○
政府委員(滝実君) 五つの点につきまして御指摘がございましたので、私
どもの
立場から一つ一つ申し上げてまいりたいと存じます。
一つは、税の帰属地と消費地、消費者の最終的な税の負担の問題が地域的にずれる、こういう御指摘があったかと思うのでございますけれ
ども、地方税としてはむしろそういうようなことがある
意味では地方税の特色を出す一つの問題かというふうに思います。現行の消費税というのは多段階でございますから、各経済取引の段階ごとにいわば納税義務者が税を払う、こういう仕組みをとっております。
私
どもの提唱いたしております地方消費税は、その段階ごとにその取引の行われる地域にその税が帰属する、こういうことでございますから、それはもともと地方税のある
意味では特色をその中で生かせる、こういうようなことでございますから、この難点という
観点からいえば一つの難点かもしれませんけれ
ども、メリットという
観点からいえばそれが一つのメリットだと、こういうふうに考えております。
それから、国境税調整でございますけれ
ども、当然のことながら私
どもも国境税調整はやれると。これは技術的な問題でございますから、そのような
観点からやれるということは、私
どもも当然それは技術的に克服できる問題だと、こういうふうに考えております。
それから、三番目にございました納税コストの問題。これはやはり納税義務者の手間暇を省く、こういうことが当然の前提でございますから、この辺のところは現在の所得税の確定申告と住民税の手続とあわせて考えてもおわかりいただけますように、一つの申告でもって地方税の方もかなりそれでもってやっていける、こういうような仕組みは可能でございますから、私
どもも、少なくとも現行の国税たる消費税を前提にする以上は当然そういう
観点から手間を省くような事務的な処理は可能である、またそういうふうにしなければならない、こういうふうに考えております。
それから、四番目の問題としてございました税の偏在の問題がございます。
偏在の問題は、これは私
どもが最も注意を注がなければならない点でございますけれ
ども、いわゆる世上御心配いただくように、大都市圏にこの税が地方消費税を仕組んだ場合には集中する、偏る、こういうような心配は現在の住民税と比べた場合にそれほど大きな問題が出るというふうには私
どもは認識をいたしておりません。
それから、最後にございました県と市町村の問題がございます。
確かに、今後の高齢化問題を考えた場合に、まず市町村をどうするか、こういうことでございますけれ
ども、現在の市町村税というのはその約半分程度がいわば固定資産税という超安定財源を持っておりますから、現在でも市町村税というのは基本的には安定財源という構成を持っておりますし、それに住民税が加わることによって多少の伸長性もある、いわば理想的な形を持っております。問題は都道府県税、これが法人課税に偏っている格好をとっておりますから、この都道府県税を地方消費税を導入することによって改めるということは地方税全体としては非常にメリットがある。また、都道府県に地方消費税を導入することによって回り回って市町村の財源も、都道府県民税を市町村に移譲することによりまして市町村の独立税もそれによって潤ってくる、こういうメリットがあるというふうに私
どもは考えております。