○橋本敦君 ビデオがありましたらぜひ一遍ごらんいただきたいと思うんですね。欧米諸国に比べまして
我が国の
大学院生が少ないことは言うまでもないんですが、後継者を育てる、
大学研究室でもスタッフをそろえるということが各
大学で今、非常に困難になっている一つの要因として、院生の研究及び生活条件が極めて厳しいという問題があるということですね。これはNHKスペシャルでも具体的に出ておりました。
こうした原因についてどう改善していくかということでいろんな
課題があるんですけれ
ども、
大学院生というのは、同世代のほとんどの若者が就職をして自立した生計を営む年代に入っているんですが、依然として院生は学費を払わなきゃなりません。そしてまた、本人や両親の年齢を
考えましても、親に経済的な依存をいつまでも続けるということが困難な
状況が親も老齢化いたしますから出てくるという、そういうジェネレーションに属してくるわけで、したがって
大学院の重視を
政府が言うならば、この院生の研究生活及び具体的な生活の支障となる問題の改善のために奨学事業や
授業料免除の
制度の
充実拡充ということは差し迫った急務になっているんじゃないか、私はこう思うわけですね。
ちなみに、全国
大学院生協議会が昨年の十二月十九日にまとめたアンケート調査結果を見ますと、現在の生活の経済状態で大変苦しいというのが二一%、苦しいというのが四七%、合わせますと六八%ですから、七割近くが厳しい生活条件に耐えながら研究活動に従事していることがわかりますね。
これを英仏等に比べてみますと、NHKスペシャルでも一部出ておりましたけれ
ども、大変な違いがございまして、基本的には
授業料は無料だというところがあるし、奨学金そのものが生活費として給付制で丸々もらえるということがございます。特にフランスではドクター二年以上になりますと
大学卒初任給にふさわしい研究助成費が給付されるということを聞いておりますし、カリフォルニア
大学では全院生に対して四十八万円の奨学金が、これはもう全院生です、出されるということです。
ところが
日本の場合は、院生になりますと、初年度、入学金と
授業料で納付金が七十万円要る。正確には七十万七千六百円ですが、これを払わなくちゃならない。しかも、奨学金といえ
ども貸与制である上に、ドクターでもその金額は月額十万六千円というわずかなものだと、こうなるわけですね。貸与率も非常に少なくて、
修士課程で二五・七%、ドクターコースで五六・四%、これは九二年度ですが、そういう
状況だという
ように伺っております。
こういうわけですから、これの
充実ということについては一つは貸与率を引き上げるために枠を広げなくちゃならぬ。それから貸与の金額を引き上げるということを工夫しなきゃならぬ。それからもう一つは、貸与制ではなくて給付制に移行することを真剣に
考える、そういう時期に差しかかっているんじゃないかという
ように思うんですが、こういった問題について
文部省としてはいかがお
考えでしょうか、伺わせていただきたいと思います。