○
政府委員(三井
康壽君)
建設省の
住宅局長でございます。
日ごろから
住宅行政並びに建築行政につきまして御
指導、御鞭撻いただいておりますことをこの席をおかりしまして御礼申し上げます。
資料に基づきまして要点を御
説明させていただきたいと存じます。
まず一ページでございますが、高齢
社会に
対応した
社会資本の
整備促進についてでございます。
二十一世紀の本格的な高齢
社会に備えまして、
高齢者、障害者も安全で快適に暮らしていただくような
生活空間づくり、これが非常に大事だというふうに
建設省としても認識しているところでございまして、そのための
福祉の
生活空間づくり大綱というのを今策定しようとしているところでございます。その中で、
住宅供給や
公共施設等の
整備を行っていこうという
基本的な
考え方に立っております。
具体的にこれを申し上げますと、例えば
住宅についてでございますけれ
ども、種々やらせていただいているところでございますが、
平成六年度に新たに拡充させていただくものとしましては、
高齢者対応の工事、手すりでございますとかおふろですとかそういったものを直す際の公庫融資の割り増し額の引き上げ。あるいはシニア
住宅といいまして、高齢になられた方が
医療の
サービスを受けながら
生活していただくという団地をシニア
住宅といってつくっているわけでございますけれ
ども、
生活相談室等につきまして公費の
助成を行うといった
施策の拡充をさせていただいております。
また、エレベーターつきの立体通路等々の、人にやさしい
まちづくり事業の一環としまして、そういったものの
助成を進めるというふうにいたしております。また、道路につきましてもなるべく歩道の幅を広げていくといった
事業をさらに
公共団体も含めまして進めてまいる考えでございます。そのほか、高齢運転者がふえることに備えまして簡易パーキングエリアの
整備でございますとか、あるいは
高齢者とお子さんがともに楽しめるふれあい公園等々の
施策を具体的に進めてまいる考えでございます。
二ページが、
公共団体への分権化への
取り組みでございます。
当然、国土づくりに当たりましては国と
地方の適切な役割分担が必要でございまして、国の場合は、県を越え広域的な
事業あるいはナショナルミニマムの
観点からの
事業、こういったことをやらせていただいておりますし、県、
市町村はそれぞれ
地域の住民のニーズを受けとめてやっていただいているわけでございます。そういった中で我々の仕事も
地方分権というのを進めていこうというふうに
基本的に考えておりまして、既に従来から都市
計画の事務の分権化等々もやらせていただいておりますけれ
ども、まだまだもっとおろすべきだという御議論もありまして、そういったことをさらに今後も検討し、進めていきたいという考えでございます。
三
ぺ-ジが
住宅困窮の
高齢者への
居住対策でございます。
住宅に困窮しておられる低額所得者につきましては、
平成三年度から
公営住宅の供給に当たりましては原則としてバリアフリー、段差をなくす
住宅を供給するというふうにいたしておりまして、同様に公団
住宅も同じことを原則としているわけでございます。
公共住宅関係はこれからのストックは
高齢者、障害者仕様でつくっていく、こういうことになっております。そして、民間から
地方公共団体に借り上げられます
福祉型借上
公共賃貸
住宅という
制度もございますが、そういった民間でおつくりになるものも公的な資金の配賦、公的な一般財源を入れますものにつきましては同様の
考え方で進めていくわけでございます。
それから、入居に当たりましてもお年寄りの方をなるべく優先的に入居するようにしたいということで、六十歳以上のお年寄り、女性の場合は五十歳以上でございますけれ
ども、単身入居ができる、
公営住宅は通常は世帯持ちを前提にいたしておりますが、単身入居ができるというふうにいたしております。
平成六年度
予算におきましても、
福祉型借上
公共賃貸
住宅等々
高齢者仕様の
住宅の供給に努めてまいりたいと考えております。
また、民間のアパートで
高齢者の方を拒否するといいますか、入居の拒否というのが多いという御議論がいつも出されるわけでございますけれ
ども、
基本的には私人間の契約というものでございますので公的な介入がなかなか難しゅうございます。従来から申し上げておりますように、一般的な仲介業をやっておられます宅建業者にぜひこういったことを、
高齢者の方が入居拒否されないような形で啓発といいますか、そういったことを引き続きやらせていただこう、こういう考えでございます。
それから、五ページにまいりまして、公的なケアつきの
住宅をどんどん進めていったらどうかという御指摘でございます。先ほどの繰り返しになりますけれ
ども、
高齢者向けの仕様の
住宅はバリアフリー化を
平成三年度から標準化いたしましたとともに、公的なケアという
意味では完全な
福祉を組み込むわけにはいきませんけれ
ども、
福祉部局との連絡をとる
事業を
二つほど進めさせていただいております。
一つがシルバーハウジング・プロジェクトでございまして、
公営住宅、公団
住宅を建てかえていく際に、その中に
一定の割合の
高齢者の
住宅を供給させていただきまして、優先入居をさせていただきます。そして、その方々が
生活にお困りにならないように、
生活の
相談員といいますか、
厚生省から
補助金をいただきますライフサポート・アドバイザーという方に管理人になっていただきまして、そして場合によりましては
厚生省関係の
予算をちょうだいいたしまして、建てかえ団地の中にリハビリテーションセンターでございますとかあるいは
生活相談室でございますとか、そういったものを併設いたしまして、
高齢者のケアとまではいかないまでも日常の
相談等々をお受けするような形で暮らしていただく団地づくりを進めております。
先ほどちょっと申し上げましたシニア
住宅というのは、
住宅・都市
整備公団あるいは
地方住宅供給公社が供給しているわけでございますけれ
ども、
一定額の生命保険を一括してお払いいただきまして、その額を取ります形で賃貸料にかえましてお年寄りの方に入っていただく。その
施設の中には簡単な
医療施設が整っている、あるいは
生活の団らん室等がある、そういったものを組み込みました
制度でございまして、大都市圏を
中心にしてかなりのプロジェクトが現在進行しつつございます。そういったことを進めまして、
福祉との連携をとりながら
高齢者住宅対策を進めているわけでございます。
それから、六ページにまいりまして、
高齢者の
居住に適した
住宅の
普及あるいはリフォームの
推進ということでございます。
私
どもも昭和六十二年度から長寿
社会向けの
居住環境
向上技術の開発という研究テーマを持ちまして、
高齢者仕様の
住宅の設計指針というのをつくってまいったわけでございます。その一環といたしまして、先ほど申し上げました公営・公団
住宅のバリアフリー化を進めているわけでございますが、民間
住宅にもこれを
普及しなきゃいけないということで、現在民間のこういった
住宅の設計指針をつくっております。公庫も前々から、
高齢者仕様でおつくりになる
住宅あるいは改造につきまして融資を用意しているわけでございます。ただ、現実にはなかなか若いうちからこういった割り増し融資をお使いになる方がまだ少ないと私
どもも思っておりますので、さらに今後こういったことをあらかじめやっていただくように啓発していきたいというふうに考えているわけでございます。
それから、次のページにまいりまして、特に改造、リフォームについて掲げてございます。
住宅のリフォームは
住宅のストックがある程度ふえてまいりますと当然ふえてまいるわけでございます。特に昭和六十年度あたりから
住宅リフォームセンターというところで消費者の方々に対して増改築の
相談をあずかる増改築
相談員というのをつくらせていただきました。
高齢者向けの
住宅リフォームというのは人によりまして随分違うわけでございます。障害部位によりまして
住宅を改造する仕方も違います。そういったかなり個々具体の問題になってまいりますので、そういった増改築
相談員も
高齢者用あるいは障害者用のリフォームのやり方につきましてよく勉強していただく、そういった研修会を相当今進めさせていただいておりまして、いざというときにいろいろ御
相談にあずかれるような体制を
整備してございます。
そして、
高齢者向けの割り増し融資等の
住宅をやっておりますけれ
ども、
平成五年度は特に経済対策と兼ね合わせまして従来は八百万程度のリフォーム融資を四けたの一千万円にさせていただいたわけでございますし、また、
平成六年度はさらに五十万円上積みいたしまして一千百二十万円をリフォームに
住宅金融公庫からお貸しができる、こういうふうにさせていただいているところでございます。
それから八ページにまいりまして、
福祉の
まちづくり関係でございます。
もとより
福祉の
まちづくりは
建設省だけではできないわけでございますが、しかし私
どものできる範囲では積極的にやらせていただこうという考えでございます。
平成三年度に
福祉の
まちづくりモデル
事業ということで、主として道路と建築物、これをなるべく総合的に、
高齢者や障害者の方々が歩きやすい、あるいは住みやすい、こういった
事業を進めております。この
事業を進めるに当たりましては、やはり地元の
市町村が熱心にやっていただくというのが大事でございまして、現実に例えば高崎市ですとか徳島市ですとか先進的な
市町村では、駅前地区でございますとか
中心的な繁華街でございますとか、そういったところを
中心にしまして、まだわずかのエリアでございますけれ
どもこういったモデル
事業をさせていただいているところでございます。
来年度はこれをさらに拡充いたしまして、「モデル
事業」から「人にやさしい
まちづくり事業」というふうに名前を変えまして進めさせていただくわけでございますが、いずれにいたしましても、都市
計画や街路、公園等々の
建設省関係のそれぞれの仕事を、面的な形で
福祉の
観点からも、住みやすい歩きやすい、そういった都市にしていこうという考えでございます。もとより
建設省ばかりでなくて交通
関係等々の御
相談も当然していかなければなりませんが、こういった形で現在やらさせていただいております。
最後に、今国会に御提案申し上げております
高齢者、身体障害者等が円滑に
利用できる特定建築物の建築の
促進に関する
法律案について概要を御
説明させていただきたいと思います。
二十一世紀の本格的な高齢
社会に備えまして、
住宅もやらせていただいておりますけれ
ども、非
住宅の、不特定多数の方が出入りされますデパートですとか劇場ですとか公的な公民館ですとか、そういった不特定多数の方が
利用される際に
高齢者、障害者の方も当然入っておいでになるわけでございますので、全体としていいストックのこういった仕様の建築物の建築を
促進しようという考えで提案をさせていただきました。
骨子は、
高齢者、障害者仕様ということになりますと、出入り口のアプローチの問題、段差をなくするとか、あるいは出入口のドアの幅の問題、廊下の幅の問題、エレベーターの車いす
利用の問題、あるいは車いすで使えるトイレの問題、こういったことが多角的に必要となってまいりまして、そういったものにつきまして特定建築主、不特定多数が
利用される建築主にそういう仕様でつくっていただくように努力をしていただこうと、努力義務を課させていただきます。
努力をする基準といたしまして、建設大臣が、基礎的基準という最低の基準といいますか、それと望ましい基準、二十一世紀に本当にいいストックをつくったなというふうな
意味での望ましい基準の
二つの基準を公表させていただきまして、この判断基準に基づきまして建てる際に知事が必要な
指導あるいは助言をさせていただく。そして、特に誘導基準、望ましい基準でつくっていただくような建物につきましては幾つかのインセンティブを差し上げるというふうにいたしております。認定という行為をとっていただくわけでございますが、
一つは
予算、税制で措置をさせていただきます。ちょっとここには書いてございませんで失礼いたしました、
法律上はストレートに出てまいりませんので。でございますが、
高齢者・障害者仕様で誘導基準でおつくりになりますと、平均して工事費は三%ぐらいふえるわけでございます。そのうちの一・五%ぐらいを平均しまして、税制と
助成措置で応援しようという
考え方でございます。
それから、
二つ目のインセンティブは、確認手続と認定手続
二つ要るわけでございますので、認定手続をもって認定申請を受けました知事、
指定都市の長が建築主事に確認をとってもらう、両方申請をしないで済む、そういう手続の
簡素化はいたします。
それから、廊下を広げたりトイレを広げたり、誘導基準でやらない場合よりもそういった部分の面積が広がるわけでございますので、広げた分の容積は不算入にしようと。したがって、いいことをしたといいますか、廊下を広げたりトイレを広くしたりという分でほかの面積をいじめないようにしようと、そういった容積率の特例もつけさせていただいております。
また、二階建てぐらいのスーパーを考えまして、これは既存の建物についてもそうでございますけれ
ども、大体は階段で二階がつくられておりますので、そうしますと車いす
利用の方は二階にはなかなか行けないということから、簡易なといいますか、ちょっと言い方は悪いんですが、安全ではありますけれ
ども、設置型のエレベーターをおつくりになります場合には基準法の特例でできるようにしよう、こういったことをインセンティブとしてつけさせていただいているわけでございます。
一枚おめくりいただきますと、レジュメといいますかそういったことが書いてございますけれ
ども、こういったことで現在、参議院先議で御議論をいただいて、建設
委員会の方で御審議をきょう賜ろうということでございます。
以上、大変簡単でございますけれ
ども、
国民生活調査会の
フォローアップにつきましての御
報告をさせていただきました。どうかよろしくお願いいたします。