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1994-06-22 第129回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十二日(水曜日)     午後二時開議 出席委員   委員長 高橋 辰夫君    理事 小澤  潔君 理事 斉藤斗志二君    理事 島村 宜伸君 理事 山本 有二君    理事 中村 時広君 理事 山田 正彦君    理事 小森 龍邦君 理事 冬柴 鐵三君       衛藤 晟一君    奥野 誠亮君       梶山 静六君    塩川正十郎君       津島 雄二君    浜野  剛君      柴野たいぞう君    土田 龍司君       西村 眞悟君    山岡 賢次君       佐々木秀典君    坂上 富男君       山花 貞夫君    大口 善徳君       富田 茂之君    枝野 幸男君       簗瀬  進君    正森 成二君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中井  洽君  出席政府委員         法務政務次官  牧野 聖修君         法務大臣官房長 原田 明夫君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         法務省保護局長 杉原 弘泰君         法務省入国管理         局長      塚田 千裕君  委員外出席者         人事院事務総局         管理局総務課長 松本 紀昭君         運輸省鉄道局業         務課長     岩崎  勉君         運輸省海上技術         安全局総務課長 安富 正文君         自治省行政局振         興課長     松浦 正敬君         法務委員会調査         室長      平本 喜祿君     ───────────── 委員の異動 六月二十二日  辞任         補欠選任   亀井 静香君     衛藤 晟一君   坂上 富男君     村山 富市君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     亀井 静香君     ───────────── 六月二十二日  戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法  律案内閣提出第七四号)(参議院送付) 同月十四日  アジア女性人権を守るための具体的施策に  関する請願伊東秀子紹介)(第二四三七号  )  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願北沢清功紹介)(第二四  三八号)  夫婦同氏別氏の選択制導入続柄欄廃止に  関する請願鉢呂吉雄紹介)(第二四三九号  )  アジア女性人権を守るための施策に関する  請願伊東秀子紹介)(第二四四〇号)  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願岩垂寿喜男紹介)(第二四六七号)  同(福島豊紹介)(第二五七〇号) 同月十五日  夫婦別氏・別戸籍選択を可能にする民法・戸  籍法改正に関する請願岩佐恵美紹介)(  第二六三二号)  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願遠藤登紹介)(第二六三三号)  同(左近正男紹介)(第二六三四号)  同(佐藤泰介紹介)(第二六三五号)  同(田中恒利紹介)(第二六三六号)  同(中島武敏紹介)(第二六三七号)  同(東中光雄紹介)(第二六三八号)  同(松本龍紹介)(第二六三九号)  同(今村修紹介)(第二七八七号)  同(上田晃弘紹介)(第二七八八号)  同(永井孝信紹介)(第二七八九号)  同(濱田健一紹介)(第二七九〇号)  同(桝屋敬悟紹介)(第二七九一号)  アジア女性人権を守るための施策に関する  請願加藤万吉紹介)(第二六四〇号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願山花貞夫紹介)(第二七  九二号) 同月十七日  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願青山二三紹介)(第二八八六号)  同(赤松広隆紹介)(第二八八七号)  同(早川勝紹介)(第二八八八号)  同(阿部昭吾紹介)(第二九四二号)  同(永井英慈君紹介)(第二九四三号)  同(山崎泉紹介)(第二九七八号)  同(遠藤和良紹介)(第三〇五〇号) 同月二十日  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願穀田恵二紹介)(第三一七〇号)  同(高見裕一紹介)(第三三三八号)  夫婦同氏別氏の選択制導入続柄欄廃止に  関する請願外一件(吉岡賢治紹介)(第三一  七一号)  不動産訴訟貼用印紙額算定等に関する請願  (五十嵐ふみひこ君紹介)(第三二七六号) 同月二十一日  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願山田英介紹介)(第三四四三号)  同(佐藤観樹紹介)(第三四九四号)  同(大出俊紹介)(第三五七七号)  同(吉井英勝紹介)(第三六六三号)  同(宮地正介紹介)(第三七六八号)  法務局更生保護官署及び入国管理官署増員  に関する請願正森成二君紹介)(第三五七六  号)  同(徳田虎雄紹介)(第三六六五号)  同(簗瀬進紹介)(第三六六六号)  同(岩佐恵美紹介)(第三六六七号)  同(穀田恵二紹介)(第三六六八号)  同(佐々木陸海紹介)(第三六六九号)  同(志位和夫紹介)(第三六七〇号)  同(寺前巖紹介)(第三六七一号)  同(中島武敏紹介)(第三六七二号)  同(東中光雄紹介)(第三六七三号)  同(不破哲三紹介)(第三六七四号)  同(藤田スミ紹介)(第三六七五号)  同(古堅実吉紹介)(第三六七六号)  同(正森成二君紹介)(第三六七七号)  同(松本善明紹介)(第三六七八号)  同(矢島恒夫紹介)(第三六七九号)  同(山原健二郎紹介)(第三六八〇号)  同(吉井英勝紹介)(第三六八一号)  同(大口善徳紹介)(第三七六九号)  同(小森龍邦紹介)(第三七七〇号)  同(佐々木秀典紹介)(第三七七一号)  同(坂上富男紹介)(第三七七二号)  同(中村時広紹介)(第三七七三号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第三七七四号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願吉井英勝紹介)(第三六  六四号) 同月二十二日  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願伊藤茂紹介)(第三八九六号)  同(池端清一紹介)(第三八九七号)  同(遠藤乙彦紹介)(第三八九八号)  同(緒方克陽紹介)(第三八九九号)  同(大畠章宏紹介)(第三九〇〇号)  同(岡崎宏美紹介)(第三九〇一号)  同(河上覃雄君紹介)(第三九〇二号)  同(神崎武法紹介)(第三九〇三号)  同(菅直人紹介)(第三九〇四号)  同(五島正規紹介)(第三九〇五号)  同(輿石東紹介)(第三九〇六号)  同(権藤恒夫紹介)(第三九〇七号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第三九〇八号)  同(関山信之紹介)(第三九〇九号)  同(高市早苗紹介)(第三九一〇号)  同(竹内猛紹介)(第三九一一号)  同(鳥居一雄紹介)(第三九一二号)  同(初村謙一郎紹介)(第三九一三号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第三九一四号)  同(古堅実吉紹介)(第三九一五号)  同(松本善明紹介)(第三九一六号)  同(三野優美紹介)(第三九一七号)  同(森井忠良紹介)(第三九一八号)  同(山花貞夫紹介)(第三九一九号)  法務局更生保護官署及び入国管理官署増員  に関する請願枝野幸男紹介)(第三九二〇  号)  同(富田茂之紹介)(第三九二一号)  同(山花貞夫紹介)(第三九二二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 六月二十二日  死刑制度廃止に関する陳情書  (第一  五八号)  法律扶助に関する基本法制定財政措置の拡  充強化等に関する陳情書  (第一五九号)  選択的夫婦別姓制定に関する陳情書  (第一六〇号  )  固定資産税評価額の改定に伴う貼用印紙額の負  担増加反対に関する陳情書  (第一六一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法  律案内閣提出第七四号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 高橋辰夫

    高橋委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました内閣提出参議院送付戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。     ─────────────  戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 中井洽

    中井国務大臣 戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、市区町村における各種事務コンピューターシステム導入され、その一層の拡大が図られている現状にかんがみ、市区町村長処理する戸籍事務について電子情報処理組織を使用して取り扱うことができるようにするとともに、戸籍付票について磁気ディスク等をもって調整することができるようにすることにより、戸籍及び戸籍付票に関する事務の適正迅速な処理と、行政サービス向上を図ろうとするものであります。  この法律案の要点を申し上げます。  第一に、法務大臣の指定する市区町村長は、戸籍事務の全部または一部を電子情報処理組織によって取り扱うことができることとしております。この場合には、戸籍は、磁気ディスク等をもって調整することとし、これに伴い、戸籍または除かれた戸籍に記録されている事項の公開は、現行法における戸籍または除かれた戸籍謄抄本等にかえて、磁気ディスク等をもって調整された戸籍または除かれた戸籍に記録されている事項の全部または一部を証明した書面によりすることとしております。  第二に、市区町村長は、戸籍付票磁気ディスク等をもって調整することができることとし、これに伴い、現行法における戸籍付票の写しにかえて、戸籍付票に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができることとしております。  以上が、この法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 高橋辰夫

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 高橋辰夫

    高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
  6. 山本有二

    山本(有)委員 昨日の六月二十一日火曜日朝刊に、法務大臣が、いわゆる漢文調文体で書かれている現行刑法をわかりやすい表現にしたらどうか、そういう問題を法制審議会諮問をされたということが一面トップで、これは朝日新聞ですが、発表されました。  私はこの中身を拝見いたしまして、いよいよ、明治四十年、そのあたりに近代国家になって基本法をそれぞれ定めていったその法律も、やがて金属疲労を起こしてここで変えていくという萌芽が見えるな、いわば時代の流れ、歴史の流れというものを感じました。同時に、文化というもの、輸贏とか誣罔とかいう言葉、もう既にどなたも知らないような、辞典を引いて初めてわかるような、そういうことになった文化の変化というものを感じました。  そして、いま一つ感じたことは、少し寂しい思いがしたのです。なぜ寂しい思いがしたかというと、私は先般来、マスコミと我が方、行政というもののテーマをずっとやってまいりました。その中で、法務省公表、いわば世間への公表の姿勢というものもお話をさせていただいたところでございますけれども、若干それにかかわることではないか。  どういうことかと申しますと、これは刑法改正案法務大臣法制審議会諮問したその事実は、それはそれで結構なことではございますけれども、やがては我々にも必ず知らされるわけでありますが、その知らされ方が、あくまでも新聞発表を見て、法務委員会にいながら、立法のこの法務委員という立場にありながら新聞で見て初めてわかった、こういうことに対しましては、いわば役所と我々政治家、その間の関係はどうなのかな。さらには、やがてはこの法務委員会改正案が出てくる、そのときでいいだろうという安心感はあるかもしれませんが、我々としましては、やはり国民を代表しているという肩に力が入った考え方をしておりまして、その意味におきましても、やはり大事に扱っていただけないかなという思いで少し寂しい気持ちがするわけでございます。  これは嫌みでも何でもありません。そういう行政立法信頼関係法案であること、さらにこれが重要な改正であり、ほかの法律も、民法だって、さらにはこれから憲法だってわかりやすい言葉に直そうという運動の始まりかもしれません。そんな大事なものであればあるほど、私はお知らせを早目にいただいて、ささいなことでもやはりこの法務委員会の場で大臣から懇切丁寧に御所見を伺ったり方針を伺ったりすることが、行政立法信頼国家機関信頼につながるというように思います。  そこで、あえて冒頭にこの刑法改正のことにつきまして、今後どういった手順で、どういう概要でなさっていかれるのか、その方針諮問されたそのことにつきましてお伺いいたします。
  7. 中井洽

    中井国務大臣 お答えをいたします。  お尋ねのように、法制審議会に対しまして二十日、平仮名化について諮問をいたしたところでございます。これは当衆議院の法務委員会におきましては、平成三年附帯決議におきましてこれを急ぐようにという御決議も賜っていることを受け、研究会あるいは勉強会あるいは協議を重ねて、ようやく諮問をさせていただくところまでこぎつけたわけでございます。この間におきましていろいろと御議論のございました尊属殺規定等他尊属加重規定についても、過般当委員会お答えを申し上げましたけれども、全面削除するということで諮問をさせていただいているところでございます。  これから法制審議会におきまして鋭意御協議、御調査をいただいて、できるだけ早い機会に答申を賜り、法制化を図って国会での御審議をお願いしたい、このように考えているところでございます。  先生からは、新聞で見るだけじゃないか、国会においてはたびたびこういう議論もしてきたし、これから商法あるいは憲法についてもこういう大きなスタートになる可能性がある、一番関心を持ち、また法案を出てきたときに権限を持つ当委員会に諮らなくてどうだという手厳しい御指摘を賜ったところでございます。  私も事務当局に聞いたわけでありますが、法務省におきましては、こういう審議会に諮ると同時に、少なくとも理事の皆さんあるいは委員長、こういうことですよという報告をする慣習がないようでございます。逆に、答申が出た後も場合によってはきちっと御説明に上がっていないんじゃないかと実は初めて気がついたところでございます。  私も幾つかの委員会に所属をしておりまして、役所役所で対応は違うのでありますが、また審議会等に諮ることですから、事前に御相談をというのもいささかはばかるところもあろう、このように思いますけれども、そこのところは十分配慮して、そして十分御関心を持ち、叱咤御激励を賜れるように対策を立てたい、このように考えておりますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  8. 山本有二

    山本(有)委員 それでは戸籍法等改正案お話に移らせていただきます。まず大臣にお伺いいたします。  この戸籍事務に関しましてコンピューター導入する、これがこの法律の主なところであろうと思いますけれども、もう民間企業は、あるいはもう家庭でも、さらには農家でもどんどんとこのコンピューター導入が行われております。しかしこのコンピューター導入というものに対して、既に昭和六十年ぐらいから住民基本台帳導入があったわけでありますけれども戸籍だけどんどんおくれてきた。  まず一つお伺いしますけれども、こんなにおくれてしまった、遅きに失したことについて大臣どう思われるかという点、それについて。
  9. 中井洽

    中井国務大臣 山本先生指摘のように、住民基本台帳等におきましては、六十年ぐらいからコンピューター化の波が押し寄せまして、市区町村におきましては既に八七・八%コンピューター化が進んでいるわけでございます。  この当時から、戸籍についてのコンピューター化研究会等を含めいろいろと御議論をいただいてきたことでありますが、言うまでもなく、戸籍事務国民身分関係を登録・公証する大事なものであり、その事務処理内容民法戸籍法等により厳格に規定されており、全国統一した処理が求められること、あるいはまた、戸籍情報国民プライバシーにかかわるものであることから、そのデータ保護等についての制度的、技術的問題等についてかなり長期間の困難な研究調査、こういったものが要ったと考えております。  しかし、たびたび当委員会で申し上げておりますように、御指摘を賜り、またいろいろな問題が起こり、法務省関係スタートはするのでありますが、なかなか時間がかかることが多いわけでございます。その間に世の中がさらに進んでおる。この問題は法律関係しますが、国民住民サービスということについて考えていかなければならない面もあるわけでございまして、遅くなりましたことをおわびを申し上げ、本法律国会で成立をさせていただきましたならば、できる限り市区町村と十分な連絡をとって、一刻も早いコンピューター化、そしてひいてはサービス向上、こういったものに努めていきたい、このように考えております。
  10. 山本有二

    山本(有)委員 こうしてこの法律ができ上がり、コンピューター導入ができました後、そうした場合に、全国一律な処理というのが早く望まれるわけです。つまり、あちらの市町村戸籍をとってみたら縦書きだった、入ったところからとると横書きだった、一体どうなっているのかという、国民声籍事務に対する信頼というものもありまして、やはり早くしていかなければいかぬというのも一つの大きなテーマではないかと思います。  三千三百ある市町村区々ばらばらにやられるということに対して、若干移行期においてそういう不安を私は感じるわけですが、全国一律に至る時期あるいはそれまでの作業、そういったことにつきまして、おわかりになれば政務次官  局長ですか、それでは局長お願いします。
  11. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 ただいま大臣が答弁申し上げましたように、この研究開発のために大変時間がかかったということでございまして、できるだけ早く全国コンピューター化が実現するように私ども切望しているわけでございます。  御案内のとおり、戸籍事務全国三千三百七十二の市区町村において取り扱われておりまして、これのコンピューター化の実施ということは、やはり各市区町村事務処理体制あるいは財政的な事情、そういったものから市区町村の御判断でやっていただかなきゃならぬということでございますので、私どもとしてはそういう希望を持っておりますけれども、現段階において、私どもとしていつまでに全国市区町村に行き渡るかということはなかなか見通しを立てにくいわけでございます。  現実には、コンピューターメリットが大きい大規模の都市から始まって、順次中小の都市に及んでいくということが考えられますけれども、私どももできるだけの努力はしたいと思っておりますが、コンピューター化が各市区町村に行き渡るまでには相当の時間、あえて申せば十年以上の期間が必要なのではないかというふうに考えているところでございます。
  12. 山本有二

    山本(有)委員 できるだけ早くやっていただかないと戸籍事務に対する信頼というものに対して多少の懸念が残りますので、御努力をお願いいたします。  それで大臣法務行政、まあ司法行政全般そうかもしれませんが、法務行政、特に私は新しいOA機器導入というのが若干遅いような気もするのです。  というのは、例えば検面調書検察官面前調書とか警察官面前調書、あるいは一件書類、こんな事件書類なんか全部手書きでやっていまして、読みづらいし、一般の人は閲覧しても十分わからない、そういうようなこともありますので、法務行政全般というのはいわゆるおくれた事務というようなイメージが出てくる。  そこで、できるだけOA機器とか能率のいいものをどんどん導入してやっていくというのが、地味な法務省という意味じゃなくて、本当に新しい、近代的な法務省というようになっていくだろうと思いますけれども、そんな意味で、仕事の中身からいったらちょっと暗さが伴ったりするわけですから、そういう意味におきましてもOA化導入についてどんどん進めるべきだ、こう思いますが、御所見いかがでしょうか。
  13. 中井洽

    中井国務大臣 先生この問題に御関心をいただいて、御激励を賜ったと承ります。  同時に、国民サービスの面を持つ分野におきましては、例えば出入国管理あるいは登記の面、そして今回御審議をお願いしています戸籍の面、それぞれおくればせながらコンピューター化をス タートさせ、戸籍もかなり年数がたっておりますし、遅々として進まないところもありますけれども、やがては全国法務局においてはすべてペーパーレス登記ができる、こういう時代を迎えようといたしております。  私どもは、当面この出入国管理あるいは登記、そして戸籍、こういったところのコンピューター化OA化を進めると同時に、実は検察事務におきまして、犯罪記録等問い合わせ等に便宜が図れるように既にOA化がかなり進んでおるところでございますけれども、こういう面ももっとやっていくことによって犯罪捜査あるいは事件処理、こういったものがスムーズにいくのであろう、このように考えておりまして、厳しい予算の中ではございますけれども、できる限り御趣旨に沿うよう努力をしてまいります。
  14. 山本有二

    山本(有)委員 コンピューター導入で一番我々が危惧するのは、戸籍情報というのは極めて身分性の高い、身分そのもののことでございますし、そういうものについてはプライバシーが大事になってきます。民事行政審議会答申におきましてもプライバシー保護ということが高らかにうたわれておるわけでありますが、さて、このことが本当に十分担保されているだろうかということを考えましたときに、若干の不安なしといたしません。  そこで、プライバシー保護の観点から十分に作業が進んでいるかどうか、これについてお伺いをいたします。  まず、プライバシーを侵害する危険性、それを防止するために、昭和六十三年の法律で、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律というのがあるらしいのですが、ただこれは戸籍情報については直接適用にはならない、各市町村での話になる、こういうことであります。そうすると今度は、地方自治法十四条一項で、条例でこのことは定めることができないというような機関委任事務でありますから、そこでこれから条例にまつというふうに伺っております。  局長、そうすると今後、コンピューター導入に伴いますプライバシー保護のためにどういうような法あるいは条例が必要なのかということを御質問させていただきます。
  15. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 法律条例関係、御指摘のとおりでございますが、この戸籍事務につきましては、国の機関委任事務ということで、市区町村議会はこれについて関与することが制度上できないということになっております関係で、その条例が直接適用になるということにはならないわけでございます。  そこで、この戸籍コンピューター化に伴うプライバシー保護の問題につきましては、既に制定されておる条例とは別に戸籍情報保護するための市区町村長の定める管理規定というものをつくっていただく必要があると考えておりまして、コンピューター化を始めるに際してはそういう規定をつくって対応していただく、こういうことを考えているわけでございます。その内容については、その法令や条例のレベルに劣らない内容にしていく必要があるだろうというふうに考えております。
  16. 山本有二

    山本(有)委員 そうすると、各市町村長の申し出に基づいて大臣がシステム導入について指定して、官報に告示してこのコンピューターによる戸籍処理をするわけでありますが、それを実行する段階でその条例を作成させる、大体こういうようなことになるわけですか。
  17. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 御指摘のように、市区町村長から申し出ていただいて、システム的な点、それからそういった保護・保全体制が万全であるかどうかということ等について法務大臣でチェックをさせていただいて指定をするということでございますので、そういう管理規定を用意していただくということもチェックさせていただく内容の一つということで考えております。したがって、施行になる前にそういうものをきちんと整備をしていただくということであります。
  18. 山本有二

    山本(有)委員 次に、ちょっと大きい話ですが、三千三百有余の市町村へ全部コンピューター戸籍でシステム的に入った、そうした場合に、今後、そのデータを国で集中管理する、そういう流れになっていくのではないかというようなことも思うわけであります。さらには、国民総背番号制へさらにそれが移行していくというようなこともこのプライバシー等々においては強い関心を示しております。  そこで、この面において、今後長い長い方針の中で、さて、国で全部統括して集中管理することを考えているのかどうか、いないのかどうか。あるいは、次に国民総背番号制、これへの布石というようなことを考えているのかどうか。この二つについてお伺いいたします。
  19. 中井洽

    中井国務大臣 実は、この法案を私も勉強しましたときに、これが全部でき上がったら、例えて言うならば、今、日本人の姓が十数万あるというけれども、幾つあるか実際わからないのですね。コンピューターを入れたら一遍にわかるではないか、あるいは統計をとるのが随分楽だな、こういうことをふっと思ったことはございます。  しかし、それらを含めて、まだ戸籍をそういう統計上であれ全国統一で使うというところには到底許されていないと私どもは考えておりまして、これから約十年余りこのコンピューター化は時間がかかろうかと思いますが、この間、国民の皆様方のいろいろな御意見、そして国会の御議論、そういったものを待って方向を見定めて、今御疑問のありました二つの点を含めて対応を考えていきたい、これが率直な私どもの対応でございます。
  20. 山本有二

    山本(有)委員 次に、具体的に、届け出がありまして、それを今度入力をするという人、コンピューターへ入力するという役場の職員、この人がプライバシーを漏らしてしまいはしないか。これはコンピューターであろうがなかろうが全部同じことであろうと思います。しかし、コンピューターであれば、それだけ皆さんつつける可能性が大いにある。  それは、戸籍事務担当者だけでなくて、よそからもいわば電話回線を使って入り込むことができる。あるいは、同じコンピューター戸籍事務だけでなくて住民票もあるいはそのほかの事務もしている。同じコンピューターでするということになると、つつける人があえてその情報を見ることができるというようなことも十分考えられるわけでありますが、そこらあたりの役場の中でのプライバシー保護について、入力や検索やらあるいは印刷やら、そういうような段階でのその秘密保持についてどういうように手段を講じていらっしゃるか、お聞かせください。
  21. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 このコンピューター化に伴って委員指摘のような懸念があるということで、これは私どもも研究の段階から注意を払ってまいったわけでございます。  戸籍情報にアクセスすることができるのは所定の戸籍事務担当者に限るということをシステム的に担保するようなシステムを考えております。具体的に申しますと、戸籍事務担当者がそれぞれ固有のパスワードを持って、そのパスワードを使わなければ戸籍情報にアクセスすることができないという構造にしております。  それから、他の事務との関係でございますが、戸籍事務というのは、住民基本台帳事務でございますとか人口動態調査事務でございますとか、そういった市区町村の他の事務に対して法令上必要な情報を提供しなければならないという関係にございますが、そういう場合にありましても、その当該他の事務、例えば住民票事務を担当する者が直接に戸籍情報にアクセスして、そこから必要な情報を引っ張り出すことができるというようなシステムにはしないで、必ず法令上必要とされるデータだけをいわゆる中間ファイルに落として、その他の事務の担当者はその中間ファイルにしかアクセスできない、要するにその事務に法令上必要とされている範囲の情報しか知ることができない、こういうこともシステム的に取り組んでおります。  そういうことで、現在でも戸籍簿というものに対しては市区町村は大変に神経を使っておられて、これは他の職員が自由に触れることができないような体制を確保していただいておりますが、コンピューター化に伴って現在以上に情報が自由に漏れるということは万々ないような組織にしております。従来から市区町村ともそういう取り扱いについては注意してもらっておりますが、コンピューター化に伴って一層そういう配慮をしてもらうということも必要なことであろうというふうに考えております。
  22. 山本有二

    山本(有)委員 そのパスワードというのは具体的には戸籍事務の人だけしか知らない暗号みたいなものだろうというように思います。その。パスワード、これはいわばかぎなわけでありますが、これを漏らすというような危険性とか、あるいはパスワードをほかの人が知ればだれでもできるのかとか、そのことについて、あるいはまたパスワードをたった一人しか知らない場合に、戸籍事務がそれで大丈夫なのかなというようなまた逆の意味での不安もあるわけでありますが、このパスワードをめぐるそういった問題についてお聞かせいただきたい。
  23. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 これは、現在でも戸籍簿の記載されている情報をほかの職員に漏らしてということの懸念が全くないわけではないわけですが、そこのところは職員に対する厳重な教育ということで担保しているわけでございまして、そういう関係で重大なトラブルがあったということもないようでございます。  このパスワードの取り扱いにつきましても、これは先ほど申しました各市区町村で定めていただく管理規定、そういったものの中できちっとその取り扱いについて規定を置いていただいて、その具体的な管理の仕方というものについていろいろ工夫がございましょうし、それからこれまで既に住民票事務についてコンピューター化しているということに伴ってのいろいろな工夫もされておりましょう、そういうものを踏まえて、それ以上の厳重な管理規定をつくっていただいて、そこできちっとやっていただくということにいたしたいというふうに思っております。
  24. 山本有二

    山本(有)委員 プライバシーの点、まだまだたくさんあるのでしょうが、最後に、戸籍情報システム開発、それの目的というのは、第一に行政サービス向上を図る、第二に事務処理の正確性と迅速性を確保する、第三に情報の一元化を可能にするというような、あるいはさらにその付随した効果として、誤字、俗字の発生の防止とか、執務環境向上、人的物的面の費用対効果の改善とか、総合的な事務改善への波及効果とかいうのがあるようでありますけれども、すべて一般の民間企業事務処理と同じように大量、迅速に、正確に事務処理が行われるということ、要はこれがまたそのポイントだろうと思います。  そのときにおいて、今のこういうようなやり方の導入について、費用対効果、つまり導入をすることによって能率が上がった、さて、その能率が上がることによって役場の職員のいわば人員を減らすことができた、ここへ来ると非常に大成功になるだろうと私は思うのです。大成功になるわけでありますし、正確なものが出てくれば、それはそれで住民も大変うれしい話でございますが、移行期においては今度は膨大な資料を入力しなければならぬとか、あるいは手書きの方とコンピューターの方と両方併用しなければならぬとか、移行期においては大変なことだろうと思うのです。  ところが、移行期を過ぎてしまうと、それから次の段階へ行きますと、今度は、コンピューターの性能がもっとよくなって、システムをまたかえなければいかぬとかいうような、私も自分の事務所でコンピューター導入してもジレンマがいつもあるわけですね。そういうようなことを考えたときに、この能率アップということと人権の問題、それから予算の問題費用の問題、効果の問題、これについてはどういうお考え、見通し、そろばん勘定でやっているか、お知らせください。
  25. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 まず、効果の点でございますけれども、この効果を数字で示す、生ずる人的メリットを数字で示すということは、各市区町村の実態に応じて違うところがあると思いますのでなかなか難しゅうございますが、要するに相当の人的メリットがある。  現在戸籍事務につきましても、いろいろ十分な審査をすることができないというような問題もございます。例えば、渉外事件がふえておりまして、渉外事件の取り扱いについては、外国の制度等を調査しなければならぬということでありますが、なかなかそういう十分な調査ができない。あるいは市区町村のほかの事務につきましても、もっと充実したサービスをしなければならぬという面があるわけでございますが、その生じた人的メリットをそういうものに振り向けることができるという効果は大変大きいものがあるだろうというふうに考えているわけです。  片や御指摘のように、移行のために相当の経費がかかるという問題がございますが、これはそういった効果と経費を単純に比較するのは大変難しいことでございます。ただしかし、市区町村の方々の意見を聞けば、そういった移行時にかかった経費を、言ってみればその後効率化した分を換算して少しずつ回収していくということでありますが、十年、二十年という期間を考えれば、結果的にはその経費は十分に回復して余りあるということになるのではないかというような考え方を聞いております。  なお、システムをかえるというような問題、コンピューターの本体をかえるというような問題、これは既にコンピューターがほかの事務で入っているわけでございますので、それら全体について当然そういう対応をしていくということで、戸籍コンピューター化したこと自体からくるそういった問題が独自に生ずるということは比較的少ないのではないかなというふうに思っております。
  26. 山本有二

    山本(有)委員 この問題は予算が伴うことでございます。市町村の予算措置というのは、市町村がこのシステムについての費用を払わなければいかぬ、さらにその市町村が負担した分については自治省と法務省との間で交付税で賄うというようになっているとお伺いをしております。その予算措置について、これは十分なものであるかどうか、それから年間どれだけの市町村がこれを導入して、何年間かというような自治省との間で話ができているのか。そのあたり、どうでしょう。
  27. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 予算的な手当ての問題につきましては、いわゆる補助金を新しく設けるというようなことが大変難しいという状況のもとで、私ども、自治省当局に協議するというかお願いをいたしまして、地方交付税の中で対応していただくということでお願いして、これまで自治省当局からは、このコンピューター化が本格化いたします平成七年度から地方交付税による財政措置について前向きに対応できるように検討するというお答えをいただいております。  ただ、具体的にどういう形で対応するかということにつきましては、これはこの法案を成立させていただいた後、市区町村で具体的にどういう計画を持っておられるかというようなこと、そういったことを調査する必要があるというようなことで、そういった調査を経た上で具体的な中身を決めていただく、こういうことでございます。  そういうことで、今後とも私どもといたしましてはそういった関係の必要な資料を提示する、あるいはさらに適正な対応がいただけるように引き続きお願いをするということで対応したいと考えております。
  28. 山本有二

    山本(有)委員 このコンピューターについては、例えばコンピューターウイルスとかハッカーとか、コンピューター自体でいろいろなトラブルというものをよく聞くわけであります。特に私が心配するのは、改ざんの問題、特に相続なんかで養子縁組がいっかとか、あるいは死亡した日時がいっかとかいうものを一日でも改ざん、ずれて入力されたら大変な利害関係を伴うような話になります。そんな意味で、この改ざんについて、あるいは コンピューターウイルス、ハッカーについて、そういう防止措置あるいは手だてというものを十分に考えておられるかどうか、お伺いいたします。
  29. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 ウイルス、ハッカーの問題につきましては、これは専用回線を用いるというようなことで対応いたしたいというふうに考えております。その問題については、これまで住民基本台帳とか私どもの方で展開している登記コンピューター化というような場面におきましても、そういった問題は生じていないということをつけ加えさせていただきます。  それから情報の改ざんの問題でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたことの続きでありますが、システム的にその改ざんが可及的に防止されるようなシステムにしております。すなわちデータの書きかえを行う、データの変更を行うということのためには、必ず戸籍事務処理する手順がございます。受付から受理決定、それから記載内容の入力、最後の校合、そういう手順をそれぞれ担当者が行うわけですが、そういう手順を経た上でないと書きかえをすることができない。それから最後に責任者が校合をするわけですが、その方についてはその人のパスワードをもって校合の入力をしなければ書きかえをすることができないということで、外部から自由に書きかえができるというようなことは絶対にないというシステムにすることにしております。そういうことで、改ざんについては万全の措置を講じていると考えております。
  30. 山本有二

    山本(有)委員 この戸籍法等改正案について、新聞、マスコミ報道、これの関心は、プライバシーよりも別な観点、それは誤字、俗字にあるわけでございます。この問題につきましては我が党の衛藤議員にお任せをするわけでありますが、ともかくさまざまなトラブルも予想されるコンピューター導入であります。  けれども、世界各国の戸籍事務あるいは身分登録制度というものを見ますと、日本が一番進んでいる、日本は、歴代、戸籍役場と法務省との連携を密にして、法令の整備もきめ細かに行われて、それで世界に冠たる戸籍制度をつくっているということでございます。いわば名誉あるその戸籍制度に恥じないような導入にしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  31. 高橋辰夫

    高橋委員長 衛藤日成一君。
  32. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは、続きまして質問をさせていただきたいと思います。  今回、戸籍事務コンピューター化のために戸籍法等の一部を改正する法律案が提出をされましたが、この改正趣旨、目的についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  33. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 御案内のとおり、戸籍事務は国の機関委任事務といたしまして市区町村長において処理していただいているところでございますが、現在、市区町村におきましてはいろいろな事務においてどんどんコンピューターシステム導入され、拡大されてきております。戸籍事務と最も関係の深い住民基本台帳事務につきましては、現在、全国市区町村のうち八七・八%の市区町村においてコンピューター処理をされているということで、もう既にコンピューターが各市区町村にほぼ全般的に行き渡っているという状況にございます。  そういう中で、市区町村長としては、国から預かっている戸籍事務だけがコンピューター化することができない、そのためにせっかくのコンピューターを利用することができない。コンピューター化すれば、先ほど来申しておりますように、国民あるいは市民に対するサービスの向上という面からも、また行政の近代化、効率化という面からも大きなメリットがあるわけでございますが、そういうメリットを生かすことができない。そういうことで、かねてから市区町村から戸籍事務コンピューター化することができるようにするための法改正ということを切望されていたわけでございます。  そういう切望がありながら、いろいろシステム的に統一的な基準を確保しなければならない、あるいはプライバシー保護、データ保護といったことについて、ほかの事務と違ったとりわけの配慮をする必要があるということから、研究に少々時間がかかってまいったわけですが、その研究の成果がまとまりましたので、これなら大丈夫ということでコンピューター化のための法案を提出させていただいた、こういうことでございます。
  34. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 日本の戸籍は世界に冠たるものだ、一番整備されているというぐあいに言われていますけれども、日本の戸籍は一体いつぐらいからでございましょうか。何年くらいの歴史を持っているのですか。
  35. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 我が国の戸籍制度が初めてできましたのは明治五年、これは明治五年の二月一日から施行されております。明治四年の太政官布告によって戸籍制度制定され、そこからスタートしたわけでございます。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  36. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それ以前には日本においてはなかったのですか。歴史の教科書には時々そのような日本の整備された戸籍という話が出てきておりますけれども
  37. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 それ以前にも住民を把握するための帳簿というものはいろいろあったと承知しておりますが、全国的な規模で、体系的な形で戸籍制度が初めてできたのがその時点ということと承知しております。
  38. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 いわゆる近代化の中で出てきたのは明治でありましょうけれども、日本においては、これはもう八世紀ぐらいからずっとあるわけでありまして、そういう蓄積がある中で明治の時代に集大成されたというのが実情だと思いますので、そこのところはちゃんと把握しておぐべきじゃないかなというぐあいに思います。  それから、今回答申が出された民事行政審議会委員の構成を見ておりますと、大体法律関係法務省関係の方々、家庭裁判所の関係の方々、それからコンピューターの専門家というか、コンピューターの会社の方々やコンピューターに関する大学の先生、あるいは民法の大学の先生とか、そういう方がいらっしゃいますけれども、実際に戸籍というのは、明治以来だけの戸籍じゃありませんで、昔から日本においては実質的にはいろいろなところで整備がなされてきたわけで、これは日本のいろいろな歴史を知る上で貴重なものになっていることは事実でありますね、今あえてそこのところは言われませんでしたけれども。  そういう意味では、この審議会のメンバーの中に何か抜けているものがある。一つは、国語の先生だとか国文学者だとかあるいは歴史学者だとか、本来そういう人たちも入ってこないとおかしかったと私は思うのですね。ですから、今回の議論が極めて事務的な関係だけで進められてきた感がある、審議会のメンバーの選び方一つにしましても、そういうぐあいに思っていますので、そのことだけまず先に言っておきます。  それから、法務省のこれまでの取り扱いによると、戸籍事務コンピューター化によって、国民の一割ぐらいの方々の氏名、姓名に用いられている字が変更されるというぐあいに当初聞いておりました。戸籍に記載されている字には、名字なら名字なりのその家に関するいろいろな歴史あるいは思い、そういうものもあるでしょうし、また名前も、親がつけた名前ですから、それぞれの親の思いも込められているというぐあいに思います。  そういう意味で、今回のコンピューター化によって、法務省の基本的な態度というのは、何かもともとある戸籍というものをコンピューターに合わせろというような基本的な姿勢によって貫かれてきたのではないのか、そんな考え方によって運営されてきたのではないのかという感じが私はします。  むしろ、現在戸籍というのはちゃんとあるわけですから、それをいかにコンピューターの中に全部持っていくのかということが問われているわけでありまして、人間にコンピューターを合わせろということの方が先決だったと思うわけでありま すが、そのことについてどうお考えですか。
  39. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 今委員指摘のありました法務省としての当初の考え方、これは戸籍というものが、もちろん国民一人一人の大事な姓名というものを取り扱っているわけではありますけれども、やはり国の事務として、国民一般に必要に応じて公証するというものでございますから、基本的には、できるだけ国民一般に理解いただける標準的な書き方で記載すべきではないかという考え方に基礎があったわけでございます。  ただ、しかしながら、この法案提出の段階におきまして、国会議員の方々等から、それでは国民のそれぞれの字の書き方について感じておる愛着というものに対して余りにも配慮が足りないのではないか、こういう御指摘をいただいたわけでございます。  そういうことを踏まえまして、やはり戸籍というものの制度の建前ということだけではなくて、行政としてはそういうものについてできるだけ配慮をするという必要があるだろうということで、いろいろな書き方についてもできるだけの対応をさせていただく、さらに、どうしてもその字のまま残してもらいたいという人に対しては、そういう道も用意するというようなことで対応をさせていただくという考え方を現在持つに至っているわけでございます。  コンピューター化との関係におきましては、これはコンピューターに入れるということになりますと、いろいろな書き方がされている関係でそのすべてにどうしても対応できない部分があるというようなことも踏まえまして、そういう中で、今申しましたようなことで、できるだけそういった愛着に対しても親切な行政ということで対応させていただきたいというふうに考えているところであります。
  40. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 当初の法務省の案では、コンピューターに入らない方々、いわゆる氏名の書きかえを要求される方々は一千二百万人ぐらいいましたね。それらの方々は、一応理解を求めるけれども、事前に何も話がなくて、結果的には全部コンピューターに入れてしまう、入らない分はだめですよというぐあいになっていましたね。  私は、今回のコンピューター化に伴って法務省の基本的な姿勢がどうもやはりおかしかったのではないのかというぐあいに思っています。なぜ最初から、一億二千数百万人の我が国のいろいろな人がちゃんとした自分の戸籍を持っているわけでありますから、そのすべての姓名に用いられている多様な字を、そのすべてをコンピューターに対応するという基本姿勢で臨まなかったのか、ここはやはりわからないところですね。どうしてもコンピューターに入れるためにはこうですよ、だからあとの人はこの字はカットですよ、この字は、今までの説明によると、誤字だとか俗字だとかいろいろ言われるもので問題ですよなんというような言い方を出していましたけれども、このところについて、何ゆえにすべての字についてコンピューター対応しなかったのかお聞きしたいと思うのです。
  41. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 二つの問題があるわけでございますが、先ほども申しましたように、私どもの当初の考え方というのは、戸籍というのは国の事務として処理するものであるということから、その戸籍の記載は国民一般に理解できる書き方という書き方で書く方向に持っていくのが適当であろうという考え方を持っていたわけでございます。  そういうことで、そういう方針を当初考えておりましたが、その後御指摘をいただいて、そればかり考えているのは適当でないだろう。とりわけコンピューター化ということで一度に一市区町村に本籍を持っている方の記載を変えるということになるわけでございますので、そういう場面で私ども戸籍の理念ばかりを言っているわけにはまいらないだろうということで私どもも反省いたしまして、御案内のような取り扱いをさせていただくということにしたわけでございます。  なお、もう一つコンピューター対応、コンピューター戸籍に対応する、あるいはすべてに対応するという姿勢でなぜ臨まなかったのかということでございますが、これはコンピューターといってもやはり取り扱うことができる字の数におのずから限度がある。従来から御説明しておりますように、一つ一つの字にそれぞれいろいろな箇所でいろいろな書き方がある。これは筆の運びとかあるいは書き癖とかあるいは書き誤りとか、そういった長い歴史を経て一つの字について、言ってみれば数え切れないぐらいのいろいろな書き方があるということでございますので、どうしてもコンピューター対応することができない部分がある。  そういうものについては、これはそれぞれの国民の姓名を実質において変えるものではないわけでございまして、同じ字の書き方を標準的な書き方で書かせていただくということでございますので、そういったものについては御理解を賜れるだろうというふうに考えてまいったわけであります。
  42. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今言われたそういう考え方の中に幾つか本当は問題点があるのです。字の愛着に配慮という言い方は非常に傲慢に聞こえるのです。その人その人の持っている戸籍なのです。これは国からいただいた戸籍じゃないのですよ。  私の衛藤なんというのは、これはもう難しい字で、大分県ぐらいしかありませんからね。その衛藤の「衛」が、私はたまたまいわゆる皆さん方が言う正しい字というのかな、漢和辞典の最初に載っている字を使っておりまして、衛藤の「衛」という字は十三通り、皆さん方が誤字だとか言っている字ですね、それが十三あります。それから「藤」というのは三十四あるのです、実際。これはたまたま皆さんからいただいた資料でありますけれども。  しかし、そのうちのどの字を使おうとも結局は自分の字なのですよ。それに愛着があるという言い方で、それを何かある程度認めてやろうというような形にしか聞こえないのです。戸籍というのはそんなものではない。国からもらったものじゃないし、名字であればその家その家にそういうものがあるわけでありまして、私のところは分家ですから、私は標準的な字に変えましたけれども、たまたま変えましたけれども、それはその家その家の勝手というより自由なのです。  そういう発想をずっとやっていくと、昔の創氏改名みたいなことになりはしないかと思って私は非常に心配しているのです。そのことをまずひとつ言っておきたいと思うのです。いわゆる愛着に配慮、配慮という言葉は実は行政の傲慢ではないのか。  それから理解される字、標準的書き方と言うけれども、それはより多くの方が使っているという意味ではあるのでしょうけれども、それで辞典の中に次第次第に出てきたのだけれども、辞典に出てこないちゃんとした字だって幾らでもあるのですよ。それは過去のずっと長い歴史の中で、今使われなくなった字だとかいろいろなものがある。それをただ現時点から誤字だとかいろいろ言っているにしかすぎないのだということを、そういうものはやはりちゃんと基本的な認識として持っておかないといけないと思うのです。  それからまだあります。コンピューター対応ができない。それは対費用の問題であって、今私どもが使っている戸籍にある字を全部コンピューターに入れることが可能か不可能かと聞けば、コンピューター関係の会社の方々や専門家は可能だと言うのです。それは後、費用の問題で私ども皆さん方とやりとりしなければいけません。コンピューター対応できない。全部をすることは不可能だと言ったけれども、全部をすることは、聞けば可能です、これは。それはお互いにわかっているでしょう。  ただそれに大きなコンピューターを使わなければいけないとか云々という話があるだけの話であって、このことは一応言っておかないと、だから皆さんの事務を、戸籍を全部スムーズにやろうと思ったら非常に大きなお金がかかります。コンピューター、大きなものを入れなければいけませ ん。それで、入れなければいけないのだけれども、今それが全部はできないから、ひとつ皆様方のどうしても入れることが経費的に見て不可能な字については前のままさせてくださいよというぐあいにいくべきだと思うのです。  しかし、法務省の今まで出してきたのはそうじゃないでしょう。我々が指摘して、一部は苦情が出たら何とかやってやろうというような形なのです。これはまた後で改めてやりますけれども、そこのところの認識をまずしておいていただきたいというぐあいに思っています。  それから、今回俗字が大変多く取り扱われるようになったということであります。それによって当初よりも一千万人以上の方々が書きかえをしなくて済んだということであります。従来使われていた俗字が百五十五字ということでありますが、今回の変更によってどれぐらいの俗字等と言われるものが入力可能になったのか、可能としたのか、そのことをちょっと教えていただきたいと思います。
  43. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 私ども、漢和辞典に登載されている字は、俗字とされているものであってもコンピューター対応をするという取り扱いをさせていただくことといたしておりますが、漢和辞典すべてに当たってその字を数えるということはまだよくしていないわけでございますけれども、そういう俗字と紹介されているもので人の氏名に用いられているような字ということで申し上げれば、これは大変大ざっぱな見当でありますけれども、大体二千字前後になるのではないかなという見当を持っております。
  44. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 私は、このことについて法務省の皆さんが御理解をいただいたということについて、大変大きな評価をいたします。二千字の俗字を新たにコンピューターに入れることによって、一千百万人の方々の名前が書きかえなくて済んだわけですね。  実は、先ほど言いましたけれども、ここに法務省の基本的な認識の問題点があったと思います。コンピューターでたった二千字ふやすということは、ほとんど経費もかかりません。ソフトをちょっと組みかえればいいだけの話ですね。だから、最初にやるときから可能なのですから、その可能なことで我々が指摘することによって一千百万人の方々が書きかえしなくて済んだ。結果的には非常によかったわけでありますけれども、しかし、たった二千字入れることによって一千百万人の方々が救われるようになるということは、当初からわかっていたはずなのですね。わかっていたにもかかわらず俗字を戸籍の中から全部除いてしまおうとする基本的な考え方が法務省の中にあったと私は思いますけれども、それについてはどうですか。
  45. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 この点は、先ほど来申し上げましたけれども、従前の考え方としては、戸籍事務というもののあり方という専らそういう観点から、やはり戸籍に記載する字は、漢和辞典等で正しい書き方といいますか標準的な書き方とされているもので記載する方向に持っていくべきだ、そういう考え方が基礎にございまして、当初考えていたような取り扱いを考えておったわけでございます。ただ単にコンピューター対応という観点からだけではなかったわけでございます。  ただ、そういうことだけ考えるということについて、今回、反省をさせていただいたということであります。
  46. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 大変な御理解をいただきまして、大変ありがとうございました。  この際ですから、私はぜひ要望させていただきたいのですけれども、やはり戸籍は数学的にぼっと取り扱えるものではなくて、その家その家の考え方があります。きのう、たまたまある新聞に、村上正邦参議の「私見/直言」というのが出ておりました。こういうぐあいに出ています。  共産主義や全体主義の国ならいざしらず、個人の尊厳と自由・平等を守るわが国において、こうした強権的な思想、上意下達の考えで、個々人の姓名を一方的に改変するというこの法案の基本にある考え方に、私は強く反対した。ましてや名字は先祖代々の家の歴史・個人のルーツそのものであり、名前の一点一画には、親が子の幸せを願う切なる思いが込められている。行政や機械の都合で人の名前を勝手に変えるのは、断じてあってはならないと思ったからである。 こういう文をたまたま目にしましたけれども、ぜひそのような形の御理解をいただければありがたいなというぐあいに思っています。  それでは、今回の俗字を二千字ふやすことによって一千百万人の方の変更をしなくて済んだということになりますが、それでもコンピューターに入らないであろうと思われる人たちの数は何人ぐらいいらっしゃるのですか。
  47. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 先ほども申しましたように、一つ一つの字についていろいろな書き方がある、一つの字についても、なかなかこれだけで全部だということを見定めることができないという状況にあります。  それが、すべての字についてそういう書き方があるわけでございますので、そういった漢和辞典に載っていないような字の書き方の種類ということになりますと、その字の数だけでも相当な数になるだろう。そういう一つの字について、一人だけ使っていられる場合もあるでしょうし、あるいは一家族だけということもございますでしょうけれども、そういうことでございますので、そういう字を使っていられる人が何人残るかということは大変推計しづらいことでありますが、あえて申し上げれば、今までのように、字の数自体が大変多うございますので、少なくとも何十万人というレベルの数字にはならざるを得ないだろうというふうに思っております。
  48. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 何十万人というのは、五万や十万ではない。何十万というのはどれぐらいなのでしょう。五、六十万、七、八十万ということですか、二、三十万ということですか。もうちょっと幅はわかりませんか。三十万から五十万だとか、五十万から八十万だとか、何かちょっとあると思うのですけれども 何十万だけというのは全くわかりませんので、もうちょっと詳しく数はわかりませんか。
  49. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 そういう具体的な数字で申し上げられるだけのものはございません。お許しをいただきたいと思います。
  50. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 まあ、何十万人の方々が残るということであります。  では、私は、今度はこの残る方々のことについて、この取り扱いについて改めて御説明を求めたいと思います。何十万の方々についてはどうするのか。これも、途中私どものいろいろな意見もお聞きいただいて変更いただきましたが、具体的にどのように変更したのかということについて御説明いただきたいと思います。
  51. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 そういう方々については、コンピューター化に際してはいわば標準的な書き方に入力させていただくわけでありますが、そういう場合については、必ず事前に御本人に通知を申し上げる、その結果、御本人からの苦情の申し出がありますれば、私どもコンピューター化趣旨とか、あるいはコンピューター化してももとの戸籍は簿冊で原戸籍として半永久的に残ります、したがって、それについて証明書はいつでも発行することができますというようなこと、それから、これは戸籍の記載の上で標準的な書き方で書くということだけであって、社会生活においてどのように使われるかということに行政が介入する趣旨では決してない、そういうことで、御本人が大切にしておられる字を国が変える、書き方を変えるという性質のものではない、そういったことを十分御説明をして、できるだけ理解を得てコンピューター化をするということにいたしたい。  なお、どうしてもそういうことが承服できない、やはりもとの簿冊のまま残してもらいたいという人、そう御説明を申し上げれば大部分御理解いただけると思いますが、そういう方々についてはコンピューター入力をしないで、現在の簿冊のまま 別に管理し、それによって戸籍謄抄本を発行する、こういう取り扱いにいたしたいと考えております。
  52. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 まず一点目の、事前に本人に通知する、これはもう大変な収穫でございまして、前のときはそうではございませんでしたので、これはまず評価をさせていただきたいと思います。  二点目の、個人、本人から苦情があった場合には、これについて説明をして御理解を得るように努めるとありましたが、私はここがちょっと基本的な認識の問題だと思っております。苦情があったときではなくて、ぜひここは本人から理解を得られたとき、苦情ではなくて、ああいいですよと言ったときですね、だめですよと言ったときというのとはこれは全然違うのですね。そんなに年じゅう戸籍謄本だとかいろいろなものをとるわけではありませんから、ぽっと話があったときにぴんと来ないかもしれません。明確にノーと言った人ではなくて、イエスと言った人を切りかえるというぐあいにぜひこれはしてもらいたいと思うのですね。でないと、何かよくわからないうちに、あなた文句を言わなかったじゃないか、だからもうその間にちゃんと書きかえたよというような話になるのですね。行政とか、あるいは行政的な権力を持っているということを十分に御認識いただきたいと思うのですね。  庶民というのは役所に行ってちゃんと自分の主張というのはそんなにできないのですよ。あなたはあのときにちゃんと苦情を持ってこなかったからもうだめですよと言ってしまえば、それで最後になってしまうのですからね。一応は経過措置をとるということになっていますが、本人から苦情があった場合にはではなくて、本人が了承した人のみは、その字の書きかえに応じる人のみは入れるというぐあいにぜひしていただきたいと思いますが、その考えはありますか、ありませんか。
  53. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 繰り返しになりますけれども、ぜひ御理解賜りたいのは、現在の字は原戸籍という形で半永久的に残るわけでございます。それから、社会生活で使われるということについて介入するつもりはないわけでございます。しかも、今回コンピューター化へ対応することができないのは、いろいろなそういう書き方の問題でございます。そういうことでございますので、これはやはり先ほど申しましたような対応をもってぜひ御理解を賜りたいというふうに思っております。
  54. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それはやはり困るのですよ。普通使うときは勝手に使っていいですよ、しかし証明書を出すときにはコンピューターの字で了承してくださいよ、それで出しますよとなると、その人たちは二つの戸籍を持つことになる。基本的にこれはおかしいんですよ。  それから、それでも嫌だという人は、もとの原簿から持ってきて出してあげましょう、おかしいんですよ。だから、そういう人はもとのまま使えばいいのです。これで事務の簡素化になるなんということは、大した費用ではないのだから。  いわゆるコンピューターに入れるために書きかえを要求される方々、要望される方々が数十万出ます、だからその人には事前に知らせますということになったのだから、これはもう大変な成果だから、今度は苦情があった場合ではなくて、了承した人だけは入れてください、入れない人は今までどおりちゃんとした原簿でもってやってくださいというのを私は言っているのですよ。権利を守れと言ってるのですよ。  戸籍は、それは法務省の考え方の中にもともと、いろいろな漢和辞典に最初に載っている字以外は全部何か俗字だし、誤字だとかいろいろあるだろうから、こんなのを整理をするんだという考えもあるかもしれないけれども、その人その人の戸籍なんですよ。事務の不都合で変えられたんじゃたまんないんですよ、これは。しかし、それでも今は新戸籍もちゃんとできるわけですから、その人がそのことを了承したのならいいのです。しかし、最初にちゃんと苦情として言ってきた人だけの面倒を見るという発想は、やはり行政の傲慢ですよ。  ですから、事務手続は多少煩雑になってもそれは最初だけですから、大したことはありませんから、ここのところをちゃんと整理をしていただきたい、これは私は強く要望しますよ。でないと、これはやはりとんでもないことになります。最初の一千二百万という方からやっと数十万という単位になったのです。この人たちの権利もちゃんと守られる必要があるというぐあいに思います。ですから、事前に本人に通知をし、そして皆さん方が言ういわゆる漢和辞典に載っている字に書きかえることを了承した人の分は、新しいコンピューターにそういうぐあいにして入れてください。そうでない人については、やはり本人の権利が守られるようにというぐあいに思います。  もう一つ、これは長期的に見れば、先ほどの山本議員の対費用効果のお話の中に、局長さんのお話の中にもありましたが、これを見ると、十年、二十年とかかるだろうと言っているのですね。コンピューターの技術はまだ日進月歩しているのですね。専門家に聞くと、現在においても全部を入れることは可能だと言っているのです。ただ、それは費用との関係なんでしょうからね。この技術革新の時代にもっともっと費用においてもそれは可能になってくると思うのですね。ですから、正当な権利として、数十万人の方のものを、イエスと言わない人はちゃんと残す、それから、それらの人々の字が、費用的に見てもコンピューターに入れることが可能になってくるのなら入れればいいという基本的な姿勢をぜひとっていただきたいと思うのです。これについてどう考えますか。
  55. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 コンピューターの将来の発展性ということについて、私、専門外でありますから詳しくは存じませんが、私どもが専門家から聞いておるところでは、そういう字を膨大に取り扱う、字が入るだけではだめでありまして、その中で有機的に動かなければならないわけですが、膨大な字を取り扱っていろいろな事務処理する、そういうコンピューターというのは、これは専らそれだけのためのコンピューターであって、それは特別のシステムになりますからほかの事務には使えない、それだけ、戸籍だけの特別のシステムとしてしか考えられないということでございますので、これは将来のコンピューター化の発展によって、要するに漢字をたくさん取り扱うことについて特別の能力を持ったコンピューターということでございますので、なかなかそういうものを一般にというか市区町村に現実に使ってもらうというようなものとしてつくることは難しいのではないかというふうに聞いており、理解しているわけでございます。  それから繰り返しになりますけれども、先ほど来衛藤先生からは、これまでこういう対応をさせていただくということについて一定の御評価をいただいたことを感謝しておりますけれども、私ども、そういう処理をすることについて、事務処理をお願いしている市区町村に対しては当初考えていたよりも非常に大きな負担をかけるということになるわけでございまして、そういうことを考えながら、しかし、いろいろ御指摘、御指導をいただいてここまで対応するということにさせていただいたわけであります。そこのところをぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。
  56. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 対費用効果でいいますと、先ほど局長さんが言いましたように、十年、二十年かかる。極端に言えば、今までの戸籍で、手書きしていたのでも結構やれるわけです。しかし、いろいろな連結をしていこうと、将来総背番号になるのかどうか知りませんよ、それをもくろんでいるのかどうか、それは私どもにはうかがい知れないところでありますけれども。  ですから、このコンピューター化による費用というのは、実質的に具体的にどういう形で合理化がなされていくのか、迅速化がなされていくのかということは、はっきりだれもおっしゃいません。そうであろうと言うだけであって、では具体的にどうなるのですか、それを数字で出してくださいと言っても、一回も出したことはありませんよ、法務省は。先ほど初めて山本委員の質問に対して、この対費用効果については十年、二十年かかるか もしれないということを言葉で言われましたので、恐らく私もそんなものだと思うのですよ。まずはそういう状況だということをよく認識してもらえばいいと思うのです。  そういう中でやるわけですから、確かにある程度の大きなコンピューターを持ってくれば日本の今の戸籍は全部入っちゃうというわけですからね。これは私も通産省の関係の方とかコンピューターの専門家の方に聞いたら、できますよ、今はそういうのはソフトをいじくれば幾らでもできるんです、そんなもの難しいことじゃないですよと。ただ、皆さん方がどうしても大きなコンピューターを入れると費用の問題があると言うから、それは百歩譲って私は、ああ、そうですがと言っているんです。  しかし、基本的な姿勢において、戸籍は本人のものなんですから、それを国が故意に変える、あるいはコンピューターの容量の問題から変えるということは基本的に許されない。しかし、本人が了承したもののみそれをすることができるというぐあいに基本的な認識を持たなければならないということを私は言っているのです。  皆さん方のいろいろな最初からの考え方の中に、最初は一千二百万人の方々が一発で書きかえられるというところだったんですよ。しかし、いろいろな意見が出てきて、いわゆる俗字というものをたった二千入れるだけでも一千百万人の方の名前が救われてきたということであります。あと数十万と言われている方々については、そのまま残す。しかし、本人が了承するんだったら私はいいと思うのですよ。しかし、それ以外の方、苦情を言ってきたからということじゃなくて、了承した人のみはそれは許されると言っているんです。そのことの基本的な認識をぜひ持っていただきたいと思います。これは強く要望いたします。  それからもう一つ、新戸籍をつくったときはどうなるんでしょうか。そして、名前の方は今はもう使う字が限定されているでしょうから、名字については、私はこの中に入らない、しかし、やはりそれでも新戸籍としておやじの家の字を使いたいといったときにはどうなりますか。
  57. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 新戸籍という趣旨がちょっと私ども理解できなかったわけでございますが、姓を新たにつくるという場合というふうに考えますと、新しくその姓をつくるという場面、例えば新しく日本国籍を取得した人が新しく自分の姓を定めるというような場合につきましては、これはこれからの処理でございますので、いわば漢和辞典等の一般的な字で名前をつけていただくということになるわけでございます。
  58. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは、名字の方がコンピューターの字になくても、それはちゃんと認めるということですね。  例えば、結婚したときなんかに戸籍を別につくりますよね。ということでありますから、新戸籍というのは全くあれという意味じゃありませんから、勝手に名前をつくるとかいう意味じゃありませんから。そこのところはどうですか。
  59. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 先ほど質問の趣旨を取り違えておりましたが、結婚して新しく戸籍をつくる、本籍を一応転籍して、そこで新しく戸籍をつくるという場合の現在の取り扱い、これは民事行政審議会平成二年の答申に基づいてそういう取り扱いをしているわけでございますが、これまでの取り扱いを、先ほど来申しております今回のコンピューター化の対応をするということとの関係においてどうするかということにつきましては、これは民事行政審議会等にも再度お諮りして、それとの整合性等を考えながら検討をしていきたいというふうに思っております。
  60. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 最後に、これ以上議論しても、今から検討ということでありますので、結婚したりして新しい戸籍をつくったりするときも親の家の名字をちゃんと使いたい、それがコンピューターに入ってないときでもぜひ使えるようにしていただきたい、このことは要望しておきます。  それから、今質問申し上げましたような一連の手続については、これは私は、局長通達じゃなくて、やはりちゃんと省令、規則のような形でやっていただきたいと思います。  日本の近代化に伴う戸籍というのは明治五年からできたかもしれませんが、もちろんそれ以前にも日本にはちゃんとしたそういういろいろな形の戸籍があるわけでありまして、その戸籍はまさにいろいろな文学の宝庫であったり、言葉の宝庫であったり、いろいろな歴史の宝庫であったり、いろいろなものがあったりしているわけでございますので、これはぜひ大事にしていただきたい。  そういう意味も込めて、この変更については、手続については、局長通達という形で一方的にやられるのではなくて、必ずいろいろなところでチェックを受けなければならない省令だとかあるいは規則というような形でやっていただきたいということを最後に要望申し上げまして、終わります。  以上です。ありがとうございました。
  61. 山本有二

    山本(有)委員長代理 大口善徳君。
  62. 大口善徳

    大口委員 公明党の大口善徳です。改新、さきがけ・青雲・民主の風の御了解を得まして、質問したいと思います。  まず、戸籍に関する事務は、国の機関委任事務と言われております。この機関委任事務につきましては、地方自治の観点から整理合理化し地方公共団体の事務とするということが、つまり機関委任事務から団体委任事務にということが臨調、行革審答申においても非常に主要課題になっております。行財政改革、地方分権を推進するため、国と地方の関係、あり方についてこれを考えていかなければいけない、そういう観点からいきますと、現行の機関委任事務というものは原則として廃止して団体委任事務でいくべきだ、こういう有力な考え方がございます。  この点につきまして、戸籍事務については、これはどうしても機関委任事務でなければいけない、団体委任事務では困る、そういうような明確な理由があるのか。あるならば、そのことについてお答え願いたいと思います。
  63. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 行政改革、地方分権ということが言われておることは承知しておりますが、この戸籍事務は、これは申し上げるまでもないことでございますが、国民身分関係を登録してこれを公証する、また、婚姻等の届け出を受理して身分関係の形成にも関与するという事務でございまして、その当該地域の住民のみを対象とするものではないわけでございます。現在、住居地以外のところに本籍を持っておられる方はたくさんおられまして、これからだんだんふえていくということもあるわけでございます。そういうことでございますし、また、日本国民、日本国の国籍を有する、そういう公法上の身分関係を登録し公証するものでもあるわけでございます。  さらには、事務の内容は、民法等の諸法規の具体的な適用にかかわるというものでございますので、これはどうしても全国統一的な処理全国公平な処理ということを確保する必要がある、そういうことからこれまでも国の事務とされてきているものでございまして、こういった性格から私どもとしては、どうしてもこの事務については、国の事務として全体統一的な管理をする必要があるというふうに考えています。     〔山本(有)委員長代理退席、斉藤(斗)委員     長代理着席〕
  64. 大口善徳

    大口委員 今回、コンピューターのシステム化による戸籍事務処理によって、大量の情報を迅速かつ正確に処理することができるようになり、行政のサービスの向上が図られるわけであります。特に、この行革論議が叫ばれておる中で、やはり事務の効率化、歳出の削減ということからいきましても、情報化をしていくということが非常に大事になってくると思います。  今回の戸籍事務につきましても、戸籍事務、これは検索そして記録、審査、これが効率化する、あるいは関連事務につきましても、統計、報告事務、これも効率化していく、こういうことを聞いておるわけでありますが、このようなコンピューター化導入によって事務がどう効率化していく のか。平成二年度の東京都内の二市八区において戸籍事務の実態調査も行われた上での導入であるということも聞いております。  そういうことで、大都市あるいは中小の都市においてで違うと思うのですが、場合を分けて、例えば人件費等がどれぐらい削減されるのか、そういう試算的なものがあるのじゃないかと私は思うのですね。また、事務処理上何%ぐらいカットされるのか、事務処理時間がどれぐらい短縮されるのか、このようなことについてお伺いしたいと思うのです。  この説明の中でも、戸籍謄本の交付の時間が十五分から五分、三分の一に削減される、こういうような説明を伺っておるわけでありますが、私は、こういうようなことは、これから行革を進めていく中において非常に大事な視点である。そういうことから法務省で、これだけ合理化ができるんだということをもっと声を大にして説明すべきである、それが国民に対する理解を得るための大事な条件じゃないかと思います。その点、いかがでしょうか。
  65. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 その点について具体的な数字を示さないということでは今御質問いただいた衛藤委員からもおしかりをいただいたところでございますが、これはやはりなかなか、単に時間をもって、ストップウォッチを押してということで推しはかることができるものではないわけでございますので、具体的に数字をもって示すということは大変難しいものであるということは御理解をいただきたいと思います。  その生じた人的メリットというものは、やはりこれまで十分になし得なかった戸籍事務の充実、さらには、市区町村、いろいろ市民からの要望も多様化し複雑化しているという中で、そういったことへの振り向けというようなことで大きなメリットがあるということは市区町村から聞いておるところでございますし、また、これまでの、例えば住民基本台帳事務コンピューター化によってどうであったかというようなことも伺いまして、やはり市区町村によって、いろいろ規模の大きさとか、そういうものによって違うということでございますので、甚だ申しわけありませんが、数字をもって示すということができないということを御了承願いたいと思います。
  66. 大口善徳

    大口委員 ただ、例えば東京の二市八区ではこういう実態調査もされているようですので、例えば東京都の場合はどうなるのか、そのあたりはわからないんですか。
  67. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 ただいま御指摘調査というのは、現在取り扱っているペーパー処理上の問題点について調査したということでございまして、コンピューター化した場合と紙で処理する場合の時間の比較ということまで調査したものではないというふうに承知しております。
  68. 大口善徳

    大口委員 コンピューター導入するわけですけれども、これは市町村に非常に財政的な負担が大きいわけです。ハードが今住民記録で八七・八%実施されているということです。これはバージョンアップすればいいんでしょうけれども、そうでないところは、ハードの新規導入もあります、ソフトの開発もあります、あるいは戸籍情報のファイル作成作業、こういうものにも非常にお金がかかる。  こういうことにつきまして、地方交付税で対応するということでありますが、超過負担等にならないようにしなければこの推進がスムーズにいかないと私は思うんです。この点についてどうお考えでしょうか。
  69. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 コンピューター化に伴う経費につきましては、今御指摘のように大多数の市区町村ではコンピューター本体は入っているわけでございますので、まずそういうところから戸籍事務についてもコンピューター化されるということであろうと思っております。一番経費として大きいのは、やはり現在の紙の記録を磁気ディスクに移しかえるという移行作業の経費であろうと思います。この経費、相当の経費がかかるわけでございまして、本来ならば、そういう経費について国の方で措置をすることができるということが可能ならば最も好ましいことであろうと思いますけれども、補助金というものについては閣議決定をもって厳しく抑制するということになっております等のこともございまして、そういう状況の中で、自治省と協議し、お願いして、地方交付税の中で対応していただくという方向での回答をいただいているところです。  先ほども御答弁しましたように、その中身、具体的にどうするかということについては、市区町村がどういうコンピューター化の計画を持っておるかということ等をこれから調査して決めていただくということでありますが、その中で私どもとしては、できるだけ適切な対応をしていただけるように、引き続き自治省と協議、お願いをして努力をしていきたいと思っております。
  70. 大口善徳

    大口委員 今回のコンピューター化によりまして、登記事務あるいは印鑑証明発行事務、こういうこととの関係で支障等がないかどうか、これをお聞かせください。
  71. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 まず、登記事務関係でございますが、登記事務処理上は、既に必ずしも戸籍の記載どおりの書き方をそのまま使っているというわけではございません。  それから、今回のコンピューター化に伴って、字の書き方がコンピューター入力することによって変わってくるという方々について、そういう人が社会生活で、あるいはそういう登記等の窓口でも、やはり自分が自分で書く、いわば自分で署名の部分についてはこういう字を、書き方を使いたいということに対してはできるだけそういうお気持ちに配慮するという取り扱いを、登記でございますと私どもの所管でございますし、関係の各機関にもそういう努力をお願いしたいというふうに思っております。したがって、そういう関係で問題が生じないように配意をいたしたいと思います。  それから、印鑑登録、例えば実印を変えなければならないかというような御懸念をお伺いするわけですが、実印の印影につきましては、これは現在も必ずしも戸籍の字どおりの印影でなければ受け付けないということではないと思いますし、それから、既に自治省の回答といたしまして、戸籍の書き方を改めた場合であっても、従前の印鑑登録の印影を改める必要はないという回答がされているというようなこともございますので、そういう面でも混乱が生じるということはないものと考えております。
  72. 大口善徳

    大口委員 今回行政サービス向上ということを柱にされておるわけですが、私も弁護士をやっていた関係で、非常に不便なことがございます。例えば、本籍地と住所地が遠隔の場合ですね。この場合、戸籍謄本、今度は証明書になるわけですが、これをとるのに、時間があれば郵送でいいわけですが、時間のないときは本籍地まで行く、こういうことで、経済的にもまた時間的にも非常に労力がかかるわけであります。  今回、コンピューター化が進むということで、各市町村のオンライン化、そのデータ交換によって、例えば住所地でもって戸籍の、今度は証明書ですか、がとれるようにする、こういう方向性で考えていただきたいな、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  73. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 コンピューター化に伴って利用者の利便を図るという面から、御指摘のようなオンライン化ができれば大変便利になるわけでございます。そういう御要請があるわけでございますが、現段階では、まだまだ全国的にコンピューター化が行き渡るというのはこれからの問題ということもございますし、また、それぞれの市区町村に入っているコンピューターが、コンピューターメーカーが違っているというようなこともありまして、そういうシステム開発のためにはなお相当時間をいただく必要があるだろうというふうに考えております。  それから、いま一つは、そういうことで情報が拡散するということに伴ってプライバシー保護という観点から大変御懸念を持たれる、そういう考 え方もあるわけでございまして、そういうことについてもコンセンサスを得る必要があるだろうというふうに考えておりますが、御指摘のとおり、大変国民にとって利便の高いものでございますので、将来重要な検討課題とさせていただきたいと思っております。
  74. 大口善徳

    大口委員 戸籍は、先ほどもおっしゃいましたように、身分関係の情報が蓄積されているわけですね。そういう点でプライバシー保護というものが極めて重要であるわけです。これについては先ほどから山本先生、また衛藤先生がいろいろと詳しく質問されておりました。  その中で、私は、戸籍情報ファイルの作成、このデータ入力をこれは役所だけでは厳しいんじゃないか、外部へ委託する、こういうことになると思うわけであります。そういう外部に委託するとなりますと、身分上のことが、こういうプライバシーに関する情報が漏えいしていくんじゃないか、それを一番私は心配しておるわけでございます。  この改正法案の附則の第二項で、「第一条の規定による戸籍法改正に伴う戸籍の改製に関する事務に、市町村長の委託を受けて従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。」こういうふうになっておるわけです。ただ、これも罰則規定がありませんので、規定を置くこと自体は私は大事なことだと思いますが、十分じゃないという感じがいたします。  また、個人情報保護するということで、外部委託の場合、市町村と業者の間で外部委託の契約書、これをつくると思うのです。それにつきまして、やはり受託業者への調査の実施とか監督ですとか、いわゆるプライバシー保護をきちっとしていかなければいけないと思うのです。  この二点についてどのようにお考えでしょうか。
  75. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 今回、改正法案の附則二項において、そういう委託を受けて関与した者についての義務規定を設けております。ただ罰則はないわけでございますが、これによって例えば損害賠償の根拠にはなる、あるいは、これに違反した場合にその委託契約を解除する解除原因にもなるというような効果、そういう効果はあるというふうに思っております。  それから、御指摘のとおり、この移行作業につきましては外部委託をせざるを得ないということでございますが、その場合の情報の漏えいということについては本当に神経を使わなければならない。この点は法制審議会でも十分御議論の対象になりました。  そういうことを踏まえて、市区町村長が外部委託しようとする場合には、データの保管の施設あるいは体制を整備した受託業者を選択していただく、それから、受託者に渡したデータの返還あるいは必要なければ廃棄、必ずそういうことを義務づけさせていただく、それから、市区町村の職員が移行作業の現場に適宜立ち入って調査を行うことができるようにする、それから、契約内容といたしましては、データの機密保持に関する条項あるいは再委託してはいけない、下請に出してはいけないというようなこと、それから、データを複写し複製するというようなことは絶対にいけないというようなこと、それから、先ほどの附則二条に違反するようなことがあった場合には契約を解除するというようなこと、そういったことをきちんと定めてもらうということを市区町村に守っていただきたいと思っております。  そういったことにつきましても、先ほど御質問がありました法務大臣の指定という段階でどういう手当てをすることとなっているかというようなことも審査させていただくし、それから、具体的な実施については、法務局あるいは地方法務局の方でしっかりこちらも目を光らせていただくというようなことで対応させていただきたい、そのように考えております。
  76. 大口善徳

    大口委員 特に再委託は禁止してほしいですね。制限じゃなくて禁止。それから、データの複写、複製については、これはできないようにきちっと技術的にしていただきたいと思います。  次に、私の党の山田英介議員の意見も踏まえまして、今回の改正にも関連いたしますし、長寿社会における対応、国民の財産権の保護の観点から、除籍簿と戸籍付票の保存期間について御質問したいと思います。  まず、戸籍法施行規則五条四項にある除籍簿の保存期間を現行の八十年から百年にこれは延長をすべきだ、こう考えます。昭和三十六年に五十年から八十年に改正されたわけです。その根拠を聞かせてください。
  77. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 三十六年改正の理由でございますが、当時、市区町村長において、五十年間の保存期間を経過した除籍につきましても相続登記申請に必要であるとして、謄抄本の交付を求める要望が多くあったというようなことを反映いたしまして、保存期間を伸長したものでございます。
  78. 大口善徳

    大口委員 昭和三十六年、男性で平均寿命が六十六・〇、女性が七十・八。平成四年、これは直近ですが、男性が七十六・一、女性が八十二・二。男性は三十六年から十・一歳、女性が十一・四歳寿命が延びておるわけでございます。こういう長寿社会になり、そして八十歳を超える方もまれではなくなっている。  例えばある人が誕生して間もなく転籍し、除籍簿の保存期間八十年を超えて生存している場合、その人は生存中に除籍簿を廃棄される。ですから、少なくとも存命中には除籍簿が保存されるように私はすべきではないかと思います。  また例えば、これはある人が生存中、保存期間の経過によって除籍簿を廃棄され、そして死亡した場合、相続人が曽祖父母のみというこういうケースも出てくるわけです。その場合、除籍簿がないと相続関係の正確な把握を困難にするおそれがあります。  今回コンピューター化によりまして、保存期間の延長をしてまいりましても収納書庫の問題はクリアされると思います。また、長寿社会ということで、司法書士の方々等も含めまして非常にこの要望が強うございます。国民の財産権を守る上からも、長寿社会に対応するという上からも、この除籍簿の保存期間を八十年から百年に私はすべきである、そう思いますが、いかがでしょうか。
  79. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 従来でございますと、保管庫、倉庫の問題があったわけでございますが、コンピューター化されれば確かにそういうことはなくなるという問題がございます。ただ、コンピューター化全国に行き渡るには相当期間がかかるというような問題もございますし、コンピューター化庁とコンピューター化していないところとで保存期間が違うというわけにもまいらないという問題もございます。  ただ、この除籍簿の保存期間の問題は、御指摘のような影響はありますけれどもコンピューター化と直接連動する問題ではないだろうと考えておりますが、この問題については、そういう必要性の程度につきまして市区町村長等の意見、実情等も踏まえまして、今後考えてまいりたいというふうに思っております。
  80. 大口善徳

    大口委員 先ほどの具体例の中で、上申書を使って、それで相続人は私たち以外ありません、こういうようなものでやっているわけですね。これは、上申書を信用するということで不確定な部分が入ってくるわけですね。これは私はよくないと思います。ぜひともこの点延長を私は要望したいと思います。  次に、住民基本台帳法施行令三十四条の、消除された戸籍付票の保存期間を五年から百年にこれは延長すべきであると私はそう思います。これは自治省にお伺いします。  不動産登記の際、登記した住所からその後住所が転々とするわけです。そういう場合が少なくないわけであります。住所が移転して、その都度住所の変更の登記をするということは、今実態はそういう実態になっておりません。そしてそれが長い期間が経過する。その中で、所有権移転登記あ るいは抵当権の設定登記の必要が生じてきましたときに、登記簿上の住所を証明しようとする場合、戸籍付票が五年で消除されてしまうということで、証明方法がないということが起こってきます。辛うじてこれも不在住証明書の発行によってクリアしているわけでありますが、本来この証明書というのも不正確なものであるわけです。  事は、これは国民の財産権にかかわることであります。そういう点では、除籍簿とはまた違うわけでありますが、長寿社会への対応あるいは国民の財産権そしてまた登記の実態、こういうことからいきまして、この五年間ということには合理的理由はないと思います。むしろ百年に改めるべきではないかと思います。今回、コンピューター化によって付票につきましてもコンピューター化されていく、そういう点におきましても収納書庫の問題もクリアされてくると思います。そういう点で、この件につきましては五年を百年に改正すべきである、そういうふうに私は思います。  これは具体例で、やはり横浜市が住民票のコンピューター化をしまして、その場合、消除された住民票が五年間で消滅するということで、平成八年から全住所を追求することができなくなる、こういう差し迫った問題もあるわけでございます。  そういうことで、この戸籍付票の保存期間、これにつきましても五年から百年にすべきだ、このように考えますが、自治省、どうでしょう。
  81. 松浦正敬

    ○松浦説明員 お尋ねの戸籍付票の問題でございますけれども、これは戸籍を単位といたしましていわゆる本籍地の市町村がつくる帳票でございます。この中に、戸籍に記載されている人の本籍と同時に現住所が記載をされている、こういうものでございます。この現住所が明示されることによりまして、本籍地で編製される戸籍と住所地で編成される住民票とが連絡媒介するということが可能になってくる、こういう制度になっているわけでございます。  この戸籍付票の保存年限を延ばしたらどうか、こういうお尋ねでございますけれども、今申し上げましたとおり、戸籍付票の目的でございますが、いわゆる本籍地において戸籍に記載されている人の現住所を把握する、これが目的になっております。そういうことで、私ども、現住所を現在公証することを目的としております住民票でございますが、これの保存年限が五年ということになっておりますので、これに合わせた形で五年ということにいたしております。そうした制度趣旨、それからプライバシー保護という問題もございまして、そうした観点からいいましても、現在のこの五年間というのが適切な年限ではないかというふうに考えております。
  82. 大口善徳

    大口委員 これにつきましても、これは窓口に聞いていただけばわかりますが、この期間については延ばしてほしいという意見が大変多うございますので、よく市町村の窓口に聞いていただきたい、こう思います。いかがですか。
  83. 松浦正敬

    ○松浦説明員 趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、実態等につきましては、私どもまた窓口に聞いてみたいと思っております。
  84. 大口善徳

    大口委員 以上で終わります。
  85. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員長代理 小森龍邦君。
  86. 小森龍邦

    小森委員 今回の戸籍事務コンピューター化に基づきまして先ほど来いろいろと御質問がございまして、その中の重要な部分としてやはりプライバシー侵害のおそれがあるのではないか、こういう論点がございます。  そこで、法務省もいろいろこの問題についてお考えをいただいたのではないかと思いますが、法務省が把握をしておる、つまり、こういう点は留意をしなければならない点だと思うのでこう留意したというような点を、簡単に整理して御説明いただきたいと思います。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 戸籍情報についてはとりわけプライバシー保護に配慮しなければならないということで、御案内のとおり、戸籍の公開について昭和五十一年に、不当な目的で謄抄本等の交付を受けることがないようにということで所要の手当てをしてきたところでございますが、コンピューター化に伴って、現在の取り扱い以上に情報が拡散することを排除しなければならないということから、システムの研究について随分力を入れて検討したところでございます。  その対応として、まず一点といたしましては、例えば全国的なデータ交換あるいはオンライン化、全国戸籍情報の集約化というようなことになりますと、その情報が当該市区町村以外に拡散するというような問題があることに配慮いたしまして、今回の改正においては、データの全国的な集約とかデータ交換というようなことは予定していないということでございます。  次に、市区町村の中で、現在は厳しく、戸籍事務担当者以外は戸籍簿に接触することがないという取り扱いをしているわけでございますが、現在以上に他の職員が戸籍情報にアクセスする機会がふえるのではないかという懸念に対応するために、先ほども説明申し上げましたけれども、磁気ディスクの戸籍情報にアクセスすることができるのは従前どおり戸籍事務担当者に限る、それぞれの担当者がパスワードを所持してもらって、そのパスワードによらなければアクセスすることができないというシステムにするということでございます。  いま一点は、戸籍情報住民基本台帳事務等関連する他の事務にも、法令の許す限りで、法令の要請している限りで情報を提供するということになっておりますが、その情報提供の方法として、他の事務の担当者が直接戸籍のデータにアクセスすることができるということになりますと情報が拡散するというおそれがありますので、直接アクセスすることはできない、必ずその他の事務に必要な情報だけを一たん中間ファイルに落として、そして当該他の事務処理する者はその中間ファイルにしかアクセスすることができない、こういうシステムによって市区町村の中で情報が拡散するということもシステム的にチェックする、こういう配慮をしているところでございます。
  88. 小森龍邦

    小森委員 プライバシー保護のための総論的なところをお聞かせをいただきましたが、くれぐれもひとつその点につきましては十分なる配慮をして、プライバシー侵害、人権侵害ということにならないように努力をしていただきたい、かように思います。また後ほど若干それにまつわって具体的なことをお尋ねいたしますが、総論的な部分をお聞かせをいただきまして、強く引き続いての努力というものをお願いをしておきたいと思います。  そこで、これは極めて簡単なことでありますが、本来ならば自治省にお尋ねをするのが筋であるかと思いますけれども法務省の方からそういう事務をどこが担当しておるかということでちょっとお尋ねをするのでありますが、私はこの正式な名称を知りませんけれども、いわゆる犯罪人名簿、市町村にあると思いますが、これは今回のコンピューター化の扱いの対象になっているかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  89. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 御指摘の帳簿といいますか名簿といいますか、それは戸籍に関する事務ではないわけでございますので、今回のコンピューター化の対象にはなっておりません。なお、その事務について、現段階でコンピューターによって処理するというようなことは考えられておらないというふうに私ども間接的に聞いております。
  90. 小森龍邦

    小森委員 それでは続きまして、これもまた若干総論的になるかと思いますが、日本の戸籍というのは、私も不勉強で十分に諸外国との関係についての比較検討をしていないのでありますが、我が国の戸籍事務の総元締めである法務省とすれば、日本の国の戸籍、その諸制度というものと、外国のこの問題に対する事務というものを比べてみて、一体日本のこの事務というのは複雑なのか、あるいは平均的な一つのシステムなのかということについてお答えをいただきたいと思います。  それから、ついでのことでありますけれども、我が国における外国人の登録については、長年本 国会でもいろいろ議論になりましたし、先年若干の改革が行われました。いわゆる指紋押捺の問題でありますが、例えばアメリカとかイギリスとか、これは何もアメリカ、イギリスだけでなくてもよいわけでありますが、そこらの国で外国人が登録をされるというときにはどんな制度で行っているだろうか、一、二参考になる事例をひとつお知らせいただきたいと思います。
  91. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 まず、我が国の戸籍制度の特質といいますか、位置づけということについてお答えを申し上げます。  我が国の戸籍制度は、御案内のとおり、夫婦とその子供を単位として編製しておりまして、出生、婚姻、死亡等の身分関係の発生、変動、終了をその時間的順序に従って総合的に登録しておりますので、一つ戸籍によって夫婦、親子の関係を容易に把握することができる、またそれぞれの個人ごとに、出生から死亡に至るまでの一生の間の身分行為を一覧的に見ることができる、こういうことで大変桐密な登録制度になっております。  私ども、我が国の伝統に基づいたすぐれた身分登録制度であると考えておるところでございますが、欧米の身分登録制度は、一般的に申し上げますと個人ベース、しかも出生、婚姻、死亡という各事件ごとに個別に登録される。国によりましては、それらの相互の間で関連づけがされておらないために、出生登録を見ても、その人がその後結婚したのかどうか、現在生存しているのかどうかが必ずしもわからない、あるいはある人が婚姻していないという事実を証明するということは不可能になるというふうな問題がある、そういうふうに承知しております。
  92. 塚田千裕

    ○塚田(千)政府委員 外国人登録制度と指紋押捺制度、各国の例につきましてお答え申し上げます。  法務省において、先般の改正に先立ちまして、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカの国々等世界四十六カ国について調査した結果によりますと、指紋押捺制度を採用している国は、米国を初め十九カ国ございました。  米国あるいは英国、これらの国でどんなことを外国人登録の事項として登録させているかということでございますけれども、まず、米国につきましては、永住者につきましては、指紋に加えまして写真、署名及び家族事項の登録を行っております。そのほかに髪の色とか目の色だとか身体各部の特徴、あるいは使用言語も登録させているということでございます。イギリスにつきましては、指紋押捺はやっておりませんで、写真、署名及び家族事項を登録させております。  それ以外にも、これはどこの国も大なり小なり同じでございますけれども、外国人本人の名前、国籍、生年月日、あるいは前に別の国籍を持っていたら別の国籍、職業、住所、それと結婚しているか独身であるかというようなこと、いつ当該国に到着したかというようなことをあわせて登録させております。
  93. 小森龍邦

    小森委員 時間の関係もありますから余り詳しいことをお尋ねできませんが、きょうはそれを承っておきたいと思います。  そこで、外国人の登録の問題が出ましたので、ついでにお尋ねをしておきたいと思いますが、この戸籍事務コンピューター化されて、もちろん外国から帰化された方もおられるだろうが、年号の記述というのは西暦、元号いずれを使われるわけですか。
  94. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 コンピューター化に伴いまして、現在の戸籍の編製の仕方の実質については変更を加えないということで、現在の戸籍情報のままコンピューター化するということを考えているところでございまして、現在御案内のとおり元号ということで記載しておりますので、基本的にはそれによってコンピューター化するということを考えているところでございます。
  95. 小森龍邦

    小森委員 この点については、きょうは余り時間的にやりとりできないわけですが、例えば外国で生まれまして、そして日本に来て帰化する、その人には昭和とか平成とかということは頭の概念の中にないわけですね、日本に来て、こんなことがあるのかということにはなると思いますけれども。だから、時の刻み方というものについて余りにも日本政府はかたくなではないか。また、同じ我々のように日本に生まれても、元号を使いたくない。これは思想信条の自由ということになりますがね。  だから、私は国会に出て、国会の質問書を、今まで前例がないといって突き返された、西暦で出したらね。西暦ならだめだということか、よし、それなら受け取っておこうと。それで、やりとりして、簡単に言うと、国会事務局が少し恐れて、そして私の所属する党と連絡をとって、これは認めざるを得まい。これは多くの議員の皆さんはまだ御存じないかもしれませんけれどもね。それで、ことしから、いや、去年からか、国会手帖も衆議院手帖も御承知のように、わずか格差をつけたような格好はしていますけれども、あれはこの間やめられた事務総長の知恵なんですね。これはもうはっきり言いまして、私が強硬な談判をしたのです。平成だけとは何事か、国会議員に対するサービス品ならサービス品のようにせいというような話をして、西暦も併記になった、こういうことなんでありまして、特に外国人の場合はそこらのところを考えないと、国際化、国際化と言ったってそれは通用しない、こういうように思いますので、きょうは私の意見を申し上げておきたいと思います。  それから次の問題は、やはり戸籍事務全般にかかわることでありますが、婚外子の問題、これが戸籍の中に記述されていく。やはり物事というものは、何かの制度の改革とあわせてもちろん法律を少しつつがなければならぬのだと思います。子どもの権利条約から見ても、それから私、書類を持っていますけれども、国連のこういう問題を議論しておる機関が日本政府に対してそれはおかしいじゃないかということを言っておる問題もあって、何か私の記憶によると、こういう差別的な記述は、戸籍事務の中で、特にコンピューター化するときにそれはずっと差別の蓄積になるからそんなもの直ちにやめなさい、国連はそういうことを言っておるわけですね。そういう点についてはどうですか。
  96. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 これは児童の権利条約についての国会審議の際にも御指摘のような御意見を伺ったわけでございますが、私どもといたしましては、この現在の戸籍における嫡出子と非嫡出子の記載の仕方、これが直接児童権利条約の規定に違反するものではないという考え方をとっているわけでございます。また、御指摘の国連人権委員会の意見というのも出たわけでございますが、その点についても、対象となっておる人権B規約の規定にも違反するものではないというふうに考えているわけでございます。  ただ、嫡出子と非嫡出子の問題につきましては、この問題と、もう一つ相続分のあり方ということについて、現在国際的、国内的にいろいろな御意見があるということでございます。そういった問題が、憲法に違反するとかそれから国際条約に違反するとかという問題ではないと思っておりますが、これからの立法政策の問題として、特に相続分の問題についてどうするかということは、これは考えてみなければならないということで、相続分の問題については、現在行っております法制審議会民法部会における婚姻制度、離婚制度の見直し審議の中で審議をするということになっております。  そこで審議をされるその結果を踏まえて考えてまいりたいと思いますが、そういう相続分の問題についても、あるいは戸籍の記載の問題についても、そういう御指摘がある一方で、国民の中にはまだこれまでのあり方というものをそのまま維持するという御意向もあろうかと思います。そういった意見をも聞いて考えなければならない、その上で慎重に検討しなければならないという問題であるというふうに考えているところであります。
  97. 小森龍邦

    小森委員 自分の国でやっておるまずいことを、勝手に日本の政府が、いやそれは人権規約にも違 反していないというのは、それはもう独善に過ぎるのですね。これは、やはり婚外子の差別については、昨年のことですよ、国連人権委員会人権規約違反とされて改善が勧告されているんですよ。だから、このことだけを議論するなら私の方が完全に勝ちだけれども、それは頭によく入れて、先ほど民事局長の答弁ではそれは改革の方向で考えるということも多少考慮の中にあるというような意味のことがございましたし、これは昨年私が外務委員会でもかなりやかましいことを言ったところなんです。  結局、参考までに申し上げておきますけれども、差別か差別でないかというのは、それはその人にとって不利か不利でないかということもあるが、おのれの責任にかかわらないことでいつの間にか不利な立場に置かされておるというのが差別の規定の一番大事なポイントです。  これは宮澤内閣のときに外務委員会でやって、どうかと政府にただしたら、それはそのとおりですと言う。そのとおりですというのは、私の規定は正しいと思う、こういうことだ。政府登録の夫婦でない間に生まれた子供は、政府登録しておらぬ夫妻の間の子供だよと自分が好きこのんで生まれたんじゃないんですよ。それが生涯ずっと、相続分だってそうでしょう。明らかに差別です。そんなことがあるんだから、これを直さぬようだったら、日本は民主主義国だと一人前の顔はできませんよ。これは時間がなくなるからやめますけれども、それは申し上げておきます。  それでは、同僚の議員の皆さん方が戸籍法についてはいろいろな角度からお尋ねをされておりますし、後ほどまた委員会側の附帯決議もつくように、私どもも相談に乗っておりますので、戸籍事務の問題についてはこの程度にさせていただきます。  これはいよいよ本国会最後の委員会ではないかと思いますので、この際に気にかかることを幾つかお尋ねをしておかなければなりませんので、とりあえず人事院の方にちょっとお尋ねをします。  先般来、私は、衆議院の予算委員会分科会、決算委員会分科会あるいは決算委員会の総括質問等で、船舶振興会絡みのことをずっと質問を申し上げております。大分物事の真相が明らかになりまして、この間運輸大臣は、制度的に踏み込んで改革をしなければならぬことがあれば、それはもう憶せずそういうことも取り組みたいという意味のことを私に対して答弁されました。  そこで、これは制度的というよりはちょっとした行政の注意でできることではないかと思いますが、人事院の方で、船舶振興会からどれくらい補助というか助成というのか、外郭団体が金を受け取っておるか。それからもう一つは、人事院関係の人が、俗に言われる天下り人事ですね、その状況はどうなっているか。事務的なことでありますから、簡単にお答えいただきたいと思います。
  98. 松本紀昭

    松本説明員 お答えいたします。  人事院は、いわゆる主務官庁として公益法人を所管する立場にはありませんけれども、現在総理府が主務官庁でございます法人のうち、事業内容が人事院の業務と関連性を有し、人事院が実質的に指導を行う立場にあります財団法人日本人事行政研究所及び財団法人公務研修協議会の二団体が、財団法人日本船舶振興会から補助金等を受けているところでございます。  具体的にどういった金額であるかというお尋ねでございますけれども平成六年度の数字では日本人事行政研究所につきましては五千四百万円、それから公務研修協議会におきましては約五千九百万円をいただいております。  それから、もう一点ございました運輸省等との人事交流の関係でございますけれども、これにつきましては、一般的な行政官庁としての専門分野を中心とする交流といたしまして若干の例がございますけれども、そういった問題にはかかわりないことかと認識してございます。  以上でございます。
  99. 小森龍邦

    小森委員 私があえて質問申し上げたのは、今人事院に私どもが懸念をしておるような問題が船舶振興会との関係においてあるということを私は申し上げておるのではございません。  問題は、やはり我が国の政府の機関の中で、人事院とかあるいは会計検査院とか、そういうところは、政府自体が信用が高くなければならぬのですけれども、とりわけ信用が高くなければならぬ。そういうことで、今お話を聞きますと、数千万円程度のことなら、どうしても必要な研究機関、外郭団体ならば、やはり大蔵省とよく談判をして、この種の金というのは、日本が廃墟の中から立ち上がるときに、残念ながらギャンブルをある程度認めて、その認めたギャンブルの金というものをなるべく公的に管理をしてやろうとした金なんでありまして、せめて人事院とかというようなところは、国民から見てまことにすっきりしておるな、こういう形でやってもらいたいと思いますので、きょう、あえてそのことを申し上げたわけでございますから、どうぞ、そういう趣旨を御理解をいただきまして御尽力を賜りたい。以上申し上げておきたいと思います。  もう、人事院は結構でございますから、どうぞお引き取りください。  それから、船舶振興会のことに関して、私はこの一連の国会の発言の中で積み残しの問題がたくさんあります。その積み残しの問題を調査しておればまだまだあって、私の今の感覚では、これは毎日、三百六十五日国会議論をしても恐らくその問題点というものは消化し切れないのではないか。私の事務所には関係資料というものが八冊、簿冊になっております。  したがって、大変なことでありますけれども、やりかけたことに関して、私が発言しかけたことに関して、少しでもけじめをつけて前にいきたい、こう思いますのでお尋ねをいたしますが、ホテル海洋、約二百五十億円使って建てた建物でありますが、先般の決算委員会では、見積書を提出してもらってやったのだという発言があったかと思うと、その次には、いやいや、あれは入札でやりましたというような発言もあったりして、一体どっちが本当なのか。あのときに、私は、けじめをつけて前に進まなければいけないから後からひとつ資料を提出してもらいたいと、いわばちょっとそこでしり切れトンボのようなことになったのでありますが、あれは入札であったのか見積もりであったのかということを、この際、ここではっきり答えていただきたいと思います。
  100. 安富正文

    ○安富説明員 お答えいたします。  先般、決算委員会先生の方から御指摘がございました件、若干我々の方で事務的にそごがあったかと思いますが、先生指摘のとおり、あれは見積もり合わせということで実施した内容でございます。
  101. 小森龍邦

    小森委員 そこで、小刻みに飛ぶようでありますが、笹川陽平氏が記者会見をして、あれはやはり見積もり合わせでありまして、その結果随契にしましたと言った日にちは、私が決算委員会で尋ねた日とどっちが先なんですか。
  102. 安富正文

    ○安富説明員 ちょっと今私も記憶が定かでございません。決算委員会お話ししましたのが後の方じゃないかと思いますが、ちょっとそれは記憶が定かでございません。
  103. 小森龍邦

    小森委員 私も忙しいから日程までは繰ってみておりませんけれども、恐らくは私が質問した後笹川陽平氏が記者会見をしたと思います。違いましょうかな。  私が言いたいのは何かといったら、つまり、監督官庁である運輸省が向こうの顔色を見ながら物を言うようではいかぬということを言いたいためにこう言うのですよ。それは前後が多少違うかもわかりませんけれども、振興会とか全モ連とかがどういう顔色をしておろうが、監督官庁は毅然として、事実は事実、正しいことは正しいこと、こう言ってもらいたい、こういう意味で私が申し上げておるわけであります。  そこで、これは、全モ連から三・三%、六百数十億円の金が船舶振興会に入ってきて、それがずっと配分されるわけでありますが、贈収賄を法律的に認めておるということは、もう公金扱いですわ ね。その公金扱いの枠に入っておる金を使って、二百五十億円ほどのホテルを建てるのに見積もり合わせというようなことが常識で考えられますか。そこをちょっと答えてください。
  104. 安富正文

    ○安富説明員 船舶振興会からの補助金を受けます団体は一応公益法人ということになっておりまして、公益法人の一般的な契約関係ということについては、内部要員体制とかいろいろ問題があって、現実に一般競争入札というような形になるのはなかなか難しい点があろうかと思います。ただ、大規模な工事ということになりますと、しかるべく契約の透明性ということを確保する必要はあるかと思っております。
  105. 小森龍邦

    小森委員 そういうふうなことを運輸省がまだ言うようだからいつまでたっても問題の解決がつかぬのですよ。二百五十億円もの工事を発注しようと思うのに、人手が足らぬから見積もり合わせにしたというようなことが理屈で成り立ちますか。  ホテル海洋を建てたのは財団法人の海事何とかといいましたな。ちょっとそこで言ってください。(安富説明員「海事科学振興財団」と呼ぶ)略したら海事財団というのですかな。それの「物品の購入、製作、改造、修繕及び工事、役務契約における事務処理の基準」というのがどうなっているかというと、「原則として二者以上の業者による競争入札又は見積合せとする。」これだけ読んだら見積もり合わせでもよいという感じになるのですよ。「但し、次の場合は、特定の業者と随意契約とすることができる。」と言うから、ただし次のような場合以外はできない、こういう意味でもありますわね。  順次読んでいきますと、そのできない場合というのは「緊急の必要により競争等に付することができない場合」。緊急の必要じゃないですわね、その金のやりくりをしているのはもう何年間もですからね。それから、「競争等に付することが不利と認められる場合」これは、普通の地方自治体だったら、わずかな金額でぎょうさんの人に集まってもらって、かえってその経費が高くつくから値段が高くなるじゃないかというような場合のことですね。常識的に考えて、二百何十億、もし一割安かったら二十何億助かるのです。二割でも、競り合って競争したら五十億助かるのです。そういうものを、先ほどのようなぬるい返事をされておったらいつまでたってもだめですよ。  だから、私が言うのは、この事務処理の基準、それから船舶振興会の二号交付金関係の中にある、これは、六社とか五社とか以上の競争入札にすべきということになっていますが、そこらのところがなお、ただし書きみたいなところで不徹底になっておるわけですから、運輸省はこれに深くかかわって、世間一般が心配しないような、国会議論せぬでもいいような、そういう改革に着手されるかどうかということ。着手するといっても、自分でやるのじゃなくて、指導しなければいかぬわけですが、指導に踏み込まれるのかどうかお伺いします。
  106. 安富正文

    ○安富説明員 先ほどちょっと私、言葉が足りずに先生の方にいろいろ御不快の念を催したのじゃないかと思いますが、我々は今回の事件一つの契機として、御指摘のような大規模な工事につきましては、こういう補助事業を受ける団体も含めまして競争入札あるいはこれに準じたような形で経理手続の透明化を図る、そのために内規等について改善を図るというような形で今後所要の措置を講じていきたいというふうに考えております。
  107. 小森龍邦

    小森委員 前向きな答弁をいただきまして、ぜひそういう感覚で物事と取り組んでいただきたい、かように思います。  そこで、時間の関係もありますが、もう一点。解決がついていない問題がいっぱいあるのですね、私のことしになってからの議論で。シップ・アンド・オーシャンの貸付金の問題も私としてはまだ納得いっていないのですが、しかし本国会これが最後だと思うので、ほかにもやりたいことがあるから、ちょっとほかのことに移ります。  実は、船舶振興会というのを直訳すれば、私も英語は堪能でないというばかりか、ようようスペルがわかる程度なのですが、ジャパン・シップビルディング・インダストリー・ファンデーション、そういうことになるのじゃないかと思いますが、ササカワ・ファンデーションで世界じゅうに通っているのですね。これになると、何か笹川さんが私財を出してやっているかのごとき印象を与えるのですね。  そういうことだから、私が入手した資料によりますと、この財団の船舶振興会は、海外にみずからを紹介する文書には盛んにササカワ・ファンデーションとなっているのです。私もほかのスペルでわからぬところもあるし、辞書を持ってくればよかったのですけれども、そこまではちょっときようできなかったが、これだけのページでも、一カ所、二カ所、三カ所、四カ所、五カ所、六カ所、七カ所でササカワ・ファンデーションになっているのです。外国人が見たら、これは笹川さんは非常に奇特な人じゃなと、つい感謝状でも出そうかという気になりますわな。それで結局どういうことになるかというと、アメリカの人口危機委員会よりヒユー・モア賞を受賞、大韓民国より勲一等修交勲章光化賞受章。年代はもう略しますよ、時間が足りなくなる。中華民国より大綬景星勲章受章、ブラジル連邦共和国あるいはパラグアイあるいは国連のWHO本部、フィリピン大統領黄金のハート勲章、マルタ騎士章最高会議より米国マルタ騎士章受章、ザンビア共和国、ブラジル共和国、まあかなり貫禄のよいのは、国際連合より国連平和賞、パラグアイ共和国、ライナス・ボーリング人道主義章受章、ずっと挙げればいっぱいあるのですよ。  これは、我が国運輸省が監督されておる団体であって、外国に対して本当の意味の正しい認識を与えていないと思いますね、名前によって。それについてはどう思われますか。
  108. 安富正文

    ○安富説明員 このササカワ・ファンデーションという言葉については、船舶振興会がいわゆる通律の方からも、この表現については個人的な財団であるという誤解を受けることから不適切であるということで指摘をしておりまして、先般、運輸大臣の指示を受けまして、我が方としても船舶振興会に今後このササカワ・ファンデーションという名称については改善するようにということを指示したところでございます。
  109. 小森龍邦

    小森委員 運輸大臣がもうそういうことを正式に指示したのですな。それはまことに結構な措置だと思います。先ほど来の一種の改革ですけれども、その改革の精神で、人々が心配するようなことは運輸省はずばっすばっと合理的なシステムに持っていかれるように、引き続いて努力されることをお願いしておきたいと思います。  それでは、ほかのこともあるのですけれども、その程度にさせていただきまして、きょうお願いをして運輸省の鉄道関係の方にもおいでをいただきました。  これはごく簡単なことでありますが、先般六月二十三日号の週刊文春で、これをJR東日本の駅のホームでは売らないとか売るとか、プライバシー侵害だとか、いろいろ論争が起きております。したがって、この問題も、旧国鉄、鉄道公社ですな、ずっと政府はかかわってきて、今もかなりの部分において監督する立場にあると思います。これは、一面では言論の自由、一面ではプライバシーの問題だとか、あるいは取材が行われずに書かれたとか、いろいろ論争が起きておりますので、公権力の立場から、認可、許可業務というものがまつわりついておる一つの経営体にかかわることでありますので、これらのことについては政府は慎重には慎重を期して、簡単に言うと誤った対応をされないように私の方から老婆心ながら申し上げるわけでありますが、簡単にひとつコメントをいただきたいと思います。
  110. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  週刊文春の販売中止の問題、これは鉄道弘済会と文芸春秋との間に結ばれております販売契約に基づいて行われたものであると承知しておりま す。したがいまして、雑誌の販売という私的な商取引契約に基づく当事者私人間の問題でございます。  この当事者間において法律的な問題につきまして争いがあります場合には、司法の場等で解決される事柄である。しかも、現在、JR東日本と文芸春秋双方それぞれの立場から東京地方裁判所に仮処分を申請しておると承知しております。行政機関たる運輸省といたしましては、司法の場等での判断を待つべきものと考えております。
  111. 小森龍邦

    小森委員 ありがとうございました。大体運輸省の立場を知らせていただきまして、了解をいたします。  続きまして、あと七、八分の時間を使わせていただきまして、かねてから私は無期懲役囚と未決勾留の期間の問題についてずうっとこの場で発言をし、時には論争じみたことをやってまいりました。  そこで、この際にお尋ねをしておきますが、先日の決算委員会でもお尋ねをしたのですけれども、それに補足をする意味で、無期懲役囚が仮出獄を認められた場合の平均の年数、それから、これは私はそこまでをレクチャーのときにお願いしておかなかったからわからないかもしれませんけれども、その人たちの平均の未決の日数、お答えをいただきたいと思います。  簡単なことでありますからもう一点ついでに申し上げますが、地方更生保護委員会におきまして、該当の行刑施設、刑務所からこの地方更生保護委員会に仮出獄の申し出があった場合には、平均どれくらいの日時を要して決着に至っておるか。この二つをお答えいただきたいと思います。
  112. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 お尋ねの第一点でございますが、無期懲役受刑者の仮出獄になった場合の在所期間につきましては、個別の事案によるものでありまして必ずしも一様ではございませんけれども、参考までに申し上げますと、平成五年中に仮出獄を許された無期刑受刑者、十七人おりますが、この十七人の平均在所期間、つまり仮出獄までの刑務所在所期間でございますが、これは約十八年一月となっております。  それから、お尋ねの第二点のこれらの者の平均の未決の日数でございすが、ちょっとデータをお持ちしておりませんので、ここではお答えできません。  第三点の審理期間の問題でございますが、これにつきましても、やはり当該事案の軽重、内容で異なるということになりますが、ほとんどのものが一年以内で処理されております。ただし、事案によっては一年を超えるものも、少数ではございますが、あります。なお、参考までに、平成五年中に仮出獄を許可されたものにつき、その仮出獄審理に要した期間を見ますと、平均は約八・三月というふうになっております。
  113. 小森龍邦

    小森委員 お手数かけて申しわけありませんが、また後ほど、ごく事務的なことですから、平均の未決の期間をひとつお知らせをいただきたい、かように思います。  それでは続きまして、時間があれば今の未決の問題についての論争をしたいと思うわけでありますが、これまでの状況からいうと、無期懲役というのは無限大の刑期なんだから、無限大から幾ら有限の未決勾留日数を引いても無限大なんだ、こういう話があります。これは大変な間違いだというのは、今までの我が国の法律を扱う判例の中にもそれとは違うようなのがあるし、法制審議会なんかでもそういうことは間違いだというような考え方もあるし、何よりもやはり道理に従って物を考えなければいかぬと思うね。  ある数学者がこう言いましたよ。それは小森さん、間違いよと。人間自体が有限の生命しか持っていないのに、その有限の生命のものに無限大の刑を与えて、それで有限の刑期を引いたらやはり無限大だというような、そんなばかな話があるかと世界的に有名な数学者が言いました。まあそんなことは、ひとつ参考にしておいてくださいね。  さてそれで、もう時間が余りありませんから申し上げたいと思いますが、先般来、いわゆる狭山事件と言われる石川氏の仮出獄の手続について、社会党の参議院議員の三重野さんの方から発言があり、一週間ぐらい前にそのことにつきまして法務大臣からの答弁がございました。  ただ、私はこの前の決算委員会でも申し上げましたが、これは三重野さんの質問があるより一週間ぐらい前にかなり全国的に広がったうわさであります。かなりそのうわさが飛び交っておったわけでありまして、私の事務所にも幾つもの県から問い合わせがございました。  そんなこともございまして、法務大臣としてこのような事態というものは、これからのどれくらいの期間石川さんが千葉刑務所に在監されるかということも私とすればわかりませんが、先ほどの答弁で大体の目安ぐらい私なりにつけますけれども、しかし、これは石川さん自体の問題でもあるが、行刑の施設を預っておられる刑務所長なんかも、こんなニュースがどんどん飛び交うと非常にやりにくい問題も出てくるかと思うのです。  そんなことで、以上のようなことを考えあわせて、法務大臣はどういう所感をお持ちかということについてお尋ねしたいと思います。
  114. 中井洽

    中井国務大臣 過般、先生からは決算委員会で、この問題について御質疑をいただいたわけでございます。そのときお答えを申し上げましたように、参議院の予算委員会で、三重野議員の質問に対しまして、粛々と手続が行われていると存じております、このようにお答えを申し上げたところでございます。あるいはその前後、この粛々と手続が行われておると承知いたしております、こういう答弁を含めて、いろいろなことが言われてまいりました。  今回のこのお尋ねの石川被告の問題につきましては、長年にわたってたくさんの方がいろいろな意味で熱心な運動を繰り広げられてきたところでございます。また、小森先生も、この先頭に立たれ運動をなされ、またこの委員会においてもたびたびと私どもにいろいろな角度から御質疑を賜っていることを承知をいたしているところでございます。  法務大臣として、無期懲役であろうと何であれ、どなたであれ、仮釈放の問題について事前にお答えをしたりあるいはどういう過程にあるかということを申し上げることができませんので、過般のようなお答えを申し上げたところでございますが、その前後で、お話しのような、運動体の中に混乱やうわさが飛び交ったということがあったとしたら、あるいは私ども思いもかけぬところで至らないところがあったのではないか、このようにも考えております。そういった意味では、まことに遺憾、このように思っているところでございます。
  115. 小森龍邦

    小森委員 終わります。
  116. 高橋辰夫

  117. 正森成二

    ○正森委員 今回の改正で、戸籍コンピューター化に伴って、法律の条文にあらわれない省令などで定める事項で重要な問題が幾つかございます。  第一に、戸籍法上使用が認められる氏名の文字の問題であります。  使用できる文字は、戸籍法第五十条、戸籍法施行規則第六十条、同別表などで定められております。問題は、定められた文字、字体が、正字や俗字、誤字などの規定で、国民の慣用字体とそぐわない実態があるにもかかわらず、行政側の一方的な事務取り扱いによって、国民との間にトラブルが発生したりしている点であります。  これは、ここに判例なども持ってまいりましたが、私の友人で参議院議員もその代理人、当事者になったというような事例もあります。時間の関係で多くは申しませんが、たしか平成三年に、これまでは手書きで行われていたものを職権で正字に改めるということをやったことがあるように思いますが、ことしの二月の新聞を見ますと、そのときに、例外として百五十五字だけは俗字でも使える、それ以外はだめだという扱いを一時したやに報道されております。  これを見てびっくりしたのですが、私の長男が高志という名前ですが、自分では正字のつもりで 届けていたのが、これで見ると俗字になっておるのですね。法務省の見解では使える方の俗字になっておるということなんですが、新聞によると、対象の全戸籍、この数字が正しいかどうかわかりませんが、読売新聞では、四千五百四十万のうち、俗字だとか誤字にされているものが一割強に上る、そうすると四、五百万になるということになるわけであります。  今度、コンピューター化に伴って、法務省はばっさりとこれを、コンピューターにするんだから、全部正字に統一するというような方針をとっておったようでありますが、その後、各政党その他の意見を聞いた結果、それは余りにも乱暴であるということで方針を転換されたというように聞いております。  現に、ここに持ってまいりましたが、六月二十一日、きのうの毎日新聞には参議院議員の村上さんの「戸籍コンピューター化への課題」という投稿が載っております。ここに書いてある記載は正しいのかどうか、参議院先議ですから既に答弁が行われたかもしれませんが、お答えを願います。
  118. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 御質問の趣旨は、御指摘新聞に投稿されている内容が正しいかどうかということですが、それを全体について一概に申し上げるわけにはまいらないわけでございまして、私どもの考えているところと違っているところもあるわけでございます。
  119. 正森成二

    ○正森委員 違っているところもあるだけじゃわからぬから、あなた方はどうしようと思っているのか答えてください。
  120. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 ただいま御指摘コンピューター化に伴う氏名に用いられている漢字の取り扱いについてでございますが、御指摘ございましたように、私ども当省の考え方としては、基本的に漢和辞典等で正しい書き方とされている字に整理していくという方向で考えておったわけでございます。  ただ、辞典でいわゆる俗字とされておるものでございましても、非常に高い割合で使われておる字、委員指摘の高という字もそうでございますけれども、そういう字につきまして、ごく使用頻度の高いものだけはいわば俗字扱いはしないという条件つきのもとにそういう取り扱いをさせていただくということを考えておったわけでございますが、これは私どもの考え方の基礎としては、戸籍は公簿であるから、しかも、必要に応じて一般国民にこれを公表するものであるから、したがって、そこでは国民一般に通用する書き方で書くという方向に持っていくべきだ、こういう戸籍サイドの考え方があったわけでございます。  ただ、そういうことに対しまして、御指摘のように、それは余りにもそれぞれの字に対する愛着と申しますか、そういったものに対する配慮が足りないのではないかという御指摘をいただきまして、その御指摘を受けて、漢和辞典に載っているような字については俗字とされるものであってもすべてコンピューター対応をすることにさせていただいたわけでございます。  しかしながら、それぞれの字についていろいろ筆の運びとか書き癖とか誤解とか、象形文字を筆で書くという歴史の中で一つ一つの字についていろいろな書き方がされている、一つの字についても幾つあるかわからない、いろいろな書き方がされているということで、そういう書き方全部ということになると膨大なものになる、そういうものについてはコンピューター対応することができない、そこで、漢和辞典にも出ておらないような字については、コンピューター化に際しては、漢和辞典に出ている一般の書き方で記載をさせていただくことにいたしたいと考えているわけです。  ぜひ御理解賜りたいのは、これは書き方の問題でございまして、氏名の字を実質において変えてしまうということではないわけでございます。戸籍事務の上でそういう書き方をさせていただくということでございますので、その点についてはぜひ御理解をいただきたいと思っているわけです。  なお、さらに御質問の範囲かどうか、超えるかもしれませんけれども、漢和辞典にも出ていない字についてはコンピューター化に当たっては一般の書き方で入力させていただくということでありますけれども、そういう場合には必ず事前に御本人に通知をいたしまして、どうしても現在の戸籍のまま残してもらいたいという方につきましてはいろいろ事を分けて説得いたしますけれども、どうしてもという方については特別の取り扱いができないかというような御指摘もいただきまして、そういう場合については、特別の取り扱いではありますけれども、あえてコンピューター入力しないで現在の簿冊のまま管理をするという方法で対応をさせていただきたいと考えている次第であります。
  121. 正森成二

    ○正森委員 今大臣新聞の記事をごらんになりましたが、村上さんが言っているのは、今の答弁のとおりなんですね。まず、辞典に載っているのはそのまま使う、それ以外の俗字あるいは誤字については本人の了解を得る、どうしても今までの分について了解が得られない場合はコンピューターに入力しないでやるという三段構えになっているようであります。  そういう点について、裁判にもなりましたように、従前、一時ありましたように、親につけてもらった名前などをコンピューター化するからといって本人に何ら了解なしに勝手にこちらが正字と考えるものに直してしまうというようなことのないようにくれぐれも注意していただきたいと思います。  私もこれで初めて知ったのですが、静御前の静という字、そして広い狭いの廣子、廣子という字、これなんかどっちが正字でどっちが誤字やら、裁判にもなったそうですが、私がしげしげ見てもわからぬですね。現に、今度質問するまで自分の長男の字が俗字だということも知らなかったというようなわけで、これを見て初めて自分が一生懸命つけた字が俗字だったということがわかったわけです。そういう点について、コンピューター化するにしても、そこら辺の論議のあるところは注意していただきたいと思います。  それからもう一つ、今度は外国人の問題ですが、登録原簿に残された指紋の扱いについてお伺いしたいと思います。  本邦在留中の住民票とも言える外国人登録について、一昨年の百二十三国会で長年来人権侵害として問題となっていた指紋押捺制度が永住者については廃止するとの法改正がなされて、昨年一月から施行されました。該当する永住者についての指紋は当然廃棄されることになっており、現に参議員の附帯決議では、指紋原紙は速やかに廃棄すること、登録原票の指紋部分は、法改正趣旨を踏まえ、今後の措置を速やかに検討することとしております。  ところが、法務省は自治体に保管されている書きかえ済みの登録原票を集めて、それを新たにマイクロフィルム化しようとしているというようなことが言われているのですね。現に、私のところへ大阪の外国人登録法問題交流会の代表から陳情が来ておりますが、それを見ますと、参議院の附帯決議あるいは法改正趣旨ということで適正に措置されると思っておったら、法務省はその期待に反し、過去にマイクロフィルム化された指紋を消去するどころか、自治体に保管されている書きかえ済みの登録原票を法務省に集めるという通達を昨年十二月二十七日に出した、そして、集めた登録原票は新たにマイクロフィルム化すると言明をしておる、こういう陳情が来ております。それに対して、生野区在住のある人が仮処分命令を申し立てたら、それに対する国側の答弁書では、指紋欄を含め登録原票を保管するのは法務大臣の裁量であり、新たにマイクロフィルム化しても何ら問題はない、こういう答弁をしてきたというように我々のところには陳情が来ているのです。  そうだとすると、これは参議院の附帯決議とかあるいは法の精神から見ていかがなものであるかというように思いますが、答弁してください。
  122. 塚田千裕

    ○塚田(千)政府委員 新制度に伴いまして新たな登録原票に書きかえた後の旧登録原票は、ただいま先生指摘のとおり、私ども法務省に集めまし てマイクロ化した後に旧登録原票そのものは廃棄いたしております。  なぜそういうことをしておるかということでございますが、これは登録外国人の過去の在留状況を正確に記録した大切な公文書でございまして、今後の実務上も、新しいものに切りかえた現在の登録原票だけではなくて、それ以前の在留状況というのも実際仕事をやっていく上で必要なわけでございます。  それは、法務省として必要なだけでなくて、現に登録をしておられる外国人の方々、こちらが、例えば帰化の手続をするとか、あるいはその他身分事項、あるいは訂正をするとかというようなことで、過去の記録につきまして照会することが、例えば平成五年の例でいいますと数千件という台に上っております。  そういうわけで、過去の記録を一定期間といいますか、保管するということは、私どもにとりましては執務上どうしても必要なことでございますので、マイクロ化しているわけでございます。
  123. 正森成二

    ○正森委員 今開き直ったような答弁がありましたが、過去の記録が必要だというのと、その記録に付随している指紋が必要だというのとは違うんじゃないですか。だからこそ参議院の一九九二年五月の附帯決議では「法改正により指紋押なつを必要としなくなった者の指紋原紙については、これを速やかに廃棄すること。また、それらの者の外国人登録原票の指紋部分については、今回の法改正趣旨を踏まえ、今後の措置を速やかに検討すること。」となって、あなたが言ったような過去の記録が必要だから何でもかんでも指紋部分を含めてそのまま置いておくんだというようにはとれないような附帯決議になっているんじゃないですか。大臣はそう思いませんか。
  124. 塚田千裕

    ○塚田(千)政府委員 参議院の附帯決議では、「指紋押なつを必要としなくなった者の指紋原紙については、これを速やかに廃棄すること。」これは早速進めてございます。それと、「それらの者の外国人登録原票の指紋部分については、」「今後の措置を速やかに検討すること。」ということがございます。  それで、過去の在留記録、これは全体として一つの公文書ということで一体をなしておるものでございますから、今後の実務上も使っていくそういう大切な公文書を一部分に限って、これを私どもの判断で指紋部分だけを毀棄するとか墨で消すとかいうようなことは、公文書の一体性を損なうものとしてそれはいかがなものかと考えているわけで、今のような措置をとらせていただいているわけでございます。
  125. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁には到底納得できないのです。それならこういう附帯決議ができるときにもっといろいろ検討しなきゃならないので、このときの国会の意思は今のような答弁ではなかったというように思いますが、きょうはこの程度にしておきます。  時間があと二、三分になりましたので、大臣に所信として一つだけ伺っておきます。  これは今回の法改正には直接関係がないのです。直接関係がないのですが、社会の耳目を集めた事例で、今春大きな社会問題になりました、親が悪魔という名前をつけたということがありまして、家庭裁判所ではたしか一たん肯定されたんだが、その後ひっくり返った、それで親の方が疲れてしまって名前をつけるのをやめたということがありました。これについては、親の命名権を国が侵害するとか子供にもそういうような名前をつけられない自由があるとか、いろいろ議論がございました。  私、歴史が好きなので調べてみると、悪魔はどうか知りませんが、悪というのは必ずしも悪い言葉ではなかったようですね。建武の中興の時分には悪源太何々なんという名前がありまして、それは権力に逆らう勇敢な男、日本共産党とは書いてないけれども、必ずしも悪いことではなかったということらしいのです。  しかし、悪魔となるとこれは悪源太とかなんとかというのとはまた違うわけで、最後に、法案とは関係がありませんが、大臣の所信をお伺いして私の質問を終わります。
  126. 中井洽

    中井国務大臣 悪魔ちゃんと命名をしたいという事件につきましては、当時まだ法務大臣就任前でございまして、新聞等でいろいろな親御さんがいらっしゃるなという思いをいたしました。法務大臣就任後いろいろと聞いたり実例も調べてまいったところでございます。お話がありましたように、亜駆ちゃんという名前で決着がついたようでございます。  正森先生お話にありましたように、悪ということは昔はそう悪くなかったし、私の郷里の三重県の名張市というところに黒田庄というのがございまして、ここには有名な黒田庄悪人というのが出てまいります。これは何も悪い人という意味じゃなしに、奈良の都のころには有名なものであったわけでございます。  しかし、幾ら親でも、そういう名前をつけられた子供が社会生活上いわれなき差別を将来受ける、これが予想されますので、社会通念に照らして子の利益を著しく侵害すると判断をいたしまして、命名権の濫用に当たると考え、許されないという形で処理をさせていただきました。  しかし、この処理に当たって、正直言いまして少し日にちがかかり過ぎた、このことによって御両親あるいは市役所等いろいろと御迷惑もかけたか、このように考えておるところでございますが、いずれにいたしましても、命名されましたお子さんが健やかに幸せにお育ちになるようにお祈りを申し上げたい、このように考えております。  最後に、大変恐縮でございますが、本日の審議、参議院の方におりまして欠席をいたしまして、大変御熱心に御論議を賜りましてありがとうございました。法務省も、これらの法案、大変自民党さんあるいは連立与党の皆さん初め各党の皆さん方から御忠告、御意見を賜りまして、大変な判断をしながらきょう御採決をいただくことになりました。  いずれにいたしましても、国民の皆さん方の大事な姓名でございます。十分法務局あるいは各市区町村と連絡をとりまして、この法案質疑の中でそれぞれ御指摘を賜りましたことが十分守られるよう運用していきたいと考えておりますので、お願いを申し上げます。
  127. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、大臣が今おっしゃっておりましたのとほぼ似たような見解が、これは一月十九日の東京新聞ですが、札幌高検の佐藤検事長が投書をしまして、「赤ちゃんにも人格権」ということで、ただ親の権利だけではないという見解を述べております。  これは民法でも、親権というのは子供を監護し教育する権利及び義務、こうなっておるので、親は権利だけでなしに義務もあるわけですから、私どもも幾ら自分の子供でも名前をつけるには限度があるというように思っております。  これで終わらせていただきます。
  128. 高橋辰夫

    高橋委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ─────────────
  129. 高橋辰夫

    高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 高橋辰夫

    高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  131. 高橋辰夫

    高橋委員長 この際、本案に対し、斉藤斗志二君外四名から、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。斉藤斗志二君。
  132. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文を朗読いたします。     戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、戸籍事務のコンピュータ化に当たり、次の諸点について格段の努力をすべきである。  一 戸籍事務のコンピュータ化に伴う氏名の文字の取扱いについては、現行の戸籍に長年にわたって記載されてきた文字に愛着を感ずる国民感情を考慮に入れ、俗字についても十分に配慮した運用を図り、国民の理解が得られるように努めること。  二 戸籍事務は国の機関委任事務であることにかんがみ、コンピュータ化への移行を図る地方公共団体の財政的負担に関しては、国の責任として適切に対処すること。  三 戸籍は秘密性が高い個人の身分情報を取り扱うものであることにかんがみ、プライバシーが侵害されることのないよう、磁気データ化された戸籍情報保護及び保全について万全を期すこと。  四 将来のコンピュータネットワークの発展及び地方公共団体の窓口行政サービス向上の動向を踏まえ、国民の利便に資する戸籍情報システムとなるよう、さらに研究・開発を進めること。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  133. 高橋辰夫

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  斉藤斗志二君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 高橋辰夫

    高橋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中井法務大臣
  135. 中井洽

    中井国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  136. 高橋辰夫

    高橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 高橋辰夫

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  138. 高橋辰夫

    高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会      ────◇─────