○入澤
政府委員 たくさんの
質問ですので、まとめて御答弁させていただきます。
まず最初の、地域農業振興
計画に基づく生産性の高い土地
利用型農業を確立するために、組織経営体を含む担い手の育成をどうして図っていくかということでございますが、昨年制定されました農業経営基盤
強化促進法は、これはまさに国からの方針を、普通は法律をつくるときには国の
基本方針というのを出すのですけれども、まさに地域の、地方の方針を十分に尊重しようということで、国の方針という規定を置かなかったのです。
現在、市町村が
基本構想をつくっておりますけれども、この
基本構想を
策定するに当たりましては、農家の
意向を把握するための調査を
実施します。さらに、これは農業政策では当たり前なんですけれども、集落段階での話し合い、これを継続して重ねて行い、地域からの積み上げによってこの
基本構想が
策定されるように努めているところでございます。
このようにして
策定された
基本構想に即しまして、私どもとしましては、各地域でどういう経営体を育成していくかということにつきまして、各地区のモデルをかなり調べております。そういうモデルを各地域に示しまして、この地域ではこういうモデルが適用されないかどうかというふうなことをまずいろいろな機会を通じてPRしているわけでございます。
例えば、個別経営で土地
利用型の担い手が存在する地域では、これらの経営体として兼業農家が個別経営に稲作の基幹的な作業を全部ゆだねる、そして残った兼業農家の
人たちはほかの作物、換金作物、野菜とか花に切りかえていく、そして全体として生産性の高い土地
利用型農業をやっていこうじゃないかというようなケース。
それから、個別経営が施設型農業に特化している地域、こういうところでは、土地
利用型農業につきましては、生産組織のオペレーターグループ、こういうものが法人等の組織経営体を形成いたしまして地域の土地
利用型農業を担っていくというところがございますが、そういうケースを適用するところはそのようなことを参考にしてやっていくわけです。
それから、担い手が極端に不足している地域、こういうところでは、集落等を
基礎とした農用地
利用改善団体あるいは農協が地域の合意に基づきまして農業経営を
推進する。例えば集落営農と言っておりますけれども、農協が土地
利用計画を
定めて、さらに機械の効率的な
利用計画を定めて、
利用権と所有権と全く分離した形で地域の土地
利用型農業を行うというふうなケースもございます。
いろいろなケースを示しまして、あなたの地区はどういうケースがふさわしいのかということを指し示しながら、指導しながら担い手の育成を図っていくというふうなきめの細かい指導体制をつくっているわけでございます。
それから、農業農村活性化農業構造
改善事業を積極的に進める必要があるということでございまして、この
事業は、地域の創意工夫と主体的
取り組みを
基本に、地域の立地条件に即した農業、農村の活性化を
推進することを目標といたしまして、
平成二年度に発足して以来
平成五年度まで約六百地区で
事業を
実施しております。着実な
事業がなされているわけでございます。
特に、
平成六年度
予算におきましては、新政策で経営マインドを持った、経営感覚にすぐれた農業の担い手を育成していくんだというふうなことがうたわれましたので、これに対応するようなメニューをつくろうじゃないかということで、簡単な土地基盤
整備とかあるいは施設
整備等を集中的かつ短期間、我々二年間を予定していますけれども、二年間で
整備する農業経営育成促進農業構造
改善事業、こういうものもこの農業農村活性化農業構造
改善事業のメニューの一つに加えまして実行しているところでございます。
それから、農地保有合理化促進
事業とか農作業受委託
事業などJAの機能を十分に発揮できるようにしたらどうかということでございまして、これはまさに昨年八月に施行されました農業経営基盤
強化促進法におきましては、市町村が
策定する
基本構想の中で、農地保有合理化法人たる農業協同組合というのをきちんと位置づける。そして、その農地保有合理化法人である農協に、従来から
実施してきました農用地等の賃貸借
事業に加えまして、新たに農用地の売り渡し信託の引き受けとか、あるいはあわせて信託の委託者に対して資金を貸し付ける
事業、農地信託等
事業と言っていますが、こういうことを行わせる。あるいは、借り受けた農用地等を
利用して、新たに農業経営を営もうとする者に農業の
技術とか経営方法を実地に研修する
事業、これを創設したところでございまして、このようなことを農協にもやってもらうということで、農協の機能を十分に生かそうとしているわけでございます。
さらに、農業協同組合は、従来から農作業の受委託のあっせんとか農作業の受委託の組織化の
推進等をやっておりますけれども、こういうふうな
事業を拡充
強化するということでございます。現在のところ、農地保有合理化法人たる農協は、
平成四年度末二百六十八、そして具体的に
事業を
実施している農協は百二十五に達しております。いずれにしましても、農協の機能を十分活用しながら、農地保有合理化
事業等を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
それから、土地改良長期
計画を
推進していく中で農家負担の軽減をどうするかということでございますが、これにつきましても着実に制度を拡充しております。具体的には、
事業費単価の抑制措置を図るとか、あるいは国費を一千億円積みまして、それを使いながら農家の毎年の平均償還額を引き下げていくとか、あるいは補助率の関係では、
平成五年度から圃場
整備事業につきまして補助率を五〇%にかさ上げした
事業とか、あるいは土地改良負担金の一部に無利子資金を導入する
事業、こういうような
事業も創設いたしまして、可能な限りの手段を駆使して農家負担の軽減に努めているという状況でございます。