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政府委員(
鎭西迪雄君) まず、北方
周辺水域におきます拿捕事件の件でございますけれ
ども、近年、北方
周辺水域におきますロシア側による拿捕事件が頻発をしておりますが、そもそも北方四島
水域というものは
我が国の固有の領土でございます北方領土に接続する
我が国の領海内の
水域でございまして、ロシア側による
日本漁船の拿捕は非常に遺憾で認められないということで、拿捕された
漁業者の即時釈放をロシア側に求めてきているところでございます。
特に、ただいまお話しの昨年の十一月二十六日に発生しました拿捕事件におきましては、拿捕に際しロシア側は銃撃を行いまして、船長が負傷するという事態となりまして、
政府としてもロシア側の銃の使用に対して強く抗議をいたしますとともに、抑留されました三名の船長及び乗組員の即時釈放を求めてロシア側に働きかけてきたところでございます。
当該
漁船の乗組員につきましては、昨年の十二月二十四日に負傷した船長を除きます二名が釈放されたところでございますが、負傷した船長につきましては、引き続き即時釈放につきましてロシア側に働きかけを行っているところでございます。
また、船長の傷の
状態がかなり悪化しているとも伝えられておりますので、人道的見地から現地におきまして
日本人医師による診療が受けられるようロシア側に対して働きかけが行われているところでございます。
なお、ロシア側によります拿捕の発生というのは大変遺憾なことでございますけれ
ども、人命にもかかわることでございますので、水産庁といたしましては、かかる事件の再発防止のため、道庁とも十分連携を図りながら
漁業関係者に対します
操業秩序の維持につきましての指導の徹底というものを図っているところでございます。
それから、いそ焼け
対策でございますけれ
ども、近年沿岸の岩礁地帯でコンブ等の有用海藻のほとんどが消滅いたしまして、石灰藻で覆われるといういわゆるいそ焼け現象が北海道から東北
地方の
日本海を
中心とする地域で発生していることが報告されております。御
指摘のとおりでございます。この結果、コンブ等の海藻やこれらをえさといたしますウニ等の漁獲が減少いたしまして、地域の沿岸
漁民に大きな影響を与えているところでございます。
いそ焼けの発生及びその持続原因につきましては、これまで各種の試験研究機関におきまして
調査研究が行われておりまして、
一つはウニ、アワビ等によります有用海藻類の食害ではないかというような問題。それから二点目が、石灰藻の繁茂によります有用海藻類の生育が阻害された結果生ずるのではないかというような問題。あるいは貧栄養化や水温、塩分等の海況の変化等の要因等が考えられているわけでございますけれ
ども、いまだ十分に解明されていないのが
現状でございます。
水産庁といたしましては、これまで得られました知見を踏まえまして、沿岸漁場
整備開発事業、沿整と言っているものでございますが、これの国の直轄
調査事業の一環といたしまして、
平成二年度から五年度の間、北海道の寿都湾というのをモデル
海域といたしまして、いそ焼け地域におきます漁場造成手法の
開発に取り組んでいるところでございます。これは、ウニが有用海藻類の食害の原因生物であることに着目をいたしまして、いそ焼け発生場所からウニを除去いたしまして海藻群落の形成を図ろうとするものでございます。
平成六年度以降は、今までのこういった成果を踏まえまして、このモデル
海域におきまして形成された海藻群落でのウニ等の育成手法の
開発、あるいは岩盤で遠浅である、この地域はそういう特有の海底地形を持っておりますので、こういうものに適しましたウニ、アワビ等の漁場造成技術の
開発に引き続き取り組むことといたしております。
また、こういうことに加えまして、水産庁の北海道区水産研究所等におきまして、いそ焼けの発生メカニズム、この解明等のための研究を
平成四年度から行っているところでございまして、いそ焼けに関します基礎的な知見を得るため
平成六年度におきましても研究を継続する、こういうことにしているところでございます。