○赤城
委員 私は、長期
雇用というのが、これはいい慣行、日本型のいいところだと思うのですけれども、幾つか日本型のものをこれから変えなきゃいけないんだ、こう一言で議論されるのですが、その中には、本当に変えるべきところと、今のがいい
部分とあると思いますし、それから変わらざるを得ない
部分というのがある。
今
お話しした高齢化するということ、これから新規参入してくる人たちが少なくなる、この
部分だけはもう否めようもない事実ですから、それに応じた変化というのはやはり
考えなきゃいけないんだと思うのです。それが、
年齢階層別に見たそれぞれの世代がどういうふうな処遇を受けるかということに関連しますし、だから機械的にポストが上がっていく、
賃金が上がっていくということにはならないんだ、これもまた事実だと思うのです。逆に言えば、では能力があれば若くても処遇はいい、給料はいいという形でなければいけないと思います。
もう
一つの変化の要因というのは、これから情報化するという、この情報化やコンピューター化するというのはやはり二十代、三十代、四十代前半ぐらいまでが一番適応できる世代で、そういう
意味でもどちらかというと若い世代がその能力に応じて働ける、それなりの処遇を受けるというふうにだんだん変化するのだと思うのです。
ところが、じゃ、そういう世代が能力を身につけました、またこれからいろいろな労働移動をしなければならなくなる、
職場もかわります。
会社から見たらこれは大変なことで、せっかく育てた若い世代、給料は高いけれども、能力もあるけれども、ぽんと
職場をかわられちゃう。そこで、
雇用ビジョンの中、また
労働省の政策でもありますが、職業能力開発をしよう、特に
企業での能力開発をしよう、こういうことなんですけれども、せっかく教育投資をした者が、回収できないまま、能力は高まったけれどもどんどん移動してしまうのじゃないかというような問題も出てくるだろう。
あれやこれや
考えますと、今までマクロで見て需給
バランスがどうだということ以上に、個々の
労働者がライフスパンを通じてどういう生涯設計、生活設計ができるのかとか、そういうことも
考えていかなくちゃいけないんじゃないかと思うのです。
その中で大きな変化の
一つが、今申し上げた情報化なんですけれども、マルチメディア時代が来るとアメリカでもゴア副大統領が言っている。日本でも二〇一〇年までに各家庭に光ファイバーを通して、それによって経済社会が大きく変わる、これが予想されているのです。
例えば
雇用、これについても在宅勤務とかテレビ
会議、東京と大阪の支店、本店の間を移動しなくても、そこで
仕事が済むとか、あるいは販売も、販売員が各家庭を回って物を売っていたのがテレビ画面でショッピングが済むとか、ホームバンキングができるとか、いろいろバラ色の話がされるのですけれども、光ファイバーができたらこういうふうになりますじゃなくて、むしろ労働政策として将来はこういう
雇用のあり方に持っていこう。
会社に行かないでも、在宅で働けるということがどのくらい今までの労働政策を転換するかと
考えたときに、これは大変な大転換だと思いますので、それをむしろ先取りするような形で、これからの
雇用はこうなります。
したがって、例えば在宅勤務をします、家庭に端末があって、それで
会社とのやりとりがそこで済む、
仕事が済む。そうなりますと、
一つの
会社だけを相手にしなくても、ほかの
会社とも重複して全部情報処理できるようなことになりますから、多重就労というようなこともできるわけです。幾つかの
会社を全部一手に引き受けてその人が働いている。あるいは、
仕事があればそこの端末にぱっと画面が出てそこで
仕事をするのだけれども、いつ
仕事があって、ないのかということが非常にわかりにくくなる。幾つかの
会社から突然
仕事を頼まれたり、頼まれなかったり。そうすると、その人は今失業しているのか、それとも
仕事待ちしているのか非常にわかりにくいとか、安全管理というのが、
会社に行かないわけですから、家庭にいてどうやって安全衛生を管理するのかとか。
そういうふうに
考えますと、
一つは、これからのマルチメディア時代でどういう
雇用形態を目指すのかということと、それに
対応して、全く今の労働法制が変わらざるを得ない。労働基本権という、そういう声も、端末切ったらこれがストライ
キなのかというような、およそ今までと違ってしまうということも含めて、そういう
意味での労働行政のあり方が検討されるべきじゃないかと思いますけれども、何かお
考えがあれば伺いたいと思います。