○野田実君 私は、自由民主党を代表して、ただいま
議題となりました
私立学校教職員共済組合法等の一部を
改正する
法律案について質問をいたします。
日本が世界に誇れるものとして、教育
水準の高さがございます。明治維新以降、
国民全体に教育の機会均等を
保障してまいりましたことが、今日の
我が国の教育
水準の高さを達成したものと言えます。そして、このことが今日の日本の
経済社会の発展の
基礎となったとも言えるのであります。
教育
水準の高さは何によって達成されたのでありましょうか。最大の功績は、質の高い教員によるところが大であると私は
考えます。羽田総理が恐らく教えを請うたと思われる田中元総理は、幾つかの新しい政策を展開してまいりましたが、私は、その政策の中で画期的な政策の一つとして
考えますことは、教員に対する温かい施策を講じてきたことではな
いかと思うのであります。
昭和四十年代後半、田中さんが総理に就任された直後、教員の
給料を二倍に
引き上げる方針を打ち出されました。そして、世間をあっと言わせた自民党の画期的な政策であったわけであります。また、五千人とも一万人ともいう教員を海外に派遣させることも発表をいたしました。私は、当時、大蔵省で予算編成を担当しておりましたが、とにかくびっくりいたしました。最初は、
財政的に見てとても無理な対策だと思いました。ところがよく
考えてみますと、この田中元総理の政策には夢と希望があり、共感を覚えるところ大でありました。そして私たち役人は、田中元総理の政策の遂行に全力を挙げたのであります。
ところが、羽田総理、あなたは教育について、また教員に対して、何をしようというのか、何をしてあげたいのか、さっぱり聞こえてまいりません。所信表明を拝聴しましても、教育、教員問題について感動することは何もございません。教育や教員問題に余り関心のない総理と思えてなりません。そこで総理、あなたの恩師田中元総理と比較して、同じ日本国の総理である自分自身をどう見ているのか、また、
いかなる姿勢で今後総理を務めていくおつもりなのか、率直にお伺いをしたい。(
拍手)
田中元総理のお話をいたしましたので、並び称されました福田元総理のことにも言及させていただきます。
当時、副総理兼
経済企画庁長官として、第一次オイルショックの後の狂乱物価対策を担当されておりましたときのことでございます。公共料金の
引き上げの要求が軒並み出されました。大変激しいものでございました。福田さんは、物価に配慮しつつ、また公共料金の
引き上げをうまく
調整されながら、無理なく公共料金の
引き上げを図られたのであります。羽田総理も恐らく御記憶に新しいことかと存じます。全省庁の役人が喜んで福田さんに従いました。
それに比べ羽田総理は、各省庁の意見を十分聞くことなく、すべての公共料金を凍結すると一方的に決めてしまったと聞いております。これでは、余りにも知恵がない、無策としか言いようがないのであります。(
拍手)こうしたやり方では、中央官庁の役人はついてこないのではな
いかと思います。官僚を批判するだけではだめで、官僚が信頼し、心から従っていく政策なり施策を発表することが肝要であります。
総理みずからが、教育問題について自分で
考え、自分の言葉で
国民に話しかけられることが肝要であります。総理にその知恵と気持ちがあるのかどうか、
所見をお伺いしたい。(
拍手)
それでは、本論に入ります。
既に申し上げましたが、
我が国が二十一
世紀においても繁栄する国であり希望に満ちた国であるため、今何をなすべきか
考えるとき、最も重要なことの一つは、あすの日本を背負う人材の育成、すなわち人づくりであることは論をまちません。そして、日本の人づくりのかぎを握るのは教員であります。国公私立の区分なく、教育という重要な職に携わる人々が安心して働けるように、
年金や医療保険などの面で充実を図っていくことが極めて重要なことであり、また当然であると
考えるものであります。
中でも、
我が国の学校教育においては、私立学校に負うところ大であります。昭和二十九年に設立されました
私立学校教職員共済組合は、公的
年金の中では
財政的には最も安定していると言われております。
財政的にも健全な形でここまで発展してきたことは、これまで
児童生徒の増加や私立学校の拡大などによるところもございましたが、何よりもこれまでの関係者の御
努力を多とし、
評価するものであります。さらにまた、自民党政策が大変間違っていなかったことを証明するものでもあります。(
拍手)
しかし、今後は、
児童生徒の減少や
高齢化の波を受け、
年金受給者の増加による
年金給付の増加が予想されます。今後も心配なき
運営を図る旨、強い決意のほどを文部大臣から承りたいと存じます。
学校教員のおよそ半分が
女性であります。
女性に対する配慮が最も必要な職場でなかろうかと思います。今回の法
改正で
育児休業者の
掛金免除について
措置されておりますが、
公務員では既に実質的に実施されているものであります。私学の教員に対する配慮が遅きに失した印象は免れません。今後こうしたことのないよう、文部大臣におかれても十分配慮されるよう所望するものであります。文部大臣の御
所見をお伺いいたします。
この
育児休業休暇と同じようにその必要性が叫ばれている休暇や、
地方公共団体で先行的に
制度化が進んでいる休暇がいろいろあると聞いております。例えば、
高齢化社会を迎えるに当たりて必要性が叫ばれている介護休暇などがよい例であります。また、一般の企業では、一定期間の勤務の後に心身ともリフレッシュするための一定期間のリフレッシュ休暇などの導入も進んできていると聞いております。
教員の場合について見れば、夫婦共稼ぎの場合も多いので、介護休暇などについては切実な問題になってきつつあります。また、教員が学校外のことについて見聞を広めるためにも、リフレッシュ休暇などの必要性が今後高まってくる可能性が十分にあると
考えられます。このような新しい
時代の要請に応じた
制度についても、今後その導入について、私学共済
制度のもとにおいて積極的に
考えていくことが必要ではな
いかと思います。この点について、文部大臣のお
考えをお尋ねしたいと思います。
次に、
共済組合の福祉事業について伺います。
共済組合の
組合員にとりましては、引退した後に充実した
年金をもらうことが大事であることは当然でありますが、
現役で働いて
年金の
掛金を払っている間に何らかのメリットを享受することも大事なことではな
いかと思います。このため、福祉事業として宿泊所や保養所の設置
運営などが行われてきておりますが、さらに、教員の質の
向上、リフレッシュに真に役立つものを取り入れていくことが重要であると
考えます。
例えば、教員として十年勤めた場合には、福祉事業の
一環として、たとえ短期間であっても海外研修旅行の旅費を全額見るとか、夫婦ともども二十五年勤めた場合には一年間
給付つき休暇を認めるとか、さまざまなことが
考えられます。こうしたことに積極的に対応していくつもりがあるのかどうか、文部大臣の
所見をお伺いいたします。
最後に、ボーナスからの
特別掛金の問題について伺います。
今回の
改正案では、ボーナスからの
特別掛金を徴収することとされております。このことにつきましては、他の
年金の横並びもございますから、こで特別言及することは差し控えます。
問題は、私学共済につきましては
特別掛金の率が問題であります。現在の
仕組みでは、
特別掛金の率は私学共済の定款で定めることになっております。私学共済が
公的年金制度の中で最も
財政的に安定しておりますので、
法律で規定しようとしております
厚生年金の場合の一%上りも低い
負担になることは当然と
考えますが、
いかがでございましょうか。また、今後、国会の審議が及ばないところで急に率が
引き上げられるようなことはないでしょうか。それについてどんな形で歯どめをかけようとお
考えか。この二点につきまして、文部大臣に確認しておきたいと思います。
最後に、総理に再度お尋ねいたします。
教育は最も重要な政策であります。教育行政に失敗すると、二十一
世紀の日本の繁栄は期待できません。総理は、二十一
世紀の日本を担う人づくりのために教育や教員に対して何をし、
いかなる施策を打ち出そうとしているのか、御
所見をお伺いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣羽田孜君
登壇〕