○近藤(鉄)
委員 私は、繰り返しますが、大蔵
大臣、それはやはり金融機関の監督をし、また
国民貯蓄の監督をしている大蔵省の
責任だと思うのですよ。だから、それは今出せない、わからないなら仕方ない、わからないことはね。だけれ
ども、そういうずさんなファイナンシャルマネジメントじゃなしに、やはり
国家として
国民の貯蓄がどうなっているんだという、本当に、まじめな
国民が働いて貯蓄しているんですよ。それはどうなっても、しかしそれは金融機関がやっているんだというのなら大蔵省は要らないんだ。さっきは通産省要らぬと言ったけれ
ども、今度は大蔵省も要らなくなってしまう。だから大蔵
大臣、詰めてくださいよ、そこは。大蔵省ができなかったら日銀だっていいんだ。そこはきちっと、どういう形で
国民が貯蓄を海外資産で持っているのか。少なくとも、大蔵省が知らないで、それはわかりませんと、民間のやっていることです、そんなばかなことはないと私は思います。
大蔵
大臣、国債二百兆、大変だ、わからないじゃないんですよ。では国債は何ですか。国債は、我々
国民が
国民に金を貸しているんです。大蔵省はいわばブックキーパーだけだ。帳簿をつけているだけなんです。
国民が
国民に貸しているんです。そして、あえて言うけれ
ども、国債を持っている人は貧しい人じゃないですよね。いわば中所得、高所得階層が国債を買っているんです。
じゃ、だれが国債の利払いをしているのか、利子、元本を払っているのか。貧しい人は必ずしも税金を払っていないから、結局払っているのは中高所得階層ですよ。言ってみれば、私が私に金を貸して、私がその利子、元本を払っているみたいなものなんですよ。同じインカムのグループがやっているんですよ。そして、結果的に立派な道路ができる、病院ができる、大学もできる、科学技術の振興ができる。むだじゃないんですよ。
日本の大蔵省は対外債権の管理はずさんだ。
大臣が今そうだった、ずさんだ。極めてずさん、信用できない。だけれ
ども、国内債権の管理は見事ですよね。主計局が厳しくやって、もう大事なところにしか貸し付けないんだから。でしょう。だから私は、同じ二百兆、二百兆なら、対外債権は危険なんですよ。しかも、結果的にそういうことで対外債権をふやせばふやすほど、これはまさにセルフディフィーティング、ますますもって減価してくるんだ、こっちの方は。ふえればふえるほど減価してくるんですよ。そうでしょう。だから、私はやはりそこはもっと真剣に、
国民の貯蓄形成なんだから、対外債権はもうこれ以上上積みしないで、国債に回していただきたい。
日本は経済大国だから、発展途上国の経済発展のために金を使わなきゃならぬ。これはわかるのです。だけれ
ども、もう細かいことは言いませんけれ
ども、
日本を中心として、
日本の資金のその流れを見てみる、追っかけてみると、
日本の資産はほとんど株式投資でしょう。債券投資でしょう。八割ぐらいがそうですよね。直接投資。これはほとんどは欧米諸国なんですよ。発展途上国に行ってない。そこはもうまさに民間金融機関、民間事業だから、そこはよくしたもので危ないところに金を出したくないのです。みんな金持ちに金を貸しているんだ。でしょう。だけれ
ども、結果的には、円高になったらこれは全部また消える。プラザ合意以降の円のあれと同じことを繰り返すかもわからない。だから私はくどいようだけれ
ども、もっと真剣に
国民の貯蓄の管理を、
大臣、やってくださいよ。
私は、実はきょうこういう本を持っている。この間ワシントンで買ってきたのです。これはクルーグマンというMITの教授の書いた、私の友人なんだけれ
ども、将来ノーベル賞をもらうんじゃないかと言われている新進気鋭の経済学者が書いて、今ベストセラーです、アメリカで。題して「ペドリング・プロスペリティー」。繁栄を、ペドルというのは行商する、売り歩く。俗説経済学者を批判しているんですね。
これは中央公論に翻訳が出ています。たまたまフォーリン・アフェアーズの記事の翻訳が中央公論に出ておりますから、ひとつ見ていただきたいのだけれ
ども、言っていることはこういうことなんです。通説は、俗説は、経常収支の赤字というのはその国の経済の弱さだ、競争力のなさだ、だからアメリカはだめだと。そして、経常収支の黒字は、例えば
日本、これは経済の強さだとこう言っている。この論文が「コンペティティブネス ア・デンジャラス・オブセッション」、競争力その危険なオブセッション。取り込みというのかな、こう取りつかれているという。もう競争力、競争力、アメリカがそうだろうと思う。大体さっきのタイソンもそう、けしからぬ、労働
大臣のライシュも大体この競争力論者で、間違いであると、こう言っているんだけれ
ども、
考えてみるとなるほどそうなんですよ。
なぜ経常収支の黒字があるかといったら、
日本は国内経済の底が浅いから、マーケットが小さいから、物をつくっても売れないんですよね。アメリカ経済は経常収支が赤字だと言っていますが、マーケットの底が深いからどんどん吸収しちゃうんですね。そしてお金はどうだ。お金も本来なら黒字でもうけたお金が
日本に返ってきていいんですよ。しかし、
日本に返ってこない、投資機会がないから、魅力がないから。だからアメリカに行くんですよ、アメリカは魅力があるから、投資があるから。
だから俗説は、経常収支の赤字というのはこれはその国の経済の弱さで、経常収支の黒字はその国の経済力の強さなんだけれ
ども、そうじゃないんだということでクリントン
政権に批判を、猛反省を求めている。これはベストセラーだ、今アメリカの。ぜひひとつ経済
関係閣僚は読んでいただきたいと、こう思ってきょう持ってきたわけでありますけれ
どもね。
そう
考えてみると、私は、通産
大臣、今
藤井さんをいじめたけれ
ども、
藤井さん何とかしろと言ったけれ
ども、ISバランスは、Iは何も政府じゃなくたっていいんだよね。それはまさにあなたが言ったとおりだ。もっともっと民間活力をマーケットに導入していくと、積極的に投資が国内に向かうようになるんです。これはやはり通産省の
責任重大じゃないですか。もっと国内のマーケットを魅力的にするように、通産
大臣、これは
考えてください。どうですか。