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1994-05-31 第129回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年五月三十一日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 月原 茂皓君 理事 山田  宏君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    小野 晋也君       越智 伊平君    金田 英行君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       東家 嘉幸君    松下 忠洋君       村田敬次郎君    村山 達雄君       谷津 義男君    柳沢 伯夫君       若林 正俊君    岡島 正之君       川端 達夫君    工藤堅太郎君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       田名部匡省君    高木 義明君       長浜 博行君    二階 俊博君       山本 幸三君    秋葉 忠利君       伊東 秀子君    坂上 富男君       鉢呂 吉雄君    細川 律夫君       三野 優美君    赤羽 一嘉君       東  祥三君    石井 啓一君       上田  勇君    北側 一雄君       谷口 隆義君    西  博義君       渡海紀三朗君    穀田 恵二君       佐々木陸海君    正森 成二君       松本 善明君  出席国務大臣        内閣総理大臣   羽田  孜君        法 務 大 臣  中井  洽君        外 務 大 臣  柿澤 弘治君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        文 部 大 臣  赤松 良子君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   畑 英次郎君        運 輸 大 臣  二見 伸明君        郵 政 大 臣  日笠 勝之君        労 働 大 臣  鳩山 邦夫君        建 設 大 臣  森本 晃司君        自 治 大 臣        国家公安委員会        委員長      石井  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 熊谷  弘君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  石田幸四郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       佐藤 守良君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  神田  厚君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       寺澤 芳男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近江巳記夫君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  浜四津敏子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  左藤  恵君  出席政府委員        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第一        部長       津野  修君        警察庁警備局長  菅沼 清高君        総務庁行政管理        局長       八木 俊道君        総務庁行政監察        局長       田中 一昭君        北海道開発庁総        務監理官     加藤  昭君        防衛庁長官官房        長        宝珠山 昇君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁経理局長  秋山 昌廣君        防衛施設庁長官  米山 市郎君        防衛施設庁総務        部長       草津 辰夫君        防衛施設庁施設        部長       江間 清二君        防衛施設庁建設        部長       森本 直孝君        防衛施設庁労務        部長       小澤  毅君        経済企画庁物価        局長       谷  弘一君        経済企画庁総合        計画局長     吉川  淳君        環境庁長官官房        長        大西 孝夫君        環境庁企画調整        局長       森  仁美君        環境庁自然保護        局長       奥村 明雄君        国土庁計画・調        整局長      糠谷 真平君        国土庁地方振興        局長       秋本 敏文君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        法務省人権擁護        局長       筧  康生君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  林   暘君        外務省アジア局        長        川島  裕君        外務省北米局長  時野谷 敦君        外務省経済局長  原口 幸市君        外務省条約局長  丹波  實君        大蔵省主計局長  篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省関税局長  高橋 厚男君        国税庁次長    三浦 正顯君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文部省初等中等        教育局長     野崎  弘君        文部省体育局長  奥田與志清君        厚生大臣官房総        務審議官     佐々木典夫君        厚生省老人保健        福祉局長     横尾 和子君        厚生省年金局長  山口 剛彦君        農林水産大臣官        房長       高橋 政行君        農林水産省経済        局長       東  久雄君        農林水産省構造        改善局長     入澤  肇君        農林水産省農蚕        園芸局長     日出 英輔君        食糧庁長官    上野 博史君        林野庁長官    塚本 隆久君        通商産業大臣官        房審議官     稲川 泰弘君        運輸省運輸政策        局長       豊田  実君        運輸省航空局長  土坂 泰敏君        郵政大臣官房長  木村  強君        郵政大臣官房財        務部長      楠田 修司君        郵政省放送行政        局長       江川 晃正君        労働大臣官房長  征矢 紀臣君        労働省職業安定        局長       七瀬 時雄君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省都市局長  黒川  弘君        建設省河川局長  豊田 高司君        建設省道路局長  藤川 寛之君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      佐野 徹治君        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君  委員外出席者        予算委員会調査        室長       堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     小野 晋也君   綿貫 民輔君     松下 忠洋君   伊東 秀子君     秋葉 忠利君   石井 啓一君     上田  勇君   北側 一雄君     西  博義君   谷口 隆義君     赤羽 一嘉君   穀田 恵二君     佐々木陸海君   松本 善明君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     金田 英行君   松下 忠洋君     綿貫 民輔君   秋葉 忠利君     伊東 秀子君   赤羽 一嘉君     谷口 隆義君   上田  勇君     石井 啓一君   西  博義君     北側 一雄君   佐々木陸海君     穀田 恵二君   正森 成二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     中山 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
  3. 若林正俊

    若林委員 羽田総理、おめでとうございます。もう御就任以来一カ月を超えまして、大変な御奮闘ぶりで敬意を表する次第でございます。  私は、大変複雑な気持ちでこの席に立っております。総理は御記憶でございましょうか。まだ私が当選間もないころでありました。総理地元をお訪ねして、総理後援会の若孜々会の会に出席をしたことがあります。その若孜々会で私は、羽田さんは必ず総理大臣になる人だ、またそうしなければならない、私も微力でありますが応援をさせていただいて、総現実現の暁にはお役に立ちたいと思っていると言って、やんやの喝采を浴びたのを思い出すわけでございます。  しかしながら、時移ろいて、今日こうして野党という立場総理に御質問をすることになったわけですが、羽田内閣誕生、大変に難産でございました。長野県としては初めての総理大臣誕生でございまして、県民の一人として、またかねてから農林業、農山村に情熱をかけてこられた羽田総理の御指導をいただき、同志として、また公私ともに親しくおつき合いいただいた友人としても、心からお祝いを申し上げる次第でございます。また、御期待も申し上げております。  それにしても、この内閣誕生のときから、短命だ、こう言われたりしておりまして、地元では、羽田さんはかわいそうだな、残念だな、羽田さんはいい人なんだけれども、どうもついている人によくない人がいる、運がないな、こんなことが言われておりまして、そんな声が私の耳にも入ってくるわけであります。しかし総理、どうか、いつも総理がおっしゃっておられますように、一日一生の気持ちで、御自分の信念に基づいて頑張っていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  さて、きょうは農政の基本問題について、総理大臣及び農林水産大臣を初め各大臣に御質問をいたします。しかし、その前に税制改革、それからさきの公共料金の引き上げの凍結などについて若干意見を申し上げ、総理を初め関係大臣のお考えをただしておきたい、このように思います。  まず、税制改正についてでございます。  羽田内閣は、細川内閣方針を引き継ぎまして、所得税減税消費税大幅増税を基本とする税制抜本的改革をこの六月中に結論を出して、年内に法案の成立を図りたい、こういう方針を明らかにしていますが、その方針に変わりはございませんか。
  4. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まさに所得税減税は、特別の措置といたしましてもう既に実施がされておるということでありまして、これをもし中止するということになりますと、来年度からはまた税を上げなければならぬ、所得税を上げなければいけないということになろうと思っております。  そのためのものもありますし、もう一つは、直接税、間接税、これからのいわゆる高齢化社会というものを迎えるに当たって、個人の所得課税というものについては、これは軽減する、しかし消費課税の充実を図るという中で対応することはやはり避けて通れない問題であろう、課題であろうというふうに考えております。
  5. 若林正俊

    若林委員 羽田内閣は、申すまでもなく、少数与党内閣であります。自由民主党が安定多数の与党であったときですら、国民に新しい税負担を求めるということは容易なことではございませんでした。国民生活に直結をしているという意味で、この税制問題はまさに政治そのものと言っても過言ではないと思います。現在の不安定なこの政治経済もとで、なぜこの六月中にとその結論を急ぐのでしょうか。  昨年の十一月に出されております政府税制調査会中間答申の中で「なぜいま税制総合的見直しが必要なのか」という項がございます。それを読んでみましても、平成元年抜本的税制改革以後の経済社会の推移でありますとか、あるいは地方・国を通じて苦しい財政事情などがいろいろと述べられているのですけれども、仮に税制改正がそのような意味で必要であるとしましても、なぜことしてなければならないのか、なぜ六月中に結論を出さなければならないのか、その緊急性答申の中でも明らかに読み取ることができないのであります。六月中に結論を出して、それで国民に信を問うというおつもりなんでしょうか。そうであるならば、それは民主主義の原点に則した決断だ、このように評価できるのですけれども、総理、その点はどうでしょうか。
  6. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、もうこれは若林委員案内のとおり、やはり平成六年分の所得税特別減税、このための臨時措置法、これをやりましたときに、第五条として「平成七年分以後の所得税については、速やかに、税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税減税を行うものとする。」「国は、前項の税制改革を行うに際し、あわせて行政経費の一層の節減に努めなければならない。」という指摘をされながら、実はこれが全会一致で修正されておるということでありまして、またこの所得税減税についても、これは一年限りのものにしないというような考え方もとにこういったものがなされたんだろうというふうに考えております。  それと同時に、いずれにいたしましても、今日非常に厳しい財政事情にあるということ、加えて、次の世代にやはり今のうちに備えなきゃならぬということ、あるいは公共事業等積み増し等考えなければならぬということは、これは各党 からも御指摘のあるところでございまして、そういったものに対してきちんと対応するということはどうしても必要なことであろうというふうに考えております。  ただ、今この六月にあれして直ちに、じゃ信を問うのかということ、そこまで私は考えておりませんけれども、しかし、我々、この前の選挙のときにも、こういった難しい問題については先送りしないということ、税制なんかについても、私なんかは各地でお話を申し上げてきたことであります。
  7. 若林正俊

    若林委員 税法を成立させるときに、与野党一致附帯決議を付したということも承知はいたしております。しかし、今政府考えているような形の税制改正を実行するということであれば、この六月に急いで結論を出されるとすれば、これはそのこと自身国民に信を問うだけの十分なる重みのある内容ではないか、このように私は思うわけでございます。  私は、この六月にということで急いでいる理由は次のような事情にあるのではないかと自分なりに考え推測しております。  平成六年度に景気対策として五兆五千億円余の所得税減税などを、実は財源の見通しのないまま実施をしてしまったわけであります。しかも、そのときの所得税減税は一律二〇%というような安易な方法をとったというふうに私は思っております。  一方、日米包括経済協議で、マクロ経済政策として、この減税規模を二年ないし三年は続けるということを事実上どうも約束してしまったんではないか、こんなふうに推測しているわけでございます。そこで、日米包括経済協議を再開して日米経済摩擦を解決するためには、七月十日のナポリ・サミット前に、米国に対して所得税減税の継続について正式に回答をしなければどうもうまくいかないといったような事情が背景にあるのではないか、こんなふうに私は推測をいたしているわけであります。  その場合には、どうしても国内の問題として、今の財政事情からいいますと、その財源を明らかにしておかなければならない、その財源として間接税、まあ消費税でありますけれども、その消費税増税しかない、こういうふうに思い詰めておられるのではないかな、こう思っております。  さらに申し上げれば、それだけでは国民の納得がなかなか得られないということで、かねてから問題になっております、子供が少なくなってくる、高齢者が多くなってくるという、こういう社会におきます福祉対策財源に充てていくんだ、そしてまた所得税累進構造見直しをしなければならないんだといったようなことを、いわば抜本税制改革の装いのもとに一挙に消費税税率を大幅に引き上げよう、そして財政健全化を決めてしまおうという、そういう意図があるのではないか、このように考えているわけであります。私に言わしめれば、これは余りにも欲張った話ではないかな、こう思うのでございます。  このような欲張った話をしゃにむに押し通していきたいという、そういう意図で、去る五月二十七日に大蔵省税制調査会財政収支試算、七%から一〇%という消費税税率前提として、機械的計算という形で資料を出されたわけでございます。税調内部からもあるいは与党内部からも大変な異論が出まして、意図的誘導ではないかという批判も受けながら、さらに六%、また与党筋には五%、四%といったような試算も出さざるを得ないというような状況になっていると聞いているのでございます。私はこの試算を見ながら、その前提に余りにも問題が多過ぎるな、こう考えております。  例えば、自然増収はその中に入れておりません。また社会保障老人対策を中心としてですが、その社会保障におきます公的負担について、そのあり方が詰められていない。そして、減税分として六兆二千億というものを対象にしているんですけれども、法人特別税とか相続税などの減税分なども、これまた六兆二千億の中に入れている。しかし一方、酒税とか交際費課税などの増税分は何か落として全体の財政試算をつくっているというように、どうも、財政健全化を図りたいという気持ちはよくわかるんですけれども、何か財政事情を改善するということを余りにも強く意識して出しているように思っております。  私は、このような強引な進め方は、実は羽田総理自身の性格やらあるいは政治手法にどうも合わないように思えてなりません。もとをただせば、細川内閣景気対策に失敗をし、そして日米包括経済協議も行き詰まってしまった、そういう事情にあるのかな、こんなふうに推測をしているわけであります。  でありますから、私は、まず羽田内閣が最優先でやらなければならないのは景気対策ではないか、このように思います。平成六年度の予算を今国会中に一日も早く成立させるということは当然でありまして、与野党ともどもに努力をしているわけでありますが、この予算が通ったということだけで景気がよくなるというほど、そう生易しい状況ではありません。  実は、五月二十七日の当委員会で同僚の町村委員指摘をしておりますように、私は、やはり投資をもっと高めなきゃいけないし、そのためには、当面民間投資に多くを期待できないわけですから、公的投資を膨らませなきゃならないだろう、こう思うのです。公的投資の、公共投資長期計画、これが四百三十兆でありますけれども、少なくとも今までの公共事業伸びぐあい、今までの傾向などから見ますと、あと百兆円ぐらいは乗せられるんじゃないか、また乗せるんじゃないかというふうに思っておるんです。そこで、思い切ってここで、アナウンスメント効果もありますし、事実やろうと思えばできるわけでありますから、少なくとも百五十兆円ぐらい膨らませて、全体の公共投資長期計画を五百八十兆円に拡大をする。  その対象として、かねて問題であります整備新幹線でありますとか空港の整備でありますとかあるいは通信情報ネットワーク基礎科学技術研究といったような、いわゆる新社会資本と言われるような部分も拡充をして積極的な公共投資拡大を明らかにしていく。このことはかなり大きな評価を得られますし、こういう積極的な姿勢ということが景気マインドにも大変効果があるのではないか、こんなふうに私は考えているのでございます。  まず、この公共投資の百五十兆円の追加につきまして、総理の御見解を伺いたいと思います。
  8. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 大変広範にわたってのお話がありましたけれども、質問公共投資ということでありましょう。  ただ、要するにサミットに向けてこれをやらなきゃいけないから急ぐんじゃないのか、増税を合わせたこの税制改革を急ぐんじゃないのかというお話でありますけれども、これは実際に特別措置でやっておるということはもう御案内のとおりでありますから、これをもしやめれば今度は増税になってしまうということになろうと思っております。それではやはり中年の働き盛り人たち負担というのはまたもとへ戻ってしまうということになりますから、私ども、そういったものを抜本的に改革をするということは、これはやはりこの措置をやったときの課題、宿題であろうというふうに私は受けとめて、細川政権時代に取り組んだものをやっていかなきゃならぬというふうに思っておるわけです。  それから、今お話のあった景気対策ということでありますけれども、これは、確かに景気に大きく刺激になることは間違いない。しかし、景気というだけでなくて、やはり将来の日本の社会資本、特に高齢化社会なんかを迎えたときにはなかなかそれに対応できない、今のうちにやはりやっておけというのが若林委員の思いだと思うのです。私も全くそれは同じような考えを持ちます。  その意味で今、新社会資本という考え方を述べられましたけれども、その定義はともかくといたしまして、やはりこれからの時代に、今のうちに 基盤整備しておかなきゃならない問題、そして基礎科学を初めとする研究施設等についてもやはり考えなきゃならぬということ、私もその考え方というのはやはり正しい考え方だろうと思っております。  それにつきましては、経済企画庁の方でこれからどうこれに対して対応するのか、せっかく今御検討中であるということでありますけれども、今御指摘のあったことも、当然大臣長官もお聞きになっておりますので、そういったこともよく考えながら対応していきたいというふうに考えます。
  9. 若林正俊

    若林委員 総理のお立場もあり、御答弁は了といたしますけれども、今年度実施いたしました所得税減税、これを一年でやめるわけにいかないじゃないかというそのお話部分であります。  それならば、これは景気対策のために講じた措置でありますから、景気対策としてこの所得税減税が最も効果的であるには、そしてまた効果を上げるには最低どのぐらいの減税でいくべきかといったようなことを、まずそこのところをしっかり詰めた上で第二弾に入っていかないと、景気対策でとりあえず講じたその減税枠を、それはそのまま続けなきゃいけないからといって、かねていろいろと御論議のあります所得税累進税率のところをそれで置きかえて、そして高齢化社会に備えるためということで、その分も含めまして増税をここで図っていく、こういうことが私は納得がいかないわけでございます。  公共投資長期計画百五十兆円の追加問題につきましては、これは現実の問題として、現に政府が着実に進めてきております各種公共事業の伸びからしまして、四百三十兆円というのは、もう着物としては小さいんですね、体が大きくなってきているんですよ。だから、そういうことを財政当局も率直にお認めになりながら景気対策としてのその効果考えて、これをはっきりと早く打ち出すということが景気対策としては大変効果的である、こういうふうに私は思うのでございます。  税制について抜本的に、総合的に見直すという意気込みはわかるわけですけれども、しかし、税調の答申、そしてまたその後の最終答申に向かっての税調の論議、過日出された試算などを総合的に見ますと、私は、今やろうとしていることは決して抜本的な税制改正ではないんじゃないかという気がするのです。それは、消費税率を三%からあるいは七%ないし一〇%と大幅に上げるということは、税務当局からすれば思い切った話だし、国民からすれば大変迷惑なことでありますから、まあ抜本だ、こう言いたくなるのかもしれません。  しかし、今我々が当面している問題の中で、高齢化社会に備えた、とりわけ老人介護を含む福祉対策、あるいはまた子供が少なくなっております、御婦人が仕事、職場にどんどん進出しています。そういう意味で、幼児の育児の諸対策、これから膨らんでくるでありましょう。そういう問題は、詰めていきますと住民の生活と密着した地方公共団体が心を通わせて実施していかなきゃならない新しい行政分野だ、こういうふうに私は思うのですね。  そのときには、どこまでが国の負担であり、どこまでが地域の負担であり、どこまでが民間活力などを活用した私的な負担でカバーしていくのかといったのは大問題だと思うのです。家庭のあり方とか地域におけるコミュニティーのあり方とか、そういうことと非常に関係があるのですね。  そういうような、地方公共団体のレベルで大変深い関係があると同時に、一方、政府はかねて地方分権に御熱心であります。衆参両院でも昨年は地方分権を促進しろという決議が行われておる。そして、当院においても地方分権推進の特別委員会までも設けているのですね。私もその理事をやっておりますが、まだ一回しがやっておらないということは甚だ残念なことだと思いますけれども、しかし、政府は今年中に地方分権の推進のための基本方針を定めて基本法までつくろう、こういう意気込みでおられるわけですよ。我々もそうしたいと思っている。  そうだとすれば、まさに今の福祉のあり方などというのは税制と非常に密着するのですね。地方自治の能力を高めて地方分権を進めるということであれば、もっともっと地方の都道府県なり市町村なりが自主財源を持たなければいけない。その自主財源のためには、自主的に判断できる、また努力して納めていただく地方の税源を持たなければならないと私は思うのですよ。  いろんな地方分権の進め方はありますけれども、機関委任事務をできるだけ都道府県におろすとかあるいは都道府県の判断でやらせるとかといっても、その行政を実行していくための財源が、国に首根っこを押さえられて国の言うとおりになっているのでは本当の地方自治というのは伸ばすわけにいかない、このように思うのです。  まあ、地方自治の問題はまた大いに論ずる場面があると思うのですけれども、そういう問題を、今年の末には方針を決めて基本法までつくろうというそういう政府の意気込みでしょう。そんなときに、この税制抜本改正と称する今の検討の中では、本当に思い切った国税、地方税の税のあり方、あるいは国税から思い切って地方税に持っていっちゃう。私なんかはかねて消費税、今ある消費税ですよ、今ある消費税をすっぽり都道府県税にしたらいいじゃないかと。国の税財源の減少については、また別の見直しの中で国の税財源考えていく。  消費税などというのは、言ってみれば最も住民と密着したところでありますし安定財源ですから、だから福祉をどんどんと自治体に任せてやっていくということであれば、今ある消費税の根っこから全部自治体に持っていく、都道府県税にするといったようなことこそが実は抜本改正なんじゃないか、こう思うのであります。  肝心の、今当面しておりますこの大きな政治課題にこたえようとしていない税制改正というのは、羊頭狗肉で、私は抜本改正だと思いませんし、そういう中で進められております今の消費税税率の引き上げについては、私は反対でございます。  そこで、このような問題ばかりをやっているわけにはまいりませんので、私の考えを述べさせていただいて、どうか総理、大蔵大臣、自治大臣等におかれましては、これらの意見も十分念頭に置いて今後の税制改正作業に取り組んでもらいたい、こう思います。  次に、公共料金の引き上げのストップについてお伺いしておかなければなりません。  総理は、五月十八日に突然公共料金の引き上げ年内ストツプを関係閣僚に指示をされました。官房長官は、総理が蛮勇を振るったんだということで、いかに総理が指導性のあるリーダーであるかということを、英断であるというような形でPRをしておられました。確かに、民間企業が今不景気の中リストラで苦しい努力を続けておりますし、賃上げも思うような結果が得られない、こういう苦しい状況の中で、郵便料金だとかあるいは電話料金などが次々に値上げをされてきたということへの反発というのは大変なものでございます。  こういうことをそのままにしておけば、ことし実施された所得税減税景気効果といいますか、消費拡大に対する効果も目減りしてくるだろうというふうに思われるわけであります。でありますから、公共料金の引き上げについては一つ一つ厳正に厳しく審査、対応をしていく。その算定基礎であります原価計算の中の各種原価について厳しい切り込みをするというようなことを、それぞれつかさつかさできちっとやれということは当たり前のことでございます。  しかし、これを一律に凍結するということについてはいろんな問題があると私は思うのでございます。後ほどそれを申し上げますけれども、それを担当大臣にも十分検討の時間を与えないで総理が突然に決定してしまうというのは、まさに蛮勇ではありますけれども、決して褒められるやり方ではなかったんではないでしょうか。  私は、総理がこのようなことをお決めになるのに、決して人気取りを考えてやられたとは思いま せん。総理のお人柄なり今までの経験なりについて大変高く評価をいたしております。しかし、この決定に当たって、総理は一体だれと御相談になりましたですか。
  10. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、先ほどお話がありましたように、確かに減税をした、景気対策をする、それに対して公共料金が全部上がっちゃうというお話もございました。しかし、それと同時に、やはりこの不況下にありまして各企業はまさに血の出るようなリストラをやっていらっしゃるわけですね。そういった中で、公共機関と言われるところが軒並みにこうやって上げていってしまうということになったら、一体国民の方でどう思うんだろうか、これは私は率直に思ったわけです。  ですから、だれに相談してとかいうことよりは、むしろ閣僚の皆様方に御相談申し上げ、そして、そういったことについて検討してほしいということを指示したということであります。
  11. 若林正俊

    若林委員 ちょっと理解していたことと違うんですが、閣僚と御相談をし検討してほしいとおっしゃいましたけれども、物価所管の経済企画庁長官も、前の日だったかな、こうおつしゃつておられますし、それぞれの大臣も、大体前日、当日に官邸の方から聞いた、こうおつしゃつておられる。そうして、いわば例外もなく全部一律に実施する、こういうことで、いわばこれは神の御指示であるかのように皆さん受けとめて、整々とこれは今実施に入ったんではないか、私はそういうふうに理解をしているわけであります。  これからなおそれぞれの閣僚がそれぞれの判断で、これは例外にしてくれ、これはこういうふうに対処するということができるんであればこれからの御質問もちょっと違ってくるんですけれども、どうなんですか。まだ、これはちょっと別に扱う、これはそうするというのはできるんですか。
  12. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは若林委員も行政を担当されてこられたからおわかりだと思いますけれども、こういう措置というのは、これだけを特別に考えるとかいうことは非常に難しいことで、むしろこういったのは例外なしでやることがやはりよろしいんだろうというふうに考えます。
  13. 若林正俊

    若林委員 それは間違っていると思うんですよ。  そこで、法制局長官にお伺いしたいと思うんです。  私は、国だとかあるいは国の機関が、これは一律にそれ行けということで実施されるんであれば、これはいずれ国内部の責任問題なんですから、これは例外なんか設けて、各省庁がおれのところは別だなんて言ったら、それはなかなか難しいでしょう。しかし、地方団体やとりわけ民間企業について突然にこれをとめてしまうというようなことは、それぞれの経営責任とか地方自治体内部の自治体管理の責任問題について政府が行政介入をするということになると私は思うんですよ。  そういうふうにするにはやはり法律上の根拠が私はなければならないと考えております。法律上大変に問題がある、こう私は思っているわけであります。特に民間企業の料金について、許可なり認可なりの制度はみんな法律に基づいているんですね。許可なり認可なりの法律にはそれぞれ許可基準というのが書いてあるんですよ。各号列記しています、みんな。その各号列記しています許可基準、判断基準に合わないものというのは、これはやはり行政権限の乱用だと私は指摘をされてもやむを得ないんではないか、こういうふうに思うんですよ。  例えば民間の損保会社とかあるいは今度地方にもありますバスとか鉄道とか、その他の民間企業も入っているようであります。こういう料金の申請に対して、例えば、国民がうんと苦労しているんだからおまえたちも苦労するのは一緒に苦労してくれ、とりわけ消費税の論議もして御理解をいただかなきゃならないような事情にある、こういったような状況判断でありますとか、あるいは景気をもっと上げなきゃいかぬ、景気を上げるためには少し我慢してくれ、こういうようなことで、法律に定めていない基準ですわな、その基準を超えて、許認可を行わない、これをおくらせる、こういったことは私は違法なんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、どうですか法制局長官。
  14. 大出峻郎

    ○大出政府委員 個々の料金の認可の問題につきましては、当該料金の認可権を有する各行政庁が関係法令の規定を踏まえて適切に対処されるべき事柄であると考えますので、法制局の方から具体的なことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、一般論として申し上げますというと、料金改定の認可申請があった場合におきましては、認可の権限を有する各行政庁が関係法令の範囲内で対処すべきであり、認可基準が法定をされているというような場合には、その趣旨を十分に踏まえて適切に対処すべきものと考えます。
  15. 若林正俊

    若林委員 当然そうだと思うんですよ。法治国家でありますから、行政権限の行使というのは法に従っていなきゃならないんですよ。  そこで、個別のことを法制局長官にお伺いはしませんけれども、電気通信事業法、航空法、道路運送法、鉄道事業法、ガス事業法、電気事業法等、こういう公益事業に関する法律の料金の認可の基準というのをずっと見てみたんですよ。どれをとってもそういう経済情勢とか物価事情とか、ましてや国民の理解を得るための政治的事情などというのはどう見ても読めないんですよ。どう見てもここからは読み取ることができないのであります。  物価について見ましても、わずか一%程度の上昇で超安定の時期でもありますよ。かつて福田内閣のときに、オイルショックで大変な狂乱物価、異常な物価の時期がありました。これは、賃金も抑えなきゃいけない、どこから抑えなきゃいけないかといったような異常なときに発動されたことがあるように記憶いたしておりますけれども、私はそれにしても、それでもいいと言っているわけじゃないんですけれども、今回のようなときに、一律に例外なく、役所がそれでなきやおさまらないから例外なくやったということは、気持ちはわかるんですけれども、明らかに私は法律違反だと思うんです。  これは自分自身で確認したわけじゃないんですけれども、イギリスとかドイツとかフランスとかの公益事業についての料金の認可について、これを抑制を要請し、抑制的に査定をしたときには国が補償しなきゃいけないという規定が入っているんだそうですよ。調べてみてくださいよ。補償しなきゃいけないという規定、当たり前だと思うんですよ。これは、それぞれ私人としての経済活動の自由があり、責任があるわけです。そういう中で、法律に定めのない行政権限の介入というのは許されてはならない。そこで、そういう権限を入れて、そのかわりその抑止については補償しますという規定が入っていると聞いているわけでございます。  私は、今度、公共料金をだから申請どおりどんどん、計画どおり各省庁任せでやったらいいと言っているわけではないんです。それぞれの権限の範囲内で、原価について再計算を命ずるとか、一つ一つやはり当たらなければこれはできないと思うんですよ。一つ一つ当たれば、申請どおり認めない、再計算だ、再検討だと言っていれば時間がかかるかもしれない、意地の悪いことですけれども。それを年内は凍結すると。年内は凍結するというのは、これはやはり乱暴でありますし、乱暴だけではない、どうも違法の疑いがある。  法制局長官、これ憲法違反じゃないですか。言ってください。
  16. 大出峻郎

    ○大出政府委員 先ほども申し上げましたように、認可の権限を有する行政庁がそれぞれの関係法令の範囲内で対処をするということであり、そして、認可基準が法定されている場合には、その趣旨を十分に踏まえて対応するということを前提として運用されていくことになるだろうと思います。
  17. 若林正俊

    若林委員 どうですか、この答弁。おかしいと 思うのですよ。法律の規定に従ってやるべきものだと思う、こう言っているのです。私はその法律の、個別には言いませんよ、だけれども、明らかにすべての法律に、認可基準というのは、法定されている基準は、例えば正しい原価でいきなさい、適正な利潤でなければなりません、あるいは不当な差別的な料金を決めてはなりませんといったようなことがずっと書いてあるんですよ、それは。  私は法制局長官に一つ一つの法律、一つ一つの判断を求めていないわけですけれども、しかし、今の長官の答弁でいいますと、そういうことにかかわらず一律に今やったという行政権限の行使は、私的な権利を侵害をしておりまして、違法性の疑いは極めて強い。違法であるとすれば、これはやはり憲法で言うところの財産権を侵害をしているということになる、憲法違反ではないか、私はこういうふうに思うんですよ。  これはもう時間がないから詰められないのですけれども、今の見解について、改めて政府側の統一した、各省庁多いですから、統一した見解を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
  18. 山口鶴男

    山口委員長 速記とめて。     〔速記中止〕
  19. 山口鶴男

    山口委員長 では、速記を起こしてください。  若林委員御提起の問題については、政府の方で統一した明確な見解を出していただくようにお願いをしておきます。
  20. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 ただいまの委員の御指摘の点につきましては、別途見解をまとめまして、御説明をさせていただきたいと思います。
  21. 若林正俊

    若林委員 その見解が出た後に、さらに問題があれば真剣に論議を尽くしたいと思っております。  私も、国民に大変人気があって、快挙である、よくやってくれた、こういつて新聞にも書かれて、みんな喜ばれていることに水を差すようなことを言うのは嫌なんですよ、本当に。嫌なんですけれども、大事な問題なものですから、同じ抑制するにしても、一つ一つ原因を当たって、法治国家として法に基づいて厳正に措置するということがなければならないということを私は今求めたわけであります。  そこで、伝え聞くところによりますと、政府は年が明けてからの解除のときに備えられて、こういう公共料金の認可に当たって、その基礎になっています算定方式というのですか、これを見直すんだということを決められたようであります。まことに時宜を得た、結構なことだと思うのですよ。しかし、それは先ほどのこととは別でありまして、これからの問題はこうやってやっていくんだということを本当に真剣に詰めてもらいたいと思うのです。  我が国の場合はほとんどが原価積み上げの方式であります。原価積み上げの方式というのはしかし問題があるんですね。一生懸命努力をした経営者、労働者、これが生産性が上がったことについてのメリットが得られないんですよ。適正な利潤とかなんとかいっちゃって、画一に決められちゃうんですね。だから、ややもすればこの公益事業が、経営の合理化、生産性を上げていくということにどうしても熱心になりにくい。そういうインセンティブがないからであります。  そういう意味で、実はイギリスの公益事業につきまして、一定の条件を満たせばいいですよ、こういうような形で合理化努力が経営者や労働者側に還元されるような、そういう分配方式ができるような算定の方式をとっていると承知いたしております。  プライスキャップ方式とでも言われているのでしょうか、決してイギリスでもうまくいっているかどうかはわからないのですけれども、方式としてはそんなようなことも考えながら、これから公益事業あるいは公共的事業について強く合理化が迫られてくるわけで、それをただ締めていくということで対応するのじゃなくて、経営者も働いている人も一生懸命やった実りが戻ってくるんだといったような考え方を入れた算定方式にぜひしてもらいたい、少なくとも御検討をお願いしたい、こう思っておりますが、総理、どうですか。
  22. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今御指摘の点は私もまさに同感でありまして、そういったことは、やはり公共機関といえどもそういった努力をする、さらに努力をしていく励みにもなるだろうというふうに考えます。
  23. 若林正俊

    若林委員 これと関連して、総務庁長官を中心に大変に行政改革、とりわけ許認可事項の整理とか権限移譲とか御苦労なさっておられます。そういう許認可の件数をどれだけ減らしていくか、どれだけ地方自治体に権限を任すか。自民党時代から取り組んできてなかなかその効果が上がらない、苦労をしてきたわけでございます。  そのことは非常に大事なことなんですけれども、私は今のことと関連をしまして、こういう行政の許認可権限の行使、これがいわゆる世界的に有名な行政指導というもので、いろいろと縛られているのですね。縛られているのですよ、現実に。私も行政庁の中にいましたからそれなりに承知しているのですよ。これは、許認可が一万件以上あるなんていうものの比じゃないのですよ。その一万件一つ一つに大変な行政の内規みたいなものがありまして締めているのですよ。  その例としまして一つだけ申し上げたいと思うのです。これは通産大臣の所管の法律なんですけれども、各地に商工会議所というのがありますね。この商工会議所の定款は通産大臣認可になっているのですよ。その定款の中に、役員の数を書かなきゃいけないようになっているのですね。その役員の数は、会頭は一人ですね。専務理事も一人ですけれども、副会頭については四人以内と法律になっているのですね。  ところが通達で、御丁寧にいろいろ書いてあるのですよ。それで、会員数が千五百人未満の場合は二人以内でなければならぬ、会員数が千五百人以上三千人未満の場合は三人以内でなければならぬ、三千人以上のところが四人以内。これは法律で四人だから四人以内でなければならぬ。  しかも、ちょっと読んでみましょうか。「ただし、会員数が千人以上ないし千五百人未満の商工会議所が会員数を千五百人以上にするための三カ年以内の計画を策定し、その内容が適正である場合には副会頭を三人に増員することができる。」と条件がついているのですよ。また「会員数が千五百人以上三千人未満の商工会議所が会員数を三千人以上にするための三カ年計画を策定し、その内容が適正である場合には副会頭を四人に増員することができる。」御丁寧ですね。  それで、どうしても何か役をつけたければ、「次の商工会議所にあっては副会頭に準ずる役職を置くことができる。」こうなっているのですね。それで、千人から二千人のときは一人、二千人から四千人は二人、四千人から六千人は三人とか。これは、法律で定款の認可を受けなければならないとしか書いてないのですよ。定款の記載事項というのは書いてあるのですよ。その定款の認可に当たって、役員の数についてここまでやっている。これは何も通産省だけじゃないのですよ。団体所管の役所は間々こういうことをやって理屈をつけます。  つまり、責任体制を明確にしなければいけないとか、名誉職みたいなものをふやしたらそれはしっかり機能しなくなるとか、いろいろあるのです。ところが時代も変わっていまして、商工会議所も大小にかかわらず町づくりとか地域づくりのために非常に参加していかなければいけない、業者もみんなその気になってもらわなければいけない、こういう事情があるのですね。そこで工業系統から一人、町の商店街の方から一人、観光関係の方から一人とか。それで、三人がそれぞれの業界の皆さんに語りかけて、町の発展計画をつくろうじゃないか。こんなことはあるのですよ。  事実そういうことを希望して出したところが、こういう通達があってこれは例外はないからだめだ、こういうふうに窓口で言われて、もうやめた、もう町づくりも嫌になっちゃった、やめちゃった、こういう話があるのです。  通産大臣、どうですか、そういう運用について。簡単に言ってください。そういう事実があるのかどうか。
  24. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今上限で四名という副会頭ということでございまして、いわば通達によって、四十四年でございましたか……(若林委員「いや、全部知っていますから、イエスかノーかで言ってください」と呼ぶ)でございますから、今御指摘のような弾力的な対応といいますものはこれから前向きでやっていかなければならない、事業を活発化する点につきましての対応は前向きで措置してまいりたい、かように考えております。
  25. 若林正俊

    若林委員 今の答弁は不満ですけれども、しようがないですよ。もう過去の先輩がずっとやってきたことだし、役所もきっとその気でいますからね。だけれども、弾力的にやっていきたいというのでまた役所に相談に行って、顔色をうかがいながら説明をして、じゃ、おまえのところの町づくり計画を出してこいとか、それが有効かどうかなんて、そんなことをまた審査しようとしているのですよ。だめですよ。  これは法律に四人以内となっているんだから、役員の数ぐらいは、副会頭を何人置くかぐらいは、民間の団体ですから、その当該団体の総会で決めた自主的判断に任せるべきだ、私はこう思います。しかし、ここで詰めても、役所はかたいんですよ。きのう役所の担当課長と話をしたんですけれども、だめなんですよ。だから大臣、役人に負けないように、今言った趣旨でしっかりとやってください。総理どうですか、気持ちは。御感想。
  26. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今強いお話をみんなそれぞれ聞いておりますから、よく検討するものであろうというふうに思っております。
  27. 若林正俊

    若林委員 個別のことを言ったわけじゃないんです。これは役所共通ですので、総務庁長官、どうですか。
  28. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 御指摘をいただいたとおりだと思います。ただ、行政指導につきましては、いわゆる行政手続法ができましたので、ことしの十月一日から行うことになっておりますので、そういった面の弊害はかなり減るだろうと思っております。
  29. 若林正俊

    若林委員 御期待を申し上げております。  さて、農政に入るのですが、あと三十分しかなくなっちゃって、弱りましたね。実は通告もしておりまして、農業の基本問題につきまして十項目ほど大事な問題を用意したんですが、あきらめました。重点だけ御質問をしたいと思います。  なお、この農業問題につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドの関連はさきに保利委員が担当いたしまして、引き続き松岡委員が行うことになっています。それから食管制度をめぐる諸問題については谷津委員が行う、その他の問題は私がやると一応分担を決めたのですけれども、どうも私の分担部分ができなくなります。  さて、羽田総理は、もう私が申し上げるまでもありません、各委員御承知のとおり農政のベテラン中のベテランでございます。思い起こせば、自由民主党におられたときは党の農林部会長、農林水産省の政務次官、衆議院の農林水産委員長農林水産大臣、自民党の総合農政調査会長、すべて経験をしてこられたわけであります。でありますから何でも御存じでありますので、今現状で日本の農業、農村がどんなに苦しんでいるのか、どんなに生産者は不安に思っているのか、そういうようなことを一々もう申し上げることをいたしません。  実は先週、国会図書館図書室へ行きまして本を借りてきたんです。一つは「農業の基本問題と基本対策」というので、これは昭和三十五年、農業基本問題調査会ができたときにいろいろな印刷を出したんですが、この印刷を製本したものなんですね。最終取りまとめについて、これがあったのです。これをあけてみて、ぶうんと昔のわら半紙の香りがしまして、私も農林省へ入って間もなくの若い事務官でありました。日本農業を変えなきゃいけないんだという情熱を持ちながら、この農業基本問題調査会のお仕事をさせていただいたことを思い出すわけでございます。  もうあれから三十年になります。こういうことを思いながら読み返してみたわけでございます。そして、後ほど申し上げますけれども、結論だけ申し上げますと、決して間違えたことではないんだが、もうこれだけでは日本の農業、農村はリードできないというのが私の実感でございます。  かねて議論をされており、農林大臣からもきのうも御答弁がありましたけれども、不満であります。新しい農業、農村の、農政の方向づけというのを昨年いたしました。で、細川内閣になりましても、しきりとそのことをおっしゃいます。新農政だとおっしゃいます。  その新農政の中に書かれております新しい視点というのは、国土保全でありますとか、あるいは環境でありますとか、あるいは地域のコミュニティー、文化でありますとか、そういうようなことに及ぼしている農業、農村の役割ということを非常に高くそこに評価しながら、生産性を上げていく、産業としての農業を確立していく、そういうこともなお一層進めなきゃならないが、それだけではやっていけないような地域に対しては見殺しにするわけにいかない。これは日本の国土、日本の民族のこれからのありざまとして、効率一点張りの、競争一点張りではやっていけないんだということを言っているんですね。  そんなことは少なくとも農業基本法にはないんですよ。だから、ガット・ウルグアイ・ラウンドの締結、これから批准国会を迎えるわけですけれども、ひとつ本気になって農業の基本法制というものの少なくとも検討を始めるんだということでなければ、食管法なんか直せませんよ。総理、どうですか。
  30. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これはもう全くおっしゃるとおりでありまして、確かに農業基本法というのは、かつて、あの時代には一つの夢を語っておって、私はやっぱりこのものというのは評価すべきであろうというふうに思っております。  しかし、今お話のあったように、これと今の、今日の農業の現状というのは、大きく進んでまいりましたけれども、しかし一方では、むしろ混住社会、あるいは他の産業からの収入、そういった中で、案外農村が活気があるというようなことでございまして、じゃ、本当に農業にいそしんでいる人たちはどうなのかということを考えたときに、我々そういった問題についてもやっぱり真っ正面からどう対応するのかということが示されなければいけないというふうに考えております。
  31. 若林正俊

    若林委員 また別の、もっともっと深い理由を挙げながら、再度この農業基本法の見直し、改定について強い決意を伺いたい、こう思うんですけれども、先を急ぎたいと思います。  それから、もう一つ借りてきたんですよ。これは、松田甚次郎さんという篤農家といいますか、「土に叫ぶ」という羽田書店の発行したものでございます。羽田総理のお父上が、議員になられた後、同時に世の中のために活動としてやらなきゃいかぬ、こういうふうに思われてこの書店をおつくりになり、これがその一番真っ先の出版であったように私伺っております。  この松田甚次郎さんという方は宮沢賢治先生のまな弟子でありまして、先生の教えを実地に入りまして、それはそれは大変な御苦労をなさった方でございまして、土を愛し、農を愛し、人を愛し、そのためにみずからの身をすり減らして農業を実践されている、この松田甚次郎さんのお姿に本当の農民の姿を見て、その真情にいたく感動されてお父上はこの執筆を依頼した、こんなふうに伺っているわけでございます。改めて読ませていただきながら、これが本当の農業者なんだな、これが本当の、地域を愛しながら地域の土となっていく日本人の原型なんだなという感動を覚えたわけであります。  そこで総理、今でもこの松田甚次郎さんのような気持ちで農業に打ち込んでいる人、まあ兼業したりいろいろしているのが数多くなっていますが、もう最先端の農業あるいは在来の農業に本当に打ち込んで、それこそ土づくりから始まって、 土を愛して、農業を愛し、近隣の人を愛して、そうしてふるさとを愛しながら、黙々と農の道を歩んでいる人というのはいっぱいいるんですよ。いっぱいおられる。そこで私は、このような人たちは本当に日本の宝だと思うんですよ。そういうような人たちを決して裏切ってはならないと思いますね。この人たちを見殺しにするようなことがあってはならないと思います。  で、農政についての国会論議は、前からどうしても建前論なんですよ。一般論なんですよ。さらにちょっと嫌な言い方をすれば、きれいごとなんですよ。これを、この議事録を本当に農業をやっている人なんかに今までも配ったことがありますけれども、もう嫌になっちゃうと言うんですね。何にも与党も野党も政府側も知らないじゃないか、おれたちの気持ちはわからない、こう言って、がっかりさせたり、あるいは本当に信頼を失ったりすることが多いんですよ。  私は、こういう松田甚次郎さんのような人を裏切らないという意味で、農政についての答弁はとりわけ抽象的になりがちですから、もう抽象的でなくて、そのとき答えられないことがあれば、検討して後でまた答えるというようなことにしてでも、一つ一つちゃんとけじめをつけながら論戦をしていかないと実りあるものにならない、また生産者の信頼が得られない、こういうふうに思うのでありますが、まず農林大臣、いかがですか。
  32. 加藤六月

    加藤国務大臣 若林委員の農政に対する見識そして愛情、熱情を今熱心に承っておるところでございますが、私もおおよそにおいて同感であります。  もう今日、我が国の農政を語るときに、その場ごまかし、あるいは何とかすり抜けていこうということではもう農政はだめになる、本当に腹を割ってありのままの議論をやっていくときに来ておる、こう認識しております。
  33. 若林正俊

    若林委員 さすがは信頼をし御指導をいただいてきた加藤農林水産大臣だ、こう思いますが、ひとつ今のように進めていただきたいと思います。  そこで、世界の人口と食糧の問題について伺いたいと思います。  もう時間がないですから、いろいろ用意してきましたけれども、もう数字は言いません。人口学者などの推計によりますと、今から三十年後ですね、二〇二五年には世界の人口は八十五億人になるということであります。二〇五〇年は今から五十年か五十五年先ですけれども、中位数をとっても約百億人にはなる、こういうんですね。あるいはひょっとして高位の数字を推計しますと二百八十億人になるだろうというような推計もあるんですよ。これは厚生省の人口問題研究所の阿藤所長さんの書いているものなんですよ。恐るべきことなんですね。一体これに対して世界は、我々は食糧を供給することができるだろうか、こういう問題であります。  そこで私は、もういろいろ質問を用意していますがやめますが、せめて五十年後ぐらいの世界の食糧需給の見通しについて持っていなきゃいかぬと思うんですよ。今ありません。FAOだとかいろいろやっていますけれども、ありません。我が国もそこまでは推定していません。  そこで総理、これはお願いなんですよ、どんなに金がかかっても、優秀な人材を世界から集めて、世界から情報をとって、日本こそが五十年後の世界の食糧需給について世界に言えるような食糧需給計画というものに手をつけてもらいたいんですよ。すぐはできません。しかし、FAOがやるだろうとかアメリカがやるだろうとか、絶対そんなことはもう言える段階じゃないと思うんです。  とりわけ我が国は御承知のように大変な食糧輸入国ですね。もう一々申しませんが、アメリカは輸出国、ヨーロッパも輸出国になっている。日本は穀物自給率は三〇%を割ってしまう。カロリーのベースでいったって五〇%を割るようになっているんですね。だから、世界の食糧需給がどうなるかということがわからないで国民に対して責任ある政治ができますか、こう問わざるを得ないわけでございます。  農林省はやる気はあるんですよ。やろうとしたんですよ。だけれども、お金をつけないんだよ。どこか削ってくればいいと言ったら、農林省も、ほかを削るのはあれだというのでお金がつかない。しかし、これは農林省の予算なんという問題じゃないんですよ。これは、厚生省から、あるいは労働省、通産省から、すべての省庁にかかわる国家的な大事業だと思うんですよ。ぜひとも、世界の五十年後の食糧需給計画を策定するための国家的なプロジェクトとしての作業に入る、そのときには理解をするということ、どうですか大蔵大臣、今の話は。
  34. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今若林委員お話しのように、今後の人口の動向、世界の人口等を考えて、日本の食糧というものは、これは生活の根拠でありますから極めて重要だと考えております。  そういう意味で、いろいろ、若林委員を初め、政府でも大いに勉強してしかるべく対応しなきゃいかぬことだと思っております。
  35. 若林正俊

    若林委員 実は、ちょっと意地悪なことを言わざるを得ないのは残念なんですけれども、政府の各省庁の幹部職員それから財界人、学者、こういう皆さんは農業というのはそんなに深刻に考えていないんですよ。考えている人が少ないんですよ。私はもう長い間この問題一筋にやってきて、本当に情けない思いを何回もしています。  それで、表では、それは農業大事だ、食糧産業だ、生命産業だ、こうおっしゃいますが、例えば今度のウルグアイ・ラウンドの交渉で、政府は、農林省じゃありませんよ、政府は食糧安全保障論というのを持ち出してやったわけですね。真剣にやりました。総理も大変な御努力でしたし、皆さん方、これは歴代にわたってやってきたことなんです。  ところが、私の耳に入ってくるのは、省庁の、どこの省と言いませんけれども、かなり有力な省庁の幹部職員、局長部長クラスは、食糧安保なんて気でも狂ったんじゃないか、こう言っているんですよ、本当に。それから財界人でも、食糧安全保障なんてとんでもないことを持ち出して、農林省がやらせている、農林省というのはこれじゃもうとてもついていけないよと言っているんですよ、本当に。本当に言っているんですよ。そういう農業バッシングということが省庁内においても、あるいは財界においても、あるいは報道界においてももう長く続いてきたんですよ。それは現実なんです。そこで、これをそうでないんだということを明らかにする必要がある。  僕は、大蔵大臣は、いやいや、あれはそっとついお酒飲みながら言ったんだとか、いやいや本意を伝えていないとかいろいろおっしゃるかもしれませんけれども、過日、うちの野中委員指摘をされました。これが日本経済新聞に流れたんですよ。  この中で、言い方はいろいろあるんでしょうけれども、米開放が大詰めを迎えていた昨年十二月七日、大蔵大臣は、自宅に取材に来た記者さんに対して、細川首相にとって今回の凶作は天の恵みだったんじゃないか、ラッキーだったと語ったという記事がありまして、そこで、発言内容一つ一つではないんですけれども、今までの農政が、記者懇談会のメモにあったものなんですけれども、ばらまき的政策はやらなければならないし、政策的配慮も必要だけれども、大きな声では言えないけれども第二種兼業農家は十年か十五年でなくなる、そういう人に転作のために金を出すような考えは政権内部にはないというようなことを語ったというのが出て、野中委員がこのことを問題にしたんですね。  私は、大蔵大臣、答弁は要りませんけれども、大蔵大臣に代表されるような農業過保護論というのが非常に広がっていると思うんですよ。これは教育から問題になるんですよ、教育から。だから私は、自分ばかりしゃべって申しわけないですが、時間がないからお許しください。農林省にいますときに、行政改革の問題で、土光さん、尊敬する土光さんとか、それから私の身内でありますけれども桜田武さんとか、この間亡くなられた宮崎輝 さんとか、いろいろな方々に農業問題でしかられに行きました。いろいろあれば説明に行きました。でも、あの方々は地方出身なんですよ。それで、御親戚のだれかが農業にかかわっていたり、そういう時代背景を受けて教育もきちっと受けておられますから、きちっと説明しますと、意見は対立してもまじめにきちっと聞いてくれるんですね。ところが、昨今の方々は、どうも上のそらなんですよ。  そこで、さっきの世界の食糧の需給計画、需給見通し、これはどうしてもやらなきゃいけないと思うんですね。権威あるものにしなきゃいけないということが一つあるんですよ。それで、ちょっと農業のことを知ったかぶりをしながら話をするインテリさんにも、きちっとそれが権威あるものとしてわかってもらうようにしていかなきゃいけないというふうに私は思うんです。  それからもう一つ、農業基本法の見直しなんですよ。やはり新農政というのは立派なものです。これは関係者の御努力に敬意を表します。国会の議事録も全部読みました。私は落選中でしたからね。当時、いろいろと取り寄せては気にしておりました。本当に大変な与野党の御努力の中であの政策ができたと私は敬意を表しております。  しかし、それは亡くなられた近藤元次農林大臣が命をかけたんですよ。私も言われました。若林君、目をそらしちゃいかぬ、真正面からやらなきゃいかぬと思う、こうおつしゃられて取り組んでいったわけでございます。近藤元次先生は、食管もやらなきゃいけないんだ、基本法もやらなきゃいけないんだ、しかし君、ガットがあるからな、ガットを前にして食管法をいじるというわけにいかないよ、農業基本法もいじるというわけにはいかないな、とにかくガットを乗り越えなきゃいかぬ、ガットを乗り越えてからだということをおっしゃっておられたわけであります。  ここまで来た話ですから、何としても農業基本法は、農政審議会の意見を聞いて、各方面の意見をいろいろ聞きまして十分検討させていただきますときのうは加藤大臣はおっしゃられましたけれども、率直に、大臣としての見識を持って、農業基本法は見直しの時期が来ている、そして新しい視点で食糧、農業の基本法に手をつけなきゃいかぬなと思うか思わないか、大臣、ひとつどうですか。
  36. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど羽田総理も農業基本法に対してのお考えをお述べになりました。先般来のいろいろな、ウルグアイ・ラウンド交渉その他において、農村、農業が持つ多面的な機能というものについて幅広い議論が行われ、そして環境問題、国土保全問題等々いろいろな問題が起こってきて、熱心に議論がされておるということは私もよく心得ております。
  37. 若林正俊

    若林委員 総理どうですか、もう一度。
  38. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まず、先ほどお話がありました長期の見通しの問題であります。これがないとやはり基本的に問題の議論ができないだろう。これは実は私も全く同様のことを言ってきた人間でありまして、今飢餓と栄養失調が世界に八億もあるというような状況の中で、やはり人口問題なんかも議論していかなければならぬ。  要するに、そのときに当然食糧はどう対応するのかという議論が起こってくるわけでありますから、その意味でも、今御指摘があったように、我が国こそがそういった問題をやるべきじゃないのかということでありますけれども、私は、エネルギーと、そして食糧あるいは環境、人口、そして経済の発展、また平和の創造、ここらあたりは日本が本当に積極的に国際的な貢献をしていかなければならぬ課題であろう。  その中で、食糧問題というのはまさに私もそういうふうに考えておりますので、今の御意見を私どもも真剣に受けとめながら、真っ正面から取り組んでいきたいというふうに思います。
  39. 若林正俊

    若林委員 羽田総理の今の御答弁は、真正面から今の農業基本法の見直しをして、新しい食糧、農業、環境を含めた基本法制をつくらなきゃいかぬと思っている、ただいつやるかというのはいろいろまだ手順、段取りがあるけれども、方向としてはそういう方向で行くんだ、こうおつしゃったと私は受けとめさせていただきたいと思います。  それでは、もう一つ重要な問題を伺いたいと思うのです。これは、もう既に保利委員が取り上げた問題をちょっと整理する意味で申し上げたいと思います。  当委員会に提出されました政府の見解ですね。ミニマムアクセス分は国内事情によってこれを輸入をしないというわけにはいかないんだ、これは義務的輸入だ、こういうことでございます。そういたしますと、来年度から三十七万九千トンの輸入が開始され、以後八%ずつふやして、六年後には七十五万八千トンの米が入ってくるのですね。六年間全部合わせますと三百四十一万一千トンなんですよ。これだけの量が入ってくるのですよ。  ところが一方、細川内閣のときも羽田内閣になりましても、農林水産大臣は、このことをもってして生産調整、転作は強化しない、こう約束したのですよ。約束されました。そうですね。  それからもう一点。それじゃ、どんどんどんどん生産者が米づくりをやめちゃって、生産調整を強化しなくても足りなくなったら外国の米使えるかというと、それもしないと言っているのですよ。自給率は三〇%を切って下降傾向があるけれどもどうなんだというのに対しては、歯どめをかけたいと言っているのですね。歯どめをかけたい、こうおつしゃつておられるのですよ。  そうしますと、トリレンマといいますか、この三つはどうやって解決できるのですか。国会に対してうそのことをおっしゃらない、おっしゃれない。細川さんじゃないでしょうから、うそはおっしゃらない、こういう前提でこれを考えていきますと、大変なことなんですよ。  逃げ道は備蓄があるでしようと言っても、備蓄は政府側は百三十万とか百五十万トンがせいぜいだ、我々は二百万トン、こう言っているわけですね。うんとお金がかかります。しかし、二百万トンの備蓄でも、さっき申し上げましたように、ミニマムアクセスで入ってくるものだけでも三百四十一万トンもあるのですから。備蓄なんかもう超えちゃっているのですから。そういう量なんですよ。  そうしますと、保利委員が提起されましたように、この処理は、物は置きかわったとしてもその相当量は、国際的な、飢餓に悩む国々の皆さん方に人道的な立場で国外に出すということに踏み切らないと、この解決は私はない、本当にないと思っているのであります。  改めて、総理もいろいろと御努力になりましたが、お米の新規需要の開拓で、ライスワインなんかでワイン飲みましようとかいろいろやってみても、こんな量をこなせつこないのですよ。そうしますと、これはどうしても保利委員が言われました世界食糧管理機構のようなものも日本の提唱でつくる。よその国が金を出さないからおれはやらないというのじゃなくて、これは家畜のえさにするとかなんとかしたって猛烈な赤字ですよ、財政負担ですよ。かつて過剰になったときは、生産調整で合わせて三兆円もお金をかけたのですから。  だから、生きた金に使うということを考えますと、今こそ人道的な立場に立って、日本が平和的な国際貢献としてこの備蓄のお米を有効に活用していくということしか私は道がない、こう思っているのです。食糧の援助については、輸出国側との間に大変難しい問題があってなかなか手が出せないのです。バイではやれないのですね。だから、国際機関の中でやるということを、国民総意でそれを支持するという姿勢を私はとっていかなきゃ解決できないと思っているわけであります。  この七月のサミットでひとつ総理が御提案になったらどうだということでありますが、貴重な意見として検討させていただきますと。先ほど言いましたけれども、農政についての答弁は、私は率直に、総理、率直に心を出してお互いに話をしなければ、農業問題というのは解決しませんよ。生産者の皆さんは信用しなくなっているのですから。だから、この点どうですか、今。
  40. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、もうこの前のときもちょっとお話ししましたけれども、例えば食糧援助規約はもう御案内のとおりでありますし、また、世界食糧計画、WFPですか、こういった国際的な食糧援助システム、これはもう既に構築をされておるということでありまして、我が国もそういったシステムに乗りながら今日までやってきております。  それから、今お話があったのは、千九百何年でしたか、実は私が政務次官のときでございましたけれども、まさに世界食糧管理機構というような考え方が出されたことがありましたけれども、実際に実は大議論になりまして、結局これは成功しなかったということがあります。しかし、そういったことを踏まえながら、私どもとしてもやはり、日本がたくさんよそから買うことによってあちこちで問題になってしまうし、また日本が要らないものをただたくさん持っているということは問題であろうということも踏まえながら、私としても考えていきたいと思っております。  しかし新規需要も、価格がぐんと安く入ってきますから、また新しいものが、全然違ったものが生まれる可能性というのは私たちは研究すべきであろうということも申し上げたいと思います。
  41. 若林正俊

    若林委員 いろいろ研究されるのは結構ですよ、今まで努力しなかったわけじゃないので。安売りすればそれじゃ使ってもらえたかというと、安売りしたって、家畜のえさだって、この辺でもう結構、結構と鶏も言ったというような話になっているのですよ。だから総理、今の、安く入ってくるから新規需要も広がるだろう、それはだめですよ、そんな話を言っていたら。それは研究は結構です、大いに結構。結構というのは、やってください、やっていただきたいが、そんなもので処理できる生易しい問題ではありません。  今、世界食糧会議のことを言われました。昭和四十九年ですよ。私の尊敬する倉石忠雄先生が農林大臣でローマに行ったのですよ。ローマ会議、食糧のローマ会議で宣言を採択しているのですよ。飢餓に悩む人たちのために食糧の安定供給をしようという宣言をしたのですが、守られないのですよ。そのときの日本は、はっきり言いますと腰引いていました。これは財政負担を伴うから腰引いていたのですよ。  もう日本が、今まである国連中心の諸規約がこうあつてこうあってというのに乗っていくというんじゃないんですよ。日本が提唱して、日本がこれをリードして世界に訴えていくところに主体性があるし、日本らしい国際貢献の姿勢が示されるものだ、私はこのように確信しているわけであります。  時間がなくなりました。これから実は私のいよいよの本論だったわけであります。今までは総論ですわな。それで、もうなくなったんですよ。ですから、何を言いたかったかということを申し上げまして、事務当局にはレクをちゃんとしてありますから、事務当局からよく聞いてください。  一つは、中山間地対策です。  ECで行われている、中山間地というか条件不利地域におきますデカップリングというのはいろいろ問題があります。その問題も承知しております。フランスはフランス、ドイツはドイツ、イギリスはイギリス、それぞれ国別で違うわけです。それぞれに問題は抱えておりますが、しかし、そういうような価格政策ではどうにもならない、競争政策ではどうにもならない特別の地域の農業生産。そこに住んでいてもらいたい、そこでの伝統的な文化、景観も維持してもらいたい、しかもまた、生産力としても期待していきたい、こういうところは、平場と一緒に競争させたら、劣位ですから必ずそっちからだめになっていっちゃうのですよ。  それに対して、この間、前国会で法律を出しました。努力は評価しますが、あんな低利の、無利子だの低利の融資などで賄えるような生易しい話じゃないですよ、現実は。過疎が進行している、その山村の実態はそんな生易しい話ではありません。今、我々が言う中山間地域というのは、農地でも農家でも四割はあります。生産量では三八%ぐらいありますよ。こんな大きいのをそのまますっぽりすぐやれ、直ちにやれとは言いません。しかし、明らかに過疎が進行し、後継者もいなくなる、年寄りが多くなって、それでも必死に支えているというような傾斜地農業、傾斜地地域については、もう私は直接的所得補償の方式、考え方を導入するしかないと思っているのですよ。これは日本型のデカップリングの仕組みというのを真剣に考えなきゃいけない。  あれはこうだからだめ、こうだからだめとはもう言っていられない時代になっている。地域をもっと絞ってもいいです。対象の人を絞ってもいいです。状況を絞ってもいいです。これは農林省だけではできません。だから、こういうハンディキャップの地域の立法を所管している国土庁とかあるいは建設省とか通産省とか労働省とか、いろいろな省庁の知恵をそこに集中して、この過疎地の、山村地域の対策をぜひやらなきゃいけないということを実例を挙げながら訴えたかったのが一つであります。  それからもう一つは、農業者年金の制度です。来年は改定期なので、法律改正が出てきます。この農業者年金はいわば離農給付金を中心とした制度だったのですが、時代が大きく変わりました。時代が変わりましたので、一つは、女性、婦人、主婦、これを私は、日本の家族経営を共同経営体だというふうに観念を置ぎかえて、必要があれば法律を出してもいい、それで、夫婦が共同で働いているんだ、共同で経営しているんだといって経営主の立場を与えてその主婦を加入させる、そういうことでやらないと掛金の国庫負担、出ないのですよ。  だから、家族が共同経営なんだということで、そのための共同経営法のようなものをつくってでもいいから、家族の個に着目をして、個が契約で協力し合って家族経営を維持していくんだという、そういう法制をつくってもいいから、農村の女性の立場というものを明確にした上で、しっかり認めた上でやってもらいたいと私は思っているのです。中小企業には退職金共済制度というのがあるのです。なかなかうまくできているのですよ。農業者年金もこのような考え方を少し取り入れて検討してみたらどうかというふうに私は御要望を申し上げておきます。  最後に、これもお答えしていただく時間がないのです。私は五十三分までとなっておりますので、もうあと三分くらいしかないのですね。  リンゴです、リンゴ。昨年ニュージーのリンゴの輸入を解禁しました。ことしはいよいよアメリカのリンゴの輸入の解禁はもう避けられないというのが農林省のお考えのようで、いよいよ公聴会に入るわけであります。細かいことはもう申し上げません。植物防疫上の大変な不安を生産農民は今持っております。そしてまた、アメリカという大産地であります。五百万トンからの生産で、日本の五倍もとれる地域ですから、そのリンゴによって価格が値下がりするんじゃないかということも心配しています。  そういう意味では、公聴会が始まるのですけれども、去年のニュージーのリンゴの輸入解禁のときの公聴会のような、あんな強引なやり方は避けてもらいたいと思います。納得してもらわなければいけません、生産者には。とことん納得してもらうだけの、何回でもいいじゃないですか、地方にも出かけていって、とことん納得できるような公聴会、話し合いをやってもらいたいと思うのです。生の生産者の不安、意見というのをしっかり受けとめてもらいたいと思うのです。私なりに、こういう危険がある限りは認めないでもらいたいと思います。そして、危険がもし発生したら、その被害はすぐれてすべて国が責任を負うよ、これを解禁したのだから、すべて国が責任を負うということを明確にしてもらわないと、この輸入解禁は納得できないと私は思うのです。  それから、あとはいよいよ入ってきたときのことを考えまして、リンゴ生産の園地改良を初めとする生産合理化、近代化の諸投資、さらには加工、 仕向けを含めまして相当のてこ入れをしないと、百万トンを超える我が国のリンゴ生産で、しかも青森とか長野とか特定な地域に限られていますから、これはどうしても取り組んでいただきたい。こういうことがちゃんと行われるということを自分なりに納得、確認できなければ、私はリンゴの解禁に反対をいたします。  以上申し上げまして、最後に今のことについて、農林大臣、一言リンゴの問題についてお願いを申し上げます。
  42. 加藤六月

    加藤国務大臣 昨年のニュージーランド産リンゴについての経緯と経過はいろいろ承っております。また、現地の説明会もやり、長野県ではたしか来月の二日にやらせていただくようになっておると聞いております。よくわかっております。
  43. 山口鶴男

    山口委員長 この際、松下忠洋君から関連質疑の申し出があります。若林君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松下忠洋君。
  44. 松下忠洋

    松下委員 鹿児島から出てまいりました自由民主党の松下忠洋と申します。新人、一年生でございますが、力を尽くして、時間内でお尋ねしたいと存じます。お願い申し上げます。  時間もございませんので、お答えは簡明に、まっぽしにお答えいただきたい。まつぽしというのは地方の方言で、真っすぐにずばっとお答えいただきたいということでございますので、よろしくお願いを申し上げます。  国土のあり方、そしてその発展政策の基本姿勢についていろいろお尋ねしたいと思っております。一つは、地方の振興に関することでございます。もう一つは、国土保全、特に森林、山の保全、そして火山に関するいろいろな方策についてお尋ねしたいということでございます。  まず、地方の振興についてお尋ねしたい、こう考えます。  国土総合開発計画、何回も、もう耳にたこのできるほど聞きなれた言葉でございますけれども、平成二年に国勢人口センサスをやったときに、その前の、五年前の動態と比べて、たしか十八の道県が人口が減少したということを聞いております。そしてまた、その五年前の人口センサスでその前のときの状況と比べますと、名前は伏しますけれども、東北のある一つの県だけが人口が減少していたということを聞いております。  この五年間の間に、一つの人口減少県だったのが十八にもふえてきているということになっているわけでありまして、それからまた四年たって平成六年になっておりますけれども、今の状態がどのようなふうになっているのか、歯どめがかからずにどんどん進んでいるのじゃないかというふうに考えます。この、地方から減った分が東京周辺の地域に百五、六十万人がふえて、そしてまた、その他の大都市の周辺にふえているというふうに聞いておるわけでございます。東京周辺には、一つの県ができ上がったぐらいの人口がふえているということでございます。  東京への一極集中の是正、そして多極分散型国土をつくっていくという、そういう高邁な理想に燃えて幾つかの国土開発計画ができました。ちょうど人口の減少してきた県が一つから十八にふえたというようなその状況のときに、今の新しい四全総ですか、でき上がって、一極集中の是正、そして多極分散、人口を、そして産業を地方に分散させて活性化させたいという施策を進めてきたわけでございますけれども、その実態がなかなか、理想としたものと比べて非常に悪い方向に向かっているのじゃないかということを、地方にいてしみじみと感じるわけであります。  そしてまた、地方が渇望しております高速道路網、そしてそれに結ぶ高規格の幹線道路、地方の生活圏内の道路といったものが遅々として進んでいかないという状況の中で、一つの県内においても県庁所在地の周辺に人口が集中していって、その周辺の、いわば周辺部の地方部がまたどんどんどんどん人口が減っていくということになっておりました。こういうような状況の中で極めて悪い状況になってきているのではないか、こう思うわけでございます。  地方に対する行政投資も、そのシェアが、この十年を調べてみますと非常に地方部で減っている。そして東京周辺の地域、これは異常にふえているという状況になってきております。これは後で資料もお見せしますけれども、そういう状態になっておる。  そういう中で本当に国として地方の振興、そして地域の活性化というものにどのようなふうに取り組んでいこうとしておられるのか、これは本当に深刻な問題でございます。多極分散型国土をつくっていきたい、地方に展望のあるそういう地域にしていきたいということについて、総理大臣、どのようなふうに現状認識して引っ張っていこうとしておられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  45. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私が国会に議席を得ましたたしか二十五年ほど前ですか、あのときにまず私が法律に取り組んだのは、実は農村工業導入促進法という法律でありました。そういったものを進め、そして今お話があったような手だてというものをこの二十数年間ずっと続けてまいったわけでありますけれども、残念ですけれども、まさにまだ過疎が広がっている地域というのは非常に大きくある。  例えば、衛藤さんなんかや畑さんなんかもいらっしゃいますけれども、大分の知事なんかとお話ししましても、大分県というのは一村一品とか非常によく自立っことがどんどん打ち上げられますけれども、知事いわく、いまだに実は人口は減っていきますということです。それの一番の大きな理由は、どんなに風光明媚ないい場所であっても、いろいろなものをつくり出しても、残念だけれどもアクセスがだめなんだということを言われておったわけであります。  そういう意味で、私ども自民党におりましたときからも、地方の分権、そしてやはり今お話がございましたようないわゆる多極分散型国土、こういったものを本気で考えていかなきゃならぬ、そういったときに、やはりアクセスなんかも、我々としても考えていかなきゃならぬ重要な課題であろうというふうに考えております。
  46. 松下忠洋

    松下委員 ここに一つの資料がございまして、これは昭和五十四年から平成三年までの都道府県別の行政投資額の推移でございますけれども、これを、例えば九州の一つのブロックに限って見ましても、この十年間の間に、五十四年から平成三年までの間に二ポイントも下がっている。そして、東京やその周辺が異常に高く上がっている。埼玉、千葉、東京、神奈川といったところでは非常に大きくこのポイントが上がっているということでございました。そのような気持ちもありながらも、実際の動きとしては、どうしてもそっちの方にそっちの方に動いていくということになっているわけであります。  こういう状況の中で、地方が渇望しております高規格幹線道路、高速道路あるいは新幹線といったような大きな基幹的なプロジェクト、そういうものに国として思い切った傾斜配分をしていただいて、そして地域が生き生きとするような形のものにしていただきたいというふうに切に希望するわけであります。  私は、若いころに大分県に出向しておりまして、平松知事さんと一緒に二年間、一村一品に取り組んで、それこそ死に物狂いで地域の苦しみと喜びを味わってきた経験がございます。その中で、本当に地域をやるためにはやはり魂を持ってやっていかなきゃいけない、こう思いますが、こういう大きなプロジェクトに対して、本当に地域に対して傾斜配分していただきたい、そういうふうに思います。  大蔵大臣、ひとつこの点についてよろしくお願いしたいと思いますが、御意見をお願いいたします。
  47. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今年度の今御審議をいただいております予算編成においても、やや誤解があるようでありますが、地方に対する投資をどうこうするというような姿勢というものは全くないつもりでございます。  ただ、生活環境に重点を置くというのは基本的な姿勢としてこの平成六年度予算に出しておりますが、しかしながら、それは都会と地方という観点ではなく、生活関連にしている事業に重点的に投資をした。まあ余り具体的な内容は申しませんけれども、例えば農村集落の排水だとか漁村の集落排水というものは非常に大きく伸ばしております。それから、下水道と申しましても、非常に地方部分も多いということもひとつ御理解をいただきたいと思います。
  48. 松下忠洋

    松下委員 今のお答えで納得できないところがたくさんあるのです。大都市とその周辺の地域でございますと、公共事業にいたしましても幅広くいろいろな分野の事業が散らばっておりますけれども、田舎の、地方の方にいきますと、漁港であるとか農村の整備とか、もうそのことだけが一つの頼りでございまして、そういうところを除きますとあとは何もない。  超自然ですから、公園をつくっても、周り全体が公園なんです。ですから、わざわざ木を切り払ってお金をかけて公園にしなくても、その地域全体が公園になっているということですから、そういうCランクならCランク、BランクならBランクにしか格付されなかったところだけで市町村が成り立っているところがあることを頭の中にしっかり入れて事業の配分もしていただきたい、そのように強く要望を申し上げておきます。  国土庁長官にお尋ねを申し上げます。先ほど総理が一極集中、そして地方の振興に対する基本的な考えを述べられましたけれども、国土庁として、各省庁を束ねる立場でこれまでいろいろな取り組みをしてこられました。地方生活圏、広域行政圏もそうでしょうが、そういう中でどのようにこういう状態から地域を救って、そして生き生きした地域にしていけるかということの基本的な国家観と方策をお示しいただきたい。お願いします。
  49. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しになりました地域格差といいますか、そういった点につきまして、いろいろと国土総合開発事業の調整費を活用するとかいうようなことの努力もいたしておりますけれども、特に公共事業実施というような点につきましても、我々さらにそのことについて努力をしていかなければ均衡ある発展はない、このように考えております。  そしてもう一つ、最近、地域の発展のために拠点都市というものを指定してこの努力をいたしておりますが、そういったものをやはり十分活用して格差是正に一層努力をしなければならない、このように考えておるところでございます。
  50. 松下忠洋

    松下委員 今、国土庁長官地方拠点都市という話をされましたけれども、そのことについて幾つかお尋ねしたいと思います。  まず地方拠点都市、これは地域に大きな光を与えるものとして画期的なものだったと私は非常に評価をしております。ともすればそれぞれの省庁がばらばらに計画をつくって、現地ではそれがなかなか調整しにくいという状態でございましたけれども、国土庁を初め自治省、建設省、通産省、農林省といったような省庁がその中に入って、郵政省も入っておりますけれども、そうして一つの地域づくりに取り組みたいという、法律までつくって始めたものでございます。今これが幾つ指定されておるのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  51. 石井一

    石井国務大臣 地方拠点都市は、四十四の都市が現在指定されておるわけでございまして、今後これを核に、ひとつ典型的な地域おこしを進めていきたいと考えております。
  52. 松下忠洋

    松下委員 そこを私はこれから御質問申し上げたいと思っておるのですよ。今までいろいろなプロジェクトがありまして、地域を活性化するものができました。地方拠点都市というものが今度は非常に価値のあるものと判断されたのは、それは各省庁がいろいろなプロジェクトを持ち寄って、その地域を県庁所在地だけではない第二の地域につくりたいという願いがあって始まったんですよ。そして第一次指定が、十四地域というものが、二年前ですか三年前に指定されました。そして、今お聞きしますと四十四もの地域に広がっている、こうなります。  本当に、それぞれの地域が今どのような苦しみがあって、きっちりと立ち上がっているのかどうかということを確認された上で、次の指定を広げていくようなことをしておられるんですか。私の知っている限り、自分のいろいろな地域を調べてみましたけれども、どれもこれも一つ一つみんな課題を抱えて、そうして立ち上がっていないですよ。中身がないんですよ。今までのずらっとあるプロジェクトを、その地域の課題をただ並べただけだという、極端に言えばそういうところがあるのかもしれない。そうであってはならないから、もっと核をつくってやろうとしたはずなんですけれども、そういうふうになっていないじゃないですか。  一つ一つの大事な地域、少なくとも第一次指定した地域がしっかり立ち上がるのを見て、どこに苦しみがあって、どこをどうすれば立ち上がれるのかということをしっかりレビューした上で次の新しいステップに広がっていく、あるいは広げていくということをしないと、また今までやってきたものと同じことになるんですよ。そのことをしておられないじゃないですか。  それぞれごとに白書をつくる、年次ごとにいろいろなプロジェクトのそれなりのものがどこまで進度がいっているかということを確認した上でやってもらわないと、本当の魂の入ったものにならない、そう思います。  自治大臣、それから建設大臣国土庁長官、お聞きしたいと思いますので、ひとつどういう気持ちで、気慨でやっているのかをお教えいただきたい。
  53. 石井一

    石井国務大臣 公共事業なり地方の単独事業に関しまして、それなりの起債に対する優遇措置等々、いろいろの措置を加えておるわけでございまして、非常に希望が多いという状況でございます。  私、一昨日島根県に入りましたが、島根県は一地区一拠点都市に関しましてさらに要望が強いというふうな状況が殺到しておるわけでありますが、委員が御指摘されておりますこともまことに理を得たものだと。どんどんと指定を広げるというよりも、今まで行ったものに対して確実な一つの典型的なものを結実させていくという、そういうふうな努力も必要ではないか。今後、この運用について十分検討をしていきたいと思います。
  54. 森本晃司

    森本国務大臣 拠点都市へかける委員の大変な情熱を伺っておりまして、建設省といたしましても、基本計画は、それぞれの市町村から出てまいりましたものに基づいて、アクションプログラムをつくって応援をするという形をとります。現在、川内を初めとし、七つの都市がそのアクションプログラムになっておるわけでございまして、これからもしっかりと、省を挙げて全力で応援してまいりたいと思います。
  55. 左藤恵

    左藤国務大臣 この地方拠点都市を本当に意味のあるまとまった形で推進をしていくために、その円滑な運用を図るという意味で、特に地方定住の核というふうなことにするためにも、今、地方拠点法推進協議会というような各省庁の連絡調整の機関をつくりまして、これによって、今御指摘のような連携が不十分なためにこの効果が上がらないということのないように努力をしたい、このように考えておるところでございます。
  56. 松下忠洋

    松下委員 時間も限られておりますので、この問題についてはまた別の委員会でしっかりとお尋ねして、どこに陸路があって、どこのクリティカルパスを通ればぴしっといくのかというところを徹底的にやりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  これまで申し上げるのは、少なくとも第一次指定にした十四地域について、一つ一つレビューをして、どこにどういう問題があるのか、どこがよかったから立ち上がったのかということをきっちりと白書としてまとめて、それを地域に配る。こうやればよくなるぞということをしなければいけないんですよ。結局は、やはり地域に対する人と お金なんです。そこをきちっとやっていただきたいということをここで強く要望をしておきます。  そして、先ほど新幹線やら高速道路の話もしましたけれども、新幹線の予算一つとりましても、これは、私は九州の鹿児島でございますけれども、地域の願いに対してわずか数十億しか、大変なお金ですけれども、全体の枠から比べれば非常に少ないお金しかならない。まだ私たちの地域には高速道路も新幹線も一メートルもございませんが、よく考えてみますと、その予算がどこに行ったかといいますと、長野県の新幹線のところにほとんどが入っているということでございます。  それでは、本当に地域をよくして、高速道路をつくり、新幹線を持ってくるためにはオリンピックをしなければよくならぬのかということなんですよ。オリンピックをしたくてもできないような、そういうやはり貧しい地域もあるんですよ。そこまでしないと周辺の整備や高速道路や新幹線は本当に進まないんですか。そうしたら本気になってオリンピックを誘致しますよ、私たちは。そうしてその地域でやっていこうということに取り組まなきやと思いますけれども、総理、もう一言。  あと、本会議がありますので、もう一つ森林の話がありますから、短くお願いいたします。
  57. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは長野県、偶然オリンピックがあったということでありますけれども、しかし、採算性に合う路線であるというのは、自民党時代に我々が議論した結果であったということを申し上げたいと思います。  しかし、いずれにしましてもやはり地方というものについて、本当に心できちんとよく見きわめた上で本格的な対策をしなきゃならぬ、ただ法律や何かを羅列するだけではいけないということは、私も肝に銘じてこれから進めていきたいと思います。
  58. 松下忠洋

    松下委員 この問題はまた別の機会にいろいろお話を申し上げたいと思っております。  もう一つ、見ていただきたいパネルがございます。森林の問題、国土のあり方をどう考えるかという一つの大きな指針にしてもらいたいと思います。三つのパネルがございます。  委員長、よろしいでしょうか。
  59. 山口鶴男

    山口委員長 結構です。
  60. 松下忠洋

    松下委員 一つは、これは御存じでしょうか、屋久杉です。鹿児島の縄文杉です。もう一枚は、これはブナです、白神山地です。今度世界遺産条約に指定されたところでございますけれども、本来森林というのはこのような形にあるんです。これをしっかりと頭に置いていただきたい。そしてこれは、また悔しいですけれども、長野県の上松町、木曽ヒノキの天然美林です。このように美しい森林になるんです。見えますか。  もう一つ写真がございます。こういう写真です。二年前、三年前に、九州で風台風が吹いて、一斉に森林が風倒木でやられたところの状態でございます。全部そうです。そしてこれは、人工の、植林して手入れの行き届いた森林であります。  私は、ここで申し上げたいのは、森林というのは経営の本体として考えるのではなくて、木材の生産の場ではあったかもしれませんけれども、そこから一つ大きく抜け出して、国民の財産、大きな社会資本として次の世代に引き継いでいくべきだ、そう思うんですよ。それをきちっとやり変えるためには、本当に、林野庁の努力もあるでしょうし、また林野庁も反省しなければいかぬこともあるでしょうけれども、根本的にその経営の本体の運営そのもの、仕組みそのものにも大きな問題があるんじゃなかろうかというふうに思うんです。  そこを今度は大きく変えて、私たちの遺産として残していくような、そういう思い切った手だてを国としてもしていく。そして、森林や山のプロとしてのそういう林野庁の人たちの力もかりて、山をしっかりと引き渡していくということの努力を大きく視点を変えてやっていただかなければいかぬ、こう思うんです。  総理、そして農林大臣、ひとつよろしく御意見をいただきたいと思います。
  61. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 全くこの点についても同感でありまして、私ども自民党にありましたときに、実は国土の緑を守ろう、水を守ろうということのための、たしか水と緑の税金をいただこうと思ったんですけれども、残念ですけれどもそれはできませんで、水と緑の基金という形にいたしたわけであります。しかし、今おっしゃるとおり、やっぱり国土をどうするのかということで私たちは対応しなければならぬというふうに考えます。
  62. 加藤六月

    加藤国務大臣 森林というものは、国民全体の貴重な財産であるという観点に立って取り組まなくてはならぬ、こう思っておるところでございます。  考えてみますと、七年前に私が農水大臣をいたしておりましたときに、知床や今のような問題が提起され、それぞれ整備、進捗しておるということを喜んでおるところでございますが、さらにこれを心を込めてやっていかなくちゃならぬと考えておるところでございます。
  63. 松下忠洋

    松下委員 お言葉はお言葉で立派なんですけれども、その森林を守るための仕組み、そしてそれを受け継いでいくための仕組み、そうして気概というものをしっかりと予算の中に打ち込み、そうして、人と予算と体制をきちっとつくり上げていってこそ、いいものが次代に残されていくんですよ。そのことをきっちりとしていただきたい。思い切った国家予算をつぎ込む、そうして国の遺産としてしっかりと受け渡していくということに、努力を限りなく続けていただきたいというふうに思うわけでございます。  環境庁の長官にも、森林の問題については酸性雨の問題やら、あるいは新聞なんかによりますと、温暖化で気温が二十一世紀には一・五度上がってくる、場合によっては四度まで上がるという、そういう報道もございますけれども、そういうような状況のときに、ただ手をこまねいて日本の森林やそういうものを見ているんですか。あなたたちは今どういう研究をして、そういう環境の変化に対して何をどう提言しようとしているのか。環境庁長官、一言。
  64. 浜四津敏子

    ○浜四津国務大臣 地球温暖化について、環境庁としてどのような研究をしているかというお尋ねでございましたが、環境庁に附属いたします国立環境研究所やその他の関係する国立研究所におきまして、現在全体で十四課題の研究が行われております。  二、三御紹介させていただきますが、地球温暖化が植物や生態系にどのような影響を及ぼすか、こうした研究、あるいは二酸化炭素が地球の上でどのような循環をしているか、あるいはどのような対策やあるいは技術で温暖化が防止できるか、こうした研究をさせていただいております。  こうした研究を含めまして、地球環境研究総合推進費として、今回の六年度の予算で二十三億円を計上しておりまして、御審議の後、速やかな予算成立をぜひともお願い申し上げたいと思います。
  65. 松下忠洋

    松下委員 これで終わりますけれども、今環境庁長官のお答えになったような、そういう役人が書いた文を読むんじゃなくて、本当に山がどのようなふうに今荒れているのか御存じなのかどうか。それに対して、酸性雨が降ったとして、日本の山にそういうのがあるのかどうか、どうなっているのかということをきちっと見た上でお答えいただきたいというお願いをして、きょうの質問を終わります。  あとは各委員会にお任せします。よろしくお願いします。
  66. 山口鶴男

    山口委員長 これにて若林君、松下君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩に入ります。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  67. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。谷津義男君。
  68. 谷津義男

    ○谷津委員 まず、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  それは、政治改革の議論が随分行われましたけれども、自治大臣とそれから松永政治改革特別委員長もとに取り交わされた件であります。いわゆる与野党協議についての件でありますけれども、この件についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨日もこの件については質問が出ましたけれども、まず画定案の作成基準、これを中間報告しなければならぬということが取り交わされているわけであります。この画定案作成基準をいっ報告をするのか。その日取りについては、これは、画定審議会につきましては政治的には関与をしないということでありますけれども、最近とみに、二日に出るんではなかろうかとか、あるいはまた、これは政治的には利用しないと言いながらも、今国会中に提出するのが、総辞職とかあるいは解散とか、いろいろ世の中に取りざたされている面もございます。  そういった面では、好むと好まざるとにかかわらず、何かきな臭い中に取り込まれているような感じもしないわけでもないわけでありまして、そういう面から考えますと、画定案の作成基準の提出の時期というのは非常に大きな関心事になっていることも事実であります。この点につきまして、まず大臣にお答えをいただきたいと思います。
  69. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 目下、画定審議会で区割りの基準につきまして審議がなされておるところでございます。きょうの午前中にも審議がなされまして、取りまとめに向けて鋭意審議がなされておるところでございます。次回は六月二日に行うということで、審議会で決定されております。今までいろんな審議も重ねてまいりましたので、そういったものを文章に取りまとめて議論をしたらどうかというのがきょうの、先ほど審議会が終わったわけでございますけれども、終わった時点での状況でございます。  なお、最終的にいつどうなるかということにつきましては、現在まだ審議会で審議中でございますので、具体的なことにつきましてはまだ申し上げられる段階でないということにつきましては、御理解を賜りたいと思います。
  70. 谷津義男

    ○谷津委員 二日で取りまとめをしたいという方向というお話が今あったわけでありますけれども、そうなりますと、これはやっぱり早急に提出すべきものと私は考えるわけであります。この点は大臣はどういうふうにお考えですか。
  71. 石井一

    石井国務大臣 まず原則として、これは、自治大臣あるいは自治省と選挙区画定委員会の関係でなく、選挙区画定委員会総理より任命された独立、公正、中立の機関で、そうして総理府に附属しておる、こういう関係でございます。そして、中間報告を要求したのは、政治改革協議会という自民党とそれから当時の連立与党との間で決めたことでございますから、この問題に関しましても私、今自治大臣としては関与しない、こういう筋合いでございます。  そこで、私がそこへ署名しておりますように、連立与党側の座長を当時いたしておりましたが、最近私の後任として西岡武夫議員を指名していただいたということの報告を党側から受けております。  ただし、連立の与党の組みかえがその後起こりまして、社会党が華脱いたしておりますために、しかもこれからの協議には社会党の御意向というものが非常に重要であるというふうなことも考え、これまでのように松永さんと新しい後任の西岡さんだけでは話が決まらない。この組みかえにつきましても政党間において協議をされることでございまして、その協議が成立いたしましたら、区画の審議が終わっておりましたら、そこで合意ができて、その両者においていっ提出するかということが決定される、そういう筋合いのものでございます。
  72. 谷津義男

    ○谷津委員 次に、過日大島委員質問をしたわけでありますが、この件につきましては総理からは尊重するという答弁をいただいておるわけであります。この件について自治大臣にお尋ねをした  いのです。  それは、こういうことなんです。松永先生と自治大臣で署名しているこの文書の中に、「政党交付金の交付を受けることができる政党は、法人格を有すべきであるとの自由民主党の意見に留意し、今後連立与党と自由民主党との間において協議を行い、衆議院議員の選挙区を定める法律案の国会提出までに結論を得るものとする。」というふうに明記されているわけであります。  これにつきまして、これは「結論を得るものとする。」ということですから、結論が得られなければこの区割り法案は提出できないのかというふうに私は思うのですが、この点については当事者であります石井自治大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  73. 石井一

    石井国務大臣 政党間の明確な合意でございますから、それはそれなりに重視し、今後党間において協議をされるべきものでございます。  ただ、先ほども申しましたように、その政党間の枠組みが変わっておりますので、その辺でひとつきっちりした整合性のある結論を政党間で話し合っていただいて、この件についてはお話しをいただかなければいかぬ。区画の中間報告から法案までの間に多少時間もあろうかと思いますので、そういうことを政党間で御協議になるものと私は推察しておるような次第でございます。
  74. 谷津義男

    ○谷津委員 そうしますと、改めてこの協議をするということになってきますと、この文書は一応だめだということになるんですか。これはやはりきちっと決められたものでありますから、これは生きていると思うんですね。ですから、これは「国会提出までに結論を得るものとする。」ということなんですから、これはちゃんと生かさなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、それはどうなんでしょうか。
  75. 石井一

    石井国務大臣 これはあくまでも連立与党側と社会党側と自由民主党側で、党代表が前回の覚書による合意を今後どう法案提出までに具体化するかということについて御決定をいただくべき筋合いのものでありまして、私の立場でどうせいこうせいと言うのはこれは筋が違う議論になるということを御理解いただきたいと思います。
  76. 谷津義男

    ○谷津委員 それはわかるんです。ただ、署名者が大臣でありますから、その後大臣になっちゃいましたですから、この辺のところはよくわかるんですけれども、この件については次の協議の中においても、例えば西岡先生が今度出てこられるというお話を今初めて承ったわけでありますが、これはしっかりと引き継がれるものと思いますし、社会党が離脱をしたといってもこの中には入っていられるわけでありますから、そういうものは尊重し、またきちっとその意味は守られていくべきものというふうに考えます。  この間、大島委員質問に対しまして、総理はこれを尊重するというふうにも答えられているわけであります。しかし、政党間の協議とはいいながら、法案をつくるに際しましては、この協議で決定されたものはみんな取り入れられてきているわけでありますから、当然この問題もきちっと守ってやるべきだろうというふうに考えております。  ですから、法案提出、区割り法案を提出するまでにはこれは結論を得ること、これが結論を得られなかったならば、私はその区割り法案は提出できないんだというふうに解釈するわけなんですけれども、もう一度大臣、その解釈は間違っているか間違っていないか、お聞かせを願いたいと思います。
  77. 石井一

    石井国務大臣 先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございまして、三政党間と申しますか、新しく構築された政党間によって、前回決められた二つの政党間での合意をどう取り上げるかということと同時に、中身について議論をされることだと思います。  以上が自治大臣の答弁でございますが、私がそこへの署名者として、あえて感想を一言だけ申し上げさせていただきたいと存じます。  要は、この法人格の問題は、自民党と社会党の中に大変激しい議論がございまして、そのために何日間も費やしました。一時は暗礁に乗り上げるのではないかというようなことがございまして、私は座長として当時大変苦労をしたわけでございます。  その結果、そこの文書にも明らかに明記されておりますように、この大きな資金を受けるために法人格を付与するべきであるという自由民主党の主張に留意して何らかの形で結論を出す、こういうことで両者が決着をされた、こういうふうな経過がございますので、決着の中には、今後政党間の知恵でいろいろな形の決着があるだろうと想像しておりますが、これは自治大臣の発言ではございません。前座長としての発言であることをお許しいただきたいと思います。
  78. 谷津義男

    ○谷津委員 時間がありませんので、私はここでとめておきますけれども、この問題は非常に重要でありますから、その辺のところはしっかりと、署名者としての考え方、そのときの協議の中身というのは十分知っているわけでありますから、その辺のところはしっかりやっていただきたいと思います。  次に、私は、地方分権とそれにあわせて地方財源のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  午前中の若林議員の質問の中でもその点はあったわけでありますけれども、特に地方分権につきまして、総理若林議員に答えております。  これは部会を三十日ですか、初会議をやられまして、そこで力強く総理大臣も発言をしているわけであります。そういう中で、十一月いっぱいまでに地方分権の基本法をつくり上げていきたいということであります。この件につきましては、総理も不退転の気持ちでやられているということでありますし、また、地方分権は国民多くの皆さん方の期待も高い問題であります。  そういった面でまず総理にお尋ねいたしますが、この地方分権の基本法につきましては十一月ということで期間を切ったわけであります。基本法案の作成ですか、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  79. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ただいまのあれでございますけれども、御認識がちょっとあれだと思うんです。これは年内に一つの大綱をつくりまして、明年に法律をつくるということであります。しかし、今御案内のとおり、もう地方も本気でやっぱりやる気になってきておるという大変なチャンスであろうというふうに思っておりますので、私どもも不退転の決意で臨みたいと思います。
  80. 谷津義男

    ○谷津委員 その検討事項の中に、地方分権の推進の基本理念とかあるいは財源配分や推進体制などを検討の事項にするんだということであります。非常に私もこれは期待をしているものであります。  そこで、この地方分権が行われるということになれば、当然地方の自主財源というものが大きな関心事になりますし、またそれをやらなければならぬだろうというふうに考えているところであります。  その件につきまして自治大臣と大蔵大臣にお聞きをいたしたいんですが、まず自治大臣にお願いするわけでありますけれども、今政府税調の中でいろいろと議論をされています。特に、二十七日にはワーキンググループの検討結果ということについても報告がなされております。その中で、地方消費税についての導入ということが報告されているわけでありますが、自治大臣は、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  81. 石井一

    石井国務大臣 政府税調が熱心な議論をしていただき、私も出席いたしまして、地方財政の充実の観点から発言をさせていただいたわけでございますが、深い理解のもとに審議を進めていただいていることに大変感謝をいたしておるところでございます。  地方に自主独立財源が必要であるということは言をまたないことでございまして、現在、直間比率が国税よりもさらに厳しく、九対一というふうな状況の中に、景気の変動その他で大変不安定な財政の体系の中にある。  その反面、地方行政に要請されておる財政需要というものは年々増大し、福祉社会の到来等々、住民に近いサービスをさらにきめ細かくやっていくためにも、個性ある地方をつくっていくためにもさらにこれは必要であるというふうな、こういうふうな条件の中に、今後税制改革が抜本的に行われます段階におきましては、新たな地方税制、税源の位置づけというものをぜひとも各界の御理解をいただいてちょうだいしたい、そのように考えております。
  82. 谷津義男

    ○谷津委員 このワーキンググループの報告の中にも、最終的にはこの問題は政策判断の問題だというようなことがはっきりと意見として出されているわけであります。これは、自治大臣もそういうふうにお考えでしょうか。
  83. 石井一

    石井国務大臣 私もそのように考えておりますし、私の立場として、これは地方の自律、自主的な財源を確保するということが重要であるということをも当然主張をしなければいかぬというふうに思っております。  ただ、委員も御案内のように、技術的な問題で、消費地とそれから税を徴収する、そこの整合性があるというふうな問題等々、税理論として多少やはり税務当局と詰めなければいかぬ問題が残っておる。しかし、これは技術的な問題で、解決できる可能性があるんではないか、そう思っております。
  84. 谷津義男

    ○谷津委員 私は、技術的な問題をここで議論しようとは思いません。これはもう政策的な重大な判断ということになるんだろうと思うんですが、そうしますと、自治大臣としてはこの地方消費税は導入すべきであるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  85. 石井一

    石井国務大臣 まだ議論が始まったところでございますから、その結論を見きわめ、また、総理、大蔵大臣とも御相談をしなければ、閣内の不一致、不統一というふうなことは、今ここで言われましても少し時期が尚早ではなかろうかと思いますが、自治大臣といたしましては、自主財源の確保に最大の努力をしなければいかぬ、そういうふうに思っております。
  86. 谷津義男

    ○谷津委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。閣内不一致という言葉が今出たんですけれども、これから議論することですから、私は、決して意見が違っても閣内不一致なんてやぼなことは言うつもりはありません。これから政府税調等で議論していくことでもありますし、各党間で議論も大いにこれはやらなければならないということです。ただ、地方分権ということになりますれば、当然これは自主財源というのはもうイコールのものだろうというふうに私は考えております。  そこで、大蔵大臣にお聞きするんですけれども、ただいまの自治大臣のこの考え方を聞いていたわけでありますが、大蔵大臣としては、この点どういうふうにお考えでしょうか。
  87. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 まず、昨日発足いたしました地方分権の部会でございます。ここの大きな柱として、財源のあり方というのが取り上げられる、これは当然のことだと思います。私は、今も御指摘のように、これから身近な行政というものは地方になるたけ持っていった方がより住民のためにも幸せだし、行政のあり方としても適切だと思いますから、これは推進すべきことと思っております。  そのときの財源の問題として、交付税、譲与税のあり方とか国庫補助金のあり方とか、そういうもの全般を見なければいけないと思いますが、それと離れて、今の御指摘は、仮にこの消費税というものを考えるときに、地方消費税という議論があるが、それはどうかという限定した御質問だと思いますので、今のような背景をもとにしながら簡単にお答えいたします。  今石井自治大臣言われましたように、税制調査会のワーキンググループでは、二つの意見があったことは事実でございます。  一つは、やはり技術論かもしれないけれども、今までの地方譲与税、大体四割がみんな地方へ 行っているわけですが、その中の譲与税部分というのは県と市町村に分けていたわけでございますが……(谷津委員「五分の一ですね」と呼ぶ)五分の一をまた分けて県と市町村にやっておりましたね。今度は全部県に行くような仕組みになっているというような問題をどう考えるかとか、あるいは今自治大臣も御指摘になったような、地方税である以上、消費地と納税主体というものが分かれていく、国税ならそれでいいかもしれないけれども、地方税としてどうだとか、いろいろあるわけでございますね。それからまた、谷津委員指摘のように、それは最後は政策判断だという意見もあった。これがワーキンググループの両論だと思うのでございます。  これから税制調査会そのものの御議論が始まるわけでございまして、そういう御議論、また今自治大臣も言われましたように、自治大臣あるいは総理大臣の御意向等もよく踏まえながら、また御相談をさせていただきたいと思っております。
  88. 谷津義男

    ○谷津委員 二十七日に、これは大蔵大臣も何回もおっしゃっておったんですけれども、政府税調に試算表を出す、しかもこれはどこまでも機械的な試算ですよと、二度も三度も大臣はこの場所でお話しになっておりました。  しかし、その中身を見ますと、なるほど機械的かもしれませんけれども、やはり厚生省の出された二十一世紀に対するビジョン、こういうものがベースにあって、何となく消費税税率アップ、七%以上という感じを受けたのは私一人だけではないと思うんです。  これにはいろいろなまたほかの要素もありまして、これだけがすべてではないのでありますけれども、そういった面を組み合わせてみましても、その七%というのが何か最低のような感じも受けないわけではない。こういう面について、大臣も機械的だ、機械的だとおっしゃったけれども、どうも世論をリードしていくようなそういう感じを受けたんです。この点についてはいかがでしょうか。
  89. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 先日も御答弁申し上げたのでございますが、税制調査会が、いろいろ御議論のある中で、定量的なものも見せてもらわないとどうも議論の端緒がつかめないんだ、こういうお話がありました。私どもといたしましては、今谷津委員指摘のような誤解を受けることは非常に心すべきことだと思っておりましたが、税制調査会のその定量的なものもないと議論がしにくいということももっともな話だと考えまして、当委員会及びマスコミの方々に念には念を押して、これは全く、試算でもないと言っていいと思います、機械的計算であるということを申しました。  同時に、したがいまして、消費税はどうあるべきかということについての政策判断はいたしておりませんし、さらに申し上げれば、恐らく御指摘もあるのかもしれませんが、政策減税のあり方をどう考え直すか、あるいは歳出をどういうふうに持っていくのか、あるいは行政改革をどうするかということも、これは政策判断でございますから一切そこに入れていない。それは無視をしているのではございません。これから、あれをもととして皆様方の御意見を謙虚に承るべきものの一つの素材である、このように御理解をいただければありがたいと思います。
  90. 谷津義男

    ○谷津委員 機械的試算ということを私も了とするわけでありますけれども、あの中で出てくる数字、税率のパーセンテージと言った方がいいんでしょうか、そういう中には当然譲与税も含まれているわけであります。しかし、その譲与税の中から地方消費税にそれが分離できないか。いわゆる譲与税の率は今五分の一ですけれども、必ずしも五分の一というふうに私は限りません。五分の二にするか、いろいろなやり方はこれからの議論だろうと思うんです。  しかし、そういう中で、地方の税収というのは、国以上に直接税に偏重しているんですね。九対一だというふうに私は思うんです。どうしてそんなふうになっちゃったか。これは消費税の導入のときに、電気税とかガス税とかそういうふうなものがみんな取り上げられちゃった、それがために間接税の比率ががくんと平成元年から下がったといういきさつがあるわけであります。直間比率の見直しというふうな中において、当然地方税についてもそれは見直しをすべきものであるというふうに私は思うんです。  特に地方自治体においては、社会福祉などの地域住民に密着した施策が今後ますます私は重要になってくるだろうと思いますし、現実の問題としまして、この福祉関係につきましても、国の国庫支出金の伸び率よりも、地方のその伸び率の方がはるかに高いんですね。なぜそうなったかというと、国はシーリング、シーリングで枠をかけてくるものですからなかなか伸ばすことができない。その分の要求にこたえるためには、地方がみんなそれにつき込んできたという、この避けて通れない現実があるわけなんですね。  そういうことを考えた場合には、私はやはり地方消費税というのは、これは必ずやらなきゃいかぬだろうというふうに考えているわけでありますから、当然その税率のアップということも検討の中に入るんでしょう。その検討の中に入った場合においては、当然その枠の中に地方消費税というのはしっかりと位置づける必要が私はあると思うんですが、大蔵大臣考え方をもう一度お聞かせ願いたいと思うんです。
  91. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、福祉のきめ細かい施策、介護とか幼児の方の養育とか、そういうものが地元に密着した行政であることがより望ましい、国はむしろ年金とか医療とか、こういう基本施策であるべきだ、この大きなより分けというのは正しいと思いますし、それに見合う財源が必要であるのも事実だと思います。  今の消費税は、御承知のように譲与税と交付税を含めまして約四割が地方へ行っているわけでございます。この消費税の中で、どういうふうにこれから考えていくかという中に、地方消費税問題があるということも承知をいたしております。さらに根っこに、冒頭申し上げました地方分権問題の中でのこの財源の配分の問題があるわけでありまして、それらを含めまして、十分皆様方の御意見も承りながら検討させていただきたいと思います。
  92. 谷津義男

    ○谷津委員 まあ平成元年ですか、消費税の導入の最初のときにこの議論は、自民党の党税調の中でも大変な議論になった。このときも地方消費税の議論もあったんです。しかし、それを余り突っ込んでいきますと、消費税全体がだめになるんじゃないかということで、まああのときは途中でやめた、正直言って、そういういきさつがあるんです。私も、あのときにももう地方消費税はやるべきではなかろうかというふうに主張したわけであります。  なぜそういうふうなことを考えたかといいますと、実は、これはシャウプ勧告のときに起因するんだというふうに私は考えているんです。それは何といっても、自主財源の乏しいいわゆる三割自治と言われているにもかかわらず、今それ以上にもう地方財源は逼迫をしてきていることも事実なんです。で、国の補助金は臨時行革の答申で昭和六十年以降だんだん削減をされてきていることも大臣御承知のとおりなんです。そこで、地方交付税や補助金の配分は国税収入にどうしても左右されちゃうという現実もあります。これは、地方自治体にとっては、もう本当に立つ瀬がありませんよね、こういうことになりますと。  戦後のシャウプ勧告は、戦前の中央集権にかえて、民主主義の学校というんでしょうか、地方自治を税制改革で根づかせるために市町村に重点を置いた財源配分を説いたのがシャウプ勧告だろうというふうに私は理解をしているわけであります。そういうことからいうと、残念ながらその精神が全然今日に至っても生かされていないというふうに思っておるわけであります。  まあそういうことで、地方行政というのは私は最大のサービス産業ではなかろうかなというふうに考えておりまして、住民に身近な地方自治体こ そ確固たる自主財源を持つのが当然だというふうな考えを持っているものであります。地方分権を推進するからには、この辺のところは十分にしんしゃくをして対応しなければならぬというふうに私は考えるわけでありますけれども、大臣はその辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。
  93. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今、谷津委員指摘のように、シャウプのときに地方財源地方の自治のあり方の根拠として、私は、固定資産税そして付加価値税というものを基盤に置いて物を考えていたということは事実だと思います。そして、それは非常に基本的に正しい方向だったと思いますが、御承知のようなことで付加価値税は採用にならなかった、実際上つぶれてしまったというようなことから、シャウプの理想として描いていた地方税源のあり方というのが実現していない、これはそのとおりだと思います。そういう歴史的事実は、私は素直に承知をいたしているつもりでございます。  それらを含めて、今冒頭申しました地方分権という中で、これをどういうふうに財源考えていくかということは非常に重要な問題だし、そういう歴史的背景というものもよく考えながら、今後、冒頭申し上げましたように皆様とよく議論してまいりたいと思っております。
  94. 谷津義男

    ○谷津委員 今の大臣のお答えを聞いて、二、三ちょっと大臣に、細かいことになりますが、お聞きをしておきたいと思います。  租税の理論上、地方消費税というのは成り立つというようなことだというふうに私も思っておりますし、また、当然そうあるべきだ。特に、地方分権ということを考えれば、まさに今一番そういった面では当を得た時期にもなっているんではなかろうかというふうに思うんです。今こそ、そういった面から考えると、地方税にとっては大きな転換期に来ているんじゃないのか。また、これを転換させなけりゃならない時期ではなかろうかというふうに考えるんですが、大臣はその点はどういう認識をお持ちでしょうか。
  95. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今回の消費税論議を別としても、今申し上げたような地方分権という中でこの問題は考える重要な時代だと考えております。
  96. 谷津義男

    ○谷津委員 自治大臣にちょっとお尋ねするんですが、これは地方分権並びに地方消費税ということで、私はイコールだ、それに自主財源を持たせなきゃならぬと思っているんですけれども、譲与税を自治省は放棄しても地方消費税に移したいというふうな考え方はないでしょうか。
  97. 石井一

    石井国務大臣 譲与税の問題点は、本来偏在が大きく、地方税としては仕組みにくいものでございます。そういうことから、譲与税は地方団体と納税者との間の直接なつながりがない、こういうふうな問題がございまして、そこにはやはりそういうインセンティブが出てこない。地方の活力等々を強くし、そういう中から地方の活性化というふうなものを進めていくというふうな面からでも、やはりそういうふうな問題がある。この辺の修正というのが今回必要ではないかというふうに考えております。
  98. 谷津義男

    ○谷津委員 確かに今自治大臣のおっしゃるとおりであろうと思うんです。  そして、地方消費税ということになりますると、納める側も身近なものといいましょうか、納めたものがどういうふうに活用されるかというのは、国に納めるよりももっと身近なものとしてやはり成り立つんじゃなかろうか。ましてやその地域にとりましても、消費税が入ってくるということになりますれば、より付加価値の高い産業をやろうという、こういう方向にも行くんではなかろうか。あるいはいろいろな面で活性化が図れるという面も私はあるんではなかろうかなという感じを持っているわけであります。  そういう中で、こういう議論もあるんですね。何も無理して譲与税に組みかえなくてもいいんではないかというふうな意見もないわけではないんです。まあこの辺のところはどうも大蔵省あたりからちらちら聞けてくるんでありますけれども、大蔵大臣はどういうふうにその辺のところはお考えですか。
  99. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今論議になっております地方消費税の技術論はもう繰り返しません。私はいろいろ技術論からいくと問題があると思っております。さらに地方財源のあり方、独立税の考えももちろんあります。それから、自主財源と言われる交付税をどう考えるか、譲与税をどう考えるか、これらは全部ひっくるめて論議すべき問題だと思っております。
  100. 谷津義男

    ○谷津委員 確かにそのとおりだろうと思うのです。しかし、これから地方分権というにしきの御旗があるわけでありますが、それを考えた場合は、当然この地方消費税というのはその中で検討され、また地方分権とあわせてそれは私はやるべきであるというふうな考え方に立っているわけであります。  総理、まことに恐れ入りますが、今大蔵大臣と自治大臣との間の議論がこういうふうにあるわけでありますけれども、総理はこの二つの議論を聞いておりましてどういうふうにお考えでしょうか。地方消費税というものは取り入れるべきではないかと私は思うんですけれども、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  101. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、やっぱり権限を分与するということ、あるいは権限を地方に移していくということ、ということになると当然財源というものは必要であろうという意味で、この財源をどういう方法で確保するかということ、その中で、まさに今地方消費税ということが言われてきておるわけであります。  今これをまさにそれぞれの立場で大議論をしていただいておるところでございまして、私は、いずれにしても地方の固有の財源というものを確保するということについてはよく理解を示すわけでありますけれども、その方法については今議論されておりますわけでございまして、きょう御議論いただいたことも参考にしていきたいというふうに存じます。
  102. 谷津義男

    ○谷津委員 いずれにしましても、これからの議論でありますから、ここでこうだということを言うのはなかなか難しいことは十分にわかっているわけであります。  ただ、今大蔵大臣は技術論もあるがというお話でありますが、私どもは、技術論は役所がやればいい話であって、ここはやっぱり政策論だろうと思うのです。しかも、そのワーキンググループがはっきりと出しているように、政策判断だというふうなことです。これはこれからの日本にとって重要な政策判断をする時期が来ている。しかも、これは前々から何回も議論になっておりますけれども、六月いっぱいには一つの方向も出さなきゃならぬということになってくれば、もう間近に迫っている問題だろうというふうに考えております。  そういった面で、今の議論はまだまだこれから深めなければならない。これは何時間やったって簡単に結論を出し得る問題ではないとは思いますけれども、少なくともこの地方分権というのをしっかりと打ち出しておられる羽田内閣でありますから、それにあわせて地方消費税というものは同一に議論をして、その結論も一緒に、私は地方消費税実施に移るべきだというふうに考えております。そういった面で、その辺のところの総理の見解をもう一度はっきりと聞かせていただきたいと思うのです。
  103. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いずれ決断をしなきゃならぬときが来るだろうと思いますけれども、いずれにしましても今の御意見等も私どもよく承りながら、これからの地方財源のあり方というものについて本気で考えていきたいというふうに思います。
  104. 谷津義男

    ○谷津委員 地方消費税地方分権についてはまた後で議論をさせていただきたいというふうに考えております。  次に、農政の問題についてお聞きをしたいと思うのです。  実は、この農政につきましては、先ほど質問をいたしました若林委員が、通告をしておきながら質問する時間がなかったということで、私にこれ だけはどうしても聞いておいてくれということで依頼をされましたし、私自身もこのことは絶対聞かなきゃいかぬなというふうに思っておるものがございます。これは総理と大蔵大臣にお聞きをしたいというふうに思っております。  それはこういうことなんですね。農地の相続税の特例についてであります。農用地利用増進法、今ではそれを引き継いだ農業経営基盤強化促進法ですね。その第三章にある農業経営改善計画に基づいて農地の集団化等のための貸し借りをした場合とか、農地保有合理化法人が間に入って規模拡大のために貸し借りをした場合とか、それから農業生産法人に農地を現物出資または貸して家族経営を法人化した場合などに限定して、これらによる貸し地について、その所有者の相続についても自作地と同様に相続税の延納措置等の特例を適用してもらいたいということで、前々からこの問題は議論になっている問題であります。  これをしなくては、政府が幾ら新農政だとか規模拡大だとか生産性を上げて競争力をつけるんだと言っても、農業の現場ではとてもこれをやらなければ信用されないと私は思うんですね。土地が動かないということでありますし、政策の一貫性がなくて、現場に行っていろいろこれを説明しようとしても説明ができない、こういう状況にあることはもう先刻御承知だろうと思うんです。  そこで、私も、すべてにということになるといろんな問題もありますから、公用地、公的なもの、これについてだけでもこれは英断を持ってやるべきだというふうに思うんですけれども、まず大蔵大臣、どういうふうにこの点についてはお考えでしょうか。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕
  105. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいま谷津委員指摘のように、農政のあり方の角度からの御議論として今伺っておりまして、ごもっともなお話もあるなと思いますが、税全体の公平という立場から申しますと、この制度は昭和五十年にできたわけでございます、相続税の納税猶予でありますが。ほかには全く認められていない、しかし農業の本当の特殊性から例外中の例外として出てきたものだと思います。しかも、平成三年の税制改正によりまして市街化区域内の農地は扱いを変えたと昨日も議論が出ておりました。  そういう中で、借り地まで、借り地じゃなくて貸し地と言った方がいいのでありましょうか、貸し地までこの例外中の例外の特例を認めるということについて、お立場からの御議論はよくわかるのでございますが、税の公平という意味からお許しをいただきたいという気持ちを持っております。
  106. 谷津義男

    ○谷津委員 この件については、私はさっきも言ったように、本当に公的なものに関してだけでもというように言った。確かに、民間の場合やなんかだと悪用される危険がないとは限らぬというふうに私は思うんですよ。しかし、これはぜひやってもらわなければいけないと思うんですね。総理は農政のもう本当に大家でもありますから、総理はこの問題についてはどういうふうに考えるんですか。
  107. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 もうお気持ちはよくわかりますし、実際に今まで私どももこの問題についていろいろと主張をしてまいった立場であります。ただ、残念ですけれども、今までそれが大きく進むということができなかったというのが現実であります。ただ、今新しい政策を進めていくのに一体どうしたらいいのか、そういう中で税制が果たす役割という中で考えるべき問題だろうというふうに私は考えます。
  108. 谷津義男

    ○谷津委員 いずれにしても、これは日ごろ羽田総理も言ってきたことでありますからね。総理になったんですから、これはぜひ今度は自分の言行一致でやってもらいたいというふうに要望をしておきたいと思うんです。よろしくお願いします。私は若林委員と同じ考えですから、そういうことでひとつ御理解いただきたいと思います。  ちょっと米問題について農林大臣にお聞かせいただきたいと思うんですが、実は最近米の輸入について、タイ米の問題が大きな話題になっております。きょうもある新聞が取り上げておるわけでありますけれども、今、大臣、小売店に行きますと、とにかくタイ米が売れなくて非常に困っておる。このことはきのうも議論がありました。  そして、いつだつたですか、私もちらっと新聞で読んだんですけれども、大阪では何かタイ米が捨てられておったというようなことがあって話題を呼んだわけであります。これはタイの領事館が本国に報告するよという話も何か新聞に載っておりました。これについては置き忘れたんだというようなことでその場は繕ったようでありますけれども、現実の問題として、私が小売店に行きますと、とにかく十キロ当たり二千百円で仕入れて、それを千円にしても全然売れない、いよいよ残ったならば外国人にただでみんな分けてあげようなんて言っている小売店にも出くわしました。  どこの小売店へ行きましてもこのタイ米が非常に残って困惑しているということです。ましてやこれから六月に入ってまいりますと、アメリカやオーストラリアからジャポニカ種が入ってくるということになる。また夏という、暑いということもあって米がだんだん消費量が減る、そういう傾向もある。こういう中で、このタイ米の問題については農林大臣はどういうふうに認識をしておりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  109. 加藤六月

    加藤国務大臣 前週、私のうちへ東京都内のある米の小売業者が長い手紙をよこしました。そこで私は、その住所を調べてこの日曜日にその米の小売店に訪ねていきまして、いろいろ意見や模様を聞きました。その手紙の内容は、タイ米のことでありました。いろいろ意見等もありました。  しかし考えてみると、平成米騒動と言われたときにあの騒動が一日も早くおさまったのは、ある面でいうとタイ米のおかげでもあったということを忘れてはならぬ。今後、いろいろな問題についてはよく勘案していかなくちゃならぬと思っているところでございます。
  110. 谷津義男

    ○谷津委員 タイ米が残って、これはまずいから食べられないんだということにつきまして、実は、ある小売店の店主がこういうことを言うんですね。涙の出るような話なんです。  タイ米がまずいますいと言ったって、タイではもう一生懸命つくってきて、日本が足らないというときに出してくれたものなんだ。だから、まずいからといって、さあそれでは捨てるというわけにもいきませんよ。とはいいながら、実際に消費者に買っていただけないという現実を考えた場合に、この残ってしまっているタイ米をどういうふうに処分するか、本当に涙の出る思いだというようなことで、私は切実なこれは話だろうと思うのです。  今後、また日本が本当に大凶作になったような場合には、またお願いしなければならないということもあり得るというふうに考えるならば、本当にきちっとその辺のところを処置しておかないと、後で国際間の大変な問題が起きるのではなかろうかというふうに考えるのです。このことについては、総理も先ほどからうなずかれているわけでありますけれども、総理のお考えをもあわせて聞かせていただきたいと思うんです。
  111. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今度の事態というのは、タイから輸入しなければならないというのは、やはりまさに異常な事態の中で、異常な不作の中であれしたことです。しかし、今谷津委員が言われたように、またそのお米屋さんが涙を流さんばかりにしてというお話でありますけれども、私がちょっと聞いたところでは、タイでは何か生産は六五%ぐらいだったそうですね。そういう厳しい中で日本に売ってくれたということでありまして、我々は本当にタイに感謝しなければいけないと思うわけです。  それから我々、簡単にまずいますいと言っちゃいますけれども、私は、実はタイの朝がゆというのは大好きな人間で、タイに行きますとわざわざそれを食べに行くわけですね。それから、チャーハンですとかカレーなんかをわざわざ食べに行く人間で、東京にも一、二軒、そんな店がありまし たけれども、そこにわざわざ食べに行くわけです。  その意味で、確かに今度の場合は急でしたから、本当のタイの米のうまさ、うまく食べていただく方法というのを知らせることができなかったということがあろうと思っておりますけれども、要するに日本の米を、じゃ、向こうの人に食べさせたら、向こうの人はとてもあんなべたべたした米は食べられないと言うわけでありまして、そういう意味で、やはりタイの食べ方というものについてもっと我々真剣に考えなければいかぬということと、米のやはりありがたさというものを我々この機会にもう一度かみしめてみたいというふうに思います。
  112. 谷津義男

    ○谷津委員 小売店にこれは在庫しちゃうという形になるんだろうというふうに思うのですね。そこで、この小売店については国産米と一緒に割り当てて売ったわけでありますから、そういった面では国においても責任があるというふうに言わざるを得ないと思うのです。  そこで、最終的に、このままでいきますと、タイ米は新米が出てくるころまでかなり残るんじゃないかと思うのですが、農林省は、このタイ米が小売店を含めて在庫するというのは、どのくらい残るというふうに予想していますか。私はかなり残るというふうに思うのですけれども、その辺のところははっきりと聞かせていただきたいと思うのです。今後に大事な問題をこれは引き起こすだろうと思います。
  113. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 タイ米の小売店の在庫が積もってきているということにつきましては私どもも承知をいたしておりまして、五月以降売却を当初予定しておったものの半分程度に抑えるということで、卸、小売の在庫を減らすという努力を今しております。今後も状況を見ながら、こういう措置考えてまいりたいというふうに思っております。  ただ、これは、タイ米の販売を七月ぐらいまで当初予定をしておったのを、もう少し長く予定をして販売をしようということで多分乗り切れるんじゃないかというふうに思っておりまして、最終的に輸入米の在庫の問題、これは基本計画において大体二十万トンぐらいの見込みで考えておりますけれども、余りそれから離れた水準にはならないのではないか。タイ米全体の輸入量が、総体とすればたかだか五、六十万トンぐらいでございますから、そういう大きな数字にはとてもならないというふうに考えておるところでございます。
  114. 谷津義男

    ○谷津委員 いずれにしても、残るであろうということはお認めでございます、その量の大小はいずれにしましても。この辺についてはしっかりとタイ国に対しても、こういう緊急時に出してくれたわけですから、感謝をしながら私どもは対処をしていかなければならないと思うのです。  そこで、今後の問題にもこれは連動する問題があると思うのです。来年以降、いわゆる九五年度からウルグアイ・ラウンドの合意によりましていよいよ輸入をしていかなきゃならぬだろう。先ほど若林委員もこの点について、それからこの前は保利委員質問しておったわけですが、九五年度には三十七万九千トンですか、そして二〇〇〇年には七十五万八千トンですか、精米ベースだったですね、これだけ輸入しなきゃならぬということになる。  当然この中にはまたタイ米も入ってくるということでありますし、いろいろな国からも入ってくる。で、日本にしてみればジャポニカ種をできるだけ入れたいというふうな希望になるだろうと思うのです。しかしこれは、去年からことしのことを考えれば、タイの米はだめですよというわけにはいかぬだろうというふうに私は思うのです。  こういうことを考え合わせますと、今後の輸入計画、ウルグアイ・ラウンドに合わせての輸入計画ということになるのですが、当然タイ米もその中に入ってくるわけであります。今日の実態を踏まえながら、この問題について農林大臣はどういうふうに考えておるか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  115. 加藤六月

    加藤国務大臣 ミニマムアクセスによる具体的な米の買い付け方法は、現在まだ検討中でございまして、決定いたしておりませんが、何としましても輸出国における、今お話のあった生産状況等の情報収集を今後一生懸命やりながら、アクセスに基づく一定数量を国内の用途、ニーズに適合するように輸入していかなくてはならぬと考えておるところでございます。
  116. 谷津義男

    ○谷津委員 農林大臣、再度お聞きするのですが、実は、ミニマムアクセスによりまして私どもは輸入しなきゃならない。しかも、日本が大量に輸入するぞということになってまいりましたものですから、日本人の食味に合う米を各国がつくり出すだろうというふうに考えられるわけですね。いわゆるジャポニカ種をつくり出すんではなかろうか。そういうふうになりますと、初年度が三十七万何がしというようなことで輸入する、最終的には八十万トン弱を輸入するということになると、大量にジャポニカ種を各国でつくり出すと思うのです。当然、四十万トンの輸入という量になると、各国間の競争というのがそこで起こってくる可能性が私はあると思うのです。  そういうふうなことになってきた場合の問題を、今からそういうことを心配するのはどうかというふうに思う方もいるかもしれませんが、当然これは予想しなければならない問題だろうというふうに考えるのですけれども、この辺のことについては農林大臣はどういうふうにお考えですか。
  117. 加藤六月

    加藤国務大臣 当然そういう問題は起こってくるんではないかと思います。そこで私たちは、今回のミニマムアクセスを超える輸入については引き続き数量制限を行っていく、こう決めてあるわけですから、そこら辺を各国によくまず言っておく必要がある、こう思います。  そしてまた諸外国も、この点を考えながら、恐らく中短粒種を含む米の生産を行うのではないかという懸念もありますから、今申し上げました、これ以上は入れませんよということをはっきり今から言っておく必要があるということでございます。
  118. 谷津義男

    ○谷津委員 今までの委員会においても備蓄の問題等は大分議論になってきておりますし、その費用等の問題もありますから、私はここで避けますけれども、問題は、最近、生産者が食管法離れをしておる。言うならば信用しないということに大分問題がありまして、いわゆる自由米といいましょうか、やみ米をじゃんじゃんそっちへ流していくというふうなものがあって、国も大変な苦労をなされております。そういったことで、捕まえるといっても、なかなか法律的な機能がなし得ない状況もみんな国民が知っちゃったわけであります。  そこで、そういった面から考えても、あるいはウルグアイ・ラウンドの合意ということとあわせても、食管法の改正というのは最近各紙が一面トップでみんな書いておる。私は先ほどからずっとこう議論を聞いておりまして、食管法の改正については、農政審の審議の最中だからというようなことでお答えがなかなかないわけでありますけれども、何か農林省が事前にこれはリークして、じゃんじゃん国民世論をつくっちゃっているのかなというふうな感じすら私はするのです。  この食管法の改正について、当然審議会は審議会としての答申も出てくるでしょう。しかし、農林大臣としての見識の中において、この食管法というものに対してのまたお考えがあることは当然だろう、これは総理にも言えることでありますけれども、そういうことがあってしかるべきだというふうに考えるのですね。  そこでお聞きしたいのですが、食管法の改正というのが盛んに今俎上に上っておるところでありますけれども、この食管法の改正の枠、これはミニマムアクセスを受け入れるための、合意のためのその枠にとどめるのか。それとも、もともと食管法そのものに対する不信感というものはかなり出ておりますし、機能が果たされていない、時代的な、何というのですか、機能はもう終わったんじゃないかというふうに私は思っておるのですけれども、その抜本的な改正をするのか。  この二つの点、どっちに方向づけをしていくのか、このぐらいはお答えができるだろうと思うのですけれども、大臣、どういうふうにお考えですか。
  119. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず、農水省が世論誘導しておるのではないかというようなお話がありましたが、これは絶対いたしておりませんから、そこはよろしく御理解賜りたいと思います。  そして、食管法が機能しておる、あるいは機能していない部分等々いろいろあるのは、もう谷津委員御存じのとおりでございます。そしてそういう中で、やはり私は、先般の平成米騒動あるいはまたああいう大不作等々を通じて、食管法があったから早く安定したという気持ちは持っております。しかし、ミニマムアクセスを受け入れるということでございますから、これからいろいろ多くの問題が起こってくるのは当たり前だと思います。  そこで、昨年暮れ、閣議了解等でやりましたようないろいろな方針を踏まえて、各界各方面の意見を承っておるのでありますが、私、おまえの感じを言えとおっしゃると、食管制度のあり方について幅広く検討してまいりたい、これからの日本の国民に安全な食糧を安定供給していくということと、生産者に再生産の意欲を持ってもらうという二つの面を充足していくためには、幅広い議論、検討が必要である、こう考えておるところでございます。
  120. 谷津義男

    ○谷津委員 新聞やテレビでこういうふうに報道されてまいりますと、生産者もかなり迷うと思うのですね。しかも、生産者にとって大事な、減反は選別制にするとかしないとか、こういう議論、これはもう生産者にとっては大変重要な岐路に立つわけですね。  しかも、減反に協力する方には、けさあたりのニュースを見ていると、場合によっては補助金もかなり出さなきゃならないぞというようなことを解説で言っている方もいらっしゃいますし、また政府は、これは買い上げをちゃんとしますよ、それから非協力者に対しては、これは自由米として扱うということで、市場にかけるんだと、あるいはまた米価がどんなに下がってもそんな補償はしないよとか。  そういうふうに盛んにそういう議論がじゃんじゃん流れてくるということになりますと、これは早く方向づけをきちっと出さないと、本当に生産者というのは迷いに迷って、しかも今ですら食管法そのものに対しての信頼感が薄くなっているところですから、非常に大事な時期を迎えているだけに、それは農政審の審議も大切でありますけれども、国として、農林省として、こういうことはもうこうなんだよというある程度のマニュアルぐらいのものを言っておかないと、これは大混乱を起こすんじゃないかなという感じは持っておるのです。農林大臣はその辺のところはどういうふうにお考えですか。
  121. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、食管法は二つの性格を持っておるわけでありますが、生産者が行う行為が食管法そのものを否認するような行為になってはいけない。自分自分の首を一生懸命絞めるような行為が行われておるということになると食管法は要らなくなる、そこら辺は、私たちは今回の平成米騒動を通じて幅広く認識したところでありますから、そこら辺はぜひ消費者も生産者もよく踏まえていただきたい。  したがいまして、私は、食管法の基本は守りつつ幅広い検討を行います、ここに尽きると思うわけでございます。
  122. 谷津義男

    ○谷津委員 幅広いというおっしゃり方をしたわけですが、言葉をかえて言えば、抜本的に改正するという理解でいいのですね。大臣、それでよろしいのですね。
  123. 加藤六月

    加藤国務大臣 今申し上げました両方の面から幅広く検討していきます。
  124. 谷津義男

    ○谷津委員 わかりました。そういうことで、私どももこれには議論の参加をしていきたい。これ以上聞いてもなかなか、農政審がやっているからということで、最後はそういうことになっちゃうんじゃなかろうか。  そこで、総理にこの問題について最後にお聞きしたいのですけれども、今の農林大臣のお答え、まさに私はその辺のところはよくわかるわけであります。しかし、農政ということになればもう羽田総理というふうに言っても私は過言ではないと思うのです。総理にもこの点については御見解があろうかと思うのですけれども、総理の御見解を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  125. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 食管法は歴史的に、生産者の再生産、そして消費者に食糧を安定して供給する一つの大きな役割を果たしてきているというふうに思います。それと同時に、いろいろな制約もあったということもあるでしょう。  ですから、私は、かつて農林水産大臣に就任いたしましたときにも言ったのです。要するに、やはりタブーというものをつくっちゃいけない、これに対してはタブーはなしにして議論しようじゃないかということで、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、いろいろな議論がどうも聞こえてくるということであります。私は、いろいろな議論がやはりあっていいんだろうと思うのです。  そういう中から本当の必要なものが生まれてくるんだろうというふうに考えておりまして、今の時代というもの、そしてこれからの農業というもの、あるいは食糧を安定して供給するためにはどうするのか、ここらあたりで真っ正面からひとつ議論していただきたいなというふうに考えております。
  126. 谷津義男

    ○谷津委員 私の後に金田委員がこれの関連質問をするので、私は、その問題についてはもうとめておきたいと思います。  そこで、最後の質問になるわけでありますけれども、ワールドカップのサッカーの誘致についてお聞かせをいただきたいと思うのです。  まず大事なことは、この前、法務省がマラドーナの入国についてこれを拒否しました。これは私は正しいと思っております。しかし、それがために、まあそれがためかどうかわかりませんけれども、日本から立候補しておりました方が世界のサッカー協会の副会長に落選をするというふうなものにつながったという感じも私は持っておるわけであります。  しかも、このワールドカップの誘致ということは、私は非常に日本にとってスポーツの振興の面からいっても大事なことであろうと思いますし、今サッカー熱というのも非常に大きく広がっております。これによって各スポーツもむしろ活性化しているのではなかろうかな、非常に盛んになってきているのではなかろうかな、国民の健康増進のためにもよい影響を与えているのではなかろうかなというふうにも私は考えているわけであります。  そういう面から考えまして、このワールドカップの誘致というものについて、これは閣議決定をして日本の国挙げてこの誘致を図るべきだというふうに私は考えておるのですけれども、総理はこの誘致の閣議決定についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  127. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 サッカー熱というのはもう大変なものであって、これは今お話があったとおり、やはりスポーツ全体の振興にもなるだろうというお話、私も全く同様に感じております。また、国際親善にも大きな役割を果たすものであろうというふうに思っております。  これを二〇〇二年に日本に誘致する、招致するということにつきまして閣議決定というお話でありますけれども、実は私のところにも、ほかのスポーツなんかについても、その他のものについても閣議決定してほしいということがあります。ただ、果たして閣議決定をするのはどうなのかということについては、ちょっとまだ今申し上げられるあれじゃないというふうに思います。  いずれにしましても、全体の状況というものを見ながら私どもとしても対応していきたい。ただし、私どもとしてもやり得る限りの支援というも のはしていきたいというふうにも考えております。
  128. 谷津義男

    ○谷津委員 私は、二〇〇二年の誘致を有利に運ぶためには、これはもう世界の祭典でもありますから、オリンピックに匹敵するようなワールドカップでありますし、百万人を超える応援隊というのですか、そういう人たちも来るやに聞いておるわけでありますけれども、こういう面から考えると、私は、誘致の閣議決定というのはもうぜひやっていただかなければならない、そういうふうに思うのです。  もう一度その辺のところをひとつ、総理、何とか決断をして、閣僚の皆さん方とも相談をしてやっていただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  129. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 たしかオリンピックも閣議了解だと思いますけれども、オリンピックというのは全種目にわたるものであることはこれはもう御案内のとおりでありますから、それと同列にあれするということになると、今度いろいろなほかのスポーツもみんなあります。  だから、そういうものに一体どうするのかということでありまして、私どもとしてもやり得る限りの支援というものはしたいというふうに考えております。
  130. 谷津義男

    ○谷津委員 そこで、ワールドカップを誘致するということになりますと、予選をやるための競技場が十四、五要るということで、いろいろな自治体がこれに対して立候補をしているというふうに私ども聞いておりまして、事実そういうのは承知をしているわけであります。  ところが、この希望自治体に対しまして、何か一件当たり二億五千万ほどの拠出金を出させているという話を聞いているわけでありますけれども、これは自治大臣の方がおわかりなんでしょうか、この辺のところはどうなっているのでしょうか。
  131. 石井一

    石井国務大臣 私が聞いておりますのは、十五の自治体が積極的に参加をし、そしてこれらの自治体におきましては各二億三千五百万の拠出をされておるというふうに伺っておるわけでございますが、これは地方自治法二百三十二条の二の規定に基づき、公益上必要がある場合には寄附または補助ができるというふうなことがございまして、地方自治体が自主的、主体的な判断でなされておる場合には、地域の活性化、スポーツの振興等というふうな面からも適正なものであるというふうに判断いたしております。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 谷津義男

    ○谷津委員 これは誘致運動が過熱をこれからまたしてくるだろうと思うのですね、各予選地域については。それで施設もつくらなければならない。これは膨大な資金もかかる。当然国の補助ということもあるだろうというふうに考えているわけでありますけれども、過重な負担をさせるということもいかがなものかというふうにも考えるわけですね。そういうときにこのお金は、これは当然財源は自主財源であるというふうに思うのですけれども、その辺のところはどうなっていますか。
  133. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま自治大臣から御答弁ございましたように、ワールドカップサッカーの招致をするための招致委員会を国内に設けておりますが、その国内に設けております招致委員会に対して、十五の地方団体がその招致委員会に加入いたしまして、そして拠出金を出しているものでございます。これは自主財源でございます。
  134. 谷津義男

    ○谷津委員 招致委員会は任意団体ですよね。そこへ自治体から公金が出されておるということです。私は、それはそれなりにいいというふうに考えるものであります。しかし問題は、公金ですから、拠出されたお金がきちっと使われるように、この辺のところを十分に会計を明朗にしなければならない。  なぜ私はそういうことを言うかといいますと、かつて長野においてちょっと問題があったこともありますものですから、このオリンピックの誘致のときのあのお金の使い方ということで。この辺のところをしっかりと踏まえておかなければならぬと思うのです。  この辺は、自治省の方もそれは監督をしなければならないし、当然文部省の方もその辺のところは監督をきちっとやらなければならないんじゃなかろうかと思うのですが、まず文部大臣、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  135. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 お答えいたします。  招致委員会は、日本サッカー協会が中心になって組織されているというふうに承知いたしております。日本サッカー協会は財団法人でございまして、そして招致委員会の構成員は日本サッカー協会の関係者と開催候補地の自治体の知事さん、市長さんも含まれているということでございます。  そこで、招致活動負担金につきましては、日本サッカー協会が適正に処理をしておられるというふうに承知いたしております。したがいまして、不明朗な点はないものというふうに考えます。
  136. 谷津義男

    ○谷津委員 私もサッカーを愛する者の一人といたしまして、このワールドカップというのは本当に期待をしますし、何としても招致したいというふうに考えているわけであります。  ですから、先ほどからしつこく閣議決定もしてほしい、そうすればもう弾みがつきますし、それは世界の方たちからも、マラドーナの事件があっただけに、私は非常に大事だろうということで質問をさせていただきました。  総理から、これは全力を挙げて応援するんだということをお聞きしたわけでありますけれども、これは日本人の大きな夢でもあるし、競技団体幾つもあるけれども、みんなほかの競技団体もこれはこぞって賛成をしてくれるものと私は確信をしているものでございますだけに、ひとつ積極的な対応をお願いをいたしまして、残りの時間は金田委員の方にお譲りいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  137. 山口鶴男

    山口委員長 この際、金田英行君から関連質疑の申し出があります。谷津君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金田英行君。
  138. 金田英行

    金田(英)委員 私は、自由民主党一年生の金田英行であります。選挙区は、日本列島最北端の選挙区であります。  「増税なき財政再建」並びに行政改革について御質問させていただきますが、その前に羽田総理にお尋ねしたいのです。  羽田総理は、本会議並びにこの委員会でよく、私が自民党にあったときというようなことを発言されておられます。確かに、羽田総理はその大半の政治生活を自由民主党という党の中でお過ごしになられました。また、ここの閣僚の顔ぶれを見ても、私の最初の厳寒の選挙のときに、加藤六月農林水産大臣が寒い旭川まで応援に来ていただいたというようなこともありました。こういった中で、私は野党の一年生として自由民主党に議席を置くことになっておりますが、政官財の癒着体質あるいは長期政権によるおごり、そういったことで自由民主党が批判されております。  しかし、考えてみますと、これはとりもなおさず羽田さんを含む金丸、竹下、小沢によるあなた方経世会の、数は力だ、力は金だというような強権政治に対する批判にほかならなかったんではないかというふうに思うのであります。あなた方は自由民主党の権力の中枢にあったわけでありまして、一時期党内の民主化の動きの中で、党内で利あらずと見るや、新生党を結成されて党外に去られました。  そういったことで、今我々自由民主党の一年生として、素直な気持ち羽田先輩にお尋ね申し上げます。  新生党の持っていた強権体質の批判を今自由民主党が一身に浴びておるわけであります。羽田総理からの、ふるさと自由民主党に対する、よく、自民党にあったときというふうに言われておりますが、そういったことについての、どういう意味で言われておるのか、あるいはふるさと自民党に対する感慨をお尋ね申し上げたいと思います。
  139. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 厳しい御指摘でありました。しかし、新しくお出になった方としては、私は当然の指摘であろうと思っております。  私は自民党を離党するときは、別に利を求めたのじゃありません。私たちがあのまま出たときには、私は何とか自分で父親の時代から蓄えてきた選挙区がありますけれども、ほかの人たちは落選するかもしれない。私は本当にそのことに対して思いをあれしたのです。  しかし、あのときに、残念ですけれども、我々がこうやって進めてきてしまった政治改革というものがあそこでおかしくなってしまうということになると、それこそ暴動が起こるのじゃないのかというような思いさえ実はしたものであります。そういう中で、それこそ、もうやむを得ずああいう措置をとったということであります。  ですから私は、宮澤総理に対しても、申しわけありません、いや、こういうことになってしまいました、ごめんなさいと頭を下げながら実は白票を投じたというのが、私のあのときの心境であります。それと同時に、ですから私は、そういうことで決して自民党と政策でぶつかり合ったというものでないということ、これははっきりと申し上げておきます。  それから、自民党の二十何年間の活動というもの、確かに出てからいろいろと見てみますと、渋滞しているといいますか、滞ってしまっているとか、いろいろな問題を先送りしてしまっているとか、いろいろな問題はありました。しかし私は、二十何年間のあれはみずから誇りにしておりますということを、常に実は街頭であろうと何であろうと言っております。そして、自民党というのは、この長い、三十何年たちますとどんな水でもよどむものですよね、だから、これを全部捨て去って、怨念とかそういうものも捨て去って、一日も早くよみがえってほしいというのが私の我がふるさとに対する本当の心からの思いであるということであります。  それから、経世会体質とか新生党体質とか強権とかなんとかというのは、この何カ月間の短い間に物事を進めるために相当突っ張らなければならなかったところであろうと思っておりまして、木曜クラブ、経世会、いろいろな問題はありましたよ。しかし、自民党を引っ張ってきたグループであり、それと同時に日本の国を引っ張ってきたグループである、私は、この中にあったことも誇りに思っているということを率直に申し上げておきたいと思います。
  140. 金田英行

    金田(英)委員 やはり政官財の癒着体質それから長期政権によるおごりという自民党に対する批判というのは、自民党を出たからといってこの体質がすぐ直るものでもありませんし、国民の皆さん方がこれを自由民主党に対する批判として投げかけているとすれば、それは個人に対する批判ということになるかと思いますが、長期政権ということでいえば、個人的に言えば、ずっと政権の座からおりずにいたという新生党さんの皆さん方が長期政権によるおごりがあるのではないのかなというようなことも考えられますが、わかりました。  じゃ、本題に入らせていただきます。  今から十年前ぐらいになるのでしょうか、昭和五十七年の臨時行政調査会の基本答申の中に、「増税なき財政再建」ということ、これは「断固堅持すべきである。」というふうに答申でうたわれております。大蔵省としても予算編成方針等によってこの答申を尊重するのだというふうに書かれております。  平成元年度の消費税の導入もありまして、財政再建に一定の道筋ができたというふうに思うのでありますが、この「増税なき財政再建」の旗は一体いつ政府としておろされたのか、それはどんな理由によるものなのか、具体的にお尋ねしたいと思います。大蔵大臣、お願いします。
  141. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 五十七年のころを振り返ってみますと、御承知のように、五十年度補正から赤字国債体質に入りましたピークは五十四年、四〇%の公債依存度であって、その半分は赤字国債でありました。そういう中にあって、何とかこれを脱却しなければならないという中で、五十四年の大平内閣時代増税問題が出ました。  そういう中で、大きな世論を背景として、今御指摘の土光臨調によって「増税なき財政再建」ということが唱えられ、そのためにあらゆる努力をしてきたのが五十年代の後半だと思います。そういう中で、いろいろな要因があるにしろ、十五年ぶりに平成二年に赤字公債体質を脱却いたしました。  そして、そのときから前向きに物が取り組めるという中で、本格的な長寿社会に対し、その前にやるべき社会資本の充実、また本格的長寿社会を安定的なものにするための諸対策というものに取り組んでいかなければならないという新しい観点から、当時の行革審が人口の老齢化のピークになる二〇二五年ごろには国民負担率を五〇%程度に抑えるという方向でこれから努力すべきであるという新しい事態に対する指針が示され、我々としてはその線に沿って努力をしているところでございます。
  142. 金田英行

    金田(英)委員 「増税なき財政再建」という旗をおろしたのかおろさないのか、おろしたとしたらそれはいつなのか、具体的にお尋ねしたいのですが。
  143. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 おろした、おろさないではなく、赤字国債体質を脱却するために増税という道を選ぶなという土光臨調の強い御意向であった、そして、それが幸いにしていろいろな要因と多くの方々の大変な努力によって平成二年に脱却した、これが一つの転機だと思います。
  144. 金田英行

    金田(英)委員 今年度末で公債残高二百一兆円、そして国民一人当たりに換算すると約百六十六万円の借金を抱えていることに相当する。それから、私がここで一時間弱の質問をさせていただくわけでありますが、この一時間たつ間に国債の利払い費が十三億円にもなる。刻々と、まさに一時間一時間に十三億円の利払い費がかさんでいるというようなこと。それから、今年度もまた定率繰り入れをストップさせました。  そういった孫子の代まで借金を負わせてはならないというようなことで、大蔵省増税路線、このたびの税制調査会に対する七%から一〇%までの四つの増税案が試算として示されておりますけれども、この試算と大蔵大臣考えている考え方、それは一体どういう関係にあるのか、気持ちがどこにあるのかということです。  先ほどの予算委員会で、あんなものにこだわらないで広く論議を尽くすための資料として供したというふうになっているのですけれども、それは単なる資料なのか、何とかして増税したい、この線で落ちつけたいということなのか、大蔵大臣の意向が那辺にあるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  145. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 これは前内閣以来、あるいはもっと前かもしれませんが、これからの長寿社会に対して、我が国の社会で働かれた方々が安定した老後を全うできるようなそういう社会の構成を考えるときに、そういう福祉のあり方とあわせて、どういう方にどういう形で御負担をいただくかということをはっきりさせることによって、初めて安定したその仕組みができ上がると考えております。  そういう意味で、私は、これからの国民の皆様に御負担をいただく姿は、所得課税の軽減と消費課税の充実というものが方向として選択される、されなければならないと考えております。そういう考えは基本的な考えであるということは、私はただの一度も逃げて通ったことはありません。  同時にまた、税制調査会お話がありましたが、何度も申し上げましたように、税制調査会がそういう方向で議論するのに定量的なものも示してもらいたい。前提が三つある。一つは、私が今申し上げました消費課税の充実と所得課税の軽減という方向があること。もう一つは、将来の福祉に対して適切に対応するような仕組みであること。第三に、これによって今御指摘のありました財政体質を悪化させてはいけないこと。この三つで機械的計算をしなさい、その機械的計算として今御指摘のような幾つかの計算例を出したわけであります。  私は、これは一つの基準であるというか物の考 え方の基準にはなると思いますが、それは政策選択のものを何ら求めているものではありません。同時に、政策選択を一切捨象してありますから、不公平税制をどうするとか行政改革をどうするとか歳出の削減をどう考えるかというようなことも、これは政策選択でありますからあの機械的計算の中には入れていない、これが現状でございます。
  146. 金田英行

    金田(英)委員 大蔵大臣が、来るべき高齢化社会に備えてと常日ごろおっしゃいます。そのことはそのことでわかるのでございますが、現状の財政の火の車を見ておりますと、来るべき高齢化社会に備える以前に、今の赤字公債の発行等々、こういった緊迫した事態に対して何らかの手を打つ必要があるのか、将来の話でないのじゃないかという気がしてならないのです。単なる高齢化社会高齢化社会とおっしゃいますけれども、もはや現実に増税が必要になっている段階ではないのですか。お尋ねします。
  147. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 足元の財政状況についてのお尋ねだと思います。  今申し上げましたように、昭和五十年に赤字国債体質に入って、ピークは昭和五十四年四〇%、そしてそれからずっと落としてきて、平成三年は予算ベースで七%台に落ちたと思います。現実は九%になったと思います。  その後ふえてきておりますのは、御承知のように、そういう中においてもこの深刻な不況に対応する一つの重要な要素として公共投資政策をやるべきである、強い御要望があり、我々もそのように考え財政体質を悪化させるということは承知しながら、ぎりぎりの選択としてこれを採用したわけであります。  したがいまして、常に我々としては財政のあり方ということを考えていかなければならない。そういう中で、恐らく御指摘の一番の点だろうと思いますが、先行的減税政策ということをいわゆる財政法四条を超える国債発行によって行わざるを得なかった、これは事実でありますから、そういうこととの関連で税制改革を唱えているのではないかということであれば、全く関係ないとは言いません。私どもは将来を見据えて税制改革をやっておりますが、先行的減税というものに対しても対処しなければならないという意味も当然入ります。
  148. 金田英行

    金田(英)委員 ならばお尋ねします。  自由民主党は、消費税の導入に当たりまして、あの選挙で参議院で過半数を割りました。そして総選挙で多くの衆議院の仲間の政治生命を断たせてしまいました。消費税反対の社会党の躍進を許した選挙でありました。  そこで、大蔵大臣並びに羽田総理にお尋ねしますけれども、この財政再建を果たすために政権の生命を、あるいは政治生命をかける気概があるのかどうか、そこいら辺はどうでしょうか。
  149. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 私は、昭和六十一年から平成二年まで落選しておりました。昭和六十一年の選挙においても、落選中においても、毎日朝六時半から街頭に立って、消費課税の充実が必要であるということを訴え続けてまいりました。そのくらいの決意でやっております。
  150. 金田英行

    金田(英)委員 総理、お願いします。
  151. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私も、演説会場に行きますと、その演説はやめてほしいと方々で言われました。しかし、私は国の先というもの、国の行く末というものを考えたときに、避けて通ることのできないことでありますということを常にずっと申し上げてきた人間であります。
  152. 金田英行

    金田(英)委員 労働大臣にもお尋ねしたいと思います。同趣旨の質問でございます。
  153. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 現在の財政の状態あるいはこれからの高齢化社会というものを見通して、今のままの税制ではどうにも立ち行かないということ、間接税についてもきちんとこれをやっていかなければいけないということを私は強く認識いたしております。  なお、ここにおられる自民党筆頭理事の深谷先生とともに売上税創設の際に猛烈な反対運動を行いまして、いろいろと自民党から懲罰を受けたという非常に懐かしい思い出、自民党の文教部会長になり損なったというような思い出がありますが、あれは中身というよりも公約違反が明々白々であったという点に主に力点を置いて反対運動を行ったものでありました。
  154. 金田英行

    金田(英)委員 議事を進めさせていただきます。  「増税なき財政再建」、まさに決して捨ててはならない我々公務員の基本的姿勢であろうというふうに伺いました。私もそうだろうと思います。  それでは、たび重なる貿易収支、たび重なるというか史上空前の貿易収支の黒字、決して減るような状況にない貿易収支の黒字、このことによって我々国民は多大な影響を受けております。農産物の内外価格差はこのために大変な内外価格差となっておりますし、円高を招いておりますし、そして日米の経済協議。  そもそもこういった膨大な貿易黒字について政府は今何をやろうとしているのか。具体的には内需拡大策、そして規制緩和、よく伺います。しかし、そんなことでは決してこれらの貿易収支の黒字、ひとり勝ちの貿易収支の黒字の改善は一向に見込まれないのではないのか。一体何をしようとしておられるのか、そこいら辺をまずお聞きします。
  155. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 これは経済企画庁の所管の面もあろうかと思いますが、私はまず、前にもお答えしておりますが、一国が恒常的に黒字を続けるということは、その国のためのみならず世界の経済に望ましいことではない、こう基本的に考えております。  対策を申し上げる前に、現実に平成五年度は円ベースでは着実に黒字は減りました。ドルベースにおいても、昨年十—十二月期、一—三月期は減っております。緒についていることは間違いありません。平成五年の経済成長は〇・一%でございまして、このこと自体は決して望ましいことではありませんが、その内訳を見ると、〇・四%の内需の増、〇・三%の外需の減、こうなっていることは今の数字をはっきりあらわしていると思います。  これを着実にやっていくということだろうと思いますが、今お話しのように内需の拡大は非常に重要だと思いますし、市場の開放も重要だ、規制の緩和も重要だ、そしてもう一つ、やはり産業構造の国際協調できるような体制への調和ということも大事だと思います。やや中期的になりますけれども、そういうことを着実にやっていくということは非常に大事な政策だと考えております。
  156. 金田英行

    金田(英)委員 このような膨大な貿易収支の黒字が日本の国にいろいろな摩擦、あつれきを起こしているのは確かですけれども、国民生活の向上のために果たして役に立っているのかいないのか、そういった面でこの貿易収支の黒字を何とか国民生活の福祉の向上あるいは社会資本の充実のために活用できないかという視点があろうかと思います。  具体的にお尋ねします。輸出税について御検討されたことがあるのでしょうか。
  157. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 過去三十年間例をとりましても、貿易収支が大黒字になったときにこの議論が出てくることはもう過去の例で明らかであります。しかし、私はこれは反対であります。自由貿易体制に真っ向から反するものでありますし、このことがまた輸入国における輸入課徴金を誘発いたします。基本的にこの物の考え方には反対であるということを申し上げたいと思います。
  158. 金田英行

    金田(英)委員 確かにガットの精神、貿易の拡大を通じて国際社会の豊かさを追求していく、それについては私も同感でございます。  しかし、ガットが禁止しているのは、輸出補助金、あるいは輸入に対する課徴金というのですか、制裁金というようなことは、これはガットが禁じているものだろうと思いますけれども、貿易の自主規制を行う、輸出の自主規制を行い、あるいは諸外国に迷惑がかからないように、いわゆる膨大な製品の外国への流出を防いで諸外国の経済の混 乱をもたらさないようにするという形で輸出に税金をかけるということは、ガットの精神に決して反するものでないというふうに思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。  それからもう一点、輸入課徴金を誘発するというようなことを今大蔵大臣おっしゃいましたけれども、私は何でそんなことになるのかというふうに変に思うわけであります。輸出税をかけたからといって、相手国がそれならばといって輸入課徴金をかけるということにはならぬだろうというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  159. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 同じお答えになってしまうわけでありますけれども、自由貿易体制に反するのが輸出課徴金であるということは極めて常識的な話だと思っておりますし、こちらが輸出課徴金を取るなら、輸入国の方でその分ぐらいは取るぞという意味で輸入課徴金ということを誘発するというのは、現実に過去に歴史上あり得たことであります。  自主規制の問題は私の所管でございませんので、関係大臣がもしあれでしたらお答えなさると思います。
  160. 金田英行

    金田(英)委員 輸出補助金を出すのであればその分を輸入課徴金という形で対抗措置を講ずるというのは、これはわかります。しかし、輸出に税金をかけて高いお金で買ってくれということでやることについて、輸入課徴金を誘発するということはどうしても解せないのですが、そこいら辺はどうでしょうか、もう一度お尋ねします。
  161. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 輸出国がそのようなことをするぐらいなら我が国でやるぞという話になるという意味でございます。
  162. 金田英行

    金田(英)委員 アメリカでスーパ三〇一等々で、不公正貿易であった場合には一切課徴金等々かかるというようなことをアメリカでは言っておるわけですけれども、それがガットの精神に違反することは言うまでもありません。しかしそのような、貿易相手国を怒らすとか、産業の保護をしなければならないというような状況にあるならば、相手国のことも思い、我が国の輸出に税金をかける。そしてそれは膨大な財源になるわけであります。例えば、輸出額が四十兆でありますから、三%仮にかけたとしても毎年一兆二千億からの財源が確保できるわけであります。  そのような財政上の意味、それから経済を運用する大きな道具になり得るんじゃないか。三%を上げ下げすることによって、現実問題として国際収支のバランスがとれてくる。それとまた、円安を長期的に誘うことになる。外国も痛手をこうむらない。このような万事丸くおさまる、そういった輸出税についてぜひとも御検討をいただきたいというふうに思うのですが、もう一度お答えいただけませんでしょうか。
  163. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 同じことでまた恐縮なのでございますが、過去二十年ぐらいのうちに、確かに何度も大幅黒字になったときその議論が出ることはよく承知をいたしております。  ただ全体として、世界の自由貿易というもの、これはまさにガット・ウルグアイ・ラウンドが今回成功したときの基本的な理念でもあると思いますので、輸出税という形でこれを解消するのではなく、やはり先ほど申し上げましたように、日本の内需拡大を通じまして、そしてまた日本の産業体質を直していくということによってこれを解消していくのが筋ではないかと思いますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  164. 金田英行

    金田(英)委員 確かに輸出税をかけるという場合に、国内の輸出産業、まさに懸命のリストラ中であります。こういった輸出産業の足を引っ張るんじゃないかというふうな考え方があります。しかし、これらの輸出産業の足を引っ張るような、もうそういう労働集約型の製品をつくっているわけではありません。そういった意味で、もう時代が変わったのでありまして、稼げ稼げ、あるいは輸出振興、とにかく国内の富をどんどんふやそうじゃないか、そういう時代は終わったのであります。  逆に考えてみますと、そういった貿易収支の黒字を、国内の富を国外に移転するときにはペナルティーを科してもいいんだ、とにかく国を富ませることがまず第一なんだ、そういった意味で輸出税、とにかく国外に富を運び出すときにはペナルティーをかけるぞということは、経済的にもあるいは国民福祉の充実のためにも、これは決してもうそんなことは考えられぬというような問題では私はないと思っております。そこいら辺、何とか御検討いただきたい。  まあ哲学の問題にかかわりますので、大蔵大臣の姿勢、自由貿易体制、それを守っていきたい、とにかく余り変な税制によるそれは好ましくないという姿勢は基本的にわかりますけれども、この際、こんなに貿易収支の黒字で諸外国に迷惑をかけ、そしていろいろなあつれきがあるのであれば、輸出に税金をかけることが当座の一番必要な施策ではないかというふうに思えてならないわけであります。しっかりとこの点を考えていただきたい。  特に輸出産業については、輸出税をかけることによる輸出産業の打撃よりも、円高によって輸出産業が苦境になっているという実態、むしろ円を円安にもう一回振り戻してくれ、そうすることによって輸出産業が救われていくんだよというような状況があるわけであります。ぜひとも、政策の一つとしてこういう考え方もあるのだぞということを御認識いただきたいと思います。お答えは要りません。もう哲学が違うようでございますので、よろしくお願い申し上げます。  輸出税についてお話ししました。いろいろな増税を図ることは結構でありますけれども、これから我々が、あるいは政府が、国民に税の負担をお願いする、増税をお願いするというようなときには、増税にふさわしい政府、なるほどな、政府もこれだけの身を削るような歳出削減をやっているんだな、あるいは行政改革でこんなに苦しい行政改革も断行しているんだな、政府もそんなにいい仕事をしてくれるのであれば、我々国民税負担の増に応じようじゃないかというような増税環境を整えることがまず第一だろうというふうに思うわけであります。まず増税でしょうか、それとも増税環境のための行政改革がまず先に取り組まれるべきだと思うのですが、その点について総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
  165. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 御指摘のとおりでございまして、これはやはり国民が税を本当に喜んでといいますか、これはもうやむを得ぬから払うよという気持ちになるには、やはり官そのものが、あるいは公的な機関そのものが本当のリストラというものをしなければならないことだろうというふうに思います。  ただ、土光臨調以来、それこそ私が自民党に当時はあったころでありますけれども、一人ずつの、例えば林野ですとか私が担当しておりました食糧の統計事務所ですとか、そういったところなんかでも、みんな人数を減らしながら実は対応してきたということでありまして、これを連年続けてきましたから、これからやるとなると、例えば特殊法人ですとかあるいは省庁の問題ですとか、大きな問題と取り組んでいくということになろうというふうに思っております。  ですから、直ちに金が出てくるものじゃない。しかしおっしゃるとおり、やはりこれはもう不断の努力で我々は努めなければならぬということを覚悟しながら対応したいと思います。
  166. 金田英行

    金田(英)委員 時間が大分なくなっておりますので、行政改革の本題に入らせていただきます。  何といっても国民増税を納得させるような環境、行政改革を目に見えるような形で実行していかなければなりません。  官僚機構についてお尋ねしますけれども、羽田総理は規制緩和、規制緩和ということを各閣僚を通じて各省庁にいろいろ督励されておられるようですけれども、各官僚機構は総理の意向のような対応になっておられるでしょうか。官僚機構についての感想をお聞かせいただきたいと思います。
  167. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 役所のそれぞれの皆さんも、ちょうど戦後五十年たとうとするわけでありますから、こういったときに、今改革をしなけれ ばならないという思い、これはやはりそれぞれが相当強く思い出しておるということ、そして今、日本は市場開放するとか、あるいは新しい雇用なんかを創出するとか、あるいは国民が生活というものを存分にこうやってエンジョイするとか、あるいは住宅等についてもそうでありますけれども、そういったものを考えたときに、今やらなきゃいかぬぞという気持ちを各役所の人たちもそれぞれが本気になって持ち始めておるという私は感触をみずから持っております。
  168. 金田英行

    金田(英)委員 羽田総理が官僚機構についてそのような楽観的なお考えを持っているということがあるとしたら——実は私も役人をずっとやっておりまして、官僚機構というのは、政権は三カ月や六カ月でかわっても、我々は恒久的な存在だよという認識をプライドのある官僚は皆持っているわけであります。縦割り行政の弊害について若干の点を述べて、これからの新しい時代、このままの行政機構でやっていくのかね、このままの行政機構でいいのかねという点について若干の御指摘をしたいと思います。  一点目は、各省庁が稚内から沖縄まで押しなべて同じような金太郎あめのような政策を展開しているということであります。具体的に申し上げますと、事例として、ほんの例示なんですが、交通安全施設緊急整備事業というような形であって、交通量が多くて交通事故がたくさん出てしまったという形で全国に横断歩道橋をつくりました。  その制度をつくったがために、稚内の果てから沖縄の果てまで道路の上の横断歩道橋ができ上がったわけであります。あの横断歩道橋が必要なのは大都市のみであります。ほとんど私の選挙区の田舎でもあの横断歩道橋を渡っている人を見たことはありません。まさに無用の長物の施設をつくったというようなことであります。中央省庁が一括して、なべたような行政を展開するということは、実際にその地方地方の現実に合わなくなっているという点が一つあろうかと思います。  二点目でありますが、公園の整備事業につきまして各省庁いろんな権限をお持ちであります。例えば、農林省では農振地域の整備に関する法律等々で公園の整備をやっておりますし、林野庁さんは森林法でやっております。文部省さんは文化財保護法で公園の整備をやっております。環境庁さんは自然公園法をお持ちでありますし、建設省さんは都市公園法あるいは河川のダム周辺整備事業あるいは都市河川整備事業等々で公園の整備を行っております。通産省に至っては電源立地促進交付金あるいは石油貯蔵施設の立地対策補助金、あるいは運輸省では港湾環境整備事業費補助金というような形でたくさんの省庁が同じ公園の事業をやっております。  そういった各省庁が、私も私もという省域拡大の中でこのような実態というのが出てきているんだろうと思います。これは、地方自治体が一体どうしたらいいのか、どこに頼んだらいいのか、公園はどの予算を使ったらいいのか、そういったことできよろきょろせざるを得ない。まさに縦割り行政が地方公共団体にそのままストレートに浸透するわけですから、余りにも複雑な行政に右往左往するという事態があろうかと思います。  このような点がまず挙げられるかと思いますが、三番目に、ふるさと自然のみち整備事業について環境庁にお尋ね申し上げます。  ふるさと自然のみち整備事業というのを新しく今年度からつくられますね。全国三千三百ある市町村のうち三千万か四千万かの補助金を三つの市町村に交付するという事業だと承っておりますが、簡単で結構ですから、その内容について若干御説明願います。
  169. 浜四津敏子

    ○浜四津国務大臣 今御指摘がありましたように、今回市町村を事業主体といたしますふるさと自然のみち整備事業につきまして、国が助成することになりました。本年度は三地区につきまして先駆的モデル的事業として実施いたします。総額一億三百万円の予算を予定しております。  近年、自然との触れ合いを求める国民の方々の要望が高まる中で、環境庁は従来から、公園の中におけるキヤンプ場とかあるいはビジターセンターとか、あるいは東海道自然歩道などの整備を進めてまいりまして、国民の方々の御要望におこたえしてまいりました。  また、こうした自治体の助成につきましても、これまでもとんぼの里とかあるいはほたるの里など、身近な自然との触れ合いのためのきめ細かな助成、その地方の特性に合わせた助成をしてまいりまして成果を上げてきたというふうに考えております。今回の助成も、各自治体の取り組みを促す上でその意義は大きいというふうに考えております。  また、昨年成立させていただいた環境基本法の中におきましても、自然との触れ合いを推進することというのが環境政策の指針とされておりますので、今回の事業もこの指針の方針に沿ったものというふうに考えております。
  170. 金田英行

    金田(英)委員 環境庁さんがふるさと自然のみち整備事業をやられるということ、そしてそういうことが必要だということはわかるんですが、国と地方の業務分担ということを考え、あるいは少額の補助金はこれから整理していって地方に任せようじゃないかというこの大きな流れの中に、また新しいそういう補助金が出た。  例えば三千三百もある市町村にふるさと自然のみち、そのふるさと自然のみちというのはその市町村の市民しか使わない、わずかな費用でできる、そういう事業であります。そういったことに三市町村に交付しよう、補助金を与えよう。そうしたら、かえって今まで単独事業でやっていた市町村は、今度その金をもらわないと力がないというようなことにもなりかねませんし、いろいろとこういったことについては検討していかなければならない政策課題ではないかとさえ思うわけであります。  とにかく役人というのは、私も経験から申し上げますと、決して遊ばないものであります。じっと、何か暇な時間を与えると新しい仕事をつくり出します。そして自分の省域を拡大させます。とにかくどんなことでも、それが市町村がやることであっても、自分の権益としてそういった仕事を拡大するものだ。たまたま今環境庁さんの事例を挙げましたけれども、たまたまことし新規であったのですが、各省庁にそれがあるはずであります。  たまたま一例でまことに環境庁長官には申しわけなかったのですが、役人の習性、官僚の習性というものはそういうものだということで、こういつて膨大化した、肥大化した行政組織をいつまでも引っ張っていくのかということ、これが縦割り行政のひずみの三点目であります。  それから、国土庁さんにお尋ねしますけれども、地域振興立法というのを国土庁さんが中心になってやられると思うのですが、最近の国土地域振興立法について見ますと、例えば平成四年につくりました俗に言う拠点都市法、ここの主務官庁は、国土、農林、通産、郵政、建設、自治の六省庁が主務官庁であります。頭脳立地法、国土、通産、農水、建設であります。リゾート法、国土、農水、通産、運輸、建設、自治であります。テクノ法、国土、通産、農林、建設であります。  このように、これからの地域振興立法というのはたった一つの省庁では賄えない、多くの省庁がたくさん寄り集まらないと、その地域にマッチした、あるいはその地方のニーズにマッチした地域振興政策というのは展開できない時代になってきているんだろう、そういうふうに思うのですが、この点について国土庁長官、いかがお考えでしょうか。
  171. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのように、確かに五省庁、六省庁の共管となるような法律がたくさんあるわけでありまして、これを本当に適切に実施するという点につきましては、よほど各省庁間の協力連携というものを密にしてやる。根本的には私は、やはりこういった問題について複数の省庁の共管というような形にならないような縦割り行政というもの、そのものも考えなければならないわけでありますけれども、そこへ行くまでの段階、とりあえずのところといたしましては、地域の振 興と国土の均衡ある発展のためにも、十分連携をとるような、そういうことをやっていかなければ効果が上がらない、このように考えるところでございます。
  172. 金田英行

    金田(英)委員 まさに今の行政機構のあり方を何とかして見直さなければ、新しい時代についていけなくなってきているんだというふうに私は考えております。  五点目の問題として、富山県民は、大蔵省関係の仕事あるいは農林省関係の仕事ということになりますと、金沢市まで出向きます。北陸財務局、北陸農政局が金沢にあるからであります。そして、通産関係の仕事あるいは地方運輸局関係の仕事ということになりますと、名古屋まで参ります。そしてまた、北陸地方建設局だとか港湾建設局、運輸省の仕事というようなことになりますと、これは今度は新潟市に参ります。  こういった形で、各省庁が縦割りに全国を、自分のブロックは八つに分けるんだ、おれのところは十に分けるんだというような形で、地方支分部局を我が省だけの都合で編成しているために、富山県民はこのような不都合をこうむっているわけであります。  このような縦割り行政の弊害、そのことによって地方公共団体があっち行ったりこっち行ったりというような、総合行政が展開できなくなってきているという、ちょっと変な言い方だったのですが、大変困っているという実態があるわけでありますけれども、この点について自治大臣から、地方自治体担当としての所見を伺います。
  173. 石井一

    石井国務大臣 委員案内のとおり、最近、臨調の答申に沿って、陸運、海運局の統合等五十四機関、また行政監察局とか財務局等の県単位の機関百七十八機関の縮小改組等、微々たる努力と申されるかもわかりませんが、いろいろの動きがあるということは御承知のとおりでございます。自治省はこれを統合する場所でなく、総務庁長官においてこれを遂行されておるという現実でございます。  率直に自治省の立場を申し上げさせていただくとすれば、地方分権という意味からも、まとまっていただければまとまっていただく方がやりやすいということは当然でございます。しかし、先ほど言われましたように、富山の方はそれではいつまでたっても不便なところにあるのか、こういうふうな問題もあるでしょう。いろいろの問題があろうかと思いますけれども、今後有機的にそういう方向で進めていくべきだと考えております。
  174. 金田英行

    金田(英)委員 大分もう時間がなくなりましたので、まとまった議論にならないのが私自身としても大変不本意でありますけれども、総務庁長官にお尋ねします。  昨年、第三次行革審の大くくり省庁構想というのが示されております。確かに今回大蔵省が取り組んだ公共事業のシェアの見直し、各省庁のシェアの見直しは、ほとんど省域の衝突の中でコンマ以下の改善しかできなかったのであります。しかし、省庁別に見てみますと、建設省の場合でいえば、道路とか河川、住宅、下水道等については、省庁の中では自由な形で、そのときのニーズに応じてそのシェアが動いております。例えば、公園については十年前から比べると二十何倍になっているというような、そんな形で動いているわけであります。  ただ、省庁間のそれについてはなかなか動いていない。今回の公共事業のシェアの見直しについて私が勉強したことは、省域についてはいじれないけれども、大くくりの省庁で考えれば、今まで省域の壁があったのだけれどもなくなるんだなというふうな感想を私は持ったわけであります。大くくり省庁、六省庁に統合することによって総合行政を展開しよう、縦割り行政の弊害を少しでもなくそうというような取り組みが答申されておりますけれども、これについて、その決意のほどをお伺いしたいと思います。総務庁長官
  175. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど来いろいろな御指摘があったわけでございますが、例えば地方庁という考え方もありまして、随分地方へ行きますと、それぞれ現在の出先機関を全部一カ所に統合せい、こういうような御意見がございます。  しかし、せっかくそういうような形にいたしましても、今も問題になっておりますように、それぞれの省が抱えている法律、それが改善をされない限りにおいてはその弊害はなくならないわけでございます。やはり法治国家として法律に基づいて運営をしていく、こういう問題がどこまでもつきまとうわけでございますので、この地方庁の考え方というのは、なお議論が必要なところであろうというふうに思っております。  それから、省庁統合の問題でございますが、これもまさに省域の問題、省際の問題、ここら辺をどういうふうに考えていくかというのをもう少し詰めていきませんと、なかなか省庁統合まで私は行き着けないと思います。  そういった意味では、例えば都市機能の、首都移転ですか、そういうもの、あるいは地方分権の問題、こういった問題を本質的に考えながらやはり中期的に省庁の統合問題は考えるべき課題ではなかろうかな、こんなふうに考えております。特に、地方分権、本格的に論議がスタートをいたしましたので、その方向をまず見きわめた上で考えた方が省庁統合への将来の考え方が浮かんでくるだろう、こんなふうに思っているところでございます。
  176. 金田英行

    金田(英)委員 時間がなくなりましたので、最後の質問ということで一問だけお許しいただきたいと思います。——じゃ、時間がありませんので、これで終了します。
  177. 山口鶴男

    山口委員長 これにて谷津君、金田君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  178. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党を代表して質問をいたします。  大蔵省がさきに「税制改革に関する機械的試算」なるものを出しました。いろいろ論議はもうありますから詳しくは聞きませんが、二、三聞いておきたいと思います、確認をしておきたいと思います。  これは、歳出面での浪費、我々からいいますと軍事費とか公共事業費とか、こういったものを抜本的に検討して削減する、そういうことは一切前提に入っていない計算ですね。
  179. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、機械的計算でございますから、政策選択の問題は入れておりません。ただいまの御指摘の点はそのとおりであります。
  180. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 社会保障のための費用の増額分もすべて消費税で賄う、こういう前提ですね。
  181. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 計算は厚生省でつくられたあの福祉のビジョンというものを前提として、それを前提とした、六つでしたか、その案を出させていただいております。
  182. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、増額分はすべて消費税で賄うということです。  社会保障以外の分野では、将来の支出が相対的に減少するものもあるはずですけれども、それも計算に入っていない前提ですね。
  183. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 我々は、政策選択として、そのようなものについては最大限の努力をしてまいりますが、ただいま申し上げましたように、これは機械的計算でございますから、これから御議論をいただくべきこと、また我々が政策選択をしていくべきことだと考えております。
  184. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 税の自然増収分も計算に入っていないし、それからまた直接税の中身の問題、不公平税制の是正の問題なども一切前提に入っていない、そういう計算だ、これも確認をしておきたいと思います。
  185. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 自然増収につきましては、この「参考」として掲示をしてございます。また、不公平税制等々も、先ほど来申し上げておりますように、政策選択でございますから、今後十分御議論いただき、我々はそれらを逐次採用していくことは当然のことと考えております。
  186. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、前提は全くずさん な国民不在の試算であるということははっきりしていると思います。この試算から何がわかるかといいますと、何が何でも消費税税率アップを図りたいという大蔵省意図だけは非常に明確にわかる、そういう試算だと思います。しかも、過大な数字を吹っかけて、しかるべきところに落とし込もうというような極めていいかげんな、世論誘導のための卑劣な試みだと私たちは考えています。  我々日本共産党は、消費税税率アップどころか消費税を廃止する、そういう方向も含めて、税制を本当に抜本的に変え、日本の財政を展望ある方向に開いていく、そういう方向を持っているということを強調しておきたいと思います。  この問題は以上にしておきます。  総理にお聞きします。  総理は所信表明で「本格的な高齢化社会の到来に対応するため、雇用や年金、医療、介護等の福祉政策をより強力に推進する」と強調しております。高齢者やお年寄りのための施策を大いに推進するつもりであるかのような感を受けますけれども、実際にやろうとしていることは、消費税税率アップとか病院の給食費の患者負担など、逆のものばかりであります。  その中でも最たるものが、厚生年金の支給開始年齢を現在の六十歳から六十五歳に引き上げるということであります。これは国民の期待に真っ向から反する方向であります。完全な移行は十数年程度先のこととはいえ、男性の場合、現在五十三歳以下の人は全部該当する、生活設計に重大な変更を迫られるということになります。  新聞の報道するところでも、例えば葛飾区の三十三歳の男性の会社員、五十五歳定年なので年金受給までに十年間のブランクがあり不安だ、こう言っています。あるいは中野区の四十七歳の会社員、男性、不況による人余りで企業はますます嘱託の高齢者を雇わなくなっている、年金支給まで五年間のギャップが心配だと言っています。あるいは江戸川区の四十五歳の会社員の女性、働けるうちは働きたいと思っている、でも、六十になって健康で職があるという保証はどこにもない、六十五歳引き上げは嫌だ、こういうことを言っています。  政府高齢者雇用安定法の改正案で、今度の国会で定年を六十歳にする、六十歳に義務づけるという方向を出しています。同時に、年金支給開始年齢を現在の六十歳からわざわざ六十五歳に引き上げる。六十歳まで働いて定年退職する、その後五年間年金を原則としてもらえないようにする。労働者と家族は大変深刻な事態に直面することになるわけです。  首相に聞きますが、この六十歳と六十五歳の五年間のギャップあるいは十年間のブランク、こういう国民の不安に総理はどうおこたえになるつもりなのか、その基本をお聞かせ願いたいと思います。
  187. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 二十一世紀の活力ある長寿社会を築いていくためには、雇用と年金の連携を図りながら、高齢者が安心して生活できるような環境づくり、これを築いていくことが必要であるというふうに考えます。  高齢者雇用の現状を見ますと、六十歳の定年制というのはほぼ定着してきておろうというふうに思います。さらに、定年後の勤務延長制度ですとか、あるいは雇用制度の普及に努力をしているところでございまして、今後官民が一体となって高齢者の雇用の推進に努めることによりまして、二十一世紀の初頭までに六十五歳まで働くことのできる社会の実現を目指していきたいというふうに考えております。  今回の年金制度の改正というものは、こういった高齢者雇用の促進と連携をとりながら、六十歳代の前半の年金のあり方について見直しを行うものでございまして、二十一世紀の本格的な高齢社会にふさわしい年金制度にしていくためには、やはり我々これは避けては通れない、ぜひとも必要な措置であろうというふうに考えておるところであります。
  188. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 六十歳から六十五歳までのギャップの問題をお聞きしましたけれども、まあ官民これから努力していくんだと。  まず前提の問題があるんですが、六十歳の定年が定着してきたというふうに総理おっしゃいますけれども、なかなか現実の日本の社会はそんなふうになっていないのが実態じゃないかと思うんです。  例えば、ことしの初め、あの工作機械メーカーのオークマが定年年齢をわざわざ六十歳から五十六歳に引き下げた。労働省が高年齢者雇用安定法の趣旨に反するとしたのに対して、日経連などの経営者団体は、法律違反でもないのに労働省は少しやり過ぎではないかと牽制するような事態もありました。  大企業では定年前の退職強要が当たり前、そういう事態になっています。新日鉄でも、実質の定年五十五歳、七千人の削減計画が進められている。労働省の九三年の雇用管理調査によっても、大企業は中高年追い出し制度を、例えば早期退職優遇制度を四一・一%の企業がとっているとか、出向制度を一〇・一%の企業がとっているとか、だから六十歳定年を定めている企業でも定年到達者がいた企業は四五・八%にすぎないとか、こういう結果が実際には、現実にはあるわけです。  総理、二十一世紀のことだからもうよくなるなんというように単純に言わないでもらいたいと思うんです。こういう現実を、総理は行動して肌でいろいろなものを感じておるそうですけれども、感じていませんか。
  189. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私が承知しております産業の中には、確かに若い人の能力というものが非常に発揮されるところにおいては、そういう若い人たちが相当多く活動されておるということでありますけれども、最近で私どもが知る限りにおきましても、やはり雇用者の人たちの責任ある仕事というものを大事にする産業というものも、やはり新しく、今だんだんそういったところに目を向けるようになってきておるというものもあるんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、我々はそういったものを助長していく必要があろうというふうに考えます。
  190. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大変頼りないことだと思うんです。  六十五歳に年金支給開始年齢を延ばすということを今、現にこの国会で通そうとしているわけでしょう。ところが、六十歳に定年を定めているところでもなかなかそこまで行けないという事態が現実にある。まして、六十歳定年もそういうふうに形骸化しているわけですから、六十五歳まで進んで雇用が続けられる条件なんかは非常に弱い。  例えば、労働省発表の平成四年高年齢者就業実態調査結果の速報、ここに持っていますけれども、これで見てましても、六十歳以上の雇用は考えていないという企業が五八・八%。特に、五千人以上の大企業では七四・二%が考えていない、一千人から四千九百九十九人の企業も六六・六%が考えていない、こういう現実があるわけです。これが十数年後にはすっかり変わるという、総理、何か保障があるんですか。
  191. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 今先生が御指摘のような、高齢者に対する非常に厳しい雇用環境というのがある。そうでなくても、現在、一般的に雇用情勢が非常に厳しくて、有効求人倍率が、四月の分が出まして〇・六六、失業率は二・八と〇・一ポイント減りました。  しかしながら、この数字は先生も御承知と思いますが、いわゆる高齢者を雇おうというふうになかなか思っていただけませんで、高齢者の有効求人倍率が〇・〇幾つ、〇・〇九とかそういうような数字だったと思いますが、そういうような状況にあるからこそ、これから高齢者の皆様方をどうするかというので法律の改正、あるいは雇用支援トータルプログラムの中でもさまざまな制度をつくり、本日、衆議院で雇用保険法の趣旨説明をさせていただきましたけれども、これはいわゆる高齢者継続雇用の給付というものを出すという制度をつくっていったわけでございます。  先生は昭和十九年の生まれでしたか、私は二十三年で四つほど私の方が後輩ですが、二〇一三年に六十五歳になるのが昭和二十三年生まれで、ちょうど我々が六十五になったときに、またふっと年金の満額支給が先へ逃げていくようなところがございますね。  だから、その二〇二二年、もちろん二〇〇〇年というのも一つのあれかもしれませんが、二〇一三年までに六十五歳まで基本的に現役で働く、そういう世の中をつくっていこうというふうにお考えをいただいて、何もあしたから年金六十五歳まで一円ももらえなくなる、こう申し上げているわけでもないし、雇用の問題についても、六十五歳まで現役で働いてもらう、というか働けるような、生きがいをみんなが持てる世の中をつくろうということではあります。  でも、例えば二〇一二年になったときに、じゃ、全員が六十五歳まで現役でいってくれと強制できる世の中ではないだろう。五十五ではないでしょうけれども、例えば六十歳ぐらいになったときには多様な就業形態を望むかもしれない。例えばアルバイト的な短い時間の短期的な就業がいいとか。だから、そういうことで言えば、原則は六十五歳まで現役という世の中を二〇一三年までにはつくっていこうということで我々は雇用問題、雇用政策をとらえているということは御理解ください。
  192. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、長くお答えになりましたけれども、来世紀の初め、六十五歳まで安心して働いて、それから年金生活に入れるなんという保障が全然まだないということなんでしょう、これから努力しますというだけの話なんですから。  総理にお聞きしたいのですけれども、国家公務員、地方公務員も今度、年金六十五歳になるわけですね。で、国家公務員の定年は六十歳。この国家公務員の最高責任者は総理なんだから、国家公務員について、じゃ、この五年のブランクを総理は、安心して過ごしなさいと言える保障は何かあるのですか。総理、答えてください。
  193. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 今度の年金制度の改正というのは、御案内のように五年に一遍の財政再計算……(佐々木(陸)委員「制度のことはいいのです。保障の問題を言っているのですよ」と呼ぶ。)その保障の問題をお話しするときに、何か今のお話ですと、今まで六十歳でもらえた年金が全部もらえなくなるようなお話でございますが、今度の年金制度というのは、五十九歳までは賃金によって生活を保障し、それから六十歳から六十四歳までは賃金と年金を組み合わせて生活を保障し、そして六十五歳以上は年金によって主たる生活を保障する、こういう三つの考え方を組み合わせたものでございまして、年金と賃金というものを組み合わせて六十歳前半の生活を保障しよう、こういう考え方に立っているわけであります。  私どもが一番留意いたしましたのは、年金とそして雇用との断絶が起こってはならない。つまり、生活の保障の断絶が起こってはならないということを一生懸命考えた結果でございまして、これが今申し上げたような三段階で生活を保障する。そして、あとの二段階が年金による制度改正になって、ここで提案しているということでございます。
  194. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今、総理にお聞きしたことに対して、総理もお答えにならなかった。なれない問題だと思うのです。公務員の問題だって、六十歳で定年で、六十五歳から年金支給、この五年のブランクという問題は現実にあるわけです。  そこで、いろいろなことを考えているということは私も承知していますよ。承知していますけれども、六十歳で一たん仕事をやめて、その後は、まあ言ってみればそれまでに比べれば本当に悪い条件で働く。その働き口もあるかどうかわからぬ。それを今、一生懸命どうかしようということを政府はしているということにすぎないわけですよ。そうでしょう。はっきりしていると思うのです。  政府が率先してこの国家公務員の問題などについてこの五年間どうするのかということを範を示さずに、民間はちゃんとやれなんて言ったって、民間だけでうまくいくはずもない。その点、総理、重大な責任を持っていると思うのです。その点どうお考えですか。
  195. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほど来お話を申し上げておりますように、これは今直ちに始めようということではないわけでありますから、そういった中にあって、しかも要するに財政というものもやはり限界がある。また、勤労者の皆さん方も、あるいは将来少なくなる若い人たちの数、そういう中でこういったものが支えられなくなってしまうという中で、どうしてもやはりそういう方向に持っていかなきゃならないんだろうということであります。  ですから、そういうものに立った上で、やはりこの五年間の雇用というものを真剣に私たちは創出させていかなければならないものだろうというふうに考えます。
  196. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 例えば経企庁が一月七日に発表した研究報告で「働き過ぎと健康障害」という発表がありましたが、日本の成人の男性の六人に一人は、サービス残業などを含めるとこの不況の今でも週六十時間、年間三千百二十時間以上の超長時間労働をしており、過労死の予備軍になっている、経企庁がこういうことを言っている。それが六十歳定年で、定年までもまともに働けないという事態がいっぱいある。で、その定年を迎えてもそのときから年金はまともにもらえないというふうにするというのが今度の政府の提案なんです。そして、そこで非常に安い賃金のもとで働く。それを、年金を半額出すとかあるいは雇用保険の方から少しお金を出して補うとかいうことをやろうとしているのが今の政府のやろうとしていることでしょう。そうじゃないですか、労働大臣
  197. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 今回の雇用保険法の改正でも、いわば六十歳から六十五歳の誕生日までの方々に雇用継続給付金を出すというようなことでございますね。それ以外にも、高齢者を多数雇用した場合にこれを奨励する制度とかいろんな制度があるわけですね。  そして、今先生もお触れになりましたように、高齢者雇用安定法の改正を今国会でお願いをしていくわけですが、いわゆる五十六歳とか五十七歳というような定年はお決めいただかないで、六十以上で定年制というのは決めてくださいと、もちろんこれは例外があるわけでしょうけれども。そういうようないろいろな施策を積み重ねていくことによって我々は、六十五蔵まではほとんどの方が現役で働ける世の中をつくっていこうということで努力をしているということでございます。
  198. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日経連は「平成六年版労働問題研究委員会報告」の中でこういうふうに言っています。今ここに現物も持っています、コピーを持っていますけれども、こういうふうに言っているのです。雇用保険、年金などの現行の公的システムを、高年齢者の雇用促進に資する仕組みに早急に改めるべきである。  つまり、先ほど言いましたように、経済団体などは高齢者を積極的に雇用するという姿勢は今全然持っていないのですよ。そして今、六十歳から年金が支給されている。六十歳で年金が支給されていると六十歳から働かなくなっちゃう。そして、これからは高齢化社会で若い労働力も少なくなってくる。だから、そういうもとでこういう経済団体は、年金を六十歳では出さないようにして、出すにしても少ししか出さないようにして、何としても雇用促進的に、つまり六十歳まで働き疲れた人もさらに働かなきゃ生活できないようにする、そういう形で年金の支給年齢を延ばせ、こういうことまで言ってきているわけですよ。  そういう政策として今度六十五歳に年金支給開始年齢を延ばすということがやられているんじゃないですか。総理、どうですか。
  199. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 企業の方針でそういう方向が何か強制されているようなお話でございますが、現実の統計が示しますように、今六十歳を超える方でもなお働きたい、こう考えている勤労者の皆さんは約八〇%にまで達するのでございます。  そして、現実に企業の中で定年制というものを 設けている企業においてもさらに継続雇用、つまり雇用をさらに延ばしていこうという定めを持っている企業は七〇%を超えているのでございまして、そういう下からの要請に対して年金制度もこたえなければならぬということでございまして、企業の押しつけを我々が配慮している、こういうことでは全くありません。
  200. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 高齢者の就業意欲が高いと言いますけれども、その総理府の調査、確かに六十歳以降も仕事をしたいという男性、七六・三%いますよ。だけれども、その就業理由は経済上の理由というのが男性で七七・九%。やはり三万円ぐらいの年金しかないそういう人たちが、そうせざるを得ないという状況があるということにすぎないわけです。  そこで、大内さんにそれじゃ一つお聞きしますけれども、去年の七月の総選挙のときの民社党の公約、「年金と雇用は連動させるべきであるとの見地から、厚生年金の六十五歳支給開始に反対し、」ということをはっきり言っておられますが、これはどうなったのですか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  201. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 ですから私は、年金制度の改正に当たりまして、年金と雇用の断絶があってはならない、したがって、六十歳前半の年金を別個の年金という形で設定したのであります。
  202. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほどから言っておりますように、その六十歳代前半の年金というのは半額ぐらいしか出さないわけですよ。ですから、結局年金のフルの支給の年齢をおくらせて、それをてこにして六十歳かそれに近い年齢まで必死に働いていた人たちを、それからまた不安定な安い賃金で再利用、再雇用しよう、それが今度の年金の支給開始年齢の引き上げ、これの一番の根本の動機だ、理由だと私は言わざるを得ないと思うのです。  活力ある高齢化社会というようなことを総理、盛んに言われますけれども、そういう形で財界や大企業の活力を維持する、これが今度の年金の支給開始年齢を、一方では定年を六十歳としながら、わざわざギャップをあけてつくるというその真の理由だと断定せざるを得ない。総理、何かあったら言ってください。
  203. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 何か暗い方向、暗い方向へとこうやってあれされてしまうんですけれども、しかし、やはり国には財政が限界がある。しかも、高齢化というのはよその国と違って物すごい勢いで走っていっているわけですね。どんどんどんどんふえていくという状態ですよ。こういったものに対して今からきちんとした対応、そして今からそういうことの方向づけをしておくということが大事なんであって、私は決して間違っている方向じゃないというふうに考えるんです。  それで、企業に活力を与えるとかそういったことというより、私たちも、やはり企業の存立だって国民があっての存立てある、今まさにこの国の国民が一体どうしたらよくなっていくのかということを原点にしながら物を考えているんだというふうに、ぜひともひとつ理解をしていただきたいとお願いするんです。
  204. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 とても理解できないのです。例えば、厚生年金、健康保険の労使の負担割合、日本は今五対五ですけれども、欧州の多くの国々は三対七になっています。日本でもしこういうことにするとすれば、企業の国民所得比の負担は九・五%になりますけれども、フランスの場合がこの数字が一五・八%、スウェーデンでは一八・一六%。大企業の負担をふやすというような方向で、財政の問題なんかも含めて、こんな改悪をしなくても済む方向はちゃんとあるわけです。  我々はそういう方向を主張して、今度の六十五歳に支給開始年齢を延ばすということにあくまでも反対して闘っていく、そういう方向をはっきり申し述べておきたいと思います。  次に、こういう国民への極めて冷たい仕打ちと裏腹に、異常に優遇されている在日米軍基地経費の負担の問題について質問したいと思います。  今年度の日本側の在日米軍駐留経費の負担総額は五千九百四十四億円、そのうち安保条約に基づく地位協定にも定められていない思いやり予算は九・五%増の二千五百三億円、突出的な伸びになっています。  今この予算では、基地や豪華な米軍住宅、その附属施設等の建設費を全額負担する。あの逗子市では、住民の八回の拒否にもかかわらず池子の森をつぶして米軍住宅を建設する、こういうことが進められています。基地従業員の基本給や時間外手当の五割までも負担し、米軍施設や米軍人家族の光熱水料費は五割負担から十割負担に進もうと  いうところに来ています。  総理にお聞きしたいと思うのですが、アメリカにこんなに至れり尽くせりの大サービスをしているアメリカの同盟国は、ほかにあるとお思いになりますか。外務大臣もやっておられたので、総理の肌で感じた感じで結構ですから、述べていただきたいと思います。
  205. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 確かに米軍の駐留費、これを負担しているものについては、これは米軍が関係している国の中では日本というのは非常に高いところにあるということを私も承知いたしております。
  206. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 非常に高いんじゃなくて、世界で第一位だ、それは認められますか。認められますね。——認められるそうです。  アメリカの国防総省が議会に提出した九三年度の「同盟国の貢献度報告」、ここに現物を持っていますけれども、それによりますと、日本は二十六億一千八百万ドル、第二位のドイツが九億二百万ドル、三位の南朝鮮が四億三千二百万ドル。これを米兵一人当たりに日本円で換算しますと、日本は六百九十一万円、南朝鮮が百五十三万円、ドイツが九十一万円。ドイツの実に七倍ということになります。  財政難を大蔵省が言い、そしてまた増税を言っているときに、こういう国際的な比較検討もちゃんとやりながら、総理は外務大臣として三月十一日に日米安保閣僚会議にも出ておられて、こういう問題はもう話し合っているはずなんですが、こういうものをもっと削減する、そういう話はないんですか。
  207. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ドイツとは周辺の環境というのが異なっておるということ、それからドイツの場合にはNATOの中にも組み込まれておるということ、こういったところはやはり日本と非常に大きな違いがあるだろうというふうに思っております。
  208. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 世界第一位の度外れの思いやりなんですけれども、ドイツと環境が違うというふうに言われましたが、じゃ、この度外れの思いやりをする理由は何ですか、総理
  209. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 確かに冷戦というのはもう終了したことがあります。しかし、国際社会というのは、まだなおかつ今日本安定要因というのが内包されておろうと思っております。  こうした中で引き続き我が国の安全というものを確保していくためには、在日米軍の駐留を初めとします日米安保体制というもの、この米軍のいわゆる抑止力というもの、これが必要であろうと思います。そして、日本の周辺の国の中にもまだ核を保有している国があるわけでございまして、核というのは日本は持たないということでありますから、こういった抑止力というものはやはり必要であろうと思います。  また、在日米軍の駐留を含みます日米安保体制に基づきます米軍の抑止力というのは、単に我が国だけではなくて、アジア・太平洋、この平和と安定にとっても極めて重要でありまして、これはアジアの中からも私たちに直接聞こえてくる声でもあります。  我が国としては、今後ともこのような意義と重要性というものを持ちます日米安保体制、これをしっかりと堅持しながら、その円滑な運用というものに努力していきたいと思っております。特に米軍の駐留経費の負担につきましては、米軍の我が国におけるプレゼンスというものを支える大きな柱であるというふうに考えておりまして、その意味では、我々は従来から自主的な判断に基づい てこれに対応してきたということを率直に申し上げさせていただきます。
  210. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今、核抑止力ということを言われましたけれども、そうすると、アメリカの核抑止力に日本が引き続き頼らなきゃならぬ、その代償という意味も含めてこの思いやり予算負担しているということですか。
  211. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 もちろん核というものは、これから核軍縮というものを進めていく、あるいは将来は核廃絶へと向かって歩んでいく、また日本というのはそういった主導というものをしていきたいというふうに思っておりますけれども、現実に核が存在する時代であるということ、そしてまた、それを大変遠くまで飛ばすだけの力というものを持つ時代になってきちゃっておるという現実、こういうものを踏まえながら、我が国、そして国民をいかに安全にしていくかということのために、我々としてはこういった問題も念頭に置かなければいけないということであります。
  212. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 核抑止力まで含めて、それに依存しているいわば見返りとして思いやり予算国民の血税をどんどん注ぎ込んでいるんだということですね。極めて重大な答弁だと思いますよ。沖縄のあの核密約の問題、あなた方はみんな否定されますけれども、今もそういう立場をとっているということだったら、あれを否定したって全然否定したことになりませんよ。  それからまた、在日米軍がそういう日本の安全、これを守っているという見方も、アメリカ側の当局者からいうと、全然そういう見方をアメリカ当局者はしていないという問題があります。その問題についてちょっと触れてみたいと思います。  例えばチャールズ・ラーソン米太平洋軍司令官、米上院歳出委員会での証言、九二年の十二月十六日。日本と南朝鮮の駐留軍について、この米軍部隊は、まさに米国の利益を守るために前方展開しているのであって、米国の同盟国の利益を守るためにいるのではない。これはしばしば誤解されている重要なポイントである。我々は他の国を防衛するためにそこにいるのではない。そこにいるのは、そこにいることが我々の死活的な戦略的利益にかない、それが我々の国家目標に合致するからであるというふうに言っています。  あるいはまた、ここに別のを持っています。このラーソン司令官、エイジアン・ウォールストリート・ジャーナル、九三年四月十六日付ですが、アメリカにとってアジアにとどまる最も重要な理由は、この地域にい続けることがアメリカの国益だからである。そしてこう言っています。アメリカ企業に対して、アジアの実り多い土地に投資することが安全だということを確信させるに必要な安全保障、安定感をアジアにいる米軍は提供しているんだ。軍人ですから率直に言っています。アメリカの企業の安全を守るためだ。ここまでラーソン太平洋軍司令官は言っています。  あるいはまた、アメリカの政府広報庁のワイヤレス・ファイルというのをここに持っています。ポール・ウォルフォウィッツという元国防次官、現在国防大学の国家戦略研究所の上級研究員ですが、ホノルルで開かれた国防大学、国防総省直轄のシンポジウム、そこで、アメリカの軍事駐留は貿易交渉における陰の出席者である、こういうことを言っています。  あるいはまた、ラーソンのもう一つの発言ですが、米政府広報庁のワイヤレス・ファイルの九三年三月十日付。我々がアジアに集中する経済力から利益を得たいのならば、申し分のない熱心なパートナーとしてその場にいなければならない。そのために軍隊が必要だろうか。もちろん必要である。外交の通告書も、政治的な派遣代表も、経済的な委員会も、目に見える米軍プレゼンスほどには明確な誓約のメッセージを伝えることはできない。  長々と読み上げましたけれども、こういうことをアメリカの当局者は言っています。もちろんこの一つ一つの発言を総理が知っているとは思いませんけれども、外務大臣もやってこられた。こういうアメリカ側のアジアに駐留する米軍の意味意図、役割についての発言、何も聞いていませんか。
  213. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そういう議論がアメリカの議会で展開されたというのは、私も承知をいたしております。しかし、それはいろいろな立場でいろいろのことを説明するときに使われた言葉であろうというふうに私は思っております。  そして、実際にもし米軍がここのところからなくなったときに、ここのところが一つのエアポケットみたいになるということになったときに、一体どういうことが起こってくるだろうか。あるいは、アジアの国もやはりアメリカのプレゼンスというものを望んでおる。これは私はいろいろな国の人たちと議論しながら、そのことを直接話を聞いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、アメリカの存在というのは、まだ残念ですけれども、いい悪いは別として、あの軍事力というもののここにあるものについては、この太平洋にあること、あるいはこのアジアにあること、そして日本がそれに対して施設その他を提供していくこと、これは必要であるというふうに私は理解をいたしております。
  214. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ラーソン太平洋軍司令官といえば在日米軍の最高の指揮官になります。そういう人がアジアの経済力から利益を得るために駐留しているんだとはっきり言っているわけです。だから、日本を守ってくれるためにいるなんというようなものでは全然ない。そのためにいっぱいお金を出しているわけですけれども、単に日本の政府を裏切っているというだけではなくて、貿易交渉の陰の出席者というような、つまり経済関係で強い立場をとれる保障、そういうことを言っているのです。  実際にアメリカが貿易交渉で日本に対してどういう理不尽な態度を押しつけてきたか、ガットや日米包括協議の問題、総理もよく知っているはずです。ガットでは自由貿易の旗を振りかざして日本の米の輸入自由化を押しつける。そして、クリントンはガットの妥結のときに歴史的勝利だと。米経済に毎年一千億ドルから二千億ドルのプラスを生み出し、数十万の新たな高給の米国人の職を創出する、アメリカの勝利だと。ガットでは自由貿易を振りかざした。ところが、その後の日米包括協議という二国間交渉の場では、自由貿易のルールなどは平気で破る数値目標と内容を押しつけてくる。こういうことを実際にやっている。  ですから、日本との関係で見ても、実際に米軍が貿易交渉の陰の参加者で、強い立場をとる、その保障なんだと言っていることを地でいっているようなことをやられているわけです。アメリカの全く手前勝手な経済覇権主義を支えるのが軍隊の駐留だということを米軍当局者は認め、その米軍の駐留に対して、財政が苦しい苦しいと言いながら国民の血税を思いやりと称して突出的に注ぎ込む。それをいいことに、アメリカはますますいたけだかになって貿易問題などでは迫ってくる。まさに自分の首を絞める、国民に二重の負担と苦しみを強いるものじゃありませんか。  あなたが副総理を務めた前の総理大臣は、アメリカに対してノーと言える成熟した大人の関係だというようなことを言いましたけれども、そうであるというなら、この思いやり予算にはっきりとノーと言う、特別協定の更新などもってのほか、そういう態度をとるつもりありますか。
  215. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この安全保障に対しての考え方、これはどうもこうやって御議論申し上げておりましても、私どもとやはりいささか違うというふうに考えます。  今ノーと言う成熟した関係というお話でありますけれども、これはまさに私自身が報告したこと、これに基づいて前総理お話しになったことであろうと思っておりますけれども、私ども、やはり経済の一つのルールというものだけはきちんとしなければいけませんよということ、そういうことのためにそれはできませんよという話を実は申し上げたところでありまして、それとこの安全保障の問題と一緒くたにするものではない。  何もアメリカが日本のこの地域にいてあげます とか、いてあげましようということじゃなくて、我が国として今まだ不安定になる可能性というものがある。この現状にあってアメリカのプレゼンスというものを必要としており、日本だけではなくて、これは周辺の諸国もそのことを必要としておるというのが現状であろうというふうに思っております。
  216. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 認識が違うということですけれども、一つ別のことをお聞きしましょう。  消費税は八九年度から高齢化の社会のためといって導入されました。そして、高齢化社会のためというゴールドプランがつくられました。このゴールドプラン、今度の予算まで含めると累計幾ら出されることになるでしょうか。これは厚生省。
  217. 横尾和子

    ○横尾政府委員 平成二年度から平成六年度の間の介護関係費につきまして、ゴールドプランが発足する前の対平成元年度との増分について累積をいたしますと九千七百億円でありまして、また、増分ではなく、この期間中の介護等予算の総額は二兆二百億円であります。  また以上申し上げました費用は政府予算額でございまして、これを上回る地方財源が手当てをされている状況であります。
  218. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、ゴールドプランができてからこれまでに国として出したお金が九千七百億円ということです。  では、この同じ期間に在日米軍駐留経費は、今度の予算の額まで含めて合計すると幾らになりますか。これは防衛施設庁。
  219. 米山市郎

    ○米山政府委員 お答えをいたします。  在日米軍駐留経費負担平成二年度からただいま御審議をいただいております六年度までの累計を歳出ベースで出しますと一兆二百二十七億円でございます。
  220. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、高齢化社会のためといって消費税が導入されてからだけを見ても、もちろんゴールドプランはこれからふえていくでしょうけれども、ゴールドプランに支出された九千七百億円よりも在日米軍駐留経費に出された一兆何がしの方がはるかに、はるかにというか若干多い。これをゴールドプランの方に回せば、ゴールドプランの方が二倍のお金が使える、そういう事態でもある。  しかも、先ほどから詳しく申し上げましたように、アメリカ側はこれを当然のものとして受け取って、しかも総理の言い方によれば、それが日本がアメリカの核の傘のもとに引き続きいるというそのための保障にもなっているのだ、そういうとんでもない予算。我々は、高齢化社会のためと称してまた消費税税率アップがたくらまれているこのような状況もとで、こういう思いやり予算というようなものは、抜本的に再検討する必要があるということを強く要求をしていきたいと思います。  次に、NPTの問題について少し質問したいと思います。  さきの志位書記局長質問に対して、政府は北朝鮮の核開発疑惑に関連して、日本がアメリカなどに協力して国連の枠の外でさえ行動する方針であることが明らかになりました。これは極めて重大であります。総理の所信表明演説では、北朝鮮問題は国際社会の核不拡散努力に対する挑戦というふうに述べられています。そういう政府の態度の根底には、核不拡散条約、NPTがあることは明らかであります。  政府は、来年期限が切れるNPTの無期限延長を主張しているということで間違いありませんね、総理
  221. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私からお答えをさせていただきます。  国際的な安全保障を確保するために核不拡散体制を安定的なものにするという観点から、我が国はNPTの無期限延長を支持しております。他方、NPTの無期限延長は必ずしも核兵器国による核保有の恒久化を意味するものではなく、我が国は引き続きすべての核保有国に対してNPT第六条、核軍縮交渉義務の規定に従いまして、一層の核軍縮努力を行うように促していく所存でございます。
  222. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 総理にお聞きしたいと思うのですが、日本のある革新的とは言えない論者がNPT体制についてこう言っています。「現在のように、特定国の核保有だけを認めて他の国の核保有を認めないのは、どう考えても不公平であり、かえって核保有国の増大を招く恐れが大きい。」こういう考え総理はどう思いますか。
  223. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そういう御議論があることを私は承知いたしております。しかし、今現に核を持っている国があるわけですね。ですから、これを拡散してはならないということでありまして、そして今外務大臣からもお答えいたしましたように、何もそうかといって、それじゃそのままいりまでも持っていてもいいんですよということじゃない。核軍縮をしなさい、そして将来は、行き着くところはやはり核の廃絶、そういう方向に私どもは努力していくべきであろう。やはり現実をきちんと踏まえながら、一歩一歩前進させていくということが重要であろうというふうに考えております。
  224. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今の論者の考え方に反対なんですか。
  225. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いや、反対じゃありません。不公平という言い方ですよ、これは私は賛成じゃありません。ともかく、そういったものをなくなしていく方向に向かっていく、その第一歩を今我々は踏まえておるということで、この無期限延長を私がたしか外務大臣のときに認めたということであります。
  226. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今読み上げたのは小沢一郎氏の「日本改造計画」の百三十三ページに出てきている言葉です。  これはそうすると、あなたと小沢さんとは、この辺の考え方は違うということですか。
  227. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、不公平なんというものではなくて、やはり一日も早く各国が核軍縮を進めることが重要であろう、そちらの方を私は目指しております。
  228. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう少し具体的に聞きます。  昨年八月六日の広島市の平和祈念式典で、平岡市長はこういうふうに言いましたね。「核拡散防止条約を、無期限の条約にしようとする核保有国の動きに、私たちは強い危惧の念を表明する。その無期限の延長は、核兵器を持つ国と持たない国との関係を不安定にするだけでなく、核兵器廃絶の願いに反する」。同じく八月九日、本島長崎市長、「この条約は核兵器廃絶をめざした条約ではありません。すみやかに核兵器全面禁止国際協定を締結すべきであります。」  日本は唯一の被爆国ですけれども、その二つの被爆地の市長が、市の式典で公式に市民を代表して、NPTではだめなんだということを、核兵器廃絶を真剣に追求しようということで言っているのですけれども、この声を首相はどう受けとめになりますか。
  229. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まさに被爆をされたこの市の市長さんとしての気持ちというのは、私は全く今その言葉で言われていることはそのとおりであろうというふうに思います。  ただ問題は、私は先ほどからも申し上げておりますように、現実に核を保有しているところがあるということですよ。これを今すぐ廃絶しなさいといって、じゃ、今例えばそういった国が常任理事国の中に入っている、そういう話の中で国連なんかでこれがすぐ直ちに現実のものになるでしょうか。それよりは、まずやはりこれを縮小させていくということのための努力、そして縮小から今度廃絶へ向けていくということの努力、ともかく拡散しちゃいけないんだということが私はやはり大事なことであろうというふうに考えております。
  230. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 現実にいろいろな国が持っていて簡単になくならないから云々だというふうに言いましたけれども、先ほど総理は、NPT体制が不公平な体制だということは、そう思わない、否定されましたね。
  231. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 それは、今のままあるとい うことを一面で、普通に平板にこうやって見たらこれは不公平と感じますよ。しかし、実際に不公平だから、じゃ日本もつくりましょう、そういうものではないということ、その思いで言っているのです。
  232. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本政府が七〇年二月三日にこの条約に署名したときの声明では、「この条約は現在の核兵器国に対してのみ核兵器の保有を認めるものである。このような差別はすべての核兵器国が核兵器を自国の軍備から撤廃することによって究極的には解消されなければならないものである」、差別と言っていますが、この言葉はどうですか。——総理、答えてください。総理の認識。
  233. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ちょっと今聞こえなかった。
  234. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 じゃ、もう一回言ってください。
  235. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 じゃ、もう一回言いましょう。  七〇年の二月三日に日本政府がNPTに署名したときの声明、この条約は現在の核兵器国に対してのみ核兵器の保有を認めるものだ、このような差別はすべての核兵器国が核兵器を自国の軍備から撤廃することによって究極的には解消されなければならないものである、この差別という言葉。
  236. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まさに究極的には撤廃されるべきである、それにかかっているものであろうというふうに理解します。
  237. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 総理は、アメリカがこの一月に発表した一九九四年国防報告で、核兵器は永続する現実であり、予見し得る将来においてなくなる見込みはない、核兵器がアメリカの国防政策と安全保障戦略から除かれることは全くあり得ないというふうに明言している。いつまでも持つつもりだ。先ほど柿澤さんがNPTの第六条のことを言いましたけれども、六条の努力目標などは公然と放棄する立場を宣言していますけれども、これは御存じですか。
  238. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 米国の安全保障政策としては、核を全面的に廃棄するということは非常に困難であろうかと思いますが、しかし同時に先生、冷戦構造終えん後、アメリカとロシア、旧ソ連の間で大幅な核軍縮が行われたという事実も、これは認識をしなければならないわけでございまして、そうした方向に徐々にではあっても進めていくということが、我々の目標であろうかと思っております。
  239. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 核兵器は、この核防条約が発効した一九七〇年に比べて三倍に膨れ上がったんですよ。米ロの協定が実行されても、七〇年当時をはるかに上回る、戦略核兵器ですから。そういう実態を容認するのですか。
  240. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 望ましいことだと容認するわけではありませんが、その現実から、先生も御指摘の理想に向かって着実に進んでいくことが大事であろうと考えております。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  241. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう一回総理にお聞きしますけれども、アメリカ政府は、予見し得る将来においてなくなる見込みはないんだ、アメリカの国防政策と安全保障戦略から核兵器が除かれることはないんだと言っているのに対して、あなたはアメリカに対してどういう態度をとりますか。
  242. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私どもは核の軍縮、そして将来に向かってこれをなくなしていく、そういう方向で国際社会は行くべきであるということは、常に昂然として私どもは語っております。
  243. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 アメリカ政府に対して、そういうことをはっきりと要求したことがありますか。
  244. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 アメリカ政府どころか、国連の場なんかでも、やっぱりそういう意味のことを……(佐々木(陸)委員「アメリカ政府に対してあるんですか」と呼ぶ)当然そういった問題は、私なんかがアメリカの人と話すときにそういう話をしているわけですから、いつもいろんな議論を、先方のそういった担当する方々なんかとの話のときに、私どもはそういう姿勢をとっていきます。ですから私どもは、核を持ちませんということまで言っているんです。
  245. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 昨年十二月十六日の国連総会で、当時羽田さんは日本の外務大臣ですが、核兵器の使用禁止条約の締結を求める決議というのが採択をされました。日本政府はどういう態度をとりましたか、羽田さん。
  246. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今ちょっと資料を持ち合わせておりませんけれども、私の記憶では棄権をしたと記憶をしております。
  247. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのとおりです。核兵器の使用禁止条約の締結を求める決議、日本政府は棄権しました。  なぜ棄権になるんですか、羽田さん。
  248. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、着実に核の兵器の削減に向かって進んでいくことが大事だという観点からであったろうと思います。
  249. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 なぜ着実に進んでいく観点から棄権になるわけですか。
  250. 林暘

    ○林(暘)政府委員 日本政府が棄権いたしましたのは、主として、先ほども御議論がありましたように、世界の平和というものが最終的には核兵器を含む軍事力によって抑止されているという現実があることにかんがみまして、核兵器の使用を禁止する決議案には慎重に対処する必要があるということで棄権をいたしたわけでございます。
  251. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに核兵器は、今の言い分ですと、世界の平和に今役立っているんだ。総理もそういう立場ですか。
  252. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 それは先ほどから申し上げておりますように、現実に核というものがまだ存在するというときにあっては、まさに核というのは抑止力として、実際に使ってはならない、使えないものである、抑止力としてあるんだというふうに私は理解しております。
  253. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほどの長崎の市長は、核兵器の全面禁止協定を結べということを言っています。核兵器の全面禁止とは、開発も実験も貯蔵も配備も使用も、すべて例外なく禁止する協定です。こういう協定をどの国に対しても締結を求めていく、そういう方向に日本政府こそまさに立つべきだと私は思うのですけれども、総理、その点についてはどう思いますか。
  254. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まさにそういった問題について、一歩一歩私たちは前進をしていきたいと思うのです。ですから、今広島ですとかああいった地域で国際的な核の問題についての会議なんかをあれするのも、やはり実際に起こった現象というものをあの人たちに、世界各国の人に見てもらう、そういう中で核というものの恐ろしさというものを知ってもらおうという思いがあってそういうことを進めているんであろうというふうに私は承知しております。
  255. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 核兵器が現実には平和のために役立っているという認識に立って、アメリカが未来永劫核兵器をなくすつもりはないという立場に立って、そしてNPTの無期限延長に賛成するという立場に立つということになれば、そしてまたさっきは、アメリカの核の傘の代償として思いやり予算を払っているんだ、こういうことまで言われました。そういう立場に立ちますと、結局NPTの無期限延長というのは、アメリカなどの核保有国が核兵器を永久に持ち続けてもいい、これを合法化する、そういう立場になりませんか。
  256. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まあ無期限延長という言葉をそのまま字面どおり読めばそういう言い方というのはできると思いますけれども、そうではなくて、核軍縮というのは現実に、今外務大臣から話があったように、ロシアとアメリカの中でやり、またウクライナもこの間は話し合いを進めておるということ、そういう現実の中で縮小されていくんだという方向にやはり将来は持っていく必要があろうというふうに考えます。
  257. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 将来はとは、いつのことですか。
  258. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、我々の努力というものがどんなふうに効果を奏してくるかというこ とでありまして、我々としても、これからも徹底してこういったことを述べていきたいというふうに考えております。
  259. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 核兵器を現実になくすということは、今アメリカやロシアでも核兵器の一部の解体ということをやっているんですよ。だから、核兵器廃絶ということは、結局、核兵器の中の核分裂物質をきちんと取り出して、それを国際的に管理することに尽きるわけですよ。廃絶なんというのはやる気さえあればできるんですよ。だから、さっき言ったように、核兵器の全面禁止の国際協定を結ぶということを、本当に被爆国の日本が率先して迫っていけばできるんですよ。  それを日本の政府は全然やらないで、アメリカの核兵器使用の手を縛っちゃいけないというんで、使用禁止の決議案なんか国連に出れば、アメリカはもちろん反対する、日本はずっと棄権する、そういう態度をとっている。そしてNPTの無期限延長ということでは、廃絶とかなんとかと総理は口にしますけれども、これはもう本当に全然口先だけだということにならざるを得ないということを私は強調しなきゃならぬと思うんです。  時間になりましたので、次の正森議員に譲りたいと思います。
  260. 山口鶴男

    山口委員長 この際、正森成二君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。正森成二君。
  261. 正森成二

    ○正森委員 私は、短い時間ですが、関連質問で政党への政治献金に対する課税について伺いたいと思います。  まず第一に総理に伺いたいと思うのです。このたび政治改革もされたと主張されているんですが、政党をどう国政上位置づけておられるのか、民主主義国家にとって必須の公共性、公益性を持った不可欠の組織であるというように認められているのかどうかという点から伺いたいと思います。
  262. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 やはり一つの政治的な理念というものを推進していく、そういったことのための大事な一つの組織であるというふうに理解をいたしております。
  263. 正森成二

    ○正森委員 大事な組織であるということは、これはもう問題なくわかっているんで、私は、民主主義社会にとって不可欠の公益性を持っているものかどうかということを聞いているわけなんです。  そこで、法制局長官に伺いたいと思います。  私が調べたところでは、内閣法制局監修の「法制意見総覧」というのがあります。それを見ますと、政党に対してなされた献金が相続税法で非課税ということの原則が適用されるかということについての大蔵省主税局長からの、当時は法制意見第一局といいましたが、問い合わせがありまして、それに対して、政党に対してなされた献金については非課税の規定が適用されるという回答をしておられるようであります。  そこで、時間の関係であらかじめ申し上げておきましたので、その理由の基本のところを読みますと、こう言っております。   本来政党は、社会公共の利益のためにかくあるべしと信ずる政治の方向について主義、施策を掲げ、同志を糾合して、その実現のために各般の政治活動——すなわち政治上の主義、施策についての推進、支持又は反対あるいは公職の候補者についての推薦、支持又は反対などの活動——を行うことを使命とするものというべきであって、ここにいう公益を目的とする事業を行う者に該当するものと解するのが相当である。 こう言っております。  この私が読みました法制局の意見は間違いありませんか。現在でも基本的にはそういう見解を法制局は持っておりますか。
  264. 大出峻郎

    ○大出政府委員 昭和二十四年九月十九日に、政党が、当時のこれは相続税法の規定との関連で問題とされたわけでありますが、当時の相続税法の規定に言う「公益を目的とする事業を行う者」に当たるかどうかということであったわけでありますが、当たるという趣旨の、当時の組織は法務府法制意見第一局長という組織があったわけでありますが、その見解が示されておるところであります。  理由としては、先ほど委員がお読み上げになられたような理由というものをもとにいたしておるわけであります。  この考え方は現在も変わっておりません。政党は現行の相続税法に規定する「公益を目的とする事業を行う者」に当たるというふうに考えております。
  265. 正森成二

    ○正森委員 法制局長官が明確に私の見解を認めました。  事実、こういう見解はその後昭和三十七年にも法制局は出しておりまして、これは、政党は民法三十四条の公益法人とすることもできる団体である、いわんや、その政党に対して政治資金を提供する社団や財団がなり得るのは当然のことであるということで、これは昭和三十七年三月二十六日に自治大臣房長からの問い合わせに対して明確にそういう答弁をしているようであります。  この点も、一言でよろしいが、そのとおりですね。
  266. 大出峻郎

    ○大出政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  267. 正森成二

    ○正森委員 そこで、自治大臣に伺います。  政党への国民の資金の拠出について現行政治資金規正法はどのように規定しておりますか。その精神はどういうもので、国民の参政権の一態様と考えているのではありませんか。  なお、関係大臣や同僚委員に、非常に法律的、技術的な問題が多うございますので、委員長のお許しを得て資料として関係の法律を配っておりますので、それを手元で時々見ていただけば無味乾燥な議論もわかりやすくなる点があると思います。
  268. 石井一

    石井国務大臣 政治資金規正法の目的と基本的理念、こういうことを問うておられるんだろうと思いますが、政治資金規正法は、議会制民主政治のもとにおける政党その他の政治団体の機能の重要性にかんがみ、政治団体や政治家の政治活動が国民の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治団体の届け出、政治団体や政治家の政治資金の収支の公開、政治資金の授受の規正等の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、これにより民主政治の健全な発達に寄与することを目的としております。  また、基本理念としては、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように運用されなければならないことが規定されております。
  269. 正森成二

    ○正森委員 今自治大臣が答弁されました基本は、資料二として差し上げました政治資金規正法の一条目的、二条基本理念の中心的部分を答弁されたものであります。  このときに自治省は昭和四十八年五月十日付で政治資金規正法の改正案の基本方針というのを出しておりますが、その中ではこう言っております。  「議会制民主主義もとにおける政党の地位を認識し、その健全な発達を期するために国民各層が政党に対して資金を拠出することの公益性を明らかにすることにより、政党に対する政治資金は、本来、国民が民主政治に参加する重要な手段の一つである旨を宣明し、政党本位の選挙制度の実現に対応して政党本位の政治活動が行なわれるように所要の措置を講ずる」というように書いてありまして、国民が民主政治に参加する重要な一つである、つまり参政権の一つであるという意味のことを言っているわけであります。  そこで、総理、しばらく席を外しておられましたが、今自治大臣も肯定的にお返事をされたわけですが、政治資金規正法の第二条は、基本理念として「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財である」そして、「いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思 を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。」こう規定しております。これは私もそのとおりだと思いますが、総理の率直な御意見をお伺いしたいと思います。
  270. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本的には、私は、今正森委員の御指摘が正しいというふうに考えます。
  271. 正森成二

    ○正森委員 それで、大蔵大臣にも伺いたいと思います。  こういうように政治資金規正法でも規定をしておりますし、法制局長官も政党の位置づけを行っておりますので、いやしくも国民の自発的意思を抑制するようなことがあってはならないと私は思いますが、大蔵大臣はいかがお考えですか。
  272. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 基本的に、御指摘のとおりだと思います。
  273. 正森成二

    ○正森委員 ところで、通常政党は民事法上非常に微妙な扱いを受けておりまして、通常政党は、法人ではなく、人格のない社団、法律家は権利能力なき社団というようなことも言いますが、そういうように扱われております。  これは、法務大臣に伺おうかと思いましたが、当然のことでございますので、私がこちらから申して失礼でございますが、また大蔵大臣にもお聞きせずに、当然のことですから私の方から申しますが、我が国の法体系では、個人と法人というように二つに分けて規定しております。これは税法上も同じであります。  ところが、そういうように規定しておりますために、政党は、人格のない社団ということで、個人でもなければ法人でもない。だから、税法上は、所得税法の四条や法人税法の三条で人格のない社団は法人とみなすというようなみなし規定になっておりますが、私が調べてみますと、ある税法では個人のように扱われ、ある税法では法人のように扱われ、また租税特別措置法では非課税のところで明確な規定がないというように、非常に政党の現在の民主主義社会における地位から見て不十分な規定になっておるのではないかという感じがいたします。  税の執行上の実務はもちろん国税庁でありますが、どういうぐあいに税法上規定しているかというのは主税局の担当で、つまりそれは大蔵大臣の担当であります。  そこで、大蔵大臣に伺いたいと思うわけでありますが、例えば所得税法上の政党への寄附の免税については、資料の四を見ていただくと、条文を引用しておきましたが、所得税法七十八条二項本文には直接には規定していないんですね、政党を非課税にするということは。それで、資料五を見ていただいたらおわかりですが、租税特別措置法第四十一条の十七、この間まで十六でしたが最近は十七に変わりました。十七によって「同法の規定を適用する。」というような扱いになっておりますね。つまり、所得税法の本文では課税やら非課税やらよくわからぬが、租税特別措置法で非課税である。  それから、資料三を見ていただきますと、政治資金規正法二十二条の二の第二項では、個人の遺贈、死ぬときにこの財産を自民党に献金します、あるいは改新党、新生党に遺贈しますというような場合には、個人の政治資金というのは百五十万円が一つの団体、個人に対しては限度でありますが、その限度を取っ払う。これは死ぬ人が遺贈するわけですから、これは限度が要らぬということに政治資金規正法ではなっておりますが、この相続、遺贈について相続税法本文の六十六条では、人格のなき社団は「個人とみなして、」いいですか、あっちでは法人として見ているのがここは個人。  それはなぜかというと、相続なんというのは大体個人のやることで、個人でないと税金は取れない、大蔵省の主税局や国税庁は税金と名のつくものは少しでも取りたい、こう思うからこういう規定にしたのでしょうが、「これに贈与税又は相続税を課する。」としております。これはつまり、本則では政党も税金を課されても仕方のないような規定なんです。  ところが、相続税法の第二十一条の三というのがあります。これは資料の六に書いてあります。ここでは、相続税の非課税財産が定められておりまして、二十一条の三、一項三号では、「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」と規定し、それから六号で、「公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で同法第百八十九条の規定による報告がなされたもの」は非課税、こうなっているのです。  つまり、公職の候補者は、届け出ないでごまかしたのはいけませんが、きちんとこれだけかかったといって届け出たものについては、これは贈与、遺贈を受けても課税しない、こういう規定になっているわけであります。ところが、この規定によりますと、公選法上の公職の候補者は非課税ですが、その候補者を公認している政党は課税されるということになるわけです。これは、政党が民主主義の基本であるという点から見て、非常な矛盾であります。  そこで、大蔵省はどういうぐあいに解決しているかというと、明文で改正はしないで、国税庁長官の行う相続税法基本通達というのがあるのです。これは資料七の二十一の三—九を見てください。これによって、一号で、公職の候補者は非課税だ、二号で、政党もそうだというふうにしているのです。そうですね。  しかし、これは大蔵大臣大蔵省に長くおられましたからよく御存じだと思いますが、徴税の一執行機関である国税庁が、事実上立法行為を行っておるということを言っても、あるいは言われても仕方のないことで、公選法の公職の候補者との比較上、また政治資金規正法の重い位置づけから見て、こういう便法はやらないで、法律の中に公職の候補者と同じように政党も非課税にするというように決めて当然のことなんですね。公職の候補者を公認し、それを、まあ言うたら指導し動かしているのが政党なんですから。  ところが、逆になって、一方は法律の本文に書いてあるが、一方は、一国税庁長官なんて言って、きょうは次長が出てきているらしいからえらい申しわけないけれども、決してあなた方の任務が軽々しいと言っているのじゃなしに、よく頑張っておられるでしょうが、言っても徴税の執行機関であって立法機関ではないのですね。それが基本通達で事実上立法機能を果たしておるというようなのは、明らかな矛盾じゃないですか、大蔵大臣
  274. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいま極めて精緻にわたる法律解釈でございます。  御承知のように、二十一条の三の六号で個人が書いてございます。そこで政党はどうなんだというお話だと思いますが、御指摘のように、二十一条の三の三号とそれから相続税法の方ですね、相続税につきましては十二条一項三号でございますか、これが政党も入るんだという、通達で解釈をしている、こういうことでございまして、それでは通達の解釈ではないかという正森委員の御指摘だと思いますが、私どもといたしましては、法律に根拠があるというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  275. 正森成二

    ○正森委員 それは物も言いようで、法律に根拠があるから通達を出したんだ、それは言えるでしょうけれども、一方は法律の本文で書いておる、一方は法律の本文には書いてなくて、それを国税庁長官の基本通達で公職の候補者と同じように扱うんだというのは明らかに不均衡で、言うたら、課長は書かれておるけれども大臣は書かれてないというぐらい半端な規定の仕方なんですね。  これは、政治資金規正法が後でできましたので、だから、法律を本来変えるべきものを継ぎはぎ継ぎはぎで修繕工事をやっているから、それでこういう矛盾が出てくるわけであります。これが単に矛盾だけで、しかし結果は同じではないかということであれば、まだゆっくり直してくださいよで済むのですが、実際上はそうではない点があるのです。  総理、難しい議論でしたが、大蔵大臣もしてお られましたので、常識で結構です、細かい通達がどうやこうやということを総理にお聞きしようとは思いませんが、常識的に見て、私が、課長と総理というのはえらい申しわけない比喩を言いましたが、公職の候補者に対する寄附は非課税になるのに、それを選定し指導している政党そのものは通達にまたなければ非課税にならないなんというのは常識上、ちょっとバランス上おかしい。バランス感覚のすぐれた総理、いかがですか。
  276. 小川是

    ○小川(是)政府委員 ちょっと恐れ入ります。法律の解釈として二つの御指摘がございました。  一つは、公職の候補者に対する金銭は贈与税が非課税であると書いてございますのは、これは、他の一般的な社会生活において受け取ったものは贈与税が課税されるけれども、選挙運動についてであればそれは贈与税は課税をしません。また、所得税にもそういう手当てがしてございます。それが二十一条の三の六号の件でございます。  もう一点、第三号の方のお尋ねでございます。こちらにつきましては、二十一条の三の三号といいますのは、人格なき社団あるいは個人に対する、ここにございますような公益事業用の財産の遺贈等を非課税としているわけでございますが、これはかかって社会政策的な意味である。ここにございますように、宗教とか慈善、学術その他公益を目的とするという、こういうものについての非課税は政策的な措置でございます。  委員指摘のように公益法人並みに、民法三十四条法人並みに、政党、人格なき社団である政党についてもこの規定の適用がないかということになりますと、そこはやはり法人格を我が国できちっと位置づけているわけでございますから、そこまでこの規定を適用するあるいは広げていくということには、法人格の問題を離れて考えることにはやや問題があるのではないかということでございます。
  277. 正森成二

    ○正森委員 何か二十一条の三は政策的なことだから、だからというわけで、いかにも政党を下に見ているのですよ。政策的なものだったらいよいよ、まして政党というのは大事なもので、公益性のあるものだから、今法制局長官も昭和二十四年からそういう考えをとっているのだから当然非課税にすべきものを、一主税局長がそういう見解で、いやいやおまえたちは、基本通達でなら認めてやるけれども本法でやるような、そういう上等の存在ではないんだ、言外にそういうことを言って、思い上がりも甚だしいんだ。  だから、ああいう官僚にそういう判断をさせないように、国会が法律できちんと決めて、どんなにたちの悪い主税局長であれその部下であれ、従わざるを得ないようにするのが私は、今の政治改革もやり、いろいろやっている政府あるいは立法機関として当然のことであるというように思うのですが、その矛盾がいよいよきわまっているのが所得税法五十九条のみなし譲渡課税にあらわれているのです。  これは資料の八を見てください。みなし譲渡課税というのは、大蔵大臣や大蔵委員をしておられた方は御存じでしょうが、一般の方は余り御存じないので、申しわけないが御説明させていただきますが、土地等でも、贈与、遺贈で、政党に対してどんなに高価なものでも贈与ができるわけなんです。しかしながら、土地については、買うたときと、それから遺贈、贈与するときとは時期がたっていますね。その間に値上がりいたします、これをキャピタルゲインと見ているのですよ。  このキャピタルゲインというのは、本来はそれを持っておった人間にもう既に属しておるんだ、だから、そのキャピタルゲインについてはこれは課税させてもらうというのが、これは所得税法五十九条の解釈の仕方で、これは相続税法の問題ではなしに、所得税法五十九条の問題であるというのが国税庁の解釈のようであります。  そして、遺贈は、五十九条で原則として法人に対するもののみが課税されるわけですが、ちゃっかりしておりまして、法人税法の三条で、人格なき社団は法人とみなすということで、法人だから税金はちゃっかりいただきますよ、こういう仕組みになっているんですね。  しかし一方、租税特別措置法の第四十条というのがありまして、資料の十を見てください。それを見ていただきますと、さすが、できるだけ税金を取りたいと思っている主税局や国税庁にしましても、国や地方公共団体において贈与や遺贈が行われたときに、みなし譲渡課税を国や地方公共団体から取るわけにはいかぬから、この場合は贈与や遺贈はなかったものとみなす、つまり、税金はいただきません、こう言っておるのです。  そのほかに、「民法第三十四条の規定により設立された法人その他の公益を目的とする事業を営む法人に対する財産の贈与又は遺贈で当該贈与又は遺贈が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することその他の政令で定める要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについても、また同様とする。」ここでも本文の中では書かないで、免税にしてほしければ国税庁長官の承認を得てこいということで、また税金をいただくのが専門のところが出てくるわけです。  そこで、国税庁に聞きたいと思います。次長来ていますね。ここで遺贈がなかったものとみなされる、つまり、課税されない、公益の増進に著しく寄与するということで国税庁長官によって承認される事業や団体にはどういうものがありますか。
  278. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  これまでの承認件数という点で主なものを申し上げますと、主なものは、学校法人七十二件、財団法人六十件、社会福祉法人百五件、宗教法人五十五件、これは、今申し上げた件数は、平成四年七月から平成五年六月までの一年間において承認したトータル二百九十四件の内訳でございます。
  279. 正森成二

    ○正森委員 つまり、幾つかの公益事業を増進するものというのは、国税庁長官の承認を得ているわけです。そこで国税庁に伺いますが、これは恣意的に行われたらいけないので、個別通達で贈与税の非課税財産ということについて通達があるんじゃないですか。  私が今、資料十一としてお配りをいたしました。それをごらんください。それを見ますと、贈与税の非課税財産について個別通達が出ておりまして、その上の段の「公益を目的とする事業のうち、事業の種類、規模及び運営がそれぞれ次の(1)から(三)までに該当すると認められる事業は、「公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業」に該当するものとして取り扱う。」となっております。つまり、該当するものとして扱うわけですね。その中に、今言われた学校教育法あるいは育英事業、科学技術に関する普及、図書館や博物館、あるいは宗教の普及というような、それが入ったのですね。そうでしょう。——何かうなずいているから、そうのようです。  そこで、私が思いますのに、それの「リ」を見てください。「リ」を見れば、「政治資金規正法第三条に規定する目的のために政党、協会その他の団体の行う事業」も、当然に「「公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業」に該当するものとして取り扱う。」の中に入っていますね。そうすると、あなたたちのこの個別通達によれば、残念ながら法律では規定していないけれども、二百幾つも短期間に承認されたものと同じように、政党に対して遺贈を行った、あるいは贈与を行った場合でも、公益の増進に著しく寄与するということで国税庁長官が個別承認をしてもいいということになるんじゃないんですか。
  280. 小川是

    ○小川(是)政府委員 今いただきましたのは、相続税法の二十一条の三の先ほどの贈与税の非課税の対象でございまして、先ほど国税庁にお尋ねがございましたのは、租特の四十条のみなし譲渡所得課税でございますから、そちらは法人だけが対象になっておりますので、こちらの人格なき社団である政党は対象になっていないということでございます。
  281. 正森成二

    ○正森委員 そんなこと言われたら、人格のない社団は立つ瀬がないんじゃないですか。所得税法の四条でも法人税法の三条でも、人格のない社団 は法人とみなすとなっているのですよ。ところが、実際に非課税になるときには、法人だけが受けるんだから、おまえらは半人前だから非課税にしない、こういう言い分でしょう。そんなおかしなことがありますか。  一たん総則で人格のない社団は法人とみなすということになれば、その法律全体を通じて特例がない限りは法人とみなしてやらなければいかぬじゃないですか。ところが法人についてだけだなんというのはおかしいんじゃないですか。ここでは、私が言いましたように、その四十条については、きちんと「その他の公益を目的とする事業を営む法人」というようになっていますよ。
  282. 小川是

    ○小川(是)政府委員 まさに委員指摘のとおり、それぞれの法律のところで法人に人格のない社団を含むかどうか規定をしているわけでございます。租税特別措置法のこの四十条の規定の「法人」というところには、法律としては人格のない社団を含むという規定はないわけでございます。したがいまして、この「法人」のところについては、人格のない社団を含まない法人ということで解釈をいたしております。
  283. 正森成二

    ○正森委員 時間がないので申しわけありませんが、そんなことを言うたら、基本通達やらあるいはいろんな解釈で一般的にやっていることが、その条文、条文に全部これは人格なき社団を含むというように書かなければいかぬということになれば、総則の三条や四条を置いている意味がないじゃないか。そんなことを言って、今政党助成で国民の税金から三百九億円も出そうというぐらい、民主主義社会のコストだと言われているその政党に対してそんな扱いをするなんというのは、総理、常識的に考えてもおかしいと思いませんか。  私が聞いておりますのは、実際上具体例もありまして、野呂栄太郎さんという資本主義発達史論争でも有名な方の奥さんが三年ほど前に亡くなられた。その方には敷地内に野呂栄太郎記念館というのがありまして、それを建物と敷地を含めてゆかりの深い日本共産党に寄附されたのです。そしたら税務署は、これに対して所得税法五十九条のみなし譲渡課税をする、それで土地が値上がりしているからといって莫大な税金を吹っかけてきているのですよ。そんなことがありますかね。そういうことをやりながら一方では、国民からいただいた税金を三百九億円も政党には助成として出す。常識的に考えてもおかしいじゃないですか。  時間がもう終わりましたから終わらせていただきますが、総理、私、難しい法律論はいいと思います。総理、難しい法律論は主税局長でも私らと論戦すれば意見が違うし、根拠が違う。総理にそういうことを伺おうとは思いませんが、常識的に考えておかしいなというように思われませんか。そう思われれば、やっぱり政党の民主主義社会における地位にかんがみ、法律上規定すべきは規定し、もし国税庁長官の承認で非課税にできるなら、そういうように私はすべきではないか。これは私どもの党だけが言っているんじゃないんです。すべての政党、それからすべての国民がそういう遺贈をした、贈与をしたというときの課税状態で、全政党、全国民に関係するから私が申し上げているわけであります。  時間が終わりましたので、この点を申し上げまして、もし答弁がありましたら伺いまして、これで終わらせていただきます。よろしゅうございますか。
  284. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 勉強させていただきます。
  285. 正森成二

    ○正森委員 総理の非常に常識的な判断をお聞きしたがったんですが、よろしゅうございますか。
  286. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 勉強させていただきます。
  287. 山口鶴男

    山口委員長 これにて佐々木君、正森君の質疑は終了いたしました。  次に、三野優美君。
  288. 三野優美

    ○三野委員 社会党の三野です。  まず、畑通産大臣、この新聞、御存じでしょう。この間も山陽新聞で郵政大臣のことが問題になっておりましたが、私は、あなたに別に質問しようとは思わぬけれども、これは御存じのように、国会では年賀状もやめようや、寄附も一切やめようやと、こういう状況の中で、売名的なことはやっぱりやったらいかぬということなんです。これは大面に全部出ているわけですけれども、私は、恐らく、これを言えば、あなたは私は知らぬ、新聞社がしたんだろうと、こう言うんだろうと思う。この間も郵政大臣が、私の事務所がしたので私は知らぬと、こう言っていますが、この間の郵政大臣のは、あいさつ文まで書いていたからこれよりちょっとたち悪いんですけれども、それにしてみても、私はやっぱり、こういうことについて、事務所がした、事務所がしたとか言っても通らないと思う。  そこで、ほかにもやっぱりそういう人、おるかもわからぬ。しばしばあるんですが、こういうことをすることによって、実は政治全体が国民から不信を買うということになるんです。やっぱり政治家といったらこんなことばっかりやっているのか、言うこととすることが違うじゃないかという不信を買うわけですね。それは、あなたの地元では、いや、うちの畑さんはまた二回目、大臣になって、通産大臣で偉くなったと言って喝采する人もおるでしょうけれども、中には、こんな広告まで出して情けない政治家だなと思っている人もおるだろうと思う。いわば私は、こういうのは政治全体の品位を傷つけるということを考えなきゃならぬと思う。  そこで私、官房長官に、ひとつこの際、これはこういうことなんですから総理ということにいきません。私は、ひとつぜひ、これは地方新聞なんです、これは地方新聞が多いわけ、どこでも。ひとつ政府として、各地方新聞を含めた新聞社にも、こういうことはもうやらないでもらいたいと、政治家の売名的なことは。向こうは商売ですから、広告とって、これは金もうけだからだけれどもね。やっぱり公選法に抵触する疑いがある、やめてもらいたいと、こういうことを政府としてお願いをする、通達をすると。いわゆる閣僚の中でもこういうことを今後するんであれば、もうやめてもらったらどうですか。そのぐらいの注意をした方がいいと思う。  官房長官、どうですか。
  289. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 ただいまの三野先生の御指摘につきましては、我々十分これを検討させていただきまして、その意味するところを反映できるように、どのようにすれば一番それが効果的であるかということも含めまして、検討をさせていただきたいと存じます。
  290. 三野優美

    ○三野委員 だから、単に検討だけではなしに、具体的に、ぜひ閣議でも申し合わせをしまして、各新聞社にも協力いただくということをひとつぜひしないといかぬと思いますから、それはぜひお願いします。  まず、大内厚生大臣、民社党の委員長ですが、委員長にひとつお尋ねしたいと思うんです。  実は今度の組閣を前にしまして、例の改新の問題が非常に問題になって、私ども社会党は、その経過は別として、とにかく一応政権から出ていった。その過程で、あなたがこれを提唱したということが専ら言われているわけなんです。実は私は、必ずしもそうばかりとは思えない節がある。しかも、委員長の性格その他を見ていて、あなたが独断であの短い時間に旗上げて、この指たかれよということをあなたが独断でやったとは私は思えぬわけです、実は。また、そういう代物でもない。  しかも、こういう大がかりなことをやろうという場合には、当然かなり事前から、あなたが言ったかどうかは知らぬが、もう率直に言います、新生党、公明党、日本新党、民社党、少なくともここまでは何らかの形で話し合いがあって、そしてあなたが形の上の提唱者になったのかと私は思う。ちょうど羽田総理を連立与党の中で提唱するのに、うちの村山委員長が提唱者になれと。しかしこれは、別に思いついて言ったわけじゃないんであって、各党合意の上でやっているわけですな。  ですから、この改新という大がかりなことをやるのに、あなたが突如目が覚めたら思い立ったということにはならぬと思うんです。まああなたもマスコミによると非常に微妙な状況にあるという ことを聞いておりますが、私はそれとは別に、やっぱりその真相はぜひ聞きたい。この政権なり政治が動くにしてみても、やっぱりそれは我々は真相を知る必要があると思うんです。委員長、どうですか、そこらの経緯をひとつお話しいただけますか。
  291. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 ありのままをお話し申し上げますが、四月の十四日から二十二日にかけましていわゆる代表者会議で政策協議が行われまして、あそこの模様を見ながら、これはなかなか重大な問題をはらんでいる。例えば安全保障とか北朝鮮とか、あるいは税制の問題では社会党の皆さんが場合によっては政権離脱という場面も何回か見られたように、非常に重要であるということについて、私は私なりにやはり心配をいたしました。  というのは、細川政権というものを支えていかなければならないということだったんですが、四月八日に突如として辞任をされた。そして、連立与党の中から総理を担いでいかなきゃならぬ。そうすると、何よりもやはり政策的な基盤というものがしつかりしていなきゃならぬ。私はそういうことを考えるときは大体自分一人で考えます。そして、あの一週間余の動きを見ながら、羽田総理しかこれは総理はないなと。とすると、この総理を支える政策的な基盤というものをきちっとしておくためにも何らかの会派が必要であろう、先生御案内のとおり、参議院では既に新緑風会というものができておりましたし。  したがって、その種のものが必要であろうということを考えまして、私は二十二日の段階で党の幹部を私の部屋に初めて呼びました。その前には他党の方とは一切接触しておりません。そして、私は純粋にこういうものが必要だと思うということをお話を申し上げたところ、それらの幹部は、委員長よく決断されましたということで賛成をいたしましたので、私どもの議員団の皆さんにお諮りする前に、実は武村代表や村山委員長ともお話をいたしまして、それなりの私の理解をもって実は自分の党の議員団総会を招集したのであります。  したがって、あるいはいろんな意味で勘ぐりというものは成り立つかもしれませんが、事実の経緯というのは、私自身考えまして、私なりに政治家として将来を心配し、そしてそれは単に会派の問題だけではない、新しい選挙制度ができれば、当然政界再編という問題に我々は真正面から取り組んでいかなければならぬ、そして政界再編という問題も、抽象論だけではこれは皆さんが理解してくれない、そういう問題をも実は念頭に置きながらあの問題を提起したのでございます。  もちろん、手続その他は私が指示する立場ではございませんので、私が示した構想はさきがけを含んだ四会派の構想で、実は私の考えでいたとおりにはならなかったのでございますが、その経緯は私自身考えたものでございました。
  292. 三野優美

    ○三野委員 大内委員長、かつてその前に、与党内会派で改革という話があったことがありますね。このときにあなたは賛成しましたか、反対しましたか。
  293. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 私は明らかに反対をいたしまして、そして党内においてもその決定のイニシアチブをとりました。
  294. 三野優美

    ○三野委員 この改新は私は改革の延長線上にあると思わざるを得ないわけですね。これはもう否定できないでしょう。(大内国務大臣「いや、違います」と呼ぶ)いやいや、私はそう思う。しかも、あなたが言われたように、これは将来、今度の選挙制度のもとで新しい政治的な結集体、まあ政党でしょう、これに発展することも頭に入れながらおやりになったんだろうと思うのです。  そこのところは余り長い議論をしようと思いませんが、いずれにしても、じゃ改革とは体質がどこが違うんですか。
  295. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 私が聞いている範囲におきましては、改革の場合は、これは将来全党を結合する、こういう提唱が背景にあったと思います。やはり私の会派論とかあるいは政界再編論には基本がございまして、一つは政治理念、政党の体質、基本政策、重要政策、これらの一致をする者同士が会派を組んだり政党をつくったりすることが基本であって、連立与党でみんなでやっているから全部でやればいいという考え方は無原則であるという考え方に立って、改革の場合には反対したのでございます。
  296. 三野優美

    ○三野委員 若干言葉はところどころ違っているが、それなら改革と改新と違うのは、結局社会党を抜くか抜かぬかが違うだけですよ、結果的に。そこだけが違うだけであって、そのほかは別に何も変わらぬわけです。  公明党委員長にお尋ねしたいのですが、あなたのところはかつて改革にも非常に熱心だったわけなんですね。あれほど熱心であった公明党が改新には入ることを一歩おくらせた。この理由が何なのか、これが一つ。もう一つは、あなたのところは入っていないのですが、その後社会党が政権から離脱した経過の中で、改新を解消したらいいではないか、すべきではないか、いやすべきではないと、いろいろと意見ありましたね。  そのとき、あなたのところの書記長は、もし今改新を解散するようなことになったらば、これは私、新聞で見ただけですから違っておるかもわかりませんが、なったらば、民社党や日本新党の執行部は責任問題になるだろうと、我がうちが入っていないのに、よその党が責任問題になるだろう、そういうことを言われているんです。あれほど熱心なのが入らなかった、後に残ったその理由、根拠。どうしてそうなったのか。そして、もし解消するならば民社党や日本新党の執行部は責任問題になる。これはどういう意味ですか。
  297. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 まず後段の方から答弁申し上げたいと思いますが、書記長がどういうことでああいう言い方をしたか、私は、打ち合わせをしてやったわけではありませんので、その真意はよくわかっておりません。ただ、新聞の字面を見る限りにおいては、見通しとしてそうなるのではないかなんということを言ったのかなというような感じをしておりました。  それから、改新の問題について、実は我が党にはお呼びかけがなかったわけで、当日そういう動きがあるということを書記長から報告を受けたわけでございます。書記長も当日知ったわけでございます。  また、改革の問題は、私どもは、この新しい選挙制度というものは当然、政権を選ぶ、また政策本位のそういう選挙になるだろうということを想定をした選挙制度だというふうに思っております。そういったところから、当然将来この選挙というのは二大勢力が相争う、そういう方向が一番いい、こんなことを熱心に議論した経過があるわけでございますので、将来選挙を想定した場合にはそういう方向へ努力をすべきであるという党内的な議論があったところでございます。
  298. 三野優美

    ○三野委員 大内委員長から石田委員長のところには呼びかけがなかった、だからしばらく外におると。けれども二大勢力がいいと思っているということだから、まあ入ったくてしようがないんだろうと思いますが、まあそれはおたくの党で決めることですね。呼びかけがなかったにもかかわらず、もしこれを解消することになったら民社党や日本新党は執行部の責任問題になっちゃうよ、大変私は公明党というところは他党の心配をいろいろとするところだなと思っているのですが、まあそれは別にいいです。  しかし、いずれにしましても私はこれらの問題がどうも釈然としない、国民から見ていても、本当は。ですからやはり、皆さんが政権につき、日本の政権を預かる以上は、そこらのことはもうちょっとわかりいいように、国民にわかるようにやはりした方がいいだろうということだけ申し上げておいて、これ以上この問題は触れません。どうぞひとつ、もっとわかるように、どうも聞いておっても二人の言うことはやはりわからぬですから、もっとわかるように機会があったらまた説明してください。こればかりじゃいけませんから、以上でこれは終わります。  神田防衛庁長官の関係ですが、村田防衛局長、 この間の十八日の私の質問に対してあなたが答弁されましたね。それで、この答弁を見ておりますと、記録を見るとこうこう、こうこう、こういうということになっているのですけれども、私が質問したのは、神田防衛庁長官の記者会見のことを質問したわけ。あなたが記者会見して、この中身はどうなんですかと聞いた。ところが、二、三回やっているうちに神田防衛庁長官が防衛局長に指示して、防衛局長が答えたわけですね。そうすると、そのメモというのは、神田防衛庁長官が記者会見をされたメモはあなたがおつくりになって、これを読みなさいということで読んだわけですね。——どうしてあなたが答弁するの。あなたが答弁した理由だけ言ってくれよ。ほかのことはぐちゃぐちゃ言うなよ。
  299. 村田直昭

    村田(直)政府委員 その点について御説明しますと、当日の朝、先生からそのような御質問があるということを聞いておりまして、大臣ともいろいろ打ち合わせをしておりましたので、その辺の考え方は私と一致しておりましたものですから、補足する意味でお答えしましたけれども、今、出過ぎたことであったというふうに反省をしております。
  300. 三野優美

    ○三野委員 神田防衛庁長官、私はあなたの記者会見の中身について質問したわけ。それをあなたが防衛局長という事務方に答弁させたわけ。どういう意味でさせたんですか。かつてであれば、あなたは三軍の長でありますから大元帥——大元帥じゃない、元帥でしょうけれども。ですから、あなたのような国務大臣、元帥の人が、三野君みたいな駆け出しには一々できぬわなんて思ってやらせたの。私はあなたの記者会見を質問したわけよ。なぜそんなことしちゃうんだ。人をばかにしているじゃないですか。
  301. 神田厚

    ○神田国務大臣 答弁いたします。  僕は委員をばかにしているようなことはございません。北東アジアの軍事情勢について私が説明しましたが、客観的にそれを防衛局長が説明を追加したということでございます。
  302. 三野優美

    ○三野委員 私はそれは納得できませんね。私は、記者会見の内容だから、あなた自身の記者会見をあなたの言葉で、あなたの考えていることを聞いていて、それですれ違ったものだから二、三回やったわけ。やはり記者会見したあなたが責任持つべきでしょう。それを、少なくとも記者会見の内容について局長に答弁させて委員会事足れりというのはおかしいじゃないですか。そんなものは私は納得できませんね、だめです。
  303. 神田厚

    ○神田国務大臣 私が全然答弁をしていないということではなくて、私も委員質問に対して答弁をいたしました。
  304. 三野優美

    ○三野委員 だめです。だめ。
  305. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  306. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  神田防衛庁長官
  307. 神田厚

    ○神田国務大臣 ただいまのお話でございますが、大方私が答弁をしたのでありますけれども、局長に答弁させたのは不適当であったと思っております。
  308. 三野優美

    ○三野委員 今度は外務大臣、朝鮮民主主義人民共和国の核問題をめぐってこの間あなたと少し議論しましたけれども、きょうは対話をしようと思っている、あなたと。それで、あなたはこれは個人的なことと言ったけれども、個人的に会ったらば、私はハトですよとか言って、まあハトらしいけれども、私もハトですからハト同士でひとつ話したいと思うのです。  それで、御承知のように今朝鮮半島をめぐって、核疑惑をめぐっては非常に、何というか微妙な段階ですね。きょうは少し角度を変えて私の見方を申し上げますが、間違っておったら、あなた、それは三野君違うよ、こう思うよと言ってもらったらいいと思うのです。  さまざまな動きは別として、いずれにしても今北朝鮮は、アメリカとの米朝直接会談だ、これで決着をつけよう、これが最大のねらいですね。これは僕はもう大体間違いないと思うのですね。なぜそうなのか。国連の決議やIAEAがいろいろと言ってみても、それは、聞く耳持たぬとは言わぬけれどもなかなか応じない。米朝会談だ。ここが一番私は問題だと思う。  いわば核があるかないか、あるいは開発しているかどうかは別として、共和国とアメリカとは御承知のように今戦争状態ですね。休戦しているだけ、敵対関係にあるのですね。それを、今までの米朝会談の中で、とにかく休戦協定を平和協定にしようではないかという呼びかけを金日成はしばしばしていますわな。  これは何かといえば、私は恐らく北朝鮮側には、国連常任理事会も、いわば国連もあるいはIAEAもアメリカ主導ではないかという気持ち北側にある。北側はそう考えている。したがって、我が国はアメリカと対でやるんだ、そして米朝会談で解決したいということは、これの解決と同時に米朝の国交正常化、ここを最大限にねらっていると見た方がいいと私は思うのです。これは間違いなのかどうなのか。私は間違いでないと思っているのです。  いわばアメリカに北朝鮮を認めさせて国交正常化、そして技術援助も請いたいでしょう、資金的な援助も請いたいでしょう、そこのところが最大のねらい。なぜ日本に言わないかといえば、アメリカが窓を開かなければ日本はついてこない。その場合、アメリカと解決すれば自動的に日本は来る、こう考えていると思うのですね。それは、あなたと私とは恐らく意見が違うと思いますが、米朝会談が本音だというのはそういうことじゃありませんか。
  309. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 北朝鮮政府意図について私が公式に述べる立場にはございませんが、ただいま三野先生のお示しになったお考え方も一つの御見識であろうかと思っております。
  310. 三野優美

    ○三野委員 そこで私は、いわばここで外務省の仕事、もし決裂した場合に経済封鎖、海上封鎖あるいは弾が飛んできたらどうするかなんということは、外務省が考えることではない。向こうの専門家がおる。あなたのところは、外交政策、話し合いでいかにこの問題を円満に解決するのか、日本が、そしてアジアが、世界が平和のためにするかということが課題ですね。  私は、かつて外務大臣をして総理を一時期されました広田弘毅さんという人の本をある作家が書いているのを読みました。非常に不運な人なのだけれども、徹底した平和主義でやったけれども、時期が時期であったものですから戦犯で問われたわけですね。絞首台に上った。しかし、その過程は、読んでみる限りにおいて、非常に徹底した平和外交で、軍部を何とか抑えようとしてやられたという歴史を私は読んだことがある。ああ、外務大臣、外務省の役割というのはこれなんだなと思って、実は私は確信を持ったわけです。  ところが、しばしば、あなたの言葉からも出たように、鉄砲の弾が飛んできたらどうしようか、あるいは決裂したら海上封鎖はどうしようかなんて、そんなことをあなたが考え立場では、私はそういう限りにおいてはないと思う。もうちょっと日本の外務省はあるいは外務大臣は、外務大臣の役割、外務省の役割というものを本気で考えなければ、自主外交は生まれないのじゃないですか、このままでは。私はそんな気がするわけです。この間からの我々のこの委員会における議論も、それは万が一を考えなければならぬけれども、外務省が万が一、万が一ばかり言って、それに対する対応ばかり考えていたのでは、外務省の役割は私は果たせぬ、こう思うのですね。  さてそこで、あなた御承知のとおり、せんだってこういうのがあったでしょう。韓国人でアメリカ在住のジャーナリストが金日成に会いましたね。そのときに金日成主席は、日本にはいつでも窓口をあけていますよと。実は私、話したいのだろうと思っているわけ。日本にも協力してもらいたいという気持ちがあるだろう。経済的にも非常に困難な状況だと聞いていますから、アメリカや日本に協力してもらいたい。特に朝鮮との関係ある人、隣におられますが、そうだろうと思います よ。日本にいつでも窓口をあけていますよという発表があったわけ。これについて何らか真意をお調べになったことはありますか。
  311. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ただいま御指摘の、金主席の御発言またはお話というようなことについての真意を確かめたことはございませんが、先生御承知のとおり、日朝国交正常化交渉、八回にわたって行われまして、その間で日本側も、核開発の疑惑については再三にわたって国際社会の懸念を払拭していただきたいということを先方にも伝えてきたところでございますが、一昨年十一月に中断をいたしまして、その後正式の話し合いの場はないというのはもう御承知のとおりでございます。  その後、非公式な形で北京またはニューヨークの国連代表部等で話はいたしておりますが、先方も、今、三野先生が前半でおっしゃったように、やはり米朝交渉でこの問題は片づけたいという考え方が強いのだと思いますが、我が方からのいろいろな話には乗らないという立場のようでございまして、それ以上には進んでいないというのが実情でございます。
  312. 三野優美

    ○三野委員 それは外務大臣、私さっき言ったように、国連そのものがアメリカの支配だと向こうは、事実は別として、そう思っているわけ。ですから、あそこで話してみても解決しない、だから米朝会談だと。  中国の言葉が総理以下、あなたからも再々出ますね。中国は、我が国が接触してみても、あるいは我が党の久保書記長もこの間行って話してみたけれども、いやいや、共和国の問題はそう簡単に期待されても困りますよ、こう言われた。その意味、わかっていますか。  私は、恐らく中国が、中国と朝鮮とは長い歴史的な関係がありますね。しかし、この核問題については話ができないと思う。中国が、核開発やっているのじゃないの、あなた、全部公開して世界を安心させなさい、こう言ったら、もし金日成が、中国は核実験はしないのですか、あなたが持っている核、どうするのですかと言われたらどうする。  私は、さっき共産党の話もあったが、後から出ますが、この問題を含めまして、中国は核問題については北朝鮮には話ができない。あの核を持っておる五カ国、常任理事国、核を独占しようとする体質が変わらない限り、これは言えない。言ったって逆に聞かれますよ。そのことをあなたはもちろん理解しているだろうと思うのですが、そのことも理解してこの問題で接触しなければならぬ。  私、さっき言ったのは、五月十九日の報道で、在米ジャーナリストの文明子と書いてある女性ですね。この人が金日成に会ったときに、幾つかのことを言っていますね。プルトニウムを出しにくい軽水炉への転換に米国が技術と資金を含めて援助すると約束したのだ、だから我々はそれを期待しているのだ、こう言って、その後、日本との国交正常化交渉については、首相がだれになろうと門戸はいつでも開いていますよ、こう言っている。  こう言ったら、外務省は、この事実がどうであるか直ちに当たるべきじゃないですか。それが私は外務省の仕事だと思いますよ。現にこのジャーナリストはアメリカにおるのでしょう。なぜそれをしないのですか。それが外務省の役割なんだ。そういうことを、あらゆる手段を講じてみて、日本が直接話し合いの場はないのか、全然日本は直接にやれないのか。  それで、あなた、もう一つ、一昨年の日朝会談で、八回目の平成四年の十一月五日ですか、李恩恵の問題で決裂した、向こうが引き揚げた。これは、決裂することを知っていたでしょう。出せば必ず決裂することはわかっているわけ。何回もちらちら出したけれども、これを出せば決裂することはわかっているわけ。それを出した。私はその意図というものがわからぬのです。もちろんこれは大事なことですよ。しかし、日本が確証を持っているわけではない。伝聞なんですね、あくまでも。  ですから、それは調べる必要はありますけれども、やはり日朝国交正常化の過程の中でその真相を調べていく、それが外務省の仕事でしょう。核問題もそうでしょう。こういう人権問題もそうでしょう。なぜやらない。
  313. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 今、李恩恵の問題について触れられましたけれども、これは我が国の国内でも非常に関心の高い問題でございますし、これは一人のことではなく、いろいろな形でそうした行方不明になっている方々がいらっしゃるということで我が方としては議題にのせたわけでございまして、これで中断を意図してやったということでないことは御理解をいただきたいと思っております。  また、先生、金日成氏の言葉として、今回の核開発を断念すればその他の協力をするというようなお話があったということでございますが、この点については、そういう話があったということは聞いております。しかしながら、まず北朝鮮側がIAEAの査察をきちっと受け入れて、そして核不拡散体制の一員としての責任を果たすことがそうした話し合いをする前提だというふうに私ども考えておりまして、その点で今米朝の間で話が行われておりますので、それを見守っているというのが実情でございます。
  314. 三野優美

    ○三野委員 私は李恩恵のことを関心を持つなとかそんなんじゃない。その真相を調べるためにも日朝の交渉をしなければわからぬでしょう。行ったり来たりしなきやわからぬでしょう。だから私は、思い切ってやはり交渉を進めていくべきだと。  それから私は、あなた言われましたけれども、米朝関係はいいでしょう。このジャーナリストはそれなりの人物ですね、こういう報道があれば直ちに当たるべきじゃないですか。なぜ当たらないの。当たってみる気ありますか。
  315. 川島裕

    ○川島政府委員 あのインタビューにつきましては、私どもも注目しておりまして、ちょっといろいろ調べてみたいと思います。
  316. 三野優美

    ○三野委員 ちょっと調べてみる、それはまああなた、近所へちょっとげた履きで行くみたいな話をしたんではいかぬな、外務省が。こういう重大発言を、しかも責任あるところが記者会見をして発表しているんですから、世界に。だから私は、そういう外務省の構えが本気でやる気がないと言うんだ。その点を私は反省を求めたいと思います。あなた、何かあったら。
  317. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 今アジア局長から申しましたのは言葉足らずだったかもしれませんが、先生の御指摘を受けてきちっと調べるように努力をいたします。
  318. 三野優美

    ○三野委員 それで総理、この際、我々はやはり周辺のこともよく見なきゃならぬと思う。確かに、一番この核問題について神経をとがらせているのは実は隣の、三十八度線の韓国ですわな。  この間、韓国の世論調査がソウルから発表になったのは御存じでしょう。これは政府機関が調査したんです。特に青少年に対して世論調査をとってみた。見習うべき国はどこかといったら、日本に六一%と書いている。ドイツが一一%、アメリカが八%、英国二%なんです。日本は断然強い。その見習うべきものは何かとちょっと調べてみたらば、日本のすぐれた教育とそして経済力だそうです。それはそうでしょうね、見習いたい。しかし、一番警戒する国はどこかといったらば、日本が四九%、アメリカは一九%、北は八%、中国は七%。もちろん、北と南が幾ら対立しておってみても、同じ血が流れていますわね、同じ民族。  ですから、我々が考えているのとはやはりかなり違うということなんです。日本の経済力やこの高い学問や技術に学びたいけれども、警戒するのは一番日本だ、こう言う。北と民族同士の対立はないということです。ですから、早くこの問題を解決することが朝鮮の統一になるし、経済的な発展をしている日本の役割でもあろうと思うんですね。このことも申し上げておきたいと思います。  さて、続いて私が申し上げたいのは、さっきの核拡散防止条約とのかかわり、この問題もありますが、日本が大変だ、大変だと言う。それは大変なんです。被爆国としてとにかく何としても核は地球上からなくさなきゃならない。核実験もだめ。 拡散もだめ。そのとおりです。しかし大事なことは、日本は他国の核を抑えなきゃならぬが、それだけで日本の安全が保障できるのか。このことをもう一遍考えてみる必要があるでしょう。  これは、科学技術庁、来ておると思いますが、間違っておったら言ってください。日本には列島全体に数多くの原子力発電があります。この原子力発電、私は科学は素人ですから、間違っておったら御指摘いただきたいと思うんですが、私の調べたところでは、百万キロワットで広島型の原発一千発に大体相当するような放射能を持っているというんですね。そういう話を聞いている。これ違うとったら御指導いただきたいんですが。  そこで、もし朝鮮半島で何か起こる。何か北がミサイル開発しているという話があるけれども、北だけじゃない、ミサイル持っているところはいっぱいある。この日本列島にある原子力発電所は四十三基、三千六百五十二万キロワットでしょう。さっきの計算からいくと広島型の原発の三万六千五百二十発に相当するというのです。その数字が合うておるか私はよくわかりません。これほどのものを抱えておるのですよ、日本列島に。ここヘミサイルが飛んできたらどうするの。いわば今や日本列島は核で、日本列島だけじゃないですよ、世界がもう大分核でみずから包囲されている状況の中で、戦争なんて絶対できないわけですね。してはならぬわけ。  そうしますと、この原発の実態から見ても、もう完全な平和主義に徹しなければ、とてもじゃないけれども、撃ってきたらどうそれを撃墜するか、守るかなんというのは議論にならないような、世界の科学というものはそこまで発展してきた。核もさることながら、原発そのものがそういう事態をもたらしておるということもこの際申し上げておいた方がいいと思う。もし間違いであれば、それはおまえの考え方は間違いというなら後から御指摘いただきたいと思います。  そこで総理、さっき出ておりました核拡散防止条約無期限延長の問題ですね。私は先ほど、中国と朝鮮の核問題について、日本がぜひ中国に、あなたは仲がいいんだからやってくれ、中国は、なかなか難しいよ、こういうことを申し上げました。それはいわば中国の核なんだと私は思うのです。したがって、先ほども広島の問題が出ておりましたが、私はまず、核拡散防止条約は無期限、無条件というのはちょっと困る。持っておらぬところは持つなよ、これはいいです、拡散しない方が。これはまずやりましょう。そのかわり持っているところも核実験はやめてくれ、ここのところはどうですか。  時々新聞に、日本の周辺で間もなく核実験があるんじゃないかという話がありますね。持っておるところも核実験をまずやめる、これだけは今度の条約の期限のときに何としてもこれは実現さす、これは第一歩でしょう。核廃絶の第一歩でしょう。これだけはひとつこの交渉のところで実現されなければだめですというぐらいな決意で交渉に当たられますか。
  319. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先週行われました軍縮の広島会議でも、外務政務次官が出席をいたしまして、我が国も、核不拡散条約の無期限延長に賛成をすると同時に、先ほど羽田総理からも答弁をいたしましたように、核保有国の核の削減並びに核実験の停止ということを訴えたわけでございますので、その方針で努力をしてまいりたいと思っております。
  320. 三野優美

    ○三野委員 訴えるのはいいんだけれども、今の条約そのものが、核実験なり核軍縮の言葉は書いていますが、底抜けになっているわけ。ですから、一歩前進、無条件、無期延長ではなしに、まずは核実験禁止を入れる。それで十年なら十年後に、さらに次は核軍縮でしょう。核保有国がいつまでも核を持つことを認めておったんでは、実はインドやパキスタンも核開発をしているという話がいっぱいあるんでしょう。これでは私は、この条約が本当に地球上を覆うことはできないと思いますよ。  ですから、そういうかたくななことではなしに、やはり私は、アメリカも中国もロシアも、フランスも含めて核実験をやらない、次へのステップはこうなんだということを明確にして、やはり日本が主張しなければだれが主張しますか、被爆国日本がしなくて。これは、単に主張だけではなしに今度の条約に入れる、改定のときに。そういう構えで日本政府は交渉に当たるかどうか、聞いておきましょう。
  321. 林暘

    ○林(暘)政府委員 私の方から事実関係をまず御説明させていただきます。  全面核実験禁止条約の交渉というのがことしの一月からジュネーブの軍縮会議で始まっておりまして、現在、いろいろな条約の規定その他を含めて交渉中でございます。  交渉でございますので、いつ、どういう成果が出るかということをここで確言申し上げるわけにいきませんが、今のところ、来年のNPTの延長会議の前までに目に見える成果ができるようにしたいというふうに我々も思っておりまして、そういうことで努力を今いたしております。
  322. 三野優美

    ○三野委員 努力をしていると言うが、それを条件にしなければなかなかこの条約を無期延期、無条件なんということにはなりませんよ。だから、あなたが言われたように、条件として入れてください。  それから、あえて言うならば、核五カ国が、先には核は使わぬという、これをやはり約束してもらわなければ困る。そうでなければ、核を持たない中小国は危なくてしようがないですよ。これも外務大臣、ぜひ主張して挿入できるようにやってくれますか。
  323. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 世界で唯一の被爆国である我が国が、三野先生おっしゃったような方向で、外交面で努力することは当然の責務、義務だと考えておりますので、そうした形で努力をいたします。
  324. 三野優美

    ○三野委員 そうしますと、私はこれ以上なにしませんが、無条件、無期延期ということではなしに、その条件をやはり押し込む、そういうことでこれから外交交渉に入って、その結果を見て、国会にもう一遍報告をちゃんとしてもらう、こういうことをお約束したものと私は受け取っておきたいと思います。それが違うならば後で言ってください。  大蔵大臣、あなたとするのは大分くたびれちゃうんだけれども、私はほかの先生方とちょっと違って、社会党からもおしかり受けるかもわからぬけれども、今御承知のように国の借金は、あなた方の考え方は、大体赤字国債はいかぬけれども建設国債はいいなんという議論をよくするのですが、借金に余り変わりない、色づいてないものですから、私はそれにくみしないのです、それには。  二百兆円の借金を持ち、地方自治体が百兆円の借金を持っているでしょう。そうすると、三百兆ということになると、赤ちゃんまで含めまして一人当たり百八十万突破するという状況ですわな。えっこらえっこら稼いで貯金して、子供の学校のために、家建てないかぬということでやっておったらば、官僚と政治家が借金つくっておってくれた、百八十万掛ける四人家族つくっておってくれた。これはみんな計算しとらぬわね。これではどうにもならぬではないか。  そして、国の予算の中で元利を払うのが二〇%近くになっているというこの現状。ひょっとしたら大蔵省は、銀行の金利稼ぎのためにあえて借金をつくってくれとるのかなという気もせぬでもないのです。大体大蔵省というのは銀行の身内ですけんね。そういう気もするぐらい、実は私はこの問題について不信を持っているわけです。  第三次補正のときにも、不況で公共事業をやらないかぬと。第三次補正、私も委員会に入りました。そのときに、二兆幾ら予算を組んだでしょう。その九十何%、全部借金でしょう。建設国債、国債でしょう。そうしますと、不況だから公共事業をやりますよ、景気をよくするためにやりますよといって、それはどこですかといったら、いや全部借金ですというのであれば、別に東大を出とらぬでも、私でもするぞな。いや、それはそうだわな。  私はあれを見てびっくりした。減税をやるという。減税要求があった。うちも問題があるのです。かつてうちは二兆円と言ったのが、いつの間にか五兆円も六兆円にもなっちゃった。あなたの方も、減税やったって景気よくならぬぞ、貯金しちゃってと、総理大臣が繰り返し繰り返し言ったのだ。そんなことなかろうがと言ったら、いや、それはもう全然役に立たぬわいと言ったのです。  それを、五兆円か六兆円、あなたのところは財界から言われて、うちは労働組合から言われて、このごろ財界も労働組合も一緒になってくるのですが、そこでやっちゃった。そうしたら、そのしまいをどうするのだといえば、一時的には国債発行、長期的には消費税、こうくるわけでしょう。余りにもこれは我々素人にはわからな過ぎるのですが、そんなことあなた続けていくの。どうやつて説明するのですか。  私は、減税やるならば、今の予算の中でどこが切れるのか、思い切って切っちゃう、この分だけは切れるから減税やるわというのならわかるけれども、全部借金でやりますわなんといったって、東大というのはそういうことを教えるのか知らぬけれども、これは私は理屈に合わぬと思う。どうですか。
  325. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいまの三野委員お話の中で、基本的に私と同じ考えだと思うのは、しょせん借金は借金、これは全く同じ考えです。  ただ建設国債は、実際発行するときの一つの歯どめがあって、資産が残るということはあるにしろ、借金であることには変わりないのですね。  それからもう一つ、この今の景気対策の大きな柱として公共投資が言われた中で、これを借金によってというか国債政策によって賄ったわけですね。国債政策というのは、はっきり言ってしまえば、民間の資金をこっちへ持ってきて公的に配分する、こういうことでございますわね。ですから、今みたいなこういう時期にはそれは役に立つと思いますが、いつも申し上げているように、民間の資金が枯渇してきているときにその政策は続けられないのですね。  それから、もう一つ別の観点なのですが、公共投資とは景気対策のしもべなのかという議論があるわけですね。これは事実なのですね。これもまた事実なのです。だから、着実に公共投資はやっていかなければならないけれども、景気対策のためだけに公共投資はやるのではない、そして特に景気対策的観点というものについては、景気の時期によっていろいろ変えていかなきゃいけない、これはもう基本だと思いますね。しかし同時に、将来の日本の国土というものをつくっていくために、また生活関係をよくしていくためには着実にやっていかなければならない、このさじかげんが本当は難しいのだと思うのです。  しかし、今のこの時点で、とにかく建設国債はけしからぬという御議論はわかります、基本的に正しいと思っておりますが、今までの背景をごらんいただければ、それもそれなりの必要性があったということは御理解いただけると思うし、今も必要だと思います。  赤字国債については全く反対です。したがって、単なる歯どめなき国債発行による所得税減税は私は反対です。反対をずっとしてきました。そして今回の歯どめ、それは連立与党の合意というものをいただいており、特に今回の国会におきまして、特別減税法の中で、減税を将来的にやるための基本的税制改正をやるべしという修正をいただいて、本当に私は感謝をいたしておりますが、それが歯どめだと考えております。
  326. 三野優美

    ○三野委員 公共事業は建設国債を出せる、財産が残るからいいわと言われた。それならあなたのところはこうするのですか。家を建てるわな、家を建てるのは、おれだけ住むのではない、子や孫も住むのやからおれは借金残しておいてやるぞ、こういう仕組みでやるのですか。  それは一つの理屈だろうと思うけれども、私のところは違うのです。私が建てた家は、できるだけ僕の時代に借金を少なくしておいて、十五年、二十年たったら屋根もぶる、といも腐っていく、息子はそれをかえないかぬ。年寄りが、こっちが足が動かへんようになる、年寄りの部屋も建てないかぬ。息子は、息子の時代はまたやることいっぱいあるのですよ。  私は国の財政だって一緒だと思いますよ。あなたのように、建設国債は、財産残ったのやけん借金残しておいてやるけんの、しっかり金利払えということでは世の中私は通じぬと思う。これが一つ。  だから、あなたと私と、ちょっと家の中、あなたは金を持っているでしょうけれども私は貧乏人だけんね、できるだけ借金は残さぬ。貧乏人ほど借金残さぬわ。金持ちは借金持つとってもいいけれども、払う能力ある。払う能力ないからしない。  それからもう一つ、建設国債、景気対策ということを言い含めてきました。しかし私、建設国債は、あなたちょっと触れましたけれども、社会資本整備ということで計画的にやるのはいい、しかし、景気対策でやってきた。建設国債の中で何にどう使っているの。都市でやれば土地代が七〇%、八〇%、ひどいところになったら九〇%も土地代に要るわけ。まあ、そうでなくても、山へ行ったら今度は、山の方は土地代が少ないものだから、そこへ砂防堰堤、ダムばっかりつくってコンクリ流すわけ。  確かに私は、五十年代、六十年代前半までは建設国債が景気対策に果たした役割はそれなりにあったと思う。私はよくわかりませんが、学説によると、一・五ないし三%という時代もあったようですね。今や時代は変わったわけでしょう。ハイテクの時代ですね。そういう時代に、いつが来てもやっぱり土木中心の建設国債で景気がよくなるという変わらない体質、これは建設省もそうだし、大蔵省もそれでついていきよるんですけれども、ここのところはやっぱり転換しなきゃならぬのじゃないでしょうか。  やっぱりこれからの社会というのは知識が中心でしょう。知識に対して公共性というのを認めていく、これは学校教育も含めてですよ。そういう時代に来ているにもかかわらず依然として土木中心の建設。どうですか、そこのところについて反省はありませんか。
  327. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 公共投資の限界について、今三野委員から家のことでお話がありました。私もそのとおりだと思うのですね。年収五百万の人がいかに自分の家だといって十億円のものをつくるというのは、これはアブノーマルなんですね。ですから、国力にふさわしい建設投資でなければならないということは当然のことだと思いますし、それは先ほど申し上げたとおりであります。ですから、幾らでもいいのではないということはさっき申し上げたとおりでありまして、三野委員と全く同意見であります。  次に、公共投資でありますが、土地代が確かに多過ぎると効果としては非常にそれが減殺される、これもそのとおりだと思います。ただ、IGというんですけれども、公的資本形成でございますね。平成五年度に比べて六年度はより伸びる形になっておるんです。それは公共投資予算総額もさることながら、やはり土地代のウエートが土地の安定によって低くなってきているということもありまして、私は、公的資本形成という意味においては効果がなくなっちゃうんじゃないか、土地代に行っちゃうんじゃないかという点は捨象された結果の数字だと思いますので、それなりの意味があると思います。  おっしゃるように、土木とおっしゃいますが、下水道も土木の面が多うございますし、治水も土木の面が多うございまして、これは一概に悪いとは言えない、むしろ国土のこれからの建設のために非常に重要なことだと思います。しかし同時に、委員言われましたような新しい分野でございますね、そういうものにも資金の配分をしていかなければならない。これがこの委員会で大分、どこに配分するんだという御議論の中でいろいろ御論議のあったところだと承知をいたしております。
  328. 三野優美

    ○三野委員 大蔵大臣ともっと勉強させてもらいたいんですけれども、時間がなくて、建設大臣に お尋ねしますが、今のとのかかわりの中で、どうですか、あなたのところではえらいダムに熱心なんです。私、ダムをずっと調べてみたんですが、実はもう各県で、できるところは片っ端からダム、砂防堰堤やるわけ。  私は、実は生まれたのはダムの上で生まれたわけ。ダムの端を通って高松へ通っていたわけ。ダムのことはよく知っているわけですがね。ダムをつくることによってその村が崩壊していくことはもうあなた御存じですか。  私のところには学校が三つあった、小学校が。ダムができてから、一つなくなり二つなくなりして三つ目、三つを一つにしましたけれども、もう二十四人です、小学校一年生から六年生まで。中学校の子供はダムの端を通っていかなければならない。冬が来ると凍って行けませんから下宿しなきゃだめなんです。親はこれではかなわぬということで、今度は高松に近いところへ家を借りるなり買うて、そこで若い人を住まわすわけ。だんだん過疎が進んでいきますね。  私は、ダムは何のためにつくるのかと。恐らく建設省は治水、利水と言うでしょう。治水の面で言いましょうか。今までの災害で、なかなか建設省は数字は出さないのだけれども、私の体験から言うならば、ダムの管理が不十分のために災害を起こしたことは幾らでもあるということなんです。私の村もあるんです。いいですか。ダムをつくることによって地すべりが起きて、さらに山の災害が起きる、これもあるんです。  私、必要ないと言っているんじゃないですよ。しかし、ダムをつくることが目的化してしまっている。利水だって十五年、二十年前から見たら変わってきたわけでしょう。それでも今なお見直しをしない。どうですか、大蔵省も含めて、公共事業全体の見直しと同時に、ダムの根本的な見直しをしたらどうですか。そういう気持ちはありませんか。  私の村にもまたことし予算つけてくれたらしい。私、要ると思わぬ。村の人だれも要ると言いよらぬ。それに調査費つけるわけ、建設省がやれと言って。あれちょっと慌てぬでいいぞと言ったら、すぐ建設省から県の土木部の河川課長に連絡して、河川課長が町長に言って、おい、三野がごちゃごちゃ言いよるけん、早う行って抑えてこい、こういう仕組みでしょう。全部私、仕組み知っていますから、県会議員のときからね。実施調査費がついたときにはもう業者は決まっているわけだ。これは建設省がかんでいるかどうかは別として、決まっている。  ダムの根本的な見直しをする。今建設中のをやめるというわけにはなかなかいかぬでしょうがね。どうですか、調査中の部分については一たんストップかけて、全国的に見直したらどうですか。もっと利水ならば利水で水の有効活用を根本的に考え直してみる。災害対策も、ダムだけではなしに、河川の改修で解決できることがいっぱいあるんですが、どうですか。
  329. 森本晃司

    森本国務大臣 ダムの建設につきましては、三野委員も大変よく御承知のとおりに、治水、利水、人の生命財産を守るという立場、それから水道の水を供給したりという極めて大事な立場にあります。  ダムによって村が過疎化していくということ、このことも非常に寂しいことでございまして、私の奈良県にも大滝ダムというでっかいのを今建設中でございます。  一方、そのことによってその村がまた発展する。また、そういったダムを一日も早くつくってもらいたいという強い強い県民の要望もあります。県の議会の要望に基づいて国は進めさせていただいて、また地元の皆さんの御理解をいただいておるところでございますから、これからも十分御理解をいただきながら進めさせていただきたいと思います。
  330. 三野優美

    ○三野委員 あなた、ダムができて村が発展したとは、どこのダムの村が発展したの。教えて、僕見に行くから。ダムで家がなくなって、学校がなくなって、どこが発展したの。
  331. 森本晃司

    森本国務大臣 私が申し上げましたのは、過疎になって移られた人たちもいますが、そのことによって村の新しい役場もでき、そして道路が舗装されて、そして多くの人たちが集まってくるという村もあることも事実でございます。
  332. 三野優美

    ○三野委員 ダムができてそんな役場建てる金、建設省が出したの。冗談じゃない。道路はよくなりました。ダムの高いのをつくるものですから、谷の底を通っていたのが今度は山を越えていって道路をつくるんだわな。もう子供は自転車で通えぬわね。道路ができたのまで知っている。そのことで村が発展したなんて、冗談じゃないよ、あなた。そういう感覚がやっぱり狂っているわな、それは。  だから私は、ダム全体をやめろと言っているわけじゃないけれども、もうちょっと利水も含めて水の有効活用というのを考えたらどうだと。アロケーションとかなんとか組んで各省が、農林省と厚生省と建設省がひじ突っ張って身動きできぬようにして、次もまた次もまたと、これで次々つくっている。  ついでに申し上げますが、これは、後藤田先生、帰ったのか。おらぬ方がいい。あの人の地元で、木頭村にダムがあるでしょう。実は、私なぜ徳島のことを言うかというと、お寺が徳島でしてちょくちよく徳島へ行くわけです。しかも、木頭村の上に四ツ足峠というのがあって、そこの緑のオーナーというのに営林署が入れ入れと言うから私も入って、そこによく行くのです。あそこでまたダムつくるという、二十何年も前から言い出して。村長も村議会も住民も一週間で八〇%ぐらいが反対署名して、建設省も来、県も行き、二十何年間反対しているんだけれども、これやめたらどうですか。それともまだするの。  だから、あなたじゃなしに建設大臣に聞いているんです。どうしてもしなきゃならぬ、するの。業者が決まっとるけんやめられへんのじゃろう。
  333. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 今先生お尋ねのダムにつきましては、多分徳島県の細川内ダムのことではないかと思いますが、この細川内ダムにつきましては、河川法に基づいて、現在、那賀川水系の工事実施基本計画というのがございますが、これに基づきまして那賀川下流の洪水調節というのを行います。  そのほかに、河川の流水の正常な機能の維持というものを図っております。これは渇水時にダムにためた水を流して、一定の水を流そうという機能でございますが、こういう河川の流水の正常な機能の維持というもの、そのほか、この地方は水が不足しておるということで水道用水、工業用水の開発を目的としている多目的ダムでございます。  この地域にとっては大変不可欠なダムでございますが、下流の方の二市二町、阿南市、小松島市、那賀川町、羽ノ浦町等からダムの促進決議というのもいただいております。それから徳島県の重点要望というのもいただいております。それから、県議会からもぜひやってほしいというようなこともございまして、平成五年に着手したところでございます。  おっしゃるとおり、地元木頭村におきましては、再三反対決議が行われたというのも承知しております。このように反対は承知しておりますが、水没者の中には早期解決という声も一部あるということも聞いております。  したがいまして、今後、県、関係者、地元、水没者等と一生懸命調整をさせていただきまして、円満に解決をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  334. 三野優美

    ○三野委員 何で下の市や町が賛成して、早うしてくれというかと言うたら、あなたの方が動員してやらすんじゃがな。毎年やってるがな、砂防大会、河川何とか大会、動員して、行けと。私のところへ、あなた、県の課長も町長もよこしたでしょう、あなたのところが。地元に説明しておらぬぜ。徳島県もそれやりよるでしょうがな。おまんらが仕掛けて、それしなければ道、予算つけてやらぬとか、全部知って言いよることじゃけんね。  ですから私は、建設大臣、あなたが言ってもなかなかいかぬかしらぬけれども、やはり地元の村長も議会も全員反対、それは、一人や二人は、もうこの際、山におるのは嫌だから、買収をされて娘のところへ行こうかいう人はおるかもわからぬ。それをあなた言いよるんだろうけれども。しかし、大勢としては、村を代表する議会なり村長、全員が反対で、しかも村じゅうが何回も何回も反対集会をやっておるんです。それを強行する必要なかろう。二十何年前と違いますよ。水を必要にしとったって、阿南市だって何だって工場来てないんですから。  ですから、そういう点はやはり本気で考え直してください。こんなことをやっていたら大変。  それから、ついでに申し上げます。  農林大臣、林道ももう一遍再検討しょうや。私のところも林道つけてくれているわ。あなた、人間は通らぬわ。つけるのは国が銭出してつけるけれども、これも公共事業で、景気対策でつけるんだろうけれども、それでも山は荒れて荒れて、舗装する能力もなければ、人も通らぬものですから。維持管理するのは市町村ね。あなた、人間は通らぬ、猿の方がようけ通りおるんやけれども、僕は実際にずっと回ってみて、やっぱり随分自然を荒らしている。むだもある。  だから、集落と集落をつなぐ農道はいいというんだ、私は。しかし、千メートル、千五百メートルの上までハイヒールで上がるみたいなことはもう一度考え直さなきゃいかぬと思うんですが、これも農林大臣、私は再検討してもらいたいとあなたに申し上げておきたい、お願いしておきたいと思います。再検討してください。  運輸省、地方分権なり行革をいろいろと言っているんですが、どうですか。結論から申し上げますが、私のところも、高松と小豆島や男木、女木をつなぐ船があるんです。それから過疎路線のバスもあるんです。県内における過疎バスの便を何便にするか、時間を何時と何時にするか、小豆島や男木、女木へ渡る船の県内の航路については、どうですか、もうあなたが一々持たぬとて、あなたのところまで来ぬとて、知事に渡したらどう。もう運輸省は一番事がわからぬの。  例を申し上げますが、なぜそういうことを言うかというと、実は私、汽車で通いよったわけ。ほんなら今瀬戸大橋ついたでしょう。瀬戸大橋がつく前は連絡船で通っていた。岡山から宇野線に乗る、おります。たまたま乗ったら、連絡船がない時間がある。フェリーに乗らなければいかぬ。宇野駅おりてすぐ前にフェリーが通りよる。それは人間が乗ったらいかぬという。バスや自動車に乗っておる人間はええけれども、汽車に乗ってきたのは乗ったらいかぬ。それが、一キロ何ぼ向こうへ行ったところのは乗っていいというのですよ。暑いときも寒いときも、雨降りのときも、赤ちゃん背中に負うて子供連れて、駅から一キロ何ぼ走らないかぬ、行ったらプーと出ちゃう。それを何と百日だけ認可したというんや、地元が話し合って。きょうは乗ったけれどもあしたはだめよ、こう言う。  そのような事のわからぬことを言わずに、もう私はこの際、県内をつなぐ航路だとかあるいは過疎バスなんというのは、運輸省どうですか、知事に委任したら、渡したらどうですか。委任というよりも権限を。どうですか。
  335. 二見伸明

    ○二見国務大臣 実は私も地方分権論者なんですけれども、その地方分権論者が運輸省に入って、一番地方分権というか権限を移譲しにくい仕事だなというふうに実は感じているわけです。  我々は、運輸省というのは許認可が一番多いものだから、許認可をまず減らそう、三年間で二割減らそうということで今夢中になっているわけです。また、運輸行政というのは、先生も御存じのように、港だとか空港だとか鉄道だとかもう大体広域的なものですね。ですから、どうしても広域的な立場で判断せざるを得ないことも非常に多いんです。ですから我々としては、地方運輸局に権限を移譲して、広域的な立場でいろいろ考えなきゃならぬなというふうに思っているわけですけれども、その点も運輸行政というのは非常に広域的な立場で判断しなければならぬ。わかりますよ、先生の言うことはわからないわけじゃないけれども、広域的な立場で判断することが多いから、結局地方運輸局に権限を移譲して、しかも地元の、何というか振興にもかかわりますから、それは地元の意見を十二分に伺いながら何とかやっていきたいなというふうに考えておるんです。
  336. 三野優美

    ○三野委員 もう中身のことは触れませんが、実は私、ある航路のことで運輸省と話していたらば、あなた方の課長さんもこう言うんだ。四国の運輸局の方が、三野さんのは正論じゃと言う、あなたの言うとおりじゃがな、しかし認可せぬと来る。いよいよこれ困るがな。正論じゃ、そのとおりじゃと言う。どっち向いてるのかと思ったら、お客さんの方を向いとらへんのだけわかった。事業主の方へだけ向いておるものですから、事業主の都合で嫌や、こう言う。だから、そういう体質を直さなきゃいかぬですけんね。  これまた時期を見て話ししますが、そういうことだけ申し上げておきたいと思います。少し運輸省の体質を変えて、ああいうものは、私、行革必ずしも賛成じゃないけれども、あそこはちょっとやった方がいいわ、もう思い切って。余り話のわからぬのばかりおりますから、そうした方がいいと思います。  時間の関係で、朝鮮総連のことを聞きますが、四月の二十五日、大阪府警は朝鮮総連の大阪府本部など八カ所を強制捜査しましたね。あそこで殺しか何かありましたか。あるいは革命が起きそうだったとか。何と千何百人が行って、車は六十台ぐらいが行ってやっちゃった。そういうことをやって、まあこれは、実は世間一般的には、北の核疑惑の問題を含めてこういう対応をしているのではないかという話があって、不当弾圧ではないかということが法曹界その他からいろいろと出ています。  実は、それだけではなしに、朝鮮学校の生徒に対する人権侵害も新聞にいっぱい出ていますね。四月の十四日午前七時十五分ごろ、東京の朝鮮中学校の生徒、京王線の中ではさみでチマ、スカートを切られる、こういう問題が起きていますな。それからまた千葉でも、よく正体のわからぬ男性が女学生のチマを切る。この間、とうとう栃木県ではもう服、チマを着るのをやめようではないか、危なくてしようがないと、こういう話がある。  実は、これは単に総連だけではなしに、南の人にもやっぱり日本人の外国べつ視があるんではないのか。さっき私言ったでしょう、世論調査、向こうの。南の人も含めて、あるいはそれ以外の東南アジアを含めた外国人全体に、日本人のこの外国人差別の問題があるわけ。この点について、警察庁はあの強制捜査を、何のためにあれだけの物品を持っていかなきゃならぬ、八カ所捜査したの。  それから、これは教育委員会だけではなしに、法務省は、実態は調べるけれども、うちは方法ありませんじゃ、それは困るんですがね。どうしますか。これはやはり国際世論から非常な反撃を、というか批判を受けている。これに対してどういう対応をするのか、ちょっと聞いておきましょう。
  337. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  お尋ねの事件につきましては、去る四月の十五日の夕刻、大阪市内の市立労働会館におきまして、「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」、略称RENKと称するようでございますが、というグループが北朝鮮の民主化を支援するという趣旨の集会を開催しようといたしましたところ、数十名の者が押しかけまして、入場を妨害したり会場を占拠して大声でやじを飛ばしたり、あるいは机をたたいたりして会場内を混乱に陥れるとともに、設営をいたしておりました主催者側の者を取り囲んで、罵声を浴びせたり体を密着させて押しつけるというような暴行を加えまして、結果的に集会の開催が全く妨害されたという事案でございました。  警察といたしましては、こうした集会が威力を用いて妨害されるという、民主主義社会の基本にかかわる事案でありますので、この点につきまし ては委員も十分御理解いただけると思いますけれども、そうしたことから被害者の申告、目撃者の証言その他の捜査資料に基づきまして、刑法二百三十四条の威力業務妨害被疑事件として令状を得て、大阪府警が四月の二十五日に朝鮮総連大阪府本部等八カ所の捜索を実施したものでございます。  先ほどお話のございました人権侵害云々ということでございますけれども、御指摘のような事案につきましては、被害申告等警察が認知いたしましたものにつきましては、被疑者を検挙するなど適切に処置をいたしております。  例えば四月の十四日の件でございますけれども、これは東京朝鮮中高級学校の女生徒が制服を切られたという事案でございますけれども、四月の二十五日に警視庁で被疑者を検挙いたしております。これは政治的な背景ではございませんで、いわゆる性犯罪の一つでございました。  そのほか、千葉県内で暴行を受けたというような事案がございましたけれども、これも調べましたところ、十四歳の中学生同士のけんかざたでございまして、格別な民族的背景というのはなかったというように承知いたしております。  いずれにいたしましても、被害申告がございましたら警察の方で厳正に捜査するようにしておりますので、ぜひそういう申告はしていただきたい、このように思っております。
  338. 中井洽

    ○中井国務大臣 お尋ねのありました件につきましては、私も新聞記事等で見ておりまして、人権擁護関係機関に問い合わせをいたしましたが、現在のところ、人権侵害として申告があった事件というものは一つもない、このように聞いております。  なお、日本人であろうと外国人であろうと、法のもと合理的な理由による日本国民と取り扱いを異にする場合があることはともかくとして、人権についてはひとしく保障されるべきである、このように考え、今後とも啓発活動を続けていきたい、このように考えています。
  339. 三野優美

    ○三野委員 実はこれを事前に法務省に言うと、うちは調べるけど、何にも言うことはでけんのやと、こう言うんだ。縦割り行政ですから、そうだろうと思う。  いずれにしても、これは官房長官、実は他民族に対するべつ視なんです、実は。そのことを問題にする。だから、刑事上事件があったかなかったかとか言っているんじゃない。この前も言っているように、そういうことを問題にしているわけ。私、やっぱり我々自身も含めて反省しなきゃならぬ。  実は毎朝、私は神宮外苑を一時間半回るんです。外国人も回っているわ。何とまあ日本人が外国人に朝、あいさつせんのね。日本人同士は、知らぬ人でもおはようといってこう言うわけ。言わぬもんね。やっぱり我々の国際化というか、非常に弱いんでしょうね。そういうものが、戦前のことも含めて伝統的に子供にまでしていると。刑事事件であったかなかったかとか、背景があったかなかったかとか、そんな理屈を言ってみても通らないわけ。まあ学校現場も含めて、私はこのことは何らかの形をとらないといかぬなと思うんです。  ですから、これは私はどこの省がどうするのか知らぬけれども、官房長官、この点については、連続的に起きているでしょう。だれが見たって北朝鮮の政治的な背景があると見なきゃしようがない。ですから、それは北の核問題、核問題って、我々は厳しく厳重に何とかやらなきゃならぬが、そのことが直ちにこういうことに反映するというのは困るわけですから、その点についてどんな措置がとれるのか、政府としてちょっとあなたの見解を聞いておこうか。
  340. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 今後の問題につきまして、委員の御指摘等も踏まえまして検討をさせていただきたいと思います。
  341. 三野優美

    ○三野委員 あなた、検討するだけではいかぬのやけれどもね、本当は。だから、そういう実は構えもないし、制度もないんです。対応の仕方がないんです。ですから、ここのところはひとつ総理、本気になって、閣内でどこがどうできるのか検討してくれませんか。ひとつぜひこれもお願いしておきたいと思います。  続いて、自治大臣にお尋ねしますが、このごろしばしば、地方自治体へ外国人の参政権を認めてもいいではないかという話があるわけ。で、もう既にさきがけは党に入ることもいいと言っているわけですわね。何か私の聞いておるのでは、党に入るのはよさそうよ。社会党が本当は早くやらなきゃならぬのだけれども、党に入ることはよさそうです。それは外国人から金をもらったらだめなんだね。ところが党費はいいんですね。カンパもいいんですか。社会党はもう選挙か何かあればカンパ、カンパといって何ぼでも来るんです。私なんかも年に何百万も取られるんですがね。党員になって、カンパは外国人のカンパもいいのですか、党で決めたカンパは。これも聞いておきたい。  それから、参政権については若干法律の解釈でいろいろと意見があるようですね。日本国民は、こう書いたり、あるいは地方自治体のところは、住民はと書いたりして、いや、だから住民だったらやれるんじゃないかとなるが、そこらの見解。同時に、これに対する、自治省の考え方じゃない、あなたの、政治家としての、自治大臣のあなたのこれからとるべき姿勢、ちょっと聞かせてください。
  342. 石井一

    石井国務大臣 この問題は、私もかなり研究をこれまでいたしてまいりましたが、我が国におきましては法律的な面で極めて難しい。それは、憲法の規定のみならず、公務員の規定、国会の組織、地方公共団体の機関等々に関する規定、公職選挙法、地方自治法、住民基本台帳法、外国人登録法等すべて禁止をいたしております。また、過去、これらに関しますいろいろの裁判が行われておりますけれども、国政、地方選挙ともすべて、控訴棄却、上告棄却、請求棄却等で否定的な見解が出ておりますので、当分この問題に食い込んでいくということは難しい。  それから、カンパも私は無理なのだろうと思います。(三野委員「無理」と呼ぶ)無理。党員である一定の者以外は、献金でありますとかカンパというものは……(三野委員「いや、党員になったカンパ」と呼ぶ)それはカンパではございません。それは、私が間違っておりましたら、政府委員に訂正させたい。あなたの意見と言われますから申し上げるわけですが、寄附でありますとかカンパというのは党員とは全く違いまして、そういう意味におきましては、私は、外国人に対しては禁止されておるのではないかというふうに理解をいたしております。  なお、もう一言申し上げたいのでございますが、外国人の我が国の総数を見ますと、八十八万人。そのうちの韓国、朝鮮というのが五十七万人ということでして、大体これは全体の六四%ですよ。これが平均的にあるのでなしに、余りにも偏っておるというふうな状況もございまして、私はやはりこういうふうなこともいろいろな影響があるのではないかな。  これは基本的な問題ですから、そこまで区切るのはどうかと思いますが、冒頭申しましたいろいろの問題、法律的な制度から、この問題はしばらく、もう少し研究する余地があるんじゃないかなという感じがいたします。
  343. 三野優美

    ○三野委員 私も、何か若干、地方自治法その他調べてみたら、いっぱいいろいろなところ、やれるみたいなところもあってみたり、ひっかかるところもあってみたり、学説にも両方ありますね。ただ私は、気持ちの上では、日本の法律を守り、日本で税金を納めしているのですから、自治体選挙ぐらいは参加してもいいのではないのかという意見も、これは気持ちはわかりますわね。ですから、ここのところはひとつ前向きに少し研究してもらって、きょう回答くれとは言いませんが、それをひとつ検討してもらいたい。  それからカンパの件ですが、党員としてのカンパが来るのです。社会党員として党費と同時に、党内での義務カンパというのが来るわけですね。これは党費に準ずるのかどうか、これは今答えも らわなくていいですから、後から、研究してお知らせをいただきたい、党へ入った場合に。これをひとつお願いしておきたいと思います。  ついでに自治大臣、さっき朝鮮問題、あなたは朝鮮問題に非常に関係深いのだわな。本当はあなたが先頭切ってこれをやらなければならぬ義務があるのです、社会的には。ですから、これもひとつ閣内で頼みますね。これをひとつお願いします。  それから文部大臣、私知らぬけれども、サッカーくじというのがあるというが、くじ引くのかと思うと、これはばくちやって、掛金やるんだって。私、聞いてびっくりしちゃったの。これはちょっと、うちの社会党も何かよろよろして、賛成みたいに言いよるのだけれども、これはちょっと困るので、あなたは文部省ですから、まさか、子供の教育を預かっているあなたがこういう、これは何と言うのですか、私のところは田舎だからこれはばくちと言うのだけれども、このごろそないに言わぬのやね。ギャンブルと言う。学校に行った人はギャンブルと言うの。私のところはばくちと言うのですが、こういうもの。しかも、最も子供が関心を持つサッカーに掛金までしてばくちみたいなことをするのは、あなたは反対するやろうね、文部大臣、あなたは。全国の子供のPTA、全国の連絡協議会は反対だと申し入れに来たと新聞に載っていたが、あなたは反対するだろうね。それだけ聞いておく。  それから、あなたのところに官房長吉田さんというのがおろう。あの人、私の香川県にも来たことがある。あの人がおってそんなことに賛成するはずがないのだけれども、どうですか。
  344. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 これは超党派の議員連盟でお進めになっているというふうに承知しておりまして、超党派でなさって、国民から広く支持を得られるものであるようにというふうに思っております。
  345. 三野優美

    ○三野委員 文部大臣はばくち賛成。冗談じゃないよ。これじゃもうPTAもあなたに預けられぬわ、子供も。冗談じゃないよ、あなた。せめてあなただけはこれは困りますと言うのかと思ったら、何言っているの。これはPTAがやはり心配するのも無理ないですよ。あなたが賛成だというのはわかりました。  これは総理、これは慎重でなければいかぬということを申し上げて、これ以上申し上げません。ただ、私はあなたに抗議をします。  終わります。
  346. 山口鶴男

    山口委員長 これにて三野君の質疑は終了いたしました。  次回は、明六月一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十七分散会