPKO法をどうやって運用するかの大事な点ですから、官房長官、五原則の範囲内でおやりになるんですか、それとも人道的援助というところに依拠すれば何でもできるという立場をおとりになるんですか。
  123. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 御承知のように、一昨日、与党の調査団が改めて現地の調査に参りまして、今の予定で十一日に帰ってくる計画になっている次第であります。  今、我々が承知している現地の情勢というのは、治安の状況で不安な点が確かに見えるものではありますが、しかし派遣することの問題性があるような状況とは余り聞いていないのであります。  しかし、今回の与党側の調査団の報告も改めてよく聞きまして、そういう上で最終的な結論をして派遣の有無を決めたい、こういうふうに思っている次第でございます。したがって、現段階では準備の作業はいたしているということであります。
  124. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 現段階でもう危険だ、だからカンボジアにも持っていかなかった機関銃を持っていく、機関銃で装備された装甲車、これを持っていくということを決定されようとしているわけですね。今、まだ決定してないですか。
  125. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) まだ決定してないですよ。
  126. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 いやいや、それは十三日の閣議で決定されるんだろうと思いますが、まだそういうことも防衛庁は考えてもいないんですか。それなら何で新聞がそういうことをずっと書くんですか。防衛庁もそのことは言っておられる。だから、今まだ全然そういうことは決めてないなんていうのはとんでもないですよ。  私は、別に要員の方が危険にさらされりゃいいんだなんということを主張しているんじゃないんですよ。PKO法というのをどう運用するかということで、こんなでたらめがあっちゃいかぬということを私主張しているんです。平和五原則があってPKO法は発動するということが国会であれだけ議論になったじゃないですか。  それで、今五原則に反しない、機関銃を持っていったって何を持っていったってというようなことを官房長官あるいはその他の方がおっしゃったんじゃ、もう原則を根っこからひっくり返すと同じなんです。その次に出てくる論理というのは、人道的派遣ならばそれはいいんだということになってくるんだ。こんな二重の使い分けになっていたのがPKO法ですか。長官、はっきりお答え願いたい。  それで、私はこういうあいまいな点が残されたままで派遣をするということは重大な問題だと思います。ルワンダ難民救済にあたっての抜本的な再検討を行うべきだということを主張したいと思います。
  127. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 自衛隊の派遣につきましては、まず第一に現地の治安情勢等も慎重に考慮した上で判断すべきこと、また自衛隊が派遣されるということになった場合におきましては、現地の治安情勢も十分勘案をしまして、護身用の武器を携行すべきであるかどうか、どういう種類のものをやるか、こういうことはもっと慎重に検討しておる、こういうことでございます。
  128. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十一分散会