○中島(章)
委員 私は、さきがけ・青雲・民主の風を代表しまして、文部
大臣のさきの
所信表明のうちの一点について、御提案と御質問を申し上げたいと思います。質問にいただいています時間が二十五分と限られているものですから、私はきょう申し上げようと思っておりますのは、政府開発援助資金、いわゆるODAによりまして開発途上国の初等
教育システムを援助してはどうか、こういうテーマでございます。
大臣は、さすがに国際舞台での御活躍も多うございますし、
所信表明の総論
部分でも、
世界に貢献をしていくということをきちんとおっしゃっておりますし、六つの主要
課題の
一つ、まあ第五の
課題でありますけれども、「
教育・学術・文化・スポーツを通じた国際社会への貢献」ということを特におっしゃっているわけでございます。私は、これは極めて大事なことであろうかと思いますし、特にその中で言っておられます「ユネスコ等の国際機関を通じた
教育協力や開発援助に携わる人材の養成など、人づくりに重点を置いた途上国への協力を推進する」ということが明言されております。
実は、
我が国が今日これだけ
世界に冠たる
経済発展をしてまいりました非常に大きな原因の
一つが、
教育の充実、特に初等
教育の質の高さ、平均的な質の高さだと私はかねがね申しております。これは諸外国からの訪問者を含めまして、万人の認めるところではないかと思っております。これは言うまでもなく、
明治以来の私どもの先輩の先見性と努力の成果でもございますし、特にこういう
教育というものに対して、先行投資をしてくるという
我が国の国民が持っているよい資質のあらわれであるというふうに考えております。
子供がどんな家庭に生まれても、どんな地域に生まれましても、読み書き算の基礎というものはきちんと身につけられるということがどれほど民主主義社会にとって大事なことか。お互いが、個人個人が競争していくというのは民主主義社会の
基本でございますが、そのときに基礎的な識字とか、あるいは基礎的な
教育が身についていないということがどれほど人権を阻害し、どれほどみじめなことになるかということは、
世界が既に経験をしていることであろうかと思っております。このことにつきまして、いわゆる個人主義の
教育から始まった西洋の
教育、アメリカでもイギリスでもそうですが、今平均的な質を上げようということで、大わらわの努力を国を挙げてやっていることも御承知のとおりかと思います。
ちなみに
我が国で言えば、このことは随分ノウハウとして知っているわけでありまして、もう既に大正のころからでありますが、特に戦後は、義務
教育費国庫負担法とか理科
教育振興法、産業
教育振興法、へき地
教育振興法等々が
昭和二十年代の後半にそれぞれできて、今日まで努力をされて、その基礎
教育が積み上がってきておりますから、北海道から沖縄に至りますまで、どこに生まれても子供は
基本的な
教育を身につけられる。我々にとっては当たり前のことでありますが、
世界の国々ではこの事実がまだできていないということでございます。
実は、私は、きょう申し上げます前提にもう一点つけ加えたいのでありますが、それは西洋と東洋の
教育に対する
歴史、考え方の違いでございます。西洋の方は、御承知のとおり、今申しました個人主義、それから合理主義、これが今
世紀のガイディングプリンシプルであったと私は思っております。それが今日の
経済発展を生み出してまいりましたし、言うなれば南北格差という今日の問題にも至っているわけですが、この個人主義、合理主義というのがやはり
教育制度にもあらわれておりまして、特にヨーロッパ諸国で発展をしました
教育は、中等
教育の段階になりますと非常にさまざまなコースに分かれてまいります。そういうことで、これが初等
教育システムにもあらわれているところがございます。
ところが、
我が国で特に
明治以降、実践、実験を始めましたのは、今申しましたように、どこの家庭、どんな地域に子供が生まれても、少なくとも基礎的な
教育に限って言えば非常に高い
教育を与えられている。よい
意味での全体主義というんでしょうか、和の精神というんでしょうか、他人への思いやりというんでしょうか、こういう東洋に独特の新しいプリンシプルが二十一
世紀を導いていきませんと、今日言われております環境問題あるいは人口問題、民族問題、特に人権といったような問題は解決をしていかないんではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
そこで、
我が国で特に充実をしてまいりましたこの基礎
教育の充実というのは、例えば韓国とかマレーシアとかあるいは台湾、シンガポールといったような諸国でも、相当な程度これに見習った制度も動いているようでありますが、二十一
世紀の国際社会、特にアジアの基礎
教育ということは非常に大切なことではないか。アジア・太平洋地域に
世界人口五十五億余りの五分の三は住んでいると思っておりますが、そういう人たちの
教育というのが非常に大事になってまいります。しかも、そのアジア・太平洋地域の非識字人口というのが非常に多うございまして、これも
世界全体の三分の二と言われているわけであります。
そこで、ことしの予算案の中で、
大臣が初めて女性のための識字
教育モデル事業というのをやられました。まずその内容、概略について教えていただきたいと思います。