○深谷
委員 私は、本日は、
細川証人に対して心を痛めながら
質問することをまず申し上げたいと思う。
私は、連立政権誕生以来、野党自民党を代表して五回
質問に立ちました。時の
総理であったあなたに対して、さまざまな角度から政策論を展開し、日本の行方を誤らせぬように厳しく論及し、また提言もいたしてまいったつもりです。あなたの
個人的な
疑惑が大きくクローズアップされている最中でも、私は政策論に終始して、ただの一度もあなたの
疑惑についての追及をしたことはないのであります。
それは、同じ
政治家として私情においてちゅうちょする心があったからです。それは、あなたに対して
疑惑を追及した自由民主党そのほかの同僚議員にしても思いは同じであったろうと考えます。心のどこかで、一日も早く、
細川さん、あなた
自身がみずからの言動で
疑惑を解消してほしいものと願っているのでございます。
しかし、
予算委員会やその他の公的場においても、残念ながら、あなたは誠実にあるいは積極的に事態の解明をなされたとは思えないのでございます。そしてついに去る六月十五日、あなたの元
秘書深山正敏氏の
証人喚問となって、むしろかえって
疑惑は深まって本日のあなた
自身の
証人喚問という不幸な事態となってしまったのでございます。
今、日本新党の
鮫島さんから御
質問があって、立場が変わるとこんなにまで言い方が違うのか、驚いてしまいました。私たちは
予算委員会でさまざまな議論をいたしてまいりましたが、大事な
予算に関しては、いかに短時間で上げようか、
委員長を中心に渾身の努力を果たしてまいったつもりであります。あたかも
疑惑解明のために
予算をそっちのけにしたような言い方をされることは、私は断じて誤りであるということを指摘申し上げたいと思うのであります。
もともと政界の浄化を旗印にして
細川さんは連立政権を組みました。腐敗を防止するということ、それがいわば
政治改革論となって
国民の支持を受けてまいったのであります。ところが、そのさっそうと
総理大臣になられたあなたに、あなた
自身に
個人的な
疑惑が広がってきた。そして、やがて
総理をそのためにやめざるを得ない状態になって、今日このような形で相対さなければならないことになったのでございます。
一国の
総理を務めた方の種々の
国会での
発言が多くの偽りを含んでいる、そして今もなお解明されてはおられないとするならば、これをただして真実を明らかにすることは、我々
政治の道を歩む者の大きな
責任ではないかと私は思います。
ここにあなた
自身がお書きになった論文がございます。これは文芸春秋というところにあなたがお書きになった「君子なくんば治まるなし」というタイトルの論文です。
これまでも自民党の腐敗や金権体質について
はさまざまにいわれてきましたが、金丸さんの
逮捕を契機として改めて
政治家の資質について
考えさせられました。こういう出だしで、途中略しますけれども、
かつて鎌倉時代の執権だった北条泰時は、
ことしげき 世のならひこそものうけれ
花の散りなん春も知られず
と詠んでいます。つまり、政務に没頭してい
るうちに、梅の花も散り、桜もいつか咲きそし
て散っていったことすら気づかなかった。襖を
開けて花の気配にも気づかぬほど、なんとまあ
せわしなく時を過ごしたものか、という感慨を
歌にしたものです。それに比べて、今の
政治家
は賭けマージャンとゴルフばかり。こうした政
治家に対する
国民の不信、嫌悪は日に日に深
まっている。誰がとはいわないが、ケジメをつ
けるべきだと思われる人も誰もケジメをつけよ
うとしない。
政治に怒りを感じるのは当然では
ないでしょうか。こう書かれている。
「今の
政治家は賭けマージャンとゴルフばかり。」この言い方は甚だしく侮辱であります。私はマージャンすらできない
政治家の一人です。そして、その後にあなたが言われた「ケジメをつけるべきだと思われる人も誰もケジメをつけようとしない。」私はこのあなたの立派な論文をそのままあなたにお返しいたしたいと思うのであります。このことをそのままあなたにお返しすることによって、本日の喚問の意味は、あなたはもちろん、
国民の皆さんもおのずから御理解いただけると思うからでございます。
さて、
質問の第一は、あなたが去る四月八日、突如
総理大臣の
辞任記者会見を行ったことについてであります。
昨年十二月に編成すべき
平成六年度
予算を、あなたは
政治改革法案を実現するためにと越年をさせました。財政法に基づいて一月には
国会に上程すべき
予算も同じ理由でおくらせて、ついに三月四日に提出するという、政権担当者としては驚くべき怠慢ぶりを見せたのです。先ほどの
鮫島議員の御
発言は、ですから全く事実に反している。
しかも、そのころは既に
細川疑惑が
国会でもマスコミでも大きくクローズアップされて、まさにその頂点に達しておりました。当
委員会でも、
疑惑解明のための
資料要求や
証人喚問を激しく求めておりましたが、あなたはことごとくこれを拒否して、結局は
予算委員会の扉を開くことを拒み続けたのであります。
深山喚問について、ただの一度も拒否したことはないとおっしゃるが、何回あなたの
発言としてマスコミをにぎわせてきたことか、そのことはあなたはよもやお忘れではないと思うのであります。
その結果、
予算の
審議は行われないままに、いわば
予算は人質にされたままの状態でいたずらに日時が流れていってしまったのです。あなたの突然の
辞任は、ついに
予算をも投げ出す結果となってしまいました。これは政権
責任者としては決して許されない暴挙だと私は思います。このようなことは当然あなたは自覚しておられたはずなのです。しかしそれでも
辞任をされた。よほど差し迫った理由があったからではないかと思うのです。
なぜあなたは大切な
予算までほうり投げておやめになったのか、改めてこの場で
お尋ねをしたいと思います。