○小林正君 確かに、ナショナルプロジェクトとしてグランドデザインで日本全体を、日本というのは南北に非常に長いし、東西にも広く広がっているわけですから、そういう点を考えれば北海道と沖縄の南北
交流とか、それから日本海側と太平洋側の
交流とか、そしてまた中部山岳
地域というものもあるわけで、日本全体を通してそれぞれの
地域の特性が生かせるような形で、しかも国が大きなプロジェクトとしてそういうものへ向けて、
国民が日本のそうした非常に多様で自然に富んだ風土というものを愛することができるような機会をできるだけ提供していくというのは非常に大事な
課題だというふうに思うんです。
それは、きちんとしたリゾートに対する、あるいは
レジャーそのものに対する理念というものをしっかり持った上でグランドデザインができて、その上で大きなプロジェクトとして展開していくということが基本的にはやはり内需拡大のきっかけにもなっていきますし、それが先ほど来言われております
道路の
整備の問題等とかさまざまな
課題にも関連をしてまいりますから、そういうことをどんどん国として進めていく
課題は私は非常に重要だと思うんです。
それは、今四十一の承認をされているというようなことでは都道府県単位みたいな形で、それぞれの県が我が県でもという形でお互いに先を競うような形で出てきた経過からすると、大きなプロジェクトとしてやっていく
課題と、そしてもう少し小さなテーマとして、これも今ありましたけれ
ども、やっていく
課題というのが同時にあるんだろうと思うんです。だから、都道府県単位でやるというような発想でいいのかどうか、それはリゾート法の運用上の今後の問題としてというような
お話もございましたから、ぜひそういうことを踏まえて承認の段階でどうするか。既に承認したものについてどうこれからやっていくのか。大体
国土の六分の一近い面積が使われないでそのまま残っているというふうな
状況というのは、これは看過できないだろうというふうに思うわけでございます。
一つはそういう大きな
課題と、もう
一つはやはり小さなテーマとして、小ぶりで地に足の着いた大衆型リゾートの
方向ということも
指摘をされております。これが画一的な大型高級リゾートに対して対応していく、今の需給関係で言えば
国民が求めている
課題だろうというふうに思いますから、そうしたことが必要ではないかなというふうに思います。
〔
委員長退席、理事今井澄君着席〕
そこで、各国の例は直接日本に当てはめる必要はないんですけれ
ども、小ぶりで地に着いたという点で
一つ、かつての西ドイツで取り組んできた事例があるわけですけれ
ども、西ドイツにおいては過疎化する山岳農民、農村の維持振興策と結びついた農村リゾート
政策というものを展開してきた。そして、ECは食糧
生産、
国土保全、農村景観維持のために山岳農民に直接的所得給付を行っている。このハンディキャップ、条件不良
地域対策とともに政府として「農村で休暇を」というのを呼びかけ、農村での民宿を
中心としたリゾートを奨励している。
都市の子供たちが家族と一緒に農村に出かけ、農業と農村
生活を知ることは健全な成長のために好ましいとの
国民的理解がある。農家民宿は安い長期滞在を可能とする一方、農家に所得増加をもたらす。これなら農村景観の保全と両立したリゾートになる。「農村で休暇を」
政策は、農家収入の一〇ないし二〇%、多いところでは四〇%にも達する
経済効果を農村にもたらしている。こういう実態でドイツでは行われている。
日本も中
山間地域、山岳
地域もあるわけです。また、非常に美しいリアス式海岸の景観のいい海岸線もあるわけですから、そういうところとの都会の
交流、そういうことのために農村の
活性化と結びついた形でそれが進められれば大変に
効果的ではないかなというふうにも思います。さっき申し上げましたナショナルプロジェクトと言われるようなことを長期的な展望に立ってやったフランスのラングドック、ルシオンの例というものも考えてみますと、相当やはり長期的に腰を据えた取り組みとして、しかもリゾート法の一条にありますように、美しいところに何かをつくるというよりも、むしろ最も地中海沿岸でおくれていた
地域で自然的にも条件の悪いところを手を入れてすばらしいリゾートをつくったという、そしてそれが結果としてカンヌやニースのような高級リゾート
地域とは違った庶民的なリゾートとして今大成功をおさめているという
状況も一方にあるわけです。
ですから、やはりそうした
視点に立って、
地域の
活性化と結びついて、少なくとも東京までが出向いていってその
地域に混乱を引き起こすような形ではないナショナルプロジェクトとしての対応が必要だろうと思うんです。地価
対策としても、これは相当長期的な展望とそれから
対策を講じて国として取り組んでいるわけです。ですから、世界に誇る日本の
国土ですから、そういう
意味でいえば非常に利用価値の高いところがたくさんあるだろうというふうに思います。
それから、
一つ日本の例として御紹介をしておきますと、新潟県の塩沢町の石打丸山スキー場開発というのがある。同町の石打二百七十六戸は平均五十アールの稲作と炭焼き、養蚕を営み、冬季は出稼ぎの多い
地域であった。四九年、地元の青年ら有志が出稼ぎをしなくてよいようにとスキー場開設に取りかかり、四十年間の
努力によって今では百万人を超えるスキー場に成長した。開発と営業は地元の手でなされ、索道五社、そして旅館二百四十六軒、ロッジとホテル九軒、食堂七十一軒、商店七軒、売店十五軒、プロスキースクールほか十二軒など、全戸が経営に参加をしている。石打丸山開発は、住民の自治、地元住民資本の経営、農業との両立、
経済だけでない
文化、教育の充実と国際化等々に内発的
発展を具体的に実践してきたモデルと言っていいのではないかという
指摘もされております。
地域おこしというのがまさにその
地域の人の参加によってつくられて、そしてそれが
経済的にも潤っていく、リゾート開発が
地域振興と両立し住民と調和できる、そういうようなものとしていったときに、この報告書で言っております
地域のためにという二番目の柱が生きてくるんじゃないかというふうにも思いますし、出稼ぎはそれによってなくなったということ、そのことがやっぱり大事だろうと思うんです。
前
国会の終わりに、こうした農村が、それぞれの農家が中
山間地域等で民宿ができるようなお取り組みも、自民党の議員の皆さんが積極的に取り組まれた参議院段階での経過もございまして、私も大いに賛同したわけでありますけれ
ども、やはりそうした地についたものが大事じゃないかなという気がいたします。
昨年フランス映画でマルセル・パニョルという詩人が書いたシナリオで「マルセルの夏」、そして「マルセルの城」という映画が放映をされて評判になりました。これは都会に住んでいる一家がプロバンスの農村に出かけていってそこで一夏を過ごす話なんです。小さな家を借りて、そこで子供たちがいろんな自然に出会って勉強する、体験をするというような話で非常にほのぼのとした映画でしたけれ
ども、やはりそういう一夏を過ごせるような、しかも都会の
生活を農村に移して日常的な
生活としてそこで
生活ができて農村の
人たちと
交流ができるというような、そういうようなことが本当の
意味で
都市と農村の
交流だとかいろんな面でいいのではないかなという気がしますし、子供たちにとっては、声も立てられない、廊下も走っちゃいけないというようなホテルで一泊を過ごすような
状況よりもはるかにいいんじゃないかなという気もします。
そういう点で、今後
国土庁においてぜひ新しい発想に立った、このリゾート法に頼らないでもっと大きなグランドデザインを持ったものとして構想をしてやっていただきたいなというふうに思いますが、そうした点について長官の御決意をいただければ大変ありがたいと思います。