○石渡清元君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
地方税法及び
地方財政法の一部を
改正する
法律案につきまして、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
現在、戦後
最大かつ最長のデフレ
不況にある中、
個人消費などで多少明るさが見えてきたと言われますが、肝心な
設備投資、雇用面ではなお厳しい
状況が続き、
経済無策、
景気対策のおくれにより、
景気浮揚にはいまだほど遠い
状況にあります。
このため、我が党は、来年度
予算の十二月編成、そして早期
審議を要望したにもかかわらず、
細川総理はみずからの一億円問題に誠意ある
対応を見せず、
国民の
疑惑はますます深まり、来年度
予算の
審議に入れない状態が続いています。
ましてや、参議院においては、来年度
予算本体そのものが送付されておりません。日切れ
法案等十八件の裏づけとなる
予算はなくしかも、これほどの重要
法案を一日、二日の
審議で議了せざるを得ないということは、まさに立法府としての形骸化であり、本院のかなえの軽重を問われかねない重要な問題であります。
しかし、本日の
議題である日切れ関連
法案については、事、
国民生活に重大な影響のあるものについて
責任野党として
審議に応ずることとしましたが、この際、
政府の反省を促すものであります。
それでは、まず最初に地方分権と地方財政の確立についてお伺いをいたします。
地方自治体はそれぞれの地域で主体的に創意工夫を図りつつ、魅力ある地域づくりを
推進し、それらが全国的に見て均衡ある国土の発展につながるようにすべきことは論をまたないところであります。そのためには住民に身近な問題は地方自治体が担っていくことが大切であり、これを実現させるためには権限移譲もさることながら、財政的な裏づけが図られることが何よりも不可欠であります。
総理は、具体的にどのように地方分権に伴う
財源手当てを考えておられるか、お伺いをいたします。
また、
総理は
年内に
基本理念や手順を盛り込んだ地方分権
推進大綱を作成する考えのようでありますが、パイロット自治体
制度のような中途半端な 自治体にとって余り歓迎されないような内容にならないようにするだけの決意がこの大綱の作成に当たっておありかどうか、お尋ねをいたします。
次に、地方分権のための
財源確保の
観点から,また各方面から要望の強い地方
消費税構想について
質問いたします。
昨年十一月の
税制調査会による「今後の
税制の
あり方についての答申」でもこの問題が
議論され、今後検討すべき課題とされているのであります。現在の地方
税体系を見た場合に、直間比率において
間接税等の比重が
減少し、国税以上に直接税に偏った税収構造となっており、特に道府県税において
法人所得課税の割合が四〇%を超え、
景気に敏感に反応する
税制となっていることは是正の必要があります。
また、地方自治体では現在、
高齢者保健福祉
推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランの着実な
実施と生活関連社会基盤の計画的な整備が求められており、今後、
高齢化関連経費を中心とした社会福祉
関係経費の増加が見込まれるところであります。そのためには、地方自治体にとっては安定的な
財源の
確保が求められているのであります。
さらには、最近、東京、大阪など十三都道府県では地方
消費税創設に向けての要綱案をまとめたという報道がなされました。この要綱案によれば、現在東京に三五%の
消費税が集中しているのが分割
基準の適切な導入により税源の偏在も是正されると考えているようであります。
このようなさまざまな点から考えても、地方
消費税構想は十分検討に値するものではないかと思うのでありますが、
総理並びに自治大臣のこの構想に対する見解をお尋ね、たします。
また、
年内にもまとめられるという
税制改正に向けてこれを含めて検討されるのか否か、あわせてお答えください。
次に、地方財政計画についてお伺いをいたします。
今回の地方財政計画の規模は約八十一兆円で前年度に比較して五・九%の増でありますが、実質的には七十九兆円で前年度比三・六%の増という低い伸びにとどまっております。
所得税、住民税の
特別減税等に伴う地方財政への影響額のうち、一兆二千四百三十二億円は交付税特別会計による資金運用部からの借金による交付税の増額で賄い、さらに一兆六千四百六十一億円は赤字地方債の
発行によって補てんすることといたしております。また、
特別減税以外の地方
財源不足見込み額についても、同じ特別会計による資金運用部からの一兆六千七百四十七億円の借り入れを中心としたやりくりにより、さらには
財源対策債の
発行によって補てんすることとなっているのであります。
いずれも、借金に次ぐ借金によってつじつま合わせをしたにすぎないものであり、これは地方財政が数年前の大蔵省による地方財政余剰論からさま変わりとなっており、国における借金体質が地方にも浸透してきていることを如実に物語っております。その結果、地方の地方債依存度は実質一三・一%という前年度の八・一%から大きく上昇し、
平成六年度末の地方の借入金残高はついに大台の百兆円を突破することとなるのであります。
このように財政の硬直化をさらに進めることは、行政の硬直化につながる地方財政計画ではないかと思うのでありますが、この点についての
総理の
認識はいかがでありましょうか、お伺いをいたします。
また、地方財政を預かる自治大臣として、
事態をどのように深刻に受けとめ、かつ、将来において地方に過大な
負担を強いることのないようお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
今回、国の
景気対策に呼応して、地方においても生活者・
消費者の
視点に立った社会資本整備を積極的に
推進し、また
景気に配慮し、地域
経済の維持拡大に資するため、地方債を増発して地方単一独
事業を大幅に増額するようにいたしております。その増額の規模は前年度に比して十二%の伸びということであり、これは四年連続一〇%台の高い伸びになっております。
長引く
景気低迷のため無理からぬ面もありますが、しかし、まず地方として果たしてどれだけの有効な生活者・
消費者に密着した
事業実施が実現できるのか。執行体制の面、また
事業内容の面で一抹の懸念を感ずるものでありますが、間違いなく消化できるかどうか。しかも、地方単独
事業の
財源の多くがこれまでに例を見ない地方債の増発に依存することとなり、その結果、個々の地方自治体の中には
公債費
負担比率が上昇し、財政運営上一五%が警戒ライン、二〇%が危険ラインと言われておりますが、このラインに近づく自治体もかなり出てくるものと考えられます。
このような自治体に対しては十分な対策をとっていただきたいと思いますが、その意思を自治大臣に確認しておきます。
また、今回の
政府による
景気対策のように、地方の道路、港湾などの整備といういわば従来型の公共
事業では現在の大都市圏を中心として悪化してきた
不況には
効果が期待できないという声も聞かれるのでありますが、この点について自治大臣はいかがお考えになりますか。
次に、地方税についてお伺いをいたします。
御承知のように、昨年の法
改正により
平成六年度から
固定資産税の評価がえが行われることになっており、宅地に係る評価は
全国平均で約三倍にも上昇すると考えられます。今日の
経済不況の
回復には
土地の円滑な流通が極めて重要な要素ではないかと思います。その
観点からいたしますと、固定
資産課税台帳を
課税標準とする不動産取
得税について、従来の
水準に据え置く必要がありますし、また都道府県の税収に対する影響をも考慮して
課税標準を二分の一に圧縮する必要があると考えますが、自治大臣の見解をお伺いいたします。
また、
土地の
流動化を促進するためには、
平成三年度
税制改正で強化された
土地譲渡益課税について
税率の引き下げが急務であると考えます。
譲渡所得の
課税状況を見ると、
平成四年度の
課税譲渡所得は五・四兆円であり、
平成三年度の十八兆円と比較して大幅な
減少を示していることは、この
税制改正が大きく影響していることは疑いの余地のないところであります。幸い
地価も下落傾向にありますので、
長期譲渡所得に係る
土地等の
譲渡が
平成六年一月一日から
平成七年十二月三十一日までの間に行われたものについては、道府県民税の
所得割に係る
税率を百分の二に、市町村民税の
所得割に係る
税率を百分の四とする
特例措置を講ずる必要があると思いますが、自治大臣のこれに対する見解をお伺いいたします。
最後に、地方税、地方交付税、地方債などによる今回の地方財政計画は大幅な借金によるつじつま合わせによって成り立っており、将来に禍根を残すおそれが極めて高いということを指摘し、いやしくも地方自治体に対してそのしわ寄せをすることのないよう厳しく要求いたしまして、私の
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣細川護熙君登壇、
拍手〕