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1994-09-02 第130回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年九月二日(金曜日)    午前十時七分開会     ─────────────    委員異動  九月二日     辞任         補欠選任      山崎 順子君     小島 慶三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三上 隆雄君     理 事                 北  修二君                 守住 有信君                 今井  澄君                 清水 澄子君                 風間  昶君                 高崎 裕子君     委 員                 笠原 潤一君                 佐藤 静雄君                 清水 達雄君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 稲村 稔夫君                 庄司  中君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 泉  信也君                 小島 慶三君                 小林  正君                 長谷川 清君                 浜四津敏子君                 横尾 和伸君                 島袋 宗康君                 翫  正敏君    国務大臣        通商産業大臣   橋本龍太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 重夫君    説明員        防衛庁参事官   江間 清二君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁人事局長  萩  次郎君        防衛庁経理局長  秋山 昌廣君        防衛庁装備局長  荒井 寿光君        防衛施設庁長官  宝珠山 昇君        防衛施設聽施設        部長       小澤  毅君        外務省北米局審        議官       高野 紀元君        通商産業省産業        政策局長     堤  富男君        資源エネルギー        庁長官      川田 洋輝君        中小企業庁次長  鈴木 孝男君        会計検査院事務        総局次長     白川  健君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君        会計検査院事務        総局第五局長   中島 孝夫君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      井川  博君        中小企業信用保        険公庫総裁    大永 勇作君        日本道路公団理        事        山田 幸作君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成三年度一般会計歳入歳出決算平成三年度  特別会計歳入歳出決算平成三年度国税収納金  整理資金受払計算書平成三年度政府関係機関  決算書(第百二十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成三年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、山崎順子君が委員を辞任され、その補欠として小島慶三君が選任されました。     ─────────────
  3. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 平成三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通商産業省防衛庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 笠原潤一

    笠原潤一君 自民党笠原潤一でございます。  きょう決算委員会質問ができ、大変光栄に思っていますが、何分にいたしましても甚だ浅学非才でありますので、その点は御了承いただきたいと思います。  まず、橋本通商産業大臣、本当に御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。  久方ぶりの超大物の大臣の御到来で、我が国の今湿りがちのこの不景気を持ち前の豪快さで吹き飛ばしていただきたいと思っております。厚生大臣のときの御経験やら、日本高齢化時代を迎えつつ、この将来ビジョンやまた環境の問題、さらには大蔵大臣時代、特に湾岸戦争時代、あの見事に乗り切られた百十億ドル国際支援の問題や、その他政府の主要なポストを歴任されて、豊富な経験を十分に発揮されること、またお父上譲りの、当時のワンマン宰相であった吉田総理すらも、あのお父上の剛毅な、そして弱者を愛するあの当時の厚生大臣、その父譲りの気概をひとつ遺憾なく発揮されまして、国家国民のために私どもの将来に誤りなきを、また思い切った能力を発揮されることを心から期待するものであります。  それでは、まず大臣に、大臣のポリシーといいますか、通商産業経済政策について御所見をお伺いしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変御激励をいただきましたことに最初にお礼を申し上げますとともに、この分野に関しましては私は未経験でありますので、どうぞ委員各位の御支援を心からお願い申し上げます。  今、通商産業政策への考え方という御指摘でありますが、最近の経済情勢というものを眺めましたときに、確かに次第に明るい動きが広がってまいっておることは事実であります。しかし、一方では急激な円高による影響というものは随所に見られるわけでありまして、この急激な円高というものがせっかくの明るい動きというものを逆行きせはしないかということを非常に心配いたしております。  また、日本経常収支が依然として大幅な黒字を続けておりますことが国際的にもさまざまな波紋を呼んでいるわけでありまして、私どもといたしましては、内需主導型の持続的な経済成長というものを促進しながら、我が国経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることに最大限の目標を置きたいと考えております。  同時に、マクロ経済の面におきましては、社会資本整備の一層の促進、あるいは産業構造面における対応としては、産業構造転換あるいは新規市場分野の開拓、さらにミクロ経済面対応としては、規制緩和等を積極的に行ってまいります中で市場機能を向上させていくという、いわば三位一体の経済改革というものを進めていくべきであり、その中で豊かな活力のある社会を構築していくよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  特に、中小企業などの活力低下が非常に心配されておるわけでありますが、技術開発及び新規事業振興策というものを総合的に展開しながら経済活性化を推進していくべきであると考えております。  もう一つ申し上げておかなければなりませんのはエネルギー分野であります。今、電力あるいはガス料金の引き下げを継続していただくようにお願いをし、そうした方向に動いたわけでありますけれどもエネルギーコストとしての石油の価格は少しずつ上がる気配を持っておりまして、こうしたことも脳裏には置かなければなりません。エネルギーセキュリティーの確保というものを図りながら、効率的なエネルギー供給の実現に向けた規制緩和等を進めていくつもりであります。  また、対外経済関係という視点からまいりますと、来年一月一日に世界貿易機関の発足が予定されておるわけでありますが、通産省の所掌の中におきましても、特許制度国際調和を図るなど、実施体制整備を初め各種の分野における取り組みを進めていく必要がございます。  今回行われます四極通商会議等におきましても、これらの問題は国際的な場でも議論の対象になるかと思われますが、日米包括協議など各般にわたる通商問題とともに積極的に対応してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  10. 笠原潤一

    笠原潤一君 大変積極的な精神をお聞かせいただきまして、大変私も心強く思っております。  ところで、御承知のように第二十回の主要国首脳会議ナポリサミットは七月八日、日本時間で九日の未明から十日までイタリアのナポリで開催されました。村山総理は体調を崩されて、ああいう形で非常に残念でありましたけれども、それでも積極的に首脳外交を展開されて大変好評であったのであります。  今回のサミット特徴は、首脳間の非公式かつ率直な討議がより一層徹底したことと政治面におけるロシアとの対話の強化が進んだことと言われております。しかしながら、そのこと以上に、G7全体で約二千四百万人以上の失業者が存在しておりまして、今なお増加の一途をたどっておることは今さら私が申し上げるまでもございません。米国デトロイトでの雇用失業ハイレベル会合経済協力開発機構、OECDで確認されました雇用創出能力を改善するための努力、さらにはよりよい基礎教育技能向上職業訓練への雇用者側の十分な関与などを受けて各国がさらに協力を強化することが必要であると強調されております。  先ほど大臣もおっしゃったように、サミット前から急激に進んだ円高ドル安について、九日の大蔵大臣会議では、最近の為替レート動きは我々経済基本的条件と整合的でなく、したがってこれ以上の米ドル低下は好ましくないし、かつ正当化されないとの共同認識で一致したと報ぜられております。  しかし、その後ドル安は依然として続いておりまして、先行きこの円ドルバランス、またマルクとドル関係も依然改善されておらないところが現状であります。なお一層深刻の一途をたどりつつあります。今やドルの百円割れというのは当然のごとく推移しておる感がありまして、通貨当局の考えとは別に、相場は生き物でありますから、もう百円前後を想定して、為替相場を踏まえて我が国産業政策を掲げていかなければならぬような事態に追い込まれているのではないかと思っております。  したがって、経済宣言では、雇用成長、先ほど大臣がおっしゃったように日本で大きなテーマになっている規制緩和問題について、不必要な規制を撤廃し、中小企業にとっての障害を除去することを通じながら競争を促進することが一番いいと、こう述べておられます。  果たして、雇用創出持続的成長を図るというサミットのこの主要テーマをどのように実現されるのであるか、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、先日のナポリサミットというものを村山総理が非常に見事にこなしていただいたということを御本人にもお礼を申し上げ、日本としては非常によかったと受けとめてまいりました。そして同時に、その成果という意味では、今回のサミットの中で、世界経済の中に次第に明るさを取り戻してまいってはおりますけれども、御指摘のように依然深刻な雇用問題を抱えている。そうした中で雇用問題の解決と持続的な成長を図っていくためには、適切なマクロ経済政策実施とともに構造政策の遂行が不可欠だという認識が生まれました。私は、この構造政策重要性というものについてコンセンサスが生まれたことは今回のサミットの非常に大きな成果であった、特色であったと考えております。  これを通産省の立場に置きかえてみますと、技術革新促進でありますとか、あるいは新技術の普及、さらにまさに御指摘のように規制緩和の推進といったものに努めながら構造政策を強力に実施していく、いわばそうした方向へ向けての国際的な合意が今回のサミットの最大の特徴の一つと、そのように受けとめております。
  12. 笠原潤一

    笠原潤一君 ありがとうございました。  サミットでの橋本大臣の御活躍も、さらに先ほどの村山総理のけなげといいますか、あの態度で各国首脳間に大変に大きな評価を得られているということについて我々大変喜んでおりますが、このサミットが本当に雇用創出と持続的な成長世界が構造的な不況にならないよう、かつてのような、戦前戦後を通じて大きな幾つかの不況がありましたが、そういうことにならないよう格段の通商産業政策お願いしながら、ひとつこの点で大臣の御努力お願いする次第であります。  それから、これは先日の新聞で拝見をいたしたわけでありますが、橋本通産大臣は、御案内のように湾岸戦争時、実は百十億ドル支援を決定されました。大臣の御活躍は、ニューヨーク、それからワシントンでもテレビを通じながら、私は当時アメリカにいたものですから、アメリカ中西部の方を回っておりまして、私はこの四十年間ですけれども、一九五〇年代の終わりからしょっちゅうアメリカへ行くんですよ。アメリカ空港というのは非常にオープンでありまして、日本と違ってそういう点では本当に簡単な検査で済むんですけれども、あの湾岸戦争時の空港の警戒とあれはもう私は本当にびっくりしたんです。  その中で、たまたま中西部シンシナティに行っておりまして、いや、日本は貢献しているんだと。当時、大臣がたしか八十億ドルぐらいお出しになったかと思いますが、これだけの支援をしておると言いましたら、在留邦人の皆さん、あのシンシナティからインディアナからケンタッキーの辺は随分日本企業が進出していまして、その家族、いろんな方がおられまして、そうですが、日本はそんなに貢献しているんですかと。何か日本人が余りにも日和見主義であって何もしていないようなふうに、アメリカの地方の新聞も書きませんし、何も知りませんから、そう言っておられたんですが、その話をいたしまして、実は彼ら在留邦人も、私どもそういうことを知って大変ありがたい、アメリカ人によく話しますと言っていましたが、そのときに百十億ドル支援をされました。  しかし、当時、残念ながら日本は非常任理事国であっても常任理事国でない。したがって、今日、我々自民党も政権に復帰いたしましたが、私も初めて当選させていただいて、昨年私は何十年かの政治生活の中で野党を初めて味わったんですが、情報その他がいわば入ってこないんだけれども、今度与党に復帰いたしましたら、おかげさまで各省庁からいろんな話が聞けるし、本当に情報が入ってくるし、いろんなことがわかってくるわけです。  やはり、同じように安全保障の問題、北東アジアの問題もあろうし、ソ連の核の流出もあるし、もちろんNATOの問題、いろいろな問題を含めながら、やっぱりその中に入っていないとお互い情報も生かされないし、主張、意見もできないということになるとなれば、外務省のどうこうでなくて、何としても私どもはやはり常任理事国に入ってもらうのが一番正しい。今、世界で一番大きな負担をしているのはアメリカ日本ですから、そういうことを言えば、これは大臣新聞常任理事国が好ましいということをおっしゃっていましたが、私はそのとおりだと思いますが、その点についてもう一度大臣所見をお伺いしたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 村山内閣として外務大臣・副総理国連総会に出発される前、その演説をまとめるに当たりまして、閣僚の中でこうした問題についての意見交換の場を持つということが官房長官から既に示されております。内閣としてこうした方向議論を進めていくということは、まず申し上げなければなりません。  先般、私はたまたま愛知県の参議院再選挙の応援に参りましたとき、記者団からこの問題についての質問を受けました。そのときも私は申し上げたことでありますが、いろいろな意見がある。ただ、私が個人的な体験として、たまたま運輸大臣の際、ペルシャ湾におけるイラン・イラク戦争の激化とともに日本のタンカーが次々に被弾をする。ついには船員から殉職者を出す。そのときに、どうすればいいのか本当に悩み抜き、海上保安庁の諸君と相談して、巡視船を送ろうかとさえ思い詰めたことがあった。また、湾岸危機から湾岸戦争の時期、情報が入らないということの苦しみを嫌というほど味わった。湾岸戦争終結後、いろいろな状況が明らかになるにつれ、しまった、これをそのときに知っていればと何遍ほぞをかんだかわからない。だから、私は、個人として、情報を得るという一点においても常任理事国に入るべきだと思って今まで自分の議論を組み立ててきたということを申し上げました。  たまたま、先日の毎日新聞を見ておりましたとき、この湾岸戦争のさなかにおける国連安保理非公式協議、それを当時の波多野国連大使が、その内容を知るために、部屋の外で各国記者団と一緒に廊下トンビをされたそのつらさが書かれておりました。出先の諸君はそうやって情報を集めてくれている、しかし肝心な情報にアクセスできないつらさ、これは私自身の骨身にしみております。
  14. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、大臣のお話を聞いて、まことにむべなるかなと思っております。何といっても情報が不足であるということは、特にこの情報化時代国際関係が緊張する場合に本当に一刻の猶予、寸秒の猶予も許されないという状況ですから。  そういう点でいえば、何か常任理事国入りすると軍事大国になるんだとか、大臣日本遺族会の会長でもありますし、本当に大戦の悲惨さとそれから遺族の心情を思って大変御活躍をいただいておりますから、そういう点で、何も常任理事国入りが私ども軍事大国への道を歩くと思っていないし、もちろんそんなことはだれも考えていないわけであります。しかし現実の問題として、国際政治というのは本当にシビアでありますし、非常に緊急を要する問題がありますから、そういう点で私は閣議でそういうふうに持っていかれる。  何か村山総理大臣も、私、時々テレビ等でインタビューを聞いておりますと、どうも明快な話ではないんですけれども、決して常任理事国入りを否定しないんだということをおっしゃっております。今回も東南アジアをお回りになりまして、マハティール首相はああいうことをおっしゃっておりますし、タイの首相も、また恐らくリー・クアンユー・シンガポール  東南アジアでも特に香港、南の各国首脳はほとんどそういうことを期待しておられると思います。南米もまた、河野外務大臣が先般ブラジルからずっとお回りになって、三カ国が日本常任理事国入りすべきであるとおっしゃっておりますから、そういう点で多少のチェンジマインドをされるんじゃないかと思っております。  そういうことを含めながら、大臣、ひとつ閣議お互いによくコンセンサスを得られますよう心からお願いをしたいと思っております。  続きまして、先ほど大臣もおっしゃいましたが、実は今一番大きな問題は日本の国内の産業空洞化の問題であります。  実は私は一九五〇年代の終わりにアメリカへ行っておりました。そのときはアメリカというのは本当に豊かな国でしたから、何でもアメリカは自前で調達できる。そして戦争に勝ったあれもありましょう、農業の分野でも産業分野でも何でも世界一、世界で一番自由な国はアメリカだと豪語しておったんですが、十年から二十年たってきますと、どうもベトナム戦争に入り込んだりいろんなことになってきたからかどうかわかりませんが、非常に社会秩序も乱れてくる、産業も停滞してくる。  今から二十年ぐらい前でしたか、私はアムトラックに乗ってニューヨークからワシントンまで行きました。汽車とか飛行機の上から見ると大体わかるんですよ、この国が富んでいるか貧しいかというのは。農場地帯なんかでも、私がバーモントからずっとアメリカを回ったときは本当に牛舎も牧場もきれいだったし、さくもペンキが白く塗ってあって本当に牧歌的なアメリカはすばらしい。工場もすばらしい最新鋭の工場ですから、いやすごいなと思っていましたら、二十年後のアメリカニューヨークからワシントンまで行く間汽車窓外を見ますと、もう工場群の汚さ、そして工場へ行っても労働者の方々の意識が当時のことを思うと喪失しておるというか、労働意欲とか労働生産性が非常に落ちておりまして、いやこれは大変だなと思っておったのです。  したがって、そのころから日本貿易がどんどん急激に伸びていって、今は御承知のように円ドルバランスが崩れてくる、貿易黒字がどんどんふえてくるということになりまして、日本アメリカを凌駕するようなことになってきたわけです。  そこで、問題は何かといえば、当時アメリカは多国籍企業とかいろんなものをつくって海外から労働者も入ってくる、治安も悪くなるということで、また当時の産業、いわゆる企業家は、例えばロボットにしても実はあれはアメリカ開発されたのだけれども日本へ持ってくる、技術移転の名のもとにどんどん海外生産拠点をシフトしていった。技術もそうです。  したがって、アメリカは本当に産業空洞化が起こってきたのです。これに気がついて、これはアメリカも大変なことになるといって、ようやくです。それで、もちろん都市も荒廃したのです。だから、今から二十年くらい前でしたかシカゴで再開発があって、今アメリカの大都市ではどこへ行っても町のど真ん中に野球場とかあるいはアミューズメントセンターとかコンベンションセンターなんかを入れて都市の再生を図っています。  したがって、そのころから日本企業アメリカへの進出、特にアメリカ州知事なんかが先頭になって、ノースカロライナもそうだし、オハイオもインディアナもそうですし、また南部でも今のクリントン大統領のアーカンソーの隣のテネシー州なんかもそうですが、本当に日本企業の誘致をどんどんやっていったわけです。そしてアメリカ雇用がだんだん創出されるということで、ようやくアメリカ経済の復興の兆しが出てきました。特に中西部は、最近特に製造業がしっかりしていますからだんだんよくなってきておることは事実なんです。コンピューターとか軍需産業は悪いけれども製造業の方はビッグスリーを頂点にして非常によくなってきたことは事実です。  しかるに、我が国はどんどん円高になって、大企業はもちろんですけれども中小企業まで海外に、中国、ベトナム、最近は北朝鮮もどうかというようなことで海外へどんどん出ていってしまう。じゃ、一体この産業空洞化はどうなるんだろうということを大変私どもは心配しています。  そこで、先ほどの話じゃありませんが、二、三日前でしたか労働省から発表があって失業率は今三%を超えました。つい二月か三月前の経済企画庁の話では二%ぐらいでした。しかるに三%を超えている。実は潜在失業率、パートとかそんなものを含めますと恐らく七、八%になっているんじゃないか。これは重大な事態になっている。したがいまして、産業空洞化を今なお助長するようなことになったら日本産業自体もおかしくなってくる。  私は政治のことですから余り言いたくありませんけれども、連合の方の山岸さんもいろいろ政治に介入しておっしゃるけれども、当時の一九六〇年代というのはアメリカのユニオンが非常に強くていろんな政治の方にも口を出してきた、ケネディのころから。したがって、どうもあのころから、本来言えば労働界というのはそういうことが主力であるにもかかわらず、政治パワーに、政治ゲームに熱中したかどうかはわかりませんが、何かそんなことがアメリカもあって、そういうことになってきました。  私ども今こそ労使ともに本当に空洞化を防止して、そして日本産業のリストラを含めながら再構築していかなかったら大変なことになると思うんです。その点について、大臣ひとつ御所見を、特に通産省としてこの点についてお伺いをしたいと思います。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、日本企業海外に進出していくことそのもの、それは進出先国の経済発展に資するだけではなくて日本の対外不均衡の是正といった意味でもその役割は大きいと思っております。しかし同時に、過度に海外への展開が行われました場合、これは御指摘のような空洞化あるいは雇用への悪影響というものを懸念せざるを得ない部分があることは御指摘のとおりでありまして、空洞化防止というものは非常に大切なことだ、そのように思っております。
  16. 笠原潤一

    笠原潤一君 確かに日本企業海外に出ていくことは大事ですし、相互に技術協力をやって、特に低開発国の援助、あるいは特にNIESとかそういう国にいろんな意味で技術供与したり産業を定着させる。それはとりもなおさず日本の国益といいますか、日本のためにもいいし相手国の発展途上国に対しても非常に大きなメリットもありますし、そういう国が底上げすることは貿易の拡大につながってまいりますから非常にいいわけですけれども、何にいたしましても一億二千万人もいる国家ですから。  そこで、主要な企業がそういう中でも最近は何か中国の方へ出ていかれるという話でありますが、そんなことになりますと、本当にそういう点で雇用をどう創出するか、先ほどのサミットじゃありませんけれども雇用をどうするかということが非常に私は大きな問題だと思うんです。  したがって、私は本当に日本というのはそういう点で非常に苦しい立場にあると思いますが、しかし基本的には日本産業が今規制緩和をやってニュービジネスを出そうとかベンチャービジネスを生もうと言っておられますけれども、果たして日本の国の場合、一次産業は御承知のような状況ですし、二次産業がだんだん停滞してくる、そして二次産業が出ていくということになって、じゃニュービジネスとかベンチャービジネスというのは一体何であるかということを私は非常に疑問に思っています。  特に第三次産業については、日本はもう本当にマンションをつくったりアパートをつくりますと下に飲食店から喫茶店からいろんなものが入って、特にグルメですか、第三次産業といいますか、これくらいそういうサービス産業が発展している国は世界広しといえども日本は余りにも世界各国に比べて突出しているといいますかそういう状況ですから、さあこれからそれじゃマルチメディアもあるでしょうしいろんなものがあるでしょうけれども、それが果たして一体どのくらい雇用に結びついていくだろうか。  アメリカのゴア副大統領がスーパーハイウエート例の情報のハイウエーをやりたいと言っていますが、これはアメリカであればこそできるのであって、アメリカの場合はケーブルテレビが進んでおりますから、それとセットすればそんなに大きな投資をしなくても今のスーパーハイウエーはできますが、日本の場合ですと、NTTがすばらしい光ファイバーなんかを開発していますから、ほとんど電信電話、通信網も非常によく行き渡っていますから。  さて、これからどういうものがニュー産業といいますか、ニュービジネスとかベンチャーの主役足り得るのか、そこら辺について通産省にひとつお伺いしたいと思います。
  17. 堤富男

    説明員(堤富男君) おっしゃるような意味で新しい産業、新しい需要というのは何かというのは大変に難しい問題でございます。特に、昔というんでしょうか、二十年、三十年前のときですと、アメリカとか日本の先を走っている国を分析しますと、この次は自動車産業がくる、この次は家電産業がくるというようなことで非常に見つけやすいという状況がございました。今や日本がフロントランナーというんでしょうか、世界の中でも先端を走るようになりますと、一体どういう分野の需要がふえてくるんだろうかということは大変重要な問題でございます。  昨年来、通商産業省の中で産業構造審議会で大分勉強いたしましたが、結局結論は非常に単純でございまして、我々のこれからの社会を分析し、我々は何が欲しいものがあるだろうかというようなことを分析しまして、その中で十二分野についての需要というのはかなりいくのではないか。  どんな分野かということを一、二御紹介させていただきますと、結局はこれからの福祉時代の福祉あるいは生活、文化、健康、医療、そういうようなところがかなり我々の心の中にもそういうものが欲しいという気持ちがあります。もう一台自動車、もう一台洗濯機という気持ちよりは、これから我々の心の中にある欲しいものというものが恐らく産業の需要となって出てくるのではないだろうかというようなことを考えまして、それから住宅、医療、福祉等十二分野を実は選び出させていただいております。  これによりますと、二〇一〇年までには数百万人の雇用も可能であるということでございますが、当然そういうことをやるためにはいろんな施策を総合して講じていく必要があろうかと思っている次第でございます。
  18. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、産業政策局長さんから十二の分野で新しいニーズといいますか、そういうものに移行していきたいということでありますが、そこで大臣厚生大臣として厚生行政、ヘルスケアについては大変専門の立場でおられますし、そういうことからいいまして、今たまたま医療とか福祉の分野でこれから新しいニーズが生まれてくる、私はそうだと思っています。  それで、これはちょっと質問の中になかったんですが、たしかミネソタに有名なメーヨークリニックですか、これがありまして、十万人ぐらいお医者さん等がおって、いろんなヘルスケアをしてくれる。日本の著名な人も随分行ってそこでいろんな医療のそういうものを受けてくるということですから、そういう点で言えば新しい分野として医療技術、それから特に高齢化社会でふえてきますから、日本が新しい分野でその面に着目されたことは、私は非常にありがたいと思っています。  特に通産省というのは、どちらかといえば今まではトレードとそれからインポート、それが主体でなおかつ産業政策のあるじみたいでありましたけれども、私は、これから通産省というのはそういうテリトリーからそれをもう少し超えていただいて、例えば社会保障の充実、今問題になっているのは特に都市の問題、都市インフラをどうするかとか、農業の中でも農業、農村なんかのインフラの問題もこれはみんな産業が絡んでくるわけですから、都市のインフラと産業インフラ、みんな一体でありますし、そういう高齢化のいろんな問題もインフラは同じでありますからね。  通産省というのは、そういう点で言えば新しいノウハウとかいろんなものを持っていらっしゃるわけですから、思い切ってそういう面の方へ私はやっていかれることがそういう意味で日本の新しいビジネスのあれになると思いますから、そういう点をひとつお願いしたいのと、それに対する御所見。  それから、ことし臨時国会がいつ開かれるか知りませんけれども、ここで一番大きな主要議題となるのは、やっぱり先ほど大臣おっしゃったように世界貿易機構の問題です。  長い間ガットというのは世界貿易調整に大きな貢献を果たしました。しかし、これはだんだんいろんなひずみも出てきましたし、そういうことで世界貿易機構、WTOに移行していくだろう、移管せざるを得ない、来年一月を期してということで、マラケシュでこの間、日本からは羽田外務大臣が行かれましてそういう合意もされたということでありますが、このWTOについて、もちろん日本でいろんな国内法の整備、いろんなこともありましょう。さらに与野党のコンセンサスも得なきゃなりませんし、特にこれが一括となっておりますからなかなか難しい問題もありましょう。特に農業の分野については本当に大変なことだと思っています。  さらには、アメリカの場合もファストトラックということでありますから、九十日、議会に政府提案すればそれが通るということになるということでありますが、果たしてアメリカの議会がこのファストトラックを認めるだろうかという私は非常に懸念をしております。  先般、クリントンさんが大変な苦労をして上院でようやく可決にこぎつけました例の暴力、銃砲の規制等の法案がありますが、今一番大きな問題はヘルスケアの問題、それから今のWTOの批准の問題。  私もよくワシントンなんかへ行ったし地方議会へも行きますが、もともとアメリカの議会というのは、州の憲法がありまして州権を守るとか、中央政府に対して非常に議会の機能といいますか、民主主義を守ろうというそういう運動がありますし、まして御承知のように有名なロビイストもおりますし、そういうことで、かつてウィルソン大統領が国際連盟をつくってアメリカへ帰ってきて批准をされなかったというようなこともあったし、しょっちゅうアメリカの場合は大統領がやっても批准されないようなこともあるんです。  アメリカの議会のこれからの動きがどうなるかわかりませんけれども、そんなことを踏まえつつ、日本も正念場にかかってきたと思いますが、この点について大臣のWTOに対する御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 順番を逆さにしてお答えして恐縮でありますけれども、昨年、ウルグアイ・ラウンドに関連して米の決着というものが突然発表されましたとき、当時の野党の我々は非常に動転をいたしました。そして、その米に隠れて他の農産物の自由化の話が全く出てこなかったことにも非常な危機感を持ちました。ただその後、政府もさまざまな角度からの努力を重ね、来年度概算要求に向けてもそうした点を踏まえた努力がされておるものと私は考えております。  そして、この世界貿易機構という体制、これは開放的な多角的な貿易体制を維持強化するという意味では、我々は世界貿易の拡大を通じて世界経済発展に大きく寄与するものと受けとめております。そうした考え方で、先般のナポリサミットにおきましても、来年一月一日にWTOの協定を発効させることについて経済宣言に盛り込まれてまいりました。そして今回、ロサンゼルスで予定されております四極の通商代表閣僚会議におきましても、このWTO体制の着実な発足に向けて関係各国意見が求められており、当然のことながら意見交換をすることになります。  私どもとしても、積極的にこれに貢献をしていく、同時に、WTO体制の実現に向けた所要の法改革等を国会にもお願い申し上げ、御協力を得たいと考えておるところであります。  また、冒頭御指摘がありましたような問題につきまして、私は、今局長からお答えをいたしましたような産構審の十二分野それぞれに非常に興味を引かれました。同時に、私たちが欲しいものという視点で産構審が作業されたことにも敬意を表しております。  ただ、数字になりますと、例えば医療、福祉の関連分野、産構審のとらえておられる数字では雇用規模が九三年時点で十五万という数字になっております。医療、福祉というものをどこまでとらえるかによりますが、実態はもう少し多いんじゃないだろうか。同時に、二〇〇〇年時点で三十三万人を目標にしておられますが、これももう少し私はふえるのではなかろうかという感じがいたします。ただそこに至りますためには、やはり体制が整備をされ、福祉の分野で働くということが犠牲を伴うものではなく、業として成立し得るだけの体制を整備させなければなりません。  そうした意味では、従来、我が国の福祉という分野は特定の方々の善意、そしてその方々の犠牲の上に成立してきた部分があります。しかし、今家族構造も変化をし、さらに今後の雇用というものを考えました場合に、より積極的な女性の社会進出を求めなければならない情勢の中で、家族というものも当然のことながら変化をいたします。  その中で、非常に深刻な問題として既にとらえられております例えば介護という分野を考えましても、これを充足し得るだけの体制をつくりますためには、その介護に従事する方々が職業としてプライドを持ち得るだけの社会的なステータス、同時に職業として生活を維持し得るだけの収入を保障し得るものにならなければなりません。こうした体制整備通産省の所管を超える部分でありますが、関係省庁にも御協力を願いながら、そうした努力を地道に我々は積み重ねてまいりたい、そのように考えております。
  20. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、大臣から積極的なお話をお聞きいたしまして大変欣快この上もないわけでありますが、そこで大臣、実は先ほどおっしゃったように、ガット・ウルグアイ・ラウンドで我が方は米の部分自由化を受け入れたわけです。そのときに大臣も前々おっしゃっておったように、当時ソ連と米国が険悪のとき、それから日本が一時輸出摩擦、摩擦があったときに、アメリカが御承知のように食糧の禁輸を、禁輸とはいかなかったんですけれども、ああいうことがあって、大臣は安定的かつ本当にアメリカ日本に対して供給してくれるんだろうか、こういうことを非常に心配しておられました。  したがって、今度ロサンゼルスの四極通商会議においでになったときに、WTOに入ったんだけれども、じゃ日本は、昨年のような冷害、ことしはまたこのようなひでりで猛暑ですが、私ども日本は御承知のようにエンゲル係数的にも、あるいは国の自給食糧というのはもう二十数%になっている、ここで何かのことが起こったら大変なことになりますから、そういう点で安定かつ定期的に食糧の輸入が行われるようなことがないとこれは本当に大変なことだと私は思っていますし、一農民のみならず国家全体もその点で非常に心配、懸念されるところであります。そういう点、大臣ひとつよろしく、安定的な食糧が、これは食わなくちゃ人間生きていけませんから、その点は大臣が心配しておられたようなことがないように、今度ロサンゼルスの通商会議で、おっしゃったことをひとつお願いしたいと思います。  それから、最後に大臣お願いしたいんですが、もっとたくさんこれありますが、あと防衛の方もございますので、時間がございませんから。  大臣お願いしたい問題たくさんありまして、特に中小企業とか地方の、大変に今困っています。先ほどの円高の問題、さらに空洞化の問題その他でもう本当に困っておる状況です。その点を、地方のこともよく御勘案いただくと同時に、同時にアメリカへおいでになった場合にお願いしたいのは、日本総理大臣にされましても、各枢要な大臣が行かれますと、大概ワシントンニューヨークとかロサンゼルスとかサンフランシスコへおいでになりますが、やっぱりアメリカというのは本当は田舎でありまして、先般も私そのことを申し上げたら、外務省の方は原口経済局長さんが、ニューオーリンズの領事館に、じゃ、そこへ行って日本のブースを設けてやれということで、非常にこの環境の問題は向こうの皆さんが感心されたということです。興味を持たれたそうであります。  これは何かといいますと、私は地方議員の出身ですから、市会議員からやってきましたが、アメリカでは州の議会、上院下院会議がございまして、日本と同じでありますが、大体毎年、ことしはニューオーリンズ、その前はたしかオクラホマのタルサだったか、それからテネシーのメンフィスで行われたり、来年はウィスコンシンのマジソンかどこかで行われるそうでありますが、全米の州の議員の会議があるんです。これは奥さん連れで大体一週間ぐらいやるんです。そのときには貿易委員会とか地域の問題をどうするかというような会議をしょっちゅうやります。ナショナル・コンファレンス・オブ・スーアート・レジスレーチャー。奥様連れで来ますし、また州政府の、連邦の皆さんも見えるし、時には大統領が来て演説する。  したがって、これはそのときに私がたまたまオクラホマのタルサへ行ったときに、日米の貿易のことを小委員会をつくってやっているんですよね。日本からはトヨタが出てくる、向こうからはGMが来ていろんな説明をしておりました。そんなことがありますので、大臣、できたら大臣の在任中にひとつアメリカの田舎をずっと、日本企業がたくさん出ていますから、中西部にも南部にもそれから東部の方にも出ていますから、そういうところへ大臣おいでになって激励していただく、それで実態もいろいろと把握していただくと私は非常にありがたいと思っています。そういう点でひとつ大臣お願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 非常にたばこの好きな私といたしましては、アメリカの飛行機会社がたばこを吸わせてくれないのにほとほと辞易をいたしております。しかし、その不便を我慢しましても、そうした時間がとれるときには、アメリカだけではなく他の国々でもできるだけ多くの場所を見ていきたい、そのように思います。
  22. 笠原潤一

    笠原潤一君 どうもありがとうございました。  それじゃ通産の関係はこれで終わらせていただきまして、次に防衛の問題でありますが、まず最近の北東アジアの情勢についてお伺いしたいと思います。  北朝鮮の問題は、昨年来、核の問題をめぐって本当に大変な国際緊張をもたらしたわけであります。特に、金日成主席の死亡後、一応現在のところは平穏に推移しているように見受けられますが、しかしいろんな情報が飛び交ってまいりまして、必ずしもそうではないんだとか、あるいはいろんな問題が起きておるとかということをいろいろ言っております。したがって、防衛庁といたされまして北朝鮮の情勢をどのように見ておられるか。  また、極東のロシア軍についても依然として大規模な戦力が蓄積されていると聞いております。かつて、中国とソ連というのは、蒙古を挟んで、国境を挟んで百万の大軍が対峙しておったんですが、それは御承知のようにこういう時期でそういうことがなくなってきたということでありますが、いずれにしてももう膨大な軍事力を持っておる。また、中国の方も国防費を大幅につき込んでおるわけであります。そして、軍の近代化を図っておる。したがって、この地域については軍縮が進んでいるヨーロッパとは全く状況が異なっております。  北東アジア情勢を初め、中国もこれはどうかわかりませんが、鄧小平が今健在でありますが、ポスト鄧小平をにらんでいろいろなことが言われておりますけれども、こういうことについて、防衛庁におきましては一体どういうことを認識しておられるか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  23. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 北東アジアの情勢についての認識を御質問いただきました。  まず、北朝鮮につきましては、御承知のとおりに今日まで核兵器開発疑惑、また弾道ミサイルの長射程化のための研究開発動きがあります。これらの動きは、我が国周辺のみならず、国際社会全体に不安定をもたらす要因になっておると認識いたしております。また、北朝鮮は従来から非武装地帯付近に陸上兵力のおおむね三分の二程度を配備していると見られますが、しかし金日成主席死亡後の情勢は、軍におきましては特異な動きは示しておらない、このように判断をいたしております。  また、極東ロシア軍につきましては、ソ連崩壊後におきましても依然としまして大規模な戦力を有しておるわけでございまして、国内情勢も極めて流動的である。こういうことも反映をしまして、軍がどのような方向で建設をされていくかという点におきましても極めて不透明な面がある、こう考えておりまして、北東アジアの地域の安全に対しましてもまだ不安定要因として認識をいたしております。  また、中国におきましては、現在、海・空軍力を中心としまして近代化に努め、防衛費の増も二〇%を超える、こういうように見ておるわけでございますけれども、今後その方向を十分注目してまいりたい、こういうふうに思います。  また、ASEAN諸国におきましても軍事力の近代化の方向等も見られまして、各国の国防努力につきましては依然として十分注目をしながら見ていく必要があるのではないか、このように認識をいたしております。
  24. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、大臣から御答弁いただきました。北東アジアの緊張の問題大変緊迫した状況について御判断をお聞きいたしましたが、特に北朝鮮はそういうことで三分の二の兵力を今あそこに移しておるということであります。一方中国は、先ほど大臣がおっしゃったように、空軍力と海軍力の増強のために大変なインフラの整備をやっている、こういう話であります。  世界が今平和に向かって、東西冷戦も終結を告げ、ベルリンの壁も壊れてくる、こういうことで世界の緊迫感、緊張感はなくなってくるということでありますが、先般新聞でも拝見いたしましたが、土井議長が中国においでになってこの核の問題で厳しいことをおっしゃったやに承っておりますが、どうも中国当局は、言を左右とは言いませんけれども、明快な答えがなかったようであります。  そこで、特に空港と軍港の整備に大変力を入れておるわけです。特にこれについては例えば今日本がODAで援助をしておるわけですけれども、そういう資金が使われている可能性もなきにしもあらず。これは民事用に限られておりますから、ODAは。しかし、そうかといって民事か軍事かというのは、私も中国に二、三回行きましたが、特に北京の空港は別といたしまして、地方空港、地方へ行きますとこれは軍民共用であります。もともと中国というのは中国共産党の名の示すごとく社会主義国家ですから、一応だんだん民事がふえてくるというものの、ああいうふうに開放したといえども、まだこういうほとんどの施設は軍が握っているということでありますから、そういう点で特に空港、軍港その他もそういうことで非常に懸念されるんです。  これは大臣も、ODAでこれは外務省の所管でありますから、そのことについては答弁はしにくいんじゃないかと思いますが、特にそういう点で、この問題でどの程度の今空港とか軍港の建設に予算を割いているか。先ほど二〇%とおっしゃっておりますが、どんな形で今この近代化を進めているか、ひとつその点についてもしお知りならばお聞きしたいと思います。
  25. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 中国の国防力をどのように判断するかという点につきましては、予算の内容につきましては、どのような配分が行われて、どういう形で軍港その他がつくられているかということについては、今手元に資料がございませんので申し上げられませんけれども、現在中国は核戦力を有しておる。また、陸上兵力におきましては二百三十万人、艦艇約一千八十隻、九十五万トン、作戦機約六千百六十機を保有しておる、こういうふうに見られております。  また、国防力につきましては、量から質への転換を図り近代化を目指しておる、こういうふうに見ておりますけれども、全体として国の方向としては、経済建設が最重要課題とされていることや、またインフレ基調と財政赤字に直面していることもありまして、国防力の近代化は必ずしも急激に進むというよりは緩やかに進むもの、こういうように見ております。  また、中国におきましては、近年南沙群島等を中心として海洋における活動拠点も強化する動きが見られます。  以上であります。
  26. 笠原潤一

    笠原潤一君 中国について、今大臣から向こうの状況について、それはもう恐らく軍事機密というのはなかなか難しいと思いますから、そこは防衛庁の方の調査のこれからを待つわけでありますけれども、先般実は総理の私的諮問機関であります防衛問題懇談会から、日本安全保障と防衛力のあり方について報告書が出されました。この報告書を踏まえまして、防衛庁として今後、防衛力のあり方の検討についてどのような姿勢で臨んでいかれるのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。  特に、村山総理も日米安保体制の堅持をうたわれておりますし、さらに後でまた少し触れますけれども、懇談会の報告書について、陸海空、これはバランスのとれた報告がなされておるかに見えますけれども、この陸海空の中でお互いに組織防衛に走って将来の展望、実はこれは新聞のことですからそういうふうにお書きになってもやむを得ませんが、陸海についてはまあまあだけれども、空については何か少し落ち込んだんではないだろうか、こういうような話であります。御承知のように、これから防衛の問題で一番大きな問題はやっぱり空の問題だと思うんです。したがって、そういう点で言えばバランスのとれた防衛力は必要でありますし、そういう点について懇談会の報告書をどんなふうに防衛庁としては受けとめられておりますか。  ついでに、特にこれからは宇宙の利用というのが非常に大事でありますが、先般、田中科学技術庁長官も現地まで出向かれまして、打ち上げに成功したときはあれだけ大変歓喜をされておりましたが、残念ながらああいうことになりました。なおまだ日本の宇宙科学技術はやっぱり米国に比べると、数段落ちておると言うと失礼でありますけれども、まだいまだしの感があります。  そこで、宇宙の平和利用ですけれども、これは国会決議がありまして民事用に限られております。大体今やっています普通のランドサットだと三十メートルぐらいしかわからない、しかし偵察衛星になると二、三メートルということでありますが、そういう点で、宇宙の平和利用でありますけれども防衛庁としては、宇宙の衛星の利用というものはどんなふうにお考えになっておられるのか、お伺いをしたいと思います。  それから、先ほどのに少し関連をいたしますが、御承知のようにロシアという国は一応ああいうふうで、今エリツィン大統領のもと大きく体制が変わってきました。ゴルバチョフさんのころから変わってきたんですけれども、しかし反対に、先般選挙をやったらああいうふうでジリノフスキーさんのような非常に極右的な勢力が出てくるし、なおかつかつての旧共産勢力というのが非常に力を増しておる、こういうことでありますので、こういう反動勢力の動きと、それからロシアの兵器の問題でたびたび新聞をにぎわすわけです、核の流出とかいろんなことで。そういうことについて防衛庁としてはどんなふうに考えておられるのか、あわせてお伺いしたい、こう思っています。
  27. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず最初に、総理の私的諮問機関であります防衛問題懇談会からの報告書についてどう考えておるか、こういうことでございますが、今般提出されました防衛問題懇談会の報告は、現在の防衛大綱にかわる新しい検討課題といいますか、そういう点におきまして大変示唆に富んだ御意見であると考えております。防衛庁としましては、これを参考にしながらも、今後の防衛力のあり方につきまして引き続き検討を行ってまいりたい。なお、今後の政府部内での検討の進め方につきましては、関係省庁とも十分相談しながら検討してまいりたいと考えております。  それから、防衛懇の報告書におきましては航空防衛力の削減を求めておってバランスを欠いているんではないか、こういうような御質問でございましたが、報告の内容につきましては、航空防衛力の削減ばかりではなくして、陸上自衛隊の部隊の数や規模の削減、海上自衛隊の対潜戦等のための艦艇、また航空機の数の削減も含まれておるわけでございます。そういう意味におきまして、削減という観点からいいますならば、航空ばかりではなくして陸上、海上、航空、こういうふうにすべてを含んでおるというふうに考えておりまして、そういう面では、削減という面におきましては別にバランスを欠いたものではない、こういうふうに思います。  報告の内容の目的としましては、できるだけ質と機能を充実させるというところにウエートを置いて報告をしている、こういうように受けとめておるところでございます。  それから、衛星を通じての情報の点でございますけれども我が国は御承知のとおりに専守防衛を旨としまして防衛政策を進めておるわけでございますが、専守防衛という場合におきましては、いかなるところからいつどのように攻撃をされるかという点に十分配意をしていかなければならぬ、それだけに情報を的確につかんでこれに対処するということが大事ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そのうちの一つの手段としましても偵察衛星等も関心を持ってお亙こういうところでございますけれども、国会決議もいろいろあるわけでございまして、今後それらにつきましては十分検討していく必要があるのではないか、こう思うわけでございます。  それから、ソ連の核の流出、ソ連といいますかロシアの核の流出の疑惑、それから武器の流出等御質問がございましたが、やはり日本は唯一の核被爆国でありますから、あくまでも核兵器の拡散というものは世界に対しましても拡散防止、これを主張していかなければならぬのではないか、こういうふうに思います。やはり世界の平和を保つためには、必要以上の過剰な武器が世界じゅうに出回るということは極めてゆゆしき事態でございますから、各国とも武器の管理、輸出等につきましてはできるだけしっかりとやっていく必要があるのではないか、そういうふうに思います。
  28. 笠原潤一

    笠原潤一君 大臣の御答弁、非常にそのとおりだと思いますし、特にこれから与党三党で合意されました〇・九%シーリングの問題もあります。非常にこれは厳しいわけでありまして、そういう点で三党合意でありますから、これは私ども与党でありますからとやかく言いませんけれども、果たして〇・九%で日本の防衛が成り立っていくだろうか。将来は特にTMDの問題もありましょうし、FSXの開発の問題もあります。日米共同でやらなきゃならぬ。随分、空の問題といいますか先端産業といいますか、特に湾岸戦争でいみじくも顕現されたように、これからは先端産業の軍事面における開発には金がすごくかかりますし、これが非常に大きな効果を上げるわけですから、そういう点で言えば、これからの防衛庁の予算についても私ども格段の応援はいたしますが、いずれにいたしましてもそういう点で疎漏なきようにひとつお願いしたいということであります。  ところで先日、まだつい八月三十日ですか、村山総理がルワンダにPKOを派遣する、こういうことを新聞で私も知りましたが、大変思い切った、人道上の問題としてPKOの派遣について非常に前向きに政府が検討されていますが、そのために前もって調査ということで、このたび政府調査団が帰国されました。その調査の結果の概要はいかがでありますか。  そして同時に、現地の状況は大変な状況でありますから、それについて一刻も早く自衛隊を派遣して活動を展開する必要があると思いますが、いつごろ派遣されるのか。  さらに、御承知のように日本という国はもう伝染病とか疫病とかそういうものは全然なくなっていますが、そういう点について現地は本当に大変な状況です。公衆衛生は非常に欠如しているし、アフリカというところは場所によっては大変なところですから、そういう点で一体どういうことをされるのか。この調査の報告、総理の方に御報告になりましたし、防衛庁長官の方にも御報告があったと思いますが、どういう形で行われるのか、その点についてまずとりあえずお聞きをしたいと思います。
  29. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 今回、ルワンダ難民に対しましての人道援助に関する政府調査団、これが帰国をしてまいったわけでございますが、その報告書の概要は大体次のとおりでございます。  現地の劣悪な状況を踏まえ、国際平和協力法に基づき、自己完結性を有する自衛隊部隊を中核とする協力隊を派遣し、国際救援活動に協力することが適当であるが、派遣については現地の治安情勢も慎重に考慮した上で判断すべきと、こういうものでございます。  報告のポイントについて申し述べますならば、まず第一に現地のニーズ、業務でありますが、これは流動的な情勢にはありますけれども我が国の行う業務としましては、医療、給水、防疫、それから空輸業務が適切ではないかというのが第一点であります。  それから第二点は、派遣規模は中隊以上の規模の部隊の派遣が適切。  三番目としましては、派遣地域はゴマを中心とすることが適当。支援活動の基盤として補給等を行うために、ナイロビに拠点を設けることが適当。  さらに第四点としましては、現地の治安情勢にかんがみ、必要に応じて護身用の武器を携行すべきではないかという点であります。  また、派遣期間について御質問がありましたが、緒方難民高等弁務官からの我が国への打診、現地でのニーズ及び状況等を踏まえ今後決定するものといたしますが、派遣後も現地の治安状況を見きわめつつ柔軟に対応する余地を残すべきである。  自衛隊の派遣につきましては、九月四日から現地に派遣される連立与党の議員調査団の報告をも踏まえ最終的に決定されることになりますが、派遣が決定された場合には、現地における人道支援の緊急性にかんがみ早急に現地派遣ができるよう、昨日、国際平和協力本部長からの要請に基づきまして所要の準備を開始するよう私から指示したところでございます。
  30. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、大臣からこの派遣についてかつまた詳細な内容についてお伺いをいたしました。確かに給水とか空輸とか医療とか公衆衛生その他のことは当然であります。それはもう非常に大事なことでありますし、それが任務であります。  そこで問題は、非常に治安の悪いところでありまして、日本のような平和な国におりますと平和が当たり前のように我々は感じておるわけです。平和は当たり前だと思っています。しかし、一たん日本の国の外へ出れば、私はたびたび海外へ出ますが、何遍行ってもそうですけれども、もう本当に治安というものが非常に悪いのが当たり前と言うと言葉は悪いんですが、ここは平穏過ぎる。  ましてや、アフリカの中で今度ルワンダの周辺、お隣のゴマで百万人とも言われる難民が集まっておるわけです。したがって、ケニアの方はいいでしょうけれども、そういう点で言えば非常に治安が悪いところで、報告のあったように護身用の小火器は携帯していかなきゃならぬ、こういうことであります。  かつてのカンボジアのPKOのときもそうでありましたけれども、しかしそれ以上に私はこれは大変なことだと思うんです。カンボジアはどちらかといえば仏教国でもありますし、同じような同文同種ですからある程度、それは非常に危険なところではあるけれども、今度は全然民族も感情も全部違っていまして、ああいう非常に状況の悪いところですから、もしも不測の事態が起きたときはどうするかという問題。私はこれは起きないことを願っています。これは当然起きないために行くわけですし、万全の態勢をとられるでしょう。しかし、決して起こり得ないとは想像できないのであります。  そこで、私はいつもよく思うんです。特に海外の事例を引いてもわかるように、海外の場合は亡くなった犠牲者に対する鎮魂といいますか、国家補償、慰霊の鎮魂、祭祀というものを非常に大事にしています。かつてベトナムでカナダの国連軍の兵士が亡くなった。それが十数年後に出たときにはあのバンクーバーの空港でカナダの国旗で棺を覆って、そしてカナダのバンクーバーの市民総出で儀仗兵が出迎える。それはアメリカでもそうでしょう。みんな亡くなったらアーリントン。中国だってその例外じゃありませんし、どこの国もそうなんです。  したがって、その犠牲者に対する単なるお金だけの補償で済むというようなことは私は甚だ遺憾だと思うんです。国連のため、世界平和のために亡くなるんですから、この人のそういうものをどう考えておられるか。靖国の問題が出てきますけれども、これは何か変なふうに受け取られやすいけれども実はそうじゃなくて、そういう意味で慰霊といいますかその人の霊魂というか、そういうものに対する感謝の念とか、そういうものがなかったらこれは本当に何のために、犬死にになってしまうんですから。  そういう点からいって、私は防衛庁としてもこういう点についてどう留意されているのかという点をちょっと大臣にお伺いしたい、こう思います。
  31. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 先生御承知のとおり、自衛隊は普通、毎日のように訓練をしておりますので、残念でございますが毎年数名から十数名、場合によっては二十数名の殉職隊員を出しております。そういうことで、毎年、中央それから地方で追悼式を行っております。ことしも十月下旬の土曜日に中央の追悼式を防衛庁長官の指揮のもとに行う予定にしております。それから、各地方の部隊においても地方追悼式を毎年行っております。そのほかに、市ケ谷駐屯地に殉職隊員の慰霊碑がございまして、そこには殉職隊員の全名簿を、芳名板というものを奉納することといたしております。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、国内であろうと国外であろうと、不幸にして殉職された場合には十分な敬意を表した行事を行うつもりでおります。
  32. 笠原潤一

    笠原潤一君 そういう点で留意されておるということですから私も一応は安心しておりますが、そういう点を留意しなかったらば、例えば世界平和とかいろいろなことを言っても言葉だけに終わってしまう、こう思っておりますから、本当に私はその点一番大事にしていただきたい、こう思っております。  最後に、冷戦後の安全保障の中で、特に我が国の防衛力のあり方を考える上で日米安保の関係は依然重要であります。したがって、防衛庁長官は近く訪米されてペリー国防長官と会談の予定であるということでありますが、訪米に当たって長官はどんな認識をされてどのようなことを話し合ってこられるつもりであるのか、その所信をお伺いしたいと思います。  ついででございますが、私どもも実は五日から渡米いたしまして、一応ウィードマン国防次官補とも我が国の防衛の問題、いろんなことをお話しし合える機会を持っております。大臣に先駆けて参りますけれども、日米の相互連携というのは世界平和にとっても欠くことができませんし、かつまた我が国の安全にとっても一番大事なことであります。そういう点で大臣所見と、なおかつ村山総理も日米安保を堅持するんだ、こうおっしゃっておりますから、非常に私どもはそういう点では大きな期待等を持っておりますけれども、この点について大臣所見をお伺いしたいと思います。
  33. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 日米安保体制は、我が国の安全の確保に貢献しているのみならず、ナジア・太平洋地域における不可欠の安定要因としての米国の関与と米軍のプレゼンスを確保する最も重要なきずなとして、この地域の平和と安定に大きく寄与していると考えております。  東西冷戦後、むしろこのような日米安保体制の意義というものはますます高まっているものと認識しておりまして、防衛庁といたしましても日米安保体制の信頼性を維持向上させるための各般の努力を行っているところであります。  私が訪米するにつきましては、具体的なテーマは特にまだ固まっているわけではございませんが、何と申しましても日米関係におきましては信頼性を維持継続していく、こういうことが大事だ、こう思っております。したがいまして、防衛首脳レベルの対話を通じまして日米安保の信頼性の一層の向上に努めることは極めて重要と考えておりまして、そのような認識を十分踏まえて両国の関心事項その他につきましてもよく話し合い、日米安保体制がスムーズに今後も堅持をされて運用されていくことができるように十分の配慮を持ってアメリカ側と話し合いをしてまいりたい、このように思っております。
  34. 笠原潤一

    笠原潤一君 どうもありがとうございました。
  35. 守住有信

    守住有信君 自民党守住でございます。  きょうは閉会中審査でございますけれども、たまたまいろいろ各大臣の御都合等で、通産省防衛庁と御一緒ということに相なりました。そしてまた、この場は決算委員会でございますので、今笠原委員の方からグローバルなレベルの高い話等々がございましたけれども、私はなるべくここで実務論的な方から御質問をし御意見を承りたいと思います。  まず、冒頭に通産省の方から、検査院の決算の不当事項指摘が、実は設備近代化資金、今中小企業の非常に重大なお話が先ほども出ておりましたけれども、それの近代化、空洞化に対しましてのいろんな新しい技術、それをいかにして導入するかということで通産省はああいう設備近代化資金の特に無利子の融資制度等々、しかも地元の県と組んでやる、こういうふうな方策でずっとやっておられます。その効果はいろいろ見るべきものがあるというふうに私の地元でも感じております。ただ、毎年これが、一部ではございますけれども不当事項ということで、中小企業庁の方でございますけれども出てくる。  これはなぜなんだろうなということで、やっぱり中小企業の中にも団体としては立派でもいろいろな経営者がおるのかなと、こういうことも感ずるわけですけれども、みずからやっておられる中小企業庁あるいは検査院の角度からも、これはなぜ絶えないんだろうかということの疑問を持っておりますものですから、そこのところを御説明いただいて、じゃ今後さらにどういくか。  個別の企業でございますけれども、いろんな業種がございますね。近代化に向かって挑戦しておる経営者等々、業界、団体があります。それの団体との関係を強化していく。業種もいろいろございます、中小企業といいましても。そういう事故を起こすというか、不当事項で指摘されるような業種に対してさらにどういうふうな、通産局だけではだめだと思っておるので地元で、その県を通じて、商工部があるわけですから、そこらあたりも含めましてこれに対する予防策というものを十分──毎年でございます、これは平成三年ですけれども、四年度も実は同じようなのが出ておるわけでございますので、足元から固めていく、立派な制度ですからこれを生かしていく、そして十分なより高い評価を受けていくというふうなことを念頭に置きまして、御質問を申し上げる次第でございます。どちらからでも結構です。
  36. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 中小企業設備近代化資金貸し付けに当たりましては、都道府県が窓口となりまして貸し付け対象企業に対しまして経営診断を実施し、設備の導入の必要性等につきまして十分検討を行うとともに、厳正な貸し付け審査に努めているところでございます。また、貸し付けに際しましては、当該貸し付け対象設備の設置などの確認を行い、さらには事後指導による貸し付け後の実態把握を行うなど、きめ細かな指導及びチェック体制のもとに制度の厳正な運用に努めてきたところでございます。  しかしながら、決算検査におきまして、先生御指摘のとおり、連続いたしまして一部不当事項が生じていることはまことに遺憾でございます。このため、中小企業庁といたしましても、各都道府県知事に対しまして通達を発しまして、完了検査の徹底など不当貸し付け防止体制を整備し、一層の運用適正化を図るよう指導監督を強化しておるところでございますし、また会計検査院の協力を得まして、都道府県の貸付担当者に対する研修を充実強化しております。  また、先生御指摘のように、中小企業関係団体につきましても、通産局あるいは都道府県を通じましてこの制度の重要性を周知徹底するとともに、貸し付けに当たりまして不正がないように協力依頼をしておるところでございますが、そのような結果で、指摘件数は年々減少はしております。  ただ、このような不当貸し付けの指摘がないように、今後とも一層各都道府県におきます不当貸し付け防止体制の確保あるいは不当貸し付けの再発防止の関係につきまして、関係団体等にも周知徹底してまいりたいと考えております。
  37. 中島孝夫

    説明員(中島孝夫君) 毎年度中小企業設備近代化資金について指摘が繰り返されているということの御指摘でございますが、これにつきましては、基本的には本件貸し付けが長期かつ無利子という、借り主にとってみますと非常に有利な制度になっているということがございまして、そのため貸し付け条件に違反していることを知りながら不当に貸し付けを受ける借り主が後を絶たないということにあるのではないかと考えております。  また、貸し付けを行っている都道府県において、貸し付け時点での審査あるいは貸し付け後に申請どおりに設備の設置が行われているかどうかということを確認するための完了検査を行っているということでございますが、これに不十分な点があるというようなことも一因であろうかと思っております。  中小企業庁、都道府県では事態の再発を防止するために、先ほどお話がありましたように本制度の周知徹底あるいは貸し付け時の審査、貸し付け後の検査の充実等の努力を続けているということでございますけれども、本院におきましても検査を通じて貸し付けの適正化のための努力をなお一層していきたい、このように考えております。
  38. 守住有信

    守住有信君 そこで、いろいろ検査院の方からも聞いてみましたら、個別の中小企業でなくて、それに対する近代化の設備のメーカーの方のディーラーがどうもいろいろと動いておる、こういうふうな印象も持ちましたわけです。  だから、あらゆる中小企業のいろんな業種じゃなくて、そういう幾つかの業種。それはなぜだろうか。やっぱりメーカーとディーラー、特にディーラー、それがいろいろセールスして回るときのノウハウということですから、各中小企業団体等もこの制度そのものというか、それの限度とかそういうことはよく御理解なんだけれども、やっぱり浜の真砂というふうになるのかなと思いまして、ますます中小企業の近代化、空洞化に備えましてもっと大きく制度を拡充せにゃいかぬ。  これは、一年間で五千企業以上に無利子融資がなされておるわけでございまして、普通NTT等の無利子融資は第三セクターというふうに限度が限られておる。これは一私企業で、中小企業なるがゆえに、その近代化資金なるがゆえに、第三セクターでなくてもこういう制度を通産省は大蔵省と協議してお開きになったわけですから、余計問題意識を持ってさらにお取り組みいただくことをお願い申し上げておきます。  それから、もう一つが大きな問題で、今防衛予算で防衛懇の一つの見直し提言等々を受けまして、いろいろ防衛予算の全体、陸海空、と同時にその中で非常に長期的な投資を要する防衛産業の問題。これは、例えばいろんな兵器一つとりましても我が国は兵器の輸出は絶対やってはいけない、やらないんですから、国内だけの需要でございますね。だから、防衛庁の予算だけによってその兵器のメーカーは雇用も含めてやっておるわけなんです。それがどういうふうな影響をもろにどんどん受けていくか。  そこで私は、通産省防衛庁、この兵器産業についてのリストラ、転進、方法論はそれぞれに応じていろいろあると思います。特にその中の中小企業、これは現に人事的にも通産省から、あれは装備局長さんですか、そういう方々が防衛庁にも昔から出向しておられるわけで、人的な大きなパイプもあるわけだから、もっと中小企業、地方の問題ですから、そこを本省以下いろいろ酌んでいただいて、防衛産業がリストラやむを得ぬという状況の中で、多数の中小企業防衛庁の防衛局長とか元防衛局長、防衛懇談会のメンバーの方からもお話を聞きましたが、一つの兵器で千何百社という中小企業が実際はぶら下がっておるんだ。これががんと縮減、こうなっていったときの中小企業対策、雇用対策、これに対してどう知恵を出していくか、両方の省が、そして地方も含めて。  これに対してどのような手法で、私は見ておりますと、特に第二次オイルショックのころは労働省と通産省が定期協議、事務次官を含めて毎回定期協議というような組織をつくられてあのオイルショックの後の雇用対策を通産と労働が一緒になって乗り越えた。最近もそうですな、構造的不況、この中でこういう、ああ大したものだなとその手法を感心しておりますが、もう一つ、防衛産業に関するリストラ、縮減、削減、ここのところをどういうふうに両方の省で御協議いただいて下へずっと浸透させ対応策をやっていくか、そこらあたりのお取り組みの考え方をお示しいただきたいわけです。
  39. 荒井寿光

    説明員(荒井寿光君) ただいま御指摘ございましたように、防衛産業を取り巻く状況は極めて厳しいわけでございまして、中でも下請企業中小企業関係が厳しいわけでございます。予算要求も極めて厳しい、それから中期防が下方修正されるとかいろいろ厳しいわけでございまして、このような中で、御指摘のように、重要な関連下請中小企業をどのように維持発展させていくかということに心を砕いてきているわけでございますが、防衛庁といたしましても、毎年閣議決定されます中小企業者に関する国等の契約の方針に基づきまして、下請中小企業に対する受注の拡大については十分配慮をしてきているわけでございます。  しかし、これだけで十分なのかという御指摘も今あったわけでございますが、従来から防衛庁通産省の間ではいろいろなレベルで意見交換、話し合いを行ってきておりますが、今後ともさらに緊密な意見交換が行われるよう、今先生の御指摘の点を念頭に置きながら一層努力して、関連下請企業に対する影響ができるだけ緩和されるように努力してまいりたいと思っております。
  40. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その御指摘を受けましたので、ちょっと調べてみましたところ、確かに大変関連分野というものは広くなります。今防衛庁の方にお尋ねをしますと、直接契約の有資格企業というものが二千九十六社、平成四年度であったようでありますが、その中で千二百二十七社が中小企業だと聞いております。恐らく一次、二次の下請を加えますとこのすそ野はもっと広くなるでありましょう。たまたま九〇式戦車の製造関連企業のデータをもらいましたが、これを見ますと、関連する業者というのは千二百五十五社にわたる。そのうちで九百七十三社までが中小企業だということであります。  私どもといたしましては、こうした観点から、今防衛庁側からも御答弁がありましたけれども、従来から連携をよくとってまいりましたので、防衛産業における下請中小企業の実態把握に努めると同時に、民需の分野に対する開拓への支援などの施策にも引き続いて取り組んでいきたいと考えております。
  41. 守住有信

    守住有信君 それで、まさしくおっしゃいましたね、アメリカもそうですけれども、民需転換。せっかくの技術力、ノウハウを持っているものを、民需の方へ転換するノウハウというのを、これを余計視点に置いて何か具体論でないと、国会答弁というのは大体どうしても抽象的、漠たるものになってしまいますけれども、そういう具体論で、地方経済ですからこれは中小企業、大企業があってその周辺だろうと思いますけれども、そこのところまで非常に個別的にいくように、向こうのいろいろ団体もありますでしょうし、その構成員、地方、そこへ、いろんな業種があると思うが、どのように民需のどういう業種の方へ転換すればいいか、こういうノウハウがある、そういう点を非常に具体的に、私はここでは抽象的にしか言えませんけれども、ひとつきめ細かい努力、これがことし限りとか一発限りじゃなくて、どうもそういう気がしているわけです。  それで、マクロ論としては雇用雇用と言われておりますけれども、現実のここに防衛産業の下請の諸君たちの経営者、労働者、これがある。じゃどういくかということを特に抽出して、抜き出して、そして両方で協力して進めていっていただきたいということを、私は中小企業対策の、防衛論の一つの一番底辺の国内的な問題はここにあるんじゃないか、こう思っておるわけでございますので、その点を強調させていただきます。  もう一つが予備自衛官の問題でございますが、あれはディフェンス何とかといいますな、防衛庁の機関誌、忙しいんですけれども時々その項目を見て読ませていただいております。前から予備自衛官の問題私も地方におりましてこれに関心を持っておったわけでございます。自衛隊を体験して若くしてやめていって、ほとんどが地元の中小企業でございます。  具体例を申し上げますと、私の熊本にNECという半導体の優秀な工場があります。女子労働者を使っておりますが、深夜勤務はだめですから、深夜に自衛隊をやめた諸君を使うわけです。そうするともう工場長から経営者まで、規律が正しくて実に立派だ、夜お任せしておってよろしいと、昼は女子の労働者の皆さんですけれども。こういうことも聞いております。  ところが、予備自衛官を再び年に一回か二回ですか、制度上は二回ということになっておるようだが、予備自衛官の再訓練の実態というのが非常に減っておるといいますか、大きく見ても八割ぐらいしか再訓練に来ない。私は、正面装備はいろいろ自衛隊も充足率がこうだから減っていかざるを得ぬと。新しい再編とかそういうのにお取り組みですけれども、その一番すそ野は予備自衛官だと思っております。昔で言うなら在郷軍人です。いざというときに、この抑止力はいざというときのものをやっぱり備えておかにゃいかぬ。  そうすると、外国と比べてみたらそういう備えの頭数ももう半分以下だと。それから、訓練の状況を見てもなかなかこれが、日当の手当はちょっと上げられたようだけれども中小企業で働いておるわけですから、それが五日間なら五日間、一週間なら一週間出ていくことは、企業主の方もなかなか支援ができぬというふうな、いろんな話を聞いておるわけです。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  そこらあたりの、まあ幾つも角度がありますが、最初のディフェンスには、一般の志ある若者を予備自衛官で訓練せよというアイデアもあった。ところが、今度の提言には、防衛懇の方には何もそこの部分だけは触れられていないんです。  そこの制度論から始まりますけれども、まずその前に、自衛官の再訓練の実態、そしてそれはなぜなのか。ほとんど中小企業なんですよね、ここで働いておられるんです。そこらあたりの実態をひとつ、まあいっぱいおられますので、皆さん方にも、共産党の皆さんもわかるようによくお話をしていただきたいというわけでございます。
  42. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 大臣のお話の前に、実態をまず私の方から御説明させていただきます。  予備自衛官は今陸海空合わせて四万七千九百おりまして、大体員数は一〇〇%充足をしております。先生からお話しありましたように年に五日訓練をしておりますが、出頭率といいますか、ここ数年は八八%ということで、先生がおっしゃいますように一二%ほど出頭してきていないということでございます。  それで、どういう理由によるものかということで調べてみましたが、中小企業が多いわけでございますが、やはり職場の勤務環境から見てなかなか行きにくいという人が三割ほどいらっしゃいます。そういうことで職場の勤務環境からなかなか訓練にも出られないというのがございますので、どうしても中小企業といった会社の方々に御理解をいただかないといけないということで、私ども通産省お願いして、中小企業の集まりがあるときなどにひとつ御理解をいただきたいということでお願いをしている現状でございます。  以上です。
  43. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 予備自衛官は、平素一国民として個々の職業に従事しながら、原則として年に五日の訓練を行うこととなっておるわけであります。  このような予備自衛官制度を円滑に運営するためには、再就職先の企業等の理解と協力が不可欠であると思います。したがいまして、予備自衛官が訓練招集に出頭できる環境を醸成するため、従来から地方連絡部を中心として、予備自衛官の雇用主等を対象として予備自衛官制度に関する講演会を開催したりパンフレットを配布することによりまして、予備自衛官制度の趣旨等について十分理解、協力を得られるように努力しているところでございます。  今後ともこういうような機会を活用いたしまして、さらに関係省庁の協力を得ながら予備自衛官が訓練に出やすいようなそういう環境を醸成するように努力していくことが大切である、このように考えております。
  44. 守住有信

    守住有信君 防衛庁の方は最末端が地方連絡部でございますね。そのいろいろやっておられること、パンフレット等も拝見いたしました。ただ、一方では中小企業団体中央会とか地元にはございます。それで、防衛協会の方の、防衛協力会かな、あれはどちらかというと市町村長や議員の皆さんが多いんですよ。特殊な、私が言った日電なんかの工場長とかがいつも来ておりますけれどもね、多数雇用しておりますから。ところが、そうでないところで幅広くいろんな業種で第二の人生をやっておられるわけです。そこに対して、防衛庁の出先、民間というか市町村を入れた防衛協会がありますけれども、もう一つ地元の例を言いますと、例えば中小企業団体中央会、彼らの会合のとき三十分ぐらい時間を割いてもらって、そしてそこでパンフレットを渡す、そして三十分説明する。  そうすると、私は南九州の熊本ですから、第八師団から西部方面もあり、昔は第六師団まであったわけですから、そういう思想はもともと郷土にあるんですよ。あるけれども、こっちの世界、こちらの組織、それで末端へ行く、そしてそこでパンフレットをまとめて経営者に渡す。そういうふうな手法を考えてみたり、防衛庁、自衛隊出身の市会議員とか町会議員もおります。予備自衛官である市会議員もおります。そういう諸君ともいろいろコミュニケーションをやっていますと、彼らは本当の下から見ております、下から経験しておりますから。その実態をこうやってほしいとか、こういう声が出るんですよ。  違った世界、いわば流れは通産の世界ですね、こちらの中小企業主にグループが幾つもある。ここへ連絡部のリーダーが行って、そこで話し、パンフレットを渡して多数の参加を求める。そして、予算は日当千円か二千円ぐらいかな、予算上上げられたようですけれども、金でつるのも大事だけれどもやっぱり志でつっていかぬと防衛思想というのは絶対だめだと自分でもそう思っておりますので、そこらあたりをより積極的に、本当に最末端です、上同士だけじゃだめだ、いかにして末端の地域の中で組んでいくかということのこれは一つの例でございますから、声を大きくしてお願いを申し上げておる次第でございます。  それからもう一つ、同じ通産省というお立場で、私は熊本でございますので、例の水俣病の問題。  これは今非常に大事なときにかかっておりまして、裁判の話じゃなくてチッソの救済支援。これは化学工場の方ですけれども、いわゆる化学工場というのは日本の国内でもどんどん収益が下がっていっておる。新しい製品の世界の加工とか、近ごろは液晶とかそういうところに努力しておられますけれどもなかなか、県債の問題は今県議会で一生懸命環境庁の案を議論しておられるときですから、これは触れません、今大事なときですから。  しかし、もう一つ何か、チッソ救援策の金融支援だけでなくて、通産省として何か販路拡張、それは自由市場だと。それは自由市場ですよ。しかし、原因は別として、チッソというものが倒産したら全部、政府、県、水俣市の責任、財政負担になるわけです。チッソがあるからこそ、ちょぼちょぼ利益を出しながら、それで元利金を償還してずっとエンドレスにいけるわけです。  だから、やっぱりチッソそのものを、金融支援、設備投資支援もありますが、これは今議論しておる最中ですけれども、その販売を拡張できるような、何かかつて行政指導ということでいろいろ批判を受けたかもしれぬけれども、これだけは私は違うと思っておるんだ。チッソ企業支援という意味だ。単なるグローバルな意味でのいろんな業界団体等の行政指導じゃない。これが倒産したらどういうことになるんだと。患者団体まで影響するわけですよ、国ももちろんですけれども。  そこのところでお願い、話をしておるけれども、なかなか通産省さんは公の場じゃ言いにくいと。しかし、この特別な意味を持ったチッソ工場が製品を余計販売できるような何かアドバイスとか、舞台裏かもしれませんけれども業界団体、これできないだろうか。  私なんかこの前も自民党の小委員会のところで、本当はあの戦後の生産第一主義、その結果なんです。チッソというのは九十年の歴史がある。戦前は朝鮮半島で発電を起こし、下で化学工場をつくったりなんかしていました、肥料工場。そして敗戦になって引き揚げてきて、一つはチッソ水俣、一つは旭化成の延岡、それぞれ製品の内容が違っていましたから、ああいう現象が、いわゆる有機水銀という問題大問題になっていったけれども。  しかし、今一生懸命県債を返さなきゃいかぬ、補償金を払わなきゃいかぬ、原因者負担ですから払わなきゃいかぬと努力をしております。地域もあれやこれやして、だんだん患者団体の方も共同して慰霊祭に臨むとか、行政と市長以下と一緒になって慰霊祭に臨むとか、だんだんそういう雰囲気が出てまいりました。そこで、今度チッソだけですけれども、チッソが傾いてしまえば補償金も何もできなくて、県債の格好でやっておりますけれども、とんでもないことになる。  そこで、通産省さん、環境庁が主ですけれども、通産としての役割は、チッソの製品がなるべく売れるようにひとつ舞台裏で、やっぱりいろんな販路の世界、販売の方も、買ってくれる企業も大もとをたどればやっぱり私はあの生産第一主義、本当は経団連そのものも取り組むべきじゃないか、財界全体としてチッソが倒産せぬように。チッソの製品でどんどん伸びておるやつも、別に優秀な製品をつくっておりますから、これは化学肥料だけじゃありません。こっちの方が伸びるような手だてをやっていただきたいなと。それはやっぱり通産省の長い間の業界のこれがあると私は信用しておりますので、そこらあたりを、公にはそれはチッソだけを抜き出してどうだというのは言いにくいことだと思いますけれども、しかし気持ちというもの、心というものを持ってやっていただけぬだろうかと、こういう思いを持っております。  なかなか大臣としては、かつて厚生省のあれでございましたけれども、チッソの販路というか販売高がふえるように、もちろん優秀な製品でなきゃだめですよ、安く、優秀、これは大前提ですけれども、ここらあたりをどなたでも結構ですから、はっきりは言えぬと思っております、ちゃんとわかっておりますから、ひとつお願いを申し上げる次第でございます。
  45. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その点について、汚染者負担原則というものを踏まえた上での御質問と理解をさせていただきます。その上で申し上げますならば、通産省の立場としてチッソの経営の安定化の必要性というものは十分認識しておるつもりであります。  そして、委員も先ほど触れられましたが、従来からチッソの子会社に対する日本開発銀行からの特利融資による必要な設備、施設の新設、充実に対する支援でありますとか、あるいは石油化学工業界全体に対する構造改善の支援措置としてではありますけれども、昭和五十七年に塩化ビニル樹脂共同販売会社、五十八年にはポリオレフィン共同販売会社等を設立し、これを核とした生産、販売、流通といった各分野における合理化の推進を行ってまいりました。  チッソもこれらに参加することにより合理化を進めておると承知しております。問題意識は十分持っておりますし、汚染者負担原則というものの上に立脚し、行政の立場として特定企業をひいきするというわけにはまいりませんが、十分な留意は払っておるところでございます。
  46. 守住有信

    守住有信君 公害の原点、汚染者負担原則、これは当然でございます。じゃ、汚染者を出した企業は何も支援していかぬだろうかと。これが倒産したら、あるいは火だるまになったら補償金が払えぬようになるのですよ。ここが一番の問題です。  その結果はどうなるか。国か熊本県か水俣市か、それでお互い国と自治団体でこうこうなり得るわけで、だからいろいろ金融支援の道を今議論中でございます、県議会と環境庁の案と。しかし、それは金融支援あるいはまた設備投資、これも開銀の御努力で今お話しのようにはやっていただいておりますけれども、もう一丁が抜けたと私が見たのは、何か販売が伸びていけば利益率が出て利益が出る、その利益はみんなチッソの債務、補償のあれになっていくわけですよ、全部。会社の利益は全部そこへ入れるわけですね。これは昔のことといえどもチッソという法人格の企業の責任ですから、これは絶対払わせる、その方式ですからね、絶対。  そこのところは十分私もわかっておりますので、ひとつ開銀の方、近代化とかいろいろ新しい子会社等をつくって努力しておりますけれども、設備投資と同時に、何かコミュニケーションで同じ買うならチッソの製品も買ってくれよというふうな、ちょっと商売がかっているけれども、これは商売じゃないんで患者団体を結果的には守ることにも通じておると、こう認識をいたしておりますのであえていささか長広舌を申しておるわけでございます。  今、こっちの借換債とかそういう金融支援の方は県議会の方で自民党社会党その他全部含めまして議論中でございますので、この点は自主的な取り組みでなきゃいけませんので触れませんけれども、以上、自分の思いをちょっと申し述べさせていただいた次第でございます。  それからもう一つが、これは会計検査院自体の問題ですけれども、この前からずっとここで聞いておりまして、例えば建設省、これは土木技術とか設計技術とかそういう問題が入りますね、これは一つの例でございますが。そしてまたその中で七割は県の単独事業だと。それで私見ておりまして、県というのは、決算委員会はあるけれどもほとんど予算ばかりだ。実態を調べてみたら、出納長が説明してそれで終わりだ。まして、決算の審査のノウハウとか、こういう点で土木とか建築、十分でない。  ところが、この間初めて内閣委員会の方でお聞きしたら、安中に研修所を設けて、会計検査院のいわゆるレベルアップだけでなくて、検査官のレベルアップだけでなくて、各省庁の内部監査、内部検査の職員、さらには県のそういう関係する職員も研修してレベルアップし出したと。そして、しかもそれが合宿方式だから、単なる書類による講義だけではなくて、泊まってやるわけですから、そこでコミュニケーション、飲みニケーションが入る。そうすると、いろんな実態もわかる、刺激にもなる。  そうすると、国の会計検査というものが地方自治体まで、実は地方分権と言われておるけれども、分権分権と言われるけれども、地方の執行能力はどうだろうかという不安感さえ実は持っておるわけで、そういう会計検査を通じて、せっかくの決算委員会でありますので、そこらあたりを大いに検査院は自信を持って、どういうふうに取り組んでおるということをせっかくのこういう場ですから皆さんに御説明していただきたい。  さらには、来年度予算に向かってどのような方策で積極的に取り組もうとしておるのかということも決算委員会のきょう、十六日は別ですけれども、最後みたいなものですから、大いにひとつ発言して認識してもらって、協力して、検査のノウハウ、技術、この前も聞いておりましたら、何かパソコンも使う、ソフトだとか、あるいは小型の携帯用のパソコンを持っていろいろ技術計算とか現場に行ってやるとか、そういう話もちょっと聞いたわけです。  もっとわかるようにいろいろと多面的に話をして、時間はじっくりありますから、どうぞお願いします。
  47. 白川健

    説明員(白川健君) 私がお答えしようと思ったことを先ほど先生が全部しゃべっていただいたのでちょっとお答えしにくいんですけれども、あえて答弁させていただきます。  最初にお話のあった私どもの安中の研修所の件でございますが、実は平成四年の十月に群馬県の安中市に相当大規模な研修所を設置いたしました。ここは常時八十人の研修生を収容できる、合宿方式で研修ができる場でございまして、私どもの役所、トータルで約千二百四十人ですが、その小さい世帯に対しては非常に規模が大きいのではないかと思われるようなものでございまして、各省庁の皆さんから非常にうらやましがられております。  実は、こういう設計になりましたのはそれなりの腹づもりがございまして、先ほど先生がお示しのように、各省庁、それから都道府県、それから政府関係機関、公団、事業団等の内部監査担当の職員の研修ですね、研修というよりも正確には講習なんですが、これを従来から幾つかやっておりまして、その講習を今度は先ほどお話しのように合宿方式でやるということにして、大きな規模の研修所を設置したわけでございます。もちろん本院の職員も、昨年の実績で言いますと延べ二十八週間実施しております。現在、都道府県等の関係で言いますと四コース、県関係が二コース、それから各省庁、政府関係機関等、これがそれぞれ一コースということでございます。  その講習の内容でございますけれども、もちろん講義それから討議がございます。その際には、私どもが会計実地検査等で指摘しました事例を紹介しまして、指摘の趣旨、どういう考えで指摘したのかということも説明し、また会計検査の基本的な考え方とかそれから監査というものはどういうものかという監査技法も含めまして講義を行っているところでございます。  それから、一週間といいましても四泊五日でございまして、その五日間合宿方式でやっている中で、先ほど言いました講義や討議以外にも、講師と講習生それから講習生同士の意見交換、交流の場、先ほど先生は飲みニケーションとおっしゃいましたけれども、そういう場所も設けておりまして、そういうことを通じてお互いの意思の疎通を図りながら講習の効果を上げるように努めているところでございます。  この目的といいますのはもちろん内部監査関係の職員の資質の充実でございますけれども、その結果、私どもがずっと指摘している事態がだんだんなくなるように、つまり検査報告に掲記されている不適切な事例が起こらない、未然に防止できるようなそういうことも考えているということでございます。  そういう観点から、平成七年度の予算要求を先日大蔵省主計局の方に提出したわけでございますけれども、私どもの概算要求の金額は総額百五十三億三千四百万円で、昨年より四億四千九百万円の増、約三%の増となっております。  この中で私どもが重点的に考えておりますのは、まず先ほどお話のあった研修関係、これは研究と研修とを一体化するということも含めまして研修関係。それから、私ども何といっても人的資源だけでございますので、検査体制を充実強化する。それから検査活動については、先ほども先生のお話のありましたように、コンピューターを活用した検査というものを考えておりまして、研修関係では研修とか講習のコースをまた七年度は増設するということも考えております。  それから検査体制でございますが、私どもの実地検査の実情を言いますと、調査官は平均して年間約八十日出張しております。もう体力的にはこれが限界でございます。ただ、検査対象機関の規模も大きくまたさらに複雑化しております関係で、これはもっと検査要員を増員して充実を図らなければいけない、これが第一でございます。  それから、会計実地検査に行ったときには、私どもの調査団には特殊勤務手当というのを支給することになっておりますけれども、これが六年か七年か、相当据え置きになっておりますので、これの増額を図るということ。  それから、コンピューター関係でございますと、検査事務にコンピューターを活用していくんですけれども、そのためのプログラムの開発とか、それから先ほどもお話のありましたように、ノート型のパソコンを増備しまして実地検査に持っていかせる。その際には、工事関係でいいますと設計ソフトなんかも購入しまして、それを持たせていくということをやりまして検査の効率化を図ることにしております。  以上、るる述べましたけれども、体制を整備し、それから検査の効率を上げ、かつ同時に検査対象機関の内部監査の充実強化を目指して、再発防止を念頭に置きながら仕事を進めていきたい、このように考えて平成七年度の予算要求をしているところでございますけれども、私どもの意のあるところを御理解いただきまして、今後とも御指導いただければ幸いかと思っております。  どうもありがとうございました。
  48. 守住有信

    守住有信君 ここは決算委員会だから、大蔵省の司計課長は来てますな。よく今聞いておったな。いいかい、主計局の一部だよ。  それともう一つ、ここにはおられませんけれども公正取引委員会、二つに分かれておったのが今度合同になりましたな。テレビでも出ておった。膨大な資料、そして公取の強化、定員も。検査院と公取の独自性、法的性格は違うにしても。そうして、かつての自民党の妙なやつらを一掃して、再生自民党ということで行かにゃいかぬ、私個人もそう思っております。検査院の方もこれはもう政党政治もヘチマもないんだから、厳正にやっていけばいいんだ。今言うたようなことを目指しておるから、ちゃんと出席しておられますから、ちゃんと主計局長以下によく伝えておいてください。検査院の方はそれで終わります。  なお、時間が多少ございますので、実務ばっかりやっておりましたけれども、先ほども防衛庁長官のお話し、私も内閣委員会に入りましてからずっと、特に朝鮮半島、北朝鮮の核の問題は、被爆国ですから物すごく全国民、あらゆる方が関心を持ってやっておられます。私は実は電波屋でございましたので、ミサイルとかレーダーとか、特にミサイルにつきましても、かつてソ連の時代にスカッドB、飛距離三百キロ、ちゃんとソ連は考えて、三十八度線から三百キロですと釜山まで来ますけれども、対馬までは来ないんです。ああ、なるほどちゃんと考えておったなと。  ところが、技術開発で今度はスカッドBからCへ五百キロ、そしてさらにノドン一号、千キロちょっと。みんなもうけろっと忘れてしまっているけれども日本海で能登半島の沖三百キロ、あれは成層圏へ打ち上げた。横へ振ったら日本国内に入っておる。成層圏へ打ち上げた。だから、日本防衛庁はレーダーを持っておるけれども、気がつかない。アメリカの偵察衛星その他ではっきり気がついたと。こういうのでノドン一号から二号へ、さらにこれが核弾頭とミサイルと結びつく。何となれば、中国は何遍も核実験をやって核爆弾を山のように持っておるけれども、ミサイル搭載用の核は持ってなかった。そこで、つい前ですな、あれは去年かおととしだったか、奥地の方で核実験をやったのは実はミサイル搭載用の小型の核弾頭だ。  それが北朝鮮で、核の問題はあるけれども、あのミサイルに核がついたら、日本のマスコミなんかは精度は大したことないと。あるいはまた精度が上がったら自衛隊の基地どころじゃない。まあ言ったら日本都市の中の国民に行く。こういうことでわあわあ言って、私の後援会報にも書いたりしたり、いろいろ勉強しまして、防衛研究所その他の皆さん方とこれからどういくかということで、今までは地上のレーダーでございました。だからこれがやっぱり飛行機で、そして専守防衛ですから、私は昔からウサギの耳論と言っておりました、情報通信でございます。おっしゃいました偵察衛星も宇宙開発事業団をつくるときもただ平和利用。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕  あの後、私は思い出しますけれども、硫黄島自衛隊基地、これに今までは短波で通信ができておったんですね。それで、雑音が入ったり、気象状況によっていろいろ変化があり、本当に正確にはわからない。そこで、あれは通信衛星のトランスポンダー一個を使って硫黄島の通信ができることになった。日本におる外国人だってトランスポンダーを使っています。日本の防衛をする日本国民たる自衛隊員が通信衛星を使うのが何でこれが平和利用だということで、ちょうど私が事務次官をしておるとき、栗原防衛庁長官でございましたけれどもやりました。  あとは通信の方で、例えばえびのの潜水艦通信基地、このときもえらい反対運動がありました。日米軍事基地だとか、中には核が落ちてくるだろうとか、落ちてくるなんというデマゴーグを飛ばしたやつがおって大分けんかしました。名前は挙げませんが、熊本の議員ですけれども。  そういう中でやはり日本列島を宇宙、通信、レーダー、AWACS、こういうものでより早く捕捉して、日本海や東シナ海、南シナ海で撃ち落とせなきゃだめだ。このことを社会党の皆さんも村山首相以下お話しいただきましたけれども、本当に技術的にも勉強して認識していただいて、専守防衛、こっちが攻め込むんじゃありません、向こうから飛び出してきたら日本海とか東シナ海、南シナ海で撃ち落とせる、確実に撃ち落とせる仕組みをつくっていかにゃいかぬ。  そのためにもアメリカとのこういう技術的な協力関係、そして日本の独自の技術、ノウハウを発揮させていく。これが今後の近代化、抽象的に近代化と防衛問題懇談会でも言われておりますが、そのもっと具体的なものを、そしてそれを国民に広くわからせる、これが一番大事じゃないかと私は思っておりますので、ちょっとお話も出ましたものですから、自分の過去をば思いながら通信活用、情報通信衛星、レーダー、あるいは通信ばかりでなくてセンサーですね、センサーの能力と通信とを結びつけた、これ等も大いに防衛庁、防衛産業等も一緒になってこれからの研究開発、まさしく我が身を守るための、ここで守らなきゃいかぬ、ここへ撃ち込むわけじゃないんだ、ここで守るんですからね。  そういう思いでおりますので、防衛庁長官の、今後アメリカにもいらっしゃいますけれども、ひとつお考えなりお気持ちなりをお示しいただいて、なお補足があれば技術的な問題もありますからそれぞれの政府委員の方でも結構でございます、そういう点を広く教えていただきたい、こういうふうな思いでございますので、よろしくお願いします。
  49. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 我が国の防衛を考えた場合におきましては、大変列島が長いわけでございます。また領土、領海も極めて広範にわたるわけであります。  そういう中で、専守防衛を専一に考えて防衛体制というものを築いていくためには、何と申しましても今先生が御指摘になりましたようにまず情報を的確に把握する。弱い動物でありますウサギが長い耳を持ちましてまずもって危険を察知するというように、我が国におきましても、相手がどのような意図を持っていついかなる場所に攻撃をするか、こういうことにつきましてはできるだけ万全を期してまず情報を把握しなければならないのではないか。そのためのいろんな検討というものをしっかりとやっていかなければならぬ、こういうように思うわけでございます。  それから、戦略ミサイル防衛のお話も出たわけでございますが、これは実現ができれば大変すばらしいことだと思うわけでございます。専守防衛といたしまして、相手が撃ち込んでくるミサイルを撃ち落として防衛を全うする、こういうことになるわけでございますが、これはまだ世界におきましても研究段階、構想段階、こう申し上げてもよろしいかと思います。  そういうことだと思うわけでございますが、今後時間をかけて検討していかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、TMDと言っておりますけれども、日米の作業グループ、情報を交換したりするという点におきましては、今後話し合いを行いながら我が国も研究、検討をするということが必要なのではないか、このように考えておるわけでございます。  以上であります。
  50. 守住有信

    守住有信君 あともう一つ気にしておりますのが、防衛庁の前線の方の幹部指揮官、あるいは昔で言うなら下士官も含めまして、ここの気持ち、意欲といいますか、十分これとのコミュニケーションというものを何度も何度もやっておいていただきたい。  一つの例ですけれども、九州勢は至って北海道へ昔から出しております。それで、さらに九州に今おる師団が訓練のため北海道へ参ります。何で遠方に行くか。やっぱり途中のプロセスの輸送とかいろんな問題を体験し克服していかなきゃいかぬ。我が国は有事立法はございません。何にもない。優先権もない。その中で大部隊を一小隊まで含めて動かす。北海道は八億円かかるからというわけでこれもやめになりましたね。そして、名前を挙げてもあれですけれども、白石師団長、まなじりを決してテレビで出ておりました。訓練しておりました。  そこで、私なんかは、ロシアがこうならば日本海の方とかあるいは九州、西部方面は沖縄まで含めております、陸海空。なかなか立派な、参謀本部みたいな頭のいい、情報にたけた、知識も物すごく広いあれですけれども、大事なのはまさしく武官ですから。大事なのは武官の方でございますけれども、そういう諸君との話をやりながらも、今度の防衛懇のあれが、ただ冷戦は崩壊したんであるとか、細川総理のときのね。そしてあれも内閣が諮問して、それで防衛庁協力となっておりましたね、文章は。一体となってじゃないんだ。内閣が中心になって、防衛庁協力という表現になっていましたな、あの諮問のときのあれは。  そういうことも思いながら、そしてかついろいろ防衛の最前線で苦労して意を決してやっておる、PKOもそうですけれども、やっておる諸君たち、特にその幹部の皆さん方にこれの流れとか、防衛庁長官以下、あるいは内閣としての決意を、腹を十分浸透させておいていただきたい。これが最後のお願いでございまして、もう答弁結構でございますから、お願い申し上げておきます。  以上で終わります。
  51. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十二分開会
  52. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成三年度決算外二件を議題とし、通商産業省防衛庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  53. 庄司中

    ○庄司中君 私は通産省関係について質問をさせていただきたいと思います。  大きいテーマ企業のリストラと産業空洞化ということで一午前中質問がありましたけれども、少し視点を変えまして、そしてできるだけ重複をしないような形で質問をしたいというふうに思います。  昨年の九月に政府が緊急経済対策を決定いたしまして、その際に重要な一つの課題として中小企業対策、中小企業分野進出等円滑化法でございますね、舌をちょっとかみそうでありますけれども、普通リストラ法というふうに呼ばれておりますけれども、それが緊急に成立そして施行されました。まさに円高の局面が急転をいたしまして、産業調整の問題が非常に深刻になった、それに対応した対策ということであります。  現在の構造調整の中心は、何といいましてもやっぱり製造業、特にリーディング産業と言われております加工組み立て産業の基礎的な競争力が問われる状態になっているということですね。とりわけ昨年の三月から急速に円高になりまして、さらに六月の下旬、現内閣が成立するときでございますけれども、ついに円が百円を切る状態、そしてそれがずっと現在まで定着しかかっているような状態でございます。そうなってきますと、企業海外シフトというのは急速に拍車がかかってくるという状態に実はなっていったわけであります。そういう点で、産業空洞化という問題が各界から懸念をされるようになったわけですね。  リストラ法は昨年の十一月に施行されたわけでありまして、この間十カ月ぐらいたつわけでありますけれども、まず最初に、この法律で支援の対象となります特定中小企業者、この承認問題、件数の推移、できれば月別の趨勢と業種別の内訳、大まかで結構ですからこの辺をまずお知らせいただきたい。
  54. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 今、先生御指摘の昨年十一月に成立いたしました中小企業分野進出等円滑化法でございますが、この法律に対する中小企業者の関心が極めて高うございまして、昨年の十一月末に施行されて以来、本年の八月の十二日現在、全国的に六百七十件の計画の承認をしております。  月別の承認件数でございますが、本年度に入りまして、四月に七十六件、五月百二十六件、六月百二件、七月百三十八件、八月も十二日現在で既に五十二件ということで、これまでのところ増加基調にございます。  また、業種別の内訳でございますけれども、この法律、新分野進出と海外展開、二つございますので、まず新分野進出の方でございますが、これは全体で五百九十件でございます。このうち一般機械器具製造業、これが百四十二件で全体の中の二四%、続きまして繊維工業百五件、金属製品製造業七十三件、電気機械器具製造業四十九件、こうなっております。  海外展開の方でございますが、全体で八十七件のうち、これまた一般機械器具製造業がトップでございますが、二十一件で全体の二四%、続きまして繊維工業十三件、プラスチック製品製造業十件、金属製品製造業九件、このような状況になっております。
  55. 庄司中

    ○庄司中君 この承認件数の推移を見てみますと、今御答弁がありましたように、明らかに月を追って漸増傾向ですね。特に御答弁のありました四月以降はかなりふえてきているということがあります。  それから、業種的にはやっぱり機械が多いですね、伝統的に繊維は今までそうだったわけでありますけれども。機械の次には電機が入っていますね、そしてソフトウエアというふうな感じになっております。  私が特に注目をいたしますのは、海外展開が八十七件でした。そして全体が六百七十件でありますから、大体六分の一といいますか、正式には一三%ぐらいだそうでありますけれども海外展開が多い。中小企業海外展開というのは非常に難しいわけでありますけれども、やっぱりこの状況になってきますと海外展開せざるを得ない、中小企業といえども海外展開せざるを得ないということがかなりはっきり出ているように思います。  例えば増加数を見てみましても、六月以降ずっとふえてきているというふうなことがありますので、いわば円高産業調整というのはある意味では加速化している、スピードが上がっている、こんなことが言えるんじゃないだろうかというふうに思います。  それで、この加速化の状態でありますけれども、先ほども説明がありましたように、この法律の目的といいますのは、国際分業の進展と経済構造の変化に対応する、そして対策の分野としては海外進出と新事業分野への進出というふうになっております。それに対する支援ということになりますね。  まず、海外シフトの問題について質問をしてみたいと思いますけれども、例えば最近、日本経済新聞の主要な製造業の調査というのがありました。これは標本の数が余り多くなくて信頼度はちょっと低いとは思いますけれども、それをとってみますと、国内生産は九四年と九五年は横ばいないし微増というふうに出ています。そして雇用は減るというふうになっています。  そして海外生産はどうかといいますと、九四年と九五年、ことしと来年は各二〇%アップだということですね。やっぱり生産の増加のスピードがかなり速い、速いだけじゃなくて大きいということが言えるだろうというふうに思います。海外雇用はこの間に五%から一〇%ふえる。これはもちろん日本人じゃありませんね、海外ですから、ということになると思います。  そして、経営者のコメントによりますと、日本産業、つまり製造業の主要な企業の中の経営者の意見でありますけれども、一定の空洞化は避けられないということであります。まるで空洞化してしまうということじゃなくて、ある程度の空洞化は避け得ない、これが経営者の認識だろうというふうに思います。  私が心配をしますのは、先ほどの承認件数の趨勢にもありますように、円高が急速に進んだ結果、生産が海外へシフトするのが加速化しているんじゃないだろうか。私が心配しますのは、まずこのスピードでありまして、スピードが速いと物すごく破壊的な効果を及ぼすわけですね。緩慢な、漸増的な、漸進的な変化であれば対応できるわけであります。アメリカの八〇年代のドル高のケースを見ましても、急速に為替の変化があった場合に、破壊的な作用をここに及ぼす、対応できないということがあると思いますけれども通産省としてこのスピードから起こる問題というものをどういうふうに見ていらっしゃるか、その見解をちょっと聞いてみたいと思います。
  56. 堤富男

    説明員(堤富男君) お話ございましたように、アメリカは八〇年代ドル高の時代がございましたが、あのとき言われましたのが、本来なら三十年かかって失う産業を三年で失ってしまったというようなことが言われております。日本で最近起きております円高は、確かに昨年の円の高くなりぐあいとことしの高くなりぐあいとでは、去年が一五%ぐらいであったのに対してことしは五%あるいは多くて一〇%ということで、去年よりは少ないという見方もありますが、やはりこれらは累積的効果というのが出てくると思いますし、産業にとっては非常に厳しくなってまいるわけでございます。  通産省で計算をしておりますが、産業全体にとって円というのはどのくらいの効果があるかという計算をいたしましたが、これは一ドル百六十円ぐらいの平均的効果でございます。といいますのは、日本の中には二つの産業がございまして、貿易産業というのは日々海外と競争しておりますから一ドル百円でないと仕事、商売にならない。国内だけの産業というのはすぐに貿易競争にさらされないために一ドル二百円ぐらいで済むわけでございますが、結局日本製造業、特に海外と輸入、輸出という面で競争している製造業にとりましては、国内の産業全体の持つ力、二百円あるいは百六十円というものをベースにしながら百円で競争するという意味で大変厳しゅうございます。  そういう意味では、海外投資というのが実は全体として見ますとそれほどふえていないように見えますが、その中のアジアというところ、アジアに対する製造業の投資というのを見ますと、これは急速にふえておりまして、九二年では一六%、九四年で計画で見ますと五六%ぐらいの増があり得るということで、製造業のアジアへの進出というのは非常にテンポが速うございます。そういう意味では流れが速いという御指摘はございますけれども、一方でそれに対応した国内の対応というのもそれなりには進んではおりますけれども、なお私たちの見るところではいろんな意味の支援をしていく必要があるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  57. 庄司中

    ○庄司中君 そこで、これは大臣にちょっと聞いてみたいわけでありますけれども、例えば中長期の問題今スピードの問題を話しましたけれども、中長期のある意味では一般的な問題で考えてみますと、例えばことしの、九四年版の通商白書を見ますと今局長が言った意味がありますけれども海外の生産比率というのは九三年で六・四%というのがありますね。それから、アメリカの場合九一年で二七・五%、つまりけた違いだということです。  八〇年代前半のドル高でこれが急速に進んだわけでありますけれども、ここでアメリカで進んだ進み方を見てみますと、私たちもびっくりするわけでありますけれどもアメリカ産業にはもう家電産業はなくなったということですね、事実上。例えば、いっかテレビをつくっているメーカーはぜニスという一社だけであるということを言っておりましたけれども、事実上家電産業は壊滅状態ということであります。私たちが考えてみますと、エレクトロニクス産業ということで家電の位置、重要性というのは非常に大きいだろうというふうに思いますけれどもアメリカはこの時期に家電を失ったということが言えるだろうというふうに思います。  九三年で海外での生産比率が六・四%といいますけれども、これを業種別に見てみますと非常にでこぼこがありまして、例えば電気機械をとってみますと一〇・八%いっているわけです。そして、輸送用機械をとってみますと一七・五%いっておる。この二つがダントツでありまして、あとは非鉄金属ということになります。これはたしか七%ぐらいだったと思うわけでありますけれども、つまり海外へのシフトということは今は加工組み立て産業を中心にして起こっている。いわば、私が最初に申し上げましたように、日本のリーディング産業のところで実は起こっているということで、かなり深刻な問題じゃないだろうか。これは当然、例えば非常に大きい雇用を維持しておるのはこの二つの産業でございます。  海外シフトといいますと、資本と技術というのはこれは簡単に移転できるわけです。ところが、人間は簡単に移転できないという問題がありまして、例えばここにやっぱり雇用問題が起きる可能性というのがあるわけです。ですから、リストラ法でも第十二条に「雇用の安定等」ということを特に入れておるわけであります。  つまり、中小企業で見ますと六〇%が下請ということになるわけでありますから、親企業が外に出ていきますとやっぱりいろんな大きい問題が起きる。親企業が中にありましても、国内に残っていても、例えば部品の海外調達という問題がありまして、どっちに転んでも雇用の方に影響が出てくるというふうになるわけでありますけれども大臣、この辺についてどんな御認識でいらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  58. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘がありましたように、この円高状況の中でさまざまな問題が起こっております。そうした中で私どもが非常に心配をいたしておりますのは、まさに御指摘のような問題点でございます。  私は、中長期的には企業はやはり国際戦略重視の姿勢というものを維持していくであろうと思いますけれども、そうなりますと海外進出の拡大基調というものはある程度継続すると考えなければなりません。しかし、これが過度に行われました場合には、産業空洞化、そしてそれは雇用への悪影響をもたらす懸念というものは非常に深刻なものになるわけでありまして、これに対してどう対応するかというのは非常に大きな問題であると存じます。  私どもとして考えておりますのは、具体的には、やはりそれだけの新たな国内需要の創造を目指すことが必要であろう。そのためには、良質な社会資本整備というものをむしろ積極的に前倒ししていくべきではなかろうか。そして同時に、既存企業のリストラをどう支援していくか、新規分野への、新規産業の展開支援というものをどう行っていくか、これらを含めた産業構造調整というものがどうしても必要であると考えております。  先般、村山総理お願いを申し上げ、概算要求を締め切りました段階で、公共投資基本計画の量及び質両面からの見直しの作業の加速化を経済企画庁に対して指示していただきました。現在の公共投資基本計画そのものが、実は私自身が大蔵大臣のときに作成したものでありますけれども、その後の経済状況の中で相当程度前倒されております。ですから、これは量的にも拡大していかなければならないことは当然でありますけれども、同時にその中には、例えば情報通信でありますとか、いろいろな分野における、特に研究機能をどう強化していくかといった分野までを視野に入れた新たな公共投資の整備というものを私は必要とすると思っております。  これが量質ともにと申し上げたことでありますが、実はもう一つ非常に気になっておりますのは、海外からの調達がやはり、今御指摘になりました電機でありますとか電子部品でありますとか自動車業界というものを中心にどんどん拡大する方向にございます。たまたま事務方から手元にもらっております数字を見てみますと、電子部品の最近の輸入動向というものが、九三年の上半期、前年同期対比の伸び率で一五・五%でありましたものが、九四年の一月から四月期、二六・四という数字になっております。  また、電機、電子あるいは自動車さらに造船とか重電等をとりましても海外調達のシェアはふえておるわけでありまして、これも下請を中心とした中小企業分野の業務の縮小、悪化、さらには雇用の問題に連動していくわけであります。こうした点からは、それぞれの企業が当然のことながら自社の戦略をお持ちでありましょうけれども、新たな分野に展開をしていく、その新分野への展開を支援していくための措置というものは我々は十分にくみ上げていく必要がある、そのように考えており、その中で雇用も守ってまいりたい。  最終的には、産構審答申で目指しておりますような新たな事業分野の展開により多くの労働力を吸収していける体制を整備していく、そのように考えております。
  59. 庄司中

    ○庄司中君 今の発言にもございましたけれども、こういう意見がやっぱりあるわけです。物づくりは海外へ移転してもいいじゃないか、国内に頭脳だけ残しておけばいいじゃないかという意見があります、これはかなり根強い意見でありますけれども。しかし、実際に例えば生産を海外に移して研究開発だけ国内に残せるだろうかという問題がございます。アメリカのさっきの経験を見ていましても、やっぱりそういう見解があったことは事実でありますが、結局うまくいきませんでした。生産のあるところに研究開発も移っていくということです。  もともと技術革新というのは、例えば新しい製品をつくるだけじゃなくて、生産方法も革新をしていく、あるいは販売方法も革新をしていく、それから組織も革新をしていくという有機的な関係があるだろうというふうに思います。  そういう点からいきますと、例えば大企業の場合には、ある家電メーカーなんかは海外生産比率を五〇%にする。今二〇%のを五〇%にする。しかし、あとの五〇%の国内生産は断固として残していく。そして付加価値製品をこの五〇%で確保していく。企業の採算はこの国際分業でとっていくという考え方がありますね。だから中小企業の場合にも、いわば何らかの生産を国内に残していく、大企業がとっておりますように、これはかなりトップの大企業でありますけれども。  企業内国際分業で企業としての新しい展開を考えていくということがあるわけでありますけれども中小企業の場合でも私はやっぱりこんな方向といいますか、対策の方向があっていいんじゃないだろうか。つまり、全部リストラだとか全部海外進出だということじゃなくて、やっぱり国内生産と海外生産、例えば成熟した製品というのは当然海外ですね、そして高い機能を持った商品というのを国内でつくる。そして企業としての存立、発展を考えていくという施策が中小企業でもあっていいんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、この辺はどんなふうにお考えでしょう。
  60. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 私ども中小企業施策の中でも、中小企業が独自、優位性のある技術開発を進め、それをもとに事業化をいたしまして新たな事業、新規事業を起こすということが重要であると認識しておりまして、特に中小企業の場合には、創造性なり機動性といういわば中小企業活力というものがこのような技術開発、事業化を行う大いなる潜在力というものを有しているのではなかろうかと思っております。  ただ、中小企業の場合には片や資金調達面あるいは技術なり情報の収集力に限界があることも確かでございますので、中小企業庁といたしましては、新しい分野のための技術開発あるいは事業化を行おう、そういう意欲のある中小企業への支援というものをこれまでも強化してまいっております。  例えば、本年二月の総合経済対策に基づきまして、中小企業金融公庫に新たに新事業育成貸付制度というものを創設いたしまして、そういう意欲のある中小企業技術面なり資金面での助成もしておるところでございます。また、最近の経済情勢から、このような中小企業技術開発、新事業化というのが極めて重要ではないかという認識のもとに、来年度の要求におきまして、従来の施策に加えまして、中小企業者の技術開発、事業化の促進のために、資金調達あるいは技術開発の助成、技術情報提供体制の強化、販路開拓の支援等、いわば総合的な支援措置といったものを実施する、そのための各種の予算要求というものを提出させていただいているところでございます。
  61. 庄司中

    ○庄司中君 今の新分野への進出の条件みたいなものをもう一度考えてみますと、こんなこともあるだろうというふうに思います。  中小企業の六〇%が下請だということですから、親会社が例えば閉鎖をするとか海外進出をするとか一部縮小をするということになりますと、今まで系列といいまして縦型にできていた、一次、二次、あるいは三次までありますが、下請がばらける、解体するわけです。新分野に展開をするとしても、特に下の分野、二次下請なんかは何といいますか部品の一部ということになっておりますから、技能というよりも技術が非常に特化しちゃっていますね。特化した技術で新しい分野へ進出するというのは非常に難しい。この辺は、例えば支援措置としてどんなふうに具体的に、つまり技術の制約ということ、その辺はどういうふうにお考えですか。
  62. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 下請中小企業が新分野に進出する場合に技術が決め手である、こういう認識を私どももいたしております。下請中小企業技術力向上のためには技術指導あるいは技術研修、技術交流といったものを強化する必要があろうかと思いますが、これまでに都道府県にございます百七十八カ所のいわば公設試験研究機関、これが中心になりまして、国立の研究所あるいは大学とも協力いたしまして中小企業に対しましてきめ細かな技術指導、技術研修を実施しておるところでございます。また、私どもにあります中小企業事業団が各種の、中小企業大学校とかあるいは技術部の機能を活用いたしましてより高度な技術研修、技術指導も行っておるところでございます。また、私ども技術改善費補助金の中に下請中小企業を対象としました特別の枠を設けまして技術開発の面からの助成も行っている。  そういったことで、公設試験研究所を中心としました技術指導というものを中核にいたしまして、いろいろな機関とも連携いたしまして下請中小企業技術開発面における支援といったものをこれまでも講じておるところでございます。
  63. 庄司中

    ○庄司中君 おっしゃることは通常の仕事でありまして、私が言っておりますのは、この急速な構造調整の中でどんな対策を技術面での支援で立てられるかということを私は言っているわけであります。  次の問題に移りますと、例えば技術といいましても、例えばここに国民金融公庫の九二年七月時点の調査がありますけれども、熟練を要した技術が機械の高性能化によってどういうふうにカバーできるかという職種を挙げております。例えば金型とか切削とかプレスとか板金とかは自動化ができる機械、ところが塗装とか鋳造等はこれはできないということになっていますね。  やっぱりこういう技術上の制約も実はあるわけでありまして、この技術上の制約、つまり下請というのはもう技術が特化しちゃっていますから、鋳造なら鋳造しかできませんから、技術上の制約から新分野になかなか展開できない、進出できないという面が非常に大きいという調査も実はあるわけでありまして、この辺は一般論じゃなくて、今そのために何ができるかということを考えてほしいというふうに思います。  まあそれはいいです。次に進みます。  もう一つは、さっき例えば親企業がだめになりますと下がばらけるという話になりましたけれども技術の制約もありますよね。それからもう一つやっぱり営業力とか情報力。下請というのは親企業のある意味じゃ言いなりに仕事をしてきたわけですから、営業力とか情報収集力というのはもともとないわけであります。  それからもう一つ考えられますのは、縦型の産業組織をとっているということは、上が崩れると、親会社を中心に地域に幾つかの協力工場、工業の集積があるわけでありますけれども、これがばらばらになっちゃうわけですね。だから、新事業に出ていくにしても一社だけではできないわけですね。何社かの技術を補完させながら新しい事業に応じていくということが必要だろうというふうに思いますけれども、このためには、例えば情報を提供するとか、仲介をするとか、あっせんをするとか、こういう機能がないとやっぱりうまくいかないんじゃないでしょうか。その辺だけひとつちょっと。
  64. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 御指摘のとおり、下請中小企業の場合に、営業力、情報収集力が弱いケースがございますので、各県にございます下請企業振興協会、これが下請取引のあっせん関係情報の提供あるいは相談、仲介、あっせんを従来からやっておりますが、ここ最近の場合に、このような機能が重要であるということにかんがみまして、下請取引オンライン・ネットワーク・システムというのを活用いたしまして、各県を越えました広域的な取引のあっせんといった事業を実施いたしましたり、また親企業と下請中小企業を一緒に集めまして、受発注担当者が一堂に会しまして具体的な商談を行う、そういう特別あっせん事業というものを開催する。あるいは下請中小企業に対しましていろいろなアドバイスをいたします下請中小企業アドバイザーというのが従来からございますが、これを大幅に増員するなど、取引のあっせん、情報の提供、そういった体制を強化しております。  また、下請中小企業の下請分業構造というのが変化しつつあるのではなかろうかという御指摘ですが、中小企業白書で、ここ数年でもピラミッド型の下請分業構造が変化しつつある、そのためには下請中小企業が親企業の取引先をふやすとか、あるいは新分野に進出するとか、そういったいわば親企業の再編、集約化、国際展開、そういったものに下請中小企業対応するためのアドバイスというのも各都道府県なり下請協会を通じてやっておりますし、またいろいろな異業種の交流というような面でも対策を講じております。  そういった意味で、下請企業者の取引先の分散化、新分野の開拓、そういった面での活動が充実できるような施策を今後とも講じてまいりたいと思っております。
  65. 庄司中

    ○庄司中君 こういう点も非常に大きいと思います。これもさっきも言いましたように雇用に影響すると思いますけれども、例えば設計機能の基本機能を充実させる方向に向かっていく、つまり余分なものは省いちゃうということですね。つまり、下請はほとんど部品をつくっておりますから、部品から見てみますとやっぱり部品点数を減らすということが大きい。それから、部品の共通化という問題があります。数を減らして共通にするということがあります。これをやりますと、ある企業はまとまって仕事が来るということになりますね。そして、そのほかのほとんどの企業は仕事がまるでなくなっちゃうということになります。  こういう事態というのは、例えば自動車の組み立てメーカーのケースでも今回かなりはっきり出てきたと思いますけれども、こういうことに対する対策といいますか、これはもうずっと続いていくというふうに思います。例えば組み立てにしても、基本性能を重視していくというふうになっていきますから、余分なものを省くということになりますからこれが出てくるというふうに思いますけれども、かなりこれは深刻な影響を及ぼしているように私は見受けますけれども、この対策なんかはどういうふうにやっていらっしゃいますか。
  66. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 下請企業の独自の技術力というものを確保するために、先ほど来御説明しておりますような下請中小企業に対する技術面の施策がございますが、これにつきましては、来年度の予算要求の中でも下請中小企業技術力向上のために技術改善費の中でまた特段の配慮をする、こういう施策を考えております。  また、下請中小企業が特定の親企業から独立いたしましていろいろな販路を開拓する、あるいは同種の関連事業者との事業の共同化を行う、こういったいわば組織化の話、あるいは異業種間の融合の施策につきましては、従来から技術交流あるいは融合化事業という施策がございますが、そういったものを使いまして下請企業の横の連携というものに対しましても施策を講じているところでございます。  現在の下請中小企業の都道府県下請企業振興協会あるいは中小企業事業団、そういったいろいろな施策がございますが、下請分業構造が変化しつつあるということにかんがみまして、下請中小企業の独自の技術力あるいは下請中小企業と各親企業、あるいは横の企業との多角的な連携といったことにつきまして十分留意いたしまして施策を講じてまいりたいと考えております。
  67. 庄司中

    ○庄司中君 例えば今僕が質問した中で、親企業がだめになると全体がばらけちゃう、だから技術が特化していて一社じゃうまくいかないから、これをセットにして新しい協力関係をつくって対応をしていくべきではないだろうかということについては正確なお返事がなかったように思いますけれども
  68. 鈴木孝男

    説明員鈴木孝男君) 既存の政策の中で、どのような形で今の下請企業の連携ができるかというのは、私ども今現在検討中でございます。  もう一つ、現在、九月のこの時点で、最近の急激な円高あるいは大企業海外展開、海外調達が下請中小企業にどう影響しているかというその辺の詳細な実態が、実は私どものところにも情報が十分でございませんので、この九月に、五千社から六千社の下請中小企業を対象といたしまして、大企業海外展開あるいはリストラといったものが受注面なり取引面あるいは仕事のやり方といったものにどう影響しているか、あるいは下請中小企業が今後どのような形で生き残る戦略を考えているか、そういったものの詳細調査を今やっておりますが、このような詳細調査をベースに、来年度要求をしております施策と相まちまして、下請中小企業の新しい分業構造の中での生き抜く道というものを私どもは強化してまいりたいと思っております。
  69. 庄司中

    ○庄司中君 もう時間が来ましたので、大急ぎでやらせていただきます。  最後に大臣、例えば中小企業庁が四-六月期の規模別の製造工業の動向という速報を発表いたしましたけれども、これなんかを見ますと、大手よりも中小の方が在庫調整がおくれているという結果が出ています。それから、経済企画庁が調査をしてこれを発表しましたけれども、機械受注統計をとってみましても、大手の投資よりも中小の投資の方がだめだ、おくれているというふうなことが出ています。  通常ですと、これは景気が底入れをしまして上向きになりますと、中小の投資が先に出るわけですね。これがことしは逆になっている。ある研究機関の発表によりますと、親企業海外進出やそれからリストラで中小企業への受注が減っているんじゃないだろうかというふうな報告がございますけれども通産省としてはどんなふうに認識をしていらっしゃるか、簡単で結構ですから。
  70. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御指摘になりましたような状況というものは現実に出てまいっておると思います。  親企業によります海外進出というものがどう影響しているか。これは、昨年通産省が調査をいたしました時点では、親企業海外展開により受注量が減少すると回答した下請企業が約三割に達しておりました。  今、中小企業庁の次長から報告を申し上げましたように、これをより詳細に我々としても実態をつかみたい、そして企業海外展開等による影響だけではなく、輸入との競合激化による影響も十分にこれをつかみたいということから、現に今調査をスタートさせております。  これは相当細かく中身をチェックしていくつもりでありますが、その中には、今御指摘になりましたような視点から、受注量の増減、生産規模の増減、あるいは雇用の動向、親企業海外進出をいたしましたものに対するかかわり方、さらには自社が海外展開についてどう考えているかといった動向、今後の対策、経営方針、あるいは倒産とか転廃業の動向といったようなものを詳しくとっていきたいと考えております。  大体十月中には調査票を回収し、十月末にはその調査結果の取りまとめをし、発表もしたいと考えておりますし、これによってよりきめの細かい対策を立てていきたい、現在そのように考えておりますので、一層の御支援お願い申し上げます。
  71. 庄司中

    ○庄司中君 終わります。
  72. 清水澄子

    清水澄子君 昨年の十二月に、米軍車両有料道路通行証が流出して全国の高速道路で不正使用されておりました。しかも、その一部は金券ショップで売られていたという報道がありましたが、防衛施設庁、この事件の概要、特に不正使用に気づいた経緯、不正使用の回数、損害金額等について報告していただきたいと思います。
  73. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) お答えいたします。  有料道路の通行証明書の事件等につきましては、これは先生御案内のように、地位協定の第五条二項において「合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課さない。」というふうな規定がされております。これに基づきまして、当方は、道路事業者がこうむりました損害等の損失補償をやっているところでございます。  ただいま御指摘のございました不正使用事件の経緯でございますが、これにつきましては、昨年十二月の初めに道路事業者の方から当庁に対しまして都内の金券ショップにおいて米軍の通行証明書のコピーが販売されているという情報があったことから事実が判明したものでございます。  これに係ります。その後の調査の結果、不正使用の実態はおおむね次のことがわかりました。  まず、平成五年の一月から十二月の間の一年間で約七千四百枚の不正使用が確認されております。また、これ以外に使用について疑義があるものとして六百枚ほどが数えられましたので、これについては現在米軍との間でその事実等の確認を行っているところでございます。  なお、この平成五年一年間におきます七千四百枚につきましては、一月から六月期の間で不正が確認されたものが約二千枚、金額に直しますと約二百万円相当になります。また、七月から十二月の間に不正使用が確認されたものが五千四百枚、金額に直しますと約七百十万円ほどになります。また、先ほど申しました米軍と確認中のもの、これにつきましては六百枚、約四十万円というふうになっております。  なお、平成六年一月から三月期について、その後いろいろ我々で不正防止のための施策をとりましたその後におけるものにつきましては、調査した結果、不正使用された通行証等は確認されておりません。  以上でございます。
  74. 清水澄子

    清水澄子君 では、この不正使用を許した原因はどこにあるとお考えでしょうか。それと、いつごろからコピーの使用を認めておられたのか、端的にお答えください。
  75. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) まず、原因でございますけれども、これにつきましては、捜査当局等の資料がまだ我々目に触れるところまでいっておりませんので、その辺の状況を踏まえませんと確たることは申し上げられませんが、やはりコピーができるという状態にあったということは一つの誘因になっているのではないかというふうに思っております。
  76. 清水澄子

    清水澄子君 コピーによる通行証の発行を防衛施設庁は許容していたはずですね、非常に簡単なこういうコピーを出せばいいわけですから。(資料を示す)ですから、施設庁も今回の不正使用の発生については責任を負うべきではないでしょうか。
  77. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) ただいま先生からお示しいただきましたように、実際にコピーをされた通行証を使用するということは、米軍もいろいろ訓練等が一時期に集中する等、やむを得ざるときにはやったというふうなことは我々としても承知しております。  ただ我々としましては、このようなこと自身は余りあってはならないということでございますので、機会あるごとに米側に対しまして通行証明書の管理については厳正を期するように申し入れをいたしておるところでございます。
  78. 清水澄子

    清水澄子君 では道路公団の方にお伺いをしたいと思います。  今、施設庁から報告のありましたこの被害の実態ですけれども、これについて施設庁から損失補償を受けておられるでしょうか。いろんなうわさですけれども、負担の押しつけ合いがなされていると聞きますけれども、現在の会計処理の状況はどうなっているのか説明してください。
  79. 山田幸作

    参考人(山田幸作君) 昨年の七月から十二月分までにつきまして、六カ月分につきましてコピー証明書分を含めまして損失補償の申請をいたしているわけでありますが、防衛施設庁におかれましては、コピー証明書の真偽の判断がつかないものにつきましては現在支払いを留保されているという状況でございます。この留保分の取り扱いにつきましては、現在防衛施設庁と協議中でございますので、協議が調った後、会計処理を行うという考え方でおります。
  80. 清水澄子

    清水澄子君 今回の米軍の不正使用に最初に気づいたのが道路公団側だと言われているわけですが、通行証のコピーの使用について施設庁に照会を行ったことはないのかどうか。また、これまでの通行証が簡易な書式と印刷からなっていて非常に偽造されやすいということについて、公団側からはそれらの意見とか要望を防衛施設庁には出さなかったのかどうか、その点をお伺いします。
  81. 山田幸作

    参考人(山田幸作君) 今回の発端をつかみましたのは昨年の十二月でございますが、過去におきましても私どもで回収をしました証明書の中にはコピーのものがございました。その証明書の有効性につきましては、防衛施設庁にも損失補償申請をします際に問い合わせを行ったことは過去にございます。  しかしながら、コピーのものが無効であるというふうな通知も私どもいただいておりませんし、また、コピーの証明書を含めまして損失補償を受けていたということでございまして、私どもとしましては、コピーの証明書につきましても真正なものという認識で取り扱ってまいったわけでございます。
  82. 清水澄子

    清水澄子君 それでは、非常にお忙しいところ、道路公団の方ありがとうございました。  そこで、防衛施設庁に伺います。  この米軍車両の有料道路使用の損失補償実績というのがずっと毎年ふえてきていると聞いているわけですけれども、昭和六十年から平成五年までの使用回数、そして補償実績の金額が幾らになっているのかお示しいただきたいと思います。その増加の要因が在日米軍の要員の増加にあるのか、演習回数がこの期間は相当何倍にもふえたのか、通行証の目的外の使用がふえているのか、その使用の実態から見て増加の要因を何だとお考えになっていらっしゃるか、お答えください。
  83. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 有料道路の損失補償の実績を御説明する前に、先ほど来コピーによる通行証明書の使用というのが問題になりました。我々もその辺は十分認識しておりまして、六年の六月一日から新たな通行証を使用することとしております。これは従来のものに比べますと、米国製で地紋入りの着色用紙を使っておりますし、また印刷も二色刷りを使っております。さらに、整理番号なり発行の施設、区域名を入れるなど、その辺の対応は十分にとっていきたいというふうに思っ  て、現在そのようなことで不正防止を図りたいと思っております。  また、昭和六十年から平成五年までの間の使用車両の台数でございますが、これは各年度ごとに申しましょうか。  昭和六十年が三十六万九千台で補償額が二億四千百万でございます。六十一年が四十二万台の二億七千八百万、六十二年が四十六万七千台の三億二千万円、六十三年が五十八万七千台の四億七千万円、平成元年が六十二万八千台の五億一千六百万、同じく平成二年が六十二万七千台の五億三千百万円、平成三年が六十一万三千台の五億三千七百万、平成四年が七十二万四千台の六億百万、平成五年が七十九万一千台の補償額が六億四千百万円となっております。  これの増加の原因でございますけれども、我々が感じているところは、まず有料道路の新設とか延長というものが考えられております。例えば昭和六十二年におきましては、大変米軍の基地が多い沖縄におきまして沖縄自動車道が延長されたという事実がございます。また、平成四年には横須賀地区におきまして本町山中有料道路が新たに開通しております。これが一つの原因でございます。  もう一つの原因は、使用料金の改定があるんではないかと思っています。例えば昭和六十二年には首都高が値上げになっておりますし、また平成元年には道路公団の値上げ等があります。  我々は、通行量の増加また補償額の増加はそのようなものだというふうな原因分析をしております。
  84. 清水澄子

    清水澄子君 今、御報告になりましたけれども、昭和六十年のときの使用台数が五年後には倍になり、そのさらに四年後には三倍になっている。そして、払う金額も六十年の二億四千百万が五年後には二倍になっている、五億一千六百万円になって、四年後にはさらに三倍になっている。  こういうふうなことがあっても、これらについて何ら疑問は起きませんでしたか。先ほど言われた理由がすべて根拠であってということになれば、今問題になっておりますコピーの使用とか、これは道路公団が指摘しなかったら何にも問題はありませんでしたね。
  85. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 私どもといたしましては、先ほど来御説明いたしているように、高速道路網の発達とかモータリゼーションの発達とか、その辺が大きな要因だというふうに考えております。  また、米軍におきましても、この通行証の発行につきましては厳正な管理をやっているというふうに我々承知しておりますし、また我々も、機会あるごとに米軍に対しましては通行証明書の発行については厳正を期すようにというふうなことを申し入れておるところでございます。これに対しまして、米軍からはそのような趣旨で運用していきたいという回答を得ているところでございます。
  86. 清水澄子

    清水澄子君 それでは、防衛施設庁の訓令第十七号では、駐留軍の通行車両台数というものをきちんと点検するということが第六条に書かれているんですが、じゃ、今までの数量は全部点検をされた結果と見てよろしいですか。
  87. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 我々は、各有料道路等の道路事業者の方から、当庁の出先でございます各防衛施設局等の申請に基づきまして、それのときには必ず通行証明書の添付をお願いしてございます。  したがいまして、この添付をそれぞれ全部確認した上で、道路事業者との間での損失補償の契約等を結んでおるところでございます。
  88. 清水澄子

    清水澄子君 長官、今お聞きになっていて、この問題について、この不正使用の処理というのは一体どこが負担することになるんですか。防衛施設庁が払うのですか、公団が負担するのですか。
  89. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) お答えします。  先ほど道路公団側からも御答弁がございましたように、現在いろいろ調査等の詰めを道路公団側と当庁でやっておるところでございます。したがいまして、その結果に従いまして適正な会計処理をいたしたいというふうに思っております。
  90. 清水澄子

    清水澄子君 長官、こういう非常にルーズな実態があらわれてきているわけです。今度たまたま発見されたからですけれども、その他の不正使用問題というのも皆無ではないんじゃないかと私思います。今回の事件は在日米軍への非常に日本側の甘い姿勢が許したそういう結果だと思いますので、今後こういうことが絶対ないように、ぜひ私は長官にこの点について十分御検討いただきたいし、点検していただきたいと思います。いかがですか。
  91. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 米軍が発行いたします通行証明書が偽造されまして、御指摘のように使用されるという事態になりましたことは、地位協定の趣旨からいたしましても極めて遺憾なことであります。先ほど施設部長が答弁申し上げましたように、私どもとしてはこの事件をきっかけにいたしまして全体を総点検させていただいております。  再発防止策につきまして、米軍など関係機関と調整をし、六月一日から新たな通行証明書の発行ということで措置をとったところでございまして、今後このようなことが起こらないよう万全を期してまいるつもりでございます。
  92. 清水澄子

    清水澄子君 来年度の防衛予算の概算要求の中で、思いやり予算については今年度の九・四%増の一千三百五十三億円になっておりますね。これにより、従来表明してきた日本人従業員の労務費や光熱水道料、そういうものが約束していた一〇%負担をできなくなるわけですけれども、このことについて、アメリカの方では八月十一日に上院が特別協定の完全実施を求める決議を採択しております。  防衛庁は、この来年度の思いやり予算の概算要求というのは、今回の概算要求のときだけ少し表向き宣伝するためにこういう九・四%増にしておいて、十二月までの間には結果としてそれをふやすというふうなことは絶対にないんだろうと思いますけれども、その点はいかがでございますか、長官お答えください。長官お願いします。
  93. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 平成七年度の概算要求額につきましては千三百五十三億を要求しております。これは六年度の予算額に対比いたしまして百十八億四千万円の増加となっておるものでございます。これでも六年度予算額に比較いたしますと伸び率は九・六%とかなり高いものでございます。  このような要求をしなければならなかった理由ということについて申し上げさせていただきますが、御承知のとおり概算要求基準で与えられましたものは〇・九%でございます。これはかってない厳しいものでございまして、自衛隊の関連経費のみならず、あらゆる経費につきまして削減、圧縮、抑制の努力をしなければならなかったという事情がございます。かかる経費削減措置の一環といたしまして、御指摘の特別協定に基づきます我が国の経費の負担の増額分につきまして、六年度予算における計上額の約半分程度を追加したというものであります。  今後どうするかということでございますけれども、この概算要求を受けまして、七年度政府予算案に向けて、これから財政当局を初め関係省庁と調整することになります。  それにつきましては、一般論でございますけれども、特別協定に基づきまして我が国が経費負担をするに際して、政府が公にいたしました官房長官談話などの方針がございます。厳しい財政事情も考慮する必要がございます。国防上、必要最小限の実力組織としての自衛隊の水準を維持する必要もございます。日米安全保障体制の円滑な運用の確保という重要な問題もございます。これらを勘案の上、適切に政府として対応方針が決定されるものと理解しております。
  94. 清水澄子

    清水澄子君 それであれば、今後はふえる可能性があるということをおっしゃっているんですよね、そうでしょう。  ですから、伺いますけれども、思いやり予算というのは一九七八年に円高差益を補てんする名目で始まって、そして九一年の在日米軍駐留経費特別協定によって、さらに日本人従業員の労務費の金額を日本側が負担すると。そして、駐留米軍の使用する電気料、ガス料、水道、下水道、暖房、調理、給湯用の光熱費など、九五年度までに全額を負担するということを長官が約束されてまいっ  ていましたね。  そういう中で、日本の米軍駐留経費の負担額というのは非常に手厚い負担をしていると思うんです。そういう中で私は、先ほどの通行証の問題もこういうルーズなことがどんどん高じてくる一つの原因でもあると思います。最近のある新聞の記事によりましても、このアメリカの陸軍座間キャンプの情報分析機関に勤務する日本人の給料、それから基地の施設でいろんな行事を行う、そういうものの細々したものまですべて日本政府が負担しているということが指摘されているわけですけれども防衛庁というのは米軍駐留経費としては一体どこまで負担する必要があるとお考えなんでしょうか。
  95. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 在日米軍駐留経費の負担につきましては、日米安保条約に基づきまして長い間の経緯がございます。先ほど先生がおっしゃったような経緯で段階的に増加しているということは事実でございます。  このような負担をするについて、地位協定の範囲内でやっていた時期、それから特別協定を締結してからの時期と大きくは分けられるかと思いますが、基本的な考え方は、我が国安全保障にとりまして必要不可欠と私ども考えております日米安全保障体制の効果的な運用、これを確保していくという観点からでございまして、これを我が国が、米国からの意見を聴取することはございますが、自主的な判断のもとに行っているものでございます。  細々としたものということもございますが、これは地位協定の中で行えるものか、もし行えないものであれば特別協定の中なのかというようなことを、予算要求の過程におきまして厳正に審査を経てお願いして、負担しているものでございます。
  96. 清水澄子

    清水澄子君 それならば、ぜひお願いしたいんですけれどもアメリカは毎年この思いやり予算の要求リストを防衛施設庁に提出しているはずです。それをどのような基準で予算化されているのか、その要求リストの内容と予算化をするときの基準というものの資料をお示しいただきたいと思いますが、お願いいたします。
  97. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 提供施設の整備等につきましては、先ほど施設庁長官の方からお答えいたしましたように、米側の希望を聴取するとともに、安保条約の目的達成との関係、また我が国の財政負担との関係社会経済的影響等を総合的に勘案の上、自主的判断に基づいて措置をしているところでございます。  また、ただいま先生から御指摘がございましたような米側のリストという点でございますけれども、我々、米側の希望の聴取の一環といたしまして米側の希望する施設等のリストの提供は受けることがございます。ただ、これは米側の希望の聴取の一環として受けるだけでございまして、いずれにしましても、その予算化等に至りますまでの基準につきましては、先ほど申し上げましたような我々の自主的判断に基づいてやっているところでございます。
  98. 清水澄子

    清水澄子君 長官、自主的判断をなさっているんですから、防衛庁にはちゃんとそれを一つ一つ判断される基準があると思うんです。ぜひその資料をお示しくださることをお願いいたします。
  99. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 基準と申しますのは、しばしばそのような御要請はこれまでもございましたが、今施設部長から申し上げましたような三つの基準のもと、総合的に政府として最終的には判断をしているものでございまして、数字とか数式みたいな形でお示しできるようなものはないところでございます。
  100. 清水澄子

    清水澄子君 それは納得いたしません。数字で示すことのできない予算化というのは私にはよくわかりませんので、これは後ほど資料を請求したいと思います。  次に、長官にお伺いいたします。  防衛予算のうちに、三年-五年にまたがって多年度に予算を支出するものに国庫債務負担行為というのと継続費というのがあります。昭和五十七年の財政制度審議会の建議において、これらの国庫債務負担行為と継続費について、極力その抑制、平準化に努めなければならないという注文がつけられておりました。  この建議のなされた昭和五十年代の防衛予算の総額に占める国庫債務負担行為と継続費の歳出予算化の割合は二〇%から三〇%へと移ってふえてきております。そして、さらに昭和六十二年度から平成三年度までの防衛予算に占める国庫債務負担行為と継続費の歳出予算化の割合も毎年ふえていまして、それは今三八%になっているわけです。ですから、防衛予算の中で三八%というのはそういう分野になっているわけですが、特に昭和五十年代よりこれらがずっとふえてきているわけです。  これらがふえればふえるほど私は防衛予算の硬直化と増大を生むと思いますし、それはまた国全体の予算の硬直化、財政全体の硬直化につながると思いますが、なぜ防衛庁は財政制度審議会の建議を守ろうとなさらなかったのか、守れなかった原因は何なのか、お答えいただきたいと思います。
  101. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 従来、防衛庁といたしまして、防衛計画の大綱のもとで中期防衛力整備計画に基づきまして効率的で節度ある防衛力整備に努めてきたところについてまず申し上げたいと思います。  そしてその際、艦艇とか航空機等の装備品等につきましては、その性質上、製造とか建造に多年を要するものが多いため、国庫債務負担行為及び継続費の方式による予算編成を行ってきたところでございます。  今、御質問の中に、国庫債務負担行為あるいは継続費の歳出化経費についての五十年代からのシェア、防衛関係費全体に占めるシェアのことだと思いますが、御指摘がございました。  確かに五十年代の約二〇%から六十年代の前半にかけまして三四、五%まで上がったことは事実でございますけれども、六十一年度以降、平成六年度予算さらには平成七年度の概算要求に至るまで約三五ないし三八%。現在三八%という御指摘でございましたけれども、現在再び三五、六%に落ちているということで、六十一年度以降むしろ比較的安定的に推移しているということでございます。  それから、例えば国庫債務負担行為そのものあるいは継続費でも結構、両方含めた広い意味での国庫債務負担行為全体につきまして、確かに過去ふえた経緯がございますけれども平成三年度から平成六年度の成立予算について見ますれば、後年度負担という範疇で見ていただきますと、おおむね二兆八千億円台で横ばいで推移しているわけでございます。  また、後年度負担額の対防衛関係費の比率も、平成元年度予算においては七〇・五%だったものが平成六年度予算においては六一・七%と低減してきております。  結果として後年度負担が、国庫債務負担行為あるいは継続費の歳出化経費が過去ふえたことはございます。それは防衛力整備計画で必要最小限度の整備を図ってきたということではありますけれども、防衛関係費の性格上どうしても歳出化経費という形が出てくるということでありますけれども、最近時点におきましてはこの国庫債務負担行為あるいは継続費の後年度負担、あるいは歳出化経費そのものはむしろ横ばいないし安定的に推移しているということを申し上げたいと思います。
  102. 清水澄子

    清水澄子君 非常に簡単に数字をおっしゃっているわけですけれども、国庫債務負担行為というのは三年から五年分を一度に一括契約するわけですから、それがその後どうなったのかというのは計数上はほとんどわからないわけですね。そして、今も非常に横ばいでございますと言われるけれども、二兆八千億円というのは横ばいといってもとても大きな金額であると思うわけです。  そこで私は、我が国の財政制度というのは単年度主義を原則としておりますし、そして予算に対する政治的責任を明確にするという立場で単年度主義というのが行われていると思うんです。ですから、国庫債務負担行為と継続費による予算行為というのはいわば例外的なものであって、これが当たり前でずっと防衛庁が、特に継続費というのは防衛庁に使われているわけですけれども、その中身がなかなかわかりにくい。  そういうことについて非常に疑問があるわけですけれども、特に平成三年度の予算を見まして、国庫債務負担行為と継続費の使い方ですね。その中で、例えば艦艇建造費については国庫債務負担行為の中にも書いてあり継続費の方の中にもその費目がある。そういう場合、防衛庁はどのような基準でこの区分をしていらっしゃるんですか。
  103. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 国庫債務負担行為及び継続費につきましては、これは財政法の規定がございまして、ともに事業の完成に二年以上要するものについて後年度の国庫負担となるべき契約を締結する権限を付与する、こういった形で認められているものでございますが、国庫債務負担行為とそれからいわゆる継続費とそれぞれ機能が違っております。  国庫債務負担行為は後年度、一応原則五カ年以内ということでございますが、後年度にわたる債務を負担することを目的としておりまして、後年度にわたる支出権限についてあわせて議決を求めようとするものではございません。継続費の場合は、総額についての債務負担とともに、あわせて後年度にわたり支出権限の付与を求めるものでございます。それから、国庫債務負担行為は予算に計上された年度において全額について契約締結等を行い債務を負担するものであるのに対しまして、継続費は各年度に分割して契約締結等を行い債務を負担することができるものでございます。  そこで、防衛庁の場合、例えば艦船につきましては、護衛艦及び潜水艦の建造については継続費の制度によっており、その他の艦船建造、航空機購入、武器車両等の購入につきましては、これは国庫債務負担行為の制度によっているわけでございます。  なぜそうしているかと申しますと、自衛艦のうち護衛艦及び潜水艦の建造につきましては、建造に当たって船体、機関、武器、需品等数多くの契約に分割する必要が多く、それぞれの製造工程が複雑で長短がある上、ややもすれば工程及び仕様に変更を生ずることがあるため、これは継続費の制度によっているということでございます。これに対しまして、構造も比較的簡単であり、当該建造に係る契約を一括して当該年度中に契約できるそれ以外の艦艇等につきましては国庫債務負担行為の制度によっているということで仕分けをしているものでございます。
  104. 清水澄子

    清水澄子君 これらを一つ一つ決算委員会というところで決算を見るわけですけれども、とてもわかりにくい。もし長官おわかりになるならば全部お答えいただきたいわけです。  例えば、きょうも出されていますけれども平成三年度概要説明を見ましても、四ページなんかでは中期防衛力整備計画、ちょうど平成三年度から七年度までの初年度として計上されているということで、その中は何を幾つ買うという数量だけしか出されていない。これで決算質問をしろと言われても、私は最低ここでは数量と合わせて購入契約総金額、それを平成三年度に支払った金額はどうなのか、それから平成三年度の購入契約の結果から生じた後年度負担金はあと幾ら残っているのかとか、そういうことをやはり説明してほしいわけです。私たちにわかるような、そういう提起をしていただきたいと思うわけです。  そういう意味で、これも防衛施設庁にこのことを教えてほしいと問い合わせましたら、そんなことやっていたら人の数は足りないし、そんなもの何年かかるかわからないということなんです。  ですから、私はここの委員会でひとつお願いをしたいわけですけれども、この場所でこれを説明するのは困難ということでしたから、そういう決算概要の説明書に記載のある主要装備費について本委員会に資料として後日提出していただきたいと思いますので、委員長としてぜひお取り計らい願いたいと思います。  同時に、今度平成四年度の決算概要の説明書には、今指摘しましたような大方のことだけを、やっぱり戦車何台、何を何台という数で購入契約したというだけでは金額が何もわかりません。ですから、ずっと五年単位の国庫債務負担行為ですから、全然それがどこでどういうふうになっていくのか見えないものですから、ぜひそのことを私は要求したいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  105. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 今の清水さんの資料要求については理事会で検討して回答します。
  106. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひよろしくお願いいたします。  今私が申し上げていましたような、やはりこういうふうな財政のあり方というのは大変わかりにくいわけですね。ですから、私は、この国庫債務負担行為で認められた限度額の歳出予算化についての決算状況が見られるような、そういうふうな予算制度に見合う形での方法といいますかをとっていただきたい。  先ほども申し上げましたように、我が国の予算制度は単年度主義を原則としていますから、多年度主義を併用はしていますけれども決算は単年度主義になっているわけですから、わかりやすい、だれにでもわかるようなそういう決算報告にすべきだと思いますが、長官、ぜひその点は検討をするということをお願いしたいんですが、ひとつよろしくお願いいたします。長官、ぜひお答えください。
  107. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) できれば質問者の要望どおり、長官、一度御答弁願います。
  108. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 前段部分について。
  109. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) じゃ、前段、経理局長
  110. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 先ほどから決算のあり方といいましょうか、むしろ財政法の規定するところの決算のあり方、あるいは予算の性格の問題についての御質問が出ていたように思います。  それを実は私の方から、つまり大蔵省ではない私の方から説明するのが適当かどうかわかりませんが一言申し上げたい点は、先生も重々御承知のことかと思うんですけれども決算書自体が当該年度の収入支出の実績に関しまして財政法の規定に基づき、いわゆる歳入歳出予算と同一の区分により作成することとされているということでございまして、そういう観点から国庫債務負担行為の支出状況のみを取り出した記載というものが必要とされていないという点が一つございます。  それから、実はそういう制度のもとで予算の執行をやり、あるいは決算というものをまとめている各省庁の予算執行、あるいは決算担当の体制そのものが契約の一本一本についてどういうふうになっていくのかといったような体制になっておりませんで、つまり、継続費はちょっと別にいたしましても、国庫債務負担行為につきましては、財政法の規定では、毎年毎年その歳出予算が計上され、議決されなければ執行できないという形になっておりまして、結果的に歳出の予算のベース、それを決算で見ていくという形になっておりますものですから、私たち対応が非常に難しいということをこれまでもるる申し上げてきたわけでございます。  ただ、先ほど決算概要説明書につきまして御意見がございました。我々も御指摘の点につきまして、いろいろ経緯はございますけれども、今後一つの論点として検討してまいりたいというふうに考えております。
  111. 清水澄子

    清水澄子君 ひとつこれは見直しをしていただいて、次の四年度の決算報告書のところにはぜひお示しください。長官、よろしいですね。どうぞ返事してください。
  112. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 決算状況をわかりやすく国民に周知していただくということは、防衛庁としても重要なことと考えております。
  113. 清水澄子

    清水澄子君 次に、来年度の防衛予算の概算要求の中で、戦域ミサイル防衛、TMDの調査費が約二千万円計上されておりますが、戦域ミサイル防衛、TMDに関する日米協力のこれまでの検討している経緯というのは一体何なのか、明らかにしていただきたい。
  114. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 戦域ミサイル防衛、TMDにつきましては、まず我が国としての対応につき政策判断を行う必要があることから、その具体的内容につきまして日米間で事務レベルの検討を行っているところでありまして、そのための会合を昨年十二月及び本年五月に開催したところであります。また、弾道ミサイル攻撃に対する対処のあり方につき検討するため、先般、平成七年度防衛予算概算要求に調査研究費を計上したところであります。  防衛庁といたしましては、このような検討をも踏まえて、戦域ミサイル防衛の我が国防衛政策上の位置づけ、これに対する我が国対応等について判断していくこととなると考えております。
  115. 清水澄子

    清水澄子君 もし日本が戦域ミサイル防衛、TMDを装備することになると、総額十四兆円の巨額な予算を投じることになると言われているわけですが、防衛庁はこの戦域ミサイル防衛、TMDの装備を必要とする脅威というのは一体何を指して脅威だからこういうものを装備していきたいという検討をされるのか、その脅威の対象はどこに置いていらっしゃるのか。
  116. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 今日の国際社会におきまして、大量破壊兵器とその運搬手段となり得る弾道ミサイルの拡散というものが残念ながら進んでおりまして、現実に我が国周辺におきましても弾道ミサイルを保有する国が存在しておるということは御承知のとおりであります。  したがいまして、あくまでも専守防衛という観点に立ちました場合におきまして、その弾道ミサイルに対処する、そういうことを想定したシステム、こうしたことを研究していく、こういうことは一つの課題として必要ではないか、こういうふうに認識しておるわけであります。
  117. 清水澄子

    清水澄子君 これはまだ十分議論されていないはずですけれども、これが本当に効果があるかどうかというのもまだまだ検討されなきゃならない問題なので、一方で軍縮といいながら、そして一方で今後非常に大きなお金を必要とする、そういうものに道を開かれるということについてはもっと慎重であっていただきたいと思います。  そこで、最後に防衛庁長官に軍縮に対するお考えをお聞きしたいと思います。  このところ、世界の主要国の軍事費というのは削減傾向にあると思います。数字を挙げますと、一九九四年のアメリカの軍事費の対前年度比というのはマイナス四%です。ドイツはマイナス二・七、フランスはマイナス二・一、そしてイギリスも一九九三年ですがマイナス三・四です。ところが日本は、抑制傾向にあるとはいいますけれども、一九九四年の日本の軍事費の対前年度比はプラス〇・九%、来年度もプラス〇・九%であって、基調は拡大にあるわけです。  インフレ率もありますので一概には言えないと思いますけれども、やはりこれは日本は、先ほどもいつどこから攻めてきてもとかという、そういう何か絶えず脅威を想定して、設定して、大体防衛庁とか軍事関係はそういうことでいつでも脅威を、あえて仮想敵国をつくったり想定するわけです。しかし、そういうことではなくて、本当に世界的に軍縮を基調にしていくという形の中で、日本もやはり防衛予算というものをマイナス基調に削減をしていけないのか、どのような理由から拡大の方向日本のみがとっていくのか、その理由についてお答えいただきたいと思いますし、それからまた、長官自身の軍縮に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  118. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 国際社会をより平和で安定したものにする、こういう観点から考えますならば、当然軍縮を目指すということはこれは歓迎すべきことである、このように考えます。  ただ、東西両陣営の崩壊、こういうことになりまして、各国とも過大なる核あるいは必要以上の通常兵力というものを、軍縮といいますか減らしてきているということはそのとおりでございます。  しかし、ヨーロッパ、欧米諸国におきましては、例えばワルシャワ軍事体系というものが崩壊するということによりまして、NATOというものがそれに軍事的に対峙をしてきたわけですが、ワルシャワ条約体制が崩壊したことによりまして一応軍縮という環境はできたと思うんですね。ただ、やはり北東アジアというものを考えてみた場合には、そういう一つの大きな軍事的な体制というものが崩壊をしたとか、あるいは今まで別に存在しておったわけではありませんけれども、個々のケースはかなり違うケースがあり得るんじゃないか。したがいまして、例えば中国等別に敵視をするわけではありませんけれども、防衛費は二二%もふえておるわけでございます。  いろんなケースが考えられるし、また東西両陣営の崩壊がありますけれども、地域紛争といいますのはむしろ世界的にふえておる、こういうことだと思うんですね。したがいまして、自分の国の防衛、平和を守るという努力はやはり今後とも続けていかなければならぬと思うんです。  そこで、私の考えとしましては、自社さきがけ三党の連立政権に関する合意事項の中におきましてこう書いてございます。「近隣諸国間の信頼醸成活動に力を入れつつ軍縮を進める。」と。それから村山内閣総理大臣談話、これは組閣した直後、六月三十日にあるわけでございますけれども、「外にあっては、軍縮の促進など冷戦後の世界平和の維持確保に努める」、こう言っておるわけでございます。  つまり、外に対しても、やはりお互いに信頼醸成をしながらそこで隔意なき相互理解を果たしながら平和を守るという目標のもとに、お互いに軍事的な縮小といいますか、こういうものが合意の上で成り立っていくということを歓迎したい、またそういう努力をしていくべきではないか、こういうふうに思います。  我が国の防衛費におきまして、お話がありましたけれども、東西冷戦構造が崩壊をいたしましてから中期防の総額もかなり減らしておるわけでございます。相当のものを減らしております。したがいまして、本来ならばこの概算要求等におきましても自然増等を考えてまいりますと七%以上の増が見込まれるような状況ではございましたが、やはり抑制的に努めるということと同時に、近隣諸国各国との信頼醸成に努めるというようなことで、ASEANフォーラムとかそうしたことで各国とも理解を深めていく、こういうような姿勢もあり、抑制的にやったということでございまして、一方的に拡大をしたというような内容のものではないということを御理解賜りたいと思います。
  119. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。
  120. 泉信也

    ○泉信也君 新緑風会の泉信也でございます。本日は、防衛問題に限ってお尋ねをいたします。  冷戦構造の崩壊が世界のあらゆる分野で大きな変化をもたらしておることは御承知のとおりでございますが、防衛問題に限りましても、米国あるいはロシアの両国がこれまでこの分野で覇を争ってまいりました関係から、最も大きな変化が見られるものと考えておるものでございます。しかし、その他の国々の中には地域紛争の頻発でありますとか、それぞれの国を取り巻きます環境のありようを分析する中で、今なおその対応に真剣に取り組んでいかなければならない状況が続いておるということが現実の姿ではないかと思っております。  そうした意味におきましては、日本もまた新しい時代に即応した防衛論議を深めなければなりませんが、必ずしも一直線に軍縮に向かうべきであるという論議には私はくみしないものであります。質、そして機能を充実拡充する、その中で世界の平和に貢献していくのが日本の立場であると私は確信をいたしております。  そこで、平成七年度の防衛予算の概算要求がなされました。本格的な論議はこれから予算成立まで関係委員会を中心に十分議論をしていかなければならないと思いますので、きょうは概括的に幾つかの点をお尋ねいたします。  防衛本庁の予算は四兆一千七百億、〇・七%増、施設庁は五千六百億、二・六%、トータルとして対前年度四百三十四億円の増、伸び率〇・九%というふうに承知をいたしております。  一説によりますと、当初防衛庁にあっては、二・八%増、千三百億円程度の要求を考えておられたという報道がございました。このことは事実なのかどうか。今回の防衛庁の要求の過程を見ておりますと、最初に〇・九%ありきという、そこから概算要求がスタートしたのではないかと思えてならないわけであります。防衛庁はどのような過程を踏んで概算要求をなさったかについてお答えをお願いいたします。
  121. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) ただいま御質問いただきましたとおり、当初我々、平成七年度におきまして人件・糧食費の増あるいは特別協定負担に伴う増等をいろいろ考えました結果、二・八%くらいの増がないとなかなか大変だなということでいろいろ議論をいたしました。  大変厳しい財政事情のもと、また御案内のように、概算要求基準は原則として一つの機械的な、それから技術的な計算によって対前年度の予算との関係で決まってくるということで、もちろん厳しい折衝をした結果、〇・九%ということで概算要求枠を設定いたすことに我々も同意したと。  大変厳しい中ではございますけれども、この中で我々としては必要最小限度の自衛隊の維持、機能を発揮するための予算要求をいたしたいということで、今概算要求をしているところでございます。
  122. 泉信也

    ○泉信也君 お話がございましたように、大変厳しい予算の要求であったと思います。人件・糧食費と歳出化経費の合計が八〇%近くなっておる。こうした中で新しい時代対応していく防衛政策を展開しなければならないということになるわけでありますが、これで本当に大丈夫なのか、こう私は心配をするものであります。  特に、正面装備につきましてはマイナス一五%ほどの減額になっております。これは中期防衛計画等の着実な実施を進めておられる中で、こうした事柄が本来の姿から逸脱をしていないのか、防衛庁としてはいかがお考えなのか、お伺いをいたします。
  123. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 正面装備の要求についてのお尋ねでございますけれども平成七年度の防衛関係費の総額のうち、概算要求総額四兆七千二百六十九億円でございますが、正面の経費について、契約ベースで申しますと九千二百十五億円で、前年度比三百九十五億円、四・五%増の要求になっております。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕 これにつきまして、私ども平成四年に大幅に減額修正された中期防に基づきまして最終年度としての要求を行っておるわけでございますが、その際に、なお例年と同じように平準的な取得に心がける、残っておるからすべて取り切るということではなくて平準的な調達に心がけるということが一点と、それからさらにその要求の必要性というものを詰めるというような、精査するというようなことを加えまして、正面装備については厳しく抑制した上で今年度の要求というものを行っております。  その結果でございますけれども、中期防の残数量との関係を見ますと、陸上自衛隊の戦車、火砲、装甲車、海上自衛隊のSH60Jヘリコプター、航空自衛隊のF15等について抑制をしたところでございます。具体的には戦車については一両の取り残し、火砲については二門、装甲車については六両、SH60Jについては二機、F15については一機というように削減をして、自制をして要求しておるというところでございますが、ぎりぎり必要な数量については要求をしたというふうに考えているところでございます。
  124. 泉信也

    ○泉信也君 必要なものについては要求をしたというお答えでございますが、私にはそういうふうには思えないわけであります。先ほど、二・八%といった伸び率を検討された過程からこの概算要求までの時間的な経緯を考えますときに、本当に日本の防衛の責任者としてそういうことをおっしやれるのか、私は甚だ疑問でございます。しかし、この件につきましてはまたいずれ議論をさせていただきたいと思います。  さらに、今回の予算全体の中で、教育訓練費あるいは油購入費が減額されております。訓練でありますとか演習費の削減というものは、単なるそのことだけにとどまるのではなくて、戦力そのものの力を想像以上に減退させることにつながってくると私は危惧をいたしております。  ルワンダ難民への救援物資の投下失敗あるいはイラク北部でのヘリコプターの誤射事件等も、実はこうした厳しい訓練を経ていなかったことにその原因があるのではないかという指摘もあるくらいであります。そのことから考えますと、今回のこうした項目の減額ということは自衛隊の力にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
  125. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 御指摘のとおり、確かにこの〇・九%という概算要求枠の中で、先ほども答弁いたしましたように、自衛隊の経費に限らず、すべていろいろな経費につきまして抑制、圧縮の対象とせざるを得なかった。そういう中で自衛隊の維持運営費、ある意味で自衛隊の活動の命になる予算でございますが、油購入費も含めましてぎりぎりの節約ができないかという検討をいたしたこと、そしてそれに基づいて概算要求を出したことは事実でございます。  そして、訓練につきましても、いろいろな情勢の変化等も勘案し、陸海空自衛隊それぞれにつきましてこの厳しい概算要求枠の中で、全体として均衡のとれた形で概算要求を考えるその過程で、訓練につきましてもより節約した、より効率的な、少しお金をかけない訓練ができないかということで、新聞にも報道されているような訓練の中止とかあるいは訓練回数の圧縮とかいうことを図ったところでございますが、練度が下がらないように、影響がゼロとは申しません、しかし中止とか訓練回数を減らしたことによる練度の低下を極力食いとめるべくいろいろと今施策の検討をしているところでございます。
  126. 泉信也

    ○泉信也君 さらに、車両等の更新についても大きな影響が出る、こうしたことが指摘をされておるわけであります。  けさの新聞にも出ておりました。お読みになったかどうかわかりませんが、隊員が部品の不足を自分のお金ででも買いたい、こう上司に申し入れをしたときに、それはいい、車が動かなければ油も必要ないではないか、村山内閣の方針に沿っておるではないか、こうした事柄が新聞に出ておりました。  物はあるけれども動かない、こういう状態が出てくることを私は一番心配するわけでありまして、おもちゃの自衛隊を持つほど日本に余裕はない、こんな思いを持っております。  そこでもう一つだけ、平成七年度の概算要求の基地周辺対策につきましては、前年度に比べますと減額になっておるようでございます。周辺住民の方々の被害を軽減する、また補償する、こうしたことは大変重要なことであり、周辺の方々の気持ちを少しでも和らげるために大変重要な施策だと思っておりますが、この基地周辺対策予算に対します配慮の仕方につきましてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  127. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 周辺対策経費につきましても、御指摘のように契約ベースで申しまして対前年度マイナス一・四%、二十三億円ほどの減となっております。歳出ベースで申しましても〇・二%、三億減という状況でございます。  このようなことはなぜかということでございますれば、先ほど経理局長も申し上げましたように、〇・九%増という厳しい概算要求基準の中で、どうしてもふやさなければならない借料でございますとか、在日米軍の特別協定に基づきます駐留経費の負担の増というようなものを考えますと、周辺対策経費につきましても抑制せざるを得ないということでこのようなことにいたした次第でございます。  しかし、防衛力を運用する教育訓練をしてまいりますについては防衛施設を安定的に使用しなければならないということは御指摘のとおりでございまして、そういう観点から、従来から重視しております住宅防音事業につきましては、特段の配慮をしながら戸数の増というような形で充実を図って関係市町村の御希望にも沿うように努力しているつもりでございます。
  128. 泉信也

    ○泉信也君 長官、お聞きのように大変な御苦労の中で来年度予算の要求がなされておるわけでございます。  先日ちょうだいいたしました防衛白書の「むすび」の中で、「世界各国は、それぞれの置かれた安全保障環境の下で自国の安全をより確かなものとする努力を行っている。 わが国としても、引き続き、自らの防衛努力を行うとともに、日米安全保障体制を堅持し、その信頼性を高めていくことが重要である。」、こうした記述がございます。  この記述のように果たして動いておるのかどうか。先ほども話題になりましたTMD構想の調査研究費等が計上されておる、そうした面は評価をいたしますけれども、思い過ごしであれば幸いですが、自衛隊を合憲としながら実態は骨抜きにしようとしておる一歩が始まっておるのではないか、このように私は危惧をいたします。長官、いかがでしょうか。
  129. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まずもって、世界の軍事情勢と申しますか、先ほどから申し上げておりますように、東西冷戦構造の終結によりまして、私は世界大の戦争というものは避けられ得る、こう考えます。  しかしながら、その後、平和が到来をするというふうに大きく期待したわけでございますけれども、一つの大きな陣営というものが崩壊をいたしますと、その体制の中に組み込まれてある程度秩序の中にあった、例えば少数民族であるとか、あるいは宗教であるとか、あるいはまた地域的な境界の問題であるとか、そういうようないさかいといいますか、こういうものがやはり地域紛争に結びついていく、むしろ東西冷戦構造が崩壊をしてから地域紛争というものは拡大をしてきたのではないか、こう考えるわけでございます。  そこで、日米安保体制におきましては、何と申しましても、我が国の防衛大綱等も昭和五十一年、冷戦が非常に激しかったころ策定をされておるわけでございますけれども日本の今後の防衛というものを考えた場合におきましては、そういう冷戦構造の対決というよりは、やはりもっと柔軟性を帯びた防衛戦略といいますか、そういうものに転換をしていきながら国際紛争に対処していくということが大事じゃないか。  それからまた、日本の周辺におけるいろいろな懸念材料があるわけでございますけれども、中国の三国志の英雄であります諸葛孔明という人がこのように言っています、戦略の道は心を攻めるをもって上となし、城を攻めるをもって下となすと。つまり、何と申しましても、城を攻めて戦い取って勝つというだけでは本当の意味での勝利ではない。本当の意味での勝利といいますのは、やはり心を攻めて、外交戦略というものをできるだけ展開をいたしまして、武力だけでもって解決をするというのは戦略の上策ではないんだ。要するに、孫子も言っていますけれども、戦わずして勝つことを上勝とする、こう言っております。  やはりこういうような地域紛争というものを考えた場合におきましては、できるだけ外交戦略なり話し合いなり、そういう努力をまずもってやって、紛争というものが必要以上に拡大したりしないように、そういう努力をしていく必要があるんじゃないか。そういう意味におきましては、日米安保体制というものも新しい役割というものを持って今日の世界といいますか地域平和のために努力していく、こういうことが必要なのではないか、このように考えます。
  130. 泉信也

    ○泉信也君 御高説拝聴させていただきました。心の問題あるいは外交上の安全を確保していく、もちろん大変重要なことだと思っております。  長官もおっしゃいました、我が国の周辺には懸念材料が全くなくなったわけではなく、むしろまだこれから行く末が心配されることがたくさんございます。来年度予算の最終決定までにさらに議論をさせていただきたいと思います。  次に、在日米軍の駐留経費の件につきまして、特に地位協定二十四条に基づきます新たな措置が結ばれておりますが、このことにつきましてまず外務省にお尋ねをいたします。  この新たな特別措置に関する協定ができましたときの条約前文、あるいはこれは防衛白書もそうですが、日米両国を取り巻く新たな諸情勢の変化に留意し、という文言がございます。これは具体的にはどういうことであったか、そして締結時の米国の主張あるいは主な論点といったものはどんなところにあったか、御説明いただきたいと思います。
  131. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) お答え申し上げます。  在日米軍経費の負担問題につきましては、従来から我が国安全保障にとり不可欠な日米安保体制の効果的運用を確保していくという観点から、我が国として自主的にできる限りの努力をしてまいっている次第でございます。  現行協定の締結時、つまり平成二年から三年にかけてでございますが、平成二年の十二月におきまして、我が国はそのような努力の一環として新中期防策定の作業の中で検討した結果新たな措置を講ずることを自主的に決定いたしまして、米国との交渉を重ねた結果、日米両国は両国を取り巻く諸情勢の変化に留意し、在日米軍経費の日本側による一層の負担を自主的に図り、在日米軍の効果的な活動を確保するため、昭和六十二年に締結された特別協定にかわるものとして現行の特別協定を締結することとしたものでございます。
  132. 泉信也

    ○泉信也君 必ずしも私のお尋ねに具体的にはお答えをいただかなかったと思いますが、第一条の従業員の基本給など労務費、二条の在日米軍の光熱水料、こうした内容になっております。こうしたものが結ばれました背景を実はお尋ねしたがったわけでありますが、今お答えがございませんでしたので先に進ませていただきます。  同じように、米軍が駐留いたしておりますNATOの加盟国、イギリスでありますとかドイツでありますとか、あるいは二国間の協定が結ばれておると言われますフィリピンあるいは韓国等の協定の経費負担の基本的な考え方、細かな項目をお尋ねするつもりはございませんが、実態について御説明をお願いいたします。
  133. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 米国が各国と結んでいる地位協定と申しますか経費負担に関連した取り決めの状況でございますが、残念ながら第三国間の問題でございまして、従来から国会等で御答弁申し上げておりますように、我が国として調査はしておりますけれども、その詳細について承知することが困難な状況にございます。  米国の同盟各国が駐留米軍に対して行っているいわゆるホスト・ネーション・サポート、接受国支援は、それぞれの国の国情や駐留米軍との相互の安全保障体制の形態などにより異なった状況に置かれており、単純な比較は困難であるということが申し上げられるかと思います。  例えばドイツに関しましては、NATO条約のもとでNATOの共同防衛を行っているという義務を負っておりますし、徴兵制をしいている、約四十五万の軍隊を保有するというような状況があるわけでございます。  さらに、韓国の例であえて一例を申し上げれば、在韓米軍のための労務に関する韓国人労働者の人件費とか米軍施設の建設、米軍装備品の維持等のためにそれなりの負担をしているということは承知しております。  ちなみにフィリピンに関しては、一九九二年の十一月にフィリピンより米軍が撤退を完了しておりますので、この問題は生じていないわけでございます。
  134. 泉信也

    ○泉信也君 これもまた十分なお答えをいただけなかったと私は思います。  単純な比較は困難だ、それはそうかもしれません。しかし私がお尋ねしておりますのは、事実を教えていただきたい。比較が困難かどうかということは私に判断をさせていただきたい。おっしゃるように、ドイツに徴兵制度があるとか、あるいは四十万とか四十五万の常備軍がいるというような、ベースが違うということは承知をいたしておりますが、その単純な比較はできないから出さないという御説明であるとすれば、甚だ不満な御返答であったと私は思います。  そこで、防衛施設庁の方にお尋ねをすることになるのでしょうか、平成三年度からスタートをいたしましたこの特別の措置に基づきます費用の分担の過去の金額をお示しください。
  135. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 在日米軍駐留経費ということでありますと、平成三年度までは、特別の協定ということではございませんが始まっております。この中で提供施設の整備、労務費の負担、最近では光熱水料の負担ということがございますが、防衛施設庁関係のトータルということで申し上げさせていただきます。  平成三年度ということでありますと全部出てまいりますが、三千三百九十二億、四年度が三千六百五十二億、五年度が四千九億、六年度が四千二百七十三億、七年度、これは概算要求でございますが四千四百九億ということでお願いをしております。
  136. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  特にこの中で、平成三年ですか、結ばれました協定の中にございます一条の人件費、基本給というんでしょうか従業員労務費の基本給、それから在日米軍の光熱水料というところにだけ焦点を絞ってお話をさせていただきたいと思いますが、この協定の中にあります「全部又は一部」という言葉の意味ですが、これは一条あるいは二条にございますこの項目の全部という意味なのか、費用の全部または一部という意味なのか、この解釈を教えてください。
  137. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 外務省の方からお答えいただくのが適当かもしれませんが、実務の方として私どもは、「全部又は一部」というのは、一条につきまして、二条につきまして挙げております経費トータルの全部または一部ということで平成六年度まで来ておりますし、七年度もそのような考え方で予算を計上させていただいております。
  138. 泉信也

    ○泉信也君 この部分につきまして私の承知しておりますのは、平成六年度が千二百三十四億という数値があると思います。これが七五%の負担ということだと考えますと、平成七年度は一〇〇%負担という予定でございましたので、このままいきますと、平成七年度は非常に単純に計算いたしますと四百億近い増が必要ではなかったか。防衛庁も当初は二百四十億円程度の増要求を検討しておられたというふうに伺っております。しかし、実際は百十八億という数値にとどまっておるようでございます。  長官の新聞談話によりますと、駐留経費も抑制の対象にするというような御発言もございました。しかし、また総理は、リチャード・マック米太平洋軍司令官に対しまして、日米安保の円滑運用に心がける、こういうお話をなさっておられるようであります。  そこで、先ほどお尋ねをいたしましたように、七年度予算の伸びが〇・九%という中で、この協定にかかわる部分が百十八億円しかないことに今のところなっております。一方、かつて官房長官談話でもあるいは防衛白書でも、平成七年度には一〇〇%ということを今日まで日本政府は言ってまいったわけであります。平成七年度にはその全額を負担する、こうした表現になっております。そこで、百十八億というのは恐らく必要経費の全額を負担するということにはならないだろう、このように思いますが、いかがでしょうか。
  139. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 一部または全部ということで申し上げますと、平成三年度は十月から全体の二五%、四年度には通年二五%、五年度で五〇%、六年度で七五%というのを予算に計上させていただきました。およそ二五%ずつふやしているということでおわかりいただけると思いますが、この金額は五年度、六年度一致しておりませんが約二百四十億ということでございます。七年度についても、トータルということであれば二百四十億、プラスアルファが若干あるか、というところでございまして御指摘のとおりでございます。  その中を、七年度の概算要求におきましては、極めて厳しい概算要求枠ということから、六年度予算における計上額の約半分というのをお願いしているところでございます。この半分ですと、七年度を通算ということで概算いたしますと八七・五%、こういうことになろうかと考えております。これをどのように運用するかというのはまたこれからあると考えております。  それから、官房長官談話で七年度に一〇〇%にということを言っておりますが、これは十二月の段階で日本側がその決意を表明したものであります。これを踏まえまして、先ほど御指摘の特別協定というのは締結されているわけでありますが、これは一部または全部ということになっているわけでございますので、地位協定に反するというようなことには当然にはならないと私どもは主張できると理解しているところであります。
  140. 泉信也

    ○泉信也君 確かに、全部または一部という言葉をどう理解し、そして現実の予算の枠の中で運用していくかというのはこれからの御努力を必要とするわけでありますが、これは国内の約束事ではなくて米国との約束事であり、また、官房長官談話も防衛白書も、素直に読めば七年度は必要経費の全額を負担する、そういう意思表示を日本政府世界に向かってしたと言わざるを得ないと私は思っております。  そこで、長官、この問題について、日米安保を堅持するという村山内閣の考え方からいたしますと、必要経費は満額見る、まさに全額負担するという姿勢を貫いていただきたいと思うところでございますが、長官のお考えはいかがでございましょうか。
  141. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まさに対外的な約束というのは大事なものだと思います。しかし、伸び率〇・九%、こういうような中におきまして、特別協定負担分につきましても削減、圧縮せざるを得ないという形になったわけでございますけれども、やはり日米安全保障体制の円滑な運用確保の必要等を十分勘案しまして、今後、関係省庁とも調整の上に対応してまいりたい、このように考えております。
  142. 泉信也

    ○泉信也君 これもまた防衛白書を引用して恐縮でございますが、既に六年三月に日米安全保障協議委員会において、現行の特別協定が七年度に失効するということに伴う今後の協議を開始することで意見の一致を見た、こういう記述がございます。今後のこともございます、どうぞこの七年度予算につきましては特段の長官の御尽力をお願いし、次のお尋ねに移ります。  次は、いわゆる防衛問題懇談会の答申についてお尋ねをさせていただきますが、この答申が出ましてまだそう時日がたっておりませんので、余り深い御検討がなされていないかもしれません。  その中であえてお尋ねをさせていただきますが、冷戦後のアジア・太平洋地域の安全保障の環境、このことについての論述がございます。当該地域ではソ連の崩壊は安全保障環境の劇的な変化を意味しなかった、予想しがたい危険に備え、時期を失わず敏速に対応する姿勢の保持が必要である、こういうことがございます。この部分について、まず最初にどういう認識を持っていらっしゃるか、お願いをいたします。
  143. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 一応、今全文を読んでおりませんので、私の感想を申し上げさせていただきたいと思います。  東西冷戦構造の時代におきましては、やはり対日侵攻というものを想定しまして防衛体制というものは成り立っておった、こういうふうに思います。その中におきましても、例えば戦略的に見ますと、日本の列島の中におきましては、ソ連の極東海軍がウラジオストクにあるわけでございますから、これがつまり日本の三海峡を通らなければ戦略的な展開ができない、こういうふうに考えますと、その三海峡のうちの二海峡を施しております北海道が非常に戦略的な重要な地点になっておったんじゃないか。そうしますと、やはり北海道はソ連とも非常に地理的に近いわけでございますから、北海道の防衛にはかなり力を入れてやってきた、こういうことが言えるのではないかと思います。  そういう中におきまして、劇的なソ連の崩壊、こういうことになりまして、しかしロシアになりましても強大な軍事力は有しておりますけれども、やはり脅威は薄れたという考え方もとれるわけでございます。  同時に、またいろいろ地域紛争その他というものが起こり得るというふうに考えてまいりますと、新しい国際情勢に対処しながら柔軟に対応できる防衛体制というものを考える必要があるのではないか。そういうことで、できるだけ機動的に、また効率的に、またいかなる紛争がありましてもそれに効率的に対応できるといいますか、そういうようなことを申し述べているのではないかなというふうに感じた次第でございます。
  144. 泉信也

    ○泉信也君 長官の方から一歩踏み込んだお答えをいただきました。  今お答えがございましたように、これからの安全保障政策と防衛力といった観点の中では効率的な防衛力の保持が必要であるというような論述がございますが、これからの日本の防衛力ということに関しまして非常に要約した言葉で表現をいたしますならば、受動的役割から能動的秩序形成者へという表現がなされております。このことは大変幅広い意味を持っておると思いますが、長官としてはどう受けとめておられますでしょうか。能動的秩序形成者、この点についてお答えをお願いいたします。
  145. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 受動的から能動的、こういう言葉でございますが、我が国の防衛体制といいますのは、やはり専守防衛、憲法第九条によります一つの目標というものがありますね、これは専守防衛。それから日米安保体制、この基本は私は変わらないと思います。  ただ、世界の平和に日本が寄与するという観点からあえて言いますならば、やはり国際連合等のPKO活動、そういうものを通じまして、より世界の平和に貢献をする、こういうような意味もその能動的な意味の中に入っているのではないか、こういうように受けとめたわけでございます。
  146. 泉信也

    ○泉信也君 もう一点お尋ねをさせていただきますが、防衛力のあり方というところで、平和維持活動への参加を自衛隊の本務に加えてはどうか、あるいはPKF本体業務の凍結規定の解除をすべきではないか、こうした論述が見られます。このことにつきまして、長官どのようなお考えでございましょうか。
  147. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) PKFにつきましては、十分経験を積みましてそれらを解除するということにつきましてはもう少し時間が必要なんじゃないか、まだ経験が不足である、こういうように私は考えます。  それからもう一つ、何でございましたか。
  148. 泉信也

    ○泉信也君 平和維持活動への参加を自衛隊の本務に加えると。
  149. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 本務という点につきましては、これはまだ私としましても結論はつかないところでございまして、これらはやはり今後検討していく必要があるんではないか、こう思います。まだこれについては私自身も結論を得ているわけではございません。
  150. 泉信也

    ○泉信也君 私は、この懇談会の答申を読ませていただきまして、私のあさはかな知識の中では大変よくおまとめをいただいておるのではないか、こんな思いを持った次第でございます。  今後の防衛力の基本的な考え方という中にも、新しい時代に即応するように人的規模も二十七万四千から二十四万人というふうな提言もございますし、陸上の機動力、ハイテク装備、こうしたことがございます。その他、海上、航空につきましてもそれぞれの提言がなされておるわけでありまして、大変いい御提言をしていただいたと思っております。  問題は、こうした提言の中から、表現がやや変ですが、つまみ食いをする、そうした施策を展開することになるおそれはないかということを心配しておるわけであります。防衛計画の大綱がつくられまして、時間がたちました。今回の懇談会の答申はそうしたものをさらに新しいものにするための一つの踏み台になるかと思っておりますが、大変重要な議論をしていただきますときに、この中から時の政府のある意味では恣意的な判断でつまみ食いがなされるようなことがあっては答申全体を貫く精神に反するし、また考え方に反することになると心配をするものであります。  どうか、これからの防衛問題をお考えいただきます際にそうしたことがございませんように、最後に長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  151. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) お話を賜りまして、まず防衛政策の展開といいますのは、国際情勢の変化とともにそれにいかに柔軟に対応していくかということが大事じゃないかと思うんです。  したがいまして、防衛大綱ができましてから十八年でございまして、この間におきましては大変な国際情勢の歴史的な変化があったわけでございます。新しい時代を迎えるに当たりましては、新しい情勢をどういうふうに判断して、そしてそれにどのような防衛政策をつくり上げていくか、こういう観点に立った場合におきましては、防衛大綱そのものもやはり見直しをしながら、なおかつ今回いただきました懇談会の報告、これも参考にしながら、防衛庁として防衛のあるべき姿を求めまして今後検討をさせていただきたい、このように思います。
  152. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  153. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。  まず初めに防衛庁にお伺いいたします。  AWACSの導入につきましては、これまでその有効性あるいは必要性等につきましてさまざまな角度から議論されてまいりました。本年七月二十二日の参議院の本会議村山総理は、AWACS導入についての憲法上の問題はないと答弁されたことでもありまして、ここでもう一度このAWACS導入の有効性あるいは必要性について、本当に防衛上有効なのかあるいは必要なのかについて確認をさせていただきたいと思います。  空飛ぶ司令室と言われるAWACS、最終的には一機五百五十五億円という大変高価なものでございます。冷戦構造が崩壊いたしまして世界安全保障環境は大きく変化したことに伴いまして、他の諸国あるいはNATO等も使用を中止しているというふうにも聞いております。どの国でも新しい世界安全保障のあり方を模索されておりますけれども、このAWACSは本当に有効か、必要か、それにつきましての詳細な防衛庁の見解、これを普通の一般の国民の方々がわかる納得できるような御説明をいただけないでしょうか。
  154. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 日本は専守防衛を旨とする防衛体制をとっておるわけでございます。  日本はなおかつまた、南北に非常に長い列島でもございます。専守防衛を旨とするということにつきましては、攻撃をされることを想定した場合はどこを攻撃されるかなかなかわからない場合もたくさんあるわけでございます。また同時に、相手の意図がどういうものであるかということもなかなかわからない。そういう場合におきまして、午前中もウサギの耳の話がありましたが、弱い動物はやはり、ウサギもある意味では専守防衛だと思いますけれども情報を長い耳を持って聞く、そして危険をできるだけ早く察知する、こういうことで生存を図っている、こういうようなことだと思うのです。したがいまして、情報収集能力というものをできるだけ高めていくという努力が必要なのではないか、こう思うわけでございます。  早期警戒監視機能の充実、こういうことになるわけでございますが、これは有事であると平時であるとを問わず極めて重要である、こう思うわけでございます。最近の航空軍事技術の趨勢を見ますと、洋上における早期警戒監視機能及び地上の警戒管制組織の代替機能を確保する必要があると見込まれております。諸外国におきましても、こうした動向を踏まえ、早期警戒管制機の保有が進展してきていると承知をいたしております。  したがいまして、すぐれた探知能力と航続性能、航続性能は、もう先ほど言いましたように長い列島でございますから、これは極めて重要だと思うわけでございます。国土から離れた洋上における早期警戒監視機能を確保するのに適し、また地上の警戒管制組織に比べ残存性にすぐれ、これを代替し得る管制能力を有する早期警戒管制機の整備というものは専守防衛上にとりましても極めて重要なものである、このように認識いたしております。
  155. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 実は、先日浜松に行きました折に、地元の住民の方々から、AWACSが浜松の基地に配備されるらしい、騒音など日常生活にどのような影響があるのかがわからず不安だと、こんな声が寄せられました。先日、AWACSを浜松基地に配備することが決定された、こういうふうに新聞報道がありましたけれども、この決定は事実でしょうか。
  156. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) お答えいたします。  お尋ねの早期警戒管制機の配備基地でございますけれども、航空自衛隊の飛行場がございます基地すべてを対象といたしまして受け入れ基地に必要な要件を総合的に検討評価した結果、今般浜松基地が最適であるという結論を得て、地元にもそのように通知したところでございます。
  157. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ところで、自衛隊が日々活動していく中で、地元自治体そして住民の協力、理解というのは不可欠だというふうに考えますが、先日のこれも新聞報道によりますと、浜松市長はこのAWACS配備につきまして「事前に何の説明もなく通知を受けた。」と、こういう発言が載っておりました。これが事実とすれば、なぜ事前の説明をされないのか、必要ないというふうに考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  158. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) お答えいたします。  防衛施設の安定的使用のためには、ただいま先生もおっしゃいましたように、地元住民等の理解が不可欠であるということはそのとおりでございます。  本件早期警戒管制機の浜松配備につきましては、先ほど防衛局長からも御答弁申し上げましたように、八月三十日に防衛庁としての配備先が決まりました。当庁はそれを受けまして、防衛施設庁といたしまして直ちに所轄の横浜局長に指示を行いまして、同じ日の三十日に関係自治体でございます静岡県知事並びに浜松市長にこの旨を通知申し上げたところでございます。  我々といたしましては、今後とも関係自治体の理解を得べく最大限の努力をしていきたいと思っておりますが、確かに浜松市長さん等が言いましたように事前の説明なしということは事実でございますし、これは時間的余裕によるものだというふうに御理解いただきたいと思います。
  159. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 地元にはこの騒音を懸念する声もありますけれども、その調査を行ったのかどうかお聞きしたいと思います。調査を行ったとすれば、その調査結果はどうだったのか、また調査結果を公表する予定があるのかどうかをお伺いいたします。
  160. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 先生御承知のように、早期警戒管制機E767の浜松配備は平成九年度末に予定されております。したがいまして、当然のことながら、現在それの騒音値のデータというものは我々持ち合わせをしておりません。  ただ、しかしながらE767の騒音値につきましては、配備先の地元等においていろいろ御懸念があるということは我々も予想されました。したがいまして、その原型でありますB767、これがたまたま航空自衛隊の小松基地に就航しております。したがいまして、小松の基地の周辺におきまして本年の八月末にこのB767の騒音値を測定いたしました。現在、この騒音値の資料等整理中でございます。近くその結果につきましては浜松市等関係自治体の方へもお知らせできると思っております。
  161. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ところで、今回ボーイング707を母体とするE3Aをやめまして、これは既に生産ラインが閉鎖したことに伴いまして中止することになったわけですけれども、そこでボーイング767を改造して767発展型のAWACS、これを採用することになったわけでございます。  このE3Aと同等の機能にするための費用がどのぐらいかかるのか、実験費あるいは維持費というものはどのぐらいかかるのか、その数値についてアメリカから当然情報をもらっているというふうに思いますが、その数字を御報告いただけますでしょうか。
  162. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 先生御指摘のとおりでございまして、ボーイング707を母体とするAWACSというものが生産中止のために今回のものはボーイング767を母体とするいわゆるE767というものに選定したわけでございますが、これは現在米国等が保有していない新型の早期警戒機でございます。  その製造工程については、現在民間航空機として使用しているボーイング767と同型機を母機として大規模な改修を施した上、米国が現在保有しているE3の搭載電子機器を搭載し、所要の試験等を行っておるものでございます。  いわゆる開発経費の総額につきましては、これは米国との契約上の関係もございまして、申し上げることを差し控えさせていただきたいわけでございます。
  163. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、この委員会の席上で公表されることは支障があるというふうに理解いたしますが、その資料については後ほどいただけますでしょうか。
  164. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 総額のうちのどの部分について細かくするかということは、限度がございますけれども、ある程度の部分について区分けをしてお示しすることはできると思います。
  165. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それではよろしくお願いいたします。  次に、TMD構想につきましてお伺いいたします。  平成七年度概算要求の中でTMD構想について調査研究費二千万円が計上されておりますけれども、この調査研究というのはどういう内容の調査研究を行われるのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  166. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 今日の国際社会におきましては、残念ながら大量破壊兵器とその運搬手段となり得る弾道ミサイルの拡散が進んでおります。また、現実に我が国周辺には弾道ミサイルを保有する国々も存在しているところであります。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕  したがいまして、我が国はこれらを考えた場合に、弾道ミサイルに対処することを想定したシステムを保有しておらない。そういう中におきましては、弾道ミサイル防衛の問題は専守防衛という観点からも今後の我が国の防衛政策を考えていく上での大きな課題であると認識いたしておるわけであります。このため、弾道ミサイル攻撃への対処のあり方について検討するために必要な技術資料を得ることを目的として、平成七年度概算要求に調査研究費を計上したところであります。具体的には弾道ミサイル対処システムの機能等について評価を行うことを考えております。
  167. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 また、このTMD導入の有効性、必要性につきましても種々議論がございます。ある方によれば、TMDを持てば仮にミサイルが飛んできても撃ち落とせる、THAADミサイルにAWACSを組み合わせればさらに防衛能力が高まると、こういうふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。またある方は、TMDというのは二十一世紀に入って完成するものであるから、ノドン一号ミサイルとかあるいは核兵器開発に間に合わないし、またそれで抑止もできないと、こういうお話をされる方もいらっしゃいます。この有効性、また日本にとっての必要性について防衛庁はどのように考えておられるのか。  またもう一点、TMDシステムの採用につきましては憲法が禁じる集団的自衛権に抵触するおそれがあるという指摘をされる方もおられますが、これについてもどのようにお考えになっておられるのかをお答えいただきたいと思います。
  168. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) TMDのシステムは、御指摘のとおり実際に役に立つというようなところまでいくためには相当時間がかかると、こういうふうに認識をいたしております。ただ、現実に弾道ミサイルというものが存在をいたしておる以上、日本の平和と安全を守るという観点からは、やはり可能性としてその道を防ぐ道を考えるということは、防衛上、防衛の責任者としましても当然これは考えに入れておかなきゃいかぬじゃないかと、こういうような考えに立つわけでございます。  そういう観点から、いろんなシステムがあると、こう思うわけでございますけれども、そういうシステムをやはり調査研究する、こういう努力をまずもっていたしてまいりたい、このように考えるわけであります。よろしいですか。
  169. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 もう一点。
  170. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 集団的自衛権云々ということでございますが、これらもシステムの立場、それからどのような形になるのかというような形態等も調査しまして、やはりこれは国民の皆さんにも明らかにしなきゃいかぬと思いますが、今後のことでございますので、当然これも視野に入れましてやっていかなければならぬ、こう思います。
  171. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) ちょっとだけ補足させてください。  今、大臣からお答えしたように、そのシステムについては調査費をいただきまして、これから研究をしていくということではございますけれども、もともとこのTMDの機能そのものは、我が国に対して攻撃される場合の弾道弾に対処するという性格のものでございまして、我が国が自国防衛のために弾道ミサイル対処を行うというものである限り、集団的自衛権との関係で問題を生じるものではないというふうに私どもは今判断しておるところでございます。
  172. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは次に、ルワンダへの自衛隊の派遣、そしてPKOのあり方について何点かお伺いいたします。  政府は、ルワンダへ派遣する予定のPKO隊員の武器携帯、機関銃の携帯も認める、こういう方針を確認したというふうに伝えられております。武器の使用について、PKO隊員自身の身の安全を守るために使用するのは当然だというふうに思いますが、例えば隊員のそばにいる他国のPKO隊員が急迫不正な侵害に遭う、襲撃に遭っているのを助けるための武器使用は認められるのか、同様にそれが他国の隊員ではなくて仮に民間人だったらどうなのか、こうした武器使用の基準を明確にすべきであるというふうに考えますが、どうでしょうか。  現場のPKO隊員の方々はこの基準が明確でないために大変苦労されたという話を伺っておりますが、この基準をつくる予定がおありかどうか伺います。
  173. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) まず、お尋ねの最初の点でございますが、武器使用についての対象となる要員、人間、人についてのお尋ねだと思います。  まず現在、この国際平和協力業務等に従事する自衛官の武器使用については、先生御指摘のとおり、国際平和協力法第二十四条第三項によって、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合に武器を使用することができるということになっておるわけでございます。  これは国際平和協力業務に従事する自衛官の法令行為ないし業務上の正当行為としての武器の使用について規定しているものでございまして、その場合の防護の対象としているのは我が国の要員、自己または自己とともにある我が国の要員ということでございます。  他方、この法律が、日本人であると外国人であるとを問わず、また軍隊の構成員であるとボランティアあるいは現地の住民であるとを問わず、他人の生命を守るために武器を使用したことが正当防衛または緊急避難に該当する場合に、違法性が阻却されることまで否定したものでないということは当然でございまして、そういう意味ではこのPKO法とは別の概念としてそのようなことが、違法性が阻却される場合もあるということは言えようかと思います。  それから第二点のお尋ねの、要するにカンボジア等において現場にいた隊員が非常に苦労したではないかというような点についてでございますが、この点につきましては要するに、隊員が身の危険を感じて自己の判断において武器を使用するということになるために相当精神的負担を感じたということは、私ども報告を受けております。  しかしながら、これは自衛隊法の他の規定によっても、正当防衛、緊急避難に当たるような場合においては、自己の判断において武器を使用するということは許されているわけでございまして、そういう場合の教育ということが行われる機会が少ない。自衛隊の行動としてはどちらかといえば指揮官の命令によってそういう行動を起こす場合が多いわけでございまして、そういう意味では教育が少ないためになれなかったということもありまして、私どもとしては、その法の趣旨、それからそういう教育というものをこれから充実していくということによって、隊員の不安というものを和らげていこうというようなことで現在対応しているところでございます。
  174. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 とかくPKOのあり方の議論につきましては、ただ机上で議論するだけではなくて現場を見る、あるいは現場を見る機会がなければ少なくとも現場で取り組んだ方々あるいはNGOの方々、そうした実際に体験された方々の声を私たちも、特に国会の場で十分に聞いた上で現実に即した議論をすべきであるということを痛感したことが何度かありました。私自身も、一昨年カンボジアでのPKO活動それからNGOの方々の活動を見に行かせていただいて、日本国内での議論とそれから現場での現実と非常にかけ離れているということを実感した覚えがございます。  今回、我が党の衆議院議員四名が八月八日から八月二十日にかけて旧ユーゴそして中東のPKOの現場を見に参りまして、その上での報告を聞かせていただきました。それによりますと、まず明石代表が、PKOというのは戦わない部隊だ、したがって戦うための訓練を受けた部隊がそのまま来てもどうも現場で摩擦を生じてしまう、こうした点から見ても戦わない部隊の構成員としてのPKO要員の訓練、そしてその訓練の施設が必要である、その訓練の施設を日本につくるのが適しているのではないか、こういう御発言があったようですが、ぜひこうした戦わない部隊としてのPKOの訓練センターの建設を日本において行う、こういうことを検討すべきであるというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  175. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) このPKO訓練センターのための自衛隊の施設、これは防衛問題懇談会の報告書の中にも提言をされておるところでございますが、これにつきましては一つの参考として受けとめまして、今後検討してまいりたい、こう考えます。
  176. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。  それでは次に、緊急時の在外邦人救出のための自衛隊法改正案、前国会から持ち越されておりますけれども、こうした緊急時の在外邦人の安全確保というのは政治の重要な責務であるというふうに考えておりまして、早くこの自衛隊法を改正すべきだというふうに考えておりますが、長官のお考えはいかがでしょうか。  またもう一点、邦人救出のための自衛隊機使用につきましてはどのようにお考えか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  177. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 海外におきまして居住しております邦人の方々、これが国際的な危機あるいは紛争に巻き込まれることによって大変な危機的な状況になった場合に、何としてもやはりこれを救出したい、日本人の手によって救出したい、こういう願いが込められておりますのが自衛隊法の一部改正案であるわけでございます。これは継続審議になっておるわけでございますけれども、できるだけ早く、次の国会におきまして御審議の上に成立を、御協力を賜りたい、このように思います。  また、自衛隊機の使用等でございますけれども、これは法案が成立をさせていただければ、あくまでも邦人救出という目的でございますので自衛隊機を使用させていただく、こういうことで私はよろしいのではないか、このように思います。
  178. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 先日、防衛庁の事務次官の方、防衛庁の広報誌の九月号に、有事法制立法化が必要と、こういう御見解を示されたというふうに伝えられております。立法化といっても内容はいろいろあるかと思いますけれども、ここで言われている必要な有事法制立法化というその内容はどのようなものをお考えになっておられるのか、この発言の真意を御説明いただきたいと思います。
  179. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) セキュリタリアン誌というのに事務次官が発言をしているという内容でございますが、有事法制研究の重要性にかんがみ、その研究を進めるとともに、有事法制の立法化につきましてもタブー化することなく、国会等の場において大いに論議されることが望ましいとの趣旨を述べたものであると承知いたしております。  いずれにしても、かかる立法化の問題につきましては、防衛庁としては従来より、一般的には有事法制研究の検討結果に基づき法制が整備されるのが望ましいと考えますが、高度の政治判断に係るものでありまして、国会における御審議、国民世論の動向等を踏まえて慎重に検討すべきものと考えておりまして、従来の考えに変わりはございません。
  180. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次にNLPの施設設置問題について、これは長年の懸案でございまして、我が党も何回も陳情をさせていただいておりますけれども、NLP施設移転先として従来防衛庁は三宅島が適地と、こういうことで防衛白書でも示されてこられました。  しかし、私もこの三宅島に行ってまいりましたが、島そのものが活火山でもございますし、また国立公園の中にあって大変貴重な動植物がたくさんいるところでもあります。また、三宅島の約八割の住民の方が反対、こういう状況の中でとても適地とは言えないのではないかという印象を受けました。この三宅島は適地である、こういう防衛白書の記載をぜひ変えていただけないだろうか、こういうことでずっと申し入れをさせていただきましたが、これがさまざまな事情があってすぐには不可能だということであれば、少なくとも三宅島以外の地についても検討、調査するという内容に変えていただけないのか、こう思ってまいりました。  これはなぜかといいますと、三宅島の空港のジェット化できない原因がこの記載にある、こういうふうに言われておりまして、島の振興、それから島の方々の生活にとりましても大変な障害になっております。そんなことで前向きに御検討いただけないかどうか、お答えいただきたいと思います。
  181. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 艦載機の離着陸訓練を円滑に実施するということは、かねがね申し上げておりますように、日米安全保障体制を効果的に運用する上で必要不可欠ということがございます。現在これを厚木で主として行っているわけでございますけれども、御承知のように市街化されているというようなことから、米軍にとっても、あるいは周辺住民にとってもいろいろと騒音問題などがあるわけでございます。これを軽減するということで長い期間をかけて検討いたしました結果が、今先生御指摘ございましたように三宅島ということでございます。三宅島しかないというのが当時の結論でございまして、この判断は今も変わっておりません。  三宅島におきましては、今先生のお話もございましたように、依然として住民の反対あるいは反対行動というものがございまして、私どもの説明を十分聞いていただくという状況にもなっていないわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、離着陸訓練、NLPというものの重要性、日米安保体制維持の重要性ということからいきますと、これを何としても地元の理解を得て建設をしてまいりたいというふうに考えております。  防衛白書にこの趣旨を書いておりますことについても、お伺いしておりますけれども、これを変更するということは考えていないところであります。
  182. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それにつきましてはまた別途お話しさせていただきたいと思います。  次に、通産省にお伺いいたします。  石油製品の価格の是正についてでございますが、石油製品の価格につきましては大きく三つの問題を抱えているのではないかというふうに考えております。その一つは、内外価格差の問題。そして二つ目は、石油製品間の大変格差のある価格体系。それから三つ目は、消費者にとりましては生活に直結しております殊に灯油の値上げ、これは大変影響が大きいもので承服しがたいわけでございますけれども、また一方で石油各社にとっては価格体系を見直さないと経営が成り立たない、こういう大変深刻な問題も抱えております。  九六年三月で石油輸入を抑えてまいりました特定石油製品輸入暫定措置法いわゆる特石法が期限切れになりますが、この廃止を控えまして石油製品価格体系を国際価格と整合させる、こういう大きな課題に直面しております。日本の石油製品、殊にガソリンはアメリカに比べて約四倍高いと言われております。その理由はいろいろあるわけでございますけれども、まず税金が高い。あるいはコストが高い。例えば原油代も違う。あるいは製油所、備蓄所、ガソリンスタンドの土地代が高い。あるいは輸送費が高くつく。人件費が高くつく。こうした中で、殊にガソリンが際立って高い、こういう体系になっております。  かつては、確かにガソリン、車というのはぜいたく品だったかもしれませんけれども、現在は必需品になっております。今の価格体系ができ上がってしまったのは第一次オイルショックのときの緊急事態対応しての行政指導と、こういうふうに言われておりますけれども、今規制緩和でひとり高かったガソリンが安くなる、こういう傾向が見られまして、消費者にとっては大変ありがたいことでございます。  しかし、また他方で、石油製品というのは連産品だからガソリンを下げるためには他の石油製品を上げざるを得ない、こういうことで今灯油に焦点が当てられて、灯油の値上げというのが問題になっている、こういうふうに伺っております。寒冷地の消費者にとりましては大変重大な影響が出る問題でございまして、この灯油値上げにつきまして新聞報道等が出ましたけれども、先ほどちょっと触れさせていただきましたこうした石油製品、三つの問題を抱えている。この調整の中で石油価格体系ゆがみの是正問題について通産省はどう考えておられるのか。殊に通産省は業界の健全な経営を図ることも、また消費者の利益を守ることも、いずれも通産省の責務でございますので、そうしたお立場からお答えいただきたいと思います。
  183. 川田洋輝

    説明員(川田洋輝君) お答え申し上げます。  ただいま先生石油の問題についていろんな角度からその認識を述べられましたが、私どももそのほとんどにつきましては全く同じような問題意識を持って取り組んでおるところでございます。  石油につきましては、どうしてもなくてはならないものでございますので、一方では安定供給というのがどうしても必要でございます。またその一方で、できるだけ低廉な価格での供給ということが必要でございます。その両方のバランスをとって進めていくことが必要ではなかろうかということを考えておりまして、現在の石油産業をめぐるいろんな情勢につきまして、関係審議会でも御議論をいただきましてその基本的な方向を出していただきましたので、これから具体策を、先ほど先生お触れになりました特定石油製品輸入暫定措置法の扱いなどにつきまして具体的な論議を進めておるところでございます。  その中で価格の問題でございますけれども、これは基本はどうしても市場の中で決定されるべきものということで、緊急な場合を除きましては市場メカニズムによって決定をされていくということが基本的に必要なことではなかろうかというように思っております。特に、大きな規制緩和の流れなどもありますと、そういう問題の重要性はこれからますます強くなっていくだろうというように思っております。お触れになりました灯油などにつきまして、特に北国の方々にとって大変大切な品物である、欠かすことのできないものだということはございますが、価格につきましては先ほど申し上げました市場メカニズムで決定していくということで進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  184. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。
  185. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 まず、防衛庁にお尋ねいたしますが、物品役務融通協定、ACSAですね、米国からこれを八八年に提起され六年になるわけですけれども、米側と防衛庁などで検討が行われてきていますが、その検討状況と内容について御報告ください。
  186. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 日米安保体制を円滑に機能させる上で、自衛隊と米軍が平素から相互支援の体制を確立しておくということは極めて重要なことと考えております。  物品役務融通協定、ACSAにつきましては、昭和六十三年の第十八回日米安保事務レベル協議における日米間の話し合いを受け、現在この仕組みの導入に係る法的側面等について検討をしているところであります。
  187. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 アメリカ側の提起された中身として、これはアメリカの国内法でNATO相互支援法があるわけですが、これに基づいて物品役務を相互に貸し借りできるという形でその仕組みについて検討しているということですね。
  188. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 米国におきましてはNATO相互支援法によってそのような行為ができるということの根拠規定となっておりますが、先生の御指摘のように、先ほど大臣から御発言がありましたように、十八回の日米事務レベル協議で米側から提起があり、それについて私どもとして現在検討しているものでございます。そのとおりでございます。
  189. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこでお尋ねいたしますけれども、この物品と役務にはどういうものが含まれるんでしょうか。
  190. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) これは同法によりますと非常にいろいろのものがございます。例えば、物品、補給品の定義でございますが、食糧、宿舎、輸送、燃料、油脂、潤滑油、衣服、通信役務、医療役務、弾薬、基地運用支援、貯蔵役務、施設の使用、予備部品、修理、整備等の項目が掲げられております。
  191. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今、予備部品というお話がありましたけれども、これは、軍用機などが故障した、戦闘車両への部品の提供など、いわゆるスペアパーツのことでございますね。
  192. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) その部品につきましてはスペアパーツも入りますが、それに限らず各種の部品ということでございます。
  193. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、この協定を仮に締結することになりますと、それに伴ってどんな国内法の改正が必要になるのか、そしてまたどんな立法措置が予想されるのかについてはいかがでしょうか。
  194. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) ACSAにつきましては、現在その仕組みにつきまして日米の事務当局間で検討しておる段階でございまして、相互融通の要件でありますとか範囲等についてまだ具体的に固まったものがあるわけではございませんので、現在御質問の点について、どのような法令をどのように修正する、あるいは改正するということかということについてまだ申し上げるのは困難な状況でございます。
  195. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今勉強中、検討中ということですけれども、要するにどういう仕組みが必要なのかということですから、従来の法の仕組みの中ではこれは可能ではないということはもう当然の前提だと思うんです。  今言ったように、物品役務の中にはあらゆるものが、弾薬まで含めて入ってくるわけですから、これを融通するということになると私はさまざまな法改正が予想されると思うんです。例えば物品管理法、会計法令あるいは国有財産法、自衛隊法というものについては改正という形で予想されるわけでしょうか。
  196. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 物品の貸し借りというようなことでございますから、挙げられたようなことについての一部が関係してくる可能性はありますが、先ほどお答えしたように、現時点においては具体的にどの法律のどれというようなところについてお答えするのは困難であるということでございます。
  197. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 例えば現在の物品管理法についても、また自衛隊法についてもかなり条件が厳しいわけですね。ですから、自衛隊法で言うと、航空機への燃料貸し付けというのは、自衛隊の飛行場に着陸するときで、ほかから入手の道がない、そして自衛隊に支障がない場合ということで、これは非常に要件が限定されている。物品管理法等々も含めてそういうことがあるので、今それを含めて検討中ということでしたが、新しい協定を考える場合に、これ以外に、従来ある法律の改正のほかに特例となる新たな法律をつくるということもこれはあり得るわけでしょうか。
  198. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 先ほどからお答えしているように、今その枠組みについて検討しておりますから、それに基づいてどのような法律が必要か、あるいは現行法のどのような部分を改正する必要があるかということについて研究するということでございますので、先ほどからお答えしているわけですが、現時点で新法を含めてそういうことについてはちょっとお答えしかねるということでございます。
  199. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 お答えしかねるというよりは、先ほどから勉強、検討中ということですから、これははっきり否定はしていないということになるわけで、これは対象になっているということははっきりしているんです。  次に、協定について米側からはどういう提起があったかということなんですけれども、これは共同訓練のときというふうに限定をしているんでしょうか。
  200. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 第十八回のSSCにおきまして米側から提起がございました際には、共同訓練等の際の物品役務の融通の仕組みが有用ではないかという発言があって、これに対し日本側から、その必要性も含め白紙的に検討していきたい旨発言した、米側もこれを了承したという経緯から見まして、今回の検討というものは、共同訓練の際の部隊間における物品役務の相互融通の仕組みが必要か否か等を検討することを目的とするものであるということでございます。
  201. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 共同訓練のときに融通し合うのが有用だというアメリカ側の提起はありますが、これは検討としては共同訓練のときに限定をするということで検討されているんですか。
  202. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 共同訓練を中心として、それについての有用性ということで、どのようなことが考えられるかということで検討しているわけでございます。
  203. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 共同訓練を中心としてということで、要するにこれは制限をつけずに検討をしているということになるわけですね。
  204. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) この仕組み自体は有事の際の適用についての排除をしておる制度ではございません。  しかし、アメリカ側が十八回SSCにおいて提起したものは、共同訓練等の際の有用性というものに言及して、研究をしようということでございまして、私どももそれを中心として研究をしておるということでございます。
  205. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今、大変重大なお話があったんですけれども、仕組みについての検討については有事を排除していないということですから、平時も有事も含めてこれは検討をしているということなわけですね。これは朝鮮有事とか湾岸戦争などで有事で行動する米軍に対しての燃料補給など、そういう支援ということもそうすると当然含まれるということになるわけですね。
  206. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 先ほどもお答えしましたように、この制度自体は有事の適用というものを排除しておらないということでございますが、十八回の日米事務レベル協議で提起されましたのは、共同訓練についてこの制度が有益であるということで相互に研究をしようということになったわけでございまして、したがって、そういうものを中心にして今研究をしておるというふうにお答えしているわけでございます。
  207. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 共同訓練を中心にだけれども、有事についても排除はしないということで仕組みは検討されているということは何度もおっしゃったわけで、そこはもうはっきり今答弁もされているわけなんですね。ですから、これはNATOについても有事、平時というのは当然限らないでやられているわけですけれども、私は今お話しされたのは非常に重大な答弁だと思うんです。  これまで弾薬とかスペアパーツも含めて検討されている、それから共同訓練を中心にしているけれども有事を排除しない、つまり有事も平時も含まれるということなわけですから、そうなると、これは単に平時の訓練だけではなくて、朝鮮有事とか極東とか中東、こういう有事のときにも発動されるということは否定できないわけですよね。そうすると、安保条約の単なる拡大強化というよりは、私はもはやこれは質的に転換をした、性格が変わったものだというふうに言わざるを得ないと思うんです。  大臣防衛庁長官にお尋ねいたしますが、八月十二日の村山総理に提出された防衛問題懇談会の答申は、午前中大臣は示唆に富んだ意見だということで積極的に御評価もされているわけですけれども、この内容は私は極めて重大な内容だというふうに思うんです。この中で、後方支援における相互協力体制の整備としてACSAを早急に締結すべきというふうになっているわけですね。村山総理は安保堅持というふうに言われましたけれども、これは安保堅持というどころか、今ずっとお話を伺った中身では、もう質的に拡大をしているという問題だと言わざるを得ないんで、私はこれは結局、日本は平時でも米軍が有事で行動をするときに支援をするということでは米軍への兵たん協定だというふうに言わ、ざるを得ないと思うんで、これは憲法上の制約を踏み越えるものだということで私は許されないと思うんです。  これは私は締結すべきではないというふうに思うんですけれども大臣いかがでしょうか。時間がないので、大臣お答えください。
  208. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) ちょっと先生のお話を聞いていますと全然私の答えていることと違うことを言われているようですが、この制度の仕組みは有事の適用を排除していないということを私申し上げて、今検討しているものは、これはでき上がってみればわかるわけでございまして、でき上がったときに有事のことが入っておるか入っていないかということはそのときにはっきりわかるわけでございます。  それから、先ほど弾薬についても申しましたが、私はその制度の上で対象となるものは何かというお尋ねに対して、先ほど食糧から予備部品までいろいろ挙げたわけでございますけれども、何を対象とするかというのは今研究しているわけでございまして、研究の結果でき上がったものを見れば何が対象になっているかということはわかるわけでございまして、そのでき上がる前に何が対象であるとか有事を適用しているとかというようなことを今言われても、これはでき上がったものを見て御判断をいただきたいと思います。  このACSAについての懇談会の件については大臣からお答えいただきたいと思います。
  209. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 懇談会の報告につきましては、いろいろな角度からの提言がなされておりまして、これはそれぞれ示唆に富んだものであると、このように申し上げました。したがいまして、今後日本の防衛というものを考えていく場合におきまして参考として検討していく、こういう意味でございます。
  210. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 このACSAについては、私は憲法上の問題があるので締結すべきではないというふうに言ったわけですけれども大臣この点いかがですか。
  211. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 日米安保条約が存在をしておりまして、これを円滑に機能させる上で重要な協定であると、このように認識しておりますので、委員認識とは異なります。
  212. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 先ほどお答えもいただきましたけれども、何を対象としているのかということについて、有事も排除せず、今共同訓練を中心にしてはいるけれども仕組みとして検討されているわけで、これはすべてそういうものを対象にして今検討されているという点で私は非常に重大だということを指摘もしたわけで、それが結局私は憲法上の制約を踏み越えるものになるということも指摘したわけです。したがって、こういう協定というのは締結すべきではないということを重ねて指摘をして、時間が迫っておりますので、次に通産省にお尋ねいたします。  大臣、マンションが今全国には二百六十万戸を超えるということで、年々急増をしているという傾向にあるわけですけれども、電力供給規程の中では、技術上その他やむを得ない場合に変電室を入居者から提供してもらうことになっているわけです。私も札幌のマンションを中心にいろいろ調査をしたんですけれども、五十戸程度のマンションでも約十畳ぐらいの大きな変電室を無償で提供しているわけです。固定資産税とか修繕費もすべてマンションの居住者が負担をするということです。  しかし、供給規程というのはあくまで技術上やむを得ない場合に限られているわけです。わざわざ変電室をつくらなくても、パットマウント変圧器とか小型化などでマンションの外に設置するということは技術上可能になっているというふうに聞いているわけですが、電気事業者に申し込む際にはそれは協議事項となっているわけです。需要家が外に設置を希望すれば、技術上可能であれば外に設置ということになるということで、これは電気事業者の方にも積極的にそういう形で技術上可能な場合にどんどん推進をさせてほしいということと、実際上マンションというのはほとんどが変電室を設けているんです。技術上可能とか可能じゃないとかに関係なく設けているわけです。結局、入居者に負担がくるわけですけれども、これは建設省ともよく相談をしていただいて、マンションの入居者の負担が軽減されるようにぜひしていただきたいということが第一点。  それからもう一つは、家電製品の件なんですけれども、今コンピューター化が目覚ましい中で、視覚障害者にとってはワンタッチ操作の凹凸というのがさわってわからなくなったと。特に視覚障害者の主婦にとっては、もう毎日毎日使う家電製品がやっぱり使いづらい、点字表示を進めていただきたいという希望が物すごく強く出されている。しかしもう一方は、点字表示がせっかくされていても、そういう製品があることも知らないということがあるので、これはひとつ視覚障害者の方に周知徹底していただきたいわけで、以前からお願いしておりますが、いついかなる方法でされるのかをお答えいただきたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点のマンションに対する電気供給のお話でありますけれども、これは私は一義的にはそのマンション建設者の判断の問題設計上の問題であろうと思います。ただ、従来から美観とか保安の観点から屋内に変圧器を設置することを希望する建設者が多いというふうに聞いておりました。  今、委員も御承知でお尋ねになりましたが、建設者が屋外に変圧器を設置することを希望し、敷地内に設置場所を確保できる場合には、既に電力会社はこれに対応する仕組みになっておるわけでありますし、また、屋内に変電器室を設ける場合におきましても、小型化等が進み、需要家の負担というものが軽減されていると聞いております。  いずれにしても、これはマンションの建設時点に、建設者が電力会社と十分相談をしていただくべき種類の話ではなかろうかと思います。しかし、せっかくの御指摘でありますので、建設大臣にはこのお話があったことはお伝えをいたしたいと思います。  それから、今御指摘になりました家電製品の場合でありますが、既に、視覚障害を持たれる方々に使いやすい家電製品の例として、スイッチに点字表示を付している洗濯機でありますとか、あるいはリモコンに点字表示を付したエアコンでありますとか、あるいは電磁調理器の操作ごとに音のトーンの変化で設定状態を知らせるようなもの、こうしたものができております。  そして、業界団体の方では、こうした製品の一覧表、あるいはそのメーカー各社の相談窓口のリストを作成しまして、障害者団体に対してお送りをし、周知徹底に努力をしておると聞いております。具体的には、全日本視力障害者協議会、あるいは大阪点字の市民権を広げる会、また、今年から新たに送付を予定しております団体は、社会福祉法人日本点字図書館、社会福祉法人日本盲人会連合、こうしたものを予定しておりまして、こうした業界の努力を一層推進させるように努めていきたいと思います。
  214. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 在沖米軍の実弾砲撃演習の移動問題についてお尋ねいたしたいと思います。  ヘンリー・スタックポール元太平洋艦隊付海兵隊司令官の発言によりますと、九三年三月、同年の七月、そして九四年の六月に次のように発言されております。東富士への移設を検討しているが、それを実現するかは、日本政府が装備の携帯品の移動費を持つかどうか、それ次第だというふうに言っております。  さらに、在沖米四軍調整官のフルフォード少将は、八月に沖縄に視察に来られた衆議院沖特委のメンバーに対して、九月一日までに移動演習に関する人員、規模や移動コストに関する資料がまとまり、九月上旬にも在日米軍司令部に報告する、その後、正式なルートで日本政府に提示する予定であるというふうなことを沖特委のメンバーの皆さん方に言われたという報道がなされております。  これに対して防衛施設庁の染葉次長は、米側から移設する話は伝わっていない、提案があっても地位協定の問題等があり直ちにそういうふうになるとは考えられない、外務省では承知しているようだ、施設庁としては現時点では検討していない、仮に移設するとなった場合の対応については、一般論だが、受け入れ先の問題もあり、当然ながら慎重に検討せざるを得ない、こういうようなコメントをされております。  そこで、防衛庁長官にお尋ねしたいんですけれども、一つ目に、東富士演習場で百五十五ミリりゅう弾砲の発射訓練は自衛隊も含めて実施されてきたのかどうか。二番目に、実施されていたら演習回数、年間平均と発射弾数、これは復帰後の弾数の問題についてもぜひ入れていただきたい。三番目に、沖縄のキャンプ・ハンセン演習場と静岡県東富士演習場の面積比較。四番目に、両演習場の砲座と民間地域との最短距離。五番目に、砲座と着弾地の距離、それを半径とする円周内の人口比較。六、地位協定上の問題とは何か。七、地位協定の適用範囲の拡大経緯。八番目に、地位協定の新たな見直しについて。ひとつこの八点について長官の御報告をお願いしたいと思います。
  215. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 長官にということでございましたので私が答弁をさせていただきますけれども、かなり詳細にわたる事実関係でございますので、これは施設部長をして答弁をさせていただきたい、このようにお許しを賜りたいと思います。
  216. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) お答えいたします。  先生からただいま数点の御質問がございましたので、逐次申し上げたいと思います。  まず第一点の、東富士演習場において米軍は従来から百五十五ミリのりゅう弾砲による訓練をやっているかという件でございますが、まずこれにつきましては、東富士演習場においては米軍は地位協定二条四項(b)に基づきまして従来から一般訓練及び実射の訓練を実施しております。この中で百五十五ミリのりゅう弾砲を使いました実射訓練も実施しているところでございます。  また、この実射訓練の状況でございますけれども、当演習場を管理しております陸上自衛隊の富士学校の資料によれば、過去五カ年間の平均でお許しいただきたいと思うんですけれども、訓練回数の平均実績は年間で約三十日でございます。また、その発射弾数は年間で約三千五百発程度でございます。  あわせまして陸上自衛隊の使用状況について申し述べたいと思います。  同じく陸上自衛隊におきましても、同演習場におきまして百五十五ミリのりゅう弾砲による実弾射撃訓練は実施しております。同じく平成元年から五年度までの年間の平均の使用日数は約四十日でございます。また、年間の平均発射弾数は約八千三百発でございます。  次に、東富士演習場及びキャンプ・ハンセン内に所在します百五十五ミリりゅう弾砲の砲座から民間との距離までということでございますが、これについてお答えいたします。  まず、東富士演習場でございますけれども、東富士演習場の砲座、いわゆる射撃位置でございますけれども、これの最も民間地と近いところは、この場所は別荘地になっておりますけれども、約三百メートルほどの差がございます。いわゆる部落としての密集地帯といたしましては裾野市の須山地区がこれに当たろうかと思いますが、ここまでの距離は約一千メートルでございます。  一方、キャンプ・ハンセンの砲座との関係につきまして申し述べます。  まず、キャンプ・ハンセンと最も近い集落といたしましては恩納村及び金武町の喜瀬武原の地区が最も近いところでございまして、これが砲座から約四百から五百メーター程度というふうになっております。また市街地等といたしましては、金武の市街地が大体二千メートルほどというところでございます。  次に、先生の方から、砲座から着弾地までの距離と、またそれの円周内での人口等についての御質問がございましたので、これについてお答えいたします。  まず、東富士演習場の砲座でございますけれども、それから着弾地までの距離は最大射程これが約四千メートルでございまして、着弾地に最も近い集落といたしましては御殿場市の印野地区がこれに当たります。着弾地から約四千メーターでございまして、人口は約七百名程度でございます。  一方、キャンプ・ハンセンでございますけれども、キャンプ・ハンセンの砲座から着弾地までの距離は約五千メートルでございます。着弾地にまた最も近い集落は金武町の伊芸地区に当たります。この地区で着弾地からの距離が約二千メーター、人口は約八百人でございます。  次に、新聞報道等でなされました東富士演習場の移動に関します米軍の検討状況等についての当庁次長の会見につきまして、地位協定上のいろいろ問題があるという発言をした趣旨等について申し述べたいと思います。  まず、先生ただいまいろいろ御指摘ございましたように、キャンプ・ハンセンにおきます実弾射撃訓練問題について両司令官がいろいろな発言をなさっていることは我々も報道で承知しております。しかしながら、本件につきましては米軍の内部において検討中の段階というふうに聞いております。我々といたしましては、まだ何ら米側より具体的な提案や説明を受けているわけではございません。  したがいまして、そのようなことを背景にし、当庁次長の発言は地位協定の二十四条一項で米軍を維持することに伴う経費は米軍が負担することになっているということを念頭に置いて地位協定上のいろいろ問題が考えられるのではないかというふうな発言をしたものでございます。  また、地位協定等の見直しにつきましては、外務省の方からお答えいただくのが適切かと思いますけれども、現在のところ米側より具体的な提案や説明を特に受けているわけではございませんので、これにつきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  217. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これも多岐にわたっているんですけれども、私は、過去五年間じゃなくして復帰後の回数と実弾数、発射弾数ですね、それをお願いしたいわけです。  今非常に詳しいことを説明されましたけれども、ちょっと口頭ではなかなか受けとめにくいものですから、資料の提出を委員長の方でひとつ取り計らっていただきまして、資料の提出をお願いしたいんですけれども、後で。
  218. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 今答えた分ですか。
  219. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 はい。
  220. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) それは提示できますね。──わかりました。そのようにさせます。
  221. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 じゃ、お願いします。  東富士演習場の実態が少しずつわかってきたわけでありますけれども、先ほど御紹介したように、この問題については日米の責任者でかなり温度差があるというふうに私は思っております。  そこで、アメリカ側から基地の整理、統廃合についてかなり具体的な発言がされておりますけれども、それに対して我が国では、狭い国土の中で基地に隣接し、日常生活でさえ犠牲になっている地域、とりわけ我が沖縄県の県道を封鎖して実弾砲撃演習をやっている。こういったふうな非常に狭い地域で住民と米軍との対立があるというふうなことからいたしますと、やはりこの対応策というものは政府としては真剣に検討してしかるべきではないかというふうに思っているわけでありますけれども、米軍側の発言と、また外務省はどう受けとめているか。よくわかりませんというふうなことでは、ちょっとここでは納得できかねますので、もう少しその辺の整合性のある御答弁をお願いしたいと思います。
  222. 小澤毅

    説明員(小澤毅君) 本件の一〇四号越えの射撃につきましては、従来から沖縄県民の方または県当局等から、那覇港湾の移設の問題、さらには読谷のパラシュート訓練の問題、それとあわせまして大きな問題として三つほどの問題点が我々にも提示されております。その辺は我々もそれを十分に真摯に受けとめまして検討をしていきたいというふうに思っております。
  223. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 質問は、資料をいただきましてこれからこの問題については継続してやりたいと思っていますので、よろしくお願いします。  それから、米軍機の墜落事故について。  沖縄県内では、最近、米軍機の墜落が相次いで三件発生しております。また、復帰後、沖縄県内で発生した米軍機事故は百十三件、そのうち三十三件が墜落事故であります。しかし、米軍側から正式に沖縄県に原因報告があったのはたった二件であります。  そこでお尋ねいたしますが、防衛庁長官はこの百十三件の事故原因についての米軍からの報告を受けておりますかどうか、受けておりますのであれば公表する用意があるのかどうか、見解を承りたいと思います。  また、この種の事故が発生するたびに問題になるのが米軍の訓練空域、そして水域の返還問題であります。八月十七日に沖縄県粟国島付近で発生したハリアー機墜落現場も好漁場に近接しており、訓練空域の縮小返還が要求されております。この件に関して長官の今後の対応策について承りたいと思います。
  224. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 百十三件の事故に関するものと水域の問題があったと思います。まず、事故の関係でありますけれども、防衛施設庁が事故関係で所掌事務としておりますのは、事故にかかわる損害賠償の事務であります。この業務を処理するという観点からは、被害状況がどうかという被害状況の把握と、この被害に係る米軍の責任はどうかという問題、これを確認することで十分行えるものであります。したがって、事故原因の通知を受けるとか、そういうことは必要とするものではないと考えております。  そういうことではありますが、従来から、不幸にして事故、墜落事故などがございました場合には米軍に対して、再発防止あるいは安全管理を徹底するように、あるいは事故原因についても徹底的に究明し、安全管理をさらに徹底してほしいというようなことは申し入れておるところであります。  沖縄近海に海上訓練場あるいは訓練空域というものが十四カ所ほど存在しております。これを使用いたしまして日夜、練度の向上に努めておるわけでありますが、これは日米安全保障体制の目的を達成するため必要不可欠であるということであります。  このようなものの整理統合についてということでありますが、その重要性につきましては私どもかねがねお聞かせいただいているところでありますけれども、日米安全保障体制に基づいて施設、区域を、あるいは訓練空域、訓練水域を提供するという義務を日本は負っているわけであります。これとの兼ね合いにおいて解決しなければならない問題であると理解しております。  施設、区域あるいはこれらの空域も含めてでありますが、移設をするとかいうことについて検討はいたしておりますけれども、日米安保反対でありますとか基地撤去といった形で入口のところでの反対が非常に強いということから、なかなか話し合いが進まないという実情がございます。あるところから移そうとする、移そうとするさきに検討を始めますと、この移すところの関係の市町村などから強い反対が出てくるというようなことから、整理統合の重要性というものは認識しておりますが、現実にはなかなか進まないという状況があることを御理解いただきたいと思います。
  225. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の答弁は全く納得がいかないですね。百十三件もいわゆる墜落あるいはそういった事故を起こしているのに、その原因というものは全く聞く必要はないと。ただ再発防止と安全管理をやりなさいと言うだけでは、事故の原因がわからなければ、再発防止だって安全管理だって皆さんは言いようがないんじゃないですか。おかしいんじゃないか、それは。  したがって、こういう問題についてはもっと厳密に、百十三件もあるいは三十三件も墜落しているわけですから、やはり徹底して、安全管理とかそういったものを申し入れるについてちゃんと原因究明というものは報告させるべきではないですか。それがお互いの双方のいわゆる条約のあり方じゃないですか。一方的じゃないか、それは。  したがって、今の例えばある移設をするために別の方で反対すると。それは沖縄の狭い地域では当然のことですから、むしろ今基地の撤去を要求しているわけですから、そういう線で外務省としても防衛施設庁とも努力をすべきであって、いかにも県民の基地問題について非常なアレルギーがあるということだけを強調したんでは県民は納得しないわけですよ。そういうふうな態度では全く日米関係の本当の意味でのパートナーというのはあり得ない。従属しているような感じしか私は受け取れない。  そういった意味では、もっと時間があれば追及もしたいんですけれども、そういった認識ではいけないというふうに私は強調したいわけですよ。その辺についてもう一遍お答え願いたいと思います。
  226. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 防衛施設庁も行政機関でございまして、法令に基づいて事務処理を行っているということを御理解いただきたいと思います。  日米安全保障条約からおりてくるいろいろの事務を防衛施設庁は所掌しておりますけれども、米軍の運用にかかわる部分について発言をする法的根拠というものは持ち合わせていないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、補償をするについて必要な人的でありますとかそういう措置をいただいているというにすぎないことを御理解賜りたいと思います。
  227. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 委員長、これはちょっとリードしてくださいね。  これは県議会でも墜落事故が起きるたびごとに皆さん方に陳情、要請をして、何とか解決してほしいということはもう何十回となく言われているわけですよ。そのたびに原因がわからないと。今のような感じでは全く沖縄県民は納得いきませんから、そういったふうなことを是正する、何とかして原因究明をして県民に報告するというようなことをしてもらわないと、このようなもう本当に情けないような答弁では納得いきませんので、委員長、よろしくお願いします。
  228. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) では、特別にもう一度答弁させます。どうぞ。
  229. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 過去におきまして事故原因の通知というのを沖縄県に対して二件、あるいは米軍から五件ほど事故の原因について公表されるというようなことがございました。これは米軍が自発的に行ったものと承知しております。  先ほど申し上げましたのは、こういうことをやりなさいということをする権限は防衛施設庁には与えられてないということを御理解いただきたいと思います。  米軍の方に先生のような御意見があるということは適切にお伝えさせていただきたいと思います。
  230. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  231. 翫正敏

    ○翫正敏君 玉沢防衛庁長官に市ケ谷台一号館の保存の件につきまして質問いたします。  まず、現在までの状況を少し御理解いただくために、第百二十八回国会で参議院において請願が採択をされましたその内容をちょっと読み上げておきたいと思います。  防衛庁市ケ谷台一号館の保存に関する請願  「市ケ谷台一号館」には、さきの大戦においては、大本営、参謀本部、陸軍省等が置かれ、戦後はその大講堂において「極東国際軍事裁判」が行われた。我が国の歴史が刻み込まれた、この「市ケ谷台一号館」は、重要な建造物として、保存すべきである。 こういう請願が参議院において採択をされております。  また、地元の東京都新宿区議会の意見書も採択をされておりまして、平成五年十二月二日付で区議会議長から内閣総理大臣あてに意見書が提出されております。この内容も参考のために読み上げておきますが、   防衛庁の市ケ谷地区への移転計画に伴って、現在市ケ谷駐屯地内にある「市ケ谷台一号館」が取り壊されようとしています。  昭和十二年に陸軍士官学校の庁舎として建設された「市ケ谷台一号館」はさきの大戦において大本営、参謀本部、陸軍省等がおかれ、戦後はその大講堂において、「極東国際軍事裁判」が行われています。   わが国の歴史が刻み込まれた、この「市ケ谷台一号館」は、重要な建造物として政府の責任において保存すべきであります。 こういう内容でございます。  既に長官になられる以前からこういうことについて御存じであろうと思いますが、今この請願と意見書について読み上げました。これを聞かれてこの建物の保存ということの重要性についてどのように今受けとめられているか、改めて大臣にぜひお考えをお伺いしたいと思います。
  232. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 防衛庁本庁庁舎等移転計画は、防衛庁の中央組織が所在する檜町地区周辺の商業地化が著しく進展し、その所在場所としては適切でなくなってきたため、国土の有効利用の観点からもその市ケ谷地区への移転等を図るものであり、できるだけ早期に本計画を完了したいと考えております。  一号館につきましては、その保存についてぎりぎりの再検討を行った結果、まさにこの象徴的部分である大講堂等の移設、復元を図ることとしており、平成六年度予算にはかかる方針を踏まえ、一号館解体等経費七億円を含む移転計画経費約六百三十一億円が計上されております。  このため防衛庁としましては、移転計画を着実に進展させるとともに、予算の適切な執行に努めるため、本年十月ごろから移設復元のための部材の取り外し等、一号館の解体に着手することとしているものであります。
  233. 翫正敏

    ○翫正敏君 もっと率直に、請願の内容としてこの建物を保存してほしい、すべきである、歴史的な非常に貴重な建造物であるということを請願をしたり、また意見書として地元の区議会がしたりしている、こういうことについてどのように受けとめておられるかということをお聞きしたがったわけで、計画がどういうふうに進んでいるかということについては一応知ってもおりますし、お聞きしたがったわけでは特段にないので、改めて質問いたします。
  234. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) この市ケ谷地区一号館といいますのはまさに歴史的な建物である、こういう認識をいたしておるわけでございます。  しかしながら、建物としましてはかなり老朽化しておるわけでございますし、今リストラの時代でございますが、新しくつくりかえてもっと有効なものとしてやっていく、こういう趣旨で、しかしながら講堂等におきましては大変歴史的な意味もあるわけでございますので、できるだけ御要望に沿うような形で移設、復元をする、こういうことが私は最も適切である、こういう認識を持っております。
  235. 翫正敏

    ○翫正敏君 移設、復元というようなミニチュアをつくるようなことでは歴史をそのまま残すということにならないということを申し上げたいわけなんです。  そのことの前に確かめておきたいんですが、檜町の施設を、国有地を売却してお金をつくって、それで今度の計画というものができているわけですね。計画されているわけです。今回の防衛庁の移転計画のように、中央省庁の移転計画が、もとの国有地を売却してお金をつくって、そのお金で移転していくというような、こういうような例は今回の防衛庁の移転計画の以前にどこかほかの省庁でありましたでしょうか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  236. 江間清二

    説明員(江間清二君) いわゆる特特会計に基づきまして、特定の庁舎の整備を図っていくということにつきましては、防衛庁におきましても檜町庁舎等の移転計画だけではございませんで、ほかにも例はございます。したがって、恐らく……
  237. 翫正敏

    ○翫正敏君 中央省庁のほかのところに例がありますかと聞いているんです。
  238. 江間清二

    説明員(江間清二君) そういうまさに会計制度がございますものですから、恐らく他の省庁におかれても、これは私も確認をしているわけではありませんけれども、制度的にはそういうことができるようになっておるということでございます。
  239. 翫正敏

    ○翫正敏君 あるとおっしゃるんで、そのうち今度出してください、例を。私はないように思うんですけれども、中央省庁がこんなようにして玉突き的に土地を売却して、それで動いてそのお金で建てるというのはないと思いますが、それはいいです。  防衛庁の本庁は、一九六〇年、昭和三十五年に現在の檜町に移転してきているんだと思います。その後三十数年たっていると思いますが、ここが売却地になっているわけですが、市街化が非常に進んでいるから云々という説明が以前ありましたね。進んでいるとは思いますが、ここが立地条件として悪いということで、例えば私どもの地元の小松基地、飛行場の騒音がうるさいというようなことで地元からどこかへ行ってくれという声が盛んにあります。なくしてくれとか移ってくれとか、そういう移転の要望などがありますが、ここの檜町の防衛庁本庁がどこかへ移ってほしいというようなのが具体的に苦情として地元の住民、区民の方々からこの間あったという、そういうことはございますか。
  240. 江間清二

    説明員(江間清二君) 具体的な文書等に基づいてここから移ってくれというような提案といいますか御意見ということについては私記憶はございませんけれども、私も長年防衛庁に勤務をいたしておりまして、その間、地区周辺住民の方々との懇親会等もございますから、そういうようなときにいろいろお話しすると、あの檜町六本木地区のまさに繁華街の中にあるわけでありまして、そういう面から見て防衛庁の中枢機構がそこにあるということは適当ではないんじゃないかというようなお話を聞くことはたびたびございました。
  241. 翫正敏

    ○翫正敏君 割と意外なお答えでありましたけれども、そういう住民の声じゃなくて、むしろ一般の防衛費の中ではなくて特特会計という特別な予算枠の中でこの防衛施設をつくろうというような、そういう計画に基づいて今度の計画が進められ、そういう中でこの貴重な歴史的遺産である市ケ谷台一号館、地下ごう、こういうものが壊されようとしている、そういうような受けとめ方を私はしておりましたので、そういう地元の人からの苦情などがいろいろ出てきたところからもし出発しているんだとするならば、私の認識不足もありますので、後で結構ですから、また事務所の方に来ていただいて具体的に説明してください。  ところで、現在、首都移転計画というものが進められておりまして、国会の移転のための委員会なんかも設置されているわけでありますが、防衛庁の本庁が移転を東京都内で今度するわけですね。檜町から市ケ谷へ動くわけですが、この移転が、この後首都が東京からどこかへ移ると、国会が移ったり人が移ったりということがあった場合には、それにあわせてこういう計画が進められた方がいいのではないかと私は思うんですが、例えば首都が二十一世紀なら二十一世紀初頭というようなときに他の県へ移ったという場合、移るという場合が十分考えられる。もう国会移転計画なんかは委員会をつくってやっているわけですから、十分考えられるんですが、そういうときは防衛庁本庁はどうするんでしょうか。そのまま東京に残るんでしょうか、やはりまたどこかその県の首都のところへ移るという考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。  ちなみに、いろいろ情報などでは、平成八年には新首都候補地が決定されるというふうなこともいろいろ聞いておりますので、そう先の話でもないと、こういうふうに思っておりますから、その点についてのお考えをお聞かせください。
  242. 江間清二

    説明員(江間清二君) ただいまのお尋ねについてお答えをいたします前に、先ほどの御答弁に関しての先生のお話について先に触れさせていただきたいと思いますけれども、地元の方からいろいろそういう話があったのが契機でやったということではございませんで、先ほど先生の御質問でそういうような声があったかということでございましたものですから、そういうことを申し上げたところでございますので、御理解を賜りたいと思います。  ところで、今先生の国会等移転に絡んでのお話でございますけれども、私ども承知しておりますところでは、首都機能の移転につきましては、平成四年の十二月に国会等の移転に関する法律が施行されて、現在その特別委員会において移転の意義あるいは効果、移転の対象の範囲等について調査、審議がなされているというふうに承知をいたしておるところでございます。  仮にそうなったらどうかと、移転になったら防衛庁はどうするのかという点でございますけれども、これはまさにどの段階でどういうふうになるのかということについては、私どもも具体的な見えた計画として今あるわけではございませんものですから、そういうふうになった段階で各省庁等の全体の状況を見ながら当庁としても考えていく性質の問題ではなかろうかというふうにまず思っております。  私どもが今進めております本庁庁舎等の移転計画につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたように、いわゆる檜町地区周辺の商業地化というようなことを踏まえまして中央組織を市ケ谷に移転させる。それにあわせて、東京の一極集中是正というような観点も踏まえまして、首都及びその近郊の防衛施設の再配置ということも進めておるところでございます。既にもう六十三年度から約七年間にわたってこれの進捗が進んでおりまして、現在、主要な建物の七割ぐらいが契約あるいはもう工事中、また完成というような状態にあるわけでありますから、私どもとしては一日も早くこの計画の完成を図りたいということで対応をしているところでございます。
  243. 翫正敏

    ○翫正敏君 取り壊しをするなということで裁判にもなっています。こういうことも長官御存じと思いますが、かなり多くの方々が原告になって裁判になっているんですけれども、こういうものも当然やはり判決がどういうふうに出るかということは考慮される、こういうふうに考えてよろしいですか。裁判なんか無視して進めるのか、そういう意味です。
  244. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 訴訟の内容についてお答えすることは、係属中の案件でありますから差し控えますが、行政事件訴訟法第二十五条第一項によれば、「処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。」とされております。  他方、一号館につきましては、昨年十二月、その保存についてぎりぎりの再検討を行った結果、その象徴的部分である大講堂等の移設、復元を図るべく対処することとしたものであります。これはミニチュアではございません。また、平成六年度予算におきましては、かかる方針を踏まえ、一号館解体経費約七億円を含む約六百三十一億円の移転計画経費が計上されております。  このため、防衛庁としましては、移転計画を着実に進展させるとともに予算の適切な執行に努めるため、現在所在する各自衛隊幹部学校等が本年九月に目黒地区へ移転すること等を踏まえ、十月ごろから移設、復元のための部材の取り外し等、一号館の解体に着手する予定であります。
  245. 翫正敏

    ○翫正敏君 ミニチュアというのは小さいというような意味と理解──そうですね、ちょっとそれは不適切だったかと思いますが、要するにこういうふうに動かしてよく似た建物をつくるというようなことでは歴史的な価値は全くないんだということを言いたいわけであります。  ちょっと言いますが、防衛庁平成六年度予算概算要求におきまして、市ケ谷台のこの史跡、一号館と地下ごう等の取り壊し費を計上し、また一号館の一部の移設、保存を計画しておりまして、そして建物に二十億円ぐらいかけるというようなことを聞いておるんです。もう少し多いのかもしれませんが、金額はともかくとして、そういう移設ということになっています。しかし、市ケ谷台の史跡のようなケースでは、部分移設というようなそういうものは史跡保存の意味というものを全く持たないわけでありまして、やっぱり史跡そのものを実際には破壊して、そしてその一部だけ別のところに、加工して、変形をして、そして色づけをして新たに記念館をつくる、そういうようなことでは史跡保存、歴史ある建物を残すというようなことには全くならないということを思うわけであります。  歴史的、文化的な価値という観点から見た場合には、現在、防衛庁が計画しているようなそういう記念館というものは全く価値のないものだと私は思いますし、こういう施設にお金をつぎ込むということは適切ではないのではないか。やはりどうかして残せないかということを徹底的に検討すべきだと思うんですけれども大臣、その点、再考していただけるというようなことはございませんでしょうか。
  246. 江間清二

    説明員(江間清二君) 大臣が御答弁する前に、昨年の国会での御議論も踏まえての再検討をした結果もございますものですから、私の方から御説明をさせていただきます。  先生よく御案内のとおり、昨年の十一月にこの市ケ谷の一号館に関する御論議がございました。そこで、防衛庁においてもさらにぎりぎりの検討をやってみますという旨をお答えしたところでございまして、その答えを受けまして私ども鋭意検討を進めたわけであります。  それにつきましては、現状のまま全体を残置して計画を進められないかとか、あるいは全体を残置できないにしてもその一部分をそのままの形で残せないかというようなこともまさに専門的、技術的な観点から検討を進めたところでありますが、やはりそれぞれに技術的な可能性あるいはいろんな規制の問題等もございますものですから、いずれにせよあれだけの大きな規模の建物があそこに残ったままでは現在の庁舎の移転計画そのものがとんざせざるを得ないということで、結果的にはまさにその象徴的な部分でございますところの講堂でありますとか、あるいは旧陸軍大臣室でありますとか、あるいは便殿の間でありますとか車寄せといったようなものを同じ市ケ谷地区の中の一部支障にならないところに移設、復元をする、できるだけその部材を使って復元をするということを決定したところでございますので、その趣旨は御理解をいただきたいというふうに思うところでございます。
  247. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 委員のお話でございますと、大講堂を移設しましても歴史的な意味がなくなる、このようなお話でございましたが、移設、復元は完璧を期す、こういうことでございますし、なおかつ、建物全体を残しても歴史的な意味はあるかと思いますけれども、私は本当の意味でのあの建物の魂とも言うべきものは大講堂だと考えるわけです。ですから、大講堂を完璧な意味で復元、移設するということはまさに歴史の重みを後世まで残す趣旨である、こういうように私は考えます。
  248. 翫正敏

    ○翫正敏君 わかりました。  終わります。
  249. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 他に御発言もないようですから、通商産業省防衛庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      ─────・─────