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鈴木俊一君 私は、
自由民主党・
自由国民会議を代表して、
細川総理並びに
関係大臣に質問いたします。
総理、
細川内閣が発足して八カ月が経過いたしました。実質三十八年ぶりに
政権交代が行われ、当初国民は、新政権に対する期待感や、総理のスタイルを重視する。
パフォーマンスの効果により、かつてない高い支持率を与えました。総理御自身も、昨年九月の第百二十八国会における
所信表明演説において、「政府は帆であり、国民は風であり、国家は船であり、時代は海である」というドイツの
評論家ベルネの言葉を引用され、また、先週の
施政方針演説でも、国民の皆様の声だけが唯一の道しるべであると言われ、世論の支持の中での政治を標榜されました。
確かに、今日までの
細川内閣の歩みを振り返ってみると、多少のことがあっても支持率の高さに救われ、いわば支持率という風に乗って飛行するグライダーのようでありました。しかし、総理が頼りとされる
内閣支持率も、いまだ比較的高い水準にあるとはいえ、年が明けてからここ短期間に急激に低下をし、反面、支持をしない方々の割合が急増いたしております。その理由は、私から指摘するまでもなく、総理の一連の
政治的不手際、失策にあることは言をまたないところであります。
戦後最大の不況下で、
中小企業者を初めとする多くの国民が苦しむ中、
政治改革法案をいわば免罪符として来年度予算の年内編成を見送るなど、
後手後手に回った
経済対策、民主的なプロセスが全く見えずに突如発表され、一日で撤回された
国民福祉税、
日米包括経済協議の決裂、そしてこの二週間、
日米経済関係を初めとして一日もゆるがせにできない重要な時期に
政治停滞を招いた内閣改造問題、これら一連の不手際は、今までの
自由民主党政権であれば、この間少なくとも二度や三度は内閣が倒れていてもおかしくない失策、失態の連続でありたと厳しく指摘せざるを得ません。(拍手)
こうした失策を招いた要因は、そもそも基本政策、基本理念が異なる政党が、ただ単に非自民という図式の中で連立をし、各党の方針や思惑の違いの中で
細川総理が内閣の
最高責任者としての
リーダーシップを全く発揮できない状況にあること、そして、総理が提唱された「政治の復権」という言葉とは裏腹に、実際には
官僚主導の政治が行われていること、さらには、閣僚と
所属政党、あるいは
連立与党と各党との間の立場の違いをその場その場で使い分けるという無責任な体制になっていることによるものと思います。
官僚が前面に出て政治が後ろに下がるという官僚任せの
政治運営が行われ、さらに責任の所在が不明確で、その上総理の
リーダーシップを発揮できないという現実の状況で、これから目指すと言われる
経済改革や
行政改革が果たして成果を上げることができるのでしょうか。また、
重要課題が山積する中、事前の準備、事後の対策等、十分できるのでしょうか。私は疑問に思います。
最近、事前の準備の著しい不足が露呈されたのが、先月に行われた
日米首脳会談でありました。
この会談は、
包括経済協議において合意を見ることができず、完全に失敗であったと申し上げてよかろうと思います。総理は、
首脳会談の失敗を、できないことについて率直に認め合う、それが成熟した
日米関係だ、新しい時代の大人の関係だと、会見で堂々と表明されました。さらに、本院における帰国報告の中で、「一言で申し上げて、よい会談でした」と発言されましたが、正直言って、どのような神経でこのようにおっしゃっているのか、疑問を禁じ得ませんでした。
妥協をよしとしなかった、数値目標を容認しなかった、初めてノーと言ったなどと自賛していられるような内容のものだったのでしょうか。その後の結果は、
米通商法スーパー三〇一条の復活に見られるように、米国の厳しい態度に
我が国経済が打撃を受けつつあることを見ても明らかであります。決裂する前になぜもっと早期に折り合える妥協点を探ろうとしなかったのか、
役人レベルの範囲を超えて
政治的レベルでの接触を求め、互譲の接点を探らなかったのか、心底悔やまれてならないのであります。
かつて我が
党政権下においても、
日米交渉は実に厳しく、熾烈なものでありました。
外交交渉とは国益と国益がむき出しでぶつかり合うものでありますから、妥協が最善の知恵となってきたわけであります。ただ、我々は、それを濃密な政治的、
外交的配慮でまとめ上げてまいりました。
細川総理は、それらの外交の実績、蓄積をいとも簡単に吹き飛ばしてしまいました。
その後、二月十七日、官邸に外務、大蔵、通産の三省の幹部を呼んで急遽対策を協議され、二十五日には
関係閣僚による懇談会を開いたと伺いますが、まさに
泥縄的対応であり、今さらの感にたえません。
言うまでもなく、
日米関係は、我が国にとって基軸的な二
国間関係であります。そして、両国は、経済問題のみならず、政治・
安全保障問題からグローバルな問題に至るまで、幅広い分野での責任を共有しております。
経済関係の摩擦が政治・安保を初めとする関係を損ねないうちに解決策を提示し、実行しなければなりません。それは、
マクロ分野での
黒字削減策を確立し、個別分野の目に見える
市場開放策を実現するための規制緩和のプログラムを策定することが基本であると考えますが、総理はこの亀裂を生じた
日米包括経済協議をどのように解決しようとする
おつもりなのか、お伺いいたします。
日米包括協議決裂後、総理は、しばらく冷却期間を置くなどとのんきなことを言っておられましたが、帰国後すぐに急激な円高が進行し、さらに、
クリントン大統領は三日、期限切れとなっていた
通商法スーパー三〇一条を復活させました。この
スーパー三〇一条は、米国が自国のルールにより一方的に、相手国が
不当貿易制限などを行っているかどうかを九月末までに判定し、その後一年間の交渉で進展がなければ一方的な対抗措置をとるとするものであり、極めて強圧的、恫喝的なものであります。いわば検察官と裁判官を一人で兼ねて裁定を下しているようなものであり、
自由貿易の原則からいっても、ガットの体制からいっても絶対に容認することはできません。
しかし、そうはいっても、現実の問題として決裂したままになっている
日米包括経済協議がこのまま打開できなければ、我が国が不公正な
貿易慣行を持つ国として特定される可能性は極めて高く、強く危惧するところであります。
総理は、一方的な
制裁措置が仮に発動されれば
国際的ルールにのっとって対応するとの方針を述べられましたが、米国側は新ラウンドの合意は三〇一条を禁止していないと主張しており、総理のおっしゃるようにガットに提訴するという方針の実効性があるかどうか不明確なままであります。
また、
現行ガット上の規定のないサービス、金融部門について、当面
スーパー三〇一条を使用するということが伝えられています。これらの点についていかがお考えなのか、さらに、
ガット提訴以外に
スーパー三〇一条に対抗する我が国の措置があるのか、あわせてお伺いいたします。
我が国のお隣である朝鮮半島の安定は、我が国の平和にとって
死活的重要性を持っております。
大韓民国の
金泳三大統領は近く国賓として我が国を訪れますが、昨年十一月の
日韓首脳会談で打ち出された、我が国の過去の反省の上に立った両国の未来志向型の関係をより緊密に前進させる上で、その成果が大いに期待されます。特に来年は、
日韓条約が締結され、両国の国交が結ばれて三十年の年であります。また、韓国にとっては、同時に独立回復五十周年の年でもあります。複雑な意味を持つ節目の年を目の前にして、間もなく行われる
日韓首脳会談に総理はどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。
一方、北朝鮮については
核開発疑惑が浮上し、
国際原子力機関から査察を受け入れるよう求められておりますが、これに対し北朝鮮側が拒否あるいは条件を付すなどして依然難航している状態にあり、我が国の
安全保障にとって重大な脅威を生じせしめております。
総理は、さきの
日米会談で、北朝鮮の
核開発疑惑について話し合われ、
国連安保理での制裁発動の場合には法令の許す範囲内で可能な限り対応をする旨答えたと報告されましたが、その場合、いかなる対応が可能なのか、
危機管理の対応はどうなのかなどについて各省庁で十分検討は進んでいるのでしょうか。一説によれば、現政権の中には親北朝鮮派の閣僚や政党が存在するために、役所の中でその対応にはばかりがあるという声もありますが、事は我が国の
安全保障に関する問題であり、万全の対応を検討する必要があります。政府の
朝鮮半島政策、日韓、
日朝関係に臨まれる方針について、総理並びに
外務大臣にお尋ねをいたします。
我が国は、国連加盟以来一貫して
国連中心外交を展開してまいりました。冷戦が終結し、これからは超大国の力を背景とした世界秩序から国連を中心とした
国際秩序の構築が目指される今日、国連の機能をいかにして強化するかは重要な課題であります。そして、これまではどちらかといえば受け身の立場にあった我が国が、核兵器を持たない平和大国として、この問題、すなわち国連の強化や
安全保障へ向けての機能強化にどのような役割を果たそうという意思を持っているかを示すことは、極めて意義のあることではないでしょうか。
当然、我が国の
常任理事国入りの議論も安保理の改組問題の中でなされると思われますが、我が国が責任を果たすと同時に、発言力を行使できる立場を確保することも必要と思われます。そのような観点に立つとき、総理の、推されればなるという待ちの姿勢ではなく、積極的にそのための努力をなすべきではないかと考えます。明年は、時あたかも国連創設五十周年の年に当たり、一つの大きな節目を迎えますが、そのようなときに日本が態度をいつまでもあいまいにして明確にしないことは、世界からは責任回避の姿勢と受け取られかねません。総理は
常任理事国入りの意欲を表明すべきと考えますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
次に、内政についてお伺いいたします。
総理も
施政方針演説で述べられたように、今国民の皆様が切実に願っているのは深刻な不況からの脱出であります。政府は先般、大型の所得税、
住民税減税や第三次補正予算による追加措置を我が党の賛成も得て成立させました。不十分とはいえ、とれに基づく
総合経済対策の効果が期待されます。しかし、せっかくの
経済対策も、対応のおくれとともに、
日米会談決裂後の急激な円高、さらには
公共料金の
引き上げ等により、その効果の削減が心配されます。
特に、
公共料金などの
引き上げは、本年に入りてから、一月の
郵便料金の
大幅アップ、さらに四月以降、国内の
電話料金、国立大学の入学・授業料、ピール、清酒、し
ょうちゅうの酒税、
首都高速道路料金等々の値上げ、また
医療関係での診療報酬、
入院時給食費の
自己負担増、
国民年金、
厚生年金の保険料の
引き上げのほか、さらには東京都を初めとする
地方自治体等の
公共料金などの値上げも行われると聞いております。
これらはすべて国民の負担増であり、特に高齢者や低
所得者層には厳しい出費であります。現時点でも、一般家庭の可処分所得に占める
公共料金の
支出割合はおよそ二〇%と言われておりますが、戦後最大の不況下で収入が伸び悩む中、
公共料金の
支出割合の増大は家計を大きく圧迫し、さらに
便乗値上げや、今は落ちついている物価にも大きな影響を及ぼすものと思われます。
本年予定されている五兆四千億円余の減税は、
景気対策、
雇用対策など
社会経済情勢に配慮して行われるものであると考えますが、これら料金の
引き上げにより減税効果が大きく減殺されることになります。例えば
厚生年金保険料の
引き上げだけでも、事業主と本人分合わせて平年度約二兆六千億円となり、
入院時給食費でも平年度約三千億円の負担増となるのであります。他の
値上げ等を合わせると、減税の効果はさらに大きく削減されましょう。
民間の企業が不況にあえぐ中で生き残りをかけたリストラを真剣に進めているとき、
政府関係において
公共料金等の
引き上げがメジロ押しに行われることは、
国民生活の足を引っ張り、経済の活性化を一段とおくらせるものと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
次に、地方の基幹産業である第一次産業についてお伺いいたします。
総理は、
政権発足以来、
生活者重視を打ち出されました。その意味はあいまいでありますが、その後の総理の姿勢や予算の内容などを見ると、
都市生活者重視、地方軽視のようにも思われます。総理は、
ウルグアイ・ラウンド農業交渉の決着に当たり、言葉では「断腸の思いで決着した」と述べておられますが、総理は、単に期限がやってきた農業に係る課題としてただ処理しただけだったのではないでしょうか。この問題の背後におられる、田んぼや畑で額に汗して頑張って働いている
農林漁業に従事する方々の心の思いを受けとめながら重い決断を行ったのか、私には疑問に思えてなりません。実際、先日の
施政方針演説の中で林業、水産業に触れたくだりは、わずか六十文字にすぎませんでした。
細川総理、あなたは
緊急農業農村対策本部の本部長として、発足以来、具体的に何をおやりになりましたか。農政の基本問題を検討すべき農政審の検討結果をじっと待っているということでしょうか。どのようなタイミングでいかなる対応を行っていくこととしているのか、国民に明確にするべきであると思います。答弁をお願いいたします。
次に、昨年の大冷害による国産米の不足と大量の輸入米の供給についてお尋ねいたします。
三月から国産米三割、外米七割という供給を政府は当初考えていたようですが、二月に外米を五万トン試験売却しているので、その分
国産米比率が増すことになるということでありますが、このところ、主婦がお米を買いに行くと国産米が買えないとか品不足であるということで、主食である米について大きな不安が国民の間に広がりつつあります。このようなことについて、
畑農林水産大臣は御存じですか、そして、お確かめになりましたでしょうか。
そもそも
食管制度が存在し、食糧庁も総量として必要量を供給しているということなのに、このようなことが起こるのは一体どういうことでしょうか。
食管制度は一体機能していると言えるのでしょうか。米の供給については、大丈夫であり、心配はかけないという答弁はできますでしょうか。国民が十分に納得し、買いだめ、売り惜しみが生じないよう、わかりやすい答弁を求めます。生産者にとっても消費者にとっても、安心できる政策を講じる必要があります。
畑農林水産大臣の見解をお聞きいたします。
次に、林業について伺います。
森林は、木材供給のほか、国土を守り水をはぐくむなど豊かで潤いある
国民生活の維持、さらには
地球環境の保全のために
かけがえのない役割を果たしています。
我が国国土の約七割は森林であり、このように高い森林率を維持し、しかも一千万ヘクタールの人工林を有する国は、世界で唯一日本だけと言っても過言でありません。
我が国の森林は、先人のたゆまぬ努力により維持造成され、今では、毎年我が国の年間の
木材使用量の三分の二にも当たる七千万立方メートルの蓄積の増加を示しています。このような資源を有効に活用していくことが、
資源小国日本にとって、二十一世紀に向けての基本的な課題であると考えます。
戦後造成された人工林はやがて伐期に達しようとしていますが、これからも保育、間伐等の手入れが行われなければならない森林も相当存在します。このような手入れを確実に実施していくことによって、木も木材としての価値を持つことになりますし、森林も
国土保全機能を果たし、豊かで美しい国土の形成と潤いのある
国民生活の実現にとって、不可欠な存在となるのであります。
国民共有の財産である森林を守り、林業を担っていく人々が生活する場は山村であります。総理の山村に対する考え方を伺いたいと思います。(拍手)
また、今回の
ウルグアイ・ラウンドでは林産物に関する関税の引き下げが決定されましたが、これは、今でさえ
危機的状況にある我が国の
木材産業にとっては、まことに厳しいものであります。それゆえ、
ウルグアイ・ラウンド対策においては、農業に限らず、林業及び
木材産業においても思い切った対策をとっていく必要があります。ぜひ総理のお考えをお聞きしたいと思います。
水産業をめぐっては、国際的な二百海里体制の定着や
水産資源の減少に加え、自然保護、環境面から公海においても操業が規制されるなど、漁場が大幅に狭められてきています。そのため、
我が国周辺水域においては、官民挙げて
資源管理型漁業に取り組んでいるところでありますが、近年、
我が国周辺水域において
韓国漁船による
違法操業が続発し、特に昨年は、漁具被害のみでなく、操業中の漁船員や
取り締まりに当たっている
海上保安庁の職員に対し身体への危害を加えるなど、悪質な事件も急増いたしております。
海上保安庁及び水産庁も懸命に
取り締まりを行っておりますが、広大な海域について限られた
予算と人員での
取り締まりである上、基本的には、領海外での違反については韓国が
取り締まり権を有する仕組みとなっており、残念ながら実効が上がっていないのが現実であります。
韓国漁船による
違法操業を放置することは、漁業の問題にとどまらず、我が国と韓国との
友好関係にも悪影響を及ぼす外交上の極めて重要な問題と考えます。
特に、近年
日韓両国が共通で利用している海域において
資源状況の悪化が進み、このままでは
両国漁業が共倒れとなる可能性もあります。これからは、両国が協力して、適切かつ実効ある
資源管理措置を構築していく時期に来ていると考えます。本年は
自主規制措置の見直しの年であり、
関係漁業者が将来ともに安心して漁業に従事できるよう、新たな枠組みの構築も含め、今後どのように対処される
おつもりか、
細川総理に御答弁をお願いいたします。(拍手)
漁港は、水産業に携わる者にとって、漁業の
生産基盤であるとともに、自然災害に備え、生命財産を守るためにも欠かすことのできないものであります。特に離島などにおいては、まさに
日常生活を支える
生活基盤そのものであります。実際、
漁港事業は、漁港整備にあわせて、消費者である国民に新鮮で安全、良質なたんぱく質を安定的に供給するための流通・
加工基盤の整備を行うとともに、
集落排水施設の整備などにより、都市と比べ大幅に立ちおくれている漁村の
生活環境整備をも行うなど、総理が強調している生活者のための事業でもあります。
しかるに、昨年、
財政制度審議会答申によって、漁港及び
沿路事業がCランクに位置づけられ、抑制的に行うべき事業とされ、平成六年度予算編成においても、
漁港事業は各
公共事業の中で最も低い伸び率に抑えられています。都市への一極集中の弊害が顕著となり、国土の均衡ある発展が求められている今この時期に、これら事業を軽視することは許されることではありません。都市住民も漁村に住む人々も、国民が皆ひとしく、安全で豊かな、活力あふれる生活を享受できるようにすることが政治の責務であると思いますが、
細川総理はいかがお考えか、御答弁をお願いいたします。(拍手)
また、我が国における水産物の輸入は近年大幅に増加し、
漁業経営を圧迫する大きな要因となっております。
ウルグアイ・ラウンド交渉で、水産物の関税については、原則として現行税率から三分の一程度引き下げるとの合意がなされました。これにより、さらに無秩序な輸入が増加し、魚価の一層の低迷を招くことになるのではないかと憂慮されます。このような国際化という状況の中で、我が国の水産業を振興していくためどのような施策を講じていくのか、総理と
農林水産大臣にお伺いをいたします。
最後に、
政治改革について伺います。
懸案であった
政治改革関連法の改正案は、去る四日に
自由民主党提出案に極めて近い形で成立いたしました。
選挙制度、
政治資金制度、さらには
公的助成の導入など、これまでの制度を抜本的に改めるものであります。
このたびの
制度改正によって、選挙も
政治資金の集め方も
政党中心に行われることになり、また、政党に対する
公的助成も導入されることから、この法律が成立する以前と以後では、政党を取り巻く
社会的状況、
法的環境は大きく異なったと思います。現在、政党については、
公職選挙法、
政治資金規正法、
政党助成法というそれぞれ別個の法律の中で、いかなる要件を備えれば政党と呼べるのかといういわゆる
政党要件が規定され、それに係る規定が散見されるだけであります。
制度改正により政党が果たす機能の重大さを思うとき、政党が
政党活動の実態を明らかにしたり、党の
民主的運営を担保するなど、国民に対して負うべき責務を明確にし、これまでの任意団体にすぎない政党を真正面から法的に位置づける必要があるのではないでしょうか。
昨年の選挙において新党が誕生いたしました。これからも新党が誕生することがあるでありましょう。そして、
議院内閣制ですから、どこかの党首が首班に選ばれるわけであります。国民にとって、実績のない新党の実体を推しはかるすべは、党首のイメージというあいまいなものに頼っているだけでよいのでありましょうか。少なくとも政党としては、党首がどのように選ばれるのか、党がどのように運営されているのかなとを明らかにすることが、公党として国民に対して持つ責任であると思います。国民の
政治的意思を統合する主体として政党を法的に明確に位置づけるべきと思いますが、総理の見解をお尋ねいたします。(拍手)
また、総理は
施政方針演説において、「今後ともより実効ある
腐敗防止策を初め、制度の改善に向けた努力を怠ってはならない」と述べられておりますが、例えば末端の
選挙運動員まで連座の対象を拡大するなど、新たな
腐敗防止法のようなものを具体的に提出されるお考えがあるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
我が党は、政府四演説に対し、昨日は河野総裁と
柿澤政務調査副会長、本日は私が質問いたしました。そこで指摘し、明らかになったことは、我が国を取り巻く内外の難題は山積し、それに対する
細川内閣の
政治運営はもはや手詰まりの感があるということであります。そして、時間の推移に従って、
細川政権の
パフォーマンスに彩りされた虚像ではなく、実像が広く国民の間に広がり始めております。
この
かけがえのない日本の国が進路を誤らずに平和で豊かな国であり続けるためには、私
たち自由民主党の今までに蓄積された経験、人材が必要であると信じます。我々は党を再生し、必ず政権の座に復帰し、国民の皆様の御期待にこたえていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔
内閣総理大臣細川護熙君登壇〕