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鳩山国務大臣 ただいま議題となりました高
年齢者等の
雇用の
安定等に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案理由及び
内容の
概要を御
説明申し上げます。
現在、
我が国においては人口の急速な
高齢化が
進展しており、これに伴い、
労働力人口の
高齢化も急速に進み、二十一
世紀初頭には
労働力人口の四人に一人が五十五歳以上となることが見込まれております。他方、高年齢者の
雇用失業情勢は極めて厳しい
状況にあり、今後、ますます深刻化することが懸念されております。
しかしながら、
我が国の高年齢者は少なくとも六十五歳くらいまでは働くことを希望しているなど就業意欲が極めて高く、また、今後、若年・中年層を
中心に
労働力人口が減少に転ずること等から、
我が国経済社会の活力を維持し、高年齢者が生きがいを持って暮らすことのできる
社会を築くためには、六十五歳に達するまでの
雇用機会を確
保することが喫緊の
課題となっております。このため、今後は、
企業における六十五歳に達するまでの
継続雇用制度の導入を
促進するとともに、高年齢者がその希望に応じ多様な形態により就業し得るための
施策を
推進していくことが求められているところであります。
この問題につきましては、
雇用審議会及び中央
職業安定
審議会における昨年十月以来の検討の結果、同年十二月に
雇用審議会から答申を、また本年一月に中央
職業安定
審議会から建議をいただき、法的
整備の方向が示されたところであります。政府といたしましては、これらの答申及び建議に沿って、六十五歳に達するまでの
雇用機会を
確保する
対策を
推進するための
法律案を作成し、中央
職業安定
審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
次に、その
内容の
概要を御
説明申し上げます。
第一に、六十歳定年の完全定着を図るため、
事業主が定年の定めをする場合には、高年齢者が従事することが困難な業務として
労働省令で定めるものに従事している以外の者については、当該定年は六十歳を下回ることができないことといたしております。従来は努力義務規定になっておりましたものを、六十歳以下の五十五とか五十六という定年は設けることができないとするわけであります。
第二に、
企業における六十五歳に達するまでの
継続雇用の
推進を図るため、
労働大臣は、必要があると認めるときは、
事業主に対し、
継続雇用制度の導入または
改善に関する計画の作成を指示し、また当該計画の変更または適正な
実施に関する勧告をすることができることといたしております。これも従来からある制度ですが、
労働大臣のそのような権限を追加して、より
充実させようと図ることでございます。
第三に、六十歳以上の高年齢者に対し、多様な形態による就業を
促進するため、
労働者派遣法の特例を設けることとし、その
事業の派遣
労働者が六十歳以上の高年齢者のみである場合には、港湾運送業務、
建設業務その他一定の業務を除き、
労働者派遣事業を行うことができることといたしております。
労働者派遣事業の例外として、原則自由とするわけでございます。また、この場合において、派遣期間を原則として一年以内とすることといたしております。
第四に、
労働大臣は、六十歳以上の高年齢者に対し、その
職業経験から得られた知識及び
技能を
活用できる短期的な
雇用機会を提供することを目的とする公益法人を高年齢者
職業経験
活用センターとして指定するとともに、この高年齢者
職業経験
活用センターの健全な発展を図ることを目的とする公益法人を全国高年齢者
職業経験
活用センターとして指定することとし、高年齢者の希望に応じた
雇用機会を提供するための体制を
整備することといたしております。
第五に、
労働者はみずから進んで
高齢期における
職業生活の設計に努めることを法の基本的理念に追加するとともに、
労働者が
職業生活の設計を行う
機会を
確保することについての
事業主の配慮に関する規定を設けることといたしております。また、公共
職業安定所は
労働者の
職業生活の設計について必要な助言または指導を行うことができることといたしております。
この
法律の施行は、第一の部分を
平成十年四月一日から、第三の部分を公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第四の部分を本年七月一日から、第五の部分を本年十月一日からとし、これ以外の部分を
平成七年四月一日からといたしております。
以上、この
法律案の提案理由及びその
内容の
概要につきまして御
説明申し上げました。
何とぞ御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
ありがとうございました。(
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