○
国務大臣(羽田孜君) まず、御指摘のございましたとおり、中華航空の事件につきましては、私どもは事故原因の究明というものを徹底すると同時に、再びこの惨事が繰り返されないよう安全対策、これに万全を期していきたいということを申し上げたいと存じます。
確かに、当時は
細川総理が総辞職を発表された後であったということであります。しかし、あのときの対応というのは、例えば事故が起こって直ちに深夜にわたりながら稟議を回し、そして担当の大臣を現地に派遣するなど、直ちに実は対応したということ、それからまた地域の皆様方、実によく連携がとれて対応してくださったということでございまして、この問題に対する対応というものは私はとり得るべきことが進められておったというふうに確信をいたしております。
なお、
組閣スタートの時点で既に民意を代表し得ずという御指摘がありました。新内閣が少数政権として発足せざるを得なかったことは、そのいきさつ等からいってまことに残念な経過でありました。しかしながら、国民の大きな期待と支持を受けまして前内閣が掲げた改革の旗というものは、私どもの内閣におきましても歴史的責務であるというふうに考え、これをしっかりと受け継いでいきたいというふうに考えます。
このため、ただ私どもがひとりよがりでできるものではございません。協調の姿勢を重視しながら、国会におきましても、また国民の皆様ともお互いに普通の言葉で率直に議論し、理解を深め、改革の着実な実施に向けてできるだけ幅の広い合意と信頼を得るべく、開かれた中での政策決定をしてまいりたいと思っております。
この普通の言葉は、私は決して今までもきれいごとで申し上げてきたわけではございません。私自身、二十五年間の政治活動をこれで貫いてきたということを自信を持って申し上げることができます。
なお、改新の結成の日を知らなかったという無責任な発言という御指摘があったわけでございますけれども、
連立与党内における会派をめぐる動向につきましては幾つかの御指摘がございましたが、私といたしましては、結果として一部の会派が閣外に去られたことにつきましてはまことに残念に思っております。しかも、いろんな野合とが御指摘もございましたけれども、入党によります
連立政権のこの八カ月間というものは私は正しかったものであるという誇りを実はみずからが持っておるものであります。その意味でも大変残念に思っております。
しかし、この問題がいろんな意味で政治に対する信頼というものを、これを指摘されたことも事実であるわけでございまして、私どもといたしましては、そういった問題に対しまして信頼を速やかに回復するために努めていくことが私の務めであろうというふうに考えております。
また、昨年七月の
合意事項、また、さきの
確認事項は、政策の
ねじれを糊塗して
欺瞞性の強いものであり、いまだ本当に生きているのかということが言われたわけでありますけれども、三十八年間にわたります
自民党の単独政権にかわりまして誕生した前政権が、これを構成する会派の合意のもとで目指した改革は日本の新しい政治の歴史的な一つの大きな転換のとき、これが新しい政治の方向を示したものであるというふうに考えておりまして、この点につきましては今なお国民の皆様の大変高い支持を得ているというふうに確信をいたしております。
いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、この八カ月間の連立の経験というものは大変に貴重なものというふうに高く評価いたしておるところであります。
また、先ごろの
確認事項は、さらに着実に改革を進めていくために、結果的には閣外に去られることになりました会派の皆様も含めまして合意されたものというふうに理解をしております。今後とも、
連立与党間の
政策合意を含めた連立の枠組みを大切にしながら十分これを尊重していく考えでありまして、このため与党内はもとより閣外に去られた会派の皆様とも率直にお話を申し上げ、また少数政権で進むわけでございますから、
自民党の
皆さんとも率直にいろんな問題について御相談したいということを申し上げ、お願いを申し上げたいと思います。
なお、権力の二重構造のもとで、かいらい総理のままでよいのかという実はお話がございました。私といたしましては、前内閣から改革の旗というものはしっかりと受け継ぎまして歴史的使命を果たしていくとの思いから、改めて内閣
総理大臣という重責をかみしめながら先頭に立ってこの難局に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
その際、可能な限りの機会をとらまえまして、国民の皆様あるいは与野党の皆様方と率直に話し合いながら、議論を尽くして、開かれた中での政策決定を旨として、生きた政治というものを実行していく考えであることを申し上げたいと思います。
なお、
自民党の外交政策というものを継承すると言いながら、それをだめにしてしまったのではないのかというお話があったわけでありますけれども、私は、今日まで
自民党が積み上げてきたとの外交努力というもの、これは正しかったというふうに私自身も実は確信をいたしております。そういう中で、私はそれをさらに発展させていこうという
考え方を持ちました。
そういう中で、東京におきましても、アフリカにおける復興会議あるいはカンボジアの復興会議、またアンコール・ワット、こういったものを復旧していこう、こういうものの会議を開くと同時に、またこの間、各国から訪れる要人の皆様方とも率直にお話し合いをしながら、私どもはさらに発展させてきたというふうに確信をいたしておるところでございます。
冷戦後の不透明あるいは不安定な
国際情勢、例えば民族紛争ですとか宗教などの対立の中におきまして、
国際社会はより平和で繁栄した世界を目指し、その英知と努力を結集しようとしておるというふうに思っております。
その中におきまして、
我が国といたしましても、この五十年間のいわゆる平和の中で蓄えてまいりました技術ですとかあるいはノウハウ、こういったものをフルに活用いたしまして、政府開発援助の推進や地球環境問題、あるいは人口の問題ですとかエイズの問題ですとか、こういった大きなグローバルな課題に対して私どもは努力していきますとともに、関係諸外国との協調のもとで世界の平和と繁栄に積極的に役割を果たしていく、これが私ども日本のこれから生きる道であり、また
国際社会の信頼をかち取っていくことができるであろうというふうに確信をいたしております。
なお、
ナポリ・
サミットに対する対応いかんというお話でありますけれども、
ナポリ・
サミットの議題につきましては、現在議長国たるイタリアを中心に協議を進めておるところでございますけれども、一つの大きなテーマというのは成長と雇用、これは先ごろアメリカにおきまして、デトロイトで開かれた雇用と失業の問題等、こういったものを踏まえながら、この問題がやっぱり大きな、一致したその決意を表明する場所になるであろうというふうに考えております。
そのほか、やはり途上国への支援に対しまして多少先進国の中にも疲れが見えてきておるという現実が実はあります。しかし、これは単に途上国というだけではなくて、新しくいわゆる市場経済に移ったところですとか、またあるいは紛争が終わって新しく発展を目指す国というのが各地域の中に見られてきております。そのほかに、先ほど申し上げた人口ですとかエイズですとか環境問題というような新たな問題が起こってきております。
こういった問題に対しては今こそ手を差し伸べなければいけないときであろうというふうに考えておるところでございまして、こういった問題についてもぜひともテーマにしてほしいということを先日もお話を申し上げてまいったところでございます。また、そのほかには貿易問題等もあろうというふうに思いますし、ユーゴの問題ですとか、こういった問題も論議されようと思っております。
いずれにいたしましても、日本としては、G7間の政策協調の一層の強化のために、他の諸国と密接に協力をいたしまして
サミットの成功というものを図らなければいけない、
サミットというものが新しい最近の動きの中でまた大きな重要性というものが高くなってきたのではなかろうかというふうに理解をいたしております。
中東和平の支援でございますけれども、ガザ・ジェリコの撤退合意に見られますように、現在、
中東和平プロセスというものは大きな節目を迎えつつあります。このような状況のもとで
我が国が和平プロセスに参加することは、
我が国にとっても極めて重要な中東地域の安定に寄与するものでございまして、
我が国の国際貢献の重要な一つの柱になってきているのではなかろうかというふうに思っております。
このような
考え方から、
我が国は
中東和平支援といたしまして、多国間の協議への積極的な参加をすること、またパレスチナヘの支援、イスラエル周辺のアラブ諸国への支援、また和平交渉
関係者との政治対話の深化、こういったものを中心にしながら貢献を行っていくことが今望まれていることであろうというふうに思っております。
また、訪欧の成果についてでありますけれども、もちろん今度の
ナポリ・
サミットでどういう問題が議論されるのかということについての話をいたしましたり、あるいは先ほど申し上げたように、これから各地域との連絡のときに世界の各地域との深いつながりを持っておりますし、また歴史的な経験というものを持っておるのが私はヨーロッパであろうというふうに思っております。その意味で、
我が国がそういった貢献をしていくときに、ヨーロッパとの関系は一層強固なパートナーシップというものを築き上げることが必要であろうというふうに思っております。
ヨーロッパも、
我が国を含みますこの
アジア地域に対する関心というものは大変実は強いものを持っております。各首脳との間で主要国際問題につきまして極めて親しく、しかも率直な意見の交換ができたこと、この結果、私は所期の目的を十分果たすことができたというふうに考えております。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては日米あるいはこの
アジアというものを基盤にしながらヨーロッパとも存分に協力していく必要があろうというふうに考えております。
また、先日の
法務大臣の発言につきまして、
アジア諸国との外交に臨む決意はどうかということでありますけれども、御指摘のございましたとおり、過去の歴史というものを直視しまして
アジア諸国の声に謙虚に耳を傾けていくということ、そして、これからの我々の進むべき道というのは未来に向けた関係というものを構築していく必要があろうというふうに思っております。
これは数日前に、実はこの問題が起こります前に予定しておりましたけれども、組閣がおくれたというようなことで延び延びになりました。一昨日、
アジア各地域、これは全地域でありますけれども、東南
アジアあるいは
北東アジアということじゃなくて全地域の大使の皆様方にお集まりをいただきまして、我々がどのような姿勢でこれから
アジアに臨んでいくのかということを私の方からも率直に語りかけると同時に、各国の皆様からも日本の国はこんな意味で一つの役割を果たしてほしいということを本当に胸襟を開いてお話をいただいたということは意義のあることであったというふうに思っておりますし、そのつもりでこれからも対応していくことをこの機会に申し上げたいと思っております。
なお、
任命権者としての責任というお話がありましたけれども、私は、かねてから
我が国の侵略行為ですとかあるいは植民地支配等が多くの国の人々に耐えがたい苦しみと悲しみというものをもたらしたとの認識、これを新たにしながら、これを後世に伝えるとともに、深い反省の上に立ちながら平和の創造に力を尽くしていくとの歴史認識を明らかにしてまいりました。この間の発言につきましては、このような歴史的認識に照らしまして、残念ですけれども問題があろうというふうに思いまして、私は直ちに御注意を申し上げたところでございます。
大事につきましては、適材適所を旨といたしまして、人格、見識ともにすぐれた方々にその最も適した職務を遂行していただくとの方針のもとに、今後とも
任命権者としての責任を全うしていく所存でございます。今度のようなことが起きましたことは大変遺憾であるということを申し上げざるを得ないわけであります。
また、将来に禍根を残さぬように十分検討すべしということで大戦の問題について御指摘があったわけでありますけれども、私は、
我が国の侵略行為ですとかあるいは植民地支配等が多くの国々の人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたという認識、これを新たにいたしております。これを後世に伝えるとともに、深い反省の上に立って未来に向けた関係を構築していくことが重要であろうというふうに思います。
歴史に対する認識というのは史実の検証に基づくべしという御指摘は、私は基本的にそのとおりであるというふうに考えておりますけれども、他方、歴史認識というものは個々人のいわゆる歴史観、世界観、これによっても異なる面も多くあろうと思っております。こういったことを私自身も十分留意しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
なお、
日米関係の打開等につきましてのお話でございますけれども、
日米両国の円滑な協力関係というのは、これは単に日米というだけではなくて世界全体の平和と繁栄にとりましても不可欠であります。政治・安全保障、経済、地球規模の諸課題への取り組みなどの広範な分野におきまして協力を進めていくことは
日米両国に課せられた共通の責務であるというふうに私は確信をいたします。
現在、
日米関係は確かに経済面で不均衡の改善という喫緊の課題を抱えておりますけれども、安全保障面では日米安全保障条約に基づく強固な同盟関係というものを堅持しておりますし、また、
北朝鮮の
核兵器開発問題等の
アジア・
太平洋地域の諸問題、ひいては環境、人口、エイズといった地球的な規模の問題に至るまで、これは実は幅広い分野におきまして二月十一日のクリントン大統領との首脳会談でも合意をされておるところでございます。
私どもは、そういった中で経済問題につきましても緊密な協力関係というものを発展させていかなければならないというふうに考えまして、そういう認識に立って日米間の意思の疎通というものをこれまで以上に率直で忌憚のないものにしていくことが非常に重要であろうというふうに考えておるところであります。
また、経済関係の再調整をどうするのかというお話でしこりを残しているということの御指摘があったわけでございますけれども、私はしこりを残しているということではないというふうに思っております。十日の段階で話し合ったときにも、私は、こういった問題は必ずしこりを残すものである、あるいはこれが経済戦争あるいはまた言葉の戦争に発展する可能性があるんだと、だからここでお互いに話し合おうということであったわけでありますけれども、いや、こういった問題はいろんな国との関係でもあるんだと、余り気にしないでともかく少し冷却期間を置きながら話し合おうという実はお話し合いがありました。
そして、特にマラケシュにおきまして話し合ったときにも、お互いがやっぱりどこに問題があるかということをお互いに理解することができたねということの話し合いがあったところでございまして、私どもは、今問題になっております日米包括協議の中の特に三分野と言われる個別分野の交渉につきましても、
日米経済関係の安定のために何としても
サミット前に再開させたい、そして日米双方とも交渉のドアはオープンにしてあるということでございますから、いろんな機会をとらまえながら交渉再開の糸口というものを模索していきたいというふうに考えておるところであります。
ただその際、政府といたしましては、
我が国自身のためにこういった問題を行うのだという姿勢で、
規制緩和を中心とする市場開放あるいは内需主導型の経済運営の確立など主体性を持って大胆に改革を進めていく考えでございます。
先般の
対外経済改革要綱というものは、このような観点から、内外価格差の是正ですとかあるいは消費者の
皆さんの選択が多様化する、こういったことによって国民生活そのものが向上していくのだということ、それともう一つは日本の社会というものを活力と創造性に満ちたものにしていく、これが不可欠なことであろうというふうに考えておりまして、そういう中にあって
政府調達の手続などを含めまして最大限の努力をしたものでございます。
また、
規制緩和等六月末までに検討の成果を取りまとめることになっておるわけでございますけれども、これも内容がしっかりとしたものでなければならないわけでございまして、議員の皆様方の御協力もいただきながらそういったものをつくり上げていかなければいけないというふうに考えておるところであります。
また、
ナポリ・
サミット前に
政治的勇断が求められるというお話でございまして、この点につきましては今もお話し申し上げたところであります。
いずれにしましても、
政府調達そして保険あるいは自動車及びその部品と言われるこの三分野の交渉の措置の実質面におきましては、二月の
日米首脳会談までに相当程度の進展を実は見ておるところでございます。これに基づきまして、三月末に閣議決定した
対外経済改革要綱、今申し上げたことでありますけれども、その時点で
我が国の政府としてとり得る最大限の措置をもう既に発表いたしたところであります。
他方、最終的に米国との間で合意に至らなかったことは、個別分野の措置の進展を図るための客観的基準に関して米御提案の一部が実質的にはどうも数値目標と同じになるんではなかろうかということ、そして
規制緩和といった
我が国政権の基本的な理念、これといわゆる政府が介入しなければならないような事態になってしまうということは我々の
考え方と相入れないものであるということで、残念ですけれども不調に終わっておりますけれども、こういった問題につきましても私ども率直に話し合う中でお互いに理解される、そういう中で私はアメリカとの妥協というものができ上がっていくということをこれから努力していきたいというふうに考えております。
なお、日米安保についての御指摘でありますけれども、冷戦の終結後も
国際社会というものが依然
不安定要因を内包している中で、
我が国が引き続き安全を確保していくためには
日米安保条約に基づく米国の
抑止力、この核の
抑止力というものはどうしても必要であります。また、
日米安保体制は
国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤となっておりまして、さらに
アジア・
太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保して、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠なものであるというふうに考えます。
政府といたしましては、新政権のもとにおきましてもこのような意義と重要性を有する
日米安保条約に対する政府の
考え方、従来の方針にはいささかも変わらないことを申し上げたいと存じます。
在日米軍の段階的縮小と駐留なき安保ということでありましたけれども、冷戦が終了した今日におきましても
在日米軍の駐留を含む
日米安保体制に基づく米国の
抑止力、これは今申し上げたとおりでありまして、これは極めて重要であります。政府としては、
我が国に駐留する米軍による施設あるいは区域の安定使用というものを確保して、その円滑な活動を確保することは
安保条約の目的を達成する上で不可欠というふうに考えておりまして、このような
考え方もいささかも変わらないことを申し上げます。
在日米軍駐留への対処でありますけれども、
我が国としては
日米安保体制の効果的運用というものを確保していくことは極めて重要であるとの観点から、これまで自主的にできる限りの努力を払ってきておるところであることは御案内のとおりであります。特に
在日米軍駐留経費負担につきましては、米軍の
我が国におきますプレゼンスを支える大きな柱であると考えます。
御指摘の平成七年度末の特別協定の有効期間の終了後における駐留経費のあり方につきましても、今後とも
日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図っていくことが必要との観点から、自主的な判断に基づきまして適切に対応していきたいと考えておりますけれども、具体的な内容につきましては当然米側との協議を待って判断をしていきたいというふうに考えます。
アジア・
太平洋地域の
軍事情勢、これについての御質問でありますけれども、今日の世界におきましては、冷戦の終結によりまして
世界的規模の戦争の可能性というものは減少したというふうに認識します。他方、地域紛争の危険性というものは増大するなど流動的な要素も多く、先行きに対する不安感、不透明感が存在をいたしております。
アジアでは、緊張緩和に向けた動きが見られる一方で、依然として
朝鮮半島に南北の軍事的対峙の構造が残るなど複雑、不安定な状況が継続しておりますし、また、
北朝鮮の核及びミサイル開発問題というのはやはりこの地域の重大な懸念材料となっておることも事実だろうと思います。
このような中にありまして、
我が国といたしましては、引き続き適切な規模の防衛力を保有することとともに、
日米安保体制というものを堅持することによりまして
我が国に対する侵略を未然に防止することを防衛の基本としていく、これが適切な
考え方であろうというふうに私も認識しておるところであります。
防衛計画大綱の見直しについてでありますけれども、今後の
我が国の防衛力のあり方につきましては、中期防にありますとおり、
国際情勢の変化ですとか、あるいは将来における人的資源の制約の増大等に的確に対応するため検討を行うこととされております。
この検討につきましては、御指摘のとおり、前内閣において
防衛問題懇談会を発足させるとともに、関係省庁におきましても所要の検討に着手しているというふうに承知しておりますが、今後の
我が国の防衛のあるべき方向を見定めることは重要な課題であり、引き続き精力的に検討を行っていきたいと考えます。
防衛問題懇談会からいただく御意見につきましては、政府部内で存分に検討し、新たな
防衛政策に反映させてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
また、
自衛隊法の一部改正法案の成立でありますけれども、前国会で提出いたしました
自衛隊法の一部
改正案が想定いたしますように、
緊急事態はいつ発生するかわからないものであります。在留邦人の生命等への危険が差し迫っている、こういったときに適切に輸送するために
自衛隊の航空機も使用し得るようにしておくことは喫緊の課題であろうというふうに考えます。現在、衆議院の安全保障委員会におきまして御審議が進められておりまして、私といたしましても可及的速やかにこの法案を成立させていただきたいというふうに考えておりますので、また参議院の方の御協力もいただきたいと存じます。
「
普遍的安全保障」と
集団安全保障の違いについて説明するようにということでありますけれども、
集団安全保障は、平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為が発生したような場合に、
国際社会が一致協力してこのような行為を行った者に対して適切な措置をとるということで平和を回復しようとするものでございまして、国連憲章上はそのための具体的措置が第七章に規定されておるところであります。
このような第七章に規定された措置を含む国連憲章が規定する国連による平和と安全の維持のための枠組みの総体は、いわば
国際社会全体によって受け入れられておるということでございまして、そのような意味で普遍的な性格を有するものであるということで、国連による
普遍的安全保障とはこのような普遍性を有する国連の枠組みを意味するものであるというふうに私は理解をいたしております。
国連の
平和活動に対する取り組みの姿勢ということでありますけれども、冷戦終えん後の新たな国際秩序の構築に当たりまして、国連が中心的な役割を果たすことに対する期待は新しいニーズとともに国際的にも高まっておるというふうに理解をいたします。
国連の目的といたしております国際の平和と安全の維持というものは、
我が国憲法に掲げる平和主義、国際協調主義と理念の軸を一つにするところでございまして、
我が国はこうした崇高な理念を掲げる憲法のもとに、やはり
我が国としてなし得る最大限の国際貢献の実績を積み重ね、平和な世界を築くために汗をさらに流す必要があろうというふうに考えます。
国連を中心とした
国際社会の平和と安全を求める努力に対しまして、単に資金面だけではなくて人的な面でも貢献を行うことが
我が国の国際的な地位と責任にふさわしい協力のあり方であるとの認識のもと、
我が国はカンボジア、モザンビークの国連平和維持活動について
自衛隊の施設部隊等要員を派遣し、またアンゴラ、エルサルバドル、こういった国におきまして国連の選挙監視活動に対しまして要員を派遣するといった協力を行い、国際的にこれは高い評価を得ているというふうに信じます。
我が国といたしましては、
国際社会における地位とその責任を自覚しながら、真の平和構築のために一層積極的な努力をしていきたいというふうに考えておりますので、さらなる御理解を賜りたいと思います。
また、
集団的自衛権の行使を認めるのはどうかということでありますけれども、国際法上、国家は
集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にあります外国に対する武力攻撃というものを自国が直接攻撃されてないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされております。
我が国が国際法上このような
集団的自衛権を有していることは、これは主権国家である以上当然であるわけでございます。ただ、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使というものは、
我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどめるべきものであるというふうに解しておりまして、集団的な自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、私は憲法上許されていないというふうに考えておるところでございます。
なお、御指摘の他国に対するいわゆる
後方支援活動につきましては、いかなる活動がこれは想定されるのか明らかではないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、これは憲法の枠内で
国際社会において貢献していくべきものであろうというふうに認識をいたしておるところでございます。
また、
安保理常任理事国入りと軍事的な責務や
拒否権の問題についての御指摘がありましたけれども、安保理改組が必要であるとの認識は既にこれはもう国際世論になっておろうと思っております。この中で、日本が過去に安保理事会への参加などを通じまして蓄積してきた経験を踏まえ、より大きな役割を果たすべきであるということはもう御指摘のとおりであります。
軍事的な責務につきましては、現行の国連憲章のもとで
我が国は安保理常任理事国となったといたしましても、追加的に
我が国の憲法上問題となるような具体的な法的義務、これを負うことは通常想定されておりません。この点はブトロス・ガリ国連事務総長が昨年十二月に来日された際繰り返し指摘されたところであります。
拒否権につきましては、肯定的な面と否定的な面の両面がございますけれども、これを一概に否定的にとらえることは必ずしも適切ではないというふうに考えます。ただ、最近はこの
拒否権の行使が激減しているということ、これは歓迎すべきところでありまして、日本としてはこのような望ましい傾向を助長し促していくことが重要であろうというふうに考えております。
また、
北朝鮮に関連いたしましてのお話でありますけれども、
北朝鮮に対する経済制裁につきましてはいまだ国連の安保理事会においては議論をされておらないことでございまして、現段階におきまして法改正の問題も含めまして具体的にこれを申し上げることは控えるべきであろうと思います。
なお、一般論といたしましては、仮に安保理で何らかの措置が決定される場合には
我が国としてもやはり憲法の中で許される範囲の中でこれに対しての責任を負うべきであろうというふうに考えます。
また、多国籍型の制裁についての対応、これにつきましても先ほど申し上げたとおりでありまして、いずれにしましても国連は制裁措置というものはまだ安保理においては議論がされておりません。それよりはむしろ、
北朝鮮に対しまして議長声明という形でこういったIAEA、そういった問題について査察をきちんと受けるようにということを実は慫慂しておるところでございまして、さきに申し上げましたのと全く同じように今これは論議されてない問題でございますので、これについてのお答えを申し上げることにつきましては控えさせていただきたいと思っております。
また、海上
自衛隊につきましても、これも一般論で申し上げること以外申し上げることは差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
また、送金の停止等につきまして、これも現段階において具体的に申し上げることは差し控えたいというふうに存じます。(「答弁拒否だ」と呼ぶ者あり)いや、答弁拒否でも何でもございません。この問題はまさに国連がそういった問題について議論してない、しかも静かに今
北朝鮮に窓口をあけてほしいということを言っているときであり冒して、
国際社会のこうしう粘り強、努力というものを日本の国は大切にしていくべきであろうということを改めて申し上げたいと思います。
また、有事立法の準備などについてのお話でございますけれども、この
核兵器開発問題に関しましては現在まさに今申し上げたように対話による解決に向けて努力が行われておるということでありまして、御指摘のような新たな立法措置等の問題につきましては仮定のまさに話でありまして、具体的なコメントは差し控えたいと思います。そして一般論としては、
我が国にとって重大な
緊急事態というものが発生した場合には政府が一体となってこれに対処する方針としておるところであります。
なお、御質問の
北朝鮮問題につきましては、従来から政府におきまして関係省庁間で情報交換を行っているはか、各省庁におきましてもそれぞれの立場からそれぞれの所掌事務の範囲内におきまして必要な検討を行っておるということでございますけれども、仮に重大な
緊急事態に発展するような事態となりましたならば、政府といたしましてもこれに対処するために万全の体制をとる考えであることだけは申し上げておきたいと存じます。
また、高齢社会の社会保障についてのお話でありましたけれども、二十一世紀の本格的な高齢社会において国民一人一人が安心でき、真に幸福を実感できる福祉社会の実現を図っていくためには、もう御指摘がありましたとおり、年金ですとか医療、福祉のバランスのとれた社会保障制度に再構築していくということ、その財政負担への対応を行うことが大きな課題であろうというふうに存じております。
国民負担の程度につきましては、基本的には国民的な選択にゆだねられるべき事柄でございますけれども、経済社会の活力というものを維持していくためには過重なものになってはならぬというふうに考えております。こうした見地に立って、私といたしましては、本格的な高齢化社会の到来に対応した公平、公正、効率的な社会保障制度を構築することにより国民負担率の上昇を極力抑制するようにしてまいりたいというふうに考えます。
いずれにいたしましても、社会福祉のビジョン、高齢化社会の国民負担や税制のあり方などにつきましては、
連立与党の税制改革協議会におきましても現在検討をされておりまして、また国会の中でもこれから御議論いただくべき問題であろうと思っております。いずれにしても、今国会中に結論を出される予定というふうに伺っておるところであります。これらの検討結果を踏まえまして、政府といたしましても望ましい福祉社会の車現に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えます。
また、高齢化社会の安定財源の問題、そして暑気回復による税収増ですとか行政改革の断行によって経費を節減するようにというお話でありさして、この点につきましては活力ある豊かな高齢化社会の実現というものを目指しながら福祉政策などの積極的な展開あるいは減税措置に対する財源確保の観点も含め、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱に、均衡のとれた税体系をつくるために、六月中に成案を得て、必ずや年内に税制改革を実現するよう最大限の努力を傾注してまいりたいというふうに考えております。
なお、今後とも行財政改革を強力に推進すること、財政の効率化に向けた努力を続けることは言うまでもございませんけれども、臨調・行革審答申を受けまして連年にわたって改革努力を行ってきたところでございまして、行財政改革による歳出削減につきまして量的に多大なものを期待することができないことは、これはもう皆様と一緒に私どもは苦労した結果であろうと思っております。
また、景気回復による税収増がどれほど生ずるかを前もって把握することも困難でありまして、これに依存することは私は適当ではないのじゃないかというふうに考えます。
また、税制改革にどう取り組むかということでありますけれども、今申し上げましたように、税制改革を年内に実現することは、前内閣を継承した新しい内閣が緊急に取り組まなければならない重要な課題でありまして、私どもはそれにつきまして大きな責任を有しておるというふうに自覚をいたしております。
いずれにいたしましても、税制改革につきましては、お話がありましたとおり、これは国会で全会派一致で議決が行われていることを踏まえれば、速やかな実現は今や国民的な課題であろうというふうに考えておりまして、政府といたしましては、このような税制改革の具体化に向けて
連立与党において速やかに協議を進めていただくようお願いしたところでございまして、
自民党の皆様にも御検討を進めていただき、各党各会派の御理解と御協力をいただきながら、六月中には成案を得てぜひともその実現を図ってまいりたいというふうに考えておるところであります。
また、景気の現状につきましては、現状を見ますと、公共投資はもう堅調に進んでおります。住宅投資は高い水準で推移をいたしておりまして、個人消費にはやや持ち直しの動きが見られるものの、設備投資は減少が続いておりますし、企業収益ですとかあるいは雇用情勢、これも依然厳しい状況にあるということを残念ながら申し上げざるを得ません。このように
我が国経済は一部に明るい動きが見られるものの、総じて低迷が続いておるということであろうというふうに認識をいたします。
政府は、こうした明るい動きを経済全体に広げて、
我が国経済を六年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せまして、七年度以降の安定成長を確実なものとするために、二月に決定した総合経済対策の着実な実施を図ってきておるところでありますけれども、さらに六年度予算についても、五年度三次補正予算とあわせて可能な限り景気に配慮するよう努めたところであるわけでございまして、これの一日も早い成立をまたお願い申し上げたいと存じます。
また、公共料金の値上げにつきましては、経営の徹底した合理化を前提といたしまして、物価そして国民生活に及ぼす影響というものを十分に考慮して厳正に取り扱うことといたしておりまして、その値上げに当たりましては真にやむを得ないものに限るとして、その実施時期及び改定幅につきましては極力調整しておるところであります。
主要な公共料金の引き上げによる平成六年度での負担増額を試算いたしますと、郵便料金で約二千六百億円、公衆電話料金で約六百八十億円、医療費の四月改定分で約二百億円、首都高速道路料金で約二百六十億円、国立学校授業料で約二十五億円程度であるということであります。
政府といたしましては、昨年九月の円高差益の還元におきます電気・ガス等の各公共料金の引き下げ、市外通話料金の引き下げといった公共料金の引き下げも行っていることを御理解いただきたいと思います。
なお、年金保険料は公共料金には含まれませんけれども、その引き上げ等による平成六年度の負担増は約一兆五千六百億円であります。年金給付の改善や制度の成熟化による給付増約一兆五千六百億円に見合うものでございまして、減税の効果を減殺するものではないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、二月に五兆四千八百億円の
所得税減税を含みます総規模十五兆円を上回る幅広、施策から成る総合経済対策を決定したところでございまして、その着実な実施を図ることなどによりまして、本年度政府経済見通しに示されたように、物価の安定を図りながら
我が国経済をできるだけ早い時期に本格的な軌道回復に乗せてまいりたいというふうに考えます。
なお、総論的、抽象的な公共料金値上げ抑制ではなくて、新内閣として具体的にどう抑制していくのかということでありますけれども、公共料金の取り扱いにつきましては、御意見が寄せられているところにかんがみまして、従来の方針、
考え方を整理、体系化しながら、先般、
細川内閣において、政府として初めて統一的な「公共料金の取り扱いに関する基本方針」、これを打ち出すことによりまして公共料金の厳正な取り扱いの趣旨を一層徹底したところであります。
現内閣におきましても、公共料金はこの基本方針に基づきまして、物価及び国民生活に影響をどのように及ぼすかを十分考慮して厳正に取り扱うこととして、安易な引き上げは厳に慎み、今後の経営の徹底した合理化を前提とした上で、先ほど申し上げましたように真にやむを得ないもの、これに限るということにしたいと思っております。時期、幅等につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
また、
公共投資基本計画の見直しについてでありますけれども、
我が国経済は一部に明るい兆しが見えておりますものの、先ほど申し上げたとおりに低迷が続いております。政府といたしましては、総合経済対策、これを着実に実施すること等、内需を中心とした持続的な成長を確保するために努めていきたいというふうに思っております。
この見直しについてでありますけれども、去る三月二十九日に決定しました
対外経済改革要綱におきまして、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提とした
公共投資基本計画の配分の再検討と
積み増しを含めた見直しに着手して、六月をめどにこれを取りまとめるように努力するというふうにしたところでございます。
私どもこれを受けまして、経済企画庁を中心にその準備を開始したところでございまして、具体的な見直しの内容につきましては今後検討を進めてまいる
考え方であります。
また、新たな景気対策の追加というお話でありましたけれども、景気の認識はもう申し上げません。いわゆる本格的な景気回復を実現するとともに、今後の新たな発展の基礎を築くためには、時代の要請に合わなくなった制度ですとかあるいは慣行の改革を含めた各種の施策を強力にこれは遂行していくことが不可欠であるというふうに考えます。
政府としましては、経済や為替の動向に細心の注意を払いながら、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、
規制緩和を初めとして前政権が開始した国内経済改革の方針を継承し、そして発展させ、強力にこれを実施しなければならないというふうに考えております。
そのことのためには、これは国会の方の御協力もいただかなければならないということでありまして、この機会に私からも改めてお願いを申し上げたいと思います。
細川党首の疑惑解明の問題についてでありましたけれども、前総理御自身のプライベートな問題でございますけれども、前総理は真相について語っていきたいということで相当に私は御苦労なさったというふうに考えております。そうした中で、このたびのような身の処し方というものは一つの潔いものでありまして、これを重く受けとめていきたいというふうに思っております。
また、普通の言葉についての御指摘でありますけれども、これは先ほども申し上げましたが、
連立政権が全力を挙げて取り組んできた政治改革あるいは経済改革、行政改革、また新しい時代への期待というものを背景にしまして、多くの国民の皆様の共感をいただきました。政治改革関連法案の成立を初め、諸改革の方向性を明らかにするなど、その成果というものは私は評価され得るものであるというふうに確信をいたしております。
当面する難局にありまして、これらの改革は今や与野党を問わず国家国民を挙げて取り組むべき歴史的な課題でありまして、新内閣においても協調の姿勢で、国会においてもまた国民の皆様とも実りのある政策議論をいたしまして、できるだけ幅広い合意を得ていかなければならないというふうに考えております。このため、私といたしましても誠心誠意を尽くしましてこの重責を果たしていきたいというふうに考えております。
もう、それこそこの問題につきましては、やっぱりこれら今申し上げました問題というのは本当に難しい問題でありまして、まさに我々少数政権ではこれはなかなかなし得るものではありません。そのためには、私どもも誠心誠意皆様方にもお訴えを申し上げてまいりたいというふうに考えておりますので、皆様方の御協力もぜひとも賜りますように心からお願いを申し上げたいと思います。
先ほど御指摘のありました点、一つ一つの問題については今後私どもが政策を進めていくに当りまして大切にしてまいりたいというふうに考えております。
ありがとうございます。(拍手)
〔
国務大臣柿澤弘治君登壇、拍手〕