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国務大臣(
五十嵐広三君) 先日の
内閣総理大臣の
談話というのは、ここでも申し上げているのでありますが、戦後五十年を来年に控えて、総理は韓国を訪問して、また東南
アジア諸国を歴訪した。これを機に重要な節目の年を意義のあるものとしようということで、現在、
政府がどのような対外的な取り組みを進めているかについて
基本的考え方を述べたいと思いますということでこの
談話というのは出ているわけです。
しかし、それにいたしましても、最初のところで、「
我が国が過去の一時期に行った行為は、
国民に多くの犠牲をもたらしたばかりでなく、」、こういうふうにまず
我が国における多くの犠牲について触れながら、先ほど申しましたように、この
談話で言おうとする
アジア諸国との
関係について申し述べたという
趣旨のものであることを御理解いただきたいと思う次第であります。
全体として、
談話は暗いんじゃないかという御
意見もございましたけれ
ども、しかしこの
談話の中で特に我々が大きな柱として立てているものとしてはいわゆる平和友好
交流事業であって、これは未来に向けて、
一つには青少年を初めとする諸階層の平和友好
交流を積極的に進めていこう、あるいは
歴史をしっかりお互いに理解し合う、こういうような意味での
交流というものを深めていこうというようなことに大体年間百億ぐらい、十年間で約一千億をかけてそうして
アジア諸国との友好を深めていこう、理解を深めていこう、こういうものをも特に
中心として、柱として掲げているわけであって、そこのところは暗いイメージばかりではないかというのは、私は必ずしもそうではないのではないかというふうに思うんです。
それから、東南
アジアに歴訪なされた折、あるいは八月十五日の
追悼の辞等における
村山総理の言及している言葉につきましては、私は非常に適切な
内容であるというふうに思うんです。それは、謝罪のための歴訪だとかなんだとかというものではなくて、我々は戦後五十年を迎えて、かつての
歴史というものについて反省すべき点は率直に反省しよう、こういう
気持ちというものをみずから課すことが大事だ。人に言われてどうこうというよりは、みずからやはりそういう反省をしっかりしながら、そういう過ちは二度と繰り返さない、そうして本当に明るい、
アジアの諸国と喜びを共有できるような
我が国の仕事というものをこれから進めていこうじゃないか、こういうようなことを念頭に置きながら、あそこで述べたりあるいは歴訪の折の言葉になっている、こういうぐあいに思うわけであります。
御
指摘のように、非常に
我が国の
歴史で誇りとすべきものも多いのでありますが、しかし反省すべきものもあるわけでありまして、そういう点はしっかりみずから言い聞かせていくべきであろうと思うのであります。