○柿澤弘治君 私は、
自由民主党・
自由国民会議を代表し、
細川総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
細川総理、あなたは、
細川内閣を
政治改革政権と呼び、不況に苦しむ
国民の声に耳を傾けることなく、
日米経済協議などの重要外交案件はほとんど官僚任せにしながら、
政治改革法案の
成立と非自民連立
政権を維持することにきゅうきゅうとしてきました。
私は、昨年夏の
細川政権誕生のときから、
政策や理念の違う寄り合い世帯の連立
政権が、
日本にとって内外ともに重要なこの時期に、
経済無策、外交無策になるのではないかと懸念をしておりましたが、今日の事態は、まさに私の予感が不幸にも的中しつつあることを示しているのではないでしょうか。(
拍手)
我が国の
経済専門家も
平成六年度の成長見通しに悲観的でありますし、先日の
日米首脳会談においては
クリントン大統領も、
細川内閣の示した総合
経済対策に対して、十分
効果があるとは思わない、満足できるものではないと不満を表明されたと伝えられております。
細川総理、今回の
経済対策は、戦後最長最大
規模の深刻な不況にあえぐ
我が国経済に立ち直るきっかけをつくり、
日米包括
経済協議を
合意に持ち込むための重要な対策ではなかったのですか。それにもかかわらず、
政治改革法の
成立にこだわる余り、おくれにおくれて提案された
経済対策の評価は、内外ともに芳しいものではありませんでした。
私
たち自由民主党は、昨年九月以来、本格的な
景気対策を時期を逃さずに実施するよう再三にわたって
細川総理に要求してまいりました。しかし
政府は、我々の要望や
国民の悲痛な叫びを無視して、タイミングを逸した不十分な
対応しか打ち出すことができませんでした。
平成五年度の第三次
補正予算が
提出されたのは、
国民福祉税創設のドタバタ劇の後、ことし二月も半ばになってからであり、
平成六年度本
予算の
提出は、何と三月に入ってからでございます。
本来、
政治とは、
一つの
仕事のみを手がけて、それが片づくまで他のものはほうっておいてよいというような手法が通用しない分野であります。
経済は生き物、外交も生き物である限り、
景気対策も外交
政策も
政治改革と同時並行で取り組まなければならない課題であります。
細川内閣は、
政治改革と
連立与党内部のお家の事情を優先する余り
景気対策や対外
経済問題をお忘れになった、それとも、十分承知しながら、
政権維持を最優先させ、
国民生活や国内
経済を犠牲にして、
中小企業や農民、働く人々に不況のしわ寄せをしてきたのではないでしょうか。
この
経済対策のおくれによって
我が国経済に与えた損失だけをとっても、また、
日米交渉の失敗による
円高の被害をとってみても、
細川内閣は重大な
責任を負うべきであります。
細川総理、あなたはその
責任をどう感じておられるのか、まずお尋ねをいたしたい。
さて、今回の
日米経済交渉の失敗について伺います。
昨年七月、東京サミットの折の宮澤・クリントン会談において、
日米経済協議の
内容に「客観基準」という言葉を入れることで妥協を図ったという経緯がありました。当時、私は
宮澤内閣の外務政務次官を務めていましたが、この妥協は、最終局面での苦心の産物であったわけであります。その後、
内閣は
細川総理に引き継がれたわけでありますが、
我が国が
考えていた客観基準とは、あくまでも
日米貿易改善のレビューのためのデータであったのに対して、
アメリカはこれを
数値目標とみなすようになり、客観基準に対する
両国の解釈の違いが出てきたのは、昨年の九月ごろから明確になってきたと私は思っております。
しかし、この問題は、
日米の官僚レベルで解決できる問題ではありません。前
内閣でも、渡辺外務大臣も私
たちも、対米
関係やPKO、天皇御訪中などの重要問題は官僚任せにせず、みずから先頭に立って、文字どおり命をかけて
努力をしてきました。したがって、
細川総理は、
クリントン大統領に対して、客観基準の未達成が制裁につながるようなものであれば、これを認めることができないということを早い時期に明確にしておくべきでありました。
細川総理は、九月の国連総会の機会に、また十一月のシアトルでのAPEC
会議の際にも、既に
クリントン大統領とは二度にわたって会談をしておられますが、その際、
我が国の
考えをはっきり表明されたのでしょうか。
先ほど二見議員は、客観基準、いわゆる
数値目標と、この二つの言葉がイコールであるかのごとく間違った
認識を示されましたが、その
認識でノーと言って安易なナショナリズムに訴えることは、私
たちは当を得たものとは
考えません。(
拍手)
また、松岡外務大臣の名前が引用されましたが、国際連盟を格好よく脱退した松岡外相の
姿勢と
細川総理の今回のノーと言って帰ってきた
姿勢とに類似性を見るのは、ひとり私だけではないのではないでしょうか。(
拍手)また、現
政権には、
我が国が国連の安保理に入ることについて否定的な意見があると聞いておりますが、これも国際連盟を脱退したときの孤立主義と相通ずるものがないとは言えないでしょう。
日米関係が
細川総理の言われるように成熟した大人の
関係であるならば、言うべきことをしっかりと言りた上で、具体的
交渉を官僚にさせることは当然だと
思います。もしも言うべきことを言っていないとしたら、この二回の
首脳会談は一体何だったのですか。言うべきことを言わずに、マフラーをなびかせて笑顔で握手しただけだったら、テレビ用のパフォーマンスとしては成功であったとしても、
日本の
総理大臣としては大事な機会を二度も見送ったことになるのではないですか。
巷間言われているように、単に個人的な友好
関係を築くためのものであったとしたならば、その友好
関係は今回の
日米交渉でどの程度有効に機能したのでしょうか。もしも二度の会談で
総理として言うべきことをはっきり言われたというのであるならば、そのときの
クリントン大統領の返事はどのようなものであったのか、お聞かせをいただきたいと
思います。そして、
クリントン大統領の反応が
日米両国の
交渉担当者に正確に伝えられたのでしょうか。
私には、
細川総理は、就任以来今回の訪米に至るまで、
日米経済協議の
重要性とその深刻さを余り真剣にお
考えでなかったように思えてならないのです。
総理は、二月十日の訪米を前にして、
国会内の連立村と称するところであいさつをされ、大変リラックスした
態度で次のようにおっしゃいました。「
内閣発足以来いろいろな山を越えてきたが、今度は
アメリカという山に登ってきます。
所得減税という食糧をザックに詰め込んでいただいたので、しりかり登ってきます。ただ、クレバスもあるかもしれませんので、落ちないように気をつけます。」
私は、この様子をテレビで見たときに、非常な違和感、不快感を覚えました。羽田外務大臣は、既にワシントンに飛んで夜を徹しての
交渉に当たっていました。私も含めて
交渉の
現実を少しでも知っている者はすべて、今度の
日米交渉は厳しいものだ、もし
決裂したら
円高の到来を含めて大変深刻な事態になるだろうと心配をしていたわけであります。ところが、
細川総理一人だけは、リュックサックをしょってピクニックにでも出かける子供みたいな気楽さで、国益をかけた大事な
交渉に出かけていく。
指導者の
態度としては余りにもふまじめで
責任感も感じられず、悲しくさえありました。
私がこうしたことを申し上げるのも、
交渉が
決裂して、ノーと言える
関係になった、成熟した
関係だとおっしゃる割には、その翌日から始まった
円高や携帯電話をめぐる制裁措置の発表を見てからの
政府の
対応が、がらりと急変したからであります。
総理自身も、
日米関係は深刻な事態になったとおっしゃって慌てふためき、熊谷通産大臣も急に自動車
関係業界に対して何らかの
努力目標を示せないかと呼びかけているからであります。
数値目標はだめだと言っておきながら、舌の根も乾かないうちに
数値目標に類似した行動をとらんとしているのは、一体どういうことなのでしょうか。これこそまさに
危機管理の
準備もなしにノーと言ってしまった
細川内閣の無
責任のあらわれだと言われても仕方がないのではありませんか。(
拍手)
細川内閣は
規制緩和内閣だから管理貿易的な
数値目標は受け入れられないとワシントンで明言された以上、今後
総理は産業界に対して
努力目標を出せなどということを通産大臣に命じることはよもやないのでしょうね。背に腹はかえられぬということでもしそうしたことをするとなると、
総理、今度は国際的な食言になりますよ。深夜に人を集めて発表した
国民福祉税を翌日取り消したり、
内閣改造をやると言ってありさり
断念したり、
細川総理の言葉はカメレオンのようにくるくる変わることを、
国民のみならず
国際社会に印象づけることになることを忘れないでいただきたい。したがって、スーパー三〇一条が
復活しようと何が起ころうと、
細川総理は
数値目標を拒否し続けるつもりと
思いますが、いかがですか。
私は、個人的には
日米間に存在する
数値目標と客観基準との間の
認識のギャップを相互に埋めながら、その間で何らかの妥協を図ることが必要だと
考えております。この場合、マクロの面では、例えば経常収支の黒字幅二・八%以内を
努力目標にするというようなことも
一つの提案であると
思いますが、いかがでしょうか。また、
政府調達の分野ではある程度の定量的
合意を受け入れてもよいのではないでしょうか。この点も
総理のお
考えをお聞きしたいと
思います。
今回の
日米交渉決裂の直後に、ECのドロール委員長が、
日米だけが話し合って特定の基準を設定することに対して反対を表明したり、
アメリカのUSTRの
日本担当部長がブラッセルに
説明に行ったりしています。このことは、
日米二国間だけの
経済包括協議を行うことが
国際社会から見ると
日米談合ととらえられるおそれが多分にあるということを示していると
思います。今後この種の
協議については、
日米二国間だけでなく欧州の先進国をも加えて三極
協議を行い、最終的には多国間
協議の場であるガットで解決していくことが望ましいと私は
考えております。そして、将来的にはウルグアイ・ラウンド
合意に基づいて創設されるWTOで話し合っていくのが
理想であると
考えておりますが、
細川総理のお
考えを伺いたいと
思います。
この場合の討論の対象は、
数値目標や客観基準ではなく、あるいはセクター別の目標設定などというものではなく、
日米欧の
経済構造や取引慣習、金融
制度、独禁
政策などを調整して、それぞれの市場の透明度を高め、各国
経済の構造を国際的に開かれたものとしていくことが必要であります。そのために、各国
政府に
影響力のある有力者による三極賢人
会議の創設を
日本から積極的に提案してみたらいかがでしょうか。そして、共通の新しいアクションプログラムをつくることが必要であると
考えます。
我が国の場合、仮に第二次前川リポートと名づけてもよいかもしれませんが、
日本市場の透明化のプログラムをつくり、そのプログラムが達成されるまでの暫定措置としては客観基準を導入していくこともある程度やむを得ないと
考えていますが、こうした
考え方に対して
総理の御意見を伺いたいと
思います。
次に、
平成六年度
予算と税制について伺います。
今回の越年
予算編成を見ての印象を一言で言うならば、何のめり張りもない出しおくれの証文と言わざるを得ません。目玉とされる
所得税、住民税減税にしてもタイミングを逸したものであり、なおかつ、
規模の点でも満足のいくものとは言えません。聞くところによると、
アメリカでは八兆円を
期待していたようですが、なぜ六兆円としたのか、なぜ六兆円で十分と判断したのか、その理由をお聞かせいただきたい。
それに、
所得税減税が実際に実施される時期は、給与所得者の場合は、半分が夏、半分が年末のボーナス時期の減税であり、自営業者などの申告納税者に至っては、来年三月の申告時期になってやっと減税の恩恵に浴するわけで、これこそまさに「六日の菖蒲、十日の菊」ではありませんか。
その上、住民税については、二十万円を限度として、六、七月の徴収をゼロにして、八月以降の十カ月で均等に徴収するということになっていますが、年収一千四百万円以上の方にとっては、八月以降の納税月額は現在よりふえる、年収二千万円では月当たり二万円も
増税になるということです。こんな減税では、十分な
内需拡大などとても
期待できないと
国民が失望し、
アメリカが怒るのも当然ではありませんか。
これも
国民福祉税構想がつぶされたからだと
総理はおっしゃるかもしれません。しかし、今後大
規模所得減税をやるためには、
直間比率の
見直しの観点からも、
消費税率の
アップが避けられないものであることを大方の
国民は理解しているはずであります。いつの時代にも、
増税を心から歓迎するなどということはありません。しかし、適正
規模の
増税が本当に
所得減税と
福祉の
充実に結びつくものであるならば、
国民の納得を得ることができると
思います。
ところが、
細川総理は、
福祉ビジョンは三月に出しますから
増税の
規模は今決めてくださいと深夜に言い出すのですから、
国民の納得を得られないのは当然ではありませんか。例えて言うなら、メニューも見せず、お料理も出ていないのに、先に請求書だけを突きつけられたようなものであります。しかも、
国民福祉税というメニューは一品だけで、選択の余地すらないのであります。六兆円の減税には九兆円の
増税が必要だというだけでは返事のしようもありません。
これには
大蔵省の
責任も追及されてしかるべきであります。官僚の役割は、幾つかのメニュー、異なったオプションを提示して、
国民と
政治家の判断を仰ぐべきものであります。A、B、Cのランチの中身と値段を示し、そのうちのどれを選択すべきかを十分議論した上で
国民に
説明し、納得を得るのが真の
民主主義の手法ではないでしょうか。であるのに、
大蔵省は唯一のメニューしか示さず、
総理はそれを
国民に突きつけて、これを食べてくださいというのでは、ファッショ的であるとか独裁的であるとかいう批判が出てくるのは当然ではありませんか。(
拍手)
総理、大蔵大臣は、こうした批判を謙虚に受けとめる必要があると
思いますが、どうお
考えでしょうか。
三月には出すと約束した
福祉ビジョンを公約どおり提示し、その上で改めて税制
改革の問題を議論の俎上にのせるべきだと
考えます。ただ、申し添えておきたいことは、今度は複数のメニュー、つまりこの程度の
増税なら
福祉水準はここまで、この程度ならここまでというように、選択可能なものを出していただきたいということであります。夜中にたたき起こされて、ばか高い単品のメニューだけを見せられることだけは御勘弁願いたい。
ましてや、
消費税創設のときに絶対反対を唱えた政党の方々から、この問題で
自民党の批判を受けるいわれなど全くないと
思います。(
拍手)
国民の納得を得られる税制
改革をするには、前提条件として、
思い切った大
行政改革の実行が必要であります。
総理はワシントンで、
細川内閣は
規制緩和内閣だと胸を張っておっしゃいました。ぜひとも、現在の硬直した縦割り
行政、がんじがらめの規制
行政を抜本的に
改革し、
行政の
簡素化を図っていただきたいと
思います。
私は、中曽根
内閣の運輸政務次官として国鉄の民営化と
日本航空の民営化を実現するために一生懸命に働いてきた一人であります。そのときの中曽根
総理のリーダーシップ、橋本運輸大臣の精力的な活動ぶりは、異常とも言える熱気を生み、活気に満ちたものでした。私には、今の
細川内閣に、当時我々が
経験したような熱気を少しも感じることはできないのであります。
国鉄の民営化に大反対をした
社会党の運輸大臣、建設大臣のもとで、果たして本当の
規制緩和ができますか。官公労とか自治労の人員削減につながるような
規制緩和、
行政改革が
社会党の大臣で実現可能と
細川総理は本気で思っていらっしゃるのでしょうか。そうしたところに細川連立
内閣のまやかしがあることを
国民はもはや気づいているに違いありません。
しかし、
規制緩和は今や国際公約となってしまったのです。この公約を守るというのであれば、私
たちも協力するにやぶさかではありません。しかし、先ほども触れたように、現在各省庁が出している
規制緩和項目は、既に
自民党政権下において実施を決めていたものや実効性の乏しいもの、実施時期が相当先になるものばかりで、
総理が言っておられるように
景気対策に寄与するものとは到底思えないのであります。
政府の
規制緩和策への取り組みは極めて不十分と言わざるを得ません。
例えば、二月二十三日の
予算委員会において石田総務庁長官は、今回の総合
経済対策に盛り込まれた
規制緩和項目を挙げておられます。その中に含まれている住宅の地下室の容積率からの除外については、私が
自由民主党内閣時代から都市出身の議員として是正を要求してきた項目であり、昨年十二月六日の
予算委員会で五十嵐建設大臣から前向きの
答弁をいただいたものであります。
今回、
政府の
提出した
規制緩和項目に入るということでしたので、地元の建築士事務所協会などで、少なくとも個人住宅については地下室をつくっても容積率にカウントされなくなるので、大いにこの
規制緩和を活用していただきたいと話したところ、いつから実施されるのかと大変積極的な反応がありました。そこで、建設省に問い合わせたところ、何と、建築
審議会で
審議をいただいて、その答申を得て
法案を
国会に
提出したい、実施時期は未定であるとの返答でした。そうなると、通常なら年末の答申、来年の通常
国会への
法案提出となり、実施されるのは来年の夏ぐらいになるでしょう。こんなのんびりした
規制緩和では、
景気の回復に結びつくなど到底無理な話であり、これなども
国民をだまし、
アメリカを欺くものとしか言いようがないではありませんか。
細川総理の
答弁を求めます。もしも言葉としての
規制緩和だけなら、これは
細川内閣の欺瞞性の象徴であります。
この際、
思い切って、そして早期の
規制緩和とスリムな
行政組織への変革が必要であり、最近の言葉で言えば、
行政機構のリエンジニアリングのプログラムを
福祉ビジョンとあわせて提示することを
総理は
国民に約束していただきたい。そうでなければ、今秋に予定されている
国民福祉税の論議など安易に受け入れるわけにはいかないわけであります。
この問題にも関連しますが、私は、先般
成立した
政治改革四法にも大きな欠陥があると思っています。
国民に向かって
増税をお願いしなければならないときに、三百億円もの政党助成を簡単に出してしまうその
姿勢は問題であります。しかも、従来の立法調査費をそのままにして上乗せするということは、一体
国民にどのように
説明するつもりなのか。税金の二重取りだと非難されても仕方がありません。
さらに言えば、
衆議院の議員定数五百十一名をわずか十一名減らして事足れりというのは、
政治改革に対する真剣な
姿勢とは思えません。
アメリカと比較しても、
国会議員の
思い切った削減をすべきではないでしょうか。
国会議員みずからが血を流す
姿勢を示して、初めて
国民への負担増をお願いできるのであります。
次に、不況対策について伺います。
不況が長期化、深刻化する中で、中高年層や新卒者など、雇用情勢は厳しいものになっています。また、出口の見えない長期不況に
中小企業経営者はいら立ちを募らせております。
しかしながら、
中小企業の経営環境は、一向に出口の見えない
経済不況や
円高の進展から、極めて厳しい局面に立たされています。
中小企業の崩壊は、
我が国産業の空洞化、弱体化に直結する重大事です。我が党は、従来より、
中小企業が持ち前の創造性や機動性を発揮して、引き続き健全な発展が遂げられるよう総合的な
中小企業施策を展開してまいりました。そこで、
細川総理、熊谷通産大臣、
我が国の
経済の中でこれまで
中小企業の果たしてきた役割、並びに置かれている現状についてどのように
認識されているか、お伺いをいたしたいと
思います。
今回の不況においても、
中小企業では金融面での制約が企業活動の足かせになっている場合が多いことは御承知でしょうか。民間の金融機関の貸し渋りは依然として続いており、
政府系金融機関からは新規貸し付けのメニューがいろいろ出されておりますが、新規の低利融資も多くの
中小企業にとっては絵にかいたもちにすぎません。依然として多くの
中小企業が、
政府系金融機関からの既往の借り入れの割高金利の支払いに苦しんでおります。
こうした実情を踏まえて、
自由民主党は、
中小企業金融公庫、
国民金融公庫等の既往の貸し出しについては、六・八%以上のものは一%の金利減免を行い、さらに五%以上の金利の繰り延べを認めることを提案をいたしました。このたびの
政府予算にはその一部が取り上げられておりますが、その適用は赤字企業に限られるなど、不十分なものと言わざるを得ません。
細川総理、熊谷通産大臣は今回の措置で十分だとお
考えなのか、この所見をお示しをいただきたい。
また、
平成六年度
予算においては、
中小企業の経営指導や相談を行うための商工会、商工
会議所の人件費の補助をカットして一般
財源化するなど、
中小企業への温かい配慮が見られません。全国の商工会、商工
会議所の
関係者は先行きに大きな不安を抱いておりますが、
細川総理、
藤井大蔵大臣並びに熊谷通産大臣のお
考えをお伺いをいたします。
次に、
生活者優先の
政治を
主張する
総理に、最近における米不足の問題について伺います。
昨年のガット・ウルグアイ・ラウンド
交渉の
政府受け入れに当たっては、農民に対する温かい配慮が欠けた結末となったのでありますが、今度は消費者に対しても配慮が欠けた
政治となっております。食管
制度は米の安定供給のために必要であると言っておきながら、
現実は、米を買いに行っても米がない、あっても価格が高騰している。また、内地米に外米をブレンドするとか、外米とセット販売するとか、米の販売についての小売現場は相当
混乱をしており、私の住む東京の下町では、直接私に対してさえこうした苦情が寄せられております。これは
政府・
与党の失政の結果ではないでしょうか。こうした
現実を
細川総理は厳しく
認識しておられるのか、どう解決していかれるのか、さっき農水大臣からの
答弁がありましたが、ぜひとも
総理の
答弁をお聞かせいただきたい。
細川総理、私はここで、
高齢化社会との関連で臓器移植についての
総理のお
考えを伺います。
我が国は、
世界で臓器移植が法的にも慣習的にも定着していない数少ない国の
一つであります。この問題は、個人の生命倫理、宗教観とも深く結びついている難しい問題であります。臓器移植に関する臨時調査会より
総理に答申がなされていることは御存じと
思いますが、この答申を
内閣としていかに受けとめておられるか、
政府として法律案を
提出して具体化を図るお
考えがあるのか、お伺いをいたします。
今後、我々の前には超
高齢化社会が待っております。それだけではありません。子供の数が減り続けていきます。国際環境も厳しいものがあります。そうした中で、
日本の
経済の活力を維持し、将来のお年寄りの
生活を安定したものとし、安心して老後を迎えられる心豊かな
社会をつくっていくためにも、私が述べてきたような
プロセスで
規制緩和、大
行政改革、冗費の節約、
国会議員の定数削減、
福祉ビジョンと税制の
改革などを実現していくことが、
細川総理、あなたの当面の
責任ではありませんか。
国際社会においても、
経済大国となった
日本がいつまでもひとり勝ちの貿易黒字をため込むことは不可能であります。国内市場の開放、透明性の向上などの
努力を重ねながら、それが達成されるまでの間、先ほど来述べたように、
日米欧三極で
協議の上、何らかの客観基準を受け入れる覚悟を持つべきであり、安易にノーなどと言って自己満足すべきものではありません。
総理は、先般、
内閣の改造に失敗しましたが、もろもろの課題に対処する
経済改革政権に向けての
内閣改造ができないのであれば、この際、
思い切って現在の連立を解消して、
自由民主党に
政権をお譲りになってはいかがですか。(
拍手)私
たち自民党には、多士済々、多くの人材がおります。いつでもこの国難に
対応すべく、その
責任をお引き受けする用意のあることを申し添えさせていただきます。
なお、最後になりますが、一言申し述べます。
細川総理御自身にまつわる金銭問題です。いわゆる佐川問題ですが、本問題については、昨年十月以降五カ月にわたって議論をしてまいりましたが、疑惑が深まりこそすれ、何
一つ解明されていないのです。そこで、
衆議院予算委員会は、去る二月二十二日、山口
予算委員長の提案に基づいて、土井
議長名をもって、
憲法六十二条、
国会法第百四条により、細川
首相に関する記録の
提出要求を全会一致をもって決議したのであります。
総理、
国会の権威を守り、今後真の
政治改革を推進していくためにも、
細川総理は、この際、進んで記録の
提出に協力し、できるなら身の潔白をみずからの手で明確に証明すべきではありませんか。(
拍手)
我が党としては、本通常
国会においても本問題を引き続き追及していくことを申し添えて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣細川護熙君登壇〕