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国務大臣(
熊谷弘君) 最近の
我が国経済が依然として厳しい
情勢下にあることはもう御
案内のとおりでございます。もちろん、
鉱工業生産でありますとか
住宅着工、それから
企業の
業況判断などにおきまして一部に明るい
動きが見られ始めていることも事実でございます。私といたしましては、総合的に判断いたしますと、
景気は
最悪期を抜け出しつつあるのではないかという期待を込めた感じを持っておるわけでございます。
ただ、これらの
動きの中には、辛目に見ますと、
企業の
決算対策の結果じゃないかというようなことも考えられないわけではありませんし、御
案内のとおりの
為替市場の
動きでございまして、その影響もまだまだ見きわめていかなければならないところもある。こういうことでございますので、少し春の
日差しか出たかなと思いつつも、今後とも注視し続けていかなければならない、こう思っておるところであります。
ただ、いずれにせよ重要なことは、こういった新しい
動きといいますか、こういったいい
方向への
動きが本格的かつ広範なものとなり、
我が国経済をできるだけ早い時期に本格的な
回復軌道に乗せるべく官民が
努力することでありまして、
政府といたしましても、先般決定した
総合経済対策の着実な実施に努める一方、
景気に十分配慮した
平成六年度
予算の成立に向けて
最大限
努力してまいりたいと考えているところであります。
次に、御
指摘になりました
規制緩和と
不況の問題でございます。
政府規制の
緩和が
経済の
拡大に大きな
役割を果たすと私
どもは認識しておりますが、さらば定量的にどれぐらいのものであるかということになりますと、これをお示しすることは正直言いましてなかなか困難でございます。
ただ、
方向といたしましては、まず第一に、
政府規制の
緩和によりまして
新規事業をつくり出すことが可能になるということでございまして、これは
委員も御
案内のとおりいろいろ評価は分かれるところでありますが、
レーガン政権以来の
アメリカ政府が展開してきた
政策は明らかにこの面では多大な
効果がございまして、多くの
ハイテク商品を
中心にした新しい
産業分野が開花し始めているということは事実でございます。
そういう点が可能になりますと、
経済の
活性化、
消費者の選択の幅の
拡大というものが広がってくるのではないか。例えば、
情報通信の
分野等につきましてはこういった
効果は非常に大きいのではないかというふうに我々は考えるわけでございます。
それから第二に、
内外価格差の
是正。
日本経済の抱える
最大の問題が
内外価格差にあらわれていると私
どもは思いますが、その
内外価格差がよって来るところというものの、すべてではありませんけれ
ども、大きな要因の
一つとしてやはりこの過剰な
規制というものがあることも事実でございます。
こうしたものが取っ払われることによりまして
内外価格差の
是正が進むということになりますと、もちろん
生活者の利益が増すだけではなくて、
実質所得の
拡大を通じて
経済の
拡大につながっていくというふうに考えられるわけであります。そうして、全体といたしまして
経済社会システムに関する
国際社会との調和と
透明性の確保がなされる、こういうことが考えられるわけでありまして、短期にすぐに
即効性があるとはなかなか言いがたいものがございますけれ
ども、
日本経済の今抱える
構造問題を直視して考えれば
政府規制緩和というものが非常に大きな
役割を果たすものと考えているところであります。