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1994-06-21 第129回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十一日(火曜日)    午後三時三十八分開会     —————————————    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      釘宮  磐君     北澤 俊美君  六月二十一日    辞任          補欠選任     北  修二君      狩野  安君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 肥田美代子君                 池田  治君     委 員                 板垣  正君                 大浜 方栄君                 狩野  安君                 大渕 絹子君                 北村 哲男君                 庄司  中君                 中尾 則幸君                 渕上 貞雄君                 井上  計君                 北澤 俊美君                 武田邦太郎君                 風間  昶君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  石田幸四郎君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       佐藤 守良君    政府委員        沖縄開発庁総務        局長       渡辺  明君        沖縄開発庁振興        局長       瀧川 哲男君    事務局側        第一特別調査室        長        下田 和夫君    説明員        防衛施設庁施設        部連絡調整官   坂本 憲一君        外務大臣官房審        議官       津守  滋君        厚生省年金局年        金課長      中村 秀一君        水産庁振興部沿        岸課長      本田  進君        運輸省航空局監        理部航空事業課        長        洞   駿君        自治省財政局財        政課長      香山 充弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成六年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成六年度特別会計予算内閣提出、衆議  院送付一、平成六年度政府関係機関予算内閣提  出、衆議院送付)について  (総理府所管総務庁北方対策本部)、沖縄開発  庁)及び沖縄振興開発金融公庫)     —————————————
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、釘宮磐君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。     —————————————
  3. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) この際、御報告いたします。  去る六月十七日、予算委員会より、六月二十一日午後三時から、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、石田総務庁長官から説明を求めます。石田総務庁長官
  4. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 平成六年度の総務庁北方対策本部関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成六年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、総務庁北方対策本部関係予算額は九億六千二百七十二万円であり、これは前年度の当初予算額九億一千九百八十万円に対して四千二百九十二万円の増額になっております。  その主な内容について御説明申し上げます。  まず、北方対策本部に必要な経費として職員の人件費等一億一千八十四万八千円を計上しております。  また、北方領土問題対策に必要な経費として八億五千百八十七万二千円を計上しておりますが、そのうち主なものは北方領土問題対策協会補助金八億二千六十八万一千円であります。  北方領土問題対策協会補助金は、同協会北方領土問題について啓発等を行うために必要なものであります。具体的には、前年度に引き続き、北方領土を目で見る運動青少年向けブロック単位での啓発事業北方四島との交流事業等を行うこととしております。  また、全国ブロックにおいて、中学校社会科担当教育指導者等を対象に、新たに北方領土問題教育指導者地域啓発事業を実施するための経費を計上したところでございます。  このほか、返還要求運動中核的役割を果たしている各都道府県推進委員啓発活動北方地域居住者に対する援護措置等に必要な経費を計上しております。  また、北方地域漁業権者等に対する貸付業務関係についても引き続きその充実を図るための経費を計上しております。  以上をもちまして、平成六年度の総務庁北方対策本部関係予算説明とさせていただきます。  よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  5. 木宮和彦

  6. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 平成六年度沖縄開発庁予算について、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁予算額は二千九百八十一億六千八百万円で、前年度当初予算額に対し一〇三・八%となっております。なお、このほかNTT無利子貸付金の償還時補助分五百四十一億八千三百万円が計上されております。  まず、沖縄振興開発事業費について申し上げます。  平成六年度は、第三次沖縄振興開発計画の三年度目に当たる予算であり、新しい時代に向け、生活産業基盤としての社会資本整備について、継続事業の着実な推進を図りつつ、新たなプロジェクトの芽出しに努めるなど、沖縄振興開発諸施策の積極的な展開を図るため、沖縄振興開発事業費の総額の確保に努めた結果、前年度当初予算額に対し一〇四・二%の二千七百七十億四千九百万円となっております。  沖縄振興開発事業費内訳は、治山・治水対策事業費道路整備事業費港湾・漁港・空港整備事業費下水道環境衛生等事業費農業農村整備事業費等を主な内容とする公共事業関係費二千五百八十九億一千七百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費百四十五億七千百万円、保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費六億六千四百万円及びイモゾウムシ等根絶等のための植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費二十八億九千八百万円であります。  この沖縄振興開発事業費につきましては、特に、(1)上下水道、公園等生活環境施設整備、(2)水資源開発、(3)道路港湾空港等交通体系整備、(4)農林水産業振興基礎条件整備、(5)教育振興保健衛生対策推進等に配慮をいたした次第であります。  次に、沖縄振興開発事業費以外の一般行政経費等につきましては、前年度当初予算額に対し九九・七%の二百十一億一千八百万円となっております。  一般行政経費等の主な内訳は、沖縄振興開発金融公庫に対する補給金等百二十二億八千九百万円のほか、不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費沖縄コミュニティ・アイランド事業費及び沖縄振興開発計画推進調査費等であります。  なお、沖縄振興開発金融公庫平成六年度における貸付計画は、前年度当初計画額に対し一〇七・一%の二千百十一億円を予定しております。  以上をもちまして、平成六年度沖縄開発庁予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。  ありがとうございました。     —————————————
  7. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 委員異動について御報告いたします。  本日、北修二君が委員辞任され、その補欠として狩野安君が委員に選任されました。     —————————————
  8. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 板垣正

    板垣正君 沖縄の問題、また北方領土の問題、具体的な点で若干お伺いいたしたいと思いますが、沖縄関係開発庁長官にまずお伺いしたいのは沖縄開発庁の存続の問題でございます。  これはいろんな経緯があり、また非常に注目されている問題でございますが、伝えられるところによりますと、政権与党税制改革協議会、ここでいろんな角度から検討中でございましたが、報道によりますと、この報告書として、中央省庁の再編問題の中でも沖縄開発庁、国土庁、北海道開発庁、いわゆる三庁統合を優先的にやるんだと、こういうことが報ぜられておりまするけれども、この統合の問題について長官のまず御見解を承ります。
  10. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 板垣先生にお答えいたします。  今先生がおっしゃったことでございますが、私も連立与党税制協議会でそのような方針が出て、しかもこれは中長期的な検討をするというふうに理解しているわけでございます。  実は、沖縄開発庁の統廃合問題につきましては、私も長官になる前は賛成の一人でございました。と申しますのは、五十七年の臨調答申以来、何か行財政改革目玉商品は三庁統合ということでありまして、私も勉強しなくて、ああそうかなと、こんな思いをしておったわけですが、私、長官になりまして、私の認識不足であり、私は本当に考えを改めたわけでございます。  基本的には、いわゆる五十七年のときの行財政改革方針と現在変わっておりまして、もうこれは地方分権モデル的ケース沖縄開発庁であると僕は思っております。  それとともに、今度私は沖縄の勉強をしまして、しかも私も実は昭和四十七年に沖特委員をやっていまして、本土復帰のときの委員をやったわけですが、そのときを思い出しまして、ああ大変だったなと、沖縄地区特殊事情、これはもう先生御存じのとおりでございますが、いわゆる戦場だったということ、また約二十万に近い人が亡くなっております。その後、米軍占領が二十七年ばかり、占領下ということでありますが、その間の歴史を見て驚きましたのは、本土が一ドル三百六十円のときに沖縄は一ドル百二十円という為替レートで賃金が抑えられていた。そういう苦労を重ねながら本土復帰をしました。  本土復帰をしまして、実はそのときの約束本土並み復帰だったわけです、今よく覚えていますが。その後、約二十年たちまして、調べてみますと、当時は日本本土の平均の約六〇%が沖縄県民の所得だったわけですが、その後二十年たちまして今七二%です。しかも、これは特殊事情がございまして、基地の問題があります。全国を一〇〇とした場合、沖縄に七五%基地がございまして、特に沖縄全土の約一一%、本島の二〇%が基地にとられています。面積で七千四百万坪です。いいところは全部とられています。これじゃ沖縄は自立できません。もちろん政府としてもその点を考え努力しております。おりますけれども、やっぱり両手両足縛られた経済活動をやっておるのが沖縄の実情です。  しかし、これも日米安保その他の関係によりましてなかなか基地返還は難しい。そんなこともございまして、やはり私は、約束どおり沖縄本土並みに復帰するまで沖縄開発庁を残して努力すべきじゃないか、それが日本国民として沖縄県民に対する信義じゃないだろうかと思います。こんな思いでどんなことをしても残したい、このように思って決意をしておるわけでございます。  どうぞ御理解と御後援をお願いする次第であります。
  11. 板垣正

    板垣正君 大変率直な、また大変力強い御見解をいただいたと思います。私も同感でございます。  この問題はいろいろの流れがございます。五十七年の臨調、その後の行革審、これが行革一つの目玉的な扱いをされてきた。こういう中でいわゆるマスコミ論調というようなものも、いろいろなアンケート等を通じて、これは昨年の日経ですが十一月には官僚二百人アンケートというのをやった、その中で不要官庁第一番が北海道開発庁で三番目が沖縄開発庁であった、あるいは、民間企業課長以上のアンケート、これは一番が沖縄開発庁不要、二番目が北海道開発庁であった、朝日新聞も中央官庁課長について意識調査を行ってこれでも同じような結果が出ておると報道されておる、全衆議院議員アンケートもとったと言っていますね、この際も北海道開発庁沖縄開発庁は不要である、整理する、こういう方向でございますが、現地沖縄におきましては、最近の報道によりましても五十六市町村を挙げて何としても残してもらいたい、あるいは知事さん初め一生懸命中央にも要請をしておられる。  そうなってまいりますと、どうも一つ流れといいますかムードといいますか、もちろん行革は迫られておる。そういう中で何か具体的にやらなければならないことは事実でありますけれども、特に沖縄開発庁沖縄の問題で取り上げられるということは、今、長官おっしゃったように、あの沖縄の経てきたまことに厳しい歩みなり、また現在歩みつつある姿、日本国家信義としてこれはやはり何としても残すべきだ、残し、それが沖縄発展また将来の日本アジアとの関係におきましても大きな拠点になっていくんじゃないか、そういうことを私は感ずるわけでございます。  そこで、重ねてお伺いしますが、地方分権のモデルケースだ、こういうふうに長官おっしゃいますが、それを具体的に言うとどういうことでございますか。
  12. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) かつては、五十七年ごろの臨調のときには中央集権制度のもとでございましたけれども、今は各地域可能性を最大限どう引き出すかと、地方分権システムというものの確立が一番急務になってきております。地方時代、そういうことを言っておるわけです。そんなことでございまして、今の時代が一番先行している時代じゃないか、こう思っているわけでございます。  そんなことでございまして、しかももう一つは、今一番縦割り行政が言われております。中央においても各省庁省庁よりまた各局ごと縦割り行政で皆やっているのは御存じのとおりでございますが、このうち沖縄におきましては三省——運輸、建設、農林その他含めて実に仲よくやっていると。縦割り行政を越えた行政をやっておると。  したがって、この二つの点から、やはり私は、地方分権システム、一番参考になるサンプルといいますか非常にいい例じゃないか、むしろ各省庁はこれを模範にしてやるべきじゃないか、こんな考えをしているわけでございます。
  13. 板垣正

    板垣正君 この存続問題は、しかしなかなか厳しいと思います。したがって、長官沖縄に行かれましても私が長官の間は安心しなさいと言い切っていただいておるようでございますから、なるべく長く長官をお務めいただいて、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
  14. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 大変御理解ありがとうございます。  実は、そんなことでございまして、沖縄開発庁というのはよくやっております。これは伊江長官のときでしたけれども、権限はないんです、見ておって。例えば厚生問題は厚生省に頼むんです。基地問題は外務省と防衛施設庁に頼むんです。何もないからと言われるんですが、だから逆に、行政改革一つとってみても本当に沖縄を残すのなら権限を拡大しまして沖縄の問題は全部開発庁でできる、こんな形をつくってもらうのが一つ行政改革じゃないかと私は思います。そのことが逆に先ほど言った沖縄県民に対する信義じゃないか、こう私は思っております。  私が政治をやっている限りは沖縄を守ります。御協力よろしくお願いいたす次第でございます。
  15. 板垣正

    板垣正君 ただいまの御意見も非常に貴重な御意見だと思います。  次は、やはり大きな問題は基地の問題です。  いわゆる基地に関する三事案那覇港の返還の問題、移設の問題、読谷飛行場返還の問題、百四号越えの実弾射撃の問題、私も詳しくは存じませんけれども、この三つの問題が大きな、いろいろございますけれども、三事案として何としてもこれを具体的に解決を進めたいという御努力が行われているようでございますが、この三事案の現在の進捗状況をまず具体的に伺いたいと思います。
  16. 坂本憲一

    説明員坂本憲一君) 御説明申し上げます。  沖縄県に所在いたします施設、区域の整理統合につきましては、その一層の促進を図るため、日米間で鋭意検討を行った結果、第十五回、十六回日米安全保障協議委員会了承事案のうち残余のもの及び前沖縄県知事が訪米し返還を要請したもの等二十三事案、約千ヘクタールについて、平成二年六月、返還に向けて作業を進めることが合意されたところであります。この二十三事案のうち十二事案、約五百七十一ヘクタールにつきましては、返還済みまたは返還につき合意済みであり、残りの事案につきましても地元理解協力を得てできるだけ早く返還できるよう今後とも努力してまいる所存であります。  二十三事案以外で合意に至らなかった事案につきましても引き続き検討してまいる所存でありますが、そのうち那覇サービスセンターにつきましては合意を見たところであります。  また、これらとは別に地元から返還要望のある個々の事案につきましては、地元事情等を踏まえ、積極的に整理統合返還に向けて米側と調整しているところであります。  読谷補助飛行場返還問題、那覇港湾施設移設問題及び県道百四号線越え実弾射撃訓練問題のいわゆる三事案について申し上げれば、読谷補助飛行場の問題につきましては、パラシュート降下訓練代替地問題や、同飛行場楚辺通信所電磁波緩衝地帯として機能しているという問題等もあり、これらの諸問題が解決されて初めてその返還可能性は出てくるものと考えております。そのため、平成六年六月十六日の日米合同委員会におきまして、施設特別委員会の下に、パラシュート降下訓練代替地問題や楚辺通信所移設可能性を含め、同飛行場に関連する諸問題について技術的に検討を行う読谷補助飛行場特別作業班を設置することが了承されたところであります。防衛施設庁といたしましては、今後この作業班中心に精力的に検討を進めてまいりたいと考えております。  那覇港湾施設移設問題につきましては、地元から全部返還の強い要望があり、昭和四十九年の第十五回日米安全保障協議委員会移設条件つきで全部返還が了承されております。これらを踏まえ、これまで移設先の選定に努力してきたところでありますが、現時点ではその見込みが立っておりません。同施設は、沖縄県に所在する米軍のための補給物資の積みおろし等のため不可欠な施設でありますが、一方、地元においても強く返還要望している施設であり、種々困難な面がありますが、今後とも引き続き検討を進めてまいる所存であります。  県道百四号線越え実弾射撃訓練問題につきましては、防衛施設庁といたしましては、米軍が日常の訓練を通じて練度維持向上を図り即応態勢を整えておくことが安全保障条約目的達成のために不可欠なものと理解しております。しかしながら、訓練に際しては住民生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするよう配慮することは当然であり、かかる観点から、訓練に際し住民の安全の確保に十分配慮するよう、また住民生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするよう、機会あるごとに米側に注意を喚起しているところであります。  これら三事案につきましては、長年の懸案であり、また地元から特に熱望されていることから、少しでも解決方向性が見出せないものかとの観点から今後ともできる限りの努力をしてまいる所存であります。
  17. 板垣正

    板垣正君 今御報告のとおり、特に読谷飛行場について、六月十六日、日米合同委員会特別作業班を設置する、そして具体的に読谷パラシュート降下訓練地代替地あるいは楚辺通信所移設可能性検討すると。これは今までの長い経緯から見ると一つの大きな前進ではなかったか。期待された方の大変な長年の念願の第一歩と言ってもいいんじゃないかと思います。  それで、どうでしょうか、こうしたものをせっかく特別作業班もできてやるとなっても、またこれで何年も何年もということでは非常に期待に反するわけですから、大体の見通しでどのくらいの期限というものを見ておられるのか。あるいはパラシュート降下の場所の代替地というようなものも、今公表できなくてもある程度予定地というものは固まりつつあるのか。あるいは楚辺通信所というのはいわゆる象のおりというやつで、これは簡単に移転できるかどうかという問題はあると思います。電波障害問題等を配慮すればいろんな具体的な案というものはあり得ると思いますけれども、その辺の見通しをもう少し承りたい。
  18. 坂本憲一

    説明員坂本憲一君) 御説明申し上げます。  これから作業部会におきまして、今まで蓄積いたしました調査等を含めまして検討してまいる段階でございまして、期間等については定かに定めておりません。ただ、長くかかるとやはり問題になりますので、できるだけ早くということで考えております。  それから、予定地につきましては、過去に、別に今回廃止いたしました作業班がございましてそれを通じまして数カ所調査をしてございますが、いろいろ地元等の問題あるいは飛行場からの距離問題等がございまして、なかなか特定できる状況ではございません。今後それにつきましては、また作業班の中で検討していきたいというふうに考えております。  楚辺通信所の問題につきましては、今回新たな問題として考えられる問題もございますので、これも作業班の中で十分検討していきたいというふうに考えております。
  19. 板垣正

    板垣正君 那覇軍港移転先というものもある程度固まりつつあるという情報もありますが、その点はどうですか。
  20. 坂本憲一

    説明員坂本憲一君) 御説明いたします。  那覇港湾の問題につきましては、昭和四十九年に移設条件つき返還合意されておりまして、ほぼ二十年強の時間をかけて調整しておりますが、たくさん候補地はございますがなかなか一本に絞られておらないということでございます。これもやはり受け入れ先地元情勢あるいは距離問題等なかなか一長一短がございまして、絞り切れてはおりません。
  21. 板垣正

    板垣正君 そこで長官にも伺いますが、沖縄県といえば日本全国の一%にも満たない。そこに日本全国にある米軍基地が七五%集中している。これだけでももうあらゆる影響なり、発展のある意味の阻害、これは十分あり得るわけでございます。だからこそこの整理縮小、こういうこともいろいろ御努力いただいている。しかし、日本の平和と安全、また日米安保体制、こういう関係における沖縄の位置づけというものはやはり大変大事なものがある。  いろいろ沖縄県でも、自民党も何か今までの方針全面撤回だというくらいの勢いで新しい事態に対応していく、もう冷戦は終わったんだと。また、沖縄県民の気持ちからすれば、もう長い間日本国のために大変な犠牲をこうむってきた、国のためにこれ以上犠牲になるよりは、これからは沖縄県の県の利益を中心考えさせてもらいたい。もう基地の問題を何とかしてもらいたい。こういうことで、返還なりまたその措置をめぐっての軍転特措法等検討される。こういうことも承っております。  しかし、米ソ冷戦が終わったといえども、これでもう手放しで喜べるような国際情勢ではないことは申すまでもないし、特にアジア情勢、現に北朝鮮をめぐるこうした動きなり、あるいはアジア地域というものは西側ヨーロッパと違いまして、地域的な安全保障体制もいろいろな枠組みというのはまだ十分できておらない。いろんな不透明な不安定な要素、いわゆる地域紛争、そうしたものにつながるものはいろいろあるわけでございますから、これは、今後の日本の平和安全、つまりアジアの平和安全、世界の平和、こういう立場における日米安保体制、またその機能が十分発揮をされるあの存在というものが、一つの安定として抑止としての機能というものは非常に重大なものがあると思うのです。  そういう点では、やはり沖縄県民の方々は大変生活にいろいろな制約ということではございますけれども、基地の問題というものはやはり慎重に配慮していく必要があるんじゃないか。そう思いますが、いかがですか。
  22. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先生のおっしゃるとおりでございまして、私も全く同意見でございます。  それからまた、日米安保の基軸としての沖縄基地の重要性、フィリピンから撤退し、グアムも撤退し、米軍はどう考えているかと。それらに北朝鮮の問題を含めてますます基地の重要性が増すんじゃないだろうかと、こんな感じもいたします。  私は入ってみて実は基地整理縮小という言葉にびっくりしたんです。これは大変日米安保に敬意を表しての言葉だと思いますが、返還という言葉はないんですね、縮小整理。今防衛施設庁から答弁しましたが、七千四百万坪の土地があるんですね。沖縄全土の一一%、全体で七千四百万坪、二百四十五キロ平米あるんですが、私はなかなかそう簡単には返ってこない、時間がかかると思うんです。そんなことで、これに努力しながら別のことを考える必要があるんじゃないか。こんな思いをしているわけでございます。よろしくお願いします。
  23. 板垣正

    板垣正君 それから、沖縄の将来、現在第三次振計の三年目に入り、この間の長官の所信表明もございました。いろいろ精力的に三次振計を推進され、所期の目的こ近づきつつあると、これはぜひとも今後精力的に進めていただく。  同時に、もう一つ沖縄県の将来の大きな夢、そうしたものがあってもいいんじゃないか。その点、長官はその夢を語っておられると思うんですね。つまり、二十四時間使える四千メートルの滑走路を二本持った国際空港、これはまさに今は夢でございますけれども、近々の時代において、そうした飛行場の果たす役割なり、また沖縄の将来の夢というものもすばらしいんじゃないかという感じを私自身持ちますが、もう少し夢を語ってみていただけませんか。
  24. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実はそういうことで、沖縄の特色ある地域としての自然的条件とか豊かな海洋資源の存在とか、熱帯、亜熱帯とかいろいろあるわけで、やはり私はこれは部分的だと思うんです。今観光でも三百二十万を五百万にしようといってなかなか大変でございます。  そんなことで今私が考えておりますのは、二十一世紀の航空業界を考えた場合二つの方向がございます。  一つは、今ジャンボなどは四百人から五百人乗りでございますが、二十一世紀には大型旅客機が六百人から八百人になっています。  それから、もう一つは、皆さんも恐らくアメリカやヨーロッパへ最近おいでになって、コンコルドの後継機です。コンコルドは御存じのとおり航続距離六千キロでマッ八二ぐらい、それで実は百四十人乗りなんですが、後継機は三百人乗りで航続距離一万キロ、マッハ三から五が研究されています。仮にこれができると、東京−ワシントンは三ないし五時間です。東京−ヨーロッパは三時間か四時間で飛ぶ。  その場合に一番大切なのは滑走路なんです。大体最低五千メートルです。ある人は六千と言います。その空港はどこにあるかといいますと、成田空港は七百ヘクタールです、関西空港は五百十ヘクタールです、そういう空港はないんです。今のところ韓国千二百ヘクタール、シンガポール千七百ヘクタールです。そうしますと、それができるのは沖縄しかない。沖縄は五千、六千の空港が実はできるんです。  そんなことで、日本の南の玄関を沖縄にしたらどうだろうか、人と貨物のハブ空港、そういうことで初めて沖縄発展があるのではないかというのが私の発想の一つです。  これは、夢といいましてもすぐに十年、二十年参りますから、航空業界というのは早いんです。その場合、日本を見たらどこに飛行機を着けるか。成田はだめです、関西空港もだめです。しかも施設費が高くて空港利用料が物すごく高いんです。今、空港利用料の問題が出ていますが、関西空港が百万円ちょっとで韓国は二十万円というのは設備費が高いからなんです。そうしますと、沖縄は金がかからないんです。  そんなこともございまして、ぜひそういう国際空港を南の玄関にする、そういう形の中に一つ可能性基地にしたい、そういうことの中に沖縄発展を図りたい。こんなことで夢を語っておるわけでございます。どうぞよろしくひとつお願いする次第でございます。
  25. 板垣正

    板垣正君 どうもありがとうございました。  それでは次に、北方領土の問題。  まずお伺いしたいのは、どうも最近安心して漁業ができないという。安全操業、昔はそういう言葉がございましたが、ロシア側が近年大変姿勢が強硬といいますか不法漁業は見逃さない。武力を行使してでもこれは阻止するとか逮捕するとか、現に拿捕されたり射撃を加えられて負傷というか重傷ですね。大腿部を撃ち抜かれて、あの方は今どうなりましたか、色丹にあれされていると言っていましたが。拿捕された、あるいは向こうに捕まっている人というのは今どのくらいおるんですか。
  26. 津守滋

    説明員(津守滋君) 現在不法に抑留されております日本の漁船員の方の総数は六名、色丹島四名、樺太が二名でございます。  それから、御質問の第六十八由貴丸、能登船長の現状でございますが、御指摘のとおり、遺憾ながらロシアの監視船によりまして大腿部を撃たれたわけでございますが、現在色丹島の病院で加療中でございます。  この船長の釈放につきましては、何回もロシア政府に対して要求をしておりますが、今までのところ親族の見舞いの許可はございましたが、遺憾ながらいまだ釈放されていない、こういう状況でございます。
  27. 板垣正

    板垣正君 これは、特に昨年の四月に国境法が制定されて、国境警備隊が中央直轄になる、あるいはそれに伴って競争意識もあるでしょうし、いわゆる資源ナショナリズムと申しますか、ロシア側の経済情勢からいっても魚資源、漁業資源、これを非常に競っているという。そういうことも相まっているとは思いますけれども、日本側のこの不法侵犯が、彼らの発表によりますと、九一年には五千六百件、九二年には六千七百件、九三年には八千件、こうした違法侵害行為が行われていると彼らは発表したりビデオを放映したりしている。こういうことでございますが、一体彼らの言い分、当方の言い分はどうなりますか。
  28. 本田進

    説明員(本田進君) お答えをいたします。  先生御指摘のように、ロシア側から日本漁船の違法操業が年間数千隻に及ぶという御指摘が行われているわけでございますけれども、水産庁としては、日本漁船が数千隻操業自粛ラインを越えて操業しているという事実は確認しておりません。
  29. 板垣正

    板垣正君 数千隻はないが、いわゆる自粛ラインを越えて魚をとりに行く、そういうことはあり得るわけですね。
  30. 本田進

    説明員(本田進君) 北方四島の周辺水域におきましては、近年ロシア側の取り締まり活動が強化されておりまして、平成五年には十二隻の日本漁船が拿捕されております。また、本年一月には、ロシア側から多数の日本漁船がロシア領海を侵犯しているとの非難が行われたこともございます。また、二月には、ロシアによる三隻の日本漁船の拿捕事件が発生しているという状況がございます。
  31. 板垣正

    板垣正君 ですから、ロシア側が言っている不法侵犯をしてきていると。二百海里と我々が言っていても向こうが二百海里、だから自粛ラインということで向こうに入らないよとしている。魚をとるためには、生活のためには日本の漁民も入っていかざるを得ない。それは向こうから見たら侵犯だと、不法だと、こういうことなんです。
  32. 本田進

    説明員(本田進君) 先ほどお話し申し上げましたように、現に日本の漁船が拿捕されているわけでございますから、そういう事実はある程度はあるというふうに認識しております。
  33. 板垣正

    板垣正君 その辺で、この平和な時代に向こうの警備艇も、ヘリコプター、快速艇を準備し、軍艦まで動員して、海軍まで加わって要するにそういうものは取り締まるんだと、みんな武力行使をして差し支えないという権限を与えられているんですよ。  しかも、我が方がまさに侵犯して不法を犯しているならまだしも、不法を犯しているのはロシアじゃないですか、ソ連じゃないですか。北方四島を不法占拠して居座って、口先だけで一向に誠意を見せない。しかも、居座るどころか平和な漁民に対して銃撃を加える、威嚇を加える。こういうことに対して、一体我が国政府はどういう姿勢をとっているんですか。厳重抗議を申し入れましたか。
  34. 津守滋

    説明員(津守滋君) 先生御指摘のとおり、これは我が国の固有の領土内で起こっている問題でございまして、ロシア側のこういった行為は絶対に認めることはできないという日本側の基本的な立場は、あらゆるレベル、大臣レベルを含めまして、今までたび重ねてロシア側に申し入れてきているところでございます。  さらに、現在、具体的に展開されておりますいわゆる漁期九四、これは四月から十月までその取り締まりを強化しているわけでございますが、これに対しましても、私どもの今申し上げたような立場はロシア側に厳重に申し入れているわけであります。  いずれにしましても、こういった取り締まりの強化によりまして不測の事態が生ずるということは絶対に避けてもらいたいということについてもあわせて申し入れている次第でございます。
  35. 板垣正

    板垣正君 どうもそういう外交をやっているということが響いてこないですね。  北方四島問題、残念ながら往年よりも関心が薄れたといいますかロシアの国があれだけ乱れて、しかもエリツィンが来て、結果的には領土問題棚上げみたいな格好になってしまったんです。  そういうことで、今度言ってきたのは入漁料を払えば魚をとらせてやると。三月ですか、南クリル行政府のポキージンというのが地区長なんですね。ポキージンから根室の大矢市長に、いわゆる貝殻島昆布方式ですね、貝殻島、本当にもう貝殻島は目の前ですよ、そこの昆布をとるのに一億二千万円毎年払っているんですよ。三百何十隻の小さな舟が昆布をとりに行く、一億二千万円ロシア側に入漁料を払って。それと同じような格好で入漁料を認めれば北方四島周辺で魚をとらせてもいいよと、こういうことが大分本格的になっているような感じですね。今、この問題をどういうふうに見ておられますか。
  36. 津守滋

    説明員(津守滋君) この問題につきましては、特に北海道根室の漁民の皆様方の窮状、こういうことを勘案いたしまして、現在、領土問題に関する我が方の基本的な立場を損なわない範囲内で何ができるかを検討中でございます。  御指摘のポキージンからの大矢根室市長あてのテレックスにつきましては、これはポキージンの個人的な考えでありまして、私どもはこれはロシア政府の提案というふうには受け取っておりません。  いずれにしましても、八一年に締結されました貝殻島の昆布漁に関する民間協定、これは極めて例外的な措置として行われたものでございまして、こういうものをさらに拡大するということについては相当慎重な検討が必要だというふうに考えております。
  37. 板垣正

    板垣正君 ただ、さっき申し上げたような非常に厳しい取り締まりといいますか、場合によっては本当に命を捨てがねない、そういう危険ですからもう行けない。だから、あの周辺の漁民の人たちはもう水揚げが一割だというんですね。それじゃ食っていけない。食っていけないし、しかもそこには魚の宝庫がある、固有の領土である。  そういう状態では、やっぱり貝殻島方式といいますか、我が方の今おっしゃったような毅然とした方針で、かつ何とかそれを両立させていく方向というものもこれは踏み切っていいと思うんですよ。そういうものを検討していただきたい。  それと、時間もあれですけれども、今唯一と言っていいくらい成果を上げていると評価をされているのがノービザ交流ですね。これも具体的な成果も伺いたいと思いましたけれども、もう時間の関係で質問だけにいたしますけれども、私もあの積み重ねてきた成果は認めながら、どうももうやっぱり発想の転換を図るときが来ているんじゃないのか。つまり、こちらから行きますと向こうの言うことは同じなんですね。まあウオツカでも飲みなさいですよ。お互い仲よくしましょう、島の問題はまあ次の世代に任せましょうよと、異口同音だと言うんですね。つまり、もう棚上げして次の世代に任せましょう。  それから、我が方も余り向こうへ行って北方領土の議論をやるよりは、相互理解という中で、我々は北方四島返ってきてもあなたたちを追い出しはしませんよと。つまり混住ですね、一緒に暮らす。混住するんですからあなた方は心配しないで一緒に日本のこの領土返還の問題を理解してもらいたいと、こういうことらしいですね。  だから、お互い言うことは、まあ次の世代までで今はとにかく仲よくしましょうと向こうは言う、こっちはまあ混住でいくんだから心配しなさんなと言う。同じことを言っているから、それでもう向こうもだんだんそんなことまでいつまでもいつまでもやっておられない。これはやっぱり向こうに行く人も制限される、経済交流は許されない、そういういろんな制約があり過ぎますね。  例えば、向こうの島民の人でもいい、島民の子供でも、あるいは学生でも日本に呼んで、日本で勉強させるとか、日本で技術を研修するとか、そういうことまで踏み込んでやる。あるいは、島民が二万五千ぐらい向こうはいるそうですけれども、実に貧しい生活、そういう人たちの生活に何か潤うような形におけるある意味の経済的というか効率的な交流といいますか、そういうところまでもう少し踏み込んでこのビザなし交流というものを検討していっていいんじゃないか、そういうふうに思いますがね。  これは外務省、担当の長官である総務庁長官にも御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 津守滋

    説明員(津守滋君) 御指摘のとおり、このビザなし交流は、過去二年間、合計数百人の双方の訪問が行われておりまして、所期の成果を上げているというふうに我々は認識しておりますが、これをさらに改善するためにどういうことができるかということについては、ロシア側とはいろいろ話をしておりまして、その中身は今先生御指摘のようなものも相当程度含まれておりまして、具体的に、これは、三月末に当時の羽田外務大臣がモスクワを訪問しましたときにコズイレフ大臣ともこの点については話をしたわけでございますが、ロシア側の希望は非常に強い。少し日本語の勉強をしたいとか、あるいは日本文化一般について講習を受けたいというふうな話。こういうことを踏まえまして、今年度の予算、現在御審議いただいておりますが、そのための費用を昨年度いただいた予算に積み増しして現在審議をお願いしている次第でございます。  さらに、そのビザなし交流にも関連しますが、羽田外務大臣が三月にモスクワに行きました際に、青少年の交流ということで今年度三百五十人、交換することになっております。
  39. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) これもう板垣先生、大変詳しく御承知のことでございますので、確かに両方八百人ずつを超えておって千六百人の交流がございましたし、現地に行っていろいろお話を聞いてみますと、かなりソフトに交流をいたしておるわけでございますので、そういった意味では、確かに北方四島のロシア側の住民の方々と日本人の考え方というものが、いろんな意味で交流されて、ある意味においては理解が進んでおるようでございます。  しかし、こういったことをさらに私ども進めようとはしているのでございますけれども、そう大きな規模になるはずはございませんものですから、先生がおっしゃるようなある程度の限界と申しますか、そういったものは見えておるというようなことも考えざるを得ないのではなかろうかと。これはロシアとの話し合いを中央で、やはりモスクワである程度やりながら進めていかなきゃならない。  特に、先ほど漁業者の拿捕の問題がございましたけれども、こういったものももちろん外務省でやってくれておるわけでございますけれども、何とかロシアの経済、政情安定を見ながら、十分モスクワにおいていろいろな議論をし、その進展を図っていくということが基本的に大事であることはもう私が申し上げるまでもないわけでございます。  今、子弟の交流の問題等が出ましたけれども、ここら辺は今後外務省と十分打ち合わせをしながら検討すべき課題であろうと思っておるところでございます。
  40. 板垣正

    板垣正君 ありがとうございました。
  41. 北村哲男

    ○北村哲男君 社会党の北村でございますが、私は沖縄の厚生年金問題についてお伺いしたいと思います。  沖縄の厚生年金格差の問題でございますが、この格差の問題をめぐっては、復帰の年の一九七二年五月と九〇年四月、二回にわたって特別措置が講じられておりまして、しかし、その特別措置が講じられているのにもかかわらずなお問題が残されております。  ここにことしの一月の沖縄タイムスの社説があるんですけれども、そのことに気づいたのは年金受給者その人たちだったと。「定年退職し、実際に年金を手にするようになって初めて本土に居住する友人、知人との年金の差が気になり出したのだという。 全国ではひとり平均年百七十五万九千円も受給されるのに、沖縄は百十八万四千円にすぎず、その差は五十七万五千円にものぼる。」云々と出ております。今なお大きな問題がここに残されていることをもとにして、そしてまた、この年金問題が今、国会でホットな問題として持ち上がっておりますので、その点についてお聞きしていきたいと存じます。  ところで、ことしの一月の関係省庁検討会で、沖縄の厚生年金格差是正の県案が了承されて、政府は制度改正で対応することを約束して、三月十八日に提出された国民年金法等の一部改正案にその内容を盛り込んでおります。沖縄特別措置という形で盛り込んでおります。関係省庁検討会で沖縄県案が了承されたのはもちろん結構なことでございますけれども、そこで了承された調整案というのがございますが、これについては従来から沖縄の厚生年金格差是正について議論してきたここの我が参議院沖縄北方問題特別委員会には何らの報告もなされておりません。そのことを私は沖縄北方特別委員の一人として大変遺憾に感じております。  そこで、お伺いしますが、沖縄の厚生年金格差是正は順調にいけば来年の四月一日から実施することになっておると言われておりますけれども、予定どおり実施は可能なのであろうか。沖縄開発庁長官はどのような見通しを持っているか、この点についてお伺いしたいと存じます。
  42. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 北村先生にお答えいたします。  今、北村先生のおっしゃるとおりでございまして、その点、当委員会に報告しなかったのはまことに申しわけないと思うわけでございます。  実は、もうこれは先生御存じのとおりでございますが、沖縄県は国民年金に加入する時期が遅かったということで格差があると。今度格差是正ということですが、大体八二%ぐらいになるんじゃないか。そんなことですが、この法案は予定どおり来年四月一日から実施されるよう期待して努力しているわけでございます。
  43. 北村哲男

    ○北村哲男君 たとえということはおかしいんですが、もうそれは四月一日から実施されることを私も確信しておりますけれども、それにしてもまだ八五%の差があるわけですね。今まで二回、今度三回目、まだまだこれからもその問題については、私どもの委員会は極力その格差是正に向かって努力をしていかなくちゃならぬとは考えております。今の長官の、実施される予定と、されるはずだという大変力強いお言葉を期待しております。  ところで次に、国民年金法等の一部改正案では、いわゆる復帰特措法という法律がございますが、これを改正して平成七年四月一日からの実施を予定しております。一方、沖縄県は国会での法律改正を踏まえて、この九月議会で関係の条例を改正する必要があるとも言われております。  沖縄の厚生年金制度改正は復帰処理の一環であるのに対して、厚生年金改正の主要部分は将来の年金制度のあり方を見直すものであると。いわゆる沖縄の問題の復帰処理というのは、これは年金制度とはその中身じゃなくて枠外事項としての処理だと思うんですけれども、この性格の違う二つの制度を一体のものとして処理するには若干疑問があるように思うんです。したがって、来年四月一日からの実施を確実にするためには、沖縄の厚生年金格差是正部分を国民年金法等の一部改正案に盛り込むのではなくて、別途法律として国会に提出すべきではなかったんだろうかというと純粋にそれだけはもう問題なくすらすらと通っていったはずではないかと思うんですけれども、これは厚生省、この間の経緯と、なぜそういうふうになったのかということを踏まえて御説明を願いたいと存じます。
  44. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) お答え申し上げます。  まず経過の点でございますが、先生からもお話がありましたように、平成四年に、沖縄本土復帰二十周年ということで沖縄の厚生年金の格差是正問題が大変高まりました。その折、私ども政府としては、沖縄の厚生年金については、実はこれまで二度の特例措置を講じており、年金制度としてこれ以上対応することは非常に困難ではないか、こういうお答えをしてきたことも先生御承知のとおりでございます。しかしながら、平成四年五月十四日の関係事務次官の申し合わせによりまして、何らかの対応を検討すると、こういうことで政府検討の方が沖縄県の参加も得て始まったところでございます。  関係省庁検討会による検討の過程でいろいろございましたけれども、結局、沖縄県から、厚生年金制度においてこの格差是正を図ってほしい、こういう声が強く、そういう沖縄県の方向に沿いまして検討を行ってきたと。ことしの一月二十五日の検討会におきましても、沖縄県の方から、厚生年金法の特例措置を講ずることにして特例措置をとってくれという、こういう御提案を踏まえまして、先生からお話がありましたように、沖縄の厚生年金については年金の加入期間が短いために年金額が本土と比較して低い、こういう状況になっている。これに対しては、過去に加入できなかった期間に相当する期間分について将来に向けて入っていただくと、こういうことで特例措置を講ずるようにしようとしたことでございます。  その際、具体的内容については、対象者の範囲、対象期間、納付及び加算、それから雇用の証明にかかわりますこと、こういったことにつきまして県の御提案を十分踏まえまして次期年金制度改正において対応することにしてはどうかと。こういう経緯から、一つは年金制度全体の中で対応することとしたという経過がございますし、年金制度の側におきましても、二年前から政府の年金制度審議会で制度改正を検討してまいりましたが、この審議会の中でも沖縄の厚生年金格差是正問題が出ましたことから、今回の制度改正に合わせてする、こういうことで対応することとしたと、これが経緯でございます。  また、内容的に御説明申し上げますと、今回の年金改正は五年に一度の財政の再計算をして、年金の給付と負担両面からの見直しを行うものでございます。沖縄の厚生年金問題につきましても、特例措置といたしまして、過去加入期間が短かった分について保険料を将来に向かって納めていただくと、こういうことで対応するわけでございますが、納めていただいた保険料に数倍する給付が出るということで、これ自体年金制度全体の給付と負担にかかわる問題であるということから、当然、今回の制度改正全体の一環として、そういうことについていわば沖縄の方でない本土全体の加入者の方、受給者の方もこれに賛成していただけるか、こういう観点もございますので、そういうことから年金制度全体の見直しの中で処理することとしたと。こういう経過で、先生からもお話がございますように、この三月十八日に国会に提出させていただきました国民年金法等の一部を改正する法律案の十二条で、沖縄の復帰に伴う特別措置法の一部改正ということで位置づけさせていただいたと。  このような経緯並びに内容からいって一体の法律として提案させていただいているものでございます。
  45. 北村哲男

    ○北村哲男君 長々説明されて、まあ聞くのもやぽかと思いますが、この間、別体系の法律にしようという話、体系は違うんだから別々にしようという話はもうなくて、皆さん違うことを意識しながらも一緒にやっていくことについては全部合意を得られてきたと、そういうふうに聞いてよろしいわけですか。
  46. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) もともと今回、国民年金法等の一部を改正する法律案において改正しようとしております沖縄の復帰に伴う特別措置法においてどういうことがなされているかと申しますと、四十七年こ沖縄が復帰するときこ、厚生年金制度なり国民年金制度なりいろんな法律、制度がそうでございましたけれども、復帰に伴って復帰時のいろいろな特例措置を講じて今度の制度に円滑に接続する、こういうための特別措置を行ったわけでございます。  沖縄の方の御要望は、現在の厚生年金制度において額の不足があるわけですから沖縄の厚生年金制度でその格差を是正してほしい、こういう御要望がございましたので、いわば、今回の措置というのは、復帰時の措置が十分でなかった、こういうことを踏まえまして復帰時の特例措置自体を見直すことによって格差の是正を図っていこう、沖縄県の御要望にこたえよう、こういうものでございます。経緯的に言っても別体系でというようなお話はなかったように承知しております。
  47. 北村哲男

    ○北村哲男君 仮に、国民年金改正法等の一部改正案が今国会で成立しない、あとわずかでありまして大変難しい状態、そういう不吉なことを余り予期してはいけないんですけれども、仮にもし通らなかったとしたら、当然、重要な法案ですからすぐ次の秋の臨時国会でも審議になろうと思うんです。その場合、来年四月一日からの制度実施に間に合うかどうかという問題。  特に、聞くところによると、これに伴って沖縄でこの法律に基づく条例を制定しなければならないと。そうすると、法律がないと条例はできないんじゃないかということでちょっと不安を耳にしたんですけれども、これは誤解であればよろしいんですが、そのあたりはどういうふうに理解しておられますか。
  48. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) 先生からも御心配いただきましたように、私どもも一番つらい御指摘でございますが、三月十八日に国会に法案を提出させていただいておりまして、要すれば何としても今国会で成立をお願いしたい、こういうふうに考えてやっているところでございます。  もちろん、沖縄の方々のこの制度改正というのも重要でございますが、これは来年四月からの実施でございますが、何よりも今回の改正法案では、沖縄の方も含めまして全国二千八百万人の年金受給者の方につきまして、毎年物価スライドの年金額の引き上げはやっておりますが、五年に一度の実質的な改善、年金額の改善が十月一日に予定されております。言い方が変でございますが、もちろん七年四月の沖縄の特別措置も大事でございますが、その前に全国民と言っていいほど多くの方に影響のある年金額の引き上げ問題もございますので、できれば今国会で可能な限り早期に改正法案が成立するように願っておるところでございます。  なお、ただいまお話がありました来年四月の施行準備は大丈夫かということでございますが、沖縄県の方におきましても生活福祉部に厚生年金問題対策室を設けて鋭意準備をされておりますし、私どもとも連絡をとりながら、具体的には保険料を納付していただくとか、そもそもどういう方が対象になるかという認定の問題とかいろいろたくさんの手続があります。それは法律の成立がないと本当に支障があるわけでございますが、それが一日も早いことを願っております。準備の方も怠りなくやるということでできる限り支障がないように対応したいと思っておりますが、ぜひ法律の成立の方も国会の方のことでございますので先生方にお願いを申し上げたいと思います。
  49. 北村哲男

    ○北村哲男君 もちろん、努力をしてぜひ今国会でつくりたいと思っております。しかし、万が一があっても来年四月には間に合う、条例等で不可能になるということではないということも、これは本当に予備の予備的でありますが頭の中にそういうことを入れておきたいと思います。  ところで、沖縄の厚生年金格差是正の大きな課題は個人負担をどうするかということではないかと思うんです。格差是正の対象者は九万人、そして平均の追納額は約百三十万円であるというふうに新聞等に報道されております。  沖縄開発庁は、平均はわかるんですが、その追納の一番少ない額あるいは最大限どのぐらいになると把握されておられるのかお伺いしたいと存じます。
  50. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) 今回の特例措置におきましては、過去足りなかった期間、最大限十六年程度ございますが、その期間につきまして、当時厚生年金に加入できた方でありましたならば、その方につきまして将来に向かって保険料を納めていただく、こういう制度になっております。  納めていただく期間は五年間程度、こういう点は法律が成立いたしましたら政令で規定させていただくことにしておりますが、基本的には沖縄県の御要望を踏まえて決めるということになっております。沖縄県の御要望が五年間の間に納める、こういう御要望になっておりますので、基本的にはそれに従って五年間で納めていただこうと。  計算方法ですが、厚生年金につきましては基本的にサラリーマンでございますのでその人のサラリーに応じて保険料が決まってくる、こういうことでございます。したがいまして、今度の措置も、例えば復帰時に、四十七年に入っておられた方がこれまで保険料を納めていただいた、その現役時代の平均的なサラリーに応じまして保険料が決まってくるので、厳密な意味ではその方その方によって違ってくるので詳しいことは本当に申請が出てこないとわかりませんけれども、私どもが推計をいたしますと、年齢の高い方、七十代、八十代の方は納める額が基本的には少なくて済むだろう、二十万円から三十万円程度、こういうふうに考えているところでございます。  それから、これまでの二度の特例措置でも穴がございまして、今六十歳ぐらいの方が一番穴があいている期間が大きいということで、六十歳ぐらいの方が一番納めていただく期間が長い、こういうことで最大は二百万円程度になるのではないか。推計いたしますと、全部平均いたしますと百三十万円ぐらいになる、こういうふうに考えております。  これはあくまでも推計でございますので、先ほど申し上げましたように、個々人の方によってどういう加入期間でどれだけのサラリーを得ていたかということでかなり変わってくるものでございますので、その辺は実際はやってみないとわからないということですが、机の上で計算しますと最大二百万円程度、平均百三十万円、高齢の方は一般的に言って少なくて二十万円から三十万円程度、このように見込んでいるということでございます。
  51. 北村哲男

    ○北村哲男君 私どもの理解でも同じようになっております。いずれにしても、高齢者においても、七十五歳ぐらになっても平均三十万ぐらいになるというふうに言われておる。とても大きな負担を負うことになるので、ぜひ国の補助というものが必要になってくると思います。  ところで、その対象者の多くは年金生活者である高齢者であって、その高齢者が百三十万円というのは今の試算では高過ぎるようです。いずれにしろ、数十万円の負担をさせるにはとても過重だと思われます。  沖縄県としては、この負担軽減のために、基金を創設して利子補給を行って負担の軽減を図ろうとしておるようですけれども、沖縄開発庁は基金創設について沖縄県からどのような説明を受けて、その実現のためにどのような努力をされていこうとしておられるのかお聞かせ願いたいと存じます。
  52. 渡辺明

    政府委員(渡辺明君) 県からの話の御質問でございますが、本年一月の関係省庁検討会におきまして沖縄県からは、先ほど厚生省の方から説明がございました、国が行う新たな特例措置とは別に、県が対応いたします個人負担の軽減措置につきまして、県また事業主等の資金拠出によりまして個人への利子補給を図ることとする旨の報告があったところでございます。目下県におきまして個人負担の軽減措置のための具体的な検討が行われているというふうに承っておりまして、当面県の詰めの作業というものを見守ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  53. 北村哲男

    ○北村哲男君 これは、もう少し具体的には言えないんでしょうか。報道等によると、今言われた、県が二十億、事業者が二十億、そして防衛施設庁に十億ほど負担してほしいというふうなことまで言っておられるようですけれども、それは今の質問じゃないんですか。
  54. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  実はまだ県から正式な話は来ておりません。ただ、うわさでは、私が最初聞いたのは、前上原長官から五十億ぐらいということで、県で二十億、財界で二十億、あと防衛施設庁で十億という話がありました。その後百億という話が出てきまして、これは先ほど厚生省が話しておりましたが、一人百三十万円、そのうちの半分を利子補給する、最初四分の一が半分と、こんな話を聞いておるだけで、県からまだ正式な話はございません。そういうことでございます。  開発庁とすれば、県から上がりましたらむろん十分きちっとお手伝いしたい、こういうことを考えております。  以上です。
  55. 北村哲男

    ○北村哲男君 新聞報道が早いのかどうか、もう新聞にはまず五十億円規模で云々というふうに出ておりますので、まあ後でもう少し聞きます。  そこで、自治省にお伺いしたいと思いますけれども、県から出された調整案では、法人県民税を五・〇%から五・八%にアップして、その超過課税率相当分二十億円を基金に充当しようと考えているように承知しております。しかしながら、沖縄の厚生年金格差問題は、本土の制度発足に十六年おくれたことに起因するものでありまして、このことを考えると自治省も既存の制度に固執することなくと、これはすなわち自治省は地方財政法二条、すなわち国の支出を地方に負担させてはならないという趣旨の法律ということにこだわっておられるようですけれども、それにこだわることなく弾力的な考えで対処すべきであると私は考えるんですけれども、自治省のお考えをお聞きしたいと存じます。
  56. 香山充弘

    説明員(香山充弘君) お答えいたします。  この件につきましては、基本的に過去における年金の積立額が十分でないことにいかに対応するかという問題でございますので、私ども、政策論といたしましては、基本的に国が責任を負っております年金制度にかかわる問題、したがって地方の負担を伴わずに合理的な解決が図られるべきものと考えております。  その意味で、この件に関しまして県負担がなされるというふうなことを結構なことだと申し上げるわけにはまいらないということにつきましては御理解いただけるものと存じますけれども、お尋ねの地方財政法第二条の解釈についてあえてお答えするといたしますならば、法律上違法であるというふうなことにはならないというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、年金の基本的な性格を踏まえた上で、なお県として負担するという政策判断をなさるか、あるいは地元では財源調達のために超過課税等も検討しておられると聞いておりますけれども、超過課税ということになりますと、当然のことでありますけれども、その緊急性あるいは税負担の程度等につきまして、住民の十分な理解が得られることが前提になります。  したがいまして、これらの点を踏まえた上で地元で適切な判断をなされるべき問題であると考えておる次第でございます。
  57. 北村哲男

    ○北村哲男君 今のお話で、地元の方で理解が得られて、地元で決めたことについては自治省は何も言わない、お任せをするというふうに聞いてよろしいわけですね。
  58. 香山充弘

    説明員(香山充弘君) 率直に申し上げまして、大変難しい点があります。そういう意味で私ども県がお持ちになることを結構だと申し上げるわけにはまいらないということだけはぜひとも御理解いただきたいと存じますけれども、地方財政法のどの規定に則して違法になるとか、そういう問題ではないということでございます。
  59. 北村哲男

    ○北村哲男君 ちょっとよくわからないな。それはもう伊江先生あたりから、——詳しく聞け、もうちょっと聞けという、もうちょっといい答えを言ってほしいという要望もあるようですから、もう少し踏み込んで言っていただけますか。
  60. 香山充弘

    説明員(香山充弘君) 結論的に申し上げますと、地元でいろんな要素を十分御勘案の上適切に判断をしていただくべき問題であると、自治省はそういう立場をとるということでございます。
  61. 北村哲男

    ○北村哲男君 沖縄県は、格差是正に必要な基金五十億円に新たな五十億円を加えて総計百億円を向こう五年間で造成する方針を五月九日までに固めたとの報道がなされております。これに対して佐藤沖縄開発庁長官は、当初の五十億円の造成のめどもまだ立っていないと聞いている、その上また五十億円とはどういうことかと語ったというふうに何か琉球新報の九四年五月十一日号に出ております。  こうした発言の真意はどこにあるかということをお伺いしたいと思いますし、また、沖縄県のことを考え県民の個人負担軽減を図るべき沖縄開発庁長官としては積極的に基金の充実を図るべきであると私は思いますけれども、基金の充実に対する長官のお考えを聞かせていただきたいんです。この報道をされた琉球新報によると、厚生年金の格差是正基金の上積みとか、もう一つの大きな戦争マラリアの国家補償などについては、長官は難しいとの認識を示して全体としてはややトーンダウンした格好だという論評もされておるわけですけれども、ここで名誉回復の意味で積極的な御発言というかお考えを示していただきたいと存じます。
  62. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどから先生にお答えしておりますが、沖縄県に対する気持ちはちっとも変わっておりません。  実は、今の格差是正の基金の問題ですが、だれからも正式に聞いておりません。上原長官が退任のとき、引き継ぎ事項でお話を聞いただけでございまして、そのときは五十億で、そのときは頼むということでございました。したがって、県からは何も聞いておりません。そんなことでございまして、今百三十万円を含めての厚生省の話があったとおり、その利子補給をどうするかという問題でいろいろ局長と相談したということでございまして、正式な話ではございません。  したがって、聞かれましたら、私はそのように答えるわけです。正式に聞いていないんですからということをひとつ申し上げたいと思っておりますが、県庁にも聞いておりません。だから県の方もいろいろ案を練っておると思うんです、私は。  だけれども、五十億か百億というのも我々がちょっと耳にしただけでございまして、大変だなと、こんな話をしておると。しかも、その中で財源は国から五十億出すとかという勝手な話ばかり流れているわけでありまして、最初の十億も、防衛施設庁から十億をいただきたいという話とかそんな話ばかりで、一つもこちら側で触れておりませんから、その点御理解をお願いしたいと、こう思うわけでございます。  それから、マラリア問題等につきましては、実はこれは今よく勉強しておりまして、厚生省さんも皆さんもよく勉強しておりまして、いろんな角度からの見方があるわけですが、援護法の適用を待ちたいということを申し上げたわけでございます。  これは、私も援護関係多少やっておるものですから、いろんな要望少し知っているものですから、援護法の適用は難しいなと、何かいい方法はないものだろうかということをいろいろ厚生省さんやら開発庁で研究しておるということでございますから、やはり正直に物を言ってもいいと思うんですね、私はいかがでしょうか、そんなふうにやっておりますから、よろしくお願いします。
  63. 北村哲男

    ○北村哲男君 正式に聞いておられないということになるとちょっと事実関係が明確でないんで、それは今からでも遅くないならば、やっぱり正式にきちんと沖縄県の方からも申し上げて、そして長官としてはきちっと検討されると。また、防衛施設庁がまだぐずぐず言っているという報道もありますけれども、恐らくそこも同じようなこと、正式に聞いていないのこ言いようがないとおっしゃるかもしれませんけれども、それはそれで沖縄県の方でそれだけの計画を立て、そういう構想を持っておられるならば当然おやりになることであるし、それについては前向きの、今までの精神に基づいて御検討をお願いしたいと存じます。  それから、この問題の最後でございますけれども、来年度予算の国庫予算に向けた沖縄開発庁と県の調整作業がそろそろ始まるころだと思いますけれども、基金設置関係経費をぜひとも国庫要請に盛り込んでほしいと私は考えます。しかし、残念ながら国の負担分について取りまとめる担当窓口もまだ決まっていないと聞いております。沖縄県が開発庁防衛施設庁厚生省と個別に調整作業を行っているのが現実のように聞いておりますけれども、沖縄県は格差是正問題を復帰処理の一環と位置づけて、最終的には沖縄開発庁が国の窓口になるべきと考えているようですけれども、開発庁のお考えをお伺いしたいと存じます。
  64. 渡辺明

    政府委員(渡辺明君) 御質問の個人負担の軽減措置につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、目下、県におきまして鋭意その具体的な検討が行われている状況にございます。  私ども沖縄開発庁といたしましては、その検討作業というものを見守りながら、その内容について県から説明を受けた段階でよく話をお聞きいたしたい、このように考えておるところでございます。
  65. 北村哲男

    ○北村哲男君 別の問題に移りたいと思います。  航空運賃のことなんですけれども、昨年この委員会で肥田美代子委員が「本土沖縄との航空運賃、随分高いとお思いになりませんか。」という御質問をされておりまして、政府委員の方から、いろんな形で要請をされたり陳情を受けている、何とか今後も努力をしたいという抽象的なお考えを示しておられます。それ以上のことは踏み込んでおられません。ことし、たしか、この委員会で沖縄に行かれたときもこの問題について陳情を受けられたというふうに聞いております。  事実、確かに南北格差の問題については、南の方は保護されて、かなり優遇されておって、ところによっては約半分、キロ四十円のところを二十円ぐらいの値段で行っているということも確かにわかります。  しかし、沖縄の問題については、産業あるいは社会基盤を初め、あらゆる面で本土との格差がいまだに存在しているという現状がありますし、他方、豊かな自然と恵まれた環境等を持つ沖縄にとって観光というのはとても大事であって、多くの人に行っていただくというのが大事だと思いますが、ところが最近なかなかたくさん人が行かない。  それはなぜかというと、グアム、サイパンなんかに行った方が国際運賃の関係で安いんだと。だから、結局皆さん向こうに行ってしまうと。しかも、国際運賃の方には子供特別料金なんかがあって、そして一家族で三十万円もあれば行けると。沖縄よりもうんと安くなってしまうということで、ますます、盛んな観光ということができなくなってくる。そういうことを考えて、そうなると本土沖縄間の航空運賃の低減の問題は単なる観光だけではなくて、沖縄全体の振興発展に大きな影響を及ぼすのではないかと思われます。  この重要性についてはもう言うまでもないことですけれども、その点について、私は確かに相当苦労をされていることはわかるんですけれども、例えば、これはどこかから出た話ですけれども、沖縄で何かのイベントを連続的に計画して、それを受けた形で航空会社が特別キャンペーンを展開して、その期間中運賃を割り引くといった方法などを考えられないんだろうかと。これは現状の法律を変更するということはなかなか難しいことはわかるんですけれども、何か別のやり方では随分安くできる方法が考えられるんじゃないかということのアイデアも出ております。  そういうところで、また、もう一つさらに別の観点からも安くする方策も考えられるというふうに聞いておりますので、その点、あとわずかしか時間ありませんけれども、その二点について見解を伺いたいと存じます。
  66. 洞駿

    説明員(洞駿君) 先生御指摘のとおり、例えば東京−グアム間を考えますと、距離は二千五百キロでございまして、運賃はエコノミーの普通運賃で十二万一千円でございますが、個人型の割引運賃、日本航空の一番安い時期で例えば六万六千円でございます。サイパンにつきましても、距離は二千三百五十キロ、ノーマルの運賃で十一万六千円ですが、個人型の割引運賃では六万四千円。これに対しまして、東京−沖縄間は、距離は一千六百九十二キロでございまして、往復割引入れて普通運賃は六万三千円でございます。  こうやって比較してみますと、要するに、普通運賃につきましてはおおむね均衡していると言えるものの、割引運賃について見ますと、距離当たりの運賃では国際線が国内線より割安、逆に言うと国内線は国際線に比べて割高感があるというのは事実でございます。これは、端的に申し上げまして、国際線は激しい競争の中で内外の航空企業が値ごろ感のある割引運賃を設定して競争しているということが主な理由だと考えられます。  私どもといたしましては、国内線におきましてもこういう企業間の競争を一層促進いたしまして、国内の航空運賃につきましても多種多様な割引運賃の拡大を図っていくことによって利用者利便の向上に努めたいと考えておりまして、そのため、今国会におきまして、一定の範囲の割引運賃については従来の認可制から届け出制で足りることとします航空法の一部改正法案の審議を今国会にお願いしているところでございますけれども、例えばこういった手だてを使って旅客ニーズにより適合した割引運賃の設定が行われることが期待されているところでございます。ぜひそういうことに、割引運賃が多種多様なものが出てくることを私ども期待しております。  それから、先生御指摘の、例えば沖縄にイベントを企画されて、これを受けた形で航空会社が特別キャンペーンを展開して、その期間中運賃割引を行うということも、これは現制度上でも可能でございます。航空会社が申請をしてくれば、私どもも現在は認可することになっているわけでございますけれども、その内容が差別的な取り扱いでないとか、あるいは不当な競争を引き起こすことにならないというような基準に照らして、こういった今先生の御指摘のケースは何ら問題ないわけでございます。やろうと思えばできると考えております。
  67. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) ちょっと私、発言しますと、実は今の航空業界というのは全部赤字でございます。JALが三百億赤字、全日空がとんとん、それからJASも赤字、しかも航空機材を売却して赤字なんです。そんなことで基本的問題は、果たして航空運賃を全部利用者負担にするかどうかだと思います、設備を含めて。  したがって、今、特定財源でやっておりますけれども、これに国費をどう導入するか、これが大きな問題になっております。そうでないと航空運賃安くなりませんね、率直に言って。割引しようとしないんですから、赤字がふえる一方です。お客さんも減る。そんなことでございますから、恐らくことしの大きな課題は、全部利用者負担にするかどうか、あるいは国費負担をどうするかということになってくるから、その点、特に皆さんの御理解と御後援をお願いします。そうすると航空運賃安くなります。そうでないと安くなりません。そういうことです。  どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
  68. 北村哲男

    ○北村哲男君 終わります。
  69. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大分時間もたちましたが、できるだけはしょって申し上げます。  それは、沖縄に組踊り劇場を設置することについての要望であります。第三次沖縄振興開発計画の第三章「部門別の推進方針」の第八項に「教育及び学術・文化の振興」がうたわれ、さらにその項目の一つに「文化財の保護及び学術・文化の振興」ということが挙げられております。そして、その中には「組踊等伝統芸能の上演施設沖縄地域特性に配慮した芸術劇場、博物館、美術館、公文書館等文化施設整備を進める」と明記されております。  ところで、沖縄県は本年五月二十六日付の国立組踊り劇場、仮称でありますが、の設置についてと題する県知事名の要望書を提出しております。長官のお手元にも届いているかと思いますが、この要望書の件について長官はまずどのように考えていらっしゃるのか。
  70. 瀧川哲男

    政府委員(瀧川哲男君) 私ども沖縄開発庁といたしましては、従来より沖縄の貴重な伝統芸能の保存であるとか、あるいは継承であるとかいうものは大変重要な課題であると認識しておりまして、これまでも文化庁あるいは沖縄県と連絡協議いたしまして、組踊り等沖縄の伝統芸能振興策につきまして幅広い角度から調査検討を重ねてきたわけでございます。  こういった状況下におきまして、先生今おっしゃるように、今回沖縄県におきまして、国立の組踊り劇場というものを誘致したいということで専門家によりまする検討委員会の報告というものが出て、それをもとにしましてその性格であるとか形態であるとか、規模あるいは運営のあり方等につきまして具体的に検討されまして、いわゆる県案というものを策定いたしました。そして、国立劇場所管たる文化庁の方にぜひその設立を要望したいというように要望されたわけでございまして、その際私どもの方にもその支援方ということで依頼してこられたところでございます。  先ほど申し上げましたような基本的な立場に立っておりますので、私ども、この県案でありますとか、あるいはこれまでの私どもにおきまする調査結果というものを踏まえまして、今後文化庁あるいは沖縄県と十分に相談しまして、この問題の検討の促進に向けて努力したい、かように思っております。
  71. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 随分時間をせいていらっしゃると見えて、私は最後までまだ言ってないんですよ。最中であったのにそれを乗っ取られた。
  72. 瀧川哲男

    政府委員(瀧川哲男君) 失礼しました。
  73. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いけませんね。  といいますのは、第三次振計は平成六年度で第三年目に入り、十年計画の三分の一の道のりに達したわけでありますけれども、前に述べた文化施設整備を進めるための予算がこの三年間の予算にどのように反映されておるのか、できるだけ具体的にこの機会に述べてもらいたい。
  74. 渡辺明

    政府委員(渡辺明君) 先生御質問の第三次沖縄振興開発計画の文化財の保護また学術文化の振興に関します予算の中で、沖縄開発庁において計上いたしておる予算につきましては、首里城城郭等復元整備経費がございまして、三次振計の初年度である平成四年度九千三百万円、それから二年度でございます平成五年度九千三百万円、平成六年度も同額、こういう予算の中で計画的にその整備を進めておるところでございます。
  75. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。  終わります。
  76. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 以上をもって平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会