○高崎裕子君 結局、いろいろ言われましたけれども、
安全性ではなく
コストにやっぱり譲っていくという考えだということに尽きると思うんです。今、安全については
チェックチェックと言われましたけれども、
海外委託について実際はもう安全上大きな問題がたくさん生じているということを私はここで強調したいんです。
シンガポールの
委託整備でも、九三年十月二日、成田からシンガポールに行った。ナンバースリーエンジンがスタート後数秒で停止した。再度始動を試みたけれども、再び停止して、地上に引き返し点検したけれども原因が特定できず、
機材を変更して飛び立ったと。で、
修理の問題が出たということが指摘されております。
それからまた、ボーイング社で
整備作業時に、エンジンパイロン内にパネルを置き忘れた。それで飛行中にいわゆる漏電をして、オート
パイロットが外れ、客室与圧自動制御不能という状態が発生した問題があります。
それからロッキード社です。ここの重
整備後に千本ものリベットにふぐあいが発見された。そして、そのうち五百十本を打ち直した。ブレーキケーブルにクランプがついたままデリバリーされて、ブレーキ系統に重大な
支障を来すおそれがあるところをJALの
整備士が未然に発見したと。これ、もし発見されなかったらどんな
事故になっていたかということを考えるときに、私は安全上大きな問題がこれでさらに危惧されるということに、本当に再度警告を発しておきたいと思うんです。
大臣、外注
委託というのが歯どめなくこういう形で広がっていくというのは、日航と全日空の
整備の中期計画、これを見るとなぜかということがはっきりするんです。
整備の基本的取り組み姿勢というのがすべて低
コスト生産体制、徹底した費用の効率化、これを目指すということになって、まさに利潤優先、これが第一になっているというのが特徴なんです。
日航は、サバイバル施策ということで
コスト競争力の
強化を徹底して
コスト削減ということで図るわけです。特に驚くことは、九三年度からの四年間、九七年度まで
運航諸元、これは三一%増となるのに、
整備はそれに伴わないでわずか一四%増ということに抑えるという考え方なんです。そのために、
整備時間の間隔を長くする問題、あるいは
海外委託を伸ばすなどの
委託の拡大、これで四年間で四七%の伸び率を乗り切ろうという、こういう施策をとろうとしているわけなんです。
全日空も全く同じスタンスで、
整備だけで四年間で百億円の
コスト削減を計画しています。そのため、
委託化を急激に拡大する方向になっており、来年度には外注
委託が実に六〇%、つまり逆に言うと自社
整備は四〇%にまで落ち込むということになっているわけです。
国内で賄い切れないからというふうに
説明されるんですけれども、自社
整備のための
整備要員は削減するし、施設には全く手をつけずに、これから
運航で伸びる分は外注
委託だと。この先、そうなると自社
整備というのはどんどん下がっていくわけです、比率としては。結局はこれは日本の
整備部門の空洞化、
技術が低下していくというのもはっきりしていると思うんです。
大臣、本当にこういう事態というのは憂うべき事態であり、私は具体的にお示しもしました。歯どめなく外注
委託化するというこういう問題は、日本の
航空産業の将来にとってもゆゆしいだけではなく、私たち利用客の安全に直接つながっていく。そこが厳しく問われている問題だということで、私はこの点見直しをし改善をすべきだと思いますが、この点はちょっと時間がありませんので大臣にぜひお答えいただきたいと思います。