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1994-06-22 第129回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月二十日     辞任        補欠選任      木庭健太郎君     中西 珠子君  六月二十一日     辞任        補欠選任      中西 珠子君     木庭健太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         前田 勲男君     理 事                 鈴木 貞敏君                 永田 良雄君                 種田  誠君                 直嶋 正行君     委 員                 上野 公成君                 遠藤  要君                 坂野 重信君                 松谷蒼一郎君                 吉川  博君                 青木 薪次君                 小川 仁一君                 磯村  修君                 広中和歌子君                 上田耕一郎君                 西野 康雄君    国務大臣        建 設 大 臣  森本 晃司君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      佐藤 守良君        国務大臣           (国土庁長官)  左藤  恵君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     加藤  昭君        北海道開発庁計        画管理官     大久保庄三君        国土庁長官官房        長        藤原 和人君        国土庁計画・調        整局長      糠谷 真平君        国土庁土地局長  原  隆之君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設大臣官房総        務審議官     内藤  勲君        建設省建設経済        局長       小野 邦久君        建設省都市局長  黒川  弘君        建設省河川局長  豊田 高司君        建設省道路局長  藤川 寛之君        建設省住宅局長  三井 康壽君    事務局側        常任委員会専門        員        駒澤 一夫君    説明員        大蔵大臣官房企        画官       河野 正道君        建設大臣官房技        術審議官     和里田義雄君        自治大臣官房地        域政策室長    河野  栄君        自治省行政局行        政課長      中川 浩明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成六年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成六年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成六年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管北海道開発庁国土庁)、建設  省所管住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫  )     ―――――――――――――
  2. 前田勲男

    委員長前田勲男君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  去る六月十七日、予算委員会から、本日一日間、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並び住宅金融公庫北海道東北開発公庫についての審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 前田勲男

    委員長前田勲男君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫役職員をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 前田勲男

    委員長前田勲男君) それでは、予算概要について政府から説明を求めます。森本建設大臣
  6. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 建設省関係平成六年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百十九億八千万円余、歳出六兆六千九百四十四億六千七百万円余、国庫債務負担行為七千三百二十八億六千百万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出七兆七千九十二億五千百万円余、国庫債務負担行為七千七百五十五億八千四百万円余を予定しております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも五兆五百四十四億七千六百万円余、国庫債務負担行為五千九百二億三千二百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも九百五億三千五百万円を予定しておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも二兆二千九百二十三億五千九百万円余、国庫債務負担行為四千四百六十二億四千三百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも五億九千百万円を予定しております。  都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも一千九百六十七億二千百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも三十一億一千九百万円を予定しております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出四百六十七億三千七百万円余、国庫債務負担行為三百八十一億四千万円を予定しております。  以上のほかに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、建設省所掌事業に要する無利子貸付金は、歳出十五億三千九百万円を予定しております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策及び市街地整備都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる施策推進してまいる所存であります。  第一は、住宅宅地対策及び市街地整備であります。  国民居住水準向上住環境改善を図るため、平成六年度においては、予算額一兆二千六百八十三億四千五百万円余のほか、財政投融資資金十兆三千八百十八億円で、住宅宅地対策及び市街地整備を積極的に推進することといたしております。  まず、住宅対策については、第六期住宅建設五カ年計画に基づき、生活者重視の視点から、良質な住宅供給促進による居住水準の着実な向上基本として、公庫住宅公営住宅及び特定優良賃貸住宅公団住宅等建設省所管住宅合計七十六万五千二百戸の建設を行うとともに、関連公共施設整備等良好な住環境形成のための施策推進することといたしております。  次に、宅地対策については、住宅都市整備公団等公的機関による宅地開発事業計画的な推進住宅金融公庫融資による優良な民間宅地開発推進等を図ることといたしております。  特に大都市地域においては、土地住宅問題に対処するため、各種施策により住宅宅地供給を積極的に推進することといたしております。  また、市街地整備については、良好な環境を有する市街地形成を図るため、優良な建築物居住環境整備を積極的に推進することといたしております。  第二は、都市対策であります。  全国的な都市化の進展に対処し、経済力に見合った真に豊かな国民生活が享受できるような社会実現を図るため、平成六年度においては、予算額二兆五千二百八十五億八千七百万円余のほか、財政投融資資金一兆四百二十億円で、下水道公園街路都市高速道路等都市基盤施設計画的に整備するとともに、民間活力活用しつつ市街地開発事業土地区画整理事業等により都市開発を一層推進するほか、地区計画等活用した美しい町並みづくりのための事業を積極的に推進することといたしております。  第三は、国土保全水資源対策であります。  まず、治水対策及び水資源開発については、激甚な水害土砂災害多発渇水被害の頻発に対処して、真に豊かさを実感でき、安全で快適な質の高い生活環境実現するため、第八次治水事業五カ年計画に基づき、平成六年度においては、予算額一兆五千五十六億九千七百万円余で、河川ダム砂防等事業水資源開発推進することといたしております。  特に、昨年金国各地で頻発し、甚大な被害が生じた水害土砂災害に対して、再度災害の防止を強力に推進することといたしております。  また、海岸保全対策については、高潮等に対する海岸域保全海岸環境整備を図るため、予算額四百六十一億五千万円余で事業推進することといたしております。  さらに、急傾斜地崩壊対策等については、頻発する急傾斜地崩壊等による災害に対処するため、予算額五百六十四億三千六百万円余で、急傾斜地崩壊対策事業及び雪崩対策事業推進することといたしております。  第四は、災害復旧であります。  平成六年度においては、予算額四百八十八億五千四百万円を予定し、被災河川等早期復旧等を図ることといたしております。  第五は、道路整備であります。  第十一次道路整備五カ年計画の第二年度として、生活者を重視することを基本とし、平成六年度においては、予算額三兆六千九百六十八億一二千二百万円のほか、財政投融資資金三兆四千三百十九億円で、緊急かつ計画的な道路整備推進することといたしております。  特に、国土の骨格として、生活基本から支える高規格幹線道路及び地域のモビリティーを高める地域高規格道路について整備推進することといたしております。  また、総合的な渋滞対策、歩道、駐車場などの交通安全対策沿道環境保全や美しい町並みづくりなど生活空間の質を高める事業及び高度情報化社会に対応するための路草間情報システム整備を積極的に推進するほか、土地区画整理事業活用した住宅宅地供給促進等各種事業の一層の推進を図ることといたしております。  第六は、官庁営繕であります。  平成六年度の予算額は、一般会計二百四十九億六千六百万円余、特定国有財産整備特別会計四百六十七億三千七百万円余で、合同庁舎等建設を実施することといたしております。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫平成六年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫借入金及び債券限度額は、九兆七千六十五億二千四百万円を予定し、収入支出予算は、収入三兆三千八百三十六億七千五百万円余、支出三兆四千三百九十五億二千八百万円余を予定し、住宅六十三万戸等について総額九兆一千六百三十二億円の貸付契約を行うことといたしております。  以上をもちまして、平成六年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算並びに住宅金融公庫予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 前田勲男

  8. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 総理府所管のうち、国土庁平成六年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、三千九百五十五億八千五百万円余を予定いたしております。  また、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一億一千九百万円を予定いたしております。  次に、平成六年度予算重点について御説明いたします。  第一に、国土計画推進についてであります。  第四次全国総合開発計画を総合的に推進し、東京一極集中の是正及び地域活性化を図るため、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域開発整備を初めとする諸施策推進するほか、第四次全国総合開発計画総合的点検の成果を得た上で新たな国土政策推進するための調査検討、新しい国土の軸に関する調査検討を行うとともに、国土総合開発事業調整費活用による公共事業調整推進することとし、予算額百四十九億八千万円余を予定いたしております。  第二に、総合的土地対策推進についてであります。  利用価値に相応した適正な地価水準実現と適正かつ合理的な土地利用確保を図るため、土地有効利用対策推進土地情報総合的整備及び国土利用計画法の的確な運用を図ることとし、予算額六十七億四千三百万円余を予定いたしております。  また、地価公示等土地取引指標等としての機能の一層の向上を図るため、調査地点の大幅な増設を図ることとし、予算額四十三億五千八百万円余を予定いたしております。  さらに、第四次国土調査事業十カ年計画に基づき、地籍調査等国土調査推進することとし、予算額百四億九千八百万円余を予定いたしております。  第三に、総合的な水資源対策推進についてであります。  良質な水資源安定的確保を図るため、全国総合水資源計画等に沿い、水資源開発推進水資源有効利用促進等総合的な水資源対策を積極的に推進することとし、予算額千百十八億三千七百万円余を予定いたしております。  なお、水資源開発公団については、前述の予算額のうちの千百十四億四千七百万円余の補助金等財政投融資資金等と合わせて四千百六十八億円余の資金により、ダム、用水路の建設事業等計画的に促進することといたしております。  第四に、大都市圏整備推進についてであります。  大都市圏整備と秩序ある発展を図るため、大都市圏整備計画推進首都圏の将来展望作業の実施を進めるとともに、首都機能及び国の行政機関等の移転に関する調査検討を積極的に推進するほか、業務核都市整備大阪湾臨海地域開発整備筑波研究学園都市育成整備、関西文化学術研究都市の建設琵琶湖総合開発計画推進等を図ることとし、予算額七億八千三百万円余を予定いたしております。  第五に、地方振興推進についてであります。  まず、人口地方定住と多極分散型国土形成を図るため、地方拠点都市地域や中山間地域整備、多様なリゾートの整備を初め、個性豊かな魅力ある地域づくりを進めるなど総合的な施策推進するとともに、大都市住民地方回帰をさらに促すこととし、予算額十三億九千九百万円余を予定いたしております。  次に、立地条件に恵まれない過疎、山村、離島等地域における生活環境整備産業振興のための諸施策を引き続き推進するとともに、奄美群島及び小笠原諸島については、両振興開発特別措置法の延長及び改正を行い引き続きこれらの地域振興開発推進することとし、予算額二千三百六十億三千七百万円余を予定いたしております。  第六に、災害対策推進についてであります。  雲仙岳噴火災害北海道南西沖地震災害等最近の災害状況等にかんがみ、活動火山対策推進震災対策強化防災情報収集伝達システム充実強化国際防災の十年の推進等災害対策の総合的な推進を図ることとし、予算額十二億八千三百万円余を予定いたしております。  第七に、地域活性化施策推進についてであります。  活力ある地域づくりを支援するため、地域活性化施策に関する調査研究等及び具体化推進することとし、予算額十億円を予定いたしております。  第八に、地域振興整備公団事業についてであります。  地域振興整備公団については、十五億四千万円の国の一般会計補給金財政投融資資金等と合わせて千七百五十一億二千百万円の資金により、人口及び産業地方への分散地域開発発展に寄与するため、地方都市開発整備、工業の再配置地域産業高度化地方拠点都市地域整備産業業務施設の再配置及び産炭地域振興のための事業を引き続き実施することといたしております。  以上をもちまして、平成六年度の国土庁予算概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 前田勲男

  10. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 平成六年度の北海道開発庁予算並びに北海道東北開発公庫予算概要を御説明いたします。  まず、平成六年度の北海道開発予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成六年度総理府所管一般会計予算のうち、北海道開発庁計上いたしました予算額は、歳出一兆一千百三十六億二千八百万円、国庫債務負担行為三百四十三億六千六百万円であります。  次に、これら歳出予算の主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、国土保全水資源開発事業経費に充てるため、予算額二千百三億一千万円を予定しております。  これは、石狩川等重要水系災害多発地域中小河川及び都市河川重点を置いた河川整備を初め、洪水調節及び今後の水需要の増大に対処する多目的ダム建設都市対策砂防事業火山砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業等治水事業推進するほか、森林公益的機能拡充強化を図るための治山事業、並びに高潮侵食対策等海岸事業推進するための経費でございます。  第二に、道路整備事業経費に充てるため、予算額四千百二十三億八千二百万円を予定しております。  これは、交通体系の基軸となる高規格幹線道路から国道、地方道に至る道路網の体系的、総合的な整備推進するほか、交通安全施設等整備都市周辺のバイパス、連続立体交差街路及び土地区画整理等事業推進するための経費でございます。  第三に、港湾空港整備事業経費に充てるため、予算額七百二十六億九千五百万円を予定しております。  これは、室蘭港及び苫小牧港の特定重要港湾石狩湾新港その他の重要港湾整備を進めるとともに、地域開発拠点となる地方港湾整備推進するための経費並びに新千歳空港B滑走路整備函館空港その他の空港整備推進するための経費であります。  第四に、生活環境施設整備事業経費に充てるため、予算額一千二百九十億七千六百万円を予定しております。  これは、公営住宅建設及び関連公共施設整備推進するための経費並びに下水道環境衛生施設都市公園整備推進するための経費であります。  第五に、農林水産業基盤整備事業経費に充てるため、予算額二千七百二億六千万円を予定しております。  これは、国際化時代に対応した多様で生産性の高い農業への速やかな展開を図るための農業生産基盤整備事業及び農村地域生活環境改善を図る農村整備事業等農業農村整備事業水産業振興を図るための基盤となる漁港施設整備及び沿岸漁場整備開発事業、並びに豊かな森林資源を維持培養するとともに森林総合利用基盤整備する造林、林道の事業推進するための経費であります。  引き続き、平成六年度の北海道東北開発公庫予算について、その概要を御説明申し上げます。  北海道東北開発公庫は、北海道及び東北地方における産業振興開発促進するため、民間金融機関と協調して良質な産業資金供給することを業務としております。  北海道東北開発公庫平成六年度予算は、出融資枠二千六百八十九億円であります。  これらの原資といたしましては、政府出資金二十一億円、政府借入金八百七十九億円、債券発行による収入一千三百十億円を予定し、残りの四百七十九億円は、外債二百億円の発行を含む自己資金等で調達することといたしております。  また、特別金利貸し付けにつきましては、北海道及び東北地方における企業の新分野進出など産業構造改革促進するための制度等を創設するほか、無利子貸し付けにつきましても対象事業の拡大を図るなど、公庫出融資機能を拡充することといたしております。  以上をもちまして、平成六年度の北海道開発庁予算並びに北海道東北開発公庫予算の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  11. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 以上で政府からの説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 初めに、公共料金値上げの一律凍結について建設大臣に伺います。  去る五月十八日に突然、羽田総理より、記者会見におきまして、公共料金値上げについて一律に凍結を行う、こういうことが発表をされたわけでございますが、建設省関係としては、道路公団高速道路料金値上げ、それから住都公団家賃値上げ二つ所管があるわけでございますが、この点については、総理値上げ凍結発表する前に建設大臣に対して、こういうことで値上げ凍結をしたい、ついてはどんなふうな事情があるのかということの相談はあったんでしょうか。
  13. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 五月十八日の夕方四時過ぎに、記者会見官房長官からなされたと記憶しております。  私の方には、その前にいろいろと公共料金に対する国民の声が寄せられておりました。日経運永野会長がお見えになったのは十七日ではなかったか、十六か十七日ぐらいであったかと記憶しております。御意見も聞かせていただいておりまして、私も公共料金については検討しなければならないと考えておりました。発表前に役所の方から私の方に、こういうことを総理が考えられておりまして、きょう四時から発表される予定ですがという話が、ちょうど予算委員会のさなかでございましたが、事前に私の方に連絡がございまして、私も今はそういう判断をしなければならないときだと思って予といたしました。
  14. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 公共料金値上げといいましても、すべて値上げの理由というのは異なっているわけです。例えば、建設省におきましても道路公団関係値上げとそれから住都公団値上げというのは全く異なっていると思う。  現在の大臣のお気持ちとして、この両公団値上げについて、これはもう申請があったかと思いますが、認可についての問題も含めてどういうようなお考えであるか、御見解をいただきたい。
  15. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 五月二十日に閣議で年内凍結という方針が出されまして、私も、建設省として年内凍結について現在の経済情勢等々考えてやむなしというふうに考えております。  ただ、今松谷先生から御指摘いただきましたように、建設省道路住宅二つがございます。そこで、二十四日には道路値上げの問題について公聴会を行って、そこでさまざまな御意見を聞かせていただきました。それから二十七日に、私はそういった意見等々も踏まえまして、両公団総裁大臣室にお呼びいたしまして、そして料金凍結になる、それからいろいろと両公団合理化それからサービスの向上、さらにまた国民の理解を得られるように総裁が先頭に立って公団内で努力してもらいたい、そしてその結果を報告していただきたい。今報告はまだいただいていないわけでございますが、間もなくいただくことになろうかと思います。  そういう報告をいただいた上で、私たちとしてもしんしゃくをさせていただきたいと思いますし、同時に、また建設省としても両公団に対して総点検を行って、物価問題閣僚会議にそのことの報告もした上で、殊に道路公団の方につきましては地元から公聴会等々でいろんな意見が寄せられております。そういった意味から、料金改定をも含めて認可については早くしなければならないというふうな思いを今持っているところでございます。
  16. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 道路公団値上げについて道路局長に伺います。  そもそも認可申請がありました以前に、やはり内々の相談というんですか道路公団との折衝といいますか、そういうものはあったんじゃないかと思うんですが、この値上げについては局長としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  17. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 今回道路公団から料金改定の申請が上がってきたわけでございますが、この料金改定につきましては、昨年の十一月に道路公団に対しまして千百八十四キロの施行命令を新たに追加する形で出したわけでございます。この施行命令の追加に伴って千百八十四キロの施行に要する事業費というのが大体十兆円近くかかるものですから、その辺を前提にいたしまして道路公団の方で、やはり有料道路事業でございますので採算性をきちっと確保しなければいけないということで、採算性の確保につきましていろいろ御検討をされまして、その検討の結果として四月二十六日に、一〇・六%の改定率でございますけれども、申請が出てきたという経緯がございます。  当然、この採算性の検討をやるためには、前提としてやはりいろんな仕組みをきちっと対応した上で検討する必要があるわけでございまして、今回の検討に当たっても、国の助成を大幅に拡充することにいたしております借入金資金コストを引き下げるという要求を平成六年度の予算要求というような形で出させていただいておりましたので、そういう問題であるとか、あるいは償還期間を三十年から四十年に引き延ばさなければいけないというような、そういうところもございました。そういう問題についても新たな制度として取り入れることにいたしましたが、そういう新たな仕組みの考え方等についても私どもとしても道路公団の方にやはりきちっと指示をいたしまして、その指示の中で公団の方から検討が進められて出てきたということでございます。  基本的な料金改定の中身については、道路公団の方でいろいろ自主的に議論し、検討し、申請が出てきたというふうに理解しているところでございます。
  18. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 申請の中には値上げの実施の時期も含まれていたんでしょうか。
  19. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 当然値上げの実施時期というのも含まれておりまして、道路公団の申請では料金改定については平成六年の七月一日から実施したいという申請になっております。
  20. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これは一律に凍結されますと、やはり事業執行についていろいろな問題が起こってくるんじゃないだろうかと思うわけです。  例えば、年内凍結ということは私もよく理解できないんですが、来年の一月一日になれば突然凍結が解除されて実施になる、それから認可の問題はこれまた実施とは別なのか、その辺について大臣、いかがですか。
  21. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 来年一月一日からかどうかというのについては、また全体の中で検討させていただきたいと考えております。先ほど申し上げましたように、いろんな報告等々を受けて考えさせていただきたいと思いますが、当然千百八十四キロの認可を出すとすれば料金の採算も考えなければなりませんので、料金改定ともあわせて考えなければならない、できるだけ早い時期にそういった認可をしたいと考えております。
  22. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それでは、認可はするが実施の時期が若干おくれる、こういうことですね。  そこで、値上げ実施がいずれにしても先送りになるわけですが、そうすればいろんな事業に支障が起こる。例えば、私の選挙区等におきましては九州横断自動車道の施行命令が出されておりますが、これはもうしばらくは着工できない、そういうふうなことになるんでしょうか。
  23. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 今大臣からもお話がございましたが、料金改定の実施時期につきましては年内見送りということでございます。いっ実施するかについてはこれから検討していくところでございますが、私どもとしては、やはりこの料金改定の実施時期の見送りが高速道路建設事業計画にできるだけ影響を与えないように努力していこうというふうに考えておりまして、先ほど大臣からもお話がございましたが、この影響を最小限にとどめるという意味で、道路公団総裁に対しまして、経営の合理化とかサービスの向上等具体的な取り組みを早急に検討してくれという指示を出しているところでございます。  それからまた、一方この高速道路建設につきましては、全国各地からとにかく早く建設に着手してほしいという要請が強く出ているところでございますし、また景気対策、内需拡大というような要請にこたえるという意味からも、私どもとしてはできるだけ早く、工事の実施計画というのがございますが、この工事の実施計画認可を行いまして事業に着手したいというふうに考えているところでございます。  この事業の実施計画というのは、料金改定認可をしないと事業計画そのものが固まらないというところがございまして、私どもとしては、料金改定の実施時期というのは先送りするということになりましたので、そういう形にいたしたいと思っておるわけでございますが、この料金改定認可だけはできるだけ早く行いまして事業計画を確定して、それで工事実施計画認可して本格的な事業に着手したいという、そういう希望を持っているところでございます。  今公団の方でいろいろ経営合理化等の検討をやっていただいておりますので、それをできるだけ早く報告していただいて、また、今申し上げましたように、高速道路をできるだけ早く着手してほしいという要請が非常に強うございますので、そういうものも十分勘案しながら、できるだけ早い時期に具体的な対応を決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  24. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 あらゆる料金値上げに賛成するわけじゃありません。それは、やはりこういうような時期に値上げをやるということは経済的な問題、景気の回復のためにもマイナスの効果になるわけですから、そういうことについて賛成するわけではありません。  しかし、例えば道路公団料金値上げあるいは住都公団家賃値上げ等のように、極めて重要な政策がこの凍結によって事業が渋滞してしまうというような問題についてはやはりきちっと筋を通して、一律の値上げというのはいかにも政策不在でありますから、これは建設大臣としても総理に直接お話をされて、こういうようなことになればいろんな各地の高速道路事業がおくれてくるわけでございますから、そういうことも含めてぜひ閣内においても御意見を出していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  25. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) その後の閣議におきましても、建設省所管しております両公団の問題については私の方からも申し上げたところでございます。  今委員御指摘のように、できるだけ早く認可をして支障の少ないようにさせていただきたいと思います。  公聴会を初めとし、いろんな地方の首長さんとお会いするたびに一日も早くという声も同時に聞いておりますので、またそれについて料金にはね返らないように、公団合理化を初めとしいろいろと我々も検討してまいりたい、このように考えております。
  26. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そういうことでお願いしたいんですが、若干蛇足かもしれませんが、住都公団の家賃の値上げ住宅局長に伺います。  今回の家賃の値上げは、三年ごとに行っている一定のルールに基づいて行われている、附帯決議だか委員長の要望だかちょっと忘れましたが、それに基づいて行っているわけです。それも、道路公団の場合とは異なって不公平是正、すなわち現在の一番安い家賃が昭和三十一年度の契約家賃で二万八千四百円、平成四年度の家賃が十万一千八百円と、四倍ほどの違いがあるわけですね。建物が古いとか規模が若干小さいとかいうようなことはありますが、逆に今度は最初のころに建った住宅は非常に便利なところにある。赤坂周辺とかなんとか、そういうところにもあるというような話も聞いておりますが、こういうようなことで、新しく建ったところは非常に遠いところにありまして家賃が大変高い。これをできるだけプールにして、平均的な家賃で実施して不公平が起こらないようにしたいというのが、三年ごとに家賃値上げを実施していく、是正をしていくということではないかと思うんですが、今回の一律凍結の結果、どういうような影響があらわれるのか、ちょっと住宅局長から。
  27. 三井康壽

    政府委員(三井康壽君) 今委員御指摘のとおり、住都公団の家賃につきましては、古くは第二臨時行政調査会の第一次行政改革の答申におきまして、新旧の家賃の不公平の是正を求められたわけでございます。そういったこと等の御議論を経まして、昭和五十三年から家賃格差の是正でございますとか、あるいは足りなくなってきております維持・修繕費の充足を図るために家賃値上げを定期的に行わさせていただいておるところでございまして、現在までに四回改定をさせていただいております。  いずれも衆参の建設委員会で熱心な御審議をいただきまして、委員長要望という形でおおむね改定につきましてのルールというのができ上がって、三年ごとに改定をする。改定されました増収額につきましては、七割を維持・修繕費に充て、三割を新規の家賃の抑制に充てる、こういったことを主とした内容とする改定を今まで行わさせていただいておりまして、たまたまことしが改定の時期ということで、三月の末に住都公団から申請があったわけでございます。  今回、政府全体の統一方針といたしまして年内は凍結ということでございます。それは、もう政府の方針でございますので私どもそれを進めさせていただくわけでございますけれども、影響といたしましては、先ほど申し上げました維持・修繕費をどういうふうにやりくりをしていくかという問題と、それから新規家賃につきましては、当初の公団の腹づもりでは、仮に十月から値上げを一部させていただくといたしますと、五千戸ぐらいの供給を予定しております年度後半分につきまして、平均値でございますけれども、一万二千五百円ほど新しい入居者のための家賃を抑制することは考えていただいております。しかし、こういった状態になりましたので、この影響をできるだけ少なくするように、経営の合理化とかそういったことを今公団の方で詰めておりまして、大臣からそういったことを公団に指示をされまして、公団から近々経営改善の方法等につきまして報告があるわけでございます。それを受けまして、私どもも影響を極力少なくしていこうという考えでございます。
  28. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 経営の合理化は、言葉を返すようですが、大体ずっとやっているはずで、一律凍結になったからこれで直ちに経営を合理化していこうと、そんなに簡単に値上げ分を吸収できるほどの改善効果が出るのかと。今度は家賃の値上げ凍結された。例えば、道路公団で言えば七月一日から、年内としても半年近く凍結されるわけですね。それから、住都公団が十月ですから三カ月ですか、その分は今度は凍結が解除されたときに、値上げ分に上乗せになって値上げされる。これはちょっと今資料がありませんが、東京新聞か何かに運輸省の松尾事務次官が、これは凍結されればその凍結された分は当然上乗せされるなんという発言をしているんです。だから、そういうようなことが両公団についてもあるのかどうか、道路局長住宅局長から。
  29. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 今お話がございましたように、確かに公団の申請の前提になった事業計画あるいは経営合理化等の努力もいろいろなさって申請が出てきているわけでございますが、その申請の前提であった利用計画なり経営合理化努力等に基づいてこの料金改定の見送りの影響を考えれば、当然料金の改定率をアップしていかなければいけないということになろうかと思います。  しかし、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、料金改定率につきましてはできるだけ、できる範囲で、できる限り抑えていくことが必要だろうというふうに考えておりますし、また事業計画等に与える影響につきましても、やはりできるだけ最小限にとどめたいということで考えているところでございまして、そういう視点で、もう一度公団の方にもいろんな経営合理化等の努力をやっていただきたいというふうに考えておりますし、また事業計画等についてももう一度チェックする。そういう中で、この料金改定の幅についてはできるだけ抑えるということで私どもとしては努力したいというふうに考えております。
  30. 三井康壽

    政府委員(三井康壽君) 住宅公団の家賃についてでございますけれども、申請自体が、三年に一遍の改定という今までの考え方で申請が出てきております。その考え方は、三年に一遍は合理的に再建築費等を計算いたしまして改定するという計算でございますので、もしこれが凍結をされまして、著しく長期でございますれば、もう数年とかそういうことでございますればまた別ではございますけれども、直ちに今回の凍結の分を家賃の値上げに上積みするというふうな考えは全然今のところは持っておりません。
  31. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにいたしましても、必要があっての料金値上げたと思いますので、建設大臣におかれましても、できるだけ速やかに認可をされ、あるいは承認をされ、そして実施に向かって閣内でも声を大にしてやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、入札関係について幾つか質疑をいたします。  今月の二十日付の記者発表資料というので、「一般競争入札方式の実施について」というプリントをいただきました。対象工事は七億三千万円以上のすべての工事種別の工事を対象として、一般競争入札方式の手続をとる。私は、今までは、七億三千万円以上の工事については条件付一般競争入札だというふうに思っていたんですが、これは無差別の一般競争入札になるんですか。全部がそういうふうになるんですか。
  32. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 一般競争入札のやり方でございますけれども、世界各国、何の条件もつけずに一般競争をやるということはまずほとんどございません。我が国で、今回、平成六年度予算に係るものから実施をしようとしております一般競争方式も、もちろんある一定の条件をつけて実施をする制限付一般競争入札でございます。  その場合に、どういう条件をつけるかということでございますが、今考えております、あるいは六月の二十日に通達をいたしまして、建設省の場合でございますと、直轄の地方建設局に通達をしたのは、まず経営事項審査という建設業者の方の客観的な経営状態の審査項目がございますけれども、これによるある一定の点数を備えていることという一般的な要件と、それから個別に発注をいたします工事につきまして、例えば工事の規模あるいは工事の内容、技術的な必要度とかいろいろ難易度といったようなものを総合的に判断をして、例えば具体的にある特定の工事につきまして経験があるとか、同じような同種の工事をやった施工実績があるとか、そういう個別の参加資格、これは同時にきちっと公告をする中で、そういう一般的な参加資格、個別の資格も含めて条件に合致する方にすべて参加をしていただく、そういうような一般競争入札を考えております。
  33. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ちょっと局長に伺いますが、入札制度で一般競争入札は善で、指名競争入札は悪だ、そういうふうに思われているんですか。
  34. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 私どもは、昨年来、中央建設審議会の答申あるいは政府の行動計画等について幾つかの入札・契約制度の改革を進めてまいりましたけれども、一般競争が善で、指名競争が悪だというような考え方は毛頭ございません。それぞれの国につきましては、歴史的な制度、慣行、あるいは過去のいろいろなやり方等を含めまして、非常に入札・契約方式というのは多様でございます。したがいまして、一つの契約方式が例えば客観的に善である、あるいは片方が悪であるといったようなことはないわけでございますが、現在私どもがこれから着実に実施しようとしておりますのは、少しでも不正の起きにくいシステムを何とかつくり上げていきたい、こういうふうにも思っているわけでございます。  そういう点から申し上げますと、一般競争、指名競争それぞれ長所、短所がございますけれども、一般競争につきましては、例えば当面は技術力も大変信頼が置けて、どちらかというと施工の実績もある大手の企業が参加をするような大型工事につきまして制限付一般競争、いわゆる一般競争でございますが、これをまず導入しよう。それと同時に、指名競争契約につきましても手続の改善を大幅に加えようということを考えているわけでございます。
  35. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そういうことであれば、今回の七億三千万以上のすべての工事について一般競争入札方式にすると、指名はだめよというようなことはちょっとおかしいと思うんですが、おのおの指名競争入札についても一般競争入札についても、世界的に見てもどっちかといえば指名競争入札をやっている国の方が多いんですね。それはやはりいろいろな歴史的な経緯の中で指名競争入札にたどりついている。  ただ、残念ながら、この一、二年の間に入札をめぐるいろいろなトラブル、談合の問題であるとかあるいは天の声だとかいうようなことがいろいろあって、そこで何となく指名競争入札について若干後退をするというような形になってきたんじゃないかと思うんですが、建設省はこういった入札制度についての一番基本的な考え方をつかさどる官庁ですから、いろんなことはあったにしても、これがいいと思ったら、それについては頑固にその姿勢を変える必要はないと私は思うんですよ。  今、地方でも随分トラブルが起こっています。えらいダンピングでありますとか、それから質が確保されないとか、発注についての事務量がえらい多くなっているとか、一カ月も二カ月もかかるとか、いろんな問題が起こってきております。質の問題は直ちには起こってきませんが、やっぱり二年、三年たってきますと、これはきっと大きな現象として出てくる可能性がある。指名競争入札制度は、そういう点はきちっとした透明性のある指名の基準があって、それに従ってやっていくならば、質の問題、事務量の問題、あらゆる問題について入札制度としては妥当な制度であると私は思うんですが、いかがですか。
  36. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 先生御指摘のとおり、指名競争入札あるいは制限付一般競争もそれぞれ長所、短所はあるわけでございます。特に、従来、我が国におきましては指名競争契約を運用上の基本ということで、何回かの中建審の御論議を経て、その契約制度を長い間公共工事の発注の基本としてまいりました。ただ、残念ながら一昨年来いろいろな不祥事もございまして、指名競争をめぐってマスコミあるいは国会等でもいろいろ御論議をいただいたわけでございます。  私どもは、中央建設審議会におけるいろいろな議論の中で、繰り返しになりますが、少しでも不正の起きにくいシステムを考えなければいけないという形で、契約制度を全般的に今すぐ直ちに全部がらっと変えるというわけではございませんで、少なくも一般競争の中でも事業参加者がある程度特定をされる、例えば何百社が一挙に入ってくるというようなものでなくて、例えば大手の企業の方々がある程度実施するというふうに考えられて、大型の工事のものについてとりあえず一般競争をまずやってみるということをスタートさせたわけでございます。  もちろん、そういう大型の工事についても、先生御指摘のとおり、指名競争契約というものがなぜ悪いのかということになりますと、制度の改善を十分加えた上でそういう契約方式というのももちろんあり得るわけでございますけれども、当面私どもが結論をいたしました、政府として一つの方向を定めましたのは、七億三千万以上のものについては制限付一般競争を本格的に導入するということでございます。これによって当分、平成六年度予算に係るものから実施をしていこうと思っておるわけでございます。  ただ、地方公共団体となりますと、規模の点等でやはり指名競争契約が当分の間むしろ技術的には圧倒的に多い、こういうことにもなるわけでございます。この点につきましても、指名競争契約方式のやり方等は、先生御指摘のございましたとおり、例えばある公共団体等については指名の基準がないとか、あるいは十分な工事の対応がないとか、非常に透明性に欠ける部分があるのではないか、こういう御指摘もございました。  それにつきましては、制度自体の透明性、客観性を高めて、競争性をより以上に導入するような、そういうようなことを十分自治省とも御相談をしながら指導してまいりたいというふうに思っております。
  37. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 そもそも私は入札制度について、一般競争入札というのは価格でしょう。とにかく価格オンリーなんですね。ところが、建物というのは何といったって性能というか、質が極めて重要なんです。手抜きなんかが起こったら大変なことになるわけです。ダムやなんかに手抜きがあったり、あるいは高速道路で手抜きがあったりしたら大変な事故になるわけですから、そういうような意味で現在の会計法というか、それで価格だけというのは極めて問題があるんじゃないか。  以前私どもが関係したときに、芦屋浜の高層住宅のコンペをやったときに、どうしても価格を入れなきゃならない。このよって来る元凶は大蔵省で、主計官は関係ないかもしれないけれども、大蔵省はどうしても価格、価格ということでそういうようなことになるんですが、建設省は、やっぱり上物のよさというか、工事のよさというのを標榜しなきゃならない官庁ですから、そういう意味では価格だけではなくて価格を含めた質の問題を取り上げる。そのためには、その指名のやり方についていろんなやり方があると思いますよ。今までみたいに、例えば地方公共団体ならば知事が勝手に指名するとか、そこに非常に政治的な権力が入ってくるとか、そういうのはぐあいが悪いと思いますけれども、指名基準をきちっと透明性のあるものにして、そして指名競争入札で価格とあわせて質を保持するというような入札制度に変えるべきじゃないかと思うんです。  どうもこうやって見ていると、一般競争入札はこうだと。私は、これじゃ極めて安易であると思うんです。かつての建設省のよき伝統がここでがらがらと崩れ去るんではないかなどというほどの危機感を持つわけでございます。それについて局長いかがでしょうか。
  38. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 確かに、私どもが公共工事を現在実施する場合に基本としておりますよりどころは会計法でございます。どういう方が落札者になるかということは、基本的には価格ということは御指摘のとおりだと思います。総合的にいろいろな制度を勘案して、例えば工期でございますとか施工の安全性、品質、デザイン、あるいはその他のいろいろな施工方法というようなものも総合的に勘案して落札者を決めるという、そういう制度に今なっていないわけでございます。  そういう中で今、公共工事、特に国等の発注者はいろいろ契約方式を運用しているわけでございますので、そういうことがいいかどうかということは、これは法制度の問題もございますので私どもが一概に考え方を申し上げるというのはいかがなものかという感じもいたしますけれども、確かに例えば一般的な建設生産物でございますと価格が大きくなる、規模が大きくなる、あるいは複雑な施工方法をとるというような、大きくなるに従ってやはり考えなければいけない要素というのは価格以外にもいろんなことがあるわけでございます。それは御指摘のとおりだろうと思います。  それにつきましても、現在やはり総合的な評価方式みたいなものも例外的にございますので、今私どもは、例えば土木学会等にどういう点をどういうふうに評価をしていくのがいいのかというようなことについてもいろいろ調査研究をしていただきまして一つの御結論もいただいているわけでございます。こういう点を十分私ども勉強いたしました上で、やはり価格も、もちろん当然財源は税金でございますから少しでも安い価格で良質なものをつくるということが大変重要な要請でございますので、大変大事な問題ございますけれども、それ以外の要素といったようなものも含めて、例えば入札・契約制度を考えていくようなことについても十分財政当局ともまた御相談をしていくようなことを考えたいと思っております。
  39. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 それから、特に市町村でこの入札制度について、発注についてえらい行き過ぎがありまして、それでいろいろと混乱が起こっているというようなことも聞いております。逆に今度は、指名競争入札で業者を指名しているんだが、その指名の基準がはっきりしない。極端なことを言えば、首長の選挙に当たって協力したところは指名に入れるけれども協力しなかった敵方はもう指名しないとか、極めて政治的な指名のやり方をしているところもあるというように伺っているんですが、自治省としてもその辺は建設省と十分連絡をして行き過ぎがないように、逆にまた指名基準については透明性のあるきちっとした指名基準をやるようにぜひお願いしたいんですが、自治省の見解はいかがですか。
  40. 中川浩明

    説明員(中川浩明君) お答えを申し上げます。  大規模工事に制限付の一般競争入札を導入いたしましても、そのほかの工事につきましては指名競争入札によることとなるので、指名競争入札におきます透明性とか公平性のための方策を講じることも重要なポイントでございます。  具体的には、御指摘のように明確な指名基準及びその運用基準を策定することが重要な点ではなかろうかと思っておりますが、これ以外にも、受注者の技術的適性または入札意欲等を指名に反映させるため公募型の指名競争入札あるいは工事希望型の指名競争入札を採用することを検討すること、あるいは指名基準とか指名結果、入札経過及び結果並びに発注標準を公表することなどの改善策につきまして既に地方公共団体に対して通知をいたしているところでございます。各地方公共団体におきましては、これまでの経緯もいろいろございますけれども、また規模の大小もございますが、通知の趣旨を踏まえまして指名競争入札の改善について一生懸命取り組んでいるところであると思っております。  今後とも機会をとらえまして、建設省との御協議もいたしながら指名競争入札の改善を含めて必要な入札・契約手続についての改善措置を講じてまいりたいと思っております。
  41. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 改善措置と同時に、あわせて行き過ぎの是正、これをやってもらわなくちゃいかぬと思うんです。  それから、これは一昨日ですか、鈴木先生から御質問があったことに関連をするんですが、一つの不祥事があって指名停止になった。指名停止になってそれ相応の社会的な処罰を受けて、にもかかわらずその後またダブルパンチで営業停止が建設業法によってかかってくる。これは二重にそういうようなことが制裁措置としてある。しかも、営業停止というのは刑が確定した場合、これは高。裁、最高裁までいけば何年かしてみんな忘れたころに営業停止と、このやり方は何か検討できないものかどうか、局長いかがですか。
  42. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 確かに、松谷先生御指摘のとおり、建設業法の監督処分は具体的な不祥事が確定をすることを要件といたしております。例えば指名停止のように発注者が具体的な事案によって発注を差し控えるというそういう措置ではございませんで、行政処分でございますので、その行政処分については被処分者からの異議申し立て等が当然予想されるわけでございます。  やはり、具体的な行為を確定してやるということが現在建設業法等における、その他の行政法規も含めまして行政処分においては基本でございますので、やはり賠償の方が、具体的な方が例えば地裁、高裁、最高裁まで争われるということになりますと、例えば長い場合では十年近くもかかるということにもなるわけでございます。具体的に昭和四十年代に起こりました大阪のガス爆発事故でも相当の年限がかかって確定をした、その時点で行政処分をしたわけでございます。ただ、これを確定の前に具体的な行為によって行政処分をするということは今の法制度では大変難しいのではないか。  したがいまして、確定段階でやるということになりますと、忘れたころにとかあるいは逆にそういう二重的、二重にやるというようなことがおかしいのではないか、こういう御議論ももちろんあることは承知をいたしておりますけれども、具体的に指名停止自体はやはり発注者の指名を差し控えるという行為であって、営業停止処分等は、指示処分もございますが、これは建設産業における一つの業法上の産業政策としての処分ということでございます。その内容が違うわけでございます。したがいまして、従来から指名停止と営業停止というものは両方が制度として存在をしてきているわけでございます。  ただ、時期が大変違ってしまうということにもなるわけでございます。これは、今の制度でやはり時期がおくれることを、確定を待ってやらざるを得ない。逆に確定をせずに何か行動を起こすということは、これはいたずらにある具体的な現象によって直ちに行政処分を起こすということになりますので、なかなか行政側の確定行為が難しい。そこに例えば誤った判断というものが入らないという保証はないわけでございます。やむを得ないのではないか、こう思っておるところでございます。
  43. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今の局長の御答弁には必ずしも満足はいたしませんが、十分検討していただきたい。  それから、いずれにいたしましても、公共工事、それは建築もあれば土木もありますけれども、価格だけじゃないんだ、性能、品質、工事そのもの、これを確保するための入札制度というものをやっぱりきちっと世に問うていっていただきたい。もう世の中がさあ価格だ価格だとなって、ダンピングでもいいじゃないかというようなことになれば非常に問題でありますから、その点はぜひ御検討いただきたいと思います。ヨーロッパなんかでは性能発注方式等もあります。これはなかなか手間はかかるかもしれませんが、やはり一つのやり方であろうと思うんです。だから、そういうことをぜひ御検討いただきたいと思うんです。  最後に、地方公共団体が発注の場合は最低価格制というのがありますね。ところが、国及び特殊法人、住都公団とか道路公団とかそういうようなところで発注する場合は、予決令の関係もあって最低価格というのが引かれない。だから、極端なことを言えば、予定価格の半分であろうと三分の一であろうと落札者に工事をさせなきゃならぬ。こういうような工事が疎漏な工事になることは目に見えているわけですが、この辺は大蔵省の関係なのかもしれませんが、この点についてはどうお考えですか。
  44. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 私ども国の機関が例えば契約をやる場合には、最低制限価格制度というのはございませんで、低入札価格調査制度によって運用いたしております。これは具体的な基準値、基準価格でございますけれども、これを決めておきまして、それを下回って札が入った場合に、果たしてその額で本当に入札の対象である工事がきちっとできるかどうかということを審査するわけでございます。  例えば、地方建設局でございますと、技術審査会を設けまして、そこで当該札による価格で当該入札の目的物の工事がきちっと仕様書どおり、設計書どおり完成するかどうかということを調査するわけでございます。これが調査の結果どうもできないということになれば、今度はその一番札ではなくて二番札と契約をする、あるいは場合によっては二番札と調査をするというようなことになるわけでございます。具体的にその基準価格による調査が入るということが最低制限価格と違うわけでございますけれども、この基準価格制度はそれなりに技術審査会を設けて審査をするといった手間がかかるとか幾つかの問題もあるわけでございますが、私どもは、やはり低入札価格制度によって低入札価格による施工のきちっとしたものができない、品質が悪くならないか、あるいは施工方法、特に安全対策等に問題がないかとかいうような点から、大変心配な面もございますので、この制度をきちっと活用して、きちっとした施工ができるならできるということを確保するようなことをやりたいということで、地方建設局にもこの制度の的確な実施につきまして通達をしているところでございます。また公共団体につきましても、最低制限価格を設けてきちっと競争をやるということが必要でございますので、そういう点からも今後指導していきたいと思います。
  45. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 地方公共団体が最低制限価格を設けてきちっとやっているのに国や特殊法人ができないというのは、これはやっぱり予決令がおかしいので、建設省としても大蔵省に十分要請をして、地方公共団体と同じように最低制限価格を設けることができるようにぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  46. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 目的は先生御指摘のとおり、最低制限価格でなくて、この基準価格による低入札価格調査制度、これをきちっと実施をし運用していけば、同じような私どもが低入札によってきちっとした施工の安全性が確保されて基準どおりのものができるかどうかということは担保できると思うのでございます。  そういう趣旨から会計法、予決令ではこの制度があるわけでございますので、まずこれをきちっと励行をする。具体的に、この制度の趣旨を十分理解をいたしまして、過去にも何件かこの低入札価格調査制度によって年間分をきちっと調べようというような調査をして実施をしてきているものがあるのでございます。確かに数は少ない。最近の一部業界団体の調査等によりますと、いわゆる低入札の札が相当入ってきているといったような報告も出ていたりしておりまして、施工の確保あるいは良質な社会資本整備のためにはやはりこういう制度をきちっと運用することが必要でございますので、趣旨を十分踏まえて、より以上に私どもの直轄の部分あるいは他の政府関係の入札等につきましても趣旨を徹底してきちっとやっていただくようにお願いしたいと思っております。
  47. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 いずれにしても、同じような入札で地方公共団体と国あるいは公団関係と違うというのもおかしな話ですから、そこら辺はよく検討していただきたいと思います。  次に、規制緩和の関係に移ります。  宅地開発指導要綱の関係でありますが、この宅地開発指導要綱の開発負担金の問題は、もう本当に古くて新しい問題でありまして、建設省でも自治省と協議しながらこの開発負担金の問題については改善をするといいながらなかなか改善ができない。なぜ改善ができないのか、ちょっと質問の趣旨があれかもしれませんが、局長
  48. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 御指摘の宅地開発指導要綱でございますが、やはり公共団体が事業者に対して行う行政指導の指針ということで、いろいろ良好な都市環境形成する上で、それなりの地域づくり、まちづくりを進める上で一定の役割を果たしてきたわけでございますけれども、反面御指摘のとおり一部行き過ぎの内容のものが見受けられるということで、円滑な住宅宅地供給に支障になっているのではないか、こういう御指摘もあるわけでございます。  私どもは、過去何回か実態調査をいたしまして、行き過ぎと認められるものについては是正の指導をしてまいりました。特に昭和五十八年には運用指針を定めまして、例えば区画道路につきましても幅員を六メーター以上要求するとか、あるいは特に教育施設負担金等についても過大な、過大と言ってはあれでございますが、一部行き過ぎと見られる面があるというようなこともございまして、そういうようなことのないようにいろいろ調査、指導してまいりましたけれども、公共団体にとりましてはやはりそういう自主的な負担金を求めるとか、指導指針としてきちっとそういうものを持っていたいというようなことも当然これはあるわけでございます。その辺のこともございますので、なかなか一部に、相当の改善は見てきているというふうに考えておりますけれども、なお十分でない点もあるのかもしれません。  私どもは、現在自治省と共同で宅地開発指導要綱等の実態調査をやっておりまして、一部行き過ぎと認められるものについては、行政手続法の制定等の今日的な状況もございますので、自治省とも緊密な連携を図って見直しを特に公共団体について強力に指導していこうというふうに考えているところでございます。
  49. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 これは大臣に伺いますが、羽田内閣の極めて重要な政策として規制緩和ということを打ち出しているんです。それで昨年の十一月八日、経済改革研究会いわゆる平岩研から中間報告が出まして、「Ⅲ 規制緩和の効果を高めるために」というところで、「3 規制は個々の法律を根拠として行われるものであり、政府は法律が定める以上の規制を行ってはならない。」とはっきり書いてあるわけです。それで、「6 政府は、地方公共団体に対し、政府に準じ規制緩和を積極的に推進するよう要請する必要がある。」と。  それで、宅地開発指導要綱というのは、これは法律、条例に基づかないで開発負担金なんかを取っているわけです。この点、羽田内閣の最重要政策の中でどんなふうにお考えになりますか。
  50. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 宅地開発等々の問題の具体論については私はまたよく研究させていただかなければなりませんが、規制緩和につきましては、社会的規制と経済的規制がございまして、これはもう先生も御承知のようでございますが、経済的規制というのは私たちは大いに緩和していかなければならない、このように考えております。ただし、生命あるいは財産を守るという角度からの社会的規制については、一つ一つ十分点検をし、その後の技術開発等々もございますので、そういった中で緩和しなければならないものはしていきたい。いずれにいたしましても、規制緩和というのは内閣を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。  宅地開発の点、ちょっとこれは局長の方からお話しいただいた方がいいんじゃないかと思います。
  51. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 御指摘のとおり昨年の十一月の三項では、「規制は個々の法律を根拠として行われる」ということで、「政府は法律が定める以上の規制を行ってはならない。」、この点については公共団体についても当然この趣旨が生かされるわけでございますけれども、宅地開発指導要綱はやはり場合によりましては条例によって制定をしていただく部分もあるわけでございます。  それと同時に、やはり公共団体が地域におけるいろいろな開発、マンション等を含めまして、地域における一つのよりよきまちづくりあるいは地域づくりのための指針的な運用をしているという面もございまして、やはりそのもの自体を一切禁止する、例えば実際にそういうことをなくすべきだというようなことまで全部禁止することが、果たして地域づくりあるいはまちづくりの円滑な実施に逆になるのかどうか。そういうものは、一つの制度としてあり得るということを考えました上で、行き過ぎをきちんと改めていくというような方向がやはり必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  52. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 全部直ちに撤廃するということはまあ言えないと思いますけれども、やはり今局長からお話があったように行き過ぎの部分があるんですね。これを自治省と十分御相談になって是正をしていただきたい。一戸当たり何百万円の開発負担金を取るというようなのがある。しかもそれが条例に基づかないで単なる行政指導でやっているというのは、これはやっぱりおかしな話ですからぜひ改めてもらいたいと思いますが、自治省の関係の方、おっしゃってください。
  53. 河野栄

    説明員河野栄君) お答えいたします。  宅地開発指導要綱は、先ほど建設省からも御答弁がございましたとおり、地方公共団体が地域の実情に即しまして自主的判断のもとに定めております行政指導の指針でございます。この宅地開発指導要綱は、乱開発を防止しましたりあるいは良好な都市環境整備を進める上で一定の役割を果たしてま。いっておると存じておりますけれども、その一方で、一部の地方公共団体におきます宅地開発指導要綱につきまして関係者から種々の御指摘、行き過ぎといった御指摘があるところでございます。  そこで、自治省といたしましては、建設省とも連携を図りながら、行き過ぎ是正の観点から、必要なものにつきましては適宜その見直しを行うようにということで指導をいたしてまいっております。また現在、規制緩和の観点からも行政改革推進本部におきまして検討も進められているところでございます。また、建設省と共同で実態調査も実施しているところでございますから、そういった結果も踏まえまして、引き続き関係地方公共団体に対しまして適切な対応を求めてまいりたいと考えております。
  54. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ぜひ建設省と十分相談をしていただいて、この宅地開発指導要綱が適正に行われますように、早急に実施をしていただくようにお願いします。この中間報告の中に「平成六年度内に期間を五年とする「規制緩和推進計画」(いわゆるアクション・プログラム)を策定する。」と、こうありますが、ぜひこの中に入れていただいてやっていただくよう御要望をいたします。  建設大臣、よろしくお願いいたします。
  55. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 行き過ぎた指導要綱については、これはよく自治省とも連携をとりましてそういうことのないようにやってまいりたい、このように考えておるところでございます。殊に、公共の建物を建てるからといって負担金が課せられる場合についてもさらによく注意をしてまいりたいと思いますし、よく検討させていただきたいと思います。
  56. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 現在、住宅の価格が国際的に見て非常に高いと言われているわけですが、その一つの原因でもあるわけでございますから、ぜひよろしくお願いいたします。  実はこの後、住宅価格の引き下げ、さらにこれと関連する規制緩和、住宅対策全般等々について質問する予定であったんですが、各関係省庁の方も厚生省を初め来ていただいたんですが、ちょっと段取りがよくなくてこういったことができませんから、これは後日に譲りたいと思います。  最後に一つだけ、住宅ローンの関連でございますが、住宅ローンの金利については従来長期プライムレートに連動して金利を定めた、こういうことが一九八三年の銀行局長通達で実施された。近々の新聞等を見ますと、この銀行局長通達を廃止して住宅ローン金利については自由化を促すというようなことが出ておりましたが、住宅局長、いかがですか。
  57. 三井康壽

    政府委員(三井康壽君) 私どもも正確には新聞報道を通じての情報でございますが、確かに銀行局長通達が昭和五十八年に出ているのは承知しているわけでございます。これを報道によりますと金利を自由化するというふうなことでございます。  これが仮にそういう方向で御議論がなされ実現をいたしますと、私ども住宅政策を担当させていただく立場から申しましても、利用者にとりましてはかなり便利になるというふうなことが想定をされます。したがいまして、私どもとしては基本的には歓迎をしたいと思っているわけでございます。  しかし、蛇足でつけ加えさせていただきますと、自由化によって金利が高くなるというのは困るものでございますので、自由化というのが金利がなるべく低く、銀行の方々も消費者ローンを特に住宅を含めまして大事にしていただくという形で自由化が利用されるということを基本的に歓迎したいと思っております。
  58. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 時間がありませんから、最後に、その銀行局長通達の際にあわせて、従来は住宅ローンについては固定金利だけであったんですが、変動金利を導入するということでいろいろ各省庁を中心にして検討が行われた。しかし、変動金利の導入もやむを得ないだろう。住宅政策は国の根幹的な政策であるからこれは金利がそのときの情勢によって変動するというのもぐあいが悪いから、やはり原則は固定金利、しかしやむを得ない場合には変動金利でも仕方がない、こういうようなことの了解をもって銀行局長通達を出したというふうに理解をしているんです。  実際には、この間、もう一年ぐらい前でしたか、NHKのテレビでも特集を組んで放映されておりましたが、窓口に行けば全部変動金利しか示さないんですね、銀行は。それで、固定金利はないんですかと言うと、いやそういう金利はありませんとか、せいぜい何分の一がぐらいが、ありますがこれについては変動金利の方をお勧めしますというようなことで、実際には当時の銀行局長通達とは非常に変わった状況でこの住宅ローンの問題が窓口で運用される。  これについて、ぜひ政府としては銀行を指導してもらいたいということで、つい先日の予算委員会でも大蔵大臣にお願いをいたしましたところ、大蔵大臣は、そういうことでやりたいというような話がありました。  きょう大蔵省の関係の方はおいでになっていますか。この点についていかがですか。
  59. 河野正道

    説明員河野正道君) 御説明申し上げます。  ただいま委員からお話のございました点につきましては、確かに今月末を目途に政府として検討しております規制緩和策の一環としましてただいま検討しておるところでございます。金融自由化の流れの中におきましては、金融機関の窓口でお客様にどういう商品を金融機関が提供するか、これは基本的には金融機関の自主的な判断にゆだねられるべきことではないかと考えてはおりますが、やはり利用者の利便というものにも十分配慮してもらう必要がございますので、大臣からも御答弁申し上げましたとおり、きちんとその基本的な考え方につきましては今後とも指導してまいりたいと考えております。
  60. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 基本的な考え方といっても、具体的に実施しなきゃ意味がないじゃないですか。だから、住宅局長、ぜひ銀行局長と相談をして、この点については当初の八三年の銀行局長通達の精神に立ち返って、固定金利であろうと変動金利であろうと自由に選択ができるようにぜひ指導していただきたい。そういうような通達を出していただきたいと御要望して、本件について終わります。
  61. 上野公成

    ○上野公成君 続きまして、先ほど松谷委員からも高速道路料金値上げの質問があったわけでございますけれども、私も高齢化社会が到来する前に高速道路網を完成するということは本当に大事なことじゃないかと思うわけでございまして、そういう立場から少し御質問させていただきます。    〔委員長退席、理事鈴木貞敏君着席〕  まず最初に、高速道路網の供用済みのキロ数、着工を合しているキロ数、それから昨年出ました施行命令の出ているキロ数、それから、これは現在はないのかもしれませんけれども、整備計画のキロ数、それから基本計画のキロ数、基本計画のできていない全体のキロ数、これをちょっと教えていただきたいと思います。
  62. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 高速自動車国道でございますが、現在供用しております延長が、予定路線が一万一千五百二十キロございますが、供用延長が現在五千五百七十四キロでございます。それから、現在工事をやっている、事業をやっている区間の延長でございますけれども、道路公団の方でやっている延長が千百二十九キロ。それから、昨年の十一月に新たに施行命令を出した区間が千百八十四キロでございます。それを合わせますと、事業中の区間というのが施行命令区間を合わせれば二千三百十三キロということになります。それから、整備計画が策定済みの区間が七千八百八十七キロでございます。それから、基本計画が策定済みの区間の延長が九千六百一二キロ、したがいまして、基本計画が策定されて整備計画が策定されていない区間が千七百十六キロでございます。また、予定路線のままでまだ基本計画が策定されていない区間が千九百十七キロございます。
  63. 上野公成

    ○上野公成君 そこで、ちょっと確認のために質問させていただきたいんですが、現在の値上げしない料金では、これ供用済みのところから上がってくる料金だと思うんですけれども、今既に工事をしている千百二十九キロ、これがだんだん供用済みに変わってきて料金も上がってくるわけですが、それでトータルをしてちょうどとんとんといいますか事業の採算が合うというような状態になっているわけで、昨年施行命令のできたものについてはこの中では一銭も入っていないと、こういう理解でよろしいわけですか。
  64. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 現行の料金認可されたのが平成元年の五月でございます。この時点で施行命令が出されておりました延長が六千四百十キロでございますので、この六千四百十キロの区間につきまして採算性を確保するために利用者の方の御負担をお願いするということで現在の料金が決まっているということでございます。
  65. 上野公成

    ○上野公成君 ですから、昨年の施行命令が出た区間については国費で、ことしこれから予算が通れば大した額じゃないんですけれどもあるわけですが、それ以外の分は料金値上げしないと出てこないんで、着工するめどが立たないと、こういうことてこされますか。
  66. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 今回の料金改定につきましては、昨年施行命令を新たに出しました千百八十四キロの区間の建設をやはり採算性を確保しながらやるために、どの程度の利用者の方の御負担をお願いしたらいいかということを道路公団の方で御検討されまして出てきた改定幅という形で、一〇・六%という改定幅でございますが、申請が出てきたということでございまして、当然今もお話がございましたが、平成六年度から新たな国の助成制度の強化拡充というのをやっておりますが、それを前提にしておりますし、また償還期間につきましても今まで三十年というふうに考えていたのを四十年に引き延ばすというようなことも前提にいたしまして検討されたものでございます。ですから、この千百八十四キロの新たな施行命令区間につきましても、やはり採算性の見通しをきちっと確保した上で事業を実施していく必要があるというふうに私どもは考えております。
  67. 上野公成

    ○上野公成君 先ほど松谷委員の質問の中でも出たわけでございますけれども、今回の値上げというのは、ゴーサインが出ないと昨年施行命令が出たものも全くできない、こういうことでございまして、普通のタクシーの値上げなどと比べると、ちょっと語弊があるかもしれませんが全く性質の違うものであります。  反対をされる方というのは、日経連の偉い人まで反対するわけでございますけれども、反対するからには高速道路整備がおくれてもいいじゃないかとか、おくれるよりも今値上げをして物価にいろんなものにはね返る方が大事だ、高速道路整備はどうでもいいんだというのであれば終始一貫するんです。高速道路網は、今のような料金でやるというやり方じゃなくて国費で全部やるようなやり方をすれば別ですけれども、そんなやり方はなかなか現実的にはできないわけですから、それでも反対をするというのは理論的にはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。ですから、政府がそういうことを決めること自体全く見識のない話だと思うんです。  そこで、私どもテレビなんかを見ておりましても、大変そういう理解のない話が幾つかあるわけです。その一つにプール制ですね。例えば東名は三十九年ぐらいにできたんですか、もう三十年もたっているから、これはもう償却しているから今ごろ値段を上げるのは何だというような、そういう理解の方が多いわけです。    〔理事鈴木貞敏君退席、委員長着席〕  そこで、やはり高速道路網全体を完成するということが一番大事なことで、どこまでも行けるということは本当に利便性があるわけですから、そのことをプール制でやるということをもう少し理解していただくということが大事なんじゃないかと思います。何でも値上げするといえば総論ではみんな反対に決まっているわけですから、やはり内容をよく理解してコンセンサスを得るということが大事なことなんです。  高速道路網の完成にはまだまだ時間がかかるわけですから、本当にこういう機会をいい機会にして、その辺は何かPRするなり、もう少しマスコミなんかでも本当に理解の程度の低いと言っても言い過ぎではないようなところが大変多いわけでして、何かそういうことをぜひやっていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  68. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 今委員から御指摘いただきましたように、プール制については、私もプール制を堅持していかなければ日本の均衡ある国土発展は望むことはできないんじゃないだろうか、道路のついた時期によってそれぞれの料金が異なってくるというような形をとっては私はだめだと思っておりまして、今御指摘いただいた委員の考え方と私も同様でございます。四十七年からプール制を実施してきたわけでございますけれども、やはり今局長から答弁いたしましたように、まだ四八%しか道路整備はできていないという点を考えますと、今後、有料道路制度によって利用者の料金収入借入金を返済していくというプール制の堅持が必要かと思います。  先般、日経連の永野会長とお会いしたときも、永野会長道路整備の必要性も同時に私におっしゃっていただいておりまして、その厳しい経済情勢の中で料金凍結してはどうかというお話でございました。公聴会のとき、大分県知事を初めとし出雲市長さん等々も含めまして、プール制を堅持して均衡ある地方発展を行っていかなければならない、こういった御意見も寄せられておるところでございまして、私も、全国の利用者が同一の料金で高速道路が利用できるようにするためにも、繰り返しますがプール制の堅持が必要であると思います。  このことについて十分確かに理解をいただいていないということでございまして、私も週末それぞれの地方へ参りましたらこのプール制について御理解いただけるように講演会等々でも話をしているところでございまして、どうぞ先生もよき応援団になっていただいて、よろしくお願い申し上げます。
  69. 上野公成

    ○上野公成君 応援のために質問しているわけですけれども。  そこで、高速道路網を完成するということと料金を少しずつでも負担をしていただくということとは切っても切れないわけですから、凍結をしたことはこれは仕方がないことでございますけれども、凍結したことによって二つ問題点があると思うんです。  一つは、先ほどからもお話が出ておりますようになかなか着工できない。値上げの方は最低六カ月おくれたわけでございますけれども、先ほど松谷委員からもお話がありましたように、とにかく今すぐにでも認可をしていただいて、そしてすぐ着工できるというようなことをしていただけないでしょうか。  これは私の選挙区も一つひっかかっているのがありまして、高崎と伊勢崎の間、これは本当にせっかく長年の懸案だったわけでございますが、やっと施行命令が去年出まして大喜びをしたわけでございますけれども、こういうことになってなかなか、松谷先生もさっき別の区間で言いましたが、ぜひ極力早い時期に、できれば予算が通ったらすぐぐらいにゴーサインを出していただきたいと思います。
  70. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 委員御指摘のように、今全国各地から高速道路の早期整備に対する大変強い要求が出ているところでございますし、また、景気対策の観点からも昨年十一月に出した分については工事実施計画の認定を早くしなければならないと考えております。そのためにも、できるだけ早く料金改定認可をさせていただき、そして工事実施計画認可を行いたいと私も考えております。
  71. 上野公成

    ○上野公成君 ぜひこれは早くお願いしたいと思います。  そこで、もう一つ問題点は、最低六カ月分減収になるわけです、一月になるか二月になるかわかりませんけれども。この減収額というのはどの程度でしょうか。
  72. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 公団の申請の中身から予測いたしますと、増収額を年間大体一千億程度と見込んでいる内容だというふうに理解しております。ですから、これはどの程度先送りされるかというのはまだ確定しておりませんが、その辺である程度類推できるんじゃないかと思います。
  73. 上野公成

    ○上野公成君 最低五百億程度以上は減収になるということでございまして、国費というのはこれは大した額じゃないですね、全体でも千百億ぐらいですか、ちょっとふえて。ですから、この五百億というものも相当大きい額になるということでございます。  先ほどから、総裁の方になるべく合理化をするようなことのお話があったわけですけれども、これはちょっと本末転倒しているんじゃないかと思うんです。料金値上げしないと着工できないのに、自分でとめておいて、それで何とか努力をしろ。努力をしろといっても、努力ができるくらいだったら最初の認可そのものがずさんなわけでございます。ですから、こういうことになりますと後で値上げ幅が大きくなるとか、それから三車線で片道をやるところはちょっと二車線になるとか暫定になるとかそういうことが出るわけでございますけれども、なるべくそういう影響がないように、これは政府で決めたことに対するそういう影響でございますので、ぜひ努力をしていただきたいと思います。
  74. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 先ほど松谷委員のときにもお話をさせていただきましたが、確かに今回の措置によって事業計画等への影響が予測されるわけでございます。  私どもとしても、先ほども申し上げましたが、できるだけやはり事業計画に与える影響を最小限にとどめるように努力したいというふうなことで、いろんな努力は既に公団の方で出してきているわけでございますが、さらにもう一度総点検してできるだけ影響の少なくなるように努力させていただきたいと考えております。
  75. 上野公成

    ○上野公成君 影響はなくすることはできないわけですから、できるだけ何らかの形をとっていただきたいと思います。  それからもう一つ、整備計画をつくってもらいたいと待っているところがたくさんあるわけです。これも先に行って、施行命令が出たのがちゃんとできないとこれもまたおくれるわけでございます。私のところも、伊勢崎から先はこれは東北道まででございますけれども、整備計画をつくっていただくのを心待ちにしているわけでございまして、そういう点も高齢化社会の到来前に高速道路網をどうしても早期に完成しなきゃいけないという立場から、これによるおくれがないようにぜひお願いしたいと思うわけでございますが、大臣
  76. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) おっしゃるとおりかと思います。  そこで、国幹審という問題が出てきます。予算委員会等々でもそういった国幹審を一日も早く開いてという要望の御質問もいただきました。大体三年からおおむね四年の間に一度国幹審を開いているわけですけれども、前回の国幹審は平成三年の十二月に開催いたしました。全国から次期国幹審の早期開催に対する期待が寄せられておりますので、私たちも十分に検討したいと思います。  ただその際に、先生御承知のことでございますが、環境アセスメントを終了しているということが大事だし、それから技術的調査等々も行わなければならない、それから何よりもやっぱり採算性が確保されなければならないというところでございまして、これらの準備を早急に進めさせていただきたいと思います。
  77. 上野公成

    ○上野公成君 ぜひ支障のないようにお願いしたいと思います。  それから次に、同じく道路の質問をさせていただきたいと思いますけれども、交流ふれあいトンネル・橋梁整備事業というのが今回の予算の中に入っている。これは大変いい事業だなと思って、ありがたい事業だなと思って拝見させていただいたわけです。  いろいろ建設省の方にも伺ったんですけれども、実は群馬県に上野村という私の名字と同じ村がありまして、日航機が落ちたので有名な村なわけです。これは高崎や前橋から行くのに大体二時間ぐらいかかるんです。大変狭いところをどんどん上がって、恐らく群馬県に住んでいる人でも行ったことのある人は本当に少ないところじゃないかと思います。これがとにかく、下久保ダムというのがありまして、そこからまた一時間二十分ぐらいかかるようなそういうところでございまして、大変もう高齢化の人口も六〇%ぐらい。  ところが、一つ山を越えますと長野県の佐久市というところなんです。例えば病人が出ても藤岡とか高崎まで連れてくるのに二時間かかる。しかし、このトンネルが抜けますと佐久側の方は割合いいんです。日航機が落ちたときもみんな長野側から入ってきている。これが完成しますと三十分ぐらいで、長野の佐久市というのは、有名ないい総合病院がありまして、それから今度は上信越道の佐久のインターも近いわけでして、むしろそっちを回ってきた方が高崎や前橋に来るのも早いぐらいです。しかし、この事業は国道は入っていないんです。そこで、これは群馬県の側から見てもそんなところは見向きもしないといいますか、見向きもしてくれていないわけです。それから、長野県から見ても余りメリットもないわけです。これは国道なんですけれども、どうしても不通の区間があってなかなか厳しいというようなところです。  これは、私も建設省におりましたから、普通の状態ではなかなか百年たってもできないんじゃないかなと思うわけでございますけれども、何か積極的に進めるということはできないかどうかというのをお伺いしたいと思うんです。
  78. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) 今もお話がございましたが、平成六年度から交流ふれあいトンネル・橋梁整備事業というのを新設いたしました。これは、地理的に大変近いんですが、峠があったり川や谷があってなかなか交流が図れないという地域にトンネルとか橋梁を整備する、それも大変建設費がかかるものですから、できるだけ重点的に短期間で整備してあげようということで創設した仕組みでございます。  それで、確かにお話のように、都道府県道と市町村道が対象になった事業でございます。今お話しの上野村と佐久の間、これは国道の二百九十九号でございますけれども、交通不能というふうなことで、今おっしゃったとおり地理的には近いんだけれども今交流ができないという地域だと思います。私どもとしても、そういう地域間の交流をできるだけ円滑にして地域間の連携を強化してやるというのが、これからの地域づくり、それから活力ある地域にしていく上で大変重要なことだし、また早くやってあげなければいけないことだと思います。  今お話しのように、一般国道につきましても、そういう峠があって現在交通不能だという上野村のようなところは結構ございます。私どもとしても、これはやはり幹線国道でございますので、できるだけ一日も早くこういうところを解消したいということで今努力しているところでございまして、今後ともこの不能区間の解消は国道についても積極的に進めたいと思っております。
  79. 上野公成

    ○上野公成君 町村道だとか県道だとそういう効果も限られてくるんです。こういう県を越えるようなところ、本当に今広い面積の上野村、中里村とか万場町とかいろいろあるんです。長野県側にもあるんです。その辺の土地がいろんな観光資源としても生き返るということもありますので、大きな意味の国土計画として狭い国土を有効に利用するという意味からもぜひやっていただきたいと思うんです。  これお答えいただかなくても結構でございますけれども、以前は住宅宅地関係の道路だとか河川整備だとか、人が住んでいないところだとなかなか陳情や何かがないので進まないということがありまして、これはかなり前になりますが、住宅宅地関連の公共事業ということで別枠ができたことがあるんです。これで相当住宅地の整備が進んだと思うんですけれども、四百三十兆円をまた新しくふやすというような話があります。新社会資本ですか、そういうような考え方もあるわけですけれども、こういうところこそ、国道で何か三百カ所以上交通不能なところがあるようなので、そういう別枠、それから四百三十兆をふやす、そういう中でぜひお考えいただいて、本当に狭い日本の国土でございますので、国土全体を有効利用するために本当にすばらしい事業だと思いますので、ぜひそういう努力をお願いいたします。  お答えは要りませんから、要望して時間を終わらせていただきます。  ちょっと前の方がずれ込んでしまいましたので、都市計画あるいは建築基準法の質問をさせていただきたいと思ったんですが、皆さん来ていただいて大変恐縮でございますけれども、また次回に送らせていただきます。どうも済みませんでした。  以上で終わります。
  80. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時に再開することとして休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後二時四分開会
  81. 前田勲男

    委員長前田勲男君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 小川仁一

    ○小川仁一君 最初に、三庁の統合問題について御質問をいたします。  きょうの毎日新聞によりますと、政府は行政改革の柱として国土庁北海道開発庁、沖縄開発庁の三庁の統合を盛り込む方針を固めたと報じられております。第三次行革審の最終答申の提言の六省庁方針のイメージとはちょっと違う感じがいたします。全体の構想を持たずに、三庁のみの統合ということになったのは思いつき的な感じを与えると思っておりますが、そこで、三人の大臣にお聞きいたしたいのですが、まずは佐藤沖縄開発庁・北海道開発庁長官にお尋ねをいたします。  沖縄が持っている歴史的な経過は、日本の国内においても特異なものであります。詳しくは申し上げません。現在でも米軍基地が存在している状況等を一つ一つ考えてみましても、決してこれは国内全般と同じようなルールでもって物を考えるという状況にはないと感ずるわけであります。北海道開発庁の問題につきましても、まだ開発のために非常に大きな課題が残っている、こういう感じがする地域であります。  そこで長官、前の記者会見によりますと、三庁の統合は必要ではない、私一人でも反対する、こういうふうに話しておられたようでございます。これは新聞ですから、事実はどうかわかりませんが、このような経過を含めて、まず長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  83. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 小川先生にお答えします。  大変温かい思いを持った御質問で感謝いたすわけでございますが、実は私は、大変申しわけありませんが、北海道開発・沖縄開発長官になる前には三庁統合には賛成でございました。それは、よく知らなかったんです。昭和五十七年の臨調答申で、これは三庁云々と出ておりました。それからまた、行財政改革という場合に、勉強しなくて、気安くああ沖縄と北海道だ、こんな感じをしておったわけでございますが、今度長官になりまして、それは間違いであることに気がついたんです。そんな政治家が非常に多いんじゃないか、こんな思いをいたしておるわけであります。  北海道、沖縄とも地方分権の一番模範的な行政というものをやっておるわけであります。これはもう、昭和五十七年のときには中央集権というのが中心でしたが、平成五年の第三次行革審におきましてはむしろ地方分権が中心になっております用地方の可能性をいかに引き出すかということが大きな政治課題になっておると。  それからもう一つは、縦割り行政が今一番言われておるわけでございまして、そんなことで公共事業省なんと言われておるわけです。これは縦割り行政をなくしたいということなんですが、沖縄、北海道ともに縦割り行政をなくしておる総合的な一元化したすばらしい官庁と、このように考えております。  そんなことでございますが、個々には沖縄開発庁はどうしても残す必要があると思いますのは、今先生がちょっとおっしゃいました。戦中は日本の戦場でございました沖縄は、それから二十七年間いわゆる米軍の支配下にあった、占領下にあった。それから、その後、私も実は昭和四十四年に当選しまして、沖縄・北方の沖特委員になりました。本土復帰の委員会をやったわけですが、その間約二十年たちましたわけですが、そのときの文句というのは、率直に言いますと本土並み復帰。沖縄県民の所得を本土の平均と同じようにするというのがうたい文句でしたが、ちょうどそのときの沖縄の所得は本土の六〇%であって、約二十年たっても七二%にしか伸びておりません。まだ本土並みには約二八%残っておるわけで、これは基地です。  基地は、先生も御存じのことで、日本を一〇〇とした場合七五%が沖縄にございます。沖縄の面積の一一%が基地。しかも、沖縄の本島だけでも二〇%が基地で、坪数にすると七千四百万坪が基地になっております。いいところは全部押さえられております。ただし、これは日米安保その他によりましてやむを得ぬと思いますが、したがって、沖縄は現在両手両足を縛られております。自立はできません。そんなことでございますし、また沖縄県民が大変苦労しておりますから、少なくとも本土並みになるまでは日本国民の責任ではないかと私は思っています。信義の関係でどんなことをしてもこれは残して、一〇〇%にしたときに初めて私は開発庁をなくして結構です。それまでは我々日本国民の信義ではないか、こう思っております。  それから、北海道につきましては、もう先生御存じのことで、北海道には三つの特徴があります。一つは、広大な面積、豊かな資源、豊かな自然、それから人口が五百数十万ということです。もう一つは、位置が日本からいえば北ですが、世界地図を見ますと、ヨーロッパではミュンヘン、パリと同じでございますし、またアメリカのシカゴ、ボストンと同じです。それからもう一つは、北海道というのは明治二年に北海道庁というものができたわけですが、そのときに黒田さんという有名な元勲が長官になっているわけですが、代々北海道というのは政府直轄で、北海道の皆さんと一緒に夢とロマンを育ててきたというのが北海道の開拓の歴史だと思います。  そんなことで、私は、日本の食糧事情を考えた場合、一体これから日本の食糧はどうなるかということを考え、また世界の食糧を考えた場合に、どんなことをしても北海道を食糧基地にしたい、このように考えているわけです。  現在、北海道は日本の農業生産の一割をなしておりますが、二割、三割にすることができて、しかも農林水産省で言っています新農政、これを踏まえた大規模経営農業ができるのは北海道しかないと思っています。そんなことで、私はその環境整備をやりたい。  また、世界的に見た場合に、現在世界の人口というのは五十八億ございます。二〇二五年には先生御存じのように八十五億になります。二〇五〇年には百億になるんです。そうすると、この地球上でどのくらいの人類の食糧を賄えるかといいますと、八十億と言われています。その場合に食糧政策をどうするか。もうすぐ三十年後には来るわけです。  そんなことを考えた場合、内地では生産は落ちできます。後継者が減っており、農業をやっている人はほとんど五十代です。私の選挙区でも五十から六十で、もう十余年したら農業をやらなくなるんじゃないか、こう言われております。そんなことを考えた場合、どうしてもやっぱり自給率を高めるには北海道が大切だ。  私は、その環境整備をするためには開発庁が必要だ、日本の農業の基地はどうしても必要だ、こんなことで北海道開発庁も必要と、こういうことでございまして、新聞で少し言いましたが、最後まで反対したいと思っています。どんなことをしても両開発庁を残すことに全力を挙げるという決意に変わりございません。  先生の温かい御理解を心からお願いする次第でございます。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
  84. 小川仁一

    ○小川仁一君 同じく統合の対象になっている国土庁長官の御意見を伺いますが、もう一つ、やはり行政改革というものの中には公共事業省ですか、ああいった構想も一面あるわけであります。これは、縦割り行政を排除していくといいますか、こういう一つの大きな総合的な要素もあるわけでございます。そういったような観点を加えて、どういうお考えを持っておるかということを国土庁長官にお伺いする次第です。
  85. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのように、中央省庁の再編につきましては、御指摘の国土庁北海道開発庁、それから沖縄開発庁、この三庁の統合ということがいろいろ論議はされております。しかし、これは私は第三次行革審の最終答申の中に太くくりの省庁体制というふうなものとか、今お話しのような例えば国土省とかあるいは公共事業省とか、そういった構想もあるわけでございまして、今すぐに当面この三庁だけを統合するということについては私は反対といいますか、そういうことではなくて、やはりこの問題は、国民にとってどのような形が望ましいかという観点から考えましても、中長期的に検討すべき重要課題であるとは考えるわけであります。  当面、その三庁統合だけの今のところ閣議決定する予定もないというふうには伺っておりますけれども、しかしそういった問題を論議いたしてまいりました場合には中長期的に考えるべきである、このように主張したいと考えておるところでございます。
  86. 小川仁一

    ○小川仁一君 次に、建設大臣にお伺いしますが、公共事業省という構想が一つあったようであります。縦割り行政というものが持つ批判というのはあるわけでございまして、私の県で考えましても、道路一つとってみても、農免道路あり大規模林道あり国道ありというふうに、それぞれ事業主体が違った道路が幾つもある。こういうのは、何かの形で総合的に考えられなきゃならない場合もあるのではないかというふうなことなども含めますと、大くくりな縦割り行政を否定するというふうな形の考え方、特に公共事業費の七割も持っておられる建設省としては、そういうふうなものをどう考えるか。  しかし、特徴ある沖縄とか北海道という問題とはまたこれは質の違う問題でございますが、そういうことを含めて建設大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  87. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 公共事業省構想がいろいろと言われているところでございますが、建設省といたしましては、それを一つに集めてやるというのは単に組織が肥大化するだけではないだろうかと。それから、公共事業省の起きてくる構想が、いわゆる縦割りで、殊に予算のシェア配分ということであれば、他にもう少し検討する方法があるのではないか、そのように考えております。  なお、国土、沖縄、北海道の三庁の統合の問題については、私は直接の担当ではございませんので、ちょっとコメントは控えさせていただきたいと思います。
  88. 小川仁一

    ○小川仁一君 次に、私かつて国幹審の委員をしまして、平成三年でしたか、あのときにも出ていろいろ高規格道路網についてお話もし、建設省の方々からも御意見を聞いたりしたわけでありますが、こうやって地図を見てみますと、ちょっと不自然なところが何カ所かあるわけです。  一つは、政策的に地方分権等が言われているときに、隣県の県庁所在地間が結ばれていないという箇所があります。自分の県で恐れ入りますが、例えば岩手県の盛岡と秋田県の秋田は直接結ばれておりません。また、国道自体を見ても、アルペン世界大会の関係で岩手県内は四車線になっていましたが、あとはそのままの状況でございます。時々がけから車が落ちるというような国道でもあるようでございます。  こういったようなことを含めてみますと、隣県の県庁とつながっていないというのは、熊本-大分-高知-松山等ございます。(「富山と長野」と呼ぶ者あり)富山ともう一つ、富山の分は後から言おうと思っております。こういう県庁所在地間を高規格道路で結ぶということが、やっぱり今後の均衡ある国土発展という立場から必要だと思います。  もう一つの問題は、地図でおわかりだと思いますが、高規格道路がところどころ途切れている。申し上げてみますと、先ほど述べました鳥取と豊岡の部分がぽつんと切れております。ここがつながったら、日本海側の方の一つの海岸の路線がつながるんじゃないか。それから、太平洋岸で言いますと、ずっと八戸から東京、千葉まで来ているこの線が宮古と久慈の間でぽつんと切れております。まあ笑い話で言いますと、ここはカモシカがおりまして、片っ方はイノシシの産地。そして北海道へ行きますと、浦河と広尾の間が切れております。ここはヒグマがいるんじゃないかなんというふうな話をしながら問題を出しているわけでございますが、この線はさきの県庁路線との間と同じように、当時お話をしましたら、これは建設省予算でやる路線であって高速道路ではない。したがって、こういう不自然な箇所はそのうち必ずだれかの大臣のときにつなげるであろうというお話を当時の、名前は申しませんが、方も申しておりました。  どうでしょうか、こういう不自然なものを基本計画組み入れてやはり全土がうまく道路でつながっていく、こういうふうな政策を御検討、お考え願えないでしょうか。そして、それを今すぐとは言わなくとも、次の国幹審のときにでも、こういう方法をというふうな形でお出しになるということがあれば非常にありがたいことだと考えながらお願いを申し上げ、お考えを聞く次第でございます。
  89. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 先生おっしゃっていただいております個々の分野につきましては、また局長の方から答弁をさせていただきたいと思いますが、私の考え方、これは一万四千キロの高規格道路整備して、確かに先生がおっしゃるように均衡ある国土発展をしなければなりませんし、そのために全国を道路ネットワークでやはり結びつけていかなければならない、このように考えております。したがって、一万四千キロのその目標達成に二十一世紀まで全ネットワークをつなぐように全力を挙げてまいりたいと思います。  それからもう一つは、先生へのお答えの一部分になるかもわかりませんが、例えば県都とかその周辺都市を結ぶ地域高規格道路整備、そういった点も図っていかなければならないのではないだろうか。地域高規格道路につきましては、平成五年から九年は二千キロ程度、長期的には六千から八千キロを整備いたしまして、中心的な都市と周辺の都市の結びつき、あるいは開発拠点空港あるいは港との結びつき、そういったものを大いに進めていきたいと今考えているところでございます。
  90. 小川仁一

    ○小川仁一君 自分の県の話を余り余計やっていると、いかに委嘱審査であっても笑われますからこの辺でやめますけれども、私の言っていることは自分の県の問題ではありますけれども、基本的にお考えいただいていい課題だとこう思いまして申し上げた次第でございます。  次いで、関連をして高速道路料金値上げ凍結問題、先ほども自民党の方がお話しになりましたが、角度を変えて二、三お聞きしたいと思います。  まず新聞などによりますと、凍結に関して建設大臣が知らされていなかったということなんですが、これは公聴会も一方で用意をして、こういう態勢の中であの決定というのは、該当する大臣には御相談なしに決めたものでしょうか。これに対して建設大臣、何か新聞でかなり不満を申しておられたようなんですが、内部の問題でしょうけれども、どういう認識を持っておられたかお考えをお願いいたしたいと思います。
  91. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 料金値上げ記者会見が行われたのは十八日だったと記憶しております、予算委員会の日。閣議決定いたしましたのは二十日であったと思います。十七日に永野日経連会長とお会いをさせていただいて、いろいろと御意見を伺わせていただきました。それまで、各地から公共料金値上げに対する賛否両論の御意見が私の方に届けられたことも事実でございます。私も大変関心を持ってその問題に取り組んでおりました。  事前に聞かされていなかったというのは、会見の前には既に私の方へ事務方を通じてそういう会見があるということは聞かされておりまして、それは今の厳しい現況の中でやむを得ないことだと私は了とさせていただき、ただ二十日の閣議あるいはそれ以降の閣議のときには、建設省の抱えている道路あるいは公団の問題について御理解をいただかなければならない、こう思っておりまして、現下の中での厳しい情勢は予といたしました。しかし、年内凍結はオーケーでございますが、その後の問題についてはよく検討させていただきたいと申し上げて、今もそのつもりでおります。
  92. 小川仁一

    ○小川仁一君 この凍結による料金収入の減収は十二月末までで約五百億円、先ほどお話をしておられましたし、そうだと思いますが、今審議している平成六年度予算案でも有料道路事業に対する出資金、補給金などの国費額は千五百億円程度でございます。三分の一に該当する額が不足をするわけでございます。これが今後の高速道路建設のおくれとなるようでは大きな問題になると思います。用地買収などの見通しが立たなくなったりおくれたり、こういうことでは非常に困った事態が出てくると思いますので、先ほどのお話をお聞きしておりましたが、計画はおくらせないようにする、こういうふうな御決意でございましたが、もう一度その面についてのお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  93. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 閣議で決めました年内凍結は守ってまいりたいと思います。しかし、昨年十一月に施行命令を出した分については、やはり地方から大変強い要望をいただいておりますし、公聴会からもプール制を堅持しながら一日も早く地方のおくれのないようにしてもらいたいという要望も届けられておりますので、その分野につきましては、料金改定認可を急ぎまして、さらにその工事実施の認可も急いで、できるだけ早く決定をさせていただき遅滞なきように進めてまいりたいと考えております。
  94. 小川仁一

    ○小川仁一君 遅滞なければ大変ありがたいことだと思います。  凍結が決まってから公聴会を開いた。ちょっとやっぱり妙な話だと思います。国民の声を聞く前に所管大臣でもない羽田総理凍結を決める。こういうことになると、今後これ公聴会なんというものは要らぬことになりそうな気もするんですが、ひとつこういう点は一定のルールがあると思いますから、いかな総理でもそういうことは余りおやりにならない方がいいのじゃないかというのが私の感想でございます、批判ではございません。  ただ、そこの中で永野日経連会長の御発言が大変理解しにくいものがございました。先ほどこれ自民党の方がおっしゃっておりましたが、内需拡大のために道路をつくるというのは賛成だが、その費用を値上げすることによって賄うことは反対、こういうお話なんです。  そこでお聞きをいたしますが、高速自動車道路の貨物輸送量の分担率は今どれくらいでしょうか。大分古い資料では四〇%を超えていると聞いております。高速自動車道路は企業にとって大きな利益になっております。その上、大口利用者は料金の三〇%程度を割り引く別の割引制度という制度がございます。これによる減収額はどれくらいでございましょうか。  平成元年度では一千億円余が割り引かれております。経済界の代表である日経連が値上げ反対を言うならば、プール制でもって地方の高速道路を拡大していくというこの方式に対して、どういうふうな形で収入確保していくかということを考えなきゃならないと思います。  平成三年の行政監察報告でも一般の利用者との均衡を欠くのは是正すべきと、こう言われておりますところの別納割引制度を見直しすべきだと考えますが、これに対するお考えもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  95. 藤川寛之

    政府委員(藤川寛之君) ただいまのお話でございますが、まず高速道路における貨物自動車の割合でございますが、平成二年度の全国道路交通情勢調査の結果でございますが、それによりますと高速道路を利用している総台数は一日当たり約二百四十六万台でございますが、そのうち貨物自動車の利用台数というのは百十七万台でございまして全体の約四八%でございます。  また、この貨物自動車の高速道路の利用を全体の貨物輸送という面で見てみますと、貨物輸送量全体に占める高速道路の分担率でございますが、輸送トン数ベースで一九%、輸送トンキロベースで二〇%ということになっております。また、自動車による貨物輸送というのを全体を一〇〇といたしまして高速道路の分担率というのを見てみますと、輸送トン数ベースで約二一%、輸送トンキロベースで約四〇%が高速道路を利用されているということになっております。  それから、お話がございました別納割引制度でございますが、この制度につきましては昭和三十八年に導入されたものでございまして、昭和四十一年から大量利用の促進あるいは大口利用者の定着化を図るという目的で設けられているものでございますが、今お話がございましたようにどれだけ割引しているかということでございますが、平成四年ではお話がございましたように約千三百億円余の割引をやっているところでございます。この別納割引というのを利用することによる割引額というのがそのぐらいの額になっているということでございます。    〔委員長退席、理事鈴木貞敏君着席〕  今御指摘がございましたように、この割引制度につきましては余りにも大型車等の大口利用者への優遇をし過ぎではないかというような御指摘がございます。これも、道路審議会でも大口の利用者に対する割引率の変更を含めて割引内容の見直しを検討する必要があるというような御指摘をいただいているところでございまして、私どもとしても、こういう御指摘を踏まえてこの問題については引き続き検討していかなければいけないというふうに考えているところでございます。  今回、日本道路公団料金改定の申請があったわけでございますが、この申請の中では車種間の料金比率の、今暫定措置というような形で料金比率を設定しているわけですが、それをやはり本来の姿に直すということをやっておりまして、その車種間の料金比率の改定に伴って、やはり中型車とか大型車、トラックの負担増が大変大きくなるというようなところがございます。今お話がございました別納割引というのもこういう大口利用者ですから、トラック等が主に利用していただいているというようなこともございまして、今回の申請ではそういう著しい負担増になるのを避けるという意味で、この別納割引につきましては、割引の対象の額の区分を若干修正するというような形の申請になったというふうに理解しているところでございます。  先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、やはり道路審議会等からも御指摘をいただいておる問題でございますので、私どもとしては今後の課題として検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  96. 小川仁一

    ○小川仁一君 ぜひ検討していただきたいと思います。  行政監察報告でも指摘しているということを考えると、このままの状態にしておいてはいけないと思います。特に、このごろは大型自動車の積載率の過重な車が通って、それが道路を壊す率がかなり多いというふうなことも考えてみますと、十二分な御検討をして、そしてやっぱり適正な値段に戻す、こういうふうな形を考えてもらいたいと思います。  それで、さっきの話にちょっと戻りますけれども、これも日経連の永野さんの発言に対して、例えば大分の平松知事や岩國出雲市長等は、地方の住民の生活水準を上げることを考えて道路整備を考えてほしい、道路なくして分権なしというふうなお話をしておられました。  こういう形になりますと、先ほどの凍結による五百億円の損失というふうな、損失という言い方にはならないかもしれませんが、そういうものを国費その他によっておくれている用地買収費に使う、こういうふうな方式をお考えになれないものだろうか。今後とも用地買収に思い切った国費からの投入をいたしますと、先ほど指摘した料金の問題その他についても再検討の余地が出てくると思いますので、それらの点についてお考えを伺いたいと思います。
  97. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) まず、先生に先ほど公聴会の日程のことについて御意見を賜りました。  閣議で決定いたしましたのは二十日でございまして、公聴会は二十四日に持たせていただきまして、既に公聴会の通知等々も各般に人選も含めてさせていただいた後でございますし、同時に凍結になっても認可という問題等々考えますと、幅広い意見を聞かせていただきたい、そういうことで公聴会を行わせていただいた次第でございます。また公聴会では、永野日経連会長の厳しい経済状況のもとで凍結をしようという話もあり、あるいは一万また、先ほど先生がおっしゃっていただいた平松知事あるいは岩國市長さんから、ぜひ料金改定を行って地方道路網整備してもらいたいという強い御意見も賜りまして、そういう意味では公聴会を中止せずに実施したことは私は意義あることだと認識をしている次第でございます。  次に、先生からの用地費の国費負担を行うべきではないか、こういった点の御指摘をいただきましたが、今のところ利用者の料金によって補うべく費用の範囲は、道路整備特別措置法に基づきまして、用地を含む建設費、管理費、利息費等の総費用とされておるところでございます。今、建設省といたしましても、多くの交通量が見込めない横断道等の整備については、国費助成の強化を図りまして、借入金資金コストを三%に引き下げる等々の措置を講じてきたところでございますし、また、本年も昨年より一・二五倍、一千四百六十一億円というできる限りの国費助成の拡充を本年度予算でしているところでございます。
  98. 小川仁一

    ○小川仁一君 高速道路問題を終わりまして、次は、建設省にかかわる有事立法問題についてお伺いをいたします。  主要閣僚が相次いで、集団的自衛権について従来の政府見解を見直す、こういう発言が続いております。羽田内閣は大変危険な内閣だという認識を私は持ち始めているところでございます。そこで、まず建設省にかかわる有事法制に関係する法令について、どのようなものがあるかをお聞きしたいと思います。  昭和五十九年十月十六日付の「有事法制の研究について」というタイトルの防衛庁見解によれば、有事法制の研究の対象となる法令のうち、他省庁所管の法令を第二分類としています。この第二分類に当たる法令のうち、建設省所管のものをお知らせ願いたいと思います。
  99. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先生今お話しの有事法制の研究でございますが、これはかつて五十二年八月に内閣総理大臣の了承のもとに防衛庁長官の指示によって防衛庁の方において研究がなされたものでございまして、自衛隊が防衛出動を命ぜられるという事態に対応して、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上で法制上どういう問題があるかというのを研究の対象としたものと聞いております。  しかし防衛庁の方は、防衛庁以外の省庁の所管法令に関する研究は五十九年十月に取りまとめ公表をしておりまして、それは先生今御指摘のとおりであります。当時の取りまとめの段階では、建設省関係法令としましては四本の法律がございまして、道路法と建築基準法と河川法及び海岸法、この四本が有事に際して関係する法律だというふうに挙げられております。
  100. 小川仁一

    ○小川仁一君 今ここに日本の防衛、これは平成五年に出したものを持ってきております。  先ほどの防衛庁の見解、「第二分類の検討」として、「他省庁所管の法令について、現行規定の下で有事に際しての自衛隊の行動の円滑を確保する上で支障がないかどうかを防衛庁の立場から検討し、検討項目を拾い出した上、当該項目に関係する条文の解釈、適用関係について関係省庁と協議、調整を行った。」と言っています。検討された法令のうち建設省に関係する法令では、道路法、海岸法、河川法、建築基準法について特別の措置あるいは特例措置が必要とされていますが、防衛庁とこれらの点をどの条文でどのように御協議をなされたか、お知らせ願いたいと思います。
  101. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先ほど申し上げました四本の法律につきまして建設省所管法令に関係があるということで協議したようでございまして、昭和五十九年十月の時点での整理されたもので、建設省所管の法令は先ほどの四本でございます。  例えば道路法でございますけれども、道路等がいろいろなことで損傷している場合に、自衛隊が滞りなく通行するようにするために、例えば部隊がみずから応急処理をするといったようなことができるためには、今の道路法のままでは問題があるのでその調整が必要ではないかといったようなこととか、あるいは海岸法とか河川法の関係は、陣地を構築する場合に自衛隊が速やかにそういった土地を使用する、やはり平時の場合ですとそれは河川管理者、海岸管理者の許可等が要りますので、そういったことを緊急に変えるにはどうするかというようなこととか、あるいは建築基準法は、いろいろ例えば自衛隊の活動をやるときに、必要な建築物を建てるといったようなときに一々建築確認をとっていたのでは間に合わない、こういう規定はどうするかといったようなことが対象になったようでございまして、こういったことにつきまして緊急時には対応する必要があるんじゃないかというような問題点の整理をされております。
  102. 小川仁一

    ○小川仁一君 それは防衛庁とおたくとで協議をして、そしてそれを取り決めるか何かしておられるんですか。協議の結論は、一つの文書とかあるいは覚書とかというふうな形になって存在するものですか。
  103. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 先ほど申し上げましたように、この研究はあくまで防衛庁がやっておりまして、防衛庁がただ他省庁の所管の法令でいろいろ問題点があるのではないかという観点から、防衛庁の方でむしろ法律を抽出しまして、これについてはどう対応すべきだろうかというようなことで照会があったようでございます。  したがいまして、特にそこら辺につきましてやりとりの文書があるとか協定みたいなものがあるとかということではありませんで、最終的には防衛庁の責任で、例えば道路法についてはこんな問題点がある、海岸法はこんな問題点があるというような形で防衛庁の方でまとめられた。そういうものでございまして、建設省の方は、その間恐らくそれぞれの法律を担当している者が照会を受けまして意見、協議したのではないかというふうに思われます。
  104. 小川仁一

    ○小川仁一君 防衛庁の日本の防衛、これは防衛庁単独でおつくりになっているかあるいは閣議にかけられているのか、ここは私はっきりしませんが、それらの中にはっきり書いてあることは、「関係省庁と協議、調整を行った。」と書いてあります。  そうすると、防衛庁だけがこういう問題がありますがと言っておたくの方に話をして、そして防衛庁だけで押さえているということにはならないのではないか。やっぱりおたくでも、例えば先ほどお話しなされた条文とこういう点はそれじゃ了解しますと、こういったような話がついていなきゃ防衛庁のこういうものに対する発表とは食い違う感じがいたすのですが、本当に防衛庁だけで勝手に、勝手にというと語弊がありますが、決めていったんですか。それとも何かやっぱりそこに話し合いがあって、これはオーケーだとか、これはまずいとかというふうな話があったような感じがこの「協議、調整」という言葉の中で感ずるんですが、いかがでございましょうか。
  105. 伴襄

    政府委員(伴襄君) ちょっと私の説明の仕方が悪かったかもしれませんが、建設省が全くノータッチとか関係ないというわけではございませんで、それぞれの所管の法令はそれぞれの所管の責任者が一番詳しいわけでありますので、防衛庁からこれとこれとこういう法律が関係あるのではないかというので、これについてどういうふうにしたらいいか、どういう問題点があるかということは当然協議を受けておりまして、協議、調整は、我々の担当官が恐らく一緒に協議を受けて意見交換をしながらまとめたのだと思われます。だから、建設省の方にいろいろな照会、協議があったことは間違いないです。  ただ、くどいようですけれども、このまとめたものは防衛庁の責任で問題点をまとめるというようなことで処理されたというふうに聞いております。
  106. 小川仁一

    ○小川仁一君 かつて、シビリアンコントロールにかかわって大きな問題となった三谷研究というのがございました。正式には昭和三十八年度統合防衛図上研究、こういう題でございました。  そのときの非常事態措置法令の研究ということで、土地収用法の改正と国土地理院の統制が取り上げられていますが、防衛庁との協議でこの二つがどういうふうに話し合われましたか。
  107. 伴襄

    政府委員(伴襄君) その話は私も初めて伺いますが、少なくとも土地収用法とかそれから国土地理院のことについては、今のこの姿になってみますと、話し合いが行われたかはちょっと確認しょうがないんですが、あるいは書類が残っているかもわかりませんが、それは確かめれば確かめられますけれども、現在この四本の法律が挙がっておりまして、この四本の法律について有事の場合にどうしたらいいかという意見調整をしたんだというふうに私どもは今のところ理解しております。
  108. 小川仁一

    ○小川仁一君 何遍もお聞きして済みませんが、内閣のかなめである熊谷官房長官の有事法制発言がございます。長官は、有事立法については実務的準備はほぼ完了していて、合意さえあれば一気に危機管理体制をつくることはできる、そのための素材はきちっとできている、こういうお話をしているのが新聞でわかりました。こういうお話を見ますと、各省庁の法令、危機有事に対する有事立法の準備ができているのだという感じを持ったわけでおたくに聞いたわけなんですが、今お聞きしてみますというと、全然準備をしていない、防衛庁だけでやっておられると。じゃ防衛庁がこういう部分を皆さんからお聞きしておいて、さあ有事立法、危機管理法令だといってぽっと出したときに、おたくはどういう態度をおとりになりますか。
  109. 伴襄

    政府委員(伴襄君) 五十九年十月の検討でございますが、それはどうも五十九年十月の取りまとめ公表ということでもっておおむね終了というようなことのようでありまして、その後今日に至るまで、防衛庁から建設省に対しまして有事法制の関係で協議、照会は一切ございません。  したがいまして、このときの取りまとめも問題点の整理というような形でございまして、したがって、もし何かするときにはこれの先に進んで研究、検討をする必要があるわけでありますけれども、問題点の整理という形で終わったままで今日に至っておりまして、防衛庁から一切建設省には何の照会も協議もありません。
  110. 小川仁一

    ○小川仁一君 そういう状況であるとすれば、今後の政権協議に向け、あるいは与党政権構想素案でも、法的措置を含む国内の危機管理体制を速やかに整える、こういうことは事実上各省庁間、特に建設省との間では進んでいない、こういうふうに私は今までの答弁を聞いたわけでございますが、何かそれでもやっているんじゃないかという疑問はあの熊谷長官の発言の中から感じられるんです。大臣、羽田内閣の構成員の一員でございましょうが、今までのやりとりを聞きながら、どんな御認識、お考えを持っておられるか、ありましたらどうぞ一言。
  111. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 熊谷官房長官の発言につきましては、私はその内容及び真意について十分知っておるわけでもございませんので、長官の発言内容についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先ほど先生がおっしゃっていただいている問題点についてでございますけれども、そういった場合、これは非常に高度の政治判断が要る問題ですから、国会におけるいろんな御審議をいただきたいし、また国民世論の動向を踏まえて慎重に検討すべき問題ではないか、このように考えております。  また、官房長が答弁しておりましたけれども、建設省として現段階で何も防衛庁からそういったことを具体的に言われていないということを、私もそう伺っております。    〔理事鈴木貞敏君退席、委員長着席〕
  112. 小川仁一

    ○小川仁一君 今有事立法の準備段階や法案を出すというと、国民世論が飛び上がってしまうから発表しないんだというふうなある方の発言もございました。飛び上がるようなものを合意されたんじゃこっちも驚きますが、それはそれとしても、やっぱりこういう種類のものについては今後隠さずに協議があったらあった、これはこれ、あれはあれというふうにきっちり御報告をお願いしたいと思います。  以上で終わりまして、次に、国土利用計画法について御質問を申し上げます。  私は、この法律によって京都府警の朝鮮総連捜査といったような、他の民族の抑圧に使われるような考え方が起きてくるとは実は思わなかったんです。この事件について、法律を所管している国土庁長官、どのようにお考えですか、総括的にお考えを述べていただきたいと思います。
  113. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今の京都の事件につきまして、京都市から事情を聴取いたしました。我々としては、この京都府警からの文書照会に対して京都市が届け出内容について台帳を点検する際に対象地域を見落としたという事務処理のミスから生じたものでございまして、そういう意味で、本来この国土利用計画法というのは土地投機取引とか地価が高騰する、こういうことで国民生活に及ぼす弊害をなくし、適正、合理的な土地の利用が確保されるようにということで土地取引の規制につきまして措置することを規定したものでございますので、そういった本来の目的から見ましても、やはりきちっとした届け出台帳の整備とかそういったものがあり、捜査当局から照会があったときには必ず原本に当たるとかそういうことをやって、それによって初めてこの国土利用計画法が正しく施行されるということでもございます。  そういう立場から考えますと、今回の事件は、まことに京都市のそういったミスではあるといたしましても非常に遺憾なことであり、法律を預かっております国土庁といたしまして、六月九日に全国土地対策担当課長会議がございましたので、その旨の徹底も図って、これからもそういったことについて十分配慮していきたい、このように考えているところでございます。
  114. 小川仁一

    ○小川仁一君 国土利用計画法による届け出などというのはこれは各自治体の委任事務となっていますが、違反の事案についてどのように対応するかについて、国土庁はこれはかなり前、昭和五十三年に、無届け取引等の事務処理についてという文書を出しておられます。その内容について御説明を願いたいと思います。
  115. 原隆之

    政府委員(原隆之君) まず、事務的にお答えをさせていただきたいと存じます。  御指摘のように、国土利用計画法の無届け取引等が生じた場合にどういう事務処理をするかという点につきましては、大臣が先ほども申し上げましたように、国民の権利義務にかかわる問題でございますので、全国的にばらばらであってはいけない、こういうこともございます。昭和五十四年でございますが、土地利用調整課長通達を各都道府県、政令指定市に通知をしているわけでございます。  その概要をざっと申し上げますと、まず一つには、国土法違反の疑いのある事案について把握をする必要がある、そのための調査の実施について。それから二つ目には、契約当事者への照会の問題。それから三つ目には、当事者の事情聴取の問題。四つ目には、違反の確認された事案についての是正の指導とか告発などの適切な措置の問題。こういう措置をとるようにということを内容とした通知を出しているところでございます。
  116. 小川仁一

    ○小川仁一君 その文書を私は見させていただくことができますか。
  117. 原隆之

    政府委員(原隆之君) 先生のせっかくのお話でございますが、何分、法律違反にかかわる事務処理に関する通知でございます。調査のやり方でございますとか、違反した者に対する告発等の措置の基準といったようなことが内容となっておりまして、適切な職務の遂行を図るために一般に公表するということが適当でないという内容がございますものですから、御勘弁をいただきたいと存ずるわけでございます。
  118. 小川仁一

    ○小川仁一君 私が見せていただけば一般に公開するようなお話をされると、それほど宣伝能力を持っておるつもりはございませんが。しかし、国民に対して、知らしむべからず、よらしむべしみたいな古い形の統治形態みたいな感じがするんです。  国土利用法の違反なんというのは、これはある意味では形式犯です。そういうものが指導として出ていて、その中身を議員が知ることができないというのはどういうわけですか。これはちょっとわかりかねます。そんな国家秘密にして重大なるような性格のものですか。
  119. 原隆之

    政府委員(原隆之君) 先ほども申し上げましたように、法律違反の疑いがある場合においてどういった調査をしてその疑いを固めていくのか、あるいはその疑いが固まった場合に、その態様、姿かたちから見ましてどういう措置をとることが社会的に妥当なのかというような点について、先ほど申し上げましたようにばらばらにならぬような形でするということでございますので、これが一般の知るところとなりますと、場合によってはそれに対する対抗措置がとられる、事前にとられてしまうというようなことがあり得るわけでございます。そういった観点から、私どもさような措置をとらせていただいているところでございます。
  120. 小川仁一

    ○小川仁一君 そうすると、事務処理についてという文書に照らしてみて今回の強制捜査は適正だったでしょうか。国土庁は、違反があったら直ちに告発しろと指導しておられるんですか。
  121. 原隆之

    政府委員(原隆之君) この通達は、申し上げるまでもなく国土法を担当している部局に対して通知をしているわけでございまして、国土法担当部局以外の例えはよその他の機関、そういったものを対象にしてお知らせしているわけではないのでございまして、先生御指摘の点、今回の件がそのやり方が妥当であったのかどうかという点については、この通達に照らしてどうこうというコメントは私どもとしては差し上げるわけにはいかない、こういうことでございます。
  122. 小川仁一

    ○小川仁一君 時間がなくなりましたからやめますけれども、私はこの文書にこだわります。  形式犯的な国土利用法の違反問題について、我々議員でもそれがどんな中身のものであってどんなふうに適用されるものかというふうなことがわからないままに、京都のような事件が起きたり、それから私たちも今後別に悪用するつもりはありませんけれども、こういう場合にはこうなんだということを認識できないで一つのことを討議しておったりしたんでは意味のないことを繰り返すんじゃないかなと思いますから、一般に公開しろとは言いません、しかし議員の求めに応じては出すべき性格のものだと考えまして、私の意見を申し上げて終わります。
  123. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まず初めに、建設省にお伺いをいたしたいと思います。  公共事業費の内外価格差の問題についてでありますが、今例えば税制について、あるいは将来の福祉のあり方についていろいろと幅広く議論をされているわけであります。これから先のことを考えますと、例えば税制の議論でいえば、これから日本の社会が高齢化していく中でいや応なくある程度国民に今まで以上の御負担をお願いせざるを得なくなってくる、今すぐやるかどうかは別にしまして、将来当然そういうことが予想されます。  そのときに、どうしても国民の立場から見ますと、行政としては国民に負担をお願いするに当たってどれぐらい自分たちが努力をしているのだと、さっきちょっと公共料金の議論もございましたが、やはり国民の側からすればこれはまた当然なことだというふうに思うわけであります。先般来、建設省の方で特に公共事業について内外価格差をお調べになって、これの是正に取り組むというような方向が示されております。  この建設省の方でお調べになった公共工事積算手法評価委員会のレポート、昨年末に出たわけでありますが、これを拝見しますと、例えば「建設費の国際比較」という中で、ちょっと引用しますと、「国際機関による一九九〇年の調査結果により、建設を含め運輸・通信、燃料・電力、食料等の財やサービスについて、わが国と米国との価格の相異を分析したところ、三割から二倍程度、いずれもわが国が高い傾向がみられた。」、これは建設ということではなくて、今申し上げたようないろんなものすべて含めて我が国の価格が高い、こういう指摘であります。  それから二点目は、建設についてどうかといいますと、資材単価は三割から五割程度、労務単価はほぼ同額から二倍程度、機械経費は三割程度、そして総体として工事費の総額において我が国が約三割高い、こういう結論になっているわけであります。  もちろん、例えばアメリカと日本を比べる場合に、その自然条件の違いとかさまざまな要因がありますから一概にこれで日本が三割高い、こういうふうに断定するのは難しいかもしれませんが、私はここで非常に重要だと思うのは、一つは全般的に見て、社会全体で見て日本はやはり価格が高い、そういう構造になっているということが一点であります。それから、その中で総体として建設費は三割ぐらい高い、こういう指摘になっているわけでありまして、今申し上げた二つの点について、まず最初に大臣の御認識と、これからお取り組みになるに当たっての所見をお伺いしたい、こう思います。
  124. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 直嶋委員から御指摘をいただきましたように、昨年に評価委員会から参りましたときに、やはり三割日本の方が高いという報告が出ました。御指摘があったように、いろいろと機械経費あるいは労務単価等々を含めまして、建設に限らず運輸やサービスでそういった点が高いということも伺っております。それから同時に、おっしゃっていただいたように外国と比べましたときに、急峻な地形であるこの日本の国土それから環境という問題等々の社会的条件、そういったのがやはり外国と比べると異なるという点でコストが三割高になっているというところでございます。  しかしながら、委員から御指摘いただきましたように、また与党で一生懸命税制改革に取り組んでいただいて、国民の税金の使い方をどうするのかということを考えたとき、やはり国民の皆さんの税金で行わせていただいている公共工事については建設省としてもその低減に努めなければならない、そのように私も認識をしております。  建設省の中で、その報告を受けまして内外価格差検討委員会というところを設置いたしまして、内外価格差の実態を把握し、内外価格差の縮減に関する行動計画をこの秋までにまとめることにしております。御指摘いただきましたが、建設費のより一層の低減が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
  125. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 次に、今大臣がお触れになりました行動計画についてお伺いしたいと思うんですが、今お話がありましたように、秋までに行動計画をまとめるということで省内で作業されているというふうにお伺いしております。  一つは、先ほどお伺いしたところによりますと、建設省の関連する公益法人等を含めてさっきお話のあったような調査をもう一度しっかりやろう、その上で今大臣がお触れになった内外価格差検討委員会において行動計画をまとめていこう、こんな手順で進めるんだというふうにお伺いをいたしております。  今から秋までにというと、一つは余り時間がないということで、これはかなり急いでやらなきゃいかぬということになると思うんですが、その短時間の中でどういうふうにやるかというお話と、それからもう一点は、行動計画をまとめるに当たって一番大事な点は、こういう指摘があったということでさまざまな条件はあるとはいえ、この建設工事費を国際水準並みにしていくんだ、今大臣がお触れになったようにできるだけ低減して国際水準並みにしていくんだ、こういう一つの腹づもりといいますか、こういうことをしっかり踏まえてその行動計画をつくっていく、それができるかできないかでやはり随分違ってくるんじゃないかと思うんですが、この辺簡潔で結構ですからお話をいただきたいと思います。
  126. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) お答えいたします。  先ほどからお話しいただいております公共工事積算手法評価委員会、これは昨年行われたわけでございますが、この場で内外価格差問題の御指摘がありました。今後さらにその多くの事例をもとに調査分析をして建設費の低減に努めるべきであるという御提言をいただいておるわけでございます。  したがいまして、これを受けまして今先生のお話にありましたように所管の公益法人等で構成いたします内外価格差の調査研究会というものを設置いたしましたが、大臣が先ほどお答えいたしました内外価格差検討委員会というのを省内に設けましたわけでございますので、ここで多くの事例収集、建設費の内外価格差の実態把握、そして価格差発生の原因について分析を進めるということにいたしておるわけでございますが、この七月には米国に調査団を派遣する予定にいたしております。ここで内外価格差に関する詳細な調査を行いたいというふうに思っております。  さらに、先ほど行動計画の中身、考え方、視点という御指摘がございました。これにつきましては、今申しました実態把握をもとにいたしまして輸入資材の積極的な活用、省人化、省力化等に関します技術開発推進、それから設計の標準化ですとか、あるいはプレハブ化、ロボット化など、いろんな工夫をすることによる建設現場におきまする生産性向上、そして資材等の流通機構あるいは流通過程のあり方、こういうものまで踏み込んだ形で内外価格差の縮減に関する行動計画、これをこの秋までに策定したいというふうに考えておるところでございます。  さらには、この行動計画におきましては、内外価格差を極力縮減するよう最大限努力してまいるということで考えております。
  127. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御答弁にもありましたが、やはり価格の形成というのはその社会のいろんな構造的なもののあらわれだというふうに思いまして、そういう面で申し上げますと住宅価格の話もあるわけでありますが、こういった公共工事だとか住宅価格の低減に建設省が取り組まれるということは日本のいろんな構造を変える意味でも非常に意義が大きいんじゃないかと思います。ぜひ、期待に沿ったものをアウトプットしていただくように重ねてお願いを申し上げたいと思います。  次に、大臣にお伺いしたいんですが、今の議論も私はそうだと思うんですが、これからの公共事業といいますか、社会資本整備について御所見を承りたいと思うんです。特に、さっき申し上げたように、二十一世紀は高齢化社会というふうに言われております。日本の人口も減少に向かうということなんですが、人口予測等のデータを見ますと、今から大体二〇〇〇年ぐらいまでが、例えばいわゆる勤労世帯数といいますか、勤労世代の人数といいますか勤労者数が日本の国としては一番ピークになって、それから二〇〇〇年以降減少していく、こういうことが予想されるわけであります。  そうすると、今から二〇〇〇年ぐらいまでの間に私たちがどういう社会資本整備していくかということは、その先の社会のあり方にも大変大きな影響が出てくると思います。しかも、二十一世紀がそういう高齢化社会になってくるということを考えますと、社会資本のあり方もあるいは公共事業というものもやはり従来の発想とは異なった視点で考えていかなければいけないんじゃないかと思います。私は、さっき公共事業のお話をしましたのは、やはりこういう社会が想定されますとできるだけ社会資本整備を効率よくやっていくということが一つの大事な視点だという意味で申し上げたわけでありますが、こういった点も含めて、当然将来財政的な厳しさも想定されますし、福祉にも金がかかるということになってくるわけであります。  そういう観点から、大臣の御所見を例えればというふうに思います。
  128. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 二十一世紀の高齢化社会を迎えるに当たって今私たちがなさなければならないこと、質の高い住宅や、あるいは社会資本整備等々を今しなければならないという委員の御指摘は、私も全くそのとおりだと思っておるところでございます。今、労働力もあり貯蓄率も高いこのときに全力を注がなければならないのではないだろうかというふうにも思っております。先ほど来いろいろ議論させていただいておりますが、例えば高速道路整備にしてもまだ四八%でございますから、こういった点についても今のときに取り組んでいかなければならない、それに向かっての展望を考えていかなければならないと思います。  委員の御指摘でございます重点化をしていくということは、私も不可欠であると思います。建設省で具体的な重点課題として大きく取り上げますと、国土の骨格づくりをしなければならない。そのためには、先ほど申し上げました高規格道路網整備、大規模治水事業整備。それから二つ目には、地域活性化、また生活基盤の充実を図らなければならない。これは地域高規格道路整備、それから先ほどの御質問にもあったと思いますが、交流ふれあいトンネルあるいは橋梁等をつくっていくこと。それから河川、湖沼等の水質の浄化を図る。さらに三つ目で、身近な生活基盤整備充実を図るということになってまいりますと、これは都心の居住の推進、都市内河川整備による床上浸水被害の解消、中小市町村の下水道整備推進、高齢者等に配慮した幅の広い歩道等の歩行環境整備、高齢者等向け住宅整備促進、緑のマスタープランに基づく緑環境整備道路河川下水道等のネットワークを活用した情報通信基盤整備等、こういった点が建設省の取り組まなければならない重点的な項目かと思いますが、これからもそこに重点を置きながら取り組ませていただきたいと思います。
  129. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣がお挙げになった項目、ずっとお聞きをしておりまして、どれぐらいお金がかかるかなと。この議論はこれぐらいにしておきますが、私は、今大臣はいみじくも重点というふうにお話しになりましたが、やはりそれを非常に厳しい情勢下でやっていくということになると、もっといろんな視点から公共工事のやり方そのものも含めて発想を変えていかなければいけないというような気がいたしましたので、御答弁は要りません、ちょっとあえて申し上げさせていただきます。  それから、続きまして国土庁長官にお伺いしたいと思うんですが、四全総でございますが、昭和六十二年にできましてちょうど七年でございますか、今四全総の見直しをされておりますが、点検調査部会のレポートが先般まとまっております。それで、一つは四全総からさらに次の五全総といいますか、どういう国土計画をつくるかというところにこれから議論が移ってくると思うのでありますが、この調査部会の報告の中にもございますが、やはり四全総と五全総で見ますと、日本の社会構造が大きく変わってきている、端的に言いますと国際化であるとかあるいは今盛んに言われますのはやはり地方分権ということで、地方の主体性ということが盛んに言われているわけであります。  それで、一つ私気がつきましたのは、この調査部会の部会長をされております下河辺淳さん、この方はずっと過去の全総計画に取り組んできておられるというふうにお話を聞いておりますが、その人がコメントの中で、国がまちづくりをする時代は終わった、こういうような表現をされているわけであります。この新聞記事の中で解説欄を見ますと、むしろこれからは国土庁のあり方とかあるいは国土計画に関する関連の法律の見直し、そういうことが必要ではないかというような指摘がされているわけでありますが、特にやはり国と地方の役割とかこれからの地方分権というようなことを考えますと、こういう見方も一つはしていかなければいけないのかなという気もするわけでありますが、これについての長官の御所見を賜りたいと思います。
  130. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのように、四全総につきましていろいろ見直しをしていただこうということで、総合的な点検調査部会の報告というのがされまして、新しい理念に基づいた国土計画の策定が必要である、こういう御意見でございました。  こういったときに、今お話しのようなこれから国と地方の役割の分担とかいろいろと問題もあります。特に高齢化社会というものの到来ということもありますし、それから国際化の問題もあります。そういった問題がありますので、四全総を策定したときの状況等から、今度の新しい御報告といいますかそういうものをいただいた段階で、四全総をどういうふうな形で見直していくかということで、まず七月から三月間ぐらいの間に地方のいろんな御意見を伺うようなことを考えて、そしてそれによって、秋になりましてからこれに対する対策を考えて持っていかなきゃならない。それが五全総という形になるのか、あるいは今お話しのように、こういったもう一回別の見地から新しく見直していくものが考えられるかどうかということをつくり上げていかなきゃならないと思っています。  その中にこうした地方とのつながり、まず第一に、四全総のときの特色としましては東京圏へ人口とか諸機能が集中している、この点は一番大きな問題であり、いわゆる東京一極集中の是正、多極分散型国土形成というのが四全総の思想だったわけですから、それだけでは新しい次期の計画の策定には適しないんじゃないかということで、どういうものになるかということの中に、一つには国土軸というものをやっぱり考えていったらどうかということの御意見も示唆されておりますので、これをどういうふうな形で取り上げていくかということがこれからの四全総後の計画策定というものに取り組まなければならない姿勢じゃないか、このように考えているところでございます。
  131. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後の質問になろうかと思うんですが、やはり四全総に関して国土庁の御見解を一点お伺いしたいんです。  国土庁はこういう視点でこの四全総をごらんになったことはないかどうかということなんで、こういう視点というのは今から申し上げますが、さっき申し上げましたように四全総がスタートしたのは昭和六十二年、一九八七年です。四全総の主な骨格といいますか一番の力点は、今長官がお話しになられたように、いわゆる一極集中の是正、それから多極分散型国土、その中で特にいわゆる交流ネットワークといいますか、例えば高速幹線網だとかそういうことが中心になっているわけであります。  たまたま、結果ということなんですが、地価が暴騰しました。ちょうど一九八七年から八八年にかけてが東京の地価の値上がりのピークなんですね。それから四全総でそういう方向が打ち出されたタイミングが合っていたといいますか、たまたまそうなったと思うんですが、結果的にその後近畿あるいは中京圏、地方へと土地の値上がりが波及をしていったわけであります。もちろんこのバブルは国土計画が原因じゃないと思います。そのときの経済情勢が根底にあって、そこから生まれたものだと思うんです。  ただ、過去の土地の値上がりをいろいろ見ると、例えば昭和四十年代後半の列島改造ブーム、これも列島改造論と一体になるような形で出てきたわけでありますし、さっき触れられた東京一極集中という中での東京の地価の値上がりは、やはり中曽根民活がいろいろ言われたころから値上がりをしているわけであります。  私はここで、だから四全総はけしからぬと言うつもりは全くないのでありますが、一つはこういう角度、これは全総計画が悪いということではなくて、いろんなそのときの社会経済の背景の中で出てきたものだと思うんですが、やはりこういう目で検証していく必要があるんじゃないか。  それから、国がこういう大きな計画を出すということは、例えばちょうどバブルの時期に地方自治体がリゾート開発に走りましたね、ああいうような現象も当然考えられるわけなんです。ですから、私は、これからの例えは五全総をつくるときも、そういう国がやることによるいろんな波及効果だとか、あるいはさっき申し上げたような地方の役割とか、そういうことを含めてみずからの及ぼす影響みたいなことも念頭に置いておかなければいけないんではないかという感がいたしておるのでありますが、この点についてコメントがございましたらお伺いしたいと思います。
  132. 糠谷真平

    政府委員(糠谷真平君) 先生御指摘のように、ちょうど四全総をつくりました六十二年あるいは六十三年当時が東京の地価上昇のピークで、それがだんだん地方圏に波及をしていったという時系列的な流れは御指摘のとおりだと思います。  ただ、先生も御指摘のように、いろんな経済社会情勢の中でそういうことが起こった、いわゆる金余り現象が地方に波及をしていったということだと思いますので、四全総がその原因であったかということについては私どもそうではないんだろうと思っております。ただいずれにいたしましても、全国総合開発計画というのは経済社会いろんな分野に大きな影響を与えるものでございますので、そこのところは地価問題を含めまして新しい国土計画をつくりますときには私どもよく考えなければいけないことだと思っております。  それから、国と地方の関係ということにつきましても、国が何か計画をつくって方向を出すとそれに一斉に走るというようなことがこれからの国と地方の関係あるいは国土計画地域計画の関係でいいものかどうか。やはり地域地域の自主性を伸ばしていくということがこれからは基本だと思っておりますので、そういった点は新しい計画をつくります際にはよくよく考えてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  133. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  134. 広中和歌子

    広中和歌子君 広中和歌子でございます。  最近この建設委員会に所属させていただき、きょうが第一回目の質問でございます。建設行政につきまして十分な知識を持ち合わせておりませんために、私のこれから行う質問が多少はみ出たり見当違いであったりすることがあるかもしれません。お許し願いたいと思います。  私は、主に住環境あるいは生活環境といったらいいんでしょうか、そういった視点から建設行政につきましてあるいは建設予算につきまして御質問させていただきたいと思います。  多くの国民が豊かさの実感がない、そのような言い方をしております。GNPは世界第二位になっている。国民一人当たりの所得も非常に高い。それなのに豊かさの実感がないのはなぜかという意見でございます。実態はさておきまして、そういう意識を多くの国民が持っているということ、そしてこれが政治課題として取り上げられ、細川連立内閣は質の高い実のある国家というようなことで行政を進めるというようなことをやってきたわけでございます。  建設省の視点、あるいは建設大臣のお考えでは、豊かさを実感できない原因は一体何なのか、もしあるとしたらどういう反省点があるんだろうか、それからこれからの建設省の行政の中で豊かさの視点から質の高いいわゆる生活環境を創造するようなもの、何を重点に行うおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  135. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) つい先般まで、環境長官として我が国の環境づくりに御尽力をいただいた環境長官でございます。  私は国民が豊かさを実感できないというのは、それは戦後、国敗れた後、日本が経済中心でいろんな物事を進めてきた。そこに国民生活というのは忘れ去られてきた。確かにあの当時国土復活のためにはそれは極めて重要なことであったかもわからないけれども、より高い質の住宅それから社会資本整備、それは公園とかあるいは下水道とかそういったことが今日まで立ちおくれてきたのではないだろうか。そういった点が今日に至って国民が豊かさを実感できない状況になっているのではないかと、私はそこに感ずるとともにその点にこれから力を入れていかなければならない、反省と合わせて私たちの取り組むべき課題であり、建設省としても環境という問題について内部目的化しておりまして、これからも一生懸命取り組んでいかなければならないと思っております。
  136. 広中和歌子

    広中和歌子君 建設大臣の御要請を受けて、平成四年度に豊かな環境づくり委員会というのがつくられております。これは、一九九二年の地球サミットを受け、また環境基本法が国会で審議される中で環境問題に対する関心は内外ともに高まっており、これまで進められてきた各分野の行政政策の転換が迫られている、そういう中にあって建設行政も例外ではない、そういうことでこの検討会が始まり、そしてさらには環境政策大綱というものをつくられた。これは、環境というものを内部化するというんでしょうか、そうした形でこれから建設行政を行っていきたいというすばらしいお考えだろうと思います。  それで、予算についてお伺いしたいのでございますが、建設省関係環境関連予算のここ二、三年の推移はどのようになっているか、また環境政策大綱を今後どう実現させていくのか、そして来年度の概算要求の作成の時期になっているわけですけれども、概算要求にどういう形で反映されていかれるのか、この三点についてお伺いいたします。
  137. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) まずお尋ねのここ二、三年の環境関連予算の推移でございますが、平成四年度予算が約九千七百億円、それから平成五年度予算がその一・一倍の約一兆七百億円、さらに平成六年度予算案ではその一・〇六倍の約一兆一千四百億円となっておりまして、環境関連予算が着実な伸びを示しているところでございます。  なお、建設省関係環境保全経費下水道公園河川道路環境整備事業等をその内容にしておりますが、全体の約六割を占めているところであります。これが最初の御質問に対するお答えでございます。  次に、環境政策大綱を今後どう実現させていくのか、また来年度概算要求にどう反映させるかという点でございますが、この一月に作成いたしました環境政策大綱というのは、昨年成立いたしました環境基本法の基本理念に基づいて住宅社会資本整備に係る建設省環境政策の基本的な考え方を明らかにしたものであります。  建設省においては、一つは都市環境計画各種環境計画の策定の推進二つ目は法令、基準等における環境に関する規定の充実、三番、エコロードや多自然型川づくり等、環境リーディング事業推進等に努めることによりまして、環境の内部目的化を図りつつ環境政策の大綱の実現を図ってまいりたいと思います。あわせて、環境庁を中心に政府一体となって行う環境基本法の策定や環境影響評価に係る内外の実態調査にも積極的に参画してまいる所存であります。  来年度概算要求におきましても、私たちも環境所要予算確保を図るために全力で頑張ってまいりたいと思います。本年度の予算づくりのとき、環境長官から公園予算等々大変我々連立与党へのお力添えをいただきましたが、どうぞ来年度の予算に、まだ本年度予算が今審議いただいている最中でございますけれども、また前環境長官のお力添えを賜りたいと思います。
  138. 広中和歌子

    広中和歌子君 ありがとうございました。  環境政策大綱に幾つかのすばらしい具体例が出ているわけですけれども、住宅の省エネ基準の充実といったようなことがございます。今後、建設物、建物の断熱とかソーラーの導入等にどのように取り組まれるお考えなのか。これは建設省だけでなされるのか、それとも通産省などと御一緒にやっていらっしゃるのか、行政の具体的なことはわかりませんけれども、どういう形で取り組まれるかということ。  それから、こういうような取り組みを始められますと、どうしても単価というんでしょうかコストが多少上がります。ただ、長期的に見ましたときにそれがユーザーにとってのコスト減であるといったような具体的な計算をなさっているのかどうか。つまり、環境と経済の関係でございますけれども、そういうことをやっていらっしゃるかどうか。まず、それについてお伺いいたします。
  139. 三井康壽

    政府委員(三井康壽君) 御指摘の、住宅につきましての省エネ対策でございます。  これは御承知のことと思いますけれども、通産省の所管の法律でございますいわゆる省エネ法が昭和五十四年にできまして、そのときから住宅につきましても断熱構造化を進めていこう。これは、通産省と協議をしながら進めさせていただいておりまして、一定の断熱基準というのをつくりまして、それによりまして民間の方がその基準でおやりになる際に住宅金融公庫が割り増し融資をさせていただいて促進しようということから始まったわけでございます。  徐々にそれが浸透いたしまして、平成元年度には公営住宅ですとか公団住宅、それから公庫の融資の際の建設基準によりましてその五十四年の省エネ法の基準を中に組み込みまして、そういうものでなければ建てない、あるいは融資をしない、こういうふうにいたしました。  逐次やってきたわけでございますが、なお最近の状況が非常にエネルギーが多消費になってくる。住宅の方も規模を拡大、部屋を広くしよう、そうしますと当然エネルギーの消費量が多くなってくる、こういったことから平成四年二月に従来の基準の四〇%増しの断熱基準をつくらせていただきました。それによりまして、現在は公営住宅公団住宅といった公共住宅も、それから住宅金融公庫の割り増し融資もそういった形でやらせていただいているわけでございます。  これはどういうふうな計算をしているかと申しますと、例えば公庫融資について申しますと、現在の断熱化工事の割り増しは柱とか壁、躯体と言いますけれども、これは戸当たり五十万円、それから窓とかドアとかいわゆる開口部と言っておりますが、これが戸当たり五十万円ということでございまして、計算上はこういった額で、断熱化工事というのはグラスウールみたいなものを張ったり断熱パネルを張ったりする、そういったものでうまく賄えるだろうと考えているわけでございます。  こういうことになりますと結果的にはお金がその分かかるんですけれども、月々のエネルギー消費量が大体我々の計算で年三万円ぐらい安くなるだろう、したがってコスト的には十五、六年ぐらいで消費者の方々は元が取れる、全体のエネルギー消費、国全体としましてはそれは大変プラスになる、こういった計算で断熱化工事につきまして進めさせていただいているところでございます。  ただ残念ながら、公的住宅はすべてもうやっているわけでございますが、公庫融資の場合は民間の方々に割り増し融資という制度をお使いいただくように奨励しているわけでございますけれども、この利用率がまだ一割に届いていない、したがいましてぜひこれの普及を図るように我々努力しなければいけないと思っております。  それから、コストのかかる分は、そういった割り増し融資ということで民間の方にはそうするわけでありますが、公共住宅につきましては平成五年度、六年度と単価アップをいたしまして、単価アップは大体一・五%ぐらいで済むわけでございますけれども、それを補助対象にする、あるいは利子補給の対象にする、そういった形にさせていただいておりまして、順次単価アップをさせていただいているところでございます。  断熱化につきましてはそういうことで進めさせていただいておりますが、もう一つの御質問のソーラーにつきまして、これも大変技術的に難しい部分もございますしいろんな御意見もあるんですけれども、私どももこれをぜひ普及させたいということで、従来は太陽熱を利用した温水器は、これは公庫の場合ですと戸当たり二十万円という割り増し額なんですが、これは御利用率が非常に高いんです、年間一万戸ぐらいはお使いになっていただいております。  ただし、パッシブソーラー、よく御承知だと思いますけれども、パッシブソーラーにつきましては従来は戸当たり五十万円の割り増し融資だったんですけれども、必ずしもこれは御利用率が高こうございません、年間数百戸程度しか御利用いただいておりません。  そこで、昨年度からこれをさらに割り増し額をふやしましてぜひ使っていただこうということで、平成四年度からはこのソーラー関係の住宅は百五十万円の割り増し融資というふうにさせていただいております。そして、おつくりになるハウスメーカーの方にぜひこれを使って消費者の方々にも良質である程度負担も少ない住宅ということで努力をして販売していただく、そういうふうに私どもお勧めし、お願いをしている状況でございます。
  140. 広中和歌子

    広中和歌子君 非常にすばらしいお取り組みで感心して伺っていたわけでございますけれども、これから必要なのは宣伝というんでしょうかパブリシティーであろうと思うので、ぜひその部分のPRをお願いしたいと思います。  そのPRの一環といたしまして、さっきパッシブという言い方をなさいましたけれども、それで有名なエモリー・ロビンズという方が、例えばコロラドの非常に寒い、言ってみれば寒冷地ですけれども、そこにモデル住宅というかモデル建物をつくってどこでも建築業者とかあるいは環境行政とか建設行政に携わる人が行けば見られるような、そういうモデルをつくっている。ニューヨークにもまた別の形のモデルがあるというふうに聞いたんですけれども、日本もこれから環境ビジネスというんでしょうか、そういうもので大いに発展していこうという立場をおとりになるんじゃないかと思いますので、ぜひそうしたモデル建物、高層であれ低層であれ、そうしたものをおつくりになって宣伝にお使いいただいたらどうか。  私は、理想を言えば小さなモデル都市みたいな、それは省エネだけではなくて完全にリサイクル型の下水道とかそれからまた水の再利用とかあらゆる点で建設行政にかかわる、あるいは他省庁にかかわる省エネの技術みたいなものを網羅したようなそうしたモデル都市をおつくりになることが一つの国内における宣伝効果もあるし、また対外的にも訴えるものがあるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  141. 三井康壽

    政府委員(三井康壽君) ただいまお話を申し上げました件は、特に省エネ関係で申し上げたわけでございますが、今の御質問はむしろ省エネばかりではなくて環境との関係をもっと広くとらえてという御質問だと存じます。  昨年のこの参議院の建設委員会でも種田先生から相当強く御質問がありまして、参議院の建設委員会でもヨーロッパの方に環境都市とか環境住宅とかそういった調査をされたということで、建設省もちゃんと見てこいという御指示がありまして、私は残念ながらちょっと忙しくて行けなかったんですが、うちの担当の者が、公共団体の方々が団を組みましてハンブルクとか特にヨーロッパでは進んでおりますドイツですとかオランダ、オーストリアヘ行ってそういうものを見てまいりました。  昨年度から環境共生住宅モデル事業ということで予算をお願いいたしておりまして、各公共団体あるいは地方住宅供給公社あるいは住宅・都市整備公団、こういった事業主体と御相談をいたしまして幾つかの団地に現在日本でもモデル的に実施をさせていただいております。平成五年度では八地区ほど事業を開始させていただいておりまして、今年度も予算ができましたらさらにこれを継続する、あるいは新規をやらせていただきまして、日本でもこういうのを進めてまいりたいと思うわけでございます。  この中では、省エネといった先ほどのお話のほかに、屋上を緑化するとか、あるいは透水性の舗装にしまして、降った雨が側溝から流れていくんではなくて、また地上に戻っていくとか、あるいはソーラーを使いました蓄熱によりまして水を循環させるとかいろんな形のモデルが考えられるわけでございまして、各公共団体で御工夫されながら事業主体ごとに実験を今進めている、こういう状況でございまして、これをさらに進めていきたいと思っております。
  142. 広中和歌子

    広中和歌子君 河川行政、公共事業なども環境の視点からやっていただくとまた随分違ってくるんじゃないかと思いますが、特に河川行政、今までの治水、利水から親水とかミティゲーションというんでしょうか、今までどちらかというと、護岸工事などで自然が壊されてしまったものをもとに戻していくといったミティゲーション、そうしたことに予算配分がされるようになっているんでしょうか。  そういう視点からいいますと、例えば北海道のウトナイ湖でございますが、ああいう治水、利水を目的として以前につくられた提案というんでしょうか、案が今の新しい時代に見直しを迫られているんじゃないか、あるいは十分に環境面でアセスがなされていないんじゃないかといったような声も聞こえてくるわけでございますけれども、あわせてお伺いいたします。
  143. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 先生、二つの点についてお尋ねがございました。  ミティゲーションに力を入れて予算配分も力を入れるべきではないかという点からまずお答えしたいと思いますが、現在のまず治水施設の状況についてでございますが、依然としてそれが低いということで、全国三千二百ぐらいの市町村がございますが、そのうち八割が過去十年間に一回の被害を受けておるというような状況でございます。特に昨年は、御存じのように鹿児島県を中心といたしました豪雨で大変多くの死者が出ました。土砂崩れも大変あったところでございますので、建設省といたしましては、第八次治水事業五カ年計画に基づきまして計画的な投資、整備を行っていくことが重要であると考えておるわけであります。  しかし一方、河川というものは、今先生がおっしゃいましたように、自然豊かで貴重なオープンスペースであるということで、従来からさまざまなレクリエーションやスポーツの活動として地域の人々に利用されているわけでありますが、一方、同時に、多種多様な生物の生息の場であるという認識をしておるわけであります。このため、建設省では平成二年から河川水辺の国勢調査というものを実施しておりまして、川の中にすんでおります魚、鳥、植物といったものを定期的に継続的に調査を進めておるところでございます。このような調査結果を踏まえまして、地域住民あるいは関係市町村、学識経験者から構成されます協議会をつくりまして、河川環境管理基本計画というものを水系ごとに定めておるわけでございます。  こういったことで、人々の利用や自然環境保全、創出といった観点から各種事業を実施しているところでございますが、例えば具体的に一、二申し上げますと、河川は本来豊かな自然と美しい景観を持っておるということで、多自然型川づくりというものを行っておるわけでありますが、これが平成三年度では全国で約六百カ所、平成四年度では千カ所、平成五年度では千六百カ所でございます。平成六年度予算をつけていただきますれば、これをさらにふやしたいと思っておるところでございます。また特に、魚が上がったり下ったりするといいますか、魚がのぼりやすい川づくりの推進モデル事業ということもあわせて、既設の急遽のないせきには急遽をつくるというようなことも行っておるわけでございます。  こういったことを地方の市町村と一体となって進めてまいりたい、今後とも治水の安全度の向上を図るということと同時に、潤いのある河川環境保全、創出する事業を積極的に進めてまいりたい、このように思っておるところでございます。  それからもう一つ、北海道のウトナイ湖の御質問がございましたが、これにつきまして環境面についてどのように配慮しているかという御質問がと思うわけでございます。  千歳川の流域の状況でございますが、現在約四万ヘクタールというような広い面積で、非常に低平地がございまして、そこに十万人近い人が今住んでいらっしゃるわけでありますが、千歳川自体が非常に勾配が緩いということで、洪水時にはこの石狩川本川の水位の影響を受けまして、千歳川水域で高い水位がずっと長い間、長時間、距離も石狩川の合流点から千歳市まで約四十キロあるわけでありますが、こういう長い距離で高い水位が続くということで水害の常襲地帯になっております。  明治三十一年から去年までの間に、九十六年間について調べますと、約二年に一回の割合で被害を受けておるということでありまして、この地域のもう長年の課題であったわけであります。特に昭和五十年、昭和五十六年に大洪水がございまして、これを契機といたしまして、地元の皆さんから何とか抜本的な治水対策をやってほしいという声が強まりまして、抜本的な治水対策としていろいろ考えたわけでありますが、その結果、治水対策の抜本計画として放水路が計画されたところでございます。  ただし、この地方は先生が御指摘されましたように、美々川というきれいな川がございます。それからラムサール条約で登録湿地にされましたウトナイ湖というのがございまして、本地域にこれは残された本当に貴重な自然環境であるという認識のもとに、できるだけ放水路のルートを離すということで、今北海道の知事さんからもそのようなできるだけ離してほしいという要望もございますので、最終的なルートの決定に当たりましては、その辺を十分考えて今検討しておるところでございます。  最終的なルートはこれから、今現在現地調査、環境調査を行っておるわけでありまして、北海道開発局におきまして最終的にはできるだけ早く知事さんに、できるだけ離した、ウトナイ湖から離れだというようなルートで知事さんに回答をいたしまして、その後、改めて閣議決定に基づきます環境影響評価をやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。今後とも、北海道や関係自治体の意見を十分尊重しながら進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  144. 広中和歌子

    広中和歌子君 済みません。もう時間がございませんので、最後にちょっと御要望を申し上げておきます。  こうした公共事業に関しましては、事業計画段階で住民の意見を取り入れるなどアセスメントについては十分な御配慮をいただきたいということが一点と、それから、細川、羽田内閣におきましては生活者の視点に立った公共事業ということで、ぜひ建設省がリーダーシップをとっていただきたいということ。そして、こういうことを言っては失礼かもしれませんけれども、地方の所得向上のためのプロジェクトが環境汚染を招かないようにしていただきたい。そういう言い方はかえって失礼かもしれませんけれども、ぜひそのことを一言申し上げて、私の質問を終わります。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうは、五月十日に施行されました改正道交法、それによるダンプカーの過積載に対する罰則の強化、それが労働者の生活それから公共事業に大変重大な影響を及ぼしておりまして、NHKも昨年来三回にわたって取り上げておりますけれども、その問題について建設省の適切な施策、対策を要望したくて質問させていただきます。  資料をつくりましたので、見てください。    〔資料配付〕   これは、栃木が全国一の砕石の生産県ですが、栃木の全日自労建設一般関東ダンプ協議会の栃木分会が明らかにしてくださったデータで、労働者の生活がどうなっているかについてまとめたものです。  あそこでは、これまでは三十トンを十トン積みのダンプに積んで東京まで百キロを持ってきておったんですね。これが今度定量積載で十トンですから三分の一になったんです。さあその結果どうなったか。時間がありませんので詳しく説明できないので表にしましたが、簡単に言いますと、三カ月たってトン当たり二倍にはなったんです、千円が二千円に。しかし実際には経費もうんとかかる。経費はダンプの場合ガソリン一リッターで二キロしか走れないというんです。大変経費がかかる。結局収入は三分の二になった。それで、経費がかかりますので所得は三分の一になった。かつて一日二万一千七百円が七千三百二十五円。月四十五万五千七百円が月十五万三千八百二十五円。三分の一になっちゃったんです。  しかも、どんな生活になっているか。前の晩にダンプカーに積み込むわけです。午前二時に栃木を出発、東京まで百キロ走ってきて朝の五時に着く。真夜中に走るんですよ。受け付ける七時ごろまで仮眠する。それでおろして栃木に戻るんです。戻って、大宮当たりの近場へ行って、それでうちへ帰るのは五時、六時。それを毎日やっているわけです。十六時間労働ですね。ある砕石業者は今度の道交法改正は無血革命だと言っている。無血どころか、労働者は血を流すようなそういう犠牲を負っているんです。  まず建設大臣にお聞きしますが、組合の中心要求はこうなんですよ。定量積載、八時間労働で生活できる単価を。大臣どうですか。いろいろあるにしても、基本は、法律を守った定量積載で八時間労働で生活できるそういう単価が欲しいと。これは当然の要求じゃないでしょうか。
  146. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 今委員から御指摘いただきましたように、定量積載というのはやはり守っていかなければならないものだと思っております。  今度、過積載による違反という問題、量的制限が行われたその背景は、一つは交通安全対策上の問題、それからもう一点は、道路構造を保全するために九省庁ともよく連携を取り合って決められたものでありますし、その過程においていろんなことの御意見を賜ってまいりました。今この表を見せていただきましたが、この表を見せていただいて、委員がおっしゃるようにそういう生活ができるようにしなければならないと思っております。  私たちはいろいろと公共工事の単価を決めるときに、そういった過積載を制限した以上はすぐにそれが市場に反映できるように、絶えず単価についての調査を行い調整を行ってきているところでございますし、今後もそういった点の頻度は高めていかなければならないと考えております。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうは栃木からダンプ労働者の皆さんが傍聴に来てくださったんですが、訂正が参りました。私の言ったガソリンじゃなくて軽油だそうです。訂正させていただきます。  それで、労働者の生活だけじゃなくて公共事業にも大変な影響が起きてくる。  これはおとといの栃木の下野新聞、県骨材共販協同組合連合会は生コン組合にトン当たり七百円上げてくれという要望をした。ところが上げないと。そこで無期限ストライキをやることにしました、「骨材組合が供給停止」。  きのうの下野新聞、「県央十社、生コン生産停止」。宇都宮中心の生コンの企業が結局骨材が入ってこないので生産停止だという。これはだから県の公共事業に大きな影響だというふうに大きな記事が下野新聞に載っているんですよ。  ですから、私はこの問題、ダンプ労働者の生活が大変だと。大変になるとどうなるかというと、関東ダンプ協議会では昨年一月からことし五月までに約二割がダンプをおりてやめているんです。九百八人ですよ。これは食えなきゃやめますよ。それで、生コン会社に上げろと言うと、生コン会社はもう既に上げているんですよ、自分の負担で。これ以上上げられないと、ゼネコンが拒否するわけですよ。ゼネコンは、施主との間で工事価格が決まっており既契約の値上げは受け入れられないと強い反発でね。そうしてもうこういう状況で無期限ストライキという状況になっている。  これは、栃木だけじゃなくて私は全国的にこの問題というのは、公共事業に責任を持っている建設省として、労働者の生活、それが直結している砕石の問題、骨材の問題、そして公共事業の問題をどうするかということがやっぱり問われている、そう私は思うんです。  そこで、ゼネコンに対する指導、これは大事ですよ。ゼネコン疑獄で大変大騒ぎしたけれども、ゼネコンに対する的確な指導、これも強化していただかなきゃならぬけれども、公共事業がまずどういう範をこの問題で示すかということが問われていると思うんです。  私、いろんな文献を読ませていただきました。過積載、三倍積むというのは一部の不心得の労働者かと僕もちょっと思ったんですよ。例えば、今度の道交法改正がなぜ生まれたかというと、九二年九月にJRの千葉で四倍近く積んでいたダンプがブレーキがきかなくて踏切でぶつかって、一人の死者、六十七人のけが人が出る大事故があったでしょう。あれがきっかけで今度の改正になった。四倍も積んでいるのかと。ところがこれが当たり前だというんですよ。  ここに持っているのはこれは警察庁の「過積載根絶のために」という文献、ここにこう書いてある。九ページです。「過積載は社会経済の構造に起因する構造的違反であると言われています。」、構造的違反だと言うんです。警察庁でさえそう見ているんですからね。  政府がずっとお出しになったさまざまな通達その他で、これは十六年前のものですけれども、内閣総理大臣官房交通安全対策室、七八年十月、「ダンプカーによる交通事故及び違法運行の防止対策について」、題までが違法運行です。これはなかなかすぐれたものです。読んで僕は関心しました。今言った構造的なものだというのがずばりと書いてある。一人一車、これは自動車持ちのダンプカーの労働者です。その報酬は出来高払いだと。過積載または長時間労働、これが前提になっている。これは恒常化して悪循環になっているんですよ。つまり構造化していることがはっきり書いてある。これを見ますと、違法運行、法律に違反した運行が恒常化し、常態化し、前提になっているという。非常にはっきりとこの安全対策室の文献に書いてあるんです。  それで、建設省、どうですか、こういうふうに例外的なものじゃなくて、十トン積みに三十トン積む、栃木からは全部そうなんですから。こういうふうに恒常化し、常態化し、それが安い運賃価格の前提になっているという実態は御存じだったんでしょう。これは担当はどこですか。
  148. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 公共工事の発注に当たりましては工事費の積算をやるわけでございます。先生も十分御存じでございますが、それに当たりましては、会計法令の規定に基づきまして取引の実例を……
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと待って。私はこういう恒常化していたことを知っているのか、それだけ聞いているんだから、時間もありませんから詳しい説明は要らない。知っていたのか知らないのか。
  150. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 過積載というのが行われている中で、やはり公共工事を初め民間工事を含めて過積載で運搬されていた事例が多いというふうには伺っております。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 知っていたんですね。こういうものが十六年前に出ていた。これに対策がはっきり書かれている。「適正な運行を前提として必要となる費用が確保されるための措置が講ぜられなければならない。」、違法運行三十トン、三倍積みで行われるのではなくて、正常な適正な運行、この措置をやらなきゃならぬと書いてあるんです。こう書いてある、「公共工事の発注予定価格の積算における「実勢価格」は、実態として過積載等による輸送のなかで形成された」、「その積算方式のあり方について関係省庁において更に何らかの検討が加えられることとなろうがこと十六年前に「なろうが」と書いてあるんだけれども、十六年間やっていないんですよ。  十六年前に当然おかしい違法運行で行われている過積載、それを前提とした実勢価格、これは積算方式を検討しなきゃならぬと十六年前に言われているんです。全然やっていないんですよ、今でも三十トンだったんだから、今度の道交法改正まで。  そこで、もう十六年おくれているんだけれども、道交法改正で罰則強化で労働者は血の苦しみで、公共工事まで影響を与えられるときに、今度こそしっかりした積算方式を公共工事で建設省がイニシアチブをとってつくり出すそういう責任があるんですよ、責任が。  先ほど大臣が言われたんだが、そういう積算で価格をやるように今一生懸命努力していると言われた。出された通達はどうなっているかといいますと、今まで例えば一カ月に一度実勢価格が出てくると、ここにありますけれども、建設価格という電話帳みたいなものが出るわけです。それに「クラッシャラン40-0」という一番有名なこれが砕石の価格がここに出ます、いついつ幾らと。それを速報値を十日に一遍でなるべくやろうというふうに合しているんです。一カ月に一度だったのが十日に一遍、これはいいことですよ。しかし考えていただきたいのは、それで今どうなっているかといいますと、東京でこのクラッシャランというのは四月二十三日に三千三百円、五月十四日は三千九百円に上がった、六月十一日は四千六百円に上がった。約三カ月かかって千三百円上がったんです。  ちょっと私が先ほどお渡しした試算表を見てください。これは九四年三月までの所得を得るためには、立米当たり六月で四千六百円なんだが、これが六千六百円にならないと労働者の所得はもとと同じにならぬのですよ。あと二千円上がらなきゃならないんです。つまり、立米とトンと比重が一・六なので違うんだけれども、トン当たり千円が今トン当たり二千円になっている、二倍になっている。運賃はトン当たり三倍の三千円にならないとだめなんです。これは立米当たり二千円上がらなきゃだめだ。三カ月で千三百円なんだから、あと二千円上がるのは実勢価格を見ていたらまだ数カ月かかりますよ。その間、労働者はどうやって食えというんですか。  ですから、こういうなるべく速報値を見て早くやるようにしていますというだけでは問題の解決にならないんです。  それで、私が要望したいのは、道交法の改正で四月二十七日に参議院の地方行政委員会でかなりこの過積載問題で審議されて、附帯決議ができている。この参議院の附帯決議は調べてみると衆議院よりなかなかいいんです、核心がずばり入っているんです。持っているけれども、これは衆議院にはないんだ。十一項目に、「過積載行為を防止するために、定量積載を踏まえた実例価格等で発注するなど必要な措置」をとれ、こう書いてあるんです。  つまり、市場価格が上がるのを、それに応じてあの建設価格という厚い電話帳に早く入れていく、そういう追随じゃなくて、建設省として政府として定量積載を踏まえた実例価格等で発注する、これをやれということを参議院の地方行政委員会は四月二十七日の附帯決議で決めているんです。これをすぐやってください、これは政府の責任だと思います。いかがですか。
  152. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 今先生から御指摘ありましたように、物価調査をいたしまして実勢で四千五百円という価格になっているということを踏まえまして、六月からの積算にはそれを使うという形で即座に反応しております。  さらに、これからも実勢価格を踏まえまして、それがさらに推移していくようであればそれに的確に反映してやっていくことにいたしたいと思います。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめだよ。あなた、私が言っていたことを、それじゃだめだからというのをまた言っているんだから。
  154. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 会計法令に基づきまして、私どもは取引価格の実例に基づいてやることになっておりますから、それが……
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめだめ、大臣、これはだめですよ。今の言い方は、今までどおり実勢価格に基づいてやるというんでしょう、発注すると。それではだめだ、間に合わないと、今私が言ったでしょう。  だから大臣、この国会の地方行政委員会は、そういう今までのやり方じゃなくて定量積載、つまり十トン積みですよ、定量積載を踏まえた実例価格などで発注する、そういうことを決めたんだから。それで、大臣のところに組合から出た要望書も要求の中心はこうですよ、骨材の発注単価を直ちに定量積載を前提とした単価にしてくださいと。これは当然の要求だと思うんです。  だから、私はきょう無理なことを言っているんじゃないんです。国会の地方行政委員会の附帯決議に基づいて十トン積みでそれを踏まえた発注を、つまり市場価格、実勢価格に後からくっついてタイムラグができてごそごそやっているんじゃなくて、こういう非常に大変な事態なんだから、公共事業の責任者として、建設省として発注単価をこういうことできちっとやってほしいと。これは、積算に対する責任を持っている審議官などのお仕事じゃなくて、政治の問題ですので、大臣にお答えいただきたい。
  156. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 先生の御指摘ではございますが、会計法令等々との関係もやはりございますので、十分に検討させていただきたいと思います。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 検討すべきことは今の問題なんです。  例えばこの検討問題でも、実勢価格というものを計算するとき、余り高い価格余り低い市場価格というのはサンプリングから落とすというのでしょう、異常なものは。この調査会がデータをつくるときにも、余り高いもの余り低い価格はサンプリングから落とすというのですよ。異常なものは落とすんです。全部異常なんです、ダンプカーの運賃は。違法運行の過積載に基づいてできているんだから、だから全部落とすべきなんです。そういうものに追随するんじゃなくて、本当に今度の道交法に基づいて定量積載できちんと発注単価を出すというモデルを建設省が示さなかったらゼネコンは絶対ついていきませんよ。だれがやりますか。  今こそ、私は労働者の生活を守るために、傍聴者がいっぱいいるから言っているんじゃないんですよ、日本の公共事業が今度の道交法問題で、骨材問題で、砕石問題で大変な混乱に陥ろうとしているときに、建設省としては十六年前にこういう懇談会の提案が出ているのだから積算方式を抜本的に本気で検討せよ、こういうことを言っているんです。大臣、即答ができないけれども検討するとおっしゃいましたね、ぜひ検討していただきたい。  定量積載に基づく単価を決めることと、もう一つは、これはあなた方の新しい去年の三月にできたこれにも書いてあるのだけれども、例えば東京に来る砕石は栃木から来るもの、それから西多摩の青梅の方から来るもの、価格は同じなんですよ、運賃はうんと違うのに。一つの商品で、今価格はこれ品代といって原価は千四百円ですか、それで運賃が千六百幾らで、運賃の方が半分以上もかかっているなんという商品は珍しいですよ。それが東京の現場渡しの価格は、青梅から運んでも栃木から運んでも同じなんだから、なかなかこの問題難しいんですよ。  これにはどう書いてあるかというと、こういうところがある。三十ページ、「まず大規模に骨材を使用する工事については、骨材の品質を十分吟味することにより山指定による積算を積極的に行う」ことと。小規模なところでもゆがめられないようにと書いてあって、だからどこで砕石をとるかという、場所によって価格を考えるという難しい問題もここにやっぱりあるわけですよ。  だから、そういう砕石、公共工事にとって、生コンつくる上で本当に大事な砕石の価格を合理的に積算して決定するという上でさまざまな問題点が出ているわけです。しかも、これから研究しなくても、さまざまなこういう政府の九省庁の懇談会の文書に出ているんですから、本格的な検討を始めて、時間は余りありません、次々に問題が生まれ、動揺が広がり混乱が広がり、労働者もダンプからおりる人が出ているわけだから、至急検討を建設大臣に求めたいと思います。もう一度。
  158. 森本晃司

    国務大臣森本晃司君) 委員からの御指摘の点について、十分検討させていただきたいと思います。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しっかりやってください。  終わります。
  160. 西野康雄

    ○西野康雄君 広中和歌子環境長官からもいろいろ河川のお話がございました。最近、河川局も随分と自然の方の保護という面には力を入れ始めているなということは実感をするわけですが、五月十九日から三日間の調査において、長良川河口ぜき上流の底層部が酸欠状態になった、こういう報道がございました。報道ではよくわからない部分もございます。どういうふうな経過でそのような状況になったのか、ちょっとお知らせください。
  161. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 五月十九日から三日間の状況について、経過について御説明申し上げます。  そもそもこの調査につきましては、前大臣の指示に基づきまして、平成六年度一年間かけまして防災、環境、塩分ということにつきまして学識経験者から成ります調査委員会を設置いたしまして、その指導助言を得ながらやっており、科学的かつ客観的に調査を進めておったわけでありますが、十九日から二十一日までの三日間にすべてのゲートを操作いたしまして浸水、浸透水等の対策、それから急遽がうまく機能するかどうか、水質がどう変化するかというような調査を行って、一定の成果が得られたところでございますが、その中でせき上流の底層部の溶存酸素の低下が観測されました。  そのことは新聞でも発表されましたが、ここには自動水質監視装置というものがありまして、そこヘデータが刻々上がってきておるわけでありますが、せき上流の伊勢大橋というところ、これは河口から六・四キロでございますが、そこと、それから長良川大橋、十三・六キロでありますが、ここの底層の溶存酸素が低くなったということでございます。それから、二十二・六キロに東海大橋というところがございますが、そこでは表層と底層の溶存酸素に大きな変化は見られなかったということでございます。具体的な数字で申し上げますと、伊勢大橋で、ゲートを閉める直前でございますが、一リットル当たり六・七ミリグラムが二・〇に減った。それから、十三・六キロの地点の長良川大橋では七・九ミリグラムのものが四・九ミリグラムになったということでございます。  これらのデータにつきましては、整理をいたしまして、六月十三日に開催されました長良川河口堰調査委員会並びにその委員会の水質・底質ワーキンググループ会議報告をいたしまして御検討をいただいていたわけでございます。
  162. 西野康雄

    ○西野康雄君 私、以前にヤマトシジミの大量へい死があったときに酸欠を指摘いたしました。あのときはたしか無酸素水が上がってくる、初めは建設省はいやそうじゃないんだみたいなお話をなさっていたんですが、結局無酸素水になった。そういうものが上がってくるおそれがあったにもかかわらずゲートを閉めていくというふうなことをなぜしたんだろうか、そういうふうな疑問があるんですがね。
  163. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 確かに昨年の国会で、平成四年秋、木曽三川河口域一帯におきましてヤマトシジミがへい死したと先生から御質問がありました。  これにつきまして、早速三重県が中心になりまして調査をいたしました結果、こういうことになっております。  平成四年九月から十一月にかけて降水量が少なくしたがって河川流量も減少して、伊勢湾奥部に停滞している高塩分、貧酸素の底層水が潮汐流、風波流等によって上流部まで遡上しシジミ漁場が高塩分化、貧酸素化し、シジミの断続的な衰弱、へい死が続き、結果的に大量へい死が発生したものであるという見解を発表いたしまして、先生の御推察のとおりでございました。  今回の溶存酸素が少なくなったということがどういうことかということで調べておるわけでございますが、伊勢湾の無酸素水が河川に流入したということではないんではないか、現象としてはこの前の現象とは違うのではないかというふうに考えております。  そうは言うものの、今後の試験湛水に当たりましては、先生御指摘の点も踏まえまして、委員会の御指導を得ながら適切に処してまいりたいと思っております。
  164. 西野康雄

    ○西野康雄君 それで、今のはまだ原因は調査中だとは思うんですが、伊勢大橋で六・七ミリグラムのものが二・〇ミリグラムになったというふうなことは、つまりそれは川底の微生物なりあるいはヘドロがそれを消費した、そういうふうなことになるのかなと思うんですが、その辺はどうですか。
  165. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 先ほども申し上げましたが、この三日間のデータにつきまして六月十三日に長良川河口堰調査委員会というところに提出をいたしまして、そこの中の水質・底質ワーキンググループ会議で検討をしていただきました。その結果によりますと、その原因は次のとおりであるというふうにしておられます。  まず、今回の試験湛水では満潮時にゲートを閉めたということで、せきの上流部にも淡水より比重の重い塩水が残留し、それが底層に層をなして残存した結果、表層部との淡水の混合が起こらない、起こりにくくなって底層部の溶存酸素が低下したということでございます。  この溶存酸素が低下したのは、底泥のヘドロが酸素を消費したかどうか、もう少し詳しく調べないといけないわけでございまして、これも調査委員会の御指導を得ながら詳しい調査をさらに進めたいと思っておるわけでございます。
  166. 西野康雄

    ○西野康雄君 底泥、ヘドロが酸素を消費したか、まだそこら辺の調査がもう少し進むと思うんですが、河口ぜき周辺のあそこら辺は大分ヘドロがたまったり、随分と川底の土質とでも申しましょうか悪くなっているなということが実感できるわけです。あのあたりの漁師さんに聞きましても、随分とヘドロがたまってきておる、昔はあそこは洪水があったらフラッシュされるんですよ、そんなたまったりしませんよというようなことを言っておられた人もおったんですけれども、しかし実際見て聞いてみるというと、ヘドロが酸素を食うようになってきている。先日もシジミ漁師さんが建設省にお土産としてヘドロを持ってきた、こう思うんですね。  そうすると、大概これ今非常に劣悪な状況になっているんじゃないか。そういう中でゲートを閉めてやっていくということは、生物だけではなくて水質全体、そしてまたそこから水をとるわけですけれども、そういう水質全体にも影響を与えるんではないか、そういうふうな懸念というんですか、そんな思いを持っておりますし、このごろシジミ漁をしておっても口をあけたシジミがどんどんふえてきておる。これは別段何にもない、河口ぜきのゲートを閉めたからとか閉めていないとか、そんな状況でない普通の状況の中でそんなことが起こり始めてきているということです。ヘドロが酸素を消費したりとかそういうふうなことが実際わかってくると、今後どのように対応なさるんですか。
  167. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 今先生御指摘のように、ひょっとしたらヘドロが酸素を消費しているのではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、どのようなメカニズムで溶存酸素が少なくなったかということにつきまして、現在鋭意河口ぜき調査委員会の御指導を受けながら、とにかく基礎データの収集を今一生懸命やっているところでございます。  対策の一つといたしましては、塩水をできるだけ入れないような工夫をしなければならないわけでありまして、せき上流の塩水塊が生じないようにゲートの操作開始時期というものもよく考えなければならないというふうに言われております。  それから、アンダーフローと申しまして、下の方から流すようなこともよく研究しなさいということで、具体的なゲートの操作方法の検討を行うというふうに指導を受けておるところでございます。  それから次に、仮にゲートを操作いたしまして溶存酸素がもし低下したらどうするんだということでございますが、先ほど申し上げましたアンダーフロー操作を行うほか、場合によってはこれはエアレーションというものも考えてまいりたいと思っております。実は、このエアレーションにつきましては、昨年の国会で先生からも御指摘をいただきました。思わぬ部分的あるいは一時的な水質汚濁に備えまして、実は酸素を供給するための船を現在用意しているところでございます。今度、夏場で調査もやらせていただきたいと思っておりますが、こういった船の試験的な運用も行いましてこの効果も確認をしたいというふうに思っているところでございます。
  168. 西野康雄

    ○西野康雄君 エアレーションの船まで用意するということで、これはちょっとやっぱり大分土質というのか、ヘドロというのか、たまっておるなというふうな感じがするわけですが、いつごろまでその調査というんですか、大体めどというのは立っているんですか。
  169. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) この前三日間調査をさせていただいたわけでありますが、一応夏ごろ、まだ地元の方々に相談をさせていただいておる最中でございますのでいつからいつまでというのは決まっておりませんが、一応夏ごろをめどに一定の期間、できるだけ長い期間をさせていただきたいと思っております。それまでには、底泥の状況だとか酸素の状況とか基礎データを集めながら夏場に向けて検討を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  170. 西野康雄

    ○西野康雄君 底泥の状況なんかもシジミの漁師さんからいろいろと聞いてはおるわけですけれども、現にそれで生活をなさっておられますので、できるだけそういう方々にも被害のないようにお願いをしたいと思います。  きのう、おとといでしたか、新聞の囲み記事で川辺川ダムの反対運動がまた再燃をしてきたという話があって、その中で住民もひそやかに気がついているのは、ダム建設が洪水の防止には役に立ってきていないんではないかというふうなことが書かれておりました。吉野川の木頭村の村長さんもそういうふうなことをおっしゃっていました。実際、ダムだとか河口ぜきだとか、そういうふうなものが本当の治水に今役に立っているんだろうか、ずっと過去の経緯なんかを見てみるというと、ダム工事が進めば進むほどえらい洪水がふえてきておるなと、そんな思いもいたしております。  芦田川なんかの河口ぜきを見ていると、芦田川の河口ぜきができてしゅんせつして、もう塩が上がらへんのやから、もう少し上流のところにせきがあるけれども、あれも依然としてほったらかしのままで置いたままやというふうなことで、本当に今河川局が、河口ぜきだとかそういうふうな部門で治水ということで、今の河川工学だとかそういうふうなものと自然というものの驚異というんですか、その辺の追っつきのバランスというんですか、そんなものが随分と欠けてもきておるし、芦田川のそういうふうなせきを見ておりましても、もう本当は住民のための、洪水のことを思うならば早速その上の方のせきは取ってやらなあかんのにまだ残ってある。これは本当に皆さん方が、しゅんせつして、これだけの川の河積をふやさぬことには流下能力がないんだというふうなことの意味合いが、理由としていろんなところで成り立っていないなというような、これは実感としてあるわけですけれども、きょうはその問題のらち外でございますが、答えられますか。
  171. 豊田高司

    政府委員(豊田高司君) 芦田川河口ぜきについて事実関係だけちょっと御説明させていただきたいと思いますが、あそこには、先生おっしゃいますように、せきの大分上流、湛水区域内でありますが、そこに既設のせきがございます。これを一日も早く取りたいわけでありますが、そこにはたしか草戸千軒という古い集落跡がありまして、近くに有名なお稲荷さんがございまして、そこのかつてはやったときの門前市と申しますか、何かそのようなものがあったということで今一生懸命そこの遺跡調査をしておるところであります。これが大体ことしぐらいにはもう終わるんではないかと思いますので、それが終わりましたらもう一生懸命しゅんせつし、せきを取りたいと思っております。
  172. 西野康雄

    ○西野康雄君 できるだけ住民の不安だとか取り除くことも大事でございますし、自然保護も大事でございます。住民の意見を取り入れながら、そして尊重しながら河川行政を進めてください。  これで終わらせていただきます。
  173. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並び住宅金融公庫北海道東北開発公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散