○堀
利和君 今お手元に配付させていただきますが、グラフの表が二枚ありまして、三枚目には
障害者の
雇用促進法の
改正の
内容を簡潔にまとめたもの、三枚であります。ごらんいただきたいと思います。
実は、
昭和三十五年、一九六〇年に今回のこの
法律の産声が上がったわけでございまして、
障害者雇用促進法が制定されました。その後、何といっても最も大きな抜本
改正は
昭和五十一年、七六年であるわけです。それまでは努力
規定であったわけですが、そのとき以来義務化となり納付金
制度というのが導入されて、同時に身体
障害者の重度の方についてはダブルカウントという、かなり
改正されたわけです。それ以降のグラフをちょっと私なりの
問題意識でまとめてみたわけです。
一枚目は、
障害者の実
雇用率の曲線です。それと完全
失業率、さらには
経済成長率。果たして
障害者雇用の実
雇用率がどんなふうに推移しているんだろうか、どういう外部要因によって動くんだろうかなということで、そのグラフを見ながら
考えたわけなんですけれども、
基本的には右に徐々に上向きになっています。着実に上がっています。
ただ、先ほど小野
委員の
質疑の中でもありましたけれども、上向きではありますけれども、この中にはいろいろな問題が隠されておりまして、大きく言えば、
一つは企業の
規模によってかなり曲線の描き方が違ってくるだろうと思うんです。大
規模の企業と中小企業とではかなり違うんじゃないかなと思います。当然のことのように、法定
雇用率との比較でいえばまだまだ実
雇用率は低いという私なりの不満もあります。しかし、着実に右上がりになっているということは確かです。
そこで、
景気と
失業率を見ますと、大変おもしろいことに、今回の不況は戦後最大量長の不況になってしまったわけですけれども、八〇年代初頭の不況で見ますと、
景気が悪くなり
失業率が上がっても実
雇用率というのは上向きになっているんです。八七年、
昭和六十二年、六年、七年の円高不況と言われたころ、さすがにここではちょっと実
雇用率は下がっております。その後、今のこの不況に突入して今日に至るわけですけれども、実
雇用率の方がかなり上がってい名ということから、どうも
景気なり完全
失業率という影響は余り大きくないのかなと、着実に伸びているということが言えるんですね。
次に、二枚目になりますけれども、法
改正のところでどうなるかと見ますと、明らかに法
改正の後に実
雇用率も上向きになるんです。もちろん、そこで言えることは、それまで重度の身体
障害者が一人ということで
雇用率にしていたのをダブルカウントしたりとか、あるいは精神薄弱者を新たに
雇用率に算入したり、さらにはまた同時に、重度の精神薄弱者をダブルカウントするという、いわば
数字上の上昇というのもそこのところには含まれているわけです。しかし、それにしてもやはり大
改正のもとでは、その直後若干上向きになっているという傾向が見られます。
もう
一つは、さらに八〇年代初頭のこの不況の中でも、八一年の国際
障害者年、八三年からは
国連障害者の十年が始まり、このときにかなり上昇しているんです。それから、
国連障害者の十年の最終年を迎える九二年あるいはその前後あたりもかなり伸びているんです。
こういう傾向を見ますと、もちろん完全
失業率にしましても、
労働市場が全く自律した自由主義的に動いているわけではなくて、かなり政策的に動くことは当然ですけれども、
障害者の実
雇用率を見ますと、かなり政策的に動向というのが決まるんではないんだろうかというのが以上を見た私の感想なんです。
こういう点からいいますと、やはりこれまで
労働省が意欲的に努力されたということもあろうかと思うんです。余り持ち上げてもなんなので余り持ち上げるつもりはないんですけれども、確かに政策的な努力というのがこの数値の中で読み取れるわけなんです。
そういう
観点から私はいろいろ
考えたいんですけれども、まず
労働省としてこのグラフについてどういう
見解を持たれたか、お伺いしたいと思います。