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井上吉夫君
世界的に緑の
資源を保持することの大事さが言われているさなか、
日本は約一千万
町歩の
人工林を含む二千五百万
町歩の山を持っております。既に
かなりな
部分が
成熟過程に入って、
年間七千万
立方の
成長量があると言われております。今
伐採をしております
日本の
年間の
伐採量というのは三千万
立方に足りません。
自給率でいうならば二五%を割っております。
成長分量だけ切っていって、自然をずっと
資源を保持しながら
国民生活に寄与するということを続けていき、
林家もまたそのことを通して
意欲を持って
林業を業として成り立つようにするというそういう状態をつくっていくならば、
世界全体のためにも私は
日本が貢献する道の
一つであるという
ぐあいに考えるわけであります。
そのことを一方で
考えながら、まさに
国産材時代に入ったと言われる
状況の中で、なかなかに
林業が業という姿に伸びていかない今日の
状況をどう我々はとらえていくべきかというそのことをしっかり
考えながら、そのことを通して私はやっぱり山をもっともっと有効な形で守っていくということにつながるということを強調しておきたいと思います。
ここで私は、
森林保険制度について
最後にお尋ねしたいと思うんです。
というのは、
農業の
分野でも御
承知のとおり
農業共済制度が極めて整っております。国が再
保険を引き受けておりますと同時に、
掛金助成や
事務費助成の
措置が講じられておって、昨年の冷害に際しましても農家の
経営に大きな力を
発揮してまいりましたことは御
承知のとおりであります。ところが、
森林保険制度について
内容を見てみますと、それと比べて極端に見劣りがするという
状況にある。
九州の
森林は、昨年や
平成三年の十九
号台風によって大きな損害をこうむって、まだまだほとんどが
回復していないという
状況にあります。被災した
森林を
復旧し
整備するのも大変な御苦労でありますが、何しろ何十年にもわたって
森林に投資し手入れをしなければならない産業でありますだけに、この
材価の低迷や
人夫賃の高騰などを
考えてみますと、
農業以上に手を加えていかなきゃならぬ、国の
助成が必要だ。もし、こういうせっかく育った山が一たん大変な
台風災害でも受けた場合は
林家はもうそれっきりで、
林業経営の
意欲を失ってそのまま
日本の
森林の
荒廃につながるという
ぐあいに私は心配するわけであります。
森林を
荒廃から守るためには、
災害が
発生した場合でも
林家が
意欲を失わずに
経営を維持し、
森林を
復旧できる体制を整えなければならない。もちろん現在、
災害復旧事業や
造林補助事業等があります。しかしこれだけでは、長年育成してようやく
かなりの所得になろうとするときに、それこそ全く無価値になるだけでなくてその
復旧に新しい投資が要るという
状況を
考えますと、どうしてもこの際、これらの損失を補てんする
保険制度を
林業の
分野にしっかり確立するということは、先ほど
農業の事例で申し上げた以上に大変な長期間を要するということと、
林業を取り巻く諸
情勢から見て私は喫緊の問題だと
考えるわけであります。
先ほどちょっと触れましたように、
日本の
森林は
資源の
成熟過程に入っている。
異常気象の
発生と相まちまして大規模な
森林災害が
発生しやすい
状況にあるにもかかわらず、現在の
森林に関する
保険制度においては、御
承知かと思いますが、
全国森林組合連合会が行う
森林共済事業、これには
異常罹災対策がありません。したがって、大
災害が
発生した場合は、その安定的な
経営という立場から見て今やっております全
森連にはそれだけの能力がありません。また、一方では
国営保険というのがありますが、これはたしか新植十
年間だと思います。こっちのほうはまあまあの
黒字経営だと聞くわけであります。
従前から、この二つの山に対する
保険制度を一本化してもっともっと効率的な運営をしたらどうかということとあわせて、途中で触れましたように、大きな
災害を受けた場合の再
保険制度というものを組み入れたそういう
保険制度が
林業の
分野にもぜひとも必要である、しかも、それはもう待ったなしに今直ちに必要な
制度であるという
ぐあいに私は思うんです。それがなければ、今日まで戦後営々として築いてきたこの
美林は、立っている間はいいでしょうが、
伐採した後、本当にまた植えて育ててくれるだけの
意欲を
林家に求めることができるだろうか。そうなった場合の
日本の
林業や
森林や
国土というものを
考えるならば、ひとり
林家の問題として片づけられる種類のものではない。もし、このことを早急に
制度化することを怠るならば、きょう答弁をしてくれました
林野庁長官はその責めが問われかねない。
残念ながら、今新しい内閣ができておりませんから
担当大臣は現在おられませんけれども、省を挙げて私はこの問題とは取り組んでほしい。そして、早急な結論を出して、今申し上げましたように再
保険制度をしっかり組み込んで、しかも、生産に向けてのもろもろの
補助制度がありますが、
国営保険と全
森連共済との一元化ということによってもう
一つ大事な
災害を受けた場合の
補償制度というものをぜひ確立する必要がある、このことについての見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。