○
谷畑孝君 私は、
日本社会党・
護憲民主連合を代表し、先ほど
趣旨説明が行われました
製造物責任法案について賛成する
立場から
総理並びに
関係大臣に対して
質問をいたします。
まず、
総理にお尋ねをいたします。
製造物責任制度は、
技術革新や
大量生産、
大量消費の進展する
現代社会において、
製品の
欠陥に起因する
消費者被害の円滑適切な
救済を確保するための方策として、
我が国民法の百年余りにわたる
過失責任の
原則を見直し、
欠陥という客観的な性状を
要件とする新たな
民事責任ルールを
導入するものであります。
我が国では、過去、
薬害事件などの
被害者救済のために長い時間と多大な労力を費やしてきたという経験もあり、
消費者団体や弁護士会、
民法学者等がこの
制度の
必要性を長年にわたって訴えてきたところでございます。
国民生活審議会でも実に二十年に及ぶ
検討が続けられてきましたが、これまではなかなか
結論を得るには至りませんでした。
そこで、まず本
法案の目的と意義、
政府としてようやく本
法案を提案するに至った
背景等についてお尋ねをいたします。
また、本
法案によって実現されようとしている
消費者保護、
被害者救済の
水準は、既に
製造物責任制度が
導入されている
欧米諸国等と比較をして遜色のないものと言えるのかどうか、
総理の御見解をお尋ねいたします。
本
法案は、冒頭申し上げましたように、
我が国で百年以上続いてきた民事
責任の基本
原則に特例を設けるものでありますが、この
制度本来の
趣旨に従って
被害者の適切な
救済が実現されるよう、
製造業者や
消費者への周知を図るとともに、
原因究明体制の整備など
関連施策の
充実強化を
政府として積極的に進めていく必要があると考えます。この点について
総理の決意をお聞かせください。
あわせて、この
製造物責任制度の
導入を契機として、今後の
政府の
消費者政策全般をどのような方向へと発展させていくべきか、どのような
社会経済のあり方を目指そうとしておられるのか、
総理のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。
次に、法務大臣にお尋ねをいたします。
この
法案を取りまとめる過程では、私ども
社会党も連立与党PL法プロジェクトチームの一員として議論に参画をしてきたわけでございますが、この中で特に問題となったのが
欠陥概念をどのように定めるかという点でありました。すなわち、
事故発生防止など
製造事業者側にとっての予測
可能性を高めるという
観点からは、
欠陥概念の定義と判断要素はできるだけ具体的に明確にしておくべきであるが、他方、
欠陥概念の定義と判断要素が
法律上の
要件とされると
被害者の
立証負担が重くなるという問題が生じることになります。この点につきまして、本
法案では注文上どのような解決が図られたのでしょうか。
開発危険の
抗弁の判断基準と
免責された
被害の
救済策についてお伺いをしたいと思います。
本
法案に採用された開発危険の
抗弁では、
製造物を引き渡したときにおける
科学または
技術に関する知見によっては
欠陥を認識し得なかった場合には、
製造業者等は
免責されるということになつております。もしこの
免責がむやみに認められるとなると、従来の
過失責任と大差ない結果になつてしまうということが懸念されますが、この点について
法案はどのような判断基準を設けているのでしょうか。
また、これにより
免責された
被害についてはどのような
救済の道が用意されるのでしょうか。新
製品開発のために
被害者はモルモットになってよいとは到底考えられません。ぜひとも他の
救済制度の活用等によって適切な
救済を図っていただくということをお約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
もう一点は、
原因究明体制のあり方についてであります。
国、都道府県やその
関係機関のほか、民間のさまざまな専門的機関がこれについての協力を行うこととされていますが、その際、公平性、中立性の確保に十分留意をするとともに、得られた
調査結果については
事故再発防止等のために
社会全体で活用できるよう
情報の積極的公開に努めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
さらに、
血液製剤の問題について厚生大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
先日来、一部に
輸血用血液製剤を
製造物責任法の
対象から除外すべきだという主張があるようですが、私どもはこのような考えを到底容認できるものではありません。
政府からも見解が示されておりますが、ある種の
副作用については
欠陥に該当しない場合があり得るということが
立法趣旨として明確にされていれば十分だと考えます。また、EU諸国でも
輸血用血液製剤を
欠陥責任の
対象から除外してはおらず、それによって安定供給に
支障が生じているとの話も耳にしておりません。
法制上の問題としても、別の特別法等によって同等もしくはより加重された
責任が課されているというのでない限り除外すベきものではないと考えられますが、この
輸血用血液製剤については
医薬品副作用被害救済制度の
対象にもなっていないのが現状です。
ぜひ厚生大臣として、
輸血用血液製剤を本法の
対象から除外する考えは毛頭ないということを重ねて明確にしていただきたいと思います。
最後に、通産大臣に二点お尋ねをいたします。
第一に、貿易、とりわけ発展途上国等からの
製品輸入への
影響についてはどのようにお考えでしょうか。
第二に、
中小企業への
対応でございます。私は、
我が国の
中小企業の
技術力や
製品安全への
努力は
世界的にも最高の
水準にあると考えておりますが、しかし本
制度の
導入については、
米国におけるいわゆるPL
危機の経験もあって、当初
中小企業を中心に産業界には慎重論が強かったように思います。こうした不安を解消するために、本
法案について
中小企業者への十分な周知を図るとともに、
製品安全対策や法的
対応能力の
向上、下請取引
関係における不当な
責任転嫁の
防止等について
関連施策の
充実に努めていくべきだと考えますが、通産大臣の見解をお尋ねいたします。
以上、私は本
法案に賛成する
立場から何点か
質問をしてまいりましたが、本
法案について先日
衆議院で行われた参考人意見聴取でも、
経済界、
中小企業、
消費者団体、弁護士、学者、それぞれの参考人から原案どおりの速やかな成立を求める
趣旨の意見表明があったと聞いております。本院におきましても、十分な
審議を行った上で、ぜひとも残された会期中に原案どおり可決、成立されんことを訴え、私の
質問を終わらさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣羽田孜君
登壇、
拍手〕