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政府委員(滝実君) 御
指摘のよりこ、昨年の十一月の税制
調査会の中期
答申では、
地方消費税に関しまして、今仰せのような諸点につきましてなお今後
議論すべきだというような趣旨のコメントがあったわけでございます。
私
どもも、この問題については税制
調査会でもそう深く
議論はされておりませんので、ただ単にいわば問題点の
指摘というような程度にとどまっている
段階でございますから、今後こういった点について十分な
議論をしていただけるものと、こういうふうに思っております。
ただ、これは当然のことながら消費税につきましても、あるいはもう少し一般的な表現で申しますと付加価値税全体についても言えることでございますけれ
ども、かつて
日本の
地方税の付加価値税について
答申をおまとめになりましたシャウプ博士がいみじくも言っておられますように、こういった税についてはいろんな態様、いろんな形があるんだ、こういうことを言っておられるわけでございますけれ
ども、
地方消費税に関してもそういうようないろんな
あり方がある、私
どもはこういうような前提で
認識をいたしております。
そこで、今御
指摘になりました中で
一つだけ例を申し上げますと、いわば
議論の一番の問題は何かと申しますと、税の帰属地と消費地との
関係がどうだろうかというのが
一つのポイントになっているわけです。
要するに、現在の国税たる消費税もそうでございますけれ
ども、消費税は最終たる消費者が物を買うときに三%の消費税を払うということでございますけれ
ども、その前
段階として流通の各
段階で実はこの消費税をいただいているわけです。工場から卸問屋におりるとき、その
段階で三%をもらい、今度卸問屋から小売商に移るときに三%をもらい、最終的に小売商から消費者に行くときに三%をもらう、こういうような格好になっておりますから、
基本的には消費者がこの消費税の最終負担者だ、こうなるわけでございます。
実際問題として、
地方税で税を課しますときにどういうことになりますかと申しますと、例えば北海道の製造業者、北海道のメーカーが宮城県の卸問屋に売るときには北海道でもって三%の税をもらう。それから、今度は宮城県の卸業者が
東京の小売業者に売るときには宮城県でその三%分をもらう。それから、
東京の小売業者が消費者に売るときには、小売業者が
東京でございますから、当然
東京都がその三%分をもらう。こういうように各
段階でもらうものですから、そのもらう
段階ではこれは消費とは
関係ないじゃないか、要するに税の最終的な負担者と実際の課税地で食い違いがある、これは少なくとも消費という名前の税としてはそぐわないんじゃないか、こういうような御
指摘があるわけでございますけれ
ども、
地方税はまさしくそこのところが大事なところでございます。
例えば、最終的な税の負担者はなるほど消費者でございますけれ
ども、消費者がその商品を買うに当たっては、各
地域でその商品をつくり出すまでにいろんなサービスをしているわけです。北海道でもって製品をつくり出すときに、北海道はそこなりに道路とか港湾とかあるいは鉄道とか、そういうような多かれ少なかれ何らかのサービスをしている。それから、宮城県の卸業者がそこでもって卸活動をするためには宮城県のいろんな公共サービスを受けている。あるいは
東京の小売業者も同じように
東京都のサービスを受けている。
したがって、サービスを受けているところでもって税がいただける消費税というのはまさしく
地方税にふさわしいだろう、こういう見方があるわけでございまして、税制
調査会が税制についての問題点をコメントさせていただいておりますけれ
ども、私
どもは、それはむしろ
地方税の性格をはっきりさせるという
意味では大変これからの
議論として
地方税にとってはまさしくぴたりとするものがあるんだ、こういうような
認識をいたしております。
いずれにいたしましても、この問題は今後具体的な問題としてさらに税制
調査会あるいはその他の
段階でいろいろ御
議論をいただいて、
地方税としてふさわしいものに持っていくための知恵を出し合っていただくということがこれからの問題として必要なんであって、要するに少なくとも理論的にこの問題が
地方税にとって解決できない問題ではないというふうに私
どもは
認識をいたしております。