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若林委員 総理のお
立場もあり、御答弁は了といたしますけれども、今年度
実施いたしました
所得税の
減税、これを一年でやめるわけにいかないじゃないかというその
お話の
部分であります。
それならば、これは
景気対策のために講じた
措置でありますから、
景気対策としてこの
所得税減税が最も
効果的であるには、そしてまた
効果を上げるには最低どのぐらいの
減税でいくべきかといったようなことを、まずそこのところをしっかり詰めた上で第二弾に入っていかないと、
景気対策でとりあえず講じたその
減税枠を、それはそのまま続けなきゃいけないからといって、かねていろいろと御論議のあります
所得税の
累進税率のところをそれで置きかえて、そして
高齢化社会に備えるためということで、その分も含めまして
増税をここで図っていく、こういうことが私は納得がいかないわけでございます。
公共投資の
長期計画百五十兆円の追加問題につきましては、これは現実の問題として、現に
政府が着実に進めてきております各種
公共事業の伸びからしまして、四百三十兆円というのは、もう着物としては小さいんですね、体が大きくなってきているんですよ。だから、そういうことを
財政当局も率直にお認めになりながら
景気対策としてのその
効果も
考えて、これをはっきりと早く打ち出すということが
景気対策としては
大変効果的である、こういうふうに私は思うのでございます。
税制について抜本的に、総合的に見直すという意気込みはわかるわけですけれども、しかし、税調の
答申、そしてまたその後の最終
答申に向かっての税調の論議、過日出された
試算などを総合的に見ますと、私は、今やろうとしていることは決して抜本的な
税制改正ではないんじゃないかという気がするのです。それは、
消費税率を三%からあるいは七%ないし一〇%と大幅に上げるということは、税務当局からすれば思い切った話だし、
国民からすれば大変迷惑なことでありますから、まあ抜本だ、こう言いたくなるのかもしれません。
しかし、今我々が当面している問題の中で、
高齢化社会に備えた、とりわけ老人介護を含む
福祉対策、あるいはまた子供が少なくなっております、御婦人が仕事、職場にどんどん進出しています。そういう
意味で、幼児の育児の諸対策、これから膨らんでくるでありましょう。そういう問題は、詰めていきますと住民の生活と密着した
地方公共団体が心を通わせて
実施していかなきゃならない新しい行政分野だ、こういうふうに私は思うのですね。
そのときには、どこまでが国の
負担であり、どこまでが地域の
負担であり、どこまでが民間活力などを活用した私的な
負担でカバーしていくのかといったのは大問題だと思うのです。家庭のあり方とか地域におけるコミュニティーのあり方とか、そういうことと非常に関係があるのですね。
そういうような、
地方公共団体のレベルで大変深い関係があると同時に、一方、
政府はかねて
地方分権に御熱心であります。衆参両院でも昨年は
地方分権を促進しろという決議が行われておる。そして、当院においても
地方分権推進の特別
委員会までも設けているのですね。私もその
理事をやっておりますが、まだ一回しがやっておらないということは甚だ残念なことだと思いますけれども、しかし、
政府は今年中に
地方分権の推進のための基本
方針を定めて基本法までつくろう、こういう意気込みでおられるわけですよ。我々もそうしたいと思っている。
そうだとすれば、まさに今の福祉のあり方などというのは
税制と非常に密着するのですね。
地方自治の能力を高めて
地方分権を進めるということであれば、もっともっと
地方の都道府県なり市町村なりが自主
財源を持たなければいけない。その自主
財源のためには、自主的に判断できる、また努力して納めていただく
地方の税源を持たなければならないと私は思うのですよ。
いろんな
地方分権の進め方はありますけれども、機関委任事務をできるだけ都道府県におろすとかあるいは都道府県の判断でやらせるとかといっても、その行政を実行していくための
財源が、国に首根っこを押さえられて国の言うとおりになっているのでは本当の
地方自治というのは伸ばすわけにいかない、このように思うのです。
まあ、
地方自治の問題はまた大いに論ずる場面があると思うのですけれども、そういう問題を、今年の末には
方針を決めて基本法までつくろうというそういう
政府の意気込みでしょう。そんなときに、この
税制抜本改正と称する今の
検討の中では、本当に思い切った国税、
地方税の税のあり方、あるいは国税から思い切って
地方税に持っていっちゃう。私なんかはかねて
消費税、今ある
消費税ですよ、今ある
消費税をすっぽり都道府県税にしたらいいじゃないかと。国の税
財源の減少については、また別の
見直しの中で国の税
財源を
考えていく。
消費税などというのは、言ってみれば最も住民と密着したところでありますし安定
財源ですから、だから福祉をどんどんと自治体に任せてやっていくということであれば、今ある
消費税の根っこから全部自治体に持っていく、都道府県税にするといったようなことこそが実は抜本改正なんじゃないか、こう思うのであります。
肝心の、今当面しておりますこの大きな政治
課題にこたえようとしていない
税制改正というのは、羊頭狗肉で、私は抜本改正だと思いませんし、そういう中で進められております今の
消費税の
税率の引き上げについては、私は反対でございます。
そこで、このような問題ばかりをやっているわけにはまいりませんので、私の
考えを述べさせていただいて、どうか
総理、大蔵
大臣、自治
大臣等におかれましては、これらの意見も十分念頭に置いて今後の
税制改正作業に取り組んでもらいたい、こう思います。
次に、
公共料金の引き上げのストップについてお伺いしておかなければなりません。
総理は、五月十八日に突然
公共料金の引き上げ年内ストツプを関係閣僚に指示をされました。官房
長官は、
総理が蛮勇を振るったんだということで、いかに
総理が指導性のあるリーダーであるかということを、英断であるというような形でPRをしておられました。確かに、民間企業が今不
景気の中リストラで苦しい努力を続けておりますし、賃上げも思うような結果が得られない、こういう苦しい
状況の中で、郵便料金だとかあるいは電話料金などが次々に値上げをされてきたということへの反発というのは大変なものでございます。
こういうことをそのままにしておけば、ことし
実施された
所得税減税の
景気効果といいますか、消費
拡大に対する
効果も目減りしてくるだろうというふうに思われるわけであります。でありますから、
公共料金の引き上げについては一つ一つ厳正に厳しく審査、対応をしていく。その算定基礎であります原価計算の中の各種原価について厳しい切り込みをするというようなことを、それぞれつかさつかさできちっとやれということは当たり前のことでございます。
しかし、これを一律に凍結するということについてはいろんな問題があると私は思うのでございます。後ほどそれを申し上げますけれども、それを担当
大臣にも十分
検討の時間を与えないで
総理が突然に決定してしまうというのは、まさに蛮勇ではありますけれども、決して褒められるやり方ではなかったんではないでしょうか。
私は、
総理がこのようなことをお決めになるのに、決して人気取りを
考えてやられたとは思いま
せん。
総理のお人柄なり今までの経験なりについて大変高く評価をいたしております。しかし、この決定に当たって、
総理は一体だれと御相談になりましたですか。