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1994-06-02 第129回国会 参議院 文教委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
六年六月二日(木曜日) 午後零時十分開会
—————————————
委員
の異動 五月十六日 辞任
補欠選任
石井
一二君 北澤 俊美君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
石井
道子
君 理 事 宮崎 秀樹君 森山 眞弓君 篠崎 年子君 及川 順郎君 委 員
井上
裕君
世耕
政隆君 田沢 智治君
南野知惠子
君
肥田美代子
君 乾
晴美
君 小林 正君 片上 公人君 橋本 敦君
国務大臣
文 部 大 臣
赤松
良子
君
政府委員
文部政務次官
勝木
健司
君
文部大臣官房長
吉田 茂君
文部省
生涯
学習
局長
岡村 豊君
文部省初等中等
教育局長
野崎 弘君
文部省教育助成
局長
井上
孝美君
文部省高等教育
局長
遠山 敦子君
文部省高等教育
局私学部長
泊 龍雄君
文部省学術国際
局長
佐藤 禎一君
文部省体育局長
奥田與志清
君
文化庁次長
林田 英樹君
事務局側
常任委員会専門
員 菊池 守君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
教育
、
文化
及び
学術
に関する
調査
(
文教行政
の
基本施策
に関する件) (
平成
六年度
文部省関係予算
に関する件)
—————————————
石井道子
1
○
委員長
(
石井道子
君) ただいまから
文教委員会
を開会いたします。
教育
、
文化
及び
学術
に関する
調査
を議題といたします。
文教行政
の
基本施策
につきまして、
赤松文部大臣
から
所信
を聴取いたします。
赤松文部大臣
。
赤松良子
2
○
国務大臣
(
赤松良子
君) 第百二十九回国会におきまして、
文教各般
の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。 現在、我が国は、時代の変化の大きなうねりの中にあると言えましょう。国際化、情報化、
科学技術
の進展、
産業構造
の変化、高齢化・
少子化等
の人口構造の変化、労働時間の短縮と自由時間の増加、女性の
社会進出
など、社会のさまざまな局面において、広範かつ急速な変化が生じつつあります。
文教行政
は、このような時代の変化に柔軟かつ的確に対応していかなければなりません。 一方、
文教行政
は、
人間そのもの
に深く根差した諸活動を扱う行政であります。教育は知・徳・体にわたる
人間形成
を目指す活動であり、学術は真理の探求という人間の基本的な
知的欲求
に根差した活動でございます。また、文化と
スポーツ
は精神と身体を通じた人間の
本源的欲求
の実現を求める活動でございます。これらは、人間が人間である限り時代を超えて変わらない価値を追求する営みであると言えましょう。 変わる時代への柔軟かつ的確な対応と時代を超えて変わらない価値の追求、この二つの使命をいかに統一していくかは、常に
文教行政
の大きな課題であります。我が国が、時代の変化に対応しつつ、創造的で活力に満ち文化の香り高い国家として発展し、世界に貢献していくため、また、国民一人一人がゆとりと潤いの中で多様な個性を発揮し、
自己実現
を図ることができるような、より豊かで安心のできる社会をつくっていく上で、教育・学術・文化・
スポーツ
の果たすべき役割はますます重要となると考えます。 特に、来るべき本格的な少子・
高齢社会
の到来に対応しつつ、我が国が本当の意味での豊かさを実感できる明るく活力のある社会を築いていくためには、子供たちから高齢者の方々まであらゆる人々の日々の生活に深くかかわる
文教行政
において、生活者の視点にも配慮しつつ、やわらかい発想を持って、一人一人を大切にする施策を進めていくことが必要です。また、教育や
学術研究
を未来の
国づくり
の基本となるものととらえ、多様な個性が重んじられ、新しい文化や
経済活動
が生み出されるような社会の実現を目指していくことがますます重要になってまいります。 さらに、
国際家族年
の今年、家族を大切にし、よりよい家族のあり方を考えていく上でも、また、今日重要な課題となっている
男女共同参画型社会
の形成に取り組んでいく上でも、
文教行政
に期待される役割には極めて大きいものがあります。 私は、このような
文教行政
に課せられた使命に思いをいたし、新しい時代の要請にこたえる
文教行政
を積極的に推進してまいります。 以下、主要な課題について、私の基本的な考えを申し述べます。 第一の課題は、個性と自立を目指す
教育改革
と生涯
学習社会
の構築であります。 今日、個性豊かな自立した人間性を育てるため、学歴偏重の弊害を是正しつつ、主体的、創造的に生きていく能力を育て、一人一人のよさや可能性を伸ばす教育を目指して
教育改革
を推進し、生涯
学習社会
の構築を図っていくことは、
文教行政
の最大の課題であります。 人々が、生涯のいつでも、自由に
学習機会
を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯
学習社会
を築くため、生涯学習の
推進体制
の整備、多様な
学習活動
の展開、
学習成果
の適切な評価の促進などの施策を積極的に推進いたします。特に、社会人を対象とした
リカレント教育
の推進、
ボランティア活動
の支援・推進、青少年の
学校外活動
の充実、
社会教育
を通じた
現代的課題
に関する
学習機会
の充実等を重視した施策を積極的に推進いたします。また、
放送大学
については、平成六年度において、
放送衛星
を利用した全国化に必要な準備に着手することといたしております。さらに、
専修学校教育
の振興に努力をいたします。
初等中等教育
においては、新しい
学習指導要領
に沿って、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの能力の育成を重視する新しい学力観に立った教育の実現に全力を挙げて取り組みます。その際、
高等学校
において
男女必修
とされる
家庭科教育
や
環境教育
、
ボランティア教育
の充実を図るとともに、
道徳教育
や国旗・国歌の指導についても引き続きその充実に努めてまいります。 学校、家庭及び
地域社会
が一体となってそれぞれの
教育機能
を発揮し、子供の望ましい
人間形成
を図ることを目指す学校週五日制については、実施の過程で出された課題の解決を図りつつ、その円滑な定着に努力をいたします。また、
海外子女教育
・
帰国子女教育
の充実に引き続き努めてまいります。
高等学校教育
については、生徒の選択の幅を拡大し個性の伸長を図るため、その改革を積極的に推進いたします。特に、本年四月から新たに創設された
総合学科
、
単位制高校
などの新しいタイプの高校の設置、時代の進展に対応した
職業教育
の充実など、魅力ある
高校づくり
を進めるとともに、
業者テスト
の偏差値を用いた
入学者選抜
が行われないようにすることを含め、
高等学校入学者選抜
の改善や中学校における
進路指導
の
改善充実
に積極的に取り組みます。 また、先般の児童の権利に関する条約の批准を契機に、今後とも児童の人権を尊重し、一人一人を大切にした教育が行われるようにするとともに、登校拒否や
高校中退
、いじめなどの課題に対応した
生徒指導
の充実を図ってまいります。 さらに、個に応じた教育を実現するため、
公立義務教育
諸学校の
教職員配置
の改善及び
公立高等学校
の学級編制と
教職員配置
の改善を着実に進めるとともに、
初任者研修等
を通じて教職員の資質の向上に努めます。あわせて、
公立学校施設
の整備については、ゆとりと潤いのある
学習環境づくり
や地域の人々の
学習活動
を積極的に支援できる
学校施設づくり
を推進いたします。また、
義務教育教科書無償給与制度
は、今後とも堅持してまいります。
高等教育
におきましては、
大学設置基準
の大綱化、自己点検・
評価システム
の導入、社会人のための履修形態の弾力化など、これまでに行われた
制度改正
を受けて、現在、戦後の
新制大学発足
以来最大の
大学改革
が進行中でございます。今後とも、各大学等が創意を生かして特色ある
教育研究活動
を展開していくよう、
大学審議会
の審議を踏まえつつ、
高等教育
の充実と改革や
大学入試
の改善に積極的に取り組んでまいります。また、
大学院学生
を初めとした
育英奨学
の
改善充実
も図ることといたしております。
国立大学
については、
基礎研究
の推進と
社会的要請
にこたえる人材養成を図るため、カリキュラムの改善、大学院を中心とする
教育研究条件
の整備、
教育研究環境
の改善のための施設・設備等の諸条件の整備・
高度化等
をさらに進めます。
私立学校
は、建学の精神にのっとった個性豊かな
教育研究
を展開し、我が国の
学校教育
の普及発展に大きく貢献しております。このような
私立学校
の果たす役割の重要性にかんがみ、
財政事情
が厳しい中ではありますが、
私立学校振興助成法
の趣旨に沿って、その
教育研究条件
の維持向上と修学上の
経済的負担
の軽減等を図るため、
私学助成
の確保など
私立学校
の振興のための施策の一層の推進に努めてまいります。 第二の課題は、人類の
知的創造活動
としての
学術研究
の推進であります。
学術研究
は、人類の
知的共有財産
を創造するとともに、国家・社会の発展と人類の福祉の基盤を形成するものとして、その振興は極めて重要な課題であります。特に、近年、独創的・先端的な
学術研究
の推進により、我が国が世界の
学術研究
の進展に積極的に寄与することが強く求められるようになっております。他方、大学の
教育研究施設
・設備、研究費などの
教育研究環境
の劣化が各方面から指摘され、今後の
学術研究推進
についての懸念が生じているのも事実であります。 このため、文部省としては、
学術研究基盤
の計画的・
重点的整備
と世界に開かれた
学術研究体制
の整備を目指し、
科学研究費補助金
の大幅な拡充、大学の
教育研究施設
・設備の改善、
若手研究者
の養成・確保、
学術情報システム
の整備、
天文学研究
、
加速器科学
、
宇宙科学
、
地球環境科学
、がん・
エイズ研究等
の
基礎研究
の
重点的推進
、大学と
産業界等
との
研究協力
・連携の拡充など、学術の振興のための総合的な施策の推進に努めてまいります。 第三の課題は、生涯
スポーツ
と
競技スポーツ
を通じた
スポーツ
の振興でございます。 今日、自由時間の増大、高齢化の進展などを背景として、国民のだれもがそれぞれの体力、年齢等に応じ、いつでも、どこでも親しめる生涯
スポーツ
の振興は、真に豊かな国民生活の実現に向けての重要な課題となっております。
競技スポーツ
においては、リレハンメル・
オリンピック
における
日本選手
の活躍が思い起こされるところですが、本年十月には第十二回
アジア競技大会
が広島において開催されるほか、平成七年の
ユニバーシアード福岡大会
、平成十年の
長野オリンピック冬季競技大会
など、今後、我が国において多くの
国際競技大会
の開催が予定されており、
日本選手
の競技力の向上を図ることが重要な課題でございます。また、昨年開幕したJリーグに象徴されるように、国民の
プロスポーツ
に対する関心も一層の高まりを見せております。 文部省といたしましては、このような国民の
スポーツ
に対する関心の高まりや多様化にこたえていくため、
スポーツ振興基金
による助成を含め、
スポーツ施設
の
整備充実
や
スポーツ指導者
の養成・確保など諸施策の一層の充実に努め、生涯
スポーツ
と
競技スポーツ
を通じた
スポーツ振興
を推進してまいりたいと考えております。 第四の課題は、「
文化発信社会
」の構築を目指す
文化行政
の新たな展開であります。 文化は、人々が生活の中で真の豊かさとゆとりを実感し、活力ある社会を築いていく基盤となるものであり、国民の間の文化への志向はこれまでになく高まってきております。また、我が国が古来の
伝統文化
を継承しつつ、すぐれた
芸術文化
を創造するとともに、海外への文化の発信と交流を通じて
国際社会
に貢献することも強く求められるようになってきております。このため、私は、豊かな個性ある文化を、個人から、地域から、さらに
国レベル
で発信するとともに、相互の交流を通じて新たな
文化創造
を目指す「
文化発信社会
」を構築していく必要があると考えます。 このような観点から、
芸術家等
の人材の育成や
芸術創作活動
の助成に努めるとともに、各地域において多様な
文化活動
を推進し特色ある文化を発信するため、地域における
文化活動拠点
の
重点的整備
や芸術を鑑賞する機会の充実など、各種の
条件整備
を積極的に進めます。また、時代の変化に対応した文化財の保存と活用のための諸施策を推進いたします。さらに、国民が豊かな文化を享受できるよう、
国立博物館
・
美術館等
の
整備充実
や我が国の
現代舞台芸術
の拠点となる第二
国立劇場
の開場に向けての諸準備などを着実に進めます。 第五の課題は、教育・学術・文化・
スポーツ
を通じた
国際社会
への貢献であります。 今日、我が国が
国際社会
において積極的にその役割を分担し、諸外国との相互理解を深め、信頼を基礎とした
友好関係
を築いていくためには、教育・学術・文化・
スポーツ
の各分野における交流・協力を通じ、積極的な
国際貢献
を進めていくことがますます重要になってくると考えます。 このため、平成六年度において、アジア・
太平洋地域
における女性のための
識字教育モデル事業
をスタートさせることとしているほか、
ユネスコ等
の
国際機関
を通じた
教育協力
や開発援助に携わる人材の養成など「
人づくり
」に重点を置いた途上国への協力を推進するとともに、研究者の交流や
国際共同研究
、外国人に対する
日本語教育等
の充実に努めてまいります。 また、
留学生交流
に関しましては、「留学生受入れ十万人計画」の達成に向け、
短期交換留学制度
を新設することとしているほか、
国費留学生受け入れ
の
計画的拡充
、
私費留学生支援
、
留学生宿舎
の確保等、幅広い施策を総合的に進めてまいります。 さらに、世界に向けた
文化発信
と文化を通じた
国際貢献
のため、芸術家・専門家の派遣や招聘、
舞台芸術
の
海外公演等
の促進、
展覧会等
による交流の充実、海外の
文化遺産保護
に関する協力等を積極的に推進してまいります。 第六の課題は、
情報化社会
に向けた
文教施策
の積極的な推進でございます。 創造的で活力あるあすの社会は、情報化の進展なしにはあり得ません。
情報手段
の目覚ましい発達は、経済・
社会活動
の効率性・利便性を高め、人々の
学習活動
や
文化活動
を豊かにするとともに、時間的・
空間的制約
を超えた人と人とのつながりを可能にしつつあります。 文部省といたしましては、学校への計画的な
コンピューター
の整備を進め、情報や
情報手段
を主体的に活用する能力の育成に努めるとともに、
情報化社会
をリードする
技術者等
の養成を進めてまいります。また、生涯学習、文化、学術等に関する
情報ネットワーク
やデータベースの整備を図ってまいります。さらに、情報化の進展に対応した
マルチメディア等
に関する
著作権制度
の改善についても検討してまいります。 以上、
文教行政
の当面する諸課題について所信の一端を申し述べました。
文教委員各位
の一層の御理解と御協力をお願いいたす次第でございます。 ありがとうございました。
石井道子
3
○
委員長
(
石井道子
君) 次に、
平成
六年度
文部省関係予算
について、
勝木文部政務次官
から説明を聴取いたします。
勝木文部政務次官
。
勝木健司
4
○
政府委員
(勝木健司君) 平成六年度
文部省所管予算
につきまして、その概要を御説明申し上げます。 平成六年度
文部省所管予算
につきましては、我が国が来るべき二十一世紀に向けて創造的で活力ある文化の薫り高い国家として発展し、世界に貢献していく基礎を築くとともに、国民一人一人がゆとりと潤いの中で
自己実現
を図ることができ、多様な個性を発揮できる質の高い社会をつくっていくため、教育・学術・文化・
スポーツ
の各般にわたりその着実な推進を図ることとし、所要の予算の確保に努めたところであります。
文部省所管
の
一般会計予算額
は五兆五千四百三十一億六千万円、
国立学校特別会計予算額
は二兆四千四百十七億三千九百万円となっております。 以下、平成六年度予算における主要な事項につきまして御説明申し上げます。 第一は、生涯学習の振興に関する経費でありますが、生涯
学習社会
の実現に向けて、人々の生涯にわたる多様な
学習活動
の振興に資するための施策を総合的に推進することとしております。 まず、生涯学習の
基盤整備
につきましては、地域における生涯学習に取り組む体制の整備、
学習情報提供機能
の充実、
社会教育指導者等
の確保に努めていくこととしております。 学校の生涯
学習機能
の拡充につきましては、
放送大学
について、広く社会人に
大学教育
の機会を提供するため、
放送衛星
を利用した
全国化準備
を進めるほか、
公開講座
や
学校開放
の促進、
専修学校教育
の振興を図ることとしております。 また、
社会教育
の面では、
男女共同参画型社会
の形成を目指し、女性の
社会参加
への一層の支援に努めるほか、青少年の
学校外活動
の振興や
現代的課題等
の
学習機会
の拡充を図ることとしております。 さらに、
国立オリンピック記念青少年総合センター等国立社会教育施設
の充実を図るとともに、公民館、
図書館等
の
公立社会教育施設
の整備に努めることとしております。 第二は、個性豊かな自立した人間性を育てる
初等中等教育
の充実に関する経費であります。 まず、
公立義務教育
諸学校の
教職員配置
につきましては、第六次
教職員配置改善計画
の第二年次分の改善を着実に実施することとしております。 なお、
義務教育費国庫負担制度
における
富裕団体調整
につきましては、その対象を、平成六年度以降、現行の
地方交付税
の不
交付団体
から当該年度前三カ年の平均の
財政力指数
が一を超える団体へ変更することとしております。 次に、教員の資質の向上を図るため、
初任者研修
の円滑な実施や教員の
海外派遣
、
教育研究団体
への助成等を行うとともに、中学校の
免許外教科担任
の解消等を図るため、
非常勤講師
を配置し、
調査研究
を行うこととしております。
教育内容
につきましては、新
学習指導要領
の一層の定着を図るため、引き続き
運営改善講座等
を行うとともに、新
教育課程
の実施状況について総合的に
調査研究
することとしております。 また、
高等学校学習指導要領
の実施等に対応するため、
理科教育設備
及び
産業教育施設
・設備の基準を改訂し、整備を進めるほか、情報化への対応を円滑に進めるため、
教育用コンピューター
の整備、
学習用ソフトウエア
の開発等を行うとともに、国際化に対応した
外国語教育
の充実や豊かな
人間形成
に資する
読書指導
の充実を図ることとしております。 また、
中央教育審議会
の答申の趣旨を踏まえ、
総合学科
や
単位制高校
の設置の奨励等、
高等学校
の個性化・多様化の推進を引き続き図ることとしております。 学校週五日制につきましては、平成四年九月から月一回実施しているところでありますが、平成六年度におきましても、その円滑な定着を図るための
研究協議
を行うとともに、月二回の学校週五日制の導入に必要な
実践研究等
を行うこととしております。 なお、
義務教育教科書
の
無償給与
につきましても所要の経費を計上しております。 次に、児童生徒の
問題行動等
に適切に対処するため、いじめや
校内暴力等
の
問題行動等
に関する総合的な
調査研究
を行うこととしております。 また、登校拒否問題について、
適応指導教室
についての
実践的研究
を拡充するとともに、
高等学校
中途退学問題について総合的な
調査研究
を実施するなど、学校不
適応対策事業
の一層の充実を図ることとしております。 さらに、
進路指導
の改善を図るため、地域の教育力を活用して中学生が将来の進路の選択を適切に行うことができるように実践的な研究等を行うこととしております。 また、
環境教育
の推進を図るため、
環境教育フェア
、
環境教育担当教員講習会等
を行うとともに、
ボランティア教育
の推進を図るため、
研究協議会
の開催、
ボランティア活動
等さまざまな
体験活動
の機会を与えるいきいき
体験活動モデル推進事業等
を行うこととしております。
道徳教育
につきましては、新たに
道徳教育用ビデオ教材
の開発等を実施することとしております。
幼稚園教育
につきましては、
幼稚園就園奨励費補助
を充実するとともに、
幼稚園教育振興計画
を推進することとしております。
特殊教育
につきましては、
心身障害児
の
職業教育
の
あり方等
の
調査研究
を行うとともに、
特殊教育就学奨励費
を充実することとしております。
健康教育
につきましては、
エイズ教育
や
交通安全教育
の充実に努めるとともに、豊かで魅力ある
学校給食
を目指して
食事環境
の
整備充実等
を図ることとしております。 また、
海外子女教育
・
帰国子女教育
につきましては、
日本人学校
の新設等に対応し
派遣教員
を増員するとともに、
在外教育施設
における
現地社会
との
教育文化交流等
を推進することとしております。 次に、
公立学校施設
の整備につきましては、
市町村等
の
計画的整備
が円滑に進められるよう必要な事業量の確保を図りつつ、標準設計の
見直し等
に基づき
補助基準単価
の大幅な引き上げを行うとともに、大
規模改造事業
の拡充等を行うこととし、二千四百九十七億円を計上いたしております。 なお、定時制及び
通信教育
の振興、
地域改善対策
としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。 第三は、
私学助成
に関する経費であります。 まず、私立の大学等に対する
経常費補助
につきましては、平成五年度に対して七十八億円増の二千七百三十三億五千万円を計上しております。このほか、
教育研究装置施設整備費補助
及び
研究設備整備費等補助
につきましてもそれぞれ増額を図るなど、
教育研究
の推進に配慮しております。 次に、私立の
高等学校等
の
経常費助成
を行う都道府県に対する補助につきましては、
一般補助
を前年度より削減いたしましたが、一方で、
地方財政措置
を充実し、補助金と
地方財政措置
を合わせた国全体としての財源措置は拡充を図っております。また、
私立高等学校等
の
教育改革
を一層積極的に推進していくため、新たに国際化の推進等を
補助対象
に加えるなど
特別補助
については充実を図ることとし、これらに要する経費として全体で六百三十五億円を計上しております。
日本私学振興財団
の
貸付事業
につきましては、九百四十億円の貸付額を予定しております。 第四は、
高等教育
の
高度化等
の要請にこたえ、その
整備充実
に要する経費であります。 まず、大学院につきましては、
研究科等
の
新設整備
、
高度化推進特別経費
や
最先端設備
の充実などを行うこととしております。
国立大学
につきましては、
大学改革
を推進するため、教養部の改組や所要の経費を充実することとし、また、
教育研究環境
の
改善充実
を図るため、老朽・狭隘校舎の解消、
基準面積
の改定など
国立学校施設
の整備・高度化を推進するほか、
教育研究設備
の充実、
教育研究経費
の充実等を図ることとしております。 なお、
国立学校
の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、これを改定することとしております。 次に、
育英奨学事業
につきましては、
大学院等学生
の
貸与人員
の増員を図ることとし、
政府貸付金
七百九十四億円、
財政投融資資金
四百十七億円と返還金とを合わせて二千百十一億円の
学資貸与事業
を行うこととしております。 また、公立大学につきましては、
医科大学
、
看護大学等
の
経常費補助
及び
教育設備整備費等補助
について所要の助成を図ることとしております。 第五は、学術の振興に関する経費であります。 まず、
科学研究費補助金
につきましては、独創性に富むすぐれた
学術研究
を推進し、我が国の
学術研究
を格段に発展させるための基幹的研究費として大幅に拡充を図ることとし、平成五年度に対して八十八億円増の八百二十四億円を計上しております。 また、我が国の
学術研究
の将来を担うすぐれた
若手研究者
を養成・確保するため、特別研究員の採用人数の大幅な拡充等を図ることとしております。 次に、
学術研究体制
の整備につきましては、研究組織の整備、研究設備の充実、
学術情報システム
の整備、大学と
産業界等
との
研究協力
の推進など各般の施策を進めることとしております。 さらに、
天文学研究
、
加速器科学
、
宇宙科学
、核融合研究、地域研究等のそれぞれの分野における研究の一層の推進を図ることとしております。 第六は、ゆとりある質の高い
スポーツ
の振興に関する経費であります。 広く
スポーツ施設
の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設の充実を図るとともに、学校体育指導の充実を図ることとしております。 さらに、生涯
スポーツ
推進の観点から、地域における
スポーツ
活動の充実など諸施策の一層の推進に努めることとしております。 次に、
競技スポーツ
の振興につきましては、日本
オリンピック
委員会が行う選手強化事業を引き続き実施するとともに、
スポーツ
科学の推進を図るため、国立
スポーツ
科学センター(仮称)の建設に伴う事前調査を行うほか、国民体育大会への助成などを行うこととしております。 また、平成十年に長野で開催される第十八回
オリンピック
冬季競技大会の準備を推進することとしております。 第七は、豊かな個性ある文化の推進に関する経費であります。 「
文化発信社会
」の基盤を整備する観点から、すぐれた
舞台芸術
活動への支援、若手芸術家の育成、地域の特色ある
文化活動
への援助等の諸施策を進めることとしております。 また、時代の変化に対応した文化財の保存と活用を図るため、史跡等の整備・公有化、国宝・重要文化財等の買い上げや保存修理、天然記念物の有効活用などの施策を講ずることとしております。 さらに、
国立博物館
・
美術館等
の施設の整備と機能の充実を図ることとしております。 第八は、教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に関する経費であります。
留学生交流
につきましては、二十一世紀初頭における十万人の留学生受け入れを目途に、国費留学生の計画的受け入れ、
短期交換留学制度
の創設、私費留学生に対する援助施策の充実、宿舎の安定的確保、大学等における教育指導体制の充実など各般の事業を積極的に推進するとともに、円滑な海外留学を促進することとし、そのために要する経費として四百四十一億円を計上しております。 さらに、外国人に対する日本語教育、特に我が国の義務教育諸学校に在籍している外国人子女への日本語指導の充実を進めるとともに、アジア・
太平洋地域
における女性のための識字
教育協力
など
ユネスコ等
国際機関
を通じた
教育協力
等の推進を図ることとしております。 次に、学術の国際交流・協力につきましては、諸外国との研究者交流、各種の
国際共同研究
、開発途上国との学術交流、国連大学への協力等を推進することとしております。 また、文化の国際交流につきましても、海外フェスティバル等世界各地の舞台での公演活動に対する支援、海外にある日本美術品の修復協力を初めとする文化財保存の国際協力など各般の施策の充実を図ることとしております。 以上、平成六年度
文部省所管予算
につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
石井道子
5
○
委員長
(
石井道子
君) 以上で
所信
及び
予算
説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十四分散会 ————◇—————