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1994-03-08 第129回国会 参議院 本会議 第7号
公式Web版
会議録情報
0
平成
六年三月八日(火曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第六号
平成
六年三月八日 午前十時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件(第二日)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した
案件
議事日程
のとおり ―――――・―――――
原文兵衛
1
○議長(
原文兵衛
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の演税に関する件(第二日) 去る四日の
国務大臣
の
演説
に対し、これより質疑を許します。
山本富雄
君。 〔
山本富雄
君登壇、拍手〕
山本富雄
2
○
山本富雄
君 私は、自由民主党を代表いたしまして、
さき
の
政府演説
に対し、当面の
緊急課題
につきまして
細川総理
に若干の
質問
を行います。 本題に入ります前に、今起こっている大変な問題、お米がない、お米が買えないという事態について
指摘
をしておきたいと
思い
ます。
総理
、ここ数日の
テレビ
、新聞は、
奥さん方
がお米を買いに行っても米がない、米が買えないと連日報道されております。一方、
政府
・
与党首脳会議
では、米の絶対量はある、もっとしっかりPRしようとか、
農林水産省幹部
は
消費者
が買いだめをし過ぎるなどと言ったと、これまた報道されております。 何を言っているのか。これは批評や理屈の段階ではないのであります。明らかに一億二千万人
国民
の主食、米がない、買えない、
食糧パニック
以外の何物でもないじゃありませんか。それこそ
為政者最大
の
責任
であり、失政これに過ぎるものはありません。
総理
、きょうも
日本列島北
から南、四十七
都道府県
のあちこちで、春は名のみの寒空の中、
奥さん方
、
消費者
が米を求めて行列をしている姿を想像してごらんなさい。お互いじっとしてはいられないでしょう。どうか
総理
、あなたが
陣頭指揮
で、
つかさつかさ
要
所要所
に直接働きかけ、一刻も早くこのような状態をなくしていただくよう切望しておきたいと
思い
ます。 去る二日夜半、
総理官邸
からの
テレビ中継
を全
国民
はかたずをのんだり、またかと思ったり、熱い目や冷めた目で、しかし
細川
さんが例によって何を言うかを皆見詰めておりました。私もいろいろな
思い
を持ちつつ拝見をした一人でありますが、まず驚いたことは、会場にあらわれたのは
総理
一人、
女房役
の
武村
さんも鳩山さんも姿をあらわさず、お供の席には
役人
副長官の石原さんが一人ぽつんと座っている光景でありました。
国民
だれしもがこれは不自然だなと思ったのではないでしょうか。
武村
さんがいないことを
記者
に問われたあなたの答えは、本人がいづらいだろうから今夜は欠席を命じたとのことです。これにも唖然としました。俗な言い方で恐縮ですが、せっかく
夫婦仲直り
をして
一家立て直し
と
国事
に立ち向かう、その再スタートの夜のことであります。 その後、あなたのいろんな発表と
発言
がありましたが、こういうやりとりもありました。
記者
、結局
改造
はできなかったんですね。
総理
、いや、
改造
は
総理
の
専権事項
で、結局やらなかったんだと。
細川
さん、私は、かねがね
政治家
は信なくんば立たず、特に一国の
総理
は決してうそを
国民
についてはいけないと事あるごとにあなたに言い続けたつもりです。
武村
さんとあなたは昨今急速にことごとく
意見
を異にし、不仲になっていったことを
国民
はみんな知っています。また、
本家筋
のどなたとどなたかが早く別れろ別れろと。家の中での皆さんは、こんな大事な時期に別れるどころか我慢をし力を合わせることこそ大事と
武村コール
が起こり、それでも頑固なあなたは最後まで、別れる、やめさせるつもりだった。それも周知のことであります。しかし、夜半に至って力尽き、やれなかった。すなわち、結果はやらなかった。これが本当でしょう。 いつもあなたの
言動
は人を驚かせる。いわゆる
思い
つきであり、突然であり、中途半端であり、無
責任
であります。それを、何とないムードとパフォーマンスでごまかしてきたと言う人が最近国の内外に大変ふえています。一国の
総理
がこれでは困ります。
さき
に、
首相
の
特別補佐
を辞任した
田中秀征新党さきがけ代表代行
は、
細川首相
が
歴代首相
と違うことは、自分を最近の
首相
と比較するのでなく、
近衛文麿首相
と比較していると
発言
しています。私も、まさに
細川首相
の母方の祖父に当たる
近衛公
の生い立ち、思考、
言動
、振る舞い、
政治的対応等
が全く
細川首相
のそれにことごとく類似しており、血統、
環境
のなせるものと改めて
思い
知らされました。 ここに、
昭和
十一年に
粛軍演説
で軍部を批判し、さらに十五年に
反軍演説
で
議員
を除名された故
斎藤隆夫代議士
の記された「
近衛文麿公
を論ず」よりその
関係部分
を要約引用し、御紹介を申し上げたいと
思い
ます。 一 是まで
国事
に関しなんらの
苦労
も嘗めずして
国家
の
政権
を握った。世人は之を歓迎した。公は
我が国
における最高の
名門出身
、然るに年齢は五十歳、
革新気分
が横溢して居るやうに見えた。 二
内閣存続
中一年有半の間に屡々
閣僚
を更迭、凡そ
我が国歴代
の
内閣
において
近衛内閣
ほど自由勝手に
閣僚
を更迭したる
内閣
はない。碁石の如く置き代へるに至りては、
総理大臣
として又
国務大臣
として
自己
の不明、奏上に対する
責任
はどうなるものであるか。 三 全
国民
が
近衛公
に対して最も失望したことは、公に
政治
上の実力が欠けていたことである。馬鹿を見たのは
国民
である。
近衛内閣
で最も承服できないことは、
支那事変
の勃発と
拡大
、得体の知れない
大政翼賛会
の設立てあった。皇室に次ぐべき門閥に生れ、世の中の
苦労
を嘗めた経験を有せない貴公子が
自己
の能力を顧みず、一部の
野心家等
に取巻かれて国政の大任に当たり、国を
誤り害毒
を胎す。其の罪は極めて大なるものがある。 云々、以上であります。
議員各位
はこの言をいかが受けとめられましょうか。
時代
や背景の違いはありましても、そのことごとくが余りにも酷似しているこの歴史の事実に慄然たる
思い
を持ったのは私だけでしょうか。 大変失礼ですが、こうした論評について
総理
はいかなる感想をお持ちでしょうか、率直にお
伺い
をいたします。 次に、
政界再編
の問題であります。 かねてより仲たがいでありました
小沢新生党代表幹事
と
武村
氏との確執が
国民福祉税構想
、
内閣改造
をめぐって一挙に表面化し、今
細川内閣
を支える
連立与党
は、
新生党
・公明党の
グループ
と
社会党
・民社党・
新党さきがけ
の
グループ
とに
分極化
の
方向
にあるようであります。これは、
社会党側
は小沢氏の言う二大
政党制
ではなく、穏健な
多党制
は多様な
国民
の
意見
を反映する
政治システム
であることを唱えていますほか、「小さくともキラリと光る国」の主張と「普通の国」を掲げることによる
日本
の
国際貢献
の
あり方等
にかかわる
国家観
の違いのあることによるものと思われます。 しかし、
政治改革法案
が成立した今、やがて来るであろう総
選挙
において、およそ
政治理念
の相異なる
グループ
が単に非自民だけのスローガンで、
政策抜き
の
数合わせ
だけでいいのでしょうか。政党の本旨はあくまでもその理念と
政策
にあります。
政策論争
を通じた
政界再編
であるべきと考えますが、
総理
は政局の展望をどう見ておられるか、
所見
を承りたいのであります。
さき
に、
参議院
においては
日本
新党、民主
改革
連合、
参議院新生党
などが
新緑風会
を結成いたしました。なぜ今、
新緑風会
なのか。
真意
のほどは存じませんが、数の力で院の役員をとればよいとか、まして
総理
が陰でこれを操り、衆議院に先行して他の
会派
をも吸収し、大
会派
をつくって来年の
参議院選挙
に備えるなどと世評言われること自体、大問題ではありませんか。院の各
会派
間の問題まで行
政府
の長が一々しゃしゃり出るなどは全く言語道断、
総理
の
真意
をしかと承りたいのであります。 最近の
米国中央情報局
、CIAの
スパイ事件
、
イスラエル占領地ヘブロン
での大
虐殺事件
、
セルビア人武装勢力
の
戦闘機撃墜事件
、そして今月一日には
北朝鮮
における
国際原子力機関
、
IAEA
の
核査察
の再開などを見るまでもなく、
冷戦終結
から既に三年を経過いたしましたが、局地的にはいまだ紛争が鳴りやまず、
核兵器
は拡散し、
国際情勢
の
流動化
はむしろ増大しており、
PKO等国連
の
役割
は以前にも増して求められております。また、
世界
は依然として
経済摩擦
、南北問題、
環境
、エイズ、麻薬、難民などの問題が深刻化しております。 このような
状況
のもとで、
日本
だけよければよいといった一
国平和主義
や一
国繁栄主義
に陥ることなく、
世界
の
期待
と要請にこたえ、
相互依存
の
国際社会
においてその持てる
経済力
、
技術力
を活用して
世界
に貢献すべきであります。 まず、
我が国
の担うべき
役割
と
外交
の
基本方針
を
総理
より伺っておきたいと存じます。 二月中旬の
包括経済協議
の
物別れ
により、その後
日米
間にはぎすぎすした空気が随所に漂っております。本来、通商は
民間
の
市場原理
に基づき行われるべきものでありまして、
米国
の固執する
数値目標
の設定は
管理貿易
となるだけにこれを
我が国
が拒絶したことは当然としても、しかし言いたいことを言い合ったままで
物別れ
になり、それが大人の成熟した
関係
のあかしと自賛しているだけでは、しょせん
外交
は成り立つはずもないのであります。文字どおり、
日米関係
は
我が国外交
の基軸であり、そのパートナーシップが
世界
の平和と繁栄を構築するかぎであります。それだけに相手の要求が無理だからとして拒絶し、壊れて済むものではないのであります。 これまで我が
党内閣
が
日本
と
米国
の緊密な
同盟関係
を築き、
政治
・
安全保障
、
経済関係
、
文化交流
など幅広い分野で長年にわたり
友好親善外交
に努力してきただけに、今回の
物別れ
はまことにもって遺憾であります。 そうしたこれまでの粒々と積み上げた
外交努力
をも顧みず、
総理
が、過去
日米
間ではその場を糊塗するような玉虫色の決着を図ってきたなどと
発言
するに至っては、先人に対し無礼きわまる言辞であり、まさに
責任
を転嫁するもので容認するわけにはまいりません。むしろ、
細川総理自身
が対
米交渉
を
官僚
任せにし、
政治
の
リーダーシップ
を怠った
責任
こそがこの際問われるべきものであります。
総理
、あなたが記された
雑誌文芸春秋
、「「
自由社会連合
」
結党宣言
」によると、「
官僚主導
の
政治
を排する。
立法府主導体制
による
政治
の刷新と
リーダーシップ
の確立を図る。」と言っています。失礼ですが、あなたは
官僚
を使える
総理
なのか、それとも
官僚
に仕える
総理
なのか。
官僚
を使っていく
総理
なのか
官僚
にお仕えする
総理
なのか、どちらですか。この際、よくよく伺っておきたいのであります。 そこで
総理
、あなたは
交渉決裂
をどう反省され、今後の
包括経済協議
の打開に向け
日本
として対処していくおつもりか。あなたは既に、
規制緩和
の
推進
、
輸入投資促進策
の
推進
、
競争政策
の
積極的展開
、
政府調達
の改善の四項目について
具体策
の策定を急ぐよう指示していますが、その後の
具体的取りまとめ
の
進捗状況
はいかがになっておりますか、説明を願いたいのであります。 ともあれ、昨年千三百億ドルにも膨れ上がった
経常黒字
を現実に減らす
数値目標
を具体的に示すことが
貿易
の不
均衡是正
を促すことになるのではないかと
思い
ます。 このことに関し、去る二月二十五日の
関係閣僚懇談会
で、
総理
は、一九九四
年度
の
国内
総生産、GDPに対する
経常黒字比率
を
経済見通し
で示した二・八%に抑制することを達成すべき目標として自主的に表明すべきであると
発言
をされました。しかし一方、
外務省サイド
は、時を同じうして、達成されなかったとき
日米関係
はより悪化するとして
懸念
視する
発言等
がございましたが、
政府
としてどう調整されるの
かお伺い
をしたいと
思い
ます。 今回の
物別れ
を受けて、
米国
からは早くも
円高容認
、
制裁措置
などの報復的な動きが出始めました。円について見れば、二月十日の百八円から二月十五日には一時百一円九十銭まで急騰しました。
日銀等
による介入でその後一応おさまってはおりますが、
米高官
の
口先介入
などによりいつまた揺さぶられるかわからない
状況
ではありませんか。
円高傾向
が進めば
不況
にあえぐ
日本経済
に及ぼす
影響
ははかり知れず、深刻であります。
さき
の十五兆円の
総合経済対策等
はあっという間に吹き飛んでしまいます。 さて、去る四日未明、
クリントン大統領
は
包括通商法スーパー三〇一
条に署名しました。いよいよ
市場開放圧力
は具体化してまいったのであります。
我が国
としても、
日米関係
は
世界
の
経済秩序
を支える根幹として、
大局的見地
から
交渉期間
内の妥結を目指してこれに積極的に対応すべきと存じます。
政府
として、こうした
円高
問題や
制裁措置
の報復的な動きについてどう受けとめ
対策
を講ずるのか、その
対策
を承りたいのであります。 いずれにせよ、
日米関係
の先行きは不透明であり、決して明るいものではありません。あす九日、
クリストファー米国務長官
が来日し、協議が行われると聞いておりますが、このままの
状況
が長引けば
国民経済
や
国民生活
に及ぼす
影響
はさらに大きいものとなります。決裂、
物別れ
のままでなく、揺るぎない
日米関係
の再構築に向かって、
総理
、アメリカの納得のいく自主的な
市場開放策
を速やかに
政治決断
により決定し、
日米関係
の
円満修復
を図るべきであります。 対
ロシア
との
関係
については、
さき
の総
選挙
後、
エリツィン大統領
は孤立、
ロシア大国主義
の復活の
懸念
が高まっている中で、
国内情勢
も混沌としております。
我が国
としては、領土問題を解決して
平和条約
を締結すること、
ロシア
の
改革
を支持し、
国際協調
のもと応分の支援を行うこととしておりますが、
ロシア状況
の変化の中で今後の
方針
を伺っておきたいのであります。 さらに、
ロシア
は昨年十月、
日本
海で九百トンの
液体放射性廃棄物
の投棄を行い、二度目は
関係国
の強い抗議により中止いたしましたが、近く
核投棄再開
の
懸念
はないのか。事が生じてからでは遅過ぎます。事前に強く中止を要請すべきと
思い
ます。
中国
との
関係
は、昨日、
日中平和友好条約締結
十五周年を迎え、総じて良好であります。今後、
中国
の進める
改革
・
開放政策
への支援が重要であると考えていますが、対
中国政策
にどう臨む決意である
かお伺い
をいたします。
韓国関係
につきましては、昨年二月発足しました
金泳三政権
は対
日関係
の発展を重視しております。今後とも
個別案件
の解決を図りつつ、
日韓関係
の強化を図っていく必要があります。
総理
も昨年十一月訪韓され、
首脳外交
を展開されましたが、対
韓政策
をどう進められるのか。 特に、朝鮮民主主義人民共和国の
核兵器疑惑
については、唯一の
被爆国
として
核兵器
の拡散に強い
懸念
を持つものであります。
政府
として
米国
、韓国、
中国
及び国連と連携し、
北朝鮮
の
核兵器開発阻止
に一層の努力を求めるものであります。幸い
米国
と
北朝鮮
との合意で、
北朝鮮
が今月一日、
国際原子力機関IAEA
の査察を七つの施設に限って受け入れましたことは
核問題解決
の第一歩として評価いたしますが、いまだ多くの不透明な問題を残していると
思い
ます。
政府
としてこの実態をどう把握しているのか、また
我が国
としての対処の
方針
を
総理
にお
伺い
したいのであります。 資源のない
我が国
が
経済大国
として存立てきるのは
相互依存
の
自由貿易体制
によるおかげであります。そのためにも、持てる
経済力
、
技術力
を
開発途上国
の
国づくり
、
人づくり
に貢献すべきは当然のことであります。そしてその際、現地の情報、
ニーズ
を的確に入手して、
環境
への配慮を初めとして徹底的な
事前調査
を行い、
国民
の血税によるその
援助
が現地の人々に役立ち、
効果
が上がるよう十分に配慮すべきであります。それとともに、それが自後どのように評価されているか、フォローアップが肝要と
思い
ます。
援助
の
実施体制
や
評価状況
に
政府
としてどう取り組んでおられる
かお伺い
をいたします。 今や
我が国
の
ODA
の
予算規模
は約二兆円、
世界
一の
規模
であります。一昨年、
政府開発援助大綱
を定め、
ODA
の
基本理念
が明らかにされましたが、今後とも
我が国
は
平和国家
としてこの制度を拡充していくためにも、この際、例えば
ODA基本法
という形で
法制化
を図る必要があるのではないかと考えます。
総理
のお考えをお尋ねいたします。
総理
、
政治改革
にばかりかまけて、今
日本経済
はどうなっているのでありましょうか。 この三年、
経済活動
は大きく後退、かつて経験したことのない
不況
のどん底にあります。
バブル経済
の崩壊による
影響
で巨額の
資産デフレ
が金融、
消費面
を圧迫して
景気
が落ち込んでいるときに、昨年来の急激な
円高
に加えて、冷夏、凶作が追い打ちをかけ、今
日本経済
は戦後最長かつ
最大規模
の深刻な
デフレ不況
の様相を呈しております。企業は倒産、
勤労者
は首切りにおびえ、あすどうなるかという不安が全国に充満をしております。
政府
としても
総合経済対策
などを講じておりますが、
総理
はどうも
役人
や
中央財界
の声だけに耳を傾け、
地方
や
中小企業
などの悲痛な叫びを御存じないのではないかと思わざるを得ません。 これほど
経済
の
落ち込み
が著しいにもかかわらず、
政府
は本
年度
の
経済成長率
を〇・二%と見通しているのでありますが、一方
民間
の
調査機関
ではいずれもマイナス〇・五%程度と、第一次
石油危機不況
時すら下回る戦後最悪の
落ち込み
を見込んでいますが、
政府
の
景気
の
現状認識
は大変甘いのではありませんか。 今回の
不況克服
に対処するため、我が党は昨年十月に
河野総裁
を
本部長
とする
不況
・
冷害対策本部
を設置、三たびにわたる大
規模
な
緊急不況対策
を決定し、この実施を
政府
に要請するとともに、新
年度予算
の
年内編成等
を強く要望してきました。
政府
はこれをことごとく無視、第百二十八回国会において四十五日間の
大幅越年延長
を強行、新
年度予算
の編成が二月中旬にずれ込んだことは御案内のとおりであります。 そして、ようやく去る四日、新
年度予算
が国会へ提出されました。
政府
は第三次
補正予算
と本
予算
をあわせて十五カ月
予算
で対応などと言っていますが、こうした
細切れ予算
では第三次
補正予算
に盛り込まれた
公共事業
の執行にかなりの困難を伴うほか、新
年度
に入っても
政策的経費
が盛り込まれない長期の
暫定予算
を余儀なくされるだけに、
景気対策
の
効果
を一段と弱めるおそれがあるのではありませんか。まさに
経済無策
のツケがこうしたところにあらわれてくるのであります。 後手に回り、遅きに失した新
年度予算
について、
総理
はどう
責任
をお感じになっておられるか、御
所見
を承りたいのであります。 新
年度
の
景気見通し
につきましては、来
年度
も
民間設備投資
の回復がはかばかしくなく、
民間調査機関
は
所得税減税
などを前提としても大半が弱気で、平均〇・六%の低
成長
と見ています。もともと
経済成長見通し
は税収に直ちに響くほか、
国民
の
経営マインド
にも
影響
しますので、
不況期
はどうしても
高目
に見がちであります。今回も、結果的には
国内
総生産で二・四%に決定されましたが、過大であるとの論調が高まっています。この
成長率
を打ち出した根拠をこの際お示し願いたいのであります。
政府
は、二月八日の
総合経済対策
において、現在の
景気
の低迷を打開するため、
平成
六
年度
限りの
措置
として五兆四千八百億円の
所得税
、
住民税
の
特別減税
を実施する、また
公共投資等
の
拡大
七兆二千億円を決定しています。果たして、こうした一年間だけのぼら
まき所得減税
や
土地関係費
のウエートが大きくいわゆる
真水部分
の少ない
公共投資等
を中心とした
対策
で、
成長率
をどの程度押し上げることができるのか。
減税
の後には
大幅増税
の心配があり、またローンの
負担
にあえぎ、雇用不安が
拡大
する中、
消費者心理
から見て過大な
期待
はできないのではないでしょうか。具体的に
減税分
の
消費性向
、
成長率押し上げ効果
を
総理
はどう見ておられますか。 特に、私がこの際
指摘
をしておきたいのは、本年、
公共料金
や
年金掛金
のアップが
メジロ押し
であるということであります。
厚生年金
の
保険料率
が十月から二%引き上げられると、
家計負担
は年間一兆三千億円を超えると報ぜられております。これ以外に、既に
値上げ
の行われた
郵便料金
を初め、
国立大学入学金
、
首都高速道路料金
、
NTT料金
、
簡易保険料等
の改定も予定されているだけに、
国民
の
負担加重
は一層大変になります。 こうした
公共料金
の総
値上げ的傾向
は単に
国レベル
だけではなく、昨今の
都道府県議会
は
知事サイド
に立ってオール
与党化
の傾向が強いだけに、
地方
における
公共料金
の
値上げ
にも歯どめがかからない
状況
にあります。
政府
として、このような国、
地方
を通ずる
料金改定
の総額と結果をどう見通しているのか。多分、膨大な額に上る
国民負担増
はせっかくの
所得減税効果
の
相当分
を減殺することは必至であり、
史上最大
の
減税
、
レーガン減税
を上回るなどと盛んに宣伝していますが、その内実は見せかけの
減税
ではありませんか。
値上げラッシュ
は
国民
の懐を直撃します。これでは
生活者優先
、
消費者重視
の表看板が泣くというものであります。
総理
はこれにどうお答えになられますか。物価は
経済政策
の帰結であります。確たる御
所見
を承りたいのであります。
規制緩和
につきましては、
政治改革
に次ぐ
経済改革
の柱として
推進
されるそうでありますが、この中には当然に
時代
の進展や
国民ニーズ
の変遷により存続する必要のないものもあり、また一方、
国民生活
の安全の上から、例えば
環境
、薬品、食品など
健康等
にかかわるものは当然残さねばならず、ただ一律に
自由化
すればよいというものではありません。役所の指導、
規制
には、それとの兼ね合いで保護と助成があり、それらと均衡のとれた形で
経済
の
活性化
、内需の
拡大
、輸入の促進を図っていくべきであります。
規制緩和
は、これまでも
臨時行政改革推進審議会
などが何回となく提言しながらも、目に見える成果を上げることができませんでした。その
最大
の理由は、権限の縮小を恐れる
官僚
と
既得権益
を守ろうとする業界の抵抗、反対でありました。
規制緩和
はいよいよ
総理
のかけ声により
実行段階
に入りますが、どうか絵にかいたもち、結果として腰砕けに終わらないよう毅然たる決意で臨まれることを強く希望しておきます。 大天災、
不況
の真つただ中、農産物の総
自由化
により
農業
は大きな衝撃を受け、国を挙げて早急に
農業
、農村の再建に取り組む必要があります。この問題は同僚の
竹山議員
の
質問
に譲りたいと存じますが、
農業合意
に伴う批准や
食管法等
の改正はこれからであり、農政の信頼を回復できるかどうかが大きな問題であることを一言この際強く申し上げておきます。
細川内閣
は、
内閣
の看板に、
責任
ある
変革
と
質実国家
の形成を掲げ、これを六
年度予算
に反映させることを公約としてこられました。しかし、
連立政権
のもとで初めて編成された六
年度予算
の一体どこを見れば
変革
がわかるのでありましょうか。一例として、最も注目された
公共事業費
の
配分比率
を見ましても、その変更は前
年度
対比の
構成比
が五
年度
当初の〇・五%から六
年度
は一・六%になった程度で、これではだれが見ても
生活者重視
の
変革
の名に値しません。証拠をぜひお示しいただきたいのであります。 また、
防衛関係費
を三十四年ぶりに一%以下に抑制したとして得々としておられますが、
世界
の動向を見れば当然の
方向
で、
連立政権ゆえ
に可能になったものでないことは明らかであります。加えて、
防衛関係費
が抑制されたのは六
年度
支出予定
の
国庫債務負担行為
が五十七億円も後
年度
に繰り延べられた結果ではありませんか。
総理
の明確な答弁を求めたいと
思い
ます。
我が国
の財政は、
バブル経済
の崩壊に伴い大幅な税収の減少に見舞われ急速に悪化しております。特に、五
年度
は累次の
景気対策
の策定で
建設国債
の増発が続き、さらに六
年度
も
建設国債発行
が
史上最高
の十兆五千億円余に上るほか、
所得税減税
の財源として三兆円を超える
赤字国債
の
発行
とあわせて総額十三兆六千四百三十億円の
国債
の
発行
が予定されております。その結果、
公債依存度
は五
年度
当初の二・二%から一八・七%へと
昭和
六十二
年度
の水準まで一気にはね上がり、六
年度
末の
国債残高
は二百一兆円になるのであります。またその一方では、歳出の後
送り等
の
措置
で二兆円近くも隠れ借金をふやしています。さらに、
平成
二
年度
から再開していた
定率繰り入れ
を再び停止しており、
細川連立政権
になって以降、
我が国財政
は急激に悪化していることは紛れもない事実であります。
政府
は、六
年度予算
で
減税
見合い分を除く
赤字国債
の
発行
を回避できたと自画自賛しておりますが、それこそ小手先の小細工を弄したにすぎません。すなわち、
建設国債
を
発行
してNTT資金の償還資金を確保し
国債
整理基金に繰り戻す方式は
赤字国債
発行
による
定率繰り入れ
の修正版で、見せかけの
赤字国債
発行
回避であります。
連立政権
のこのようなその場しのぎの財政運営の手法は、
我が国
の財政運営の基本を誤るものと断ぜざるを得ません。 加えて、
平成
七
年度
に
公債依存度
を五%以下に抑制するという財政再建目標が今や完全に破綻したことはだれの目にも明らかであります。 これらの問題点について、
政府
として今後財政の体質改善をどのようにして図り目標の達成に結びつけるのか、財政運営の
基本方針
とあわせてお示しをいただきたいと
思い
ます。
細川内閣
は、六
年度予算
で五兆四千八百億円の
所得税
・
住民税
減税
の実施を決断されました。しかし、それが決定されるまでの手順と経緯はまさに拙劣かつ不透明、非民主的なものであったと言わざるを得ません。真夜中に突如として
国民
福祉税創設が発表されたかと思うと、たちまち白紙撤回されるという騒ぎはおよそ近代議会制民主主義のもとでは考えられない軽挙妄動で、
連立政権
による
政策
立案過程の不透明さと限界を露呈したものと言わざるを得ません。 長引く
不況
対策
として
所得税減税
の先行実施は今や
国民
的合意であるにもかかわらず、
減税
をだしに実質増税をのませようとしたかと思うと、突然一年限りの
減税
に値切ってみたり、かてて加えて、
さき
にも触れましたように、他方では
景気
刺激
効果
を大きく薄めるような年金保険料の大幅引き上げを行うなど
政策
の一貫性はみじんもなく、およそ
政策
の名に値するものとは申せません。 また、今般のG7蔵相
会議
において、包括協議が決裂した
米国
等から一年限りの
減税
がやり玉に上げられて報復
措置
をちらつかされると、藤井蔵相は慌てて七
年度
以降も
減税
を行うことをほのめかすなど、その対応は支離滅裂で、あいた口がふさがらないのであります。
所得税減税
は
国民
が要求してもやらないが、
米国
から要求されれば唯々としてやるというものなのか。
総理
は、藤井蔵相にそのことを指示されたのかどうか。指示されていないとすれば、これはまさに
内閣
不統一ではありませんか。答弁を求めます。
連立与党
では、今年中に税制の抜本
改革
をまとめ、法案を成立させることで合意し、先月中旬には与党内に協議機関が設置されたと言われていますが、今後はどのような手順と方式で協議を進められますか、まずお示しいただきたいと
思い
ます。 どうか
国民
に開かれた形で協議が行われ、将来のあるべき
国民
負担
率や所得・消費・資産の間のバランスのある税体系の姿を
政府
は
国民
の目の前に示す
責任
があります。それと同時に、これから行おうとしている
政治改革
の理念と基本的
方向
を明確にしていただきたいのであります。 去る一日衆議院で、また四
日本
院で、我が
参議院
が一月二十一日否決した
政治改革
四法案が
総理
・総裁会談の合意を受けて修正議決されました。 事ここに至ったもろもろの原因は、我が自民党も大いに反省しなければなりませんが、主として、解散風をちらつかせ、両院協議会で事がうまく運ばなければ憲法第五十九条二項に戻り三分の二の再議決を求めるという
連立与党
指導部、いわゆるGHQの両面作戦によるものであります。戦後議会史にこれまで実例がなく、学説的にも
意見
が分かれている一方の説をとろうとするときは、少なくとも両院の正副議長、議運の委員会で円満な話し合い、合意に基づいて行うべきは当然であります。 また、総・総会談という政略的なこそくな手段で何が何でもという強権的姿勢が結果として我が党などの反発を招き、必要以上の妥協を余儀なくされたのではありませんか。合意事項を取りまとめた一方の当事者として
総理
は今回の経緯をどう受けとめておられるのか、
所見
を求めるものであります。
参議院
が二院制のもと、良識の府として衆議院に対する抑制、均衡、補完の
役割
を果たし、独自性を発揮するには、衆議院と異なる
選挙
制度の仕組みにより
議員
を選出することが肝要であります。それとあわせて議会の運営についても、
参議院
らしい充実した審議を通じて民意を正しく反映することが求められていると
思い
ます。 我が党が
国民
のこうした
期待
と関心にこたえて、
参議院
の真価を発揮するため党内に
参議院
改革
研究会を設置し鋭意真剣に検討していることは、昨年一月私がこの壇上で申し上げたとおりであります。
参議院
の
選挙
制度の
改革
問題については、我が党はかねてより検討を続けてまいりましたが、昨年八月、改めて
参議院選挙
制度検討委員会を設置し、一、
参議院選挙
制度の仕組み、二、総定数、三、比例区
選挙
、四、
選挙
区
選挙
について
改革
案を取りまとめております。 現実の政党
政治
を肯定しつつも、衆議院
選挙
制度との対比においてどうあるべきか、また、過ぐる大阪高等裁判所における
選挙
区定数の違憲判決等に照らし、その是正は急務と存じます。 もとより、
選挙
制度の
改革
案は各党の土俵づくりであるだけに、各党の合意を踏まえたものであることが望ましいのでありますが、
政府
として、
参議院選挙
制度の改善についていかなるお考えをお持ちであるか、また、いつを目途に法案の提出をされるおつもりか、
総理
の御
所見
をしかとお
伺い
いたします。
選挙
制度の
改革
と並んで、否、それ以上に大事なことは、二院制の妙味が発揮されるよう
参議院
の組織や運営を改善することであります。 私は、これまで
参議院
自民党の国会
対策
委員長として、また幹事長として議会運営に少なからずタッチしてまいりましたが、絶えず念頭にありましたことは、いかにして
国民
の目から見える開かれたガラス張りの運営を行うか、そしてまた、六年という長い任期に基づいて総合的、長期的、専門的な立場から重要国策について長期的なビジョンを示せないかということでありました。今こそ、多様化した
国民
の
ニーズ
を踏まえて新しい
参議院
へ脱皮するために、与野党が胸襟を開き、垣根を乗り越えて
思い
切った
改革
に取り組むべきと
思い
ます。 また、ここで特に私が強調したいことは、立法府の使命に照らし、
議員
立法の積極的
推進
を図るということが急務であると考えます。幸いこの一年間において、小さな芽ではありますが、我が党の発議による
議員
立法が四件の成立を見ましたことは、
関係
委員会並びに同僚
議員各位
の御協力のたまものであり、深甚なる敬意を表したいと存じます。もとより、
議員
立法は一党一派の提案やメンツにこだわることなく、広く本院を構成する与野党が協調し、その合意に基づいて積極的な
推進
を図ることが本院の使命の達成に通ずるものと信じます。
参議院
議員
たる我々は絶えず
国民
の厳粛な負託に心し、あるべき
参議院
を求めて
改革
の灯を常に掲げるべきであります。衆議院のカーボンコピーと言われる中で、いかにしてその独自性、自主性を発揮していくか、さまざまな角度から原点に立ち返って与野党が真剣に議論し合い、
国民
のために新しい
参議院
の構築を目指すのはまさに今であります。 以上で
質問
を終わりますが、最後に一言申し上げます。
総理
、
総理大臣
は議院
内閣
制のもと、国会と行政の接点に位置して両者を調整統合する大きな
役割
を担い、
日本
国
政府
を代表する顔であり、国のすべてを担う総
責任
者であるはずであります。それだけに
総理大臣
に最も要請されることは、国政を統治する強い強い指導力がなくてはなりません。
細川総理
、あなたは
政権
を担当して七カ月、これまで
国内
外の事に当たり、
国民
だれしもが納得する冷静な判断力と強い
リーダーシップ
を発揮したとの自信がおありでしょうか。 顧みてはっきり言えることは、一つ、
細川
政権
の意思決定が権力の二重構造と言われる特定の偏った人の指示どおりに動き、
総理
自身の信念に基づいた行動がいつも見えないということであります。 二つ、
内閣
にとって最も重大な年内の
予算
編成を
政治改革
にかまけて放棄し、
中小企業
や
勤労者
の嘆きを犠牲にする
経済無策
でありたということであります。 三つ、突如としてあらわれ消えた
国民福祉税構想
や
日米
包括協議の
物別れ
に見られるように、重要
政策
の多くが
官僚
に牛耳られ、
政治
の主体性、
責任
が全く欠如していたことは紛れもない事実であります。 かかる事態を見るにつけ、冒頭、例として申し上げた
近衛公
とまさにうり二つと思えてなりません。すなわち、
参議院
の議会
政治
のよき伝統を否定し、二枚舌で米の市場開放を強行し、新
年度予算
を越年編成し、
日米
包括協議を決裂にし、さらに
内閣
の統治能力を喪失するに至っては、もはや刀折れ矢尽きたのではありませんか。世に言うガラス細工の連立野合
政権
の基盤は根底から音を立てて崩れ始めたのであります。 現下、
国内
外の難局を乗り切るため、先見性と
責任
感、真に決断力に富んだ新しいリーダーの登場こそ必要であります。入党
会派
から成る
連立政権
は自民党の
政策
を承継することでスタートしましたが、
基本理念
の相違はいかんせん重要
政策
であればあるほど混迷し、対応はすべて先送りされたではありませんか。 そうしたあなたの
政治
姿勢から、今や
期待
性、可能性の魅力は消え、
内閣
は機能不全に陥り、
国民
の熱い
期待
は冷笑に変わりつつあります。 にもかかわらず、あなたは
政治改革
の次は
経済改革
などと真顔で言われていますが、
政治改革
を唯一共通の
政策
課題として誕生した八頭立ての馬車、
細川連立政権
の使命はもはや終わったものと
思い
ます。 一
内閣
一仕事というよい言葉があります。春風とともに咲く桜の花も我が世の春を謳歌するのはほんのいっときにすぎません。ここに
細川総理
の潔い退陣を求めまして、私の代表
質問
を終わりたいと
思い
ます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔
国務大臣
細川
護熙君登壇、拍手〕
細川護煕
3
○
国務大臣
(
細川
護熙君) 初めに、米不足についてのお尋ねでございましたが、
政府
としては三月は国産米の売却量をふやしたところでございまして、全体的な供給量に不足はございません。また、
輸入
米の配送の機動化、迅速化あるいはまた国産米と
輸入
米とのブレンドの積極的な活用の指導など、当面の事態に
対応
して最善の
措置
を講じているところでございます。 それから、私と祖父との比較についてのお話がございました。祖父と私の比較論がいろいろなされていることは私も承知をしておりますが、
時代
も異なりますし、置かれた背景も置かれた
状況
も全く異なるものでございまして、比べてみること自体、私は関心もございませんし、余り意味のあることだとも思っておりません。 次に、
政策論争
を通じた
政界再編
についてのお尋ねでございますが、何回かの
選挙
を経て各党が
政策
や
理念
に従って分かれて、いわゆる穏健な
多党制
に収れんをしていくであろうという私の見通しにつきましては、再三申し上げてきたところでございます。しかし、当面は来るべき国政
選挙
への
対応
に関して
連立与党
各党の一致結束が必要であるということを申し上げているところでございます。 そういうことを申し上げますのは、自民党の長期一党支配のもとで進んだ
政治
、
経済
、社会の構造の硬直化を打破することがこの
連立政権
を誕生させた
国民
の
期待
であったというふうに考えているからでございます。
参議院
の院内
会派
のことについてのお尋ねでございますが、本院の新
会派
はそれぞれの
会派
の自主的な御判断によって発足をしたものでございまして、私がそれを陰で操ったというようなことは全くございません。 次に、
我が国外交
の
基本方針
についてのお尋ねでございますが、今日の
国際情勢
は依然不透明で流動的な
状況
でございますが、このような中で
我が国
としては
経済
的な
支援
はもちろんのこと、人的な協力や知的な協力など
我が国
が有する資産を十二分に活用して、またそれをうまく組み合わせることによって平和憲法を有する
我が国
ならではの多角的な
国際貢献
を展開し、より平和で
繁栄
した
世界
の実現に取り組んでいかなければならないということだろうと思っております。
官僚主導
の
政治
ではないかというお尋ねもございましたが、この
政権
は「
責任
ある
変革
」の旗印のもとで入党
合意
の
政策
を着実に実行しておりまして、
官僚
の方々は我々の意を体してそれぞれの施策の
推進
に御
努力
をいただいているわけで、御
懸念
のようなことはないと思っております。
規制緩和
の
推進
についてのお尋ねでございますが、御
指摘
の
具体策
につきましては今月中に取りまとめるべく現在検討をしているところでございまして、まだその内容を明らかにする
段階
ではございません。 次に、経常収支黒字の
目標
についてのお尋ねでございますが、私はそれを自主的に表明すべきだと、そのようなことを申し上げたことはございませんが、基本的に、
政府
経済見通し
の数字につきましては、
我が国
の
経済
は
民間
活動がその主体をなすものでございますし、ある
程度
の幅を持って考えられるべきものであると考えております。特に、経常収支は各国間の自由な
経済活動
の結果であって、また予見しがたい国際
環境
の変化に大きく左右されやすいものでございますから、単に一国の
経済政策
や構造調整によって自由に調節できるものでもございませんし、特定の数値を
目標
として掲げることは不適切であるというふうに考えております。
円高
についてのお尋ねでございますが、為替の相場は
経済
の基本的な要因というものを反映して安定的に推移することが望ましいことは申すまでもございません。今後とも為替相場の動向に注視し、適宜適切に
対応
してまいりたいと思っております。 スーパー三〇一条についてのお尋ねでございますが、このたびの
米国
政府
の決定には
政府
としても
懸念
をいたしております。今後、
米国
政府
がどのような
措置
をとるのか注視をする必要がございますが、
政府
としては、
米国
政府
に良識のある判断と行動を強く
期待
をいたしますとともに、
我が国
としても冷静に対処していかなければならないというふうに考えております。
政府
としては、
米国
内の
動き
いかんにかかわらず、一層の市場開放への自主的な
措置
を三月中に打ち出すというととで、できる限りの今
努力
をしているところでございます。 対ロ
政策
についてのお尋ねでございましたが、
政府
としては昨年十二月の新議会
選挙
以降の
ロシア
の
国内情勢
を注視しているところでございます。
我が国
の
ロシア
外交
の基本は、あくまでも北方領土問題を
解決
して
平和条約
を締結することによって日ロ
関係
の完全な正常化が実現するように粘り強く交渉していくとともに、
ロシア
国内
の
改革
に対しては他のG7諸国とも協調をしながら適切な
支援
を行っていくというものでございまして、その基本的な立場に変更はございません。 また、
ロシア
の核廃棄物の
投棄
についてのお尋ねもございましたが、
ロシア
の行為は近隣諸国に対する配慮に欠けるものでありまして、大変遺憾なことだと思っております。
我が国
としては、
ロシア
政府
に対しましてこのような
投棄
を全面的に中止するように繰り返し申し入れをしてきたところでございます。今後とも、機会をとらえまして
ロシア
政府
に対してこのようなことを行わないように申し入れをしてまいりたいと思っております。
中国政策
についてお尋ねがございましたが、
我が国
としては、
中国
が
政治
、
経済
両面にわたって
改革
・
開放政策
を着実に進めていくということを希望しておりますし、
中国
のこのような
努力
に対してできる限り
支援
をしていく
方針
でございます。 また、新たな
段階
に入りました日中
関係
を一層良好な、また
国際社会
が直面する諸問題についてともに積極的に貢献をしていく、そういう
関係
に発展をさせていきたいものだと思っておりますし、今月後半に予定しております訪中の際にも、今申し上げましたような観点から
中国
側の指導者と率直な
意見
の交換をしてまいりたいと考えております。 対
韓政策
についてのお尋ねでございますが、日韓両国は自由・民主主義あるいは市場
経済
という基本的な価値を共有する隣国でございますし、両国
関係
の発展は両国の利益であるだけでなく、アジア・太平洋の地域にもまた
世界
にとっても極めて重要な
関係
であると認識をいたしております。そういう認識に立ちまして、今後とも、今お話がございましたように
個別案件
の
解決
を図りながら未来志向的な両国
関係
の構築に努めてまいりたいと思っております。
北朝鮮
の
核兵器
開発の問題についてのお尋ねでございますが、
北朝鮮
が現在既に
核兵器
を保有しているかどうかということにつきましては、明確なことを申し上げられる
段階
ではございません。そのような疑惑を払拭するためにも、
IAEA
による
査察
を完全に受け入れることが重要であると認識をいたしております。
我が国
としては、この問題の
解決
のために、
米国
、
韓国
を初めとする
関係国
と連携をとりながら
北朝鮮
に強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、
政府
開発
援助
の
実施
あるいはその評価についてのお尋ねでございますが、
我が国
は相手国
国民
の
ニーズ
に即したきめの細かい
援助
を
実施
してまいりますために、相手国
政府
との
政策
の対話、
意見
の交換や入念な
事前
の調査を行いますとともに、事後の評価の拡充にも努めているところでございます。また、
援助
の
実施体制
につきましても、
関係
省庁や
援助
実施
機関との連携の強化に努めてきているところでございまして、御
指摘
の点も踏まえましてさらに
努力
をしてまいりたいと思っております。
ODA基本法
についてもお尋ねがございましたが、途上国の
援助
につきまして、一昨年、
政府開発援助大綱
を定めまして、
援助
についての基本姿勢を明らかにいたしました。また、本
年度
より新たに
ODA
報告書を作成いたしまして、
援助
の透明性を一層高めることに努めてきているところでございます。現在の
実施体制
は、全体として順調に機能しているというふうに考えております。 他方、
援助
基本法は
我が国
の
国際貢献
あるいは
外交
の上で必要不可欠な
援助
の機動性、柔軟性を損なうという
懸念
もございますので、
援助
基本法の問題につきましては、今後とも大綱や現行の
関係
法令等の枠内で、改善すべき点は改善しながら効率的な
援助
の
実施
を図っていくことが適当ではないかと考えております。
景気
認識についてのお尋ねでございますが、
我が国
経済
は
民間
部門でストック調整が進むなど一部に明るい面が見られますものの、総じて低迷が続いております。
政府
としては、このように厳しい
状況
にある
我が国
の
経済
を六
年度
中のできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せて七
年度
以降の安定
成長
を確実なものにしていくために、来
年度
末までの間に可能な限り有効な施策を展開していくことが重要であるという認識のもとに十五兆円を上回る総合的な
経済
対策
を
策定
いたしましたほか、六
年度予算
につきましても、
さき
の第三次
補正予算
とあわせまして可能な限り
景気
に配慮するように努めているところでございます。 新
年度予算
の提出が遅かったのではないか、こういうことでございましたが、
政治改革法案
の審議など諸般の情勢を総合的に勘案をいたしまして越年
編成
とすることにいたしましたが、同時に第三次
補正予算
を
編成
し、切れ目なく
景気
の浮揚に努めることとしたところでございます。
経済
成長
の二・四%の根拠はいかなるものか、こういうことでございますが、
政府
としてはできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せるべく、先ほども申し上げましたように諸施策を着実に
実施
をしてまいりたいと考えております。これらの諸施策によりまして、
政府
投資は高い伸びとなり、住宅投資も堅調に推移するものと見込まれるところで、これが
国内
の需要にも波及していくと考えているところでございます。 それに加えまして、大
規模
な所得
減税
は個人消費の伸びを高め、
民間
部門のマインドを好転させるものと
期待
をしているわけで、設備投資も回復に向かっていくものと考えているところでございます。 そういうことから、六
年度
の
国内
総
生産
の実質
成長率
は
政府
経済見通し
にお示しをした伸びになるものと見込んでいるところでございます。
減税
による
消費性向
、
成長率押し上げ効果
をどういうふうに見ているか、こういうことでございますが、約五兆五千億円という今回の
所得税
、
住民税
の
減税
は、
所得税
や個人
住民税
収の約一六%を占める巨額のものでございますし、家計や
企業
におけるストック調整が着実に進展し、好調な住宅関連の消費や耐久消費財の買いかえ需要が見込まれる現時点におきましてこれだけの
規模
の
減税
をまとまった金額で
実施
をするということは、
消費者
のマインドを好転させ、相当な
景気
刺激の
効果
を持ってあろうというふうに思っております。
経済成長率
に与える
影響
について試算をいたしますと、これが実行された後一年間の波及
効果
は四
年度
名目GNPの〇・六%
程度
になるものと考えております。 なお、今回の所得
減税
が
消費性向
に与える
影響
につきましては適当な資料がなく、試算を行うことは難しいということを御理解いただきたいと存じます。
公共料金
の問題についてのお尋ねでございましたが、
公共料金
につきましては経営の徹底した合理化を前提として、物価や
国民生活
に及ぼす
影響
を十分考えながら取り扱うこととしておりまして、その
値上げ
に当たりましては真にやむを得ないものに限るとともに、その
実施
時期や
改定
幅につきましても極力調整をしてきているところでございます。今後とも適正な
公共料金
が確保されますように、
政府
部内におきまして緊密に連携を図ってやってまいりたいと思っております。また、
円高
差益の還元、
競争政策
の
推進
などを
実施
していくことによりまして、今後とも物価の動向によく注意を払ってまいりたいと考えております。
公共料金
の
値上げ
と物価についてもお尋ねがございましたが、今申し上げましたとおり、
公共料金
につきましては
国民生活
への
影響
なども十分考慮して取り扱うことにしているところでございますが、物価の安定は何と申しましても
国民生活
安定の基本要件でございますし、
経済
運営の基盤となるものでございますから、物価の安定には当然のことながら十分に意を用いてまいりたいと思っております。
規制緩和
についてのお尋ねでございますが、
規制緩和
は
経済
構造の
改革
を進めていく上で避けて通れない課題であると認識をしております。
さき
に閣議決定をいたしました行政
改革
の
推進
方策におきましても、
規制緩和
の
推進
を大きな柱として、まず当面の緩和
措置
の着実な実行に加えまして、
規制緩和
推進
計画の
策定
など中期的な取り組みの方策について定めたところでございます。重点的にこれを
推進
していくことが重要であるというふうに考えておりまして、特に、住宅、土地、
情報
・通信、流通などの分野に関するそういった
規制
の見直しにつきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
公共事業費
の配分についてのお尋ねがございましたが、六
年度予算
における
公共事業
の配分に当たりましては、住宅、下水道、
環境
衛生、公園などの事業につきまして他の事業に比べて相当高い伸びの
予算
を確保しておりまして、
国民生活
の質の向上に資する分野に重点的に配分をいたしたところでございます。 次に、
防衛関係費
についてのお尋ねでございますが、
平成
六
年度
の
防衛関係費
につきましては、
国際情勢
の変化などを受けて修正されました中期防のもとで、
財政
事情などを踏まえて対前
年度
比〇・九%増に抑制をしたところでございます。 正面経費につきましては、六
年度
歳出額が五
年度
歳出額に比べて五十七億円減少しておりますが、これは六
年度
調達予定の装備品の調達スケジュール、
生産
工程などが五
年度
調達の装備品と異なっていることなどのために生じたものでございまして、御
指摘
のように後
年度
に繰り延べたものではございません。こういうことでございます。
財政
再建
目標
と
財政
運営の
基本方針
についてのお尋ねでございましたが、
我が国
の
財政
は
平成
六
年度
末の公債残高がついに二百兆円を超えるものと見込まれておりまして、
国債
費が歳出
予算
の約二割を占めるというように大変深刻な
状況
に立ち至っております。 そういう認識に立ちまして、
財政
審議会会長の談話におきまして、今後の中期的な
財政
運営のあり方として、公債残高が累増しないような体質をつくり上げるという
努力
目標
に改めて取り組むべきであるという
指摘
がなされたところでございまして、今後すべての歳出項目について制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、従来にも増して徹底した洗い直しを進めてまいりたいと思っております。 今回の
所得税減税
についてのお尋ねがございましたが、今回の所得
減税
は、御承知のように
連立与党
代表者
会議
の
合意
を踏まえまして、年内に税制
改革
を実現するという
方針
のもとで、現在の低迷する
経済
状況
を打開するために緊急避難的に六
年度
限りの
措置
として行うこととしたものでございます。
さき
のG7、
日米
蔵相会談におきましては、今申し上げましたような税制
改革
や今回の所得
減税
の意義、内容、
効果
などにつきまして十分説明をし、今回の所得
減税
は年内に実現を目指す税制
改革
につながる重要な第一歩である旨の理解を各国に求めたところでございます。 税制
改革
の年内実現を図ることにつきましては既に閣議決定を行っておりますし、
さき
の
合意
に基づく与党の
協議
を踏まえて、
政府
まその実現に向け
努力
をしてまいりたいと思っております。 税制の抜本
改革
についての手順と方式、あるいは
理念
と基本的な
方向
といったようなことについてのお尋ねでございますが、税制
改革
につきましては
さき
に年内の
国会
において
関係
の法律を成立させるという与党の
合意
が成立をいたしました。これを受けまして、その後、福祉社会に
対応
する税制
改革
協議
会がスタートいたしますとともに、その下に三つの小委員会が設置されて既に検討が始められているところでございます。今
国会
中には
協議
会としての結論を出すという
方向
で、今後積極的な議論を詰めていただけるものと考えております。 いずれにしても、高齢化社会におきましても活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築するためには、
国民
一人一人がそれ相応の費用、
責任
を分かち合わなければならないわけで、バランスのとれた税体系を構築をすることが必要であると考えております。
政府
としては、このような基本的な考え方に沿って、年内に税制
改革
の実現を図るように
努力
をしてまいりたいと思っております。
政治改革
と総・総会談についてのお尋ねでございますが、議会の審議の手続に従って与野党の
合意
が得られない場合に、
政党
のリーダー同士が話し合うことは
政党
政治
のルールの一つであって、また
国民
の声もトップ会談で事態の打開を図るべしというところにあったと
思い
ますし、そのことが政略的なこそくな手段であるとは思っておりません。いろいろな経緯はございましたものの、ともかく
政治改革
関連法案の成立を見たことで
国民
各位の御
期待
におこたえすることができたと考えているところでございます。
参議院
の
選挙
制度
改革
についてのお尋ねでございますが、
参議院
の
選挙
制度
改革
に関して
参議院
自民党におかれては既に
改革
案を取りまとめておられるわけで、そのことには敬意を表する次第でございます。また、
参議院
連立与党
におきましても、
改革
案づくりに向けて鋭意検討を進めていただいていると承知をいたしております。
参議院
の
選挙
制度のあり方につきましては、今回の衆議院の
選挙
制度の
改革
を踏まえて、二院制の趣旨が生かされることを基本として、今後、各党各
会派
間で十分御論議をいただきたいと考えておりますし、
政府
としてもその結果を尊重してまいりたいと思っております。 以上でございます。(拍手)
原文兵衛
4
○議長(
原文兵衛
君) ただいま理事が
協議
中でございますから、しばらくお待ちください。 答弁の補足があります。
細川内閣
総理大臣
。 〔
国務大臣
細川
護熙君登壇、拍手〕
細川護煕
5
○
国務大臣
(
細川
護熙君)
国民
福祉税の撤回の経緯について、これはお尋ねではなくて御
指摘
だったというふうに
思い
ますのですが、再度答弁を求めるということでございますから、私から再度答弁を申し上げます。 この経緯につきましては、昨年の九月以来、税制調査会あるいは
連立与党
の中の各党の
協議
会等におきまして随分と論議を重ねてまいりました。しかし、
連立与党
の中でも異論が出ましたために、最終的により慎重な判断が必要である、こういう判断のもとにこれを撤回させていただいた、こういうことでございます。 それから、大蔵大臣と私との間で、G7の大蔵大臣の
発言等
々の間で違いがあるのではないか、こういうお尋ねでございますが、これはそういうことはございません。一部の報道でそういうことがなされておりますが、それは事実と違うということを申し上げておきたいと
思い
ます。(拍手)
原文兵衛
6
○議長(
原文兵衛
君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原文兵衛
7
○議長(
原文兵衛
君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十六分散会 ―――――・―――――